ごめんな松浦。
やっぱオイラ、お前を殺すことなんて出来ない。
それにお前に嫌われちゃったら、オイラもう生きていけないよ。
そしたら、もう死んじゃうしかないじゃん。
高橋、高橋にはホントに悪いことをしたと思う。
あん時オイラ色々あって、かなりおかしくなってたんだよ。
でもそんなこと言い訳にもならないね。高橋、ごめんな。
あぁ、オイラこれで死んじゃうのかぁ。
だんだん意識がウスくなっていくのがわかるよ。
ついこないだまでは結構楽しくやってきてたのに、何でかなぁ。
(〜^◇^)<ダメよ〜も〜特別な人を作らないで〜お願いだから〜
そ、みんなのものでいて!みたいな〜
ホントはオイラのものになって欲しかったけど、それがムリでも、せめて、
誰のものにもならないで欲しかった。
でもアイツは、高橋は……抜け駆けしやがって…
げほごほがほ。うげ、血の味がする。
オイラいつも、松浦のこと見守っていたんだ。松浦が家にいるときも。
あの時、高橋が裸で松浦の前に立った時、それを見てたオイラは
突然頭ん中が真っ白になって、気が付いたらライフルの弾全てを
撃ち尽くしていた。
松浦と高橋のエロエロシーンなんて見たくないんだよ、オイラは。
だからさっき言ってたのは、直接の理由じゃないんだよ。
ホントは、高橋に嫉妬して衝動的にやってしまったんだよ。
許してくれ、って言っても許されることじゃないけど、許して欲しい。
お前だけにはわかって欲しい。オイラのこの想い。
もう苦しくて、ほとんど声も出せないけど、でも最期にこれだけは松浦に、
言わなくちゃ。
矢口さんはひゅーひゅーとのどを鳴らして、もはや声も出すのもつらい状態だった。
「死ぬことないのに、矢口さん、死ぬことないのに」
わたしは矢口さんの体を抱えて言った。
またしても、わたしの腕の中で人が死んでいく。これで何人目だ。
矢口さんはわたしに向かって何か言ってるようだったが、もはや何を言ってるのか
聞き取れないし、唇も読めなかった。
「しゃべんなくて良いよ、矢口さん、もうしゃべんないで」
やっぱり顔は半笑いのような半泣きのような顔だった。
げほごほがほ、とせき込むと、血が口から吐き出された。
「矢口さん、死んじゃイヤ、矢口さん」
わたしは矢口さんの手を握って、泣きながら言った。
口から赤い泡を吹きながら、矢口さんは何とか声を絞り出そうとした。
わたしは口元に耳を寄せてその声を聞こうとした。
「松浦LOVE」
そう言うと矢口さんは、小さくなって死んでいった。
矢口さん、さようなら。