自分でバトルストーリーを書いてみよう!!

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54赤羽広々
>>53の続き

「帝都防空隊」(9)

ノルトマンはシンカーを急降下させながら高度計を確認する。6000メートル。ダイブす
る爆装サラマンダーを追いかけて、ここまで降りてきていたのだ。2機の空戦仕様サラマ
ンダーが上方からノルトマン機に迫る。頭を押さえられた。このままダイブ合戦をして
も推力不足のシンカーでは勝てない。ノルトマンは急降下するシンカーを引き起こし、
緩降下左旋回させる。直線飛行することなく、機体を横滑りさせ続ける。教科書通りの
直線飛行をすれば、たちまち叩き墜とされる。一見、下手クソのように思われるこの横
滑り飛行こそが、ドッグファイトを制する極意なのだ。一撃離脱戦法を仕掛けようとサ
ラマンダーが射点に着くと、ノルトマンはシンカーを横滑りさせ回避する。敵機のレー
ザーはノルトマン機の右側へ流れていくばかりだ。ノルトマンは敵機がしびれを切らし
てドッグファイトを仕掛けるのを待った。

3度目の射撃をかわされた1機のサラマンダーが、遂にノルトマン機を追尾し、ドッグファ
イトを挑んできた。なめるなよ。ノルトマンはほくそ笑んだ。この高度なら、重量が100
トンもある貴様にドッグファイトで負けることはない。ノルトマンは操縦桿を力いっぱ
い引き寄せ、シンカーを縦旋回させる。サラマンダーもその跡を追って縦旋回を開始す
る。互いに旋回が描く円の頂点に相手を捉える。上方ガンカメラモニターに映るサラマ
ンダーを睨む。シンカーが円の頂点に達した時、ノルトマンは操縦桿をわずかに左へ倒
した。捻り込み。これこそが「帝都防空隊」が、猛訓練と幾度もの実戦の果てに編み出
した技だった。