何で水戸黄門に辻と飯田が出てるんですか?

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91ashinobu ◆Askaw.ME
>84の続き

「えーっ!?それって何のヒネリもないじゃん!」
 飯田さんの作戦を聞いた矢口さんが大きな声をあげました。
「仕方ないでしょー!いくらカオリでも部室見ただけじゃわかんないよー!」
 わたしと飯田さんは、自転車をひく矢口さん、亜依ちゃんと4人で
帰り道を歩いていました。その途中に聞いた飯田さんの作戦……それは、
夜のあいだずっと、部室を見はるためにビデオをまわしておくというものでした。
「犯人はね、毎日部室を荒らしに来るんだから、習慣的に毎日決まった行動を
とる可能性が高い。
 ビデオにもし映ってればね、犯人の来る時間帯とか、通り道とか、どうやって
部室を荒らしたのかがわかって、ずーっと捕まえやすくなるよー。
 それにね、犯人はかなり限られるから、ビデオ見るだけでわかるかも……。」
「なになに?どういうこと?」
矢口さんは、さっきの失望とはうってかわって、とってもきょうみをもったようすです。
92ashinobu ◆Askaw.ME :01/12/10 19:27 ID:???

「あの部室、表のドアは鍵がかかったままだったんでしょ?
 裏の窓にはほこりがびっしりたまってて、全然開けた形跡はなかったし、
だいいちそこにも内側から鍵がかかってたんだから、ドア以外からは入れない。
 どこかにすき間があれば、そこから針金みたいなものを差し込んで
カゴだけ落とすこともできそうだけど、裏の窓とか表のドアのすき間は、
サッシがじゃまで差し込めそうになかったし、壁には特に穴なんてなかった。
 あとね、隣の部室から壁を蹴ったりして、その衝撃でカゴを落とす
なんてことができないかとおもったけど、あの壁、すごく丈夫で、
そんなことできそうにない。
 だからね、やっぱり、ドアを開けて中に入らないと無理みたいだから、
犯人は合い鍵を使ったっていう可能性がいちばん高いとおもうよー。
 それでね、合い鍵を作る機会はかなり限られる。あの厳重な鍵の扱い方じゃ
合い鍵を作るくらいの長い時間、鍵をずーっと持ったままでいる機会なんて
ないんだからね。
 合い鍵を作れるとすれば、平気で鍵を借り出せる人。たとえば……いまの矢口
みたいなね。」
わたしと亜依ちゃんは同時に矢口さんの方を見ました。
93ashinobu ◆Askaw.ME :01/12/10 19:29 ID:???

「ちょ、ちょっとー!ヤグチを疑うのかよーっ!鍵借りるのなんて
今日が初めてなんだぞー!」
むきになる矢口さんをみて、わたしと亜依ちゃんは笑いをこらえていました。
「まあね、事務室で聞けばすぐわかることだから。」
「なんだよー、カオリまでー。 あ、でもさ、合い鍵なんかなくたって、
"ピッキング"で開けられるんじゃないの?」
 "ピッキング"のことは、最近テレビでよく紹介しているので
わたしもききおぼえがありました。ここではくわしくは紹介しませんが、
かぎをあけてしまうわざのことです。
亜依ちゃんも名前だけは知っていました。
「うーん、ピッキングなら、あの鍵くらい開けられるけど……。」
「カオリはさ、そのピッキングってできんの?」
「やり方だけなら知ってるけど。」
「そっかー、じゃあ犯人はカオリだな。いーけないんだ!」
矢口さんのおもわぬ反撃です。
94ashinobu ◆Askaw.ME :01/12/10 19:30 ID:???

「で、でもね、荒らしたあとでわざわざもう一度ピッキングして
鍵を閉めていくなんてこと普通しないとおもう。
 だからね、合い鍵を使った可能性の方がだんぜん高いんだよ。
 それでね、鍵を長時間借りることができるのは学校の関係者だけなんだし、
ビデオ見るだけで誰なのか特定できるとおもうよー。」
 そのとき、亜依ちゃんが言いました。
「あのぉ、きょう飯田さんをよんだってことはもうバレてるんですから、
犯人はもう来ないのとちがいますか?」
「なんだよー、加護までさー。」
「ん?矢口さんってわけじゃなくって、ほら、部員はみんな
知っとるんやし……。」
「もしそうならね、犯人が警戒して来ないでいるうちに
鍵を交換してもらえば?
 部室が実際に荒らされてるんだから、それくらいのことは
してもらえると思うよ。それで一応解決ってことで。」
95ashinobu ◆Askaw.ME :01/12/10 19:31 ID:???

「うーん……犯人がつかまんないとすっきりしないけどねー。
あ、ところでさ、今日のそのビデオ撮るの、ヤグチも手伝って
いいかな?」
「いいけど、徹夜だよー。」
「えー?ずーっとビデオ見張ってるの?」
「そんなことしないけどさ、カオリのビデオはね、バッテリーが
4時間もつんだけど、いちおう3時間で交換したいの。
3時間ならテープも標準モードで使えるし。
 だからね、外が暗くなる6時にセットして、あとは9時、12時、
3時に交換、朝の6時に回収ってことにしたいんだけど。」
「そっかー、徹夜ならさ、圭織だけにやらせることなんてできないよー。」
「カオリはいいんだよ。これが趣味なんだから。」
「みずくさいぞー!これってオイラたちの部のことじゃん!
いやだって言っても手伝うぞぉー。」
「へへー、あのぉ、ウチも手伝っていいですか?」
「加護は授業あるだろーっ!やめとけよー!」
「いややー!ウチも手伝うーっ!」
「つじもてつだいたいれす!」
亜依ちゃんと私がだだをこねたので、飯田さんはあきらめて言いました。
「じゃあね、夜中はカオリと矢口だけでやるから、あんたたちはそのあいだ
ちゃんと寝てること。わかった?
とりあえず、中澤さんに2人を泊めてもらえるように頼まなきゃ。」
96ashinobu ◆Askaw.ME :01/12/10 19:34 ID:???

 下宿屋に帰り、無事に中澤さんの許可をもらったので、そのことを
電話で知らせると、まもなく私服に着替えた亜依ちゃんと矢口さんが
自転車でわたしたちの下宿屋にやってきました。
「おや?カオリの同級生って子は来ーへんの?」
中澤さんが二人をみて最初に言った言葉はそれでした。
「あのー、カオリの同級生はあたしですっ!」
矢口さんは、きっぱりといいました。
「オトナにウソ言うたらあかんでー。どう見てもののの同級生やろ?
そんなコギャルみたいなかっこしててもウチにはちゃーんとお見通しや。
隠さんでもええで、背伸びしたい年頃やもんなあ。ウチもそうやったからなあ。
そういう子、ウチめっちゃ好きやでー!」
「うわー!やめろよー!」
中澤さんがいきなり『すきんしっぷ』をしようとしたので、
矢口さんはかなりあわてていました。わたしたちはもう慣れっこで、
かわしかたもおぼえていたのですが……。
 飯田さんはそのとき、騒ぎをよそに自分の部屋でずっとビデオの準備をしていました。
 カメラがばれないように箱に入れたり、電池が冷えると長い時間もたないからと
その箱に使い捨てカイロをつめたり……。
 そのとき、もうひとりのおきゃくさんがやってきました。
「ちゃーす!姐さーん、カオリー、おるかー?……ん!?矢口と加護?
あんたたちもおったんか……。」