自分でバトルストーリーを書いてみよう!!

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115赤羽広々
>>105の続き 再開です。

「ガニメデ」(11)

3号機が煙幕弾を発射する。モニターが白一色に染まる。レッドホーンが使用する煙幕弾は
煙で視界を遮るだけではなく、赤外線領域にまで干渉し、暗視装置を無効にすることが出
来る。その効力はほんの数十秒しか持続しないが、ゴジュラスの懐に飛び込むには十分な
時間を稼いでくれるはずだ。いくらレッドホーンの装甲が分厚くとも、76ミリ連射砲を至
近距離から連打されてはただでは済まない。だがそれを恐れて遠くから砲弾を撃ち込んで
みても、ゴジュラスは倒せない。煙幕に乗じて姿を隠しながら駆け抜け、一気に間合いを
詰め、突っ込む。勝機を掴むには、それ以外に方法はなかった。

視界ゼロの煙の中を、前方監視レーダーだけを頼りにして走る。レーダーレンジいっぱい
にゴジュラスの巨大な機影が広がる。これほど接近しているのに、いつもの76ミリ連射砲
の洗礼は降り注いでこない。俺達を見失っているのか?突然、視界が開ける。とてつもなく
大きなものが、目に飛び込んできた。ウィッテは息をのむ。武骨という言葉がこれほどよ
く似合うゾイドが、他にいるだろうか?数十発の徹甲弾の直撃により、装甲は穴だらけにな
り、至る所がめくれ上がり、隙間からは白煙が漏れ出ていた。しかしズタズタになりなが
らも、ゴジュラスの目に宿る赤い光は消えるどころか、更に強まっていく。その身に弾丸
を受ければ受けるほど、ゴジュラスは狂おしく身をよじり、力を増していく。狂える鋼鉄。
その凄まじい狂気の前に、何機ものレッドホーンが敗れ去っていったのだ。だがウィッテ
は恐れなかった。俺達が、レッドホーン乗りがさっさと逃げ出してしまったら、一体誰が
この化け物を倒すと言うんだ?ゴジュラス目掛けて、迷うことなく突進していく。奴を殺れ
るのは、俺達しかいない。

全速力で駆けるレッドホーンが、頭を下げて角を前に突き出す姿勢、刺突攻撃姿勢を取る。
3号機がグレネートランチャーから再び煙幕弾を放出し、突撃するウィッテ機を援護する。
白い煙がウィッテ機を包み込むように広がる。目標まで、30メートル、20メートル、10メー
トル。ウィッテは狭いコクピットの中で、思い切り踏ん張った。