2 :
1:2011/11/04(金) 00:49:30.92 ID:???
今更こんな過疎板で次スレ立てちゃいけない道理もあるまいと思って立てました
前スレ落ちてから一年近く経っておりますが
乙。
スレ再建おめでとうありがとう。
お粗末ながら一つネタをば。
ゾイドには空中給油が行えない。
より正確に言うと、行っても意味が無い。生体の疲労の問題があるためである。
理論的にはコアを半休眠状態にし、補助機関のみで飛行する場合なら空中給油が有効だが、敵機の奇襲に
著しく脆弱になるため戦術航空機として非現実的である。
現在のところ人工の推進器の能力は、飛行ゾイド生来のマグネッサーに全く劣るため、長時間飛行可能な
レベルの大型の補助推進機関を搭載することの非効率性も挙げられる。
これもZiにおける航空戦力発揮の上での足かせとなっている。
一方で、疲労は休養を取れば回復する。
上述のごとくゾイドの連続飛行時間は制約されざるを得ないが、着陸して十分な時間休養を取れば、補給を
受けずとも再度長時間の飛行が可能となる。
実際に旧大戦において、デルポイからニクスへと出撃し到着後に残置されたレイノスが帰還した例もある。
いや、その理屈はおかしい
たとえば、OSで感情を抑え込んだストームソーダーであれば
燃料さえ与えておけば、血を吐いてでも飛んでくれるはずである
休みたいという感情をコンピュータで消去すればいいんだから
金属は生身の肉体と違って疲れない
ストームソーダーはOSもさることながら大量に武装してるからストレスがかかって長く飛べないのかね
それならやたらと短く評価されてる稼働時間に説明が付くな
つか脳内設定スレで突っ込みはNGだろ
なかなか時間がとれんが…今回はゴドス発売間近記念で長文いってみるよ。
兵器とは、戦略戦術の要求に基づいて作られる。だが、戦車や航空機がそうであったように、新たな技術、
メカニズムは、時として兵器の側から軍事理論を変革する。
歩兵ゾイドとも呼ばれる最も一般的な小型戦闘ゾイド群は、中庸的でバランスの取れた機能・性能を持ち近接
戦闘の主力をなし、惑星Ziの陸上戦力の骨幹を担う存在である。
ゴドスこそは、その概念を確立した元祖であり、現在の軍事・兵器の基盤を築く革新をもたらした存在であった。
よく小型ゴジュラスという形容がなされるが、開発はほぼ同時である。前時代からの主力機ガリウスに連なる
直接の発展型であり、なおかつ地球人のもたらした先進構造設計理論を採り入れた最初のゾイドであり、それまで
の常識を超えた耐久性とパワーを実現した。
在来機種においても後付けの火器や電子装備の地球型へ換装がなされ、中世的長閑さをとどめていた戦闘
様相を、苛烈な近代戦へと一変させていたが、「重装甲スペシャルタイプ」とも呼ばれたゴドスはゴジュラスとともに
生来の獰猛な闘争心による近接格闘戦用メカという概念を確立。科学兵器の砲火の下で機械獣が肉弾戦で激突
する、今日の混沌たる戦場を現出させた。
前時代の機構の流用箇所もある共和国ゾイドに比べ、ゼロからまったく新しい兵器体系として構築されたゼネバス
帝国ゾイドであるが、格闘戦を度外視する地球の軍事理論に盲従したきらいがあり、そこにゴジュラスとゴドスは
帝国軍をしてゴドスを模したイグアンを生み、さらに後のサーベルタイガーまで到る白兵戦重視思想へと転換
せしめたほどのインパクトを与え、現在まで続く全てのゾイドのアーキタイプとなったと言っても過言ではない。
地球の模倣に留まらない、惑星Zi独自の科学技術・軍事理論の新たな歴史が、まさにゴドスをもって開始されたのである。
ゾイドの恐竜的進化の中、ゴドスは一度表舞台を退くが、その血脈はアロザウラー、ゴッドカイザーと長きに渡る
大戦の末期まで継承された。
しかし惑星Zi大異変後、人間社会と野生ゾイド資源双方への大打撃により、軍備の主力はより低コスト・低レベル
な技術で配備が可能で、個体数も回復しつつあった過去機種へと後退した。
一方で、ガイロスの猛烈な軍備再建の動きに対し共和国議会の反応は鈍く、危機感を強める共和国軍は早くも
異変直後から対抗策を模索し始めていた。
新たな時代の戦闘ゾイドが必要とされ、そしてゴドスは甦った。
それがドスゴドスである。中庸的でメカニズムとしても応用範囲の広いこの機体は、当初から単体の戦闘ゾイドと
してよりも、次世代の戦闘ゾイド基礎技術の取得、そして工業製品としてのフォーマットを確立するための基盤作り
が目的とされていた。
「リバースセンチュリー」と銘打たれたそのプロジェクトの目指したものは、旧機種への退行に非ず。性能のみを
追求し専用設計への細分化と恐竜的肥大化を繰り返してきた開発方針を転換し、現在までなお受け継がれる共通
コンポーネント規格を打ち出した、原点の発想へと立ち返ること。
すなわちドスゴドスの汎用性に優れたフレーム及び各艤装品を、「統制型」として標準とし、過去機種の再生改修
も包括した共通化を図ることにより、基礎性能の底上げと、コスト低減、運用・兵站効率の向上を同時に達成する
ものであった。
その志はZAC2080年代から配備が始まった新製ゴドスにおいてようやく実を結んだ。ドスゴドスのフレームを採用
した「統制型ゴドス」は、コスト削減のため装いこそ旧時代のそれだが、原型ままの部分は二割もない。
統制型フレームの最大の成功例が、空軍のプテラスとの共通化であった。陸空の主力機の生産ライン統合により
ゴドスとプテラスは緒戦で被った損失の補填とさらなる拡充の動員によく応え、共和国軍の屋台骨を支えた。
以後も、統制型フレームを受け継ぐ戦闘工兵ゾイド・スピノサパーの他、次期主力機ガンスナイパー、スナイプ
マスターをはじめ、BLOX規格の全面採用までに開発・配備された中小型ゾイドのほぼ全てに、なにがしかゴドス
からの流用箇所がある。
共通化による兵站効率の向上化は、致命的なまでの開戦準備の遅れを挽回しえた大きな一因となった。
小型機の成功とは対照的に、次世代の共通原型となる機種を持てなかった大型ゾイドにおいては、新型機戦力化
は迷走する結果となった。
この設計共通化の知見は、後の東方におけるBLOX開発においても多々参考とされ、次世代においてもその思想は
受け継がれたことになる。
ゴドスは二たび、ゾイド開発史上に輝く太陽となったのである。
いま、ゾイドの生物種分類は混迷のうちにある。
元凶は、文明開化の父ともいうべき地球に対するブランド信仰に基づく、ゾイドを地球の特定種に当てはめようとする風潮にある。
傾向は、現存種についての収集が一段落し、その分類や進化史の研究が本格化した大異変後、とみに顕著になってきている。
一例としてライトニングサイクスはチーター型とされるが、ネコ科動物の中でチーターは唯一ツメを出し入れできない
種であるのに対し、ゾイドではサイクスだけがツメを収納できる逆転現象が起きてしまっている。
もともと似て非なる異星の生物を無理矢理こじつけたことによる弊害である。サイクスをチーター型としたのは、
戦闘ゾイドとして開発された後に、ただ地球最速の動物にあやかって箔を付けようとしただけに過ぎない。
それも後にはもっと速力に優る機種がいくらでも登場したのだから無意味も甚だしい。
☆真の暴君竜いざにありや?
わけても混乱が顕著なのがティラノサウルス型ゾイドである。
最強の肉食恐竜はZiでも人気である。共和国は、自身の有する最強の肉食恐竜型種のひとつであるゴジュラスを、
当然にティラノサウルス型と分類した。(そもそも直立して尾を引きずる大時代的怪獣スタイルの生物が恐竜型
とされたのは、デルポイにおけるゾイドの分類を行った地球人の"自称"生物学者が、恐竜とはかくあるものと頑なに
主張していたためである。ランドバリーのように、宇宙移民の中には様々な理由で地球に居られなくなった者が少なくなかった)
それと同時期に、ガイロスは過去にデッド・ボーダーをタルボサウルス型と分類した(兵器としてはともかく、生物と
してずっと格上のゴジュラスやデスザウラーが闊歩している現状で、最強)を名乗るのは気が引けたのだといわれる)
経緯から、それより強力なエウロペで発見された新種をT-REX、すなわちティラノサウルス型と分類してしまったのである。
両国関係の断絶は学会内も例に漏れなかったことが、発覚を遅らせ問題をこじらせた。
☆待たれい、我こそが正真正銘の暴君竜なり
恐竜を巡る論争は、地球の学会でさえ古くは化石の争奪戦、それが高じて爆破。昨今でも復元サイズの捏造など
幼児的なまでの感情むき出しの衝突にまま繋がる。
これは学者本人よりも、研究助成を求めるべき政治家やその他に対するアピールの面が大きいが、ゾイドにおいて
は国家・民族の命運にまで直結する存在であったため、ナショナリズムと結びついて対立をよりいっそう激しいものにした。
共和国がタルボサウルス分類の既成事実を盾に、より強大なゴジュラスをティラノサウルスとする正当性を唱えれば、
ガイロスは地球の考古学資料を持ち出してT-REXこそがティラノサウルスに近いと反論。議論は平行線を辿った。
論点が次第にどちらが真に強いゾイドを持っているかという点にすり替わり、ついには似ても似つかぬデスザウラーや
キングゴジュラスまで一緒くたにティラノサウルス型に分類される体たらくと相成ったのである。
☆狂言、これにて幕切れ
純生物学的には、ゴジュラスとT-REXは近系統とはいえるが、属レベルで別物である。タルボサウルス型もまた
違う属に区分される。デスザウラーとキングゴジュラスに到っては、いずれとも類レベルから完全に別系統である。
ゾイドと恐竜とでは形態変化や分化の道筋もまったく異なるため、進化史の点でティラノサウルスに似ている
如何で当てはめることも無意味。そもそも不可能である。
ヘリック・ガイロスの二大陣営の同盟成立もあり、ZAC2100年代に入るとさすがに学会の頭も冷えてきた。
ゴジュラスの代紋を継ぎながらも、ギガノトサウルス型という新しい種別に分類されたゴジュラスギガは、そうした
意識の変化を現している。
(ギガノトサウルスは全長だけならティラノサウルスより上だった可能性が高いが、戦闘力については破壊力・
耐久力・運動性ともティラノに分があった。さらに脳髄もティラノサウルスの方がずっと大きかった。(ただし、ギガノト
サウルスの脳髄が他より格別小さいわけではない)一見してサイクス同様の逆転が生じているように思えるが、
これは真に最強でティラノサウルスに相応しいのはキングゴジュラスという前提での命名であり、そもそも
ゴジュラスと対比してものではない)
唐突に思い付いたのを一本。
ゼネバス帝国はゴドスの対抗機としてイグアンを投入した。
しばしば「イグアンはゴドスのコピーなのに開発に4年もかかった!」等と言われているが、これは大きな間違いである。
ボディの構造こそ両機は極めて似通っておりイグアンがゴドスのコピーに甘んじていることは否めない。
しかし文字通り戦闘機械獣の核たるゾイドコア周りにおいて、イグアンはゴドスと全く違う先進的な構造を取り入れている。
ゴドスのコアであるアロサウルス型の野生ゾイドは狩りによって他のゾイドを捕らえる捕食者だ。
このような肉食ゾイドは知能が比較的高い上、闘争本能が強く凶暴である。
即ち、機獣化した後に以上のような野生本来の性質を残すことができれば、それは格闘戦用ゾイドとして非常なアドバンテージとなる。
しかしその為には自我が強いゾイドを「調教」し、従順にする必要がある。
ヘリック共和国は(というよりヘリック王国時代からの従来の方法では)多くの手間をかけて個々のゾイドを調教し、
パイロットに従順になるように躾けており、それによって野生ゾイド本来の力が遺憾なく発揮された強力な格闘戦用メカを作り出すことができていた。
一方ゼネバス帝国はゴドス、ゴジュラスといった共和国ゾイドの対抗機種において従来の調教型のゾイド製造を捨て、よりマスプロ的なゾイドを模索する。
これは地球人ランドバリーの思想と、帝国の人員が不足しており大量生産型のゾイドにおいては手間のかかる調教を十分に行えないという事情も関係していた。
まず帝国はゴジュラスの対抗機として、極めて強靱な身体を誇る大型のゴリラ型ゾイドの使用を決定する。
しかしこのゴリラ型ゾイドは性格が臆病であり、従来型の機獣化を行ってもゴジュラスとまともに対峙することが困難であることは明らかであった。
そこで帝国はゾイドコア周りの構造を一新し、コアの気性を大幅に制御することに成功する。
これによって調教の手間は大幅に省けたにも関わらず、アイアンコングは格闘戦においてもゴジュラスに対して一切怯まず戦うことができた。
アイアンコングのロールアウトはゴドス、ゴジュラス登場から3年近く経ったZAC2032年である。
18 :
>>17続き:2011/12/14(水) 23:51:56.98 ID:???
さて、イグアンにはどうだったのか。
ゴドスが凶暴なアロサウルス型ゾイドであることは前述の通りだが、イグアンは草食のイグアノドン型ゾイドであり温和しい性格をしている。
それどころか野生においてはアロサウルス型に捕食される側の存在で一対一で互角に渡り合えるわけもなかった。
にも関わらず帝国がゴドスの対抗機(しかもコピーに近い)のベースとしてイグアノドン型を選んだのは、大量生産を見越してのことであった。
つまり帝国の領土内において野生のイグアノドン型を多数確保できるということと、アイアンコング同様の、調教の手間を省くコア制御を行うには温和しい方が適当だからである。
対抗機のゴドスの多さ故、アイアンコング以上にコストを下げることが重要であるイグアンに合わせたコア調整機構のブラッシュアップには時間がかかった。
そう、これが帝国がゴドスの対抗機種を投入するまで時間がかかった一番の要因である。
しかし開発に多大な時間をかけた甲斐あり、イグアンは装備の充実によってゴドスと格闘戦で互角以上の成績を示した。
このアイアンコングとイグアンで培われたコアの制御技術が、後に数々の傑作帝国ゾイドを生み出すことになる。
ゴドスが現代ゾイドの祖であるように、イグアンもまた帝国式ゾイドの祖と言える傑作機なのであった。
19 :
>>18続き:2011/12/18(日) 21:52:43.72 ID:???
アイアンコング、イグアンで完成したゼネバス式のゾイドコア制御技術は、調教の手間と時間を削減してゾイドを製造することができるので、ゼネバス帝国亡き後もガイロス帝国とヘリック共和国で用いられることになった。
西方大陸戦争においては両国共にオーガノイドシステム搭載の凶暴化したゾイドにおいてこの制御を用い、余りある闘争心を残しつつ調教の時間を省くことによって強力な戦闘用ゾイドを大量に投入することができた。
オーガノイド戦争とも呼ばれたこの戦いにおいて両国が矢継ぎ早に新型オーガノイドを大量生産し投入することができたのはゼネバス式のゾイドコア制御あってことであったと言える。
ZAC2099年の西方大陸戦争勃発時、ガイロス帝国軍とヘリック共和国軍は共にZAC2030年からZAC2050年にかけての中央大陸戦争で使用された機種を使用していた。
これらのゾイドは技術の進歩に伴い機体構造を変化させていたが、名称としては当時と同じゴジュラス、レッドホーンといったものが使われていた。
その中において唯一呼称が変化しているように思われるのがサーベルタイガーである。この機体はセイバータイガーと呼ばれていた。
(因みにステルスバイパーはスネークス(雑多な蛇)の中でも特にバイパーと呼ばれる凶暴な種のみを使うようになった為に機種名が変更された特例。)
しかし実はセイバータイガーは例外ではない。
これはセイバータイガーが一見サーベルタイガーであっても、サーベルタイガーではなく”セイバータイガーの新型”という位置づけの機種だからである。
現代ゾイドの祖であるメカボニカが中央大陸で生まれた為に現在主流の戦闘機械獣は中央大陸で生まれたものの子孫と呼べるものがほとんどだが、
中央大陸と国交を持つ前の暗黒大陸においても独自の戦闘用ゾイドが存在していた。
ZAC2030年代まで続く大陸統一戦争において使われたこれらの暗黒大陸式のゾイドの中でも特に強力だったのが暗黒大陸産のトラ型ゾイドである。
このトラ型ゾイドは当時の技術でゾイドの性格を変えるのが難しかったこともあり、非常に強靱であるにも関わらず味方に対しても凶暴で集団行動が取れない欠点があった。
そんなトラ型ゾイドを駆り孤軍奮闘する勇士を人々は「タイガードライバー」と呼んで褒め称えた。
彼等は自らの愛機に様々な装備を施し、ある者は大砲を背負わせ、ある者は野生由来の長大な牙を研いだ。
こうして各々が戦法によってカスタマイズしたトラ型ゾイドは、大砲を持つキャノン・タイガー、セイバーの如き牙を持つセイバー・タイガーといった具合にその武器に応じた名前で呼ばれるようになった。
(後にこの風習が暗黒軍において部隊名と機種名を組み合わせてそのゾイドの名前とすることに繋がっていく。)
大陸統一を終えたZAC2030年代後半、中央大陸戦争の敗色が濃厚になったゼネバスは暗黒大陸への脱出を画策、暗黒大陸で軍を再編する為にガイロス帝国にゾイドの製造工場を造るように要求する。
ゼネバス帝国の領土である中央大陸西側には大型のゾイドがあまり生息していなかったが、暗黒大陸にはかつて暗黒軍が中央大陸を襲ったときに使用したような強力なゾイドが生息しているというのも理由の一つであった。
中央大陸の進んだ技術を提供することを条件にガイロス帝国はこの要求を受けゼネバスの為にゾイドを製造することになる。
ゼネバス帝国の造るゾイドは暗黒大陸のゾイドより遥かに強力であった。
暗黒大陸内では無敵だったトラ型ゾイドに関しても例外ではなく、暗黒大陸のトラ型ゾイドは小型だった為にゼネバス帝国のヘルキャットにすら劣り、
中央大陸の大型トラを使ったサーベルタイガーとは大人と子供程の体格差と性能差があった。
ゼネバス帝国の技術を吸収したことによってガイロス帝国は凄まじい技術躍進を遂げ、ゾイドは強力になった。
当然トラ型ゾイドも強力になったのだが、ガイロス軍は扱いやすく集団行動を得意とし俊敏性に優れたドーベルマン型ゾイドを量産機として採用、
加えてサーベルタイガーを改良したグレートサーベルまで存在した為、体格で劣る故に肉弾戦で勝ち目がないセイバー・タイガーに居場所はなかった。
暗黒大陸トラ型の系譜では後に強力なビーム砲を備えたガル・タイガーが活躍しタイガードライバーが健在であることを知らしめるが、これはキャノン・タイガーの直系である。
こうしてZAC2051年の大陸間戦争期、セイバー・タイガーはすっかり姿を消していた。
しかしかつて戦の花形であったセイバー・タイガーの栄光を知る技術者達は、何としてでも剣士のトラを復活させようとしていた。
大異変の傷深いZAC2070年代後半、その執念が新たなゾイドを完成させた。
巨体に関わらず火器は簡素、しかしその切れ味鋭い牙は重装甲を切り裂き、素早く繰り出される脚の一撃は敵ゾイドを宙に舞わせる。
最大の特徴はその機動力で、平地から山岳地帯まで風のように駆け抜けることができた。
まさに暴風、ある程度ゾイドに詳しい者が見たら誰もがこう口にしたに違いない。
――これはサーベルタイガーだ――と。
実際その通りであった。そのゾイドは間違いなくサーベルタイガーだった。
そう、最早技術者達は暗黒大陸トラ型の系譜を継ぐことを諦め、サーベルタイガーのコピーを造ることにしたのである。
ゾイド生命体も中央大陸トラ型のものになっていたのだから、それはもう正真正銘の改良型サーベルタイガーだと言って良いだろう。
しかし彼等は「これは新型のセイバー・タイガーである」と主張した。
この開発者がセイバー・タイガーと称するゾイドの性能は本物で、武装が少ないにも関わらず当時軍で使用されていたグレートサーベルに匹敵する程の戦闘力を誇った。
結果、構造の簡素さによる生産性の高さやタフさも買われて時期主力ゾイドの座を得ることになるのだが、建前上サーベルタイガーではなく暗黒大陸トラ型の新型として登録された為、セイバータイガーの名を冠したゾイドとして登録されることになった。
その後サーベルタイガーシリーズの開発もセイバータイガーに統合された為、ガイロス帝国軍からサーベルタイガーの名は消えることになったのである。
しかし軍の内外関わらず、セイバータイガーが実際はサーベルタイガーシリーズであることは周知の事実であった。
余談だが、後に暗黒大陸トラ型の真の系譜であるガンタイガーがネオゼネバス帝国を名乗る反乱軍に使用されたことは皮肉としか言いようがない。
23 :
不可触領域:2012/03/09(金) 21:58:49.03 ID:???
伝統的にゾイドはコアから離れた頭部にコクピットを置いてきた。
しかしパイロットのゾイドへの感応性が、コアからの物理的な距離に比例することは古くから知られている。
よって、コクピットをコアに近づけるほど、精神リンクは容易となり操縦性が高まるはずであるが、現実はそれに反しているわけである。
コアは高熱源・放射線源でもある。その他の機関も含めた熱、騒音、振動その他がもたらすパイロットへの負荷を抑えるため、
半ば致し方なくそうされたものと認識されてきた。
だが頭部にコクピットを置いた真の理由は別のところにあった。
精神リンクは相互的なものである。パイロットからの伝達がたやすいということは、ゾイドからの精神的影響を受けやすいことにもなる。
ジェノザウラーでは、意識圧が強く制御が難しいOS搭載機の操縦性改善のため、コア近傍の胴体部にコクピットを置いた。
目論みどおり、リッツ・ルンシュテッドはジェノザウラーを十分に扱いこなした。しかし、アイスマンと呼ばれた沈着な振る舞いは消え失せ、
獰猛なファイターへ、まったく別人のごとき変貌を遂げた。あたかも過剰すぎる闘争心を抱えたジェノザウラーそのもののように。
当時開発中だった他のOS搭載機と比べても、この極端な精神的変容は技術部も把握するところとなった。そしてリッツ以外のジェノザウラーの
パイロットに関しても精神面への影響はとみに著しいという事実が判明した。(情報部が得た、共和国側でのOS臨床データも提出されたという)
検討と分析から、一つの結論が導き出された。
24 :
不可触領域:2012/03/09(金) 21:59:17.26 ID:???
現代のゾイド改造技術の基礎は地球人到来以前に確立しており、前時代文明に由来するものと考えられているが、古代人は現代人よりはるかに
ゾイドとの感応性が高く、OSなしでもパイロットが被る精神浸蝕の問題を抱えていたと考えられる。
ゾイドの思考・感情抑制技術が失われた前近代では、その悪影響は尚更である。頭部のコクピットは、意図的に搭乗者をコアから遠ざけ、
感応性を適度なレベルに低下させるための処置だったのである。
古代技術であるOSの復活は、この風化していた上代の技術課題をも甦らせてしまったのであった。
この件について上層部へ報告が提出されたとき、すでに新たなオーガノイド、デススティンガーは戦場へと送り出された後であった。
結果は周知のとおり、あの戦慄の事件である。
デススティンガーは感応性を最大限に高めるために、ゾイド中枢核と搭乗者をかつてなく近づけ、コクピットブロックとコアを収めたキャニスター
とを一体化した構造を採っていた。パイロットを即死せしむるほどの激烈な精神浸蝕がもたらされたのも、暴走した(覚醒した)デススティンガーの
意識圧が桁違いに大きかったのもさることながら、それがパイロットに直接伝わる機体設計の影響も少なくなかったと判断された。
その後、デススティンガーには制御補助インタフェースの搭載と併せて、内部機構に大幅な改設計がなされ、コアは頭部直後から胴体中央付近に移動され、パイロットと物理的な隔離が図られた。
すでに量産ラインが稼働しているジェノザウラーでは大規模改修ができず、コクピットブロックを二十センチ前方にオフセットし、コアとの
間の隔壁に鉛ガラスの遮蔽板を追加した。
これにより、感応性と引き換えに精神浸蝕は何とか実用に差し支えないレベルまで抑制された。
人はゾイドを道具として、ほしいまま作り変えてきた。
だが、OSを生み出した古代ゾイド人は滅びた。
最大直径2メートル足らずの金属球の中に、太陽を宿した雄大な生命体。その深淵は、やはり
人には触れえざる領域なのかもしれない。
25 :
雷光は刹那く:2012/03/18(日) 18:51:24.37 ID:???
★雷光は刹那く
マッドサンダーは完璧な対デスザウラー用ゾイドであった。
記録上、中央大陸戦中におけるマッドサンダーの戦闘での損失はゼロ。史上類を見ない、100%の完全な勝利である。
しかしながら、技術史上においてはマッドサンダーは、巨大な孤児である。その設計思想においても、盛り込まれた
テクノロジーにおいても、後代に血を繋いだ子孫を持てず、前世代から継承する連続性も見出せない。むしろ帝国式からの
影響が色濃くうかがえる。
(後に、皮肉にもマグネーザーは帝国側にて応用され、共和国軍に牙をむくこととなる)
デスザウラーが、それまで帝国が培ってきた技術の集大成であり、以後もそのコンセプト、機体設計理論、荷電粒子砲と
超重装甲などの成果が、ギル・ベイダーをはじめ各々一時代を代表するゾイドたちに受け継がれ、アーキタイプの一つ
として現在まで連綿と続く系列を確立していること。
さらに共和国のキングゴジュラス、ゴジュラスギガでさえ、明らかにデスザウラーの直接的影響下にあるのとは
あまりにも対照的である。
(ただし、デスザウラー自体がゴジュラスの影響を否定できない)
この結果は、マッドサンダーの、デスザウラー撃破という単一の目的に沿って極度に特殊化したデザインに起因している。
まず第一に、格闘型であること。
これまで決戦兵器と位置づけられたゾイドは、マッドサンダーを除くすべてが、大量破壊兵器を主武器とする殲滅型である。
比して、格闘型であるマッドサンダーは、特に量の面での破壊力が絶対的に劣る。
さらにマッドサンダー自身の速力が低いことが、戦術的価値を甚だしく損ねることとなってしまっている。
戦闘ゾイド史上最重の巨躯に、110km/hの速力を与えた設計は現在の目で見ても評価に値するが、兵器の能力は相対的な
ものであり、当時の戦術的所要上も不足は明らかである。
26 :
雷光は刹那く:2012/03/18(日) 18:53:49.92 ID:???
たとえばデスザウラーは高速機を除く当時すべての共和国主力大型機より優速であった。すなわち、共和国軍の主力部隊を
確実に捕捉することができ、その事実をもって共和国軍の主動的な作戦行動をほぼ封止できる。
マッドサンダーはそれができない。デスザウラーを除く帝国ゾイドはすべてマッドサンダーよりも優速である。
むろんデスザウラーの行動を封止できることの意義は計り知れないが、コング以下のみの編成でも機甲戦力として十分な
作戦能力を発揮しうる。
したがって不可避的な拠点戦闘や決戦を除く、戦術的後退を含む機動の余地が十分ある状況ならば、マッドサンダーは重く
取り回しがたい無用の長物と化す。
史上においてマッドサンダーが絶対的に強力なゾイドとして力を振るいえたのは、共和国軍の総反攻局面であり、守る
帝国側に回避の難しい状況が主であったこと。またマッドサンダーを補完する機動戦力をはじめ、十二分な支援が存在
していたからに他ならない。
27 :
雷光は刹那く:2012/03/18(日) 19:05:30.74 ID:???
メカニズム設計的にもマッドサンダーはきわめて特殊化した存在であった。
同じ重格闘型として生体特性のままに機械化されたゴジュラスなどと、マッドサンダーは質的にまったく異なり、
実に機体容積の20%以上がマグネーザーの関連装置で占められている。純粋に格闘用として、これほどまでの重武装を
施したゾイドは、史上最も過激な改造型にもほとんど類例がない。
反荷電粒子シールドと合わせれば、585tの超巨体が負える限界に近いリソースが、対荷電粒子砲・対超重装甲、いわんや
対デスザウラーの一点に費やされているのである。
ウルトラザウルスに続き司令所を有しているが、部隊の頭脳を最も重防御の機体に預けるという理屈は通って
いるものの、もとより絶対の防御はありえず、最前衛型ユニットに部隊指揮を委ねることのリスクは大きい。
共和国と言えどこれほどの代物を完全な単能機に仕立てることを躊躇ったことによる、苦肉の後付けであろう。
28 :
雷光は刹那く:2012/03/18(日) 19:05:59.41 ID:???
ここまで機能特化し、かつ性能の極限を追求したメカを、他用途にふりむけることの困難は言うまでもあるまい。
きわめて強力ではあったが、発展性や応用性は望むべくもなかった。
無敵を誇ったマッドサンダーも、大陸間戦争時代に入ると、しばしば改造型デスザウラーに後れをとった。大改修を受けた
デスザウラーの能力・装備が、マッドサンダーの設計における想定を大きく凌駕していることがままあり、それに新たに
対応できる発展余裕が残されていなかったからである。
むろん新世代の決戦ゾイドであるギル・ベイダーには敵うべくもなかった。
これほどの巨大ゾイドを、かように局限された用途に絞った開発コンセプトを許容した事実は、それはそれで共和国の
悠大な力を象徴するものでもある。
だが、その力は失われた。衰えた共和国に、マッドサンダーは振るうことままならぬ大長物と化した。
多様な脅威を想定し、爾後の改修も考慮していたデスザウラーとでは、設計上のフレキシビリティにおいても格段の差が
あったと言わざるを得ない。セスリムニルの戦いは、技術力や研究開発期間のハンデのみならず、二つのゾイドが持つ
本質的なポテンシャルの差をも浮き彫りにするものであった。
マッドサンダーは完全な対デスザウラー用ゾイドであった。
そのために、己の持てる可能性のすべてを費やしていたのである。
あまり知られていない事実だが、草食動物として完成された種であるウシ型ゾイドは、惑星Ziで最も繁栄するゾイドの一つである。
ヘリック共和国軍の傑作機ディバイソンの素体として知られるデルポイ原産のバッファロー型を初め、ニクスのヤク型、エウロペの
ヌー型、東方の水牛型など、その生息範囲は惑星Zi全土に広がっている。
共和国が中央大陸の地歩を失い、ネオゼネバスの脅威に対抗する多国間同盟が成立すると、外国産の素体に切り換えてディバイソンの生産は続けられた。
これらの機体は共通性を考慮して原型機からの設計変更は最小限に抑えられているが、素体から直接流用される角は形状が
異なっており、ここから素性を見て取ることができる。
そしてまたメカ、戦闘ゾイドとしてのディバイソンも、帝国側からも高い評価を得ていることも、知られていない事実である。
旧大戦時、ガイロスはいずれ矛を交えると定めていたヘリック共和国の情報収集に余念がなかった。戦闘ゾイドは当然その最優先
目標であり、ゼネバスが鹵獲した機体は全種ガイロスへ送られていた。
ディバイソンは元々帝国側ゾイドを多々参考に開発された、両国技術のハイブリッドと言える機体である。ガイロスにも馴染みやすい
設計であり、国内に同系の野生体が生息していることもあって国産化が試みられたのである。
共和国ディバイソンは戦闘ゾイドとして価値の高さからほとんどが軍用とされたのとは対照的に、帝国では体面上の理由で正規軍への
配備は見送られ、本土の寒冷地への適性の高さ、シンプルなメカニズムから、民間において相当数が実用に供された。
ウシ型ゾイドは敏捷性には欠けるが頑強で、荷役・牽引に適する。帝国ディバイソンはドーザーブレードやスクレーパーを装着した
土木重機としてニクスの国土開発に力を振るい、あるいは原型機の十七連砲と装填装置、弾庫を収めていた胴体中央の大きな
スペースをキャビン及びカーゴベイとしてうずたかく荷を積み上げ、さらにトレーラーを牽引する姿が街道の風物詩となっていた。
地方軍や私設軍などでは工兵や輸送に転用された機体もあった。多くが本土戦の混乱の中で徴発されたものであるため実数の
把握は難しく、またほとんどは輸送用であったが、総計500機近くが軍に供されたと推定される。
中には戦闘用に改修を受けたものも存在した。ニクス本土戦で共和国軍はガイロス軍の駆るディバイソンと遭遇。文字どおりディバイソン同士が角突き合わせる光景が現出した。
その数が、エウロペで鹵獲された程度では到底ありえない多数に登ったことから、調査に乗り出した共和国軍はガイロスがディバイソン
を国産化していた事実を知って驚いたという逸話がある。
戦後、ディバイソンは同盟間協力の一環としてガイロスから素体のみならず完成機としても共和国軍に供与された。
ネオゼネバスへの第一次反攻の先陣を切ったディバイソンの中に、少なからず帝国製機体が含まれていたというのも、また知られざる事実である。
31 :
竜と龍:2012/05/23(水) 20:23:56.08 ID:???
考察スレとちょっと関係あるけど妄想多いのでこっちに。
ゼネバス帝国はウルトラザウルスに対抗できるゾイドの開発に行き詰まっていた。
コアに直結する大型エネルギー回路とそれに直結する史上最大威力のビーム砲を備えたアイアンコングMk2ですら、ウルトラザウルスには敵わなかった。
野生体の少ないデルポイ大陸西側を本土とするゼネバス帝国領内にはアイアンコング以上に出力の高いゾイドが存在しない。
しかし、ゼネバスには奥の手があった。
数年前から支援を行っていた、ニクス大陸のガイロス帝国の存在である。
ゼネバス帝国は以前からニクスに存在するゾイドに目を付けており、大陸統一を成し遂げようとするガイロス帝国に数々の支援を行う見返りとして、野生体の提供を求めていた。
アイアンコングですら見込がなくなった今、もはや頼みの綱はニクス産ゾイドだけである。
ニクスの戦闘機械獣化が見込めるゾイドの中で特に強力だと開発者達が見込んだのが、地上の食物連鎖で頂点に立つ2種類の野生体だった。
1つは大陸固有のドラゴン型ゾイド。そしてもう1つが、後にデスザウラーとしてその名を轟かせることになるティラノサウルス型ゾイドであった。
このときティラノサウルス型ゾイドが選ばれることになるわけだが、
これは他の生物と大きく形態の異なるドラゴン型ゾイドの開発は難航が予想されたことに加え、
ゼネバス帝国の開発者達にかつて無敵を誇ったゴジュラスを超えるゾイドを開発したいという想いが強かったことによる。
デスザウラーに求められたのは、大出力ビーム砲の搭載、各部にエネルギーを配給するエネルギー回路、
アイアンコングで培われた技術を生かした運動性能、ウルトラザウルスの主砲の直撃に耐えうる重装甲である。
開発は難航し、ウルトラザウルスに屈したゼネバスはガイロス帝国への亡命を余儀なくされた。
しかしZAC2044年遂に完成し、勢力バランスを一気にゼネバス側に傾ける原動力となる。
32 :
竜と龍:2012/05/23(水) 21:40:57.35 ID:???
対ウルトラザウルス用決戦兵器の母体としてティラノサウルス型が選ばれたわけだが(他にもウルトラザウルスのコピーなど平行して開発されたゾイドも存在した)、
その後マイケル・ホバートは選ばれなかったドラゴン型ゾイドに着目した。
というのも、このゾイドは地上で生活してはいるものの、
(観察された限り使用してはいないものの)一応は翼を持ったドラゴンであり飛行することも可能であると考えられていたのである。
そこで彼は、このドラゴンを母体にした巨大飛行ゾイドの開発を計画した。
しかし当時の戦況はそれを許さず、開発期間の短縮により一からドラゴン型ゾイドを開発することは不可能だと判断、
泣く泣くエネルギー回路がそのまま流用できるデスザウラーをベースにデスバードを開発した。
その後ゼネバス帝国とデスザウラーはヘリック共和国の投入したマッドサンダーによって敗れガイロス帝国に吸収されることとなる。
ガイロス帝国はゼネバス帝国から引き続きデスザウラーを生産すると共に、研究を続けていたドラゴン型ゾイドの開発にもいよいよ着手。
そのときマイケル・ホバートのドラゴン型飛行ゾイド計画に目を付け、飛行型デスザウラー(デスウイング)による追試の後、本格的にデスバードを超える飛行ゾイドの開発に着手した。
そしてデスザウラー実践投入から10年近くを経て、ギル・ベイダーが完成する。
ギル・ベイダーはエネルギー回路や武装、装甲、飛行能力に到るまでデスザウラーのデータを元に生まれたゾイドである。
もしゼネバス帝国が対ウルトラザウルス用ゾイドの母体としてティラノサウルス型ではなくドラゴン型を選んでいたら、その後の歴史はどうなっていたのであろうか。
今や本家の帝国のみならず共和国にも広く採用され、ゾイドの代表的な兵装の一つとなった荷電粒子砲だが、おのおの性能が異なる。
これらは一口に荷電粒子砲といっても、実際には射出している粒子の種類から異なっている。
荷電粒子砲搭載ゾイドの始祖にして代表であるデスザウラーが採用したのは、大気中から容易無尽蔵に吸入できる水素
イオン、すなわち陽子を射出するプロトンビーム砲であった。
陽子は一般的に得られる荷電粒子の中では電荷に比しての質量が最も軽く、加速効率に優れている。
すなわち出力の割に加速器を小型化できる。決戦騎としてはむしろ小兵の部類に入る機体に、あれだけの基礎性能と
超火力を両立できたのも、加速器の小型化の恩恵によるところが大きい。
近年、普及した超小型荷電粒子砲もやはりプロトンビームである。
一方、質量に比して電荷が大きいことは、ビームを構成する粒子間に働く反発力の影響を受けやすくなることも意味する。
これによりビームが散乱してしまう。電子は陽子と同等の電荷を持ちながら、はるかに軽く加速が容易だが、電子ビームは
拡散・減衰が激しすぎて兵器としては実用に耐えないのである。
荷電粒子ビームは大気分子との衝突により運動エネルギーを熱や電磁波や放射線に変換して急激に失っていくため、
収束が甘いプロトンビーム砲は有効射程が短くなる欠点を抱える。
また、拡散するビームにより広い加害半径を誇る反面、広すぎてデスザウラーは他との協同に支障を来たすこともしばしばあった。
暗黒軍時代、プロトンビーム砲の問題は、陽子に比べ電荷は同じだが質量は倍ある重水素イオンに代える、すなわち
デュートリオンビームの実用化により一定の解決を見た。
ジェノザウラーではコア内の核融合生成物である、さらに質量が大きいアルファ粒子(ヘリウム原子核)を射出することで
拡散性をさらに低減。収束荷電粒子砲と銘打っている。
その発展型であるバーサークフューラーでは異なる種類の粒子を加速できるデュアルモード粒子砲が実用化された。
すなわちプロトンなら拡散荷電粒子砲、α粒子なら収束という要領である。
共和国に目を向けてみれば、荷電粒子砲に関しては帝国の後追いが否めないものの、独自の思想を打ち出してもいる。
加速効率のいい軽粒子ビームは拡散しやすく射程が短く、拡散しにくい重粒子ビームは戦闘ゾイドに搭載可能な加速器
では威力を得がたいという二律背反に対し、威力をとるのが帝国式だが、共和国軍は射程をとり重イオンビーム砲を開発した。
すなわちカノントータスの液冷式荷電粒子ビーム砲である。
実はセイスモサウルスの超収束荷電粒子砲ことゼネバス砲も、カノントータスと同じ重イオンビーム砲である。加速性の
悪い重粒子で大威力をも両立するために、長大な加速器を内蔵できる形態が必要だったのである。
ジェノザウラーの系譜に当たる凱龍輝だが、内蔵する集光荷電粒子砲はプロトンビームである。一見後退にも見えるこの
選択には、レッドホーン級のフレームでデスザウラー並みのエネルギーを制御する難題に対する苦渋があった。
吸収した荷電粒子ビームの莫大なエネルギーの処理には、加速効率が高く粒子供給部も大容量にできるプロトンビームで
なければ放出が追いつかず自機が融解してしまうからである。小型化した分、ビームの粒子密度も上げざるを得ず、
粒子間反発による拡散の弊害もより悪化し、極端な短射程に甘んじた。
ネオゼネバス帝国がカノントータスの技術・コンセプトの流れを汲むセイスモサウルスを生んだのに対し、共和国があらゆる面で完全な帝国型である凱龍輝でもって立ち向かう構図は、そのまま両陣営の在りようの縮図となっている。
荷電粒子砲に分類されてないビームはどう考えてるんですか?
>>33 デュートリオンってガンダムSEEDか!
重水素はデューテリウムな
>36
デューテリウムのイオンだからデュートリオンだろ
種死が脳裏にあったことは否定しないがw
>35
とっかかりが少ないんで今後は未定。特に無印のビームが何なのかさっぱり分からんのが…
とりあえずレーザーは書けたんで以下に
38 :
レーザー兵器:2012/06/16(土) 20:07:11.93 ID:???
レーザー兵器はゾイドの主要な射撃武装の一つである。
惑星Ziは鉱産資源が豊富で、その恵みの一端であるゼネバス領内に産する天然ルビーの大結晶を用いたルビーレーザーが
最初に実用化されたレーザー兵器であった。レーザー発振機としては原始的で、当時の産業基盤の水準に合わせたものである。
それも発展とともに、半導体レーザーを経て自由電子レーザーへ取って代わられ、現在に至る。自由電子レーザーの基幹技術は
荷電粒子砲とも共通する部分が多い。
ゾイドコアをパワーソースとして利用できない歩兵用や設置型兵器としては化学レーザーも一部使用されたが、あまり普及しなかった。
攻撃用のレーザーは赤外線であり、それ自体は視認できないが、高出力レーザーになると他のビーム兵器も同様だが大気が加熱
によりプラズマ化し、その光がビームの軌跡として視認できる。
レーザーは質量ゼロの光子の流れであるため、実弾や質量のある粒子を射出するビーム兵器に比べ破壊力は劣る。また大気
条件次第で屈折してしまう等、擾乱にも弱い。
その代わり、弾倉や大規模な吸入機関や粒子源質のタンク等は不要で、システムが単純で小型軽量にできる。電力が続く限り
弾数制限もない。強大な電力源であり高機動ビークルであるゾイドの特性に、概して合致した武器といえる。
39 :
レーザー兵器:2012/06/16(土) 20:09:47.47 ID:???
もうひとつのメリットがEシールドや電磁シールド等に対し、他のビーム兵器よりも有効性が高い点である。
レーザー光は電磁的な干渉を受けない。加えてシールドには外界認識のために、特定の波長を素通しする「窓」があり、しかも
その多くが限られた波長域で満足な視認性を得る必要上、大気透過率の高い波長に合わせられており(いわゆる「大気の窓」)
レーザー砲も同じ帯域を用いているためシールドがほとんど無意味な場合さえある。
無論シールド側とて対策を講じている。「大気の窓」は複数の帯域に存在し、シールドは自己の波長を次々と別の窓へと切り替えて
隙を衝かれることを防いでいる。
キングゴジュラスの主砲、スーパーガトリングは、荷電粒子砲と超電磁砲、そしてスーパーレーザーとのクラスターであり、現在まで
最強の威力を誇るレーザー兵器でもあるが、これは破壊力に秀でた荷電粒子砲と、装甲内部まで浸透性を有する電磁砲と、シールド
で防御されにくいレーザーとの組み合わせにより、暗黒大陸に潜む未知の脅威のいかなる防御手段をも突破しうるものを目指していた。
40 :
レーザー兵器:2012/06/16(土) 20:11:49.72 ID:???
旧タイプの小型機に多いレーザー機銃は、出力と冷却能力の限界から断続照射方式としたものである。余裕のある大型機では
連続照射式のリニアレーザーが採用された。
しかしレーザーは照射時間がそのまま攻撃力向上にはつながらない。レーザー自体の熱量による大気の揺らぎがビームを擾乱
してしまう問題のためである。加えて移動する目標にレーザーを指向し続けることの難しさもある。
ゴジュラスの腕に装備されたリニアレーザーは、そうした特性を端的に表す例である。標的への指向性と、一転集中射を諦め
薙ぎ払う用法を想定した配置である。
問題解決のため瞬間出力の向上が強く指向され、パルスレーザーとして大異変後に実用化された。
パルスレーザーはさらに、瞬間的な熱膨張による爆轟を生じ、衝撃によるダメージも与える。もっぱら熱で灼き切る従来レーザーに
比べ、命中箇所を吹き飛ばし、えぐるため同出力でも破壊力が優る。特に軽目標への効果が顕著である。
また、シールドが主に対ビームの防御手段とされるのは、実体装甲よりはるかに密度が低いエネルギーの膜であるため、千分の
一秒単位の巨大な瞬間負荷を与える実弾のインパクトを打ち消しきれないからである。
よって、ビーム兵器でシールドを突破する上でも、瞬間出力の強化は有効なアプローチであり、パルスレーザーは対シールドの
優位性もさらに強化されている。
レーザーは光線であり、一般にレーザーの発振口は透明のレンズないしウィンドウ状になっている。
しかしゾイドが装備するレーザー兵器はほぼ全てが筒先のある砲身を備えている。さらにジェノザウラーのロングレンジパルス
レーザーライフルにいたってはレーザーの放出そのものは無反動であるにもかかわらずマズルブレーキすら見て取れる。
これは決して飾りではない。レーザー砲は内部の空気やチリへのレーザー吸収による発熱の抑制のため、光学部を真空密閉して
発振口を高純度の石英ガラス等でカバーしているが、砲口窓ガラスに傷がついたり異物が付着すると加熱され砲の損壊を招く。
それを避けるために砲口窓に筒を被せている。さらに、大出力長射程レーザーとなると、砲口被筒内の空気の熱膨張による衝撃波の
影響が無視できなくなってくる。そのためにマズルブレーキが必要となる。
41 :
レーザー兵器:2012/06/16(土) 20:12:37.24 ID:???
レーザーは反射鏡やプリズムを用いて導引することが可能である。地球で初期に開発されたレーザー兵器は、可動する砲架上には
砲口のみがあり、レーザーは外部に置かれた発振部から導引するものであった。というより、初期の巨大なレーザー発振機を砲架に
搭載することは不可能であった。
翻って、Ziで使用されるレーザー砲ではほとんど全てが発振機全体を砲架上にマウントしている。これは重装甲ゾイドを相手取る
高出力レーザーだと、光路上に配置されたミラーやプリズムの方が耐えられなくなるため、発振部されたレーザーをそのまま放出する
必要があるからである。
それでも貫通力強化を図ったものでは収束レンズが必要で、レンズの耐久性が問題となる。レーザー砲は光学部を真空にするため
冷却が難しく、現行ではこの点が照射時間や発射速度の点での限界となっている。高出力のものでは吸収による効率低下を忍んで
内部に不活性ガスを循環させて冷却するものもある。他には、複数配置した収束レンズを次々切り替えるリボルバーレーザーカノン
や、砲身自体を複数備えたレーザーガトリングガンも開発された。
例外がレイズタイガーのピンポイントレーザーで、集光パネルの技術を応用した高耐久の光学部品により、砲口のみを可動式とする
初期地球型に近い構造を実現した。操行重量の局限による、高度な追尾速度・精度を謳ったネーミングである。
ただ、上記のとおりレーザー砲の光学部は真空密閉されるため、可動箇所を設けると整備労力や耐衝撃性が大幅に悪化する。
レイズタイガーは砲口ジンバルまで装甲郭内に格納し、気密部に可動箇所を設けない設計とすることで一定の解決を見た(すなわち
外観上視認できる発射口は集光パネルと同系素材で作られた防弾窓である)が、代償としてせっかく追尾速度を向上させたのに
射角そのものが狭まるというジレンマを抱えてしまった。
最後に、余談になるが。シールドライガーから始まるいわゆるレーザー格闘兵器は、レーザー光線を利用するものではない。
ゾイドの複雑な形状の爪や牙にレーザー光を沿わせることは物理的に不可能である。(同様の理由からホーミングレーザーも存在しない)
その実体はマグネッサー効果を応用してプラズマトーチを形成するものであり、発光のイメージから見立てたネーミングである。
ゴジュのレーザーが薙ぎ払い用っていうのは良いね。絵面が浮かびやすいし。
何となく思い付いたのを一本。
マッドサンダーの二本角マグネーザーが超兵器と呼ばれるのは、マグネーザーが単なるドリルではないからである。
(もっとも、あれほど長大であらゆる装甲を削り取るドリルが単なるドリルと呼べるのかどうかは疑問ではあるが)
マグネーザーは内部に強力なマグネッサーシステムを搭載しており、起動時に磁気風を発生させる。
更にマグネーザーが回転し始めると磁気風は渦を巻き、小型の磁気嵐が巻き起こる。
惑星Ziにおいて磁気嵐が度々通信障害の原因となったり航行不能の魔の海域トライアングルダラスを作り上げていることから分かる様に、
磁気嵐はゾイドに搭載された電子機器に異常を発生させるだけでなくゾイド核自身の平衡感覚等も狂わせる。
マグネーザーから発生する磁気嵐の規模は気候や地形にも大きく影響される為に一定の効果を望むことはできないが、
マッドサンダーがマグネーザーを始動したが最後、接近しているゾイドは正常な歩行機能を喪失し千鳥足になってしまうのである。
マッドサンダーの戦闘スタイルとして頭を上下左右に振る威嚇があるが、起動状態のマグネーザーで大気をかき回すことにより更に大きな磁気嵐を発生させ敵ゾイドの運動能力を奪うのが目的である。
アイアンコングやデスザウラーは本来マッドサンダーよりもフットワークの軽いゾイドであるが、接近戦に持ち込まれたら磁気嵐により運動機能が低下していつかはその長大な角に捕らえられてしまうのである。
なおマッドサンダーの三本目の角であるサンダーホーンはZAC2040年代のゾイドは標準的に搭載していた電磁兵器であり、突き刺した後に敵体内に大電流を流し込み内部回路を破壊するものである。
43 :
追記:2012/09/03(月) 21:08:59.04 ID:???
マッドサンダーが発生させるのは単なる電磁波障害ではなく磁気嵐である為、マッドサンダーが戦った後はしばらくの間磁気風の乱れが残り続けゾイドの稼働が不安定になる。
後のグランチャーやダークスパイナーが装備したジャミングウェーブ発生装置がゾイドのコンバットシステムに働きかけパイロットとゾイドの情報伝達を阻害したのとは違い磁気嵐はゾイド核自体に作用するのが大きな特徴である。
ボルテスXのOP主題歌がフィリピンの国歌になってるのと同じ感覚で
超電子バイオマンのOP主題歌がディガルド武国の国歌になってるw
>42-43
決戦機に相応しいハッタリも効いててイイ妄説だ。
マグネーザーについてはメカニズムの観点から思案中だったんだが、正直負けた。ぐぬぬw
近いうちに恥を曝させてもらうとして、今日は別のネタで。
ゲーターは、ゼネバス帝国初期に開発された軽電子戦ゾイドとして知られる。
やはり早期から存在し長く現役にあった共和国側の大型電子戦ゾイド、ゴルドスとの
対比で帝国側の物量劣勢の一例としてしばしば挙げられるが、現実には異なる。
ゲーターの累計生産機数は5ケタ台に達する。隠れたベストセラーであることは決して
伊達ではない。
ゲーターの設計は、同時代機種としてベストセラーかつロングセラーを誇るモルガにも
言えることだが、単純にして無駄は一切なく、必要にして十分であった。
ディメトロドン型は電子戦機として双璧と言えるステゴサウルス型と比べ脚が短く機動性
では劣る(帝国はホバー機関を付与して補っている)が、シルエットの低いコンパクトな
体躯に比して最大のアンテナ面積を得ることができ、電波出力効率に優れる。
ゴルゴドスとゲーターは同クラスで出力にも大差ないが、アンテナ面積は三倍以上の差が
あり、ここがそのまま送受信能力差に直結しており、明暗が分かれた一因である。
運用目的は、装甲師団本隊の前方及び周囲に展開。レーダーピケットとして警戒、あるいは
戦術偵察機として進路前方を探ることにある。
直接戦闘力は脆弱だが、200km/hの快足が大きな武器となる。護衛としてイグアンあるいは
キャノリーか歩兵小隊が付いたモルガ、レブラプターとも問題なく随伴できる。
高い電波送受信能力と信号処理能力を生かし、部隊の管制通信にも携わる。レーダ機能
とも合わせて必須のものとしてECM/ECCM能力も併せ持っており、電子戦ゾイドと呼ばれる
ゆえんである。
帝国側でも共和国側でも、この種のゾイドの電子情報戦の機能を集約したエキスパートと
いうあり方には大差ないが、ゴルドスは同じ強行偵察機に分類されながら、目立つ巨体の
上に防護力も機動力も全く欠いており、現実には不確定要素の多い戦場で本隊を離れて
前方進出する機動的運用には到底耐えない。自勢力圏内からの長距離センサーによる監視に
特化した早期警戒機である。
元より機動力を求めない傾向は共和国の電子戦機全般に言え、共和国軍の戦術偵察は
機甲師団固有のものではなく、高速隊か航空に依存していた。
一方でゲーターにも、覆域の狭い小型レーダ___それも移動式___で広域をカバーするには
多数を前方に進出展開させるだけでなく、レーダユニット群と司令部間の情報伝送が、
妨害をはね除けて確実になされる広帯域・高信頼のデータリンクが必須という、小さからぬ
技術的ハードルがある。
ゼネバスは結局その解決には至らず、大型電子戦機ディメトロドンへの世代交代を試み、
共和国との物量戦という袋小路に陥っていくのだが、六十年を経てゲーターを復活させた
ガイロスは違うアプローチをとった。広域に散らばるゲーターを、十分な伝送速度と
信頼性でもって結ぶシステムを実現することを。
それがBIOS(Base Infrastructure Of Strategy/作戦基幹インフラストラクチャ)である。
帝国軍の戦術思想は速度至上であり、そのために個々の前線部隊に大きな裁量範囲を
許している。
BIOSがそれを支える。刻々と流動していく状況を司令部は常に把握して全軍を
コントロールでき、また前線部隊にも広域戦術情報がフィードバックされることにより広い
視野をもって適切な行動をとることができた。
複眼は、限られた視覚しか持たない個眼が無数にリンクし、大視野をカバーする一つの
眼として機能する。ゲーターはまさに不可視の神経情報で繋がれた複眼であり、それ以上に
帝国軍部隊という巨大システムを結びつける神経ネットワークであった。
ザバットコントロールシステムも、ネオゼネバスの高度なネットワーク戦システムも
BIOSの経験の上に成り立っている。
BIOSを支える、ECM/ECCMと情報圧縮・暗号化伝送及び解読処理の技術に関しては、
両国間には格段の差があった。
ゴルドスは超大型級であり、相応に稀少なゾイドである。これほどの器材を用意している
のは、決して資源に余裕があるからではない。ECM/ECCMで劣るため司令部から伝令で
やりとり可能な距離に電子戦ゾイドを拘置せざるを得ず、そのために覆域と通信距離に
さらなるハンデが加わり、諸問題を送信出力でねじ伏せるしかなかったからである。
自然、一機に多大な役割が集中することとなり、喪失のリスクもまた大きくなり、それを
補う予備率の増大には個体数の問題が重くのしかかった。
何より、「眼」であるレーダと「頭脳」である司令部、「手足」である各前線部隊とを
結ぶ「神経」をなす情報伝達の不満足により、行動速度は制約されざるを得なかった。
共和国機甲師団が独力での敵地進出を想定していなかった頃は問題とならなかったが
戦局が全面攻勢に移行すると、機甲師団もより機動的なあり方を模索していくが、
対ガイロス戦争を通じて有効なシステムへと改変再構築し得たとは言いがたい。
戦術偵察機としてワイルドウィーズルやシャドーフォックスなどを試行したものの、
これらは索敵の「眼」としては十分でも、「神経」としての機能がなかった。
索敵・電子情報戦の全機能を、ここまでコンパクトかつ、現代戦に対応しうる高速に
実現し得たのはゲーターのみであり、本機がゾイド史上のベストセラーの一つにして
現代まで通用したゆえんである。
個々の能力は低いが、「複眼」はいくつかの個眼が潰れても全体の機能は失われない。
エウロペ戦後半からの戦略レベルでの総崩れに近い状況下でも、主力部隊の撤退に成功した
のも、ひとえに軍を統制する眼と神経、ゲーターとBIOSが健在だったからである。
特に、総司令部施設が丸ごと吹き飛んだニクシー撤退戦においてその真価は遺憾なく発揮された。
翻って、帝国軍主力を撃滅する機会を二度までも逃した共和国軍の失態は、そのまま
部隊の行動を統制する神経ネットワークの劣勢による、鈍さに帰せられる。
共和国軍がゲーターと同等以上の機能を実現するのはゴルヘックスを待たねばならなかった。
共和国が亡国の瀬戸際から這い上がり勝利したとき、いずれもゴルヘックスが共にあった
のは、決して偶然ではあるまい。
さらに、ガイロスと同盟した共和国軍が生み出した新世代の電子戦機が、ゲーターと
同型のディメトロプテラであったことは、断じて偶然ではない。
ディメトロプテラはネオゼネバス軍の脊髄をなす超長距離荷電粒子砲標定ネットワークを
寸断する致命打を与え、共和国軍を祖国奪還へと導いた。
数多の電子戦ゾイドの中から、時代は高らかにゲーターの系譜を勝利者と宣言したのである。
〜終〜
50 :
世界一カッコイイ芋虫:2012/12/06(木) 22:20:11.89 ID:P9P1AsEr
モルガが好きなので、思いついたのを書きます。。(文章ヘタでごめんなさい)
モルガは言わずと知れた帝国軍の名機であり、高い防御力と良好な操縦性、何よりも全ゾイドの中でも飛び抜けた生産性より、ロールアウト以降、様々な派生型を生み出しながら今現在でも第一線で活躍している。
このように帝国軍にとって、戦場で欠かせないゾイドであるが、実は民間でも非常に欠かせないゾイドである事はあまり知られていない。
その代表例はやはり、建築、土木といった工事現場だろう。
頭部のレーザーカッターは地面を掘り起こす事に最適だし、背部の収納スペースは、並のトラックよりも積載量に優れるため、物資や材料の運搬にもうってつけである。
特にトンネル工事では、モルガがいるといないとでは、工期に雲泥の差があると言っても過言ではない。
他にも、前述した背部スペースをいかしての運送業や建造物の解体業務等、民間事業においての貢献度も計り知れず、帝国国民にとっては、実は最も馴染みの深いゾイドなのだ。
51 :
世界一カッコイイ芋虫:2012/12/06(木) 23:22:04.95 ID:P9P1AsEr
しかしながら、無視できない問題もある。それがモルガを用いた犯罪やテロである。
民間でも需要が高いモルガは入手が容易であり、さらにシンプルな構造と低コストで高い生産性を誇る本機だが、それが仇となり、容易に密造が可能なのだ。
惑星Zi全土に幅広く生息し、更に野生体は非常に大人しい性格で捕獲が比較的簡単な事も、密造されてる原因でもある。
武装に関しても、民間で入手できるモルガは一切の火器を取り外しているものの、改造により火器を装備する事も可能な上に、携帯用の武器ではまず歯が立たない為、対ゾイド戦でなければそのままでも凶器となりうる。
そのため、ガイロス帝国国内でのゾイド犯罪の実に9割以上はこのモルガが関わっているのだ。
その中でも特に深刻な問題が、モルガによる自爆テロである。
頭部の装甲は、敵の攻撃に耐えながら目標に接近できるし、背部の収納スペースは大量の爆薬を積むのにうってつけである。
更に体高が低い上に、場所によっては地中を進行する事も可能な為、早期発見が困難である。
某日、とある小都市の国連施設に爆薬を満載した一機のモルガが突っ込み、建物を崩壊させる自爆テロが発生した。
その時の被害は、その施設を含めたビル三棟、周辺の一般住宅四棟が全壊し、さらに比較的人口が多い地域であることもあり、死者、負傷者合わせておよそ500人の被害者を出す大惨事となった。
この他にも数々の凶悪犯罪が発生しており、政府はモルガの入手に厳しい規制を敷くと同時に、本機を用いた犯罪に対する罰則をより強化するなどの対策を施したが、
それでも未だにモルガの犯罪、密造は後を絶たず、ガイロス帝国国内では大きな社会問題となっている。
以上の事から、モルガは軍、民間共に活躍している名機であると同時に、多くの犯罪に用いられる凶悪兵器でもあるのである。
すげえ今更なんだけど、前スレの「素敵なサマーボーイ」を元ネタにしたエリクソンの話が秀逸すぎて腹抱えて笑った。
保守
54 :
幻像の巨竜:2014/03/26(水) 22:46:14.20 ID:???
西暦2004年、史上最大種の恐竜として登録されたセイスモサウルスは、結局ディプロドクスの一個体であると判明した。
同じ名前を冠されたゾイドもまた、巨大な幻影として人々を翻弄した。
いわゆる決戦級に分類されるゾイドとしては、セイスモサウルスの知られている運用自重は200tと小兵である。
これはネットワーク中心戦理論に基づき、大胆に機能を絞り込んでダウンサイジングし、単騎万能・大艦巨砲の
旧来的な決戦ゾイドから脱却したことによる。…と通説に述べられている。
しかしそうした控えめなスペックに、戦史におけるセイスモのアグレッシブな活躍は、明らかにそぐわない。
何故か?
そう。セイスモサウルスと呼ばれるゾイドは、実は2種類存在するのである。…いや、していた。
知られているセイスモのスペックは、同盟軍側の公開資料に準拠しているが、実はこれは「初期型」のものである。
初期型は、急遽ゴジュラスギガに対抗する必要上、開発中だった超長射程荷電粒子砲システムの実証機と
その自走車台として製作されたカミナリ竜型ゾイドを、実戦仕様に改めて投入した急造機体であった。生産機数は
わずか5機。クック要塞再奪還にはその全機、全力が投入された。
かような代物に頼るまでにネオゼネバスが焦慮したのは、奪還されたのがささやかな地歩とはいえ、これが
海外からの侵攻の呼び水となる巨大な橋頭堡だったからである。
共和国の苦闘ばかりが喧伝されるが、本土防衛戦略が破綻したネオゼネバスもまた危機だったのである。
なお、初期型セイスモのパイロットの一人は、ゴジュラスギガの初陣にて立ち会ったジーニアス・テルダロス
その人であった。
クック再奪還戦でジーニアスは、敵への心理打撃は大とはいえ、初期型セイスモでは明らかにリスクの大きい
敵陣突撃を敢行。遭遇したギガとの劇的な一騎打ちを制している。
この対決が、果たしてスティブ・ポーンとのリターンマッチとなったのかまでは記録に残されていない。
55 :
幻像の巨竜:2014/03/26(水) 22:49:21.13 ID:???
ともあれ、この戦いは上層部の目に留まり、急造機に過ぎなかったセイスモの株を大いに上げることとなった。
最終的に、セイスモは次期決戦機の本命であった次世代型デスザウラーを下して一躍スターダムへ登る。
共和国軍をデルポイから駆逐した後、ネオゼネバスは改めて次期決戦ゾイドに相応しいスペックへ、初期型
セイスモの拡大型を開発。これがその後の史実の大部分において猛威を振るったセイスモサウルスL(仮称)である。
前記のとおり初期型は急造機であるのに対し、L型はほぼ一からの再設計であるにも関わらず、並べて
みなければマイナーチェンジ程度しか差異がないという兵器デザインの完成度の高さは特筆されよう。初期型の
時点ですでに確固としてあった、必要とされる機能に対する揺るぎない自信の証明と言え、それはとりもなおさず
セイスモが帝国が営々と積み重ねてきた戦術兵器の、荷電粒子砲搭載ゾイドの集大成であり一つの完成型で
あることを示してもいる。
L型が仮称であるのは、ネオゼネバスがこれらを管理上区別していないからである。
初期型はあくまでかりそめであり、L型こそが本来あるべき形との認識から、5機の初期型は制式採用される
ことなくL型の第一ロットに転用。登録も抹消されてしまった。
このため、初期型セイスモは、実戦参加はクック要塞奪還から共和国軍が総崩れ状態でクーパー港から追い
落とされるまでの一連の戦闘のみに過ぎない、幻のゾイドとなっている。
今日、たとえば両タイプが並んでいる映像のような、二つのセイスモの存在を明確に知らしめる資料も現存していない。
正体不明の、世界征服砲と銘打った馬鹿げた巨砲を搭載したセイスモの映像が存在しているが、これが
一説には初期型セイスモを車台としたL型用主砲の試験機であるともいわれる。
L型は正真正銘の決戦ゾイドであった。ゼネバス砲の最大出力は50%以上増強されており、十分に吸収容量の
余裕を見込んでいた凱龍輝を緒戦にて融解寸前にまで追い込んでいる。
躯体性能もはるかにグレードアップしており、機動性能はともかく膂力、装甲防御ともデスザウラー以上。
格闘戦においてもギガとさえ渡り合えなくはないという、まさに怪物であった。無論ライガーゼロ程度は何機束で
来ようと白兵戦でも敵では無い。
56 :
幻像の巨竜:2014/03/26(水) 22:54:57.23 ID:???
L型の存在はもちろん同盟軍上層部も知るところであったのだが、共和国にトドメを刺したトラウマがさらに強化
されて立ちはだかっていると将兵に知れ渡れば士気崩壊に繋がりかねない。
L型への対抗策を講じるために攻勢を遅らせた結果、ネオゼネバスが攻勢に転じ、守勢に回ることとなったら
同盟軍戦力にて広大な防衛線を支えきることは不可能という焦りもあった。(実際にはヴォルフ以下主流派は一貫して
専守であったのだが、ヘリック、ガイロスの国民感情に加え、BLOX独占体制を侵すキメラブロックスに我慢ならない
東方の強力なロビー活動により早期講和は不可能であった)
かくして初期型セイスモと直接対峙した将兵の生き残りが無きに等しいのをいいことに、事実は隠蔽されたのである。
そして何食わぬ顔で、凱龍輝に吸収・放出容量を強化するオプションである雷電を後付して帳尻を合わせようとした。
現実には雷電の配備が軌道に乗る前に、戦局は決したのであった。
セイスモサウルスの戦闘力の本質は、言うまでもなく長距離精密火力による一方的殲滅、それを可能とする
全軍レベルの広域ネットワークシステムにある。
ディメトロプテラ群によりネットワーク連接を絶たれた以上、セイスモ本体の戦闘力は瑣末な事象に過ぎない。
凱龍輝単体で足りないのなら複数で陣形を組んで、あるいはギガと協同して、前線部隊は臨機応変に行動し、
そして勝利したのである。
仮にセイスモが初期型に近いスペックで実用化されていたのなら、史実の倍近い数が実戦投入可能であった。
加えて本体の戦術機動力はL型並でも、コンパクトな初期型はホエールに拠った戦略機動性で優り、天王山と
なったヘリックシティ決戦でもより多数機を集中できた。
その場合、たとえ有視界戦闘に持ち込んだとしても数で圧倒するセイスモの弾幕を共和国軍が突破しえたかは
疑問である。
状況はもはや決戦機クラスといえどもゾイドの個体戦闘力が左右しうるレベルとは違う次元へと推移していた。
その事実に、皮肉にもネオゼネバス側も同盟側も、肝心の戦争指導部が気付いておらず、決戦兵器という
幻影に振り回され続けていたわけである。
その意味では、やはりセイスモサウルスは単騎万能の決戦ゾイドの終焉を証した存在であった。
高スペック故に活躍できなかった感があるというのはベタだけど面白いな。
だけどやっぱりあのサイズであの性能はデスステ以上に無茶苦茶感があるw