自分でバトルストーリーを書いてみよう!!

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2016年前(2)
>>200の続き、あう、下げ忘れたすまん。

「ほう、アドッサは『薙旋(なぎつむじ)』を見たのか。珍しいな、お前の訓練ごときで見せるとは。」
 食後のコーヒーを飲みつつ、ゴーンは驚いたように言った。
「『薙旋』・・・ですか?」
 話の始まりは、訓練の最後にアリアが見せた走りながらの180度旋回の事だった。
「大尉の得意技だよ。走りながらその場で180度回頭する技だ。大尉はあの技を『薙旋』と呼んでいる。」
「残念だけど、あれは『薙旋』じゃないわよ。」
 アリア大尉は、微笑みながらそれを否定した。そして続けて説明する。
「時速150kmで出したぐらいじゃ、『薙旋』とは言えないわ。トップスピードで出してこその『薙旋』よ。トップスピードの場合は、回頭するだけなんだけどね。直進するエネルギーを相殺できないから。」
「でも駄目だぞ。真似したら。」
 ゴーンは、神妙な顔でそう言った。
「何でですか?」
 今度、挑戦してみようと心に決めたアドッサは驚いたように応えた。
「経験者は語る、だ。あんな芸当、よほどの人間しかできんよ・・・。」
 肩をすくめて、ゴーンはそう答えた。
 確かに、あの機動は、絶妙なバランス感覚とそれを伝える操縦技能が必要となる。
今まで、アリア大尉に憧れて、何人のツワモノが挑戦したが、成功した者はほとんどいなかった。故に何人もの人間と、何機ものゾイドが病院送りとなっている。きちんとスピードを相殺できない場合、吹っ飛ぶからだ。
「むむ、でもいつか・・・。俺も少なくともゾイド乗りなんですから。」
 そういうアドッサに対して、アリアは苦笑した。
「うーん、まだゾイド乗りというには、ね。ゾイド乗りの領域には、程遠いわ。まぁ、でもアドッサにはその素質はあると思うわ、私はね。」
 そう言って、アリアは微笑する。
「はは、ないでしょ。こいつには。」
 ゴーンがそれを即座に否定する。
「うむむ、でも俺は、レオマスターなりますよ。」
「レオマスターねぇ。アドッサの夢だってかしら?」
 小首をかしげながら、レオマスター寸前のアリアが聞き返す。
「そうです。というか、ゾイド乗りなら誰しもが憧れる称号だと思うんですが。」
「大尉ならなれるのに全部埋まって欠員がないですからね。」
 はは、とゴーンは笑う。レオマスターの証であるDSC―Jが7機しかないので、誰かが引退しないと新たなレオマスターは、誕生しないのは当たり前と言えば、当たり前だ。
「今なら、あのアーサーじーさんが一番引退が早いんじゃないですか?」
「あー、あのじーさんは、意外としぶといわよ。前に会った事あるんだけど『生涯現役じゃ。譲ちゃん、そういう事だから、別の奴から譲って貰ってくれ。』だ、そうだわよ。」
「うわ、クレイジーここに極まりですな。あのじーさんならやりそーだ。」
アーサー・ボーグマン少佐とは恐らくゾイド乗りの中では屈指の老獪。将軍クラスの年齢と実力にも関わらず、退役までゾイドに乗り続けると豪語するレオマスターだ。別名『クレイジー』とも呼ばれている。西方大陸戦役でも活躍中との話だ。
「はは、でもDCS―Jなんかにゃ、乗らないと思うわ。アーサーのじじぃに乗っけて貰った事あるんだけど。あれは駄目。全然乗ってて気持ちよくないの。バランス悪いのよ、ほんとに。というか、DCSがいらないと思うわ。私がレオマスターになったら絶対、言ってやるんだから『DCSユニットが重い、外せ』ってね。」
そして、思い出したようにアリアがアドッサの顔を見て言った。
「そう言えば、アドッサ、今日の模擬戦のレポートの提出は、今日の9時までね。」
「え、あぁ、はい、書きます。」
 はっ、と思い出して、慌ててアドッサはトレイ持って席を立った。
「では失礼します。」