1 :
エリック=コマス技術少尉:
「アロザウラー復活に賭けた男たち」
(地上の星Songby中島みゆき)
絶滅したかに思えた・・・・
倒れる妻
続々と投入される新鋭機
しかし、確かに息づいていた・・・
へリック共和国首都共和国軍本部、その地下発令所にエリック=コマス技術少尉は呼び出されていた。
仕官学校時代は、技術畑では並ぶ物のない生っ粋のゾイドフリークと呼ばれていた・・・・
クルーガー大佐「次期主力中型ゾイドを作れ」
当時共和国は帝国からの侵攻と圧倒的な中型ゾイドの不足に頭を悩ませていた・・・・
――中略――
エリック「そうだ!!子供の頃に見たあのゾイドを使えば良い」
彼の村には古代ゾイド人の遺跡があった・・・・そこが彼の城だった
それからが困難の始まりだった・・・・
――中略――
何度試しても息吹を吹き返す事はないかと思われた仮死状態のゾイドコア
もう数える事すら止めてしまった実験の最中・・・・少年と少女とゾイドが現れた
それが劇的な変化の兆しだった
息を吹き返したゾイドコア・・・プロジェクトチームは涙した
共和国非採用中型格闘ゾイド アロザウラー復活の瞬間である
(ヘッドライトテールライト)
格闘ゾイド アロザウラ―は共和国正式採用テストでは不採用の当て馬だった・・・・
しかし、現在のバトリング上での活躍を見ればそれが能力の不足ではない事は明白だった・・・・
現在も戦いつづけるアロザウラ―の子孫達を見つめながら・・・コマス退役技術准将はそっと涙をぬぐった
1は短くしろ、やりなおし
3 :
名無しスープラ:2000/12/16(土) 02:04
懐かしいなエリック・コマス・・・・・・
シカティック軍曹は息を潜めて待っていた・・・・・
辺り一面は白銀の世界、吹雪きだった
凍えるほどの寒さのはずなのに、不思議に咽はからからと乾いていた
待たされるのは慣れている、かけだしの新兵時代からクソッタレ軍曹殿の指導によって忍耐力は人一倍ついていた
放っておくと勝手に動かし方を忘れてしまう無責任な指に引き金の引き方を思い出させながら、シカティックは敵の到着を待っていた
デスピオンの開放型コックピットから僚機のトム=ハーリック伍長をチラリと確認する
寒冷地用のヘルメットから表情は読み取れなかったが同じ気持ちなのだろう、落ちつかなそうに小刻みに指を動かしている
軍曹は自嘲気味に口を歪めた
どうしようもない若造の敵討ちだ、ガラではない・・・
レーダーで偵察コマンドウルフとシールドライガーの見分けも付かないようなバカな若造だった
威力偵察任務に与えられたサーベルタイガーで手柄を立てようと勢い込んでいた
そして、シールドライガーと見間違えたコマンドウルフ小隊に返り討ちにあった
仕官学校を出たばかりで、やたらと希望に燃えた目をして夢を語っていた
奴の初めての偵察任務の前日、上官風をふかせてバーで一杯奢られた、ただそれだけだ
チラリと時計を確認する・・・そろそろ偵察のコマンドウルフ小隊が通過する時間だ・・・
デスピオン2機ではさすがに辛い任務だがやれる自信はあった
一機・・・二機・・・身を伏せ通過するのを待つ・・・三機目が来ない・・・
二機のコマンドウルフがジリジリと遠ざかるのを我慢できなかった軍曹はトリガーに指をかけた
その背後では、真っ白いシールドライガーのキャノンがぴたりとデスピオンに照準を合わせていた
6 :
名無し獣:2000/12/19(火) 11:49
>5
ブラボー!
7 :
風の谷の名無しさん:2000/12/19(火) 12:53
>1
プロジェクトX?
8 :
プロジェクトZ:2000/12/20(水) 00:32
「ゴドスを超えろ。次世代小型量産ゾイドへの道」
ZAC2100年
北エウロペ大陸での初戦は、帝国軍の圧勝で終わります。
帝国軍と共和国軍の量の差は、それこそ圧倒的では無かったのですが、
性能の差はいかんともしがたいものでした。
その中で最前線に立つゴドスの消耗率は他のゾイドの比になりませんでした。
最前線で為す術もなく死んでいく兵に対し、開発部は立ち上がります。
「ゴドスを超える小型量産ゾイドを!」
今回は、共和国軍でオーガノイドを初めて小型量産ゾイドに搭載が成功したガンスナイパー
を開発した男達のドラマに迫ります。
(あの音楽)
「死に逝く兵士に。」
「ゴドス強化計画の断念。新型だ!」
「レブラプターの衝撃。あれを超えろ。」
「オールラウンドプレイヤーへの至難。重すぎる兵器。」
「オーガノイドシステム搭載への道。じゃじゃ馬では使えない。」
「そして反撃へ!」
9 :
名無し獣:2000/12/20(水) 00:36
>>8 しかもその後、ガンスナ改造用ワイルドウィーゼルユニットが、
ゴドスにも装備できる事を考えると、かなり現実味があるな…。
こっちはこっちでひっそりさげ侵攻(戦記もの)
オフト中佐はいつもと変わらず微笑んでいた
守に易く攻めるに硬い峡谷要塞、そう易々と落ちるはずは無かった
しかし、戦いは始まる前にすでに終わっていたのだ・・・・
圧倒的な物量だった
レーダーは真っ白だ・・・・
この作戦を立てたのは、よほどの馬鹿か堅実な用兵家だな・・・そう思うと自然に笑みがこぼれた
これで部下の前でうろたえる不様さからは開放されるな、引きつった笑顔は微笑みに変わった
この峡谷を越えられれば首都までは一直線だ、なんとしても踏ん張らねばならない
総員に動けるゾイドに乗るように下命した
これだけのオトリだ、のって来ないわけがない・・・・オフト中佐は一人微笑んだ
峡谷基地の利点を生かすため、反撃を極力押さえ懐に引きこんだ
帝国の指揮官もおかしいと気づいているのだろうが、前線の兵士達は時間をかけながらも
ジリジリと前進をつづける、峡谷に複雑な地形によって整然とした前線は徐々に波のように泡立って行った
中佐は叫びたくなった、相手の指揮官は馬鹿ではなかったらしいが、それほど頭がよい訳ではなかったらしい
もっとも欲しかった時間は十分に稼がせてもらった、あとは仕上げだ・・・
足の遅いゴルドスなどはすでに背後のゲートから退却を完了している
プテラス隊も東側に待機済だ・・・そして中佐は最後の号令をかけた
プテラス隊、全機出撃敵中央を掠めるように全速爆撃後離脱!!・・・死ぬなよ
最後のオトリの効果は絶大だった・・・・帝国軍の指揮系統は混乱し、中佐はまんまと本命を正面ゲートに出現させることに成功した
真っ白いグスタフとその背後に有ったトレーラー3台分の爆薬、それが中佐の切り札だった
混乱するモルガの海を乗り越え、グスタフは悠々と峡谷の入り口まで進んだ
そして、微笑みながら中佐は起爆スイッチを押した・・・
峡谷は鳴き、そして震えた・・・・
赤茶けた砂塵のベールがゆっくりと消えた時、峡谷の基地は登る事が出来ない瓦礫の山へと変貌した
共和国は峡谷の基地と笑顔の仕官一人という奇跡的に少ない犠牲によってその危機を未然に防いだのだった
11 :
名無し:2000/12/21(木) 13:06
◆◆帝國と共和国の連合、反帝國強硬派、反共和国勢力の三つ巴の戦い◆◆
ヘリック共和国は衆愚政治に陥り、反帝國強硬派が政治の実権を握り、帝國排斥を強行する。
これに反発したガイロス帝國と共和国野党勢力は、反帝國強硬派に対し宣戦布告をする。
だがこれは、帝國側の反共和国勢力が、邪魔者をあぶり出し排除するために仕組んだ策略だった。
彼らは、共和国の反帝國強硬派にゾイドの強化技術を提供することで、
帝國と共和国野党勢力の連合と互角に戦えると思い込ませると同時に
強化技術のサンプルとして、実戦での性能を記録した。
そうとは知らない共和国軍(反帝國強硬派)は、当初の劣勢を巻き返す勢いで
連合軍(帝國と共和国野党勢力の連合)と互角の戦いを繰り広げた。
強化技術のデータを得た上に、反帝國強硬派と連合軍の双方の疲労が
増したのを見計らった反共和国勢力は、反帝國強硬派の抹殺を決意、実行に移そうとする。
だが、その情報をいち早く掴んだ反帝國強硬派は、連合軍との戦いをひとまず止め、
共和国本土を野党勢力に明け渡し、自らは辺境の要塞に立てこもり、防御に徹した。
その一方で、反共和国勢力についての情報を収集し、その野心と本性を連合軍に匿名で伝達した。
連合軍はその情報をもとに帝國内の反共和国勢力の組織の存在をキャッチした。
(ここまでは、反共和国勢力は地下組織だった)
反共和国勢力は、収集した強化技術のデータを基に作り出したゾイドを実戦投入し、
連合軍と対峙した。それらのゾイドが強力であったこと、連合軍が前の戦いで疲労していた
ことなどから、連合軍は危機に追いやられる。
反帝國強硬派は、自分達を苦しめた連合軍が劣勢であることに負の喜びを感じはしたが、
それ以上に反共和国勢力の力に危機を感じた。放置しておけば連合軍を打ち負かした
勢いに乗って自分達まで滅亡させられてしまう。反帝國強硬派は連合軍と
一時的に手を組み、反共和国勢力という共通の敵と戦った。
連合軍と反帝國強硬派は、反共和国勢力を辛うじて追い払った。だが、
連合軍と反帝國強硬派は和解しえなかった。反帝國強硬派は再び辺境の要塞へと
帰っていった。
一方の反共和国勢力も、辺境に本拠地を構え、再戦に備えていた。
こうして、帝國と共和国の連合、反帝國強硬派、反共和国勢力の三つ巴の戦いが
幕を開けた。
12 :
名無しさん:2000/12/21(木) 19:49
惑星Zi対地球での宇宙戦争が勃発する。
惑星Ziはゾイドを宇宙戦に対応できるように改良される。
13 :
名無し獣:2000/12/22(金) 11:53
ルイーズ大統領とルドルフ皇帝は、痴情のもつれから戦争を引き起こす。
帝国と共和国にようやく和平が成り、永きに渡った戦乱は一応の終結を見た
闘いに疲れた兵達は、自分を待つ者のところへと帰っていった
ある者は妻の元へ、ある者は家族の元へ、そしてある者は友人達の元へ
そして、久方ぶりの余暇を満喫していた
だが、世の中には運の悪い人間というのは居るものなのだ
オランベリ空軍基地所属、第311航空救難飛行隊……いわゆるコンバット・レスキュー(CR)部隊長のオリベイラ中尉もその1人だ
彼は自分のあまりの不運さを呪わずにはいられなかった
愛機である、レスキュー・ピンクに塗装されたシュトルヒの風防を降ろした時、彼は思わず呟いていた
「クソッタレ、生きようが死のうが俺の知ったことか」
彼はこの時間には本当なら、とっくにこの基地にはいなかったはずだった
48時間の外出・外泊許可を得て、首都に程近い国立競技場に泊りがけでサッカーを見に行くはずだったのだ
特にこの試合は実に8年ぶりの首都ダービーマッチである
彼の応援するチームが、長い低迷の時を終えて遂に1部リーグ復帰を果たしたのだ
最終戦で勝利し、1部復帰が決定したとき、オリベイラ中尉は部下にこう言われたものだ
『隊長、なんだか戦争が終ったときより嬉しそうですね』
それが、離隊時刻のわずか30分前に出動要請が来ようとは…!
「ロメオ・リーダーよりロメオ・バーズへ、目標墜落地点に到達。各機散会し目標の発見に尽力せよ」
バーズの各機から、『了解』を意味する「カチカチッ」というマイクスイッチのダブルクリック音が帰ってくる
今回の目標は、陸軍山岳部隊の観測支隊に所属するハンマーロック1機だ
観測用ベースキャンプ設営の為に出向く途中で地盤が崩れ、滑落したのだそうだ
通信での呼びかけにも反応は無いが、生命維持装置はグリーンランプのままである
パイロットは生きているのだ
「素直に死んでてくれりゃあいいのに」
無線がOFFになっているのを確かめると、オリベイラ中尉は言い放った
「ロメオ・バーズ、状況を知らせろ」
『ロメオ・ツヴァイ、ノー・ジョイ』
『ロメオ・ドライ、ノー・ジョイ』
『ロメオ・フィーア、ノー・ジョイ』
「ノー・ジョイ」、「発見できず」という意味のレスキュー用語だ
ふと時計に目をやると、ちょうど午前3時になるところだった
事故発生から6時間弱、出動命令を『因業大家』の基地指令に言われてから5時間半、現場到着から1時間が経過した
そして、オリベイラ中尉が乗る予定だった夜行列車の発射時刻から2時間が経過していた
「畜生、どこにいやがるゴリラ野郎。生きたいなら姿を見せろ、土に帰りたきゃさっさと腐れ。俺の人生の楽しみを邪魔するな」
オリベイラ中尉は、自分が精神的に追い詰められていることを自覚してきていた
コンバット・レスキューでは8時間以上乗機していることも珍しくは無い
(だが、よりによって8年ぶりのダービーマッチの前日に事故を起こしてくれることは無いじゃないか)
しかも、通信にも応答が無く、信号弾も上がらず、落着位置も特定できない
何もかもを呪いたい気分になっていた
そんなとき、彼は一瞬自分にレッドカードが突き付けられたような気分になった
薄い月明かりの中、視界の端を突然赤いものがよぎったのだ
その赤いカラーが、レッドカードなどではない事に気付くのに、そう時間はかからなかった
「ロメオ・リーダーよりロメオ・バーズ各機へ!タリホー(目標発見)!」
シュトルヒのV/STOL性能を生かし、断崖の出っ張りに引っかかっていたハンマーロックに接近する
なるほど、こんなロケーションなら電波が乱反射して通信できなかったのも無理は無いし、逆探知による位置特定が難しかったのも仕方ない
コクピットを強制開放すると、サバイバル・キットの毛布に包まって凍えていたパイロットと目が合った
額に切り傷がある以外は外傷は無いらしい
向こうも、オリベイラ中尉がCRであることがピンク色のパイロット・スーツですぐわかったらしく、「助かった!」という表情を浮かべていた
「よしパイロット、生きているな。俺はCRのアントニオ・ジャイール・オリベイラ・ドス・サントス中尉だ」
「救助の前に、まず身元特定を行う。貴官の姓名と所属部隊、認識番号は」
「ニコラエ・ガブリッチ中尉、陸軍第1機甲師団第1山岳旅団、第7特殊観測支隊所属。認識番号は……」
「貴官がジュニア・ハイスクール時代に飼っていたウサギの名前は?」
「ザッハとトルテ」
「貴官が陸軍士官学校時代、どうしても我慢できなかった事とは?」
「食堂のザワークラウトが激烈に不味い」
「よし、最後の質問だ。貴官に…」
この「身元確認用質問メモ」の問題を見て、中尉は一瞬顔をしかめた
よりにもよって、なんという質問、そしてなんという解答だ!
「…貴官にとって、去年の出来事でもっとも不愉快だった出来事は?」
「2部から雑魚が昇格してきたので、また『ダービーマッチ』の相手をしてやらなければならない事」
オリベイラは、表情が引きつるのを抑える事が出来なかった
「……よし、ガブリッチ陸軍中尉、身元の特定は完了した。シュトルヒのレスキュー・ボックスに搭乗してくれ」
「了解した、空軍中尉。…ああ、このハンマーロックはどうなる?」
「心配するな、あとでレドラーが来て引き上げてくれる」
既に時刻は午前4時を半ばも過ぎていた
キックオフは午後3時……今から行けば間に合うが、一睡もできず、ホテルにチェックインもできないだろう
17 :
レイノスが好きだ。:2000/12/22(金) 13:43
不意に、背部のレスキュー・ボックスからコールが舞い込んだ
外傷は無いように見えたが、実は内蔵破裂などを起こしているケースはよくある
そういうときにパイロットが対処できるよう、レスキュー・ボックスと会話が出来るようになっているのだ
「通話」キーを押し、「どうした」と声をかける
「オリベイラ中尉、さっき……最後の質問をしたとき、表情が歪んでいたな」
「気付いたか、ガブリッチ中尉」
「ニクでいい、かわりに俺もジャイロと呼ばせてもらう。……ジャイロ、君はひょっとして…」
「ああ、その『雑魚』のウルトラスさ」
オリベイラは、しばらくガブリッチに向かってまくしたてていた
離隊30分前の緊急出動命令、無駄になった夜行列車の切符、きっとキャンセルされているはずのホテル、8年間待ち焦がれたダービー……
「雑魚」と言った事への怒り、そして、「死んでればよかった」と思った事も……
「…そうか、ジャイロ、申し訳ない目に合わせてしまったな」
「『申し訳無い』で済む問題か?ニク」
「……そうだな。俺が事故さえ起こさなければ、こんなことにはならなかったものな」
「ジャイロ。君は俺の事を殺してやりたい、と思っただろうな」
「いや、『いっそ死んでれば』とは少し思ったが、絶対に『殺してやる』なんてことは思わなかった」
「何故だ?」
「俺は、レスキューだからだ」
18 :
実は旧暗黒大陸編はよく知らない:2000/12/23(土) 01:34
共和国と戦闘状態に突入したガイロス帝国は、ゾイドの性能により個々の戦場では優位に立つが、
その絶対数の少なさにより大局的な優位を築く事が出来ないでいた。
併合したゼネバス軍のゾイドにより数の差はある程度埋まったが、その大半は既に旧式化した機体であり、
共和国軍の新型ゾイドに対抗しきれない場合が多かった。
ゾイド増産までの暫定的な措置として、かつて名機の名を欲しいままにした「レッドホーン」の強化・改造案が出され、その試験機として戦闘で中破した機体が選ばれる。
ブラックメタル装甲への交換、新型の重火器とそのエネルギー元であるディオハルコンの搭載、重量増加による脚部駆動系の強化・・・
技術陣の不眠不休の努力により、短期間でレッドホーン改は完成する。
その性能は、単なる場繋ぎ兵器の枠を超えた物になると期待されていた。
しかし・・・
「おかしい、なぜだ? コンバットシステムが起動しない」
「機体とバルカンのマッチングがうまくないんじゃないのか?」
「それは有り得ない! この設計で拒絶が起こるわけがないんだ!」
「帝国最高のゾイドが、もうすぐ生まれるって言うのに!」
19 :
実は旧暗黒大陸編はよく知らない:2000/12/23(土) 01:36
技術陣はあらゆるチェックをするが、機体自体に不良の原因は発見できない。
彼らの間に諦めの空気が漂い出すが、その時一人の技術者がある可能性に思い至った・・・いや、それを思い出した。
彼は軍の病院から、この機体を駆っていたパイロットを呼び寄せる。
「頼む。またレッドホーンのコクピットに座ってくれ」
「しかし自分は、もうゾイドには・・・」
「戦闘で負傷したあなたがゾイドを恐れるのはよく分かる。しかしレッドホーンはもっと怖がっているんだ」
「・・・なぜ?」
「あの子は重傷を負ったばかりでなく、身体中を改造されて恐ろしい未知の武器を付けられたんだ。それもよく見知ったゼネバス人でなく、我々ガイロス人に・・・」
「・・・」
パイロットは説得に応じ、レッドホーンのコクピットに座る。
「怖いか? 大丈夫だ、何も心配する事はない。俺がずっと側にいてやる。だから偉大な帝国のためにガトリングを回してやってくれ」
パイロットの声に答えるように、レッドホーン改は咆哮を上げる。
「コマンドシステムが起動した! やった!」
「レッドホーンが目を覚ます!」
「いや、もうこいつはレッドホーンではない。全てを貫く漆黒の角、ダークホーンだ!!」
20 :
名無し獣:2001/01/05(金) 03:20
あげ・G・トーマス
21 :
名無し獣:2001/01/05(金) 11:17
絶望的展開の、エレファンダー物キボンヌ。
22 :
受け継がれたのは名無しの遺伝子:2001/01/05(金) 18:50
>19
ジュノーン?
23 :
風の谷の名無しさん:2001/01/06(土) 13:52
>22
コミック3巻だっけ?
つーことはこのダークホーンには素顔があることに……(笑
「無題」
遠くに砲弾の着弾音が今も鳴り響く。
迫り来る共和国軍の最後の手札にして最強の切り札「デストロイヤー兵団」。
そして現存する最後のウルトラザウルスのカスタム機が放つ1200mmの驚異の砲弾が、
今もニクシー基地を微塵と化すために執拗に、そして無差別に破壊をまき散らしていた。
すでに勝敗は決した。味方の戦意はないに等しい。
兵は恐怖に捕らわれているだろう。今も為す術もなく死んでいるだろう。
しかし、まだだ。負け戦だが、まだ戦闘は終わってはいない。
そしてまた、まだ戦争は終わっていない。
帝国軍最重要拠点であるニクシー基地の後方に位置するニクシー港。
ニクシー基地から撤退してきた部隊と、本国からやってきた回収艦隊であるホエールキングの艦隊でごった返していた。
一人、ニクシー港の建物の廊下を静かに歩く。横を怒声があげながら、兵達が駆け抜けていく。
窓の外に目を向けると、撤退準備が喧噪の中で早急に行われている。
向かう先は、ブリーフィングルーム。最後の作戦を通達するために。
来たくはなかった。しかし、歩は止まらなかった。
軍人の使命だけが最後の自分の動力だった。
部屋の前に立つ。中もまた騒々しかった。
ドアノブに手を掛け。ドアを静かに開けた。途端、部屋に静寂が戻る。
部屋には、200人近い人間がパイプ椅子に座って待機していた。
皆が皆、今まで苦難と歓喜を共にした自分のかわいい部下共だ。
視線が自分に集まる。なるべくその視線を見ないように一番前の机の前に立った。
そして部屋の全体を見据える。皆、息を潜めるように自分の言葉を待っている。
息を吸って、落ち着くはずもない心を何とか無理やり押さえ込める。
そして、口を開く。淡々を言葉を紡ぐために。
「聞いてくれ。・・・皆も知っているとは思うが、司令部は、西方大陸を撤退する事を決定した。
その撤退作業が、このニクシー港で行われている。全力が注がれて早急に、だ。
しかし情報部は、このままだと敵の進軍速度はそれを上回るだろうと予測した。
情報部の事だ。こういう不吉な予測だけは外れたことがない。そこでだ・・・。」
言いかけて、止まる。
言葉が続かない、言葉が続かない。自分が言おうとしている事は・・・。
人として言ってはいけない。だが、自分は軍人なのだ。
無理やり言葉をひねり出す。
「・・・我々は、撤退時間を稼ぐために出撃する。軍が用意したのは、新鋭機エレファンダー100機。
これで五時間は時間を稼いで欲しいと。」
部屋に重い空気が漂う。その中で声が挙がる。
「隊長、敵の数は?」
「敵の数は、第一波だけでも五師団分。」
「約5000機との戦闘ゾイドとたった100機で渡り合えと、司令部は言ってきたのですね。」
つまり、それは「死んでくれ。」と言っているも同じだった。
もっと騒ぎが起こると思ったが、静かなものだった。
「本国に、恋人が居る者も居るだろう、妻が居る者もいるだろう。子供が居る者もいるだろう。誰にだって家族は居る。
撤退する者達も、そして俺達も同じだ。誰だって同じだ。だからこの作戦、強制はしない。
今から、俺は目を閉じる。作戦に参加しない者は、部屋から退出してくれ。
出ていったからと言って、俺はその者を攻めたりしない。理由もいらない。
お前らの事はよく分かっているつもりだ。自分一人になっても不平は言わない。
そして同情はいらない。だから、…だから自分で決めくれ。」
そして自分は目を閉じた。全員が部屋から出てくれる事を願った。
自分だけ、自分だけならどんなに楽だろうと思った。
部屋は、静寂だった。何の音もしなかった。
外の喧噪さえもここでは静かに聞こえていた。
「隊長、目を開けてください。」
一人が言った。副隊長だった。自分の片腕として今まで共にしてきた奴だった。
自分が無茶をしそうになるといつも小難しい事を言って、自分と何度も衝突した事もある。
だが、今、笑っていた。
「誰も出ていきませんよ。皆、貴方の部下だ。だから命令してください。それだけで事が足ります。」
「いいのか、本当にいいのか。」
一人、一人の顔を確認していく。表情は様々だったが、皆、頷いたり、親指を立てたりした。
全部の顔を見終わった後。自分は頭を下げた。
目頭が熱くなった。かすれた声で礼を言うのが精一杯だった。
「すまん…。みんなの命は俺がもらう。」
皆、楽には死なないだろう。だが決して、無駄死にはさせない。
この作戦、命に代えてやり遂げる。
涙を拭いた。今、自分は鬼となろう。すでに涙は止まっていた。
「これから、作戦の詳細を伝える。」
中央大陸の北・・・・
人も通わぬ入江にそれはあった・・・
ゾイド始まりの地、ゾイドコアの始まりのゆりかご・・・
通称ゾイドイブ、この惑星の鋼の獣達は皆この海で産声を上げるのだ・・・
「あっはっは、なぁラルフよぉ今日は大漁じゃぁねぇか」
今日の大将の顔は満面の笑顔だ・・・それでも至近距離で見せつけられたらベアファイターでもちょっと引くほど怖いのだが・・・
あまり目をあわせないようにしながら愛想笑いを浮かべる・・・大将の顔は慣れた今でもやっぱり怖い・・・
「なんでぇなんでぇ、シケタツラしてやがるとツキもZOIDも逃げちまうぞ」
一転して大将が不機嫌になる・・・この気分屋の所が難点だが、コレでもちょっとは名の知れた野生ZOIDハンターだ
山賊の親分の方が天職だよなぁ・・・・と思ってるけど言わない、殴られるとイタイから
今日の獲物はガイゾックにゴドスまぁまぁといったところだ、最近の乱獲具合から言えば奇跡的なんだろう
新種が見つからない・・・・辺境、しかもわざわざ危険を犯してゾイドイブ近辺までのこのこやってきたんだ、
何か新種が欲しかった
たぶん、焦っていたんだろう・・・大将の顔を見すぎてちょっと期分が悪くなってたのもあると思うが・・・・
黒い影を見た瞬間に僕はロードスキッパーに飛び乗っていた
新種だ・・・あんな奴は見た事が無い・・・・
鈍く鉛色に光る装甲はいかにも厚く二本の足から生えている爪はがっしりと大地に食いこんでいた・・・・
その時にはもうこのゾイドに魅入られていたのかもしれない・・・・
全速で駆け抜けるロードスキッパーの背中からアンカーワイヤーの狙いをつける、
うたい文句の走行時でも目標への正確な射撃が可能などというのはハナっからあてにしていない
それにしても照準が定まらない・・・時折歪んだように照準が歪む・・・・
きっと焦りがそうさせるんだろう、そう思いなおしてアンカーを打ち出す・・・
低い発射音とともに勢い良くワイヤーが飛び出す・・・架かった
押さえていた冷や汗が一気に流れる・・・こんな所で落ちついていてどうする
そう思いなおしてワイヤーを握りなおす。
ロードスキッパーでは軽すぎてこいつと綱引きは無理だ・・・・乗り移るしかないか・・・
ワイヤーを切り離し、しっかりと右手に握りこんでふらりと空中に身を踊らせる・・怖い・・・
尻尾に跳ね飛ばされないように気をつけながらひとまず背中に着地する・・・
不意にさっきまで悪態をついていた硬いシートが恋しくなったが、
思いを振り払って上に上り始める、体が重い・・・鉛のようだ
あと一息・・・あと一息で頭だ・・・そう思った時新種のゾイドコアが低い唸りを上げ始めた
ギシッ・・・気のせいではなかった・・・確実にラルフの体は重くなっていたのだ
ラルフの手に握られたワイヤ―は限界を超え、切れ・・・落ちた・・・
後に暗黒大陸戦線の主役となる初の重力兵器ゾイド、デッドボーダーと人間との邂逅はこんなものだった・・
「オーガノイドシステム」
そのゾイドの名をデスザウラーという。
過去に置いて、一時、最強の名を手にしたゾイド。旧大戦に置いて、今は亡きゼネバス帝国が開発したゾイドだ。
デスザウラーよりも強いゾイドは旧大戦末期には、確かに存在した。だが、ロールアウトしたばかりの一機でゴジュラス大隊を駐屯基地ごと壊滅させた伝説(エピソード)は今でも恐怖の代名詞として語り継がれている。
身体を強固な装甲で包み、すべての攻撃を跳ね返し、口内に仕込まれた大口径荷電粒子砲にて敵を焼き払い一掃する。また格闘能力も高く、近付く事さえままならない。また多くのバリエーションが存在した。
それまでの惑星Ziのゾイドの概念を塗り替えるゾイドであった。
その後、対抗ゾイドであるマッドサンダーが開発されるまで長い間、デスザウラーは多くの共和国軍ゾイドを破竹のごとき勢いで殲滅していった。
正に圧倒的な死と絶望を振りまく最悪の凶獣。
当時、その名を聞くだけで帝国軍兵士は昂揚し、共和国軍兵士は震えだしたとさえ、伝えられている。
しかし、奇しくも第三の月への隕石衝突(グランドカタストロフィー)で旧大戦はうやむやの内に終結。その時、多くのゾイドの種は死に絶え、デスザウラーもまた死に絶えた。また開発したゼネバス帝国は、その前にガイロス帝国に吸収される形で滅んでいる。
惑星Ziの者なら誰でも知っている事だ。
そして、デスザウラーその物は伝説だけ残し、歴史の闇に消えていった。
いや、消えていったかの様に思われていた。
しかし、少し前に共和国軍司令本部にある一つの情報が舞い込む。
ガイロス帝国に奪われた天導山の遺跡において、ガイロス帝国本国から大型のゾイドコアが運びこまれ、遺跡より発掘したシステムを用いて、復活させているという情報が入った。そして、その大型のゾイドコアこそ、デスザウラーのゾイドコアではないかと…。
現在、多くのゾイドが死に絶えた為に、最強のゾイドがゴジュラスである惑星Ziでは、デスザウラーに対抗できるゾイドはいない。
共和国軍司令部は戦々恐々とした。
現状、デスザウラーは一騎当千のゾイド。一機でも完成してしまえば、中央大陸での本土決戦も免れまい…。
共和国軍は苦しい手駒から精鋭部隊を一小隊引き抜く。そして奇襲作戦の決行する。
前線を突破し、守りの堅いであろう敵陣に突っ込んでいくだけの…帰還を前提としない作戦を作戦と呼んで良いのかは分からなかったが、奇襲部隊は「他に為す術はなし。」と残し出撃していった。
結果、作戦は辛くも成功した。多くのエースパイロット、いや、真なるゾイド乗りを失ってしまったが、復活途中のデスザウラーを見事に討ち果たし、遺跡を崩壊させた。
デスザウラー復活は確かに阻止された。
だが、すでに冷血の遺伝子は受け継がれていた…。
オーガノイドシステム。
古代にあったゾイド進化機構。デスザウラー復活計画にて、発見された機構。
特殊なプログラムを内包し、外部よりゾイドコアの出力を強化するシステムデヴァイス。出力の上がったゾイドは、進化を開始し、コア出力に見合う分だけのボディーを手にする。
結果、驚異的な能力を持ったゾイドが完成するのだ。
このシステムが惑星Ziに新たな血の嵐を呼ぶには大して時間は掛からなかったのであった。
29 :
名無し獣:2001/02/19(月) 14:26
良質スレッドあげ
30 :
名無し獣:2001/02/19(月) 15:34
エレファンダー話にナケタ。
age
31 :
さいはんきぼんぬ:2001/02/24(土) 03:44
今日も俺のプテラスは快調だ。
部下の3機とダイヤモンド編隊を組んで、指定された警戒ポイントに向かう。
もうそろそろだな。俺は部下の二人に呼びかけた。
『今日の任務はちゃんと頭に入ってるな!?』間髪いれず3つの声で返事があった。
『イェッサー。グスタフ部隊3機が沿岸地帯を通過する際の上空哨戒であります。』
昨日出発したグスタフ部隊は、前線への補給物資を満載したトレーラーを牽引して
もうじき沿岸地帯に入る。我々の任務は敵の接近を警戒し、これを護衛する事だ。
この第二陣の補給物資が届かなければ、わが軍は前線を支えられない。
そして何故第二陣かと言うと、おととい出発した第一陣は昨日この辺りで全滅したからだ。
『シンカーでしょうか、隊長?』
『恐らくな。情報部の判断も、その可能性が一番高いとしている。』
『でも情報部の言う事でしょう?』
部下達の間で笑いが起こった。俺もつられて笑うところだったが、たるんでいてはいかん。
『一応ちゃんとした理由もある。地上はこちらの勢力圏だし、敵の航空戦力もこちらとは
似たり寄ったりだ。だからシュトルヒとかいう奴か、あれを持ってきてもグスタフ部隊を
全滅できるほどの破壊力は持たせられんだろう。だとすればシンカーに大型ミサイルを
くっつけておいて、その辺の海から飛び出してきてズドン、だろうさ。』
『昨日のはたぶんそんな所でしょうね』
『だが今日は我々がいる。そうですね隊長』
『そうだ。飛び出してきた所をいつもどおり叩き落とすって寸法だな。よし、10秒前。』
いつもどおりにみな静かになり、10秒がたった。左下の補給路にグスタフの姿が見える。
『対象確認。』
護衛機動に移る。俺ともう1機がグスタフ編隊の上空を旋回、2機は補給路の東側の海岸線に
沿って交互に往復している。
あまり気のきいた機動ではないが、グスタフの足はあまりに遅い。
とにかく海岸線側に隙を作らない事にしなければならない。俺達は神経を張り詰め、海上
あるいは上空からの敵に備えつづけた。
海岸線の道をグスタフ3機の縦隊が半ばほどまで来たときだった。
『メーデー、メーデー、アーー!!』
『敵襲!』
前方に目をやると、海岸線の終わりの辺りに火柱が上がっている。ヘマをやったようだ。
もう一機はさっきすれ違ったから後方に・・いた。だが様子が変だ。
『隊長、こちら2番。3番は地上の敵と撃ち合っているようです!』
『2番は北のもう一機を押さえに行け。3番報告しろ!!』
『2番了解』
『こちら3番、シンカーではありません、機種不明! 小型、防御大、移動力・・・
小、いや中!』
『火力はどうか?』
『大型のビーム装備、ロケットポッドあり、畜生停まったな、舐めやがって』
『撃破できるか?』
『バルカンはだめです。ミサイルで行きます。急降下して無誘導で直接当てます!!』
その時、3番のいるほうからその「大型のビーム」らしき火線が伸びてきて、俺の見ている前で
最後尾のグスタフの横っ腹に突き刺さった。
大爆発のあおりを食ったプテラスを立てなおして振りかえると、ミサイル攻撃を終わった3番の
プテラスが上昇しているのが見えた。俺は北に向かった2番に牽制攻撃のみを指示し、南側へ飛んだ。
『効果を報告!』
『こちら3番、効果ありません、いま機体上面のハッチが開いた様に』
いやな予感がした。
『回避しろ!!』
3番は回避できず、小型ミサイルの波に飲まれた。
その時俺は初めてこの敵の姿を見たのだ。
(続)うけなかったらやめる
基本的にこのスレはsageスレで行こうぜ。
長文は、上に出てくるとうざいからさ。
なんか勿体無い気もするけどねぇ。しゃあないか。
続きはどうした(´ー`)y−~~
>>31の続き。遅くなってスマソ。
=====
3番機を片付けて今グスタフ部隊に追いすがろうというこの敵は、脚の構造を持つ部分が機体の
前半に集中するという不思議な形態をしていた。
脚以外はひとかたまりで、いかにも装甲が堅そうだ。そして確かに砲とロケットポッドがある。
「ウイングリーダーよりホームベース。新型の敵に遭遇。重装甲大火力の地上型。増援願います。」
北の方の敵はどうだろう。
「リーダーより2番、映像を送る。そちらの敵もこいつだな!?」
『同じです。現在牽制中ですが、歯が立ちません!』
「撃破できなくてもいいから足を止めろ!」
非常にまずい事になった。
増援が来るまで(たぶん来ても間に合わないが)、残りの俺達2機でこの未知の敵機2機を相手に
戦わなければならん。
こちらの有利は速度だけで、振りきって逃げるのはもちろん容易だが、この際グスタフ部隊を置いて
逃げるわけには行かないのだ。
しかしこちらの武装では通用しそうにもない。ビーム砲の基部を狙って破壊できるかどうかだろう。
「2番、相手の武装を狙えるか」
『2番了解、敵の武装を狙います。こちらは南より地形が悪いので敵の動きも悪いようです。』
それはよかったな。楽観的なのはいい事だ。とっとと片付けてこっちを救援して欲しいよ。
無駄な皮肉を考えているとアラームが鳴った。下から中型ロケット。これは咄嗟にかわしたが、ちょっと
不思議な感じがした。
(敵機の右後部のロケットポッドの中身がこれなら、さっき3番を墜としたミサイルは一体どこにある?)
しかしそんな事で悩んでいる暇はなかった。
こっちの射線を巧妙にかわしつつ敵機は北上し、グスタフ隊との距離が徐々に詰まってきた。
敵の回避動作がやや直線的になった。チャンスだ。と思ったら・・・砲撃! しまった。
ほぼ同時にこちらのミサイルを直撃させる事が出来たが、目立ったダメージは与えていないようだ。
しかし射線はこれで逸れたのだと思う。
ビームの射線は今度はグスタフ2番機の牽引する貨物に命中。爆発はしないが燃え出した。
食料品だったようだ。火災の発生した荷台を切り離しグスタフは逃げる。急げよ。
射撃の効果が期待ハズレだったのか、こちらの敵はもう一直線にグスタフを追いかけ始めた。
しかしこちらが敵機左後部のビーム砲を狙える位置に着こうとすると、さすがに蛇行に入るのでなかなか
狙いが付けられない。第一プテラスはこんなにゆっくり飛ぶようには出来てないのだ。
ミサイルはあと一発。無駄には撃てない。
敵機と牽制し合いながら北上するうちに、もう一機の敵と2番がやりあってるのが見えはじめた。
連中は戦いながら徐々に南下してきたらしい。
向こうの戦いに気を取られてか、こっちの敵の動きが鈍くなったように・・・・さっきの射撃態勢か!
(続)すぐupします。
>>35の続き
=====
今度は俺の方が早かった。
ミサイルでダメージを受けてたのを無理に撃とうとしたのだろう。火線が伸びる代わりにビーム砲が
爆発したのが見えた。敵機は攻撃力を喪失したようだ。戦場を離脱して、なんだ海に潜って行きやがった。
残りはあと一機。2番の救援に向かいながら俺は思った。
(敵の装備はロケット、ビーム、あと小型ミサイルはどこだ?)
俺が着いたとき2番はかなり頑張っていた。敵は足場の悪さ(本当だった)と2番の牽制に悩まされて
まだ一度も射撃を行っていない様だ。見ている内にとうとう岩に乗り上げて・・・
操縦ミスではなく、砲の仰角を稼ぐための機動だったらしい。斜めになった機体を強引に旋回動作に
入れてビーム砲で2番を狙い撃ちにしたこいつの腕は、まさに敵ながら天晴れというべき物だった。
『こちら2番。直撃されました。コクピットを切り離して脱出します。』
「了解。しかたないな。可能な限り哨戒を継続せよ。」
しかたないか。
確かに仕方がない。敵は2番の攻撃でロケットポッドを失っているがビーム砲は健在だ。
攻撃力を奪うにはこれしかない。
敵もこれだけの腕の奴なら乗ってくれるだろう。
俺は機体を低空飛行に入れ、文字通り地表すれすれの高さから奴を銃撃した。
敵機側面に着弾の火花が踊るが、全くダメージはないようだ。と、敵はいきなり旋回してこちらに
正面を向けた。つまりこっちをビームで狙っているのだ。
(そうそうその調子)
即座に上昇。無駄に死ぬ気はない。機体をビームがかすめる。
攻撃の間があくと敵に砲撃の機会を与える事になるので必死の思いで急反転して銃撃を続行。
また敵がこちらを向いた。
「よぉし!」
俺はプテラスの出力を最大にし、加速状態で敵に突っ込んだ。砲撃で翼の一部を飛ばされたが
機体を無理やり安定させる。
(やっとこっちの意図に気付いたか。いまさら逃げても遅いよ。)
コクピットを切り離された俺のプテラスは身を翻して逃げようとした敵機の横腹を直撃、爆発した。
敵機は衝撃で波打ち際まで転がって行ったが、悪運が強いのか転覆もしてないし、特に外見上は
損傷しているようにも見えない。いいかげんにしてくれ。
ただしビーム砲は吹き飛んでしまっていた。これで攻撃力は奪えたのだと思うが。
『こちら2番、こちら2番、隊長応答願います!』
「2番報告しろ。なにか?」
『いえ、あの、ご無事でしたか!?』
「まだ来るぞ、警戒しろ。」
実際にはこんなプテラスのコクピットで警戒しても無駄だった。
敵機の機体上面がスライドして、3番を撃墜したのと同じ小型ミサイルが発射されたのだ。
(ダメだ、積荷の補給物資は守れなかった)
任務失敗と、それによってもたらされる戦線の崩壊の悪夢が俺に襲いかかってくる感じがした。
しかしこれはちょっと増長が過ぎたようだ。俺達だけが戦っているわけではない。
任務に忠実に積荷を守ろうという願いが俺達を上回っている連中も、世の中にはいくらでもいるのだ。
どういう事かというと、先程積荷を失っていたグスタフ2が、軽くなった分速度を上げてグスタフ
1に追いつき、積荷の盾になっていたのである。
この小型ミサイルはグスタフ本体に致命傷を与えられるほどの物ではなかったようだ。
グスタフ2は煙を吹いて停まったが、修理すれば使える程度だった
攻撃力を喪失した敵は、そのままさっきの敵と同じように海に潜って行ってしまった。
全くいまいましい。
ホームベースに帰還した後情報部に確認した所では、今回の敵はシーパンツァーという名前の
新型で、海陸共用型万能海底戦車のような物だという。
『コイツが出てくる確率も11%程度あったんだがね』
いまさら何言ってるんだか。情報部って奴は全く。
=====
おしまい。お目汚しスマソ。
37 :
代打名無し:2001/03/12(月) 19:14
たまにはage(´ー`)y−~~
全てに置いて異常なし(オールグリーン)。
「速く、誰よりも、疾風よりも速く!」
垂直だった操縦桿を横に倒す。コンソールが赤いランプで染まる。
コンバットシステム、標準戦闘速度(ノーマル)モードより、超高速戦闘速度(オーバードライブ)モードに切り替え。
コア出力調整リミッター、1から23まで全解除。
オーガノイドシステム、コア干渉レベル最大。
コア出力上昇。各部、過剰負荷確認。されど現在、各部動作に異常なし。
コンプリッションリフジェネレイター、全開。各部冷却系制限全解除、最大稼働。
側面部レーザーブレード、展開。前面部Eシールドジェネレイター、作動。
Eシールド展開。
背部装甲ロック解除、並びに背部ロケットブースター展開。
モニター上部にロケットブースターのリミットカウンター表示。
準備完了。憂いなし! 最後に、必要なのは…
「俺に最速の果てを見せろ! ライガー!!」
勇気。
操縦桿を一気に前に押しやる。
ロケットブースター、点火。アフターバーナーが尾を引く。
凄まじいGが襲いかかり、翻弄する。だが決して、操縦桿を放しはしない。
ねじ込む様に更に推し込む。
ジェノザウラーは目前だ!
====
俺的、ブレードのロケットブースター点火イメージ。
サイバーフォーミュラー入ってますなぁ・・・。
いやはや、何なく投稿。
39 :
代打名無し:2001/03/31(土) 18:07
発見あげ
40 :
:2001/04/05(木) 15:59
41 :
名無し獣:2001/04/08(日) 16:30
age
42 :
名無し獣:2001/04/22(日) 19:05
面白いオリジナルバトストのあるHPがあったら教えてほしいなage
「帝都防空隊」(1)
ZAC2039年(旧バトスト設定で)
翼下に2基装備されたブースターが点火されると、26トンあるシンカーはゆっくりと
押し出されるように滑走を始めた。元来、海洋ゾイドであったシンカーは飛行推進力
が低い。離陸にはブースターが欠かせないのだ。薄らと明け始めた空に大音響を轟か
せながらも、それとは裏腹にシンカーの速度は上がらない。操縦桿を握るノルトマン
は冷静だった。焦ってはいけない。シンカーは無理やり飛ばすものじゃない。彼女が
その気になるまで、我慢するのさ。彼は、離陸時に強引に引き起こそうとしてシリモ
チをついたシンカー乗りを、何人も見てきた。ノルトマン自身もそんなシンカー乗り
の1人だった。
徐々に滑走するシンカーのコクピットが不快な振動に何度も揺れる。昨夜の爆撃によ
り開いた応急穴埋め作業は、先程終わったばかりだ。どんなに穴に砂を詰めてみても、
次から次へと穴が開いていく。同期のシュミットは穴埋めをしながらよく言ったもの
だ。「俺は戦争をしに来たんだぜ。お砂遊びは、もう御免だ」今朝、シュミットは穴
埋めをせずにすんだ。第3耐爆シェルター跡に開いた穴ぼこの底に、シュミットは埋
まってるはずだ。
腰の辺りに微かな浮揚感が生じたのをきっかけに、ノルトマンは操縦桿をゆっくりと
引く。シンカーは水平を保ったまま、自らの重量を忘れたかのように滑走路から離れ、
飛び立った。
>>43の続き
「帝都防空隊」(2)
少しずつ明るくなっていく空の光を受けて、シンカーの銀色の翼が鈍く輝く。僚機が
上がってくるまでノルトマンは飛行場上空を旋回しながら、地上の様子を横目で眺め
ていた。さすがに燃え上がる炎はもう見当たらないが、いたるところから細い黒煙が
天に昇っている。
夜間、サラマンダー12機が亜音速で超低空侵入、内6機が飛行場上空を制圧、もう6機
は2機ずつに分かれると1隊が飛行場西側、もう1隊が東側を爆撃、残りの1隊が対空陣
地を叩き潰して上空へ退避、それと入れ替わりに上空を制圧していた6機が舞い降り、
爆撃隊が撃ち洩らした標的へバルカンファランクスを叩き込み、火炎放射で地上を焦
がす。再び舞い上がり全機合流し、超音速で飛び去っていく。共和国軍は連夜、この
攻撃を繰り返し行い続けているのだ。レーダーサイトから空襲警報が発せられてから
サラマンダーが飛行場上空に達するまで、わずか3分。シンカーは迎撃するどころか
離陸することすら出来ないまま、虚しく地上で破壊されていった。難を避けるため耐
爆シェルターに避難させたところで、サラマンダーが投下する1トン徹甲爆弾の直撃
に見舞われては、どうしようもなかった。ゼネバス帝都の防衛を任され「帝都防空隊」
といわれた第1飛行大隊の稼働率は20パーセントにまで落ち込み、なお下がる一方だっ
た。第1飛行大隊が保有する5つの飛行場の内の1つであるこの飛行場から、今朝離陸
したシンカーは、わずかに9機。ノルトマン機は「帝都防空隊」の数少ない生き残りの
内の1機だった。
45 :
名無し獣:2001/05/03(木) 14:17
続きはどうしたage
>>44の続き
「帝都防空隊」(3)
上昇角度がどんどん大きくなり、キャノピーに朝焼けの空がいっぱいに広がった。シ
ンカーのコクピットは密閉式のため、キャノピーからは前方のほんの限られた範囲を
見回すことしか出来ない。上下左右、そして後方視界はガンカメラから送られてくる
映像だけが頼りだ。まるでのぞき孔だな。ノルトマンはシンカーに乗る度に、そう思
う。シンカーほど、飛行ゾイドでありながらパイロットに閉塞感を与えるゾイドは他
にないだろう。キャノピーに映る横長くて狭い空、ガンカメラモニター、レーダーレ
ンジモニターからのチラチラと不快な光、通信機から微かに洩れる雑音。ブースター
が噴き出しているはずの轟音は、この密閉されたコクピットには、ほんのわずかしか
届かない。ここにいるとキャノピーの向こうの空までがモニターが映し出す虚像のよ
うに見えてくる。もし急上昇によって体が座席に押し付けられる感覚がなければ、自
分は今、ひどく出来の悪いプラネタリウムにいるんじゃないかと、錯覚するかもしれ
ない。だがモニターに映し出されているのは瞬く星ではなく、朝焼けの空へ駆け昇る
僚機の姿であり、彼らが向かうのは高度1万メートルの戦場なのだ。
「帝都東、上空1万メートルニオイテ侵入スル敵機ヲ捕捉、撃滅セヨ」
それが彼らに与えられた任務だった。
>>46の続き
「帝都防空隊」(4)
共和国軍サラマンダー戦略爆撃団による帝都と、ゼネバス帝国最大の工業
地帯、ウラニスクへの爆撃は、もう1年以上に亘り行われていた。当初こ
そシンカーの奮闘と激しい対空砲火により敵機を多数撃墜していたが、共
和国軍が夜間超低空侵入爆撃による飛行場と対空火器制圧を行った後、黎
明に本隊が高高度より大挙侵入、爆弾を雨のように投下する、という方法
に切り替えてからは、帝国軍の損害は恐ろしい勢いで増大していった。帝
国軍は高高度迎撃能力、そして共和国軍主力飛行ゾイド、プテラスに匹敵
する運動性能を持った飛行ゾイド、シュトルヒをついに開発したが、ウラ
ニスクを焼き尽くされた今となっては、最新鋭のシュトルヒを量産するこ
とも出来なかった。帝国軍は手許に残されたシンカーのみで絶望的な抗戦
を続けるほかに、道はないのだ。
「基地指令ヨリ全機ヘ。ガニメデ市レーダーサイトヨリ敵機発見ノ報。ソ
ノ数オヨソ100。高度1万メートル。西北西ヘ向カウ」
「隊長機より各機。1万1千メートルに占位し敵機を邀撃する。我に続け」
いつもより力がこもった隊長の声が通信機へ届く。シンカー隊はすでに高
度1万メートルに達していた。間に合ったのだ。今日はやれるぞ。ノルト
マンの操縦桿を握る手にも力が入る。レーダーレンジモニターに敵機を表
す輝点が1つ、2つと増えていく。スロットルレバーを押し倒しシンカーの
力を解放するノルトマンの目に、遥か遠くで朝日を反射してきらめく敵編
隊が映った。
>>47の続き
「帝都防空隊」(5)
ブースターノズルが朱に染まる。1万メートルの薄い空気を引き裂くように9機のシン
カーが敵編隊目掛けて突っ込んでいく。ただの輝点にしか見えなかった敵機の姿が、
徐々に明らかになっていく。真っ青なボディーに巨大な灰色の翼。重量は100トンに
も及ぶ重戦闘爆撃ゾイド、サラマンダー。最高速度、加速性、高高度における運動性、
それら全てにおいてシンカーを凌駕していた。それでもノルトマンと「帝都防空隊」
のパイロット達は臆することはなかった。捨て鉢になったわけではない。彼らには敵
より明らかに劣るシンカーを駆って、今まで戦い抜いてきた誇りと、自信があった。
サラマンダーやプテラスを相手に共に戦い抜いてきた愛機と戦友たちへの信頼があっ
た。全員が持てる力を発揮すれば、必ず生き残ることが出来る。そう信じているから
こそ今、戦うことが出来るのだ。
「隊長機より各機。迎撃戦闘開始。各機正面の敵機を狙え」
敵編隊との距離は100キロを切ろうとしていた。まもなく敵機はAAM(空対空ミサイル)
の射程に飛び込んでくる。ありがたいことにゾイドの性能は劣っていても、AAMの性
能はこちらが上だ。正面の敵機をロックオンし、翼下に下げた2基のAAMのデータリン
クを済ませる。目標は、よりどりみどりだ。
「ミサイル戦開始!全機突入せよ!」
9機のシンカーから18発のAAMが共和国軍の大編隊へ放たれ、シンカーもそれを追うよ
うにして突入していった。
49 :
名無し獣:2001/05/04(金) 10:00
ドッグファイト記念age!
>>48の続き
「帝都防空隊」(6)
帝国軍が使用しているAAMは発射後、母機からの誘導が一切不用であるという特性、撃
ち放し性を持つアクティブ・レーダー・ホーミングミサイルだ。一方、共和国軍が使用し
ているAAMはセミアクティブ・レーダー・ホーミングミサイルであるため、AAMが目標に
命中するまで母機からのレーダー誘導を必要とする。それは自機のAAMが着弾するまで、
一切の回避行動が取れないことを意味した。回避行動をしてしまえば誘導レーダーが目
標を外れ、AAMは目標を見失い、ただの空飛ぶ爆弾同様になってしまうのだ。シンカー
がサラマンダーより有利に戦えるのは、ミサイル戦だけだった。
敵編隊にいくつかの閃光が生じる。AAM着弾には、まだ早い。
「敵機AAM発射。全機回避せよ」
シンカー隊は上昇した後、右旋回する回避行動に移る。敵機はこちらが放ったAAMを回
避するため、AAMの誘導を諦めるはずだ。当たらない。ノルトマンはそう考えながらも、
敵AAMのプレッシャーを感じずにはいられなかった。シンカー隊が回避行動を取ってい
る間にも、敵編隊との距離はぐんぐん縮まっていく。近い。ノルトマンは回避行動を取
る敵機、サラマンダーの姿をはっきり見て取ることが出来た。敵編隊にいくつかの赤い
閃光が走る。AAMが命中したのだ。ノルトマンは敵編隊へ機首を向ける。このままサヨ
ナラとはいかないよな。彼の仲間達も同じように敵へ突っ込もうとしている。1機でも
多く、墜とす。それが彼らの、「帝都防空隊」の信念だった。
51 :
名無し獣:2001/05/04(金) 23:04
がんばれ帝都防空隊
>>50の続き
「帝都防空隊」(7)
サラマンダー編隊が大きく動いた。十数機だけが猛然と急上昇し、残りの大部分のサ
ラマンダーは急降下し始める。100機もの翼竜達が目の前で上下に散開する様は、ど
んな航空ショーよりも壮観だったが、もちろんそれはショーを披露するための動きで
はない。急上昇したのは護衛の空戦仕様サラマンダーだ。一旦上昇し、上空からシン
カー隊の頭を押えようとしているのだ。そして急降下する敵機こそ、帝都を焼き尽く
すための爆弾を満載した、爆装サラマンダーだ。ノルトマンは迷わずシンカーを反転
急降下させ、ダイブする爆装サラマンダーを追う。サラマンダーはシンカーより遥か
に速い。この機を逃せば、シンカーはサラマンダーに追いつけない。
突入してくるシンカー隊へ向け、80機を越す爆装サラマンダーの弾幕射撃が始まった。
回転式2連対空レーザー2門、翼端の小口径レーザー4門、全機合わせて500門近いレー
ザー砲が撃ち出す弾幕は、オレンジ色の光の壁のようだ。この時ばかりはシンカーの
視界の悪さがありがたい。余計なものを見なくて済む。爆撃機の弾幕に臆していては、
迎撃戦闘など出来ないのだ。シンカーの持てる全ての力を絞りだし、突入する。シン
カーが震える。いや、ノルトマンが震えているのか。炸裂する光の壁の、さらに向こ
うへ。
弾幕を突破したノルトマンの眼前には、横長いキャノピーには収まりきらないほど巨
大な青い翼竜、サラマンダーの姿があった。
>>52の続き
「帝都防空隊」(8)
ノルトマンは目前の敵機、サラマンダーの後方斜め上から突っ込む。ベストポジション
じゃない。だが、十分だ。サラマンダーは喰らい付くノルトマン機を振り切ろうと左へ
旋回しようとする。もう遅い。絶対逃さない。トリガーに指を掛ける。キャノピーの向
こうのサラマンダーに全神経を集中する。これで、終りだ。
シンカーのコクピット両脇に装備された2門の加速ビーム砲が最大出力で撃ち放たれ、
サラマンダーの背中、右翼の付け根へと吸い寄せられるように命中した。白い閃光と同
時に、何かが飛び散る。サラマンダーに一撃を加えたノルトマンはそのまま急降下し、
サラマンダーを追い越した。後方ガンカメラモニターを一瞥すると、そこには右翼をも
がれて、キリモミ状態で墜ちていくサラマンダーが映し出されていた。すぐに次の目標
を探す。上方にサラマンダー4機編隊を見つけ、すぐさま上昇するため、操縦桿を引く。
ビーム砲のエネルギー残量が少なく、次の一撃で切れてしまいそうだ。敵編隊先頭機目
掛けて上昇するが、敵機は恐ろしく速い。捉えたのは編隊最後尾のサラマンダーだ。そ
の最後尾機もこのままでは取り逃してしまいそうだ。推力が足りない。もっと力を。し
かし、彼のシンカーは突入からずっと最大出力で飛行していたのだ。追いつけない。ノ
ルトマンは遠距離から加速ビーム砲を連射した。撃墜できなくてもいい。なんとか奴を
止めるんだ。エネルギーが尽きるまでトリガーを引き続ける。サラマンダーはわずかに
黒煙を吹き、編隊から遅れ始めた。ノルトマンはサラマンダーの上空に抜け、兵装を加
速ビーム砲からバルカンオプションに切り替えた。奴に止めを刺してやる。反転急降下
しようとした途端に、けたたましい追尾警報が鳴り響いた。反射的にラダーペダルを蹴
り回避するそのすぐ脇を、レーザーの眩い光が走る。上空から空戦仕様サラマンダーが
襲い掛かってきたのだ。
>>53の続き
「帝都防空隊」(9)
ノルトマンはシンカーを急降下させながら高度計を確認する。6000メートル。ダイブす
る爆装サラマンダーを追いかけて、ここまで降りてきていたのだ。2機の空戦仕様サラマ
ンダーが上方からノルトマン機に迫る。頭を押さえられた。このままダイブ合戦をして
も推力不足のシンカーでは勝てない。ノルトマンは急降下するシンカーを引き起こし、
緩降下左旋回させる。直線飛行することなく、機体を横滑りさせ続ける。教科書通りの
直線飛行をすれば、たちまち叩き墜とされる。一見、下手クソのように思われるこの横
滑り飛行こそが、ドッグファイトを制する極意なのだ。一撃離脱戦法を仕掛けようとサ
ラマンダーが射点に着くと、ノルトマンはシンカーを横滑りさせ回避する。敵機のレー
ザーはノルトマン機の右側へ流れていくばかりだ。ノルトマンは敵機がしびれを切らし
てドッグファイトを仕掛けるのを待った。
3度目の射撃をかわされた1機のサラマンダーが、遂にノルトマン機を追尾し、ドッグファ
イトを挑んできた。なめるなよ。ノルトマンはほくそ笑んだ。この高度なら、重量が100
トンもある貴様にドッグファイトで負けることはない。ノルトマンは操縦桿を力いっぱ
い引き寄せ、シンカーを縦旋回させる。サラマンダーもその跡を追って縦旋回を開始す
る。互いに旋回が描く円の頂点に相手を捉える。上方ガンカメラモニターに映るサラマ
ンダーを睨む。シンカーが円の頂点に達した時、ノルトマンは操縦桿をわずかに左へ倒
した。捻り込み。これこそが「帝都防空隊」が、猛訓練と幾度もの実戦の果てに編み出
した技だった。
>>54の続き
「帝都防空隊」(10)
体が座席に強く押し付けられる。シンカーはノルトマンのとても繊細な操縦に、正確に
応える。捻り込みは縦旋回する機をわずかに左へ捻り、より小さい旋回を可能にする技
だ。上方に捉えていた敵機がシンカー前方に、まるでずり落ちてきたように見える。ノ
ルトマン機は大回りするサラマンダーが描く旋回円の内側へ飛び込んだのだ。前方にサ
ラマンダーを捉えた。すかさずトリガーを引くと、コクピット下部に装備されたバルカ
ンオプション、2門の20ミリバルカン砲がサラマンダーへ撃ち放たれる。曳光弾が描く
光の弾道がサラマンダーへ突き刺さる。サラマンダーには20ミリ弾など豆鉄砲同然だ。
全弾叩き込まなければ、効果はない。毎分6000発の弾丸を発射できるバルカンオプショ
ンは、携行弾全てをわずか5秒で撃ち尽くした。全弾を撃ち込まれたサラマンダーは、そ
れでも何事もなかったように飛行していたが、カクンと機首を下げると徐々に脱落して
いった。
ノルトマンは周囲を見回した。サラマンダー1機が、後方斜め上に喰らい付いて離れない。
敵機が放つレーザーを、またも横滑りでかわした。もう全部弾切れだ。僚機の援護を仰い
で、奴を振り切らなければ。僚機はどこにいるんだ?レーダーレンジモニターに目をやっ
たノルトマンは、奇妙なことに気付いた。友軍機全てが装備しているIFF(敵味方識別装置)
が発するはずの信号が、1つも捉えられない。どういうことだ?
「こちらノルトマン。敵機の攻撃を受けつつあり。至急援護を頼む。誰かいないのか?」
応答はない。ノルトマンはもう1度周囲を見回す。目に入るのは敵機の姿ばかりだ。ノル
トマンは軽いめまいを感じながらも、理解した。生き残っているのは、自分だけだという
ことを。
56 :
名無し獣:2001/05/06(日) 01:28
赤羽サンすごいね。
HP開いた方がいいよ!
>>55の続き
「帝都防空隊」(11)
ブースターの燃料残量警報ランプが点る。後3分も持たないだろう。ブースターが切れれ
ばシンカーの速度は格段に下がる。後方ガンカメラモニターには、ノルトマン機を追い
続けるサラマンダーの姿があった。ブースターが切れて速度が低下してしまえば、基地
に帰還する前にあいつに喰われてしまう。ノルトマンは再びレーダーレンジモニターを
確認するが、味方機を表す輝点は、どこにもなかった。
基地には帰れない。弾丸はもう1発もない。味方も、みんな墜とされた。俺に今、出来う
る事はなんだろうか?今すぐ乗機を捨てて脱出するべきなのだろうか?戦う術を全て失っ
た今、脱出する俺を責める者はいないだろう。1機撃墜、2機撃破。これだけの戦果を挙
げた自分を、仲間達は暖かく迎えてくれるはずだ。そこまで思いを巡らした時、ノルト
マンは気付いた。俺を迎える仲間はもう、いない。シンカーはサラマンダーのレーザー
の直撃を受けると、脱出する間もなく粉々に四散してしまうことをノルトマンは知って
いた。レーダーからも視界からも消える。それは仲間達の確実な死を意味していた。
ノルトマンはシンカーをまたも縦旋回させるため、引き起こした。俺にはまだ残されて
いるものがある。自分と、愛機シンカーの命。これをあのサラマンダーに、お見舞いし
てやる。サラマンダーが誘いに乗り追いかけてくる。仲間がみんな死んだ今、自分だけ
がおめおめと生き長らえるわけにはいかない。ノルトマンは体当たり攻撃を決意した。
「帝都防空隊」(12) 最終話
ノルトマンは上方ガンカメラモニターに映る、縦旋回し追いかけてくるサラマンダーを確
認した。燃料はもう後わずかしかない。この旋回で、勝負を決める。シンカーが旋回円の
頂点に達する。捻り込み。血を吐くような思いで会得したこの技、「帝都防空隊」の一員
である証ともいえるこの技こそ、最後の戦いに相応しい。シンカーはノルトマンの思う通
りに応えた。サラマンダーの背中に、にじり寄っていく。
帝都は燃え尽きた。ノルトマンの両親も、友人も、空襲で死んだ。共に戦ってきた仲間達
も、もういない。みんな死んでしまった。誰も守れなかった。シンカーよ、すまない。だ
が俺はもう、自分の無力さに堪えられない。自分が今、生きていること、それ自体が罪悪
であるように思えるのだ。もう終わりにしたい。シンカー、お前の命を、貸してくれ。
サラマンダーが目前に迫った時、突然全てのモニターと計器ランプが消えた。故障?馬鹿
な。爆音と共にコクピット上部が吹き飛ぶ。ノルトマンは凄まじい力によって、機外へ放
り出された。ノルトマンは一瞬、錯乱したがすぐに気が付いた。緊急脱出装置か。
「シンカー!なぜだっ!」
無人のシンカーが背後からサラマンダーに激突した。26トンあるシンカーの直撃を喰らっ
たサラマンダーの両翼が根元からちぎれ飛ぶと、2機はもつれ合うようにして落下していった。
なぜ俺を助けた?シンカー。ノルトマンはゆっくりと降下するパラシュートからシンカーの
最後を呆然と見届けて、悟った。シンカーは最後まで、「帝都防空隊」の一員として仲間
を、俺を助けようとしたんだ。俺はもう戦うことを、生きることを諦めてしまったのに、お
前は最後まで戦い抜いたんだ。シンカー、お前こそ真の、勇気ある「帝都防空隊」の戦士だ。
西の空に、いくつも黒い筋が立ち昇っている。帝都が燃えていた。ノルトマンはその光景を
じっと見ていたが、全てが滲んで、やがて見えなくなった。
終
60 :
名無し獣:2001/05/10(木) 21:19
特攻age!
すげぇいい!
62 :
名無し獣:2001/05/11(金) 02:16
いいね。
シンカーがほしくなったよ。
63 :
名無し獣:2001/05/11(金) 20:17
帝都防空隊マンセー!!!!
シンカーに涙のage!
64 :
名無し獣:2001/05/12(土) 02:41
シンカーに対する印象が変わった(涙)
バトストでもこんな話やってくれないかなー。
65 :
名無し獣:2001/05/12(土) 12:15
シンカァァァ!!age
66 :
名無し獣:2001/05/12(土) 12:23
帝都防空隊所属のシンカーを作りがたいがために、今まで購入をためらっていたシンカーをついに買ってしまいました。
いや、シンカー素敵です。
こんな素敵な期待にめぐりあわせてくれた赤羽広々さん、ありがとう!
67 :
名無し獣:2001/05/12(土) 17:20
名作age
たくさんの感想ありがとうございます。
こんなにたくさんレスが付くとは思ってなかったので、うれしいです。
もうちょっとしたら、新しい話を投稿しようかと思っています。次は地上戦…?
よろしくお願いします。
…って、なんだかフツーの掲示板みたい…
69 :
名無し獣:2001/05/13(日) 02:37
次作待ちage
70 :
名無し獣:2001/05/13(日) 03:16
ゾイド板ってマターリしてていいなあ。
71 :
名無し獣:2001/05/15(火) 01:57
魚ディック、緊急浮上!age
72 :
名無し獣:2001/05/15(火) 22:39
赤羽さんの名作age
73 :
名無し獣:2001/05/16(水) 11:40
HP化希望age
「ガニメデ」(1)
ZAC2039年(旧バトスト設定で)
コンクリートで塗り固められた坑内に灯る明かりが、わずかに揺らめいている。壁や
天井に走る数え切れないほどのひび割れが、ぼんやりとした明かりに照らし出されて
いた。いつまで持つだろうか。ウィッテは震える坑道をまっすぐに歩いていく。地響
きのような低い音が絶えず聞こえてくる。それが敵の放つ砲弾の炸裂音なのか、耳鳴
りなのか、ウィッテには分からなかった。体に纏わりつくような湿った空気、灰色の
コンクリートの壁、どこまでも続く薄暗いトンネル、そんな空間に弱々しく灯る電灯。
全てがウィッテの気を滅入らせた。しかしこのトンネルこそが共和国軍の猛攻から、
彼らを今日まで守り抜いてきたのだ。ガニメデ要塞。共和国軍にとっては避けて通れ
ない最大の難関、帝国軍にとってはゼネバス帝都防衛の、最後の砦だった。
長いトンネルを抜けたウィッテは、大きく息を吸い込んだ。そこには狭苦しいトンネ
ルとは打って変わって、広大な空間が広がっていた。十数機の巨大なゾイドが整然と
並んで出撃の時を待っている。これほど大規模な地下ゾイドハンガーは他にないだろ
う。だが…。ウィッテは愛機に歩み寄り、語り掛けた。
「お前には窮屈か?レッドホーン」
75 :
名無し獣:2001/05/17(木) 04:40
あなぐらage
レッドホーンの勇士に期待age!!!
>>76 ありがとうございます。これからもどうぞご贔屓に!
今日はレッドホーンの設定資料をいろいろ漁ってたら、書き損ねてしまいました。
レッドホーンって3人乗りだったんですね。知らなかった。
>>74の続き
「ガニメデ」(2)
真紅の城壁がそびえ立ったかのようだった。その機械獣の雄姿に、味方はみんな沸き返
り、敵は恐れおののいた。レッドホーン一列横隊が敵陣地に一斉突撃、敵兵も敵ゾイド
も、何もかも踏み潰し、雌雄を決する。これこそが帝国軍機甲部隊がいくつもの戦場を
制覇した伝統の戦術だった。敵主力に対し真正面から挑み、勝利することこそが機甲兵
の、誇り高きレッドホーン乗り達の最高の誉れだった。
しかし、2月大攻勢以来の共和国軍の新たな戦術の前では、帝国軍機甲部隊伝統の戦術
も、レッドホーン乗りの誇りも、無意味だった。完全に制空権を手中に収めたプテラス、
サラマンダーによる猛爆撃。ウルトラザウルスを始めとする、重砲部隊による圧倒的な
砲撃。戦況は明らかに不利だったが、それでも前線の兵士達は信じていた。レッドホー
ンが敵陣目掛けて突撃すれば、敵は大慌てで逃げ出すに違いない。レッドホーンは必ず
勝つ、と。それは彼ら、レッドホーン乗り達も同じ思いだった。俺達は、絶対に負けな
い。だが、激しい爆撃と砲撃に耐え続けながらその時を待った彼らの目の前に現れたの
は、長年決戦の相手として思い描いてきたゴジュラスではなく、新鋭の小型ゾイド、カ
ノントータスの大群だった。
79 :
名無し獣:2001/05/19(土) 10:15
カノントータスをもってくるなんで渋いぞage!
>>78の続き
「ガニメデ」(3)
後方からの砲撃支援を任務とする自走砲ゾイド。それが帝国軍のカノントータスに対す
る評価だった。帝国軍は戸惑った。砲兵が最前線に姿を現すことなど、ありえないから
だ。妙なのはそれだけではない。横に広がる帝国軍戦線に対し、共和国軍はカノントー
タスをいくつかの集団に分け、それを順番に並べたような縦陣形を取ったのだ。あれで
は戦線の一部にしか攻撃出来ない。それに後続のカノントータスは攻撃すら出来ないで
はないか。奴らは何を考えている?帝国軍の疑問に、カノントータス部隊は実力で答えた。
強力な砲撃支援を得ながらカノントータス部隊は帝国軍戦線の一点に攻撃を集中、これ
を突破し、更にその奥深くへと切り込んだのだ。
縦深突破。充実した重砲兵力と、装甲砲兵カノントータス、これらがあって始めて実現
出来る作戦だった。これまでの戦術概念を大きく塗り替えるこの作戦の前に、敵主力と
の決戦を前提とした帝国軍機甲部隊は反撃すら不可能だった。横に大きく広がった陣形
では、一点突破を図る敵に攻撃を集中することが出来なかったのだ。統制を失ったレッ
ドホーンが慌てて攻撃に駆け付けても、カノントータスの集中砲火を浴び、1機ずつ撃
破されていった。小型ゾイドに1機ずつ、なぶり殺しにされる。誇り高いレッドホーン
乗りにとって、これ以上の屈辱はなかった。
「ウィッテ大尉。いよいよですね」
背後から声が掛かる。まだ顔からあどけなさが抜け切っていない若い兵士が、ウィッテに
歩み寄ってくる。身のこなしが固い。大分、緊張しているようだな。ウィッテはその若い
兵士、愛機レッドホーンの砲手であるクラウス少尉に笑顔で応える。彼はまだ若いが、こ
の数ヶ月間の経験が彼を一人前の機甲兵に育て上げた。信頼出来る砲手。頼もしい愛機。
役者は揃った。
「今日の主役は俺達だ、少尉」
ウィッテは落ち着いた、力強い声を掛ける。そう、今日はあのドンガメ共の好きにはさせない。
81 :
名無し獣:2001/05/20(日) 23:23
続編期待age
82 :
名無し獣:2001/05/21(月) 20:27
レッドホーンがどんな戦術で亀に挑むのか楽しみですage
83 :
名無し獣:2001/05/22(火) 00:10
戦術どころか無常な結末になったりして・・・
>>80の続き
「ガニメデ」(4)
闇の中に、機械獣達の足音が木霊する。地響きのような低い音。耳鳴りのような音。
ウィッテは顔をしかめる。またこの音か。もう、聞き飽きた。その音は、共和国軍の2月
大攻勢以来数ヶ月聞き続けた音、ゾイド壕の中でただ息を潜めるしかなかったウィッテの
頭上に、いつまでも降り注いだ砲弾の炸裂音にそっくりだった。コクピット前面のモニ
ターは暗視モードに切り替えられている。大型赤外線レーザーサーチライトが前を行く小
隊長機を見えない光で照らし出す。その更に前にも何台ものゾイドが列を成して、暗闇の
中を行進していた。
「工兵の連中、よくもここまで掘ったものだな」
ウィッテは砲手席にマイクを通して話し掛ける。砲手席は主砲の根元、レッドホーンの背
中にある。頭部にある操縦席とのコミュニケーションには、このマイクだけが頼りだ。ク
ラウスは、ええ、とだけ答える。ウィッテは苦笑した。あいつ、まだあがってやがる。
帝国軍工兵部隊が数十台のモルガを動員して掘り進んだこのトンネルこそ、ガニメデ要塞
に陣取る帝国軍の切り札だった。ガニメデ要塞は、東はガニメデ湖と大湿原、西はゼネバ
ス山地の険しい山々に挟まれた天然の要衝だ。ここを攻め取るには、ガニメデから南へ走
るたった1本の街道に布陣せざるを得ない。東西を自然の障害に阻まれたこの狭隘な街道
では、どんな大軍も縦に細長い陣形を取るはずだ。側面が、ガラ空きになる。ウィッテ達、
帝国軍機甲部隊が今進んでいるこのトンネルは、街道西側の山麓、敵の側面へ続いていた。
共和国軍は撤退し続ける俺達を得意になって追撃してきたのだろう。罠とも知らずに。
頭の芯に響くような耳鳴りは、まだ続いている。散々ぶっ放してくれたよな。操縦桿を握
る手が強張る。百倍にして、返してやるよ。
85 :
名無し獣:2001/05/23(水) 00:13
依然緊張状態が続く最前線。
お前には窮屈か?レッドホーンage!
86 :
名無しゾイド乗り:2001/05/23(水) 19:20
赤羽サンの小説すっげぇよい!帝國防空隊が気に入りました。
てか、航空戦でちゃんと長距離ミサイル攻撃とわ、なかなか通だっ
ゾイド板まったりぃしてて個人的に好き。このまままた〜り調子で逝ってくれや、あと自分も小説投稿しちゃおうかなここに(ワラ
いろいろ資料あさっていたら、行き詰まってしまいました……。
避弾傾始って、もう古いんですね。うーん。それにこの話、戦術的には……ううーん。
もうしばらくお待ちください。
>>84の続き
「ガニメデ」(5)
鳴り響いていた重低音が止む。トンネルは闇と静寂に沈む。しかし充満する異様な熱気
は隠しようがない。共和国軍が布陣している街道に並行して掘られたトンネルの中に、
レッドホーン34機を中心とする帝国軍機甲部隊がずらりと1列に並び、待ち構えていた。
全員がトンネルの東側の壁面を睨み付けている。その壁の向こうには、100機を越すカノ
ントータスが狭い街道にひしめき合っているはずだ。レッドホーン1機にカメ3匹の割り
当てか。少なすぎるぜ。ウィッテは不敵な笑みを浮かべた。耳鳴りは、もう聞こえない。
攻撃開始時刻、午前1時まで、後1分。命令変更はない。スピーカーから砲手席に座るク
ラウスの静かな、しかし小刻みに荒い呼吸が漏れ聞こえてくる。操縦桿を持つウィッテ
の掌は汗で湿っている。にも関わらず体の芯は変に冷たい。武者震いってやつさ。ウィッ
テは自分に言い聞かせるように小声で繰り返した。俺達は強い。俺達は強い……。
足元で噴火が始まったかのようだった。暗視モードのモニターが真っ白になると同時に、
耳をつんざく轟音がトンネルと、その中にいる者全てを揺るがした。たちまち土煙でト
ンネルはいっぱいになり、何も見えなくなる。トンネルの東側壁面、1キロの範囲に亘
り仕掛けられた大量の爆薬が、一斉に爆発したのだ。ウィッテは立ち込める土煙の向こ
うに、わずかな光を見た。月明かりだ。突破口は開かれたのだ。
「全機突撃開始!カメ共をガニメデ湖に追い落とせ!」
>>88の続き
「ガニメデ」(6)
南北に縦陣形を取る共和国軍に対し、夜間、西側山麓のトンネル陣地より1個機甲大隊が
奇襲、ガニメデ要塞からの砲撃支援を得ながら西側から一列横隊で突撃、敵をガニメデ
湖がある東側へ追い込む。そして北側、ガニメデから本隊が打って出て共和国軍を包囲、
殲滅する。制空権を失った今、これがガニメデ要塞に篭る帝国軍に出来る唯一の反抗手
段だった。夜間、しかも敵味方入り混じったこの狭い街道へは、共和国軍は同士討ちを
恐れて適切な航空、砲撃支援が行えないだろう。近接戦闘ならば、レッドホーンを主力
とするこちらに分がある。それが帝国軍の考えだった。プテラスやサラマンダーが空か
ら襲い掛かってこなければ、ウルトラザウルスの砲撃が無ければ、小型ゾイドを主力と
する共和国軍に勝てるはずだ。カノントータス如きに、レッドホーンは負けないはずだ。
幾度となく敗れ、退却し続け、ここまで追い詰められた今でも、いや、今だからこそ、
レッドホーンは帝国軍にとって、生死を共にしてきた機甲兵達にとって、最後の希望だっ
た。負けることは、許されなかった。
いくつもの穴が開き崩れかけたトンネル陣地から、土煙と共に赤い猛獣達が次から次へ
と這い上がる。爆発から1分も経たない内に一列横隊が組まれる。わずかな月明かりの下、
赤く鈍い輝きを放つレッドホーンが整然と立ち並ぶ。共和国軍の目の前に、再び真紅の
城壁がそびえ立った。
なんか、やる気出ない。
91 :
名無し獣:2001/05/27(日) 08:07
赤羽さんゆっくり待ちますのでがんばってくださいage
92 :
名無し獣:2001/05/27(日) 08:34
真紅の城壁・・・場面を想像してたら鳥肌が立っちゃったよ(いい意味で)。
みなさん、心配をお掛けしたようで、申し訳ないです。
昨夜は話1本、丸々ボツったので愚痴ってしまいました。
これからもどうぞご贔屓に。
>>89の続き
「ガニメデ」(7)
主砲、大口径三連電磁突撃砲の一斉射撃と共に、突撃が開始された。94トンの機械獣が
34機、横一列になって突っ込んでくる。奴らには、まるで山が襲い掛かってくるように
見えるだろう。地の底から沸き上がってくるような重低音のうねりが、地上のもの全て
を揺さぶる。レッドホーン達が大地を蹴って巻き起こす地鳴りは、山崩れを越えていた。
赤い鋼鉄の奔流が、あらゆる物を飲み込み、踏み砕いていく。こうでなくては。俺達の
戦いは、こうでなくてはな。トンネル陣地に篭り、外の様子を窺いながら砲撃を加えて、
すぐに頭を引っ込める。そんな戦いを強いられてきたウィッテは、レッドホーン乗りに
相応しい戦いの舞台を得ることが出来た喜びを噛み締めていた。これが俺達の戦い方だ。
両軍の間は、もっとも近い所では100メートルを切っていた。砲撃戦が始まる。ウィッ
テはそれに構わず自機前方だけを睨む。一列横隊の利点は、前面に最大限の火力を集中
出来ること、そして各機はそれぞれ自分の前方の敵のみを叩けば良いことだった。これ
により同一の目標に攻撃が集中してしまうことなく、前面の敵にまんべん無く攻撃を加
えることが出来た。レッドホーンも、この突撃戦術も、もう古い、そう言っていた連中
に見せ付けてやりたかった。俺達のレッドホーンと突撃戦術で、勝つ。これはレッドホー
ン乗り達の誇りを賭けた突撃だった。
前方監視レーダーと暗視装置がほぼ同時に正面の目標を捉える。このズングリとした機
影。間違いない、カノントータスだ。ウィッテの命令を待たずに、クラウスが射撃を開
始した。主砲から徹甲弾が秒速4キロメートルもの速度で撃ち出される。あっという間
だった。空気が張り裂けたような射撃音とほぼ同時に、目標がひしゃげて破片が飛び散
り、破裂した。
95 :
名無し獣:2001/05/28(月) 01:06
ひしゃげてage!!!!!!
>>94の続き
「ガニメデ」(8)
夜の闇の中、オレンジ色の明かりがあちこちに灯る。ゆらゆらと風になびいているよう
に揺らめくその火は、静かに闇を焦がした。敵機が燃え上がっている。ゾイドとゾイド
乗りの命が燃え尽きていくその光は、神々しさすら覚えるほど美しかった。それは戦場
にいち早く灯った送り火のようだった。
「接触、方向前方。撃てっ!」
小隊長の声が届く。小隊統制射撃が始まったのだ。命令と同時に主砲が再び火を吹く。
敵機の遥か後方で土が跳ね上がる。外れた。ウィッテ機が撃ち洩らした目標へ小隊3号
機がすぐさま射撃を加える。3号機の放った弾丸は見事に命中し、目標は爆発した。
「気にするな、少尉」
ウィッテはマイクで砲手席に呼び掛ける。クラウスは呻くように返事をする。仕方の無
い事だった。ウィッテの部隊に配備されたレッドホーンの射撃システムは、ルビーレー
ザー測距儀とアナログコンピューター弾道計算機で構成されている。初期型レッドホー
ンに比べれば命中率は遥かにましだが、時代遅れの感は否めない。特に、自機が移動し
ながら移動目標を撃つ行進間射撃能力は無いに等しい。移動する敵機を確実に撃破する
には、自機を停止させる必要があった。立派なのは大砲だけだ。上層部の奴らはでかい
鉄砲さえありゃ戦争に勝てると思っているらしいな。ウィッテは口元を歪める。上の連
中の尻拭いをするのは、いつも俺達だ。
突然、警報が耳障りな甲高い音を発した。レーザー検知器だ。狙われている?
辺りが真っ白になった。何も見えない。体を支えるシートベルトが食い込んで、息が出
来ない。全てが、恐ろしい力で振り回されている。耳の奥深くに電気が走るような高音
が響く。また警報か?だがそれは警報音ではなく、鼓膜が弾けて用を為さなくなったウィッ
テの耳から直接脳へ伝えられた、もはや何の意味も無い信号だった。
激しい衝撃に打ちのめされながら、ウィッテは自機が撃たれたことを理解した。
97 :
メカ生体:2001/05/30(水) 03:11
まだ続くのか?赤羽広広応援age
>>97 はい、もうちょっと続きます。
(しかし、いいかげん長文ウザがられているのかな……)
>>98 そんなこと無いので、どんどん続けてください。
今のところ赤羽広々さんのオンステージですし。
>>96の続き あ、キリバンだ
「ガニメデ」(9)
壊れかけた揺り籠に突っ込まれたような気分だ。体がいつまでも上下に揺さ振られてい
る。その振動は荒々しいが、なぜか心地良かった。この乱暴なリズム。良く知っている。
体に染み付いている。これは……。ウィッテは、はっとした。レッドホーンが駆けるリズ
ム。レッドホーンは、まだ生きている。ウィッテは計器盤を見回す。異常はない。スピー
カーから何か喚き声がするが、聞き取ることが出来ない。
「状況知らせっ」
有らん限りの声でマイクに叫んだ。その尋常ではない怒鳴り声から、ウィッテの身に何か
異変が起きた事を察したクラウスが、大声で答えた。
「敵弾が頭部右側面に命中。損傷無しっ!」
レッドホーンを撃ったのは恐らくカノントータスの220ミリ突撃砲だろう。カノントータ
スの突撃砲は優秀だが、短砲身であるために弾丸初速が遅いという欠点があった。この砲
から徹甲弾を撃ち出しても弾速が足りず、厚い装甲を貫くことは出来ない。そのためカノ
ントータスは、対ゾイド戦には低弾速でも問題の無いHEAT弾(成形炸薬弾)を使用するのだ。
レッドホーンの装甲は、面に傾斜を付けて弾を逸らすように設計されている。最新の徹甲
弾には通用しないが、低速のHEAT弾には有効だった。もちろんそれは弾を弾くだけで、乗
員を衝撃から守ってくれるわけではなかった。損傷は俺の耳だけってわけだ。ウィッテは
自分の耳に軽く触れた。聞こえはひどく悪いが、何も聞き取れないわけじゃない。
「小隊停止!」
小隊長の命令が下る。馬鹿な。こんなところで立ち止まったらいい的だぞ。次も敵弾を跳
ね返せるとは限らない。ウィッテは苛立ちながら右に振り向き、そして気付いた。レッド
ホーン一列横隊の右翼側の部隊が後方に取り残されて、ウィッテ達の小隊だけ突出してし
まっている。右側側面を敵に晒す格好だ。あいつら、何をまごついているんだ。だがその
理由はすぐに分かった。停止したウィッテ機の3Dレーダーが右側に、右翼側部隊の前面に、
巨大な目標を捉えたのだ。半端じゃなく、でかい。ウィッテはその正体を確かめようとし
て、闇の向こうを見つめた。
101 :
名無し獣:2001/05/31(木) 01:29
つ、続きが気になりすぎ期待age!!!
102 :
名無し獣:2001/05/31(木) 07:03
奴か?ついに奴が来たのか!?
103 :
ウザくなんかないよ!:2001/05/31(木) 20:41
やばいぞレッドホーンage!
なるほど確かにHEATなら避弾傾始が有効っすね。
M1とかチャレンジャーみたいなものか。
104 :
名無し獣:2001/05/31(木) 23:44
闇の向こうを見つめてage!!!!!!
>>100の続き たくさんのレスありがとう
「ガニメデ」(10)
小隊のレッドホーン達はその目標、右翼側の友軍の前に立ちはだかるゾイド目掛けて走り
出した。まだかなりの距離があるはずだが、レーダーにも暗視装置にもその巨体をはっき
り捉えることが出来た。レーザー検知器が鳴り響く。敵の照準用レーザーがレッドホーン
へ、あちこちから撃たれているのだ。赤外線サーチライトから多量の赤外線を照射するレッ
ドホーンの姿は、赤外線受光式暗視装置を備えた敵からは丸見えだった。これじゃ鈴を括
り付けられた猫だ。ウィッテは脚部に取り付けられた4つの発煙弾発射機から煙幕弾を放ち、
レッドホーンを覆い隠す。煙幕をいかに上手く使いこなせるかが、機甲戦で生き残る鍵と
なる。幾多の戦場をレッドホーンに乗り駆け抜けてきたウィッテの判断に狂いはなかった。
乳白色の煙のカーテンを抜けると、1機のカノントータスと2機の兵員輸送用ハイドッカー
に遭遇した。カノントータスが慌てて方向転換し、突撃砲をこちらへ向けようとしている。
「2秒くださいっ」
クラウスがその言葉を言い終わる前に、ウィッテはレッドホーンを急停止させた。つんの
める体を、レッドホーンは前足を踏ん張って押し返す。主砲と連装突撃ビーム砲が同時に
発射され、のそのそとターンしていたカノントータスは瞬時に炎上し、ハイドッカーは弾
けとんだ。逃げ出そうとするもう1機のハイドッカーへ、ウィッテは高圧濃硫酸噴射砲を噴
き掛ける。たまらず地面に倒れ、のたうち回るハイドッカーを、急発進したレッドホーン
が踏み潰した。金属と肉を一緒に押し潰す異様な感触が、操縦桿を握るウィッテにも伝わっ
てくる。気色悪い虫を踏ん付けた、そんな感じだ。
突撃し続け、敵中を走り抜けた小隊全機が、前方の目標へ一斉に射撃を加える。いくつも
の閃光がきらめく。当たっているはずだ。だがその巨大な目標はひるむ様子もなく、頭部
が上と下に裂けたような口を広げてこちらに振り向いた。暗闇の中に点る赤い眼光が、不
気味に増していく。
「どうかしてるぜ、あの化け物は……」
レッドホーン達は一斉砲撃をものともしない巨大な敵機へ突撃する。狂える鋼鉄獣、ゴジュ
ラスが目前に迫っていた。
106 :
名無し獣:2001/06/01(金) 07:13
あああ・・・
奴が来た・・・。
やべぇ!
奴だ!奴だ!
狂える鋼鉄・・・
sageて様子見。
109 :
名無し獣:2001/06/02(土) 13:18
PSゾイドでレッドホーン小隊をつくってしまった私は馬鹿ですか?age!
>>109 大馬鹿野郎だ……だが、嫌いじゃないぜ!!
>109
それが男ってもんだ。
けど、奴に勝てるのか??
ハイドッカーやカノントータスならいちころだぜ!
もちろん高圧濃硫酸噴射砲で。
>>109 はっはっは、俺はディバイソン3機によるディバイソン突撃隊を編成したぜ!
あと、シールドとコマンド、ベアによる高速戦闘隊モナー
…ポイントが2余ったからスパイカー入れてコマンドと奇襲してる。
ていうか、PSゾイドのレッドホーンは無敵だよ・・・。
硫酸砲あるから。
>>105の続き 再開です。
「ガニメデ」(11)
3号機が煙幕弾を発射する。モニターが白一色に染まる。レッドホーンが使用する煙幕弾は
煙で視界を遮るだけではなく、赤外線領域にまで干渉し、暗視装置を無効にすることが出
来る。その効力はほんの数十秒しか持続しないが、ゴジュラスの懐に飛び込むには十分な
時間を稼いでくれるはずだ。いくらレッドホーンの装甲が分厚くとも、76ミリ連射砲を至
近距離から連打されてはただでは済まない。だがそれを恐れて遠くから砲弾を撃ち込んで
みても、ゴジュラスは倒せない。煙幕に乗じて姿を隠しながら駆け抜け、一気に間合いを
詰め、突っ込む。勝機を掴むには、それ以外に方法はなかった。
視界ゼロの煙の中を、前方監視レーダーだけを頼りにして走る。レーダーレンジいっぱい
にゴジュラスの巨大な機影が広がる。これほど接近しているのに、いつもの76ミリ連射砲
の洗礼は降り注いでこない。俺達を見失っているのか?突然、視界が開ける。とてつもなく
大きなものが、目に飛び込んできた。ウィッテは息をのむ。武骨という言葉がこれほどよ
く似合うゾイドが、他にいるだろうか?数十発の徹甲弾の直撃により、装甲は穴だらけにな
り、至る所がめくれ上がり、隙間からは白煙が漏れ出ていた。しかしズタズタになりなが
らも、ゴジュラスの目に宿る赤い光は消えるどころか、更に強まっていく。その身に弾丸
を受ければ受けるほど、ゴジュラスは狂おしく身をよじり、力を増していく。狂える鋼鉄。
その凄まじい狂気の前に、何機ものレッドホーンが敗れ去っていったのだ。だがウィッテ
は恐れなかった。俺達が、レッドホーン乗りがさっさと逃げ出してしまったら、一体誰が
この化け物を倒すと言うんだ?ゴジュラス目掛けて、迷うことなく突進していく。奴を殺れ
るのは、俺達しかいない。
全速力で駆けるレッドホーンが、頭を下げて角を前に突き出す姿勢、刺突攻撃姿勢を取る。
3号機がグレネートランチャーから再び煙幕弾を放出し、突撃するウィッテ機を援護する。
白い煙がウィッテ機を包み込むように広がる。目標まで、30メートル、20メートル、10メー
トル。ウィッテは狭いコクピットの中で、思い切り踏ん張った。
116 :
名無し獣:2001/06/06(水) 12:35
突撃〜〜〜〜!!!age!!
117 :
名無し獣:2001/06/06(水) 12:52
いつもながら、身震いする文章ですね。
続き期待しています!
118 :
K:2001/06/06(水) 22:21
奴を殺れるのは、俺達しかいない。
くぅー、渋い、age!!
119 :
メカ生体:2001/06/08(金) 00:38
レッドホーン大隊に対し、突撃支援射撃age!!!
120 :
名無し獣:2001/06/09(土) 22:09
ガニメデガニメデガニメデガニメデガニメデガニメデ
ガニメデガニメデガニメデガニメデガニメデガニメデ
(゚д゚)ウマー
ここは、赤羽さんオンリー状態だから投稿するのが怖いけど
僕も挑戦しますー!!赤羽さんのよーにはいかないけどね・・・
では、次からがそーです・・・
バトストの設定とはなんの関係ありません・・・
僕が勝手に考えたものです・・・
悲しき戦線・・・プロローグ(現状説明)
ここは共和国の前線基地・・・と言ってもそれは名前だけであり
共和国の敗戦が続き後退後退を繰り返し今では
共和国本土第四防衛ライン及び大型生産基地最終防衛基地になっている・・・
しかし、それもまた兵士の士気を考えたものだけのものであり
この基地の戦力を考えれば、生産・退却をするための
時間稼ぎ、足止め用基地でしかない・・・
それでも、共和国の最前線基地に比べればまだましか・・・
現在この基地に配備されているゾイドは・・・
ゴジュラスMK−U(装備されてるもので言うと)2機(司令官、副指令用)
シールドライガー4機、コマンドウルフ8機、カノントータス3機
ゴドス15機、プテラス3機に多数のカスタマイズパーツがあるのみであった・・・
全ての兵力を合わせても2個中隊分ぐらいしかない・・・
これでは、明らかに後方約100kmにある生産工場防衛には戦力不足であった・・・
それでも、何とか守りきれているのは兵士達の力であった・・・
ここに配属された兵士全員がエリート中のエリートであったのだ・・・
司令官「ふー・・・いくら我々でもこの戦力じゃいつまで持つか・・・」
副指令「まったくです・・・今更ながら彼らの力を見せつけられます!!」
司令官「あー全くだ・・・普通の部隊では3日と持つまい・・・しかし
いくら我々でもこれ以上は持つまい・・・補給の状態はどーなっている??」
副指令「はっ、本国には再三補給要請を出しているのですが最前線への
補給が最優先・・・とのことです・・・」
司令官「そーか・・・所詮は足止め用の捨て駒か・・・」
副指令は何も返すことができなかった・・・
後方にある生産基地は共和国で大型ゾイドを生産できる4つのうちの1つなのだが
共和国はやむなくその生産力を移動させつつあった・・・
しかし、帝国側としてみれば、重要拠点に変わりない・・・
その為何度も交戦が行われてきたのだがこの生産基地
右手に森林、左手に海という好適な地理になっており
帝国はことごとくその進行を阻まれたのだった・・・
その為、正面から攻撃を仕掛けざるをえなかった・・・
第2話へ・・・
>>115の続き 遅くなりました……。
「ガニメデ」(12)
大質量の鋼鉄同士がぶつかり合う轟音。突き破られ、引き裂かれていく装甲が上げる金切
り声。戦場に満ちるあらゆる騒音を圧倒する、雷鳴のような響き。それは単なる鉄の衝突
音ではない。鉄の生き物が命を削り合う音、互いに殺し合う機械獣達の叫びだ。ウィッテ
は全身を砕かれるような衝撃と大音響に打ちのめされながらも、目を見開き続ける。ウィッ
テの眼前でレッドホーンの角がゴジュラスの腹部を押し破り、突き刺さっていった。奴は?
すぐに真上を見上げる。ゴジュラスはあっけに取られたのか、微動だにしない。だがその
目に点る赤い光は、消えなかった。見る見るうちにその光は溢れ出そうなほどに増幅し、
ゴジュラスは両腕を高く掲げる。叩き潰す気だ。ウィッテはマイクに怒鳴った。
「撃てえっ」
零距離射撃。レッドホーンの主砲弾では貫くことが出来ないゴジュラスを倒すには、刺突
攻撃後の密着した位置から砲弾を撃ち込むしかない。76ミリ連射砲がばら撒く砲弾をかわ
し、繰り出される両腕と尻尾をくぐり抜け、やっと掴める勝機。角を突き立てられたゴジュ
ラスが、怒り狂って振り上げた腕をレッドホーンに叩き込むまでの、ほんのわずかな間の
勝機。その勝機に、全てを賭けた。閃光。破砕音。眩い光の中で、何かが飛び散る。
巨大な機械獣の命が、鋼鉄の体から消えていく。ただの鉄の塊になっていく。赤く焼けた
鉄が冷めて固まるように硬直してしまうと、体をゆっくりと傾けた。そのゾイドは地響き
と土煙を残して大地に倒れると、二度と起き上がることはなかった。胸にぽっかりと開い
た大きな穴が、壮絶な最期を物語っていた。ウィッテはその最期を、しっかりと見届けた。
戦場での死はごく当たり前の事だ。だが、死にゆく命に敬意を表する者は必要だ。自分が
殺した者なら、尚更。
闇の中に砲火がきらめく。まだ数機のゴジュラスがレッドホーン達を相手に奮戦している。
味方を援護するため走り出すレッドホーンのコクピットから、ウィッテは何気なく自分が
倒したゴジュラスを見た。何かが、引っ掛かる。駆け出そうとするレッドホーンを止め、
目を凝らした。地面に寝そべるゴジュラスの全身をよく確かめる。長くて太い尻尾、穴の
開いた胴体、鋭い爪、そして大きな頭。おかしい。キャノピーは閉じたままで脱出した様
子はないのに、パイロットが見当たらない。これではまるで……。ウィッテは息をのんだ。
なぜゴジュラスは76ミリ連射砲を全く撃たなかったのか。なぜわざわざ敵の真正面に姿を
現したのか。俺達が戦っているゴジュラスは、無人ゾイドだ。そして恐らく……。
青白い太陽が突然昇ったようだった。ウィッテは空を仰ぐ。ウルトラザウルスから撃ち出
されたいくつもの星弾が、数機のゴジュラスと、それに群がる20機近いレッドホーンを、
青白い光でくっきりと照らし出した。もう間違いない。だが、信じられなかった。ゴジュ
ラスを捨て駒にするなんて。
「散開!」
もう、遅かった。
124 :
T・I氏もがんばれ:2001/06/14(木) 03:11
もう、遅かった。
┏━━━┓ ┏┓ ■■
┗━━┓┃ ┃┗━━┓
┏┓ ┗┛ ┃┏┓┏┛ ┏━━┓
┃┃ ┗┛┃┃ ┗━━┛
┗┛ ┗┛
125 :
名無し獣:2001/06/14(木) 08:28
おもしろすぎです
>122の続きです・・・
悲しき戦線・・・第1話(1)
ピーピー
司令室の電話が鳴る・・・
司令官「私だ」
それは、格納庫の今、偵察及び警戒に出撃しようとしているパイロットからだった。
サンダース中尉「ホーキンス司令!!プテラス隊の出撃許可を!!」
ホーキンス「許可する!!気をつけてな!!」
サンダース「了解!!マーチン、ロッキー!!行くぞ!!」
両名「了解!!」
滑走路に移動した3機のプテラスが飛び立って行った・・・
マーチン「今日はいい天気ですね!?中尉?!」
サンダース「ああ!!まったくだ!!こんな日はのんびり飛びたいよ!!」
ロッキー「ははっ!!そーですね!!でも、敵さんはそんなのおかまいなしみたいですよ??
前方約50qに敵機2機です!!機首は・・・サイカーチスです!!」
サンダース「2機か・・・こっちは3機だからなんとかなるだろ・・・よし、基地に連絡しとけ!!」
ロッキー「了解!!」
帝国側・・・2機のサイカーチスは・・・
帝国少尉「大尉!!前方にプテラス3機です!!」
帝国大尉「落ち着け!!少尉!!3機ならなんとかなるよ!!よし、行くぞ!!死ぬなよ!!」
両国パイロット「コンバットレンジオープン!!グットラック!!」
戦闘時の掛け声には国は関係ない・・・
先に散開したのはプテラス隊だった!!プテラス隊は素早く2・1に別れると目標に向かった!!
帝国大尉「速いな・・・やはり並の腕ではないか・・・こっちにくるのは・・・2機か・・・
1機なら少尉も大丈夫だろー・・・」
そー心内で呟いた・・・しかし、それは早くも打ち砕かれたのだった・・・
127 :
名無し獣:2001/06/15(金) 00:26
>>126 内容はさて置き、「そーか」とか「そー心内」と言うのは
やめて……何だか萎える。
がんばれ応援age。
>126続きです・・・
>127 わかりました!!
悲しき戦線・・・第1話(2)
それは、帝国大尉のサイカーチスに2機のプテラスが取りついた直後だった・・・
帝国少尉「大尉!!大尉!!た、助けてくださ・・・」
レシーバーは途中で切れてしまった・・・
帝国大尉「少尉?!クソっ!!」
そー帝国少尉の相手はサンダースだったのだ・・・
サンダースは素早くサイカーチスの背後をとるとすぐさまミサイルロックをかけ
2発のミサイルを叩き込んだのだった!!
2発の対空ミサイルを食らったサイカーチスは粉々に吹き飛んだのだった・・・
サンダースはすぐさま味方機を探しその様子を見た・・・
サンダース「なかなかてこずっているな・・・」
1機のサイカーチスは2機のプテラス相手にてこずっているとはいえ
苦戦しているよーには見えなかった・・・いや、むしろ2機のプテラス相手に
優性な体制でいたのだった・・・
1機のプテラスの背後につくと、もう1機が背後につき射撃体制をとる前に前方の
プテラスに機銃を発射した!!
マーチン「うお!?右足被弾?!くそ!!ボディにもだ!!くそ!!出力が上がらん!!」
帝国大尉の放った銃弾はマーチン機に命中した!!致命傷とまでには行かないまでも
マーチンのプテラスは戦闘不能の状態に陥っていた・・・
もちろん、手負いのゾイドを逃がすわけなどなく、後方のプテラスの攻撃をかわしつつ
なおも、食らいついていく!!
帝国大尉「ふん・・・プレッシャーを与えているつもりなのだろうがその距離では
ミサイル攻撃はできまい!!その上前方の味方機のせいでベストポジションはとれまい!!」
サイカーチスは再び射撃を開始した!!
しかし、マーチンのプテラスはその攻撃を回避するだけの機動力を失っていた・・・
サイカーチスのお放った銃弾は見事にプテラスに命中した!!
プテラスの翼をもぎ取り、そして、ある致命傷弾を与えたのだった・・・
129 :
メカ生体:2001/06/16(土) 00:15
ふむり、段々良くなって来たっすね。
もう少し文章を推敲すれば良くなると思われ。あと誤字を無くそう。
がんばれage
というか、
帝国大尉「
とか括弧の前に喋っている人の名前を置いてあるのが、かなり萎え。
>>128の続きです・・・
悲しき戦線・・・第1話(3)
ロッキー「くそ!!マーチン!!マーチン!!脱出しろ!!」
ロッキーは呼びかけるが何の返事はない・・・
きりもみ状態で落ちていくプテラスを見ていたロッキーはプテラスの頭部・・・コクピットがないことに気づいた・・・
ロッキー「そんな・・・コクピットがなくなっちまっていやがる・・・」
そう、サイカーチスの放った弾丸はプテラスのコクピットに命中していたのだった・・・
もちろん、敵は放心状態になっているロッキーを見逃しはしなかった!!
帝国大尉「ばかが!!コンバットエリアでぼーっとしてるやつがあるか!!」
すぐさま、プテラスの背後につくと射撃体制をとった!!
しかし、それと同時に急上昇で向かってくるプテラスがあった!!
サンダース「ロッキー!!急降下しろ!!俺が割って入るぞ!!」
その声に素早く反応したロッキーはすぐさま急降下した!!
そして、サンダースはサイカーチスとのすれちがいざまに機銃を掃射したのだった!!
何発かサイカーチスに命中したが自分もまた何発弾を食らっていた・・・
帝国大尉「くそ!!油断してたぜ!!コンバットシステムがいかれたか・・これ以上の戦闘は無理だな・・・」
サイカーチスは機首を基地の方角に向けるとそのまま引き上げて行った・・・
一方サンダースのプテラスも戦闘はできなかった・・・
サイカーチスの放った弾が翼に命中しており、バランスが崩れていたのだった・・・
サンダース「ふー・・・引き上げてくれたか・・・それにしてもあのパイロット只者じゃないな・・・あの体制から撃ってくるなんて並の腕じゃない・・・あれ以上やっていたら・・・やばかったな・・・」
やっぱり、戦闘を主としていた方がいいのかな??
このあと、しばらく戦闘はないんだけど・・・
どーなのかな??
どーでもいいよ!!って言われそうだけど・・・
気になる・・・
133 :
名無し獣:2001/06/16(土) 10:47
130に同意。
かぎカッコの前に人名はいらない。
誰がしゃべったのかをかぎカッコの前後など文中で
表現できるといと思う。
「くそ!!マーチン!!マーチン!!脱出しろ!!」
ロッキーは呼びかけるが何の返事はない・・・
で、「くそ・・・」はロッキーが言ったということがわかる。
今後に期待しています。
よって、応援age
134 :
名無し獣:2001/06/16(土) 16:22
おいおい、なんだってこんなにマッタリしてるんだよ。
本当にここは2ちゃんねるか?
ガニメデ、続きが楽しみage!
135 :
メカ生体:2001/06/17(日) 03:06
2チャンのオアシスゾイド板 マタ〜リマタ〜リ
そう言えば赤羽さん来ないネェ、続きは来週末辺りかな。
なんにせよ、出来不出来関係無しで(どうせ匿名なんだし)、素人バトストをもっと読みたいぜ
みんながんばれー。
さいはんきぼんぬさんのプテラスの話しがなにげにヨカッタYo
カコイイ!!(・∀・)
>>131の続きです・・・
悲しき戦線・・・第1話(最終節)
サンダースとロッキーが基地につき傷ついたプテラスを格納庫に入れると
整備兵から驚きの声があがった・・・
「中尉?!どうしたんですか?!この傷は!?」
「すまないな・・・敵さんのすご腕にあたってな・・・どうだ??直せそうか??」
「ええ!!なんとかなりますよ!!それよりマーチンはどうしたんです??」
「そうか・・・おまえはマーチンと同期だったんだよな・・・」
答えを明確にしなくても戦場では十分に伝わるものもあるのだ・・・それは友の死・・・
「ええ・・・いいやつでしたよ・・・やつは役に立ってたんでしょうか・・・??」
「ああ!!俺の自慢の部下だよ!!」
「そうですか!!あいつも喜んでると思います!!あいつは中尉のことを尊敬していましたから!!中尉のプテラスはちゃんと直しておきますよ!!」
「すまないな・・・」
サンダースは少し歩いたとこで再び声を掛けようと足を止め振り向くと
先程の整備兵が声もあげずただ涙を流しながら損傷したプテラスのチェックをしていた・・・
お!?
また良くなってるやん?
同人出せば?オレは買うよ
誇りと刃と復讐と(1)
敵の進軍キャンプに奇襲に出て、幾分した時だった。
突然の遭遇戦。
最悪なのは、こちら側の索敵ミスで視界の悪い森の中で、相手に取って奇襲に近い格好になってしまった事。そして、相手の戦力を見誤った事。
「速い。何だ、あいつは!」
味方の通信回線から放たれるのは、ノイズ交じりの驚愕と絶望だけだった。
「うわ・・・うわぁぁぁぁぁ!」
断続的に上がる爆発と閃光、そして断末魔。
「こちらRR小隊歩兵班! 随伴していたゾイドは、全滅! 助けてくれ! 奴が! 奴が来る!・・・デスザウラーが!!」
味方の呼びかけもすでに意味もなく、混乱だけがそこにあった。
「状況を、状況を詳しく話せ。デスザウラーだと? そんなものがいる筈がないだろう!」
掛ける言葉は届く事はなく。状況は加速的に悪化していく。
「こちら、GK小隊・・・繰り返す、撤退命令を! 相手は、こちらの戦力を軽く超えている!」
指揮系統は、大いに乱れ。戦場はすでに殺戮の場だった。
「く、たった一小隊に三小隊が・・・! 撤退だ! 全小隊は、速やかに戦闘空域から離脱せよ・・・。」
それは手遅れに近かった。こうしている間にも味方は次々に命を散らしていく。
近距離レーダーに反応。それと同時に、相棒たる騎乗中のゾイド――獅子型のゾイド、シールドライガーに緊張が走る。
「何か来る?。」
森の中だというのにほぼ一直線にこちらに向かっている。
相棒が来るべき敵に対し身構えている。
そして、その感情が操縦桿を伝わってくる・・・。
―――マジか?―――
向かう所敵なしの相棒が、向かってくる敵に対し、何かを感じ取って緊張している。
そして、恐怖を感じている。
嫌な予感がした。だが、逃げ出すわけにはいかなかった。
「ハイド、ミゼルフ、左右に展開! 目標のいると思われる場所に射撃、速やかに離脱。こっち側に追い出せ! 我々は、他部隊の撤退までの時間を稼ぐ。」
何とか、意を決し仲間を援護する為に打って出たのがそもそもの間違いだった。
「了解。」
「えー、今、全部隊撤退だって・・・。」
森を抜けてそいつは現れた。禍々しいまでのデザイン、そして殺気。
二本足で立ち、その大きな顎を持った頭部を揺らす。
そして、天に向かって恐ろしいまでの殺気のこもった咆哮を吐き出した。
瞬間、己が体に恐怖が体中を駆け巡る。
相棒が、命令もしていないのに半歩下がった。
何かが違う。そんな正体不明の違和感が脳裏に掠めた。
相手にしない方がいい。直感がそう告げていた。
だが、しんがりを受け持ったのだ、逃げ出すわけには行かない!
「ちぃ、新型か!」
気力を奮い絞り攻撃を再開、敵に近付く為に森の中を疾走す。
仲間の援護射撃は巧みな動きで、全部避けられるか、掠めただけだった。
敵は、その機動力でこちらに襲い掛かると思ったが、仲間の援護射撃が止んだ間を狙って。どっしりとその場に構えた。
顎を突き出し、前傾の構えを取る。
不意に後方の味方より入電。
「こちら、アーリー1。データ解析終了。やばいぞ、アドッサ。信じたくはないが、空気中の荷電された粒子の濃度が通常よりも高い。敵は、恐らく・・・。」
味方の情報よりも先にそれを見た。敵の咥内で生成される光を。絶望に等しい光を。
そして思い出した。伝説の狂獣が備えていたという最悪の兵器を。
「収束荷電粒子砲だ・・・と?」
それが、すべてだった。
>>138 ありがとうございますー!!
これから戦闘がしばらくなくなるけど平気なのかな・・・
141 :
名無し獣:2001/06/18(月) 01:09
ガニメデ〜〜
誇りと刃と復讐と(2)
その日も朝から惑星Ziはいい天気だった。どのくらい良い天気かと言うと、外に出たくなくなるぐらい太陽が照っていた。まぁ、いつもの事だ。今の時期は乾季であり、しかも惑星Ziは数十年前の隕石衝突(グランドカタストロフィー)のおかげで、惑星全体の生態系に深刻なダメージを負っており、あらゆる緑が少なくなっていた。完全に砂漠化した所なんてのも数が知れない。
だが、西方(エウロペ)大陸アランド地方は、森林地帯の近い高原の事をさしていた。
石灰質が生み出す、凸凹の草原に突き出す石灰質の岩の群。
そんな中にP・A(ポイント・アランド)12前線基地はあった。前線基地とは名はいいが、要は前線維持の為に急造された簡素な基地であり、武装のみ他の基地には劣らないが、その他は最悪である。
「かー、やってられんなー。あぢー。」
アドッサはぼやきながら首からぶら下げていた水筒の水をあおった。
アドッサ・マークス中尉。ゾイド乗りでこの基地ではエース格の凄腕。叩き上げの中尉だ。黒の瞳に刈上げた黒の髪を持ち、ややがっしりした顔に不精髭。体格の方は筋肉は締まっているが中肉中背だ。惑星Ziの慣らしの刺青は炎を模した物が左頬に入っている。歳は二五歳。
ここはP・A12前線基地の格納庫入り口。格納庫といっても岩山に穴を空けただけの物で、鉄骨で補強されているとはいえ、地肌丸見えのなんとも危なっかしい格納庫である。
アドッサは空の格納庫を見ていた。
ため息を一つ。過去に思いを馳せる。
1週間前、そこに収めらていたのはシールドライガー。色は乗る者の趣味で、灰色。
シールドライガーとはライオン型の高速強襲用の大型ゾイドの事だ。その最高スピードは時速250qをオーバーし、前方に展開できるエネルギーシールドは通常の攻撃を弾き返す。そして、四肢に備えたストライククローと口に備えたレーザーサーベルが接近戦でその名の通り牙を剥く。要は敵の弾幕をEシールドで弾きながら高速で突撃して、接近戦で仕留め、敵の戦列を乱すのが得意のゾイド。その性質上、だいたい強襲や奇襲を担当する。スペックを見ての通り共和国軍では上位機種で、操縦にはある程度の熟練度と敵の弾幕を恐れず突進できるくそ度胸が必要となり、操縦者は『レオジョッキー』と尊敬の目で見られる事もしばしばだ。
しかし、最後に格納庫にあったシールドライガーは凄惨たる物だった。まず、左前脚部がなかった。たてがみに相当するEシールドジェネレーターもそのほとんどが損傷しており、尻尾も半分無かった。胴体にも深い傷跡が残り、両脇に展開できる8連装ミサイルポッドのギミックも完全に死んでおり、背部の2連装ビーム砲など根元から吹き飛ばされて無かった。どう見ても大破だった。だから今はもう無い。
「…。」
見上げた格好のまま、アドッサは手にした水筒をもう一度煽る。
「少尉。なくなっても俺っちの分はあげませんからね。」
>>137の続き・・・
悲しき戦線・・・第2話「報告と報告」(1)
「サンダース中尉!!ホーキンス司令がお呼びです!!至急司令室までくるようにとのことです!!」
「了解した!!」
用件を伝えた兵士はサンダースに1度敬礼をすると足早にどこかに向かって行った・・・
コンコン・・・
司令室のドアがノックされ中から「入れ」と声がかかる・・・
「サンダース中尉ただいま帰還しました!!」
サンダースは敬礼しながらホーキンスに挨拶をした・・・
「うむ・・・ごくろうだったな・・・早速で悪いのだが先程の戦闘についての報告をしてくれ・・・」
サンダースは先程の戦闘の状況を事細かに説明した・・・
「ということです・・・結果として1機のプテラスを失い、私のプテラスは中破、ロッキー少尉のプテラスも小破させてしまいました・・・そして何よりも大事な部下を1名失ってしまいました・・・」
サンダースが話し終えると僅かに沈黙があった・・・
「そーか・・・今格納庫より連絡があり2機のプテラスの修理に1週間程かかるそうだ・・・その間中尉には基地内待機という事になる・・・しばらくはゆっくりと体を休めてくれたまえ・・・それから今回の戦闘を報告書にまとめて提出してくれ・・・まー時間はあるんだ、ゆっくりやってくれていい・・・」
「はっ!!」
そういうとサンダースは敬礼を静かに部屋を出て行った・・・
「ふー・・・久しぶりの死者を出してしまったな・・・??」
ホーキンスはため息混じりに一緒にいたレオ副指令(階級は中佐)に話掛けた・・・
「そうですな・・・ここのところ帝国側もおとなしくしていた様子でしたから予想外でしたな・・・しかし、我が隊の索敵範囲まで敵さんが出てくるとは・・・しかもプテラス隊を事実上壊滅させてしまう程のすご腕のパイロットまで連れてくるとは近い内に何か動きがあると考えるのが懸命でしょう・・・」
「動きか・・・そろそろ敵も本腰を入れてくるのかな・・・??果たして何人生き残れるか・・・」
そのころ、司令室を出たサンダースは基地の外で青い空を見上げていた・・・
しかし、それは涙がこぼれないように顔を上に上げていたのだ・・・だが、「上を向けば涙はこぼれない」という説を裏切るかのように
涙はサンダースの頬を流れて行った・・・
>>123の続き 賑やかになりましたね。
「ガニメデ」(13)
レーダーレンジに白い斑点が1つ、また1つ、現れる。1つが2つになり、3つになり、4つ
に、5つに、そして瞬く間に輝点がレーダーレンジを覆い、白いモヤが掛かったようになっ
た。煌々と輝く星弾の下、何機かのレッドホーンはゴジュラスには構わず煙幕弾を撃ち、
自らの姿を眩まそうとしている。無駄なことだ。敵は俺達を狙い撃つ必要はない。ただ目
印へ砲弾を撃ち込むだけで良いのだから。的はあんなに大きいのだから。ウィッテは青白
い光の中で立ちすくむゴジュラスを見た。ほんの少しだけ頭を上げて、星弾が煌く空を見
上げているようだった。知っているか?ウィッテは心の中でゴジュラスに語りかける。こ
れからお前の頭上に、お前の仲間が放った砲弾が降り注いでくる。お前は、仲間に殺され
るんだ。ゴジュラスの赤い目は、急に明るくなった夜空を不思議そうに見つめている。無
人ゾイドに分かるはずもない。かわいそうな奴だ。だがな。ウィッテはレッドホーンを猛
然と加速させた。お前と心中するのは御免だ。
随所に配置された無人のゴジュラスは、共和国軍が仕掛けたとんでもなく高価なエサだ。
長く伸びきった側面への攻撃に備え、いくつかの区域に予め重砲の狙いを定めておき、そ
こに無人のゴジュラスを立たせる。敵の攻撃を受けたら本隊は反撃しながら徐々に撤退し、
囮のゴジュラス達はその場を離れずに出来るだけ多くの敵を拘束する。本隊が離脱し終え
た後に重砲兵隊は所定の区域に侵入した帝国軍を、ゴジュラスもろとも砲撃する。ゴジュ
ラスという好敵手を目の前にぶら下げれば、帝国軍は絶対に喰い付いてくるはずだ。目に
した敵は必ず倒す、という帝国軍の戦いに掛ける信念を利用した巧妙な罠。命あるゾイド
を捨て駒にした、卑劣な罠。だがどんなに共和国軍を罵っても、何の意味もない。ここで
は、殺された奴の負けなのだ。どんなに汚い罠であっても、それに陥り死んだ者には、何
事も言う資格はない。死ぬものか。ウィッテは少しでもゴジュラスから離れようと、レッ
ドホーンを走らせた。こんな所で、死んでたまるか。歯を食いしばったウィッテの耳に、
口笛のような甲高い音が聞えてきた。夜空全体が、鳴いているようだった。
逃げ惑うレッドホーン達。鳴き声に満ちた夜空を見上げるゴジュラス。破壊されたゾイド
と、くすぶる小さな火。腕や脚や頭をもがれた兵士達の死体。体が千切れて激痛に苦しみ
叫ぶ負傷兵。流れ出る鮮血と飛び散った肉片。乾いた大地。全てが、一斉に爆発した。
>>142の続き
誇りと刃と復讐と(3)
「中尉。なくなっても俺っちの分はあげませんからね。」
不意に後ろから声を掛けられた。だが、アドッサは驚きもしなかったし、振り返りもしなかった。ただし口元が動いた。
「ハイド・・・か。」
アドッサの後ろには確かにハイド・エミュリー曹長が立っていた。シールドライガーのパイロットであるために、位は曹長だが、少尉待遇である。戦時対応という奴である。
とはいえ、金髪の長髪が特徴の不良がそのまま軍服着てる感じがする青年。耳のピアスや、認識票に混じって首にいくつも掛けた趣味の悪いシルバーネックレスや手首のブレスレットがそれを盛りたてている。当然、軍服も適当に着ており、いい加減な雰囲気のする男だ。刺青は水と雷を模した物が両頬にきまっている。歳は18歳。結構長身だ。
「どっちかは知らんが、その時は奪い取るまでだな。」
「え、どっちって?」
一々、オーバーリアクションをしながら、ハイドはアドッサの隣に立った。
「水か…ゾイドか。」
「うわ、恐っと。俺の『オードリー』は譲らないすっよ。」
「お前の逃げ腰が移ってるライガーなど、こちらから願い下げだ。」
「戦略的撤退って言ってくださいよー。あん時はその方が正しかったっしょ?」
苦笑いしながら、ハイドもまた、格納庫を見上げた。
「にしても少尉の『ルーク』はよくもまぁ、ってなぐらい大破したっすけど。戻ってくるんすか?」
「…あそこまで大破したんだ。無理かも知れんな。コアがやられなかっただけ…生きているだけの状態だった。敗走を重ねる今の軍にあれを修復(レストア)できるだけの技術力が残っているとは思えん。」
コアとは人間で言うなれば、心臓に当たる部位であり、その部分が機能停止すると二度とゾイドは動かなくなる。修復不可であり、ゾイドという存在を支える未知であり神秘的な部分でもある。
「少尉のゾイドは? もしかして、後方でペン持ちですか?」
「まさか、補給部隊が新しい奴持ってくるとさ。慣らすのが大変だな。」
肩を竦めて、首を振る。
ゾイドは機械生命体だ。主人と認めなければ実力を発揮してはくれないし、言う事を聞いてくれない。ゾイドはFCS(火器管制システム)は、操縦者側に全権が握られているが、機体操縦系のスイッチ、レバーやスティックなどは馬で言うならば鞭みたいな曖昧な物が多く、意思疎通や一定の経験が必要となる。ゾイド乗りはそれを「慣らし」と言っている。
余談だが、気性の荒いものは一般に扱い難いゾイドと言う訳で、代表格としてゴジュラスが上げられる。気性の荒さは大きさに比例する事が多いが、アイアンコングなどは、割と大人しい大型ゾイドだ。
「シールドライガーは今所、どこも新規配備されてないって話ですから、今だとコマンドウルフっすかねー。」
機動力重視の狼型の中型ゾイドで、性質はシールドライガーに似ているが、中型ゾイドで出力が足りない為、シールドライガーより数段劣る。
「かもな。」
「もしキャノントタースだったらマジ笑わせてもらいます。」
砲撃戦を得意とする亀型の中型ゾイド、足は遅いが、背中の大型キャノン砲は遠距離攻撃が可能である。小型機の中は傑作機とも呼ばれているが、高速戦闘のエースと呼ばれるアドッサの戦い方向きではない。
>>145の続き
「それだったら、俺は軍辞める。」
とは言え、海を渡っているので今、辞めると本国に戻れないのだが・・・。
「案外、ゴルドス、ゴドス辺りも外せないですな。」
大型、小型ゾイド。共和国軍で一番普及率の高いゾイドである。性能は、並。旧型で特にゴドスあたりは民間にも払い下げられている。電子戦を得意とするゴルドスの索敵により、敵を把握、生産の楽なゴドスの大群で、何とかするというのが、共和国軍の戦い方である。消耗率も高く、敵である帝国の間では雑魚扱いを受けているとの話だ。
「…まぁ、どっちにしても、シールドライガーでも歯が立たないんだ…あのデスザウラーのパチモンには。ならば、案外何乗っても一緒かもな。」
「ゴジュラスでも寄越して欲しいすね。やっぱ。」
共和国最強の大型ゾイド。隕石衝突後の惑星Ziでは最強のゾイドの一つとして見られている。長年の名作機でもあるが、気性も荒く、乗り手を選ぶ事でも有名。
「あぁ、しかし、恐らく、ゴジュラスでも勝てまい。あいつの格好の獲物になるに違いないだろう。『あれ』が火を吹けば、大抵のゾイドは散る。確かに本国も何やってんだか。本国防衛のディバイソンでも回して欲しいよ。」
旧大戦で帝国軍のある機体に対抗するために開発される。共和国では珍しく閉鎖キャノピーを使用しており、分厚い装甲と前面に集中した兵装が特徴。特に17連突撃砲の一斉射撃は圧巻。
「ゴジュラスでもか、あいつに対抗できるユニットがいないのは辛いですね。なんしろ、弱点らしい、弱点がないんすから・・・。」
しばしの沈黙。アドッサは、また格納庫を見上げると水筒を傾ける。そしてふと、気付いた。目線だけを隣に立って同じように格納庫を見上げるハイドに向ける。
「で、なんだ。お前は何しに来た?」
「あぁ、基地司令が呼んでるすっよ。急ぎで。」
「早く言え。」
ハイドの後頭部を軽く叩くとアドッサは、格納庫を後にした
>>143の続きです・・・
悲しき戦線・・・「報告と報告」(最終節)
同時刻・・・帝国基地・・・
「まさか、君があれほどの痛手を負ってくるとはな・・・??」
「はっ・・・申し訳ありません!!」
帝国大尉マッキネスは先程の交戦の状況を報告するようにと司令官に呼ばれていたのだった・・・
「まーいい・・・先程本国より連絡があってな、約2週間後に補給部隊が到着するとのことだ。」
「補給部隊・・・ですか??いったいどのくらいなんです??」
「うむ・・・グスタフで20機・・・約1個師団程のゾイドにパーツ、歩兵隊・・・それに食料等だ・・・」
「1個師団を僅か20機で?!それではグスタフの負担が重なりすぎて速度が落ちて共和国のいい的になるじゃないですか?!」
そう、いくら帝国占領内であっても共和国のゲリラ部隊が時々出現し帝国の補給部隊を潰していたのであった・・・
「もちろん、それなりの護衛はつく!!高速部隊、機甲部隊、飛行部隊会わせて1個師団程だ!!そして、その護衛部隊もそのままこの基地に配備される!!」
「なっ・・・それでは本国の生産ゾイドの5分の1をこの基地にまわすということですか?!」
「そういうことになるな・・・」
「そこまでして一体何を・・・まさか?!」
「そうだ!!この補給が済み次第前方の防衛基地を叩きそのまま後方の生産基地を制圧する!!」
「そんな・・・これ以上戦線を延ばすのは危険過ぎます!!」
「我々にそれを判断する権利はない!!すべては上の人間が決めたことだ!!そして、君には1度本国に戻ってもらいそこでレドラーを受けとってもらい、そのまま補給部隊の上空援護部隊の指揮を執ってもらう!!」
マッキネスはその無茶苦茶な作戦に納得いかない様子だ・・・しかし、命令には逆らえない・・・
「いいかね?!マッキネス大尉!!」
「了解!!」
そして、マッキネスは1度本国へ戻って行った・・・
3週間後に発動される大規模作戦の準備の為に・・・
149 :
獣 :2001/06/20(水) 08:10
↑
2ちゃんらしい煽りを入れる前に
ここはこうした方がいいとかを言おうぜ(w
>>147 戦闘が無いときが勝負の分かれ目。
本当に面白いかどうかハッキリする。
頑張れ。
ガソバレ!(・∀・)
152 :
名無し獣:2001/06/21(木) 01:01
そろそろ更新?age!!(・∀・)
153 :
名無し獣:2001/06/21(木) 01:06
おれは147の続きに興味ある。3週間後の大作戦って!?
>>148 赤羽さんの更新があるまでの暇つぶしにでもなれば幸いです・・
>>149,150,151,152,153 ありがとうございます!!
>>147の続きです・・・
悲しき戦線・・・「絶望への序曲」(1)
あの空戦から1週間後・・・作戦発動まで残り2週間・・・
共和国側・・・
整備兵がサンダースの元へプテラスの修理が終了したたの報告が入った・・・
「サンダース中尉!!プテラスの整備が完了しました!!試運転をお願いします!!ホーキンス司令の許可も出てます!!」
「わかった・・・よし!!ロッキー久しぶりに空を飛ぶか?!」
「そうですね!!行きましょう!!」
そして、2機のプテラスは青い空に飛び立っていった・・・
「あれから帝国に動きがないな・・・」
ホーキンスは飛び立って行く2機のプテラスを見つめながらレオに話し掛けていた・・・
「そうですな・・・今のところこちらも動きようがないですからな・・・こちらにしてみれば幸運ですよ・・・先程本国より連絡があり3日後に補給隊を派遣してくれるそうです・・・」
共和国本国は以前の戦闘の報告を重くみて今まで補給部隊を出し渋っていたがこのままでは戦力を移動する前に基地が落ちると判断し補給部隊の派遣を決定したのだった・・・
「3日後・・・といことはこちらに到着するのは1週間後前後か・・・それで補給される部隊数は??」
「は!!シールドライガーが2機、コマンドウルフのカスタマイズ型を3機、プテラス1機、ゴドス、カノントータスがそれぞれ4機づつ・・・それに試験型ゾイドのストームソーダ1機に同じく試験型ゾイドのガンスナイパーが3機です!!あとは、パーツがそれに見合う分とされています!!」
「そうか・・・今までのことを考えれば上等なのだが・・・やはり少ないな・・・それに試験型ゾイドが4機も配備されるのか・・・??大丈夫なんだろうな??」
「その辺は本国を信じるしかないですな・・・あとはこちらでやるしかありません・・・それに帝国側に少し動きがあったそうです・・・」
「帝国側に??一体どんな??」
「今までは度々戦闘を挑んできていたのですがそれがここ1週間程前からぱったりと止んだそうです・・・」
「1週間前から・・・サンダース中尉が交戦した日を境にしているのか・・・単なる偶然か・・・それとも・・・」
ホーキンスは自分の中で何か嫌な悪感がしてならなかった・・・
そんな時、試運転を終えたプテラス隊が帰ってきたのだった・・・
>>146 過去に投稿した奴とほぼ同じ。知っている人は読まなくても大丈夫。
誇りと刃と復讐と(4)
そのゾイドの名をデスザウラーという。
過去に置いて、一時、最強の名を手にしたゾイド。旧大戦に置いて、今は亡きゼネバス帝国が開発したゾイドだ。
デスザウラーよりも強いゾイドは旧大戦末期には、確かに存在した。だが、ロールアウトしたばかりの一機でゴジュラス大隊を駐屯基地ごと壊滅させた伝説(エピソード)は今でも恐怖の代名詞として語り継がれている。
身体を強固な装甲で包み、すべての攻撃を跳ね返し、口内に仕込まれた大口径荷電粒子砲にて敵を焼き払い一掃する。また格闘能力も高く、近付く事さえままならない。また多くのバリエーションが存在した。
それまでの惑星Ziのゾイドの概念を塗り替えるゾイドであった。
その後、対抗ゾイドであるマッドサンダーが開発されるまで長い間、デスザウラーは多くの共和国軍ゾイドを破竹のごとき勢いで殲滅していった。
正に圧倒的な死と絶望を振りまく最悪の凶獣。
当時、その名を聞くだけで帝国軍兵士は昂揚し、共和国軍兵士は震えだしたとさえ、伝えられている。
しかし、奇しくも第三の月への隕石衝突(グランドカタストロフィー)で旧大戦はうやむやの内に終結。その時、多くのゾイドの種は死に絶え、デスザウラーもまた死に絶えた。また開発したゼネバス帝国は、その前にガイロス帝国に吸収される形で滅んでいる。
惑星Ziの者なら誰でも知っている事だ。
そして、デスザウラーその物は伝説だけ残し、歴史の闇に消えていった。
いや、消えていったかの様に思われていた。
しかし、少し前に共和国軍司令本部にある一つの情報が舞い込む。
ガイロス帝国に奪われた天導山の遺跡において、ガイロス帝国本国から大型のゾイドコアが運びこまれ、遺跡より発掘したシステムを用いて、復活させているという情報が入った。そして、その大型のゾイドコアこそ、デスザウラーのゾイドコアではないかと…。
現在、多くのゾイドが死に絶えた為に、最強のゾイドがゴジュラスである惑星Ziでは、デスザウラーに対抗できるゾイドはいない。
共和国軍司令部は戦々恐々とした。
現状、デスザウラーは一騎当千のゾイド。一機でも完成してしまえば、中央大陸での本土決戦も免れまい…。
共和国軍は苦しい手駒から精鋭部隊を一小隊引き抜く。そして奇襲作戦の決行する。
前線を突破し、守りの堅いであろう敵陣に突っ込んでいくだけの…帰還を前提としない作戦を作戦と呼んで良いのかは分からなかったが、奇襲部隊は「他に為す術はなし。」と残し出撃していった。
結果、作戦は辛くも成功した。多くのエースパイロット、いや、真なるゾイド乗りを失ってしまったが、復活途中のデスザウラーを見事に討ち果たし、遺跡を崩壊させた。
デスザウラー復活は確かに阻止された。
だが、すでに冷血の遺伝子は受け継がれていた…。
オーガノイドシステム。
古代にあったゾイド進化機構。デスザウラー復活計画にて、発見された機構。
特殊なプログラムを内包し、外部よりゾイドコアの出力を強化するシステムデヴァイス。出力の上がったゾイドは、進化を開始し、コア出力に見合う分だけのボディーを手にする。
結果、驚異的な能力を持ったゾイドが完成するのだ。
このシステムが惑星Ziに新たな血の嵐を呼ぶに大して時間は掛からなかった。
156 :
メカ生体:2001/06/22(金) 00:26
>>155
ゾイド紹介ばかりで話が進みませんな。
バトルストーリーを進めてくださいよぉ・・・。
がむばってくだスィー
>>157 うーむ、最初のうちは、「ゾイド」を知らない人間でも読めるようにと、説明文を入れた為にそんな事になってます。
ゾイドの説明自体はほぼ、これで終わりなのですが・・・。
お気づきの方も居るでしょうが、今回のこの物語の主軸はあのゾイドです。
今後は出撃前の慌しさを抜け、最終決戦までにいたりますが、
当分、戦闘シーンはございません。赤羽広々さんとは違った、ライトノベル感覚のバトストで行きます。
『レオダスター』アドッサと野良ゾイド『ルーク』の因縁が描ければと思ってます。
まぁ、かなりいい加減な俺的設定がゴロゴロしてますんで、一つご勘弁を。
158 :
名無し獣:2001/06/22(金) 01:51
>>156 155がどうしてバトルストーリーじゃないのかね?
俺は立派にバトストしてると思うけどね。
159 :
メカ生体:2001/06/22(金) 02:17
んにゃ
146から設定紹介が豊富(笑)で、
話が進んでなかったからそう書いただけ。
ストーリーを進めて・・・にすればよかったかね。
>157
初心者むけとは思い至らなかったッス。
ライトもヘビーも俺設定もなんでもアリのはずなんで
がむばってくだスィー。
>>T・I
悲しき戦線・・・「絶望への序曲」(1)
の続はまだか?
160に同意。
だんだんよくなってきているぞ。
なので、応援age
つまらないものはつまらないと言え。
>>154の続きです・・・
>>160,
>>161ありがとうございます!!2話連続で行きます!!
悲しき戦線・・・「絶望への序曲」(最終節)
帝国本国・・・
マッキネスは到着後すぐに司令部へと向かって行った・・・今だ不満な気持ちを引きずりながら・・・
「マッキネス大尉、ただいま帰還しました!!」
「ごくろうだったな・・・君のレドラーは格納庫に準備されている。それから君にはもう1機の高速ゾイドを用意してある・・・」
「高速ゾイド・・・ですか??セイバー・・・ですか??」
「いや、新型ゾイド、ライトニングサイクスだ・・・早速で悪いんだが君には明日出発する補給隊の護衛についてもらう・・・ここから君の基地まで1週間はかかるのでな、作戦発動日ギリギリなのだよ・・・詳細は大佐から聞いてくれ!!」
その後マッキネスは大佐に作戦室に連れて行かれ補給隊の行路等作戦内容を聞かされた・・・
そして、機体が置いてある格納庫へと案内された・・・
そこには、全身が真っ赤になっているレドラーと、ぞして今までの中型ゾイドより若干細身の見なれない黒いゾイドが立っていた・・・
マッキネスは見慣れない2体を見せられ僅かに戸惑っていた・・・
「この赤いレドラーは塗装されているのですか??それに、この細いゾイドは・・・」
マッキネスが言いい終わる前に大佐が嫌味口調で説明し始めた・・・
「面倒なので一気に簡単に説明させてもらうよ!!このレドラーは通常のレドラーの亜種だ!!基本性能からして通常のレドラーを遥かに上回っている!!そこに、ブースターキャノンを装備している!!この細身のゾイドがライトニングサイクス・・・まーもっともこいつはプロトタイプで大尉用にカスタマイズされているから量産型より断然に性能はいい!!しかし、このどちらも癖が半端じゃない・・・まーうまく使いこなせなければただ腕が悪いだけだ!!」
と、大佐の説明は終わった・・・マッキネスは明らかに「俺は嫌われてるんだな」と感じたのだった・・・
翌朝補給部隊は、共和国大型生産基地制圧作戦の為出発していった・・・
>>155の続き
誇りと刃と復讐と(5)
この基地で冷房が効いている場所は少ない。熱に弱いコンピューターの置いてある電算室と戦術指令所と基地司令執務室のみだ。この3箇所の内、アドッサは戦術指令所にいた。
モニターが各所に設置された戦術指令所、この基地の防衛の要だ。基地の周りに巧妙に設置されたたくさんのスキャナーがほぼリアルタイムでモニターに状況を映し出している。
「本当なんで?」
戦術指令室を見渡せる後方の一段高い司令席に小太りの中年親父が座っている。アドッサはその人物に聞き返した。
基地司令ディム・デー・スロイロット中佐。この基地で一番偉い存在である。
アドッサとは旧知の人間で、昔、士官学校時にアドッサをしごいたのが、このディムであった。早くに父親を亡くしたアドッサに取って、父親の様な存在だったし、ディムの方も我が子のように扱ってくれた。お陰で、アドッサは頭が全然上がらない。
「本当だ。先程、レドラ―が3機、基地の近くを通りすぎた。装備からみて強行偵察型だと判断した。そして飛来時より逃げ足も速かった。」
「それは、この基地が見つかったと…。なぜ、こちらも出撃しないんで。」口にして自覚する「…できないか。」
ディムがゆっくりと頷いた。
「そうだ。今、我が基地に飛行できるゾイドはプテラス一機だ。基地が見つかったという判断は間違いないな。相手の部隊がどの辺りに居るのかは分からんが、多分、一日以内にこちらに攻撃を掛けるだろう。」
プテラスではレドラーに対抗できるだけの能力はない。昔は対抗にレイノスと呼ばれる飛空ゾイドがいたが、これもまた隕石衝突のお陰で数が激減。現在、手厚い保護下にある。
「撤退しましょう。相手が悪すぎます。デスザウラーのパチモン相手にこっちが被った被害は尋常じゃなかった。俺も多くの部下を失なった。親父はそれ以上だ。」
ディムは押し黙った。
与えられた基地を放棄するなど、軍人として最低の恥以外何物でもない。
しかし、アドッサはいったん区切って、また続ける。先ほど、先任者が死亡した為にその任が回ってきた第三普通科連隊隊長としてだ。
「今、この基地の戦力は、シールドライガーが2機にコマンドウルフが5機、プテラス1機。ガイサックが6機、ゴルドス1機に、ゴドスが12機。ステルスバイパーが3機、カノントータスは5機。他はコマンドゾイドが何機か。歩兵も総勢100人足らず。今や、我々、陸軍第五師団第3普通科連隊も中隊以下の戦力ですよ。」
基本的に小隊は差はあるが小型ゾイドなら一〇機程度のゾイドで編成される。一〇小隊で一大隊。10大隊で一師団となる。だが、あくまで基本的に、だ。共和国軍は、国力回復のために軍備を縮小していたので、一〇大隊で一師団を編成することは希である。
「相手も機数自体は余り変わらん。それなりの打撃は与えているんだろう?」
ここの所、相手にしている敵の数は3個小隊だ。おそらく、帝国陸軍第六師団に所属するどこかの中隊だ。本大隊とは、別行動している部隊なのだろう。
目的はおそらくこの基地の破壊。ゲリラ戦を展開する我が軍の元から立つつもりなのだ。
動く要塞と呼ばれた重装甲拠点侵攻用大型ゾイドのレッドホーンGC(ガトリングカスタム)を主軸とし、高速戦闘ゾイドのセイバータイガー、その支援随伴ゾイドのヘルキャット。主戦用戦闘ゾイドのイグアン、モルガ、そして空戦部隊としてレドラーなどで編成されている。
そして、その中で一機だけ異様なゾイドがいた。
「しかし、圧倒的な性能差。やはりパチモンがネックだ。あのパチモン1機で戦況が一気に相手に傾いた。」
元々、第三普通科連隊には、大隊なので8〇機近い戦闘ゾイドがいた。だが、戦争が始まって、補給もままならず、6〇機まで数を落とした。
すでに全滅している大隊も数多いことから、運はいいのかもしれない。
しかし、あの中隊に遭遇して、最近、一気に三〇機に数を落とした。
基地の護衛として4小隊を置いて、3小隊でゲリラ戦に出かけての遭遇戦。
結果であるが、こっちがあっけなく負けた。相手はたった一小隊だったにも関わらず戦闘は物の一〇分足らずで蹴りが付いた。
そして命からがら逃げ延びた者の証言と機体に残されていた記録から、とんでもない事が分かった。
「収束荷電粒子砲、やはり、あれのおかげで士気が最低だ。」
>>163の続きです・・
悲しき戦線・・・「陽動作戦」(序節)
帝国の補給部隊は共和国の抵抗なくすんなりと目的地に到着しようとしていた・・・
「そろそろ、目的地の100km地点だな・・・よし!!本国に連絡しろ!!」
一体何の為の連絡なのだろうか??到着の連絡・・・??いや、ちがった・・・
帝国はこの補給部隊の進行を共和国に妨害されない為に各地で陽動作戦を展開するのであった・・・
>>164の続き
誇りと刃と復讐と(6)
「収束荷電粒子砲、やはり、あれのおかげで士気が最低だ。」
最初の一撃に放たれたのは、収束荷電粒子砲…。灼熱のプラズマを吐き出し、射線軸上の敵を全て薙ぎ払う凶悪な兵器の名称だ。放たれた最後、避ける以外に対処方がない。その熱量の前には、どんな強固な装甲すら無意味と化し、最強の防御方法と呼ばれるシールドライガーのEシールドですら、耐えきれない。
「本気でみんなデスザウラーだと思いましたからね。二度目の奇襲戦であれはパチモンだって分かっていただけで、荷電粒子砲という事実は消えませんから、恐がるのは無理も無い。特に足の遅いゴルドスとかのパイロットなんかには同情しますよ。」
「あいつに対処できるのは、今の所、ライガーだけか。・・・倒せるのかね?」
防御方法がないのであれば、回避しかない。言ってしまえば簡単な事だが、それをするのは、並大抵の事ではない。だが、シールドライガーは現在、共和国軍内で一番足の速いゾイドである。技量と数さえあれば、何とかなるのではないかとディムは思っていた。
「一対一なら無理です。挑んだ我が小隊もボロ負け、リーン大尉達のRR小隊は全滅ですからね。しかし、パチモン自身が機動力を持っているので…信じられますか? あいつ、二足歩行のくせしやがって、ライガーよりも速い機動性能を持ってるんですよ。喉元に食らい付くのは至難ですね。」
RR小隊は、尖兵としてDT小隊と双璧を為す小隊だった。シールドライガー3機とコマンドウルフ3機の混成部隊。隊長であったリーン大尉もライガーを操るにあたっては、文句のない腕を持っていた。
そして、アドッサ達の小隊は、全滅寸での所で、命からがら逃げ延びている。その時、アドッサは3名の部下と大切な相棒を失った。
「『ルーク』があの時、とっさにシールド全開で避けてくれなかったら、俺も死んでました。」
「あの時はどうしたのかね?」
「荷電粒子砲の直撃は免れましたが、その威力でシールドはショートして使用不可。地雷原に誘い込み、何とか逃走しました。レポートにも書きましたが、あいつは恐らく試験機扱いなんじゃないでしょうか。あれ一機でも充分、我々の追撃は可能でしたが、本隊から、離脱するような事はしませんでしたし。」
「そうか…それはともかく君の部隊の残った二体のシールドライガーは一応修理が完了した。DCS(ダブル・キャノン・スペシャル)ユニットの方もなんとか生き返った様だ。君の機体も今日の1200時に到着予定だが…。分からんな。びびって到着が遅れるかもしれん。」
「何が来るのかは、もうすでに確認済みなのですか?」
「いや、分からん。通信は一週間前から、封鎖に近い状態だからな。近く大きな作戦があるらしい。補給部隊もここのところ立ち寄ってない。だが一緒に新規部隊も配備されるとの事だ。空戦部隊だ。前回、プテラス隊が全滅したからな。」
「ミールもいい腕を持っていた…プテラスでレドラー相手は辛かったでしょうな…。」
「あぁ…ミール少尉はもう復帰するらしい。昇格して中尉になって新規部隊の隊長になるらしい。」
「そいつは吉報だな。しかし、さっき言った通り、撤退した方がいいんじゃないですか? 進軍キャンプはもう無い。二度の後退で前線はここまで来てるんです。」
「いいや、それはできん。どうも方面軍本部は本気でこの基地を、前線を死守する方向らしい。それに値する戦力をこっちに回すとの事だ。」
「そいつは心強いですな。本部の本気ってはいまいち信じられませんが。」
一瞬、静寂がよぎり、ディムの顔に陰りが落ちた。
「・・・オリンポス山を落とせなかった時点で我々はすでに負けていたのかもしれんな。」
アドッサは、怪訝な顔をして返した。恐らく、現在、どこかの戦場でろくでもないことが起きている。そう直感した。
「何かあったんですね。」
悲しき戦線・・・&誇りと刃と復讐といつも楽しみにしてます。
コピー誌で良いから同人出して(>人<)
「誇りと刃と復讐と」は現在、体制整え中。
最終戦はもう書ききったんだけど、
過去の場面が、思った以上に膨れ上がってる・・・。
>>167 無理ですなー。俺、地方者だし・・・。
そのうちまとめて、どこかにアップしますんで、
自分で紙に印刷するとかしてみると自作コピー本の出来上がり。
>>165の続きです・・・
悲しき戦線・・・「陽動作戦」(1)
共和国基地・・・
「補給部隊は翌日到着するとのことです・・・」
「そうか・・・しかし、この1週間どの地域でも戦闘も何もないとはな・・・何か気持ち悪いな・・・」
「そうですな・・・何か悪い事でも起きなければいいのですが・・・」
しかし、レオとホーキンスの願いは虚しくも打ち砕かれた・・・
突然基地の警報装置がけたたましく鳴った!!それと同時に1人の兵士がノックも無しに飛び込んできた!!
「報告します!!前方敵基地からと見られるゾイド部隊が80km地点まで進行中です!!機種は不明!!数は約50です!!」
「くそ!!戦闘部隊を直ちに出撃させろ!!」
ホーキンスはやはりこんなことだろうと予想していた・・・
「私もゴジュラスで出ます!!」
「よし!!レオ中佐出撃を許可する!!但しちゃんと戻ってこいよ!!これは命令だからな!!」
命令・・・一般的には命令は絶対である・・・しかし、こんな命令は気休め程度にしか役には立たない・・・
「もちろんです!!」
レオはホーキンスの心境を悟りはっきりと答えたのだった・・・
「カノントータス隊は長距離攻撃で敵を翻弄させろ!!高速部隊は隊列を崩したやつらから片付けていけ!!ゴドス隊は基地防衛とカノントータスの援護!!プテラス隊は対空戦闘が終わったら地上部隊の援護にまわれ!!何としても敵を追い返すんだ!!」
今の戦力で敵を全滅させるのはかなりの無理があった・・・
各部隊から返事が返ってくる!!
「任せといてください!!」
/0のサイドストーリーはダメですか?
戦争物オンリー?
>>171 んにゃ、別に新スレ立てることもないので、いいんじゃない?
つーか、読みたいので、投稿希望!
ディムは小声で切り出した。
「噂話として聞いてくれ、南西部にパチモンと小型の新型が一個中隊現われた。帝国の狙いは古代遺跡だよ。古代ゾイド人のオーバーテクノロジーを発掘する為にな…。まだ非公開だが…ゾイド一個大隊、南部前線方面に当たっていた第7師団の精鋭寄せ集めが、正面から激突して30分で敗北、1時間で完全に沈黙した。こちらの部隊には、あのゴジュラスMk2もいたらしい。」
ゴジュラスMk2は表向き共和国軍最強ゾイドであるゴジュラスを更にカスタマイズした最強中の最強と言うべき大型ゾイドだ。最近ではゴジュラスガナーとも言うらしい。格闘戦と得意とするゴジュラスに砲撃用のユニットを装備しているので全てのレンジでの攻撃が可能でもある。グランドカタストロフィーで数が激減したのだが、この戦争に数機駆り出されているというのは、アドッサも知っていた。
「南部前線は崩壊ですか…。」
「あぁ、向こうとしてもまだ物資の輸送が上手く機能していないおかげで前線を無理に押し進める気はないらしく、何とか食い下がらせてもらっているといった感じだな。こちらもゲリラ戦が頼みの綱という情けない状況だ。」
「戦線は悪化していくばかりですな。」
「こちらの新型開発は、予算縮小の為に遅れを取っているとの話だ。国の再建と前線維持に金を回し過ぎた付けだな。このままだと最悪、本土決戦もあり得る。」
息を吐く。
「いや、正しい判断だったのでしょう。それにしかなかったとしか言い様がないですが、敵にオリンポス山を奪取される訳にはいかんかったですから。」
オリンポス山は、会戦当時、重要拠点の一つだった。遺跡うんぬんは抜きしても大陸全土を見渡せるとさえ言われた山は、やはり両軍共に魅力的な拠点だったのだ。
「しかしもう実際に負け戦だ。デスザウラー復活は阻止したものの、あのパチモンは復活の最中に得られたデータを元に造ったと判断するのが妥当だ。」
「荷電粒子砲、元々、デスザウラーの代名詞とでも言うべき兵器ですからね。」
頭を抱えるようにして、ディムはつぶやく。
「…絶望、今の共和国軍に流れているムードそのものだ。実はな、補給部隊も来るかどうか分からん…。今、軍内部は滅茶苦茶に混乱して指揮系統が整っていない。すでに崩壊した前線も数多い。恐怖だよ。あるのは恐怖だけだ。ジェノザウラー…殺戮の名を冠した絶望の魔獣。」
「それがあのパチモンの正式名称ですか。」
「そうだ。」
ディムが手元にあったレポートを投げて寄越した。アドッサは難なくそれを受けとめた。
見やると、ジェノザウラーの詳しい報告データが書いてある。
すでに奴は一ヶ月以上も前に戦場に送り込まれていた。
そして、驚異的な性能データが書き込まれてあり、その下の対処方法の欄には「現在調査中。」とだけ書かれてあった。
「ジェノザウラー、デスザウラー…名前だけ見るなら確かに同じ系統でしょうな。受け継がれしは、冷血なる遺伝子ってところですか。」
肩の力を抜いて、アドッサはため息をついた。
そして、ディムは、それをじっと見つめて、何か、ふと思って天井を見つめると思い切って切り出した。
「それで、『ルーク』の件なのだが・・・。」
アドッサの周りの空気が変わった。
175 :
喪失:2001/06/26(火) 22:48
>>173の続き。
誇りと刃と復讐と(8)
「それで奴は・・・?」
『ルーク』とは、5年も付き合ってきたシールドライガーだった。
先の戦闘で、ズダボロにやられて、この基地では直せず大きな基地に移されたとの話だった。
「『ルーク』は、ロブ基地の整備ドッグに運ばれたよ。」
「西方大陸、最後にして最大の砦、ロブですか。」
西方大陸の東端にロブ基地はある。
共和国はロブ基地を足場として、西方大陸での戦争を始めたわけで、本国のある中央大陸と西方大陸を結ぶ輸送ルートの要でもあり、多くの前線を支える一大補給基地である。
故にあそこには、共和国軍の腕のいい整備士が揃っている。
前線では修理できそうもない兵器やゾイドは、ロブ基地に運ばれ、直され、また前線に突っ返されるわけだ。
「すまんが吉報ではないよ。話によると整備士は全員、さじを投げたとの事だ。」
「やはり廃棄処分ですか。」
望みを持っていなかったと言ったら、嘘になる。
だが、現実を突きつけられると、やはり、厳しい。
「いや、開発部が引き取ったとの事だ。奴は少々特殊なゾイドだからな・・・。」
「くっ。サンプル扱いか・・・。」
アドッサは相棒が、暗い実験場で腹の中まで解体され、調べられている場面を想像して、言い様もない怒りを感じた。
そんなアドッサをみて、ディムは悲しそうに首を振った。
「『ルーク』の事はもう忘れろ。お前にとって、半身を失った思いだろうが、戦友と死に別れるなどいう話は、この西方大陸にはどこにだって転がっている。それこそ死体の数だけな。」
「知ってはいます。だが、『ルーク』を失ったのは痛い。」
握り拳を作って、アドッサは下を向いた。
「確かに戦力的にはな。『ルーク』が居なければ、お前のゾイド乗りとしての魅力は激減だ。」
そして、ディムは、遠い昔を思い出した。
「彼女以外に『ルーク』を操れる者が居たというのは、当時にして驚きだった。」
「奴には手を焼かされました。」
アドッサも苦い顔をしながらも、昔のことを思い出した。
「あぁ『一ヶ月、猶予をくれ、俺が絶対、乗りこなしてみせる。』と直談判に来たよな、お前は・・・。」
しばらく、二人は昔のアドッサと『ルーク』の昔話に花を咲かす・・・。
「はは、あの時は傑作だったな・・・。」
「えぇ、そうでしたね。」
少しの間、思い出の中を探っていくうちに、ふと肩を落として、足元を見た。
「親父・・・俺は、奴に取っていい相棒だったろうか。俺は・・・奴のすべてを出し切れなかった。」
そんなアドッサを見て、ディムは、また首を振った。
「彼女は特別だったのだよ。まぁ、いい。今日はゆっくり休んで、敵の襲撃に備えてくれ。新規ゾイドが届かなかった場合、お前には、ここで戦闘指揮を取ってもらうことになる。」
「分かったよ。」
大きく、息を吸って、吐いて、アドッサはその場から立ち去った。
しかし結局、補給部隊は、来なかった。
ディムはその夜、撤退も視野にいれた作戦を皆に伝えた。
最近、ここが楽しみで2Chに来てるな
>>175の続き
誇りと刃と復讐と(9)
ミーティングも終わり、アドッサは、会議室を出た。
連隊長などいう大役を預かったせいで、今まで休みなしで作戦をまとめ、一々、作戦の概要を伝えた・・・肩が凝る様な思いだ。
息を吐く、あまりいい気分ではではない。相棒を失い、慣れない仕事。そして仲間たちの消沈した雰囲気。
ジェノザウラーの説明をした時、皆、その性能に愕然していた。
あれが量産体制へ完全に移行する事になれば、もう共和国に勝ち目はない・・・。
ジェノザウラーに対する対処法は、一応、無理はしない程度に足止めをする。遠距離攻撃に徹する。荷電粒子砲を撃ちそうになったら、逃げる。という消極的な行動をする事に決めた。
圧倒的な戦力差に、どの兵器、戦術をぶつけても意味がないからだ。
恐らく、奴が量産化テスト機体であり、あまり無理をしてまでこちらに攻撃をかけず、じわりじわりとこちらを嬲る様に攻撃をしかけてくるだろうというだけが唯一の望みだった。
「隊長、本当に撤退ですか? 私は、納得いきません。」
声をかけて来たのは、ハイドの続く、アドッサの部下の生き残りミゼルフ・ミニマ少尉だった。彼もまたレオジョッキー、真面目が軍服を着ている典型的な古風な軍人で、愛国精神にあふれている。中々、端正な顔の造りをしており、普段は伊達めがねをかけていた。シールドライガーDCS『セラフ』を扱い、正確な射撃の腕は、アドッサも信頼を寄せていた。
「あのなぁ、ミゼルフ・・・。説明したろ、この基地にはもう、あの中隊とやり合うだけの能力はないんだ。」
ミゼルフは根が真面目なだけに、苦い顔で諭すようにアドッサは応えた。
「我々の任務は帝国の脅威から共和国を守る事です。ここで、踏ん張ってみせないと、後方の仲間が・・・。ジョニーも、ラオも、キース、彼らの死が無駄になります。」
先の戦いで失った部下の名前だ。全員、コマンドウルフの操縦者だった。
全員、警戒の尖兵として、編隊の前部を担当しており、ジェノザウラーに真っ先にやられた。同じ小隊であったアドッサ達のライガー三機はその後ろに続いていたのだが、敵はライガーに挑むのは得策とは思わなかったらしく、そのまま、別に部隊に攻撃を仕掛け始めた。アドッサ達はその場で遠距離攻撃の足止めを食らったために仲間を助けられなかった。
「そんな事、言うな。分かりきった事だからな。」
「『レオダスター』の名が泣きますよ。」
「お前までそんな事言うか。」
アドッサは、更に苦い顔をした。
長いので分けた。
>>177の続き
レオマスター、シールドライガーを駆るレオジョッキーの中でも特に優秀なパイロットに送られる憧れの称号だ。旧大戦の頃、ある戦線の戦況を覆したシールドライガー突撃部隊全員に送られたのが最初であり、なごりで戦争のなかった時代でもその称号は共和国軍で脈々と受け継がれていた。現在7人ほどいる。また、シールドとレオの紋章を授かる。
実は戦争が始まる直前ぐらいにアドッサ中尉も階級アップと共にその称号に選ばれた事があった。ただし、それを名乗っていられたのは、たった一ヶ月である。
レオマスターはその強さの証としてシールドライガーDCS―Jと呼ばれるカスタマイズされたシールドライガーを受理することになる。
DCS―J。DCSとは、ダブル・キャノン・スペシャルの略で腹部ギミックに搭載された大砲二門を積んだ兵器ユニットの事を指す。Jとはジェット、内部機関を強化したと言う意味だ。
DCSユニット搭載に伴い、20t近くも機体が重くなった為に通常であるならばライガーの機動力は落ちる。しかしDCS―Jは、それを「内部機関を徹底的に強化する」という事で補うという、無茶苦茶な発想の元、カスタマイズされた機体だ。
だが、無理をした結果、非常に扱いづらい機体と化し、乗りこなせる人間が極々少数に限られた為に製造はたった7機で終わった。レオマスターが七人しか居ないのもその為である。
扱いづらいが、当然、乗りこなせれば強い。レオマスターの称号を授かった人間はそれを当然、扱ってみせた。レオマスターの証であるこれにケチをつける者など今までは居なかった。
だが、10分ほど試運転をしていたアドッサ大尉は、突然格納庫に戻ると整備兵に、後に伝説となる台詞を言い放った。
「DCSユニットが重い、外せ。」
上層部はこれに対し心良く受け止めなかったし、何より技術班の反応が良くなかった。DCS―Jは、DSCとJで一つの完成形であるのだ。示しが付かないからユニットを付けたままで納得しろと、再三勧告したのたが、アドッサはその度に「俺の愛機は最速である必要がある! というか『ルーク』の方がいい!」といって突っぱねた。
そうこうやっているうちに一ヶ月が立ち、いきなり戦争が始まった。帝国が西方大陸に侵入したとの報告を受けた共和国は、軍を至急西方大陸に送る事を決定した。
上層部は優秀ではあるが問題のあるアドッサをこの派遣軍に入れる事に速攻で決定。レオマスターの称号の剥奪、DCS―Jの返却、おまけで特進取り下げで、西方大陸行きの輸送船に彼の小隊ごとぶち込んだ。
しかし、レオマスターの称号こそ失った物の、称号より自機に対するこだわりに掛けた事にほんのちょっとの尊敬と、多大なる皮肉を込めて皆、彼をレオマスターをゴミ箱に放った男、『レオダスター』の愛称で呼んでいた。
>>170の続きです・・・
悲しき戦線・・・「陽動作戦」(2)
カノントータス隊・・・
ここに配備されているカノントータスは長距離用大型レーザー砲以外に武器は装備されていない・・・
そのかわりレーダー類が多数装備されてあり精密射撃が可能となっている・・・
「よーし!!高速部隊がやりやすいように敵を散らすぞ!!まだ、直撃させようなんて思うな!!敵を散らすことだけを考えればいい!!射程圏内に入ったら各個射撃を開始しろ!!」
隊長であるマックは的確に指示を出した・・・
高速機動部隊・・・
配備されている、シールドライガー、コマンドウルフは全て装備がことなっている・・・
それぞれのパイロットが自分の能力を最大限発揮できるようにカスタマイズされているのだ・・・
そして、この部隊長・・・ロイド、実はあの帝国大尉マッキネンとは幼馴染であった・・・・
皮肉な事に所属する部隊は両国に別れてしまった・・・
そして、この戦闘が悲劇の幕開けになるとは今の2人に想像できるはずがなかった・・・
「よし!!カノントータス隊の砲撃後散らばった敵を潰して行くぞ!!いいか?!基地には防衛用のゴドスしかいないんだ!!何としても基地と接触するまえに敵を追い払うぞ!!攻撃目標は各小隊長に任せる!!くれぐれも的の取り合いはするなよ!!」
ロイドが部下への指示を終了すると同時にカノントータス隊の砲撃が始まったのだった!!
180 :
名無し獣:2001/06/28(木) 03:19
赤羽氏はどこに行ったのだ?
一週間以上の更新がないっす。
生きてますかぁ?
レオダスター!
何か、かっこええ!
182 :
弔い:2001/06/29(金) 01:13
>>178の続き
誇りと刃と復讐と(10)
遅い夕飯の後、アドッサはまた昔、『ルーク』の居た3番格納庫に来ていた。
何もない格納庫を見上げる。
何も考えず・・・。時間に身を任せる。基地内の慌しい動きが、遠く感じられる。
撤退を含めた基地の対応は、ゾイドのパイロットを除いた総動員で今も行われている。
ゾイドも方も急ピッチで整備、基地防衛用に換装を受けている。
そして方面軍本部からの連絡もなく。
こちらからの呼びかけも「基地を死守せよ。援軍は送った。」との連絡のみを返してくるという。無論、援軍など影も形もない。
アドッサは手にした物を見やる。
ブランデーとグラスが二つ。ブランデーはそこそこな値ごろなもので、アドッサが持っている酒の中では、一番上等なものだった。
不意に後ろで足音がした。複数の音、恐らく二名。振り返って確認する。
「やっぱ、ここじゃん。言ったっしょ。」
「中尉・・・。またここですか。」
聞きなれた声だった。暗がりの中から現れたのはアドッサの小隊の部下の生き残りハイドとミゼルフだった。
二人ともアドッサとは違い、パイロットスーツ姿だ。
彼らは敵がくれば、出撃をする。アドッサは後ろから指揮を執るのみだ。
「こんな時間にどうした、休息命令が出てるはずだが。」
「いえ、眠れないものでして、夜風に当たろうかと。」
というミゼルフの隣で、ハイドは目ざとく、アドッサの手にした物を見つけた
「あー、隊長、酒なんか飲んでる。」
一応飲酒は、いつ敵が攻めてくるかどうか分からない待機命令中は禁止だ。
というか、アドッサ自らがその指示をミーティングで出している。
「正確には、まだ飲んでない。一杯だけだ。お前らもやるか?」
ブランデーの瓶を掲げてみせる。
「飲みますよー。」などとハイドはいつもの通り答えたが、ミゼルフは、その顔を濁らせた。その誘いの意味を理解したようだ。
「・・・弔い酒ですか? ルークの廃棄処分が決まったんですね。」
「あぁ。奴とは長いからな。」
アドッサはブランデーをグラス半分、注ぐとその場に置いた。
そして残ったグラスにも半分、注ぐと天に掲げてから一気に飲み干した。
喉を焼く液体が、アドッサに胃の中に押し込まれる。
「そーいや、隊長と『ルーク』の話ってあんまり聞いたことないっすよ。5年も付き合えば、何かいろいろ会ったんじゃないっすか?」
グラスを受け取りながら、ハイドが尋ねた。
「話した事はなかったな。」
アドッサは、空を見上げた。そこには満天の星空が広がっていた。
「弔いついでに特別に話してやろう。まぁ座れ。」
そう言って、最後にミゼルフにグラスを渡すと、近くにあった岩に腰掛ける。ハイド、ミゼルフもそれに習う。
「そうだな、出会いからだ。それには『ライトニングクィーン』、この名を出さなければ話は始まらない。」
>>182の続き
誇りと刃と復讐と(11)
6年前。
当時、アドッサの所属していた第二十一師団駐屯基地で、『ライトニングクィーン』の名を知らぬものはいないと言っても過言ではなかった。
次期レオマスターの順番待ち中でも確定候補とも呼ばれていた、レオジョッキーの有力株にして若い女性。これだけでアリア・ウェール大尉の名を知らぬ者はいなかったのだ。
速度に対し異常な執念を燃やし、愛機たるシールドライガー『ルーク』を駆け、走りぬく様はまさに光のごとく。
彼女は、状況把握能力と反射能力に優れ、瞬時にゾイドに最適な的確な指示を与える。
動きにまったくの無駄がない上に、相棒たる『ルーク』の潜在能力(ポテンシャル)は、異常に高かった。
『ルーク』はいわゆる野良ゾイドだった。野良ゾイドとは、正確には野生帰化ゾイドと呼ばれ、グランドカタストロフィーが起きた時点で厄を何とか免れた物の、放棄されたゾイドが、何らかの原因で自律系統を再獲得し、自然に戻っていたゾイドである。非常に珍しく、捕縛された個体数は、更に珍しい。その固体能力は、保護されていたゾイドを上回る。
現に『ルーク』はシールドライガーの平均最高時速である250q/s以上の275q/sを叩きだす。しかし、その反面、非常に気性が荒く扱い辛い。いかに高い潜在能力を持とうとも引き出せなければ意味がない。だが彼女はそれを十二分に引き出していた。
そして彼女を有名にしていた事実は、もう一つあった。
彼女は、実に気高く、美しかった。
それが彼女が『光速(ライトニング)』にして『女王(クィーン)』と呼ばれる由縁だった。
>>183の続き
誇りと刃と復讐と(12)
アドッサは、まだゾイド乗りとしては駆け出しで、中尉などではなく、准尉だった頃だ。
士官学校を優秀な成績で卒業したアドッサは、第二十一師団・第二普通科連隊・第一高速機動小隊。別名LQ小隊に配属されていた。
主戦力にシールドライガー3機、随伴支援にコマンドウルフ3機、オーソドックスな部隊配備だ。ちなみに随伴歩兵は居ない。
その第二十一師団駐屯基地。正式名称レッドリバー方面第三基地。
訓練場という名の赤地の地肌が丸出しの荒れ果てた大地を、二機のゾイドが砂埃を舞い上げて疾走していた。
近くにミネラルを多く含みすぎた為に赤く染まった河が流れており、日もまだまだ高く、焼け付けるような太陽が照っている。
コマンドウルフとシールドライガー。
二機は、お互いの距離を取りながら、射撃を繰り返している。
コマンドウルフの方は、真っ赤に汚く染まっている。元々下地が白である筈、このコマンドウルフが赤いのは・・・。
岩の裾に隠れる直前にシールドライガーが背部のニ連砲が放った弾丸がコマンドウルフの右前脚に被弾する。弾丸は弾けて、赤いペイントをべっとりと被弾箇所にぶちまける。
・・・赤いのは先ほどから、何回も撃破された証拠なのだ。
負けじとコマンドウルフも撃ち返すのだが、灰色のシールドライガーには、先ほどから一発も当たってくれない。
コマンドウルフがシールドライガーの下位機種である事を差し引いても、シールドを張らないシールドライガーのパイロットの腕は相当の物だ。
ウルフが狙いを定めて背部のライフルを撃った瞬間、また被弾。今度は前左足。無論、ウルフの弾丸は、ライガーに当たるはずもなく虚しく近くの岩にそのペイントをぶちまけた。
「射撃体勢が甘いから、次の動作にすぐに移れないのよ。 はい次!」
ライガーの方から檄が飛ぶ。
今度はウルフは、接近戦に移行するために機体を左右に振りながらライガーに突っ込んでいく。
ライガーは何を思ったか、その場から動かない。
ウルフが射撃するその瞬間に、ライガーは最小限に右にずれるだけ、それだけでペイント弾は脇をすり抜け、どこかに飛んでいく。
ウルフはそのまま直進し、咥内に仕込んであるエレクトロニカルバイトの一撃を首筋に決めようとするも、ライガーは右足一つでそれを防ぎ、ウルフを横に薙ぎ倒した。無様にウルフが一つもんどりうって地面に叩きつけらる。
>>184の続き
「ダメージリポート!」
「ゾ、ゾイド、操縦者とも損傷軽微です。機動には問題なし。」
「無闇に突っ込んだって、無駄。今のは踏み込みが甘い。速度がない。初速が遅すぎ。次!」
ライガーが走り出す。ウルフも何とか立ち上がって併走する様に走り出す。ライガーの方が速度を調節しているのか、二機はしばらく凸凹の大地を併走する。
ウルフの方は、小さな障害物に四苦八苦しているらしく、なかなかトップスピードに乗れていないようだ。対するライガーは余裕の身のこなしで、ウルフの速度に合わしている。
「少なくとも100mは先を見なさい。無闇にゾイドに鞭を打つだけじゃ、速度は出ないわよ。まぁいいわ、次!」
ウルフが併走したまま、背部のニ連砲を機体に対し直角に砲塔を旋回させ、放つ。
次々と連射。
しかし、ライガーは走りに微妙な緩急をつけてそれをすべて避けさる。
「砲撃の反動も計算に入れなさい。3時方向に撃つなら9時方向の足に踏ん張りを入れるように事前に教えないと駄目。連射するなら、無論」
確かにウルフの足元がおぼつかない為に、スピードが微妙に落ち始めている。
次の瞬間、ライガーはその場で左足一本だけ置いて跳ねると横転、機体の向きを瞬時に180度回転させて、その場に爪を叩きつけ踏ん張り、急停止。
そして、体を丸くして体をバネの様にしならせて急発進。
慌てて、ウルフの方も旋回を始めるもの、少し場所が悪く、旋回の軌道が大きくなった為に近くの岩に側面をぶつけた。小さな擦り傷が装甲に刻まれていく。
「旋回はもっと細かく! まぁいいわ、今日はここまで。」
「まだ、やれます。」
「駄―目。コマンドウルフがへそ曲げて、フリーズするよ。ただでさえ、ペイント塗れで機嫌悪いのに。」
ライガーはその場に止まると、ウルフは、ゆっくりとライガーに近づき、その横につける。
ライガーの頭部のキャノピーが開放し、中のパイロットが姿を立ち上がり、ゆっくりとウルフの方を見やった。
ウルフの方もキャノピーを開ける。
「まぁ、まだまだね。アドッサ。」
ライガーのパイロットがヘルメットを取ると、汗でしっとり濡れた長いプラチナブロンドが宙に舞った。
あの脅威的な機動をこなしていたとは思えないほど、美しい女性。
手にした水筒のストローを咥えて、額の汗をぬぐった。
アリア・ウェール大尉。27歳にして、驚異的なゾイド乗り。
「大尉には適いませんよ。今日も『ライトニングクィーン』の名が伊達じゃない事は良く分かりました。」
ウルフのパイロットの方もヘルメットを脱ぐ、若き日のアドッサ・マークスだった。この時、歳はまだ19歳。
「ばーか、本当の『ライトニングクィーン』はあんなものじゃないわよ。まぁいいわ。帰りましょう。」
「整備に怒られますかね。」
アドッサは苦い顔して、操縦席の中でウルフを見回す。無論、見えはしないのだが、想像ぐらいは付く。きっとボロボロだ、と。・・・事実、その通りだ。
対するライガー『ルーク』には傷一つなかった。恐らく簡単な調整だけで整備は終わるだろう。当然だ。一発もペイント弾に当たっていないし、『ライトニングクィーン』が機体に擦り傷を付ける様なヘマは当然しないし、訓練ごときで無理な機動をする事もほとんどない。最後のアクセル(180度)ターンを除けば、だが。
「当然でしょ。おやっさんにこってり絞られてきなさい。ペイント洗浄、自分でやらされるぐらいは覚悟なさいな。」
それだけ言って微笑むと、彼女はもう一度ヘルメットを被りキャノピーを締めた。
「うはー、了解。」
アドッサもキャノピーを締めると ライガーの後に続き、基地に帰還した。
ライトニングクィーン!?
二つ名ってカッコ良い…
赤い彗星とかソロモンの悪夢とか
しかし、自分で書いといて、何だが長過ぎ。
いつになったら終わるんだ。
今の調子で行くと、30は超えそう・・・。
うざがられる前に止めた方がいいのか?
それと訂正
>>183の速度の単位km/sじゃくて、km/hだったよ・・・。
秒速250kmなんか出したら、パイロットが死ぬ。
>>187 大丈夫っすよ!!
楽しいし!!
俺なんかただ、書いてるって感じだけなのにまだまだある・・・
>>179の続きです・・・
悲しき戦線・・・「陽動作戦」(3)
「ロイド!!予定通り敵は散らしたぜ!!この砲撃で敵の数は減ってない!!それに敵部隊が大体わかったから報告しとく!!アイアンコング2機セイバータイガー4機ヘルキャット10数機にイグアン、モルガの混成部隊だ!!あとは飛行ゾイドがいるようだが数と機種はわからん!!アイアンコングは我々で潰しておくからあとは任せたよ!!」
マックは相変わらずの気楽口調で報告を済ませたのだった・・・
「了解!!そいうことだ!!皆聞いてたよな??各小隊ごとに攻撃開始!!カールソン!!ヘンリック!!マーベリック!!行くぞ!!」
ロイド達は最初の目標に右前方にいるヘルキャット4機を選んだ・・・
彼らはどこから飛んでくるかもわかない砲弾をかわしつつ一目散に目標へと向かって行った!!
「ロイド隊長!!ヘルキャット隊にセイバーが1機加わりました!!」
「よし!!お前達はヘルキャットを殺れ!!俺はセイバーを片付ける!!」
マーベリックは装備されているミサイルポッドを全弾発射しセイバーダイガー達を分散させた!!
最初に仕掛けたのはゾイドだった!!
彼はセイバーダイガーに接近しながらガトリング砲を放っていった!!
しかし、それはセイバータイガーには当らない・・・セイバータイガーも反撃をしてくるがロイドもまたそれをかわしていった・・・
その頃各場所でも火蓋が切られていた・・・
圧倒的な物量で流れ込んでくる帝国に対し共和国は戦線を後退させる事無く1機づつ確実に倒していった・・・
「くそ・・・砲撃戦じゃらちがあかないな・・・なら・・・」
ロイドが乗るのコマンドウルフとセイバータイガーでは圧倒的に力の差がある・・・その為無闇に格闘戦に持ち込むのは危険である・・・
また、この混戦の中流れ弾に当らないとも限らないので動きまわることも制限される・・・
その為、ロイドはガトリング砲でセイバータイガーの回避地点を予測してバランスが崩れるのを見計らっていた・・・
そして、ついにセイバータイガーが一瞬バランスを崩すとロイドはそれを見逃さずにセイバータイガーの懐へと飛び込んだのだった!!
「よし!!行けるぞ!!」
ロイドは懐に飛び込むと同時にガトリング砲をセイバータイガーの体へと撃ち込んだ!!
無残にもセイバータイガーは頭部と腹部をメチャメチャにされるとその場へと倒れ込んだのだった・・・
ロイドは仲間の様子に目を向けると3名の部下達もちょうどヘルキャットを撃破したところだった・・・
「このまま前方のイグアンに仕掛けるぞ!!攻撃してくる奴らは片っ端から潰して行け!!」
ロイド達は周りに攻撃を仕掛けながらイグアンへと向かって行った・・・
その時だった!!
後方から爆発が起き「何か」の残骸が飛んできたのだった・・・
ロイドはその「何か」が自分の部下の機体だということをすぐに悟ったのだった・・・
>>187 長くても、それを読ませる文章力があれば大丈夫!
少なくても俺は読み続けるよ。
>>189 後半がいまいちカナ?(偉そうでゴメン)
ロイドは懐に飛び込むと同時にガトリング砲のトリガーを絞る。
毎秒80発連射される弾丸がセイバータイガーの体へと吸い込まれ、一瞬前まで頭部と腹部だった空間を作り出し
セイバータイガーだったはずの残骸は土煙と共に大地に横たわった。
ロイドは仲間の様子に目を向けると3名の部下達もちょうどヘルキャットを撃破したところだった…
「このまま前方のイグアンに仕掛けるぞ!!攻撃してくる奴らは片っ端から潰して行け!!」
ロイド達は周りに攻撃を仕掛けながら目標へ向い愛機を駆り立てる。
その時だった!!
後方から爆発が起き「何か」が視界をかすめ、大地に転がる。
ロイドはその「何か」が 無残に破壊された部下の機体だとだということをすぐに悟ったのだった…
どう?(勝手に改定してマジすまん。)
>>190 いえいえそんなことないっすよ!!
やっぱ他の人の意見も大切ですからー!!
>>191 また書いてくれな♪期待してるぜ!
俺は書きより描き専だから。
193 :
名無し獣:2001/06/30(土) 13:46
ガニメデはまだかな?
>>189の続きです・・・
悲しき戦線・・・「陽動作戦」(最終節)
「誰がやられた?!どこからの攻撃だ!!」
ロイドは誰に聞くというわけもなく声を荒げて言った・・・
「マーベリックです!!攻撃は基地付近のアイアンコングからです!!」
ロイドは半ば信じられないという面持ちで確認をすると確かにそこには黒煙を上げながらも今だ闘志を失っていないアイアンコングと何機かのゾイドがいた・・・
「アイアンコングだと!?カノントータス隊は何やってんだ?!おい!!マック!!何をしてるんだ!?アイアンコングはそっちで潰すんじゃなかったのか?!」
だが、何の返事も返ってはこなかった・・・
「おい!!マック!!そんな・・・うそだろ・・・」
ロイドは最大望遠で基地を確認した・・・
そこには黒煙と炎を上げ沈黙しているカノントータスとゴドスが転がっていた・・・
カノントータス達はロイドがセイバータイガーと交戦しているときに速攻を仕掛けてきたセイバータイガーとヘルキャットによって全滅させられていたのだった・・・
「なんてことだ・・・こんな混戦では・・・ろくに交信もできないこんな状態で戦っていても・・・」
ロイドは最悪の状況が目に浮かんでいた・・・
その直後基地付近にいたアイアンコングと数機のゾイドが爆発と共に吹き飛ばされたのだった・・・そして、その煙の中から1機のゴジュラスが姿を現した・・・
「何をしているんだ??ロイド!!まだ戦闘は続いているんだぞ!!部下を殺す気か!!」
はっきりととした口調でロイドに呼びかけた・・・それはゴジュラスで出撃してきたレオからだった・・・
「副指令・・・?!」
「基地付近の敵は俺が何とかする!!防衛にあたっているゴドスだけではもう基地は守りきれんぞ!!主力のお前達がそんなことでどうする気だ?!早く敵を片付けろ!!」
ロイドは自分で1発顔を殴り気合いを入れ直すをいつもの引き締まった表情に戻ると同時に接近してくるイグアンに対しガトリング砲を掃射した!!
大型ゾイドでもこれを食らえばただではすまない・・・小型機であるイグアンは跡形もなく消し去られたのだった・・・
「すまなかったな・・・大型ゾイドの反応はもうない!!小物を片付けるぞ!!」
ロイド達はさらに攻め込んで来る帝国ゾイドに向かって行った・・・
しかし、戦力の差は圧倒的だった・・・
帝国ゾイドを半分程倒した時点で共和国軍はじりじりと後退をし始めたのだった・・・
共和国軍には満足に戦闘ができるゾイドが1機も残っていなかった・・・
損傷が激しく基地に帰還する者・・・狙い撃ちにされる者・・・
中には弾が切れ格闘戦に持ち込んでいる者もいたが満足には戦えてはいなかった・・・
ロイド達も例外ではなかった・・・
損傷こそしてはいなかったが全員が弾切れで格闘戦に持ち込むしかなかった・・・
しかし、状況は最悪でロイド達は帝国ゾイド10数機に囲まれ攻撃を回避するので精一杯で攻撃をする所ではなかったのだ・・・
「くそ・・・ここまでか・・・」
ロイドは内心でそう呟いた・・・
しかし、そういう訳かロイド達を取り囲んでいたゾイド達が撤退を始めたのだった!!
いや、ロイド達の周りだけでなく優勢の状態だった帝国軍が一斉に撤退していったのだった・・・
「隊長??どういうことでしょうか??敵が引き上げていきます!?」
「わからん・・・が今の我々にはどうすることもできない・・・撤退しているとはいえこちらには1発の弾も残っていないのに追撃はできんからな・・・」
優勢に立っていた帝国軍が撤退した理由・・・それは今回の目的であった補給部隊が無事基地に到着したからだった・・・
その為この戦場以外でもいたる地域で帝国は撤退していったのだった・・・
「すまなかったな!!もう、大型ゾイドの反応はない!!小物を片付けるぞ!!」
最後の一行なに?
>>197 おお!!
自分で見てもびっくりした・・・
多分途中で書きなおしたところが残っていたみたいです・・・
すいません・・・
何かの複線かと思った(笑)
こんな引きかたするとは、腕をあげたなって(w
200 :
6年前:2001/07/02(月) 00:22
>>185の続き
誇りと刃と復讐と(13)
アドッサは基地に帰還後、たっぷり整備のおやっさんに絞られ、軍隊名物の腕立て300回をやらされた後に、ウルフの洗浄。大雑把な所は洗浄機があるからいいのだが、細かいところは、タワシでごしごしと、何時間もかけてやった。機械生命体であるゾイドにだって希薄だが、それなりに感情がある。やはり体が綺麗だとストレスが少なくなるので、結構念入りだ。
すべてが終わった頃には、もう日は落ちており、夕飯時になっていた。
仕官クラスの食堂で、アドッサは一人、夕飯を取る。
ふと声を掛けられた。
「聞いたぞ。アドッサ。また大尉に可愛がられたらしいじゃねーか。個人レッスンでドキドキ?」
「止めてくださいよ。ゴーン少尉。」
いやそーな顔をしてアドッサが振り返ると、副隊長のゴーン少尉がトレイを持って立っていた。そのまま、アドッサの横の席にどしりと座り込む。
「一発も当たらなかったんだって?」
「少尉だって、当てた事ないんでしょ?」
「ふっ、何回かあるぞ、俺は。」
「へぇ、すごいっすね。」
素直に感心するアドッサだったが、その時、声がかかる。
「あん時は、3対1の時でしょ。ゴーン。」
席の正面に、今度はアリア・ウェール大尉がいた。
「うっ。まぁ、そうですけど。」
「・・・少尉。」
フォークを片手に明後日の方向に視線をずらすゴーンに対して、半眼であきれるアドッサ。それを見ながら苦笑しつつ、アリアもアドッサの正面に席を取った。
>>200の続き、あう、下げ忘れたすまん。
「ほう、アドッサは『薙旋(なぎつむじ)』を見たのか。珍しいな、お前の訓練ごときで見せるとは。」
食後のコーヒーを飲みつつ、ゴーンは驚いたように言った。
「『薙旋』・・・ですか?」
話の始まりは、訓練の最後にアリアが見せた走りながらの180度旋回の事だった。
「大尉の得意技だよ。走りながらその場で180度回頭する技だ。大尉はあの技を『薙旋』と呼んでいる。」
「残念だけど、あれは『薙旋』じゃないわよ。」
アリア大尉は、微笑みながらそれを否定した。そして続けて説明する。
「時速150kmで出したぐらいじゃ、『薙旋』とは言えないわ。トップスピードで出してこその『薙旋』よ。トップスピードの場合は、回頭するだけなんだけどね。直進するエネルギーを相殺できないから。」
「でも駄目だぞ。真似したら。」
ゴーンは、神妙な顔でそう言った。
「何でですか?」
今度、挑戦してみようと心に決めたアドッサは驚いたように応えた。
「経験者は語る、だ。あんな芸当、よほどの人間しかできんよ・・・。」
肩をすくめて、ゴーンはそう答えた。
確かに、あの機動は、絶妙なバランス感覚とそれを伝える操縦技能が必要となる。
今まで、アリア大尉に憧れて、何人のツワモノが挑戦したが、成功した者はほとんどいなかった。故に何人もの人間と、何機ものゾイドが病院送りとなっている。きちんとスピードを相殺できない場合、吹っ飛ぶからだ。
「むむ、でもいつか・・・。俺も少なくともゾイド乗りなんですから。」
そういうアドッサに対して、アリアは苦笑した。
「うーん、まだゾイド乗りというには、ね。ゾイド乗りの領域には、程遠いわ。まぁ、でもアドッサにはその素質はあると思うわ、私はね。」
そう言って、アリアは微笑する。
「はは、ないでしょ。こいつには。」
ゴーンがそれを即座に否定する。
「うむむ、でも俺は、レオマスターなりますよ。」
「レオマスターねぇ。アドッサの夢だってかしら?」
小首をかしげながら、レオマスター寸前のアリアが聞き返す。
「そうです。というか、ゾイド乗りなら誰しもが憧れる称号だと思うんですが。」
「大尉ならなれるのに全部埋まって欠員がないですからね。」
はは、とゴーンは笑う。レオマスターの証であるDSC―Jが7機しかないので、誰かが引退しないと新たなレオマスターは、誕生しないのは当たり前と言えば、当たり前だ。
「今なら、あのアーサーじーさんが一番引退が早いんじゃないですか?」
「あー、あのじーさんは、意外としぶといわよ。前に会った事あるんだけど『生涯現役じゃ。譲ちゃん、そういう事だから、別の奴から譲って貰ってくれ。』だ、そうだわよ。」
「うわ、クレイジーここに極まりですな。あのじーさんならやりそーだ。」
アーサー・ボーグマン少佐とは恐らくゾイド乗りの中では屈指の老獪。将軍クラスの年齢と実力にも関わらず、退役までゾイドに乗り続けると豪語するレオマスターだ。別名『クレイジー』とも呼ばれている。西方大陸戦役でも活躍中との話だ。
「はは、でもDCS―Jなんかにゃ、乗らないと思うわ。アーサーのじじぃに乗っけて貰った事あるんだけど。あれは駄目。全然乗ってて気持ちよくないの。バランス悪いのよ、ほんとに。というか、DCSがいらないと思うわ。私がレオマスターになったら絶対、言ってやるんだから『DCSユニットが重い、外せ』ってね。」
そして、思い出したようにアリアがアドッサの顔を見て言った。
「そう言えば、アドッサ、今日の模擬戦のレポートの提出は、今日の9時までね。」
「え、あぁ、はい、書きます。」
はっ、と思い出して、慌ててアドッサはトレイ持って席を立った。
「では失礼します。」
>>201の続き、和んでる会話シーンは無闇に長い。
完全にアドッサが立ち去った後、ゴーンは申し訳なさそうにアリアに言う。
「アドッサをあんまり褒めるのはなんだと思いますが。」
「まぁ、それもそうね。増長されると困るし。」
「というか、奴に才能があるとは、思えませんが・・・。」
それには、アリアはちょっと考えてから答えた。
「あの子。士官学校では、訓練用ゴドスに乗っていたらしいけど、高速戦闘用のウルフに乗り換えて、まだ一ヶ月しか立っていないのよ。それなのにあそこまで機動ができるなんて、やはり才能だわ。ゴーン、貴方なんて、まだその時点じゃ、ウルフの中でゲロ吐いてたわよね。」
「うぅぅ、嫌なことを思い出させないでください。」
ゴーンは、昔を思い出して苦い顔をした。
アリアは、それを見て、また微笑んでから、
「さて、保護区のパトロールの話があるから、ミーティングしましょうか。」
「あ、了解です。」
続きが気になって眠れん…
>>196の続きです・・・
悲しき戦線・・・「絶望・・・」(1)
帰還してきた兵士は皆疲労のいろを隠しきれない程疲れきっていた・・・
「レオ中佐!!サンダース中尉!!ロイド大尉!!ホーキンス司令がお呼びです!!」
連絡員からの連絡を受けると疲れきった表情で司令室へと向かった・・・
部屋へ入って来た3名に目を向けるとホーキンスは困惑した・・・
「まさか、こいつらがこんなに疲労しているとは・・・」内心でそう思うと同時に本題を切り出した・・・
「疲れてるところを申し訳ないが各部隊の状況を説明してくれ・・・」
最初に口火を切ったのはレオだった・・・
「私のゴジュラスは中破・・・ゴドスは7機の損失、中破小破合わせて5機です・・・稼動は僅かに3機のみです・・・」
「高速部隊はシールドライガー3機損失1機小破、コマンドウルフ2機損失、3機が中破しています・・・起動できるのは私の隊のコマンドウルフ3機だけです・・・」
そして最後にサンダース・・・
「プテラス隊に損失はありません・・・それと敵レドラーと交戦中敵基地に接近するグスタフを確認したのですが・・・??」
「戦闘中にグスタフ・・・補給部隊がなぜ・・・?!そうか・・・これは補給部隊を阻止されない為の陽動作戦だったのか!!サンダース中尉!!すぐに敵基地へ偵察に向かってくれ!!装備はミサイルを積まずその代わりにレーダーと補助バーニアを装備した強行偵察装備でだ!!敵との交戦は考えず索敵と逃げることだけを考えてな!!」
「了解!!」
格納庫は先程の戦闘の整理に加えプテラスの換装が加わりさらに作業に追われていた・・・
205 :
名無し獣:2001/07/08(日) 04:01
久しぶりage
アニメが終わってもバトストがあるさ…
>>202の続き。遅れてすまねぇ。
誇りと刃と復讐と(14)
パトロール。
戦争の始まる6年前、共和国軍の仕事と言えば、レスキューとこれぐらいしかなかった。
グランドカタストロフィーの影響で、野性のゾイドはその数を激減させた。
ゾイドは惑星Ziに置いては、欠かす事のできない労働力であり、そして戦闘力だ。
その為、共和国では野性ゾイドの保護に乗り出しており、ゾイドの生息できる環境は、野性ゾイド生息保護区に指定している。
しかし、ゾイドのその存在価値は非常に高い。その為、密猟が後を立たない。
無論、保護区警護官も存在するのだが、その数が足りておらず、その仕事が軍に回ってくる事は、よくあった。
保護区の近くの基地は、その依頼を受けると適当に部隊を呼び出して、命令を下す。
その方法は基地によってまちまちで、中では小隊長同士の壮絶なじゃんけんという話もある。
レッドリバー方面第三基地にも依頼が届き、今回はLQ小隊が選ばれた。
「姉さん、賭け事、弱いすね・・・。」
夜間パトロールの中、ラルフは、パトロールの選考の経緯をアリアに聞いてコマンドウルフ『ホーリィ』の狭いコクピットの中で呆れ返った。
「やかましい。」
コクピット内にアリアの怒声が響き渡る。彼女は先行している灰色のシールドライガー『ルーク』に乗っている。他、コマンドウルフが2機にシールドライガーが2機、一応、LQ小隊の全機が路頭を組んで、行進していた、アドッサもコマンドウルフ『ポーン』に乗って、最後尾に居た。周りの地形は、長い事、雨で浸食された凸凹とした土地である。
見通しは、そんなによくはないが、まぁ、森の中などに比べるといい方だ。
「くー、あのラッセルに負けるとは・・・!」
「いやー、オンラインで見てましたけど・・・あそこであれはないっしょ・・・。」
「うるさーい。」
保護区のパトロールは大体、夜に行われる。昼間は保護区警護官が見て周り、夜は軍が仕切るというのが、この辺では普通である。
第三基地では、このパトロール、皆が嫌がる。無論、かったるくて眠いからだ。
それなりの手当ても出るのだが、割りには合わない。
そこで持ちられたのは、カードである。この賭け事、基地ぐるみで行われ、大隊事に回ってくる。ちなみに基地司令も黙認。平和である。
「だいたい・・・。」
と言いかけたアリアの口を、レーダー上の何かに気付いたラルフが不意に遮った。
「姉さん。ちょい待ち。」
>>207の続き
ラルフの口調は、鋭い。皆、それを感じ取る。
一瞬にして、LQ小隊のメンバーから明るい雰囲気が消えた。
「どうした?」
副隊長にして、小隊の作戦参謀のゴーンが怪訝そうな顔で聞く。
「レーダーに反応だ。」
ラルフの乗るコマンドウルフは、標準装備のスモークディスチャージャーを排除し、代わりにレーダーを積んでおり、部隊の目と言うべき存在である。その目が、保護区に潜む何かを捕らえた。ラルフはデータを、全機のもとに送る。
「密猟者?」
とアリアは確認を取るように言った。アリア自身はデータを見て、すでに確信している様だった。
「恐らく。野性ゾイドかと思いましたが、この感じは違う。恐らく輸送用のグスタフ。」
「数は?」
「恐らく、グスタフ2機。ゾイドを何機か積んでいると思われます。」
「そう。」
「・・・やべ、気付かれた。全速で逃げ始めました。」
モニターを見ながら更なる解析を続けていたラルフが舌打ちしながら、そう叫んだ。
「まぁ、いいわ。どうする、ゴーン?」
LQ小隊は部隊を指揮するのは、アリアなのだが、基本的な戦術を組むのはゴーン少尉だった。アリアは戦闘は強いのだが、そういう面は他の者に劣るのだ。しかし、彼女は素直にそれを受け止め、他の者に任す。
「敵は少数のようです。囲んで追い詰めましょう。逃げれると厄介だ。脚の速いライガーの俺とギーは、A―12方面から回り込み、ウルフのラルフとネスは、C―42方面から、アドッサと隊長はこのままB―23から進むって事で。」
「そうね。それでいいわ。みんなそれでOK?」
「了解。」
全員即答で返す。
「アドッサ、くれぐれも大尉の足引っ張るじゃねーぞ。」
ラルフが茶々を入れる。しかし、顔は結構マジだ。アドッサは、まだ実戦を体験した事がなかった。
「わかってますよ。」
しかし、心外だと言わんばかりにアドッサは答えた。アドッサは実線に対する恐怖より、好奇心の方が強かった。
「全機、FCSセイフティー(火器管制機構安全装置)解除。私の権限を持って全兵装の使用を許可します。じゃ、全員へましない様に。散開。」
「姉さんもね。」
全機、各班に分かれて、瞬時に散開した。
209 :
罠:2001/07/16(月) 21:08
>>208の続き
誇りと刃と復讐と(15)
アリアのライガーとアドッサのウルフの2機は、戦闘速度で疾走しながらグスタフの追撃をしていた。
凸凹しており、以外と走り辛い。アリアが先行し、アドッサが後ろに付く。
彼女はスピードを調整し、アドッサを置いていかない様に注意する。
「アドッサは、実戦は始めてよね。」
「まぁ、そう言う事になります。ですが、たかだか密猟者。戦闘ゾイドが居るか、どうかも分かりませんよ。」
アドッサは、この緊張感を楽しんでいた。まだまだ若く、彼に取って実戦の怖さなど、まるで理解していなかった。
「そういう油断や慢心が、隙を生むのよ。注意しなさい。」
アリアは、多少不安になりながらも、初めての実戦で幾らも緊張しないアドッサの将来を楽しみに思った。
「了解です。」
「まぁ、あなたの出番は無いわ。戦闘になっても適当に隠れてなさい。余計な援護は動き辛いから要らないわ。」
「少しぐらいなら、俺だって使えますよ。伊達に『ライトニングクィーン』に稽古つけてもらってません。」
「だと、いいんだけどね。・・・っと。」
急にアリアの乗る『ルーク』が立ち止まった。体を沈めるようにして、急停止。
「うわ、大尉。急に止まらん下さい。」
後方のアドッサの乗るウルフは、急に止まれず、彼女を追い越して、止まった。
「何か、どうかしたんですか?」
ウルフの体を一旦、アリアの方に向けて、そう呼びかける。
「いえ・・・。アドッサ、気をつけなさい。『ルーク』が何かを感じ取ってる・・・。」
彼女の声は、緊張を帯びている。マジだ。アドッサはそれを怪訝に思って、前方を見やる。
「? 何もないですが・・・。」
そうやって、アドッサは周りをもう一度見やる。
確かに一見した所、何もない。レーダーに反応なし。別に「何か」あると言った風はない。危険はなさそうだ。
「早く、行きましょうよ、大尉。逃げられてしまいますよ。」
そう言って、アドッサは操縦桿を前に倒して、ウルフに一歩を踏み出させた。
その瞬間、轟音がアドッサの乗るウルフの真下から鳴り響いた。
>>209の続き
「えっ」
何が起きたのか、アドッサには分からなかった。
「アドッサ!」
アリアが叫ぶ。
足元の何かが爆発した。設置されていたのは地雷だった。
脚だけを?ぎ取る事を目的とした普通の地雷とは違う、殺傷を目的としたゾイド用大型地雷。
アドッサの乗るコマンドウルフは呆気なく、爆発に飲み込まれた。
警告音と共に急にレーダーに反応が出始める。敵の存在を表す光点で6つ。
囲まれた。戦力分散をしていたのが、仇になった。
待ち伏せしていたのだ。
逃げ出すグスタフは、本命でもあったが、囮でもあったのだ。
派手に逃げる事で、こちらの注意を引く。分散させ、各個に撃破するつもりなのだ。
敵の戦力を見誤った。
見やる。前方に半月状に囲むように、コマンドウルフ5機、そして、その後方にシールドライガー・・・。
「な・・・。」
まさか、敵もシールドライガーを持っているとは思いも寄らなかった。
シールドライガーは共和国内では、ゴジュラスに続く高級機だ。戦闘用ゾイドの生産管理は、非常に厳しく。しかも生産後は軍で厳密に管理される。兵器が民間人に流出するのを防ぐ為だ。
だが、違法所持戦闘用ゾイドの数は、国内ではたくさんあると言われている。
その理由が、グランドカタストロフィー。
こいつは恐らく、グランドカタストロフィーのドサクサに紛れて、共和国軍の管理から離れたシールドライガーだろう。
グランドカタストロフィーは、政府の機能を著しく低下させた。その時にこの様な「ならず者」が大量に現れたのだ。
今では、力を取り戻した共和国政府が対応し、随分と駆逐されたが、彼らは彼らで組織化し、裏の世界に溶け込む事で生き延びている。
後で分かった事だが、敵はその派閥の中でも屈指の組織だった。
彼らは、日々強化されていく保護政策に対し、ついに強行手段に出てきたのだ。
暗がりでよく見えないが、赤黒いシールドライガーだ。
「アドッサ!」
「何とか・・・。く、やられました。大尉。逃げてください。俺は、もう駄目です。前脚が完全に死んでます。」
「舐めんじゃないわよ。私は、誰だとお思い?」
「しかし。」
アドッサは、通信系を確認する。
良かった、まだ辛うじて生きている。
「各機に連絡、本機は現在、戦闘中。援助求む。」
だが、返ってくるのは、ノイズだけだった。妨害電波発生装置が近くにあるのか、遠距離通信が封じられていた。
「大尉!」
「やかましいわよ。いいからさっさと離脱しなさい!」
しかし、一人でこれだけの数、しかも相手には同系機であるシールドライガーまでもがいるのだ・・・。
「行くわよ、『ルーク』!」
構うことなく、アリアの乗る『ルーク』は突撃を開始した。
>>210 誇りと刃と復讐と(16)
コマンドウルフは5機。アリアは馬鹿正直に突進してくる奴を『ウルフ1』と名付け、その右後方で援護をするのが『ウルフ2』、左後方で援護するのが、『ウルフ3』と『ウルフ4』、真後ろに控えているのが『ウルフ5』とそれぞれ名付けた。
シールドライガーは、そのもっと後方に居た。
自分が出る幕でもないと判断したのだろう、面倒くさがり屋の悪党の考えそうな事だ。
「好都合な事、まぁ、そこで見てないさい。慌ててからじゃ遅いけど。」
彼女はそう微笑むと、操縦桿を押し込んだ。
彼女と『ルーク』はすごかった。
その俊足は、何者も寄せ付けはしなかった。
接近し、飛び掛って来た『ウルフ1』の首筋に噛み付き、振り回して、敵の射撃を防ぐ、そして、『ウルフ3』、『ウルフ4』の方に投げ飛ばす。
驚いた『ウルフ3』、『ウルフ4』は一瞬、躊躇した。
だが、『ウルフ2』、『ウルフ5』は、まだまだ撃って来る。
放たれる『ウルフ2』のニ連砲は、首を振って正面からEシールドがはじき返した。『ウルフ5』のはそもそも当たらなかった。
すかさず、背部の装甲の下に収納された二連装加速ビーム砲が展開して、Eシールドカット、カウンターとして発射する。『ウルフ2』は正確にコクピットを打ち抜かれて、その場に崩れ去る。
射撃後も体勢を崩すことなく、すかさず左に飛びすがり、『ウルフ3』の二連砲を避けた。
シールド全開で間合いを詰める。後3機。
>>211 『ルーク』に向けて火線が飛び交う。
だが、それはすべてシールドに寄って阻まれたり、そもそも当たりはしなかった。
彼女の操縦センスはすごかった。
緩急を付けた走り、左右への反復。まさにスピードを操っている。
まるで火線の中を泳ぐように『ルーク』が駆ける。
飛翔。
突然、目の前の敵を見失い、うろたえたウルフ3に頭上から激突。
脚に装備されたストライクレーザークローで圧し掛かる。
ウルフ3は呆気なく、だが凄まじい圧壊音を立てて四肢を崩壊させ、その場に潰された。
その衝撃で砂埃の舞う中、『ルーク』は沈黙した『ウルフ3』を足蹴にして、右腹側部の8連小型ミサイルポッドを展開させ、ノーコントロールで近くの『ウルフ4』に向けて全弾発射した。
それを目隠しにして『ウルフ4』に飛び掛り、ミサイルが多少被弾して体勢を崩した『ウルフ4』の頭を…コクピットを右前脚で、はたき倒す。
前のめりに『ウルフ4』は倒れ込み、沈黙した。
一分強の時間で、後、一機。
『ウルフ5』は、逃走を図ろうとしていた。
アリアは、それを見逃す事にした。アドッサのことが気になっていた。
しかし、逃走しようとした『ウルフ5』は、何物かによって離れたビームによって、コアを打ち抜かれ撃破された。
見やる。
赤黒い色のシールドライガーがそこに居た。
どうやら、自分の出番だと判断したらしい。
二機のシールドライガーは200m程の間隔を隔てて静かに対峙した。
うーむ、最近は誰も書き込まないので、独壇場になってるんですか、俺?
充分、充電したし、書き掛けほったらかしにするのも何なので、
一応、7月中には完結の方向に持っていきたいですな・・・。
まだ今しばらくのお付き合い〜。(見てる奴が居るとも限らんが・・・。)
いつも見てるっス!
自分も書き込んでますよ・・・
でも、語学力が低いので・・・
時間をかけてもあの出来・・・
とりあえず、また書き込みます・・・
それにしても赤羽さんはどーしたんだろ??
続きが読みたいのにー!!
>>204の続きです・・・
悲しき戦線・・・「絶望・・・」(2)
無事、補給隊が到着した帝国基地は
補給物資の整理と帰還してきた戦闘部隊の整理に追われていた・・・
「何とか作戦は成功してみたいだな・・・」
新しい愛機より降りてきたマッキネンはその慌しさを
見まわしながら安堵した・・・
今回の補給により
帝国側の戦力は2個師団以上の戦力を保有することになった・・・
ほとんど整理もついていない基地内に警戒音が鳴り響いた!!
「プテラス2機が高速接近!!迎撃できるゾイドは直ちに出撃を!!」
が、補給隊の整理と先程の戦闘部隊の帰還による混乱の中
出撃できるゾイドは僅かにサイカーチスが1機だけであった・・・
敵基地内をモニターで確認するサンダースは
その数に驚愕した・・・
「な・・・まさかこれほどの大部隊とは・・・」
「中尉!!敵基地からサイカーチスが1機上がってきました!!さっさとデータにとって撤退しましょう!!」
「そうだな・・・データに取り終わり次第退却するぞ!!」
ロッキーの報告により気を取り戻したサンダースは基地内の模様をデータに取り始めた・・・
データを取り終えると同時に先程上がってきたサイカーチスが攻撃を仕掛けてきた!!
サンダース達はその攻撃を難なくかわすと直ちに退却を始めた・・・
それを追撃しようとするサイカーチスだが2機のプテラスは瞬く間に射程距離外へと離脱していった・・・
「ガニメデ」 夏コミ原稿終了。みなさん、お久しぶりです。
ZAC2039年、同年2月より始まった共和国軍の大攻勢に押され敗退を続ける帝国軍は、首
都防衛の要であるガニメデ要塞に立て篭もった。カノントータスを主力とする共和国軍
は、連日ガニメデ要塞に猛烈な砲撃を加え続ける。追い詰められた帝国軍は、虎の子レッ
ドホーン大隊を投入し大反抗を企てる。ウィッテ大尉はそのレッドホーン大隊に所属す
るベテランのゾイド乗りだった。
密かに掘られていたトンネルから共和国軍に奇襲を仕掛けるウィッテと仲間達。一目散
に敵陣に突っ込む彼らの前に宿敵、ゴジュラスが立ちはだかる。苦戦しながらもゴジュ
ラスを倒したウィッテだったが、ゴジュラスのコクピットにはパイロットの影も形もな
かった。これは罠だ。慌てて逃げ出そうとするウィッテ達の頭上に敵が放った砲弾が降
り注いでくる。ウィッテは天を仰いだ。
バックナンバー
>>74 >>78 >>80 >>84 >>88 >>89 >>94 >>96 >>100 >>105 >>115 >>123 >>144
>>144の続き 再開です。
「ガニメデ」(14)
一体、ここはどこだろう。俺は暗い夜の闇の中を駆けるレッドホーンのコクピットに座っ
ていたはずだ。なのに今、俺の目の前に広がっているこの光景は何だろう。赤い光。それ
だけが目に映る。自分が立っているのか座っているのか、上を向いているのか下を向いて
いるのか、何も分からない。息をしているか?心臓は動いているか?俺は、生きているか?
共和国軍重砲兵隊が放った砲弾は、ゴジュラスとその周囲の全てのものの頭上に、まんべ
んなく降り注いだ。ゴジュラスの上顎を千切り取る。レッドホーンの主砲と砲手を粉々に
しながら分厚い背中に突き刺さり、体内で破裂してそれをただの鉄屑に変える。大量の破
片を撒き散らし、兵士の腕を削ぎ、脚をもぎ、鼻を刎ねて目を潰す。あらゆるものを爆風
がなぎ倒し、炎が呑み込む。無数に散らばる鉄屑も肉片も炎に焼かれて塵になり、赤い光
の中に舞い上がって消えていく。赤い光は大地を覆い、這いずり回る全てのものに等しく
死をもたらした。
ウィッテの頭の芯が震える。地の底から湧き上がってきたような重苦しい音が響く。視界
に満ちる赤い光に溶けてしまいそうになっていたウィッテの意識を、その音が引き戻した。
この音は。緩んでいたウィッテの体に再び力がみなぎってくる。そうだ。この音は、敵の
猛攻に為す術もなく穴蔵の中で縮こまっていた俺の耳にいつまでも響いていた砲撃音だ。
薄暗いトンネルの中でうずくまり手も足も出せない愛機レッドホーンに、いつか必ず敵に
報復すると誓って唇を噛んだあの時から、いつまでも俺の頭を震わせ続けた音だ。ウィッ
テは操縦桿を強く握る。赤い光に目が眩んで自分の体さえ見えないが、ウィッテの手に握
られた操縦桿の感触は決して幻ではない。ウィッテは目の前を睨む。眩い光の中で繰り広
げられる破壊。生きようともがくものを嘲笑うようにもたらされる殺戮。ウィッテの意識
は押し潰されそうになる。ぎゅっと握った手から伝わってくる、規則正しい振動。レッド
ホーンはまだ生きているのだ。そして俺も、生きている。ウィッテは目をつむり、レバー
を前いっぱいに押し倒した。必ず生き残る。ウィッテの想いに応えるように、レッドホー
ンは赤い光の真っ只中を駆けていった。
おおぅ更新されてたよ!
バックナンバーの気遣いが嬉しいっス。
221 :
名無し獣:2001/07/18(水) 09:44
ガニメデage!!!!
赤羽さんお疲れ様っス!
書いてみたいです。
バトスト詳しく無いので、TV設定です。
それでもいいかな?
>>222 俺なんかほとんど設定無視してます・・・
自分の空想ですよ・・・
>T・I さん
では、よろしい?
もう、止めても無駄ですよ(藁
俺も、一応西方大陸戦役に既存してますが、いい加減な設定がゴロゴロと・・・。
『闇ゾイドバトル』(1)
今、この大地は荒れていた。
長く続いた戦乱とヒルツ一派が起こしたクーデターのためである。
デススティンガーの攻撃にあった各都市の再建。
被災者の救援、保護。
ヒルツ一派の残党の逮捕。
あまりにも多い問題とあまりにも少ない資金。
窮地に立たされた共和国は金銭的問題の解決と高練度の兵士の育成を兼ね
戦闘競技と、その勝敗投票による賭博を開始した。
ゾイドバトルの始まりである。
第1回大会、第2回と続くにつれバトルはより熱気を孕み
また、そのルールも洗練されて行った。
しかし、光あれば影あり。
そのバトルに、ルールに不満を持つ者も現れはじめる…
実戦では負けない…
ルールに負けた…
生死を賭けてこそ…
そして、彼らは闇に沈み私闘をはじめ、非合法組織が闇賭博を行なった。
闇バトルの始まりだった…
>>226の続き
『闇ゾイドバトル』(2)
赤茶けた大地の上にそびえる巨石の間を縫うように1機のセイバータイガーが
尋常ではない速度で疾走している。
よほど視力の良い人間なら、そのセイバータイガーが異様な軽装だと気付くだろう。
装甲は所々削り取られ、武装は胸部に2連レーザーガンが有るのみ。
徹底した軽量化を施した機体を背部に付けられたブースターパックが加速する。
このセイバータイガーを知る者は光の如き速さと軽量化をもじってこう呼んでいる。
「ライトセイバー」と…
ライトセイバーが岩場を抜けると、そこにはコマンドウルフが3体いた。
銃口を岩場に向け、そこを抜けて来る敵に一斉射撃を浴びせる態勢だった。
しかし、その作戦は脆くも崩れ去る。
敵の出現を確認したコマンドウルフのパイロットがトリガーを引き絞るより早く
ライトセイバーは1機目のウルフの喉元に喰らいついていた。
残り2機のウルフは慌てて向き直るが、其処には首をもがれたウルフが、
自分が破壊された事に気付かぬのか、立ちすくんでいるだけだ。
「は、速い!」
叫んだのはどちらのウルフのパイロットだったのか、どちらにせよ続く言葉を
言う事は出来なかった。
走る勢いのまま、ウルフの首をもぎとったライトセイバーはそのまま巨岩に向かって
走り岩を蹴って天高く跳躍し、1体のウルフを踏み潰す。
最後のウルフは驚き振り返る間も無く、レーザーガンの射撃に貫かれ倒れた。
>>227の続き
『闇ゾイドバトル』(3)
3機のコマンドウルフを倒したライトセイバーの前に1体のガイザックが現れる。
そのガイザックは、赤く塗られた右手を振り上げ…
「バトルオールオーバー!ウィナー ヴィル!」
勝利判定を宣言し、尾に取り付けられたマルチモードカメラで勝利者を写し始めた。
ヴィルはコックピットハッチを開けカメラに向かいガッツポーズを取ったが、その
表情はまだ照れが残っている。
金髪碧眼でまだ幼さの残るヴィルの照れた表情がモニターに大写しになると同時に
ライトセイバーの通信機から怒声が流れ響く。
「こらヴィル!もっとシャキッとしなさい!」
「精一杯やってるよ!」
カメラに笑顔を返しながら、パートナーのアーシャに反論する。
「こうゆうのは苦手なんだよ、ホント…」
アーシャは軍に在籍していた頃からヴィルのパートナーをしている。
パートナーは主にゾイドの整備と戦闘時の作戦指揮をするのだが、アーシャの場合は
ヴィルの人気と獲得賞金を増やす為のマネージャーも兼ねていて、その本領はこうい
う時に発揮される。
「強さだけじゃ賞金はふえないわ、ヴィルはお金持ちのマダムに受けるんだから」
「「使える能力は全て出し切る」」
ヴィルとアーシャの声がハモる、今まで何十回と繰り返された会話だ。
「…まあ、いいわ。帰ってらっしゃい。」
さすがにアーシャも閉口したのか、疲れた口調で告げる。
「了解!」
ライトセイバーの全速力より早いような動作でコックピットに座り直し、ハッチを
閉め走り去る姿をガイザックが写し一部の施設で放送される。
そして、その放送を食入るように見る一人の男がいた。
瞳に危険な光を宿しながら、男は呟く…
「フフフ、見つけたぞ…」
>>228の続き
『闇ゾイドバトル』(4)
黄色に塗られたグスタフのキャリィーにライトセイバーを乗せる。
左右から伸びたロックアームが振動によって転げ落ちないように固定したのを確認
して、コックピットからヴィルが降りてくる。
傷一つ無いライトセイバーを見上げ「お疲れさん」と声をかけてキャビンへ向かい
狭い通路を歩きながら、パイロットスーツを脱ぎ全裸になる。
途中シャワー室に入り洗濯機にスーツを突っ込みスイッチを押す。
ぬるいシャワーで汗を洗い流し新しいシャツに着替えるとキャビンのドアを開きな
がらアーシャに声をかけるが「あのシャワーの温度どうにかならな…」と、止まっ
てしまう。
「キンモクセイか…」
キャビンには小さなキンモクセイの鉢植えが置かれ、部屋いっぱいにその存在を主
張している。
「そう、嫌いだった?」
にこやかに聞いて来るアーシャに「いや、別に…」と短く答える。
こういう答えを返す時は、言いたい事が有るが言わない。と考えてる事を経験から
アーシャは知っていた。
そして、こういう日常的な雰囲気にヴィルが慣れてなく違和感をおぼえている事も。
殺伐とした戦場の血とオイルの焼けた匂いこそ、自分達の日常で平和こそ非日常と
している事を…そうでなければ闇バトルになど身を投じて無いだろう。
そんな諸々の想いを互いに理解しているだけに、アーシャは辛いのだ。
「嫌いじゃ無いなら、慣れてね♪」
だからこそ、明るく多少無理にでも普通の生活を演じるのだ…
あ!!ガニメデが更新されてる!!
>>216の続きです・・・
悲しき戦線・・・「絶望・・・」(最終節)
サンダースはプテラスを格納庫へと入れると先ほどデータを取り出し小走りに司令室へと向った・・・
レオはそれを受け取り再生する・・・そこに映し出されたものにホーキンスとレオは驚きを隠せなかった・・・
「まさか、これほどの大部隊になるとはな・・・」
「そうですね・・・数もすごければ機種と装備もすごいですな・・・」
「アイアンコングにセイバー・・・イグアン、モルガ、サイカーチス、レドラー・・・ほー・・・レッドホーンまでいるのか・・・まるで帝国の博覧会だな・・・」
ホーキンスは皮肉をまじえながらレオと話している・・・
「部隊数は・・・全部合わせて2個師団ってとこですか・・・??」
「そうだな・・・こちらは補給部隊を合わせても1個大隊・・・足止めにもならんか・・・」
「そんなこともないでしょう??ここの奴らはみんな一騎当千のゾイド乗りだかりですよ??」
そう・・・確かにこれが通常部隊なら呆気なく落ちるだろう・・・しかしここのパイロット達はみんな一癖も二癖もあるやつばかりなのだ・・・
通常の兵士とはレベルがちがう・・・それゆえ彼らを失うのは共和国としてはかなりの痛手だ・・・だが今の戦力で本土決戦で完勝できる保証もない・・・そのため共和国は彼らを切り捨てたのだ・・・時間稼ぎの為に・・・
「ふむ・・・彼らは殺したくないな・・・」
「そうですね・・・確かに彼らは貴重な人材です・・・しかし、逃げ出すこともできませんよ・・・」
「逃げ出すか・・・本国へ掛け合ってみるか・・・」
「え?!今何と・・・??」
レオはホーキンスの唐突の発案と発言に呆気にとられた・・・
「いや・・・本国としても彼らを失うのはかなりの痛いことになると思う・・・ならばある程度ここで足止めをして後方の補給基地で体制を整えて敵を撃破すればいい・・・もちろんそれでもかなり死ぬことになるだろうな・・・」
レオは何も返すことがなかった・・・
その後ホーキンスは基地内全兵士を召集し
このことを説明した・・・
兵士達は皆一様に同じ顔をしていた・・・
それは希望を失った絶望に満ちたものだった・・・
>>229の続き
『闇ゾイドバトル』(5)
打ち捨てられた砦がある。
その体の大半を砂に沈めて眠る、遺跡と呼ばれるものだ。
遺跡には古代ゾイド人の遺産残っている場合がある。それも貴重な変異体、いわゆる
新型ゾイドが新たな覚醒を待ち眠っている可能性もある。
そんなお宝を狙って遺跡荒らしという人種が集まってくる、何日にも及ぶ探索のため
遺跡荒らし達はキャンプを張って生活し、そこで情報の売買を行ってまた、遺跡に潜
り、そしてまた戻って生活する。
しかし、長期間のキャンプ生活というものは、次第に物資の不足を招く。
大抵の遺跡荒らしは街に戻り補給したが、再び遺跡に帰って来ても遺跡に近く探索向
きの場所は他の者に占拠されていた。
かくして、遺跡荒らし達は可能な限り留まろうとする、例えどんな代償を払っても。
そんな、遺跡荒らし達を狙って、違う人種も集まってくる。
食料を行商に来る商人。探索道具の修理屋。服屋。果ては、新人相手の宿屋や探索教
室、各商店相手の卸問屋…
こうしてキャンプは村になり、町に発展し、街になった。
この地図に載っていない街が闇バトル組織の本拠地になるのに、たいした時間は要ら
なかった。
>>212の続き。うーん賑やかになってきましたなぁ。
誇りと刃と復讐と(17)
アリアがその力量で敵を圧倒している間、アドッサは何もしていない訳ではなかった。
コマンドウルフ『ポーン』の操縦桿の脇にある操作パネルを引っ張り出して、搭載されているコマンドシステムと格闘していた。凄まじい手付きでボードを叩いていく。
操作系のコマンドすべてには反応なし。『ポーン』は動く事を拒否していた。ダメージが深手だったらしくか、自閉(フリーズ)している。ゾイドにはよく起こる現象だ。暴走を起こさせないように別系統から、強制的にロックをかけておく。その辺は、動物と同じ事、機械の様に完全に操れるわけではないが、完全に動けなくするぐらいはできると言う訳だ。
あまり多用すると、おかしくなるのだが。
次はFCS(火器管制システム)をチェックする。こちらのソフトが制御するハード――つまり武装も損傷が酷い。
まず、供給されるエネルギーの原であるコアの出力が平時の30%にも満たない。コア自体に損傷が無い事は、コンディションセンサーで確認済みだが、受けた深手のショックで一時的に出力が低下している。しかも再生、防御機構が働いているので、これ以上出力を引き出す訳にもいかないだろう。人間で言えば、今は出血多量の状態に似ている。
チェックプログラムを走らせて武装の動作を確認する。
エレクトリカルバイトファング・動作不能
スモークディスチャーザー・動作不能
ニ連ビーム砲右砲・動作不能 左砲・使用可 基部動作・一部可能。
しめた、まだ完全に死んだわけではない。
ただし、エネルギー不足でチャージに時間がかかるし、恐らく撃てるのは一回だけ。
アドッサは、それを確認すると操作パネルを端にどけて操縦桿を握り、狙いを定める為に集中を開始した。
すべては、彼女を守る為、自分が足かせではない事を証明をするために・・・。
しかし、残念な事に間違いとは後になってから気付く物だった。
233 :
名無し獣:2001/07/23(月) 10:52
mage
234 :
名無し獣:2001/07/29(日) 16:09
赤羽さん早くガニメデアプしてage!!!
お〜い、みんなどうしちゃったの?
読者は待っているよ。
期待age!
>>232 急に忙しくなったので、7月完結は無理そうです・・・。
誇りと刃と復讐と(18)
アリアの乗るシールドライガー『ルーク』は静かに、敵ライガーと対峙していた。
相手は、相当腕の立つ奴だというのは、こうして対峙するだけで分かった。相手に隙がない。うかつに動くのは得策ではない。
相手が動くのを待つ。
シールドライガーは一対一で相対した場合、前面部のEシールドがほとんどの攻撃を無効化するので、前手、後手の両方どちらに回っても、不利にはなり難い。
それは遠距離では一撃必殺などで、決着は付かない事を意味していた。
やるとしたら、接近してからの格闘戦。
ただ200mという差は、きっと一瞬で埋まる。『ルーク』の最高速度は約76m/s。相手のライガーが標準の力ならば、最高速度は65m/s前後。無論、最大速度に上昇するまでには、時間がかかるが、それでも5秒と掛からず、両機は激突する。
両機とも静寂を守ったままだ。すぐに動ける構えを見せつつも、一歩も動いていない。
にじみ寄る事すらしない。
後手、先手でも不利にはならない。ならば後手に回る。二人とも慎重派だった。
均衡。
それを破ったのは、相対する二機ではなかった。
アドッサの乗る『ポーン』が放ったビームだった。
>>236 『ポーン』がボロボロになりながらも放ったその一発は、敵ライガーに向けて一直線で着弾した。
しかし、それは当然の如くEシールドに阻まれた。
「あの馬鹿!!」
アリアは、毒づきながらも『ルーク』を敵ライガーに向けて、走らせた。
一気に接近を試みる。相手に『ポーン』に対する反撃の余地をに与えるわけにはいかなかった。
アドッサの乗る『ポーン』が動けない事ぐらい分かっていた。敵は、行動不能だと思って無視を決めていたのだ。それが動けると分かったなら、自分に危害を与えると分かったなら、放って置くはずが無い。やるなら一撃で決めないと駄目だったのだ。
つまりは、アドッサのとった行動はあまりに軽率だった。
対して、敵ライガーの反応は、アリアの予想通りだった。アリアの突撃を避けるようにして、逃げに入った。その上で、背部のニ連加速ビーム砲を展開させている。
「やらせはしない!」
射線軸上に割り込んで、Eシールドでその攻撃を阻む。
二機は、間合いを取って、飛びすがる。
アリアは、アドッサの乗る『ポーン』をガードする様に敵との位置を保つ。
だが、それだけではなかった。
空を切り裂くような音が聞こえた。
アリアはその音に聞き覚えがあった。
カノントータスの突撃砲。遠距離攻撃。
>>237 最初の一発は、『ポーン』の10m間際に着弾した…!
方向、着弾の角度から位置を割り出す。
恐らく一キロ後方に待機している。
このぐらいの距離ならジャミングしていても何とか通信ができるわけだ。
敵ライガーはすでに着弾情報の通信を終えたところだろう。
敵の狡猾さには、心底敬服した。
次は修正をして、外さないだろう。
アドッサに機体を捨てて、逃げろというには今からでは間に合いはしない。
敵に再装填の時間を与えるわけには行かない。
「もういいです。大尉。逃げてください。」
アドッサが叫ぶ。彼は自分の失態に今更ながら気付いていた。
だが、彼女はそれを拒否した。そして、いつも通りに微笑する。
「逃げる? 冗談じゃないわ・・・。」
「しかし!」
アドッサは、死ぬ覚悟を決めていた。これは自分の失態が招いたものだと。
彼女は、微笑ではなく、口の端を吊り上げて、不敵に笑った。
「そうね。アドッサ。よく見ておきなさい。最速とは、いかなものか。『ライトニングクィーン』とは、いかなものなのか。」
彼女は、操縦桿を握る手を強めた。
『ライトニングクィーン』は負けるわけにはいかない。
――――――――
みんなの望んでる赤羽さんの更新でなくてすまんねー。
239 :
名無し獣:2001/07/31(火) 03:56
>>238 >みんなの望んでる赤羽さんの更新でなくてすまんねー。
そんなこと言わないで(藁
「誇りと刃と復讐と」、更新楽しみにしてます。
T・I 君のも楽しみにしているよ。
241 :
帝都攻防戦:2001/07/31(火) 13:40
「総員、起立!皇帝陛下に、敬礼!!」
ゼネバス帝国首都の中心にそびえる皇帝の居城、ガニメテ城に於いて
皇帝親衛隊の有志達がゼネバス皇帝の直接訓辞を受けていた。
「遂にこの日が来た。我らが同胞達の地を蹂躙すべく醜き共和国軍の
兵士共が今このガニメテへと向かってきている。諸君はこれまで
積み重ねてきた血の滲む様な訓練の成果を神聖なるこの白き都を汚そう
とする愚かなる共和国兵とヘリックに見せつけてやればいいのだ。慎重に
なおかつ確実に、、、。諸君の愛機の性能と同士達の奮迅を信じて必ず
共和国軍を撃滅せしめる事を祈る。ゼネバス帝国建国以来の大事な秋だ。
我が帝国が今後も1000年、2000年と繁栄し続けられるかどうかはひとえに諸君
の双肩にかかっている、、、」
ZAK2038年10月3日 帝都上空に味方機の機影無し、雲量8、曇天
されど親衛隊員の士気は高く、、、
242 :
帝都攻防戦:2001/07/31(火) 13:58
皇帝親衛隊は、通常軍とは全く別の独立した組織である。装備、徴兵資格
編成方式、いずれをとっても通常軍とは違う。そのもっともたるものが配備
されている戦闘機械獣であろう。親衛隊の配備機種の6割を占める戦闘機械獣
それが「ツインホーン」である。ツインホーンは軍の閲覧式などでしか国民
前に現れることのないマンモス型機械獣である。ツインホーンは親衛隊に
ふさわしき能力として近接格闘、対空射撃、対地砲撃の3次元攻撃能力を
備えている。しかしその分生産コストはレッドホーン1機分にさえ相当すると
される。故に配備数も限定されている。だがその精強なるツインホーンに
よって編成されている親衛隊への期待は非常に大きかった。戦局の悪化は
その期待を異常な程に膨らませていった。
冷静なる予想をできなくなった皇帝と軍上層部の期待はいまや単なる
プレッシャーにすぎないのだった。
243 :
戦闘開始:2001/07/31(火) 14:14
共和国軍の第一次帝都攻略隊(突撃隊指揮官 ヨハン・エリクソン)が
遂に帝都正門を打ち崩し大通りへと雪崩の如く侵攻してきた。迎え撃つは
レッドホーンやゲルダー、モルガを中心とした突撃隊。共和国軍突撃隊は
ゴドス、カノントータス、ガイサックを中心とした小型機部隊である。
ゲルダー、モルガを引き連れてゴドスに突撃をかけるレッドホーン。
だが共和国軍の返答は後方のゴジュラスMK−2と旗艦ウルトラザウルス
による艦砲射撃だった。猛烈の振動と閃光が曇天の空を明るくし
次の瞬間大理石の美しい街並みを瓦礫の山に変えた。
大柄故に瓦礫に足を取られて身動きの取れなくなったレッドホーンの
コクピットに非情なゴドスの銃口が向けられていた。
「白い都」は銃声と、砲煙と、機械獣の絶叫に満たされていった。
244 :
死闘:2001/07/31(火) 15:05
狭く入り組んだ路地を走り回り帝国軍を混乱させる共和国突撃隊。
大型機械獣を前面に配置し、火力を集中すれば突入してきた部隊を
殲滅できる、とふんでいた帝国軍高官の顔は青ざめていた。眼下で
繰り広げられている光景は事前には全く予想していないものばかりだった。
ゴジュラスMK−2とウルトラザウルスの支援砲撃を受けながら次々と大通り
へ侵入し、守備隊の砲撃から逃げる様に散開して、神出鬼没に現れいでる。
守備隊の殲滅作戦はたちまちの内に意味を無くし、必死の抵抗へと
変わっていった。崩れ落ちる瓦礫にまた1機、また1機と守備隊の機械獣が
沈んでゆく。カノントータスの猛烈な近接砲撃の餌食になるレッドホーン。
ガイサックのポイズンジェットスプレーにより絶命する帝国兵士。
ゴドスの狙撃の前に倒れるゲルダー。やがて後方支援に徹していたゴジュラス
MK−2とウルトラザウルスが大通りへ侵入を開始する。半壊した大通り最大の
ビルでさえも霞む巨体を誇るウルトラザウルス。ゼネバス皇帝の居城ガニメテ
への道は開かれた。帝国司令部に緊張が走る。守備隊はもはや壊滅したと見るしか
あるまい。頼れるのはもはや親衛隊のみ。
親衛隊隊員の表情には、緊張はあっても恐怖の色は無かった。決戦の秋が来た。隊長が
声高らかに叫んだ。
「各員粉骨砕身の覚を以てその任を全うせよ!以上!」
245 :
栄誉と誇りを賭けて:2001/07/31(火) 15:37
「親衛隊隊員は各隊の守備室へ向かえ。ただし第三親衛連隊、第六親衛連隊
第十四親衛連隊は第一倉庫に集合せよ。続いて、皇室直接守備にあたっている
第七近衛兵大隊及び第九近衛兵大隊は、、、」けたたましいサイレンの音と部隊
に対するアナウンス。そして強烈な油の匂いをなびかせるエンジン音と軍靴の響き
が皇居を包み込んだ。そしてややしてから、静寂。緊張に満ちた時間が皇居内を流れる。
ゆっくりと、だが一秒一秒確実に司令部の時計が刻を刻んでゆく。
砲声が静寂を破った。怒号と銃声、機械音がひしめき合う中、アイアンコングが戦闘の火蓋を切った。
246 :
栄誉と誇りを賭けて:2001/07/31(火) 16:23
帝国首都の中心にそびえる皇居ガニメテ。その城門には左右の脇を固める
様に2機のアイアンコングの像が並んでいる。「ブロンズコング」と呼ばれる
この像はいかなる物の侵入も許さないとされていた。そしていまブロンズコング
の固める城門をゴジュラスMK−2が打ち破った。ゴドス、カノントータスがそれ
に続き、司令部の置かれたウルトラザウルスが首を曲げて城門をくぐっていった。
その瞬間をブロンズコングの警戒システムは逃さなかった。刹那の一瞬
ブロンズコングがうなりを上げて発動し、ウルトラザウルスへと強襲をかけた。
コングの腕が万力の如くウルトラザウルスの首を締め付ける。「コングを撃て!」
「待て、撃つな!」怒号と驚嘆と混乱が生起した。コングを砲撃しようにも砲弾が
ウルトラザウルスに命中するかも知れない。だがコングの腕はウルトラザウルス
の首をいまにも跳ね飛ばしてしまいそうである。そんな混乱の中ゴジュラスMK−2
が引き返してきたかと思うと両肩の長距離キャノン砲でコングの胴体を的確に
貫いた。だが勝利の歓声など無い。ゴジュラスMK−2のすぐ背後には何機もの
ツインホーンがいたからである。「撃て、撃て、撃て!前の奴らは全部敵だ!」
ミサイル、加速ビームが共和国軍の頭上に降りさくる。「退け!一旦退け!」
「第六親衛、第十四親衛、我々に続け。火力を前面に集中しつつ突撃!」
「聞こえるか、我々はただいまより敵司令部攻撃に向かう。いいな!」
吹きあがる炎と爆煙の中をシュテルマーは6機のコングMK−2十共に駆けていった。
247 :
屈辱と復讐心:2001/07/31(火) 18:22
皇居城門に於いて1メートルを血であがなって進む一進一退の死闘が
繰り広げられる中、ウルトラザウルスの背部艦橋に設置された司令部
に帝国首都攻略基幹隊から「街の中の敵は一掃した」との無線が入った。
司令部の中央に陣取るヘリックは、帝都攻略基幹隊にただちに皇居攻略戦
に加わるよう命じた。このことにより、苦戦を強いられていたエリクソン
の第一部隊は一時撤退、入れ替わるように基幹隊が突入。ただでさえ苦戦
を強いられていた帝国軍はやむなく城門の死守を断念。城内へと退却した。
「これ以上は絶対に侵入させない、、、絶対」
248 :
名無し獣:2001/07/31(火) 19:02
帝都上空を覆い尽くしていた灰色の雲さえも覆い隠す爆煙を背にし、
帝国軍皇帝親衛隊隊長シュテルマー大佐は漆黒の爆煙に対し異彩さえ放つ
真紅の親衛隊所属機「アイアンコングMK−2」を駆り遠方からも確認する
ことのできる巨艦ウルトラザウルスへ全速で迫っていた。街中に点在した
敵機械獣が消えたのを確認し、皇居の隠蔽格納庫から出撃したシュテルマーと
11人の部下。6機のコングMK−2はウィングスラスターの出力を全開にして
混乱する城門付近で立ち往生するウルトラザウルスの後方へ回り込んだ。
6機のコングを確認したウルトラザウルスの尾部要員は4基のミサイルを
はじめとする火力を敵に叩き込む。しかしコングMK−2は冷静にこれをかわし
左腕のウェポンラックに装備されている連装電磁砲と4連ミサイルポッド
を発射する。6機のコングMK−2の扇状砲撃を受け爆煙を吹くウルトラザウルス。
しかしそこにゴジュラスMK−2が駆けつける。
「何かと思って来てみたら、後ろからコソコソと、、、ナメやがって!」
次々とゴジュラスやマンモス等の大型機獣が現れる。シュテルマーは今更ながら敵
の物量を思い知らされるのだった。
「だが、、、ここで負ける訳にはいかない!!」
249 :
ラルフ:2001/07/31(火) 19:08
>>248 タイトル入れ忘れました。タイトルは「シュテルマーの決意」です。
250 :
孤高の血戦:2001/07/31(火) 19:40
皇居へと突入した共和国兵の任務は「ゼネバスを捕らえること」であった。
しかし、立場上敵とはいえゼネバスはヘリック大統領の実の弟である。結果、
そこに暗黙の了解が生起し、「ゼネバスを殺さず捕らえること」を兵は任務
であると考えていた。しかし肝心のゼネバスはどこに?突撃隊は入り組んだ
迷路の様な皇居内に並ぶ部屋一つ一つをしらみつぶしに探さねばならなかった。
突撃隊が部屋の扉を開き部屋の中に侵入するとそこには敵兵は愚か人一人
いなかった。小隊長がエリクソン大佐に無線連絡を取ろうとしたそのとき
部屋の隅の排気口から赤い何かが突き出ていた。「?」共和国兵がそう思ったその
瞬間、部屋は炎に包まれた。ゴドスのコクピット内で小隊長は叫んだ。
「クソ!はめられた、奴らこっちの動きを読んでやがる!」
親衛隊は一部屋間隔に待機しながら隣室に敵が侵入してくれば火炎放射器を
浴びせ、直接侵入してくれば格闘戦を挑んだ。皇居内の戦いは熾烈を極めた。
厚い壁が電波を封じ、誰もが孤独な戦いを演じていた。
「敵も味方も、一体ドコに隠れてやがるんだ!!」
251 :
リノンたん(フィーネ・エレシーヌ・リネ):2001/07/31(火) 19:57
・・・!?(自己満足ですか?)
252 :
戦争の終結:2001/07/31(火) 20:05
何十機もの敵大型機械獣に包囲されながらもその卓越した操縦技術で
アイアンコングMK−2の能力を12分に生かして戦うシュテルマー。
しかし多勢に無勢か、いっこうにウルトラザルスに近接できない。
ゴジュラスMK−2の4連速射砲を横滑りでかわし、ミサイルポッドで応える。
そしてビームランチャーを充填しウルトラザウルスのコクピットの狙撃を
試みる。しかし充填中に敵が小口径砲の乱打を仕掛けてくる。横滑りしながら
の標準合わせなど土台無理な話である。だがシュテルマーは冷静にコクピット
を見据えていた。しかし遂にコングMK−2の横っ腹に一発の砲弾が突き刺さった。
部下のコングMK−2が1機、また1機と撃破されてゆく。もはやこれまでか、、、
シュテルマーは精神の衰弱を感じた。だが共和国軍の砲撃がやむ。これまでの喧噪
がウソの様に静まり返る。状況が理解できないものの、シュテルマーはただただ必死
に包囲網から脱出した。共和国軍が静まり返った理由をシュテルマーもすぐに知ること
になる。シュテルマーに対し暗号無線が届く、、、
「コウテイヘイカ ホクブバレンシアキチニムケ ダッシュツ」
共和国軍の目は空に向けられていた。そして火災によって発生した乱気流
の中を一機の真紅の鳥が飛んでいった。皇帝を乗せた「シュトルヒ」であった。
「これでまた、戦争の終結が10年伸びるかもしれん、、、」
253 :
フィーネ・エレシーヌ・リネ:2001/07/31(火) 20:13
>>251 「でも、よく読んで意外と面白いわよ!」
>>231の続き
『闇ゾイドバトル』(6)
「他をあたってくれ…」
スチールデスク一式と書類棚、それにこの部屋の主ミレンダ・ファフニールと愛機らしき
ガンスナイパーが写されたパネルしかない簡素な執務室にヴィルの素気ない答えが響く
もちろん答えと言うからには質問がある、それを発言した者も居る、彼女は何が面白いの
か薄笑いを浮かべながら「ホントに?」と悪戯っぽくしなだれた。
「………勘弁してくれ…」
冷たい視線を送りながら再び答えるヴィルの脳裏にアーシャの言葉がよぎる。
(確かに金持ちのマダムかも知れんが…)
「いい加減にしてくれ…」
「そう?残念ね」
大して残念そうでも無くこの部屋の主はヴィルを開放した。
ヴィルが助かったと安堵する暇も無く
「その代わりにこっちを頼まれてくれる?」
とミレンダは一冊のファイルを手渡して来て再びしな垂れかかる。
コレを断ると再び悪夢が到来する。
ヴィルは嫌々ながら受け取り一通り流し読み驚いた。
「じゃ、頼んだから。あ、報酬はさっきのバトルの分と合わせて振り込んで置くワ」
話は終ったとばかりに犬を追い払うように手を振るミレンダに圧倒され部屋を出るヴィル
の手にはファイルが握られている。
ミレンダ・ファフニール(31)この辺りの闇バトルの元締め、なかなかの策士である。
>>238の続き
誇りと刃と復讐と(19)
嫌な風切り音がまた聞こえた・・・。それは死神が鎌を振るう音だ。
カノントータスの方向と、敵ライガーの方向は、一致していない。正面に敵ライガー、14時の1kmの後方にカノントータス。そして、真後ろにアドッサの乗る『ポーン』。
迷っている訳には行かなかった。
助走を付けて、跳ぶ。
アリアは、Eシールドを全開にして、『ルーク』を形成炸薬弾の弾道に分け入らせた。
着弾!
それは轟音と閃光と煙を辺りを撒き散らした。
その瞬間、『ルーク』のコクピット内は、赤一色に染まり上がった。
カノントータスの突撃砲を真正面から受けたのだ、それはコマンドウルフを5機を相手をして4機撃破したばかりの『ルーク』に取って、相当な過負荷だった。
機体各部のコンディションセンサーが異常を知らせるべく、けたたましい音と光を走っている。
ディスプレイが悲鳴を挙げるかの様に、文字が流れていく。
そして、FCSが絶望的な一文を寄越してきた。
『エマージョンシー:Eシールドジェネレーター出力低下:Eシールド使用不可』
空気を震わせる音と共に、Eシールドは壊れかけた蛍光灯の様に、数回点滅して『ルーク』の正面から消えた。
無論、敵ライガーがこんな場面を逃すわけがなかった。
間合いを取りながら、ニ連加速ビーム砲が火を噴く。
着地と共に、着弾。
何とか、体をよじり、直撃だけは間苦れたが、コクピットの後方、たてがみに相当するEシールド発生装置を奪い去った。
そして激震を襲うコクピット内で、彼女はその事に気付いた。気付いてしまった・・・。
「ふっ」
一瞬逡巡してから、何かを覚悟して不適に彼女は『ルーク』のコクピット内で笑った。
口の端から、一条の血が流れた。それをそのままにして叫ぶ。
「決めるわ。覚悟なさいな!!」
敵を前方に見据えて、操縦桿を力一杯に前に押し込んだ。
Eシールドを持たない『ルーク』に取って、それはまさに特攻に近い物であった。
>>255 続けて書くのは何か嫌なので、みんな書いてクレー。
「誇りと刃と復讐と(20)」
敵ライガーは、その場に留まり、腹部の三連衝撃砲や背部のニ連加速ビーム砲をEシールドのない『ルーク』に向けて放つ。
最早、『ルーク』にそれを防ぐ手立てはない。
だが、回避ならできる。
左右に機体を振って、寸での差で飛んでくる弾を回避する。しかし、やはり無理があるのか、敵ライガーに近づけば近づくほど、所々にダメージを追っていく。
しかし、彼女の操縦技術と、『ルーク』の身体能力はそれ以上、許しはしなかった。
最早撃破に拘るのは得策とはではないと気付いた敵ライガーがEシールド全開で突っ込んで来る。接近戦と言う訳ではなかろう。接近戦なら、Eシールドが役に立たない。とは言え、横や、後ろに逃げるのであれば、前面部にしか張れないEシールドが意味をなさない。このまま、『ルーク』の脇をすり抜けて、間合いを取り直すつもりだ。
二機のライガーが、トップスピードでたった3m程の間合いを持って交錯する・・・!
彼女はこの瞬間を見逃しはしなかった。
『ルーク』はその場で左足一本だけ置いて跳ねると横転、機体の向きを瞬時に180度回転させて、その場に爪を叩きつける。後脚が地面に叩き付けられる。
それは彼女がもっとも得意とした急旋回『薙旋』。
トップスピードに乗っていた思えないほどの機敏な動き。まるで曲芸かの様な華麗な舞いだ。
間髪をいれずに全兵装フルオープン!
「て――――っ!!」
背部のニ連装加速ビーム砲が、左右の腹側部の八連装ミサイルポッドが、腹部の三連衝撃砲が、尻尾の重装ビーム砲が、すべての兵器が一気に敵に向けて射出される。
狙いはほとんどつけてないノーコントロールだ。しかし、あまりの近距離から放たれたそれらは、ほとんどが旋回途中の相手のシールドライガーの側面部に命中した。
轟音が鳴り響く。
右側面部と右前後脚をえぐり取られた赤黒色のシールドライガーは吹っ飛び、パーツをばら撒きながら転げていく、そして岩にぶつかって停止し、沈黙した。
『ルーク』も『薙旋』と射撃の反動をバク転で相殺しつつ、止まった。しかし、そこで力尽きた。
『ルーク』は四肢を放り出し、轟音と共にうつ伏せに大地にひれ伏した。
そして、その衝撃で、被弾していたコクピットの強化ガラスが砕け散った。
すべてを見ていたアドッサは嫌な予感がした。
「大尉!」
しかし、返事が無い。
カノントータスの砲撃はなかった。
後で分かった事だが、カノントータスは無人機だった。敵ライガーが位置情報を入力すると、自動で援護してくれるシステムを取っていた。
そんな事はアドッサは知らなかったが、戦闘を終わったのを確認もせずに、アドッサはウルフのコクピットから抜け出すと、『ルーク』に駆け寄った。
>>254の続き
『闇ゾイドバトル』(7)
「あと、10日だね♪」
アーシャの突然の呼びかけにヴィルの思考が中止される。
「今回は割増報酬だったし、浴衣でも買おっかな〜♪」
まだ、完全に現実に戻ってない頭でぼんやりと生返事を返すヴィルを気にするでもな
く、アーシャは話続けている。
「…でね、どう思う?」
「え…スマン、聞いてなかった…」
意見を求められて初めてアーシャの顔を見ると、普段の3倍ほどに頬を膨らませて、
こちらを睨んで不満を表している。
こうゆう時は子供っぽいんだよな、と自分が怒らせた事を棚に上げて吹き出しそうに
なりながら「浴衣だろ?白系のがいいな」と話をそらす。
「…それじゃなくて、」白系のがいいな、が効いているのか顔を赤くしながら続ける
「なぜ、特別割増なんてしてくれたのかって事よ」
「さあな?何せよく理解できん人だし…」
そう言いながら、ヴィルは知っている、例の依頼の前報酬だ。
内容が内容なのでアーシャには秘密いしてある。
「ん〜ま、いっか♪ ね、次はどこに行く?」
アーシャのこの明るさに何度救われたことか、それでも、いや、だからこそ今回の話
は秘密にして置いた。あまりに残酷だから…
何軒かの店を回り浴衣を買ったり、ゾイドのパーツを注文した。
終戦記念祭の派手な飾りが付けられた時計台を見やりそろそろ時間なのを確認して小
腹が減ったな、と話を切り出す。
アーシャはその挙動に気付きながらも「そうね、どこかで食べて行く?」とあわせる。
ヴィルが言わないと決めたら決して言わない事を知っているから、それが、大抵は自分
のために気を使っての事も知っているから、アーシャは気付かぬフリをする。
もちろん、ヴィル自身それには気付いている。
理解しながら、理解し合えない二人は自分の道を行く事しか出来ないまま、一軒のラウ
ンジへと向かった。
258 :
ゲル状:2001/08/05(日) 11:10
259 :
不敗の猛虎:2001/08/05(日) 11:23
「なんてことだ、、、」
赤い皇帝専用機が北へ飛び去ったとの報告を受けたエリクソンは落胆の
色を隠せなかった。ヘリック大統領にあわせる顔も無い。
煙がくすぶり廃墟と化した皇居に中を出て司令部のあるウルトラザウルス
に向かうエリクソン。だが司令部で待っていたのは左遷命令でも解雇通知でも
無かった。「エリクソン、済まないが兵を率いてバレンシア基地へ向かって
くれ。ゼネバスはそこにいる。」バレンシア、、、、まさか、、、
「もしや、、ダニー・ダンカンもそこに?」エリクソンが緊張した表情で
ヘリックに問う。「そう、不敗の猛将が帝國の危機に動かなかった理由は
そこにある」そしてヘリックはおもむろに指令を通達した。
「今回の作戦目的は、ゼネバスの殺害 である」
>>257の続き
『闇ゾイドバトル』(8)
大通りから少し外れたビルに小さな店がある。
半地下式のやや薄暗く落ち着いた雰囲気のラウンジで、店の名をフェリオ・
デ・レアートと言う。
「この前見た雑誌に美味いって載ってたんだ」
言い訳じみた台詞。
ヴィルがそんな雑誌を読まない事ぐらいアーシャには先刻承知だろう。
それでも、言わずにいられないのは、罪の意識からだろうか。
やや、傾いだ扉を抜けると、思ったより広めの店内が広がる。
10人は座れるカウンターはほぼ満席状態でフロアに有るテーブルも
6脚中4つまで埋まっていて、ヴィル達は一番奥まった席に着いた。
適当にメニューを選び、程なくして運ばれて来た料理をつつきながら、
他愛無い会話を続ける。
…ふと
唐突に…ヴィルは立ち上がった。
不安、期待、決意、様々な感情を読み取れるヴィルの顔を見て、アーシャも
その視線を追う。
「!?…カル?」
ヴィルと同じく様々な感情を浮かべて立ち尽くす男の名を読んだのはアー
シャかヴィルか、どちらだっただろう…
二人の時間は止まり、三人の時が再び動き出した…
261 :
名無し獣:2001/08/06(月) 09:26
とんち小坊主の一休さん、きょうもお寺の納骨堂でさよちゃんと秘密のお遊び。
「ねえ さよちゃん?」 かたわらの骨つぼをとって一休さんがいいました
「この かめに あたまをつっこむことが できるかい?」
「うふふ、そんなのわけはないわ..ほら!」さよちゃんは、かめをすっぽりと
かぶってみせました。
「やあ、すごいすごい、でも..そのかめ......中身入ってるよ!!」
さよちゃんのあたまには、どくろがちょこんとのっていました。
「ギャアアアアアアア!! とって!とってつかあさい!」 着物を振り乱して、
泣きわめくさよちゃん。
「ギャハハ!骨のコナはピカの毒にいいんだってよ!」
「ギギギギギ....」
・
・
・
「ひっく ひっく....ひどいわ 一休さん」涙目で一休をみつめるさよちゃん。
その瞳と、乱れた着物からのぞく白いふとももに、一休さんは女を見たのでした。
(犯って....やる!)
なんとかしてさよちゃんを犯す計画を練る一休さん。
....ポクポクポク(思考中)....チーン!! (〜 一休さんテーマ曲イントロ流れ出す 〜)
「さ、さよちゃん!じゃあ今度は、そのかめを口の中に入れるいれることが出きるかい?」
「ええ!こんな大きいの、おくちにはいらないよぅ...」
(ブチ)←萌えなセリフに、一休の何かが切れた音。
「そのかめが入らなくても、俺の亀は入るだろオラァ!」
たけりくるったいちもつを さよちゃんのくちにねじこむ一休さん。
「うぶっ、んぐうっ!」
「ホラァ!もっと舌を使え!噛んだら殺すぞ!」
もはや一休さんにみほとけの姿は見えませんでした。
その後、ご開帳と称し、さよちゃんのおさない観音様によくぼうのかぎりを
ほうしゅつし、なんどもなんども果てた一休。
すでにさよちゃんは抵抗する気力も失い、にんぎょうのように股間から血のまじった
ピンクいろのせいえきをだらしなくたれながして転がっていました。
全てがおわり、納骨堂を後にする一休。まだまだ暑い、秋のゆうぐれです。
「いたづらきびしく一級品....か.....フッ...フハハハハハハ!」
一休は笑いながら帰っていきました。
お寺のかねが、ごん となりました。
ある青年が、らくだと共に砂漠を旅していました。
しかし思った以上に長く続く砂漠に、若い青年の性欲は耐える事が出来ませんでした。
そこで青年は思い付きました。
「そうだ!らくだとやろう!」
青年はらくだの後ろへまわると早速自分のものを入れようとしました。
しかしその時らくだはトトッと数歩前へ。それに青年が近づき再びチャレンジ。
しかしらくだはまたもやトトッと数歩前へ。その後、何度も試したけど同じ事の繰り返し。
青年は行為をあきらめ、再びらくだと旅を続けました。
そしてしばらく歩いていると、なんと前方にきれいな女性が倒れているではありませんか!
青年は女性に言いました。
青年:「大丈夫ですか?」
女:「あ、、の、のどが乾いて死にそうなんです、、。」
青年はここぞとばかりに言いました。
青年:「じゃあ、水をあげたらなんでも言う事をきいてくれますか?」
女:「はい、、言う通りにします、、、。」青年は水をあげた。
女:「ああ、ありがとうございました。おかげで助かりました。」
青年:「よし。言う事をきいてもらうぞ。」
女:「、、はい、、。」
青年:「じゃあ、らくだ押さえといて。」
誤爆だらけだな。
>>230の続きです・・・
悲しき戦線・・・「作戦発動前日」
翌朝、共和国の補給部隊が無事到着した。
これにより、試験型ストームソーダにサンダース中尉が乗り換える事になった・・・
「これが、ストームソーダ・・・か・・・」
そこには、ほとんどマーキングの施されていない真っ白いゾイドがあった・・・
同じく配備された試験型ガンスナイパーには本国より派遣されたテストパイロットが乗る事になった・・・
その夜、ホーキンスは再び兵士たちを集めると現状報告と作戦内容を発表した・・・
「本国の調査によると、敵の作戦は明日未明の開始されるとのことだ。
そこで、今日は我が基地の現状と明日の作戦について説明する!!
まず、作戦だが・・・基地護衛はゴドス隊とレオ中佐に受け持ってもらい他の隊はすべて出撃、私の前線部隊として出る!!
カノントータス隊は後方より援護射撃!!できれば、敵の翻弄と共に大型ゾイドを目標にしてもらいたい!!
そして、主力部隊だが・・・今までの部隊をすべて解散として個人の判断でやってもらうのだがチームを組んでもらっても結構だ!!ただし、1箇所には固まらず拡散しろよ!!
敵の数は我々の約4倍だ!!一箇所に固まれば一瞬にしてこの基地は落ちる・・・
そして、戦闘中に損傷した機体や弾切れになったらすぐに基地に帰還し補給を受けろ!!無理して戦う必要はない!!
対空部隊は主に対空戦をやってもらうのだがそれと同時に地上部隊の援護も頼む!!装備は対空装備のままで片付いたら援護装備に換装してもらう!!
そして最後に我々の戦力だが・・・ストームソーダ1機、ガンスナイパー3機、シールドライガー5機、コマンドウルフが11機、カノントータス4機、プテラス6機にゴドスが20機だ、それに私とレオ中佐のゴジュラスが2機となる!!」
そこまで、ホーキンスが言い切ると1人の兵士から質問が出た・・・
「補給分と残存機を合わせたら数が合わなくないですか??また補給部隊が・・・??」
「いや、補給部隊の援護部隊がそのまま配属されることになった!!さー・・・これで、話しは終わりだそれぞれ休んでくれ・・・」
説明が終わると皆ざわざわしながら席を立ち始めた・・・そこに・・・
「おっと!!みんな、ちょっと聞いてくれ!!」
ホーキンスの呼びかけにざわめきがぴたりと止んだ・・・
「作戦発動中に俺が合図を出したら戦闘を止めみんな後方の生産基地に退却しろ!!」
兵士達から様々な驚きの声があがった・・・あのレオ中佐でさ狐につままれた表情をしている・・・
「大丈夫だ!!本国には了承をとってある!!向こうについたら指示は向こうの司令官に従ってもらう・・・それから、俺が合図を出すまでは絶対に退却は許さない!!では解散!!」
兵士達は複雑な心境で作戦室を後にして行った・・・
一方帝国側では・・・
「多くは言わん!!共和国の奴らを全滅させろ!!戦力はこちらが圧倒的に有利なのだからな!!いいか、情けは無用だ!!」
共和国とはちがい帝国軍の兵士達はみな余裕な表情を浮かべていた・・・
ただ、一人・・・マッキネンを除いては・・・
>>256 「誇りと刃と復讐と(21)」
駆け寄り、うつ伏せの『ルーク』の顔をよじ登る。
そこで、アドッサは見てしまった。
血まみれのアリア・ウェール大尉を・・・。
そして、痛感した。
そうだとも、シールドを張っていないのだ。弾丸が当たっていない訳がない・・・。
彼女の腹には、致命的な穴が空いていた。コクピット付近を打ち抜かれた際の拡散したビームの一部が、彼女を貫通したのだ。灼熱の粒子に打ち抜かれた傷は、焼かれ、出血は驚くほど少ない。しかし口から幾条もの血が流れ出ている。
顔面は蒼白。アドッサには、それがどういう事か分かった。
もう、どう見ても助からない。
だが、彼女は笑っていた。苦しそうな顔にいつもの微笑をたたえている。
「ふふ、あなたは筋がいいわ。きっとこのまま行けば、踏み込める。私が見た世界に・・・。そうなれば、きっと名誉も称号も貴方のものだわ。だから、ここまで早く来なさい。『最速の領域』に・・・。」
「大尉、もう喋らないで下さい。」
「あ、あ…はは。あっ…けな…いわ。私と…もあろう…ものが…。」
不意にアリアは天に右手を伸ばした。その目は、もはや左手を握るアドッサを見てはいない。遠く、遠くを見つめる。手を伸ばしても恐らく届かない場所を。
「ディッ…ク、私…、追い…つけたかな…私…は最速だっ…たかな…。約…束、守れ…たかな…。」
それが最後の言葉だった。伸ばした腕が、ゆっくりと地面に落ちた。
アリア・ウェール大尉は、その短い人生に幕を閉じた。
アドッサは、声にもならない。ただ、何も考えられず、急速に冷えていく大尉の亡骸の左手を握っていた。
不意にルークが起き上がり、天に向かって、吼えた。
亡き主人を弔う、悲しく、寂しい、しかし心の底まで響き渡る咆哮だった。
アドッサは、その声を聞いて思った。
名誉も称号もいらない。
ただ、彼女を守る力が、速さが欲しかった・・・。
>>265 一週間後。
アドッサは、隊長室に呼ばれた。
ノックをすると「入れ。」とだけ言われた。そのまま、中に入る。
いきなり、拳銃を眉間に突きつけられた。
驚いて見やると、片手で拳銃を握るのは、新しくLQ小隊の隊長に任命されたゴーン新中尉だった。周りには、他の隊員もいた。
殺されても文句はないと、アドッサは思った。皆、アリア大尉を慕う部下だった。
あきらめて、目を閉じる。
しかし、皆が守る中、口を開いたゴーンが放った言葉は意外な物だった。
「問おう。アドッサ・マークス。生か、死か。彼女の遺言どおり最速を目指すか。このまま死ぬか、だ。」
そして、続ける。
「最速を目指すなら、俺らが、彼女から教わったすべてをお前に叩き込む。生易しい教え方はしないつもりだ。殺すつもりでやる。このまま死んだ方がマシかもしれないぐらいにな。」
アドッサは、目を見開いて、ゴーンの目を見た。
ゴーンの瞳には、色々な感情が宿っていた。しかし、真剣そのものだった。
「だから、選べ。」
アドッサは口を開いた。
「俺は・・・俺は・・・。」
答えなど、決まりきっていた。
う、やっと「誇りと刃と復讐と」の過去編が終わった。
次回から、やっとVSジェノザウラー編に戻れるなーっと。
268 :
名無し獣:2001/08/08(水) 12:15
過去編終了Age。おめでとうございます。
>>260の続き
『闇ゾイドバトル』(9)
「いや〜ほんとに久しいな!」
カルはもう何十回も同じ台詞を繰り返している。
三人が再開してニ時間以上が過ぎ、つい今しがた「疲れたから、先に帰って寝る」と
アーシャが帰ったところだ。
「じゃあ、俺も」と立ち上がったヴィルをカルが引きとめ、アーシャの「いいから、
もう少し居なよ。男同しじゃ無いと出来ない話しもあるでしょ?」という言葉が追
い討ちになって、今に至った訳だ。
「いや〜まさかヴィルがこんな所で闇バトラーをやってるなんてな!」
「…お子様のバトルごっこには興味無いんでね。お前こそ何をしてるんだよ」
本当に愉快だと言う感じで話すカルに憮然としながら答え、一気にグラスのエールを
飲み干し次の言葉を聞いて吹き出した。
「GFだと!?」
「しー!!声がでかい!」
言われて辺りを見回すヴィル。夜も更けラウンジに居る客は酒に酔い回りの事など気
にしてる余裕は無いようで安心した。
ヴィルが落ち着くのを待っってカルは話し出す。
身振り手振りを入れ上司のモノマネまでしながら話すカルの話を要約すると
今、GFは各地の闇バトルの撲滅に乗り出している。
カルはこの街の闇バトルの潜入捜査に来ている。
すでにバトラーとして登録を済ませてきた。
という事らしい
ヴィルは半眼になりながら静かにきいた。
「何故俺に話す?俺は闇バトラーだぞ」
「ヴィルが俺を売るわけないと思うからさ」
「何故そう思える!?俺とお前はて…」
「仲間だろ?」
しれっと言い放つカルにヴィルがキレた。
「貴様は敵だ!確かにウルトラザウルスの中では協調していたが、仲間になった覚え
は無い!!」
怒りをあらわに叫ぶヴィルを静かに見つめるカルの目に狂気の光が宿る…いや、宿っ
ていた狂気の光が輝きを増したと言うべきか。
「レッドホーンに乗っていた彼女か…たしか、ファムと言ったかな?」
「そうだ!貴様が殺した俺の姉さんだ!!」
派手に椅子をひっくり返しながら言い捨てるヴィル。
さらに怒気を強めて、言い捨てる。
「バトラー登録したのなら好都合だ!!売りはしない!この手で姉さんの仇をとってやる」
足音も高く出て行くヴィルを止めもせず、カルは薄笑いを浮かべている。
狂気に満ちた目は虚空を見つめ、邪悪さすら感じる薄笑いに歪んだ口は誰に聞かせる
でも無く言葉を紡ぐ。
「そう、俺はヴィルの姉を殺し、ヴィルは俺からアーシャを奪った…」
「いや、連れ去ったんだ…」
「くっくっくっ…待っててよアーシャ」
「ヴィルを殺して助け出してあげるからね…」
みなさん、お久しぶりです。もう忘れられているかもしれませんが。
私は今、何かと忙しくて続きはまだ書きあがっていません。申し訳ありません。
執筆者のみなさん、がんばってくださいね。
>赤羽氏
期待して待ってます!
「誇りと刃と復讐と(?)」
過去編も終わり、VSジェノザウラー後編に入る前に、VSジェノザウラー前編の登場人物のおさらいしときます。忘れてる方も多々居ると思うので(っていうか、鈍亀進行ですんません。)。まぁ、読み返す手間はこれでなしかな?
アドッサ・マークス中尉:
主人公 DT小隊の隊長。シールドライガー『ルーク』の乗り手だった。現在、愛機を失い、臨時で連隊長をやっている。愛称『レオダスター』
ハイド・エミュリー曹長:
アドッサの部下その1。軽薄な言動が目立つが、レオジョッキーとしての腕は、かなりの腕前。逃げ足が速く、敵をかく乱させるのが得意。危険に関する嗅覚はアドッサを凌ぐ。愛機はシールドライガー『オードリー』。
ミゼルフ・ミニマ少尉:
アドッサの部下その2。真面目軍人。だが、戦術に関してだけ言えば、頭は硬くなく、柔軟な対応で、他の者をサポートする。DT小隊の影の指揮者。遠距離攻撃が得意であり、シールドライガーDCS『セラフ』での援護射撃が主な役割。
ディム・デー・スロイスロット中佐:
PA12基地の基地司令官。アドッサの士官学校時の教官でもあり、アドッサが最初に配属されたレッドリバー方面第三基地で、アドッサが入隊約1年後に師団長として配属されている。アドッサと縁の深い人物である。
ミール・オーン少尉:
アドッサの所属する普通科連隊の空戦部隊のエース。現在負傷中。復帰するらしいとの話だが・・・?
アリア・ウェール中佐(故人):
生前は大尉。『ライトニングクィーン』とまで言われた凄腕のレオジョッキー。
任務中にアドッサを庇い、6年前に死亡。
ゴーン・マクウッド中尉(6年前の階級):
アリア無き後のLQ小隊の隊長。アドッサを徹底的にしごいた人物。今は・・・?
>>266 「誇りと刃と復讐と(22)」
6年後、西方大陸PA12前線基地。
星が綺麗な夜空の中で、アドッサとその部下、ハイド、ミゼルフは、空を見上げていた。
「と、まぁ、色々あったわけだ。」
アドッサは全部を語ったわけではなかったが、ハイドもミゼルフもおおよそのことは予想したのか、沈黙を守った。
「柄にもなく喋りすぎたか。」
そう言って軽く首を振るアドッサに対してミゼルフが口を開いた・
「アリア・ウェール大尉も、初めは、きっと追いつけなかったんですね。それが何だったのか、分かりませんが。」
「確かにそうかもしれんな。彼女が何かを追い続け、ついに達した『最速の領域』が何だったのか? 未だに誰もその答えを知らんよ。俺も速くなったが、彼女のスピードに追いつけはしない。あのデタラメと言っても過言ではない速さにはな。」
ふと、アドッサはある詩を思い出した。
「『共に大地を蹴り、風を切り、すべてを追い抜き、我が命果つる時まで、我が身、我が魂は汝と共に在らんとす。』」
「何すか? それは。」
沈黙していたハイドが、興味を持ったのか聞き返してくる。
「ルークのコクピットに刻まれていた詩だよ。恐らく、アリア・ウェール大尉のな。」
「いい詩ですね。」
「あぁ、そうだな・・・。彼女の人生そのものだった。」
とその時、基地全体に警報が鳴り響いた。空を見上げる。サーチライトがあたりを照らす。
夜空を照らす閃光の次に轟音。
敵の第一撃。恐らくはジェノザウラーの集束荷電粒子砲だ。
だが、まだ遠距離。恐らくは仕掛けていた小ざかしい、しかし大量の罠に仲間が掛かったのだろう。
振り返ると、すでに部下二人の姿は、無かった。
アドッサもすぐさま戦術指令室に向かった。
>>270 赤羽さんの新作はしばらくお預けですか、残念。
楽しみに待ってますよー!
>>273 「誇りと刃と復讐と」も、面白くなってきましたね!
続きが楽しみです。
>>269の続き
『闇ゾイドバトル』(10)
遺跡の北には砂漠が広がっている。
まばらに巨岩がたたずみ、その蔭に寄り添うように草が生え、その僅かな緑でさえも
もぎ取る様に吹き荒ぶ渇いた風にさらされて、ヴィルの ライトセイバーが今だ姿を
見せぬ何かに対して身構えて居る。
「アーシャ、ヤツはまだか?」
見渡す限り砂しか見えぬ孤独に耐えかねた様に、数キロ離れたアーシャのグスタフに
確認をとる。
「まだね…」
何の説明も聞かされないままバトルを申請し始めてしまったヴィルに怒っているのか
かなりそっけなく答える。
「…それなら、ミレンダからヤツの機体情報は届いたか?」
「それもまだ」
「・・・」
気まずい雰囲気がコックピットの中を満たす。
互いに無言のまま数分が過ぎ、先に根をあげたのはアーシャだった。
「ちょっと待って、今再度確認してみる」
「いや、いい…」
雰囲気を変える為に発した言葉をヴィルが遮った。
「来た…ヤツだ!」
ヴィルが戦士としての直感で気付いた通りに
ライトセイバーのレーダーが時速325kmで疾走する機影を捕らえていた。
276 :
帝国過激団:2001/08/12(日) 01:09
ぴんぽんぱんぽーん
軽いギャグなので怒らないでね(ムンベイのお願い)
帝国軍第44師団独立戦闘隊隊長、ドルフ=ラングレン中佐は悩んでいた
ここは地の果て、硝煙と機械油の煙る戦場だ
部下は優秀、戦果も上々だ、日々これ好日だ
ただ部下の人格を除いては・・・・・・・・
ちゃーらーちゃーrちゃっちゃちゃー♪
第一話「ゴッドハンド」
マスター=オヤマ軍曹
牛殺し、ゴッドハンドの二つ名で知られるハンマーロックの使い手だ
先の大戦で、一つの火器も帯びずハンマーロック一機でディバイソン
の角をへし折り三機を大破させ、戦局を一気に好転させた功労者だ。
一切の火器を拒否し、素手での格闘戦にこだわるさまから両軍から尊敬
と畏怖をこめて、ゴッドハンドと呼ばれる男だ・・・・
「いよう坊や、なかなか上手くやってるようじゃないか」
・・・・やれやれだ、先任仕官として初陣からずっと世話になっているとはいえ、
これは少々、指揮にかかわる大問題だ
「軍曹、口の利き方に気をつけたまえ」
傷だらけの丸顔をことさら上機嫌にゆがめ、まったく似合わない猫なで声で話し掛
けてきた
「かてぇーコト言うなよ、俺とお前の仲じゃーねぇか・・・でだな、・・・」
「却下です」
・・・・・・・・・・
「あのなぁ、セイバータイガーがこの前とどいたろ」
・・・・無視してきやがった・・・
「で、慣らし代わりに模擬戦をやろうってことになったんだが、ちーっとやり
すぎちまって・・・・」
マスター=オヤマ軍曹
彼にはこの日から新たな二つ名が付いた
虎殺し、そして、味方殺し・・・・・
ここは地の果て帝国軍第44師団独立戦闘隊、通称グレン隊
本日も平和だ・・・・・・・・
このスレの最大の欠点、
1の文が超絶にうざい事。
278 :
名無し獣:2001/08/12(日) 01:28
神みたいな奴が書いてたら最低だね(w
>>273の続き。盆休み明けの一発。
『誇りと刃と復讐と(23)』
それは絶望に近い。
ハイドは、シールドライガー『オードリー』を操ってジェノザウラーに追いすがっていた。
近づいても駄目。離れても駄目。絶妙なレンジで、ジェノザウラーにまとわり着く。これが彼の役目だった。
今、現在ジェノザウラーは中距離レンジでの攻撃スタイルを徹底していた。絶大な威力を持つ移動砲台というわけだ。基地に向けてあらゆる角度で砲撃をかましてくる。
操縦桿も握りながら、彼は人より鋭い危険に対する嗅覚と闘っていた。
ひしひしと感じる危険。何時死んでもおかしくない状況。
さっさと尻尾を巻いて、一目散にこの場所から居なくなりたい。
今の俺に、それはきっと許されるはずだ。この狂った状況下だから・・・!!
操縦桿に掛かる力が弱まり始まる。しかし、ある言葉がよぎる。
『彼女は、何故、俺などを救ったんだろうな。』
そんな答えは決まりきっている。
奥歯をぐっと噛んで、歯軋りを立てる。今までの俺なら、逃げていた。だが・・・
「くそ、卑怯だぜ。中尉。あんな話をされたんじゃ、逃げられねーじゃんかよぉぉぉ!!」
前を見て、操縦桿を再び押し込む。自分で、馬鹿だと思った。しかし、妙にそれが心地よかった。苦笑いと共に、周囲を探る。
ジェノザウラーは近い。守る様にしてセイバータイガーが1匹付いている。セイバーの砲撃をすべてシールドで受け止めて、流す。
「くそっ、くそっ、くそ!!」
相殺しきれない激震が襲い掛かるコクピットの中で最早、悪態もそれだけだった。
迫り来るジェノのニ連装パルスレーザー砲の砲撃を寸での所で避け切って、一応、反撃として、背中のニ連装加速ビーム砲をぶっ放す。当たらない。ハイドは逃げ足は一級品の腕前を持っていたが、如何せん攻撃のセンスは皆無だった。
そのまま振り切る様に、ジェノザウラーはバーニアを噴かして、長距離ジャンプを決める体勢を取った。セイバーがそれを援護するかの様に突っ込んでくる。
「逃すか、パチモンがぁぁぁ!!」
右腹側部の八連装ミサイルを展開し、全弾発射。だが、それはセイバーによって、叩き落とされる。
「邪魔くせぇ。」
そう言った矢先に警告音。背後からだ。状況確認。シールドライガーDCS『セラフ』。
同輩のミゼルフの援護射撃だった。DCSの脚は、余計な物を積んでいるだけ遅い。やっとハイドの『オードリー』に追いついたのだ。
ミゼルフは、的確な射撃で、ジェノザウラーに向けて砲撃した。
頑丈な装甲といえど、DCSの大型ビーム砲を受けて、無傷と言う訳には行かない。
ジェノザウラーは、長距離体勢を崩して、その一撃を避けた。
しかし、その代わりと言ってはないんだが、口内が光り始めた。
「く、荷電粒子砲か!」
>>279の続き。何故、誰も書かないのー(泣
『誇りと刃と復讐と(24)』
敵は、予想以上の広さに仕掛けられたトラップに引っ掛かってしまった。
PA12基地は、防衛の面にしては、基地司令であるディムの凝り様で、要所、要所にトラップが巧妙に仕掛かけれた。
恐らく、敵としてはもう少し近づいて待機、空爆部隊を先行させて、基地を空爆後、時間をなるべく明かさずに基地に突入する予定だったのだろう。
しかし、発見された後は、ジェノザウラーと数機を遊撃部隊として、対空砲台を攻撃し始めた。
ある程度、対空砲を破壊した後に空爆部隊を突入させるつもりだ。
相手に取って、被害の少ない作戦であり、真綿で首を締めるような作戦でもある。
ハイドとミゼルフがジェノザウラーとチェイスを展開している頃、アレン・フォン少尉は、カノントータスの操縦席で、震える手を押さえつけていた。
彼はまだ若く、戦争が始まる一年前に入ったばかりの新兵だった。
西方大陸に渡ったのは、ほんの3ヶ月前、実戦は数回しかこなしていない。
そして今回の程、絶望的なケースには未だに当たった事がなかった。
その怯えた瞳が見つめるのは、月が明るい夜空。
だが、明るい月も美しい星も彼には、どうでもよかった。
奴らがやってくる。
闇に紛れて、必ず奴らはやってくるのだ。
レドラーが・・・。
彼の乗る愛機はカノントータス・防空カスタム。愛称は『ピリオド』。
主砲であった大型冷却式荷電粒子ビーム砲を取り外し、多連装短距離地対空誘導ミサイルを中央に置き、45o2連装高射機関砲を両脇に装備したカスタマイズだ。
残ったカノントータス5機のうち、3機は同様のカスタマイズを施されている。
超低空域(数千m以下)での迎撃は短距離地対空誘導ミサイルが、有視界での最後の一線は45o高射機関砲が対応する寸法だ。
急造の改造とは言え、試験運用ではまずまずの結果を出していた。
しかし、敵の主力航空戦力であるレドラーの機動性を考えると芳しくなくはない。
この三機と基地各所の固定砲台とステルスバイパー3機、そしてプテラス一機がPA12基地の心もとない防空網である。
ちなみにカノントータスの残り二機は、155mm榴弾砲を装備し、自走する野戦砲として生まれ変わっている。
今必要なのは、敵陣に食い込む為の突撃砲ではないのだ。
今のところ、敵航空戦力であるレドラーは、有視界には入ってこない。
だが、不意にそれはやってきた。
短い警告音。
レーダーが、高度1万2000mを飛ぶレドラーを捕らえた。
緩やかに降下を始めている。
心もとない戦力。それでも戦いを挑まなくてはならない。
自分の運命を恨んだ。だが、これは戦争だ。
自分に言い聞かせるように、震える手を無理やり黙らせて、強く思う。
来やがれ、叩き落してやる。
>>275の続き
『闇ゾイドバトル』(11)
ヴィルのライトセイバーの目の前に黒い機獣が居る。
美しい流線形の身体を持った高速戦闘機獣…その名は
「ライトニングサイクス…」羨望と憎しみを込めてうめく様にヴィルが呟く
ピピピという電子音と共に共通通信を受信したメッセージがモニターに表示される。
ヴィルは一瞬、無視するか迷ったが結局回線を開いた。
カルへの憎しみよりサイクスへの憧れが勝ったのだ。
「やあ、無視されるかと思ったよ」
「そのサイクスはどうした?盗んで来たのか?」
「セイバータイガ−を乗り逃げしたお前と一緒にするなよ。俺はGFだ、帝国のゾイドを譲ってもらうくらい出来る」
声も無く驚くヴィル「お前…正体を!?」
「ふふ…任務なんてクソ喰らえだよ…」
ヴィルは目の前のサイクスに狂気が宿るのを感じた…戦士の直感に身体が勝手に反応し
フットペダルを踏み込み、レバーを倒す
「俺がここに来たのは貴様をぶっ殺すためだぁぁぁぁぁぁ!!」
カルが悲鳴に近い絶叫をあげながらパルスレーザーを発射し一瞬前までヴィルが居た砂の大地をえぐる。
「クックックッ…望む所だ…殺してやるよぉぉぉぉぉ!!!」
ヴィルが復讐の雄叫びをあげ、闇バトルと言う名の殺し合いが始まる。
アーシャは、かつての仲間と現在の相棒が殺し合うバトルを止める事も出来ずに立ち竦んでいた
>>281の続き
『闇ゾイドバトル』(12)
砂塵を巻き上げ、大地をえぐり、熱い風を切り裂いて、焼けた砂の上を二体の機獣が駈けて行く。
並走する二体を事情を知らぬ者が見たら仲良くランデブーしてる様に映ったかも知れない
しかし、決してそうでは無い。
可動式の武装を持たない二体のゾイドは、並ぶ事で互いを牽制しているのだ。
「どうしたヴィル?ヤケに遅いじゃないか!」
相変わらずオープンになったままの通信機からカルの挑発が聞こえる。
或は作戦的な挑発では無く、ただ単にヴィルをおちょくっているだけかも知れない。
その証拠にカルのサイクスがジワジワと幅寄せして来ている。
「ぬかせ!貴様こそライトニングサイクスを使ってその程度か!ええ?共和国の犬!」
サイクスが近寄った分だけ離れ、距離を一定に保ちながら挑発を返すヴィル。
「!?貴様!良いだろう見せてやるよ!!コイツの貴様が欲したサイクスの性能を!!」
カルは言いつつプラスチックカバーで厳重にシールドされたスイッチを叩き押す。
瞬間
残像を残し、一気に加速するサイクス。
「な、なんてスピードだ…離される!?」
「ヴィル!その場で方向転換!岩場に向かって!!」
かつての仲間がGFになって潜入捜査に来た事。その仲間の目的が相棒のヴィルの殺害
だった事。なにより、二人が殺し合いを始めたショックで茫然自失としていたアーシャだったが
自分の役割を思い出し果たす。
アシストとはいえ、彼女もまた戦士なのだ。ヘタな感傷でやるべきことを見失ったりしない。
「酷いじゃないか〜キミを助けようとしてるんだよ?僕は」
通信を傍受したカルが割り込みながら、サイクスを反転させヴィルの追撃を始める。
「このままじゃ勝ち目は薄いわ、岩場で運動性を活かして!」
「「了解」」ヴィルとカルの声がハモる。
「!?」
ヴィルは初めてカルの狂気に恐怖を感じた。
下がりすぎage
>>280の続き、長いので分けますー。
『誇りと刃と復讐と(25)』
地下の戦術指令室は、慌ただしかった。基地防衛と基地撤退の為の準備の指示が飛びかっていた。
アドッサは、戦術指令室で基地防衛のために、臨時の連隊長として基地司令であるスロイスロット中佐の補佐を勤めていた。
アドッサは自分の無力感をここで噛み締めていた。
ゾイドは生物だ。乗る者との相性と言う物がある。そして、アドッサと『ルーク』の相性はとても良かったが、それを失った現在に置いて、他の機体を慣らすには、今では少々時間が足りなかったのだ。
正直な話、レオマスターになった事があるとは言え、アドッサのパイロットとしての能力は、他のレオマスターほど、すごい物ではなかった。
『ルーク』のポテンシャルが異常に高かっただけなのである。アドッサに、シールドライガーDCS−Jを操るだけの能力はなかった。
無論、常人では制御不能の野良ゾイド『ルーク』との相性がいいというのは、稀な才能である。
こんな場所で戦況を把握して、指示を出しながら、アドッサは強く思った。
戦場に出たい。
だが、どんなに望もうとも自分の愛機だった『ルーク』はここにはいない。彼女が守った機体は、もうここにはいない…。
「レドラー12機、現在 距離2万、高度8千。21時の方向です。」
レーダー担当が、そう声を上げて叫んだ。
とうとう、空爆部隊が突入してきた。
対空砲座は、その半数が、ジェノザウラー等によって破壊されている。
後は、対空部隊であるAX小隊が相手をしなければならない。
こっちは移動ができるので、そのほとんどがジェノザウラーからの攻撃を免れていた。ちなみに21時の方向の対空砲座は、全滅だった。
アドッサは、それを聞きながら、布陣した対空網を確認しながら、指示を出した。
「いいか、AX小隊、高度5千で、短SAMを発射しろ。有視界での戦闘は、あまり深い追いするな。常に動け、奴らは基地空爆が目的だ。爆弾を捨てれば、さっさと離脱を図るはずだ。」
『AX小隊、了解。』
それぞれが、返答を返してくる。
「基地並びに、各隊に通告、レドラーが来る。空爆に注意してくれ。」
>>284 そうこうしているうちに、レドラーは高度5千を切った。
レーダーにいくつも光点が広がる。カノントータス・防空カスタム3機が短SAM、正式名、短距離地対空誘導ミサイルを次々に発射したのだ。
レドラーが小さく散開した。編隊前方の3機がミサイル群に突入していく。
そして、ミサイルの光点が次々に消えていく。
編隊前方の3機は護衛機だったのだ。
結果として、2機の護衛機と2機の爆撃機が、編隊から急速に離脱する。つまり撃破されたのだ。
だが、そこまでだった。依然として爆弾満載の7機のレドラーが、突入をしてきた。
急降下爆撃。
あっと言う間に距離を詰めて、それらは有視界に突入してくる。
とは言え夜間なので、スターライトスコープ(感光増幅装置)を使っての話だ。
AX小隊、固定対空砲座が一斉に弾幕を張る。
だが、それらは高性能の機動性を持つレドラーには、ほとんど掠りもしなかった。
距離1000。
そこで、アドッサは気付いた。AX小隊の識別名「AX2」がほとんど動いていない。
「AX2、聞こえるか、AX2! 動け! レドラーに爆撃されるぞ!!」
急降下爆撃は、ピンポイントだ。狙った物を爆撃し、早急に離脱する為の爆撃。
だが、素早く動く相手にはあまり有効でない。途中で目標をあまり変えられないのだ。
『あぁぁぁぁぁぁぁぁ!! 来るな! 来るな! 来るなぁぁぁ!!』
回線を通して、聞こえるのは絶叫だった。恐怖の余り、パニックを起こしている。アドッサは、素早く手元のパネルを操作して、搭乗者を確認した。
ずらずらと流れる個人情報の要点だけ流し読みする。
アレン・フォン少尉・昨年、士官学校卒業の新兵。
新米が、戦場に出て、自分がここに居ると事実が、アドッサの胸に突き刺さる。
『弾が、弾が出ない。畜生、畜生、何でだよ! 何でなんだよぉぉ!!!』
トリガーの引き過ぎだ。無駄弾を撃ちすぎて、弾切れを起こしていた。残弾メーターはご丁寧に赤いランプと警告音を発して、打ち止めを通告していたが、アレンは錯乱してそれに気付いていなかった。
つまりそれはレドラーに取って格好の獲物だった。
「フォン少尉、その場を離脱しろ、早く。…早く、逃げろ!! 」
距離500。
ついにレドラーは腹に抱えていた爆弾を投下した。
「総員、衝撃に備えろ!」
アドッサの隣のスロイスロット中佐が叫んだ。
アドッサは、パニックに落ちっているフォンに呼びかけていた。
「フォン少尉! フォン少尉!! 逃げろ!!」
爆音と基地を揺るがす振動が戦術指令室にも襲って来た。
>>285 大きな振動は、すぐに収まった。
皆、呆然していたが、すぐに立ち直ったのは、基地司令たるスロイスロット中佐だった。
「各所、被害報告、急げ!!」
アドッサは、すぐにAX小隊の被害状況を呼び出した。
「AX小隊!」
『こちら、AX1。AX2の大破を確認・・・他ゾイドは、損傷軽微』
「畜生!!」
アドッサは、机の端を拳で叩いた。
基地各所から悲鳴に近い現状報告が雪崩れ込んでくる。
そして、今度は地上敵位置確認担当者が悲鳴を上げた。
「今度はジェノが来ます。あーー、敵全軍が動き始めました!!」
空爆の巻き添えを避ける為に、一時後退していたジェノザウラーが再度、進撃してきた。
各戦力の配置モニターを見ると、敵は全部隊は進軍を開始したようだった。
空爆で、ダメージを負ったこの基地にそれを止める手立てはほぼ無いに等しい。
このままでは、全滅する…。誰の目にも明らかだった。
アドッサはモニターを見やる。ジェノザウラーに纏わり付くようにDT小隊・ハイドとミゼルフが居た。
近すぎている。
「DT1・DT2。近付きすぎだ!」
『しかし、中尉、このままでは!』
ミゼルフが答える。確かに彼の言わんとしている事は、分かる。しかし・・・。
間髪を居れずに、ハイド:DT2の通信が入って来た。
『やかましい、現場に居ない奴は、すっこんでろ!』
ハイドは、基本的に軽口は叩いても、暴言は吐かない性質だったが、ジェノザウラーとの付かず離れずの戦闘を続けていた為に相当にテンパっていた。
それはアドッサは、分かっていたし、許容できることだったが、顔が苦痛に歪む。
そうだとも、自分は、今はのうのうと基地の地下なんぞに居るのだ。
「く、無茶はあまりするなよ…。」
――死ぬなよ。
などと言える権利は、彼にはなかった。
>>264の続きです・・・
悲しき戦線・・・「悲しき戦線」(1)
ホーキンスは各部隊長・・・ロイドとサンダースそして、レオを部屋に呼んだ。
「いよいよ、今日でこの基地とおさらばだ・・・何だな、いざここのまずい飯が食えなくなるってのは結構寂しいものだな」
ホーキンスの問いかけとも呟きともとれる言葉に3人は沈黙のまま頷く、そしてホーキンスは話しを続けた。
「作戦は昨日話した通り変更はない。敵は今から3時間後あたりに作戦を発動するそうだ・・・本当ならこのまま逃げたいっていうのが本音だがそうもいかない・・・撤退の合図はこちらで出す。そして、これが私の口から言える最後の言葉だ・・・」
3人は終始沈黙を保っている・・・少し間を空け再びホーキンスが話しだす。
「死ぬんじゃない!!生き残れ!!以上解散!!」
その気迫に満ちたホーキンスの言葉が終わると同時に3人は敬礼を決めた・・・
ホーキンスは3人が部屋を出るのを見送ると椅子に腰をかけ思いふけっていた・・・
外では兵士や整備班が戦闘の準備に追われていた・・・
>>287の続きです・・・
悲しき戦線・・・「悲しき戦線」(2)
「あー、これで、もうマッキネンと会う事はなくなるのかもしれんなー・・・」
「誰なんです??その、マッキネンという人は??」
「マッキネンは俺の幼馴染では・・・しかし、もう10年近く連絡が取れていないんだ・・・」
ロイドは芝生に寝転びカールソンに思いで話しを聞かせていた。
しかし、帝国はそんなことお構いなしだ。
基地の警報がけたたましく鳴り指示が流れる。
「帝国軍が接近中!!戦闘部隊は直ちに出撃準備をしてください、尚主力部隊はカノントータス隊の錯乱射撃後の出撃です!!」
「来やがったな、カールソン行くぞ!!」
ロイドとカールソンは格納庫へと走って行った。その途中・・・
「ホーキンスだ、皆に一言言いたいことがる・・・生きて帰るぞ!!グッドラック!!」
戦場での、「グッドラック」・・・それは平凡な生活でよく聞く「愛してる」より愛情のこもった「がんばれ」より励みになる言葉だ・・・平凡な生活では味わえない何とも言えない優越感を味わえる特別なものだ。
そして、カノントータス隊の怒涛の攻撃を合図に戦闘は開始されたのだった・・・
290 :
名無し獣:2001/08/24(金) 22:38
hage
294 :
山崎渉:03/01/07 20:13 ID:???
(^^)
295 :
S・T ◆H8yA7h3n0U :03/01/07 20:22 ID:zu+g9X5Z
俺からフェロモンが発生しますように。
K・Iの頭の中が俺のことでいっぱいになりますように。
俺のメガネを外した顔がハンサムになりますように。
296 :
山崎渉:
(^^;