テス

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19 ◆qOZp/.4o
眠い目をこすってはっきり開けると、目の前に顔があった。
「うわあ! びっくりした!」飛び起きて顔から1メートルくらい身を引くと、
昨日のあのコが裸で立ってた。
「亜弥ちゃん、水出ない」
「水? ちょっといい加減にしてよ…今、何時だと思ってるのよ」
ふらふらと起き上がって時計をさがす。
「3時? 夜中じゃない!」

しぶしぶ浴室に入って蛇口を回すと、確かに水は出なかった。
「断水じゃないかな」
そう言って振り返ると愛ちゃんは仰向けに倒れてた。
「ちょっと! 大丈夫? しっかりして!」
20 ◆qOZp/.4o :02/01/28 01:33 ID:???
肌に触れると火傷しそうな熱さで、愛ちゃんはふうーふうーと苦しそうにしてい
る。「あー、どうしよう…」
とりあえずバスタオルで彼女の体を巻いて、そこで、あ、と思った。急いで愛
ちゃんを背負って、パジャマ姿で家を飛び出る。走りながら大丈夫? と声をか
けても反応がなくて、これはいよいよまずいです! と、わたしは速度を上げ
る。案外愛ちゃんは重くて、わたしも苦しくなってくる。近くの小学校の門をな
んとか乗り越えてプールに忍び込み、愛ちゃんを力一杯水の中に投げ込んだけ
ど、その重さに引きずられてわたしもそのまま頭から落ちた。
21 ◆qOZp/.4o :02/01/28 01:35 ID:???
なんでわたしがこんな目にあうんだろう。
愛ちゃんの頭や腕にアイスノンを巻きながらため息をついた。今度はこっちが
やばい。深夜のプールに全身つかるなんて人間のやる事じゃないよ。「寒!」わ
たしは震えながらストーブをがんがんに焚いて張り付いた。
「で、今度は何」
彼女を見ないで言った。
「亜弥ちゃん、怒ってないかなぁ思うて」
「は? 何が?」
「そやから謝ろう思うて」
「えぇ〜? それだけ? それだけで来たの?」
愛ちゃんはうなずく。わたしは深くうなだれた。「こりゃまたびっくりだよ」