建物の陰に隠れながら走っている途中で、人の気配がした
誰?
気配の方向へ銃を向ける
「ま、松浦…」
矢口が電柱の側の猫よけ用のペットボトルの陰に小さく座り込んでいた
矢口さん!
亜弥は転がりながら矢口の側に駆け寄った
きゃっ、矢口さん、血が…
矢口の右肩からは血が流れていて、矢口はそれを苦しそうな表情で手で押さえている
矢口さんもヤラれたんですか?
「ああ、油断しちゃったよ、でもかすり傷だから、キャハハハ…」
カラ笑いも痛々しかった
一体誰が?
「いやぁ〜私もわっかんない、心当たりも…ねぇ…んんんんん」
矢口さんはここで隠れてて下さい、わたし行きますから
矢口を置いて亜弥はまた敵の方へ走り出そうとした
「だめぇ!」
矢口がしがみついてきた
は、離してください、矢口さん
「行っちゃだめ、松浦もヤラれちゃうじゃん、だぁめだって」
そ、そんなに引っ張ったら、キャミ破れちゃう、血も付いちゃったし
「あ、ゴメン」
この隙に矢口の手を振りほどき、亜弥は走り出した
走りつつも後から矢口の声が聞こえてくる
「松浦〜、無茶すんなよ〜、絶対、ヤラれんなよぉ〜」
ヤラれませんよ、ヤラれるもんですか、ヤラれてたまるか、ヤラれるワケない
てゆぅか、こっちがヤッたる、ヤラねばヤラれる、ヤラれる前にヤレ
………
…えと…
それでも亜弥は走り続けた
………
そういえば、ガレッジセールさんの番組でジャージに着替えて出てきた時
ちょっとガニ股でビロッてしたんだけど、あれをわたしの心の師匠である
由利徹のおしゃまんべ
のマネだって気づいた人はいたのかなぁ
………
あと、わたしの心の師匠としてもう一人、東八郎がいるんですけど、
トリオ・スカイラインの方じゃなくって、エイトマンの方なので
間違ってもらうと困る、ひじょーに困ります、まじで頼んます
………
そうこうしているうちに、敵が亜弥を狙っていたであろう雑居ビルの屋上に着いた
ぐるっと屋上を見渡してみる
あ、血だ、それも結構流れてる、とゆうことはそんなに遠くには行ってないかも、罠?
ヤバイ!
瞬間的に床に伏せた
カ カカ カ
五寸釘が壁に刺さる
また古風な、忍者かよ、まったく
床から釘を抜き、打たれたであろう方向へ打ち返す
ぐ どさ
あはは、当たっちゃった、上手すぎわたし
音がした方へ忍び寄る
するとそこに落ちていたのは、石川梨華ちゃんのパネルだった
額の真ん中に五寸釘が見事に命中している
これは、たしかハロプロニュースのやつかな?何でここに?罠?
今度こそヤバイ!
ごろごろごろと転がり物陰に隠れる
………
今度は何も起こらない
集中する耳を澄ます目を凝らす
………
……zzz
朝
しまった寝ちゃった