自分でバトルストーリーを書いてみよう!!

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144赤羽広々
>>123の続き 賑やかになりましたね。

「ガニメデ」(13)

レーダーレンジに白い斑点が1つ、また1つ、現れる。1つが2つになり、3つになり、4つ
に、5つに、そして瞬く間に輝点がレーダーレンジを覆い、白いモヤが掛かったようになっ
た。煌々と輝く星弾の下、何機かのレッドホーンはゴジュラスには構わず煙幕弾を撃ち、
自らの姿を眩まそうとしている。無駄なことだ。敵は俺達を狙い撃つ必要はない。ただ目
印へ砲弾を撃ち込むだけで良いのだから。的はあんなに大きいのだから。ウィッテは青白
い光の中で立ちすくむゴジュラスを見た。ほんの少しだけ頭を上げて、星弾が煌く空を見
上げているようだった。知っているか?ウィッテは心の中でゴジュラスに語りかける。こ
れからお前の頭上に、お前の仲間が放った砲弾が降り注いでくる。お前は、仲間に殺され
るんだ。ゴジュラスの赤い目は、急に明るくなった夜空を不思議そうに見つめている。無
人ゾイドに分かるはずもない。かわいそうな奴だ。だがな。ウィッテはレッドホーンを猛
然と加速させた。お前と心中するのは御免だ。

随所に配置された無人のゴジュラスは、共和国軍が仕掛けたとんでもなく高価なエサだ。
長く伸びきった側面への攻撃に備え、いくつかの区域に予め重砲の狙いを定めておき、そ
こに無人のゴジュラスを立たせる。敵の攻撃を受けたら本隊は反撃しながら徐々に撤退し、
囮のゴジュラス達はその場を離れずに出来るだけ多くの敵を拘束する。本隊が離脱し終え
た後に重砲兵隊は所定の区域に侵入した帝国軍を、ゴジュラスもろとも砲撃する。ゴジュ
ラスという好敵手を目の前にぶら下げれば、帝国軍は絶対に喰い付いてくるはずだ。目に
した敵は必ず倒す、という帝国軍の戦いに掛ける信念を利用した巧妙な罠。命あるゾイド
を捨て駒にした、卑劣な罠。だがどんなに共和国軍を罵っても、何の意味もない。ここで
は、殺された奴の負けなのだ。どんなに汚い罠であっても、それに陥り死んだ者には、何
事も言う資格はない。死ぬものか。ウィッテは少しでもゴジュラスから離れようと、レッ
ドホーンを走らせた。こんな所で、死んでたまるか。歯を食いしばったウィッテの耳に、
口笛のような甲高い音が聞えてきた。夜空全体が、鳴いているようだった。

逃げ惑うレッドホーン達。鳴き声に満ちた夜空を見上げるゴジュラス。破壊されたゾイド
と、くすぶる小さな火。腕や脚や頭をもがれた兵士達の死体。体が千切れて激痛に苦しみ
叫ぶ負傷兵。流れ出る鮮血と飛び散った肉片。乾いた大地。全てが、一斉に爆発した。