川o・-・)ノ<はい〜、今度はちょっとスキップします。
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ピンポーーン
インターホンの音がわたしを目覚めさせた。
「ふぁい?」
「亜弥っぺ?あたし」美貴スケだ。あ!そーだった。
「あ、あ、あ、い、今開けるね」
部屋に入るなり、美貴スケはやる気まんまん、テンション高い。
「なに?今起きたの?今日一緒に遊び行こうって言ってたじゃん。早く支度して!」
「あ、あと1時間待って…」
「だ〜め。30分。あと30分で出るよ」
ひょぇ〜〜〜〜〜。わたしはあたふた、ドタバタ、うろちょろ、あれこれと支度した。
「な〜にブローなんかしようとしてんの。どーせ帽子かぶんだから良いでしょ?
眉毛書いてる暇なんかないってば。早くはやく早く。ほらほら、そこら辺の
服テキトーに着て。いちいち鏡見てチェックするなっつーの。
もー良いから、それで良いじゃん、ほら、行くよ」
わわわ、ほとんど起き抜け状態で出るハメになってしまった。
顔なんて肌水を美貴スケにプシュプシュされただけで何もしてないのに。
まず渋谷あたりをプラプラ歩きながらお買い物。または買い物しながら歩き回る。
ねぇーあっち行こー
あっこれかわいいね
あれもかわいい
これ二人でオソロにしよー
キャー
わたしと美貴スケはまさに買いまくった、と言うのにふさわしいほど買いまくった。
まるで突然筒井康隆から100万円渡された庶民のように、買いまくった。
「あ、亜弥っぺ、あそこ歩いてる人、チョーイケメンだね、あたしタイプだぁ」
…美貴スケ、あんた一応アイドルなんだから、もっと自覚ってゆーか……
と思いつつ「あー、カッチョ前だね」と答えた。
「なに?カッチョ前って?なにそれ?」
「え?ゆわない?」
「言わないよー、そんな。亜弥っぺそれダサいよ。ダサっ」
ナンヤトワレコノクサレ***ガイテマウドダボと思ったが、「え〜〜〜〜?」
「そんなことじゃ、イイ女にはなれないぜ、Baby」
最近のわたしたちのブームは、Babyを付けてしゃべることだ。
「わかったぜンベビ、これから気を付けるぜ」
「OK、じゃ次行こうぜBaby」
「Yeah, Let's go、ンベビ」
目深に帽子をかぶってコソコソ寄り添いながらベビベビ言ってる少女二人は
周りからとても奇異に見えたことでしょう。逆に目立ってるってば。
次は占いビルに行った。わたしたちはアイドルでもあるが、それ以上に
占い好きのただの女の子でもあるのだ。
いろんな占い師がいるのだが、わたしたちの前に『あなたの未来を予言します』と
書かれた看板が目に入った。
「未来、か」わたしは何となくつぶやいた。
「先のことなんて全然わかんないよねー。どーなるんだろねー、あたしたち」
「後藤さんも今後のこと、やっぱ不安がってるみたいよ。わたしだって、ね」
「亜弥っぺ、ここにしよ?」
「う〜ん、でもちょと怪しくない?」
「うん、チョーヤバめな感じだけど」
「じゃ、どっちが先に行く?」
「亜弥っぺ先にやって。あたしここで待ってる」美貴スケびびってる。
「え〜?」しょうがないなぁ。
暗い部屋の中に入ると、全身を黒い衣装にまとい、スケキヨのような仮面をした
占い師がいた。「いらっしゃい、さ、そこに座って」女の人の声だ。
占い師の前に座ると、おもむろに占い師は両手をもやもやと水晶の周りを
舞うような仕草をして、やがて言った。
「車が空を飛んでいるのが、私には見えます」
「へ?」
「あ、これ間違い。ちゃんとやるね」もう一度両手をもやもや。
「ん?あれ?また車が。ちょっと顔良く見せて」
顔か…しょうがないから、帽子を脱ぐ。
「あ〜、やっぱマツーラじゃん。暗くてわかんなかった」
「へ?」
「あたしよ、あたし」と占い師が仮面を脱ぐとそれは飯田さんだった。
「飯田さん、また(>349)ですか」
「そー、偶然だねー」
「で、車が空飛ぶって一体何なんですか?」
「んーなんだろね。カオリも実は良くわかんないんだけど、
モーニングのメンバーとかもあたしも共通してる未来像ってのが何でか
『車が空を飛ぶ』イメージなんだよね」
「わかんないんですか」
「ただ一つハッキリ言えることは、車が空を飛んだら、もはやそれは車ではない、
ってことなんだよね」
「そうですか……あ、飯田さん、今日は美貴スケも一緒に来てるんですよ。
ちょっと呼んできますね」
「藤本?何言ってんの、マツーラ。藤本こないだアンタん家で死んだじゃない」
え?
そうでした。
わたしが「それ」に気づいた瞬間、わたしの周りの空間は砂の城のように
流れるように崩れていき、すべてが真っ暗闇になった。
そこでわたしは目が覚めた。
鏡の中のわたしは、目がはれてて、すっごいブサイクな顔をしていた。
そうだ、今日は平家さんと会う日だった。あの(>661)罰ゲームで。