自分でバトルストーリーを書いてみよう!!

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164名無し獣
>>155の続き
誇りと刃と復讐と(5)

 この基地で冷房が効いている場所は少ない。熱に弱いコンピューターの置いてある電算室と戦術指令所と基地司令執務室のみだ。この3箇所の内、アドッサは戦術指令所にいた。
 モニターが各所に設置された戦術指令所、この基地の防衛の要だ。基地の周りに巧妙に設置されたたくさんのスキャナーがほぼリアルタイムでモニターに状況を映し出している。
「本当なんで?」
 戦術指令室を見渡せる後方の一段高い司令席に小太りの中年親父が座っている。アドッサはその人物に聞き返した。
 基地司令ディム・デー・スロイロット中佐。この基地で一番偉い存在である。
 アドッサとは旧知の人間で、昔、士官学校時にアドッサをしごいたのが、このディムであった。早くに父親を亡くしたアドッサに取って、父親の様な存在だったし、ディムの方も我が子のように扱ってくれた。お陰で、アドッサは頭が全然上がらない。
「本当だ。先程、レドラ―が3機、基地の近くを通りすぎた。装備からみて強行偵察型だと判断した。そして飛来時より逃げ足も速かった。」
「それは、この基地が見つかったと…。なぜ、こちらも出撃しないんで。」口にして自覚する「…できないか。」
 ディムがゆっくりと頷いた。
「そうだ。今、我が基地に飛行できるゾイドはプテラス一機だ。基地が見つかったという判断は間違いないな。相手の部隊がどの辺りに居るのかは分からんが、多分、一日以内にこちらに攻撃を掛けるだろう。」
 プテラスではレドラーに対抗できるだけの能力はない。昔は対抗にレイノスと呼ばれる飛空ゾイドがいたが、これもまた隕石衝突のお陰で数が激減。現在、手厚い保護下にある。
「撤退しましょう。相手が悪すぎます。デスザウラーのパチモン相手にこっちが被った被害は尋常じゃなかった。俺も多くの部下を失なった。親父はそれ以上だ。」
 ディムは押し黙った。
 与えられた基地を放棄するなど、軍人として最低の恥以外何物でもない。
 しかし、アドッサはいったん区切って、また続ける。先ほど、先任者が死亡した為にその任が回ってきた第三普通科連隊隊長としてだ。
「今、この基地の戦力は、シールドライガーが2機にコマンドウルフが5機、プテラス1機。ガイサックが6機、ゴルドス1機に、ゴドスが12機。ステルスバイパーが3機、カノントータスは5機。他はコマンドゾイドが何機か。歩兵も総勢100人足らず。今や、我々、陸軍第五師団第3普通科連隊も中隊以下の戦力ですよ。」
 基本的に小隊は差はあるが小型ゾイドなら一〇機程度のゾイドで編成される。一〇小隊で一大隊。10大隊で一師団となる。だが、あくまで基本的に、だ。共和国軍は、国力回復のために軍備を縮小していたので、一〇大隊で一師団を編成することは希である。
「相手も機数自体は余り変わらん。それなりの打撃は与えているんだろう?」
 ここの所、相手にしている敵の数は3個小隊だ。おそらく、帝国陸軍第六師団に所属するどこかの中隊だ。本大隊とは、別行動している部隊なのだろう。
 目的はおそらくこの基地の破壊。ゲリラ戦を展開する我が軍の元から立つつもりなのだ。
 動く要塞と呼ばれた重装甲拠点侵攻用大型ゾイドのレッドホーンGC(ガトリングカスタム)を主軸とし、高速戦闘ゾイドのセイバータイガー、その支援随伴ゾイドのヘルキャット。主戦用戦闘ゾイドのイグアン、モルガ、そして空戦部隊としてレドラーなどで編成されている。
そして、その中で一機だけ異様なゾイドがいた。
「しかし、圧倒的な性能差。やはりパチモンがネックだ。あのパチモン1機で戦況が一気に相手に傾いた。」
 元々、第三普通科連隊には、大隊なので8〇機近い戦闘ゾイドがいた。だが、戦争が始まって、補給もままならず、6〇機まで数を落とした。
 すでに全滅している大隊も数多いことから、運はいいのかもしれない。
 しかし、あの中隊に遭遇して、最近、一気に三〇機に数を落とした。
 基地の護衛として4小隊を置いて、3小隊でゲリラ戦に出かけての遭遇戦。
 結果であるが、こっちがあっけなく負けた。相手はたった一小隊だったにも関わらず戦闘は物の一〇分足らずで蹴りが付いた。
 そして命からがら逃げ延びた者の証言と機体に残されていた記録から、とんでもない事が分かった。
「収束荷電粒子砲、やはり、あれのおかげで士気が最低だ。」