小説練習用スレッド α

このエントリーをはてなブックマークに追加
148第4章

「ごっちん・・・ちょっといい?」
「なぁ〜にぃ〜、梨華ちゃん」

いつものように深夜にまで渡ったTV番組の収録も終わり、
メンバーのそれぞれが帰路に着く中、梨華はスタジオの入
り口で半身を傾けながら、前室の片隅でひとみと楽しげに
話している真希に声をかけた。

「おっ、梨華ちゃん、今日の私服、白なんだぁ・・・珍しいねぇ〜」
「そうなんだよぉ。最近の梨華ちゃん、ピンクあんまり着ないんだよね」
「ウン・・・」
「似合ってるよぉ〜、可愛いよぉ〜」

ひとみと真希は、珍しく白いワンピースを着ている梨華
の服装にチャチャを入れた。梨華は恥ずかしそうに笑い
ながらも、手招きをして真希を呼び寄せた。
149第4章:02/03/31 16:41 ID:???

「ごっちん、ちょっといい?」
「何だよぉ〜梨華ちゃん、わたしは仲間はずれぇ〜?」
「よっすぃ〜違うの。ちょっとお仕事の事なの、ディレ
クターさんが呼んでるの」
「なぁ〜にぃ〜。めんどうくさいなぁ〜。タクシー着ちゃうよぉ」

真希はやや不服そうながら梨華の元に近寄った。そして
言われるがままに、梨華の待つスタジオへ足早に向かっ
た。

しかしスタジオの中には誰もいない。真希は首を傾けな
がら辺りを見回した。すると大きな照明機器が無造作に
置かれているその片隅で、梨華がぽつんと立っていた。

「なによ梨華チャン。誰もいないじゃない」
「ウン。実はね、私なの、話があるは・・・」
「・・・ふ〜ん、で、何の用なの?」

梨華は、もじもじとしてナカナカ言葉を言い出せなかった。
すると真希は梨華の傍らに近づき、眼を見つめながら言葉
を即した。
150第4章:02/03/31 16:42 ID:???

「なぁ〜にぃ〜、梨華ちゃん。どうしたの?」
「ウン・・・。ごっちん、この間の背の高い男の人って・・・
どんな人なのかな。会社の人なのかな?」
「え?・・・あぁ、あの人?そうね、そうみたいな、そう
じゃないみたいな・・・」
「ごっちんもよく知らないの?」

「うん。自分の事、よく喋らない人だし。一応雇われている
みたいなんだけど・・・。でもさぁ、名前だってわからないしぃ」
「あの人って、普段は、どんな事してるのかなぁ?」
「送り迎えの運転とか、今私についてるマネージャーさんの
お手伝いとか・・・。そんなトコかな。」
「そうなんだぁ・・・」

梨華は首を傾けて、モジモジと言葉を選んでいるようだ。
真希は、少し悪戯っぽい笑顔をみせて梨華の顔を覗き込
んだ。

「な〜にぃ、梨華ちゃん。あの人に興味あるのぉ?」
「違うよぉ〜。そうじゃないんだけど・・・」
「じゃあ、なあに?」
「・・・ウン。なんかね、あの人と、それから・・・あの男の人
・・・とね、知り合いみたいな気がしたから・・・」

「えっ、それホントなのぉ?」
「ウン・・・。あの時そんな感じがしたんだけど・・・」

真希は、やや意外そうな顔付きで思案を投げていた。

(あの人がアイツと知り合い・・・それってどういう事なのかな・・・)

真希が思いを巡らせている中、梨華は俯きながら話の先
を続けた。


<続>