自分でバトルストーリーを書いてみよう!!

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280闇に潜む者
>>279の続き。何故、誰も書かないのー(泣
『誇りと刃と復讐と(24)』

敵は、予想以上の広さに仕掛けられたトラップに引っ掛かってしまった。
PA12基地は、防衛の面にしては、基地司令であるディムの凝り様で、要所、要所にトラップが巧妙に仕掛かけれた。
恐らく、敵としてはもう少し近づいて待機、空爆部隊を先行させて、基地を空爆後、時間をなるべく明かさずに基地に突入する予定だったのだろう。
しかし、発見された後は、ジェノザウラーと数機を遊撃部隊として、対空砲台を攻撃し始めた。
ある程度、対空砲を破壊した後に空爆部隊を突入させるつもりだ。
相手に取って、被害の少ない作戦であり、真綿で首を締めるような作戦でもある。

ハイドとミゼルフがジェノザウラーとチェイスを展開している頃、アレン・フォン少尉は、カノントータスの操縦席で、震える手を押さえつけていた。
彼はまだ若く、戦争が始まる一年前に入ったばかりの新兵だった。
西方大陸に渡ったのは、ほんの3ヶ月前、実戦は数回しかこなしていない。
そして今回の程、絶望的なケースには未だに当たった事がなかった。
その怯えた瞳が見つめるのは、月が明るい夜空。
だが、明るい月も美しい星も彼には、どうでもよかった。
奴らがやってくる。
闇に紛れて、必ず奴らはやってくるのだ。
レドラーが・・・。

彼の乗る愛機はカノントータス・防空カスタム。愛称は『ピリオド』。
主砲であった大型冷却式荷電粒子ビーム砲を取り外し、多連装短距離地対空誘導ミサイルを中央に置き、45o2連装高射機関砲を両脇に装備したカスタマイズだ。
残ったカノントータス5機のうち、3機は同様のカスタマイズを施されている。
超低空域(数千m以下)での迎撃は短距離地対空誘導ミサイルが、有視界での最後の一線は45o高射機関砲が対応する寸法だ。
急造の改造とは言え、試験運用ではまずまずの結果を出していた。
しかし、敵の主力航空戦力であるレドラーの機動性を考えると芳しくなくはない。
この三機と基地各所の固定砲台とステルスバイパー3機、そしてプテラス一機がPA12基地の心もとない防空網である。
ちなみにカノントータスの残り二機は、155mm榴弾砲を装備し、自走する野戦砲として生まれ変わっている。
今必要なのは、敵陣に食い込む為の突撃砲ではないのだ。

今のところ、敵航空戦力であるレドラーは、有視界には入ってこない。
だが、不意にそれはやってきた。
短い警告音。
レーダーが、高度1万2000mを飛ぶレドラーを捕らえた。
緩やかに降下を始めている。
心もとない戦力。それでも戦いを挑まなくてはならない。
自分の運命を恨んだ。だが、これは戦争だ。
自分に言い聞かせるように、震える手を無理やり黙らせて、強く思う。

来やがれ、叩き落してやる。