自分でバトルストーリーを書いてみよう!!

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185模擬戦闘2
>>184の続き
「ダメージリポート!」
「ゾ、ゾイド、操縦者とも損傷軽微です。機動には問題なし。」
「無闇に突っ込んだって、無駄。今のは踏み込みが甘い。速度がない。初速が遅すぎ。次!」
 ライガーが走り出す。ウルフも何とか立ち上がって併走する様に走り出す。ライガーの方が速度を調節しているのか、二機はしばらく凸凹の大地を併走する。
 ウルフの方は、小さな障害物に四苦八苦しているらしく、なかなかトップスピードに乗れていないようだ。対するライガーは余裕の身のこなしで、ウルフの速度に合わしている。
「少なくとも100mは先を見なさい。無闇にゾイドに鞭を打つだけじゃ、速度は出ないわよ。まぁいいわ、次!」
 ウルフが併走したまま、背部のニ連砲を機体に対し直角に砲塔を旋回させ、放つ。
 次々と連射。
 しかし、ライガーは走りに微妙な緩急をつけてそれをすべて避けさる。
「砲撃の反動も計算に入れなさい。3時方向に撃つなら9時方向の足に踏ん張りを入れるように事前に教えないと駄目。連射するなら、無論」
 確かにウルフの足元がおぼつかない為に、スピードが微妙に落ち始めている。
 次の瞬間、ライガーはその場で左足一本だけ置いて跳ねると横転、機体の向きを瞬時に180度回転させて、その場に爪を叩きつけ踏ん張り、急停止。
そして、体を丸くして体をバネの様にしならせて急発進。
 慌てて、ウルフの方も旋回を始めるもの、少し場所が悪く、旋回の軌道が大きくなった為に近くの岩に側面をぶつけた。小さな擦り傷が装甲に刻まれていく。
「旋回はもっと細かく! まぁいいわ、今日はここまで。」
「まだ、やれます。」
「駄―目。コマンドウルフがへそ曲げて、フリーズするよ。ただでさえ、ペイント塗れで機嫌悪いのに。」
 ライガーはその場に止まると、ウルフは、ゆっくりとライガーに近づき、その横につける。
 ライガーの頭部のキャノピーが開放し、中のパイロットが姿を立ち上がり、ゆっくりとウルフの方を見やった。
ウルフの方もキャノピーを開ける。
「まぁ、まだまだね。アドッサ。」
 ライガーのパイロットがヘルメットを取ると、汗でしっとり濡れた長いプラチナブロンドが宙に舞った。
 あの脅威的な機動をこなしていたとは思えないほど、美しい女性。
 手にした水筒のストローを咥えて、額の汗をぬぐった。
 アリア・ウェール大尉。27歳にして、驚異的なゾイド乗り。
「大尉には適いませんよ。今日も『ライトニングクィーン』の名が伊達じゃない事は良く分かりました。」
 ウルフのパイロットの方もヘルメットを脱ぐ、若き日のアドッサ・マークスだった。この時、歳はまだ19歳。
「ばーか、本当の『ライトニングクィーン』はあんなものじゃないわよ。まぁいいわ。帰りましょう。」
「整備に怒られますかね。」
 アドッサは苦い顔して、操縦席の中でウルフを見回す。無論、見えはしないのだが、想像ぐらいは付く。きっとボロボロだ、と。・・・事実、その通りだ。
 対するライガー『ルーク』には傷一つなかった。恐らく簡単な調整だけで整備は終わるだろう。当然だ。一発もペイント弾に当たっていないし、『ライトニングクィーン』が機体に擦り傷を付ける様なヘマは当然しないし、訓練ごときで無理な機動をする事もほとんどない。最後のアクセル(180度)ターンを除けば、だが。
「当然でしょ。おやっさんにこってり絞られてきなさい。ペイント洗浄、自分でやらされるぐらいは覚悟なさいな。」
 それだけ言って微笑むと、彼女はもう一度ヘルメットを被りキャノピーを締めた。
「うはー、了解。」
 アドッサもキャノピーを締めると ライガーの後に続き、基地に帰還した。