「どんな夢よ」
重い体をソファから起こし、台所に行って冷蔵庫を開ける。中はいつもと変わら
ず(からっぽ)少しほっとした。何度か開け閉めをくり返す。
台所を出ると、玄関の方が少し気になって、なんとなくドアスコープを覗いてみ
た。
誰もいないのは当たり前だった。
訂正
息を大きく吸い込むと同時に、見なれた場所が目に飛び込んでくる。
しばらくそこから動けず、目を動かして自分の部屋って事をようやく確認する
と、体を起こした。
「どんな夢よ」
重い体をソファから起こし、台所に行って冷蔵庫を開ける。中はいつもと変わら
ず(からっぽ)少しほっとした。何度か開け閉めをくり返す。
台所を出ると、玄関の方が少し気になって、なんとなくドアスコープを覗いてみ
た。
誰もいないのは当たり前だった。
――
加護ちゃんの家のインターホンを押そうとして手が止まる。
何しに来たの? そんな事は言われないと思いつつ、わたしが自分にそう言って
る。
わたしは、加護ちゃんに用があるんです。遊んでる程ひまじゃないんですよ。
ふいに後ろから叫び声が聞こえて、振り返る。加護ちゃんと愛ちゃんの姿が見え
て、なんでか知らないけどわたしはとっさにものかげに隠れてしまって、ふらふ
ら買い物袋なんかを押し付け合ってる彼女達の姿を目で追った。
紙袋から洋服を出して、愛ちゃんの体にあてがってる加護ちゃん。誰に見繕って
もらったんだろう。かっこいい(加護ちゃんはあんなの選べない)。愛ちゃんが
今着てるシミつきの古着が、泣けてくるぐらいダサく見える。
あれ高いな。ていうかわたしあれ試着したような気がする。買えなかったんだよ
な。
じゃれ合って笑い合って、いつまでたっても二人ともこっちに来る様子がなく
て、それがだんだんと腹が立ってきて、落ちていた空き缶を二人めがけて投げた。
届かずに手前で落ちたけど。