WHAT'IN?4月号
――ミニ・アルバムとフル・アルバムでは何か意識が違いましたか?
北野正人(以下K) 基本的なことは変わらなかったです。違いがあるとしたら、ミニのときよりも、トータルで楽しめるバランスを考えたという点くらいで。
misono(以下M) ウチも、いい意味で毎回同じ気持ちで取り組もうというところは、変わらなかったです。
鈴木大輔(以下S) ホント、もうずっと続いてる感じなんですよ(笑)。
――作っては録り、作っては録り?
K そうですね。何か色を決めるより、とにかく勢いが消えないうちにやっちゃおう!という感じでしたしね。
――北野さんと鈴木さんは、それぞれいつもどのように曲を作ってるんですか?
K 鼻歌です。いつも持ち歩いてるテレコにそれを録って、家に帰ってからギターでコードを考えてデモにしてます。
S 僕は機材の電源を全部入れて、キーボードの前に座ってさぁ作ろう!って思わないとできないタイプですね。テンポの速い、遅い、曲のイメージの明暗先に決めてから、Aメロはこう、じゃあサビはこうかなって作っていきます。
北野さんと違って歩いているときとかはまったく出ません(笑)。
――おふたりともいろんな方に楽曲を書いてますが、datでは、どちらかというと鈴木さんがメロウ派、北野さんがポップ派じゃないですか。その辺意識してますか?
S 無意識にあるかもしれないですね。というか、単純に僕が明るい曲を出しても選ばれないんですよ(笑)。明らかにそのタイプは北野さんのほうが良くて。
K 大輔の書くバラード系はいいっていうのがわかってるんで、僕は別の角度で自分なりの良さを出そうとはしてますね。でも、話しあってるわけじゃないんですよ。
――ごく自然にすみわけができてるのかもしれませんね。今回は詞、曲ともに手がけてるものがそれぞれにありますけど。
K アルバムに起承転結というものがあるなら、僕の詞は「転」になればいいなという、わりと楽な気持ちで書いたんです。
S 僕もそうですね。せっかくのアルバムなので、やったことがないことをやってみようかなという気持ちだったり。でも、もうやれたんで、作詞からは引退かな(笑)。
――misonoちゃんはあとの6曲の詞を担当してますが、今回はどんなことを考えながら言葉に向かいましたか?
M つねに思ってるのは、今しかできないこと、今だからできることをやりたいということなんです。瞬間、瞬間を大事にして、18歳のmisonoが今思っているそのままを書きたいと思いました。
ひょっとしたら1年後は、もっとなんでもできるmisonoになってるかもしれない。もう、そのときは18歳のような歌詞は書けないわけで。だから、今をありのままに残しておきたいんです。
――「Stay in my heart」に「知っている言葉の数は 少なくてうまく言えないけど 伝えたい 素顔の僕を」とありますけど、まさにそれですね。
M ウチって、すっごく言葉が足りない人なんですよ。2ndミニくらいまでは、誰かに何かを伝えることすらできなかった。「Hello, everybody!」で書いたみたいに、「表情うかがって 心にある この想い伝えられず」という感じだったんです。
でも、今は、言葉が少なくても伝えたいと思う。そこは自分でもたしかに成長してるなと思える点なんです。
――以前より積極的に、何かを発信しようと思うようになったんだね。
M 人との会話がすごく大事だと思うようになりました。以前は「言わなくてもわかってくれるよね」とどこかで甘えたり遠慮したりしてて、例えば本当はムカついてるのに、「仲良くしていたいから何も言わない」みたいな態度をとったりした。
でも、それじゃケンカにもならないし。
――ケンカになっても今は大丈夫?
M 言い合える仲だからこそ信頼が生まれると思うし、コミュニケーションをとればとるほど、後々、お互い何も言わなくてもわかり合える存在になれると思うんです。というか、私はそういう存在になりたい。
だから、3人でいる時間は、言葉をもらうこと、あげることを大事にしたいなと。
――ちょっと前に比べると、だいぶ違うmisonoになってるんだね。
M そのときどきで100%出し切って、笑ったり泣いたりしてるんですけど、たった昨日の自分を振り返っても気づくことはたくさんあるんですよね。
――「grow」の詞のように、「“昔の自分”がいるからこそ“今の私”が歩いていける」という感じかな?
M そうですね。よく、「過去を捨て去りたい」という人がいるけど、私は、過去を生きている自分がいるからこそ、今の自分が強くなれているんだなと思うんです。
――コミュニケーションが深まって、datのバンド感は高まってきてますか?
K 最初の頃のmisonoは、音的なこともあまりわからなかったから、僕や大輔のどちらかがつねにそばにいないといけなかったけど、もう今はちゃんとわかってるんで、僕らは音作りに集中できる。
そこから3人の化学反応の速度が速くなってますね。misonoを核として音を通じての関係性が、すごく濃くなってきてる。
S うん。音的な面での役割分担が鮮明になったことで、datとは何かというところでのバンド感がすごく強まってますね。
――プレイヤー、シンガーとして頑張った部分などは?
K 僕は普段どおりでした。横着をかましてるというわけじゃなくて(笑)、いつもどおりのいちばんいいテンションでできたと思います。
レコーディング中、雨が多かったんで、音色的にはちょっと湿ってるなというものが多くなっちゃったんですけど。
――「Stay in my heart」のツイン・ギターが印象的ですが。
K あれはもうひとりのプレイヤーの方と5分くらいで弾いたものなんですよ。今回の中でいちばん抜けたサウンドになってますね。
S 僕はアレンジ面になっちゃうんですけど、挑戦だったのが「Losing my self」ですね。ちょっとゾンバ・レコードっぽいものを作りたいなと。
そしたら北野さんが、ギターですごくおいしく入ってきてくれて、ああこういうのもあるんだと感動しましたね。
K あれ、メッチャ苦労したんですよ。最初はタテの一定の刻みを入れてたんですけど、これがなかなかうまくハマらない。しょうがないからもう思ったとおりやろうと思って弾いたら、一発OKでした(笑)。
――misonoちゃんは?
M もうね、楽しむしかないなと思いました。もちろん真剣なんですよ。でも、時々疲れてくると、メロを歌わずに叫んじゃったり(笑)。ディレクターさんも「それでオッケー」とノッてくれたりして。
――大変なスケジュールでしたよね。
M 1スタから3スタまであるようなところが、ウチらの貸し切り状態になってました。大ちゃんはアレンジの続きで、マー君はギター録ってて、ウチはディレクターさんと一緒でした。
S もうラブラブだね(笑)。
――その愛はみんなにも届くんじゃない?
M だといいなぁ。
――さて、レコーディングを終えて、何か感じたことをひと言。
K 人間やればできるもんだ!
M ウチもそう思った。だから、やればできるよってみんなにも伝えたいです。
S 僕は、新しいシンセが欲しい!と切実に思いましたね。というか、買おうと決意しました。
M 大丈夫。買えるよ(笑)。
――タイトルの『elements』というのは?
S 3者3様バラバラの個性、要素がつめこまれているぞと。
K ここまでつぎこまれたことが、なんかすごくやった!という感じなんですよ。
3.26 ON SALE
『elements』
AV●AVCD-17225/B
@High-SpiritATime Of DestinyBありふれた日常を捨ててCSentenceDStay in my heartEOvalFLosing myselfGFUNNY DAYsHMorning glowIgrowJnaturallyKflower of youth<BONAS TRACK>LfarawayMMy faithNfuturity
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[収録曲は通常版と同じ ボーナス・トラックは入りません]
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DISC2(DVD)
@faraway
AMy faith
Bfuturity
Cfor you-a+nation'02LIVE映像-
SELF LINER NOTES
「High-Spirit」
●ウチは頼られ派で、友達から相談されることが多いんですよ。そうすると、だいたいみんなは“アンタはいいよね。夢を見つけてかなえて”と言うけど、ウチはそれが特別にできたとは全然思ってなくて、夢は誰でも絶対にかなうと思ってる。
人それぞれ歩幅があってただそこに辿り着くのが速いか遅いかだけ。だから“大丈夫だよ”って友達に言った内容を書いてます。(misono)
「Time Of Destiny」
●デジタルなものとロックは散々やり尽くされてて、あとは何とマッチングさせることができるだろうかと考えたときに、ブギーはどうかなと思いました。マーク・ボラン亡き今、それを継ぐのはオレかなと(笑)。
「ありふれた日常を捨てて」
●ホンマにいい意味で、笑いながら“何コレ”と言われる曲にしようと思ったんです。何かフックになるものをもってこようということで、最後に選曲されたものでもあったし。だから、マジメにテキトーをやろうと思いました。(北野)
「Sentence」
●これは、幼なじみの男の子をずっと好きだった女の子が主人公。ふたりの関係を壊したくないから好きとは言い出せないでいたら、ある日その男の子に彼女ができちゃったという切ない物語。こういうことって多いでしょ。マー君はすごく共感してくれた。(misono)
●“ある日笑顔の君の隣で笑ってたのは私と正反対の口紅が似合う女性”っていうところ、僕は男の子だけどすっごく気持ちがわかった。あったもん。こういうことって(笑)。
「Stay in my heart」
●レコーディングの最後に書いた詞。メンバーとスタッフへの感謝の気持ちをいっぱい込めました。(misono)
「Oval」
●ラジオ・ボイスにしたピアノ・サウンドで、歪んだ街をイメージしました。「Losing myself」がエスケープの歌なので、そこに繋がるインスタールードにしたかったんです。(鈴木)
「Losing myself」
●実験的な要素が強い曲なので、結構以前からあったんですけどなかなか選ばれなかったんです。今回アルバムだからということでやっとできることになりました。(鈴木)
●曲の雰囲気につられて、“ここから連れ出して”っていう感じの詞が出てきちゃったんですけど、その主人公の女の子はウチと正反対のタイプなので、仕上げるのにすごく苦労しました。(misono)
「FUNNY DAYs」
●夢見がちな女の子のイメージ。単純な言葉を並べてるんだけど、実は頭がいいって感じの詞にしようと思いました。「ありふれた日常を捨てて」とこれは、シャレとして聴いてもらえば。(北野)
「Morning glow」
●次に来る「grow」は、大輔の作ってたデモに初めて僕がギターを入れたという、まぁ言うなれば出会いの曲なんです。
すごく好きな曲なので、僕は同じ“グロウ”でも輝きという意味のタイトルで導入部を作りたいなと思いました。(北野)
「grow」
●もとはもっとガンガンのギター・サウンドだったんですけど、今回はちょっと癒し系のアレンジにしたくて、ケルトの民族楽器であるティン・ホイッスルを入れたりしています。
エスニック系の音色はもっと仕入れたい。和太鼓とかもいいなぁ。(鈴木)
「naturally」
●これはmisonoがルンルンとお散歩してるイメージで作った曲。misonoをイメージすると、なんかそういう元気なマンガのキャラクターとして浮かぶんですよね(笑)。(鈴木)
「flower of youth」
●春とか卒業シーズンとか、ちょうど今と重なる季節感を思い浮かべながら作った曲です。ひとつ別れがあっても、それぞれの人生は続いていくんだねと、そういう歌です。(鈴木)