自分でバトルストーリーを書いてみよう!!

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285喧騒と絶望の中で
>>284
 そうこうしているうちに、レドラーは高度5千を切った。
 レーダーにいくつも光点が広がる。カノントータス・防空カスタム3機が短SAM、正式名、短距離地対空誘導ミサイルを次々に発射したのだ。
 レドラーが小さく散開した。編隊前方の3機がミサイル群に突入していく。
 そして、ミサイルの光点が次々に消えていく。
 編隊前方の3機は護衛機だったのだ。
 結果として、2機の護衛機と2機の爆撃機が、編隊から急速に離脱する。つまり撃破されたのだ。
 だが、そこまでだった。依然として爆弾満載の7機のレドラーが、突入をしてきた。
 急降下爆撃。
 あっと言う間に距離を詰めて、それらは有視界に突入してくる。
 とは言え夜間なので、スターライトスコープ(感光増幅装置)を使っての話だ。
 AX小隊、固定対空砲座が一斉に弾幕を張る。
 だが、それらは高性能の機動性を持つレドラーには、ほとんど掠りもしなかった。
 距離1000。
 そこで、アドッサは気付いた。AX小隊の識別名「AX2」がほとんど動いていない。
「AX2、聞こえるか、AX2! 動け! レドラーに爆撃されるぞ!!」
 急降下爆撃は、ピンポイントだ。狙った物を爆撃し、早急に離脱する為の爆撃。
 だが、素早く動く相手にはあまり有効でない。途中で目標をあまり変えられないのだ。
『あぁぁぁぁぁぁぁぁ!! 来るな! 来るな! 来るなぁぁぁ!!』
 回線を通して、聞こえるのは絶叫だった。恐怖の余り、パニックを起こしている。アドッサは、素早く手元のパネルを操作して、搭乗者を確認した。
 ずらずらと流れる個人情報の要点だけ流し読みする。
アレン・フォン少尉・昨年、士官学校卒業の新兵。
新米が、戦場に出て、自分がここに居ると事実が、アドッサの胸に突き刺さる。
『弾が、弾が出ない。畜生、畜生、何でだよ! 何でなんだよぉぉ!!!』
 トリガーの引き過ぎだ。無駄弾を撃ちすぎて、弾切れを起こしていた。残弾メーターはご丁寧に赤いランプと警告音を発して、打ち止めを通告していたが、アレンは錯乱してそれに気付いていなかった。
 つまりそれはレドラーに取って格好の獲物だった。
「フォン少尉、その場を離脱しろ、早く。…早く、逃げろ!! 」
 距離500。
 ついにレドラーは腹に抱えていた爆弾を投下した。
「総員、衝撃に備えろ!」
 アドッサの隣のスロイスロット中佐が叫んだ。
 アドッサは、パニックに落ちっているフォンに呼びかけていた。
「フォン少尉! フォン少尉!! 逃げろ!!」
 爆音と基地を揺るがす振動が戦術指令室にも襲って来た。