自分でバトルストーリーを書いてみよう!!

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44赤羽広々
>>43の続き

「帝都防空隊」(2)

少しずつ明るくなっていく空の光を受けて、シンカーの銀色の翼が鈍く輝く。僚機が
上がってくるまでノルトマンは飛行場上空を旋回しながら、地上の様子を横目で眺め
ていた。さすがに燃え上がる炎はもう見当たらないが、いたるところから細い黒煙が
天に昇っている。

夜間、サラマンダー12機が亜音速で超低空侵入、内6機が飛行場上空を制圧、もう6機
は2機ずつに分かれると1隊が飛行場西側、もう1隊が東側を爆撃、残りの1隊が対空陣
地を叩き潰して上空へ退避、それと入れ替わりに上空を制圧していた6機が舞い降り、
爆撃隊が撃ち洩らした標的へバルカンファランクスを叩き込み、火炎放射で地上を焦
がす。再び舞い上がり全機合流し、超音速で飛び去っていく。共和国軍は連夜、この
攻撃を繰り返し行い続けているのだ。レーダーサイトから空襲警報が発せられてから
サラマンダーが飛行場上空に達するまで、わずか3分。シンカーは迎撃するどころか
離陸することすら出来ないまま、虚しく地上で破壊されていった。難を避けるため耐
爆シェルターに避難させたところで、サラマンダーが投下する1トン徹甲爆弾の直撃
に見舞われては、どうしようもなかった。ゼネバス帝都の防衛を任され「帝都防空隊」
といわれた第1飛行大隊の稼働率は20パーセントにまで落ち込み、なお下がる一方だっ
た。第1飛行大隊が保有する5つの飛行場の内の1つであるこの飛行場から、今朝離陸
したシンカーは、わずかに9機。ノルトマン機は「帝都防空隊」の数少ない生き残りの
内の1機だった。