ピアス姉さんのスレ!

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129吟遊廃人
(それでは少し続く)

ストラは席を立つと、グラスを片手にカウンターに移ってきた。
そして、隣の椅子に腰をおろした。
ただ、視線は棚のボトルに向けられたまま。
「こんなところで、どういう風の吹き回しかしら?」
ストラはそれに答えず、手にしたグラスを飲み干した。
「マスター」
小さく頷いてマスターは、手早く二杯目のドライ・マティーニを調合した。
ストラが、前に出された新しいグラスを見つめたまま、言った。
「ピアス君、私も、彼にやられてね」
「……ああ、ビット・クラウド……」
ピアスは、ピンクレディを手にすると、ドライ・マティーニのグラスのふちに
軽く当てた。
澄んだ音が響いた。
「乾杯。なにに乾杯なのかは、知らないけれど」
悪戯っぽく笑うピアスに、ストラの口元も緩んだ。
「ああ、乾杯だ。君のために」
一口飲んで、ピアスはストラを見た。
「私のため?」

(続くのか?)