テス

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22 ◆queOS382
仕事帰りについてきた加護ちゃんは、わたしの家に入ると「シャワーを浴びた
い」と言い出した。
「稽古でべたべたになったので。いいですか?」
「どうぞ」と勧めてわたしは着替えをしようと部屋に向かう。と、ふと足を止め
て「あ」と思った。浴室に戻ろうとすると案の定「亜弥ちゃ〜ん」と声がする。
「なんや、この水?」
「それはねえ、防火用にためてるの」
「なんで氷が入ってるんですかね」
「ス、ス、スイカ冷やすため!」
「ほう〜、なんか風流ですねぇ」
23 ◆queOS382 :02/01/30 03:15 ID:???
髪の毛を拭きながら台所に入っていく加護ちゃんをみて、またハッとなった。す
ばやく冷蔵庫の前に割り込もうと思ったけど、一足遅かった。冷蔵庫を開けられ
てひやっとしたけど、中を覗くといつもと変わらず、ほっとした。そういや加護
ちゃん専用の飲み物が入ってたんだっけか。加護ちゃんはボトルを取り出してが
ぶ飲み。
「これ、なんでこんなとこ服飾ってるん?」
と、加護ちゃんは冷蔵庫の横に吊るされた古着を指す。
「匂いつくやろ、汚いで」
「あの、それはねえ」
「これ、あまりセンスよくないですね。けど、きちんとたたんどきましょう」
そう言うと加護ちゃんは愛ちゃん用の服を丁寧にたたみはじめた。ふと半分開い
た冷蔵庫の中に愛ちゃんが見えた。いつのまに!? おもわず強く閉めてしま
い、大きな音で加護ちゃんが飛び上がる。
「びっくりするやんか」
わたしはえへと笑ってごまかした。
加護ちゃんはでけたでけたとわたしに古着を渡し、再び冷蔵庫に手をかける。開
いた隙間から愛ちゃんの笑顔が見えて、わたしはとっさに扉を蹴る。

「何? しまわせてーな」飲み物を掲げる加護ちゃん。
「だ、だ、だめだよ! これ賞味期限いつだと思ってるの? こっちによこしな
さい!」
「まだ平気やろ。なんでやねん!」
奪おうとするの振り払って、飲み物を窓の外へ全力で放り投げた。