テス

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33 ◆queOS382
次の日愛ちゃんは夜にやってくるということで、わたしは食事を済ませてそのま
ま台所で待ってた。ところが、約束の時間になっても現れず、結局食卓でひまを
もてあます。
夜の静けさが、ここ数カ月のざわめきに慣れてしまった耳には、とてもひさしぶ
りに感じて新鮮だった。
とかそんな感傷にひたってる場合じゃなくて、まただんだん腹が立ってきて。
どうしてこうなんだろうか。もっと内面処理しっかりしないと。内面処理。
音のない空間でぴくっとなった。
わたしは冷蔵庫の前に立って、なんとなく扉を体で押さえる。どんと音がして、
わたしの体が揺れる。冷蔵庫がどかどかと暴れ出したところでわたしは体を離し
た。
「死んじゃう…死んじゃう…」
げほげほともがきながら出てきた愛ちゃんに、わたしは悪魔の笑みを浮かべて浴
室の扉を開けに行った。