テス

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226 ◆queOS382
パソコンの画面の中のダルメシアンに向けてジェネレーターを見せた。
「手に入ったよ」
ぶるぶる震わせると彼の首も振られる。
前回の愛ちゃんのやってた手順で彼を呼び出すと、案外簡単に現れた。

「こないだのちゃんと伝えた?」
わたしの質問に彼はそっぽを向いて無視。
いいですよ別に。所詮動物なんかに守れるわけない。
「これ、取り付けるだけでいいんだね?」
__Y
舌を出したままの彼の顔に少し軽蔑の視線をくれてやりながら、わたしは部屋か
ら出て台所に向かった。
冷蔵庫の中、焼けこげた部分にそれをあてがう。
「こんなの防水加工とかしてないと、また同じ事が起きるんじゃないの」
そのへんにあるはずのドライバーを手探りするもなかなかみつからず。
「ねえ」
冷蔵庫から顔を出してドライバーを取るついでに、そこにいるはずの愛ちゃんを
見た。
だけど、いつのまにか彼女は消えていて。
「愛ちゃん?」
227 ◆queOS382 :02/08/05 04:46 ID:???
家の中にはどこにも見当たらなくて、玄関を見に行った。
愛ちゃんにあげたわたしの靴。
やっぱりと思ったけど、それが消えていた。
何も言わずに出かけていくというのは、別に驚く事ではないけれど、なぜだか今
回は胸騒ぎがした。

どした?
――あたし、なんかした?
サンダルを突っかけて、わたしは玄関を飛び出した。
228 ◆queOS382 :02/08/05 04:46 ID:???
そんなに捜し回らないうちに、河川敷の草むら、腰ほどもある草の中に見なれた
後頭部をみつけた。
たしかあの頭――
やがてそのコはゆっくり立ち上がり、そのままじっとしていた。
なにか見つめる愛ちゃんの背中。
その背中は夕陽の逆光で黒いかたちにしかみえなかったけど、何を思っている最
中なのか、それを考えると、なんとなく声をかけられなかった。

帰れるようになったんだよ?

近寄っていくと、斜め後ろから見たほっぺたが膨らんで動いているのがわかっ
た。
「愛ちゃん」
途端に彼女は口の中のものを吹き出す。
「あ」
振り返った彼女の鼻からは、ごはんつぶの混じった鼻水が垂れていた。