11年ぶり 長野・茶臼山動物園でチンパンジー誕生
2009.9.4 02:42
長野市の茶臼山動物園で6月、同園では11年ぶりとなるチンパンジーの赤ちゃん「タカ」が誕生した。
父のタダシ(19)と母のカコ(14)の間に生まれたオスだ。タカは出産直後1440グラムしかなく衰弱して
いたが、人工保育で育てられて体重が2640グラムまで増え、すくすくと成長している。
「繁殖制限があり、今までできなかった」と飼育員の小池晴明さん(41)。カコは繁殖のため昨年、多摩
動物公園(東京)から“嫁入り”してきた。タダシとカコはいずれも純血種ではない「雑種」で、従来の基準
では繁殖はかなわなかったためだ。
チンパンジーを種で分類すると、生息地域により4つの亜種(純血種)に分類される。外見に大きな差は
ないが生活方法などが異なる。全国の動物園飼育担当者が集まり、平成13年開催のチンパンジー会議
で「純粋な亜種を守るため」として、異なる亜種間の繁殖を抑える方針が決まった。
日本動物園水族館協会でチンパンジーの国内血統登録を担当する成島悦雄さん(60)によると、雑種
間の繁殖の規制などで、最盛期には360頭ほどいたチンパンジーが現在では約320頭まで減少。さらに、
純血を守るため特定の雄や雌の子孫が増え、環境への適応が難しい近親交配が増えたという。
「このままでは日本からチンパンジーが消えてしまう」(成島さん)と危機感を抱いた協会は、海外の事例
も参考に混血にこだわらず個体数を増やす方針を数年前に決定し、個体増と遺伝的多様性の確保を目指
すことに方針を転換。その甲斐あって「10年ぐらい毎年個体数が減り続けてきたが、ようやく昨年は増加
に転じた」と成島さん。チンパンジーの個体数を維持するための努力が今後も続く。
ttp://sankei.jp.msn.com/region/chubu/nagano/090904/ngn0909040243000-n1.htm