銀河系の遥か彼方、地球から6万光年の距離に惑星Ziと呼ばれる星がある。
そこはうち続く戦乱と、荒ぶる自然の世界。
人々は、この星に棲む巨大なメカ生体-ZOIDS-を戦闘機械獣に改造し、今日も戦場へと赴く。
この戦いに勝利することが、永遠なる平和を勝ち取るための唯一つの方法と信じて…。
空前の大戦争を記録する為に作られたゾイドバトルストーリー。
しかし、そこには語られる事のなかった多くの物語がある。
歴史の狭間に消えた物語達が本当にあった事なのか、確かめる術はないに等しい。
されど語り部達はただ語るのみ。
故に、真実か否かはこれを読む貴方が決める事である。
過去に埋没した物語達や、ルールは
>>2-5辺りに記される。
2 :
気軽な参加をお待ちしております :04/04/25 22:04 ID:Xl/xLLhX
ルール
ゾイドに関係する物語であるならば、アニメ、漫画、バトストなど何を題材にしても可。
舞台となる場所、時間などには、特に制約はありません。
ゾイド板ならではの自由で柔軟な作品をお待ちしております。
ただし、例外として18禁描写はご遠慮下さい。
鯖負担になるので、【450〜460KB】で今後次スレを用意する事になりました。
よろしくお願いします。
投稿された物語の感想等も大歓迎です。
>>1 デススティンガ^乙S
ー じゃなくて ^ だけど。
前スレまでのあらすじ説明しときますね…
共和国首都奪還作戦の援護に向かった西方大陸派遣共和国軍。共和国最年少の傭兵ロイ=アーベルは
心強い仲間と共にホバーカーゴに乗って中央大陸に上陸する。
上陸作戦中、古代文明滅亡の原因でもある怪物「リーパー」が出現、両軍に大打撃を与えて姿を消す。
荒野を走る共和国軍。サイクロプス連隊を率いて現れたエンバーを、ZOSを発動させたロイが撃破。
なおも進軍するが、帝国の防衛線が不自然に脆い(一部に至っては壊滅)事に気付いたロイ達は西方大陸で以前会った
シエル=バレンタインとその仲間が重傷を負っていたのを発見し、保護する。
彼女らの話からそれは帝国の新型決戦兵器「アイアンコング・エヴィルツォーネ」であると判明。
そしてエヴィルツォーネの持ち主を名乗る謎の男からロイ達のホバーカーゴにだけ通信が入り、
秘密の地下通路を通って来るように要求される。やむを得ず従い、長い通路を抜けた先にあったのは広大な空間と
奇妙な工場の様な物だった。そこでロイだけが呼ばれ、一人エレベーターを上ったロイは件の男に遭遇する。
その男はケイン=アーベルと名乗り、ロイの「父親」であると言う。さらに彼はロイがネオゼネバス帝国の為に
造られた生体兵器であると告げる。混乱するロイを眠らせ、ケインは行方を眩ました。
目を醒まし、地上に出たロイはかつて親しかったアーサー=ボーグマンの娘アイリスと再会する。
その時町の中心部に巨大な砲塔が出現、無数のサイクロプスが両軍を襲い始め、マウントアーサ要塞は
リーパーの空襲によって壊滅した…
こんな所ですか?
おっと、訊いて置いてミスってました…
7行目は
彼女らの話から、それは帝国の新型決戦兵器「アイアンコング・エヴィルツォーネ」の仕業だという事が判明。
でした。スレの初めから容量の無駄遣いスマソ。
アクキンですね…今度は何方が標的になってしまったのでしょうか?
取り敢えずはもう書き始めても良いと思います。前のスレは484kb一応目安直前まで書いてみましたので。
その後のレスで落ちたら困る可能性を思い出して止めました。
全く根性無しですね…_| ̄|○
「どっりゃぁぁぁぁ!!!!」
ばぎん ぼぎぃん どがぃん
マオは、後から現れた後続のゾイドも、もの凄い勢いで破壊していったのだった。素手で…。
流石に生物の内蔵が飛び出るなどと言ったグロテスクな物はダメでも、機械相手なら問題無い様子であった。
「うっわ〜…アイツ本当に人間かよ…。まあ私はそんなあの娘が好きなんだけどね…。」
「ハッガネー!!早く行くわよー!!」
「ハイハイ!」
こうして、マオとハガネは敵をなぎ倒しながら通路を進んでいった。
「な…何か凄い人がいるのだが…。」
テレビに写された、ゾイドを素手でなぎ倒していくマオの姿を見たエーマはそう呟いた。流石に彼も、これには驚きを隠せないでいた。
「と…色々やった挙げ句ここまで来たね。…。」
「うん…私なんかここまで来るまでに何度吐いた事か…。」
「マオちゃんゲロネタはもういいって…。」
二人は通路の最奥にあった扉の前に立っていた。二人の背後には、怪物の死骸と飛び散った鮮血、
ゾイドの残骸と飛び散ったオイル、そしてマオの嘔吐物。それらが壁や床の至る所に飛び散っていた。
「行くよ…。」
マオは身長に扉に手をやった。
バタン!!
勢い良く扉を開いた時、その部屋の奥には一人イスに座るエーマの姿があった。
今度はしっかりと気配がと生命反応あった。ホログラムではなく、本物のエーマその人だった。
「ドンピシャ!やっぱりアンタががいたワケね。」
マオとハガネは強気で一歩乗り出した。しかし、エーマは特に驚いた様子など少しも見せず、すました顔で二人を見つめるだけだった。
「君らの戦い、拝見させてもらったよ。実に素晴らしい。流石の私も帝国と共和国にもこれほどの実力者がいるとは思いもしなかった。あのクーゴと互角、いやそれ以上か?」
エーマがそう言った時、マオは少し拍子抜けしてしまった。
「クーゴって確かあの四人組の中の一人だったよね。アイツそんなに強いの?」
「フ…君らは知らないだろうがヤツの力はこの私ですら恐しい。ゾイドの力を最大限に引き出す力、
“Ziソウル”を使いこなす者の中でも特に優れた“ゾイドマスター”にあの若さで到達しているのだ。」
「ワケわかんない!」
マオは質問をしておきながら、エーマの力説を一撃で切り返すのだった。と、その時、ハガネがエーマに対し銃を向けたのだった。
「まあとにかくだ。お前の酔狂な野望もここまでだ。貴様のゾイドプラントも、他の者が破壊している。エーマ!お前をテロ未遂の罪で逮捕する。」
「フ…フハハハハハハハハハハハ!!!」
それまで全く無表情だったエーマが突然笑い出したのだった。
「な!何が可笑しい!さては計画を阻止されて気でも狂ったのか?」
「フハハハハハ!!お前達はよく頑張った!あの程度の戦力と、おもちゃのようなゾイドで
よく頑張ったよ!まあ、私も手加減しすぎたと反省しているがな…。しかし…もう遅い!全ては遅いのだよ!」
エーマはそう言って不敵な笑い声をあげた直後、何かのリモコンの様な物を取りだしたのだった。
「まさか自爆する気!?そうはさせん!!」
とっさにハガネはエーマに向けて銃弾を発射した。しかし、その銃弾はエーマに当たる手前の所で見えない壁に阻まれた。
「無駄だよ。私の周囲には電磁シールドを張っているからね…。」
そう言ってエーマがリモコンのボタンを押したその時だった、エーマの背後にあった壁が突然
シャッターの様に上に持ち上がり、その向こうには、巨大な窓ガラスを挟んでこれまた巨大な部屋が広がっていた。
「見たまえ、アレを…。」
「アレ…?」
エーマが指さした先には巨大な試験管の中でうごめく何かの姿があった。
「アレは…ゾイド…?」
「そうだ…。しかし…ただのゾイドではない…。」
マオの言葉にエーマがそう言った直後だった、試験管から培養液が抜かれ、さらに試験管の外へと
そのゾイドが這い出てきたのだった。その姿はガーゴイル型と言うべき物であったが、やはり普通の
ゾイドではなかった。三鬼衆の様に生体質に近い物で構成され、さらには先程現れた怪物の様な、
まさしく映画や漫画に登場する怪物のごとき外見をしていた。
「君たちには特別にあのゾイドの力をお見せしよう。」
エーマがそう言った直後だった。そのガーゴイル型ゾイドのいる場所から離れた所に数種類の
怪ゾイドが何十体と現れたのだった。そして、その怪ゾイドの群はガーゴイル型ゾイド目がけて
攻撃を開始したのだ。ビームやミサイル、砲弾の雨がガーゴイル型ゾイドの全身に着弾し、その体はたちまちグチャグチャになった。
「うぐげぇぇ!!」
その様子を見たマオは思わず吐き気がした。何しろそのガーゴイル型ゾイドの体は機械では無く、
さらに、素でグロテスクな上にグチャグチャにされたのだ。当然周囲には血が飛び散る。
マオには刺激が強い物だった。しかし、その時だった。そのグチャグチャになったガーゴイル型ゾイドの体がたちまち再生していくのだ。
「う…うぐぇ!!」
「なんならエチケット袋をやろうか?」
その様子を見たマオは再びそう言って、今にも吐き出しそうな程の苦しそうな顔をしていた。
なぜなら、そのガーゴイル型ゾイドが再生していく様子もグロテスクその物であり、それを見て
思わず吐きそうな顔をしているマオの苦しそうな様子は、エーマですら同情してエチケット袋を差し出したくなる程であった。
「やはりあの再生…どこかで見たことが…。」
ドラゴン型ゾイドの再生を見たハガネは真剣な顔でそう呟いた。そして、今度はそのガーゴイル型ゾイドが怪ゾイドの群に襲いかかったのだった。そして…
「うげぇ…、く…喰ってる…。」
それを見たマオは青ざめた。ガーゴイル型ゾイドは怪ゾイドを食べているのだ。別に食べる事
そのものは自然界には当たり前の行為であるが、怪ゾイドは機械化された戦闘ゾイドである。そして、
ガーゴイル型ゾイドはその戦闘ゾイドの体を丸ごと捕食しているのである。あの暴走事故を起こした
デススティンガー一号機も、帝国・共和国両軍のゾイドを襲って捕食したという例が存在するが、
それでも、あくまでコアのみの捕食にとどめていた。しかし、目の前のガーゴイル型ゾイドは体ごと捕食しているのだ。
>失われし者への鎮魂歌作者さん
あらすじについてそんな感じでいいと思います。ただ、自分はあらすじ無しで普通に続かせてもらいますが・・・。
>恐怖の亀裂作者さん
ではお言葉に甘えて続きを書かせてもらいました。
個人的にもこれから良いところという感じなので新スレの方で書きたかったんですよ。
「あの馬鹿でかい大砲は一体何なんだ!?」
何とか持ち場を守ろうと防戦する帝国兵士達だったが、数の上でも性能の上でも
サイクロプスの群れには遥かに及ばない。
一体のサイクロプスが、地雷を踏んで足を吹き飛ばされた。すぐさまバーサークフューラーが突っ込み、バスタークローで
装甲の隙間を貫いた。サイクロプスはその生命力を失い、その場で動かなくなった。
「パイロットは何モンだ!!これだけの数の兵が一体何処に!?」
そう、サイクロプス自体の数も問題だったが、それを操るパイロットも相当な数だ。
ジェノザウラーがサイクロプスの残骸を戦闘区域外まで引きずっていき、バーサークフューラーのパイロットが
ハッチの強制解放ボタンを押した。
「さーて、パイロットの顔を拝み……何だ、これは?」
コックピットに座っていたのは、人間とは思えない者だった。
コックピット後部の壁から後頭部に、無数のケーブルの様な物が繋がっている。
その本人の顔もあちこちに妙なパーツが埋め込まれ、その眼は焦点を結んでいない。
「おい、お前は一体何者だ!?」
帝国兵が聞くと、奇怪なパイロットは僅かに首を動かした。
「グフッ…我…々は…ゾイドの能力を…極限まで引き出すべく…作られた…『コアノイド』……
だ…が、ゴフッ…我々は…所詮…オリジナル…の…劣化コピー…に…過ぎ、ない…」
コアノイドと名乗った男は、そのまま息絶えた。
帝国兵達の間に、重い沈黙が流れた。
「…これは、本当に只事じゃ無い…!!」
一方、共和国軍もサイクロプスの戦闘力に圧倒されていた。
ゾイド数万機と言う圧倒的な兵力。それにもかかわらず、サイクロプスを街に留め置くだけで精一杯なのだ。
「ええい、一体何機出て来やがる!?」
ロイ達と違う中隊に配属されていたエリックとジャスティンは、善戦している物の敵の多さに押され気味だった。
「しかもこの数、この装甲!この破壊力!!作った人の顔が見たいね!」
乱戦において気付く者は少なかったが、サイクロプスの装甲はゴジュラスギガを凌ぐ強度を持っていた。
それに、武装形態ごとに特化された能力――極端に見えながらも、攻撃力と防御力、180km/hというスピードまでも
兼ね備えた非常に強力なゾイドなのだ。
殺気を感じ、ブースター全開で機体を横滑りさせるエリック。真横でサイクロプス零式の角がゴジュラスを
両断するのを見て、額を冷たい汗が流れ落ちる。
彼らもまた、帝国の兵士達と同じ疑問を抱いていた。パイロットの数だ。
自動操縦かとも思ったが、遠隔操作や人工知能にある特有のぎこちなさが感じられない。
しかし、通常のパイロットが操っているにしては反応速度が速過ぎる。エース級パイロットのそれだ。
「それに…なんつーか、こいつらみんな戦い方が同じなんだよな…」
どんなに訓練されていても、通常、パイロットごとに「クセ」が出るものだ。ましてエースともなれば尚更だ。
だが、目の前の相手はAIでも無ければ通常のパイロットでもない。
強いて言うならば「とんでもない反応速度を得た高度な戦闘プログラム」だった。
共和国は街を包囲、帝国守備軍を殲滅する作戦だった。だが、殲滅どころか味方の損耗率が上昇するばかりだ。
共和国軍司令官が、苦虫を噛み潰したような顔で無線を取った。
「全部隊に告ぐ、ゾイドに搭乗中の者は各自パルスガードの用意を!7分後にEMPを発動する!!」
>>閻魔の策動作者氏
とうとう「もっとヤヴァい」奴の出現ですか!?
もはやゾイドの領域を逸脱し始めた悪寒…(そして楽しみな自分が居る訳だが)
とんでもないミスを発見してしまいました。
>>11の17行目の最初がドラゴン型になってました。正しくはガーゴイル型です。
実は最初ドラゴン型ゾイドという形で書いていて、後からガーゴイル型に訂正したのですが
訂正できて無い部分があったようです。面目ない。
>>失われし者への鎮魂歌作者さん
コアノイド・・・いわゆる改造人間兵士というヤツですか。
かなりグロテスクな物を想像してしまいました。
はい、まあサイバードライブのゲームから持ってきたネタです。
あのゲームは…個人的に絵が好かなかったのですが、内容は楽しめましたから
ネタ再利用の一環ですね。
名無し獣弐さんへ
どうもお疲れさまです。何時の間にか自分の話が保管されていてこちらは今日まで気付いていませんでした_| ̄|○
遂にレイバークラブの猛攻?を通り抜け繭に到達する小型寄生体。その数2体…。
繭の中に潜り込みのに成功した寄生体は機体フレーム構築中のフレームに寄生する。
「ノオ〜〜!?如何なるんでありますかぁぁぁ〜!?」ファインの頭の中にはほんの少し前のグロテスク変身シーンがフラッシュバックして半分パニック状態に成っていた。
「オチツケ!キサマオレヲダレダトオモッテイル!!!」何時の間にシートの機能まで使える様になっていたのかこう言う時の為の電気ショックが放たれる。
「ぐえっ…」だが彼が慣れて居る筈も無く電気ショックの出力は最大で蛙の潰れたような声を上げファインは気を失ってしまう…。「シズカニナッタナ…セワノヤケルヤツダ。」
本人はいたって気にしていないようだった…。
繭の中で機体は変異を起こす…と言うよりその情報を内包した姿で機体構成が急速に進んでいる状況だった。
「マダオキンナ…ソレッ!!!」電気ショックをもう一発放つ。今度は出力を押えて。「あぐっ!?ここは?って何で電気ショックをを貴方が仕えるのでありますか!?」ファインは叫ぶ。
「ナイブキコウハホボリカイシタ。コンドハオマエガイナクテモトリアエズナライケルゾ!」自身たっぷりな回答が返ってくる。
「それはそれは…負担が減るので助かるでありますねぇ。」と機体の状況を確認する。機体はフレームパーツの構成中でその情報には共和国軍の物が本格的に使用されている部分が有る。
「ちょっと良いでありますか?」突然相棒に声を掛ける「ちょっとここを…。」会話?が行われそれはパーツ作成され始める。目の前に居る存在への対応の為だった。
外ではまだ壮絶なもぐら叩きが行われていた…「ははは…はーはっはっは!!!貴様等!そこまでしてこれになんの執着が有るっ!」レイバークラブを駆り寄生体を薙ぎ払いながら叫ぶ。
狂喜乱舞すると言う表現が似合うほどザクサルとレイバークラブの動きは嬉々としている。まるで力無き者を踏み躙るのがたまらないという感が漂う。
「あいつは…大丈夫でしょうか?」外野席になったレクスはサーベラスに聞く「解らん…しかしこの状況だ引っ張り出されるのは時間の問題だろう。機体の完成と何方が速いかものか…?」
「おっまた1体…また1体。」レクスは更に繭に到達した寄生体を確認する。その内通算5体目の寄生体が内部に侵入し少し経った時だった。
だああああああ!!!今更気付いた〜〜〜_| ̄|○ ”^”に…_| ̄|●
その頃…繭の内側では。
入り込んでいた寄生体のコアがコアブロック化が終了していた。「おお!これで起動電源は確保できたようでありますね!」
「トウゼンダ!!」背中のフレーム基部と腰辺りの二つのフレーム基部が繭に接触する…。
繭が一際明るく輝き出したかと思えばそれは3つの影に姿を変える。その影の作り出す闇の中には…死神が息を潜めていた。
「この気配!貴様かあぁぁぁ!!!毎回毎回妙〜〜な時に遭うものだなあっ!!!」
繭の中身が誰か解るとより一層狂気が漂うザクサルの声とそれに呼応するかの様にレイバークラブもその異様な様相を見せる。寄生体の体液に染まった装甲が開き剥き出しの器官が迫り出してくる。
「早々に沈めっ!!!」その器官に光が集まると砲塔も無い胸部から高速で光弾が放たれる。それは影に触れると形を失い影をそって流れて行く。そして後方にあるパーツ整列用のベルトコンベアを破壊する。
「おお〜受け流すことが出来るのでありますか!?」大げさに喜ぶファイン。「おのれ!ならばぁ!!!」巨大な鋏が機体を襲う。その時初めてその場から動くと予想以上の速度で上昇し天井にぶつかりそうになる。
影は3枚の翼…腰の左右に2枚背中から特殊な形だが何かと言うなら辛うじて翼と言えるマント状の物だ。
各々の翼は本体よりも大きい。それが完全に広げられ影の中身が明かりに晒される。
その姿はこれと言って大した変化はないロードゲイルの胴体しかし細部はデータベースに存在する者とは一致しない。装甲が単純に解る追加強化の他にその隙間から緑の光が漏れている。
手足はキメラと通常のブロックスでフレームを作り肘より下と膝より下はフレームは最小限で大半は装甲と武器で形成されている。脚部の先には足は無く装甲の組み合わせでサイズに不釣り合いの踵とそれに見合わない小さな爪先がある。
肘より下は約半分程に砲身を切り詰めたレールキャノンとミサイルポッド。更にはその部分と正反対方向に何かが在る。それを覆う装甲はそれ自体がリニアマグネイズソードと同様の機構を持ちゆっくりと振動している。
全体を覆う訳で無く上下を挟む様になっているので中身の火器が確認出来たと言う訳だ。脚部も同様で前方の装甲は腕部同様のようで爪先に各2枚の斧型の爪が有る。
「出来損ないの死神め!」武装を粗方確認したザクサルは”死神”に向けてミサイルを発射した。
ミサイルが”死神”に迫る…頭部には襞?の数が倍になっていてそれ等は元の物より一回り大きい。
その目が光り口を開くと何かの音波をミサイルに浴びせる。するとミサイルは目標を失いゆらゆらと不規則な軌道を描き天井や壁等に着弾する。
「ジャミングか…ならばお望み通り格闘で仕留めてやろう!」レイバークラブは飛翔する。しかし流石にそれを待つ気はファイン達には無くレールキャノンの砲弾がレイバークラブを襲う。
「ふん!小賢しい!」鋏で砲弾を握りつぶすと砲弾が爆発する。損傷はすぐ回復出来る範囲だが直撃した場合はそうもいかないだろう。目の前に居る筈の敵機もそれに紛れて姿を消していた。
レーダーを確認するとレイバークラブと”死神”の位置は完全に重なっている。
「下か!」胸部の4枚の鰭が真下に放たれる。しかもまだ長さに余裕が有ったらしく倍以上の長さに伸びる。衝突音が響くが手応えは全く無い。
「如何言う事だ!?機体性能ならこちらが上…しまった!相性かっ!?」彼に勝るゾイド乗りはまず存在しない。
特にこの様な場所なら尚更だ。時点の位置でレクス等やファイン達の部隊の小隊長クラスと迫る者は居れど越える力を持つ者は居ない。
この状況で遅れを取る可能性が有るなら機体相性しか考えられない。”死神”のデータはレイバークラブに勝る物等何一つ無かった。意外性以外の話だが。
今度はミサイルと一緒にレールキャノンの砲弾が直撃する。「おのれ!ちょこまかと…。」苛立ちが隠せない様子だった。
この時点でザクサルのファインに対する評価は獲物から鬱陶しい敵に既に格上げされておりついでに昨日の借りも有る。
「ならば!」そう言うとレイバークラブは頭の上に尾を戻す。この状態なら直撃を受けても大したダメージには成らない。その上機動性と正面火力、格闘戦での手数が増える。
少し離れた所に”死神”の姿が有る。それはあっと言う間に目の前に到達し両腕を振り下ろす。それを鋏一つで受け止めるレイバークラブ。振動ブレードの効果を真面に受け止め健在の鋏はかなりの高度を誇る事だろう。
とよく見れば上下を挟む形状を利用して左右に爪を突っ込み受け止めていたのだった。「ふん!形状を理解できればこの程度なら…。」そのまま振り回し壁に投げつける。
しかしその際に爪先の斧状の爪で装甲を引っ掻かれ大きな傷が鋏に出来ていた…。
「あ…。」
その直後、ガーゴイル型ゾイドの体に異変が起きた。最初はゴドスと同等のサイズしか無かった
それが、アロザウラーと同じサイズにまで巨大化したのである。今度は怪ゾイドが数機合体して、
同じくドラゴン型の巨大ゾイドとなった。サイズはゴジュラスと同じサイズであるが、形状は
先日ポルトに現れた物と同型であり、それなりに強力なはずであった。しかし、ガーゴイル型ゾイド
の敵ではなく、同じように捕食されてしまった。ガーゴイル型ゾイドはデスザウラーサイズにまで巨大化したのだった。
「こ…こんなゾイド…今まで見たこと無い…。」
マオは唖然としながらそう呟いた。
「そう…あのゾイドは君らの帝国、共和国などが考えているゾイドとは全く違う概念によって
作られた代物だ。君らが使っている一般的なゾイドに使用されている技術は元を正せば地球人が
持っていたロボット工学がフィールドバックされた物。しかし、そんなロボット工学も私に言わせればもう時代遅れなのだよ。」
「それ、私に対する挑戦か?」
ハガネはエーマを思い切りにらみ付けた。しかし、エーマは表情一つ変えない。
「しかしそうであろう?ロボット工学は既に前時代の異物にすぎん。自然物をベースとした機械式
ゾイドを使っている君ら帝国と共和国も同様だよ。機械では所詮生物ほどなめらかな動きは出来ない。そして、ゾイドに関しても単なる自然物に過ぎない下等生物では限界がある。私に言わせてもらえば、
これからの新しい時代を担う新しい技術は遺伝子工学なのだよ。」
「遺伝子工学?」
「そうだ。遺伝子を組み替えて全く新しい生物を作る。遺伝子を組み替えればより強い生物を
際限無く生み出せる。これこそが遺伝子工学。私は最強のゾイドを作り出すために昔からその研究に取り組んできたのだ。」
「ハ!!!…まさか…。」
二人はハッとなった。
「そうだ。世間一般では“キメラブロックス”と呼ばれるゾイドや、君らが戦った三鬼衆、
“バイオガーディアン”、そう、君が思わず吐き気をもよおしていた怪物だよ。これらはみな私が遺伝子操作で作った物だ。」
「じゃあ、ヤツラが生物的な外見をしていたり、人の言葉をしゃべっていたのは…。」
「そうだ…それらは君らのゾイドと違い、機械など全く使わない純生物。もっとも、
バイオガーディアンは若干サイボーグ化してあるが…。しかし…それらもアレを生み出すための試作品に過ぎない。」
エーマはそう言うとガラスの向こう側のガーゴイル型ゾイドを指さした。
「アレこそは世界に存在するあらゆるゾイドの優れた遺伝子を組み合わせ、完成した、私の
最高傑作にしてこの世で最強のキメラゾイド。よって私は“キメラサタン”と命名した。」
「キメラサタン…キメラの魔王…。」
「フ…魔王とは心外だな…。私は神になったのだよ。かつて神がこの世に生ある物を生み出した様に、
私も新たなる生物を作り出した。私はキメラサタンと共にこの世界の神としてこの世界に君臨するのだよ。ハーハッハッハッハッハ!!!!」
「く…狂ってる…。」
「狂っているだと?私は至って正常だよ。私の崇高なる野望の素晴らしさに気付かない君らの方がおかしいのではないかな?」
エーマが不敵な笑顔でそう言った直後、マオは思わずエーマに殴りかかろうとした。
しかし、エーマの周囲に張り巡らされた電磁シールドには敵わず、感電した後、跳ね返されてしまった。
「無駄だよ。君らが何をしようとも…。」
「く…。」
エーマは再び不敵な笑い声をあげた。と、その時、今度はハガネが口を開いた。
「一つ聞きたい。あのゾイドの再生能力。アレは一体何なんだ?アレほどの再生能力を持った生物は
見たこと無いし、真オーガノイドですらもアレほどの再生、進化力は持ってない。」
「それがいたのだよ。アレほどの再生力、進化力を持った生物がな!!!」
「な!!」
「そう…それは君らが“ガイア山”と呼ぶ山にいた。あのゾイドは凄かった。まさに魔物と
言うべき怪物だった。完全野生体や真オーガノイドはおろか、私が作り上げたキメラすらも
取り込み自分の力としてしまう魔物。どうにか手に入れることが出来たその遺伝子を組み込んだ私のゾイドは最強なのだよ。」
「やっぱりそうだ!!あの再生力、どこかで見たことがあると思っていたらあのガイア山の魔物だったのか!!!!」
エーマの言葉に対し、ハガネはそう叫ぶのだった。
「ガイア山の魔物!!?噂には聞いたこと有るけど…。」
マオも思わずそう言ってしまうのであった。“ガイア山の魔物”それは一時帝国と共和国両軍の
一部の人間を騒がせていた怪奇現象であった。それは、ガイア山という山脈近辺で帝国共和国両軍の
ゾイドがたちまち行方不明になるという事件から始まるものであった。
「では、冥土の土産話もそろそろここまでだな。私はそろそろ行こうと思う。」
「行くってどこだ!!」
二人の前から立ち去ろうとするエーマに、マオが叫んだ。エーマは振り返りもせずに言った。
「世界へだよ。キメラサタンが完成した今、私が世界の神となる時が来たのだ。まず手始めとして
ポルトのウェンディーヌを取り込む。そうして強大なエネルギーを得た後、キメラサタンの分身を幾重にも作り出し、世界大戦に乗り出すのだ。」
「そんなふざけたことはさせない!!!」
マオとハガネはとっさにエーマに飛びかかった。しかし、再び電磁シールドで弾き返されてしまった。
「無駄だよ。お前達ごときの力でその電磁シールドを破ることなど不可能。」
エーマは不敵な笑い声をあげる。
「ならばこれならどうだぁ!!!!!」
マオがそう叫んだ直後だった。マオの右手がかすかな光を帯びた。マオは生命エネルギー“気”を右拳に集中しているのだ。
「神聖寺気功爆砕拳!!!」
その直後、マオの拳に集中した気の力と電磁シールドがぶつかり合った。
「うあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」
マオそう叫んび、その電磁シールドを強引に突き破ったのだった。
「いっつ〜…。」
電磁シールドを突き破ったとはいえ、かなり痛かったらしく、マオは右手首から先をブンブンと振っていた。
「な…何だあの力は…。まさかZiソウル…。」
「違うね。これはただの気功法だよ。イタタタタ…。」
電磁シールドを破られて一瞬うろたえたエーマにマオは迫った。しかし、エーマは再び笑った。
「そうか…Ziソウルでは無いのか…ならば恐れる物では無いな。」
そうエーマが言った直後だった、彼の背後にキメラサタンが現れたのだった。
>>名無し獣弐さんへ
恐怖の亀裂作者さんの言葉を見て自分も行ってみたのですが、自分の話も
いくつか保管庫の中に入っていましたね。ありがとうございます。
ケイン=アーベルは旧首都に現れた巨砲「アポカリプス・カノン」内部に居た。
通信の盗聴で「EMP」と言う単語を聞いたケインの頬が歪む。
「困るねぇ…そんな物を使われては、せっかく私が作ったコアノイド部隊が無駄になってしまう…」
ケインは遠隔操作用のコントローラーを取り出し、音声入力で命令した。
「エヴィルツォーネ、指令機を破壊しろ」
「…!?何か来る…」
ウルトラザウルスの周りを、護衛のゴジュラスギガが囲む。
ウルトラの広範囲レーダーに何かが映った。巨大な熱源反応――
「あれは…上陸作戦の時の、化物!!」
そして、沈みかけた夕日を背にして飛来したリーパーは、共和国軍作戦司令部に襲い掛かった。
バスターキャノンが火を噴く。しかし、それらはまたも触手によって吸収される。
「クソッ!奴には…奴には、如何なる射撃も通用しないと言うのか!?」
再構築された砲弾が、それぞれ「持ち主」の元へ返された。それも、悪夢のような速度で。
瞬時に崩壊する護衛部隊を見回し、パニックに陥った司令官はEMPの発射ボタンを押そうとした。
だが、手が届く前に彼はウルトラザウルス諸共消え去った。
「危ない所だ…まさか市街地でEMPを発動するほど馬鹿な軍隊が存在するとは」
ウルトラの居た場所には、巨大なクレーターが出来ている。そして、その大穴を見下ろしているのは
アイアンコング・エヴィルツォーネだった。
僅かに残ったゴジュラスギガがクラッシャーテイルを叩き付けて来た。衝撃は感じる――だが、それだけだ。
エヴィルツォーネの肘と手首に仕込まれたロケットブースターが開く。
「――ロケッティア・ハンマーインパクト!!」
大質量の拳が、超高速でギガを殴りつけた。古代チタニウム装甲が悪い冗談の様に砕け散る。
「他愛も無い、鎧袖一触とはこの事だ!!」
「誰だ、貴様は!?その機体を動かしているのは誰だ!!」
じりじりと後退する護衛部隊のパイロット達。カメラから送られる映像を見ながら、更にケインは苦笑する。
「貴様らのような雑魚を相手してやる為だけに来たと思うなよ……やはり戻ってきたか、リーパーめ…!!」
エヴィルツォーネの右腕部装甲が持ち上がり、内部のガトリング砲が現れた。左腕も同様に
装甲の内部からレールガンが現れる。
「外部にゴテゴテ付けまくるだけが武器ではないッ!!落ちろォォォ!!!」
ケインは自分が乗っていないと言う事からか、叫びつつも余裕の笑みを浮かべていた。
ガトリング砲から放たれた銃弾の雨が、リーパーを襲う。だがリーパーも巨体に反するスピードと
触手によってそれらを捌く。
空を切るレールガンをリーパーが触手で捉え、エヴィルツォーネに撃ち返す。それは装甲に弾かれる。
超大型ゾイド(片方はゾイドではないが)の戦いとは思えぬほどのスピードで繰り広げられる戦いに、
共和国軍の兵達は介入も出来ない。
――正確には、下手に手を出してその力が自分達に向けられる事を恐れたのだが――
「さっきのハンマーナックル…何だあの破壊力は…尋常じゃ無い」
先程の一撃を受けたゴジュラスギガを見やる。もはやアレがゾイドであったと解る者は少ないだろう。
コックピットがどうなっているかなど、想像もしたくない。
だが、その未曾有の戦いに割って入ろうとする者が2人居た。
「司令部をやられるとはな!!ぬかった!!」
「うん。でも、どっちにしろ逃げ道は無いよ。…護衛部隊の皆さんは僕たちに代わって、あのサイクロプスを
相手してください!こいつらは僕達が何とかします!!」
唖然とするギガの前を走り抜けたのは、エリックとジャスティンだった。
「まあまあ…”出来損ないの死神”はあんまりじゃないんでありますか?」アックスクローで鋏を傷つけ壁に迫る”死神”の中でファインは言う。
わざと飛ばされたまま壁の近くまで行くと機体を反転させ不釣り合いな踵で激突の衝撃を緩和する。装甲をその際独自に予想される振動と反対の周期で振動させる。
その結果は…壁に少し踵がめり込む程度だった。本来なら根本的な結合力が小型ゾイドにも劣るブロックス構造のゾイドが堪えられる筈の無い物をそのレベルまで軽減に成功したのだ。
「ふん…忌々しい私をテスト相手に為ようというのか!?舐めた真似を…。」レイバークラブは何と数百mは離れている”死神”に対してその鋏を強烈な勢いで発射した。
後の確認で彼以外は解ったものだが鋏が生物的な外装であっても内部は機械でありそれ自体が自立飛行をするゾイドなのである。その鋏は翼を広げる…。
出来の悪いディフォルメの烏は強烈な衝撃波を帯びて”死神”に迫る。しかも途中で急減速し発生した衝撃波を残して戻って行ってしまう。「おっと…それは無意味でありますよ!」
今度は壁相手に使用した方法を衝撃波に行う。翼はそもそもそう言う物に抵抗しない性質を持つので受け流す体勢を物理的に当然の様に取る。
装甲の振動で被害がで無いレベルに軽減された衝撃波は壁に吸い込まれる。
「貰ったぁ!!!」その間にしっかり距離を積めていたレイバークラブの8本の副椀成らぬ副脚が襲い掛かる。
それを見てファインはスイッチを押すと…”死神”は物凄い勢いで崩れて下に落ちる。その場には8本の足が壁に深々と刺さっていた。「端から真面に相手をする気が無いという事か!貴様!」
「そう言う事でありますよ。数時間前で飽きてしまったでありますっ!」肘下の部分の中央武装部が回転しザクサルが何か確認出来無かった物が起動する。それは青い光を湛えながら空気が漏れる様な音を立てている。
本体も再接続が終わりそのままレイバークラブに突撃する。「何が出来るっ!?そこまで言うなら容赦はせん!」レイバークラブから砲弾の雨が降り注ぐ。
”死神”の胸部が輝きを増すとそれが全身に伝わる。そして機体サイズ分の大きさのデコイが発生する。「何!?」そのデコイは”死神”より早く砲弾の雨に突っ込み爆発する。
「あれを防御にだけ使うだとっ!?」案の定ザクサルの目からは”死神”の姿は消えていた。
レイバークラブ真上から”死神”が腕を振り上げ降りてくる。「同じ手をまた使うのか?」余裕の構えで鋏を振り上げる。
「くくく…これで終わりだ!」しかしその後”死神”そのまま床の上に立ちレイバークラブは尾のエイとカニの合いの子のカバーを真っ二つにされていた。
そして…その頭上には何か細い物に包まれて青い光のレーザーが近い位置に2筋弧を描いていた…。
「レーザーブレード…。」呆然と呟くザクサル。この瞬間一つの常識が覆されたのだ。
これはファイン達が前々から仮説を立て実験していた「非固体誘導式レーザーブレード」と言う物である。まず確認する事は一つの限界レーザーブレードの威力や攻撃範囲を限定している存在がある。
それは”実剣”でそれを伝導体として使用しない事でエネルギー消費や攻撃範囲の増減、威力のコントロールを目的にした兵器である。
有る水溶液を霧状に噴出するとそれに射出されたレーザーが乱反射し熱で霧が蒸発するまでレーザーがその場に停滞する。
霧はレーザーに接触すると霧が化学反応を起こしてレーザーをほんの一瞬閉じ込める。その時に攻撃対象に接触するとその部分を切り裂く。
問題は射出する水溶液に有ったがつい最近効率の良い物を発見して実現した物である。しかしその所為でレーザーの光は最も威力が低い青系に限定されてしまったのであるが…。
それは今の状況を見ればさほど問題ではなかった様子である。やがてレーザーは絶対量を失い霧も蒸発して消える。
少しの間の後突然糸が切れたかの様にザクサルの笑い声が辺りに響く「きききききき…きゃははははは…。」少しして落ち着いたのであろう…突然喋り出す。
「叩けば埃が出るとは正にこの事だ!一々目障りな予想の裏切り方をしおって!」そしてレイバークラブは向きを変える。「しかし私は他の者とは違う!敗北は糧だ!無駄にあがいて自滅等と勿体無い事はせん!」
そう言葉を残すと脇目も振らずに撤退する。「次は本気でやってやろう…レクス共々八つ裂きにしてくれるわっ!」怒りに歪んだ表情でザクサルは地下に戻って行った。
「とっ所で…中佐?あれは一体?」レクスは脅威の切れ味を誇った光を思い出しながら言う。「ああ…確認した所大変な事が解ったよ。」サーベラスは言葉を続ける。
「レーザーを閉じ込めたいた物は”生水”だ!金属イオンたっぷりの湧き水だ。」
「冗談じゃない!”生水”って!?そこらにあるアレですか!?」レクスは叫ぶ。「そうだ。残念だが間違い無い。しかしだ…水であるなら如何にでもなるだろう?」
サーベラスの言葉でやっと正気に返るレクス。その脅威の切れ味にばかり目が行っていたらしくよくよく考えてみればやはり水なのだ。
「しかしこれはまた厄介な事だが蒸発させれば如何にかなるが…攻撃の瞬間のみ使えば良い分使う方が有利だ。」更にサーベラスは続ける。
「その上に特性上物理的な方法では受け止められない。擦り抜けてきてしまうからな…。撃たれたら避けるしか無い。」レーザーブレードとは言っているが実際は射撃兵器だったりする。
非常に分類し辛い物だが射撃兵器の分類に入る。何しろレーザーも水も射出しているのだ。無理矢理な造語を作れば”停滞切断物質射出兵器”とちんぷんかんぷんな物になる。
「しかし恐れていた程の者が出て来なくて良かった良かった…。」心底安心している様子のサーベラスに突然ファインの通信が入る。「酷いじゃないでありますかぁ〜〜!?」
「済まん済まん…あの状況では如何しようも無くてな。残念だが苦労をして貰った訳だ。」みもふたも無い事を言う。「あううううう…。」今までの戦闘を熟した者が上げるような声では無いとそこに居る者は笑っていた。
「うわぁぁぁぁん…。もう来ないでありますよぉぉぉ〜。」何故そこで泣く?と共和国軍に疑問を投げ掛けてファインと”死神”はその場から飛び去って行った…。
「行ってしまいましたね…。」レクスは言う。「そうだな…唐突に現れて唐突に去って行ったな。」と下を見る。
下にも唐突に現れてそのままこの場に馴染んでしまったゴリラ型生物兵器が居る。「彼等も唐突に去って行くのだろうか?」サーベラスは言う。
「それは無いと思いますよ?他に行く当てが無さそうですしね。」彼等は視界から消えて行くファインの機体を見送っている様にレクスの目には写った。
「そこまでよ!止まりなさい!」ディープフィアーの開けた穴から地上に向かって上昇をしていた”死神”だったがやっとの事で地下に降りて来ていたヴァイスリヒトの面々と鉢合わせになったのである。
「つ〜かま〜えたっ!」しかもあっさりとサーラのストームラプターに捕まえられてしまう。「何ですとぉぉぉ〜〜!?」
油断大敵…それを絵に描いたような出来事だった…。
「さらばだ。帝国と共和国の戦士達よ。」
エーマがそう言った直後、エーマはキメラサタンと融合した。普通のゾイドの様にコックピットに
乗り込んだのではない。そのままエーマの体がキメラサタンの胸部にめり込んでいく形で融合したのだ。
「さらばだぁ!!!」
「ああ!!まてえ!!」
キメラサタンと同化したエーマはそう叫び、キメラサタンは背中の巨大な翼を開き、そのまま天井を
突き破って行ってしまった。その時、ハガネは叫んだ。
「待てえ!!!!何でガイア山の魔物を蘇らせたんだ!!!これじゃああの娘が安心して眠れないじゃないかぁ!!!」
「あの娘?」
その時だった、部屋中のあちこちが爆発を始めたのだった。
「うわああ!!こんな所で死ぬのは嫌ぁぁぁぁ!!!!」
二人は一瞬戸惑ったが、その直後、壁を突き破ってカンウとゼノンが現れたのだった。
「カンウ!!!」
「ゼノン!!!」
そして、その背後にはライン達を初めとする他のみんなもいた。
「脱出口を発見しました!!さあ急いで!!」
マオとゼノンはそれぞれゾイドに乗り込み、その脱出口へ向けてひたすら走った。エーマは
もうここには様が無いと判断したのか、全然関係ないあちこちから爆発音が響き渡り、
落石や自身なども起こっていた。そして、怪ゾイドの群はそれらに巻き込まれて次々に破壊されていく。
「急げ急げぇ!!!」
マオ達は脱出口をひさすら走った。そして、マオとハガネはそれまで起こった事、エーマとのやりとりなどを皆に話した。
「そ…そんな事が…。」
「な…なんかよくわからんがとにかく滅茶苦茶すげえ事が起こってるって事だよな…。」
流石に皆も驚きを隠せないでいた。その時、今度はマオがハガネに対して言った。
「ハガネ…あんたがさっき言った“あの娘”って何?それに、あんたあのガイア山の魔物に対して何か知ってるみたいだけど…。」
「ガイア山の魔物を倒したのは私だ…。」
「ええ!!?」
ハガネの一言はマオを驚かせた。そして、ハガネは全てを話した。ハガネは、ガイア山における謎の
ゾイド失踪事件を調査せよとの命令を受けた後、当時最新鋭機としてロールアウトしたばかりだった
セイスモサウルス、つまり二代目ゼノンと共にガイア山に赴いた。その途中、いきなり襲ってきたが
返り討ちにした盗賊の頭からガイア山のは魔界と聞かされた。そして、ガイア山に到着した後、
情報収集の為にゼノンを降りて近辺の村へ行こうとしていた途中、山の中で迷子になっていた
アリスという名の一人の少女に出会った。その少女を村までおくって分かれた後、村の人に話を
聞いたとき、魔物の事を指していると思われる戦闘ゾイドばかりを襲う怪物の他に、幽霊が出ると
いう噂を聞いた。幽霊の噂については、当時のハガネは信じられなかったが、怪物の噂は調査する
価値があると見て、次の日、ゼノンの元へと戻った時、再びアリスと出会った。
そしてその時に出会った。ガイア山の魔物に…。その姿は地球の神話に登場する怪物、
"ヤマタノオロチ"を彷彿とする外見をしており、セイスモサウルスすらも小さく見える程の
巨大さと、圧倒的なパワーを持っていた。ゼネバス砲で体に穴を開けてもたちまち再生されてしまう。
ハガネとゼノンは終始圧倒された。そしてハガネはアリスから信じられない事実を聞かされた。
目の前にいる怪物は元々アリスの友達であった野生のエレファンタスだと。
その野生のエレファンタスに変な物がくっついた後おかしくなって、他のゾイドを取り込んで今の
ようになったと言うのだ。まるで漫画のようなとんでもない話だが、彼女の言ったことは本当だった。
ゼノンが怪物の8つの頭部に噛みつかれ、そのまま噛みつぶされそうになった時、ハガネのAIに
一つの映像が飛び込んできたのだった。そしてハガネは理解したのだ。この惑星Ziの数々の戦争で
死んだ者の怒りや憎悪、憎しみ、無念が凝り固まって出来た残留思念が野生のエレファンタスを
乗っ取り、怪物へと変えてしまったのだと。そしてハガネは決意した。怨霊に取り付かれたエレファンタスを助けると。
そして、ハガネはゼノンの頭部を怪物の胴体に突き刺し、
怪物のコアとなっていたエレファンタスを引き剥がした。コアを失った怪物は無力化し、
そのままゼノンの全身の火器によって撃ち抜かれ、消し飛ばされた。アリスはハガネに礼を言い、
エレファンタスと共に姿を消したのだった。その後だった。ゼノンと怪物の戦闘の際に起きた
爆発音に驚いて駆けつけてきた村人からアリスは既に50年前に亡くなった人間だと聞かされたのは。
ハガネはウソだと思ったが、実際に彼女の墓も存在した。そして、あの時出会ったアリスこそが、
あの噂の幽霊だったのだ。当時のハガネはその衝撃のあまりAIがショートしてしまった。
しかし、反面その出来事がきっかけになって、ハガネは超常現象に興味を持つようになったのだった。
「なるほど…私達の知らない所でそんな激戦が…。」
「そう…エーマはそのガイア山の魔物の遺伝子を復活させたんだ。真オーガノイドすらも取り込む
悪魔の力を…。これではあのアリスが安心して眠れない!!だからなおさらヤツの好きにはさせられないんだよ!!」
ハガネは思い切りそう叫ぶのだった。
「所属不明機接近!!機影は多数!!!!」
エーマの操るキメラサタン率いる怪ゾイドの群に、地上に残っていた共和国軍と帝国軍は混乱状態に
あった。どうにか頑張ってはいたが、敵の数は多く、両軍共に押されていた。
「ポルトへ行く前の準備運動代わりに少し遊んでやろう。」
怪ゾイドが次々に両軍に襲いかかる光景を遠目で見ながら、エーマは笑ってそう言った。
>>失われし者への鎮魂歌作者さん
アイアンコングエヴィルツォーネ・・・なんかとんでもない化け物じゃないですか。
リーパーと言いそんなのどうやったら倒せるのかという今日この頃。
>>恐怖の亀裂作者さん
水が光を吸収するという性質は知っていましたが、それを利用したというアイディアは面白いと思いました。
とりあえず自分の話ではこれから最後の戦いへと進んでいきます。
ちなみに現在は新シリーズの執筆なんかしていたりするんですが、
主人公とかは大体決まっても仲間キャラとかその他のキャラがなかなか決まらなかったリするんですよハイ。
嫌みをたっぷり込めてラフィーレは言う。「情けないものだな。こうもあっさりと捕獲されるなんて…お前の母親はきっと泣いているわよ?」
一方ファインの方はと言うと「じゅげむじゅげむごぼうのすりきれ…」と何かボソボソと呟いている。「ふぅ…全く往生際が悪い!」肩が上がる程思いきり息を吸ってラフィーレはマイクに向かってこう言う。
「現実逃避をするなこっちを向け!私の話を聞けぇ〜っ!!!」と耳を覆っても大音量で聞こえる声を出した。当然マイクを伝っているので数倍以上の音量である。
その一方で「ねえ?キリカおねーちゃん?アレ何?」とサーラはキリカにブツブツ喋っていた言葉の意味を聞く。「そうねぇ…確かおまじないか何かよ。」キリカは答える。
「そうなんだぁ〜。キリカおねーちゃん物知り!」その横で「チッ…。」フェニスはキリカが真面に答えてしまったので適当に話題をごまかしたらほんのちょっと御馬鹿な嘘を教えようとしていた為舌打ちをする。
「これは何かしら?ふふふ…良く見るとこのロードゲイル兎耳みたいな角が付いてる…。その上リボン見たいな物まで!?翼を引っ剥がしたらもっと何か有りそう…。」
ソニアは翼の陰に隠れていて今まで誰にもばれていなかった秘密の装備を簡単に見付けて妙なテンションで喜んでいる。「ぜ・ん・い・ん・静かに!!!」ラフィーレは更にマイクの音量を上げて叫んだ。
「全くしょうがないでありますねぇ…若いのにヒステリーな。しわが出ぎごぉっ!!!」どうやらラフィーレは何時の間にか彼の機体に乗り移っていたらしい。
しかも随分とあっさりコクピットカバーを開け強烈な左ストレートをその右頬に捻じ込んでいた。「女に対して失礼な奴だ!雀の涙程でも女に対しては気を使え!」
敵の機体に乗り込んで来るのは非常識でも彼女に言っている事に間違いは無かった。
「さあ今度こそ…ってあれ?」無防備な状態なら女性であっても軍役に服する者のクリーンヒットのパンチなら威力はだろう…しかも微妙に顎に入っていたので完全に気を失っている。
「ひぃっ!?…何だ甲殻皮膚か。びっくりするじゃない!」体と一緒にピクピク動いている甲殻皮膚に驚いてしまったのが気に触るのかファインを蹴り俯せにする。
「おっおねえさま?何か凄い音が聞こえた様な気が…?」ソニアは中で何が起こったのか粗方気付いていた様だがあえてそう聞いた。
「やっちゃったご免なさい!」モニターに手を合わせて申し訳なさそうに謝るラフィーレの姿が見える。
「やっぱり。」口に出したのはサーラだけだが他の者もそう思っていた。
「サーラお願いね。話は付けて置いたからネオゼネバスの宿営地にその子を送り届けておいて。後は任せるから…。」ラフィーレはそう言って機体を飛び立たせようとするが振り向いて言う。
「後お菓子とかに釣られちゃ駄目よ?私達の立場は共和国に協力するけどネオゼネバスには干渉しないが取り敢えずの立場だから。」心配そうに言いながらもストームラプターを起動させる。
4つの点が空に消えて行く…「おねーちゃん達また明日〜〜!」
そう言うと自分の機体を動かし一緒に抱えていた”死神”改めラビットホーンをしっかりと押さえゆっくりと飛び立つ。
「ふむ…機体だけか。間違い無いね?お嬢さん?」アービンはラビットホーンを見てサーラに状況を聞く。「は〜い!お兄ちゃんは…」その後の経緯を説明されて周りに居た全員が笑い出す。
「あいつ…馬鹿だ馬鹿だとは思っていたが遂にやったか!」先程の事件で減俸を喰らったばかりのレミントンは笑い転げる。
「駄目ですねぇ〜独り言は口に出しちゃ駄目ってぇ〜あんなに言っていたのにぃ〜。」ルディアは笑ってはいたが目は笑ってはいなかった。
「ああ〜中尉の馬鹿ぁ〜!!!」1人だけ頭を抱えているシュミット。「何とまあ…正に口は災いの元ですね。」シュミットを見ながらディオスは笑っている。
「ねえ!リトルレディ?ラビットホーンって君が名前を付けたのかい?」ストームラプターのコクピットで毛布に包まっているサーラにベルフは語り掛ける…端から見るとかなりやばい妄想が起きそうな状況だった。
「え〜っと?誰?」サーラは聞き返す。「あれぇ!?自己紹介してなかったけ?僕はベルフ=スクラワル!プラズマ兵器開発のスペシャリストで第4小隊の実働戦力を現場指揮してるよ。」何を狙っているか解らない自己紹介。
「ふ〜ん…。そうだよ。本当は兎耳ちゃんって呼んでたけどそれじゃあ可哀想だってソニアおねーちゃんがそう言って付けてくれたんだよ!」自身たっぷりに言う。
「そうかい。解り易くて良い名前だよリトルレディ!変に長い凝った名前付けようとする奴が多いからねここの人は。」そう言ってベルフはその場を去る本当に何を狙っているか解らない男だった。
第5章:ポルト決戦
「いきなり来たと思ったら何だよこの数は!!このままじゃあキリがねえな…。」
ホバーカーゴ二番艦を背に4連バスター砲を撃ちまくるキャリングの中でアイザックが愚痴った。
どうにか怪ゾイドの群を撃退出来ていたが、次々になだれ込んでくる敵に押されていた。
「そろそろ遊びも終わりだな…。」
次第に押されていく帝国と共和国軍の姿を見ながら、エーマはそう呟いた。と、その時だった。
「エーマァァ!!お前の野望もここまでだぁ!!!」
白い光を全身に纏ったスーパーマトリクスドラゴンがキメラサタンに背後から体当たりをかけたのだった。その衝撃にキメラサタンは怯んだ。
「まだまだぁぁ!!!」
そして、間髪入れず、今度はその足下の地面を突き破ってカンウとゼノンが現れたのだった。
カンウのPMBユニットマグネーザーが、ゼノンのストライクレーザーバイトシザースがキメラサタンの足をそれぞれ破壊した。
「次ぃ!!!」
両足を破壊され、倒れ込もうとしたキメラサタンに今度はジェネラルとエナジーライガーが超高速で
突っ込みをかけ、それぞれバスタークローとエナジーウィングで横っ腹を切り裂いていった。
「阿修羅南無網観音仏。」
攻撃はそれで終わりではなかった。今度は倒れ込んだキメラサタンの背中にアシュラゲイルが
4つのマグネイズスピアを突き刺し、そのまま高圧電流を流し込んだのだった。キメラサタンの全身がスパークした。
「みんなぁ!!生きてたんだ!!!」
絶望しかけていた両軍の兵士達は一斉に希望を取り戻した。
「ようし!!怪物のボスは死んだぞぉ!!後はザコ掃除だぁ!!!」
倒れ込み、真っ黒に焦げたキメラサタンの体を見た一人の兵士がそう叫んだ。しかし、ハガネは言った。
「いやまだだ。ヤツはまだ生きている。」
彼女の言うとおり、キメラサタンは生きていた。ボロボロのその体はあっという間に再生し、たちまち元通りになったのであった。
「う…ウソだろ…。」
「あいつ…機械じゃねーのか?」
その様子を見ていた両軍兵士達は唖然としていた。
「なかなか良い攻撃をするなあ…それにしても、生きていたとはな。」
「ああ!おいら達があんな事で死ぬもんか!!」
抑揚のないエーマの言葉にクーゴが力強くそう叫んだその時だった。
「うっげぇぇぇぇぇぇ〜…。」
ずげげげげげっ!!
シリアスかつ殺伐とした不陰気をぶち壊したのはマオの吐き気だった。キメラサタンのグロテスクな
再生を見たせいで、再び吐いてしまったのだった。それには思わず全員すっ転んだ。しかし、今度はしっかりとエチケット袋を用意していたのだった。
「ご…ごめんね…あたしこういうの弱いから…。」
必死に起きあがろうとしている者達にマオは謝るのだった。
「な…なるほど…グリーンデビルはグトテスクな物に弱い…っと…。」
ドラグーンネストのブリッジ内部で、一人の兵士がそうメモを取っていた。
「と、とにかく!!お前をポルトへは行かさん!!!」
体勢を立て直したハガネはエーマに対してそう叫んだ。しかし、エーマは顔色一つ変えない。
「行かさん…だと?フッフッフ…、お前達のそんな玩具で何が出来るというのだ…。」
と、その時だった。キメラサタンの前にティルのジーニアスウルフが現れたのだった。
「やめて下さいエーマ博士!!なぜそんな事をするんですか!!!?」
ティルがそう叫ぼうともエーマはなおも表情一つ変えようとしなかった。
「私は人間を越える神の力を手に入れたのだ。私の世界征服の崇高なる野望を理解できぬおろか者は…死ぬべし!!!!!」
エーマがそう叫ぶと共に、キメラサタンの右腕がジーニアスウルフ目がけて振り下ろされた。
「キャアア!!!!」
「危ない!!Ziソウル!!」
クーゴはとっさにスーパーマトリクスドラゴンで飛んだ。そして、寸前の所でティルとジーニアスウルフを助けたのだった。
「アイツに何を言っても無駄だ。それに、オサンゾのじーちゃんはアイツに殺されたんだ。」
「えええ!!!!?」
クーゴの言葉はティルを愕然とさせた。
「そんな…ウソでしょ!!?オサンゾ博士とエーマ博士は同じ研究に携わっていたのに…何で…。」
「オサンゾは私の世界征服に協力しなかったからだ…。挙げ句の果てには私に敵対してきた。
そこのガキ共が使っているゾイドがそれだ…。だから殺した…。」
「…………。」
エーマの言葉にティルは再び愕然とし、言葉も出なかった。と、その時、エーマは再び言った。
「お前達に少しだけ見せてやろう。世界の神となる者の力を。」
その直後、キメラサタンの口が大きく開かれた。そして、その開かれた口からかすかな光が
放たれたと思ったその直後、超大出力の荷電粒子砲が海に向かって放たれたのであった。
その荷電粒子砲はデスザウラーの大口径荷電粒子砲よりも太く、そしてセイスモサウルスの
ゼネバス砲よりも強いエネルギーを持っていた。その荷電粒子砲が放たれた海の水は一瞬にして蒸発し、海に巨大な切れ目が出来た。
「ウソ…たしかアレって完全生物型のはず…何で荷電粒子砲が撃てるの…?」
皆は目を疑った。特にマオとハガネがそうだった。エーマの話を聞く限り、キメラサタンは
一般的な戦闘ゾイドのような機械化改造ではなく、遺伝子操作によって作られた純生命体ゾイドで
ある。普通ならば荷電粒子砲が撃てるなどあり得ない。そう思ったのだ。しかし、キメラサタンが
荷電粒子砲を撃ったのは事実であった。唖然とする皆を尻目に、キメラサタンの背中の翼が大きく開かれた。
「私はこれからポルトへ行く…。お前達バカに付き合っている余裕はないのでな…。」
「待て!!エーマ!!」
他の怪ゾイドの群をを引き連れ、ポルトへとキメラサタンは飛んでいった。そしてその後を追うようにクーゴ達の乗るスーパーマトリクスドラゴンも後を追った。
「わ!!私たちも行かなきゃ!!!!」
他の皆も、キメラサタンの後を追おうとしたその時だった。そうはさせまいと、怪ゾイドの群が
両軍の前に立ちはだかったのだった。そして、怪ゾイドは、全機が一斉にバラバラに分離した。
何か巨大なゾイドに融合する気である。数百にも及ぶもの凄い数の怪ゾイドが融合すれば想像を絶する怪物ゾイドになることは容易に想像できた。
ベルフと入れ替わりで今度はルディアがサーラに話しかける「あのう〜ちょっとぉ〜良いですかぁ〜?」
「うん!」ベルフの時とはうって変わって簡単に興味を持ってくれる。
「…それはぁ〜やっぱり彼が悪いですねぇ〜…。」がっくり肩を落とすルディア。
事情を聞いたら余計に如何しようも無い事でその上何か有ると彼女自身にも謂れのない事で危険に晒される可能性のある事だった。
そしてルディアは…「聴かなかったぁ〜事にしましょう〜!!!」ぽんと手を叩いてその件を黙殺する事で自己完結する事にした。
「ねえおねーちゃん?何で困ってたの?」実は少し前の彼女の目が笑っていない事にサーラは気付いていた。「ええそれはぁ〜(以下略)。」とルディアは困った顔で言った。
「わかった!おねーちゃん!じゃあ明日は私がおにーちゃんの変わりに着いていくね!」ラフィーレに言われた事は何処吹く風とばかりな事を自身たっぷりに言うサーラ。
「いいんですかぁ〜?本当にぃ〜?」ルディアは念を押して聞く。「うん!困っている人を助けるのがピースメーカーの仕事だよ!」かなり間違った認識であるが方向性は辛うじて間違ってはいない。
広義的に考えれてみれば正解でもあるのだから…。餌も何も無い釣り針を自分から飲み込む様な行為だがその表情からするにそれが当たり前と言うタイプだとルディアは思った。
「それじゃあ〜少しの間ぁ〜お願いしますぅ〜。」ルディアはそう言うとアービンに報告しに行った。
「フェニス?何で私の機体に乗せなかったのそいつを…?」順調に帰路に就いているストームラプターのコクピットでラフィーレは不機嫌そうに言う。「だって…ねぇ?」言わなくても解るでしょう?と言う含みでフェニスは答える。
「それじゃあ解らないんですけど?」とラフィーレは剥れっ面になる。任務も取り敢えず終了と言う事で任務時以外での喋り方になっているヴァイスリヒトの面々。「おねえさまそれは…。」ソニアは何か言おうとするがキリカにそれを言われてしまう。
「ほらさっきの事覚えてる?貴方はそいつを危うく蹴り落としそうになってたじゃない?しかも極自然な振る舞いで…。」それを聞いて「うっ…。」と呟き押し黙ってしまうラフィーレ。
それを見て追い打ちとばかりフェニスの言葉が来る。「今度似た様な事が有ったら問答無用で蹴り落としそうだったから…ね?」
「…そこまで私は信用できないって言うの!?」フェニスの言葉に突然怒り出すラフィーレ。「ふふふっそれなら後で貴方もこうして吊るされてみる?」
フェニスは自動操縦のスイッチを入れてシートの向きを変える。その先には毛布で三重に包まれロープで固定されている男が居る。
それをフェニスは押して遊び始める。「勘弁して下さい。」ラフィーレはそれまでの勢いは何処に行ったのかあっさりと引き下がる。
当然頭は下向きで吊るされている。「あの〜フェニスさん?あの頃から全く変わっていないのでありますね〜せめて…吊るす向きを反対にしては貰えないでありましょうか?」
頭に血が上って目の覚めたファインはフェニスに嘆願するが「だ〜め。もう少しで着くから我慢しましょうね〜。」フェニスはふざけた口調でその嘆願を却下した。
「何時までもやってると後で抗議を受けるわよ?それに私達は正確には兵員に含まれないんだから密告されたら捕まっちゃうわよ。」
フェニスは見るに見かねたキリカが突っ込みを入れるまで吊るしたファインで楽しそうに遊んでいたという…。
もう少しで目的地に着く。海の上であったが彼女達が近付くにつれて海より何かが姿を現す。
「ヒュージスターよりストームラプター!各員へ!00:06時機影を確認した!着艦準備良し!着陸されたし!」管制官の声が聞こえてくる。
「了解!こちらストームラプター!着艦する!」大した事も無く着地を済ますとそそくさと格納庫に全機入っていく。
「格納庫収納後潜航する!準備は良いか!」艦長の声がして程無くしてそれは海に消えて行った。
「これで宜しいんですか?オーナー?」艦長は傍らに立って居る場違いな女性に言う。「ええ…有り難うございます艦長さん。こんな無茶を聞き入れて下さって…。」
それを聞いた艦長はこう答える「それはこちらの台詞ですよ。私達老骨にこれだけの物を任せてくれるのですから…。それよりも姉上がお持ちですよ?」そう言って格納庫を移すモニターを指さす。
「そうですね…。それではお言葉に甘えて失礼いたします。」そう言うと彼女はブリッジを後にする。「それではおもてなしの準備をしましょう…と言ってもここは何処なんでしょう?」
艦内で迷ってしまった彼女の名はセフィーナ=アーヴェラー。その後目的地とは正反対の格納庫で右往左往している所を姉に見付けられたらしい…。
「そうはさせない!!みんな!!下がってて!!!」
突然そう叫んで前に出たのはマオとカンウだった。そして、直ぐさま背中に装備していた
PMBユニットを両腕に付け替え、それを融合途中の怪ゾイド群に向けたのだった。
「一体何をする気なの?」
ハガネがそう言った時だった、PMBユニットのマグネーザー部分が高速回転を始めたのだった。
「マグネイズサイクロン!!!!」
マオが思い切りそう叫んだ直後、高速回転したマグネーザーから、強烈な電磁嵐が巻き起こり、それが怪ゾイドの群を切り裂いていくのだった。
「そうか!!あいつらもブロックス!!マグネッサーシステムで宙に浮いたり空中合体出来るから、それを狂わせてやれば…ようし!!オレだって!!」
マオの思惑に気付いたラインがそう叫び、ジェネラルの背中に装備されたバスタークローを高速回転させ、電磁嵐を怪ゾイドの群にぶつけたのだった。
「フ…なるほど…。」
ギフもアシュラゲイルの4本もマグネイズスピアを回転させ、電磁嵐を作り出し、撃ち込んだ。
「ようし!!俺達だって!!!」
両軍の電子戦ゾイドが前に出た。ディメトロプテラが、ディメトロドンが、それぞれのレーダーから発する電磁波を怪ゾイドの群へとぶつけたのだった。
バアン!!
その直後だった。もの凄い音と共に怪ゾイドの群は砕け散り、爆発四散し、残ったパーツも煙を噴いていた。強力な電磁波に、内部機械がショートしたのだった。
「よし!!」
怪ゾイドを倒した事を確認すると、マオ達は一斉にポルトの方へと走り出した。
「マオちゃん!!乗って!!!」
浜辺まで来たときにハガネがマオに対してそう叫ぶと、カンウはサーフボードに乗る要領でゼノンの
背中に乗り、ゼノンは猛スピードで海を切り裂きながらポルトへと泳いだ。
「俺達も行くぞ!!」
ラインがそう叫ぶと、ジェネラルの背中のバスタークローを展開し、通称「ウィングモード」と
呼ばれる形態を取った。そして、ジェットファルコンのブースターを点火し、ジェネラルは大空を
飛んだのだった。音速には達していないものの、時速500キロはゆうに越えていた。
そして、それに合わせるようにエナジーライガーもエナジーウィングを展開し、空を飛んだ。
ジェネラルとエナジーはたちまちカンウとゼノンを追い越していった。
そして、同じくアシュラゲイルも飛んだ。出発は出遅れたが、アシュラゲイルは音速を出せるため、たちまちジェネラルとエナジーをも追い越していった。
「あ!!私たちも急いで向かわなくちゃ!!!ゾイドの収容を急いで!!あと、ポルトの方のミオ准将にも連絡を入れて!!」
ホバーカーゴ二番艦のブリッジにいたミルトはそう叫んだ。両軍共に艦の出発の為の準備を急いでいた。
「何ぃ!!!?もの凄い大軍がこっちに向かってくるだと!!?」
ポルトの町で待機していた部隊を率いていたミオがその報告を受けた時にそう叫んだ。
「くそ!!こんな事ならジャイアントトータス持って来るんだった!!!!」
ミオはホバーカーゴ一番艦へと走った。一方その頃、ルーガスはと言うと…
「好き…嫌い…好き…嫌い…。」
相変わらず無気力状態のままゲッソリした面もちで花占いをやっていた。ルーガスはまるで呪文の
ように好き…嫌い…とそう言いながら花の花びらを一枚一枚抜いていく。
「好き…嫌い…好き…嫌い…………。」
ルーガスは沈黙した。ルーガスはかれこれ何十回も同じ事をやっていたが、結局は“嫌い”という結末に終わってしまうのだった。
「うあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!神よぉ!!私とマイハニーは結ばれぬ運命なのかぁ!!!!」
ルーガスが頭を抱えながらそう叫んでいた時だった。彼の元に一人の兵士が駆け込んできたのだった。
「少将大変です!!昨日の所属不明機の大軍がこちらに近づいています!!!!」
「な!!何だと!!?」
その一人の兵士の言葉に、ルーガスは久々にシリアスな表情になってそう叫んだ。
大急ぎでセイスモサウルスに乗り込み、メインカメラをズームした時だった、水平線の彼方から
多数の飛行物体が、こちら目がけて飛んできているのが見えた。その数はとてつもない物で、空が見えない程の物であった。
「迎撃しろ!!!やつらを町に入れるな!!!他の物は民間人を避難誘導するんだ!!!」
そう叫んでルーガスがゼネバス砲発射ボタンを押し、セイスモの口からゼネバス砲が発射された。
まず狙ったは敵の群の中の最左。そしてそのままセイスモの首を最右まで動かしたのだった。
俗に言う横薙ぎ放射である。それだけで他数の怪ゾイドが切り裂かれ、消滅させられた。
しかし、それでも怪ゾイド全軍からすれば、ほんの一握りに過ぎなかった。
それでも、ルーガスは先程と同じ戦法で次々に怪ゾイドを撃ち落としていった。
一方、共和国軍、そして自警団の皆も港に集合し、怪ゾイドの群に攻撃を仕掛けていた。
「くっそ―――――――!!!なんて数だあ!!火力が足りん!!!!」
さり気なく忘れ去られていた自警団長のゴードンがレッドホーンのコックピット内でそう叫んだ
時だった。ホバーカーゴ一番艦のゲートがゆっくりと開き、その中から一体の巨大なゾイドが姿を現したのだった。
「いやいや!後れてすまなんだ!」
一体の巨大なゾイドの正体はウルトラザウルスであった。そしてその頭部のコックピットには
ミオの姿があった。ウルトラザウルスは大統領専用機の一体のみしか存在しないとされているが、
それは西方大陸戦争時代の話である。現在はあのマッドサンダーの様に、野生体の保護や、
ゾイドコアの培養増殖によって、戦線になんとか投入出来る程にまで個体数は回復している。
しかし、帝国軍と違ってOSを使用した増殖では無いため、マッドサンダー同様、若干弱体化しているが…。
「ルーガス少将!あんた妹ごときにも勝てなかったって言うから、大したこと無いと思ってたら、
なかなかどうして結構やるじゃないか!私もちょっと負けてられないかな?」
ミオはそう言ってウルトラを水平線の彼方にいる怪ゾイドの群へ向けた。そしてミオはその両手を
もの凄い速度でレバーやボタンなどを器用に押し動かした。その直後、正面のモニターの至る所に
ロックオンマークがうじゃうじゃと表示された。
「ファイヤ!!」
ミオがそう叫んだ直後だった。ウルトラの全砲門が開き、正面に向け、一斉発射されたのだった。
その直後、砲弾、ミサイル、ビームの嵐が怪ゾイドの群を襲った。全弾命中、怪ゾイドの一群は影も形もなく消滅した。
「ストライク…ブレードクロー!!」
トリニティライガーの爪から光の刃が現れ、エヴィルツォーネの装甲に叩き付けられる。
だが、ハエを払うように振われたハンマーナックルによってその機体はたやすく宙を舞う。
「エリック!!…このォッ!!!」
ジャスティンはクリスタルレーザーを展開したが、発射トリガーに指を掛けた瞬間背筋が寒くなり、機体を飛ばせる。
次の瞬間、リーパーの腕から現れた槍の様な物――どこかパイルバンカーにも見える――が大地に穴を開けた。
息をつく間もなく、リーパーにクリスタルレーザーで撃ち返す。だが、それは触手に吸収された。
触手の先端が開き、またエネルギーが集束され始める。だがジャスティンはそれを狙っていた。
ジェノハイドラがエヴィルツォーネの後ろに回りこみ、クリスタルレーザーを連射した。
恐るべき旋回速度で振り返ったエヴィルツォーネ。だが、その後ろには輝く触手を構えたリーパーが――
リーパーの触手が伸びた。それはこちらに向かうエリックの機体を狙っていた。
「――何故!?奴は何を狙っているんだ!?」
Eシールドでクリスタルレーザーを防いだエリックだが、先程の一撃で駆動系統がいかれたらしい。
「軽く振ったハンマーナックルで…こんな威力がッ!?」
ケインの哄笑が、ノイズに混じって通信機から流れる。
<馬鹿め!貴様らは奴が――リーパーが何なのかを知らぬ!!ゴミは引っ込んでいれば良かった物を!!>
エヴィルツォーネの口腔内で、何色とも言えぬ光が舞い踊る。
「エリック、逃げ…」
無慈悲に輝く陽電子の閃光が、ジャスティンの視界を覆った。
ジャスティンが目を開けた時、陽電子砲の射線上に存在した物は全て消え去っていた。
深く抉れた大地。土台を失って崩壊したビル。そして、跡形も無いエリックの機体。
<ククク…私には出来る!その力があるッ!!>
降下し、巨大な槍でエヴィルツォーネの胸部を狙うリーパー。しかしその槍は、超硬度の拳に弾かれる。
ブースターで加速されたもう一方のハンマーナックルが、リーパーを吹っ飛ばした。
体勢を崩し、砂を巻き上げながら滑って行くリーパーを、ケインは追撃する。
だが、右方からの衝撃を感知し、機体を右に向けた。
ジェノハイドラの荷電粒子砲がエヴィルツォーネに照射されている。だが、装甲が数cm削れたか否かといった所だ。
それでもジャスティンは撃ち続けた。オーバーヒートを表すランプが点滅しても、意に介した様子が無い。
エリックが死んだ。
別に昔から一緒に居た訳ではないし、西方大陸で初めて会った相手だった。
それでも、湧き上る喪失感を押えられない。共に戦ってきた戦友を失った者は皆こうなるのだと言う。
荷電粒子の渦の中を、平然とエヴィルツォーネが迫ってくる。腕部のロケットブースターが開く。
怒りに眩んだ頭の中で、その刹那ジャスティンは死を意識した。
「ロケッティア・ハンマー…」
空を切り、ジャスティンを肉片に変えるはずだった拳が吹き飛んだ。
「聞こえるか、ジャスティン!!おい!!」
モニターに映ったのは、黒いディアブロタイガーとロイの顔だった。後ろに見慣れぬ少女が乗っている。
「ロイ…うん。一応生きてる。でも……でも、エリックが死んだ…!!」
顔を翳らせるロイに、後ろの少女が何か言っている。
――まったく、絶体絶命の時に女連れで現れるとはどういう神経か。
「やめてよね…そんなにカッコ良く出てきて、女の子を乗せてるなんて」
その後は口に出さなかった。
――不本意ながら、妬いてしまうじゃないか――
>>閻魔の策動作者氏
出ましたね…確かに究極レベルにヤバイです。それこそどうやったら勝てるn(ry
>>恐怖の亀裂作者氏 んん、それほどの想像力が一体何処から!?
自分も一応新作の企画はしてますが…やはり細かい設定が上手くいきませんね。
以前誰かが言った「斬新な話」を前提にやっていますが、製作は難航中です。
「え〜っと…何時までこの姿なのでありましょうか?」機体を降ろされて尚今度は整備用のハンガーに逆さ釣りされているファイン。
「別名あるまでよ。」妙に嬉しそうな顔で言うフェニス。「ねえ?フェニス?何でアレに拘るの?」キリカは興味を示している。「それはね…。」
「へぇ〜あれが名物なんだ…それにしてもフェニスは彼と同じ村に住んでたのかぁ〜。」ミミール湖周辺の村では悪い事をした子供(特に男子)をそうする風習があるらしい。
その話では擦傷だらけの彼が良く軒先で吊るされていたそうだ。村レベルでは情報の伝達が非常に速くその原因までもが知られてしまう。殆どが喧嘩か払い下げの配達用ヘルキャットの無断使用だったらしい。
「そうそう…それからね…。」「え?そうなの!?」フェニスとキリカは話をしながら何処かへ行ってしまう。
「お〜い!置いてけぼりでありますかぁ〜〜〜!!!」そろそろ顔が浮腫んで来てその内気を失うだろう…必死になって叫ぶが誰も気にしていなかった。
壁際でそれをしっかりと観察しているソニア。「あ…静かになったみたい。もしかして危ない!?」実は総計二時間半程あの状態で居るのでこれ以上は命の危険があると判断してソニアはハンガーに吊るされているファインを降ろす事にした。
しかし近付いて降ろすと気があるとかフェニス辺りに冷やかされそうなのでそれを嫌う彼女は…手に持ったナイフを投げロープを切った。「ええ〜っ!?そんなのってあぎぃっ…。」降ろす事は出来たが当然頭を打っていた。
「まあ潜航中だから起きても無茶はしないでしょう…。」そういうってソニアも格納庫から出て行った…。
「お姉様そんなに怒らないで下さい…。」頭に瘤が出来る威力で殴られて涙目で抗議を言うセフィーナ「何言ってるの!用が在るって言ったから連れて来たのに肝心の貴方が居なくて如何するの!」三倍で抗議が姉より返ってくる。
そして…用のある者が居る格納庫に到着するが「気を失っていますね。それではまた明日に…痛いです!お姉様止めてください!」お前が迷っていたからだと言わんばかりにラフィーレの蹴りがセフィーナを派手に転倒させていた。
「全く…急ぐ必要が無いなら私達を使わないで欲しいわ。」今回の出撃で踏んだり蹴ったりな目に遇った身からすれば当然の権利だと言わんばかりの行動だった。
怒りが頂点に達したと言わんばかりの不機嫌さでラフィーレは格納庫から出て行く…。それを見送ったセフィーナ。
そして白目を剥いて気を失っているファインに寄って行くと取り敢えずロープでぐるぐる巻きに毛布ごと包まれていたのでそれを手にとる。「一度やってみたかったんです!これ!」
そう言うと「え〜い!!!」掛け声と共に思いっ切りロープを引っ張った。確かな手応えと共にファインの体からロープが解かれていく。
そして…毛布も彼から離れると畳まれていた甲殻皮膚が惰性で開き床に当たってファインは意識の無いまま高速回転しつつ立つ。
その後遠心力で最大にまで展開された甲殻皮膚でバランスえお取りながら壁に向かって回って行ってしまった…。
「やり過ぎてしまいました…てへっ!」その年相応の見た目からは考えられ無い程精神年齢の方は追い付いていないセフィーナだった。
「…これって!?本当なのっ!!!」思いきり机を叩くラフィーレ。その勢いで端末に繋げていた携帯端末は宙に浮いた。
「そうみたいですね…おねえさま。」ソニアも溜め息を吐く。その情報には新米社員の受注の受け間違えとそれによって始まったゾイドの制作。
そしてそれを巡ってアーヴェラーファクトリーズ内部で壮絶な内部間の派閥争いが発生したと報告がなされている。
しかもその受注の間違いは外注の繰り返しで盥回しにされた物でしかも発注者の名前には…”ファイン=アセンブレイス”の文字が在ったのだ。
「これは傑作だわ!ははは…。」フェニスもそれを見て笑い出す。「フェニス?それは笑う所じゃないわよ?」またしてもキリカにフェニスは突っ込まれた。
「それでこうなったのね…。」ラフィーレはがっくりと肩を落とす。縁は巡って人を引き会せると聞いた事は有る。
しかしこれ程の悪質なパロディを使用して来るのは勘弁して欲しいとこの時は本気で思うラフィーレだった…。
壁に派手な音を立てて衝突したらしいファインは気を失ったままだ。「これから如何しましょう?」起きるものだとばかり考えていたセフィーナは上手く事が運ばない現実に四苦八苦しているようだった。
「申し訳ございません…何方かこの人を何処か休める場所に連れて行って欲しいのですが?」道行く整備員を捕まえてセフィーナは頼み込む。それは一つの企業を纏める者の姿とは到底思えないものだった。
「え〜っ!?社長〜勘弁して下さいよ〜。こっちはストームラプターの部品交換で急がしいんですから〜。」要求を速攻で却下される経営者の姿。
整備員はそう言うとさっさと持ち場に行く。「う〜ん。こう言う時は如何すれば…それね!それでやってみましょう!」何かを思い付いたらしい。
今度は上目使いでお願いをしてみる…「あの〜社長?女性相手にそれは無いんじゃないですか…色仕掛け。」
「これも駄目でした。今度は如何しましょう?」また少し考え込む。そして何を考えたかハンガーに立て掛けて有ったフレキシブルウェポンドライバーを掴む。
そしてサングラスを掛けて「おらおら〜これが…」とその時点で「やめなさいっ!」と何時の間にか戻ってきたラフィーレに何処からか持ってきたハリセンで突っ込まれる。
「いひゃいへす…。」その一撃で舌を噛んでしまったらしいセフィーナ。「サングラスも外す!全く経営では物凄い手腕を見せる癖に何で何時もこうなのかしら…?」ハリセンを肩に担いでラフィーレは言った。
「ひゃって…ひたっ!」「そう言う喋り方しない!少し黙って!」今度は顔面にハリセンを打ち込んでセフィーナを黙らせるラフィーレ。
「ねえ?この艦に開いてる部屋は有る?」そう言うと「確か営巣と医務室のベットなら開いていますが何方にします?」整備員に聞かれ「近い方に決まっているわ。」そう答えるラフィーレ。
結局不本意だが医務室のベットにファインを放り込むラフィーレ。「酷い話も有ったものだわ。」確認した事実をセフィーナに突き付けるラフィーレ。
「それはしょうがないです。この人は仕事を始めて間も無い人ですし係長に仕事が取れ無ければ帰さないと突然脅されたら判断力を失います。」その社員を養護するセフィーナ。
「その係長は?」「出世が遅れているのが原因だったみたいですし本社から支店の支店長に成ってもらいました。」「ちょっとそれって!?」ラフィーレは愕然とする。
良くある出世と引き換えに転勤と言う解り易い対応。「でも家族と離れ離れだったみたいですから上手くいってますよ?」「…狙ってたのね。」もう何も言うことは無い。
「本当にそう言う事には対応出来るのに何で普通の生活が出来無いの。」これがラフィーレの本音である。
「その様子だと朝まで目を覚まさないだろうからもう行きましょう。」そう言うと2人は医務室から出て行った。
「うあ…。」
その光景を見た皆は唖然とした。いかにウルトラが強力なゾイドと言えど、ここまで強力ではない。
火力という点ではセイスモサウルスやデスザウラーはおろかデススティンガーにも劣っているはずの
機体である。しかし、目の前のウルトラは明らかにそれ以上の事をやっていたのだった。
ミオが乗っているウルトラはただのウルトラではなかった。そのウルトラにはミオの特別チューンが
施されていた。武装の火力の強化は元より、搭載コンピューターも超高速での演算処理が可能な
高性能な物に交換されており、従来の物より遥かに強力な増幅器を搭載することで、ゾイドコアの
弱体化をカバーし、さらにはゾイドコアブロックを追加ジェネレーターとして幾つも搭載している
という従来のウルトラとは完全に別物的な性能になっていたのだ。元々ミオは技術将校出身であり、
ゾイドについてかなりの技術を持っていた。そんな彼女は准将となった今でも、暇さえあれば趣味で
ゾイドの改造などをやっているワケである。ラインが乗っているあのジェネラルも、元々は
ミオがチューンニングしたライガーゼロであり、ノーマル機に比べ30%以上の強化がなされている
反面、操縦性の劣悪化を招いたが、ラインはそれを見事に操って見せたのでラインの乗機となったなった。
その後、共和国軍、帝国軍、ポルト自警団は砲撃を続けた、かなりの数の怪ゾイドを撃ち落としたが、それでも全滅にはほど遠い物だった。
「みなさん!!落ち着いて行動して下さい!!慌てないで!!」
一方、町の中では、港で砲撃を行っている者達とは別の部隊が協力して民間人の避難誘導を
行っていた。避難していく民間人の中には、昨日マオとラインが出会ったトゥランや、町の不良達、ハガネの出会ったメリムの姿もあった。
「うわ〜…もう戦闘が始まってる!!ハガネ!!もっと急いでよ!!」
「バカ言ってるんじゃないわよ!!これが全速力だよ!!」
必死にポルトへと向かっているゼノンと、そのゼノンの上にサーフィンの要領で乗っていたカンウの
それぞれ中ではそんな会話が行われていた。皆の向かっている向こう側では既に戦闘が始まっており、爆発音が聞こえていた。
“オラップ島からポルトへ急行組”の中ではアシュラゲイルが最も先行しており、次に
エナジーライガーとジェネラル、次がカンウとゼノン、最後にその後を追うホバーカーゴ二番艦とドラグーンネストの姿があった。
「フ…無駄な抵抗を…。」
次々に味方が落とされていくにも関わらず、キメラサタンと同化したエーマの表情に焦りはなかった。
「エーマァ!!!待てぇぇぇ!!!」
その時、白い光で身を包んだスーパーマトリクスドラゴンが背後からキメラサタンに体当たりを
かけてきたのだった。しかし、キメラサタンは苦もなくかわすのだった。
「ふ…ザコには様など無いのだよ…。」
エーマが抑揚のない声でそう言った直後、キメラサタンの巨大な腕が振り下ろされ、
スーパーマトリクスドラゴンを吹っ飛ばすのであった。そして、再びポルトの方を向いた。
「さて…ポルトで無駄な抵抗をしているザコどもに私の力を少しだけお見せしようかな?」
エーマがそう言った直後だった、キメラサタンがスピードを上げた。もの凄い速度で一直線にポルト目がけて飛んでいく。
「うわ!!デカイのが来たぞ!!」
皆は慌ててキメラサタンに砲撃を行った。しかし、その速度はすざましく、殆ど当たらなかった。
どうにか当たっても、たちまち再生されるだけだった。
「くそぉ!!!エーマ待てぇ!!!」
体勢を立て直したスーパーマトリクスドラゴンも、立ちはだかる怪ゾイドの群を吹き飛ばしながら猛スピードでキメラサタンの後を追った。
「敵ゾイドポルト内に侵入!!!」
兵士の一人がそう叫んだ。キメラサタンがポルトの港に着陸し、町の奥へと進行し始めたのだった。
「させるな!!撃ち落とせ!!」
皆は一斉にキメラサタンに砲撃をくわえた。しかし、キメラサタンは怯みもしない。
今度はデスザウラーがキメラサタンに掴みかかった。
「フ…旧時代の異物ごときが…。」
エーマがそう言った直後、キメラサタンが片腕でデスザウラーをはらった。それだけの無造作な
一撃で400トンを誇るデスザウラーの巨体が宙を舞った。デスザウラーの誇る超重装甲が、
ぐしゃりと潰れている。何かの悪い冗談のような光景だった。そして、驚愕する皆を尻目に、
キメラサタンはなおも歩を進めた。目指すはウェンディーヌであった。さらに、キメラサタンの後に
続いて幾多の怪ゾイドもポルト内に侵入し、手当たり次第の破壊を始めたのだった。
「さあ、ウェンディーヌよ…我がキメラサタンと一つとなるのだ…。」
天まで届くかのように高くそそり立っているウェンディーヌを見上げながら、エーマは至福の表情でそう呟いた。
「ん?」
と、その時、ウェンディーヌの付近に人が集まっている事に気付いた。なんと、ポルトの住民達が
ウェンディーヌを守るためにキメラサタンの前に立ちはだかっていたのだった。
「ウェンディーヌには近づけさせねえ!!」
「俺達はウェンディーヌと苦楽を共にし続けてきたんだ!!お前なんかに壊させない!!」
「怪物は帰れー!!!」
ポルト住民はウェンディーヌに近づこうとするキメラサタンに対してそう叫ぶのだった。
勇気ある行動であるが、無謀以外の何者でもなかった。
「バカな人間達だ…。」
表情一つ変えず、エーマはそう言った時、キメラサタンの口が開かれた。荷電粒子砲を撃つつもりで
ある。しかし、ウェンディーヌへのダメージを考え、人間が焼け死ぬ程度の低出力で放ったのだった。
「うわぁ!!!」
皆は思わず目をそらし、そう叫んだ。と、その時だった。突然何かがポルト住民達の前に現れ、荷電粒子砲を防いだのだった。
「ったく…あんら死ぬ気かい!!?」
そこに現れたのはゼノンだった。ゼノンがEシールドを展開し、住民を守ったのだった。
「ここは私たちに任せて!!みんなは安全な所に避難しなさい!!!」
ハガネがそう叫んだ時、呼応してゼノンも咆哮をあげた。その咆哮に驚いた住民達は慌てて避難していくのだった。
>>恐怖の亀裂作者さん
逆さ吊りとかハリセンとか、かなりコメディータッチな部分がありましたね。
所で「悪質なパロディー」って何のパロですか?
>>失われし者への鎮魂歌作者さん
トリニティーの人とかジェノハイドラの人とか前の話に出てきた懐かしい人が出てきましたね。
さあこれから一体どうなるのでしょうか?
現在新シリーズの執筆なんか細々と行っているわけですが、今のところはまだまだという感じです。
一応主人公は諸国放浪をしながらも、何故かたまにさり気無くゾイテックとズィーアームズの抗争に
巻き込まれたり巻き込まれなかったり、伝説の虎がどーとか、だからどうしたという感じの
話を考えているのですが、これがなかなか上手く行かなかったりするんですよ。
トミーがストーリーをもうちっと明確に紹介してくれればまだ何とかなると思うのですが。
<ククク…つくづくヒーローごっこが好きなようだな、ロイ?そんなプログラムは組み込んだ覚えが無いぞ>
「くッ…黙れ、基地外科学者!!」
サイバーメタルキャノンがエヴィルツォーネの胸部装甲を直撃するが、ダメージは皆無に等しい。
「え?…ロイ、プログラムって…?」
回線越しにアイリスの声を聞いたケインが、面白い物でも見つけた様に笑った。
<その声…私は知っているぞ、アイリス=ボーグマン!!貴様の父親はとんでもない愚行を働いてくれた!>
ケインは両腕部の武装を閉じた。ロイの事だ。装甲の隙間を狙うくらいの事は造作も無いだろう。
<…そうかロイ、さてはお前その娘に熱を上げ――話していないのだな、自分が
『あってはならない存在』だと言う事を!人間ではないということを!!>
最初の一言に熱くなりかけたロイの体が、後の言葉に一瞬で冷たくなる。
一瞬の静寂。動く物は、吹きすさぶ砂嵐と、空を舞うリーパー…
「ッ!!?」
機体を横にジャンプさせ、空からの超音波メスをかわした。いや…脚部を掠った。
急に、機体の動きがぎこちなくなる。掠った程度でも超音波メスは確かに、関節にダメージを与えていた。
<リーパーを倒せるのは今この世界にただ一人――そう、私だ!!>
リーパーの槍を弾き、ハンマーナックルの重い一撃をその胴体に叩き込む。
低く、総毛立つ様な不協和音―恐らくは、リーパーの『鳴き声』であろう―が、荒野に響き渡る。
「ほざけ、マッド野郎!!根拠も無しに――」
ケインの口から、最高に楽しいと言わんばかりの嘲笑が漏れる。
<根拠ならあるとも!!このエヴィルツォーネはキングゴジュラスと同じく『特別なゾイド』なのだから!!
それらは皆太古の昔にリーパーを倒すべく古代人達が作り上げた物だからな!!…だが、奴らさえも真理に
たどり着く事は無かった…リーパーが、惑星Ziそのものであると言う事に!!>
「何を言っている!?意味不明な言葉で撹乱する気なら…」
<悲しいことだ…お前もやはり、失敗作だったのか、ロイ?…まあいい、教えてやろう。
リーパーは、この星が人類を裁くために生み出した破壊神…進みすぎた古代文明は星の怒りに触れたのだよ>
エヴィルツォーネが、まともに動く事も出来ないディアブロタイガーに向かって来る。
<驚いたかね、この星は生きている!!…『ゾイドイヴ』の神話は聞いた事があろう?アレもどこかに実在する事は
解っている。アレもまた…そうだな、この星のゾイドコアとでも言うべき存在だ>
当のリーパーは、ダメージを全く感じさせない動きでケインに迫る。
<人は何処までも力を追い求めた…そしてついには、惑星すら滅ぼす事の出来るゾイドを開発するに至った!
キングゴジュラス…アイアンコング・エヴィルツォーネ…デススティンガー…
力への欲望の果てに辿り着いた神の領域で人が得たのは、皮肉にも神の怒りだけだった!!>
ディアブロタイガーがエヴィルツォーネの拳に握られる。ケインが潜在知覚情報入力で
一声発すれば、ロイとアイリスは機体諸共砕け散る。
だがケインは、仮にも最高傑作であるロイをむざむざ「破壊」する気は無かった。
<そうして、地上に舞い降りたリーパーは古代ゾイド人達の世界を焼き尽くした…愚かにも人々が放った
核ミサイルを吸収し、撃ち返し、たった一月で大地を焦土と変えたのだ!!>
数多の謎を残してこの星から消えた古代文明――その末路が、こんな形であろうとは。
空を舞い、地上の自分達に襲い掛かるリーパーを、ロイは呆然と見つめる。
敵の力を吸収し、跳ね返す――その力は、人の愚かさの鏡像なのだろうか?
とりあえず、次回作では主人公が少年(あるいは少女)路線から外れてオッサンで逝こうと思ってます。
しかし…斬新と言うよりはもう…ギャグの領域に…(。A。)\
閻魔の策動の作者さんへ
悪質なパロディはゲームや大型でパーツに専門分野が有る機械等で外注を絶対にしなければならない状況がまず有ります。納期に間に合わないと言う事で。
外注をしたのは良いが外注先も実はそれを作るために外注をしなければならないと言う事の繰り返しで元の物が全く出来上がらない事です。
これが元の話でパロディは普通はそう言う風になる筈が”本体の完成を外注した”企業が有りそれを敵対国の企業が仕事を請けてしまったと言う事です。
兵器ですから下手すれば外交問題から戦争の火種に成り兼ねない事態と言う事になります。
失われし者への鎮魂歌の作者さんへ
決着の時は来た!と言う段階ですね。リーパーを仕留めるのは何方か?結末は如何に?と気が気でなりません。
こちらはやっと6日目に成ります。6日目も”ちょっと待て!”な進み方になる部分が有ると思います。
第1層医療区画。夜半を周り早朝頃エキドナは目御さます。仮眠のつもりが数時間は経過しているようだった。
「やってしまったわね…。回復の状況は?もうすぐみたいね。」目の前には昨日部屋の隅で丸くなっている者が救助してきたデススティンガーのパイロットの最後の1人が眠っている。
「あっ起きましたねエキドナさん。疲れているようでしたから…つい。」医療班の人間らしい女性がエキドナに謝る。「いいのよ。無理が祟ったんだと思うから。所で貴方のお名前は?」
そう言われて彼女は自己紹介をする「私はカリーナ=アマサキ伍長です。お世話になります。」敬礼をするが軍服では無く白衣であった為それは決まっていなかった。
「…そうなの。兵役に志願したのね。」元々町医者の娘でデルポイ動乱期に家と病院を両方失った為にカリーナは衛生兵として志願したという。
一応旧ゼネバス領のアマサキ医院と言えばエキドナも知っている程医者として有能な者を輩出してきた家系で大陸間戦争時は数人の者が共和国軍に同行していたという話をエキドナは思い出した。
昨日の戦闘での負傷者はかなり多く死傷者もその中から十数人出ている。「無力ですね…今の時点で20人目の方が亡くなりました。やはり医薬品不足の影響は深刻です。」カリーナはそう言うと電力不足で稼動していない医療ポッド群に目を向ける。
「せめて医療ポッドが半分でも…いえ!1/3でも動いてくれれば20人の内の半数の方は助かった筈です。」そう言うとカリーナは悔しそうに唇を噛みしめた。
エキドナは励ますように言う「でもしょうがない事よ。それでもまだこれだけの人が助かっているのだからしっかりしなさい。電力不足と人員不足でこれだけの治療が出来ているんだから。」
エキドナは立ち上がり怪我人の治療に参加する。「こんな体だけど実は便利ね…。」無数に有る触手のお陰でエキドナの医療効率は1人で5人分にも成る。半数の者が治療を受けているので後一時間もすれば全ての者に処置が出来るだろう。
横で他の者を処置しているカリーナも他の衛生兵より手が早く的確な治療をしている。怪我人が運び込まれた時に呪いの様に聞こえていた痛みからの呻き声はもう殆ど聞こえていなかった。
「やっと終わったね。」何時の間にか手伝いに来ていたフェイ=ル=セイフも加わった為30分も掛からず全員の処置は終了するのだった。
「そう言えば…電力の方はどうなのフェイ?確保できそう?」エキドナの問いにフェイは答える「今の時点では配線が数カ所切れている。物理的な問題だから繋げることさえ出来れば…」
その時ドアが開き配線が空中を浮いてくる…。良く見れば少し後ろに足が有るため誰かが持っている様だが1人で持てる者は彼しか居ない。
「カイエンです。頼まれた配線を持ってきました。」カイエンは寝る間も惜しんで配線を探していたらしく目にくまが出来ていた。
「有り難うございます少尉。」そう言うとカリーナは降ろされた配線を確認しながら言う。「気にし無い気にし無い。後ろにも応援が居ます配線の補修は彼らに任せてください。」
カイエンの後ろには同じく目にくまの出来ていたフリッケライドラグーン所属の無駄なまでに多い整備班の面々が居たのである。「伍長。さっさと済ませてしまおうぜ。」スパナを握り締めた手でガッツポーズをする整備兵。
「フェイさん付いて来て下さい。何処が断線しているのか解るのは貴方だけですから。」カリーナが鼻息を荒くして言うと「解った!さっさと済ませようか。」そう言って急拵えの配線修復隊はこの場を出て行った。
「邪魔だ!オルァッ!!!」整備兵が生物兵器を蹴散らす。エキドナの説明でそれ等の爪等に毒性が有ってもそれによる化け物への変異は無い事が全ての人員に教えられている為1〜2匹程度の数ではもう怯む者は居なかった。
「こっちも仕留めたぜ!本当に見た目が一番怖いんだな…。」それ等の死骸を見て整備兵達は言う。事実を知らなければ彼らを見た瞬間殆どの者が恐慌状態に陥るだろう見た目。正に兵器としての第1条件はクリアしている。
また見た目だけじゃない者に対しては護衛としてゴーレム小隊が付いて来ているのでゴーレム小隊に任せる。「よしクリアだ!こちらエイプ3!安全を確保した!引き続き警戒及びパージを行う!」
「よし!こちら修繕班!今一つ修繕終了!医務室の電源確保を確認!引き続き作業を続ける!」確実な施設の機能回復が始まっている。
突然警報が鳴り響く「こちらスカウター2!そちらに大型生物兵器が侵入した!ゴーレム小隊の隙間を突かれている早く避難を!」しかし彼等の目の前には既にそれが姿を現していた。
「退いて下さい!」後ろから声が駆け抜けたかと思うとロードスキッパーが彼等の間に割って入った。
ロードスキッパーから影が一つ降りたかと思うとその影が突然伸び生物兵器の刺を叩き落とす。
「足止めは任せて!少尉は頃合いを見計らって止めを。」そこに現れた影はミズホ。ロードスキッパーに乗っているのはシュミットだった。
「了解しました!ミズホ特別中尉。お手並み拝見させた貰います。」チェーンバードライフルを構えて頃合いを待つ。
「怖いな…あのひらひらした甲殻皮膚。」整備兵は作業を続けながらも戦闘の様子を逐一確認している。何か有った時にすぐ動ける様にだ。
刺を落された生物兵器はミズホに突撃する。しかし始めの攻撃の際に甲殻皮膚”布刃”の一枚を足の位置に絡めていたのだ。「はい!」それを引っ張ると派手に転倒する。
「そこっ!」がら空きに成った胴体をチェーンバードライフルのチェーンソー部分が引き裂く。ついでに駄目押しのライフル発砲で止めを刺す。
「こちらツインバード!大鼠を始末した!引き続き警戒を行ってください。」「了解!エイプVだ!こちらも大鼠を三匹だ!どうやら自爆王の予想は的中しているようだな!」
ここには居ないファインの予想。”餌が有る時は動かなかった者が居る筈でかなりの餌を始末したので生物兵器間の食物連鎖の頂点にあたる者が出現する可能性が有る”と言う物だ。
「でもまさかミクロコスモス化まで起しているなんて…。気を付けないと。」シュミットは気合いを入れた。
「ミクロコスモスって?」ミズホはシュミットに聞く「ミクロコスモスって言うのは生物学的に狭い空間で完全な形で食物連鎖が成立する事らしい…実物を見るとは思わなかったけど。」
間の前にまた現れる生物兵器をミズホとの連携で危なげ無く排除していくシュミット。
「おう!終わったぞ!次の場所に行こう!」その時また通信が入る「こちらエイプU!どうやら鷹のお出ましだ!1羽始末したがまだ居そうだ!警戒されたし!」
「アービン大佐!増援を要請できますか!?」直にシュミットはアービンに連絡を取る。「了解だ!編成から到着には15分程掛かる!それまで派手な行動は極力避けるようにしろ!」
しかし件の”鷹”は目の前に出現した。「了解!今すぐは出来そうにも有りませんがやってみます!」そう言うとシュミットとミズホは”鷹”に襲い掛かった。
しかし鷹は2人を擦り抜け付き添いで来ていたカリーナに迫りその鉤爪を振り翳した。
カリーナは全くその場から離れる気は無い様でその手にはレーザーメスが握られていた。
”鷹”とカリーナが交差すると…カリーナの足元には”鷹”の足が転がっていた。
「医は仁術と言いますが逆しに行えば全てを奪う物にも成ります!」”鷹”はバランスを崩して壁に激突する。
それを見てカリーナは”鷹”に駆け寄るとその急所に音も無くレーザーメスを刺した。「怖っ!」周りの温度が急低下するような出来事。
それにそう言われてもまさかついちょっと前まで治療をしていた物が敵とは言えそれを躊躇なく命を奪うとは思わなかったのだろう。
シュミットは「そこまでしなくても…止めならこちらで…」その言葉を遮ってカリーナは言う「責任問題です。傷つけた者の処理を他の方にして貰うわけには行きません。」
更に「それに軍役に服する時点で敵対者の命を奪う覚悟は出来ています。」きっぱりと答える。当たり前の事を当たり前に出来る者はそうそう居ない。
「責任感が強いんですね。医者としても軍人としても。」ミズホがそう言うと「そんな事無いわ?今はちょっと後悔しているの。彼は焼いても食べられそうに無いから…。」カリーナはそう答えた。
一方外でも外に出て来ようとする生物兵器を駆逐している真っ最中だった。「一斉射撃!狙う必要は無いぞ!」アービンの号令で一斉に射撃が始まる。
下手な鉄砲数撃ちゃ当たる。その言葉通りに確実に数が減っていく。堅い殻に覆われた者も居るが弾の物量の前に目等を撃ち抜かれ倒れていった。
「良し!編成の終わった部隊は直ちに施設内に侵入せよ!その後3小隊一組で大型生物兵器を索敵して各個撃破せよ!」如何しても施設の近くに野営地を起きたい為時間が掛かるのを承知での行動だった。
幾つもの部隊が施設内に侵入する。そして戦闘用ゾイドの搬入口を開きそこから更にキメラや一般のゾイドが侵入する。
「居たぞ!寄生ゾイドだ!」小回りの効かないセイスモすら充分行動出来る広さに安心して進軍する帝国軍。
寄生ゾイドも31文の2連レーザー機銃の雨には堪えられずその数を減らしていく。約3週間ぶりの調査再開の瞬間だった。
「どうやら侵入口を開けるのに成功したみたいですね。」シュミットは戦闘音でそれを確認する。
その後日が昇るまで電力回復と第1層の制圧は終了した。遂に帝国軍は本格的な侵攻の開始に成功したのである。
「あんたは私が倒す!!!」
皆が避難したことを確認した後、ハガネがそう叫び、ゼノンが再び咆哮した時、ゼノンに装備される
全火器がキメラサタンに向けて放たれた。衝撃砲が、ビームが、荷電粒子砲が、キメラサタンの体に
打ち込まれていく。しかし、あっという間に再生された。
「真オーガノイドごときが何をやっても無駄だ…。」
エーマの言葉にハガネとゼノンは青ざめた。キメラサタンの足がゼノンの足を襲った。
「おいらの事を忘れるなぁぁぁぁ!!!!」
突然キメラサタンを吹っ飛ばしたのはスーパーマトリクスドラゴンだった。地面に突っ伏した
キメラサタン目がけ、全火器を撃ちまくる。一方、他の皆は、避難する民間人の避難誘導や護衛、
そして破壊活動を行う怪ゾイドの掃討を行っていた。
「うっりゃあ!!」
マオとカンウは数体の怪ゾイドが融合した巨大ゾイドを殴り倒した。そして、そのまま踏みつぶし、
完全に破壊したときだった。たまたまマオの目が行った所に、人の影があったのだった。
「ん…?トゥ…トゥラン!!!」
そこにいたのは昨日出会った少年。トゥランだった。そのトゥランが瓦礫にうずもれて身動きが
とれない状態になっていたのだ。その時だった、そのトゥランに怪ゾイドが襲いかかろうとしていたのだ。
「危ない!!」
しかし、どうにかギリギリの所で、カンウの爪が怪ゾイドを叩ききった。そして、マオとカンウは
トゥランの方を見た。トゥランに特に怪我は無かったが、トゥランはカンウの姿を見て驚いていた。
「み…緑色のゴジュラスギガ…。何でこんな所に…。」
無理もない。傭兵だった彼の父親が死ぬ原因となった緑の悪魔がすぐ目の前にいるのであるから…。
「こりゃ流石に隠し通せないか…。」
マオはそう呟いた直後カンウのキャノピーを開き、カンウから降りてトゥランの元に駆け寄った。
「え…?お姉ちゃん…。」
「トゥラン君大丈夫!!?今助けてあげるから…。」
マオは大急ぎでトゥランの体の自由を奪っていた瓦礫を掴む。そして、数十キロ、いや百キロは
ありそうな瓦礫を楽々と持ち上げてそのままどかしたのだった。トゥランはマオの姿を見て唖然としていた。
「お姉ちゃん…。これは一体どういう事なの…?まさか…。」
トゥランは震えながらカンウを指さし、そう言った。
「ええ…。多分そのまさかよ…。」
マオは何とか表面上のみ平静を保ちつつそう言う。やはりトゥランにとってはショックだったのだろう。マオの正体が父親の敵だったという事実を知ったのは…。
「嘘だよね…、お姉ちゃんがあの緑の悪魔なんて…、嘘だよねえ…。」
「残念だけど…これは紛れもない事実…。」
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!!!!」
トゥランはヤケクソになって足下にある石を拾ってマオに投げつけだしたのだった。しかし、マオは
少しも焦ることもなく、体を傾けるだけの動作で楽々とかわしていく。
「うわぁぁぁぁぁぁん!!!!」
「コラコラ危ないでしょ?人に当たったらどうするの?…ん?」
なおも石を投げつけてくるトゥランの投石をマオは楽々かわしていく。そんな時、声が聞こえてきたのだった。
「ちょっとそこで待ってて…。」
「え?」
マオはその場から少しの距離を走った。そして、そこには昨日、トゥランにカツアゲをしていた
不良数人が同じように瓦礫に埋もれて身動き取れない状態になっていた。
「助けれくれ〜…ってうわぁぁぁ昨日の化け物女!!!」
「誰が化け物よ!!ったく世話やかせるわね!!」
不良達の言葉にマオはそう愚痴って瓦礫に手をやった。重い瓦礫が楽々と持ち上がる。
「うわぁぁ!!すげえ馬鹿力!!やっぱり化け物だぁ!!」
「うるさいうるさい!!ごちゃごちゃ言ってないで付いてきなさい!!」
そう言って不良達をカンウの元に連れてきたマオはトゥランともどもカンウのコックピット内に
押し込み、自らもコックピット内部に入り込んで急いでキャノピーを閉めた。
「うわぁ!!戦闘ゾイドに乗るのは初めてだぁ!!」
「あんた軍人だったんだな〜。そりゃ強いわけだよ!」
「うるさいうるさい!!ただでさえ狭いのに喋るな!!とにかくこれから安全な所まで連れていくからね!!」
カンウのコックピット内部で浮かれている不良達に、マオはそう叱りつけてレバーを前に倒し、カンウは町の外へと駆けだした。
その頃だった、ハガネが民間人を守るようにゼノンを盾にして戦っていた時だった。
「あ!!あれは!!」
ハガネは避難していく皆からはぐれたと思われる一人の少女の存在に気付いたのだった。
その少女はメリムであった。感情という物が失われている彼女はどうしてよいのかもわからず、
無口無表情のままその場に立ちすくんでいた。その時、一体の怪ゾイドが彼女に襲いかかったのだった。しかしメリムはそれでも何の反応もしなかった。
「危ない!!!」
ハガネが叫んだ直後、ゼノンのレーザーカッターが怪ゾイドを切り捨てていた。メリムは無事だった。
「フウ…。」
ハガネは安心して一息ついた後、ゼノンのコックピットから出てメリムに近づいた。
「危ないよメリムちゃん…。」
ハガネはメリムを守るように抱擁するが、メリムは何の反応もしない。
「ハア…やっぱり無反応か…何で人間なのに…。」
ハガネの表情は悲しげだった。兵器として作られた機械の体と心を持つハガネですら泣いたり
笑ったり出来るというのに、メリムは人間でありながらそれが出来ない。それは悲しい事だと
ハガネは思うのだった。その時だった、二人の真上から二人目がけて突然巨大な瓦礫が崩れ落ちて
きたのだった。二人はたちまち瓦礫の下敷きになった。しかし、その瓦礫が崩れたとき、
自らの体を盾にしてメリムを守っていたハガネの姿があった。
「大丈夫大丈夫…私はこれくらいじゃビクともしないよ…少し痛いけど…。」
無表情ではあるが、不思議とハガネの目を見つめていたメリムに対し、ハガネはそう言った。
「しかし…この娘をどうやって避難させるか…。流石にゼノンに乗せるわけには行かないし…。」
ハガネは戸惑いながら周囲を見渡した。確かにハガネの乗っているゼノンはデススティンガー。
さらに、オーガノイドシステムのレベルも可能な限り上げられていたりと、ロボットであるハガネ
だから動かせるような、人間の操縦を想定していない強化が施されていたのだった。
インターフェースを搭載しているとはいえ、人間にかかる負担は絶大な物があるのである。
>>失われし者への鎮魂歌作者さん
うぉぉぉぉぉ!!!!先に神ネタ使われてしまったぁぁぁぁぁぁぁ_| ̄|○
でもまあいいや・・・。その解釈の仕方だけはダブって無いから・・・。
あと、主人公に関しては自分でバトルストーリーを書いてみようのスレが確立した当時は
親父主人公路線は極当たり前だったようですから問題無いのでは?
>>恐怖の亀裂作者さん
そう言えば、自分の話では医療ネタや負傷兵の描写とかやった事なかったな〜と感心。
第1層医療区画の場所は戻る。
「…と言う訳です。」デススティンガーのパイロットは説明を終える。「厄介な事になったな…。」
艦が動かない為せめて他の将校の手間になる様な仕事を買って出ていたブレックス。その姿は少将の証さえなければそこらにいる将校と全く変わらない服装をしていた。
「しかし少将殿自ら情報を聞きに来るとは思いもしませんでした!情報に確実性が無く過去の話で申し訳ありません!」まだ体力が回復していない体で無理をして敬礼する。
「おいおい…無理するな。今は回復に務めるんだ。これは命令だから厳守する様に。」「了解しました。」今度は言葉だけで済ませるパイロット。
怪我人の病室を出ると直にブレックスはアービンに連絡を取る。「アービン!予想以上に経過は悪そうだ。」
「こっちも大変だな…。」その連絡を受けたアービンの方も状況報告の集中砲火を喰らっている最中だった。
まずは味方の損害状況。そして宿営地の移動に関する多数の意見の調整。制圧の際に手に入れた情報の報告。
そして問題の生物兵器に関する報告。特にこれについては頭の痛い問題だった。
神出鬼没かつその数も種類も多種多様。志願して施設の大掃除に参加したシュミットからも嫌がらせの様な詳細な報告書。
「これは…過労死に成りかねんな。」まずは取り立てて必要なさそうな物を分ける事から始める事にした。
「さーて綺麗にしてやるからな…うわっ!?」昨夜にここに走り込んで来たブラックオニキスを調査を兼ねて整備兵が整備している所だった。
不釣り合いなフリーラウンドシールドを調べていた者が足を踏み外してしまう。この高さで下に機材が有るため助かる可能性は無い筈だったが奇跡?が彼の命を救ったのだ。
「こいつフリーラウンドシールドじゃ無い!」それを見てブラックオニキスの大型化の理由にやっと説明が付いたのだ。
「ったくこっちは機体の受け渡しを終えたばかり何だから…焦るなって。」レミントンは変り果てたと言うか立派になった愛機の居る場所に向かう。
「デススティンガー…。随分と立派な姿に擬態していたもんだ。」2枚のフリーラウンドシールドは擬態だったのだ。「中佐!コアの検査が終了しました。やはり2体の幼体がコアを捕食しようとしたのでしょう。」
「しかしこの顛末は理解し難い部分が有るぞ。」まだ今の姿に結び付く訳が無い。
「外敵と言う事も有りますよ?幼体単体ではあそこら辺に生息する野生体の成体になら簡単に食べられてしまうでしょうし。」
エウロペはニクスに並ぶ程の環境の悪い場所が在る。北エウロペの砂漠地帯は高山部に並ぶ程特に劣悪な環境だ。そこで育った者になら敵う筈も無い。
あの時は凶暴な母親がお守り居たのだから…。「確かにそうだが…他の理由は?」もう一つ明確な理由が欲しい。”捕食しようとした”と言う部分だ。
「それは僕に任せてよ!」朝っぱらから妙にテンションの高いベルフが整備兵の衣服を脱ぎ捨てる。因みに落ちたのは彼である。レミントンは溜め息を付く。
ファインの次はベルフ。会話属性は勿論ボケで妄想と自前の技術に対するナルシズムは相当の物でどんな言葉が飛び出すか気が気でならないレミントン。
しかし以外にも真面な答えが返ってきた「共生って奴だよ。何かの原因で手っ取り早く大きく成らなければ成らなくなった。そこで目の前の2体に協力して貰った。」
これで如何よ!と自信たっぷりの表情でベルフは格好を付ける。「一応合格だ。しかし後少し正確に成らないものか…。」「つれないなあ〜。」ベルフは不満そうな顔をする。
「駄目だ!お菓子はやらんぞ!」レミントンは意味不明な事を言って手に持ったお菓子を隠す。「何でお菓子なのっ!?」内容はそっちのけになり不毛な言い争いが5分程続く事になった。
「…取り敢えず暴走の危険性は無い事だけは確かなの!」ベルフはきっぱりと言う「何故そう言えるっ!?」レミントンも食い下がるが「2人とも整列っ!!!」ブレックスの声で条件反射で整列する2人。
「全くこいつ等は…まあベルフの言う事は間違い無いだろう…よく考えて見ろ。暴走状態じゃないか?擬態して居る2体は…。」ブレックスの説明は要約するとこうなる。
暴走事件の後に幼体は産まれている。つまり幼体は機体として言うなら常に暴走状態。その暴走体が今ここで何もしないでいる。
導かれる答えは…暴走状態が基本。そしてレミントンは乗って操作出来た事から”安全”と言う結果が導き出される。
「そんな安直な…」レミントンの反論をブレックスはこう言って切り捨てる「それなら危険と言う証拠を見付ける事だ…。それに折角の機会だ周りに見せてやれ。インターフェイスを必要としない貴様の力を。」
結局は調べるだけ調べても危険な兆候は確認出来無かった。
コンコンコンとキャノピーを軽く叩く音にサーラは目を覚ます。
「サーラちゃん。朝食の〜時間ですよぉ〜。」ルディアの声だ。「は〜い今行きますぅ〜…。」
眠た目を擦りながらサーラはキャノピーを開けストームラプターから降りる。もうお菓子も何も在った物じゃなかった。
ごく普通に敵対者の筈の物とテーブルを囲んでいる。目の前に並ぶ物を観ると作戦領域とは思えない程の豪華な朝食。
「何でこんなに豪華なの?」当然の質問をサーラがすると「食料倉庫が無事だったからね。この人数なら3ヶ月は持つらしいよ。」
サーラを挟んでルディアの反対に居るミズホがそう答えた。
「やけにガード堅くないか?あの3人?」離れたテーブルで食事をする者達が言う。幾ら協定違反気味の状態だが実際の所サーラは軍属ではなくついでに機体は民製品。
何か有っても取り敢えずの言い訳は幾らでも出来るのだがどうやらルディア、シュミット、ミズホの3人は周りの者が教育上毒が強すぎると考えたのだろうか?がっちり周りを見せまいとしている。
それが余計に滑稽なのだろうか隣接するテーブルには他の者は居なかった。
そこに何かを皿一杯に抱えてカリーナが歩いて来る。「あれって…もしかして?」ミズホが言うと「多分あれだ…。」シュミットは本気なのかと頭を掻いた。
「…ん〜〜〜不味い!」やっぱりとミズホとシュミットはがっくりとする。早朝のアレを本当に調理していたようだ。「おい!カリーナ伍長。そんなに不味いのか?」整備兵の一人が聞く。「はい勿論です。」ニコニコしながら答える。
「まさか…。」有る疑問が産まれる。「少佐。特別中尉。サーラちゃん。あれは罠です。間違っても食べに行かないで下さい。」複数の者がカリーナの態度に不信と疑問を抱きテーブルに近付いて来る。そしてカリーナは一言二言念を押してからテーブルを立つ。
そしてルディア達が居るテーブルに座る。「伍長…あれって。」シュミットが聞くと「本当に不味いわよ。勿論ね。」そう言うと水を口に含みその味を舌から洗い流した。
「本当に不味い…。」念を押して尚食い下がってそれを食べた者は口々に言う。「所でぇ〜あれってぇ〜何なんですかぁ〜?」ルディアがカリーナに聞くと「あれは私が倒した生物兵器なんです。」
「そうなんですかぁ〜。皆さんご愁傷様ですぅ〜。」勿論大味で水っぽいから美味い筈は無かった。
仮に人間が乗って操縦しよう物ならば、強烈な精神ストレスによって即死し、さらにゼノンは
デススティンガー一号機の様な暴走事故を起こしてしまうだろう。そして、ゼノンはカンウを
倒すことを目標に改造されたデススティンガーであり、単純な性能だけでも量産型はおろか、
一号機をも遥かに上回る性能を持っている。それが暴走してしまえばいかなるゾイドも勝ち目のない怪物の出来上がりとなるのだ。
「ええい仕方がない!!ゼノン!!ちょっと待っててね!」
ハガネがメリムを抱きかかた直後、背中や脚部の装甲が開き、中からブースターが幾重にも飛び出してきた。
「ブースター!!オン!!」
ハガネは一気に飛び出し、もの凄い勢いで飛んでいった。
「さあここまで来れば安心だよ。早く降りて!」
カンウは町の外の高台の近くまでやって来た。遠目に見ると、遠くに他の住民が何人か避難している
のが見える。マオはカンウのキャノピーを開き、トゥランと不良達を素早く下ろした。
「う…うわ〜急げ急げ〜…。」
不良達は焦り顔で一目散に走っていった。
「意外とだらしないヤツら…。」
マオがそう言うが、トゥランはマオの顔を見つめながらその場に立っていた。
「な…何で僕を助けてくれたの…?」
「そりゃあここを守るのが任務だから。トゥラン君のお父さんの件については悪く思わないでね。これが戦争と言う物だから…。」
「あ…待って…。」
マオはそう言い残すと素早くキャノピーを閉め、再びポルト内に戻るのだった。
「トゥラン!無事だったのね…。」
トゥランが皆の所にたどり着いた時、母親が泣きながらトゥランに抱きついた。
「母さん…聞いて…、昨日のあのお姉ちゃんが緑の悪魔だったんだよ…。お父さんをあんなにした…。」
「え…?」
トゥランの母親は突然の事に一瞬カチンと固まった。
「なのに…お姉ちゃんは僕を助けてくれた…。何で…お父さんは…。」
母親が町の方を見たとき、そこには紛れもなく町へ向かって走る緑色のゴジュラスギガ=カンウの姿があった。
「さあ付いた!」
メリムを抱きかかえたまま空を飛んできたハガネは高台の皆が避難している場所に着地した。
「おお!メリム…。」
空を飛んできたハガネの姿を見て皆が唖然とする中、メリムの世話をしているおじさんが現れた。
「貴女は昨日の…どうもありがとうございます。」
「いやいや、良いのよ別に。」
ハガネに対して礼を言うおじさんに、ハガネは笑いながらそう言った。その時だった。
「ア…リガ…トウ…。」
「!!!!!!!!!!?」
皆が唖然とした。それはメリムの言葉であった。無表情なのは変わらないが、間違いなくメリムが喋ったのだった。
「オ…ネエ…チャ…ン…ア…リガ…ト…ウ…。」
メリムはハガネを見つめながら再びそう言ったのだ。
「メ…メリムが…しゃ…しゃべった!!」
おじさんや他の知り合いの人は喜びと驚きのあまり、腰を抜かしてしまったのだった。そして、ハガネはメリムに対して微笑んだ。
「それじゃあ私は行くからね。あの怪物共を退治しなくちゃならないし!」
「ガ…ンバ…ッテ…。」
メリムがハガネに対してそう言った後、ハガネは微笑みながら再び各部のブースターを展開し、そのまま飛んでいったのだった。
「メリムの失われた心を取り戻すきっかけを与えてくれるとは…。不思議な人だ…。」
飛んでいくハガネを見つめるおじさんはメリムを抱きながらそう呟いた。というか、この人達、ハガネの姿見て変に思わないのだろうか。
その頃、スーパーマトリクスドラゴンとキメラサタンの戦闘は続いていた。
スーパーマトリクスドラゴンは全身に装備された火器を撃ちまくるが、キメラサタンは瞬時に再生されるため、決定的なダメージが与えられないでいた。
「邪魔をするな…。」
「うわぁ!!」
キメラサタンの口から再び大出力の荷電粒子砲が放たれた。スーパーマトリクスドラゴンはとっさに
かわしたが、その強力な荷電粒子砲は照射する先にある物体を消し飛ばしながら飛んでいく。
と思われたその時だった。突然、オレンジ色の強い光が放たれた直後、その荷電粒子砲がそのままキメラサタンに向かって飛んできたのだった。
「うお!!何…?」
キメラサタンはとっさにかわしたが、右腕が消し飛ばされた。荷電粒子砲が飛んできた先には
集光パネルを輝かせた凱龍輝の姿があった。さり気なく忘れ去られていたガイガイガーである。
「なんだかよくわかりませんが…、やらせません!」
「ほう…凱龍輝か…。」
キメラサタンは再び再生した。
「うあ!!あれ程の一撃でもダメなのぉ!!!?しかもグロイ!!」
キメラサタンの再生力、再生速度にサリーナはうろたえてしまった。と、その時だった。
「みんなどいて!!ギガクラッシャースピ―――――――――ン!!!!!」
突然、巨大なドリルの様な物が竜巻の様に超高速で回転し、キメラサタンに向かって飛んできたのだった。
「何だあれは!!!!」
ずばぁぁぁん!!!!
それはもの凄い勢いでキメラサタンのどてっ腹をぶち抜いていったのだった。そして超高速回転して
キメラサタンをぶち抜いたのはカンウだった。“ギガクラッシャースピン”とは神聖寺の奥義、
“真空回転撃”を応用した、いわゆる自らの身体そのものをドリルと化して敵を貫く技であり、
マオとカンウはこの技で超巨大戦艦クラスの敵の装甲をもぶち抜いた事がたびたびあった。
その上に、PMBユニットのマグネーザーが追加され、その威力は想像を絶するはずであった。
「どうよ!アンタがどんなに再生しようとも所詮ゾイド!!ゾイドコアさえ潰せば怖い物は無いっての!!」
回転を止めた後、綺麗に着地したカンウの中で、マオはカッコつけてそう叫んだ。が…
「うっげ〜…やっぱりグロイ〜…。しかも思い切り返り血あびちゃったし〜…」
マオはまた吐いていた。さらに、カンウの白+メタリックグリーンの機体はキメラサタンをぶち抜いた際にあびた返り血で真っ赤に染まっていた。
「まあとにかく…あっけない幕切れだったね…。」
どてっ腹をに大穴を開けられたキメラサタンの姿を見ながらメイがそう呟いた。
「くっそー!!エーマとの決着は俺が付けるはずなのにー!!」
「わあ!!何するのよ!!」
突然クーゴは子供のだだっ子みたいの様にカンウに突っかかってきたのだった。が、その時だった。
「ゾイドコアを狙うというのは確かに常套手段ではあったな…。」
「え…。」
皆は青ざめた。その声はエーマの物だった。そして、キメラサタンは再び起きあがり、再生したのだった。
「確かにキメラサタンとてゾイドコアをやられてしまえば一溜まりもない。しかし、キメラサタンはゾイドコアを瞬時に移動させることが可能なのだよ…。」
「ば…化け物…。」
エーマの言葉にマオは恐怖に打ち震えた顔で思わずそう呟いた。
「化け物?違うな。私は神だよ。人間を越えた存在。神なのだよ!!」
エーマがそう叫んだ直後、キメラサタンは突然怪ゾイドを数体掴み、それを捕食したのだった。巨大なキメラサタンがさらに巨大化する。
「どうだ…これがこの世を支配する神の姿だ…。」
キメラサタンの力を誇示するかのようにエーマがそう言ったとき、他の皆は一斉に下がった。そしてエーマはカンウの方を向いてさらに言った。
「所で貴様は、帝国軍から“緑の悪魔”と恐れられているそうだな…。共和国軍と帝国軍もレベルが
下がったな…その程度で悪魔扱いなのだからなあ…。だが、まあいい…。せめて私が悪魔であるお前を神の名の下に成敗してやろう…。」
その直後、キメラサタンの右腕がモーフィングし、巨大な剣状の物に変化した。そして、その剣状の
物をカンウに向けてもの凄い勢いで振り下ろしてきたのだった。その剣たるや、共和国首都奪還戦の
際に戦ったデスファイターのエクスカリバーの比ではなかった。
「うわああ!!!!」
マオとカンウはとっさにギガスミラージュで回避し、素早く背後に回ってPMBユニットマグネーザーモードで右腕の付け根をぶち破ったのだった。
「うげっ!!やっぱりグロい!!」
キメラサタンのちぎれ飛ぶ右腕を見たとき、マオは思わず吐きそうになったがどうにかこらえた。
そしてキメラサタンはたちまちそのダメージを再生してしまうのだった。
「所で…この可愛らしいお嬢さんはどなたですか?」カリーナはサーラを見て言う。「サーラちゃんですぅ〜。欠員補充で頑張ってくれるそうですぅ〜。」
「よろしくお願いしま〜す。」サーラはカリーナに挨拶をする「こちらこそ。カリーナです怪我をした時は私の所に来てね。」「うん!」波風は全く立たない。
人数の多過ぎる部隊では部隊としての躾が末端までは届かないのだろう。
黙認している訳でもないがやはり底辺に居る者には行き渡らないようだ。特に第3小隊所属の人員内では所属毎の上下関係が絶対視されていて指揮、医療が最頂点ついで整備、パイロットが最下層になる。
パイロットは何と機動歩兵や工兵よりも地位が低い。大体この部隊の者は一部のパイロット除いて機動歩兵や整備兵を兼ねて居るので問題は無いがパイロットは不満が有ったら所属的に高い位置の者に頼むしか無い。
「あれ…放って置いて良いんですか?」シュミットはカリーナに言うと「大丈夫ですよ。機械的な強化をされていた物は無かったので火を通せば毒性なら無くなりますから。」きっぱりと言う。
「それじゃあお腹痛くならないの?」今度はサーラがそれを聞くと「…それはどうかしら?人によりけりだけど多分1/3は医療区画に早かれ遅かれ来ると思うわ。」これもきっぱり言う。最後はミズホの質問だ。
「随分元とあそこに持って来た量に差が有るような気がするんですけど?残りは何処に?」それには少し時間を置いてからまずこう言う「この話は潔癖症の人には他言無用よ…。」突然声のトーンと大きさが小さくなった。
「あれの元に成った者は希少生物で骨やら皮やら羽根とかから貴重な薬品成分が取れるの。」「そっそれで?」ミズホ達は話が漏れないように顔を近付ける。知的興味をそそられる話だ。
「多分クローニング技術の実験でもしてたのでしょう…残りの部分は今薬品の処方箋として精製中です。これで薬品不足は多少改善される筈です。余りお目に掛かれない病気の薬なので。」
そこまで話し終えると全員体の姿勢を元に戻そうとするが…体に重みを感じる。「それは本当か?」その背中にはアービンとブレックス。そして整備班長等がのし掛かっていた。明白に怪しい雰囲気に寄って来た様だ。
「くれぐれも内密に。情報が漏れると大変な事になり兼ねません。」カリーナは上に居る者達にプレッシャーを掛けた。
「なっ何の薬になるんだ!?」その姿勢のままブレックスは聞く「気付け薬とかの一種です。心臓発作とかの時に使用されますね。」
「そっそうか…。」ブレックスは何かばつの悪い顔をしている。「如何した?ブレックス?」アービンがやはりそのままの姿勢で聞くと「家のかみさんが常用していてね。これを聞いたら卒倒するだろうなと思っただけだ。」
全員で何事も無かった様に姿勢を戻すがここまで明白にこそこそしていれば誰もが集まって来るのは自然な事だろう。
「何話しているんすか?少将?」整備兵が聞く。これは不味いとブレックスはカリーナの袖を掴む「頼むっ何か助け船を…。」そのブロックサインを見て「解りました。何とかしてみます。」とブロックサインを返すカリーナ。
横目で観て居るルディアはケラケラと笑っている。「何ですか?あのブロックサイン?」あれがブロックサインと知る者は指揮権限を持つ者と衛生兵のみである。シュミットは2人の表情とルディアの笑いでそれと断定しただけである。
「!?よく解りましたねぇ〜シュミット君。」そう言うとシュミットに今度は第3小隊のパイロット間のみでのブロックサインで概要を伝える。「なるほど…そう言う事でしたか。」ぽんと手を叩くシュミット。
「すいません皆さん。急な用件が出来ました。さっきのあれを食べた人はどれ位居ますか?」カリーナが言うと後から来た者全てが手を上げる。その中にはブレックスとアービンも居た。
「一杯居ますね〜…すいません精密検査を受ける必要が在るのでレントゲン撮影をします。医療区画へ御一緒下さい。」その言葉に「ええ〜っ!?」と一斉に声が上がる…勿論不満の声だ。
「そう言われましても…初めて食べるものですし…食中毒の危険性も有るので検査は必ず受けて下さい!定期検診も一緒に行います。」問答無用の発言に一時騒然と為るが”食中毒”の言葉には勝てず渋々移動を始める。
「もっもしかして私達も行くのか?」ブレックスが呟くと「当然です。助け船ですから…大佐と少将が最初ですよ?早く早く。」そう言ってカリーナは2人を追い払う。その姿には上官の威厳等既に無かった。
「すっ凄い話の逸らし方ですね。」シュミットは感心する。「簡単ですよ。自分の健康状態は常に気になる事ですから。」
そう言うとカリーナは自分が取って来たパンを何事も無かった様に食べ始めた…。
「見事なぁ〜職権乱用でしたねぇ〜。」ルディアが拍手すると「皆さん精密検査を受けたがらないですからね。丁度いい機会です。」カリーナは言う。
「それにこれからが正念場です。変な病気や怪我をしたままで行くと困った事に成りかねませんから…パイロットの方や機動歩兵の方、工兵の方は常日頃強制で検査をしていますから問題は無いのですけど。」
彼女にとっても丁度良かったと言う訳だ。「私は?」サーラが目をうるうるさせて聞くと「そうね…ちょっと歯を磨いたらここに来てね。後…少尉は出て行って下さいね。ついでにそこの中佐達も!」指差したテーブルの影からレミントンとベルフが出てくる。
レミントンは疲れきった顔でふらふらと歩き出しそれを見たシュミットは慌てて肩を貸し出て行く。ベルフはその後を手を振りながら出て行く…。
ドアを閉め鍵をかけるカリーナ。「ベルフ少佐は油断が出来ません。Hとかスケベとかの次元を超えているので…。」カリーナは何処に隠し持っていたのかセラミックテープを持ち出す。
余りの厳重さにサーラは涙ぐむ「…どうして?」そう言うとカリーナは「大丈夫だからね。少佐お願いします。」ルディアに有る物を手渡すと「りょ〜か〜い!!!」と突然通気孔の一つにそれを突き刺す。
「がはっ!?」ベルフの声が聞こえてきたかと思うと通気孔の中からスタンスティックで感電したベルフが落ちてくる。「…飽きませんねベルフ少佐は。」
カリーナはセラミックテープでベルフをグルグル巻きにすると外で待っていたシュミットに引き渡す。「数分も掛かりませんからお願いします。」
「いいじゃないか!」ベルフは激しい不満の声を上げるが「駄目ですよ少佐。貴方にその意志がなくても相手は困っていますから。」「だけど〜ふむっ!?」今度はさっきまでやらないと言っていた物を口に突っ込まれるベルフ。
「おごりだ!それでも喰って黙ってろ!」レミントンはベルフの口に突っ込んだ板チョコを途中から割り自分もそれを食べ始めた。「済みません中佐。食事を取りに来ていた所を…。」シュミットは謝る。するとレミントンはこう言った。
「タイミングが悪かっただけだよ。こいつの狙いは多分あの子のペンダントだろうな。緑色の種類であの形に細工できる物はかなり純度の高いディオハリコン鉱石…エネルギーの拡散が全く無い希少鉱石”天河のしずく”と呼ばれる物だけだ。」
「残像とはな…思ったよりやるようだな…。だが、まだまだだな…。」
「きゃああ!!!」
ぼぎゃん!!!
「………………。」
その直後、キメラサタンの巨大な尾がカンウに叩き込まれ、もの凄い勢いで吹っ飛ばされたカンウは
そのままウェンディーヌにぶち当たり、そのままマオ共々気絶してしまうのだった。
「うそ…緑の悪魔があっけなくやられちゃった…。あの怪物そんなに強いの…?」
高台から戦いの様子を遠目で見ていた一般市民の中にいたトゥランが思わずそう呟いた。
「しまった…勢い余ってウェンディーヌに当ててしまったか…まあいい。それほど大きな被害には
なっていないようだからな…。だが、これ以上被害を受けるのは流石にまずいな。早い所ウェンディーヌと同化しておくことにしよう…。」
エーマはそう言うと、ウェンディーヌ目がけてゆっくりと歩き出した。マオとカンウはまだ気付かない。
「させるか!!!うわ!!」
突然飛び出してきたハガネとゼノンがキメラサタンに組み付いた。しかし、たちまち吹っ飛ばされた。
「なんっつー強さ…。」
ハガネとゼノンは思わず驚いた。キメラサタンはゼノンを無視してそのままウェンディーヌへ向かう。
「エーマ!!お前は今度こそおいらが倒す!!Ziソウル!!!」
クーゴがZiソウルを全開にし、白い光を纏ったスーパーマトリクスドラゴンがキメラサタンに
突っ込みをかけた。しかし、キメラサタンはやすやすとそれを跳ね返したのだった。キメラサタンは先程までとは比較にならない程強くなっていたのだった。
「中尉が危ない!!!」
その時だった、他の怪ゾイドの掃討を行っていたジェネラルとエナジーが後れて現れ、素早くキメラサタンの前に立ちはだかったのだった。
「フン…ザコが…。」
キメラサタンは構わず前進を進めた。
「させません!!」
クライトが叫んだ直後ジェネラルとエナジーが跳んだ。そしてバスタークローとエナジーウィングが
きらめく。狙うは脚部。それで相手の動きを鈍らせようと言う魂胆であった。両機の攻撃は見事に
キメラサタンの両足を薙いだ。しかし、両機の力ではこれが限界であり、その傷もあっという間に再生されるのであった。
「畜生!!これでもダメなのか!!」
『待って!!一つだけ方法があるわ!!』
ラインが叫んだ時、ジェネラルとエナジーの両機に突然通信が送られてきたのだった。
「その方法とは?」
『元々ライン君のゼロが背負っているジェットファルコンは実はエナジーライガー用に開発されていた代物なの。』
「な…なんだってぇぇ!!?」
ティルの言葉にラインとクライトは共に驚いた。
『でも、今はそんな事に構っていられる状況じゃないわ!いい!?二人ともよく聞いて。
ジェットファルコンは、本来エナジーライガー用だった物をゼロ用B−CASとして改良された
機体だけど、今でもエナジーライガーとのリンク機構は残ってるの。だから、エナジーライガーの
エナジーチャージャーとジェットファルコンとをつなぐのよ!!今すぐに!!』
「わ…わかりました!!」
ティルの言葉にしたがって、クライトは素早くエナジーライガーの後頭部に装備されたエナジー
チャージャーに装備されたエネルギー伝達用ケーブルを抜き、それをエナジーの口に加えて
ジェネラルの背中に装備されたジェットファルコンに取り付けたのだった。
その直後、エナジーチャージャーから膨大なタキオンエネルギーがジェットファルコンに流れ出ていく。
「うおお!!凄いエネルギーだぁ!!!!」
ラインは驚きのあまりそう叫んでしまった。
『ライン君!!そのエネルギーをジェットファルコンのバスタークローから撃ち出すのよ!!今すぐに!!!』
「りょ…了解!!!!」
ラインがバスタークローに装備されたビーム砲の発射ボタンを押した。その直後だった。
どひゅぅぅん
超極太の赤い光の渦が撃ち出されたのだった。その光のあまりの強さに周囲が何も見えなくなった。
それは共和国首都奪還戦のさなかに首都の真ん中で立ち上った光の柱と同じ物であった。
「な…何!!!?」
エーマが驚きの声を上げた直後、キメラサタンはその赤い光の渦の中に巻き込まれたのだった。
赤い光が晴れ、元通り見えるようになった時、そこには上半身が完全に消滅したキメラサタンの姿があった。
「す…すげえ…デスザウラーの荷電粒子砲と同等…いや、それ以上か…。」
「やったぁ!!!!今度こそ倒した!!!」
「くっそぉ!!また手柄取られたぁ!!」
「し…しかし…中尉が気絶中で良かった…今度のは流石に俺も吐きそうだ…。」
その時の皆の反応は様々だった。バスタークローから撃ち出されたビーム砲の威力に驚く者もいれば、
倒したことを喜ぶ者もおり、自分が倒したかったのにと悔やむ者もおり、そしてキメラサタンの体を見て吐きそうになっている者など、様々だった。
「と…とにかく後はザコの掃討だな…。」
ハガネが一息ついてそう呟いたときだった。皆は一斉に青ざめた。突然キメラサタンが起き上がり、消滅してしまった上半身があっという間に再生したのだった。
「今のは流石に危なかった。コアを下半身に移動するのが後一瞬でも遅ければやられていただろう…。」
「う…そ…。」
誰もが愕然とするだけだった。
「くそお!!もう一発!!」
ラインがそう叫んで再びエナジーチャージャーからのエネルギーをジェットファルコンから発射しようとした。
「させん!!!」
「うわああ!!!!」
キメラサタンの口からジェネラルとエナジーに向けて荷電粒子砲が放たれた。どうにか直撃は免れたが、その余波によって両機とも吹き飛ばされた。
「さて、邪魔者は消えたところで、ウェンディーヌを…。」
その時だった、背後から飛んできた4つの砲弾がキメラサタンを撃ち抜いたのだった。
「何だ…?」
またもや再生した後、キメラサタンごとエーマは背後を向いた。そこにはミオのウルトラザウルスの姿があった。
「ティルさんから聞いたよ。エーマとか言ったな。世界征服なんて今時ギャグ漫画でもやんない酔狂な野望を持ってるんだって?」
「酔狂ではなく…崇高と呼んでほし…。」
ばしゅっ!!
エーマの話を邪魔するかのように、ミオはキメラサタンの口の中にウルトラのリニアカノンを
撃ち込んだのだった。それにはエーマも一瞬戸惑った。そして、ミオはさらに言った。
「なぜお前はそうまでして世界征服をしようと考えているのだ?私利私欲のためか?」
「フ…フフ…フハハハハハハハハ!!!!」
エーマは突然笑い出すのだった。そして、笑いをピタリと止めた後、こう言うのだった。
「ならば、なぜお前達はいつまでも戦争を続けるのだ?」
「何?」
「そうであろう…。かつて、中央大陸でヘリック共和国とゼネバス帝国とが争い、それが終了した後、
今度は海を挟んでヘリック共和国と、ゼネバス帝国を吸収したガイロス帝国との戦いに…。
さらには無関係の西方大陸まで巻き込むというその惨状。ヘリックとガイロスとの戦いが終わったと
思ったら、今度はガイロスから独立したネオゼネバス帝国が中央大陸に侵攻し、ヘリック共和国と
今でも戦いが続いている。さらに今度は東方大陸まで巻き込んでいる。平和の為だのなんだのと
言いながら、結局やっている事と言えば延々と続く戦争の無限ループではないか。」
「………。」
エーマの言葉にミオは思わず黙り込んでしまった。そして、エーマは続けた。
「だからこそ、人を超えた力を手に入れたこの私が、この世の救世主として、主導者として、
この惑星Ziをよりよく導こうというのだ。この私に課せられた崇高なる使命が何故わからん。」
「さあ!わかんないね!」
「!!!!!」
それはマオの言葉であった。そして、ウェンディーヌの手前にはカンウが一体たたずんでいた。いつの間にか復活していたのだ。
「私のお世辞にも良いとは言えない頭じゃああんたの崇高とかいうのは難解すぎて理解できねーわ!
と言うかさ、今まで野望野望と言っておきながら何でさっきの言葉のみ“使命”になってるのよ!」
「むう…。」
痛いところを突かれたエーマは一瞬うろたえた。そしてマオはさらに言った。
「そんな私でもさ…一つだけ分かることがある。それは、あんたなんぞに世界をやったらロクな事に
ならないって事さ!!!以前にもあんたみたいにちょっと強いゾイド手に入れたから世界征服
企んじゃいましたってヤツがいたんだけどさ!ソイツと一緒だよあんたは!!!」
「な…。」
マオの言葉にエーマの表情が揺らいだ。
「それでも世界征服をしたいと言うのなら、私は全力を持ってそれを止めさせてもらうね!!!」
マオがそう叫んだ直後、それに呼応するかのようにカンウが咆哮し、素早く身構えた。
このスレには余り関係ない事かもしれませんが、皆さんに言っておきたい事があります。
いきなり家のパソコンがアク禁食らいました!!
今書いている分は別所のパソコンを使っているので大丈夫なのですが、
家のパソコンでは公開プロキシーがどうとかで、批判要望板にすら書き込みができない有様。
現在復旧手段を調査中ですが、多分復旧には時間がかかるかと。
現在わかっている事は何やら荒しと同じホストを使ってた故のとばっちりだそうで・・・。
まあとにかく・・・一時書き込みが無かったらそのせいだと思ってください。
ただでさえ作り置きしている話がたまってるっていうのに・・・。
<――だが、例え神であっても私を止める事は出来ない!!>
エヴィルツォーネの拳は、リーパーの巨体を軽々と吹っ飛ばす。
そして、その口が開く。砲口にエネルギー臨界を示す光が見え始める。
「またか…陽電子と言えば、反物質の類だよね…ゾイドのエネルギーでそんなモン作れるのか!?」
ジャスティンがその光を愕然と見つめる。
「出来るだろ…だって奴は、一体で地震すら起こし、隕石衝突も凌ぎ、光より速く宇宙を飛ぶ
キングゴジュラスと同レベルのゾイドだぜ?」
陽電子が荒野を灼熱させ、リーパーが巨大な爆発に巻き込まれる。
<私は人の領域を解脱し、神を越え、全てを超えた存在となるのだ!!>
ケインの注意はロイ達に向いた。
<さて、お前にもまだ見せていない物がある…この星の隠された歴史を知り、お前は目覚めるのだ…>
「お前の言う事になど…!!」
ロイが叫びかけた時、穏やかだが、強い声がそれを遮った。
「もしあなたの話が本当なら、あなたは絶対にリーパーには勝てない」
アイリスが通信機の前に身を乗り出していた。驚愕するロイに、ちらりと微笑む。
「人は人、神の領域になんて届かない。太陽に近付き過ぎた者がその身を焼かれるのと同じ…」
<フン!だが、古代文明…いや、お前らが古代と呼ぶ文明か…そのテクノロジーが生み出した兵器は
惑星すら滅ぼす!これを神の力と言わずして何と呼ぶ!?現にリーパーは…>
ケインはそこまで言った時、4本の長大な触手を眩く輝かせてエヴィルツォーネの背後に現れた
リーパーの存在に気付いた。
(ヤベ、↑のやつタイトル入れ忘れた…)
<――!?馬鹿な…陽電子砲の破壊力は荷電粒子砲の比ではない筈…!?>
吸収された陽電子砲が放たれ、エヴィルツォーネの装甲を吹き飛ばす。
その弾みに、ロイの機体はエヴィルツォーネの手を逃れた。
<ならば、全てのエネルギーを貴様にくれてやる…!!陽電子砲、最大出力!!>
エヴィルツォーネの口腔内が光りだした。極限まで集積されたエネルギーが大気を震わせる。
ロイは、気まずそうにアイリスに視線を向けた。
「…さっきの…アイツの話は多分、本当で…俺は…人間じゃないと思う」
どんな反応をするだろう。怒るだろうか、悲しむだろうか?もしかして、ショックで気を失うかも知れない。
――そんなロイの不安は、アイリスの微笑みとその言葉に打ち消された。
「そんな事…私は、たとえロイが何であっても構わないよ。いつも一緒に居てくれた優しさも、居なくなった時の
悲しみも、人間かどうかなんて関係ないもの…第一、ゾイドとだって心を通じ合えるのにあなたにできない訳無いよ」
思わず泣きそうになったロイの耳に、かつて聞いた事の無いような爆音が轟いた。
次いで、モニターに眼を向けたロイの視界に真っ白な閃光が焼き付いた。
<ハァーッハッハッハ!!!どうだ、これこそが一撃で惑星すら消し去ると言う究極の破壊兵器の力!!
“死神”の名を冠する奴と言えど、これに耐える事は不可能!!>
核を遥かに凌駕するエネルギーは砂嵐の真っ只中を貫き、沈みかけた夕日の如く地平線を赤く燃やした。
だが――その程度で済んでいるのは、リーパーがそれを吸収し始めたからだった。
ケインの顔が、恐怖で引きつり始める。
<何故だ、何故、何故!!?どうして奴の吸収飽和量を遥かに超えるはずのエネルギーがここまで削られる!!>
エヴィルツォーネの排熱口が、黒煙を噴き始めた。
ロイは一度だけ、アイリスを振り返る。互いに小さく首を振る。
ディアブロタイガーが飛んだ。
狙うは、装甲が吹き飛んだエヴィルツォーネの背部。
<何故だァァァァ!!私の究極兵器が!あの化物に劣ると言うのか!!>
「甘いな。科学者という割には、お前はとんでもない間違いをしている」
ロイはディアブロタイガーを横滑りさせ、エヴィルツォーネの後ろを取った。
「そいつは死神なんかじゃない。この星の…守り神だ」
エヴィルツォーネの巨体を、ディアブロタイガーは後ろから前へ一直線に貫いた。
陽電子の閃光が途切れる。地の果てに立ち昇るキノコ雲が、暗くなった空に奇妙なコントラストを映し出した。
そして同時に、リーパーはエネルギーの臨界を越え、小さな光の粒子となって消えていく。
「…星の守り神は、何度でも甦るさ。この星そのものなんだから…」
崩れ落ちたエヴィルツォーネが、巨大な火球を伴って消えていった。
これで、残る脅威は1つ。
「守護神がいないんじゃあ…星を守る役目、誰かが引き継がなきゃな?」
ロイはモニター越しに、ジャスティンに笑いかける。
それはいつもの様にちょっと悪戯っぽく、そして頼りになる笑みだった。
「『数も知れない犠牲の果てに、生まれいでしは無敵の身体。
マッド科学者叩いて裁く。俺がやらねば、誰がやる』…って感じか?」
どこかで聞いたような文句を歌い上げると、ロイはスロットルを思い切り押し込んだ。
久々に1つだけ補足。
・「リーパー」はどこかの国の言葉で「死神」の意味だった…筈。
>>82 大変ですね…その間MSWで「新作」の執筆などされては?
閻魔の策動の作者さんへ
アクキン喰らってしまいましたか…御愁傷様です。かく言う自分も喰らったことがありますが。
あれはきつかった。始めは書き込めないだけだったのが(あらしさんの〜〜と出て笑った記憶が。そんな事した覚えないのに)
その数秒ごアクキン。わっほ〜!?って気分でした。
失われし者への鎮魂歌の作者さんへ
〇oシoーンがやらねば誰がやる!旧も新も映画でも言いますねこの台詞。〇〇人間キャ〇ャー〇。
映画は面白いのだろうか…?
「ちゅっ中佐!?何故それを!?」結構状況判断力や不審物に対する察知能力、注意力は高いと思っていたが上官とは言えふらふらの人間に劣っていたの知りショックを受ける。
「気にするなシュミット年期の差だ。お前はプロイツェンナイトだったよな。実戦経験が俺達とは違いすぎるし訓練で実力は付いても実戦経験は付かん。ただその差だよ。」笑って答えるレミントン。
「でも同じくプロイツェンナイトだったベルフ少佐は…」「ストップ!あいつは元から知っていた節が有るから判断の対象にはならん。」ベルフを見てレミントンは言う。「にゃんにぇすか?むらさーっ?」
「喰いながら喋るな!」レミントンはベルフの頭頂にチョップをした。
「はいおしまいです。健康ですよ。でもあれの可能性が有るからこれを飲んでね。」カリーナはサーラにちょっと多めに薬を手渡す。「苦そう…。」そう言いながらも水を含みサーラは薬を飲む。
「これって何の薬なの?」サーラが聞くと「これは卵よ。ある種のウィルスなの。この種類はここに出てくる生物兵器の持っている病原体の天敵に当たる者なの。それに私たちの体の中に居ても問題は無いから。」
カリーナは説明する。「もし発病したら如何なるの?」今度は”ウィルス”の事を言っているようだ。それもこう答える。
「発病すると肩こりやらリュウマチやら生理痛が治ったりするの。血行促進も有るから筋肉痛にも効くわ。もし急に元気になったら教えてね。またこの薬をあげるから。」
「おい!聞いたか?あの薬あんな効果が有ったのか…。」壁を隔ててレミントンは驚愕する。「まさかウィルスだったなんて。配合間違えたら逆に危険な事になりますよ…。」シュミットも蒼く為る。
「大丈夫!何と言っても僕が作った者…いたたた…。」その瞬間レミントンの両拳がベルフのこめかみをぐりぐりしだす。「また貴様か!貴様がやったのか!?」「スッストップ!?別に悪い事無いじゃん!?」
それはカリーナやサーラ達が食堂より出てくるまで続いていた。
シュミットは”天河のしずく”の事が気になりレミントンの食事に付いて話を聞く事にする。「所で何でベルフ少佐はあれを狙っているのですか?」それを聞くとレミントンからでは無くベルフから答えが返ってきた。
「あれは中に相当なエネルギーを溜め込んでいるんだ。最低でも掘り出された時期は大異変前の筈だから…。」話は続く。
「偉そうな事を言っておいて結局は命知らずの馬鹿なだけか……、そのような愚か者は神の力を持って私直々に引導を渡してやろう…。」
エーマがそう言ってキメラサタンが素早く右腕を振り上げた。その時だった。
ガギィィン!!!
カンウのドロップキックが目にも留まらぬ速度でキメラサタンの顔面に叩き込まれていた。
「な!!なんだと!!?」
頭部が潰れ、大きく怯んだキメラサタンは素早く体制を立て直し、剣にモーフィング変形させた
右腕でカンウに向かってもの凄い速度で横一文字に斬りつけた。しかし、カンウはそれよりも素早く
ギガスミラージュで回避、キメラサタンの剣は空しくカンウの残像を斬るだけだった。
そして、カンウは次にそのキメラサタンの剣の上に片足で乗っかかり、目にも留まらぬ速度で再び
再生しようとしていたキメラサタンの頭部を蹴りつけたのだった。
「うおおおおお!!!!」
再び潰れたキメラサタンを尻目に、カンウはキメラサタンの足下に潜り込み、クラッシャーテイルでキメラサタンの両足を叩き、思い切り転ばせたのであった。そしてカンウは素早くPMBユニットを
両腕に付け替え、マグネーザーを高速回転させたままキメラサタンの背中をもの凄い速度で
滅多刺しにするのであった。さらにキメラサタンがグチャグチャになるまで滅多刺しにした後、
真上に跳び上がりPMBユニット先端の砲口から超ハンデンシティービームバスターキャノンを
発射したのだった。並の荷電粒子砲をも凌ぐと思われる強力な高エネルギーの渦がキメラサタンの体を薙ぎ消していく。
「そしてとどめの一撃!!!竜王咆哮破ぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
ぎゃぼぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉん!!!
マオの叫び声とシンクロしたカンウから発せられた超音波の渦がキメラサタンに叩き込まれ、キメラサタンの上半身に巨大な穴が開いたのであった。
竜王咆哮破
竜王流格闘術奥義の一つ。己の叫び声を極超音波へ変換し、それによって対象を粉砕する技である。
この技の恐ろしい所は、音による物であるため、目で見ることは出来ず、回避が難しいと言う点である。
しかし、この技を実現させるには超人的な肺活量や体力が必要なため、超一流と呼ばれる者ですら
会得する者は100人に1人いるかいないかである。しかし、会得できた者も、この技の特性上、
喉を痛めてしまう可能性があるため、よほどの事がない限り使うことはない。
また、あのソニックブラスターやスーパーサウンドブラスターは、この技を科学的に解明、実用化し、ゾイドの武装として兵器化した物である。
鋼獣書房刊「世界の秘拳」より
「どうよ!!ってかまた再生すんの?しつこいね〜…。」
「…………………。」
それには誰もが目をギャグ漫画のように飛び出させ、唖然とするだけだった。しかも、マオと
カンウはアレほどの動きと攻撃をしておきながら、息一つ上がってはいなかった。
「貴様…貴様の一体何処にそんな力が…。」
キメラサタンの体は再び再生し、元通りとなったが、エーマ自身は精神的に疲れが見え始めていた。
「今までの貴様の戦い方は、まさか手加減していたというのか…。」
「うんにゃ!アレもアレで立派に全力で戦ってたわよん!ただし、“戦闘モード”でね!」
「せ…戦闘モード…だと…?」
マオの言葉にエーマの額から汗が流れ出た。
「そう!つまり戦う為の力での全力よ。でもね、アンタみたいなヤツは殺してでも止めなきゃならないと思ったからね。“殺戮モード”でやらせてもらうよ。」
「さ…殺戮モード?」
「言っておくけどさ、殺戮モードはハンパじゃないよ!何しろ“残虐ファイト”有りだからね〜…。」
マオは不気味な笑みを浮かべてそう言い、そして、それに呼応するかのようにカンウも牙をむき、その両腕の爪同士をガンガンとぶつけ合ったりしていた。
「ま…まさかマオちゃんの言う殺戮モードが、以前ギッちゃんが言っていた“隠している力”?」
ハガネは思わずそう呟き、青ざめた。
「フ…フハハハ…。」
その時、エーマは再び笑い出したのだった。
「何?何かおかしい事でもあるの?」
「私が笑っているのはお前が凄いからだよ。私の想像を遥かに超える程ね…。Ziソウルも持たずに
ここまでやれる貴様は素晴らしい。しかし勿体ないな…お前はそれだけの力を持ちながら共和国軍の一軍人でしか無いのだから…。」
「な…何が言いたいの?」
マオが疑問ありげな顔でそう言ったとき、エーマが笑いながら言った。
「我が世界征服に協力しないか?と言っているのだよ!!お前ほどの実力を持った者の強力があれば我が野望達成は何年も早まるであろう!!!」
エーマがそう言った直後、マオは突然うつむき始めたのだった。そしてさらにその直後、
「ギャーハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!」
マオは腹を抱えて笑い出したのだった。
「あんたねー!!世界を征服することがどういう事かわかってんの!!?世界なんてねえ!!
征服したが最後!!何億という人間の世話をしなくちゃならないのよ!!私はそんなのゴメンだわ!!」
「な…なんだと…。」
マオの言葉にエーマは思わずうろたえた。しかし、間髪入れずにマオはさらに言った。
「それにさあ!!あんた自分のことを神とか自惚れてるけどさ!!あんたの何処が神なのよ!!
神様ってのはねえ!!空の遥かの天高くにある、宙に浮く宮殿に住んでて、7つ集めると願いを
叶えてくれる不思議な球を作ったりと凄い事をするけど、実は宇宙人でしたって事実が残っている緑色の人の事を言うんだよ!!!」
「そ…それ違う!!!!!」
自信ありげに叫ぶマオに対し、全員が思わずそう突っ込んだ。しかし、既に時は遅く、
マオの背後には実は宇宙人だった緑色の神様の姿が浮かび上がっていた。しかも、目の部分にはご丁寧にモザイクまで付いて…。
「とにかくあんたなんか神様でも何でもないただのグロテスクな怪物なんだよ!!!!!」
「貴様…何が言いたい…。」
エーマの表情には怒りが見え始めていた。そして、マオはさらに言った。
「まあ確かにね、あんたの言う通り私たちは戦争ばかりしてるどうしようもないヤツラなのかも
知れない…。けどね、だからハイそうですか!ってワケにも行かないでしょ!!
それにね、あんたのその化け物ゾイドがさらに増えたりしたら、世界中の人間やゾイドがソイツの
エサにされたりして、さらに酷いことになってしまうと思うのよね…。」
「馬鹿が…、エサなどではない…。この惑星Ziに存在する全てのゾイドは我がキメラサタンの血肉なって生き続けるのだよ。」
「それがいかんって言っとるでしょが――――――――!!!!!」
ぐじゃぎぃぃぃん!!
再びカンウのドロップキックがキメラサタンの顔面に炸裂し、キメラサタンの頭部はぐしゃりと
潰れた。さらに、カンウは空中でクラッシャーテイルのロケットブースターを噴射し、その場で
高速回転しながら、その超高速で振り出される尾の一撃でキメラサタンの首を思い切りはねた。
「なめるな!!」
切断された頭部を再生させながら、キメラサタンの巨大な左腕がもの凄い速度でカンウに向かって
振り下ろされる。しかし、カンウは再びその一撃をかわし、PMBユニットをがら空きになった
腹部や胸部に突き刺し、その内部でビームバスター砲を発射したのだった。さらにそのまま
キメラサタンの体を前後左右に薙ぎえぐると言った、その戦いはまさに残虐ファイトそのものだった。
「うげええ!!やっぱり気持ち悪い!!」
キメラサタンの体はグチャグチャになり、あたりに血が飛び散るが、またもや再生されるのだった。
「ったくこれだけやっても再生するなんてぇ!!!あんたのコアは何処にあんのさ!!!」
キメラサタンの蹴りをかわしながら、マオがそう愚痴った。
「なるほどな…。やはり私の想像を超える素晴らしい力を持っているようだ。それでも私に従わないと言うのならば…このキメラサタンに取り込むのみ!!!!」
エーマがそう叫んだ時だった。キメラサタンの体がモーフィング変形をし始め、背中から何かがせり出てきたのだった。
皆様済みません。書き込めなくなったと言っておきながら、一時したらまた書き込めるようになっていました。
ご迷惑おかけして真に申し上げありません。
でも、正直書き込めなくなった時は本当にハラハラした物です。
>>失われし者への鎮魂歌作者さん。
「○○がやらねば誰がやる。」のセリフ。確かに恐怖の亀裂作者さんが言うとおり
実写版キャ○ャー○が元ネタなのでしょうが、自分は同時に、劇場版ドラ○ン○ールの
「○拳爆発!!悟○がやらねば誰がやる」を思い出してしまいました。
>>恐怖の亀裂作者さん
発病したら色々治るウィルスって。何か凄い益虫的な良性ウイルスですね・・・。
でもやっぱり何か副作用がありそうな気が・・・。
「ふ…フフフ…まあ、良い…私にはまだ…サイクロプスと…“奥の手”が…ある…」
手の上でショートし、小爆発を起こしたコントローラーによってケインの両手は血だらけだった。
几帳面に整えていた髪は乱れ、その顔には鬼の様な形相と――更に不気味な笑みが湛えられていた。
ケインは薄暗い通路を通り、鋼鉄製の重そうなドアを開いた。
その向こうには巨大な空間と、何かの制御装置らしきもの。そして、中心部に巨大な装置があった。
血で染まったケインの指が、制御装置のキーボード上を走る。モニターに次々と何かの文字列が現れる。
そして、満足げに笑ったケインの指は、Enterキーを押した。
援軍に向かっていたネオゼネバス帝国軍のディメトロドンが、旧首都で巨大なエネルギーを感知した。
「曹長殿、何か…エネルギー感知レーダーに、異常な反応が…」
先頭の一個大隊を率いていたデスザウラーのコックピットからも、通信が入る。
「こっちのレーダーにも映ってる。一体この反応は…――アレか?」
その時、前の方に居た者達は見た。数十km先からでも肉眼で見える巨大な砲塔―その砲口が輝き、
ゆっくりと旋回して自分達の方を向くのを。
彼らは見た。迫り来る巨大なエネルギーを。
そして、5個師団が一瞬の内に灰燼に帰した。
巨砲から放たれたエネルギーは帝国増援部隊の只中を直撃し、砂煙立つ荒野を瞬時に炎渦巻く煉獄へと変えた。
熱風と衝撃波が無数のゾイドを木の葉の様に空へと巻き上げ、それらも膨れ上がる爆炎に呑み込まれる。
彼らには、自らの死を認識する時間すら与えられなかった。
旧首都の中心部を走っていたロイからも、世界の終末を思わせるような光は見えた。
「!?あの馬鹿でかい砲塔は…エヴィルツォーネがやられた時の為の保険か!!」
陽電子砲はエヴィルツォーネのコアの出力に依存していた。そのため、予備を作る事は出来ない。
だが陽電子砲以外であの破壊力を出すとなると、どうしても砲身の巨大化が必要だったのだ。
「だが、あの破壊力…一体何を使っている…?」
「アポカリプス・カノン」――数多の黙示録に語り継がれる終末の意を込めて、ケインはそう名づけた。
ケイン・アーベルは笑っていた。この兵器の予想以上の出来に。その力に。
――まだまだ。私は神に負けてはいない。
すぐに砲身の冷却を開始する。これに30分を要するのが唯一の欠陥と言うべきか。
しかし、砲弾自体は切れる心配は無かった。
「…まるで戦争の縮図のようなシステムだな、これは」
“アーティフィシャルコア・オーバーブースト”――共和国軍で開発された新兵器に搭載されたシステム。
人工ゾイドコア1つのエネルギー全てを搾り出し、エネルギー砲として撃ち出す「人工ゾイド核砲」が
共和国で開発されていた。どんな経緯でそれが帝国に渡ったかは知られていないが、その情報はケインの元にも
届いていた。そして彼はその原理を応用し、この「アポカリプス・カノン」を作り上げた。
そう。これは、一門の巨大なゾイド核砲だった。
砲塔を守るサイクロプスを蹴散らし、ロイはとうとうその下に辿り着いた。
「入り口は!?…何処から入るんだ!?」
ケインがこの中に居る事は解っている。隠れるとしたらここだろうし、なによりロイの直感がそう告げている。
だが、入り口らしき物が見当たらない。
「と、来れば…入り口は、作るしかねえな」
サイバーメタルキャノンが火を噴き、土台の一部に穴が開いた。
暗い地下へと続く通路が見え、ロイはそこに機体を飛び込ませた。
>>恐怖の亀裂作者氏&閻魔の策動作者氏
YES,その通り。○ャ○ャーンのCMパクーリ(゚∀゚)ました。
>>恐怖の亀裂作者氏 プロイツェンナイトってのは…PKのメンバー一人一人の事でつか?
>>閻魔の策動作者氏 何か、キメラサタンの強さは「圧倒的なパワー」みたいのでなく
「不死身」的な強さのようですね。自分の方ただ強力なだけの敵しか出てない悪寒(´・ω・`)
失われし者達への鎮魂歌の作者さんへ。
ナイツはナイト(騎士)の複数形なので構成員を単体で呼ぶときの為に作った造語です。
飛龍十字勲章という勲章がガイロス帝国にはあるのでドラゴンライダーとか付けようともしました。
が余りにもプロイツェンナイツのイメージに結び付かないものでこの様なくだりに為ってしまいました。
多分暗号はサー(騎士等に対する敬称)〇〇と名前を呼んでいた可能性もとか…。変な妄想がもやもやと湧いて来ます。多分書くのを楽しんでいる証拠です。
ーーーーー
多分ゾイドと言う事で強さを設定するには現行のデフォルトゾイドでは無理がある部分も有ります。エナジーライガー見たいにぶっ飛んだ高性能機体って余り無いと思うので。
ロボットアニメでは人型が基本な為に逸脱した姿の機体が極端な高性能機として扱えますが元々が多種多様なゾイドでは性能を特化するとその姿が限定される気もします。
少なくとも単純な攻撃力や装甲強度、機動性に最高速度が高い者が強い訳ではないのでその辺はあなたの書いたリーパーの能力が現していると思います。ただ大きいだけなら的にしかなりませんしね…。
「何故それ以前にしかないのですか?」シュミットは聞く。「聞いた話では大異変の際ニクスが割れたのは天河のしずくが月の欠片の衝突で強力な反応を起こしたって言う話もあるよ。」
更に「極一部のゾイドがコアにそれを摂取した事によって気違いじみた力を持ったという話もある。それくらい貴重さと可能性を秘めている鉱石なんだ。」ベルフは自信たっぷりに言う。
しかしシュミットに「それはあの行動の言い訳には成りませんよ少佐?」と言われてしまう。「まあそれを言い訳する気は無いよ。こう言う事には体が勝手に反応してしまう節があるから…。」悪怯れも無くベルフは胸を張って言う。
「同道と言う事じゃないだろっ!」またしてもレミントンのチョップを貰う。
「おい…ベルフ。さっきの話だ。あの薬に副作用は本当に無いんだな?」レミントンはドスを聞かせた声で聞く。「基本的には無いよ。」引っ掛かる答えを返すベルフ。
「基本的?じゃあ何か有るのか!?」レミントンは身をテーブルに乗り出してベルフに寄る。「そうそう…確かマイブラザーのファインに有ったよ。シュミット少尉?たしか右手から付き浮き虫が一杯出てきたって言ったよね?」ベルフは確認を取る。
「ええ…確か1ダース程出て来たと言う話です。」「うわ〜一杯出て来たみたいだね。そう言う事が有るって事だよ。ウィルス性の疾患を防ぐだけの威力と効能がそう言う所に出て来たりするって事さ。誰に付いているかなんて解らないからね。」
レミントンの額に怒筋が入る。「でも結局は効き過ぎって言う事だろっ!」レミントンは体をあっと言う間にベルフの後ろにに付けると問答無用のバックドロップを決めた。
「痛たたたた…。幾ら何でも問答無用であれは無いと思うんだけどな。」首筋を押さえながらベルフは医療区画に向かう。
湿布でも貰おうと思っているのだ。少し合わない内にレミントンは予想以上の実力を身に付けていたようだ…「次こそは…くふふふふ…。」無駄な対抗心を燃やしながら移動するベルフ。
そこに丁度良く?サーラが通りかかる。「有る意味チャンスだ今度こそあの細工の詳細を…。」そう思い壁の影に隠れると「何をしているんですか?ベルフ少佐?」突然後ろから声を掛けられる。「うあひゃあ!?」びっくりして後ろを振り返るとカリーナが後ろに居たのだ。
「どうかしましたか?こんな所まで来て?」
「あ!!あれは!!!!!」
それを見たハガネが思わず叫んだ。キメラサタンの背中からせり出てきた物は、蛇とも龍ともつかぬ化け物の頭部が八本。それはハガネが以前ガイア山で戦ったヤマタノオロチその物だったからである。
「まさかお前達ごときを相手にこの力を出そうとは流石に思わなかった…。」
再び冷静さを取り戻したエーマが不敵な笑顔を浮かべながらそう呟いた。
キメラサタンの背中からせり出したヤマタノオロチは絶え間なくその長い首をくねらせていた。
「首が八本増えたくらいで勝てると思うな!!!」
カンウがPMBユニットのマグネーザーを高速回転させながら飛び出した。しかし、キメラサタンはそのから一歩も動かなかった。
「今のキメラサタンは先程とは違うぞ…。」
エーマが不敵にそう言った時だった。ヤマタノオロチの八本の頭部の口が光ったかと思われた時、荷電粒子砲がシャワーのように放たれたのだった。
「うわ!!わ!!わ!!わぁぁ!!!」
シャワーのように放たれた八本の荷電粒子砲の連撃にマオは思わず叫んだ。カンウもどうにか直撃は
無かったものの、ギャグ漫画の様なリアクションをしながら慌てて元来た道を戻るだけだった。
そして、八つの口から放たれた荷電粒子砲の直撃を受けた地面には八つの小さい穴が開いていた。
「うっひゃ〜…。」
地面に開いた八つのその穴を見たマオは唖然としていた。何しろその穴は底が見えないほどにまで深い物だったからであった。
「ま…まるでゼネバス砲だな…。」
ハガネも思わずそう呟いた。キメラサタンの背中のヤマタノオロチは相変わらず体をくねらせていた。
「どうかな?ガイア山の魔物の力のお味は…。」
エーマは相変わらずの不敵な笑顔でそう言うのだった。
「くう…、こりゃ思った以上のバケモンだわ…。」
マオがそううろたえた時だった。突然背後からキメラサタンに向けてスーパーマトリクスドラゴンが
白く輝く光の帯を纏いながら再び突っ込んできたのだった。
「やっぱりエーマはおいら達でしか倒せないんだあ!!!!」
スーパーマトリクスドラゴンの全身に装備された重火器がキメラサタンの全身に撃ち込まれる。
「調子に乗るなよ…。ザコが…。」
エーマがそう言ったとき、再生したキメラサタンのヤマタノオロチからスーパーマトリクスドラゴン目がけ荷電粒子砲が放たれた。
「うわああ!!クーゴ無茶すなや!!」
「きゃああ!!」
スーパーマトリクスドラゴンから突然そのような阿鼻叫喚の叫び声が聞こえてきた。しかし、
「あーらよっとぉ!!!」
クーゴ自身は余裕たっぷりの様子で、器用なキリモミ飛行でそれをかわしていった。
「これでどうだぁ!!!!」
そしてキメラサタンの懐に潜り込み、右腕に装備したザンスマッシャーで切り裂こうとした
その時だった。ヤマタノオロチの頭部の一つがスーパーマトリクスドラゴンに噛みついたのだった。
「うわああ!!!!!」
「だから言ったであろう…調子に乗るなと…。」
その直後、ヤマタノオロチの頭部がそのままスーパーマトリクスドラゴンを放り投げたのだった。
「うわあ!!」
「きゃああ!!」
放り投げられたスーパーマトリクスドラゴンは上手い具合にカンウに衝突してしまうのだった。
「まあいい…ついでにクーゴ…お前とそのゾイドも取り込んでやろう…。」
「な…なんだってぇぇぇ!!!?」
エーマの突然の一言に、クーゴ達4人は思わずM○Rの様なリアクションをするのだった。
しかし、エーマは表情一つ変えることなく、ましてや少しも突っ込みを入れずにゆっくりと歩を進めるのだった。
「お前達は死ぬのではない。キメラサタンの血肉として生き続けるのだ…。」
エーマが不敵な笑顔でそう言った。
「くそ!!なめんじゃないわよ!!!」
とっさに体制を立て直して身構えたカンウの中でマオが叫んだ。両腕に装備したPMBユニットの
マグネーザーを高速回転させながらキメラサタン目がけて突っ込みをかけた。
「馬鹿!!不用意に近づくな!!」
ミオがそう叫ぶも時は既に遅く、ヤマタノオロチの頭部から八条の荷電粒子砲がシャワーの様にカンウ目がけて放たれた。
「よっと!!」
しかし、マオとて馬鹿では無かった。荷電粒子砲が発射された直後、ギガスミラージュで回避して
いたのだ。八条の荷電粒子の塊はカンウの作り出した、立体映像のようにうっすらと見える残像を貫くだけだった。
「またその技か…。」
左右を見渡しながらエーマがそう呟いた。今だカンウの姿は見え無い。極超高速で動いているからで
ある。また、他の機体のレーダーからもカンウの反応はロストしていた。
「マオちゃんは一体何処に消えたんだ?」
「まさか…これがグリーンデビルの本当の力…?」
ハガネやクライトは焦り顔で当たりを見渡す。それはハガネのレーダーやコンピューターの演算速度を持ってしても捉えられないほどの物であった。
「これって光速移動?う…うそやろ…?」
「ま…まさか…、あの姉ちゃんホントはZiソウル持ってるんじゃないか?」
クーゴ達も同じく戸惑いを隠せないでいた。
「フン…なるほど…。妹にしては…だな…。」
浮き足立つ他の者を尻目に、ミオだけは余裕な表情をしていた。どうやらミオだけはマオの動きが見えている様子である。
「そのくらいにしたらどうだ?」
ガキンッ!!
「ギャッ!!!」
その時だった。エーマの一言と共に、キメラサタンの背中のヤマタノオロチがカンウを噛みつく形で捕まえたのだった。
「うそ…あの動きが見えたってのか…?」
「うっわぁぁ!!ギガスミラージュが破られたぁぁぁ!!!!」
その光景を見た誰もが驚いていたが、誰よりもマオ自身が驚いていた。自らの技を破られたという点が大きい。
「ではそろそろトドメと行こうか?」
抑揚の無い声でエーマがそう言った直後、ヤマタノオロチの八つの口がカンウの全身に噛みついたの
だった。ヤマタノオロチの鋭い牙が古代チタニウムの重装甲に食い込まれる。牙の強度も、噛む力も想像を絶するものだった。
「うああああ!!!!」
カンウの中でマオが思わず叫んだ。その時だった、ヤマタノオロチ目がけてジェネラルがもの凄い速度で跳んだのだった。
>>失われし者への鎮魂歌作者さん
前述した通り、自分も神ネタを考えていたのですが、どうもリーパーみたいな
どうやったら勝てるのかと思わせるようなアイディアは浮かんでませんでした。
思ったんですが、リーパーって格闘攻撃は跳ね返せない?
>>恐怖の亀裂作者さん。
一応例のウィルスにも副作用はある見たいですね・・・。
あと、ツッコミのバックドロップとかよかったです。
通路の内部は、外から見るほど暗くは無かった。
壁沿いに並んだ無数のカプセルが、ぼんやりと暗がりを照らしていたからである。
「野郎、こんな所にまで…よっぽど長い間こんな研究続けてきたんだな…」
ロイは嫌悪感に顔をしかめたが、アイリスは俯いたまま憐れむ様な表情を浮かべていた。
「あの人…間違いを教えてくれる人も居なかったんじゃないかな…」
その言葉に、ロイは考え直す。
ケインだって、最初からイカレていた訳ではないのだ。何故狂ったのか?
「もしかして、あの人も…最初は、子供が欲しかっただけなんじゃないか…ってさ」
アイリスの言葉には、信憑性があった。アルベルトを利用したと言っておきながら、ケイン自身も彼と同じ
「一人で生きてきた者」の眼をしていたからだ。
「…もしそうなら、なおさら決着を付けなきゃならない。人のエゴで命を生み出してはいけないと、
その間違いの完成形である俺が…教えてやらなければならない」
ロイ達は通路の突き当たりに辿り着いた。そこには人間が通るサイズの扉が――エレベーターが在った。
ロイは愛機のハッチを開くと、撫でる様にその頭部に触れた。
「…一人で、出られるよな?俺達が行ったらすぐに脱出するんだ。いいな?」
別れを惜しむ様にそう言うと、ロイはアイリスを抱えてラダーに足を掛けた。
「俺は、アイツを許さない。俺の人生をぶち壊し、アルベルトを利用し、周りの人間全てを
手駒にしてこんな事態を引き起こした…」
アイリスはそれを複雑な思いで聞いた。まるでロイは、自分の存在を否定したがっている様ではないか。
だが、その後にロイはこうも言った。
「…でも、俺はこうして生きている事に少なからず感謝しなければいけないな。生きてて良かったと思う事も
色々あったんだ…だからこそ、ほんの僅かの感謝を込めて、アイツを悪夢から解放してやるんだ…」
>>恐怖の亀裂作者氏 ∀ガンダムみたいに摩訶不思議、ジョジョ的な強さの
ボスキャラって書いてて楽しい物で…どうやら上手く書けていたみたいでホッとしてます。
>>閻魔の策動作者氏 ええ、一応格闘は吸収できないという事にしてます。
本当はゾイドごと吸収してもっとえげつない事にしようかと思ってたのですが
それだとパクリ臭もわわ(ryなので止めますた。
気付いている方もいると思いますが、リーパーのイメージはガ○ラ3のイ○スです。
(駄目だ俺、影響受け杉_| ̄|○)
「びっくりするなあ…。」カリーナを見て胸をなで下ろすベルフ。その間にサーラは目の届く範囲から居なくなっていた。
「どういうご用件ですか少佐?」カリーナはベルフに聞く。「そうそうさっきバックドロップを食らってね。首が少し腫れているから湿布でも貰おうと思ってね。」
その言葉を聞いて「何か他に用が有った子が居たみたいですが…少佐はもしかしてロリコンですか?」痛い事を聞かれてしまうベルフ。昨夜の事はすれ違ったルディア辺りが知っていたのだろう。
「もう噂に成ってるんだ。けど噂なんて気にしてる暇は無いんだ。所で伍長はあの子のペンダントを見たかい?」
「…そう言う事でしたか。少佐あれは天河のしずくですね。」しっかりカリーナは見ていた様でベルフの首に湿布をしながら更に詳しい事を説明する。「…でしたよ。少佐が言うみたいな特別な工法は見当たりませんでしたし。」
どうやら工法、細工には別段変わった点は無かったらしい。「それにしても…カリーナ伍長?随分と詳しいけどこう言うの好きなんだ。」そう言うと「そうですね。多分女性なら多少こう言うのには詳しいと思いますよ?」そう言うカリーナにベルフは言う。
「いや!普通なら可愛いだの綺麗だのブランドだのに拘って安物を高値で買わされる輩にそう言う台詞は無いよ。趣味か何かでアクセサリー作りでもしてないと出てこない用語が並んでたよ?」ベルフは突っ込む。「そうですね…秘密にしている訳では無いですけどね。」
あっさり切り返されてしまうベルフ。「後は…少佐が言う様な輝きも有りませんでしたし。」それを聞き「そうか…光を吸収して閉じ込めるのを周りの細工で邪魔していたんだね。道理で危険物質を簡単にアクセサリーに出来る筈だ。」
湿布を貼り終えて貰いベルフそう言うとその場を後にした。
「相棒の調子はどうですか?」レミントンはブラックオニキスの居る場所に戻っていた。
「おう!レミントン。あれを見ろ!ほのぼのしているな。」目の前には楽そうにくて〜っと俯せに成っている相棒の姿が有った。「本当ですね…。」擬態してフリーラウンドシールドを兼ねているデススティンガーも一緒に川の字になっている。
整備兵の一人が整備班長に報告する「コア周辺の解析が終わりましたよ。一箇所にコアは固まっています。そして一部を繋ぎ合ってお互いを助け合っているみたいです。」
「ほう…そうかなら武装や装甲、フレームの方はどうだ?」今度はモニターと睨めっこしている整備兵に言う整備班長。
「そちらの方もかなりの物です。デスザウラー程は有りませんが装甲は多重積層の薄く固い物でこれまでに確認された合金では最高の靭性を持っています。」
更に説明を続ける。「柔軟な薄皮を何枚も重ねた様に衝撃や圧力に対しては異常な防御力を誇る筈です。それに鏡面誘導装甲で粒子のダメージを殆ど軽減するでしょう。」
装甲の説明を終えて一息つく整備兵。その代わりに他の整備兵が報告を続ける。
「フレームの方は肉厚ですが必要最低限の胴体と更にブロック構造を突き詰めた四肢で構成されていて軽量化と機体剛性を高めています。」整備班長は頷く「他には特徴はないか?」
それを聞き「他には最も外部に近い部分が装甲を数点で支持して装甲が揺れる様にしています。また内部にかなりの余剰スペースが有ります。」
武装についてはまた他の整備兵が答える。分担をして調べていたのだろう。
「武装は外部に見えるもので略ジェノブレイカーと同様です。しかしウイングスラスターパックが無くデススティンガーの足が変異したと思われる大型アームで肩口の少し後ろから擬態フリーラウンドシールドに繋がっています。」
そしてその擬態フリーラウンドシールドの説明に入る。「エクスブレイカーを口に装備しストライクレーザーシザースが形を変えて外周部が巨大な鋏にに成っています。つまりダブルエクスブレイカーとでも言うのでしょうか?そんな状態です。」
「更に中心には白銀の牙はパルスキャノンからさっきの射撃で見た高収束速射型荷電粒子ライフルに成っています。腰には資料で見たジェノサイザーミラージュが使用していた物を大型化したベクタードスラスターが有ります。」
整備班長は説明をレミントンと一緒に聞いていたが顔色が悪くなる。「どうしたんですか?」レミントンは聞くと「ベクタードスラスターってあれだろ。特攻馬鹿が愛用していた推進器。どんどん過激で万能に成っていった所為でカスタム機にもそうそう付けれないあれだろ?」
その言葉に「そうですね。機体重量のお陰で転倒はしませんでしたがあの加速力は異常ですね。」
腰の上部にもう一本生えた尻尾状のそれを見て「普通亜音速飛行をする物が付ける物だよなこれって…?」瞬間最大加速度150m/secは伊達では無い様だ。
そろそろ覚えていられ無くなりそう…と言うことで。
【人名】
ガリス=ヴェントス:調査隊に所属していたデススティンガーのパイロットの一人、共和国軍に所属していた経歴が有りゴジュラスのパイロットをしていた過去がある
かなり気違いじみた発明を続けていた為本来実力や戦果に合わない中尉が階級である
事件当初に有る物を見つけてそれから寄生ケンタウロスとアンフィスバエナを作り出した
カリーナ=アマサキ:帝国軍所属の衛生兵で伍長、名医を排出してきた家系に生まれ名実共に持ち合わせる女医
家であるアマサキ医院が共和国軍残党に破壊されて以降帝国軍の衛生兵になる
【技術】
サイクロンドライバーβインパクト:ある科学者が暇を持て余して設計した強力な格闘兵器でマグネーザーを元にしてパイルバンカー機構と4連副列ドリルを基本とした物
ドリルの外周には反対方向に回転する誘導棒の代わりになるレーザーブレード、ドリル基部に粒子砲を装備し数種類の格闘、射撃方法を持つ仰天兵器
サイズの関係上ギガのみ装備が可能で専用のアームをもって使用され使用されている、材料は使用できない箇所以外古代チタニウム合金製
非固体誘導式レーザーブレード:実剣を廃して切断性と効果範囲、威力をコントロール出来るレーザーブレード
実際には射撃兵器で霧状に惑星Ziの生水を噴射しそれにレーザーを照射して相手を切断する、切断力は高く一定時間その場所に残る性質を持つ
他にも物理的な防御が出来ない等こう見れば長所ばかりだが実際は弾切れ成らぬ”水切れ”がある為汎用性は通常のレーザーブレードの方が遥かに高い
鏡面誘導装甲:鏡の様に磨かれた装甲板に電荷を掛けて粒子兵器を受け流す装甲、製造コストが非常に高く実験的に装備された機体はほんの一握りしか無い
ベクタードスラスター:尻尾の様な形状をしている推進器で圧倒的な加速力と旋回力を持つ為装備例はファインの機体のみしかない
実際には逐一強化されて居た為相当の重量を持つ者か亜音速以上で飛ぶ者が付ける事が許される推進器、機体によっては使用後に空中分解しかねない加速力を持つ
「エネルギー残量は…半分も無い。」ストームラプターに戻ったサーラは機体状況を確認する。武装に使われるエネルギーは別サイクルで賄われている為機体を起動させチャージをする必要が有る。
チャージ作業を開始させるサーラ。大体1時間も要らないだろう…続いて機体のダメージチェックをする。多少の装甲の傷は有れど本体には略ダメージ無しオイル漏れなども無し。今度はマグネッサーを調べる。
「あっ…壊れてる。どうしよう!?」内部機構は本来の生命力が低い人口コアの方である隼のコアの担当なので回復にはかなりの時間が要すると予想される。
「どうかぁ〜しましたかぁ〜?サーラちゃん?」ルディアの声が聞こえてくる。「右の翼のマグネッサーが壊れてるの!これだけは今修理できないの…。」べそを掻きながら言う。
それを聞いて「ちょっとぉ〜待ってくださいねぇ〜。」そしてルディアは考え込む。技術的な問題では手出しをするのは不味い。手が付けられない破損ならもう手立てが無い状況である。
「ちょっと良いですかぁ〜?カバーをぉ〜開けてみて下さい〜。」そうルディアが言うと「うん…。」スイッチを弄くってカバーを開ける。その部分を見てルディアは表情を暗くする。「コードがぁ〜焼き切れていますぅ〜。」
それを聞くと逆にサーラはホッとする。「大丈夫だよ。コードなら替えも有るし機体のメンテナンスアームで修理できるよ!」
「凄いですねぇ〜。」ストームラプターを見上げてルディアは言う。まさかメンテナンスアーム何て物まで内蔵しているとは思いもしなかった。
「これねプラズマトーチにもなるよ。簡単な工作作業も出来るの。」プラズマトーチを振りながらサーラは言う。「気を付けてぇ〜下さいねぇ〜壊れてしまったらぁ〜修理は出来ませんからねぇ〜。」
「は〜い。」サーラも間の延びた返事をしてメンテナンスアームを格納した。
「少佐!装備の点検をして下さい。」シュミットがルディアに整備の終了を報告する。「了解ですぅ〜!」そう言うと機体の場所に駆けて行く。しかし実際には2km程走る事になった。
そして機体に乗る頃には肩で息をしている状況だった。「ふぅ〜急いだので息が上がっちゃいましたぁ〜。」装備の確認を行うルディア。
「サイドバックラーですかぁ〜殆どの装備はこれに付いているんですねぇ〜。」そう言いながら起動チェックをするルディアだった。
「中尉ぃ!!」
「邪魔だ…。」
しかし、エーマは少しもうろたえることなく、キメラサタンは片腕の一ふりでジェネラルを
吹っ飛ばしたのだった。そしてその直後、カンウの全身に噛みつくヤマタノオロチの牙が
一瞬スパークしたかに見えたとき、その牙からカンウに高圧電流が流されたのだった。
「うあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
もの凄いスパーク音と共に、マオとカンウの叫び声が響き渡った。ヤマタノオロチの八つの口から
放たれる高圧電流は、その一つ一つですらライガーゼロイクスのエレクトロンドライバーや、
ケーニッヒウルフのエレクトリックファンガーを遥かに上回る物だった。
「あ…お…お姉ちゃんが…。」
高台から戦いを見守る人々の中でトゥランが不安そうな表情でそう呟いた。トゥランは葛藤していた。
昨日不良から助けてくれ、さらにあんなに優しくしてくれたマオが、実はトゥランの父親を殺した
人間だった。(厳密には殺したワケではないが)しかし、その父の敵が今、ポルトを守るために
戦っている。応援すればいいのか、しなければいいのか、彼には分からなかった。
「やめろ!!もうこれ以上の事はするなぁ!!!!!!!!」
突然キメラサタンにゼノンがもの凄い速度で組み付いてきた。ゼノンの両目は赤く強い光を放ち、最大出力でキメラサタンの体を締め付ける。
「まだやるか…時代遅れの機械人形よ…。」
「やめないね!!お前の体に使われているその魔物を完全に消滅させるまではね!!!その魔物が生きている限り、あの娘が安心して眠れないんだよ!!!!!」
抑揚の無い声で言うエーマに、ハガネは思い切りそう叫んだ。そして、ハガネに呼応するかのように
ゼノンがかん高く咆哮し、その両目がさらに光った。ゼノンの両腕がさらに強くキメラサタンの体に
締め付けられ、その両腕のストライクバイトシザースが食い込んでいく。そして、ゼノンに
装備された各種火器がゼロ距離でキメラサタンに撃ち込まれていく。
「ぬ…貴様の何処にそんな力が…まさか機械人形のクセに火事場の馬鹿力でもあるまいに…。」
「ゼノンだって分かってるのさ!!!お前は倒さなくちゃならない存在だって!!!!」
かすかにうろたえを見せたエーマの言葉に対し、ハガネがそう叫んだ。ゼノンのエネルギー出力は
本来のそれを遥かに超えていた。暴走を防ぐために掛けられたリミッターは既に外れ、本来の力、
いや、さらにそれ以上の力でキメラサタンに立ち向かったのだ。今のゼノンは理性を持ったまま、
“その力のみが暴走“していると呼ぶに等しい物だった。本来、全生物の恐怖の対象であった
真オーガノイド・デススティンガーが、さらなる強力な恐怖に立ち向かっている。それは皮肉な事と呼ぶべきなのであろうか…。
「今の内に!!中尉ぃ!!!」
ゼノンがキメラサタンを押させているスキを突き、再びジェネラルがバスタークローを高速回転させて突っ込んだ。狙うはカンウに噛みついているヤマタノオロチ。
「援護します!!」
サリーナが叫んだ直後、ガイガイガーから集光荷電粒子砲が放たれた。それはガイガイガー独力の
荷電粒子砲であり、キメラサタンに対して決定打には到底なりえない。しかし、それでも目くらまし程度にはなった。
「中尉!!今助けます!!!」
ラインが叫んだ直後、高速回転したバスタークローがヤマタノオロチの首まですぐそこまで来ていた。
「無駄だぁぁぁ!!!!」
「うあああああああ!!!!!」
エーマが叫んだ直後、キメラサタンも吼え、その勢いによってゼノンとジェネラルが吹き飛ばされ、
また、その周囲にいたゾイドがエーマとキメラサタンの気合いの様な物で吹っ飛ばされた。
さらに、カンウに流される高圧電流の電圧がさらに上がった。
「まだまだぁ!!!!!中尉は俺が守ると約束したんだぁぁぁぁ!!!」
「まだ無駄だというのがわからんのか…?」
ラインとジェネラルは何度吹っ飛ばされても、機体がベコベコになっても、ひたすらキメラサタンに
向かっていった。目的はただ一つ。マオとカンウを助けるために。しかし、そんな彼をあざ笑うかのように、マオとカンウにはなおも高圧電流が流される。
「うああああああああ!!!!」
「しかしおかしいな…致死量を遥かに超えた高電圧のはずなのだが…まだ死なないとは…。」
マオの悲鳴を聞きながらエーマが一言そう呟いた。カンウに流されている高圧電流は、その電流を
流しているヤマタノオロチの口の一つ一つが致死量を遥かに超える物なのである。これほどの物を
まともに食らっては、カンウ自身が耐えられようとも、マオ自身が即死してもおかしくないのであるが、マオは今だに死ななかった。
「うああああああああああ!!!!!」
「中尉を放せぇぇぇ!!!!」
「まだ来るか…。」
キメラサタンの右腕が再び剣と化し、なおも突っ込んでくるジェネラル目がけて振り下ろされる。が、その時だった。
バシュゥッ!!!
それは一瞬の出来事だった。数発の砲弾がキメラサタンの右腕の肘関節を、そしてカンウに
噛みついていくヤマタノオロチの首を撃ち抜いたのだった。その衝撃で、キメラサタンの右腕の剣は
100メートルくらい飛んで地面に刺さり、ラインとジェネラルも助かり、さらにマオとカンウも
高圧電流から解放されてそのまま地面に落下し、ウェンディーヌに寄っかかる形で倒れ込んだ。
「な…何だ…?うお!!」
突然の出来事にエーマとキメラサタンが怯んだその時だった。突然巨大な何かが体当たりを仕掛け、キメラサタンの巨体が吹っ飛ばされたのだった。
「お前…あんまり調子に乗るなよ…。」
それは、ミオとウルトラザウルスだった。そして、ミオはさらに言った。
「あんたにそれ以上妹はやらせないね。コイツは出来の悪い妹でも、私のこの世に存在するたった一人の肉親なんだよ!!!!」
「お…お姉ちゃん…。」
ミオの力の入った叫び声に、気を失い掛けていたマオがかすかにそう呟いた。なんだかんだ言って、やはり姉は自分のことを考えていたのか…やっぱり私はひとりぼっちじゃなかった…。とそうマオが思った時、やはり気を失った。
「調子に乗るな…だと…?ウルトラザウルスごときが偉そうに…。」
再生したキメラサタンが剣と化した右腕を振り上げ、ウルトラザウルスに斬り掛かった。
高速ゾイドでも回避不可能なほど速い一撃。鈍重なウルトラザウルスでは到底回避できない。
さらに、その剣はウルトラザウルスすらも楽に真っ二つに出来るほどの破壊力と巨大さがあった。
が、その時だった。キメラサタンの剣がウルトラザウルスの体をスッとすり抜けたのであった。
それは、マオがギガスミラージュで作り出した残像とうり二つの代物だった。
「な!!!」
エーマを含め…その場の誰もが唖然とした。そして、エーマは焦り顔で周囲を見回した。
「ここだよ。」
ミオの一言と共に、ウルトラザウルスがキメラサタンの背後に突如現れたのであった。
「な!何!!?今のは見えなか…うあ!!」
ウルトラはエーマとキメラサタンが振り返るよりも遥かに早く、リニアカノンや各種ミサイルを
ゼロ距離で撃ち込んでいた。たちまちキメラサタンは倒れ込んだ。
「そんな馬鹿な…何で鈍重なウルトラで…。しかもヤツのよりこの私でも見えなかったぞ…。」
「ふ…私を甘く見てもらっては困るわね…。第一出来の悪い妹の考えた技だぞ。あの程度の事、
妹に出来て私に出来ない事は無いね!…まあ…料理は別だけどさ…悔しいけどね…。」
ミオの自信ありげな一言に、エーマはうろたえた。エーマは知らなかった。ミオの実力は素でマオを遥かに超えるという事を…。
「く…。」
キメラサタンが一歩後方に退こうとした時だった。突然一条の細いが強い光の渦がキメラサタンの左肩を正確に吹き飛ばしたのだった。
「な…何!!?」
エーマがその光の渦が来た方向を向いたとき、そこには一体のセイスモサウルスの姿があった。
「その娘は将来私の妻となる人間だ。貴様などにやらせはしないな…。」
「だから却下だっつってんだろがぁ!!このロリコン少将が!!」
セイスモサウルスに乗っていたのはルーガスであった。そして、ルーガスの勝手な言葉にミオは思わず激怒しながらそう叫ぶのであった。
「まあいい…とにかく…お前はこれで終わりだ…。」
ミオとルーガスはケンカを止め、共にそのゾイドごとキメラサタンに迫った。
通常3回ずつ書き込んでるんですが、最近は4回書く場合もありますから・・・・。
別に良いですよね。
>>失われし者への鎮魂歌作者さん。
自分も自分で、スー○ー○ボット大○とか影響受けたりしますよ。
なにしろ色々な作品のオールスターなだけに、本当に色々なタイプが登場しますから、
普通ならあり得ない組み合わせとかあって面白いですし。
中にはロボットとかそう言う問題じゃ無いような存在も登場しますし、思い切り魔術みたいな物を使う者もいますから。
これをゾイドで応用するならば、生粋なミリタリーなタイプから、ファンタジーっぽい
タイプが同時に登場するとかだったり、人間が作るそれとは全く違う概念のゾイドが
登場したりとあってもいいわけですから・・。
あと、ちなみに前述した自分が考えた神ネタは思い切り「闇の○王+ガン○デン÷2」って感じです。
って知ってる人にしか分かりませんよね。あと、その配下にZナイト紛いな巨人型ゾイドみたいなのも登場させようと
考えたりしていたのですが、結局新シリーズネタが優先されてお蔵入りしそうです。
でもまあ、その新シリーズでも「昔こういう戦いがあった」的な描写はするつもりです。
余裕があるなら後々本格的に書いてもいいかなと考えたり。
>>恐怖の亀裂作者さん。
久々の補足説明ですね。自分もそれに近いのやろうやろうと考えたりしてたんですが、
そう言った説明の類が本編の中に入っていたりするのであまり意味がなかったりと考えたり。
しかし、貴方の話のメカ描写などの細かい描写が念密に描かれていて感心しますね。
エレベーターの扉が開く。
ロイの前には、広大な部屋があった。壁面に多種多様な機械が並び、中央部には巨大な柱の様な物がある。
その柱は中ほどの部分が透明で、中が光っていた。カプセルのぼんやりとした光とは違う、強い光だ。
「ほう…サイクロプスの防衛網をすり抜けてきたか…やはり、お前は傑作だ」
柱の光で気付かなかったが、その下にケインが居た。
乱れた髪の間から覗く瞳は、血走って狂気を湛えている。
「確かに、お前は俺を造ったのかもしれない。そういう意味では俺はお前に感謝すべきだろう…」
ケインが意外そうな顔をするが、すぐに「当然だろう、そうだろう」と頷く。
「…だが、俺はお前に一辺の好意も持てないし、まして父親としてなど認めない。寧ろ恨んでいる」
ケインの顔が歪んだ。
「ロイ…妙な人格を刷り込まれた様だな?私が後で『洗い流し』てやろう…」
そこまで言った時、ロイは懐から拳銃を取り出した。共和国兵の汎用携帯拳銃だ。
オートマチックタイプのその銃はロイの手には大きく見えた。まさしく子供が銃を持っているのだから。
「…?フッ、その銃で私を撃つのか?生みの親であるこの私を?」
ケインは笑い出したが、その声は奇妙に抑揚を欠き、忌まわしい擦れた声になっていた。
ロイは安全装置を外した。そして、ゆっくりとケインに狙いを定める。
「ああ、そのつもりだ。今の俺なら撃てる…そして、撃たなくちゃならない。俺と共に多くの戦いを、悲しみを生み出してきた
お前との決着…『息子』である俺がつけなきゃいけない」
ケインは、異常に歪んだ笑みを浮かべたまま、自らも拳銃を取り出し、ロイに狙いを定めた。
「もういい!!…どうしても失敗作でありたいと言うのなら、私が廃棄処分にする!!幸い今は培養の技術が発展してきた…
身を隠す場所さえあれば、私は何度でも第二、第三のロイ=アーベルを作り出せる!!」
およそ親子とはいえない二人の男の間に、一瞬の静寂が訪れる。凍り付いた様に刻が動かない。
永遠とも思える一瞬の後、一発の銃声と共に刻が動き出した。
ケインの顔が、先程よりも更に不気味に笑う。
彼の視界には、憐れむ様に自分を見ている少女と、煙立つ拳銃を持ったままやはり自分を見ているロイの姿が映った。
ケインは視線を下に向けた。白衣の間、中に着たシャツに血が滲んで来る。
ゆっくりと視界が暗転していく。世界の全てが消えていく。
走馬燈のように、彼の人生が脳内を駆け抜けて行った。
――自分は、負けたのだ。最高傑作と言った研究成果に。自分自身に。
最期の瞬間、もしかしてケインは自らの間違いに気付いたのかもしれない。
だがロイが見たのは、ただ満足げな笑みと共に絶命するケイン=アーベルに過ぎなかった。
旧首都に絶え間なく轟いていた砲撃音が、少しずつ止んでいく。
街を包囲した共和国軍は攻勢に出、その圧倒的な数の前にさしものサイクロプスも鎮圧されていった。
やがてゾイドのぶつかり合う金属音、砲撃音が完全に止んだ時は既に明け方で、朝日が昇りかけていた。
山脈の向こうから覗く陽光が、街から立ち昇る煙と異形の巨砲を照らし出す。
共和国軍の兵達は、心身ともに疲れきっていた。まるでもう戦争そのものが終わった後の様に
人やゾイド、建築物の残骸ばかりが市街地に横たわり、それらの間から救出される生存者が更に悲惨さを際立たせる。
ロイはあの光る柱――ケインはキャノンリアクターと呼んでいた――を停止し、外に出た。
無線機に、通信が入る。
「ロイさん、聞こえてますか!?上です、上!!」
ロイが空を見上げると、ラガートのマーキュリーが徐々に高度を下げてくる所だった。
無線機にアルティシアの声も割り込んでくる。
「ロイ、無事なのね!?…ホントにもう…馬鹿な部下を持つと、苦労するポストなのよね…」
そうは言っていても、アルティシアの声は啜り上げる様な音でしょっちゅう途切れたし、声色にも安堵がこもっていた。
再び通信がラガートに戻る。
「ロイさん、すぐにそこを離れて下さい!あなたと他の兵が退避した後、私のマーキュリーが
その馬鹿でかい砲塔を“月に代わって”爆撃致します!!」
気付けば、ロイが居たのはアポカリプス・カノンの上部にある展望デッキのような場所だった。
「おいおい、俺が退却するまで待てよ!?…しかし、共和国軍はいつからイカレたんだか…『月に代わって』…?」
風の吹く階段をアイリスと共に駆け下りながら、ロイは眼下の町を見回した。
戦いの爪痕は大きい。そう簡単には癒されまい。
だが、ロイは妙に吹っ切れた心地だった。…哀れな「父親」の葬式くらいは開いてやろうとも思った。
真下を見ると、見慣れた黒いディアブロタイガーがパイロットの帰りを待っていた。利口な奴。
「…さて、行くか!」
終わりの見えぬ大量破壊兵器の応酬、ZOITECの共和国への協力表明…
それらの要素も重なってか、へリック共和国とネオゼネバス帝国の間に終戦協定が結ばれたのは
それから数ヵ月後の事だった。
だが、戦争が終わったからと言って、この戦いで犠牲となった者達の存在を忘れてはならない。
残された者達にできる事は、悲劇を忘れぬよう、繰り返さぬように、失われし者への鎮魂歌を詠う事――それだけだ。
失われし者への鎮魂歌 本編 終
…何か尻切れトンボですが、本編終了です!
あとは少々のエピローグと捕捉を入れて終了…このシリーズ意外と長く続いたな…
本来使うはずだったネタとか途中で矛盾に気付いてアタフタ。結局破条気味のところを
脳内設定&即席ネタでカバーでACあたふた。うわぁ、中身無ぇ(´Д`)…
最後の方、何か焦ってたのかも知れません。とりあえずだらだら書くのもアレなんで反省はここまで。
>>閻魔の策動作者氏 自分スパロボ持ってないんDEATH!!(w
閻魔の策動の作者さんへ
それ両方ともアレで真っ二つにしました「チェストォォォォォ〜ッ!」ってw
アレは良いですね〜wいろいろと出来て…。
ーーーーー
Zナイトは未来の話で本当に出そうとして見たりして…画策中ですがZナイトとメタルフットの単語しか出そうもない悪寒。
そして代わりにオリジナルメタルフットが…登場しそうです。
サイドバックラーはエナジーチャージャー試作機であるプロトYにはエナジーウイング等の最も威力の有る兵装は無い。
しかし改修で外装がロールアウトタイプの物と同様になったのでエナジーウイングの基部が余る事になる。
そこに接続されたサイドバックラーはエナジーチャージャーのエネルギーを武装に付加する機能と高速機動の為のバランサーとして重心移動を可能にしている。
「スタンブレードのぉ〜間合いが変わってしまいましたねぇ〜。鼻先やぁ〜胴体近くにぃ〜見事な穴が出来ていますぅ〜ぐすん…。」至近距離での格闘に穴が有る…正直ライガータイプにあるまじき弱点だ。
「すいませ〜ん。このぉ〜装備だとぉ〜近づかれたらおしまいなんですけどぉ〜?」ルディアがそう言うと「おっ?悪い悪い…じゃあこいつを付けてみるか?」とある物を指差す。「こっこれはぁ〜面白そうですねぇ〜。」
それは無数の先が薄い刃「頬のフェアリングカウルを取り外して取り付けるものだがクロームのクリティカルブレードの装備を参考に作った物だ。急造だが使っている合金は充分実戦に耐えられるぞ!」「そうですかぁ〜他はぁ〜?」
「ちょっと待て…探してくるから少し待ってろよ。」整備兵は他に使えそうな物を探しに走る。「おう!如何した!そんなに急いで。まだ移動開始の11:30には早いぞ!」整備班長は言う。
「いやちょっと…こっちの手違いでルディア少佐の機体が欠陥装備に成っているんですよっ!」そう言って整備兵は使えそうなパーツとジャンクを集めに走り去った。
「なんだって〜〜〜っ!!!さっさと手の空いている奴等を集めろっ!どうせ余る程有るガラクタだ!アービン大差も呼べよ俺達以上にパイロットを知っているから何かアイデアを出してくれるかも知れねぇ!」整備班長も整備兵を追いかけて行った…。
「何っ!?ルディアに使えそうな装備?」アービンは報告を整備兵から聞き色々と考え始めるルディアは大抵の事が出来る。しかし得手不得手の事にかなりの落差が有る。それでも普通の者よりは充分の働きをするが…。
特に得意なのが通り抜けざまの爆雷攻撃や設置型兵器の使用等の一般的には足止め等に使われる兵器のその場での使用。「こまった奴が居たものだ…ん?最近は電撃を使用する兵器がお気に入りとか言っていたな。多分これならっ!」
何かを思いついたアービンは作業の現場に向かうのだった。
「おう!大佐!来たかい。ったく大変な事に成っちしまったな…。」「そうだな…手違いの原因は結局何だったんだ?」
アービンは整備班長に聞くと「参った話なんだが昨日のマッドサンダーの事覚えているかい?」「ああ…誰か知らんが冗談だと思ってスルーした所為で寄生されて大変な目に遭ったな。」
整備班長は続ける「何かおかしいと思ったら報告書に有ったぞこんな記述が…。」
そこには一体で安全と言うことでディアントラーを元にした大型輸送用キメラでこっちに物資を移送したらしい…。
その時に後方を警戒していた兵が突然巨大な影に最後尾から2〜3列の補給物資を持っていかれたと報告している。
つまりマッドサンダーを冗談だと思っていたのと近くに谷が有った事で谷に落ちたのを勘違いして居たと思い報告書に書き足されていた物資の中にルディアの機体に装備されるべき物が有ったと言う事だ。
「あいつはレミントン同様減俸だな…以前の残党処理やセイスモの投入で楽に共和国軍を攻撃していたツケがこんな所で出たな。」そう言うアービンに整備班長は「そうだ!何か代案が有るんだろ?用も無いのに大佐が来る訳無いもんな!」
アービンも気が付いた様に「そうだった…結構な物が有るな。こう言うのはどうだ?」「ほう!それは良いね!イクスを使っていたから直にでも使えるなそれなら!」そう言うと直に作業が開始された。
その間に機体の慣らしをするルディア「ちょっとぉ〜小回りがきくように成っていますねぇ〜。」そして例のディスプレイサーを使用してみる。
少し離れた場所に機体と同じ姿の立体映像が現れるそれを出したまま周辺を一回りして見る。「う〜ん!しっかり映像を投影できていますねぇ〜ちゃんと木々等を通り抜ける時にはぁ〜偽装もしっかりしていますぅ〜。」
機体の仕上がりは上々で最高速度で機体を投影できる。V字6気筒型だった試作エナジーチャジャーは水平に角度を変更されている。ロールアウト版と違い平均最高速度は450km/hと大人しめだが加速力は異常で装備によっては10秒も立たずに最高速に達する。
エナジーライガー自体ブースター頼って急加速しない為足場さえ有れば略何処でも最高速度近くで戦闘が出来る優秀な機体であるが狭い空間ではプロトYの方が運動性に優れている。
「お疲れさまですぅ〜ラビィちゃん。」そう言うと元の場所にプロトYを戻した。
>>119 Zナイトは設定が超細かいので、
うかつにやると簡単に公式(知ってる人自体少ないけど)から逸脱します。
気にしないならいいけど、ちょっと注意をば。
「馬鹿が…少し優勢に見えれば調子に乗りおって!!」
エーマが額に一筋の汗を流しながら叫ぶと同時に、キメラサタン背中のヤマタノオロチがそれぞれ荷電粒子砲を発射しようとした。
「死ねぇ!!!!」
「そうはさせ申さん…。」
バシュッ!!!
ヤマタノオロチの口から荷電粒子砲が吐き掛けられる直前に、突然ヤマタノオロチの八つの頭部が
吹き飛んだのだった。皆は突然の出来事に唖然としていた時、キメラサタンの真上にいたのはアシュラゲイルであった。
「皆の者…遅れて済み申さん。他の物の怪の相手に手間取っていた故…。」
「シンライ曹長!!!」
「さあてこれで役者がそろったな…。」
ギフ=シンライ&アシュラゲイルと合流した皆は、一斉にキメラサタンへと迫った。
「馬鹿が…一機増えたところで何が出来るというのだ!!」
キメラサタンは再び再生し、もの凄い速度で飛びかかってきた。その時、キメラサタンの前に
素早くアシュラゲイルが出て、ギフは拝むように両手を合わせた。
「南無網阿修羅観音仏…渇!!!」
ギフがそう呪文のような物を唱えた直後、アシュラゲイルの六本の腕の中の、中段の二本の腕、
シェルカーンのハンマーナックルがかすかな光を放った。そして、キメラサタンの攻撃をかわし、
その懐に潜り込んだアシュラゲイルがその光を放つ手をキメラサタンの、丁度腹の部分に押しつけたのだった。
どうんっ!!!
「なっ!!!!」
爆発音と共に、突然キメラサタンの巨体が吹き飛んだ。それには誰もが目を疑った。
「阿修羅流奥義の一つ…“阿修羅発勁”。骨法の流れをくむ技であり…。要は呼吸を呼んだ上で、気を相手に直接撃ち込んで攻撃する技であり申す。」
「な…。」
ギフの言葉にエーマはうろたえた。
「うわぁぁぁ!!なんかよくわかんないけどやっぱあの坊さんすげ―――――――!!」
「やっぱりあのお坊さんよくわかんないよ…。」
同じくクーゴ達も結構驚いていた。ちなみに、“気”を使う技はマオもよく使うが、マオが多用する
気功技は気を拳に集中させることで拳の威力を増したりなど、いわゆる“外部を攻撃、破壊する技”
であるのに対し、ギフが行った“阿修羅発勁”は、逆に気を敵の内部に送り込んで、その
“内部を破壊する技”なのであった。内部を直接破壊すると言うことは、相手がいかなる強固な装甲を纏っていようとも無意味だと言うことである。
「さ〜てと…。それじゃあそろそろ決着といこうじゃない…。」
ミオが不敵な笑顔でそう言った直後、ウルトラザウルスが一歩踏み込んだ。
「あれ…?ここは…。」
マオが気付いたとき、彼女は何故か花畑に寝転がっていた。しかし、その花畑は不思議な感じだった。
空からさんさんと降り注ぐ日光も暖かく、周りからは不思議な歌の様な物が聞こえてくるのだった。
「な〜…何かよくわかんないけど…なんか安らぐわ〜…。」
その周囲の不陰気に、気持ちが安らいだマオはそのまま横になり、空を眺めていた。
「そう言えば私って…何してたんだっけ…。」
マオが寝ぼけ眼でそう呟いた時だった。
「コラ―――――――――――!!!!貴様こんな所で何をしておるのか―――――――!!!!」
「わああああああ!!!!」
突然耳元で響き渡った叫び声にマオは思わず飛び起こされた。
慌てて周囲を見ると、そこには見ず知らずの一人の中年の男が立っていた。
「わわわわ!!お…おっさん誰よ!!!!!」
「誰でもよいわ!!ここはな!!お前のような者が来るところではないんだ!!さっさと帰れえ!!」
「何ワケのわかんない事言ってるのよ!!!」
男の言葉にマオが反抗したその時だった、突然男が掴みかかってきたのだった。
「うわ!!速!!!」
その男の動きは素早く、マオはたちまち捕まってしまった。さらに、その押さえ込む力も、半端な物ではなく、マオはまったく身動きできずにいた。
「放してよ!!エッチ!!セクハラ!!!」
「ガキが偉そうな口を叩くな!!とにかく、力づくでも連れて行くからな!!!」
男がギャーギャー騒ぐマオを押さえ込みながら強引に何処かへ連れていこうとした時だった。
突然二人の前に一人の女性が現れたのだった。その女性はまるで天女のような不思議な服装をした不思議な感じの女性だった。
「後は私に任せてもらえないでしょうか。」
「ああ…貴女なら心配無いでしょうね。では、私はこれで…。」
女性の言葉に、男がそう言いながらマオを放し、何処へと立ち去った。
「ハア!!ハア!!く…苦しかった…。それにしてもなんっつー馬鹿力…。」
マオは苦しそうに四つん這いになり、息を切らしながらそう呟いた。そして、そんなマオに、女性がゆっくりと歩み寄ってきた。
「大丈夫ですか…?マオ=スタンティレルさん?」
「!?な…何で私の名前を…?」
女性の言葉に、思わずマオは目を丸くした。
「失礼とは思いますが、貴女の記憶を少し覗かせてもらいました。」
「へ…?」
女性の不思議な言葉にマオはさらに目を丸くした。そして、一時置いてマオが周囲を見渡しながら言った。
「所で…ここは何処ですか?」
「あなた方が言う所のあの世…って言ったらどう思います?」
「え…?」
女性の言葉にマオは青ざめた。さらに目から涙が浮かんできた。
「わ!!私死んじゃったの!!!!?うわぁぁぁぁん!!!」
「あ!心配は要りませんよ!貴女はまだ死んではいません。さしずめまだ仮死状態で済んでますから…。」
「え?」
泣き出したマオに対する女性の言葉で、マオは思わず涙を止めた。そして、女性はある方向を指さす。そこにはキレイな川が流れていた。
「あの川…あなた方が“三途の川”と呼ぶあの川を渡りさえしなければまだ大丈夫です。」
「じゃ…じゃあ今の私は一体何なの…?」
「さしずめあなた方が“生き霊”と呼ぶ状態です。貴女はまだ生きているのですから…。」
「は…ははは…。」
女性の言葉にマオは唖然とするだけだった。マオが置かれている状況は、テレビとかで良く見る臨死体験というヤツとうり二つだったからである。
「ま…まあいいや…所で貴女は誰よ…。」
気を取り直したマオは再び女性に質問をした。そして、女性はニッコリと微笑みながら答えた。
「私はあなた方にウェンディーヌと呼ばれている者です。」
女性の言葉に、マオはまたもや目を丸くした。
「ウェンディーヌって…?ポルトにあったヤツと同じ名前だね…。」
「あ!それです!私はそのポルトのウェンディーヌです。」
「うっそだぁぁぁ!!!だってどう見たって貴女は人間じゃない!!!」
マオは腹を抱えながらそう叫んだ。しかし、女性は特に何の反応もなく、さらにこう言った。
「あ、心配しないで下さい。今の私はあなた方に分かりやすい様に人間の姿をとっているだけですから…。」
「うっそだー…い…?」
女性=ウェンディーヌの言葉に、マオが笑いながらそう言おうとした時だった。突然女性の背後に
巨大なトンボの像の様な物が浮かび上がったのだった。それはまさしくあのウェンディーヌであり、マオは思わず唖然としてしまった。
「…………。」
「信じてくれました?」
ニッコリと微笑む女性の言葉に、マオは目を丸くし、黙り込んだままたた頷くだけだった。
「じゃ…じゃあ何で貴女は人間の言葉喋れるんです?」
「私はあなた方が使う暦で言う数千年を生きていますから…あなた方の言葉はすっかり覚えてしまいました…。」
「それだけ退屈だったって事ですか…?」
マオは再び唖然としていたが、どうにか体制を立て直して再び問う。
「と…所でそのウェンディーヌさんが私なんかに何の用ですか?」
「厚かましいとは思いますが…私を助けて欲しいんです…。」
「え?」
「貴女も御存じとは思いますが、あの魔物が私を取り込もうとしています。私があの魔物に
取り込まれたら、ポルトの町の人は困るでしょうし…、私を取り込んで力を付けた魔物は世界中に
存在する全ての命を脅かす存在となるはずです…。それに私は、あの形態を見れば分かりますが、
植物の様に自分で歩いたりは出来ません。だから、まだ死んではいない貴女には仮死状態から戻ってあの魔物を倒して欲しいのです。」
「あ!!そ…そうだった…。で…でもダメだよ…。やっぱり…。」
「え?」
再びマオは座りだしたのだった。
「あのキメラサタンは正真正銘の怪物だよ…どんなに破壊しても再生する。私が隠していた、
殺戮モードで全力を出しても、ヤツはさらにそれ以上の力を隠し持っていた。正直勝てる気がしないよ…。」
「はたしてそうでしょうか…。」
「え?」
少しゾイドらしからぬ展開になっていますが(って前からですが)まあご了承くださいませ。
>>失われし者への鎮魂歌作者さん。
とりあえずストーリー完結お疲れ様です。
後々書くというエピローグなど、そして以前に言っていた親父主人公ストーリーが
どうなるのか楽しみにしています。
>>恐怖の亀裂作者さん。
Zナイトやメタルフットに関して
>>122の人が注意点を述べていますが、
「それに似た別物」という形ならば問題はナイト思います。
共和国が首都を奪還し、終戦協定が結ばれてから一週間後。
ロイ=アーベルはユビト港の波止場で水平線を見つめていた。
彼はあの後正式に共和国軍特務隊を除隊し、今は軍人ではなく、普通の少年であった。
既に出航の準備は整っている。ちょっと、そう――ヤバいルートで集めた船とクルーが港に停められていた。
彼の愛機も船に積み込んだ。後は……後は、ロイ自身が船に乗るだけだ。
最後に惜しむ様に後ろを振り返ったロイは、アイリスが走ってくるのを見て海に落ちかけた。
――何故、解ったんだ?完璧に撒いた筈なのに…付いて来ない様に。
アイリスはロイの前で足を止め、得意気に笑った。
「ふふん、今度は置いて行かせないんだから!…私も一緒に行くよ」
ロイは首を横に振った。それでは、こうして日の出前に港まで出てきた意味が無いではないか。
「…駄目だ。俺はまた君を危険に巻き込むかもしれないし、君には家族が――お母さんが居るだろう?」
しかし、アイリスはそれでも退かない。
「大丈夫!お母さんも『行って来なさい』って言ってくれたもの!…それとも、ホントに付いて来て欲しくない?」
正直、この言葉でロイは諦めたのだった。自分の中にも、彼女と共に行きたいと思う部分があるのは否めない。
ロイは船の縁に足を掛け、揺れる身体を上手くコントロールして飛び乗った。
何も言わずに船に乗ってしまったロイを見て、顔を曇らせたアイリスにロイは呼びかける。
「何やってんの、早く乗って!」
アイリスの表情が、花の成長を早送りで見ている様にぱっと輝いた。
助走をつけてジャンプしたアイリスの体を、優しくキャッチしながらロイは思った。
〔俺は何を考えていたんだろう。彼女を置いて行くなんて…できる訳無いじゃないか〕
アイリスは、船の上で抱き合う形になっていた体勢に気付き、顔を赤らめて飛び退いた。
…が、もう一度ロイに近付くと、落ち着いた微笑みをロイに向けた。
「守ってね…お父さんとの約束」
ロイは、アーサーとの約束を忘れていた自分をハンマーで殴り倒したい気持ちになった。
しかし、アイリスの笑顔を見ていたら何だかどうでもよくなってきた。
もう一度アイリスを抱きしめる。強く…顔を真っ赤にしてじたばたするアイリスに、ロイは呟くように言った。
「勿論だ、守ってみせる…絶対に…」
船は動き出し、朝日の照らす大海へと滑り出す。こうして、彼の旅は始まった。
――友よ、天国の友よ。
君は今も元気で居るのだろうか?
君の事を忘れないように、君との約束を忘れないように。
さよならを言わない。ただ、「ありがとう」と伝えたい。
いつかまた会う日まで、僕は君への鎮魂歌を詠おう。
エピローグ1・完
イカン、エピローグがヘタな短編より長くなりそうだ( ̄_ゝ ̄)
>>閻魔の策動作者氏 ウェンディーヌキタ――(゚∀゚)――!!!
…ところで、ウェンディーヌの前に出たオサーンはWHO?
>>122さんへ
どうもありがとうございますご指摘。余り技術関連に突っ込まない方が良さそうですね…。
手持ちの武器やら〇〇系とかで済ます方向が良さそうです。マリンカイザー、ガイム(最近ガチャになって名前が付いたらしいと言う話を聞きましたが?)、Zナイトぐらいしか知りませんからね。
メタルフットってこの中に居ますか?Zナイトは違うのが解っていますが…?
閻魔の策動の作者さんへ
遂に三途の川の畔が…意外なまでにあの人より強い人が多くてw
実は強いルーガスとかがキャラとして好きだったり…妄想狂マンセ〜…。
失われし者への鎮魂歌の作者さんへ
エピローグですね。長くなってもいいんじゃないですか?
完全に話を締めるつもりなら後腐れと激しい後悔が無いようにした方が…?
「おっ?良い所に戻ってきたな。準備は出来てるぞ!装備の変更をするから降りて休んで居てくれ!」整備班長はルディアに言う。「了解ですぅ〜。」
ルディアは機体を降りてその装備の変更を見ている。「やるぞ!野郎ども!30分で終わらせるぞ!」「おおーっ!!!」気合いの入った声と共に作業が始まる。
それは嵐の様な勢いで進められその姿を変えて行く…。
「よし!出来たぜ!乗って調べてみてくれっ!」汗を服ながら整備班長はルディアに言う。「ご苦労様ですぅ〜それではぁ〜遠慮無くぅ〜。」プロトYに飛び乗り機体を起動させる。
システムチェックは直に終わり新しく成った装備の試射を指定の場所で行う。「射撃前にぃ〜砲塔の形成がぁ〜必要なんですねぇ〜…。」操作を行うと前足の肩の部分に付いた装備が素早くその姿を変える。
「これはぁ〜共和国のブロックスですねぇ〜。」急造仕立てで大量に有った共和国製のパーツで組み上げた物だ。頭部にも見えるその砲身は口を連想させる砲口を持ち上下の間を電気が言ったり来たりしている。
「それではぁ〜発射〜!」トリガーを引くとエレクトロンドライバーが発射される。しかもイクスの数倍の速度で1回分と同じだけの電撃を放出する。しかも誘導砲身にイクスのスタンブレードよりも多くエネルギーを回せるので拡散率も低い。
「そいつはスタンブレードも兼ねているからエレクトロンシザースなんて芸当も出来るぞ!」整備班長は自信たっぷりに言う。
「それではぁ〜私が使ったぁ〜マグネトロンゲイザーもぉ〜出来るのですかぁ〜?」ルディアが言うのは極小範囲に自機を中心に疑似電子レンジ攻撃?をする物で使用時間を間違えると自機も戦闘不能になる攻撃だ。
「おう!勿論だぜ!機体内外にサイレンサープレートも用意しているから限界時間も増えてるぞ。」
マイクロ波振動を空気中で起こす危険な使用方法なので極一部の物が知るイクスの使用方法をエナジーライガーで行う為更なる追加装備が必要に成ったと言う事だ。マイクロ波振動を先に代わりに受けるサイレンサープレートは振動時に熱振動ブレードにも成る。
つまり無駄を無理矢理省こうとした装備という事になる。その代わりに電撃系の兵装以外は余り大した物は無い。後方に散蒔く爆雷だけだ。「おう!後ろばっかりじゃ芸が無いだろ。前にも有るぜ!」
指差す先には前にもそれらしい物が有った。
マオの言葉に対する女性の言葉に、マオは思わず立ち上がった。
「先程述べたように、私は貴女の記憶を少しだけ覗かせてもらいました。貴女にはまだ余力があるのではないですか?」
「余力…?冗談を!!私はあれで本気の本気だったのよ!!」
「いいえ…貴女の本当の力はあんな物では無いはずです。その原因は貴女の心にあります。私は分かるのです。貴女には心に迷いがある事が…。」
女性がそう言ったとき、マオはゆっくりと目を閉じた。
「やっぱりそうか…多分私もそう思ってたよ…私なんか…もう死んじゃった方がいいんじゃないかかとね…。」
「なぜ…?」
「私は今まで数々の戦いを勝ち抜いてきた。でも考え方を変えればそれだけ殺してるって事じゃない。
私が倒してきたゾイドにも命はあるし、そのパイロットにも家族がいると思う…。それに、
あのトゥランの父親に関しても、私が殺した様な物だし…。あと、私は帝国から“緑の悪魔”って
呼ばれてるのよ。それだけ私は悪魔と呼ばれるほどの極悪人なのよ…。こんな私なんか死んでしまって充分なのよ…。」
マオは悲しげな言葉でそう言い、うずくまった。
「じゃあ貴女はなぜ戦うのです?」
女性は一言こう言うのだった。
「私がなぜ戦っていたのか…それは…この戦乱を生き残って、戦後の人生を明るく生きたかったから…。」
「ならば、その明るく生きると決めた自分の信念を貫いて見たらどうです?確かに貴女は今まで
多くの命を殺めてきたでしょう…。しかし、それは自らが生きる為ならば仕方のない事では
無いでしょうか。それは自然界に置いては当たり前の行為だと思います。貴女はそれまで殺めてきた
人の分まで生きなければならないのでは無いですか?それに、貴女は今ポルトを守るために
戦ってくれているじゃありませんか…。それに、貴女の仲間達もこうして戦っているのです。」
女性がそう言った直後、空中にポルトでの戦いが写し出されたのであった。
「これは…。」
「うおおおおおおおおお!!!!」
ウルトラの砲弾の雨が、セイスモのゼネバス砲が、キメラサタンの体を次々に撃ち抜いていった。
そして、アシュラゲイルの阿修羅流の奥義の技がキメラサタンを翻弄し、ジェネラルとエナジーが
その高速性と武器の破壊力を生かし、高速で走り回りながらキメラサタンを切り裂く。
さらにゼノンがキメラサタンに肉弾戦を挑みつつ、各種火器のゼロ距離射撃を繰り返していた。
「くそ!!これだけやっても再生するか!!このままじゃラチがあかんな!!」
皆の攻撃がキメラサタンを完全に圧倒していたが、キメラサタンの持つ、無尽蔵のスタミナと再生力によって決定打を与えられずにいた。
「みんな!!!」
「分かりましたか?まだ戦いは続いているのです。確かに厚かましい事だとは思いますが、
貴女に死んでもらっては困るのです…。それに…貴女に死んで欲しくない人物は他にもいる様子ですしね…?」
「え…?」
マオは首を傾げるが、女性は笑いながら顔を近づける。
「とぼけたって無駄ですよ。私は貴女の記憶を覗く事が出来ると言ったでしょう?そのラインって子。
貴女の記憶にひときわ強く焼き付けられている様子だけど…好きなんでしょ?」
マオの顔がレッドホーン以上に赤くなった。
「そ!!そんなんじゃないやい!!」
「あ〜らそう…でも私に嘘は通用しませんよ…。ホホホホ!そう言えば、そのライン君はライガータイプのゾイドに乗っている様子ね…。」
「そ…それがどうしたのよ…。」
女性はニッコリと微笑んだ。
「昔ちょっとあったのよ…、まあ私にとっては昨日の様な物だけど…。以前…この町が襲われた時に、
町の人を守るためにライガータイプのゾイドで立ち向かった一人の少年がいたのよ…。その子の事を少し思い出してね…。」
「へ〜…そんな事があったの…。でも、その時に襲われたのは何故?」
「その時も今と同じように私が目的だったみたい…。もっとも、その時は私その物の破壊が目的見たいだったけど…。」
「それって…、貴女が敵を引きつけているって事にならない?」
マオの言葉に女性が一瞬沈黙した。
「もしかしたらそうかもしれないわね…。でも、私がいなくなったらポルトの町の人達は困ると思うの…。」
「なら…何で貴女は私たち人間の為なんかに電気を起こしてるの?」
女性は再びニッコリと微笑んだ。
「町の人達が好きだから…。そんな子供みたいな理由はダメかしら…。それに、私は思うのです。
確かに人間には悪い人もいるでしょうが…本当に良い人もいると…。今の内は戦争をしていても、いつか戦争の無い時代が来ることを…。」
「く…くさいセリフ…。でも、嫌いじゃないよそう言うの。」
マオと女性は互いにニッコリ笑った。そして、マオは立ち上がり、両腕を振り始めたのだった。
「は〜…貴女の話聞いてると悩んでた自分が馬鹿みたいになってきた。まあもう一度やるだけやって見るよ…。」
「行ってくれるんですね!!」
女性が喜びながらそう言ったとき、マオは突然その場に倒れ込んでしまった。
「で…でもダメだよ…。やっぱり…。」
「え?」
「疲れた…。今まで別のことに頭が行っていたから気付かなかったけど、今思えば体中痛いし…。」
ずげげげげげ!!
女性はすっ転んだ。確かに、マオの言う通りであった。彼女には体中に傷があったのであった。
「は〜…わかりました!私の力で貴女の体力を回復させてあげます!」
そう言って、女性はマオに近寄った。そして…。
ちう…
「!!!!!!!!!!!!」
なんと、女性がマオに思い切りキスをしたのだった。突然の出来事にマオは戸惑った。
「うわああああああ!!!私はそんな趣味は無いよ――――――!!!」
マオはそう叫びながら全身をバタつかせる。
「落ち着きなさい!今ので貴女の体力は回復したはずよ。」
「あ!そういえば…。」
女性の言葉にマオは我に帰った。よく見るとマオの体の傷も完全に癒え、体力も回復していた。
「じゃあ今のは…?」
「ちょっとあなた方の言う“気”を送り込んだのです。これでもう大丈夫でしょ?」
「まあ他に言いたい事あるけど…まあありがとう!!」
そして、女性はある方向を指さした。
「私の指さす方を進んでいけば元に戻れるはずです。」
「わかった!!じゃあ行ってくるよ!!」
マオはそう行って、もの凄い速度でその方向を突っ走っていった。
「これで良いんですか?」
女性が後ろを向くと、そこには先程現れたが、直ぐに姿を消した男の姿があった。
「ありがとうございます…。娘にあの歳で死なせるわけには行きませんからな。もっとも、二人が物心付く前に死んだ私が言う立場ではありませんが…。」
キメラサタンへの総攻撃は続いていた。しかし、キメラサタンの無尽蔵の再生能力により、決定的な
ダメージを与えられずにいており、さらに疲れが見え始めていた。
「これだけやってもダメか…。」
突然エーマがニヤリと微笑むと、まだ生き残っていた怪ゾイドの群が突然集まってきた。そして、それを取り込み、再び進化しようとしていたのだ。
「な!!また巨大化するつもりか!!」
「フ…。ただでかくなるだけが能では無いさ…。」
キメラサタンは巨大化しなかった。その代わり全身が強固な外骨格に覆われたのだった。
「どうだ!!再生能力はそのままに、強固な鎧を手に入れたキメラサタンの姿は!!もちろんパワーも以前の比では無いぞ!!」
エーマはそう叫びながらキメラサタンの力を誇示した。ウルトラが一発リニアキャノン砲を発射した。しかし、弾き返された。
「確かに…固くなってる様だな…。」
「ならば装甲と装甲の隙間を攻撃するのみ!!!!」
突然ゼノンがキメラサタンに飛びかかった。しかし…キメラサタンの腕の一ふりでゼノンの装甲がひしゃげ、そのまま動かなくなった。
「なんと…。体が固くなった分、攻撃力も上がったわけか…。」
ミオの額から汗が流れていた。
>>失われし者への鎮魂歌作者さん
エピローグ2がどうなるのか楽しみにしてますよ。あとさらに新シリーズも。
>>恐怖の亀裂作者さん
電撃系のオンパレードっぽい武装ですね。さあこれからどうなるのでしょうか?
「やれやれ…あの男、こんな巨大な研究施設をどうやって秘密裏に作ったのやら…」
あの戦いから、ケインが地下に隠していた研究結果や資料の全てが回収されるまでに一ヶ月を要した。
アルティシア=フィールドは溜め息をつき、へリックシティを見渡せる郊外の丘に身を横たえた。
風がそよぐ度、彼女の頬を柔らかい草が撫でる。終戦直後だと言う事を忘れそうなほど、ここは平和だった。
勿論、破壊された街の復興作業は進められている。まだまだ時間は掛かりそうだが、人々の目に活気が戻った。
ふと目を横へ向けると、ラガートが歩いてくるのが横向きに見えた。
「ん、どうかしたの?馬鹿参謀」
ラガートは何ともいえない顔をした。
「その呼び方止めてくださいよ!何で僕が…『馬鹿』なんて…」
「あれ、傷ついた?…ゴメン」
らしくも無くしゅんとして謝るアルティシアに、ラガートはあわてて付け加えた。
「あ、で、でも!ちゃんと普通に呼んでくれれば良い訳で…」
アルティシアは身を起こした。
「解ったわよ、ノーティス少佐…普通でしょ?」
「ええ、まあ…」
何故か、この時ほんの少しだけラガートは寂しさを覚えた。
アルティシアも同じ様だったが、ロイが居なくなってしばらく猛烈な喪失感に襲われたものだ。
彼はまだ元気で居るだろうか。そんな思いが時々頭を掠める。
それを読み取ったように、アルティシアが笑った。
「…大丈夫、彼ならきっと元気でやってるわよ」
アルティシアは立ち上がった。背中の草を掃い、丘を下っていく。
ラガートも後を追うように緩い傾斜を下る。
「そうですね。彼ならきっと…強い人でしたから」
アルティシアが立ち止まり、振り返って言った。
「さあ、私達はまだ軍人なんだからね!仕事がまだまだあるわよ〜…キャンプまで競争しよ!」
言うが早いか、アルティシアは一気に坂を駆け下りた。
「(;´Д`)えっ、ええー?…せこい…」
細身の外見に似合わぬ俊足で走っていくアルティシアを、苦笑しつつもラガートは追いかけた。
――僕は神様を信じません。
この世に悪魔は居ません。
けれど、最も悪魔に近い物は人間です。
神も存在しなければ、悪を裁きに舞い降りる天使も存在しないのです。
人の為す事を止めるのは、ただ人のみだという事、どうか忘れないで下さい――
エピローグ2・完
うりっ、と…
次回作は次スレの途中くらいから投下しようかと思います。だんだんキャラクターが出来て来ますた。
他板で小説書いてる友達や従兄弟にもキャラ作りに協力してもらい、製作は進行中です。
ただ…何故か、ギャグ色が濃くなりそうな…?
>>140 なんか心強い味方がいるようで、何より。
王道(オレストの)な話だけど、良くまとまってたよ。
次回作も頑張れ!
…いや、期待しております。がんばってください先生。
「しかし…これだけの力を手にしたキメラサタンもまだ完全ではない…。ウェンディーヌを
取り込んで初めて完全となるのだ。さらに、あのゴジュラスタイプをパイロットごと取り込めば、
強大な力をコントロール出来るだけのテクニックを手に入れることが出来るだろう。」
キメラサタンはゆっくりとウェンディーヌに近づく。その時だった。ジェネラルが再び突っ込んできたのだ。
「中尉は!!!やらせねええ!!!!」
「バイス曹長!!!」
「フウ…。無駄だというのが分からない馬鹿は悲しいねえ…。」
超高速で突っ込んでくるジェネラルに対し、キメラサタンが腕を振り上げた。その時だった。
ぎゅぅぅぅん!!! ぐっしゃぁぁぁぁ!!!!
もの凄い音と共に突然キメラサタンの腕が吹き飛んだのだった。
「ライン…あんた無茶はダメだよ…。」
「ちゅ…中尉ぃぃぃ!!!!!」
ラインは思わず号泣しながら叫んだ。キメラサタンの腕を吹き飛ばし、ジェネラルを助けたのは
マオとカンウであった。さらに、カンウの傷は完全に再生していた。ラインはこの現象をかつて
見たことがあった。それは、初めてセイスモサウルスと戦った時に、セイスモサウルスの大軍の
一斉放火を受けてカンウが蜂の巣となった時だった。その時もうダメかと思った矢先に、
カンウが驚異的な再生力を見せ付けて一気に全快したのだった。それはマオとカンウの精神リンクが
最高潮に達した時に発生する驚異的な力が、同時にゴジュラス・ジ・オーガにも匹敵する再生力を
生み出す結果となったのであった。そして、マオはカンウごとミオのウルトラの方を向き、敬礼をした。
「マオ=スタンティレル中尉!ただ今復活しました。」
「フ…偉く世話やかせやがって…。」
ミオは微笑んだ。
「うわ―――――い!!生きてたんだねマイハニ――――――!!!」
「お前は黙ってろぉぉぉ!!!」
ルーガスは思わずハイテンションになるが、ミオにしかられるのであった。
「さあてと…ヤツを倒しましょうかね…。」
マオとカンウはゆっくりキメラサタンの方を向いた。
「私を倒すだと…?お前狂ったのか?あの以前の姿のキメラサタンにすら勝てなかったお前が…。」
「確かに…あんたのその姿はおぞましいし、恐ろしいさ…。けど、今の私は何か負ける気がしないのよね…。もちろんカンウも。」
マオがそう言った後、カンウは軽く一吼えし、一歩前に出た。
「負ける気がしないだと…?馬鹿が…。ならば今度こそ完璧に…。」
ばぎんんっっ
その瞬間、キメラサタンの顔面にカンウの回し蹴りが叩き込まれたのだった。キメラサタンも大きく怯んだ。
「不意打ちとはな…だがぁ!!!」
体勢を立て直したキメラサタンがカンウに対し剣化した両腕を高速で叩きつけた。しかし、フッと
かき消えるようにカンウは回避し…。
「ギガクラッシャーキックカポエラスペシャル!!!!」
どばぎぃぃんっっ
目にも留まらぬ速度で逆立ちしたカンウが、キメラサタンの腹部を思い切り蹴りつけたのだ。それは
とてつもなく速く、重い一撃であり、キメラサタンの巨体が宙を舞い、倒れ込んだ。
その時のカンウの姿は、さながら地球の格闘技の一種“カポエラ”の様であった。
ちなみに、ゴジュラスギガの小さい腕で逆立ち出来るの?という突っ込みは無用である。
「…………。」
その光景を見ていた誰もが唖然とした…。
「な…馬鹿な…。お前の何処にそんな力が…。うお!!」
エーマが焦り顔でキメラサタンを起きあがらせた時だった。エーマの目にマオとカンウがとてつもなく巨大に見えたのは。
「…………。」
エーマは声もなく驚くのだった。突然マオとカンウが巨大に見えたのは、両者の気迫がオーラとなってそうさせたのであった。
「お…おい…嘘だろ…?」
その時のマオとカンウに驚いているのはエーマだけではなかった。その他の皆も同じように驚いていたのだ。
「だから言ったでしょう?負ける気がしないって…。」
「…………。」
エーマの額から汗が流れた。
「なめるなぁぁぁ!!私だってぇぇぇ!!!!」
ミオが突然妙な対抗意識を燃やしてそう叫んだ時、ミオとウルトラザウルスがさらに巨大なオーラが
現れたのだった。そのオーラの大きさはマオとカンウのそれを遥かに超えていた。
「うわぁぁぁぁ!!!!せっかく盛り上がってる所なのに不陰気ぶちこわしだよ!!」
思わず全員がそう叫んだ。
「く…クソ…。」
エーマとキメラサタンがうろたえたその時、目にも留まらぬ速度でカンウが再び組み付いてきたのだった。
「これ以上町を破壊させはしない!!天導山おろ―――――――し!!!!」
「うおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」
マオと同調したカンウが、キメラサタンの巨体を町の外まで投げ飛ばしたのだった。キメラサタンは
そのまま海に落下した。さらに、カンウはそのままキメラサタンを投げた方向へ走っていった。
ちなみに、天導山とはオリンポス山の事を指す。
「す…すげええ…。」
クーゴが思わずそう呟いた。その時、もの凄い勢いの水柱を飛ばしながら、キメラサタンが海中から飛び出てきたのだった。
「嘘だ嘘だ嘘だぁぁぁぁ!!!!自然物ごときが…機械ごときが…Ziソウルも持たぬ者がこの私と
キメラサタンに勝てるわけが無いのだぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!」
「その思い上がりがいけないんじゃないかな?エーマさん?まあ、あんたのゾイドはがむしゃらに
攻撃した所で直ぐ再生しちゃうからねえ…。次は直接コアを砕かせてもらうよ…。」
完全に表情が崩れたエーマと、余裕の表情を見せるマオ。気負いからしてマオとカンウが優勢であった。
「こうなったらこの町そのものを吹き飛ばす!!!」
「ええ!!!?」
突然キメラサタンの腹部が開き、中から黒い光がかすかに放たれていた。
『敵怪物ゾイドから高エネルギー反応!!!これは周辺数キロを吹き飛ばせる程のエネルギーです!!しかもさらにそれが増幅して…。』
「な…なんだってぇぇぇぇ!!!?」
すっかり存在が忘れ去られていたミルトの言葉に、全員がM○R風でそう叫んだ。
そして、エネルギーをチャージしているエーマは不気味に笑っていた。
「キメラサタンの誇る最終兵器…。“ゴウトゥヘル”で全員まとめて地獄へ逝くがよい…。」
「うわあああ!!そんな事したらあんたのお望みのウェンディーヌも破壊しちゃうよぉぉ!!!!」
「もうウェンディーヌなどいらん!!!ここでお前達に倒されるよりはマシだ!!それに…、
この後ゆっくり力を蓄えていけば完全な力が手にはいるからな…。」
「な…。」
エーマの言葉に、マオは肩の力が抜けた。キメラサタンの持つあまりにも絶望的なエネルギーに
絶望していたのだ。例えハイパーEシールドを張ったとしても、無意味であろうから…。
「総員民間人を連れてこの町から待避ぃぃぃ!!!!」
ミオの言葉に皆が待避して行く。無駄だと分かっていても。
「もう終わりだ…。」
マオは下を向いてそう呟いた。突然あのウェンディーヌの声が彼女の耳に響いてきたのだった。
『絶望してはいけません!!!私は分かっているのですよ!!貴女には、“強すぎるために禁じ手として封印した秘技”があることが…。今こそそれを使う時です!!』
「そ…その声はウェンディーヌさん!!えええええええええええい!!!!!もうこうなったら
貴女の言うとおり使って見せますよ!!!最後の無駄な抵抗を見せてやるぅぅぅ!!!!!!」
マオがそう叫んだとき、マオとカンウの体全身が強烈な緑色の光を発し始めたのだった。
「な…何を始める気だ…?」
「な…何だあの光は…Ziソウルとは違う…。」
マオとカンウの異変を見たエーマやクーゴがそう呟いた。
>>失われし鎮魂歌作者さん。
エピローグ2の完結お疲れ様です。個人的にはリッツ等がどうなったのか気になるのですが、
まあそれはともかく、新シリーズの方も楽しみにしていますよ。
終戦後、両軍の軍事研究所が襲撃されると言う事件が相次いだ。
最初の内は無差別に狙われているものと思われたが、その後軍はあることに気付いた。
――狙われているのは、オーガノイドシステムの研究施設ばかりだったのだ。
リッツ=ルンシュテッドは愛機のハッチを開いた。
コックピットから眺める星空は、ここ数年に無いほど澄み渡っていた。その美しさにリッツは溜め息をつく。
そう、一連の襲撃事件の犯人は彼だった。もっとも、共犯者がいたが…
「初期型のジェノブレイカーでよくもまあ…最新型機がゴミの様だな」
横に並ぶ赤いバーサークフューラー、アーマーコード「ゼネバス」に乗るイオが周囲を見渡し、呟いた。
彼らが居たのは、今しがた壊滅させた帝国研究所の跡地だった。先に威嚇射撃で研究員を追い払ってから
攻撃を加えたので、死人は出ていないはずだ。
「お前さん、いつまで続ける気かね?一人二人でどうにかなる事じゃないと、解っているのだろう?」
イオがそう言った時、レーダーにこちらへ接近するゾイドの一個中隊が映った。帝国軍の追手だろう。
リッツはハッチを閉じ、スラスターをニ、三度空ぶかしする。
「それはどうかな…戦争終結後の今、OSの研究は設備の整った所でしか行われていないはずだ。
しらみつぶしにして行けば、いずれは目的を達成できる――第一、」
ジェノブレイカーが頭を西へ向けた。
「可能であろうと不可能であろうと、俺は俺の信念を貫くまで――それだけだ」
ブースターを吹かし、二機の赤いゾイドは何処かへと去って行った。
失われし者への鎮魂歌 エピローグ3・完
西方大陸の荒野を、一機のドラグーンネストが駆け抜けていく。
濃緑の迷彩色に塗装されたその機体は、シエル=バレンタインの所有する「ゲルニカ」だった。
後方へ飛び去って行く風景をぼんやりと見ながら、シエルは奇妙な感慨に耽っていた。
――自分は、戦争の終結を目指して活動してきた。終戦協定が結ばれ、一応平和的解決ができたと言える。
だが、この戦争で失われた物はあまりに大きく、喪われた命はあまりにも多い。
命を奪われた兵や民間人の家族が、恋人が、黙って敵を許してくれるはずも無い。
悲しみはまた、憎しみを呼ぶ。それは連鎖する様に広がって行くだろう。
「本当の意味での終戦って…何なんでしょうか…」
かつてバーシアスが言った、「目的のための犠牲」が身に染みて解る。
人は、無力だ。一人では何も出来ない、ちっぽけな存在だ。
だからこそ人は、人を求める。だからこそ人は、誰かと一緒に居たいと思う。
展望デッキで一人溜め息をつくシエルを心配してか、ジードが近付いてその肩を叩いた。
「…大丈夫か?」
シエルは、特に変わった様子も無くいつもの穏やかな笑みを見せた。
「ええ…ジードさん、私達のやってる事、無駄じゃないですよね?」
ジードはしばし驚いた様な顔をしたが、自信を持って言った。
「…勿論だとも、無駄なんかじゃ…ない」
シエルは、胸の中にずっとあった塊が解れて行くのを感じた。
――自分は、誰かに肯定して欲しかったのだ。間違いじゃないと、言ってもらいたかっただけなのかも知れない。
人は弱い――そして、シエルはそれを誇りに思った。
失われし者への鎮魂歌 エピローグ4・完
短い話だったので2つ続けて書きました。
>>141 そ、そんな(//_ _//)
先生なんて呼ばれる腕じゃないですよ…さんくす。
>>146 リッツは、最後まで自分の信念を貫くキャラだと思ったのでこうなりました。
新シリーズ、確かに「斬新」という点では前代未聞?でもこのスレ結構凄いから
あまり驚かないかも知れませんが。
「これってもしかしてぇ〜?」「もしかしなくてもそうだ!ここまで来ると発射用の火薬は最早厳禁だからな。化学反応式炸薬も危ないしそこでだ。」
咳払いして整備班長は自信たっぷりに言う「これが最新のジャンク作品至高の一品だ!リニアディスチャージャー。電気と磁力で対象を射出するぞ!」
その言葉を聞きルディアは「何か電力不足にぃ〜成りそうですねぇ〜?」その言葉に「うぐっ!?でもエナジーチャージャーも有るし充電式内部バッテリーとかも有るから30分は全力でいける。大丈夫だ!多分。」
「そっそれに特攻馬鹿が暇な時に実験していたアレも使える。覚えているか?あの時誰かがミサイルと間違えて天井に穴を開けたアレだ!エレクトロンドライバーに同じ機能が付いている。」何とか機嫌をとろうと有る機能の説明をする整備班長。
「ああ〜あのアレですかぁ〜!?使えそうだと思っていたんですぅ〜。」余程気に入っていたのか電力不足の事は頭の中から消え失せていたルディアだった。
「機嫌が悪いのね?やっぱり嫌?」ミズホはコクピットに言う「イヤトイウホドデモナイガ…ランクオチハマチガイナイ。」とモニターに答えが返ってくる。ここはラビットホーンのコクピットだ。
「ゴメンね〜操作下手だから。」頭を掻きながらミズホは言う。かれこれ30回程シミュレーションを繰り返しているが機体を上手く操縦出来ていない。とは言え操作の面倒な彼を使用してのシミュレーションなので多少の成果は上がっている。
機体のレベルを落とせばそれなりに動かせる様にはなっているらしい。残念な事だがここにあるのは全てがカスタムタイプで見た目がそのままでも一様に調整が違うので簡単に乗れそうな物は無い状況。
つまりは…慣れろ!と言う事なのだ。「それにしても…語源を変換出来ないの?ちょっと読み難いよ。」因みにモニターに写っている文字の羅列は初期教育用に使われる共和国製の暗号伝聞だ。「チョットマテ…これで良いか?」文字が一般的な物に変わる。
「良くできました!じゃあ続きをするからお願いね?」ミズホが言うと「解った。」と返事が返ってきた。
「嫌です!もっとミサイルを付けてください!」メイアは駄々を捏ねる…その後ろでも「認めん!バランスが崩れても良い!もっとブレードを付けろ!」クロームも無茶な要請をしている。
何処でもこの調子で整備に手間取っていたと言う。
「私は今まで、色々な所で修行をしてきた…。技の竜王流…心の神聖寺…体のカランの塔…。
そして、その時の修行を元に、さらなる新しい技を開発したりもした…。これはその中の一つ。心技体が三位一体した…。」
「神龍拳!!!!!!!!」
マオがそう叫んだ時だった。マオとカンウから発せられた“気”が龍を形作り、さらにカンウがそれを纏って光の龍となったのだった。
「な…なんと…。」
それを見た皆が思わず唖然とした。
「かつて…この技を使ったとき、あまりの威力にその技を受けた相手は跡形もなく消滅し、私自身もかなりの火傷を負った。故に私はこの技を封印した…。しかし、あんた相手なら話は別!!!!!」
「わらわせるな!!そのようなチャチな物がこの“ゴウトゥヘル”に勝てると思うなぁぁぁぁ!!!!」
その直後、キメラサタンの腹部からゴウトゥヘルが発射された。漆黒の超エネルギー波が真っ直ぐにカンウ目がけて飛んでくる。
「はぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
マオの気合いを入れた叫び声と、光の龍と化したカンウが咆哮音が同時に響き渡った直後、カンウがゴウトゥヘルを押しのけながら跳んだ。それは光と闇の激突。気功VSZiソウル。完全野生体VS超遺伝子操作生物。
「な…。」
誰もが唖然とした。カンウの纏った光の龍がキメラサタンのゴウトゥヘルを防いでいたのだ。
「ググググググ!!!!!」
一見互角に見えたその勝負も、実際はカンウが押されていた。マオとカンウは渾身の力で
前進しようとするも、ゴウトゥヘルの超エネルギーにずいずいと押されていった。
「ま…マオちゃんが戦ってる…。」
キメラサタンに潰されたものの、何とか生きていたゼノンの中で、同じくどうにか機能停止せずに
いたハガネがその光景を見てそう言った。しかし、キメラサタンにやられたダメージは大きく、彼女は戦えなかった。既に意識も朦朧としている。
『お姉ちゃん!!!がんばって!!!』
「ええ!!!?」
朦朧とした意識の中、突然声が聞こえてきたのだ。それは少女の物だった。しかも、ハガネの
聞き覚えのある声…。それは、ガイア山で会った、アリスの物だった。そして、ハガネの前に
うっすらと半透明状のアリス自身が現れたのだ。
『お姉ちゃん頑張って!!負けないで!!!エッちゃんを怪物から助けたように…。もう第二のエッちゃんみたいなのを作らせないで!!!』
そう言った後、アリスは姿をフッと消した。ちなみに“エッちゃん”とはハガネがガイア山で
出会ったアリスの友達であり、ガイア山の魔物の核となっていた野生のエレファンタスである。
「アリス…。ようし…。」
アリスの励ましを聞いたハガネが、朦朧とする意識の中、必死に体を動かし、操縦桿を握ろうとした。
全身の駆動系が…ギアが…油圧ポンプがギシギシときしんでいる。どうにか掴んだ。それを思い切り
引いていく。さらに体がきしむ。そして、きしんでいるのはゼノンも同様であり、ギシギシという
音をたてながら、その尾の荷電粒子砲をキメラサタンに向けて行く。そして、残る力の全てを、
一本の荷電粒子砲に集め、発射したのだった。荷電粒子砲は、マオとカンウを手伝うように、
そのままキメラサタンの発射したゴウトゥヘルを押していくのだった。
「ハ…ハガネ…。」
「マオちゃん…あんた一人にいいかっこはさせないよ…機械の…ロボットの意地って物を見せてやるよ!!!」
しかし、それでもカンウが漆黒のエネルギー波に押されているのは変わらなかった。さらにズイズイ押されていく。その時だった、さらに背後から赤い光が飛んできたのだった。それは、
エナジーライガーからエネルギーを得た、ジェネラルのジェットファルコンから発せられた高出力ビーム砲だった。
「俺達の事を忘れてもらってはこまりますね!!」
ラインが思い切り叫んだ。そして、さらに数本の雷の様な物が飛んできた。
「阿修羅流奥義…阿修羅雷撃…。」
それはギフとアシュラゲイルであった。そして、それに続くかのように、皆が一斉に砲撃を開始したのだった。
「我々の持つ全火力を…総力を持って、ヤツの野望を阻止しろぉぉぉぉぉ!!!!!」
何故か主導権を持っていたミオがそう叫び、ウルトラに装備される全ての火器をキメラサタン目がけて発射する。
「お…俺達だって…。」
ミオの言葉に反応し、皆が一斉に砲撃を開始した。セイスモサウルスのゼネバス砲が、
デスザウラーの大口径荷電粒子砲が、凱龍輝の集光荷電粒子砲が、そしてバスターキャノンが…
全ての火器がキメラサタンのゴウトゥヘルの漆黒のエネルギーを押し返さんと集中されていく。
「みんな…。」
マオは思わずそう呟いた。もう帝国も共和国もない。ヤツを…エーマとキメラサタンを生かして
いれば、全世界が悲劇に襲われる。それを阻止するために…。皆の力を一つにしたのだ。
「無駄無駄無駄無駄ぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
全ての力を結集しても、押されていると言う状況は変わらなかった。皆はキメラサタンの無尽蔵のエネルギーに驚愕する。その時だった。
「がんばれぇぇぇぇ!!!!!!」
突然その様な声が聞こえてきたのだ。それは、町の外の高台からだった。そして、ポルトの町の
人達が総出で応援していたのだ。これが彼らの出来る唯一の事だったのだから…。
「がんばれぇぇぇ!!あと少しあと少しだぁぁぁぁ!!!」
「フレー!!フレー!!!」
皆が必死に声を張り上げて応援した。トゥランを除いて…。
「な…何でみんな応援するの…?緑の悪魔はお父さんの敵なのに…。」
「確かに、お父さんはあの人にやられたのかもしれない…。けど、今こうしてこの町の為に
戦ってるのも事実よ…。それに、あの人だけじゃない…。他のみんなも、ポルトの為に頑張ってるのよ…。」
「………。」
母親の言葉に、トゥランは一瞬黙り込んだ。
「うああああああああ!!!!!!」
「無駄無駄無駄無駄!!!!!諦めろぉぉぉぉぉぉ!!!!」
皆の応援も空しく、帝国、共和国、自警団の全火器の総力を結集しようとも、キメラサタンに押され続けていた。
「ググググググググ!!!!!この技を使ってもダメなのか…!!!!」
マオが全身を力ませながら叫んだ。さらに、その高エネルギーに耐えきれず、カンウ自身もあちこちから煙が吹き出ていく。
基本的に一日一回ずつ書き込んでるんですが、もうクライマックスなんで、
また書き込ませてもらいました。明日で完結かな?
>>失われし者への鎮魂歌作者さん。
おつかれさまです。
リッツなどの他のキャラのその後もしっかり描かれていましたね。
何か彼らの戦いはまだ終わってはいないという感じでしょうか・・・。
話は変わりますが
>>146の一行目、「者への」が抜けていましたね・・・。すみません。
あと、
>>130で言っていた、「…ところで、ウェンディーヌの前に出たオサーンはWHO?」
という言葉に対する今更ながらの返事ですが・・・、まあ、本編を読めば大体想像は付くと思います。
>>恐怖の亀裂作者さん。
まだまだ続きますね。頑張って下さい。
あと、パイロットと整備兵(?)の意見の食い違いというのも良かった様に思えます。
閻魔の策動の作者さんへ
ドッドラ〇ンボー〇の撃ち合い!?いろいろな作品にこの手の表現が有りますが…あっち方面(〇ンライズの通称リアルロボット物)では余り見ない表現ですね。
遂にクライマックス!このまま人気漫画作品の様に4週間とか続いたら別な意味で神作品に!?
失われし者への鎮魂歌の作者さんへ
4つめ終了乙津さんです!手伝ってくれる方が居るとは…驚きです。
因みにこちらのお供は〇レンディ(コーヒーの粉)と明〇の牛乳のみです(自信たっぷりに)!!!
情けなや〜_| ̄|○
地上ではあれこれ動きがあって忙しい頃ザクサルは帰還できずに居た。隣に彼の服を着て座っている少女の所為である。
「まさか…驚きだな。幾ら胎動期からコアが要らない物を切り捨てそれがもう一つの存在になるとは言えどなぁ?」横に居る少女に目をやる。
彼女は事もあろうかレイバークラブから切り離されて産まれたのだ。彼の真後ろで…。
それは夜半を回った頃に遡る。
「くくくくく…何時もこうだ。少しでも刈り取り時期を間違えると作物が食えん様に白黒を付けるの忘れた者。懐柔の時期を逸した者が壁になって私の邪魔をする。」
レイバークラブを帰還させるべく移動をしている最中突然それは起こった。「何!?システムエラーだと?何があった…?」コンディションモニターを見るととんでもない事を表示している。
”システムロスト”それを確認したかしないかのタイミングで全てのシステムがダウンしたのだ。機体自体は何方かというと野生ゾイドに近いため難無く着地するが内部の彼はそうもいかない。
「くっ!?本当に落ちたか!?ん?何っ!?」着地の衝撃でシートの後方に有ったカバーが外れ中からこの系統のゾイド特有の体液に塗れ少し前に見た繭に包まれた少女が飛び出してきたのだ。
「如何しろと?」自問自答を繰り返しても結果は出ない。取り敢えず邪魔な繭をどかしザクサルはコクピットをどうにか出る。見た所まだ巣には程遠い位置に居る事は確かだ。
通信機もこんな時のお約束とばかりに受信以外は出来ないとしっかりしている。「しょうがない。下ろすか…。」システムロストと言うのが気に掛かる。あの少女がもしレイバークラブの中枢たるシステムであるなら更に問題が出来る。
上手く動けばの話であるがこれ以降あの少女を気にして戦闘を行う事になるのだから。
ふと上を見上げると気が付いたのか少女はコクピットから乗り出している。危ないと思ったがやはり蛍光色の体液で手を滑らせ落ちる。「そこまでそれかっ!」
普通の者なら全く間に合わない距離だが身体能力が異常の域に達している彼なら如何にでもなる。悠々と少女を抱き抱えて床に降り立つ。
「全く…せっかちなお姫様だ。」繭の大きな切れ端を適当に羽織っているが風が一吹きすれば飛んでいく様な軽さの物だ。誰の目から見てもこれが金属とは思えないだろう。
これもお約束ならと言う事で上着を無理矢理少女に着せた…。
「がんばれぇぇぇぇ!!!!!!お姉ちゃ―――――――――――――――――――ん!!!!!」
突然マオの耳にそのような声が響いてきた。それはトゥランの物だった。
「がんばって!!がんばってお姉ちゃ――――――――ん!!!!」
「うあああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!」
その時だった、光の龍が皆の力を一点に集めて漆黒のエネルギー波をはねのけながらそのままキメラサタンをぶち抜いたのは…。
「やったか…。」
皆がかたずを飲んでキメラサタンの方を見た。キメラサタンの体は見事に円形の切り口を残し、
上半身が完全に消滅していた。しかし、その下の断面に円形の物がかすかに見えた。キメラサタンの
ゾイドコアである。キメラサタンはまだ生きていたのだ。
「し…しまった!!!!」
マオとカンウは愕然とした。しかし、先程の一撃でエネルギーも気も使い果たし、もう動けなかった。
「ハッハッハッ!!惜しかったなー!!!」
エーマが笑いながらキメラサタンが再生を始める。が…
「トドメだぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!エーマァァァァァァァ!!!!!」
「何!!!!?」
それは、白い光を身に纏ったもう一体の龍。スーパーマトリクスドラゴンだった。
そして白き光と化したスーパーマトリクスドラゴンは、むき出しになったキメラサタンのコアを完全に砕いたのであった。
「うっおおおおおおおおお…ば…馬鹿な…………。」
コアを失ったキメラサタンは崩れ落ち、そのまま風化してしまった。町中で暴れていた怪ゾイドもその機能を停止した。
「やったぜぇぇぇぇぇ!!!!!」
皆の唖然とする中、最後に良いところを持っていったクーゴ達がそう叫びながらガッツポーズをとるのであった。
「所詮…。コピー人形ではあの程度にすぎない…か…。とはいえ…、あのゴジュラスタイプ…。
所詮は玩具とあなどってはいたが…。そのパイロットは伊達では無いようだ…。
いずれにせよ…そうやすやすと世界を手に入れることは出来ないという事か…。」
町から遠く離れた場所から一部始終を見つめていた一人の男がそう呟いた。そして、
その背後に座らせていたロードゲイルに乗り込んでいく。その男はエーマそのものであった…。
エピローグ
それから…町の復興が始まった。
ポルトのあまりの破壊ぶりに、ミオもルーガスも本国の上層部から大目玉を食らいそうになったが、
エーマの事、怪ゾイドの事、キメラサタンの事などの報告をした途端に、事の重大さに気付いた
ご様子で、早速別に復興支援部隊を送る事を承諾した。しかも、ミオもルーガスもおとがめ無しという都合の良すぎる展開となっていた。
勝手に首を突っ込んでおきながら、最後は良いところを持っていってしまったクーゴ達は…。
それから、一休みした後、再び何処へと立ち去ってしまった。今頃何処かを走っているはずであろう。
そして、この戦いで損傷したゾイドの修理や負傷兵の手当てなどが行われていた。
ロボットであるハガネも同様であり、ドラグーンネスト内の特別室にて、損傷した箇所の修理などが
行われていた。そんな時、その特別室にクライトが入ってきた。
「ハガネさん!何か現地の女の子がお前に会いたいって言うから連れてきてあげましたよ。私って優しいでしょ?」
そう言うクライトの後ろにいたのはメリムだった。
「オ…ネエ…チャ…ン…。」
「メリム!!」
そして、メリムは両手に持っていた花束をハガネに渡すのだった。
「ア…リ…ガ…ト…。」
ハガネはニッコリと微笑んだ。
ギフはウェンディーヌの頭の上で再び座禅を組んでいた。
「やはり拙僧の思った通り…あやつの実力は想像を超える物があり申した…。」
ギフは再び修行のやり直しを始める決意を固めていた。
ティルはずっと海を眺めていた。ポルトで体験したこと、知った事は彼女にとって衝撃的過ぎたのかも知れない。
「オサンゾ博士が死んで…エーマ博士が世界征服なんて野望を持っていた…。この事…みんなにどうやって話そう…。」
「好き…嫌い…好き…嫌い…好き…嫌い…………。うっわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」
「まだ諦めてなかったのか!!このロリコン少将がぁぁぁぁぁ!!!!」
ルーガスは今だに花占いに勤しんでいた。どうあってもマオの事を諦められなかった様子であった。
「フウ…。今度ばかりは流石に焦ったぞ…。とはいえ…ミオもマオも立派に成長した物だな…。まあ、若い頃のワシに比べればまだまだだが…。」
皆があの世と呼ぶ場所。花畑の真ん中に流れる綺麗な川から写し出されるこの世の映像を見ながら、
あの時マオを羽交い締めにして強引に帰そうとした男はそう言った。
一方、マオとラインは町のはずれにあるトゥランの父親の墓の前に立っていた。そして、さらに向かい合うようにトゥランが立っていた。
「僕…ありがとうは言わないからね…。」
「今言ったよ…。」
「僕…絶対に強くなる!!そして、いつか絶対お姉ちゃんに勝ってお父さんの敵を討つからね!!」
「いいよ…。その日を楽しみにしてるわん。」
「あ!中尉待って下さい!」
マオはそのままトゥランと別れた。慌ててラインが後を追う。
「絶対…強くなるから…。」
数々の思いと共に、ポルトでの戦いはここで一時の完結を見る。
ウェンディーヌはなおも風を受け、電気を起こし続けていた。何事も無かったかのように…。
彼女は、これからも電気を起こし続けるだろう。人の世代が移り変わろうとも。彼女には、
人間にとっては途方にも暮れるような時を生きる事が出来るのだから…。
終わり あ〜疲れた
ハイ!この通り完結です。これを書いていた当時はまだバトストは普通に続くと思っていて、
(本編での首都奪還後の描写を見れば分かるとおり)さらにはこれからこそが本番と思っていたので、
エピローグ等も、失われし者への鎮魂歌作者さんのそれに比べれば大分手短に済んでます。
あと、唯一の心残りはあと1つで200話達成だったことでしょうか・・・。
次からは早速新シリーズに取りかかる事にします。
>>恐怖の亀裂作者さん
確かにド○ゴ○ボー○を意識はしていますが流石に気功波の撃ち合いまではやりませんね。
あと別に4週も使ってませんし・・・。
>>閻魔の策動作者氏 完結おめでとう、そして乙!
ヴァカみたいに長いエピローグもようやく終わりそうです…
>>恐怖の亀裂作者氏 自分も書くときは「FURUYA酪農3.6牛乳」と明治のチョコがお供です(^^;)
むしろ一人で完全オリジナルを考えるあなた方を尊敬したい訳で。
文中にもそんな心境が表れてしまったのでしょうか、「人は、一人では何も出来な(ry」
ジャスティン=クライトンは共和国軍に残っていた。
そうするのには理由がある。彼女の両親も彼女が幼い頃に命を落した為、親戚の家でずっと暮らしてきた。
だが、自分の存在が親戚に迷惑を掛けている事にジャスティンはうすうす感づいていた。
彼女の一族は代々ゾイドの扱いに長けていた。ある日親戚の家を出た彼女が目指したのは、軍だった。
両軍とも機体を遊ばせていられる状況では無かった為、ゾイドとの相性で未成年者が起用される事は
珍しくなかった。そして、ジャスティンは性別を偽り(女だと軍に居る上で色々と不都合だと思ったため)
傭兵として共和国軍に軍籍を置いた。
今更帰ってもまた迷惑を掛けてしまうだろう。ジャスティンは一人で生きられる様になるまで、
軍に身を置く事を選んだのだ。
幸か不幸か、戦争でなくともこの星は争いが絶えず、軍の仕事は無くならない。
彼女は自分と然程歳も違わぬ仲間に思いを馳せた。彼らは今どうしているだろうか?
不思議な確信があった。彼らは今も元気で居るだろう。
人々の目には今だ悲しみがあり、戦禍は大きい。
それでもジャスティンは、かつては暗く淀んでさえ見えた陽の光が美しく思えるのだった。
現在、彼女の上官はアルティシア=フィールド“准将”だ。とはいえアルティシア自身の希望で
ジャスティンが引き抜かれたのだが。アルティシアは何かとジャスティンの世話を焼いてくれたりする。
彼女は、自分は独りではないと知った。その時、何か暖かい物がこみ上げて来るのを感じた。
失われし者への鎮魂歌 エピローグ5・完
――人の欲望は果てなく、生きとし生ける者は皆戦う。
初めは純粋な探究心、あるいは好奇心であったかもしれない。
「人は何処まで行けるのか、その先に何があるのか」と…
ゾイドと言う力を操り、敵を持たなくなった人はなおも戦いを求め、遂には人同士で争いを始める。
人は自らの力を試したい。自ら作った破滅への引き金を、引かずにはいられない。
―戦いは、古来地球より人が背負ってきた宿業だ。
人は争い、憎み合う。文明が始まり、やがて人々が叡智を極めてもそれは終わる事が無い。
だが、忘れてはならない。人はそれ以外の何かを作り出せると。
破壊するだけではなく、作る事もできると。直す事も、できると――
不相応な力を手にしたこの若い星は、どんな歴史を辿るのだろう。
――知る者は無い。歴史を作るのは、他ならぬ人なのだから――
失われし者への鎮魂歌 完
閻魔の策動の作者さんへ
完結お疲れさまです。やっぱりあの方は最後まで花占いを…w
殆どの主要人物が登場していて良いなぁ〜と。それに出しちゃいけなそうな人はしっかり出ていませんし(無敵塾の方々とか)
例の書き込みは勘違いだったみたいで…。あなたの書き込みあと必死に読みあさって確認_| ̄|○
時間掛りました〜…。
失われし者への鎮魂歌の作者さんへ
完結お疲れさまです。3部作終了ですね…。駆け抜けていったと言う感がします。
オリジナルな物はネタ元の知識が年齢に不相応な分手に入れる機会があったからです。
今居る場所に落ち着くまで引っ越しばかりしてて(一年周期)
しかもその先で偶然昔のアニメや特撮ヒーロー物の再放送やOVAのテレビオンエア何て物を大量に見る機会があったからです。
この知識が役に立つ日が来るとは正直思っていませんでした…。
パソコンが落ちてその時書いていた物が消失…。非常にキビシーッ!!!
「まずは…如何にかせんとな。あの姿では目立つ以前に歩く事も出来んだろう。」蛍光色の体液に塗れている姿を見れば解る通り非常に滑りやすい性質を持っている。
目の前では立ち上がろうとしては滑って立ち膝以上のことが出来ない少女がいる。
ザクサルはこの施設の構造を思い出す…程なくして目的の物がある場所を断定して行動を開始する。
まずは着替えとタオル…激しく間違っている可能性も否めないがまずはここに居た痕跡を消す事が重要だ。何かに追撃を受けないとも限らない。
タイミングの良い事に施設内の設置の関係で直にそれが有る場所に辿り着くとダンボール箱ごとタオルを持ち出す。
何とか自分で体を拭ける様で箱の中の半分を使用して体液を拭き取っていく。3枚程をもってザクサルはコクピットを綺麗にするが臭いは拭い去れない。
「匂うな…。」結局コクピットは開けたままにして臭いを取ることにし下に居る少女の観察を始める事にした。
直に不審な点が幾つか見つかる。まずは…タオルの使い方を知っている事。それに関連して体の使い方を知っている事。こちらの言葉を理解している事。体に違和感を持っている事。
最後に妙にあたふたしている事。これらからある事が見て取れる「身体と精神の性別の不一致か。まさか…な?」レイバークラブから降りて少しすると彼の袖を掴む。
彼女の方を見ると申し訳なさそうな表情をする。動きを見れば何かを我慢している事は明確だ。「トイレか?」「うん…。」初めて意志を持った声を聞きザクサルは少女を抱えると物凄い勢いでその場を走り去った。
程無くトイレに着くと少女を降ろす。少女は一目散に”男”用に駆け込んで行った。躊躇の無い判断にザクサルは多少引くが有る事がこれで解る。身体と精神の性別の不一致の事だ。
「間違いは無さそうだな…彼女はライナス=レンバートンだ。」確信が持てるザクサル。これは知り得た情報と彼女のとった行動を照らし合わせて得た結果で略間違いは無いだろう。レイバークラブの開発経緯を考えても納得のいく答えだ。
十分程時間が経つ。流石におかしいと思うザクサル。体に異状があるにしろ彼女は”男”である為この場合の対処方法は知っている筈である。それを考えても出てくるのが遅過ぎるのだ。
「自分の姿に呆然としているならまだいい。しかし違う可能性だとしたら!?」ザクサルはトイレに飛び込んだ。
トイレに飛び込んだザクサルの見た物は地獄絵図だった。しかもそれをやったのがあの少女なのだから溜まったものではない。
酷い有り様だった…生物兵器が巣にしていたのだろう。しかも自分すら気付かない程の潜伏能力を持つ存在だ。更に言ってしまえば二十数分前には彼もここを使っている。
少女の背中の辺りから寄生ゾイドや寄生された人等が持っている触手が出ている様だがそれは細く長くそして多い服が膨れた後も無いので始めから出ていたという事にもなる。
「なんとまあ…巧妙な擬態と言う所か。」その数えきれない数の髪の毛の様な触手が相手を貫いている。サイズが小型ではあるが姿を見る限り数に頼って来られたら誰も助からないだろう…。
「音も無く忍び寄る1ダースの生物兵器を一瞬で一掃か大した物だ。大丈夫か?」その声を聞き少女が振り返る。「服…汚れちゃった。どうしよう?」
「気にするな。それにお前は身を守る力を持っている…所で名前を聞いていなかったな?私はザクサル=ベイナード。君の名は?」途中から態度を改めて少女に名前を聞く。
「僕は…イド。イド=アウェイズ…。でも何で?女の子なの?どうして!?」どうやら正気になったと言うより目が醒めたという所だろう。「落ち着け…私にも解らん。無理かもしれないがな。」
本当に知らない以上無駄に期待を持たせる方が良く無い事が起こる。そのため正直に言うのが一番だ。
イドの顔に見る見る内に涙が溢れてくる。遂に血の海の中で泣き出してしまう。「しかし…アウェイズとは一体?イドまでなら解るが?とにかくここは離れた方が良さそうだ。」
そうなれば善は急げだ。泣いているイドに手を差し伸べるザクサル。彼を知る物からは想像も出来ない行為である。それを見てイドは「待って…まだしてない。」そう言うとべそを掻きながら個室に入って行く。
「しっかりしているな…それに比べて私はここで茶番ばかりを演じている。困った事だ。」言葉とは裏腹に別の方向にだが楽しい事に成ってきたと思っていた。
今度はシャワーを浴びせて血を落とさせる。その間に服を別の所から迅速に調達し自分の軍服を洗濯機に放り込んだ。そこで外に別の気配を感じる。「ここまで来ると久々と言いたくなるな。獲物か…。」
この場に居合わせた運の悪い生物兵器はこの後返り討ちに遭い無残な姿に変わり果てたのは言うまでも無い…。
「…それにしてもまた時間が掛っているな。今度もと言う事は無いだろうが別の事も有りそうだ。イド!生きているか!?」
とんでもない聞き方をするザクサル。その声に「生きてる。」答える方も答える方だ。「どうした?トラブルか?」状況が状況だけに保護者をする羽目に成った。
しかし見きりを付けてそれを楽しむ事にしたザクサルにとってはイドが怪我をするか死なない限り元の行動を起こす気にはなれなかった。
どうやらシャワーが壊れて止まらなくなったらしい。シャワールームの配水管を見て取り敢えず水を止める。少し経ってイドがシャワールームから這い出してくる。どうやらのぼせてしまった様だ。
「ん?出て来…た?かぁ!?ぶはははは…。」その姿に思わず笑い出してしまうザクサル。「むにゅ〜おじさん酷いよぉ〜…。」背中の辺りに触手を隠している所が有ると思っていたがどうやら間違いだったようだ。
正確には腰の横に二つと肋骨の一番下と繋がっている脊椎の一つ下辺りから脊椎を挟む様に二つ。計四箇所に出し入れ専用の穴らしき物が有り其処から水を吸って膨れて倍以上になった触手の群れがイドの後ろに長々と垂れていた。
「済まん済まん…中々お目に掛かれない物だからな。つい笑ってしまった。」ここに来て偶然注意する点を見つけた。長時間水に漬けられたりすると危ないと言う事だ。
動けないイドをしょうがないとぶちぶち言いながら拭くザクサル。「もしかして…?」触手を一束掴み軽く絞るとそこから水が落ちていく。目に見えない小さな穴でも開いているのだろう…。
そうと解ればさっさとここから離れるべきだと触手を絞り始める。
数分もするとイドののぼせも少し回復しその場に座りこむ。「大丈夫だったか?」そう言うと「うん。大丈夫…。」髪を拭きながらイドは言う。その時ザクサルは有ることを唐突に聞いてみる。
「イド。”イドの怪物”の話を知っているか?」そう言うと「ううん知らない。」そう答えるイド。「そうか…少しその事を教えてやる。」そう言うとザクサルは”イドの怪物”の説明し始めた。
「…と言う事だ。何かの足しになると良いな。」上機嫌で高説終えるザクサル。しかしこれが何かの足しなるとは思えない。まずはイドにこの話の意味が通じている事が大前提なのだから。
イドに目をやると何か激しく頷いている。本当にこの話が何かの足しになったのだろうか?
第一章:復活
ヘリック共和国とガイロス帝国、さらに新興勢力であるネオゼネバス帝国による長き戦争の時代が
終わり早100年。戦災によって荒れ果てた世界は100年という月日の中で徐々に復興し、
「もはや戦後ではない」を合い言葉に人々は新たな時代を生きていた。しかし、そんな平和な時代のさなか、前大戦の遺物ともいうべき悪魔が目覚めようとしていた・・・。
「ハッハッハ・・・ついに見つけたぞ・・・。」
ある荒れ果てた荒野のど真ん中に建てられた、皆から忘れ去られ、半ば砂の下にうもれつつあった、
古びた研究施設内部、いかにも怪しいスーツ姿の男があるものを見上げてそう呟いた。
そして、さらにその男の後ろに立つ、同じく怪しいスーツ姿ではあるが割とほっそりとしたもう一人の男が前に出る。
「アニキ・・・アレって・・・。」
「アニキではなくボスと呼べ!!ボスと!!」
「へ・・・へいボス!!あ・・・あれって・・・まさか・・・。」
ボスと名乗るスーツ姿の男がニヤリと微笑んだ。二人の目の前には巨大な一体のゾイドが座り込んでいた。
「そうだ。ゴジュラスギガだよ。お前だって小学校か中学校の頃に歴史の教科書あたりで見たことがあるだろう?」
「す・・・すげえ・・・。100年前の大戦で使われた巨大ゾイド・・・現物をこの目で見るのは初めてだよ。」
ボスの子分的なもう一人のスーツ姿の男は目の前の巨大ゾイド=ゴジュラスギガを見上げながら呆然としていた。
「おい!!コイツの様子はどうだ!!?」
「ハ!!原因は不明ですがゾイドコアがコールドスリープ状態に入っているようで、おそらく100年前に使われていた時の状態のままではないかと・・・。」
ボスがゴジュラスギガの周囲に散って色々と調べていた下っぱ達に怒鳴りつけ、下っぱの一人がそう答える。
「そうか・・・ではそのコールドスリープを解いて目覚めさせれば直ぐに動かせるわけだ。コイツがあれば俺達バールドコネクションは鬼に金棒だぜ・・・。」
ボスは不適な笑みを浮かべた。“バールドコネクション”とは、その名の通り、マフィアである。
戦争の時代が終わり、確かに世界は平和になった。しかし、今度は平和になった事を良い事に
盗賊などが横行し、数々のマフィアや秘密結社などが暗躍するようになったのである。こう言う事は
大戦時代には、よほどの力を持っている連中で無い限り、あまり無かった事である。しかし、平和に
なったが故の余裕が出来た為にそれまで成りをひそめていたマフィアが暗躍するようになった。
もっとも、盗賊に関しては戦後、食いぶちを失った、戦う事しかできないような軍人などが盗賊化したという事なのであるが・・・。
「フ・・・フフフ・・・。長かった。本当に長かった。コイツを見つけるのにどれほど時間がかかったか・・・。」
ボスは不敵な微笑を浮かべながらゴジュラスギガへ近づいていく。
「ボ・・・ボス・・・ちょっといいすか?いくらアレが大戦中に強かったゾイドと言っても所詮は
100年前に作られた旧式ゾイドじゃないですか。なぜそこまでコイツに固執するんすか?」
「馬鹿が・・・、コイツはな・・・ただのゴジュラスギガじゃねえ・・・。お前だって名前くらいは
聞いたことがあるだろう?ヤツはな・・・大戦中、“緑の悪魔”と呼ばれて恐れられたゾイドなんだよ。」
だがそれだけじゃねえ。コイツはな・・・“神”をも倒した正真正銘の怪物ゾイドなんだよ。」
「か・・・神って確か・・・あの前大戦終了直後に現れたって言う怪物の事ですよね?でも公式記録には共和国と帝国が総力をあげて討伐したとしか・・・。」
戸惑う子分を尻目にボスはさらに笑った。
「確かに公式記録にはそうある。しかし、真実は別のところにあるんだよ。その公式記録は
半分は本当だがもう半分は嘘を書いている。実質的にはこの緑の悪魔が倒したんだよ。“神”を・・・。
しかし、何故か英雄扱いされる事を嫌ったそのパイロットは今の記録にあるようにするよう上に頼んだ。そう言ういきさつなのだよ。」
「普通逆じゃないっすか?本当は倒した訳でも無いヤツが手柄欲しさに・・・。ってパターンで・・・。」
「さあな。そこまでは俺もわからん。しかし、そのパイロットは戦争が終わったとたんに、普通なら
出世してお偉いさんの仲間入りができるはずなのにパッタリと軍人やめちまったって話だからな。真実はどうなんだか・・・。」
と、そんな時、目の前のゴジュラスギガから起動音が響き渡った。
「ボス!!コールドスリープ解除に成功しました!!いつでも動かせます!!」
「おお!!目覚めたか!!?」
ボスは喜び勇んでギガに走りより、そのままコックピットに飛び乗った。そして、コックピット内の各部に付着した埃を取り、操縦桿を握った。
「ハッハッハ!!俺がお前の新しいご主人様だぞ!!それ行けええ!!」
ボスが勇んで操縦桿を前に倒した、その時だった。
ぐぎゃおおおおおん
「わ・・・わあああ!!!」
ゴジュラスギガは起動した途端に超大音量の咆哮を上げた。皆は思わず耳をふさぐ。そして、ギガの
キャノピーが自動的に開き、コックピットからボスを外に強引に振り飛ばしたのだ。さらにギガは再び、
吼え、目の前の分厚い壁を吹き飛ばし、物凄い勢いで走り出したのだった。
「ぼ・・・ボス!!大丈夫でっすか!!?」
「い・・・痛たたたた・・・ええい!!逃がすな!!追え追え!!」
ギガから振り飛ばされるも、どうにか生きていたボスが子分達に思い切り命令するのだった。
「ハッハッハ!!今日も稼がせてもらったなあ!!」
「ハッハッハ!!」
あくる場所にてとある野党団と思しき一団が、彼らの所有するモルガやレッドホーンの影に座る形で
強奪した金品を笑いながら品定めしていた。野党らは下品な笑い声をあげながら金品をあさる。
ある物は金品を見つめ、ある物は金品を投げ散らかす。またある物は金品の山の上を泳ぐマネをしたりする。
「ちょっと脅すだけでいいんだからな〜。これだから盗賊家業はやめられねえなあ!!ハッハッハ!!」
早速新シリーズスタートです。
これからは閻魔の策動改めて悪魔の遺伝子作者で行くつもりなのであしからず。
>>恐怖の亀裂作者さん
無敵塾ってまだ覚えていたんですね・・・。自分としては半分黒歴史化していたんですが・・・。
まあ恐らくあの話が一番インフレしていたのでは?と思う今日この頃。主人公より強い奴がゴロゴロ登場しますし。
あと、今回の貴方の話は妙にグロテスクだったですね・・・何というかホラーというか・・・。
>>失われし者への鎮魂歌作者さん。
エピローグまだ続いていたんですね。とはいえ、なかなか良かったですよ。
新シリーズの執筆も頑張って下さい。
>>恐怖の亀裂作者氏 執筆中にPCあぼーんは良くある事です_| ̄|○
>>悪魔の遺伝子作者氏 来ましたね、新シリーズ!
以前も言ったとおり自分は次スレから行く予定ですが、その間暇かも試練…
悪魔の遺伝子の作者さんへ
早々と新作お疲れさまです。あれって半分黒歴史だったんですね…無敵塾。
今回こちらは噛ませ犬に使ってしまった方を更に弄くってみました。
後はこのまま振り逃げしようとしたネタを絡めて完成!と言う事になりました。
今回のこれで出そうにも出せない物が使える用になった事に気付いてウマーな感じです。
失われし者への鎮魂歌の作者さんへ
次スレ期待しています。PCあぼーんは何故かここに書き込み中に多くて困ります。
そう言うときに限ってサーバ停止等も併発。書き込み失敗の数は30回を超えています_| ̄|○
そうやって消えていった話が幾つか…あります。
そしてザクサルの方へ顔を向けたイドの目にはまた大粒の涙がある。「反対に居るから体が女の子なんだ。」
「おっおい!飛躍しすぎだ!確かに相反する存在の意味だがそこまで絶望的な解釈を無理にするな。きっと他の理由が有る筈だ。」必死にイドを慰めるザクサル。「本当?」表情が一気に明るくなる。
親という者はこう言う肝を冷やす事を常にしているのか思うと彼はその時自分の親が偉大だったと尊敬の念を抱いたと言う。
何とか服を着させて通路に戻る。「寄せ餌になっていた様だな。イドは下がっていろ。」
血の臭いに釣られたのか血の気の多そうな生物兵器が集まって来ている。この姿は通常の寄生体から産まれた者とは違う。がグラハムが調整した者でもない。とすると答えは一つ。
「自然環境で自己進化をしたか!サード等聞いていないぞ!」直に攻撃を開始する。集まってくるのは今の時点ではスカベンジャーだが彼らを追ってプレデターが現れると非常に厄介だ。
通り抜けざまに超盾で相手を叩きつける。それは重みと加速によってハンマーとなり生物兵器を叩き飛ばす。小型であった為壁に打ちつけられ壁のシミに変わる。
前に居る生物兵器達は警戒音を体を擦り併せて発生させる。「ぐぅ!?この音は…仲間を読んだか!」
そして周りから音が迫ってくる…ザクサルがスカベンジャーと判断した生物兵器は異質の存在を統べる力を持った統率者だった様だ。集まってくる者は統一性が無い。
どう考えても食べられるだけの存在や逆にここに居る全てを喰らい尽くす事の出来うる者も居る。「ちぃ!面倒な…死にたいなら始めからそういえば良いものを。」何処に隠し持っていたのか愛用と思われるライフルを取り出す。
「ふふふ…邪魔をする者は消えろ!」ライフルを乱射し始めるザクサル。小型の者は直に蜂の巣になるが弾が切れる。何処からかまたマガジンを取り出し素早く装填。それが3回程繰り返されると殆どの者が倒れていた。
「まだ居るのか?どうやら硬い甲羅が有る者が残ったらしいな?ならば!」また何処からかグレネードランチャーを取り出す。その瞬間をイドは後ろから確認していた。「凄いインチキだ。」良く見ると彼の甲殻皮膚”超盾”は殆ど空同然である。
が実は別の甲殻皮膚で裏側を偽装している。甲殻皮膚はそれ自体が金属の為金属探知機では内部の物が解らない。地味だが効果のある物だった。
しかしいかんせん数が多い…気が付くと退路を阻まれる。シャワールーム側は既に塞がれているので後ろに行けない今完全に包囲された状態だ。
「ちっ私はともかく戦闘経験の無いイドは辛いかもしれん。」そう言って後ろに目をやると…嫌な事を思い出す動きで軽やかに攻撃を避けているイドがそこに居る。
「…無用な心配だったらしい。ならば残りを楽しませて貰おうか?イド!深追いはするなよ。逃げる奴は放っておけ!近づいて来る奴だけ相手にすればいい。」
そう言うと「うん。解った…。」その返事が終わるか終わらないかの内にザクサルの後ろから目の前に生物兵器の血が飛び散ってくる。
「ほう…やはり子供という者は時に残酷だと言うがその通りのようだな。」そう言いながらグレネードランチャーで群がる生物兵器を吹き飛ばす。
イドの方は先のトイレでの様な無差別な攻撃をしてはいないがその代わりに確実な数の触手で相手を貫いている。確実に引き抜いた時に相手を仕留める様に。
それを引き抜くと糸が切れた人形のように生物兵器は動かなくなる。「即死だな。刺された時点から既に痛みは無い…非常なのか優しいのか意見が分かれる行為だな。」
イドに構う必要が無ければザクサルにあがなえる戦力を持つ生物兵器は居る筈が無い。手に持ったボルテックトンファーで全ての生物兵器を叩き潰す。
相手を強引に痺れさせ抵抗力を奪い無防備になった体をトンファーでそのまま叩く。人間サイズの生物であればまず耐える事は出来無い攻撃だ。「しかし良くもまあこれだけの数を仕留めたな。イド…。」
イドの周りには更に多くの生物兵器達の亡骸が横たわっている。姿は人でも彼女は多分”戦闘ゾイド”なのだろう。自分ですら感じた初めて何者かを殺してしまった時の喪失感やその裏腹で沸き上がる勝利への歓喜。
その様な物はイドからは感じられなかった。「だれに似たのか?」ザクサルは呟いた。
「それは…おじさんだよ。後動きは少し前のおじさんの敵だった人。」今度は彼女の体や服には血が一滴も付いていない。「良い腕だ。所でレイバークラブは動かないのか?」忘れていた事を思い出してそれをイドに聞く。
そうすると「今は駄目だよ。僕の方に力を渡して貰っているから目が覚めるまで時間が掛るんだよ…。」「そうか。それが解ればいい…。」
二人は食料庫あらしの後レイバークラブの前に戻り…今に至る。
「そうか…良く分かった。取り敢えずアウェイズの意味を含めるとイド。お前は”それ”を外敵から守る為の存在か。」イドはのぼせたお陰で少しの間忘れていた事を話してくれる。
どうやらザクサルとは有る意味似た者同士で有る事もそれ以前の経緯で確認済みだ。「おじさんはどうするの?これから?」イドはザクサルにそう聞く。「そうだなこいつが目を覚ましたら一度最下層に戻ろう。後はそれからだ。」
「え〜っ!?弟の所には行けないのっ!?」イドはふてくされてしまう。
「!?ちょっと待て!弟ってどう言う意味だっ!?」またトイレらしく歩き去ろうとするイドの肩を掴む。「どうかしたの?」全くもって信じられない爆弾発言をしてのけたイド。とするとイドは何なのか?
現実なんて物は所詮他者の干渉とそれに対しての自分の選択の羅列であると考えているザクサルにとってこう言う出来事は楽しみの一つであるが…初速から高回転で非常識が全開状態ではさすがに驚いてしまう。
少し落ち着こうと天井の罅割れを数えながらそのままにしていると…「漏れた…。」とイドの声が聞こえて来た。
「我慢の仕方を間違えているぞ…次からオムツだな。」自分の行い等何処拭く風で痛烈な一撃を見舞うザクサル。「酷いよぉ!原因作っといてそれは無いと思うけど?」随分と感情が前に出て来ている。
ここで引き下がっては詰まらないのでザクサルはまたこう言う。「そう言えばお前って…可愛いな。男を諦めたらどうだ?引く手数多だぞ?〇便〇娘ぇ。」そう言った瞬間ザクサルはその場から飛び退き一目散に逃げ去る。
その場には略全ての触手が床に突き刺さっていた。「う〜…逃げるなぁ〜!!!」イドは追い付く訳の無いザクサルを追いかけて行った。
そこに残された受信しか出来無い通信機に非常事態を告げる連絡が有る事も知らずに…。
「ノーブルアーシーズか…困った物が動き出した様だ。」グラハムは腕組みして思案している。レイバークラブが戻らない事はどうでも良いとしてザクサルがそう簡単に死ぬ事が無いのは周知の事実。
それよりも今のタイミングで動き出したノーブルアーシーズの行動が気に掛かるのだ。施設内で彼等のエージェントが動いている事がついさっき監視カメラで発見された事で計画に確実な歪みが生じたのだ。
「どうやらベイナード君は無事らしい。しかし通信機が受信だけしか出来無いとは困った事だ。」
野党団のリーダーと思しき巨漢の男が大声を張り上げて笑った。その時だった。
「いや〜うらやましい!でも人の物を盗るのはよくないね〜…。」
「!!!!だ…誰だ!!」
突然響き渡った謎の声。野党団の誰もが驚いて辺りを見回す。その時だった。岩山の上に、太陽を背に
する形で一体のゾイドの姿があった。そのゾイドはエヴォフライヤーであった。それを見た野党団は
慌ててそれぞれにゾイドに乗り込んだ。そして、レッドホーンに乗り込んだ野党団リーダーがマイクの
ボリュームを最大にした。
「貴様何者だ!!警察の差し金か!!」
「うんにゃ!賞金稼ぎと呼んで下さいまし!」
「警察だろうが賞金稼ぎだろうが関係ねえ!!俺達のジャマするヤツはぶっ殺す!!」
レッドホーンの主砲がエヴォフライヤー目がけて撃ち込まれた。しかし、エヴォフライヤーは軽やかに
跳び上がりその攻撃をかわした。しかし、着地した途端にモルガが猛スピードで体当たりを仕掛けてきたのだった。
「死ねやあ!!」
「死ぬのは嫌ですよーっと!」
エヴォフライヤーはモルガの突進を横に跳んでかわした。さらにそのままモルガの車輪部分を脚部の爪で蹴り貫いた。
「うっわぁぁぁぁ!!!」
片側の車輪を破壊されたモルガは猛スピードで走行していた力が空回りし、そのまま猛スピードで
スピンし始め、周囲の他のモルガを弾き飛ばす。そしてエヴォフライヤーはリーダーの乗るレッドホーンに向かって疾走する。
「くっそお!!舐めるなよ!!」
野党団リーダーはいかにも小悪党と言う感じの言葉を張り上げながら主砲をエヴォフライヤー目がけて
発射する。しかしエヴォフライヤーはその弾丸を横に跳んでかわし、さらにかわしぎわに背中に
装備されたアサルトライフルをレッドホーンの主砲の付け根に向かって撃ち込み、使い物になら無くさせた。
「うおお!!」
主砲が破壊され、リーダーは戸惑う。しかし、エヴォフライヤーに乗る自称賞金稼ぎはそのスキを見逃さなかった。猛スピードで突っ込みながら背中に装備されたアサルトライフルを腕部に持ち替え、
レッドホーンの首もとに一発、そしてそれぞれの四股の付け根に一発ずつ撃ち込んでそのまま機能を停止させたのだった。
「チェックメイト!!」
あまりにもあっけなさ過ぎる勝利を飾ったエヴォフライヤーパイロットはそう叫び、エヴォフライヤー自身もそれに合わせてなにやらポーズをとるのであった。
「くそ〜…。アイツ何者だ?」
ゾイドを破壊された野党団の皆は両手を上げながらゾイドのコックピットから這い出てきた。
「ハイハーイ!これから皆さん一緒に警察に行きましょうねー!」
「え?」
エヴォフライヤーのコックピットから出てきた自称賞金稼ぎの姿を見て野党団は唖然とした。
何しろ彼女は15歳の少女だったのだから。彼女の名は“マリン=バイス”その外見は金髪の
ショートヘアーの上に頭に白いヘアバンドを付け、服の上着は緑色の中国服っぽい服装(ちなみに
別にチャイナドレスと言うワケではない)を着ている。下は何故かミスマッチなミニスカートを
履いているワケだが同時にスパッツも着用し、パンチラは無し。さらに両膝と両肩にはプロテクターの
ような物が付いていた。顔は結構可愛い部類に入るのであるが、同時に右目と左頬に大きな傷跡が残っており、妙な凄みを醸し出していた。
「な…。」
「まあ色々言いたい事はおありと思いますが。私は勝者、貴方方は敗者なワケで、大人しくお縄をちょうだいしちゃってよ!」
野党団はマリンの姿を見て呆然としていた。しかし、それを尻目にマリンは余裕な表情でその服の
大きな袖口からキセルを取り出し、それを口に食わえるのであった。と言っても別に火を付けて
吸ってはいない。そう言う類の物は20歳からという事もあるが、彼女自身健康に気を使う方でもあり、
本人は一切そう言う類の物を吸う気はない。それでも彼女がキセルを吸うマネをするのは単なる演出の為だったりする。
「うおおお!!ガキがなめるなぁぁ!!!」
いても立ってもいられなくなった野党団の一人がマリン目がけて飛びかかった。そしてその拳を思い切りマリン目がけて振り上げる。が…。
バチン
それより速くマリンのデコピンが男の額にヒットしていた。もの凄い音と共に男は吹っ飛び、そのまま泡を吹いて倒れた。
「あ…。」
野党団の一人がそう呟いて唖然とした。彼女はその外見とはうわはらに、滅茶苦茶に強かった。
「き…貴様よくもやりやがったなぁぁぁ!!!」
野党団は怒りをむき出しにし、マリン目がけて一斉に飛びかかった。
「は〜…。大人しくお縄を頂戴してくれれば別に悪いことはしないのに…。」
数分後、そこにはボコボコの半殺し状態でぶっ倒れた男達の山の上に座って余裕な顔でキセルを空吸いするマリンの姿があった。
それから一時後、警察署からホクホク顔のマリンが出てくるのであった。あれから、野党団を手近な町の警察署に突き出し、賞金をもらったのである。
「さ〜てと!賞金も入ったし!そろそろ行こうかな?行くよ!フライヤー!」
マリンはエヴォフライヤーに乗り込むと、直ぐさま飛行形態に変形させ、そのまま何処へと飛んでいった。
「マリン=バイスか…。たった一人でこれだけのヤツらを捕まえるなんて…子供のクセによくやるな〜…。」
野党団を留置所の中に放り込んだ後、警察署の警官の一人が空のかなたに飛び去るエヴォフライヤーを見つめつつそう呟くのであった。
さらに一時後、マリンはとある町の寺の裏にある墓地にいた。マリンは“バイス家之墓”書かれた墓を
水で濡らした布で拭き、さらにお供え物を供えた後に目を瞑ってゆっくりと拝むのであった。要は墓参りというヤツである。
「おや、誰かと思えばマリンちゃんじゃないか。墓参りかい?」
「和尚さん…。ハイ…。今年も曾お婆ちゃんと曾お爺ちゃんに…。」
マリンの後ろに一人の老僧が立っていた。彼は寺の和尚兼この墓地の管理人をやっている。
「どれ、ワシも一つ拝ませてもらおうかね?」
その和尚も座り込み、手を合わせて拝み始めた。
「先生…つまり君の曾お婆ちゃんが死んでもう5年たつのか…。時がたつのも早い物だなあ…。」
「和尚さん…。」
和尚の顔はどこか悲しげだった。
「先生には昔随分と世話になったからね…。戦後、身よりのない戦災孤児だったワシに格闘技や料理を教えてくれた…。厳しいがとても優しい人だった…。」
「ハイ…、確かに曾お婆ちゃんは優しい人でした…。あと、和尚さんにも子供の時があったの?」
「馬鹿言っちゃいかん!ワシにだって子供だった時くらいあるわい!と…そうか…。今年でもうあの大戦が終わって100年もたったんだな〜。」
今回の新シリーズの主人公の名前に付いて言っておきたいことがあるのですが・・・
某ハンマーヘッドパイロットとは何の関係もありません!!!断じてありません!!
仮に問いつめられても突っ込みません!!(w)
>>恐怖の亀裂作者さん
PCあぼーんの件に関しては、あらかじめ書き込む前にワードか何かに書いて
それをフロッピーとかに保存しておくという事をしておけば良いと思います。
>>失われし者への鎮魂歌作者さん
新シリーズ楽しみにしています。
悪魔の遺伝子の作者さんへ
余りにも多いので最近は書き込み前にメモ帳に張りDVD−RAMに記録とかやっていますがそれでもその前に落ちた物は…イヤァァァァ〜(((((゚[]゚))) となっています_| ̄|○
システム方面に掛る負荷が多いアクセサリーがあるみたいで。512+256のメモリでも落ちやすさが変わらないって一体?(以前は256でした)
そう言えばビルの町に…って物のテイストが有りますね今回の作品。
ノーブルアーシーズ…この星で最も危険視される思想を持つ組織。
国に縛られずその行動理念は唯一つ”地球人による地球人の為の惑星作り”を旗印に地球人とその混血の者で作られた組織。
全ての国家に対して二年ほど前に犯行声明を打ち上げ全ての国に対して各地で小規模の破壊工作を繰り返している。主要な人物は全て拘束されている。
しかしそれでも被害そのものは増えるばかりである。特にデルポイではその政治的思想が何方かと言うと共和国の物に準じていると言う事で市民の一部から強力な支援を受けていると言う話もある。
「こちらアース7。第7層にザクサル=ベイナードを発見。撤退します。」「アーススフィアよりアース7。撤退を許可する。迅速に避難するべし!」「アース7了解!」
潜入部隊らしいそれは見た限り24強化服を二周り程大きくしたパワードスーツを着込んだ三人の部隊でかなり遠くから生態センサーでザクサルの存在を察知し撤収を進言。それが認められ撤収の最中である。
「しかし…そのザクサル=ベイナードってそんなにやばいのか?」その内の一人が言う。「やばいじゃ済まない。敵だと解ると散々弄んだ後に仕留めるそうだ。キレちまってるって話も聞くぞ。」それを聞いていた最後の一人はこう言う。
「つべこべ言わずにさっさと行こう。この距離で見付かれば一溜まりもなっ…いっ…。」突然先頭の物が倒れる。残りの物がそれを見ると首から上が何者かに食い千切られていた。
「ひぃっ!?どっ何処だ!?敵は…うがぁ!?」もう一人もそれっきり声を出さなくなる。最後の一人が目をやると今度は左肩から全てが無くなっていた。
必死で何者かから逃げる最後の一人。何とか振り切ったと生態センサーを見てほっとしていると「よう兄弟!こんな所に何の様だい!?」突然肩を叩かれた方を振り向くとそこにはザクサルの顔が有った。
「ノーブルアーシーズがここに何の様が有るんだ?」パワードスーツを引っぺがし縛った男にザクサルは尋問を開始する。しかし何も口を割らない男に直に飽きイドに任せて何処かに行ってしまう。
「ガキがこんな所で何をやっているんだ!危ないじゃないか!」当然の言葉が飛んで来る。「大丈夫だよ。おじさん達を襲ってきた生物兵器は僕が始末しといたから。」自信たっぷりに言うイド。
「何者だお前!?」困惑する男に「こう言う物です。」とイドはその姿を見せた。
その姿を見て男は絶句する。人外成る者…その姿こそ少女のそれだがそれを覆い隠すほどの髪の毛の様に細く長い触手。
色も付き髪の毛の色と同じ紫色をしている。その量は明らかに少女の体から出て来れる限界を楽々超えている。
「まさかそんな存在が…お前の体の中はシュバルツシルトの悪魔の空間だとでも言うのかっ!?」妙に博識な言葉で男はやっと声を出す。
それを聞き「シュバルツシルトの悪魔の空間って何?おじさん?」その格好のまま男に近付くイド。「解った!教えてやるからそれをしまえ!頼む。気が狂いそうだ…。」
ザクサルは通信機を持ち銃火器の弾薬を補給して戻ってくると何か上機嫌のイドとそれに反して半分恐慌状態に陥っている男が居た。
「何をした?イド?」何か有ったと確信してイドに聞くとそれ以前の経緯を話すイド。「はっはっは…そう言う事か。ノーブルアーシーズらしい表現だ。」ザクサルは頷く。
そして少し経ってこう言う。「イド。ちょっと頭を見せて見ろ。」「うん。」そう言って頭を見せるイド。ザクサルはおもむろに後頭部を触ると普通では無い形をしている事が解る。
「イド。お前が触手を自由に動かせる理由が分かったぞ。」「本当?」「ああ…小脳が異常に発達している。多分触手は小脳の神経が異常発達した際に変異したものだろう。」
更に「これだけ発達していると膨大な熱を抱える…それの放熱も兼ねている筈だ長時間出しっぱなしにしたりしまい込んだりしたら気分が悪くなったり熱を出したりするから気を付けろ。」
聞き終わるとイドは「じゃあこの出っ張りはずっとこのままなの?」そう聞く。
「さあな…多少の知識が有るから今の言葉が出たが戻った時は教授に調べてもらった方が良い…ふっまた来たか。行くぞイド。そいつはもう大丈夫だ。」そう言うとイドを小脇に抱えてザクサルはその場を離れた。
少しして彼の言葉通り別の潜入部隊が男の所に駆け付ける。「大丈夫か!?おい!返事をしろ!」その声に「ああ…何とか気が狂うのだけは避けられたようだ…。」その言葉を最後に気を失ってしまう。
「良し!撤退するぞ。こちらアース3!アース7の生き残りを回収した。これより帰還する!」「こちらアーススフィア。了解!気を付けろ敵は一人ではない。特に強力なタイプの生物兵器が徘徊している可能性が有る。迅速に撤退せよ。」
連絡を終えると部隊は闇に消えた。
184 :
122:04/05/17 00:19 ID:???
>>131の恐怖の亀裂の作者 氏
前々から少しずつ作っていたZナイト関係のサイトを公開してみました。
Zナイト★ミ スレにURIを晒しておきましたので、宜しければご覧下さい。
正直、今の状態では判らないものが多いと思いますが、また質問等あれば
スレの方にどうぞ。
遅れてしまいましたが、
>>131の解答を。
マリンカイザーは装甲巨神です。
片仮名のガイムは装甲巨神、漢字の鎧武(がいむ)は前者のガイムの
心臓部をエンジンの一部に用いるメタルフットに分類されています。
>>122さんへ
どうもありがとうございます。物凄く参考になりました。これで時間軸の設定に+何年の目処が立ちました。
最低でも今の三大トラの伝説から200〜500年程は進まないと無理!と言う事も解りました。
「そう言えば”弟”と言っていたなイド。何処に居るんだ一体?それにお前がライナス=レンバートンで無いとすれば一体何者なんだ?」
ここまで我慢をしていたがやはり聞きたい事は聞きたい。「弟は第1層の医療区画に居るよ。まだ偽装は解けてないけど。それに僕の元は弟の心臓に有った触手だよ。」
「しょっ触手だと!?冗談で言っていないだろうな?」さすがに当事者で無いと意味が解らない。しかし今までの行動を見る限り重要な事で嘘を吐くとは思えない。
ザクサルは「もう少し詳しく話せ。触手が単体でそうなる筈が無い。」そう言うと「少し長くなるよ。」とイドが言う「大丈夫だ時間は腐る程有る。」
施設最深部では異変が起こっていた。
「全機機能を停止して3時間以上経っています。教授どう言う事でしょうか?」ローキスはグラハムに疑問を投げかける。「…何が起こったというのだ?計算外だぞこの事態は!?」
当のグラハム教授がパニックを起こしていてはどうしようも無い。機体周りを調べている者もその原因は解らない。しかし機体はゾイドとしての機能は失っておらず動き出せる状況でもある。
何も解らず時間が過ぎて行く…そして運命の歯車は彼等の予測を超えて回り出す。
「パパ僕だよ…僕に気付いてよパパ…。」4機の機体からステレオ音声で全く同じ声が流れてくる。「どう言う事だ!?パパとは一体!?」グラハムは多分自分の事を呼んでいると確信しているため更なるパニックに陥っていた。
焦ったグラハムは足を踏み外してしまい地下に落ちようとしている。「パパ!危ない!」突然4機の機体が起動し一斉にグラハムを助けに行く。「何と…パパとは教授の事。もしや!?」
ローキスもグラハムを助けに移動していながらもシステムの停止の理由に気付いていた。「アレは教授の息子の遺伝子を継いでいる。それが目覚めたのか!」
ローキスは落下するグラハムに追い付き飛び付くとグラハムを抱き抱え落下の衝撃の備えた「少しは衝撃吸収剤の代わりになる筈だ!」多分自分は死ぬだろう。しかしここでグラハムを失う訳にはいかないのである。
次の瞬間にローキスは衝撃を受ける…しかし底はまだまだ下の筈。良く見ると彼等は起動した4機の内の1機の背中に乗っていた。「教授!しっかりして下さい!貴方の息子が助けてくれたのですよ!黄泉の国から蘇って!」
ローキスにはそう言う事しか出来なかった…。
4機の機体は元の位置に戻ってくる…その内の一体にはグラハムとそれを抱き抱えたローキスが乗っていた。
「急げ!どうやらグラハム教授は緊急に手当てをする必要が有る!」ローキスは急いで機体から飛び降りると素早くしっかり横になれる場所にグラハムを横たえる。
そして…後ろを振り向くと機体のコクピットブロックから4人の子供が出てくる所だった。
みんな同じ顔をしている。髪の毛の色と目の色は違うが体格も全く一緒で機体の内部に有る血液件オイル代わりの液体に塗れている。
彼等は慎重に機体から滑り降りるとグラハムの所へ一斉に走り寄る。「パパは!?大丈夫なの!?」その内の一人に胸ぐらを掴まれてローキスは息が苦しくなる。
「あっご免なさい。」丁度首を締めるような形になっていたのだ。「げほっげほっそれより…早くしろ!内蔵に異状が有るかもしれない!」その言葉に4人は一斉に凍りつく。
それを見てローキスは「大丈夫だよ。治療をしなければ危ないけど治療さえすれば充分に助かる怪我だから。」そう言ってその内の一人の頭を撫でる。
「後この子達に着れそうな物と体液を拭き取る物を持ってきて下さい。俺が今一番役立たずなんでこの子達の世話をします。」
しかし一向に事態は収集出来ていないらしく全く人は来ない。「くそっ!急がないと…。」ローキスはグラハムを背中に負ぶさらせて医療器具のある場所に移動を始める。
「パパは大丈夫なの?ねえ?」4人が口々に言うが余り構ってはいられない。「済まない。今は急がないと…。」そう言うローキスもさっきの件で体の一部の骨が骨折、罅が入っておりグラハム同様危険な状態である。
その内の1人がローキスの状況に気付いて言う。「顔色悪いよ?大丈夫なの?」そう話しかける。「俺の名はローキスだ。呼び捨てで良い。それに俺はブーステッドだから教授よりは頑丈だ。」
何とか医療ポッドを設営した所に急ぐが邪魔が入る。「おっと…そこまでだ!ローキスさんよぉ!」銃口を向けられ動けなくなる。「貴様!何のつもりだ!」ローキスは苦痛に歪んだ顔で男に言う。
「残念だけとこれはお仕事なのよ。グラハムの暗殺とそこの4人の回収が目的な訳よ。って事で!死んでもらうぜぇ?ローキス!」そう言って引き金を引く。しかし銃弾は天井に当たっていた。
4人の体から現れた4色の触手がローキスを包む様に守っていたのだ。
「何っ!?こいつ等…何者なんだ!?」男は突然の出来事に焦る。「今だ!」触手の壁が元に戻った瞬間にローキスは肩を男に打つけバランスを崩すと肘打ちを叩き込む。
男は吹っ飛んで壁に叩きつけられた。「はぁはぁ…早くしないと。」肘打ちでバランスを崩し倒れてしまったままでも這って医療ポッドに向かうローキス。
しかし刺客はまだ居たらしい。「馬鹿な奴だ…あれ程油断するなと言っていたのに。所詮はB級工作員だ俺は失敗しない。」突然ローキスの手を踏み潰してその男は現れた。
「うがあ…まだ居たのか!?」苦痛に耐えながらも進もうとするローキスをグラハムごと男は銃で打ち抜いた。「ふふふ…残念だったな。威力は弱いがこれで貴様等二人は出血多量で放って置いてもおしまいだ。」
「我らノーブルアーシーズは何処にでも居る。地球の血は最早この星の至る所に芽吹いた。後は咲くだけだ!」そう言って男は4人を捕まえようとする。「言いたい事はそれだけか?」
突然後ろの上方から声が聞こえて男は声の方を振り向くとそこにはザクサルがレイバークラブの上に居る。丁度戻ってきた所だったのだ。
「貴様!ザクサル=ベイナード!何時の間に…?」その言葉に「ふったった今だ。しかし貴様俺と趣味が似ている様だが詰めが甘いな。貴様もあそこのB級と余り差は無い様だな?」自信たっぷりに相手を小馬鹿にするザクサル。
「ほざけ!」銃弾が放たれるがそれは機体の影から伸びてきた紫の触手に打ち払われる。「終わりだ。」次の瞬間その男の体は上半身と下半身に分かれていた。
「無駄な事だ。全ての地球の血が貴様等と共に歩事などありえん。特に貴様の様な奴が当たり前に居る組織に全てを統べる力等無いに等しい。」まだ生きている男の上半身に捨て台詞を吐きザクサルは男の上半身を投げ捨てる。
「急げ!イド。お前達も手伝え!事は一刻を争う!ローキスを頼む。」そう言うとザクサルは素早くグラハムを医療ポッドに納めるとスイッチを押す。時間が掛るが手術後が残らず体力が低い者にも治療が出来るのがこれの強みだ。
だが幾らスイッチを入れても治療用の合成薬液が出てこない。「あいつ!端からそれが狙いだったか!?」それを見てローキスをポッドに納めたイド達はザクサルの元に集まる。「どうしよう…。このままじゃパパ達が。」
「そうだ!アレなら…。」4人は何処からか有る液体を持ってきた。
「おお…ベイナード君戻ったか。」弱々しい声でグラハムは言う。「教授。お知らせが有ります。貴方は今ここで死にます。」ザクサルは言う。
「…そう言う事か。そろそろ人生に幕を下ろそう。」4人が持ってきた薬品を見て直にこれから起こる事を理解する。「ローキス君には恨まれるだろうな…。」
そう言って横目でローキスを見るグラハム。「大丈夫ですよ教授…。毒を喰らわば皿まで。俺は既に人を捨てたつもりです!」気を失っていなかったらしく血を吐きながらそう言う。
「それでは介錯を頼むよベイナード君。」そう言うと「解りました。教授。」そう言って医療ポッドのスイッチを入れた…。
「やっぱり僕だけ女の子…。」イドは隅でいじけている。他の4人は生前のライナス=レンバートンと同じ姿をしている。
しかし触手の出入り口はイドと同様で髪の毛と同じ色の触手を持っている。「ちょっと名前を聞こうか?」ザクサルが聞くとその内の一人がこう答える。
「僕はブラッド=レンバートン。」それを聞き残りの3人も名前を言う。「マグナ=レンバートンです。」「グレイ=レンバートンだ。」「ボルク=レンバートン。」
どうやら元が同じでも一人一人違う感覚が有る。それぞれ強調された何かが違うのだろう。イドを見れば一目瞭然だ名前から考えて”最も遠い者”と言う意味に取れる。
「パパはどうなるの?」イドは他の4人に聞く。「パパは僕たちと同じになるんだ。ローキスさんも一緒にμテリアンに…。」それを聞きザクサルは興味を持つ。
「イドよりもお前達に聞いた方が早そうだな。寝ぼけて居る節があるし…。」それを聞きグレイは「あいつは特別なんだ!俺達より優れた力を持った代わりに記憶を持つ事が出来無かったんだよ。」
グレイは悲しそうな目でイドを見る。「そう言う事だったのか…イドには悪い事をしたのかもしれん。」少しだけザクサルは反省する。
「μテリアンって言うのは聞いて解る通り造語です。確か出元はノーブルアーシーズの研究だったと言う話です。」マグナが答える。
ザクサルは「そう言う事か。この技術は奴等からこっちに流された技術でそれによって出来たゾイドからお前達が切り離される…そしてお前達を回収する。それが目的だったようだな。」
そう言ってライフルを取り出すと医療ポッドに近づく男を撃つ。「邪魔はさせん!さっさと戻って伝えろ。失敗したとな。」
あ…もっと時間は経過は必要だった事に気づきガビーン!?700年から〜1000年は必要だったみたいです_| ̄|●
空を見上げながらそう言っていた和尚が突然マリンの方を向いた。
「そう言えばマリンちゃんは先生に似てきたんじゃないかな?若い頃の先生にそっくりじゃ。」
「そ…そうかなあ…。」
マリンの顔が少し赤くなる。
「しかし、その顔の傷がいかんな…。一体何をやって付いたんじゃ?」
「いや、まあ…色々と…。でもまあ曾お爺ちゃんやお爺ちゃん、さらにはお父さんにも付いてるんだから良いじゃない!」
「でも女の子でそんな傷が付いてるのは問題じゃぞ…。まあいい…。ところでマリンちゃんは一人旅をやってるんだって?」
「ハイ…。曾お婆ちゃんやお爺ちゃんも、私と同じくらいの年の頃は世界各地をまわったって話だから、私もこの目で世界を見てみたいと思って…。」
「そうか…頑張るんじゃぞ。おっとそうじゃ。ここで久しぶりに再会したばかりで何だが、久しぶりに
手合わせしてみんかね?マリンちゃんがどれだけ腕を上げたか見てみよう。」
和尚はすっくと立ち上がる。
「和尚さん!もう年なんだから…。」
「ハッハッハ!まだまだ若い者には負けんよ。それに、マリンちゃんに格闘技を教えたのはこのワシなんじゃぞ!」
それから二人は墓地を離れ、寺の中庭に一定の距離を置いて向かい合っていた。
「さあ、どこからでもかかってくるがいいよ。マリンちゃんがどれほど強くなったか、ワシが直接みてあげよう。」
「良いんですか?そんな事言って…。私もあれから沢山修行しましたからね。」
マリンはとっさに構える。しかし、和尚はその場にただ立っているだけだった。
「ハ!!!」
マリンが跳んだ、目にも留まらぬもの凄い速度で…。そして、その突きもかなりの速さであった。
並の人間では目で追う事すらも困難な程のスピードである。しかし、その俊速の攻撃が和尚の体を
すり抜けた。いや、すり抜けたように見えるほど和尚が素早くかわしたのである。そして、和尚はマリンの背中に軽く手刀を当ててそのまま倒すのであった。
「ハッハッハ!まだまだ甘いのう。マリンちゃん?」
「イタタタタ…そ…そんな〜…。和尚さん強すぎだよ〜…。」
マリンは背中をさすりながらゆっくりと起きあがる。
「だがな、マリンちゃん?言っておくが先生はワシなんぞ足元に及ばぬほど強かったんじゃぞ!」
「ええ!!?ウソ!!」
圧倒的とも言えるレベルの違いにマリンは思わず呆然としてしまった。確かにマリンは先程野党団を
倒したように、彼女自身もかなりの実力者である。しかし、そんな彼女でも歯が立たない、彼女の
格闘技の師でもある和尚、またその和尚の格闘技の師でもある彼女の曾祖母はさらに強いという、
上には上がいる現象にマリンは愕然とするのであった。
「はあ…あれから腕を上げたつもりなんだけどな〜…。自信無くしちゃいそう…。」
マリンは顔をうつむけ、さらにウルウル目でそう言うのだった。
「まあマリンちゃん!君はまだ若いじゃないか。これから腕を上げていけばもっと強くなれるよ…。」
和尚が笑いながらそう言った時だった、突然銃声が響き渡ったのであった。
「!!!?」
マリンと和尚が銃声のあった方向を向くと、そこには機関銃などで武装した屈強な男達の一団があった。
「マリン=バイスっつーのはお前か!!?お前にしょっぴかれたアニキの敵を討ちに…。フゴ!!」
どうやら彼のセリフを聞く限り、マリンに潰された野党団の残党あたりが敵討ちに来たそうであるが、
次の瞬間、男達のリーダーと思しき一人の巨漢の男の顔面にマリンの突きが叩き込まれていた。
「うわあ!!リーダーに何を!!」
さらに別の男が機関銃で銃剣術の要領でマリンに殴りかかった。しかし、マリンは左手でそれを
払いのけると男の腹部に突きを一発入れて倒した。さらに、自分より一回りも二回りも大きく、
100キロ以上はゆうにあると思われる巨漢の男を片腕で持ち上げ、それを別の男に投げつけて倒した。
「やっぱり私強いかも!!」
「馬鹿者!こやつらが弱いんじゃよ!」
自信を取り戻しつつあり、喜ぶマリンを、和尚が別の男の持つ機関銃を手刀で真っ二つにしつつそう戒めるのであった。
「うわああ!!お…覚えてろー!!」
残った男達は倒された者達を担ぎ上げ、いかにもやられ役という感じの焦り顔で逃げていった。
「ところであの者達はなんだったんじゃろうな?」
「さあ…。」
「ま…まあいい…。マリンちゃん、ちょっと上がってお茶でも飲まんかね?せっかくだからゆっくりしていきたまえ…。」
「あ…ありがとうございます!」
マリンは和尚のささやかな誘いを受け、和尚と共に寺の中に上がるのであった。それから、二人は
客人を迎える為に作られた応接間でお茶を飲み、またお茶菓子を食べながら雑談をしていた。
マリンはそれまで賞金稼ぎをしながらの旅で見てきたことなど様々な事を話したりした。
と、そんな時だった。話しもあらかた終わり、なんとなくテレビをつけた時、突然臨時ニュースが始まったのであった。
『臨時ニュースです。たった今スライシティにて謎の巨大ゾイドが現れました。』
「えええ!!?スライシティって言ったらここのすぐ近くじゃない!!」
突然かつ予想だにしない自体に二人は驚いた。そして、現場からの中継ヘリならぬ中継ダブルソーダの
カメラから映された映像には治安維持部隊の砲撃を全く意に介さずに進む一体の巨大ゾイドの姿があっった。
「んん!!!?あれは…もしや…。」
「和尚…さん…?」
その巨大ゾイドの映像を見たとき、和尚が何かに気付いた。そして突然押し入れを開き、中をあさり始めたのだ。
「これだ!!」
「だから…和尚さん…何を…。」
和尚は古くボロボロになったアルバムを取り出し、それをパラパラとめくり始めた。そして、ある一枚の写真を取りだしたのだ。
「え…?今テレビでやってるゾイドと似てない…?」
「間違いない!!あれは"カンウ"だ!!戦後行方不明になったと先生はおっしゃっていたが…まさか生きていたとは…。」
「ええ!!?カンウ?戦後行方不明?私には何がなんだか…。」
マリンには一体何が起こっているのかさっぱり分からなかった。故に、和尚は事の真相をマリンに話すことにした。
「あのゾイドは大戦時代にヘリック共和国軍が作り上げた巨大決戦機"RZ−064ゴジュラスギガ"。
しかも今テレビに映っている機体は、そのゴジュラスギガの中でも最強と呼ばれ、さらには"緑の悪魔"
"グリーンデビル"という異名で恐れられたゴジュラスギガ…。"カンウ"なんじゃよ。ちなみにカンウとはその昔の地球の武将の名前じゃ。」
「確かにテレビの映像でも緑色だったけど…そ…そんなに凄い機体なの…?」
>>恐怖の亀裂作者さん
今回も妙にグロイというか想像してみると怖い描写がありましたね。
そう言う細かい描写なども上手い貴方に感服します。
>そう言えばビルの町に…って物のテイストが有りますね今回の作品。
やっぱりそう思いましたか?何気なく見たら凄く感激した物で、意識はしてるつもりだったりします。
あと、貴方の新シリーズ(?)の時間軸の千年後とか・・・
初めてその文を見た時、え?って思いました・・・・。
「あ……あれはゴッ…ゴジュラス・ギガ!」
「・・・そう!そうだとも!」
>>194 さすがに戦中派の博士は出てきませんかね?
そうだ、
よかったらレンタルか何かでアニメの「ジャイアントロボ」も見てみてください。
きっと気に入ると思いますよ。
「おい…あれって?」混乱が落ち着きグラハムに付いて来た技術者の1人がグラハム達が入っている薬液を見て驚愕する。
ザクサル達に近づいて来ると「一体何が有ったのですか!?ベイナード大佐?」しかし彼の興味は周りの5人に移る。
「おい!話が有ったんじゃないのか?まあ良い…緊急事態だからああなっただけだ。」そう技術者に告げると医療ポッドの近くの椅子に座る。数時間ぶりのゆったりとした座り心地に疲れが取れるザクサル。
「おじさん?それマッサージ器が付いているよ。」ブラッドに言われ「ん”?道”理”で…気”分が楽”に”な”った”訳”だ。」ぶるぶる震えた声でザクサルは言った。
「…そう言う事だったんですか。確かに今はそれが一番助かる可能性が高いですね。」技術者は言う。「すいません。2人程出来れば多い方が良いです。通常の薬液が有るので取りに行きましょう。その方が確実性が有ります。」
「解りました。」「うん。」「ん。」「さっさと行こう。」「待ってよ〜。」5人が全員付いていってしまう。「イ”ド。い”い”な”?何”が有”った”ら”ぞれ”で呼”べ。」「おじさん…解り難い。でも解ったよ。」イドの手には潜入任務用の超小型通信器が有った。
技術者は言う。「あれは機械が1/1000の濃度で薬品が薄められた物です。これに通常の薬液をまた1/1000の濃度で混ぜれば傷が塞がるのが早くなる筈です。」そう言って薬液のボトルを取る。「急ぎましょう。ローキス少尉はともかくグラハム教授は危篤状態に成りかねません。」
「よし…奴等は油断している。あいつ等は捨てゴマだという事に気付いている奴はザクサル=ベイナードだけだろう…。行くぞ!貴様等は適当に弾を散蒔いてあの5人を引きつけろ。その間にあのボトルを破壊する。」スナイパーライフルを構えた女は部下にそう命令する。
部下達はその場から掻き消えるように居なくなった。「残念ですが教授。貴方の命だけはもらい受けます…。」スコープを覗きチャンスを待つ。しかし…一向に事が起こらないのを確認するとその場から去る。
「馬鹿なお人形じゃやっぱり駄目だったようね…。」そう言って手元に有るスイッチを押す。すると少し離れた所で小規模の火柱が上がる。「お疲れさま…私の欠片。」そう言うと素早く駆け出す。スナイパーライフルは銃身を折りスコープを叩き割って放棄する。
和尚がゆっくり頷いた時だった、テレビの映像では治安維持部隊の内の一機が、和尚が“カンウ”と
呼ぶゴジュラスギガ目がけて飛びかかったのだ。しかし、カンウはその攻撃にもビクともせず、逆に一撃で吹き飛ばしたのであった。
「うそ…アレが本当に100年前に作られたゾイドなの…?」
そのカンウの圧倒的とも言える戦闘力にマリンは驚愕するだけだった。そして、テレビの向こう側の
カンウは空を見上げて咆哮をあげた。と、それを見たマリンはある事に気付いた。
「…今少し思ったんだけど…悪意は感じられないよ…。」
「え?」
「あのゾイド…緑の悪魔と呼ばれるほど悪いゾイドじゃないんじゃないかな…?もちろん根拠なんか
無いけど…なんとなくそう感じるの…。今やってる事にしても、町で暴れてやろうと考えてるようには
感じられない…。もっとこう、失った大切な何かを探しているような…。そんな風に感じられるの…。」
テレビの向こうのカンウを見つめながらマリンはそう呟いた。確かにカンウが町を進んでいるとは言え、
可能な限り建物を壊さずに進んでいるだけでなく、治安維持部隊の攻撃に対しても相手が攻撃して来た
時のみ反撃に転じると言った風に、確かに悪意そのものは感じられなかった。そして、今度は和尚が有ることに気付いたのだった。
「!!まさか…カンウはパイロットを探しているのでは!?」
「パイロットを…?」
「あのカンウ…、いや、“ゴジュラス”シリーズ全般に言えることだが、ゴジュラスシリーズは一般的に“パイロット選び”と呼ばれるほど乗れる人間が限られている。」
「操縦が難しいって事?」
和尚は首を横に振った。
「違う…。操縦しやすいし難いの問題ではなく、ゴジュラス自らがパイロットを選ぶのじゃ。いかに
すぐれた操縦技術を持っていようともゴジュラスに認められないパイロットはゴジュラスに乗れない。
それがゴジュラスと言うゾイド。そして、あのカンウは特にその傾向が強く、歴戦の勇士揃いの
当時の共和国のいかなるパイロット達をも寄せ付けず、はてには暴走事故を度々起こし、また、
その戦闘力も同型のゴジュラスギガを数機投入してやっと押さえることが出来たと言うほどであり、
厳重に封印するのが必要になるほどの凶暴さを持ったゾイドだったそうじゃ。そんな時にじゃ。」
「そんな時に?」
「当時士官学校を出たばかりのある新兵がそのカンウをあっという間に手名付けてしまい、共和国軍の人達はかなり面食らったそうじゃ。さらに、正式にパイロットが見つかった途端にカンウは大人しくなり、暴走事故など一度も起こさなくなったという話じゃ。」
「じゃあ…そのパイロットを連れてくれば…。」
「それ無理じゃ…。」
「え?」
アイディアを起こすも即却下されて拍子抜けするマリンを尻目に和尚はすっくと立ち上がった。
「カンウのパイロットはもうこの世にはいない。」
「どうしてそれが分かるの?もしかしたら何処かに生きてる可能性だってあるじゃない!」
「それは無い。絶対に。なぜならそのパイロットは先生自身なのだから…。」
「ひ…曾お婆ちゃんが…?」
「なんなら証拠を見せようか?」
愕然とするマリンに和尚は一枚の古い写真を見せた。それはカンウを背にして、数人の男女が映っている写真だった。
「その写真の真ん中にいる女の人…私にそっくり…もしかして若い頃の曾お婆ちゃん?」
和尚はゆっくりとうなづく。
「ちなみに、その隣にいる右目に縦傷が付いている男性が君の曾お爺ちゃんじゃ…。」
さらに和尚は別の写真を見せたりする。それは若い頃のマリンの曾祖母がカンウに直接乗り込んでいる写真など様々だった。
「じゃあ…あのゾイドはパイロットが…曾お婆ちゃんが死んでいる事も知らずにさまよい続けるしか
ないの?なんとかして止めることは出来ないの?このままじゃ被害は増える一方だし、破壊するにしても口で言うほど簡単には行かないだろうし…。」
「あの噂に聞く3体の伝説古代虎型ゾイドならカンウを押さえるのもたやすいかもしれんが…
それが簡単に手に入れば苦労はない…。ん!!?そ…そうじゃ!!!」
和尚は突然ちゃぶ台を叩いてそう叫んだ。突然の出来事にマリンは思わず驚く。
「これは有る意味賭けなんだが…。マリンちゃん!!先生の生き写しとも言えるほどクリソツな君ならカンウを説得することが出来るんじゃないか!!!?」
「ムリムリ!!!」
マリンは目を丸くしながら超高速で首を横に振りまくった。
「しかし、それ以外には方法は無いんじゃないか…お願いじゃ!!ダメもとで言ってきてくれんかの!?」
「そんな事言われても…だって死にに行くような物じゃない!!」
マリンはそう言って行くのを嫌がる。しかし、そんな時再びテレビの向こうのカンウは咆哮をあげた悲しそうな声で…。
「どう…しよう…。」
マリンは心の中で葛藤していた。あのゾイドをたすけたい…しかし怖い…。その二つの感情がマリンの心の中で対立していたのだ。しかし、さらにテレビの向こうのカンウがさらに悲しげな声をあげた。
「ええい!!もうどうにでもなれだぁぁぁぁ!!!」
ヤケクソになったのか、開き直ったのか、マリンは立ち上がり、すぐさま外へ走っていった。
「では行ってきます!!フライヤー!!」
マリンがそう叫ぶと共に飛行形態のエヴォフライヤーが寺の上空に現れた。マリンは自らの服の
大きな袖口から先端部に分銅の付いた鎖をエヴォフライヤー目がけて発射し、エヴォフライヤーに
巻き付けそのままエヴォフライヤーを掴んで飛んでいった。
「行っちゃった…マリンちゃんが無事で有りますように…。」
和尚はマリンとエヴォフライヤーが行った方向に向けて手を合わせ、拝むのであった。
それから、カンウはスライシティを何かを探すようになおも進んでいた。治安維持部隊はなおも
カンウめがけて砲撃を続けるがカンウの体には傷一つつかず、進行速度も鈍らない。
「くっそぉぉ!!ヤツは一体何者なんだ!!」
治安維持部隊員はそう愚痴った。その時だ、カンウの上空に一機のエヴォフライヤーが現れたのだった。
「な…何だあれは…?」
エヴォフライヤーはカンウの上空をまわるように飛行していく。それには思わず気を引かれてしまう。
さらにエヴォフライヤーがカンウの正面側へと飛び去った後、カンウの手前にあるビルの屋上に一人の
少女の姿があった。それは誰でもないマリン=バイスであった。
「大変だ!!ビルの屋上に女の子が!!」
「逃げ遅れたのかあ!!?」
大騒ぎになる治安維持部隊を尻目にカンウは正面のビルへと進んでいく。そして、マリンとカンウの両者の目と目が合い、互いに見つめ合うのであった。
明日ちょっとあって書き込めないかも知れないので、今書き込んでおきます。
ちょっと無理のあるストーリー展開でスマソ
>>195 >さすがに戦中派の博士は出てきませんかね?
さあ、どうでしょう・・・
あと、ジャイアントロボに関しては、確かに興味はあります。
しかし、資金上の都合でどうも今すぐにとは行かないのが現状です。
後々買わなければならない物が色々控えている物ですから・・・。
「忘れ物だぞ。持っていけ。」突然目の前に始めに倒された男が振ってくる。「ザクサル=ベイナードか!?」
彼女はそのまま男の襟首を掴むとその場を走り去る。「あの女…出来るな。自身の力量もわきまえている。何時もならここで襲ってきて終わるものだが。」
「相手になどしている暇は無いと言う事か寂しいな。」心にも無い言葉を吐いてザクサルもその場から離れた。
「容体はどうだ?」戻ってきたザクサルはイド達に聞く。「大丈夫だって!良かった〜。」本当に喜んでいる5人を見て知識が豊富だろうが身体能力が異常だろうが年相応の子供だと言う事を再確認する。
「しかし…彼等が居ないと奴等が動けんとは予想外だったな。」厄介な事に彼等5人が5体のゾイドの機動スイッチの代わりなのである。「今回は完全に奴等に躍らされた事になるな。」手に持った空の紙コップを握り潰す。
ノーブルアーシーズの計画も失敗はしたが完全な痛み分けで何方かというと戦力が大幅にダウンしたザクサル達の方が要素的には敗北したと言う事になる。
「しょうがないな…あいつに頑張ってもらおう。」そう言うとザクサルはバラバラになっているブロックスとゴジュラスギガの外装に目を向ける。「済まない準備を頼む。」そう言うと「了解しました。何とかしてみます。」整備兵から声が帰ってきた。
「…と言う事です覚醒が速過ぎたので回収に失敗しました。」暗がりで連絡を取る姿が一つ。「もう一つ報告が有ります。それに目を付けたターゲットがグラハム教授に彼等と同じ処置を…。」
「何だと!?阻めなかったのか?君ほど者がか!?」通信を受けている者は相当なショックを受けているようだった。「ええ…しかし成功するならそれがこちらでも使えるでしょう。一度帰還します。その後もう一度…。」
「解った。ラディス君判断は任せる。他の者は撤退した。深層の生物兵器に対しては無力だったからな。」報告を受け「それでは…損害は?」「72%を超えている運の良かった者や君達の様に成すべき事が出来る者だけだ。」
「解りました。それでは…。」通信を終えるとラディスは周りを見る。「囲まれたわね…。生きて帰れるかしら?貴方達が!」ラディスの両腕が姿を変える…突然展開したそれは大型の生物兵器を含む群れを一瞬で一掃する。
「女には一つ位秘密が有る物よ?」両腕に見えた物は甲殻皮膚の義手だったのである…。
「よお?姐さん相変わらずやるねぇ…あいつは突っ込み過ぎて死んじまった。もう少し我慢が出来れば…。」男はラディスにそう言う。
「それ止めてくれないかな…こう見えても私は貴方より17も若いんだけど?ラドナーお・じ・さ・ま!」ラディスはその男に言う。
「こいつは失敬…しかし何時見てもおっとろしいなそれ。しかしよくもまあ両腕を取り戻せたもんだ。」ラドナーは感心して言う。
そして2人はまた闇に消えた。スパイやエージェント等は種類にもよるが大概世の動きに興味ない者がやる仕事ではない。
少なくとも何かの思想や使命でやる仕事で趣味でやっているのはザクサルぐらいの者しか居ない。
「どうします?ベイナード大佐?」整備兵が機体の注文を聞くと「取り敢えず浮力が欲しい。瞬間的でも立体的な行動が取れる方が有利だ。武装よりもそっちを優先してくれ。」
更に付け加える「可能ならギガの外装を使ってくれ。それと…長獲物は要らん。相手がそれを持っている以上付けた所でろくな事にはならん。良くて相打ち悪ければ一方的に負ける事も有る。」
その言葉に整備兵は焦る「どう言う意味ですか!?貴方程の人が…まさか?」「その通りだ。昨夜はレクスを始末しようとした所に偶然ネクロドラグーンの寄生ロードゲイルが居た。しかも惨敗と来たものだ。」
「惨敗…あのカバーを叩き割った攻撃でですか?」その言葉に「アレは油断だ。相手も奇襲の一発勝負でな…当然油断をしていたから勝てる訳が無い。見た目すら武器にする相手とは思いもしなかったぞ。」
ザクサルは苦虫を噛み潰したような表情をする。「解りました。そう言えばレイバークラブのハイドアームの再現が出来た物が有ります。使いますか?」それを聞き「それは良い。ばれた所でデメリットが無いから申し分無い装備だ。」
少し表情が緩むザクサルを見て「解りました。任せてください!その他如何しようも無い物以外それでやってみます。」
そこへ何処で調達したか潜入任務用のインナースーツと軽量合金糸製プロテクターを着込んだイドが走ってくる。「どうだ!おじさん!これで男の子らしく見えるでしょう?」自身有りげにその場を一回転して見せる。
「済まん…イド?余計に男には見えんぞ。」それは体のラインがそのまま出る為性別の明確な変化が現れ始める肉体年齢のイドは余計女性らしく見える。着替え作戦は失敗した様だ…。
「あう…。」ばっさりと一刀両断された作戦に肩を落とすイド。しかしいい加減に気にする事でもないだろうにとザクサルは思っていた。
これからもこの調子なら周りの全ての者が疲れる事だろう…「それで何の用だ?イド?」強引に話の流れを摩り替えようとするザクサル。
何かを思い出した様にイドは言う「パパとローキスさんの容体が安定したよ。」嬉しそうに言うイド。「そうか!良かったな。イド。これで教授に甘えられるな。」
グラハムの事だ研究対象としても使用出来てその上蘇った息子達であれば冷遇する事は無いだろう。本人の話では研究に没頭した所為で彼は早死にしてしまったと聞いている。
今の状況をひっくり返そうと「まだ気にしているのか?イド?そうやって抗っても現実はそうそう変わらない。それに聞け!お前は普通の者では有り得ない体験ををしている。しかも生きる上では非常に便利でもある。」
ザクサルが話し始めるとイドは興味深く話を聞き始める。そうだ…このまま一気に説き伏せる!ザクサルは更に話を進める。その姿には周りの者が感心する程熱心に見えた。
「それにな…お前は奴の技”鏡面刻”を体現出来るようだ。相手を見て後手に回り尚相手を圧倒できる物だ。特に女性の体は男よりも柔軟性に富み同じ技量なら男を寄せ付ける事はまず無い。」
頷きながら聞くイドに「それにお前達は私達より身体能力が高い。その中で一番強いなら尚更だ。余り贅沢を言うな…。変わりたい奴だって居るんだ。」最後はかなり苦しい言葉だがどうやら納得してくれたらしい。
「それじゃあおじさんはもし女の人だったら何をしていたと思う?」変な切り返しをしてくるイド。ここで回答に詰まれば大上段で力説した意味が無い。
勢いを付けて一瞬脳裏に描かれたイメージを言う。「今頃はこんな所に居ずに男共をはべらせて女王様気分を何処かで満喫でもしているだろう。」周りから見たイメージに合い過ぎていて周りからくすくすと笑い声が漏れている。
イドは目を白黒させている。「貴様等…そんなに可笑しいか?それなら貴様等も言って見ろ。順番にだ。」笑い声が乾いた物になる。「イド…。今からここに居る皆が教えてくれるらしいぞ?良かったな。」
その目には「強制だ!命令だ!」と言う意思が見え隠れする。「そ…それでは…。」諦めて一人づつ話し始める。それをザクサルはニヤニヤしながら聞いていた。
それを言い終えた整備兵がザクサルに近付く「すいません…例の件浮力を重視するとやはりマグネッサーの出力の関係で羽根付きになるのは避けられませんね。」小声で言う。
「まあしょうがないだろうなそれは…あれを使えないか?」ザクサルの指差す先にはギガの背中に装着する試作品らしきウェポンベイが有る。「少し時間が掛りますがよろしいですか?」整備兵が言う。
すると「ああ…どうせなら緊急時に着脱出来るあれの方が役に立つだろうな。どうせならあれに目一杯羽根を付けてみるか。面白そうだ。」その言葉に「それなら支持アームの制作だけで済むのでかなりの時間短縮になりますね。」
「よし。それで頼む。」それを聞くと整備兵は他の者の話に口元を緩めながら走り去る。
近くに居た略全ての者を巻き込んだ”もし自分が別の性別だったら”と言う発表会が終わりその場にはザクサルとイドが残される形になる。
「どうだ?少しは楽しめたか?」そう言うとイドは「うん!」元気よく答える。「そろそろ教授たちの所に戻ろう。また仕掛けてくるかもしれん。」
2人はあっと言う間にその場から消える。「おー相変わらず切り替えと行動が早い流石はベイナード大佐だ。目的の為に道化までするとは思いもしなかったがな…。」
恥ずかしい目に合わされた内の1人がそれとなく感想を言う…。
「どうだ?容体は?」医師兼技術者の男に聞くと「怪我の方は大丈夫です。後はアジャストが出来れば終わります。しかし…見てください。2人とも物凄い身体的な変化が見られます。」その先には妙に若々しくなったグラハムが医療ポッドの中に居る。
ローキスの方もネオゼネバス建国初期の共和国軍狩りで無闇な拷問を受け出来た数々の傷が無くなっている。右腕に仕込んでいたブリットバスターが両腕に完全に内蔵されている。「随分と恐ろしい変化だな。」ザクサルは呟く。
これは正直言って自分の立場が危うくなる程の事だ。それにローキスは無駄な筋肉が多い感が有ったがそれがすっきりとしている他本来Zi人から殆ど廃れてしまったと言われているメッキ化の部分的な発動が見られる。
「いよいよもってロートルになる時が来たか!?愉快な話だ。」これからは好き放題出来そうだとそうなった時に何をしようかとあれこれ考え始めるザクサル。その口からは妄想で我慢がしきれないと言わんばかりによだれが毀れ始めていた…。
話は帝国軍の宿営地に戻る。
ミズホは練習を続けているがその時誤って意味不明なパネルを踏んでしまう。「きゃっ!?何!?何!?うきゃあっ!?」
突然頭の上に何かの資料らしい紙束が降ってくる。その量約5kg。「おっ重い…紙なのに〜…。」その騒ぎは偶然アービンが通り過ぎようとしていた時に起きる。
「ん?何か有ったようだな…ちょっと行ってみるか…。」ラビットホーンのコクピットを開きその惨状を見るアービン。
「…また資料を溜め込んでいたか。しかも隠して置いたとなれば当然内容はあれだな。」ミズホを助け起こし5kgの紙束を手に入れるアービン。
それを捲っていく内に危うくそれを取り落としそうになる記述を見付ける。「これはまた…何時の間にこんなデータを取っていたのか?」
そこにはブロックの設置の組み合わせと種類によってのブロックスやキメラの行動モーションを詳細に調べ上げたモーションデータが有ったのだ。
「あの馬鹿には説教が必要らしいな…減俸するだけの給料はもっていないし首にすると経済的打撃が多すぎる。」
テントに戻って資料を覗くアービン。しかし無駄に膨大なデータを紙に細かく記入しているので判読し難い。「シュミットを呼べ!奴なら読めるだろう…。」
少ししてシュミットがテントに入ってくる。「如何したんですか?大佐?」そう言うシュミットに紙束を突き付ける「これの翻訳を頼む。文字が小さい上に走り書きで解り辛い。」
それを見てシュミットは硬直する。「ま…またですかぁ!?以前の時は3日も掛ったんですよ!?」またしても見るファインのメモの山。前々からこれはシュミットの仕事の一つに成っている。
何時も15kg以上の紙束を相手にしているので時間は掛らないであろうがやはり見難い。「拡大しましょう…。」シュミットはそう言ってスキャナーに紙束を一枚づつ乗せていく。
4倍にしてやっと文字に見える大きさになった…がまだ何か小さい文字が有る。
「それを拡大してくれ…ん?パスコード?これは部隊の情報端末のデッドコードじゃ無いか!?壊れたファイルに何を隠したのか…?」紙面の翻訳をシュミットに任せそれを開いてみる。
少しの間アービンの動きが止まる。「どうしたんですか…ってこれは何ですか!?」そこにはアービンが用意した大型キメラを超える超大型キメラのチェンジマイズ基礎構造が詳細に注釈付きで映っていた…。
「はっ…はははは…こいつは一本取られた!傑作だぞこれは!はははは…。」アービンはこれまでの大型キメラを作るのにかなりの実験を繰り返してきた。
それでも今配備できた2機の機体が限界だった。しかしここに映るそれはフレームパーツを本当に胴体の骨組みに使い同じブロックの数で1,5倍のサイズの機体が出来る方法だったのだ。
「今までの苦労は水の泡だな。ブロックを増やすだけでコントロールし難い機体しか出来無い今までの方法が嘘のようだ。」落ち着いた所でアービンは言う。「あいつはお仕置きだ!奴の地元の風習の如く逆さす巻きにしてくれる!」
「さっ…逆さす巻きですか!?」シュミットは目を白黒させる。「ああ…見た目は楽しいぞ!しかしナグルファル構造か…見事な逆転の発想だ。」
「やるじゃん!マイブラザー!こんな隠し玉を取って置くなんて!」ベルフはそれをアービンから聞いた途端に機体の構成を直に変え始める。
「しっかし”骨の船”なんて洒落た名前をつけるじゃん…早速試運転してくるよ〜。」トライフォートレスが地を掴む。その後の動きにはその場の全員が息を飲んだ。「すげ〜な〜おい!?」
整備班長はその姿を見上げる。今までブラックライモスやレッドホーンの様に動いていた者が駿馬の如き動きと機動性を確保したのだ。
「あの馬鹿戦闘員より設計者でもやった方が良かったんじゃ無いか!?」ブロックスのフレームパーツ完成した機体の運動性に影響を与えると何処かの技術者が言っていた。
それを無闇増やしても余り効果が無い筈なのだが何か一工夫有るらしくエネルギー消費すら下がっている。
「さて…後はシュミット少尉?貴方も慣らし運転した方が良いのではないですか?」ディオスがぼーっと見ているシュミットに声を掛ける。「あ〜!?すっかり忘れていました!申し訳ありません大尉!」
「大丈夫ですよ。朝のミッションにも参加していたみたいですし体の慣らしは終わっている様ですから…アービン大佐!シュミット少尉をお借りします!」それを聞き「それでは頼むよディオス大尉。」
「了解しました。それでは行きましょうシュミット少尉。」「了解しました!」2人はその場を離れていく。素早く走り回るトライフォートレスを見ながらアービンはため息を吐く。
「今の今まで隠し持っていたな。切り札を…何奴も此奴も喰えない奴等ばかりだな。」その顔は笑っていた…。
「あの少女…説得しようとしているのか?」
その光景を見た治安維持部隊員は思わずそう呟く。互いに見つめ合う両者。マリンは腕を組み、
堂々とした表情のままカンウの目を見つめるが、その膝はガクガクと笑っていた。
「や…やっぱ近くで見ると怖い…。しっかしどうやって説得しよう…。」
表向きには必死に平静を保っているも、マリンの心情は恐怖に満ちあふれていた。しかし、カンウの
方にも変化が見え始めていた。マリンと目が合った直後から、様子が違うのである。その動きは止まり、
まるで何か一安心したような、そのような感じになっていたのだ。
「も…もしかして…説得成功?」
マリンは一安心した。その時だった。突然マリンのいるビル目がけてミサイルが飛んできたのだ。
「うわあああ!!!!」
「危ない!!」
思わずマリン、そして治安維持部隊員は叫んだ。しかし、その時、カンウが右腕でマリンの前方を
覆うように遮り、ミサイルから守ったのだった。マリンは無事。とうぜんカンウの右腕も傷一つなし。
そして、マリン、カンウ、そして治安維持部隊員達がミサイルの飛んできた方向を見たとき、そこには謎のゾイド部隊の姿があった。
「あ!!アレはバールドコネクションのマークだ!!」
「バールドコネクションだと!!?今新聞をにぎわせているというマフィアか!!?」
そのゾイド部隊の姿を見た治安維持部隊員達はそう騒いでいた。
「そのゾイドは俺達が見つけ、俺達が蘇らせたんだ!!!そのゾイドは俺達の物だ!!お前らにはわたさん!!!」
バールドコネクション私設ゾイド部隊の隊長機と思われる一機のアイアンコングに乗っていた、
コールドスリープ状態のカンウを蘇らせたバールドコネクションのボスがそう叫ぶと共に
バールドコネクション私設部隊のゾイドがカンウ目がけて襲いかかったのだ。
「こんな時に…何かよくわからないけど…フライヤー!!!」
マリンがそう叫んだ直後、再び飛行形態のエヴォフライヤーが飛んできた。そして、マリンは
服の袖から分銅の付いた鎖を発射し、エヴォフライヤーに巻き付けて掴まった後、直ぐさま巻き上げて
エヴォフライヤーに乗り込んだのだった。そしてエヴォフライヤーはカンウに襲いかかろうとしているバールドコネクション部隊に攻撃を仕掛けたのだった。
「ジャマするヤツラは全て消してしまええ!!!」
ボスが叫ぶと同時にバールドコネクション部隊は攻撃を開始した。その標的は前方に立ちはだかる
全ての物にあった。無論マリンの乗るエヴォフライヤーや治安維持部隊も攻撃対象にあった。
「ったく何がなんだか良くわかんないけどさ、無駄に町破壊するんじゃないわよ!!」
しかし、マリンとエヴォフライヤーはその猛攻をもろともせずに軽やかにかわし、バールド隊の小型有人キメラを次々に叩き落としていった。
「何だあれは!!どこのゾイドだ!!?」
「とにかく…敵では無い様子ですが…。」
「そういう詮索は後!!とにかくあのマフィアどもをなんとかしろ!!」
治安維持部隊員もバールドコネクション私設部隊への攻撃を開始した。
エヴォフライヤーはなおも戦いを続ける。マリン自信賞金稼ぎをやっており、さらにはゾイドバトル等、様々な戦いを小型ゾイド一体で切り抜けてきただけにかなりの強さを持っていた。しかし、それでも
埋められ無い性能の壁がエヴォフライヤーとバールドコネクション部隊ゾイドにはあった。
エヴォフライヤーはそのままのノーマル機であるのに対し、バールドコネクション部隊のゾイドは
完全な軍事仕様であり、さらには違法改造バリバリな機体だったのだ。エヴォフライヤーはパンチ力で決定的に劣っているのである。小型ゾイド相手がならまだ腕でカバーできる部分があるがゆえに
問題ないが、大型機が相手になると話は違った。なにしろ同じ大型でも盗賊団が所有している機体とは
性能が段違いなのである。それでも一体二体なら身の軽さを利用しての関節狙いでなんとかなるも、
相手の数は意外と多く、なかなかそううまく行く物ではなかった。
「それでもやるっきゃないでしょ!!」
マリンは自分にそう言い聞かせた。自分の目的はカンウの説得であって逃げても良いはずである。
しかし、彼女はカンウを守らないと、戦わないといけないようなそんな感情に駆られていたのだ。
「きゃあ!!」
しかし、ついに直撃を受けてしまった。ジェノザウラーのパルスレーザーがエヴォフライヤーの装甲を
薄紙の様に貫き、さらにビルにもの凄い勢いで叩きつけられてしまった。
「あう…。」
完全に機能を停止したエヴォフライヤーの中でマリンはそう呻いた。そしてジェノザウラーはゆっくりとエヴォフライヤーに向かって近寄る。
「なんだあ?誰が動かしていると思ったらガキじゃねーか!!なめやがって!!」
ジェノザウラーの足がエヴォフライヤーのコックピットを襲った。そのまま踏みつぶすつもりである。
「ひゃっひゃっひゃ!!大人をなめくさったバチがあたったなあ!!」
ジェノザウラーに乗るバールドコネクション私設隊員がいかにも小悪党的なセリフを吐いて
エヴォフライヤーをマリンごと踏みつぶそうとした。その時だった。何か巨大な物がジェノザウラーを襲ったのだった。
「な…なんだ…?うう!!」
それはカンウだった。カンウが怒りをむき出しにし、右腕でジェノザウラーの首を掴み、そのまま
片腕で、プロレスで言うところのネックハンギングツリーの様につり上げたのだった。
「うわあああ!!放せ放せ!!」
ジェノザウラーパイロットは焦りながらジェノザウラーに装備される火器をカンウ目がけて撃ちまくる。
全弾命中。しかし、カンウの装甲には傷一つついてはいなかった。ジェノパイロットは青ざめた。
「冗談はよしてくれよ…本当に100年以上昔に作られたポンコツなのか?」
確かにジェノザウラーはゴジュラスギガよりも古い世代のゾイドである。しかし、現在一般的に
使われているゾイドは外見は大戦時代に使われていた物と同じでも、中身はそのつど最新技術で
リファインされ、その性能は大戦時代の物とは別物と言って良いほど強化されている。それに対し
カンウは100年以上昔に作られたゴジュラスギガそのままなのである。その違いをカンウがもろとも
しなかったのはそれだけカンウ自身が強かったという事でなのであろうか・・・。
ジェノザウラーの首はグシャりと握りつぶされ、そしてゴミの様に投げ捨てられた。
「う…。」
そして、朦朧とする意識の中、破壊されたエヴォフライヤーの中からヨロヨロと這い出てきたマリンをカンウのコックピットがゆっくりと迎え入れるのだった。
>>恐怖の亀裂作者さん
何やら新しいゾイド、パーツが登場しそうな不陰気ですね・・・。
マリンが意識を取り戻したとき、彼女はカンウのコックピット内にいた。見慣れぬ光景に
一瞬戸惑ったがすぐに落ち着いた。不思議と心が落ち着くような、懐かしい感じがしたのである。
「私を…受け入れてくれたの…?」
その時だった。突然不思議な感情がマリンの頭の中に直接飛び込んできたのだった。
オーガノイドシステムを搭載したゾイドが持つような破壊衝動などではない。もっと違う何かが。
それは、マリンによく似た一人の女性がカンウと出会い、共に戦っていく様が映像という形で走馬燈の様にマリンの頭に直接入ってきたのだ。
「この人…まさか曾お婆ちゃん…?」
そう、その女性は先程和尚が見せてくれた若い頃のマリンの曾祖母その人であった。そして、なおも
若き日の曾祖母がカンウと共に様々な敵と戦っていく映像がなおも続く。それは戦争映画や
テレビで見る戦争ドキュメントなど子供だましに見えるほどにまでリアルな戦争の実状が克明に映されていくのであった。
「こ…これが…戦争…?曾お婆ちゃんと曾お爺ちゃんは…この時代で戦って…生きぬいてきたの…?」
それは平和な時代に生まれたマリンにとってショッキングとしか言いようの無いほど凄惨な物で、
思わず身震いしてしまうのであった。それだけではない、今まで雑誌などでしか見たことの無かった
帝国共和国両軍の超兵器。さらに、帝国にも共和国にも属さず、漁夫の利を狙っていた数々の組織、
個人、団体が所有していたゾイドなどとの戦いも国名に映されていたのだ。中にはそれまでのマリンの
常識からはとても信じられない化け物の様な怪物と言えるような存在も少なくは無かった。
山のように巨大なゾイド。遺伝子操作によって作られた異形の怪物。科学では推し量れぬ様な魔物。
そして“神”。などなど、とても信じられず、ギャグ?と突っ込みたくなるほどの敵と曾祖母とカンウは戦って、しかも勝ってきたのだ。
「………。」
それ以上にマリンが驚いたのは曾祖母自身の強さだった。マリン自身も割と強い方だが曾祖母はさらに
強かった。体格はマリン同様小柄なのに対し、冗談のような馬鹿力と運動能力と多彩な技、そしてあのゴーレムに後頭部を殴られても絶命しないというタフさまで持っていた。
「これはひょっとしてギャグでやってるの?」
マリンが思わずそう突っ込んでしまうほど冗談のような光景が広がっていた。しかし、飛び込んで
きた映像はそれだけではない。数々の仲間達とのコミュニケーション。戦争という殺伐とした時代に
かすかに存在するささやかな暖かさという物が感じられる物があった。そして曾祖母と共に歩き去る、若き日の曾祖父の姿と共にその映像は終わりを告げた。気が付くと元のコックピット内の機械などが見えた。
「曾お婆ちゃんに曾お爺ちゃん…。」
マリンは頭をうつむけ、そのまま一時沈黙した。そしてもの凄い勢いで頭を起こし、操縦桿を握りしめたのだった。
「曾お婆ちゃん…私に力を貸して…。」
カンウが起動した。パイロットと一体化したカンウはもはやさまよう暴走の悪魔ではない。
野生の力強さと人間の知性の両方を持った戦士になったのである。そして、一吼えした後、もの凄い
勢いで走り出す。目標はただ一つ、バールドコネクション私設部隊の隊長機。
「ボス!!ヤツが!!ヤツが再び動き出しました!!」
「んなこたあ分かってる!!って速ええ!!!」
二人がそう叫んだ時にはもう遅かった。その時には既にカンウの右爪が右腕ごとコングの分厚い胸板を突き抜けていたのだから…。
そして、全ての戦いが終わった後、バールドコネクション私設部隊員全員がロープでグルグル巻きに
された状態で拘束された。そして、彼らのボスの口から直接事の真相を聞かされるのである。
古びた研究所跡でカンウがコールドスリープしていたこと。蘇らせた途端に暴走したこと。
分かりうる全ての事をマリンと治安維持部隊員達は聞いた。しかし、カンウがなぜコールドスリープ
状態に入っていたかは依然謎だった。マリンがカンウに再び乗り込んで直接聞き出そうとしても先程の様な映像はもう入ってくることはなかった。
そして、今回の件はバールドコネクションによる犯行としてバールドコネクション構成員全員が
逮捕された。もちろんカンウによる町破壊も、バールドコネクションが蘇らせたが故の事であるとし、
バールドコネクションの犯行として扱われた。マリンに対しては、カンウを大人しくさせた事が
評価され、おとがめは無かった。ただ、それなりの注意は受けたが…。
「畜生…あんなチンチクリンの小娘がよくて何で俺達がダメなんだ…。」
「拾い物を使おうとしたバチが当たったんじゃないですか?」
護送車に乗せられるバールドコネクションのボスらがマリンの姿を見ながらそう愚痴った。
しかし、マリンはそんな事に気付かず、ただただ破壊されたエヴォフライヤーの残骸を見つめながら途方に暮れるだけだった。
「そりゃあ私はゾイド保険に入ってるから…お金に関しては問題ないよ…。けど…フライヤ〜…。」
マリンは長い間付き合ってきた戦友との別れを惜しんでいた。
それからマリンはカンウをつれて寺に戻ってきた。そして、和尚の許可を取ってエヴォフライヤーの墓を建てたのであった。
「ねえ和尚さん…?」
「なんじゃ?マリンちゃん?」
「曾お婆ちゃんってさ…。大戦中“緑の悪魔”って呼ばれてたんでしょ?それってそれだけ沢山の人を
殺してきたって事?私…まだ信じられないの…。あんなに優しかった曾お婆ちゃんが沢山の人を殺したことがあるなんて…。」
「マリンちゃんには悪いけどそれは本当の話じゃ。町で人を殺すのは犯罪じゃが、戦場なら話は別。
むしろ多くの人間を殺した者が英雄になる…。それが戦争という物なのじゃ。しかし…、
マオ先生は常々言っておった。自分が殺めてきた人達の分まで幸せになることこそが、彼らへの一番の
供養になると…。だから、あんなに明るく振る舞っていても、自分が多くの人間を殺めてきた事を忘れたことは無かったんじゃ…。」
「曾お婆ちゃんも苦労したんだね…。」
と、和尚はカンウを見上げた。
「やはり生で見ると迫力があるの〜…。所でマリンちゃん?カンウは一体どうするつもりじゃ?」
マリンもカンウを見上げる。
「カンウは私が面倒見るよ。この子は私にしかなついていないみたいだし。やっぱり私が面倒見るしか
ないでしょ?また町で暴れられても困るし。それに、そのほうが死んだ曾お婆ちゃんも喜ぶと思う。」
そして、マリンとカンウは共に見つめ合うのであった。
悪魔の遺伝子の作者さんへ
やっぱり拾い物はしっかりとした対処をしないと駄目ですねw
実際の設定でもゾイドハザードって言う災害が有るらしいですし…。
種類は戦闘用のゾイド暴走と完全野生体の突然の出現らしいですが聞いただけでもガクガクブルブルな気がします。
「…やっと転倒しなくなりましたね少尉。この調子で行きましょう!取り敢えず直進以外の時は上半身を上げて4足状態にして下さい。」
「了解。しかし珍しいですね。6足歩行なんて…しかも虫の歩行パターンじゃなく4足草食動物系なんですね。」シュミットは感心する。馬や鹿等の種類の走行能力は山野等の不整地での機動性に優れる。
一見細く小さい蹄で頼りなさそうだがそれが逆に足一本の必要スペースが少ない分登坂能力が高く地を蹴る力が強い。
しかしその反面重さがある一定レベルを超えた場合は床や地面を突き破り易く重心の取り方を間違えた途端墓穴を本当に掘ってしまったりする極端な脚部パーツである。
「サポート助かります大尉。1人だと多分数秒もしない内に床やら地面を突き破っていますよ。」肩で息をしながらシュミットは言う。「大丈夫ですよ。さっきのチェンジマイズで全体重量が低下していますから。」
ディオスはそう言って兵装の動きを確認する。「そろそろ脚部のカバーを下ろしましょう。高速機動の訓練は終わりにして脚部を安定重視に。」「了解しました。」蹄が折り畳まれ脚部が一回り太く短くなる。
ディオスが拘ったヴァリアブルレッグコンバージョン必要に応じて3形態に姿を変える脚部である。高速機動、通常走行、回避用低速ホバリングに対応しその下半身に戦車等の旋回砲塔の要領で上半身が有る。
ガンドレイク。それが機体の名前である。尚上半身はスイング機構で前足を地に付き6足歩行を取ることが出来るが直進以外での使い道はブレーキとして使われる為こまめに上半身を操作しないと転倒してしまうのである。
「そろそろ戻りましょう。2層以降への侵入開始時刻の2時間前です。」ディオスに促され機体を定位置に納めるシュミット。そこには既にルディアのプロトYと補助的な戦力としてラビットホーンとカイエンのツイステッドゲイルが居る。
「カイエン少尉!それを使うときが来ましたね。」シュミットが言うと「ええ…不本意な投入ですがね。彼女とコンビで穴を埋めれるだけ埋めてみます!」自信なさげにカイエンは言うが実質ミズホはともかく彼は通常部隊なら一線級の実力を誇る。
適当に操縦技術の高い者を詰め込んだ第3小隊で無ければ予備戦力等には成らなかっただろう。それでも腐ること無くこの場に居る事も精神面での強さが有ると言う事になる。
ツイステッドゲイルは一応カイエン所持の特殊機体で脚部に小型のHP(ハイパープレス)イオンブースターを装備した機体。
4枚の羽根の角度とHPイオンブースターで急旋回や複雑な軌道の飛行が出来る為で空中でツイストを踊っている様に見た為ツイステッドの名を自然に冠する様になったのである。
高速飛行に適していない分他のゾイドより格段の空間戦闘能力を有するこの機体は武装はデフォルトの物の出力調整型を装備。バランス性を重視したためか特別な武器を装備をしていない。
カイエンスペシャルと言う個人用発展兵器が有るがエネルギー消費の問題上装備できなかったらしい。
その横には手伝ってくれるとの事でサーラのストームラプターが待機している。民間のみで出来たとは思えない高性能機だがかなりの操縦技術が要求される機体だ。
色々と名前から詮索した者の話によるとオヴェリスと言う名前のパイロットがギルベイダーに乗っていたらしいと記録が残っているそうでもしや?と言う噂が広がっているらしい。
本人の操縦の巧みさ、間合いの取り方、攻撃のタイミング等データシミュレートバトリングを挑んだ幾人かが証言する話では”天才と言うより天然”と妙なコメントを残してがっくりとしていたそうだ。
結果はサーラに勝利できた者は居なかったらしい。それだけ役に立ちそうなのだがルディアの聞いた話では限定された空間での戦闘は初めてらしいのでそれが不安要素である。
ミズホが取り敢えず乗っているラビットホーンは装備の変更があったようで見た目に多少の変化が有る。まず時間と質量の関係で存在しなかった尾の追加。後は脚部の太股部分に装甲カウルの追加。
その中にはマシンガンが内蔵されていると情報が来ている。実際にはファインの機体は大抵ロードゲイルが元に成っているが手を掛ける状況でシルエットが全く異なるのが不思議だとシュミットは思っていた。
アービンの話ではロードゲイルは機体が単純に強いだけで水中戦が出来無い以外は何処でも戦闘できる高性能汎用機らしい。高性能でバランスを取っている為下手な装備の変更は性能を著しく低下させる原因になるそうだ。
それを利用して一般用の機体が配備された場所も有るという。そんな中構成を変える毎に強くなっているここ最近の装備は会心の出来と言わんばかりの高性能を誇って居た事にシュミットは更に関心するのだった…。
悪魔の遺伝子の作者さんへ
以前の1000年とか言うのは今の三大トラの話の時点では大規模な戦争が無い時代っぽいです。
立ち直るときの著しい社会の歪みが欲しい話なので更に未来。
ついでにリセット要因に世界的に繋がりのあるZナイトを組み合わせる事でそれだけ時間経過が必要になると言う事です。
一杯人が出て来たので…
【人名】
イド=アウェイズ:μテリアンの1人、唯一の女性であるが精神は男の子でギャップに苦しむ、5人の兄の中では最も戦闘力が高くファインの戦闘スキルを体得している
髪と目、触手の色は同一で紫、言葉の組み合わせで”最も遠い者”の名前を持つ
ブラッド=レンバートン:μテリアンの1人、平常心が強調された人格で髪と目、触手の色は赤
マグナ=レンバートン:μテリアンの1人、理知的な人格で記憶力が高い、髪、目、触手の色は青
グレイ=レンバートン:μテリアンの1人、激情を中核に持つ人格で正直な正確で物事をはっきりと言う正確、髪、目、触手の色は灰色
ボルク=レンバートン:μテリアンの1人、闘志と忍耐を強調されている人格で必要な事しか喋ることは無い、髪、目、触手の色は緑
ラディス=バルナー:ノーブルアーシーズのエージェント、両腕が肩から甲殻皮膚の義手になっている、共和国軍と帝国軍の戦闘に巻き込まれて両腕を失う、
が同組織の技術により義手を得てそれ以降エージェントとして破壊工作や潜入工作を行う、尚成長した甲殻皮膚を切り取りそれを内蔵したジオパペットを戦力として使用する
ラドナー=グルエイク:ノーブルアーシーズのエージェント、変装が得意で敵陣に潜入その後命令を執行する、血の気が多く言葉遣いに特徴のある男、
B級の中でもトップクラスの実力を持つが、お調子者でもあり隙を突かれローキスに敗北する
【技術】
μテリアン:ノーブルアーシーズが画策した強化人間プランでゾイドの細胞を使い人工的な進化を対象に起こさせる物でその都度結果が異なる
その関係でイド達は体に触手を持っている、実用段階とは言い難く失敗が続きこの時期にやっと成功する
ジオパペット:ラディスの使用する人工生命体、μテリアンの技術開発の際産まれたもので同じ細胞を持つ者の命令を聞き行動するがそれに正確性は望めないレベルの物
弾避け程度の用途にしか使用出来ない
第二章:新たなる旅立ち
「それにしても埃が沢山付いてるよ。なのにコアは新品同然なんて…ホントに100年間眠っていたって事なんだな〜…。」
新たな愛機となったカンウのコックピット周辺を掃除しながらマリンはそう呟いた。
「とは言え、あの時アレほどの砲撃を受けていたのに傷一つついて無いや。いったいどんな装甲を使ってるんだか…。」
カンウのとても100年前の旧式とは思えない完成度にマリンは驚くばかりだった。
しかし、それはゴジュラスギガそのものの完成度によるものなのか、はたまたカンウが大戦時代、
緑の悪魔と呼ばれるほどの強さを持っていたが故の事なのかは流石に分からなかったが…。
「では、和尚さん!もう行きます…。」
「ちょっと待ちなさい!」
和尚は突然マリンに向かってある物を投げ渡した。それは一本の古ぼけた木刀だった。
「何これ…古い木刀…。」
「それは先生が昔使っていた木刀じゃ。」
「曾…お婆ちゃんが…?」
「そうじゃ!先生はそれで岩や鋼鉄はおろかゾイドの装甲すらも切り裂いた事があるんじゃぞ。」
その話を聞いたマリンは目を丸くした。
「うっそだぁぁぁ!!いくら曾お婆ちゃんが強かったって言ってもそれは無いっしょ?
でもまあいいや、曾お婆ちゃんの形見として持っていくことにするよ。」
マリンはその木刀を袖の中に入れると、カンウに乗り込んだ。
「それではお元気で…。」
そして、和尚に別れを告げ、マリンはカンウと共に旅立つのであった。
「元気でな〜…。それにしても…アイツの服の袖…一体どうなっとるんじゃ?」
歩き去るカンウの姿を見送りながら、和尚はそう呟いた。
「なんだと!!?ゴジュラスギガの奪取に失敗しただと!!?」
「ハイ社長…。それどころかゴンズのヤツが警察にしょっぴかれちまった…。」
バールドコネクション本部の社長室にて、社長と呼ばれるだだっ太い葉巻を食わえた巨漢の男が
力任せに机を叩いた。なぜ社長なのかというと、バールドコネクションとて、表向きは健全な企業だからである。
「あの馬鹿者め…。それで、ゴジュラスギガはどうなったんだ…。」
「それが…突然どこからか現れた小娘になついちまったみたいで…そのままどっかに行っちまいました…。」
社長の額に青筋が立った。
「小娘だと〜?一体どこのドイツだ…。」
社長の周囲に緊張した眼差しで立つ部下達はさらに沈黙する。社長はさらに激怒し、再び机を叩いた。
「なんでこのシャレに笑わねーんだ!!!!!」
ずげげげげ
社長以外の皆がすっころんだ。
「しゃ…シャレだったんですか…?」
「そうだ!!その昔、地球人が高い技術力と一緒に持ってきた地球のギャグだ!!」
皆は一時沈黙した。
「と…とにかく、社長!そのゴジュラスギガを持ってっちまった小娘について色々調べてきました。」
「おお!気が利くじゃねーか!」
部下の一人が社長に一枚の写真を渡す。それは誰でもないマリンの写真だった。
「その小娘の名前はマリン=バイス。年齢は15。旅の賞金稼ぎ兼フリーのZiファイターを
やっています。我々が調べた情報によりますと見かけによらず結構強いみたいですよ。」
と、その時別の部下が前に出た。
「では早速新たな部隊を編成して第二次ゴジュラスギガ奪還作戦を行いたいと思います!大丈夫です。所詮乗っているのは小娘一人じゃないですか!」
「お前ら…。この作戦は中止だ…。」
「ええ!!?」
社長の一言に誰もが驚いた。
「なぜです社長!!ゴジュラスギガをほおっておいて良いんですか!!?」
「バイス家の人間に手を出すな…。」
「え…?」
社長の一言に皆が再び沈黙した。そして、社長のその手は震えていた。
「バイス家の人間に手を出してはいけねえ…。それは先代…いや…先々代社長の頃からきつく言われていた…。」
「な…なんで…。」
「さあな…。なぜバイス家に手を出してはいけねえのかは分からねえ。しかし俺の親父やあの“鬼”と
呼ばれた爺ちゃんですらバイスの名を聞いただけで震え上がっていた…。これは何かあるはずだ。
お前ら…ヤツに手をだすんじゃねーぞ!!」
「へ…へい…!!!!」
「流石に丸腰じゃあまずいよね〜…。」
出発してマリンとカンウが最初にやってきたのはウェポンショップだった。カンウには射撃武装が
何一つ付いていなかったのだ。まあゴジュラスギガというのはそういうゾイドであるが…。
「いらっしゃーい!!」
店の敷地内にある駐車場ならぬ駐機獣場にカンウを停め、カンウから降りた後、店員と思われる男が
大声で出迎えた。店員の体つきはガッチリしており、顔も怖かったが、そのさわやかな声から、
一見怖そうに見えるが実は気のいいおじさんという感じの人物であった。と、その時だった、
店員がカンウの姿を見たとき、体中をプルプルと震え出し始めたのだ。
「うわ!!!お嬢ちゃん!!それ…ゴジュラスギガじゃないんですか!!!?」
「え…まあ…そうだけど…。」
「うわあああ!!!感動だ!!昔の大戦時代の決戦兵器!!まだ生き残ってたんだなー!!これはいつの年式ですか!!?」
「え?…まあ良くわかんないけど…100年前のそれそのままらしいよ…。」
「うっわぁぁぁ!!確かに開発年代がZAC2105年になってる!!凄いなー!!そんな昔に作られた物がまだ現役で動いているなんて…。」
まるで子供のように喜び、感激しながらマリンに言い寄る店員にマリンは戸惑いを隠せなかった。
「あの〜…何かいい武器がないか見たいんですけど〜…。」
「あ!!そうですね!!?では…。」
店員は慌てながらマリンを店内へと案内した。店内のは大小様々な武器が置かれていた。
>>恐怖の亀裂作者さん
ああ、だからZナイトをやるにあたって1000年後としたのですか・・・
まあ、自分の場合は戦争の無い平和な時代という事前提で話を進めているので、
かえって戦争が無い方が都合がよかったり・・・。その代わり本編を見ればわかるとおり
国家間の戦争が無い代わりに色々と違う意味での脅威が存在するのではありますが・・。
悪魔の遺伝子の作者さんへ
恐るべし家系w何か別の意味ですが1年以上前の深夜アニメに電話で声をかけるだけでマフィアすらビクビクすると言う人が居ました。
でも噂だけで相手の行動を制限する威力は有る意味凄い話ですね。
ついでに次にやりたいその話は社会的には安定していても慢性的に小規模の戦闘が何処かで起こるような感じが良いので。
その他技術が進まないと有り得ない建物とか都市とかを使ってみたいと言う事からです。
そんな事を考えているシュミットの耳に小隊内限定回線で垂れ流しの会話が聞こえる。
会話の主はミズホとサーラだった。「ゴメンね!訓練に付き合わせちゃって!」ミズホが謝ると「大丈夫だよ!それに負けちゃって悔しいって途中から何も覚えてないから!」
シュミットは咳き込んだ。「ゲホゲホッえっ!?確かオープンでのコネクトシミュレートじゃ負け無しだって言って居たのに!?」その中にはルディアやリディアの姉妹コンビとかかなりの強敵も居たらしい。
それに勝てたのにミズホに負けたという事は?「限定状況では充分危険が有るみたいですね…少佐?聞きましたか?」それにルディアは答える。
「多分〜狭い空間でのぉ〜事だと思いますぅ〜。見た感じでぇ〜狭い所でのぉ〜戦闘はぁ〜ゾイド同様苦手みたいですぅ〜。」それに付け加える。
「逆にぃ〜ミズホちゃんはぁ〜そう言う所がぁ〜得意みたいですぅ〜。実はぁ〜私も負けちゃいましたぁ〜!」微塵の悔しさも感じない言葉で言う。
「…パイロットとして自分の居場所がこれ以降有るんだろうか?」後から来る近い将来のライバルに寒気を感じるシュミットだった。
少し後ろから重量感溢れる足音で見慣れないゾイドが合流してくる。「どうだ孫よ!この物々しい姿を!」老兵は相変わらず元気らしいラインハルトの声が通信に割って入る。
後ろを見ると…ガンドレイク以上に凄いゾイドが居た。「月並みだがデスサンダーだ!」名前の通りデスザウラーとマッドサンダーの合いの子な姿を見せる。
「何方も単体ではもう駄目だったらしくてな…何とか助けようとしたらこうなってしまったらしいぞ?」その努力は間違った方向に進んでいる様にもとれる。
マッドサンダーの後ろ半分に尾を取り除いたデスザウラーを付けデスザウラーの胸部にに何とマッドサンダーの頭部が有るのだ。
「ししまいならぬぅ〜マッドまいみたいですねぇ〜?」上手い事を言うものだ。
地球人来訪以降植物や食生活、文化、風習が流入し場所によってはこう言った催し物が行われる事が有る。それが一部地域で根付く物も有りその中に”ししまい”が有ったという…。
「そうそう…デスザウラーSTからこうなって居るがマッドサンダーの頭部のお陰で荷電粒子砲が使える様になったそうだ!」データが各機に送られて来る。「何と!」カイエンは驚く。
その発射方法が革新的だったのだ。
無砲塔荷電粒子砲…砲身が無い為長距離射撃には全く向かない物だが物理的な砲が無い為それを破壊されて使用不能に成ることも無い。
砲身に使われるのは2本のマグネーザーとサンダーホーン。粒子加速器には反荷電粒子シールドを使用する。
機体内でマッドサンダーの頭部に送られた荷電粒子は反荷電粒子シールドを伝って流出しマグネーザーとサンダーホーンの3つの間に収束する。
収束した荷電粒子が飽和状態に成ったら3つの角の間を直進する。誘導こそしているが実の所ただの垂れ流しと言う事なのである。
しかし角で粒子の移動方向を定められている為に真っ直ぐ前方に飛ぶので味方に降り注ぐ事は無い。
何らかの手段で跳ね返されても本来の仕事を反荷電粒子シールドが行うので心配も少ないと革新的な装備である。実用性は未知数ではあるが…。
「それではぁ〜しょっぱつじゃなくてぇ〜出発しますぅ〜!しっかり付いて来て下さいねぇ〜。」またしても作戦開始時間より先行して作戦を開始する第3小隊。
今回は先に第4層まで移動。その後第3層以前の戦力を挟撃する作戦である。如何でも良い話だが第3小隊以外は全戦力が揃っていないので一番頭数が多い彼女の部隊が先行するのである。
頭数を考えると2小隊分は有るのは全戦力(パイロットのみ)投入と成ったからで戦力は2中隊分のエースパイロットと3中隊分以上の機体戦闘力と豪華絢爛な戦力となる。
ぞろぞろと不揃いな編成の機体が並んで歩く姿はもし実際の戦場であれば砲撃の最優先目標であり絶対に近付きたくない機体の集団である。
それに挑み掛るのはスナイプマスターの群れ。第2層の第3運搬路で遭遇する。密集陣形が災いしルディアの機体のエレクトロンドライバーの連射で戦闘は終了する。
「張りきり過ぎちゃいましたぁ〜。」黒焦げのスナイプマスター達を後に部隊は次の階層に降りる降り口を目指す。斥候にカイエンとミズホの2人が飛ぶ。
「カイエンさん…何か嫌な予感がしませんか?」ミズホは辺りを警戒しながら言うと「そうですね…余りにもすっきりし過ぎていると思います。」怪しそうな場所をミズホはレールガンで攻撃する。
すると後ろで断続的な爆発音が響き渡る。「ボムホーネットが居たみたい…。」小型化を極める為開発がされていたと言うホーネットシリーズの1機。
有人では危険と無人機にされた曰く付きの機体だった…。
「…何時まで続くんでしょうね?この爆発!?逃げましょう!カイエンさん!」「了解しました〜!」情けない声を上げる二人。
その場から素早く逃げる。爆発が断続して続く内にそれが上や後ろに動いて居るので行き着く結論は一つである。
質量攻撃。この場合は天井を落とす事と壁を倒す事。何方かを耐える事が出来ても1ブロック全ての天井と壁が相手では現行のゾイドでは一溜まりも無い。
何とか天井の落下前に逃げ果せるミズホ達。途中からは瞬間推力に勝るカイエンのツイステッドゲイルに掴まって居たのだが何とか成ったらしい。
「石橋は叩かず渡るのも手ですね…。」有る意味本末転倒な事を呟くカイエン。「それなら石橋を叩いて渡らない方が良いんじゃ…?」しかし今回はそれで酷い目に遇ったのだった。
作戦の開始前で医療区画の人手は極端に少なくなっていた…。「あっ…。」警備をしていた1人が倒れる。それに気付いて警報を鳴らそうとしたもう1人も直に倒れる。
「ふぅ〜危ない危ない…。」2人を一瞬で気絶させた紫の人影はまるで目的地が解るかのように素早く動いている。人の数が多いのに気付くと天井の通気孔に潜り込む人影。
人影の名はイド。どうしても弟と母親に会いたいと駄々を捏ねたのでザクサルから「邪魔だから行って来い。目標意外に見付かったらお仕置きだ!」と言われて尻を平手で叩かれて来たのだ。
「うう…見付かったらまた叩かれるよ〜。」まだヒリヒリする跡を気にしながらゆっくりと通気孔を進む。人の気配が近付くと動きを止め息も止める。ザクサルから教えらた事だ。
気配が通り過ぎる…そうしたらまた動く。これが上手く行くのは”鏡面刻”の使用が出来るからでこれにより普通より遠くの気配が察知できる。受け手に徹する高等技術の一つらしいとイドは聞いていた。
「疲れる〜…。暗いし埃は付くし…ん!?」何かを見るイド。それは誰も居ないシャワールーム。それに誰も居ないのに何故か有る帝国軍の軍服。「良い物見付けた…。」シャワールームに降りると埃まみれの服を脱ぐ。
そこまでは合っているのだが…何と大胆にもシャワーを浴び始めた。「埃まみれはやっぱり嫌!」ここら辺はやはり子供と言う事だ。長くは浴びられ無いので体の汚れが落ちると直に脱衣所に出る。
がばったりとカリーナと鉢合わせに成ってしまったのである。「ねえ?これは…あなたの服ですか?」
「…うん。」致命的返事。お仕置き確定の瞬間である。「所で…ここに何の用?怪我でもしたのその腰と背中?」
気付かれた?これの秘密がばれると更に状況が悪化する。何とか服を取り返そうと素早く服に手を掛けようとするイド。
しかしその手は空を切る。「駄目よ?何を狙っているかなんてお見通しよ?」これが技術や身体能力以前の問題…大人と子供の差だった。
「うう…服返して〜。」イドは涙目でカリーナに訴えかけるが「汚れているから駄目!」即却下され服はインナーを洗濯機にプロテクターは取り上げられる。
カリーナはプロテクターを見てすぐ出所を判別する。「これは民生の物ね…それに元はノーブルアーシーズも使用している超軽量防弾使用。」何処から手に入れたのかはこれで解らなくなる。
質は高いがちょっとでもお金を出せば何処でも手に入る物だ。しかも子供の財布でもだ。「ん〜これは何処で手に入れたの?」カリーナは優しい声でイドに聞く。
イドは「下の方。」と正確には答えない。「良いのかな〜このままだと風を引くわよ?そしたら私が痛い注射をして上げようかぁ〜?」イドの顔が真っ青になる。カリーナの手には注射器が握られていた。
「うう〜。」首を振りながら後ずさるイド。記憶は無くとも体は覚えている事。生来病弱で毎日注射を打たれていたが結局慣れる事が出来無かった。
それが幾つにも振り分けられた欠片であるイドにも染みついているのだ。「さあ?どうします?」ここで脅しを掛けるようにサディスティックな表情をして笑うカリーナ。「ひぃっ…。」後ずさるが直に壁についてしまう。
更にザクサルから触手の使用の禁止を言い付けてられているのでイドはどうしたらいいか全く解らない。もう破れかぶれと何も着ないままシャワールームの外に飛び出そうとする。
「それも駄目。」手の内を全て読まれている様でイドは簡単に行く手を阻まれる。全く手も足も出ないイドは正直おかしくなりそうだった。
総合身体能力はザクサルより上で技術も平均以上に持っている。それでもカリーナから服を取り返せず逃げる事も出来ない…自動防衛の手としての触手の使用は禁止。
唯それだけでここまで自分は手も足も出ないとは思いもしなかっただろう。そして限界時間に到達しイドは倒れてしまう。
「あら?やりすぎた見たいね。」カリーナはイドを抱き上げると部屋を出て行った…。
「わ〜…。何かいっぱいあるな〜…。」
マリンは店内を見渡しながら感心するのであった。と、その時店員がある方向を指さした。
「あれなんかどうですかな?ゾイテック社製ジャイアントビッグキャノン!あれならどんな長距離の
相手も一撃でうち砕けますよ。そしてあちらはズィーアームズ社製大型外部荷電粒子砲!あれは…。」
「いや…別に私は戦争をしてるんじゃないから…。そんな大型兵器はいらないよ…。」
「そう…ですか…。」
店員はガックリと肩を落とした。ゾイテック社、そしてズィーアームズ社とは、ゾイド開発などを
行っている大企業である。と、その時マリンはある方向を指さした。
「じゃああの70ミリマシンキャノンとカノンダイバー用3連ミサイルランチャー!それぞれ二つづつお願いします。」
「ま!まいどあり〜!!」
商談が成立し、会計を済ませた後、購入した武器の取り付け作業を開始した。
70ミリマシンキャノンは胸部側面部にあったウェポンラックへ、そして3連ミサイルランチャーは
頭部側面部に存在する3つのサーボモーターの内の後ろ側のそれに取り付ける形を取った。
「それにしても…これ…ただのゴジュラスギガじゃないみたいですね…。」
「え?」
武装の取り付けを行っていた店員の言葉に、マリンは店員の方向を向いた。
「自分がゴジュラスギガをこの目で直接見るのが初めてだと言っても、まあその図面くらいは
見たことがあるのですが、かなりのカスタマイズがされてる見たいですよ。出力とかの強化はもちろん、
胸部側面部分。普通のゴジュラスギガはそこにウェポンラックなんかはありませんしね。それに、
各部にあるサーボモーターなんかもブロックスを直接装着できるような加工がされてますし、
何よりブロックスとのリンクが出来るようになってるんですよ。」
「ブロックスとのリンク?あの凱龍輝やライガーゼロフェニックスみたいに?」
「まあ確かに別にB−CAS使ってるわけじゃありませんが、一応リンクそのものは出来るみたいです。例えばブロックスコアを装着することによる出力の向上とか、逆にブロックスパーツの方にギガの
余剰エネルギーを流し込むことによってのパワーアップなんかも出来るみたいです。」
「へ〜…。(曾お婆ちゃん…そんな凄いのに乗ってたんだ…。)」
マリンは両腕を組んで感心する。
「あ!そうそう!どうも分からない部分が一つあるんですよ。」
「え?」
「貴女のギガの口腔内に何かが追加装備されてるみたいなんですが…よくわかんないんですよ。荷電粒子砲とかの類とは違うと思いますが…。」
マリンもカンウの口の中を調べてみた。確かに口の中に何かの装置のような物が見えた。それが何なのかは分からなかったが…。
「一体何なんだろう…。」
マリンも店員も、その謎の装置に疑問に思うのだった。と、その時店員がさらに話を変えてきた。
「あ!そう言えば貴女のギガ、通常青い部分が緑色になってるのを見て思い出したんですが、
昔帝国軍の兵士だった私のお爺さんが、私の子供の頃、その大戦の時の話をよくしてくれたんですが、
昔、なんでも同じ様な緑色のゴジュラスギガがいて、緑の悪魔って呼ばれて恐れられていたそうですよ。
私はその頃はまだ生まれてませんからよくは分かりませんが、お爺さんの話ではとてつもない
化け物だったみたいですよ。なんかたった一体で敵の大軍を蹴散らしたとか、山のように巨大な怪物を
倒したとか、なんか本当の話なのかすら怪しいほどもの凄い事ばかりあったそうです。」
「そ…そうなの…。」
マリンの膝は笑っていた。確かにカンウがその“緑の悪魔”で、強いゾイドという事はわかっていたが、やはり改めて聞くと驚かざる得ないのであった。
「(でもそれってゾイドの性能だけじゃなくて、それを操っていた曾お婆もちゃんもって…事でしょ?)」
マリンはため息を付いた。それだけの事をやる曾祖母と今の自分の実力とを比べ、自らの実力の無さに嘆いていたのだ。
「(は〜…やっぱり血筋だけじゃだめなのね!精進しないと!)」
「ったく・・・たかが小娘一人じゃないか!!なんで社長はあんなにビビってるのか!!?」
バールドコネクションのとある一室にて、スーツ姿でほっそりした一人の男が愚痴った。
「しかし、社長の命令は絶対ですし・・・。」
「じゃあゴンズさんはどうなってもいいと言うのか!!?」
男は口答えした部下に怒鳴りつける。そして、思い切り机を叩いた。
「社長がなんと言おうと俺はやるからな!!!」
「ええ!!?」
「な〜に心配すんな。要はバレなきゃいいんだよ。」
男が笑いながらそう言ったとき、彼の背後には、まるで西部劇のガンマンような格好をし、スナイパーライフルを抱えた一人の男がいた。
「そいつは・・・。」
「こいつの名はジョン=マクライド。プロの殺し屋であり、その業界じゃあスナイパージョンと恐れられているほどの男だ。」
「数キロ先の針の穴だって通すぜ。」
ジョンと呼ばれるスナイパーはニヤリと笑いながらそう言った。
「とにかく・・・分かってるな!」
「ああ・・・、そのマリンとか言う小娘を撃ち殺しゃあいいんだろ?楽な仕事だぜ・・・。」
そして、ジョンはコーヒーを一杯飲んだ後、部屋を出て行く。そして出て行き際にこう言った。
「棺おけを一人分用意しといてくれよ。」
「かあああああああ!!!カッコイイ!!」
ジョンの渋さに思わず男の部下は引き込まれていた。
「そうだろう!!アイツなら絶対やってくれるぜ!!そしてあの小娘は事故で死んだと社長に
説明すれば、社長だって文句は言えないだろうし、その後で俺たちがゴジュラスギガをかっぱらえば幹部の椅子だって夢じゃねえぞ!!」
バールドコネクションでのそんな陰謀など知るよしもなく、マリンとカンウは今日も行く。
「さ〜て、どこへ行こうかな?」
カンウのコックピット内にて地図を見ながらマリンはそう呟いた。カンウはゆっくりとした歩みで辺り
一面に広がる広大な大地を歩いている。空は晴天、雲ひとつ無し。近くには大きな川が流れており
物資を運んでいるフロート装備のグスタフが川をさかのぼっていた。そのまま川の流れにそって進めば
次の町がある。何事もない平和な道行。
「さて、ここで一休みしましょうかね。」
マリンはカンウを一時停め、外へと出た。そして川の近くの丁度良い岩陰を見つけると、自らの服の
大きな袖口から幕の内弁当を取り出し、のどかな川の流れを眺めながらそれを食べ始めるのだった。
>>恐怖の亀裂作者さん
デスサンダーって・・・想像するとかなり怖い物が出来上がったりしましたよ・・・。
あと、主人公の家系などの”謎”に付いてはこれから徐々に物語の中で明らかにしていく
という事にしています。当然それだけでなく、色々な複線など用意しているつもりですから。
一応補足しておくと、主人公の家がマフィアに恐れられている事は主人公本人は知りません。
また、その手の噂を知らない組織もあります(例えば新興組織など)
さらに、そのジンクスを撃ち破らんとあえて挑戦してくる組織などいるという事も考えています。
まあそれがどうなるかは物語の中で答えを出していきますよ。少しずつ・・。
「湯冷め…な訳無いわね。如何見ても熱を出しているみたいだし…。」イドの頭に手を当ててカリーナは言う。
「無理しなくても良かったのに。」腰と背中の穴の少し離れた辺りを少しつつくと触手がだらんと力なく出てくる。「やっぱり…よっぽどこれをばらしたくなかったのね。」
カリーナはイドに自分の上着を掛けてもう一度抱き直すと医務室に帰って行った…。
医務室に入るカリーナそこで見た物に危うくイドを落としそうになる「それって…服だったんですか!?」目の前には脱皮をしている様な姿のエキドナだ居る。
「あら?気付かなかった?」「はい…。」肩口からは腕では無く分厚い羽根の様な粒子加速器と触手が生えていたがそれ以外の姿は普遍一般の人の姿をしている。
部屋の奥の写真の人そのもので更にその姿は50を超えた女性には到底見え無かった。「負けた…。」別に見た目やスタイルで勝負する気は無いがカリーナは絶対的な敗北感を感じていた。
「その子は?急患みたいだけど?」思い出してカリーナは言う「この子はシャワールームに現れたんです。何処から来たのかを聞こうとしたのですが必死に逃げようとして…。」
「それで熱中症になったって事ね?」「はい…。」その顔を見て大体の出来事を理解したエキドナは「余り子供を脅かしちゃ駄目よ?」とカリーナにきつめに言った。
「ふふふ…珍しいお客様ね。」イドを取り敢えずベットに寝かせる。それを見て部屋の隅にいたゾイドが立ち上がりイドに近付くとペロペロとイドを舐め始める。「あら?貴方はこの子が気になるの?」
エキドナの触手がそのゾイドの頭を撫でる…そうするとそのゾイドは嬉しそうな表情をする。イドの額に氷嚢を乗せ様子を見ると「う〜ん…。」唸っている。どうやら命に別状は無いらしい。
椅子に座るとそのゾイドとイドを見てこう言う…「グラハム。貴方は何て事をしたの…。私や貴方は喜ぶかもしれない。でもこれは命に対する冒涜よ…。」一目見た時から既に解っていたのだ。
敢えて目を背けてきた事。事の成り行きによる奇跡的な偶然ではあるがここで実証された事は細胞一つからでもゾイドの生命力を借りれば死した者の肉体的な再生。クローンが容易と言う事になるのだ。
もしそれが何の制限も無く使用されればこの星に間違いなく混乱を産みそれは最悪の場合他の星にまで飛び火する可能性も有る事だった。
「よし!準備完了です…。」カリーナは銃を構える。そして壁を撃つ。「おいおい…手厳しいね。」
壁に偽装された映像が消え1人の男が現れる。「縁は切った筈ですが何か用ですか?」その声は刺々しさがあからさまに現れている。
「確かに組織とかに入って貰ったつもりは無いが結果的に僕の手伝いをしてくれたじゃないか?」不適に笑う男。
「資金源の資産家を軍に売り渡して自分はその資金と報奨金でのうのうと組織を動かす…ベルゲン=リッテンバッカー!」そう言って聞き手の左手にレーザーメスを4本構える。
「随分と嫌われたものだね。嫌われ継いでだから種明かしを一つしてあげよう…。君の家を爆破したのは共和国軍じゃなくて僕等ノーブルアーシーズさ。」「っ!?」動きそうになる体を必死にカリーナは静止する。
それが本当でもこれの意味するのは見え透いた挑発。「それで?それをした貴方が今更私に何の御用ですか?」慇懃無礼な切り返しをするカリーナ。「ふふふ…光栄だねまた君とダンスが躍れそうだ!」
何かが床に落ちて音がするとそれを合図に部屋の中で銃撃戦が始まる。お互いに巧みに部屋の物を利用して弾を躱す。実力的にはベルゲンの方が遥かに高い。
がそれをして決着がつかないのは地の利を活かして巧みに薬品をその場で調合し爆薬や催涙弾として投げたり転がしたりしているからだ。
「ダンスは終わりだね。時間だ。」ベルゲンがそう言うがこれと言った変化は見られない。「あれっ?失敗みたいだね。あれ程気を付けてと言ったのに…多分死んだねあの2人。」
背を向け立ち上がるベルゲンの背中に4本のレーザーメスが刺さる。しかしベルゲンは全く動じない。「!?しまっ…」次の瞬間カリーナの意識は闇に落ちる。気を失う前に見た物は巨大な甲殻皮膚。
しかも昨日今日使用例が出来たばかりの多種多様型。「ふふんどうだい?格好いいでしょう?僕等に掛かればこんな物は朝飯前だよ!」気を失ったカリーナにベルゲンは近付くとカリーナの方に軽くキスをする。
「御別れのキス!縁が有ったらまた会おうねっカリーナ!」
彼こそはノーブルアーシーズの全てを統べる者。B級エージェントに成り済まし偽りの組織の歴史を作り出しそれを使用して1年と経たずに組織に由緒ある伝統を与え無能で忠実な幹部を作り出す。
そしてそれを切り捨て姿無き創始者ディバイン=アースを演じていたのである。
同刻。
「すいません…ちょっと往診をして欲しいのですが?」何処も調子が悪そうもない2人連れが医務室に入ってくる。
「今は診察は休憩中よ?それにこの施設でなら連れてきた方が早いわよ…?」音も無く放たれた銃弾を軽く叩き落としてエキドナは振り返る。
「これはこれは…Drマリアムお付き合い願えませんか?」サイレンサー付きの銃を構えて近付く2人にエキドナは言う。「今は息子達が眠っているの出て行ってくれないかしら?」
近づいて来る2人は2丁拳銃の技術が有るらしくもう一方の手に銃を握り乱射する。
この事件の発生当初から監視をしているノーブルアーシーズは彼女の正体も知っている為この時を待っていたのだ。
「何?そんな事が…。」あの弾数なら数発は命に別状の無い位置に当たり動きを封じれると思った2人に目の前で目を疑う出来事が起きた。
その場で回転椅子を使い素早く回ったエキドナの触手に全ての弾が弾かれたのだ。「う…嘘だ。これは夢だぁ…。」その内の1人が彼女の触手の一つスタンロッドに倒れる。
完全に気を失っている相棒を見て「くそぅ!これじゃあベルゲンさんに申し訳が立たない!」そう言うと突然弱い衝撃波がエキドナを襲う。
「つっ!多芸ね…でも貴方には私を倒す事は出来無いわ。」次の瞬間2丁の拳銃が真っ二つになる。「動いちゃ駄目よ?1分間。その間に動いたら死んじゃうわよ?」
その言葉の意味を一瞬で理解する。目に見え無い程の鋭い糸が自分を通り抜けたのだ。しかし1分も耐える事は出来ずに「死ぬぅ〜!」と大声を上げながら男は倒れる。
「お馬鹿さんね。医者が簡単に人を殺す訳無いじゃない。」しかし彼の服はしっかり体から無くなっていた。
「その2人は返してよ?エキドナさん。」突然天井から声がしたと思うと床に甲殻皮膚を纏った男が優雅に降り立つ。「隣でドンパチやってた子ね?」
「ご名答!僕はベルゲン=リッテンバッカー!職業は”か”の付く自営業です。」それを聞きエキドナは「最近の若い子は余所の人の情報を奪ってコピーするのが趣味なの?」
彼の甲殻皮膚を見てうんざりとした顔をする。「そう!偽造捏造は得意分野です。」変に行儀良く寝ているイドを起こさない様に声も最低限の大きさだった。
「失敗したので僕達は退散します。近々またお会いしましょう。」そう言うと堂々と医務室から2人を抱えて去って行った…。
更に同刻。
第2層で第3小隊は武装の試し撃ちをしていた。「凄いですねぇ〜やっぱり荷電粒子砲はぁ〜こうでなくてはぁ〜!」
部隊内の全ての者にせがまれてラインハルトはデスサンダーに無砲塔荷電粒子砲を試射させている。相手は大量発生したボムホーネット。
「勘弁してくれよ?そんなに無駄撃ちは出来無いからな…。」そろそろ限界が近いため照射を中止する。
それと同時に今度はガンドレイクが砲撃を始める。「シュミット少尉!狙わなくても当たりますとにかく弾幕を!」ディオスに言われて素早く向きを変えながらキャノン砲を連射する。
とにかく数が多い…と言うより多すぎる。調べてみればコア一つのワンブロックと言われるタイプの一つだ。当然生産力は高い。その上本体と爆薬が同時に爆発すれば結構な威力になる。
多分何処かでこれを休み無く生産している場所があるのだろう。しかもそれは彼等が電源を回復させた為に再稼働した可能性も充分に有る。と言うよりまたそれしか答えは無い。
「何か大損している気分ですね…。」弾幕の穴を縫って来るボムホーネットをカイエンとミズホは素早く破壊していく。
「あれぇ〜?サーラちゃんがぁ〜居ませんねぇ〜?」そうルディアが行った瞬間後ろの方から激しく爆発音が響いて来る。どうやら後方の相手を迎撃してくれていたらしい。
「数が多いよ〜。」ビーム手裏剣ランチャーで必死に後方から挟撃をしようと来るボムホーネットを落としまくっているサーラ。隙を見てパルスキャノンで巧みに一度で対応する相手の数を削っているが中々数は減らない。
サーラはふと昨夜の事を思い出す。高速で動いていれば爆発に追い付かれる事は無いのでは?とか思い始める。余りにも数が多く鬱陶しくなったサーラは機体を突然味方の周りを高速旋回させるとファルコンモードで突っ込んだ。
「やぁ〜!」とボムホーネットの群れを突き抜けるとそれを必死に追うように爆発が付いて来る。
そのまま群れに添って進んで行くとどうもそれらしい場所に到達する。目の前には巨大な女王蜂が必死にボムホーネットのコアブロックを産んで居た。
「女王蜂さん見付けたよ〜!」サーラから通信が入る。「急いでサーラちゃん!このままじゃ数に負けちゃう〜!」ミズホから泣きそうな声で通信が戻ってくる。
ラビットホーンの使用ならかなり離れ壁に隔たれた場所でも通信が届くようだ。
女王蜂はストームラプターに気付くと突然羽を擦り合わせ始める。すると大音量の雑音が辺りに衝撃波と共に響き渡る。
「う〜うるさいよ〜。」サーラはパルスキャノンを連射して目の前に来る衝撃波を相殺する。機体が小さい為このまま衝撃波を受け続ければ間違いなくバラバラになる。
羽の動きを止めると今度は羽にある模様にエネルギーが収束してエネルギーの塊を作り出す。それは羽から離れるとゆっくりと進み始める。そしてそれは断続的に産み出される。
危険を察知してエネルギーの塊をパルスキャノンで攻撃するとそれが砕けて辺りにエネルギーの渦を巻き起こす。
「はぁ〜!!!」ビーム手裏剣ランチャーを連射して攻撃を加えるがエネルギーの渦に阻まれて到達する物は少ない。大量に当たってこそ意味のある武器でありあの程度では役に立たないだろう。
それでも攻撃を止めないサーラ。突然女王蜂が悲鳴を上げる。エネルギーの渦が体の近くで発生してしまい産卵管を破壊したのだ。「産卵管を破壊したよ〜!!!」通信を入れる。
「了解!ありがとう。こっちは何とか成りそうだよ。勝てそうもなかったら戻ってきてね!」ミズホから通信が入る。「解ったよ〜でも道を覚えて無いの…。」「えええ〜〜〜っ!?」ミズホの声が聞こえる。
「何とか頑張ってみるよ〜。」そう言うと通信を切り女王蜂と対峙する。
産卵管を破壊した為地面に居る必要の無くなった女王蜂は空中に飛び上がる。それに伴う風の流れとマグネッサーの起こす磁気乱流は狭い空間では猛威を産む。その流れを受け流しながらストームラプターを姿勢制御するサーラ。
「う〜ん動きづらいよ。だから狭い所は嫌い!」女王蜂が腹から針を無数に打ち出すが隙間を見付けてかする事無くそれを回避するストームラプター。それに合せてもう一度放たれた物はビームクナイで叩き落とす。「それじゃあ反撃!」
胸部カバーを素早く腕に装着して女王蜂に接近してギガソートブレイザーを撃つ。距離が短ければ短い程威力が増す為可能な限り近付く必要が有る。同行した今回の作戦は彼女にとっては厳しい連戦続きになる。
経戦能力を問われる為無駄を何処まで省けるかが鍵となる。それは何も弾薬に限った事では無い。効果は相手が飛行していている為薄く止めには程遠い威力だった。
ビームクナイを前に構えグリップを接続するとビームがクナイからはみ出始めた…。
悪魔の遺伝子の作者さんへ
スナイパーキターーーー!やっぱり安全な所から狙うのは基本ですね。
しかし問題は…この手の話で命中率が高いと某鉄の城の〇械獣の様に!?
「ヘッヘッヘ・・・お嬢ちゃんこんな所で何してるんだい?このへんは追いはぎとか出るらしいからあぶねーよ。」
突然変な男が現れ、マリンに言い寄ってきた。その男は一応親切な人をやっているつもりなのだろうが、
ムキムキの体にボロボロに破けた服、そして顔はボサボサ髭に禿げ頭。その風貌はいかにも野盗です
って言っているような風貌だった。しかし、マリン本人は別に動じることも無く弁当を食べつづけていた。
「オイオイお嬢ちゃん聞いてるのかい?この辺はあぶねーぜー・・・。」
「いや、だから何であぶないの?」
「俺たちみたいなのが出るからだよー!!!!」
男が叫んだ直後、周囲からこれまた私は野盗ですとでかでかと顔に書いているとすら思えるほどの
男達が現れたのだった。しかも、何をするかと思えばいかにも野盗らしい集団でかこっての恐喝まがい
というワンパターンかつ頭の悪い戦術だった。しかし・・・。
「お・・・おい・・・、人の話・・・聞いてるのか?」
本人はかっこよく登場したと思い込んでいた野盗達は拍子抜けしてしまった。なにしろマリンは別に
動じることも無くなおも弁当を食べていたからである。
「は〜・・・お茶がおいしいね〜・・・。」
川を眺め、お茶をすすりつつマリンはそう呟いた。確かに普通の人にとってはいきなり野盗に
囲まれてしまえばビビって金品とか差し出してしまうだろうが、マリンはああ見えてそれなど比較に
ならない修羅場を潜り抜けてきたのでとくにどうという事はなかったりする。
「な・・・なんだあのガキ・・・完全に俺達を無視してやがる・・・。」
マリンの態度に今度は逆に野盗達が浮き足立ちつつあった。流石にこのような展開は予想だにしていなかったからである。
「畜生!!ガキのくせに大人を舐めるな!!」
業を煮やした野盗の一人がマリン目がけて躍りかかった。右上腕の筋肉に力を入れ、大きく振り上げた。
「つあああ!!」
相も変わらず幕の内弁当を食べているマリンの顔面に野盗のパンチが叩き込まれた…が、そう思われたその時、野盗のパンチがマリンの体を突き抜けてしまった。しかし貫いたワケではない、手応えも
全く無いすり抜けたと言うに等しい現象だった。唖然とする野盗達。野盗が殴ったそれはマリンが
作り出した残像であり、マリン本人は野盗の上まで高くジャンプしていた。幕の内弁当を食べたまま。
そしてそのまま野盗の顔面を蹴りつけた。華奢な外見からは想像も付かない程速く重く固い蹴り。
「ぎゃあああ!!!」
野盗は典型的な悲鳴を上げながら吹っ飛んだ。それには誰もが青ざめた。
「な!!!なんだこのガキ!!!」
「ええい!!もうかまねえ!!やっちまえ!!大人の恐ろしさを見せてやれ!!」
これまたいかにもと言ったワンパターンな言葉を吐き、一斉に飛びかかったのだった。
が、しかしマリンはその攻撃を全てかわし、蹴りだけで全ての男を倒していた。しかも弁当はまだ食ってる。
「うおおおお!!!なんだコイツはぁぁぁぁ!!!!」
ヤケクソになった野盗の一人が拳銃を取り出し、それをマリンに向けて発砲したのだった。
が、その後さらに信じられない出来事が起こった。なんと割り箸で挟み込む形で銃弾を受け止めていたのだ。
「そんな安物の銃の弾丸じゃあ私は殺せないよ。」
食べ終わった幕の内弁当を再び袖の中にしまいながらマリンはそう言う。とその時だった…って今まで
何度同じ事言ったかわからないが、とにかく突然機関銃の雨がマリンのいた方向めがけ飛んできたのだ。
「きゃあ!!」
それには思わずマリンも驚き、跳んでかわした。ついさっきまでマリンが立っていた場所はたちまち穴だらけになった。
「ったくこんなガキ相手にこれを持ち出すとは思わなかったぜ!!」
銃弾が飛んできた方向には、超小型ゴリラ型ゾイド「ゴーレム」の姿があった。ゴーレムはかれこれ
100年以上も昔に作られた機体であるが、その完成度の高さは今だに評価が高く、今なお
マイナーチェンジ機が多く生産されている。まあそのほとんどは土木作業用だったりするが…。
「わ〜お〜!持ってる物は持ってるじゃない!」
「どうだ!!ビビったか!!」
感心するマリンにゴーレムに乗っている野盗はゴーレムの力を誇示した。と、その時マリンは袖の中に
手を入れてガサゴソと何かしていた。そして、何かを取りだしたのだった。
「対ゾイドライフルー!!」
「何でんなデカイもんが中に入ってるんだよ!!」
あの青猫のような口調と共にマリンが取りだしたのは100キロ以上はゆうにあると思われる大型の
対ゾイドライフルであった。しかもそれをマリンは片腕で軽々と持っているのである。
いや、それ以上に驚くべきはそれを入れていたマリンの服の袖そのものでは無いだろうか。以前は分銅の付いた鎖が飛び出した事もあるし。
「最初に撃ってきたのはあんた達だからね!撃たれても文句は無しよ!」
マリンはゴーレムに対ゾイドライフルを向け、4発発射した。4発の銃弾はそれぞれ1発ずつ
ゴーレムの四股の付け根部分の関節を撃ち抜き、たちまち倒してしまった。
「私は何で強いと思う!!?元々強いからだよ!!!!」
それから、全員ボコボコにした野盗に対し、マリンは思い切りそう叫んだ。が…。
「ゴメン今のはウソ…。本当は沢山修行したの…。」
ずげげげげっ
いきなりの手のひらを返すかのようなマリンのセリフに野盗達はすっ転んでしまった。
「どうやったらそこまで強くなれんだよ!!!」
「そんな事言われてもな〜…。これでも和尚さんには今だに一勝も出来ないし。」
そんなこんなで、野盗を返り討ちにしたマリンはそのまま警察に通報ししょっぴかせるのであった。
「は〜…変な所で道草食っちゃった…。行こ行こ!」
マリンは再びカンウに乗って出発した。そしてマリンはコックピット内で先程野盗を警察に突き出した際にもらった賞金の品定めをしていた。
「やっぱり所詮あの程度の連中じゃこれっぽっちか…。あ〜ここでいっそでっかい大物の賞金首とか出てこないかな〜…。」
マリンがそう呟いたときだった。
ガチュン!!!
「い!?」
それは突然の出来事だった。カンウの足下の地面が突然弾け飛んだのだ。
「な…何…?地雷でも埋まってるとか…?」
恐る恐る足下の弾け跳んだ地面を見た。そこには、何か小さくも貫通力は高いと思われる銃弾が撃ち込まれた後のようになっていた。
「な…一体何が…。」
マリンはカンウごと周囲を眺め回した。しかし怪しい者は特に無く、レーダーにも反応は無かった。
「フッフッフ…、やはり戸惑っているようだな…。」
カンウのいる地点より遥か数十キロ先の彼方の岩山の上に立つ一体のスナイプマスター。その中に、
バールドコネクション構成員の一人の独断で雇われた殺し屋、あのスナイパージョンの異名を持つジョン=マクライドの姿があった。
>>恐怖の亀裂作者さん
「医者が簡単に人を殺すわけが無いじゃない」というセリフ。
何か以前聞いた医者が人の治し方知ってるのは同時に殺し方も知っているというのを思い出しました。
あと、ワンブロックを使ってますね。しかもそれを作ったのは工場の類ではなく
女王蜂・・・・何か凄く怖い物が想像出来ました・・・。さらに言うと自分虫とか苦手なんで・・・。
悪魔の遺伝子の作者さんへ
袖口の謎が遂に…幕の内弁当からほんの少し気になっていたのですがまさかデカ物まで入っていたとはw
どんな服を着ているのか?と気になっています彼女の服装。
ネタあかしはすると思います”女王蜂”。
お医者先生の件は影の薄い1人を抜いて2人が性別が被るので立場から来る心構えの違いを持たせてみました。
だから片方の人は医務室でドンパチをやってみたり襲ってくる物を躊躇無くばっさりとやったりさせてみました。
「…また失敗か。予定調和とは行かないね。」両肩に抱えた2人を下ろして森の中でベルゲンは呟く。
「あら?ベルゲン?あんたも失敗したの?」茂みからラディスとラドナーが現れる。「やあ!そっちもきつかったみたいだね。」
「おうよ!俺は死にそうになったしな…実力を隠すのは大変だぜ。」肩を回しながらラドナーは言う。
「あんたの連れは大丈夫だったみたいだけどこっちは半数以上手駒を失っているわ…。」ラディスは唇を噛みしめて言うのを見てベルゲンは言う。
「やっぱり自分で動かない奴等は駄目だね。そろそろまた切るか…幹部共を。」そう言ってベルゲンは首を切るゼスチャーを取ってみせた。
それを見てラドナーは「まだ待てディバイン=アースさんよ!あんまり早く切り過ぎると幹部共にばれるぞ?」ベルゲンはラドナーに指摘される。
「そいつは何処にも居ない奴さ…でも何処にでも居る。これさえ有ればね。」ボイスチェンジャーを使い威厳の有りそうな声でベルゲンは言った。
「僕はこれから遺留品を回収に行く。2人はどうする?」ベルゲンは2人に尋ねると「私はもう一度監視に行くわ。多分成功するから見に行きたいの。」ラディスは言う。
それに続き「俺はベルゲン。お前さんに付いて行くよ。一応組織のボスなんだからボディガード1人ぐらいは居ないとな?それに1人で持ち帰れる程遺留品は少なくないだろ?」
「そうだね。じゃあ行こうか。」ベルゲンは指を鳴らすと光学明細が解かれリアクティブステルス機構のグスタフが現れる。そこから出てきた者達が倒れている2人を連れていく。
「さあ!行こう!」3つの影は施設内に消えて行った。
施設内
ビームは真っ直ぐ伸び双方の長さがストームラプターの全高に達する長さになる。「ツインビームランサー!格好いいでしょう?」サーラは機体にそれを振り回させてポーズを決める。
女王蜂には警戒要素が増えただけだが構えたサーラの方は意気込みが全く違う。「振れば玉散る氷の双刃〜恐れぬ者なら掛かって〜来なさいぃ〜っと。」
「えええ〜〜〜っ!?」回線を開いたままでそれを聞いていたミズホは危うく壁に機体をぶつけそうになる。「これはこれは…あのお嬢ちゃんがこんな事を言うとはな。俺の相棒に毒されたか?」
機体を自動で立て直しモニターにそう表示するラビットホーン。「そ…そうみたいだね。それ以外は有り得ないっ!」
その時ストームラプターのモニターが女王蜂の詳細なデータを映し出す。「わ〜!?何だこりゃ!?」そこに映し出されているのはブロックの生産プラント。しかもボムホーネット専用らしい…。
何処かの技術者が自動防衛用に女王蜂の姿にプラントの最終部分を作ったらしいが多分その技術者はこんな結果に成るとは思わなかっただろう。ジョークとしては合格レベルだが強いとなると問題が有る。
「納得できな〜〜い!!!」その武器もよもや自動防衛用とは言い難く最早拠点防衛用に装備されるものであった。その上無線通信でこの階層の自動防衛システムにも介入出来るときている。
この階層に居る限り女王蜂の攻撃を受けると言う事になるのだ。「鬱陶しいよ〜っ。」サーラは部屋天井からその力で操作されるパルスレーザー機銃の雨を必死に避けながら近付くチャンスを伺っていた。
「ふぅ〜こっちは何とか成りましたね…。」シュミットは額の汗を拭きながら言う。「はぁはぁ…そうですねぇ〜これはサーラちゃんのお陰ですねぇ〜。」肩で息をしながらルディアもそう言う。
結局略初戦から全力勝負になっており実体弾の弾薬を可能な限り使用を控えはした物の結局補給用にコンテナで引っ張ってきた弾薬を全種類再装填する必要が有った。それ程までにボムホーネットの数は多かったのである。
「サーラちゃん大丈夫かな?急がないと…。」ミズホはラビットホーンの探知したルートを見て最短で合流できそうな道を探す。「すいませんラインハルト少将!ここと…ここの壁を破壊してください!急がないと…。」かなり慌てた声でミズホが言う。
「うむ!そう言う事か!良し!ルディア少佐。ちょっと行ってくる。」デスサンダーとラビットホーンは素早く行動を開始する。「ふぅふぅ…あの2人は何で息が上がっていないんでしょう?」カイエンも深呼吸して呼吸を整えながら言う。
「それは慣れているからでしょう…。」ディオスも息が上がった様子は無い。確かにサポートだがそれでも一番戦闘していたのはガンドレイクなので相当苦労していた筈だ。
壁を破壊する理由が今一解らないと言うカイエンとシュミットを見てディオスはこう言う。
「見せてもらった移動経路は使えないんです。中央ブロックにはスライドフロアと言う機構が有ります。これが動いていると道が変わってしまうんです。」
とディオスは隣で動く壁を指差した…。
「ひ〜んひ〜んっ!!!」訳の解らない掛け声を出しながら必死になってパルスレーザー機銃の雨を避けているサーラのストームラプター。
その映像が偶々ラビットホーンの映像回線に繋がってしまってそれを見たミズホの顔面は蒼白になる。
「どっどうしたね!?」その魂の抜けた様な表情はラインハルトをも驚いてしまう物だった。次の瞬間にはパニックになり「早く!早くぅ〜!!!」と何とデスサンダーを押し始める。
しかも速度が上昇するから溜まったものではない。「落ち着くんだ!もうすぐ予定の場所だ!」
まず1ヶ所目の壁を無砲塔荷電粒子砲で穴を開ける。しかし意外とサイズが合わず最終的には奥の手の左手に顔を付けマグネーザーで足りない所を打ち抜く結果となった。
「よし!行こう!後2分もすれば蜂の巣の真裏に出る!」「了解しました!早く行きましょう!」まだミズホのパニックは納まっていない様だった。
「…と言う訳です!遊び半分で中央ブロックに入っては駄目ですよ?特に!ルディア少佐!」「はぁ〜い…。」長々と説明された上に釘を刺されるルディア。ディオスには誰がどう言う性格かを知られているようだった。
「スライドフロアは対象が侵入してから一定時間が経つかムーブパネルを踏むかで作動します。そろそろカイエン少尉が戻ってくる時間です。」その通りに壁が開くとツイステッドゲイルが中央ブロックから出てくる。
カイエンは疲れた顔で言った「沢山の数を数えて行動するのって本当に大変ですね…。」後で聞いた話では11万2375回パネルを踏めと言われたらしい。
少し時間は戻って遂に我慢の限界を超えたのだろう…サーラはパルスキャノンでパルスレーザー機銃を攻撃する。「あれ?避けた?」ロックしてから更に確実な距離で撃った物が外れると言う事は目標が移動しているという事だ。
そう言えば同じ所から狙われていたならこんなにイライラする回避運動を続けなくてはならない筈は無い。「動いてるなら!」接近してツインビームランサーを回転させながら振り抜く。流石に横、縦には動けても高さの方向には動けないらしい。
根元を切り機銃が天井から床に落ちて爆発する。「そうと解れば!簡単簡単!」女王蜂が突撃してくるがそれを避け残りの機銃を落としに入る。壁や天井、床からハッチが開き次々と機銃が出てくるが動き出す前に攻撃してしまえばただの的だった。
「フフ…俺の前にはいかなる装甲も無意味だぜ。なぜならコックピットを直接狙うからだ…。」
パイロット狙い。それが彼の流儀だった。彼はその戦法でそれまで数々のゾイドを仕留めてきた。
いかなる重装甲を持つゾイドでもコックピットを覆うキャノピーともなれば話は別。
そのキャノピーに直接撃ち込んで中のパイロットを殺す。それだけで勝利できるのである。
キャノピー式ではない装甲式コックピットを持つゾイドなら安心と思われるかも知れないが彼の前では
無意味。辛うじて残ったメインカメラに撃ち込まれる形で倒される。それを出来る腕が彼にはあった。
むしろ相手のゾイドを破壊せずに倒すことが出来る故、後々そのゾイドをかっぱらって他の人間に売り払ったりと良いことづくしであった。
「さ〜て…お遊びはこの辺りまでにして…そろそろ決めるか…。」
スナイプマスターが照準を動かし、そのスナイパーズスコープにカンウのキャノピーの向こう側で戸惑い顔になっているマリンの姿が写し込む。
「ちょっと勿体ない気もするが…悪く思うなよ。」
ジョンが引き金をゆっくりと引き、そのままスナイプマスターの尾に装備されたスナイパーライフルが
火を噴いた。超音速を遥かに越える速度にまで加速された特殊合金製の徹甲弾がカンウのキャノピーめがけて空間を突き進む。
「ジ…エンドだ!」
ジョンがそう呟いた。しかし…。
「きゃあ!!!」
突然カンウがマリンの意志とは無関係に動き出し、その頭部を大きく横に傾けたのだった。いきなりのこと故にマリンも驚いた。
「ちょ…ちょっとカンウ!!いきなり何を…。」
ガチュン!!
「え?がちゅん?」
突然カンウの後ろの地面が弾け跳んだ。それは先程、カンウの足下の地面が弾け跳んだ時と同じ物であった。
「だ…だから一体何だってのよ…。」
マリンには一体何が起こっているのかさっぱりであった。しかし、それ以上にジョンは戸惑っていた。
「う…うそだろ…俺の射撃が…外れたなど…。」
それまで百発百中を誇っていたジョンのショックは大きかった。ましてや割と当てやすい大きな標的に
避けられたという事実がさらにショックを大きな物とし、鼻水が出るほどであった。
「ハッハッハ…落ち着けジョン…人生の中にはこれくらいの失敗はいくらでもあるさ。たまたまアイツの運が良かっただけなんだよ…。さあ気を取り直して…。」
ジョンは自分自身にそう言い聞かせ、再びライフルの引き金を握った。
「今度は外さんぜ!」
再びスナイプマスターのライフルが火を噴いた。特殊合金製の徹甲弾が空を斬る。
「きゃああ!!」
再びカンウはマリンの意志とは無関係に頭部を横に傾けたのだった。そして再び背後の地面が弾け跳んだ。
「だ…だから何が起こってるのよ〜…。」
マリンは何が起こっているのかさっぱり分からなかったが、カンウは分かっていた。遠くから誰かが
狙っている。そう察知していたのだ。それは野生の勘が作用している事には変わりないが、同時に
先代のパイロットとの数々の戦いの中で覚えた能力であった。
「そ…そんな…また避けやがった…。」
ジョンは再びショックを受けていた。その鼻からは鼻水が流れ出ている。もはや今の彼に登場当初の渋さは無かった。
「わ!!ちょ!!カンウ!!」
突然カンウがマリンの意志に反してある方向へ走りだした。追撃モードに変形し、巨大ゾイドとは思えぬ速度で走り出す。その速度は時速200キロを超えていた。
「わ!!!こっちに来やがった!!なんで俺がここにいることが分かるんだよ!!!」
突然自分目がけて走り出したカンウの姿にジョンは慌ててライフルを連射する。しかし、全くと
言って良いほど当たらない。それはまるで弾丸が見えているようですらあった。
「な!!!何であたらねえんだああ!!!!」
無理もない。カンウは先代パイロットの時代、スナイプマスターのスナイパーライフルの弾速を遥かに
超える武器を持つゾイドを相手に戦ってきたのだ。しかし、そんな事をマリンは知る由も無かった。
「あ!!!まさかアレ!!?」
カンウが突き進む先の岩山に一体のスナイプマスターがこちら目がけてスナイパーライフルを向けているのがマリンの目にも見えた。
「何か良く分かんないけどとにかく敵って事ねえ!!」
「うわああ!!!だから何でこっちいるのが分かるんだよ!!!」
ジョンは半分錯乱した。今までこのような展開など無かったからである。それ故に大急ぎでスナイパーモードから通常モードへと移行し、その場から逃げようとした。
「ヒィィ!!」
「逃がすか!!!」
カンウの頭部側面に装備された3連ミサイルランチャーが火を噴いた。計6発のミサイルが、
ジョンのスナイプマスターのいる地点を吹き飛ばしたのだった。
「ヒィィィィ!!!」
スナイプマスターはそのままバランスを崩し、岩山を転げ落ちた。
「ようし!!一気にたたみかけるわよ!!!」
勝利を確信したマリンはそのままさらにカンウのスピードを上げた。
「イタタタタ…ヒィ!!」
ジョンとスナイプマスターが起きあがったとき、既にその正面にカンウの姿があった。カンウは
その場から動かずにまるでにらみ付けるかのように見下ろしている。ジョンは青ざめた。
「ヒイイイイ!!!」
またもや同じ事を叫びながらその場から逃げようとした。しかし、カンウはそれ以上のスピードで
回り込んだ。そしてスナイプマスターにカンウの右腕が叩き込まれた。その際カンウの右手は
握られていた状態であり、爪は立てていなかった。俗に言うパンチというヤツなのである。その一撃で
スナイプマスターの体はたちまちひしゃげ、そのまま機能を停止した。本当ならその程度では済まない
はずであるが、それはカンウが手加減したからであった。
「な…なんだよありゃあ…バケモンじゃねーか!!」
スナイプマスターの中からジョンが這い出てきた。しかし、そのジョンを待ちかまえていたのは誰でもないマリンだった。
「…………。」
たちまち青ざめるジョン。そしてマリンはニッコリと微笑む。そしてマリンはそのまま笑みを浮かべたままジョンを蹴りつけたのだった。
「あんた…覚悟は出来てるんでしょうね…。」
相も変わらず笑みを浮かべたままマリンはジョンに歩み寄る。笑みを浮かべたままというのが怖い。
「うああ!!来るなあ!!」
ジョンは腰に下げていた拳銃を抜こうとした。しかしそれより先にマリンが袖口から拳銃を取り出し、ジョンの手前の地面に撃ち込んだ。
「ひいいい!!!」
「ん?」
恐怖におののくジョンの顔を見たマリンは何かを思いだしたようなそぶりで袖口に手を入れ、何かメモ帳のような物を取り出すのであった。
「あんた!!もしかしてジョン=マクライドでしょ!!殺し屋の!!やったね!!結構な賞金首じゃないの!!やったやった!!」
「ヒイイイイ!!!」
マリンは子供のように喜びながらジョンを足蹴にしまくるのであった。ちなみにマリンが先程取りだしたメモ帳の様な物は警察から発行されている賞金首リストである。
「ハッハッハ!!今夜は良い物食べられるかも!」
再び出発したカンウの中でマリンはホクホク顔でそう呟いた。ちなみにジョンはロープで縛られた
状態でカンウの背鰭にくくりつけられ、スナイプマスターはカンウの両腕に握られていた。
それから、一時後のバールドコネクション。
「大変です!!ジョンさんが…ジョンさんが…。」
「おお!!!ついにやったか!!」
「いえ、ヤツに負けてしまってそのまま警察に突き出されてしまいました。」
ずげげげげげ!!!
男はそのままぶっ倒れてしまった。
「そ…そんな…あのスナイパージョンが負けるなんて…。」
「だ〜から言っただろうが!バイス家の人間に手を出すなと…。」
「ひ!!社長!!!」
社長ににらみ付けられた男は青くなった。
とりあえず、これで2章は完結。次は3章です。本格的にここから苦戦するようにしているつもりです。
本編の描写を見れば分かりますが、一応今回の主人公は前作のそれよりも随分と弱く設定しているつもりなので、
(それでも普通の人とかよりは強いですが・・・。)それなりに苦戦を描写出来ればいいと思っています。
さらに100年後という設定が功を奏し、さらにゾイドバトルなどの為の個人レベルでのゾイドの
運用も多いと思われるので、公式を完全に無視した変な機能を付けたりなども普通に出来ると思っています。
>>恐怖の亀裂作者さん
なるほど・・・女王蜂は単なるゾイドではなく、女王蜂型の工場だったワケですか?
あと、こちらの話の主人公の袖口に関しては、個人的には分銅付きの鎖を発射した時から気になって欲しかったりと思ったり。
悪魔の遺伝子の作者さんへ
”分銅付きの鎖”って暗記に使用されている事も有るので…。
それを考えるとそれよりも確実に大きなスペースを取る”幕の内弁当”に行き着くまで気付来もしなかったです。
袖口と言われても取り敢えず”時代劇でスリか何かがする格好のアレンジ版”等なら充分使用可能なんでつい…。
最大の問題は〇んま1/2のムー〇を連想してしまったからでしょう…_| ̄|○
「これは…何でしょう?」ミズホはズルズルと目的地の方向に消えて行く長い物体を見付ける。
「案外大ミミズ型のゾイドの成れの果てだったりしてな…。」その形状は渦虫類の姿で粘液を後に残しながら移動している。
ラインハルトこう言っては見たものの別の物なんだろうなと思っていた。昨夜の件が有るので断片的な情報で判断するのは危険だろう…。
「熱源感知!予測シルエットが出ます…うきゃあ!?気持ち悪いぃぃ!」そこに写った姿は随分と巨大に、そして太ったメガレオンの成れの果ての姿だった。
「…ミズホ特別中尉!今から臨時の指揮官として命令を出す!即刻新たなルートを割り出してくれ!奴の狙いは女王蜂だ!」
「ええ〜い!」女王蜂の腹部にツインビームランサーが突き刺さる。悲鳴を上げながら暴れ出す女王蜂。どうやら昨夜のタイプの様な多段適応タイプではなさそうだ。
これも開発経緯の問題でホーネットタイプのコアブロックを高速生産する為に女王蜂の戦闘プログラムやそれに対応したコアブロックに蜂のデータしか入れてなかったらしい事がデータで証明されている。
形勢は逆転しつつある。自動防衛用の機銃も品切れのようで機銃を支えるアームのみが続々と出て来ている。しかし突然レーダーにミサイル接近の警報が激しく鳴る。「ミサイル!?それっ!」
接近するミサイルに少し近付いた後に天井に張り付くように移動する。接近で距離を計算し直したミサイルは浮き上がりその後の上昇に対応。結果天井に激突した。
今度は後ろからミサイルが飛んで来たので急いで索敵を開始する。少しして出た反応は自分の真後ろの壁そのものが多数のミサイルポッドに成っていたらしい。今までは使用を控えていたようだ。
壁に向かってパルスキャノンを撃つとミサイルポッドが反応迎撃ミサイルが接触爆発でパルス弾を消し飛ばした。「嘘臭い〜。」自分の乗っている機体の事はほっといて不満をあからさまにする。
「取って置き!」ツインビームランサーの中心を素早く離しその間にスカウターポッドを付ける。「えいっ!」思い切り振り回してツインビームランサーを投げる。それは不規則な軌道を描きながら飛んで行く。
回転しながら飛んで行くツインビームランサーをひらりと避ける女王蜂だったが次の瞬間に右袈裟切りに羽を切り裂かれて床に墜落する。「ホーミングローター!」量産型とは思えない威力だった…。
第3章:ライバル
「わ〜でっかい街!!」
それから、マリンとカンウはルードシティへと来ていた。ルードシティは様々な分野で世界を又に
かける大企業集合体「バッハードコンツェルン」の本社があることでも有名な大都市である。
ちなみにバッハードコンツェルンとバールドコネクションは名前が微妙に似ているが無関係である。
これから、そのルードシティにてバッハードコンツェルン主催のゾイドバトル大会が開かれるという
ので、各地から多くのZiファイター、そしてゾイドバトルファンが押しかけており、
街はいつにもまして多くの人ごみでごった返していた。現にマリンとカンウがこの街を訪れる際も
様々な方角から街へ向かうゾイドの姿が目立ち、さらに空には旅客機使用のホエールキングなどが
何機も見えたのだった。まあ近頃は巨大ゾイドそのものが珍しいご時世であり、カンウ、つまり
ゴジュラスギガそのものがマニアにはたまらないゾイドであったりするため、マリンとカンウも
周囲から相当な視線を浴びていたが・・・。
「いやはや・・・なんともしがたい光景よね・・・。」
駐車場ならぬ駐機獣場にカンウを止め、マリンは一人街の奥へと歩き出した。街の中にはゾイドバトル
大会でのドサクサに一儲けしようと、開始からあと数日もあると言うのに数々の出店が並び、町中に
様々なポスターなどが貼られていた。さらに店では玩具の事は世界一と呼ばれる、「株式会社TONY」
から出されるゾイドの72分の1プラモデルや、テレビや新聞、雑誌などでも騒がれるほどの
人気と実力を兼ね備えた数々のZiファイターやその愛機のゾイドのプロマイドなどが売られていた。
しかもそれまたイケメンなZiファイターになると、婦女子の人気が集中するので、その写真をめぐって、さながら店内は戦場と化していた。
「まあいいや、街の見物はいつでも出来る!早い所エントリーしに行こうかな?」
戦場と化す店に唖然とするも、マリンは気を取り直して大会受付へと向かい始めるのであった。
とは言え人の数は多く、中々進めるものではなかった。故に可能な限り人の少なそうな小さな路地を
選んで進んでいった。と、そんな時だった。街の不良と思しきいかにも悪そうな若者が一人の老人を恐喝している現場に出くわしてしまったのであった。
「なあなあ爺さんよ〜・・・なんっつーかこー最近不景気じゃねーか。だから俺にお金貸してくんないかな〜・・・。」
どこの街にもこの手のワルはいる物である。しかも今老人を恐喝している不良はトゲトゲの付いた服と
モヒカン頭といういかにも札付きのワルであり、狙ってるとすら思えるほどのあからさまなその姿に思わずマリンもすっ転んでしまった。
「だ!!誰だ!!!」
マリンがすっ転んだ音に反応し、思わず不良はマリンの方向を向いた。その反応の仕方を見ると
外見とはうわはらに気は弱い様子である。まああからさまに相手を威圧するファッションにするのは自分の実力に自信がない証拠であるが・・・。
「なんだ貴様は〜・・・。」
「いやいや!まあなんと言うか・・・恐喝はいけないよ!」
マリンを睨み付けながら近寄ってくる不良にマリンは笑顔でそう注意する。
「ふざけんなガキがああ!!!!」
不良は腕を大きく振り上げた。しかし、それより速くマリンの右足が不良の軸足を蹴り払って転ばせていた。そしてそのまま足蹴にする。
「ガキはそっちでしょが・・・。人の注意を無視するあんたが・・・。」
「お…覚えてろー!!!」
不良はいかにもやられ役と言ったセリフを吐いて何処かへ走り去ってしまった。
「お爺さん大丈夫?」
「いやはやありがとうございます。お嬢さん意外とお強いですな。」
「そんな事ないよ。アイツが弱いだけだから…。」
老人はそのままゆっくりとマリンに近寄っていく。
「実に情けない話じゃが、ワシとて若い頃ならあの位の相手は自分で追い払うことが出来たもんじゃ。やはり負う歳には勝てないという事かのう…。」
「お爺さん昔は強かったの?」
「まあね。今のワシからは想像もつかんと思うがね…。昔はあのネオゼネバス帝国軍の兵士じゃったから。」
「ええ!!?もしかして100年前の大戦から生きてたの!?凄い!!出来ればその時の話とか聞きたいな!!」
「良いじゃろう…助けてくれた礼もしなくちゃならないしね…。」
二人はそうして公園に移動し、そのベンチに座って話をしていた。
「ワシはこれでも昔はハンサムでな〜ピチピチギャルをキャーキャー言わせた物じゃ…。」
「失礼だけどいきなり冷めちゃう様な話ね…。それに今時ハンサムとかピチピチギャルなんて言葉誰も使わないって。」
初っぱなからベタな話になってしまった故、マリンは思わず目を細めた。
「まあワシはこれでも昔は帝国の将校じゃった。味方を指揮したり、ゾイドに乗って戦場を駆け回ったりと色々やったもんじゃ…。」
「へ〜…。」
老人はやっと本格的に昔の大戦時代の話を始めた様子で、マリンは興味深く聞き入っていた。
老人の口から直接出される昔の大戦時代の体験談は、戦争を語ったいかなる本や映像以上に勉強に
なる物であり、さらに戦争の悲惨さを痛感させられる物でもあった。と、そんな時…。
「ん?お嬢ちゃん…。」
「何?」
老人はマリンの顔を見て何かを思いだしたような顔をした。しかし、すぐに別の方向を向いた。
「済みませんな。ただのワシの勘違いですじゃ。お嬢ちゃんがあんまり昔の知り合いに似ていたから…。」
「そんなに似てたの?」
「そりゃ似てたよ。もっとも…その知り合いの顔には君みたいな傷は付いていなかったけどね。」
「や…やっぱり傷が付いてる私の顔って怖いかな…?」
老人は気を使っているのか、それとも本当なのかは分からないが首をゆっくりと横に振り、話を続けた。
「実に恥ずかしい話じゃが、ワシは昔その人が好きじゃった。」
「好きって…あの魚の…。」
「そりゃ鯉じゃ!!」
真面目な話の最中にマリンがベタなボケを放つので思わず老人は顔を赤くして突っ込んでしまった。
「ぶっちゃげた話、彼女は共和国の兵士じゃった…。」
「って敵同士じゃない!!!身分違いに鯉ってやつ!!?」
「だから魚じゃないと…。まあいい…。とにかく昔のワシはハンサムでピチピチギャルをキャーキャー言わせていたワケじゃが…。」
「失礼だけどその話はもう聞いたよ…。」
>>恐怖の亀裂作者さん
一応袖口の件について、最初のほうを読めばわかりますが、主人公は中国服的な服を
着ているという設定です。中国服でもありますよね。袖口の大きいのが。
それを連想してもらえれば・・・
あと、乱○の○ース・・・これは盲点でした・・・。
悪魔の遺伝子の作者さんへ
完全な盲点でした…あの日近辺は知り合いに個人オークションの情報を貰ってそこの一品をゲッツ!
小躍りしていたから記憶から消えてしまったのだと思います。格安で大陸間戦争期のグレードアップパーツのハイパービームガンが手に入るとは思いもしなかったので…_| ̄|○
とそんな事より…キターーーあの人が!!!
Zi人だったのですねあの人。
女王蜂は床で必死にもがくが背中から落下した為に身動きが上手く取れない。ただ闇雲に針や遠隔操作でミサイルを使用するが意味が無い。
それどころかミサイルのロックはストームラプターにではなく自身にロックしてしまいミサイルの雨を浴びる。ダメージは蓄積し動きが鈍くなる。
「今度で終わり…!?」サーラの言葉は途中から切れが無くなり疑問系に発音が変わっていた。
女王蜂の後ろからとても長い物が出てくる。そして…それは女王蜂を巻き取ると恐ろしい音を立てながら物凄いスピードで視界から女王蜂毎消滅した。
「え?」女王蜂が突然消えてサーラは目を白黒させる。レーダーからもしっかりと消えているので余計に気味が悪い。巻き付いた物も何か解らない為緊張感が漂う。
「接触!女王蜂が捕食されました!」ミズホは状況を確認する。「しまった!遅かったか!?あと幾つ壁が有る!?」ラインハルトはミズホに確認を取る。
「後3枚です!5分も無く合流できるはずです!」それを聞いて「よし一気に撃ち抜くぞ!」無砲塔荷電粒子砲が壁に発射される。少しづつ穴が大きくなっていく。
後は大きさを整えるだけになるがそんな暇は無いとデスサンダーはもう一つの必殺の一撃サンダークラッシュを発動させた。
「おわぁ!?」目の前に異様に太ったカメレオンが出現してサーラは焦る。
「気持ち悪いよ〜…?うあひゃっ!?」気持ちの悪さを噛みしめる前に今度は電撃を纏ったデスサンダーが壁を突き破って出現してびっくりする。「無事だったか…。ふぅ〜間に合ったか。」ラインハルトは安堵の声を漏らす。
「お爺ちゃん凄い…。」サーラは感嘆の声を上げる。直にカメレオンに向き直りゆっくりとデスサンダーは歩み寄る。「少し慣らしが必要だな。これ程動いてくれるものだとは思いもしなかったからな…。」嬉しそうにラインハルトは言う。
それに答えるようにデスサンダーのハイパーローリングチャージャーと遂に本来の仕事を始めた荷電粒子吸入ファンが回り始める。遅れてミズホがラビットホーンでサーラのサポートに付く「遅れてご免なさい!大丈夫?」青い顔をして言う。
「大丈夫だよ!急いで来てくれてありがとう。」ミズホは明るい顔で言う。ついさっきまでのストレス爆発気味のだった気分もホーミングローターの威力と2人が来た事で帳消しになっていたようだ。
「ホッホッホッ!意外と手厳しいお嬢ちゃんじゃのう…。言って置くが話はまだ途中じゃ。
まあとにかく…。ワシは彼女に恋をしたのじゃ…。彼女は当時のワシが唯一振り向かせることが出来なかった女性でな…。それがますますワシを好きにさせるんじゃよ…。」
「その私に似てる人って一体…。」
と、マリンが腕を組んで首を傾げた時だった。
「あ…アイツです!!」
なんと先程の不良が仲間を率いて戻ってきたではないか。しかもその仲間達も不良同様に、これでもか
と言わんばかりの相手を威圧するファッションに身を包んでいた。それにはマリンも呆れてしまった。
「ハッハッハッ!!お前がいい気でいられるのももうここまでだ!!」
「って…あんた誰?」
ずげげげげげっ
マリンの突っ込みに不良はすっ転んでしまった。
「おいおい!!!!さっき俺のこと足蹴にしといてそりゃねーだろ!!!」
「そんな事言われたってね〜…。アンタ程度のザコキャラの名前一々覚えてたら身が持たないっつの…。」
「お嬢ちゃん中々酷いこと言うな…。」
不良に対するマリンの反応は老人も呆れさせる物だった。しかし、不良とその仲間達は前に出た。
「まあとにかくだ…。俺達“出素座宇羅亜”の許しもなくこの街でデカイ顔してると痛い目にあうぜ…。」
「それはひょっとしてケンカを売っているの?。あのね〜街の不良ごときに私を倒せるとお思いで?」
「だから俺達“出素座宇羅亜”を舐めるなと…。」
不良グループのリーダー格と思われる特に体のデカイ男が叫ぶ。マリンにはすぐに分かった。
その程度の事で取り乱すのは小物の証拠であると。第一マリンが今まで警察に突き出してきた野盗団も同じ様なパターンが多かった。
「ええいやっちまえ!!!!」
いかにも在り来たりな言葉を吐いて不良達がマリンに飛びかかった。マリンは老人に迷惑が掛からない様に横に跳んだ。そして一番先に飛びかかってきた突撃隊長っぽい不良の額にデコピンを叩き込んだ。
「うぎゃ…。」
デコピンとは言え、マリンのそれはとてつもなく固く重い物であり、それを食らった不良はギャグマンガの様なたんこぶを作り、そのままぶっ倒れてしまった。
「で…デコピン一発で…強ええ!!」
「だから言ったでしょが!!これがカタギの衆相手にしかデカイ顔出来ない街の不良と、絶えず犯罪者を相手に実戦を繰り返してきた私の違いだよ!!」
「ええい!!相手は一人だぞ!!数で押せ数で!!」
自分と相手の力量の差をわきまえられない不良達に勝ち目はなかった。確かに不良はワルなりに卑怯な
戦法を多用してくるが、マリンが戦ってきた野盗達に比べれば子供だましも甚だしいし、戦い方も素人
その物だった。マリンの言葉通り、カタギの衆相手には効いても恐らくマリンを初めとして、実戦を
幾度も経験したような賞金稼ぎや治安維持部隊員などには通用しないであろう。というか通用してない。
「ウソだ…なんでこんな強いヤツがいるんだよ…。」
「私が強いんじゃない!!!お前が弱いんだよ!!私より強いヤツなどこの世にいくらでもいる!!」
マリンの言葉に不良グループのリーダー格的男は青くなった。
「ひいいい!!!」
やはり男は逃げ出そうとした。小物な証拠である。と、そんな時だった。
「り…リーダー!!!!」
「へ…?あんたがリーダーじゃないの?」
リーダー格と思われた男の言葉にマリンは拍子抜けた。
「ハッハッハッ!!リーダーが来ればもう怖い物無しだ!!お前がいい気でいられるのも…グフ…。」
その直後だった、その真リーダーと思われる者…男の影で姿はよく見えないが、その者が男の頭をプロレスのアイアンクローで掴み上げたのだった。
「出素座宇羅亜の面汚しめ…。」
そして、その真リーダーはそのまま男を投げ捨ててしまった。
「お〜や…なかなか強いじゃない…。」
その光景にマリンは感心したとき、謎につつまれていた真リーダーがその姿を現した。
「よくもまあ私の街でデカイ顔してくれた物ね…その落とし前は付けてもらうよ。」
「って言われても悪いのはアンタ達でしょが…。」
その真リーダーは女性だった。身長はマリンより少し上、年齢もやや年上だろうか。長い黒髪が特長の
美人であるが、その目はタカの様に鋭く、性格はきつそうだった。いかにもスケバンという感じである。
真リーダーがニヤリと微笑んだその時、その真リーダーが跳んだ。
「うわ!!速い!!!」
マリンは驚いた。真リーダーの動きは、先程の不良達とは比較にならない程の動きだった。
「どうした!!?コイツラを倒した実力はその程度か!?」
真リーダーは指を立てた状態で超高速かつ連続で突きを叩き込んでくる。いわゆる“指拳”と呼ばれる
技であるが、その速度は速く、マリンは避けるのが精一杯だった。
「わっとっとっ!!」
マリンは素早くバク転しながら後ろに跳ぶ。
「ほう…中々の身のこなしだなあ…。」
「あ…あんただって…。その戦い方は不良のケンカ殺法なんかじゃない…何か拳法をやってるわね…。」
「さあ…どうだろうね!!」
そう、真リーダーの攻撃はケンカ殺法のそれではなかった。ケンカ殺法などと違い無駄がなかったのだ。
まるで何かの拳法かのようで、その動きは優雅かつ鋭かった。と、真リーダーが再び高速でマリンへと
追い打ちを掛けてきた。そのまま高速で蹴りを繰り出そうとする。と、その時だ。その真リーダーの
靴のつま先の部分から刃が飛び出してきたのだ。それにはマリンの目が思わず丸くなった。
「うわ!!!!」
自らの顔面目がけて跳んできたその蹴りをマリンはギリギリでかわす。
「ち…あんたのその顔の傷を増やしてやろうと思ったんだが…。」
「貴女…なかなかのワルね…隠し凶器を使うなんて…。」
「お前にそれを言う資格はあるのかな…?」
「う…。」
マリンの袖口からも槍やらトゲ付き鉄球やらの凶器が半分飛び出ていた。と言うかコイツの服の袖は一体全体どうなっているのやら…。
「ええい!!それがどうしたよそれが!!」
開き直ったのか、マリンが袖口から多数の凶器を真リーダー目がけて撃ち込んでくる。しかし、今度は真リーダーがそれをバク転でかわしていく。
「まだまだぁ!!!!」
今度はマリンが真リーダー目がけ追い打ちを掛けた。その拳は固く握られ、突きを叩き込もうとした。
「お嬢ちゃん待ちなさい!!!!」
マリンの動きが止まった。突然割り込んできたのは老人の声だった。
「お…お爺さん…!!なんで…?コイツはお爺さんをカツアゲしていたヤツの仲間なんだよ!!」
「その娘はワシの孫なんじゃ…。」
「な…なんだってぇぇぇ!!!」
老人の爆弾発言はマリンを驚かせる物だった。確かに真リーダーが老人の孫だったと言う事実は爆弾発言以外の何者でもなかった。
>>恐怖の亀裂作者さん
女王蜂の次の新たな敵の登場でしょうかね?
>とそんな事より…キターーーあの人が!!!Zi人だったのですねあの人。
それについての答えは物語の中で答える事にします・・・・・・・・・・。
>>悪魔の遺伝子作者氏
凄い…前作からうまく繋がってますね。惑星Zi人の寿命が長いという設定が活きてます。
>>恐怖の亀裂作者氏
マグネーザー→粒子加速器でしたか…またも意外なアイデアに脱帽…
現在書いてる新作のストーリーが固まってきました。キャラクターも揃ってきましたし。
両氏の作品は執筆の合間など楽しみに見てます。
「さあ!後は任せて貰おうか。この先で出番が有るかどうか解らないからな。」がたいが大きい為この後状況によっては出番無しに成り兼ねないのだ。
カメレオンと対峙するデスサンダー。カメレオンの目から高出力のビームが発射される。それを胸から左腕にリフトオフしたマッドサンダーの顔で防ぐ。
デスサンダーは昨夜の戦闘でデスザウラーの腕が故障した為特殊アームに装甲を被せた物に成っている。
左腕にはマッドサンダーの首から後ろの機構が有るためマグネーザーや反荷電粒子シールドの使用が出来る。
右腕は前身のデスザウラーSTの背中のウェポンバインダーとそれに接続された4本のバスタークローとフリーラウンドシールドが2機付いている。
それにマッドサンダーの前半分の装甲は腕に付けられ急造仕上げの装甲の脆さをカバーする形になっていた。
更にビームとその長い舌が同時迫る。「避けれんのならば!」防御態勢を取ると舌の攻撃を受け流す。そのままフリーラウンドシールドのエクスブレイカーで舌を切り取る…。
「!?」しかしそれに痛みを感じることが無いのであろうそのまま平気な顔をして舌で攻撃を続ける。「ふむ…その意気込みは良し!しかし相手が悪かったな!」左腕を後ろに引くとアームの巨大な肘当てが突然後ろに動く。
どうやら共和国軍同様にバスタークローやマグネーザーには射程距離と威力の向上にパイルバンカー機構を使用すると同じ結論に至ったらしい。
「行くぞ!サンダースマッシュ!」掛け声と共にデスサンダーは猛烈な突進を掛ける。そして相手の目の前でマグネーザーとサンダーホーンが突き刺さる。「そこだっ!」突き刺した後トリガーを引くと左手のマッドサンダーが20m程前進する。
それに貫かれカメレオンの寄生体はビクッビクッと震えているだけの塊に早変わりしていた。「これは凄い威力だな。」瞬間的な破壊力は大口径荷電粒子砲を上回るものだった…。
その塊を投げ捨ててて肘当てをもう一度引き絞られる。「来るか!」ここからは少しの間手出しが出来ない。見た目と反してラビットホーンの生態予測ではコアを貫いていない為体を再構成する可能性が有る。
更にラビットホーン自体が有る方法で産まれている為そっちの方向も充分有る。
こう言う時の悪い予想は良く当たる。それは寄生体の望む姿。新たな姿を目指しその体は蠢いていた…。
「何か進化というより退化だね…。」サーラは姿が変わり現れた凶悪な姿を見て言う。その姿は”フクロウナギ”と言う図鑑でしか見たことが無い者だ。しかも極一部に寄贈された貴重な地球の生物の物である。
彼女が偶々見た資料の中にそれらしき者の姿が有ったと言う。地球の生物と良く似た生物が居たりする収斂性を地球人の生物学者が提唱した為それの一致性を調べるために調査が今でも続いているらしい…。
更にこの”フクロウナギ”は深海に住んでいたらしい為発見されれば即偵察用ゾイドに運用できると一部の技術将校が報奨金まで出した噂すら有る現在捜索中の種類の者だ。
それはそれだがもし収斂性が有るのならばと「フクロウナギは尾が光るかもしれないから気を付けてねお爺ちゃん!」とあやふやなアドバイスをラインハルトにした。
「それはどうも…ミズホ特別中尉!フクロウナギの情報を調べてみてくれ。後は体内に特徴的な物が無いかも頼む。」「了解しました!」やっと青ざめた顔から元に戻ったミズホにラインハルトは素早く指示を出す。
「…該当無し!?ゾイドとしては未発見!?」ミズホはまたも焦る。居るかどうかも解らない者なのでそう簡単には調べる事が出来無い。「アンコンタクトゾイドから調べてくれ!あの子が知っているぐらいだ多分資料が有る筈だ!」
「了解しました…有ります!尾に発光器官が有るらしくそれで獲物を誘き寄せて捕食するそうです!やはり尾には十分な注意をした方が良いみたいです!」
やがてその全貌が現れるにしたがって余計に困ることになる。確かにフクロウナギ系なのだがシルエットが、デッサンが間違っている。と出来るものなら突っ込みたい気分になる姿だった。
「え〜っと顔が3つに尾が18本。少将化け物です。」投げ槍気味にミズホが報告する。「報告ありがとう随分と立派に育ったものだ…。」恐怖心が裏返るとここまで事象をシュールに感じることが出来るのかと3人は心の底から感心した。
空中に浮き上がり必死に泳ごうとするその姿は恐怖の対象ではなく哀れみすら感じる程無力な姿だった。電撃を発したりディープフィアー同様の攻撃ブラストフラッシャーと命名された攻撃をするがその威力は無く必死に彼らを倒そうとしている。
「進化の行き止まり…かわいそう…。」サーラの目には涙が浮かんでいる。それを察してラインハルトは2人に先に戻れと命令した…。
「何で先に行かせるの?」サーラはミズホに聞く。すると「先に行けない者は世界から切り捨てられる…発展途上の生き物には良くある絶滅パターンらしいわ。」
「それじゃあ…まさか?」「そうよ…多分。」
ラインハルトはデスサンダーを寄生体に近づける。「産まれた者には生きる資格が有るのだろう…だが生きる事の出来無い者は他者に葬られるのみだ。」
最後の手向けとばかりにサンダースマッシュを放つ。「許してくれとは言わん。だが学者でも技術者でも医者でもない私達に出来るのは生きる事が苦痛でしかない君の命を絶つだけだ…。」
しかしそれが終わった後にそこに有ったのは寄生体のゾイドコア。コアだけは無事だったのだ。「おお!!!尚も生きる道を選ぶの!?それなら…。」ラインハルトは地上に連絡を取る。
それは最後まで生きる事を諦めない彼に残る最後の一つの助け船。戦闘用ゾイドとしての再生の道だった。
「えええ〜っ!?無事だったんですかぁ〜!?」合流したラインハルトの報告を受けて何故か当事者でないシュミットが大袈裟な声を上げる。「頑張るぅ〜方へのぉ〜ご褒美みたいな物ですねぇ〜。」
ルディアはラインハルトの決断に何一つ異論を挟まなかった。彼女でも同じ決断をしただろう…その意味合いは違うと思うが。彼女の場合なら当然面倒と言う理由である。
「どうやらぁ〜もうここには何も出そうもありませんし〜先に〜行きましょう〜。」ぞろぞろとまた速度を保って進軍を始める。飛んでいる者が3機も有るがそれぞれが全く違った長所を持つ為今の所問題は無い。
パイロット的にはミズホが乗るラビットホーンが一歩劣るが機体そのもの能力の高さと驚異的な通信能力でその穴をなんとか埋めている。通信能力だけなら充分に他の機体を上回るため戦力外でも本来なら問題ない部類だ。
その後戦闘という戦闘も無く一方的に踏み躙る様に進撃する第3小隊。
第3層と繋がるスロープに差しかかるがその惨状を見てこれまでの遠足ムードは一気に消え戦闘態勢を取る。「酷い有り様ですね…ミズホ特別中尉。動態反応はありますか?」ディオスはミズホに聞くと「反応多数…に見えますが3体です。」
「多数に見える?もしかしてまたあの時のレギオンタイプかしら?」ディオスは言う。
小さなと言っても人3人以上は有る無数の穴から何かが見え隠れする。やがてそれは素早く姿を現した。
「え…?あ…、え…?」
マリンは顔から汗をダラダラと名がしながら老人と真リーダーとをそれぞれ見比べる。
「ギャグ?」
「いやマジ…。」
マリンは唖然としてその場で固まってしまった。それを尻目に老人は真リーダーへと近づく。
「ルナリスよ…まだこんなガラの悪いヤツらと連んでいたのか?一体何が不満なんじゃ…。」
「ルーガス爺ちゃんか…。爺ちゃんだって分かってるだろ!!親父が私に会社を次がせる為に私に
何をやってきたかが…。幼い頃から次期社長になるための勉強に次ぐ勉強、さらに格闘技やその他
モロモロも嫌と言うほど叩き込まれてきた。私の意志も無視して…。私がグレたって文句は言わせないよ!!」
「だからと言ってやって良い事と悪い事があるじゃろう?」
ルナリス=真リーダーと、ルーガス=老人の間になにやら険悪なムードが流れる。
「あの〜ルナリスさんとルーガスさん…でしたっけ?私には何がなんだかさっぱり何ですが…。」
「気安く呼ぶな!!!」
話しに割り込んできたマリンはルナリスに怒鳴られてしまった。マリンはビビって後ろに下がる。と…、
「これ!!何を言うか!!この娘はワシの恩人なんじゃぞ!!」
「ルーガス爺ちゃん…。」
ルーガスと呼ばれる老人がルナリスを叱りつけた。どうやらルナリスも彼には完全には逆らえない様子である。
「ちょっと待ってルーガス爺ちゃん!!こいつが何で爺ちゃんの恩人なんだよ!!!」
「ワシが恐喝されていた時助けてくれたんじゃ…。」
「え…?」
ルナリスはマリンの方向を向いた。マリンはニカニカと笑っている。
「まあ何というか…アンタの仲間がルーガスさんを恐喝してたんだけど…それについてどう思う?」
「ちょっとまて…まさかそこに倒れてる奴らがルーガス爺ちゃんを恐喝してたとでも…。」
ルナリスは先程マリンに倒されてぶっ倒れている不良達を指さしてそう言った。
「とにかく、ルーガスさんを恐喝して他のはアンタの仲間よ…。」
「う…としたら私は完全に悪役かよ…。」
「つーか最初からアンタは悪役だ…。」
ルナリスは黙り込んでしまった。と、そんな彼女にルーガスがさらに近寄った。
「もういい加減帰ってきてはくれないかのう…息子も心配しておる…。」
「知らないね!!私は社長なんかになりたくはない!!もっと自分の生きたいように生きたいの!!」
再び険悪なムードになりつつあった二人に、ワケが分からずチンプンカンプンなマリンが割り込んできた。
「あの…貴方達二人って一体何者なの?先程の貴方達の会話を見てると何かありそうなんだけど…。社長って…。」
「それは…。」
ルーガスがマリンの疑問に答えようとしたその時だった。突然数人の黒服の男達が現れたのだった。
「こんな所にいましたか会長!!いきなり外出なされて心配していましたよ!!」
「ああ…済まないね…。」
「ええ!!?会長!!!」
マリンは唖然とした。確かにその黒服の男達はルーガスを会長と呼んだのだ。
「お嬢ちゃん…今まで秘密にして済まなかったが、ワシは何を隠そうバッハードコンツェルンの会長なんじゃよ…。」
「な…なんだってぇぇぇ!!」
マリンはガクガクブルブルと全身を振るわせながらルナリスを指さした。
「じゃ…じゃあアンタは…社長令嬢様!!?」
「一応そうだよ…。私はそう呼ばれたきゃ無いけどね…。」
「ハ…ハハ…。」
レベルの違いにマリンは半分放心状態になりながら空を仰いだのであった。
「あ〜…そうだった…早いところゾイドバトル大会のエントリーをしに行かなきゃ〜…。」
半分放心状態になったまま、今更になって本来の目的を思い出したマリンはそう言った。
「んん!?お前…まさかZiファイターなのか!!?」
「え…?そ…そうだけど…。」
突然目の色を変えてマリンに言い寄ってきたのはルナリスだった。
「フフ…奇遇だな。私もそうなんだ…。」
「ベタベタなパターンだぁぁぁぁ!!!!」
マリンは思わず叫んでしまった。しかし、ルナリスはさらに続ける。
「先程の勝負の決着は今度始まるゾイドバトル大会で付ける!いいな!!」
「ま…まあお互い組み合わせで戦うことが出来たなら良いよ。」
強引に詰め寄ってくるルナリスに焦り顔でマリンはそう対応するのであった。
「とにかく…私の名は“ルナリス=バッハード”!お前の名は何という…。」
「ま…“マリン=バイス”だけど…。」
「ん…?バイス…。どこかで聞いた事が…。」
マリンの名を聞いた時に、ルーガスは首を傾げたのだった。
「分かった!!!ではマリン=バイスよ!!そのゾイドバトル大会開催日がお前の命日と知れ!!
覚悟していろよ…。どうせ試合中じゃ死んでも事故扱いされるだけなんだからねえ…。」
ルナリスは不気味な笑みを浮かべ、そのまま走り去っていった。
「ああ!!お嬢様!!お待ち下さい!!社に帰ってきて下さいよ!!」
黒服の男達の何人かがルナリスの後を追いかけていったが、どうも掴まりそうには無かった。
「なんだかな〜…。さて、私もいい加減エントリーしにいくとしますかね…。じゃあ…。」
マリンもその場を立ち去り、大会受付会場へと向かうのであった。
「マリン=バイス…か…。確かに彼女に似ていたと思ったが…もしかしたらもしかするかもしれんな…。」
黒服の男達が用意していた、お金持ちの風物詩と呼ばれるロールスロイスに乗り、帰っていく中でルーガスはそう呟くのだった。
「さ〜て!エントリーは済ませたし!大会に備えて調整でもしようかなっと!」
エントリーを済ませたマリンは駐機獣場に止めていたカンウの所に戻ってきた。と、その時カンウの周りに見慣れない集団がたむろしているのが見えた。
「うおおお!!!ゴジュラスギガじゃん!!」
「レプリカじゃないよこれ!!本物じゃん!!」
「うおおおおおおおおおおお!!!!!」
マリンは唖然としてしまった。どこからわいたか、街のゾイドマニアが集まっているのである。
「あの〜…あんたらウチのカンウに何やって…。」
「あああああああ!!!貴女が持ち主ですかぁぁぁぁ!!!?」
「キャアア!!!」
ゾイドマニア軍団はもの凄い勢いでマリンの元へ駆け寄った。その異様にマリンも思わず悲鳴を上げてしまった。
>>恐怖の亀裂作者さん
そのフクロウナギ型というのを殺さず回収して戦闘ゾイド化という事は
次に登場するときは仲間としてでしょうかね?
>>前三作書いてた物体さん
新シリーズの製作もこれからという感じでしょうか?楽しみにしていますよ。
「ん〜?そう言えばあの伊達眼鏡君見ないね。これだけ動いていれば目敏い彼の事だから気付いてくれると思ったけど…?」
ベルゲンは呟く。「ああ〜其奴なら昨日の夜私怨絡みのドンパチの後夜半頃に拉致されたらしいぞ。ガイロスの奴等に。」ラドナーの言葉に「アヒャ !?道理で解り易い場所に居たのにばれなかった訳だ!」
「…おいっ!!!」3回目の遺留品回収の途中の会話だった。
「これはまたぁ〜気味が悪いですねぇ〜。」ルディアは感心したように言う。
それはムカデの様に連結組体操をしている蟻だった…。「成る程…道理で一杯だったり一つだったりする訳ですね。」冷静にシュミットが言うが声が震えている。
「気持ち悪い〜。」同じタイミングでサーラとミズホそしてディオスは悪乗りだが3人揃って言う。「お前は…まだ虫嫌いが直ってなかったのか?孫よ…。」それを聞いてお爺ちゃんは情けないと言わんばかりのラインハルトの言葉。
「そ…それにしてもここは昆虫タイプが幅を利かせているようですね。」唯一普通に反応するカイエン。そのままツイステッドゲイルを近接させ縦にマグネイズスピアを振り抜く。
だが素早く体の向きを変え横に分離して攻撃を躱す蟻の群れ。「なっ!?ここまで統率が取れているとは思いもしませんでした。」その場を一瞬で離れて部隊に戻って行く。
素早く離れた場所には蟻酸の雨が降っていた…。
「ここは〜やっぱりアレですよぉ〜。少将〜お願いしますぅ〜。」「やれやれ…またか。」そう言いながらラインハルトはデスサンダーに無砲塔荷電粒子砲を発射させる。
左腕を使いゆっくりと辺り一帯に照射すると群れの一部にダメージを与えたらしく気味の悪い悲鳴と共に…爆発した。それは連鎖爆発を引き起こし群れを一掃したようだ。
嫌な匂いが残るスロープをゆっくりと降りて行くがそこにまたさっきの蟻達が居る。「うわぁ〜。まだまだ居るね。」どうやらスロープに素を作っていたらしい。
今度は部隊全機で一斉射撃をする流石に回避は出来ずまた爆発音が施設内に響き渡る。ボムホーネットと言いこの蟻と言い爆弾が趣味としか思えない者が元を作った事は明白だった。
突然空中を輪になって飛んで来る蟻達が居る。回転しながら蟻酸をまき散らす攻撃の前に逃げ惑う地上の面々。しかし空中の3人は上から睨みを利かせている何かを警戒して身動きが取れない状況だった。
「また虫〜?今度は女王蟻かな〜?」流石に近付いてきたのでサーラはツインビームランサーで組体操している蟻を真っ二つにする。
流石に回転運動をしていただけあって自慢の敏捷性が失われていた様だった。「遠心力には気を付けた方が良いよ?もう遅いかもしれないけど?」目一杯決めて見せるサーラに拍手が送られる。
しかしそれは味方からの者では無く天井から聞こえてくる。「ひゅ〜!格好いいよ〜!」その声が聞こえた途端天井が抜け女王蟻の死骸が落下してくる。
それと共に他の蟻達の行動が支離滅裂になる。「全く無茶しやがって…しかし驚いたな〜素手でこんなデカ物仕留めるとは…。」落ちた天井の裂け目から2人の人影が見える。
残る蟻達を掃討しつつカメラが人影を拡大するが既にその姿は無く更に上スペースの部分が見える。「あらぁ〜?これは〜遠当てか何かのぉ〜跡ですねぇ〜…。」
この星では地球人来訪までは気孔等の躁気術を使用した武術の類は殆ど無かったと言う。元来身体能力に優れて居た為発展が遅かったそうだ。
しかし今はこの星に伝わる物と地球より伝来した物とが競い合う様に発展し中には戦闘ゾイドをも状況によっては倒しうる域にまで到達したと一部では囁かれていた。しかしその実例が目の前に有ろうとは思いもしなかったのである。
女王蟻の死骸から確認できるのはコアを一撃で貫いた跡とその周りには全く外傷が無い事。群がる蟻を排除しながら調べれる事を調べる。「カイエン少尉〜これで何処の武術宗派か〜解りませんかぁ〜?」蟻をプロトYで噛み砕きながらカイエンに聞く。
「ちょっと待ってくださいよ〜…これは?双極院の陽勁門だとは思いますが…確かこれを使えるのは宗家の人しか居ないと言われます。しかもその人達は高齢だったので今の人影の者が使ったとは正直思えません!」カイエンは半分パニック状態で答えた。
「そんなにぃ〜修得は難しいのですかぁ〜?」それにパニック状態のまま「普通万世一系で宗家しか伝授されない技です!もし使えるとしたら…見様見真似の紛い物しか有りません!でもこの威力は一体!?」そう言うカイエンにルディアは止めを刺すような言葉を言う。
「多分〜その人は〜宗家の人よりもぉ〜それが上手いんですぅ〜。流派とかのぉ〜問題ではなくてぇ〜使う方のぉ〜技術とか相性の〜差だと思いますぅ〜。」正論だがとても痛い言葉だった…。
前三作の作者さんへ
順調?みたいですね。次のスレが楽しみです。
悪魔の遺伝子の作者さんへ
あの人はあのまま花占いをしたまま年を取っていなくてある意味安心しました。今でもこっそりやっていそうな気もしますが。
一応次の出し方を考えていますが最悪話を繋げるつもりなのでその先の話にクローンの子孫が登場とかなる場合も有りそうです。フクロウナギ型…。
「君これ何処で手に入れたの!!?」
「何処で手に入れたのと聞かれても困るんだけど…。」
などなど、マリンは質問責めにされてしまう。と、突然一人のゾイドマニアが前に出てきた。しかも、そのゾイドマニアはいかにも成金的な風貌をしていた。
「君のゾイド。是非とも買い取りたい。もちろん金にいとめは付けないよ。言い値で買い取ろう。」
「こら待て!!抜け駆けするなボケが!!」
「なんだと!!」
ゾイドマニア達はマリン達の目の前でケンカを始めてしまった。といっても子供の小競り合いみたいな感じだが…。
「ケンカはやめいケンカは!!いい!!?カンウは売り物じゃないの!!私はこれからカンウと大会に出るの!!」
「お嬢さん…。カンウって?」
マリンはカンウを指差した。ゾイドマニア達は一斉に青ざめた。
「ええ!!?勿体ないよ!!価値が下がっちゃう!!」
「だから売る気はないっつーてんでしょーがー!!!!!」
マリンは袖口から凶器を出した。もちろん相手を傷つけるつもりはない。単なる脅しのためである。
「ギャー!!殺されるぅぅぅぅ!!!」
冗談が通用してないゾイドマニア達はちりぢりになって逃げ出すのであった。
「はあ…はあ…はあ…。やっと追い返したよ…。」
マリン息を切らせながらカンウに乗り込んだ。
数日後、ルードシティの中心部にそびえる超大型競技場“ルードコロシアム”にてゾイドバトル大会の
開会式が行われた。全席満員状態の客席から観客の叫び声が響き渡り、どさくさに一儲けしようと
様々な商売人が色々と何かを売っていた。そして、各Ziファイターとそのゾイドらが入場する。
大型中型小型、様々なゾイドが入場してくる。そしてZiファイターらも老若男女、様々な人間がいた。
「キャーキャー!!」
彼らZiファイターの中でも、特にテレビや雑誌などで取り上げられる程の人気、実力を兼ね備えた
選手やイケメン選手などは特に人気が集中し、婦女子の奇声のような歓声を浴びせられていた。
その反面、全然応援の声を浴びせてもらえないヤツもいる。意外とマリンがそうだった。
「アンタガキのクセに何○○様(人気選手の名前)より良いゾイドに乗ってるのよ!!」
人気選手のファンと思われる婦女子達からそんな感じのヤジがマリンとカンウへと浴びせられる。
「やれやれ…これだからミーハーさんというヤツは…。」
カンウのコックピットの中、婦女子のヤジをあびながらマリンはそう愚痴った。
確かに、特に名前が売れていないのに良さげなゾイドに乗っているZiファイターは客のヤジを
あびやすい傾向にあるのは事実であるが、やはり巨大系に乗っており、さらにその中でもプレミアが
付くほど希少なゾイドに乗っていると、さらにそれ以上の物があった。というか中には空き缶を投げる
観客もおり、そう言った観客は大会係員の注意を受けていた。さらに、グラウンドに転がっている
空き缶を踏んづけてそのまますっ転んでしまい、笑い者になってしまった可愛そうなZiファイターとゾイドまでいた。
「これより!!ルードシティゾイドバトル大会を開催する!!皆の健闘を期待する!!!」
全てのZiファイターとゾイドが入場し終わった後、大会委員長や、バッハードコンツェルン社長など、
様々な人間の挨拶が続いていくのであるが、その挨拶や演説などにやたらと時間が掛かり、かれこれ
何十分もたっていた。というかその演説がこれまたあんまり大会に関係ないような話も多かったりするのである。
「なんだよこのクソ長い演説は…。」
マリンは呆れて物も言えなかった。ってさっき言ってたけど…。あんまりその演説が長いので、マリンはカンウのコックピット内という事を良いことに、話など聞かず、テレビを見ていたりする。
一方他のパイロット達も、あまりの演説の長さにより壮絶な事になっていた。トイレを我慢してる奴が
いれば寝ているヤツもいた。貧血でぶっ倒れ、ゾイドごと運ばれていったZiファイターまでいた。
「いや〜長かった長かった…っと。まあずっとテレビ見てたんだけど…。」
ようやくクソ長い演説から解放された皆は解散し、それぞれの機体チェックなどを受けていた。
その機体チェックについて違法パーツが使われていないかなど、様々なチェックがあるが、特に厳重に
行われているのが、大会係員が出場ゾイドを直接まわって出力測定器でゾイドの出力を調べるのがある。
それによって規定以上の出力を持ったゾイドは出力抑制が適応され、大会委員会から配布される
リミッタープログラムソフトが中に入ったフロッピーディスクをそれぞれゾイドに入力しなければ
ならない。もちろんマリンのカンウも規定出力を超えていたため出力規正が適応された。
しかも、カンウの出力を計ってもらった時、あまりの出力の高さに出力測定器がブッ壊れて係員が唖然としたという逸話が残っている。
「本当に100年前のゾイド…?」
その光景は流石にマリンすらもそう思わせる物があった。
ちなみに、なぜ出力規正が行われるかというと、それは試合を公正に行うための処置である。
つまり、強いゾイドと弱いゾイドの差を縮めることによって、それだけ試合を白熱した物にさせるのである。
「さ〜て…今の状態でどこまで戦えるかしら…?」
自分の試合が始まるまでの待機時間の間、マリンはそう呟いた。それも無理の無い話だった。今の
リミッタープログラムがインプットされたカンウは通常時の半分の出力すらも出すことが出来ない。
当然パワーもスピードも何もかもが弱体化してしまうのである。もっとも、それは他の巨大ゾイド
乗り達にとっても同様であった。巨大ゾイド乗りはその大部分がそのパワーに任せた戦いしかして
いなかったが故に、出力規正がなされたこの大会では上手く戦えずに予選落ちしてしまう者も少なくはなかった。
『マリン=バイス選手!もうすぐ試合が始まります!』
「ハイハイっと!!」
大会委員会からのアナウンスが入り、マリンは直ぐさま準備を開始した。
マリンとカンウにとっての最初の相手はいきなり大物。“荒獅子”の異名を持つ“ギン=ザンバル”。
テレビや雑誌でも取り上げられるスター選手の一人であり、愛機のライガーゼロと共に多くの大会で
暴れ回り、入賞の常連であった。それ故に人気は高く、現に歓声はそちらに向けられていた。
「キャー!!ギーン!!頑張ってぇぇぇ!!」
「あんなノロマそうなウドの大木なんかすぐにやっつけちゃえ!!」
婦女子の奇声のような歓声が会場中に響き渡る。
「あ〜うるさい…。」
ギンはライガーゼロのコックピットを開け直接ファンの皆に手を振り、それがまたファンの奇声の様な
歓声を誘発させるのであるが、マリンは迷惑そうに耳をふさいでいた。
>>恐怖の亀裂作者さん
何か虫虫天国ですね・・・自分にとっては地獄ですが。
そりゃ戦闘ゾイドに改造されて、モロに機械って分かる奴なら虫でも平気ですが、そのままの虫、
しかも巨大な物だったら気絶しているでしょうね・・・・。
あと、気孔じゃなくて気功と言いたいんですよね?
自分も前シリーズでは良く取り扱ってましたが、貴方の説明の仕方はそれを遥かに上回って
説得力のあるような感じになってて感激しました。
ちなみに、今シリーズでは気功ネタはしばらく封印しようかと考えています。
前述した通り、今回の主人公は前の主人公に比べて弱い事になっていますから。
ってこれは理由になるか微妙かな?まあ、とは言っても、多分「使えない」じゃなくて、
「今まで使ってなかった」って形になるでしょうねえ・・・。
まあ先程の言葉と矛盾するかも知れませんが、今回の主人公は才能と言う意味なら
前の主人公を遥かに上回る物を持っているという設定にしてあったりもします。
ただし、後天的に身につけた技術を含めた実力で考えるならば遥かに足下にも及びませんが・・・。
ちなみに「あの人」がなぜ実業家になったかは作中でお答えするつもりです。
そして、バトルフィールドの中心にカンウと相手のライガーゼロがそれぞれ配置に付いた。
「ん?あのゴジュラスギガは…。」
ゾイドバトル大会の様子をテレビで観戦していたルーガスがカンウを見た瞬間そう呟いた。
「子供のクセになかなかイイゾイドに乗ってるじゃないか。でも、お嬢ちゃんがそれを上手く扱えるかな?言って置くがおじさん手加減はしないよ。」
「へ〜へ〜そ〜ですか…。お手柔らかにお願いしますわ…。」
意気揚々に、マリンにとっては馴れ馴れしく話しかけてくるギンに対し、マリンは棒読みでそう言うのだった。
『それでは試合始めぇぇぇぇ!!!!!』
ゴングと共に審判がそう叫んだ時、試合は開始された。速攻で飛び出してきたのはギンのライガーゼロ。
「悪いが…速攻で決めさせてもらうぜ!!」
早くもトップスピードに乗ったライガーゼロがカンウに対して距離を詰める。
「きゃー!!ギーン!!」
「ハッハッハッ!!相手のウドの大木はライガーゼロの凄さにビビって動けないみたいだぜ!!」
その様子を見た観客がそう奇声のような歓声を浴びせた。時速300キロを超える超高速で距離を
詰めるライガーゼロに対し、カンウは岩の様にその場からピクリとも動いていなかった。
「フフフ…お嬢ちゃん!良いゾイドに乗っていれば勝てると思ったら大違いだよ!」
ギンの言葉と共にライガーゼロが吼え、その爪が光り輝いた。ストライクレーザークローを放つつもりである。
「つああ!!!!」
ギンが気合いを入れた叫び声をあげると共にゼロが飛んだ。そしてレーザークローがカンウを襲う。その狙いは正確であり、何一つ落ち度はなかった。しかし…。
「!!!」
それは一瞬の出来事だった。ゼロのレーザークローが直撃する直前、カンウが体を左に反らし、
その必殺の一撃をかわしたのだった。それだけではなかった。さらにゼロがレーザークローを撃つ際に
使用していた右前足をガッチリと掴み込み、ゼロが接近し、レーザークローを撃つ際に使用した
運動エネルギーと勢いとを逆に利用し、ゼロを背中から地面に叩きつけたのであった。
「ぐあ!!!そ…そんな馬鹿な…。」
その衝撃をモロに食らったギンは思わずそう叫んだ。カンウが使った技は間違いなく、相手の力を
逆に利用する"合気道"の流れをくむ技であった。その光景には観客を含め、皆が唖然とした。
彼らにとって「巨大ゾイドと言えばパワーで押す戦い方しか出来ない。格闘王と呼ばれたゴジュラス
ギガとて例外ではなく結局はパワーファイトしか出来ないはず。」など、そう言った先入観があった
からである。しかし、カンウは力の戦いではなく、間違いなく技の戦いをしていた。
しかし、カンウの攻撃はそれだけではなかった。地面に背中から叩きつけられた際のダメージで一瞬の
スキが出来たライガーゼロ目がけ、プロレスで言う"腕ひしぎ十字固め"を極めてきたのだった。
ライガーゼロの右前足にダメージが掛かり、ゼロが苦痛の叫び声をあげる。
「うわあ!!脱出しろ!!」
ギンは焦りながら叫ぶも、ガッチリと極められおり、脱出は出来なかった。
「ぎ…ギブアップ…。」
ギンが苦しそうな表情でそう言った直後、マリンとカンウの勝利が決定した。皆は唖然とした。
ギン=ザンバルは今まで数々の大会での入賞の常連である凄腕のZiファイターである。それが名も
無い子供のZiファイター(観客から見て)に、さらにパワーだけののろまなメカ(観客から見て)に
一方的にかつあっけなく敗北した。誰から見てもそれは信じられない物だった。それだけではない。
一般的な先入観的に力で押すだけの戦い方しか出来ないと思われがちの巨大ゾイドを使いながら、
力を一切しようしないサブミッション(関節技)で勝利した。それは誰をも唖然とさせる物だった。
現にカンウ以外の出場巨大ゾイドは、パワーにまかせた戦いしか出来なかった様で、出力規制をされた今大会では敗北率が高かった。
「や…やっぱりそうだ…間違いない…。あれは…。」
カンウのその戦いの様子をテレビで見ていたルーガスがそう呟き、その場から立ち上がった。
「さ〜てと…終わったし一休みしようかな…?」
試合を終え、マリンとカンウが退こうとした時だった。ギンの熱狂的ファンと思われる観客が
カンウ目がけて空き缶やらを投げつけてきたのだった。さらに放送禁止用語丸出しのヤジが飛びまくる。
まあ良くある話であるが、そこまでするとマリンもどうも我慢出来ない様子でプルプルと震えていた。
「空き缶を投げないで下さい!!空き缶を投げないで下さい!!」
係員達が放送などを使って観客にそう呼び掛けるも、既に火がついた観客の騒ぎを止める事は出来なかった。
「こりゃ暴動が起きる前に撤退した方が良さそうだ…。」
マリンとカンウは大急ぎでゾイド格納庫へと撤退していった。格納庫でも先程の戦いを見て驚いたのか、他の出場選手がマリンとカンウの姿を見て唖然としていた。
「ハッハッハッ!災難だったな…。」
カンウから降りたマリンに、そう後ろから声を掛けてきたのはルナリス=バッハードだった。
「まあ思ったよりなかなかやるようじゃないか…。私と当たるまで勝ち上がって来いよ…。」
「それはこっちのセリフだよ。そんな事言ってアンタが負けたら様にならないからね。」
二人は互いににらみ合いながらそう言った。
「ところで、アンタは一体どんなゾイドに乗ってるんだい?」
マリンがそう問いかけたとき、ルナリスはニヤリと微笑んで後ろを指差した。そこには一体のデスザウラーの姿があった。
「見ての通りデスザウラー。私はハーデスと呼んでいる。」
「それはひょっとしてギャグで言っているのか。」
「言っておくが突っ込まんぞ。」
二人の間に沈黙が走った。ちなみにハーデスとは地球の神話に登場する地獄の王の名前である。
確かにルナリスのデスザウラー=ハーデスは動かなくともそれだけの異様を持っていた。
「それじゃあ私はそろそろ試合なんでな…。私に負けるまで負けるんじゃないよ。」
ルナリスはそう言うとハーデスに乗り込み、試合場へ向かうのであった。
「あ〜あ〜…アイツ金に物いわせたな…。」
マリンはそう言ってため息を付いた。そして、格納庫内に備え付けられたテレビから、試合の様子を
観戦することにした。ルナリスとハーデスの対戦相手はセイバータイガー。一見ルナリスが遥かに
有利に見えるがハーデスとて出力規制が掛かっているのは変わらない。恐らく本来の半分のパワーも出せないだろう。
「さあ一体どう戦うのか…。」
マリンがベンチに座りつつそう呟いたとき、試合は開始された。
ばきゃん
「へ?」
それは一瞬の出来事だった。ハーデスが一突きで相手のセイバータイガーを倒していたのだ。
ルナリスがマリンを攻撃する際に使った指を立てた状態での指拳突き。ハーデスの攻撃は正しく
それだった。出力規制による弱体化を感じさせないほどの目にも留まらぬ速攻。これには皆が驚いた。
「ほ〜…面白いじゃない…。」
その様子をテレビで見ていたマリンはニヤリと微笑んだ。
「どうだ?私の実力は…。」
格納庫に戻ってきたハーデスから降りたルナリスは真っ直ぐマリンのもとへと出向き、自分の力を
誇示するようにそう呟いた。と、そんな時だ。格納庫の奥から黒服の男に周囲を囲まれる形で
スーツ姿の一人のナイスミドルの男が現れたのだった。それはマリンの見覚えのある男であった。
彼は先程の開会の挨拶を行っていたバッハードコネクション社長であった。
「親父か…。」
社長とルナリスの目があい、ルナリスは父親である社長をにらみ付けた。
「ルナリス…。不良ごっこはいい加減やめて、社に戻ってきてはくれないか…。」
「なんですって!!?今まで散々私の自由を束縛して置きながら何を言う!!!」
ルナリスは感情をむき出しにして叫んだ。反抗期という奴であるが、よほど父親の事が嫌いと見える。
「ルナリス…。一体何が不満なんだ…。」
「自分の胸に聞いてみな!!」
ルナリスはそう叫ぶと何処へ走り去ってしまった。
「あ〜らら〜…なかなか複雑な家庭をお持ちで…。」
その様子を他人事のように…、いや、本当に他人事なんだが、まあとにかくそれを見つめたマリンはそう呟いた。
それから、マリンとカンウは多彩な関節技で勝利を飾っていった。同時にルナリスとハーデスも、
出力規制をもろともしない速攻で順調にコマを進めていった。
他の選手の試合も白熱した物となり、日が暮れると同時にゾイドバトル大会の一日目は幕と閉じた。
多数の選手や観客らが競技場を出て、それぞれの宿に戻っていく。明日の試合の為の急速を取るために。
当然マリンも同様であり、カンウを駐機獣場へ止めた後、ルードシティーに付いて以後、泊まっていた宿へと戻ろうとした。
「やっぱりちゃんと勝ち上がったみたいだね〜。」
背後からマリンにそう話しかけてきたのはルナリスだった。両者互いににらみ付けた後、互いに笑う。
「アンタだってちゃんと勝ち上がって来たんでしょ?それにしても貴女大変みたいね〜…。」
「大変って…何がだ…。」
「いや、何か貴女ん所の家庭って何か複雑な事になってるな〜…って…。」
その時だった、マリンの顔面目がけてルナリスの突きが飛んできたのは。マリンは驚き顔でとっさにそれをかわす。
「あ…いきなり危ないじゃないの!!」
「私の家の事は言うな…。絶対に…。」
もの凄い形相でルナリスがマリンをにらみ付け、そう言った後、何処へ立ち去っていった。
「あ〜怖い怖い…。やっぱり複雑みたいね…。まあいいや、さ〜帰ってお金の計算でもしようかな?」
マリンは立ち去っていくルナリスの姿を見て、そう呟くのだった。
ちなみに、ゾイドバトルでは一勝するだけでもそれ相応の賞金が手に入る。当然第一回戦よりも、
第二回戦における賞金の方が上と言った風にランクが上がればそれだけ多くの賞金を手に入れることが出来る。
翌日、雲一つない晴天の中、ゾイドバトル大会二日目は盛大に行われた。まだ朝も早いというのに
競技場にはもの凄い数の客でごったがえしていた。当然選手控え室を兼ねたゾイド格納庫にも
先日の戦いを勝ち抜いた猛者達が集まり、試合前というのにも関わらずガンの付け合いが始まっており、一触即発の自体にすらなりかねない自体ですらあった。
「いや〜昨日は大変だったな〜…。」
そんな緊張感漂うゾイド格納庫内に置いてもめずらしく、マリンはのんきな表情をしながら、キセルを
食わえた状態でそう言った。ちなみにキセルはただ食わえているだけである。
実を言うと、先日宿に戻ろうとした矢先に、先日の試合でマリンが倒した選手の熱狂的ファン、
いわゆるフーリガンと呼ばれるような連中が、夜襲を掛けてきたのであった。と言っても、マリンは
みんな返り討ちにしたのであると聞けば聞こえは良いが、最初は結構ビビっていたりする。
その後警察が現れて色々大変な事になったりし、また、マリンが返り討ちにしたフーリガン達は
かなりの数が重傷を負っていたりしたが、元々最初に仕掛けてきたのはフーリガン達であり、
さらに一人対多数という状況であった事もあり、一応正当防衛が適応されてマリンは無罪。
当然出場停止処分なども食らわず、次の日、つまり今日の試合も普通に出場することが出来た。
ただ、フーリガンなどからはそう言う事になったが、この街に土着する不良などは逆にマリンを
避けていたような感じだった。夜になれば逆に不良とかのワルが昼にも増して活動するのであるが、
そう言った連中はマリンに対して一切夜襲を掛けては来なかった。それどころかみんなマリンの姿を
見るや否や、それまでやろうとしていた悪いことをほっぽり出してまで逃げ出す始末だった。
恐らくマリンが街に到着したその日に不良の大軍相手に大暴れした事で、噂が他のワルにも流れたのか、
マリンに目を付けているルナリスが、ヤツは自分が倒すから手を出すなと言った感じに話を付けたかのどちらかであろう。
「ハッハッハ!!昨日はよく眠れたかな?」
またもや厚かましくマリンにちょっかいを掛けてきたのはルナリスだった。
「あんたこそ眠れたの?」
「当然!とにかく、くどい様だが私に負けるまで勝ち上がってきなさいよ!」
二人は互いににらみ付けた。これがライバルと呼ばれる者なのであろうか。
「二人は今日の第一試合だよ!さあ早く準備して!」
ずげげげげっ!!
突然現れた大会係員の言葉に二人はすっ転んでしまった。
「な…いきなりかよ…。」
「お前ちゃんと組み合わせ表を見ときなさい!!」
「あんたもな…。」
起きあがりながら二人は互いにそう言い合った。
それから、互いに観客の声援をあびながら、カンウとハーデスは競技場の中心部へと入場した。
まあカンウに関しては人気選手を潰したせいで、ほとんど罵声を浴びせられていたが。
>>280に訂正です。
>彼は先程の開会の挨拶を行っていたバッハードコネクション社長であった。
の部分は”コネクション”ではなく”コンツェルン”です。名前がなんとなく似てる為に
間違えてしまいました。さらにはこの文は大分前に作った分なのですが書き込むまで
気付きませんでした・・・。すみませんね。
悪魔の遺伝子の作者さんへ
あっ…間違いですね。あっちの孔は葉っぱの裏とかの時に使うものでしたね。もしくは孔雀とか…。
複雑な家庭関係は良い話を作れそうで良いですよね。今回のルナリスさんとハーデスはどんなバトルをするのでしょうか!?
「そんな事無いよ照れるなぁ!」センサーから完全に消えていたのでその声の主が近くに居たのにも関わらず誰も気付いていなかった様だ。
まだ彼はそこに居たのである。「まだまだ漏れていない情報だからしょうがないけどね。あそこは100人組み手を全勝すると宗派や血縁に関わらず”披露”をしてくれるんだよ。」
その声の主にカイエンは「!?しかし”かた”や”動作”、”構え”だけで一体何が解るというんです!?」それを聞き声の主は「普通はそうでももう他界してしまったあの人はこう言ったんだ。唯一尊敬に値する達人だったあの人はね。」
少し間を置いて先代の宗家の言葉を言う。「そもそも武術等は我流と紛い物の積み重ねだ!年月と共に歩んだ努力や探求心が今ここに在る物を磨き上げただけに過ぎない。ってね。」
また間を置いて「更にこうも言った。同じ技でも人毎に磨き方が違う。宗家等と言われても構えや”かた”が同じだけだ。その先に有る物は人の数だけ在るからこそ発展も在る。今や宗家等時代遅れの亡霊に過ぎんよ。とも言った。」
歴代最強と謳われた先代宗家の言葉を盾にされては武の成り立ちを理解しているカイエンに言い課す言葉等既に無かった。
「もうちょっとぉ〜近くでぇ〜言って貰えたら感動出来ましたねぇ〜。」そう言ってルディアは人影を踏むと何か機械を潰した音と共にそれは消え去った…。
「あれっ!?気付かれていたみたいだね?全く部下共々厄介な人達だ。」天井より反応が有り本物らしき影が顔を出す。
「ベルゲン=リッテンバッカーさん?器物破損と〜障害とぉ〜営利誘拐未遂でぇ〜拘束を指示されていますぅ〜。逃げないのならぁ〜お縄を頂戴しますぅ〜!」そう言うが早いかプロトYを素早く天井に上らせるルディア。
「あ…名前がわれてる!?」ベルゲンはちょっと早いなと思う。とすればカリーナを誰かがあの後直に意識を回復させた者が居たようだ。「烏合の衆と侮った僕の失敗だったみたいだ。でも烏合の衆の方が迅速とは笑い話が一つ増えたね?」
「三人集えばもんじゅの知恵?とか言いますぅ〜。以前の職業にも散つきが在りますからぁ〜一つ歯車が噛み合えばぁ〜簡単な事ですぅ〜。」ベルゲンを捕まえようとするがプロトYの前足は空を切る。
「怖いじゃないかっ!?ゾイドで拘束しようとするなんて…卑怯だよ?」その言動は場に白けた空気を呼び込むのに充分な威力だった。
「そんな事をぉ〜言ってもぉ〜生身じゃ〜千人居ても無駄ですからぁ〜。」そう言って尚も拘束せんと前足を振るう。
「どわっ!?これは遊びに成らない!それなら!」ベルゲンはプロトYの前足を掻い潜り遠当ての構えを取る。「却下ですぅ〜!」今度は人に向けて容赦の無いエレクトロンドライバーを発射する。
「捕まえる気無いでしょっ!?」慌ててその場から離れるベルゲンだったが威力を押さえているとは言え急激な静電気で髪の毛が立ち少しだぶ付きのある服が体にぴったりと張り付いている。
「うげっ。」飛び退いたのが運の尽きか着地と同時にバチンと大きな音と共に床との間で静電気が発散されそのショックでベルゲンは意識を失ってしまう。
「確保ですぅ〜!!!」取り押さえようとした瞬間まだもう1人が居たらしくベルゲンを抱えて逃げ出す。「言わん事じゃない!あの女は貴様が押さえようとしていた伊達眼鏡を顎でこき使う奴だ!俺達で歯が立つ相手じゃない。」
頭を叩いてベルゲンを起こしてラドナーは言う。「失敗失敗。さっさと逃げよう!捕まえられないなら殺ってしまえってノリだよっ!?」ベルゲンは蒼白な顔で言う。「当たり前だ!あれだけやって怒らない方がおかしいだろっ!まだ追ってくるぞっ!」
何とかゾイドが入って来られない狭さの場所に逃げ込み取り敢えず2人は息を整える。「あんなやばい相手が居るとは思いもしなかったよ。調子に乗って人をからかうのは今後一切止めれれば良いな。」
その言葉に「その気無いだろ!死ぬときは1人で死ね!そう言う悪乗りの時は今後一切手助けはしないからな!」当然と言えば当然の言葉を返すラドナーだった。
「う〜ん…失敗しちゃいましたぁ〜…てへっ!」ルディアがベルゲンの捕獲に失敗して戻ってくると蟻の駆除は既に終わっていた。「お疲れさまですルディア少佐。」ディオスから連絡が入る。
「やはりこの蟻も元は戦闘用だったみたいです。コマンドゾイドからSS位の者だったみたいですが。それにこんなに黒いですけど本来は白蟻型だったみたいです。」コクピットのモニターに映し出された機体は戦闘工兵隊に配属される予定だったらしい。
フォーリジャーと名付けられた事も解る。「食料採取者さんだね。」これも何処で仕入れた知識か解らないがサーラが言葉の意味を知っていた。本人も何処で知ったかは思い出せなかったらしいが…。
『さあさあ!!本日の第一試合からいきなり大物同士の対決だ!!昨日登場して早々、いきなり
あのギン=ザンバルを倒した、実力の割に観客からは非難囂々のマリン=バイス選手とゴジュラスギガ
"カンウ"VS今大会主催者であらせられるバッハードコンツェルンの社長令嬢であらせられる
ルナリス=バッハード選手とデスザウラー"ハーデス"の一戦だぁぁぁぁ!!!』
「私に対する悪口にしか聞こえないんですが〜…。」
「私をあんなクソ親父の令嬢と呼ぶな…。ヘドが出る…。」
マリンとルナリスは互いにそう呟いた。やはりその紹介にされ方にご機嫌ななめな様子である。
「ルナリス…。」
その試合を特別席で見つめるバッハードコンツェルン社長がそう呟いた。その姿はどこか悲しげだった。
「ちょっといいかな?」
そんな時、社長の隣に現れたのはバッハードコンツェルン会長であり、社長の父親、そしてルナリスの祖父であるルーガスだった。
「父さん!」
「ワシもこの試合を直接この目で見たくなってな…。どっこいせっと…。」
ルーガスは席にゆっくりと腰掛け、カンウとハーデスの姿を見つめた。
「さあ…ワシの考え通りになるか…ならないか…。」
「ハイ?」
「イヤイヤ、それはこっちの事じゃ。」
ルーガスは笑ってそう言うと再び競技場の中心部を見た。カンウとハーデスは互いに構えていた。
『それでは!!!試合開始!!!』
試合開始のゴングがなった直後、ハーデスの各部のウェポンラックに装備されたビームガンが連続で
火を噴いた。どれも小型機用の小さな物であるが、デスザウラーが装備すれば、その出力により
大型機も倒せる強力な兵器と化す。しかし相手は古代チタニウム製の装甲で身を包んだゴジュラスギガ
であるカンウ。ましてや今のハーデスは大会規約により出力規制を受けている。当然ビーム砲の威力は
がた落ちするワケであり、そんな物が当たっても傷一つ付きはしないであろう。ルナリスも単なる牽制のつもりで発射したのであるが…。
「わっとっと!!!」
ルナリスは目を丸くした。マリンが焦り顔になり、カンウがそのビームの連射を思わず回避したのだった。
「ゴメンね…まだ小型機に乗ってた頃のクセが抜けてないから…。」
「バカが…そんな弱気でよく今まで勝ち上がって来た物だ!!!」
ハーデスが跳んだ。指を立てた状態での超高速の突きがカンウ目がけてマシンガンの様に撃ち込まれる。
しかし、そのマシンガンの様な攻撃をカンウはなんとかかわしていく。
「弱気でも強いヤツは強いんじゃなくて!!?」
今度はカンウの蹴りがハーデスを襲った。しかし、ハーデスはバックステップでそれをかわす。
「お…おぉぉぉぉぉぉ!!!!」
観客等はその戦いを見て感嘆の声をあげていた。両者の戦いはそれだけ凄い物があったのだ。
「なかなかやるじゃない…。にしても貴女…今までの戦いを見る限り荷電粒子砲は使わないのね…。」
「当然!そんな物使わなくとも私は勝てる自身があるからだ!!」
再びハーデスの突きがカンウを襲う。しかしそれをカンウはギリギリでかわす。
「だからなんなんだ…?なんであのデカイ図体であんな動きが…。」
観客の一人が唖然としながらそう呟く。両者の戦いは高速ゾイドのお株を奪うとすら思われる程の超高速戦になっていた。
「そもそも、ゴジュラスギガが軽量のクセに超重量級のデスザウラーを格闘で圧倒出来るのは、
スピードなど様々な要素があるが、何よりもゴジュラスギガがその重量差を跳ね返すほどの出力を
持っていたという事があげられる!!しかし!!今の出力規制を受けたお前のギガが私のハーデスに勝てるかな!!?」
なおもカンウ目がけて高速で突きを放つハーデスの中でルナリスはそう叫んだ。
「確かに…今のカンウは通常の半分以下の力しか出せない…パワーも…スピードもね…。」
「それは私のハーデスも同じ事だ。だから純粋に腕が物を言う事になる。」
「じゃあ今度は私が腕に物を言わせてあげようかな〜?」
「何を言う…逃げてばかりのクセに…。」
確かにルナリスの言うとおり、カンウはハーデスの指拳突きをステップでかわすだけであった。しかし…。
「こうするのさ!!」
突然カンウがハーデス目がけて跳んだ。ハーデスの突きをギリギリでかわし、そのハーデスが突き出していた右腕をガッチリと掴み、腕をかけた。
「脇固めぇぇぇ!!!!」
「なに!!!」
カンウがハーデスに仕掛けた技はまさしくプロレスなどで使われるサブミッション、“脇固め”であった。ハーデスの右腕の関節にダメージが掛かる。
「どう?本当に腕に物を言わせてあげたでしょ?」
「そう言えば…貴様は関節技が好きだったな…。ゴジュラスギガに乗ってるクセになんとセコイ奴だ…。」
「セコイ?冗談!力の戦いも技の戦いも両方出来てこそ真のファイターと言う物でしょ?まあ
とにかく、早くギブアップしないと貴女のデスザウラーの右腕が壊れちゃうよ。」
カンウはさらに力を込め、デスザウラーの右腕にダメージが掛かった。
「ギブアップだと…?笑わせるなぁぁぁぁ!!!」
ハーデスの空いている左腕がカンウ目がけて振り下ろされた。カンウはとっさに技を解いてその一撃をかわす。
「やっぱりタフよね〜…装甲だけでなく貴女の心も…。悪く言えば頑固。」
「それがどうした?」
マリンの茶化しに対し、ルナリスはその言葉でそう返した。
「あの戦い方…。やはり…。」
特別席でルーガスが呟いた。一方試合場ではハーデスの各部に装備されたビーム砲が再び火を噴いた。
カンウはとっさにかわし、それでもかわせなかった物は両腕で弾き飛ばした。その時だった、
両腕でビームを受け止めた際に腕でカンウの視界が一瞬遮られたのだった。
「スキあり!!」
ハーデスが跳んだ。カンウ目がけ右腕を振り上げ、突きに行こうとした。しかし…。
「う…右腕の動きが…。」
ハーデスの右腕の動きが若干にぶっていた。先程の脇固めがやはり効いていたのか…。
「じゃあ今度はこっちがスキあり!!」
マリンがそう叫び、カンウがその動きの鈍ったハーデスの右腕の突きをかわし、そのまま右腕をがっちりと掴んだ。
「また脇固めに行くか!!」
ハーデスが左腕をカンウに叩きつけようとした。しかし、その時だった。ハーデスの体が宙に浮いた。
ハーデスの右腕を掴んだカンウが、ハーデスの軸足を引っかけながら、そのまま体を高速で回転させ、
その勢いによってハーデスを投げたのだ。それは柔道の"一本背負い"に酷似していた。
「うぁぁぁぁ!!!!」
背中から思い切り地面に叩きつけられたハーデスのダメージは衝撃という形でルナリスにも伝わっていた。
「どうやら組み技はあまり得意では無かった見たいね…。受け身も取れないなんて…。」
倒れ込んだままのたうつハーデスを見下ろしながらマリンがそう呟いた。
>>恐怖の亀裂作者さん
武術に対する説明が克明になされてよかったと思います。
自分の場合、単純に○○流とか、○○寺とかで修行して、どれだけの技術を
身につけられるかという事を考えていたので、別に血縁とか宗家とかは
考えていませんでしたね。
あと、もうすぐ次スレの準備でしょうかね?
「どうもすいません…医者が患者に成ってしまって…。」その頃カリーナはベットで休んで居た。「ふふふ…良いのよ。貴方が多少なりでも時間稼ぎをしてくれたみたいだから。」
エキドナは笑いながら言う。「でもあの男は誰かに似ているのよね。誰かしら?」それにカリーナは答える。
「ファイン中尉でしょう。軍に合流前にノーブルアーシーズをでっち上げる前のベルゲンが彼と一緒に居たと言う情報が有ります。変に掴み所が無いのがそっくりですし…。」そう言いながらカリーナは顔を赤くして頭を掻く。
「何か恥ずかしい事でも思い出したの?」そのエキドナの問いに問いに「はい…実はベルゲンの変装と勘違いして初対面の兵舎で発砲したことが有るんです。」「あらまあ…大胆。」その時の被害者はたまったものではなかっただろう。
更にその頃その話題の当人は…気持良さそうに寝ていた。「こいつ馬鹿でしょ…。」ソニアは言う。「今に始まった事じゃないからな。」「そうみたいだね。」フェニスとキリカも賛同する。
「そんな奴放っておけ!監視を付けて置けば良い。今は海の底だ用が終わるまでは外には逃がさん!」汚物でも見る様な目でラフィーレは言う。更に「そこ…隠れて覗いてないで出てくる!それにそれは何だ!部屋の中に電柱は無いだろ!」
如何見ても子供の工作レベルの偽物の電柱の陰に隠れているセフィーナに飲み終わって中身の無い紙コップを高速回転させて投げる。「ふぎゃっ!」蛙を踏み潰してしまった様な声を上げてセフィーナは倒れる。ついでに偽物の電柱が後頭部を襲う。
「はぎゅ…。」バランスを保つ為にある程度の重さが有ったのか完全に目を回して気を失っていた。「ああ〜情けない…。」結局人員を裂けないらしいので2人とも毛布に包んです巻き状態で離れた位置に釣り下げる結果となった。
「シュールね。これなら何方も逃げ出さないでしょう。」今回もファインはフェニスにセフィーナは残りの3人掛かりで釣り下げた「服が重いのね…一体あの見た目からどうすればあんな重さに成るのかしら?」引っぺがしたコートは20kgは有ったと言う。
場所は戻る。「で…2人揃って何をやっていたのかしら?」当然の疑問が生まれる。「長くなりますけどそれでも良いならお話しできますがどうします?」カリーナは言う。
エキドナは「興味が有るわ…お願いしようかしら?」そう言った…。
「中尉はその頃へリックシティの外れの古い資料館兼図書館に居候していたそうです。ついでにそこの裏手のジャンク屋との掛け持ちで仕事をしていた時に合ったみたいです。」
更にカリーナは話を進める。「その時何かを探しベルゲンが頻繁に資料や本を見ているので話し掛けてみたらしいとの事です。」「ふ〜ん…本番はここからみたいね。」エキドナは言う。
その話ではその探し物を一緒に探した事。その後その件でトラブルに遇ったらしいとの事だった。
「ねえ?そのトラブルの話って知っているの?」エキドナは言う。「そっそれは知っていますが如何しても聞きたいですか?」「如何しても!何か楽しそうだから。」目を輝かせてエキドナは言う。
カリーナは隣のベットを見る。すると今まで狸寝入りをしていたらしい少女もばれているのにそーっとこっちを見ては後ろに向く。「所で…何でベルゲンの名前を知っていたの?」
「それは…共和国崩壊前は同じ病院で働いていましたからね。彼方は私の事を気が有ると勘違いして居たみたいですが…その頃は私の方も悪い気分じゃないと思ってました。」
「ふふっ彼もあなたも根に持っていたのね。でもしょうがないわね…。」エキドナはきっぱり言う。「そうですね。じゃあ話を戻しましょう。そこの貴方も聞きたいんでしょう?」それを聞きイドはビクッと体を震わせた。
「かなりの修羅場を潜ってきたみたいですが知っている話をしますね…。」それはあるゾイドの頭部を巡って彼等2人と共和国軍残党、それに1つの犯罪組織が水面下で暗躍していた話だった。
「それは未発見種の化石だったらしいです。」その情報の奪い合いから市街地での戦闘に発展し町一つが壊滅的な被害を被った事。デマの情報の所為で全く関係無い人達が無差別拉致された事。
その時に2人は首を突っ込んで大立ち回りする羽目になった事。真相が解らぬままのそれの奪い合いで幾つかの共和国軍拠点が消滅した事。
真相は闇に包まれた黒の竜騎兵団がゴジュラスギガに敗北したと言われる場所でもその戦闘の1年半以上も前にそこに二人は侵入し何かを探していた事。眉唾物も含めかなり当時の事件と噛み合う為その内幾つかは本当の話らしい事も解る。
「…もしそれが本当ならここの事件も納得できる事が幾つか有るわね。」その後エキドナから聞かされた話はその謎のゾイドの頭部に付いての事だった。
会っただよ…。合ったって何!?
悪魔の遺伝子の作者さんへ
もうそろそろ次のスレの準備期間になりますね。
一本背負いが出た〜。脇固めも来た〜今度は何が飛び出すか!?まだ勝負はこれからと言う感じですね。
「な…何なんだあやつは!!ルナリスが一方的に攻められているなどと…。」
その様子を見ていた社長がその場に立ち上がりそう叫んだ。だが、取り乱している社長とは対照的にルーガスは冷静だった。
「ワシの推測が正しければあながち無理もない話かも知れないのー…。」
ルーガスは内心そう思った。
「さ〜…どうする?もういい加減ギブアップする…?」
なおも倒れ込んでいるハーデスを見下ろしながらマリンがそう呟いたその時だった。ハーデスの口が光を放った。
「ってうぉわ!!」
ハーデスの口から大口径荷電粒子砲が発射されたのだった。カンウは体を反らしてその一撃をかわす。
天に向かって昇っていく一筋の光は出力規制を受けているとはいえ、その出力は相当な物があった。
「い…いきなり危ないじゃないの!!!」
「使わせたな…私に荷電粒子砲を使わせたなぁぁぁぁ!!!!」
「コワ!!」
もの凄い形相で起きあがってきたルナリスの顔を見たマリンの顔は恐怖にゆがんだ。
ハーデスが再び跳んできた。先程以上のスピードで。さらにそのままもの凄い勢いで組み付いてきた。
「うわ!!は…放せ!!」
「放す物か!!お前は私のプライドを傷つけたんだぁ!!」
出力規制を受けたカンウにハーデスを振り払う力は無かった。ハーデスの口が再び光った。再び荷電粒子砲を撃つつもりである。
「うそ!!こんな至近距離で放ったら…。」
「安心しろ!!出力は押さえてある!!死にはしない!!そう…死には…。」
ルナリスが不敵な笑みを浮かべた。対照的にマリンは青ざめる。
「うっわぁぁ!!このままじゃヤバイよー!!第一こんな至近距離で放たれたらアンタにだってダメージが来るのに…。」
その時だった。突然カンウのコンピューターディスプレイにある文章が表示されたのだった。
「ん…?…超灼熱火炎放射砲…?別名ギガファイヤー?何それ…。」
極限状況下にいきなり意味不明な文章が表示されたことにマリンは半分困惑した。
「ええい!!おぼれた者は藁をも掴む!!とにかくそのギガファイヤーっつーの発射ぁぁ!!!」
マリンがそう叫んでボタンを押したときだった。カンウが咆哮したのだった。
「ハッハッハッハッ!!食らえぇぇぇ!!!」
ハーデスの口から荷電粒子砲がカンウの顔面目がけて発射される直前だった。
カンウの口が大きく開き、何と灼熱の火炎がハーデスの顔面目がけて放射されたのだった。
「な!!何だぁ!!?熱!!」
たちまち火だるまになったハーデスが驚いて体を反らした時に口腔が上を向き、荷電粒子砲のエネルギーは虚空へと消えていった。
「な…なんだ…今のは…。ゴジュラスギガが火を吐くなんて聞いたこと無いぞ…。」
「ま…まさかあの時…パーツショップの人がいっていたカンウの口の中に付けられていた装置って…火炎放射だったの!!?」
二人は互いに驚いていた。しかし、驚いていたのは二人だけではなかった。観客はもちろんのこと…。
「火…火を吐いた…。ま…間違いない…あのギガは…。」
ルーガスはそう言い、思わず手に持っていた杖を落とした。
「ま…まあいいや!!とにかく食らえぇぇぇ!!」
マリンは再びギガファイヤーを発射しようとしたその時だった。
「うざってーんだよ!!」
それ以上に早くハーデスの蹴りがカンウ目がけて放たれた。ハーデスの半分の重量しかないカンウは
たちまち宙を舞い、そして背中から落下した。そしてハーデスはさらに追い打ちを掛けてきた。
なんとか受け身をとってダメージを最小限にしていたカンウは起きあがろうとする。しかし、
なんと背ビレが地面に突き刺さって身動きがとれなくなってしまったのだ。
「食らえぇぇぇ!!」
「うわぁぁぁタンマタンマ!!」
ハーデスが跳び、その400トンの重量を利用したボディープレスを仕掛けてきたのだった。
超重量の上に超強度のデスザウラーのボディーは、自らの身を守るだけでなく、相手にぶつけるだけ
でも強力な武器になりうるのである。マリンは恐怖の余り目から涙が飛び散る。
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
その直後、試合場に絶叫が響き渡った。しかし、それはマリンとカンウの物ではなかった。
「き…貴様ぁぁぁぁ!!!何をしたぁぁぁぁ!!!」
苦痛に顔をゆがませながらルナリスがキャノピーごしにマリンをにらみ付けた。
カンウはハーデスのボディープレスに潰されてはいなかった。逆にハーデスの両腕を両腕で掴み、
さらに両足で両足をそれぞれ掛けていたのだ。それはプロレスで言う“リバース・ロメロ・スペシャル”の体勢だった。
「あ!そ〜れそ〜れ!」
マリンの言葉に合わせ、カンウがハーデスを掴んだまま体をゆらす。ハーデスの四股の関節にダメージが掛かり、ハーデスが苦痛の叫び声をあげる。
「もうこのくらいでいいかな?」
カンウは技を解き、ハーデスをその場に寝かせた。
「さーもういい加減ギブアップしよう!」
マリンはキャノピー越しにハーデスを見下ろし、両手を叩きつつそう言う。
「ギブアップ・・・?誰が・・・。」
「まだやるの?」
なんとハーデスはまだ起き上がってきたのだった。しかし、先ほどのリバースロメロを食らった際の
ダメージは大きく、腕部、脚部がギシギシと音を立て、煙も噴出していた。
「あんまり無理しないほうがいいんじゃないの?」
「確かにな・・・。確かに私もハーデスも無理をしているのかもしれない・・・。しかしな、私は嬉しいんだよ!!」
「嬉しい?」
ルナリスの言葉にマリンは拍子抜けしてしまう。
「私は今までこの街で怖い物無しだった・・・。故に自分は最強だとのぼせ上がっていた・・・。
しかしだ!!お前はもっと強かった。会社を継がせると言う名目で親父から学問とは別に
叩き込まれた数々の格闘技の技術を持ってしても、お前はさらにそれ以上の物を持っていた。」
「それは“嬉しい”じゃなくて、“悔しい”じゃないの?」
マリンの言葉に対し、ルナリスは苦しいながらも笑みを浮かべた。
>>恐怖の亀裂作者さん
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そろそろ次スレを立てて、続きは次スレからという感じにしたほうが
いいのでしょうか・・・
「全く困ったお客さんだ。今日は看板だ帰ってくれないかな?」最深部にてラディスは銃口を後頭部に突き付けられる。
手を上げて銃を地面に落としてラディスは言う「そう?まだ正午を回ってないわよ?普通はここからが商売の本番じゃないの?」そう言って素早く体を屈めて足払いを放つ。
「おっと?」それは空を切るがそもそもはそれが最大の目的だったので問題は無い。その時に銃を拾い上げもう半回転しながら立ち上がり銃を正面に構える。
「やっぱり…。」同じように銃を構える男はザクサルだった。
「今度は何の様だ?お嬢さん?」小馬鹿にした口調でラディスを徴発するように言う。ここでセオリーに反してラディスは挑発に乗る事にした。「何って?決まっているじゃない?」
突然何処から取り出したか花束を出現させる。「御・見・舞・いよ!」花束をザクサルに投げる。一目見て中身に催涙弾の類であろう携帯スモークグレネードが見えている。
「面白い!乗ってくるとは思わなかったぞ!」正確にそれを撃ち抜くザクサルだったが中身を誤認していたようだ。
「泡!?しまった!バブルグレネードかっ!?」炸裂のショックで飛び散った薬品はあっと言う間に高弾力の泡に成りザクサルに襲い掛かる。素早くその場を離れるザクサルだがその際に銃を失う。
泡に絡め取られ引き抜けなくなってしまったのだ。「実力の差は知恵と度胸で埋めるか…最近はこのパターンが多いな。」しかし悠長な事を言って居られる程暇は無い。「通路を塞がれたか…。」
素早く別ルートで元居た場所に戻るザクサル。実際は十分程時間が掛ってしまったのだが…。
「御見舞い御見舞い〜。」ラディス自体はザクサル以外には面識が無い為簡単に医療スペースに近付く事が出来た。女性で花束を持っているので怪しさは大爆発だが何かしようとしたら静止すれば良いと思っているだ。
「お姉さんは誰?」ブラッドが話し掛けると「私はラディス=バルナー。用が有ってここに来たの。」そう言ってブラッドに花束を渡す。花束を覗くブラッドだが今回は何も無い。「ありがとさん。でも裏が有るだろ?」マグナがこう言う。
「そうね。しっかり裏は有るわよ?でももう用事は済んだの。」「何っ!?」マグナは後ろを向くがしかし医療ポッドは破損していない。「何をした!?」更にラディスの胸ぐらを掴みマグナが言う。「何も仕掛けるだけが仕事じゃ無いのよ。」
わざと言葉を汚くして相手の真意を読み取ろうとしたマグナだったが結局は子供の浅知恵と言う結果に終わったようだ。
「しまった…そう言う事だったんだ!」突然マグナはラディスに攻撃を仕掛ける。どんなに頑張っても大人と子供の差はこんな形で露見してしまう。
伸ばした手をラディスは軽く受け止めそのまま床にマグナを叩きつける。「マグナッ!?てめー喰らえ!」グレイの触手がラディスを包もうとするが既にその場にラディスは居ない。
「そう言う事は勢いに任せないものよ。」首筋に軽い一撃を貰いグレイは気を失ってしまう。「ボルク!一緒に行こう!勝てそうも無いけど何が目的か解らないから。」「ん。解った。」
ブラッドとボルクは左右にラディスを挟み込むように位置取りをして構える。しかしラディスは彼らを見ていない。
医療ポッドの中のグラハムとローキスを何か特別な対象としている様に見据えている。「ブラッド!ボルク!その人はパパとローキスさんを覗きに来たんだ!」
明らかに言葉の足りない説明にラディスの表情は歪む。「こら!誤解を招く事を言わないの!喋る時は必要な事を端折らないものよ。」ちょっと頭の中でその意味で覗いて居る自分の姿を想像して頬が赤くなる。
その間に気を失っているグレイと近くに居るマグナをラディスの近くから離す事に成功する。「全く恥ずかしい姿を想像しちゃったわよ?それじゃあお大事に。」そう言うと一心不乱に走り出した。
「待て!」ブラッドとボルクはラディスを追い掛ける。しかし歩幅の差は足を動かす回数で補わないと成らない。何とラディスは彼等が速度を上るとそれに合せて速度を上たのだ。当然追い付かれる事は無い。
それを見ていたマグナは「無理だ…絶対に追い付く事が出来無い。」しかし既に術中にはまった2人は追い付こうと更に走る速度を上る。「うふふ見せてあげるわ。デルポイ一の詐欺師の腕前を。」
花束は手品を使って取り出している。それを走り抜けた後に花を大量に散蒔く。「うわっ!?」足を取られてブラッドが転倒する。それを避けてボルクは追い掛けるがやはり追い付かない。追い付きそうになるとまた突き放されるのだ。
しかしその方向は崖になっている。崖まで追い詰めたボルクはゆっくりと躙り寄る。「慎重ね?それに絶対捕まえるって意気込みが感じられるわ。でもね?上には上が居るのよ。」突然ラディスは飛び降りた。
「何!?」初めて驚きをもった声をあげるボルク。少しすると離れた所に確かに背負っていた背中の物からジェット燃料の炎が見える。
「ふふっ。諦めることね?あなたにはここまで来る事が出来無いでしょう?」そう遠くから声が聞こえる。そしてラディスはそのまま横穴に消えて行った。
少ししてボルクは医療スペースに戻って行く。完全に気配が消えた頃予め先の侵入の際隠れ家に使用していた場所で一息つく。「駄目ね。目で全てを追っても見落としが増えるだけよ?」
相手がカメラ等を使用していないのならばこの手のトリックで充分相手を騙すことが出来る。背中の物はそれを意識させる物で有る為余計に誤認し易いのだ。「面白い余興だな?今回はそれに免じて逃がしてやる。」
気配も無いのに突然後ろから声がしてラディスはビクッっと震え上がる。そこには何も無い。有るとすれば無線で人形から声を出していた受信スピーカーだ。「痛いじゃないか?格好の良い人形を私に打つけるなんてな…。」
「あら?しぶといわね?」友達と喋る様な口調でラディスはザクサルに言う。「しぶとさとしつこさが取り柄でね。しかし貴様がライトニングフォウニーズだったとはな。伝説の詐欺師に会えて光栄だよ。」
突然銃声がしてラディスのやけに大きいイヤリングを破壊する。「あら?居場所がばれてるのね…。」命は助けると言った意味が充分身に染みる一撃だった。これはカメラでグラハムとローキスの映像を記録していたのだ。
彼女の目的は成功が間違いない人からμテリアンへの変異の状況を記録しに来たのだ。既に医療ポッド内の薬液の混合率は色から判断すれば解るが時間に対する効果の程はポッドの稼働時間とどの時点で薬液を混合したかで判断するしかない。
残念な事だが彼女は瞬間記憶が上手くないのでカメラを使っていたのが仇になった。それ以降の射撃は無く頃合いを見計らってラディスは最深部から脱出する。
「命は助けてやるって言ったのはこの所為ね…。」第7層辺りでラディスは難敵と戦闘していた。どうしてこう言う場合は深い所程やばい存在が居るのだろうと不満が有るラディス。目の前の巨大カタツムリの生物兵器の死骸は20を超えている。
目からビームを撃つ等聞いた事も無い。「マルダーだって砲撃には武器を使うのに…卑怯よ?貴方達!」その後何方が卑怯だか解らない手口でラディスは逃げ出したのだった。
悪魔の遺伝子の作者さんへ
もう良いと思うのですが…この頃になると前スレ埋めろや〜って自治の方が来るんですよね。
今回は有りませんが…落としてくれた人お疲れさまでした。
順を追って書いている以上前のスレに書くのは混乱の元なんですよねこう言うのって…_| ̄|○
残りはまたネタっぽい別の話でも書こうかな〜とか思ってみたりして?
「確かにそれもある。私はお前に圧倒されて悔しい。しかし、こんなゾクゾクした気分は今まで
味わったことがない。これだよ。私が嬉しいと思ったのは。このゾクゾクする感情。
これこそが真剣勝負の醍醐味。こんな気分は今まで味わったことがなかった・・・。」
「うわああ!!何かヤバイよあんた!!」
笑みを浮かべながら、ぎこちないながらもゆっくりと近寄っていくハーデスにマリンとカンウはビビッて後ずさりするのだった。
「もうやめろ!!やめてくれ!!これ以上娘を傷つけるな!!」
突然特別席から立ち上がったのは社長だった。そして、背後に立っていた黒服の男の方を向き、こう命令するのだった。
「この試合をすぐさま中止させろ!!早く!!」
「それはならん!!」
「!!」
突然叫んだのはルーガスだった。周囲に沈黙が走る。
「父さん!!なぜですか!!実の孫がやられそうになっているというのに…。」
「お前にはわからんのか?あのルナリスの喜ぶ顔を・・・。」
「え・・・。」
社長は黙り込んだ。そして、ルーガスは続ける。
「あの人を見下すことしかしなかったルナリスが本当に喜んでおる・・・。ルナリスが本当に
欲しかったのはな・・・。心からぶつかり合える友だったのじゃよ・・・。とにかく・・・このまま試合を見守るのじゃ・・・。」
「ハイ・・・。」
社長はそのまま黙って席に座った。
「さあ・・・コイ!!私はまだ負けてはいないぞ!!」
ルナリスとハーデスはなおもマリンとカンウへと迫っていた。そのときだ。マリンの顔が突然真剣な眼差しになった。
「わかった!!ならもう容赦はしない・・・。壊れたって恨みっこなしだよ!!」
「そうだ!!それでこそ我がライバル!!」
次の瞬間カンウが突っ込みをかけた。ハーデスはその場から動かずに迎え撃とうとする。
「ハーデスにはまだ加重衝撃テイルが残ってるんだぁ!!」
ハーデスが体を物凄い勢いで回転させ、その勢いに合わせてその巨大な尾、加重衝撃テイルがカンウを襲った。
「おっと!!」
しかし、やはり脚部のダメージのためか、やはりその動きは鈍く、カンウのジャンプによって
回避されてしまった。そして、カンウは素早く背後に回り込み、そのままハーデスの首元めがけて、
これまたプロレスで言う“スリーパーホールド”を仕掛けてきたのだった。カンウの両腕がハーデスの首を締め上げる。
「さあさあこの技でスリーパー、つまり眠る人になっちゃえよ!!」
「その程度で眠るかぁぁぁ!!!!」
ハーデスが渾身の力を込めて体を前に倒し、逆にハーデスの首を締めるカンウを投げた。
が、しかし、そのまま背中から地面に叩きつけられると思われたカンウが、両足から着地し、さらに
ハーデスがカンウを投げる際に使用した力を逆用して今度はハーデスを投げ飛ばしたのだった。
「うおお!!」
「確かに貴女の突きは凄かったけど・・・どうやら打撃系の格闘技しかやって無かったみたいね・・・。」
やはり受け身がしっかり取れていなかったハーデスの姿を見て、マリンはそう呟くのだった。
「まだまだ〜・・・。」
「う・・・うっそぉぉぉ!!!!ぶっちゃげありえなーい!!」
またもや起き上がってきたハーデスの姿を見てマリンは戸惑った。
「ええい・・・一体どうするべきか・・・。生半端な攻撃じゃ多分また起き上がってくると思うし。このままじゃこちらが痛い目にあいそうだし・・・。ん?」
マリンがそう思ったとき、先ほどカンウが背中から倒れた際に地面に背ビレが突き刺さって出来た穴が見えていた。
「どこを見ている!!!」
「これだ!!」
マリンが地面に出来た穴に気を取られていた隙を突いてハーデスがマリンに突っ込んだそのとき、
マリンはそう叫びつつカンウはジャンプしてハーデスの攻撃をかわしたのだった。
そして、カンウはそのまま上空へと跳んでいく。巨大ゾイドとは思えぬ跳躍力に誰もが唖然とした。
それが、またさらに今度は脚部のブースターを噴射し、さらに上昇していく。再び皆は唖然とする。
「は・・・はは・・・一体何をするつもりだ?さしものお前だって空中では陸上の様にうまくは動けないというのに・・・。」
ハーデスの背中のファンが高速で回転し、エネルギーがチャージされていく。荷電粒子砲でカンウを撃ち落とすつもりであった。
「ぶっつけ本番で上手く行くかは分からないけど・・・いっくよぉぉぉ!!!」
突然カンウが空中で丸まったのだった。
「一体何をするつもりなんだ?」
固唾を飲んで見守る観客の中の一人がそう呟いた。その時だった。体を丸めたカンウが空中で回転を
始めたのだった。その回転速度は徐々に上がっていく。さらに空を切るような轟音と共にそれが落下してきたのだった。
「食らえぇぇ!!回転背ビレカッタ―――!!!」
陸上に落下した後もその回転は収まらず、余りの回転速度に物凄い勢いで空転し、大量の土埃、
砂埃を巻き上げながら、轟音をたてながら超高速回転をしたカンウはハーデス目掛けて突っ込んできたのだった。
「な・・・なんだと言うのだ!!!」
マリンとカンウの奇策にルナリスは慌てながらハーデスの荷電粒子砲を撃ち込んだ。
高出力エネルギーの渦が、なおも回転を続けるカンウ目掛けて飛んでいく。しかし・・・。
「な・・・何・・・?」
ルナリスは落胆の声をあげた。なんと、カンウの高速回転が荷電粒子砲のエネルギーを弾き飛ばしているのだ。
「うおおおおお!!!」
次の瞬間・・・。高速回転したカンウがハーデスの体をひき潰し、その堅い背ビレが刃となって、その超重装甲を斬りつぶしていた。
「ま・・・、まさか背ビレを武器として使うとは・・・。恐れ入るよ・・・。」
倒れこみ、その機能を停止したハーデスのコックピットからルナリスがよろよろと這い出てきた。
「ナイスファイト!」
そして、彼女に手を差し伸べるのは誰でもないマリンその人だった。
「・・・。」
しかし、ルナリスは無言のまま、マリンの差し伸べた手を弾き、すっくと立ち上がり、マリンの方をにらみ付けた。
「次は負けんぞ・・・。」
「うん!いつでも返り討ちにしたげるよ!」
マリンはニッコリ微笑んでそう言うのだった。
『勝者!!マリン=バイス&ゴジュラスギガ“カンウ”』
大会委員会からそうアナウンスが流れた直後、観客席から拍手喝采が浴びせられた。
>>恐怖の亀裂作者さん
とりあえずキリが付いたのでここで一旦ストップする事にします。
続きは次スレからという事にして、後は貴方と同じように別ネタで埋めることにしますかね。
あと、一応スレ立て作業を行いますが、立てる事ができなかった場合は誰か他の人にお願いします。
また書きますが、やっぱり立てられませんでした・・・_| ̄|○
誰かお願いします・・・
悪魔の遺伝子の作者さんへ
ちょっと立てに行ってきます…。
しばらくはこのホストでスレ立ては出来ませんと言われました。
ヤフーでまたDQNなスレ立てをした方が居たようです…_| ̄|●
え〜・・・今日もスレ立てに挑戦したのですが、やっぱり立てられませんでした。
なのに代わりに変なスレが立ってる・・・_| ̄|○
とりあえず新しいテンプレでも考えてたらいかがでしょうか。
・現在のものより行数を減らす
・戦争モノもそうでないものもOK、な文章 という縛りで。
こっちも駄目だった〜ん_| ̄|○
>>310 そうですね…
ルール
ゾイドに関係する物語なら、アニメや漫画、バトスト等何を題材にしても良いです。
舞台となる場所、時間等は制約無しでバトストと書いて有りますが平和ても問題無いです。
自由で柔軟な発想の作品をお待ちしています。
例外的に18禁描写はご遠慮下さい。
鯖負担の軽減として【450〜470Kb】で次のスレを用意する事。
投稿された物語の感想等も大歓迎です。
こんな感じでしょうか?一応短くなっていますが(約23〜4字軽減)…何かが違う悪寒?
今日も挑戦しましたが、やはりスレ立て出来ませんでした_| ̄|○
何とか成りましたので少し…
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ソーラーウィンド
「高度4000到達。ソーラーセールに異常なし。」予定高度に到達した事を報告してバローウィン=クレイス伍長は通信を終える。
「クレイス伍長?下の見物客の様子はどう?」前後複座式のコクピットの後方からマリア=ソルハート少尉に声を掛けられるバローウィン。
この機体はイクスレイと呼ばれる物でかつての彼等の国が2回の戦争中に大きな痛手を追わされたレドラーの改造機である。
ZAC.2176年、旧型機の再設計が盛んに行われていた時期である。表立った戦闘は行われずこの中央大陸はアルダンヌ会戦以前のラインを元に領地を二分する事にへリック、ネオゼネバス両軍は同意。
これ以降の一般的な軍事力の行使は無作為に選ばれた場所でのみ戦闘という形で行われる事に成った。年に数回行われる相手国を演習相手にした実戦訓練は集客能力も相まって戦争終結直後から観光の一種になって行く。
更に同年では既に民間財団によってゾイドバトルと言う名目で軍に縛られない民間の者同士がゾイドを使い勝負をする事が一般的になりZiファイターと呼ばれる選手達がしのぎを削っている状況でもある。
戦争という悲劇の時代は終わってもやはり人は”争う事”その物からは逃れられないのだろう…。状況は全くと言って良い程変わってはいるのだが。
「そこのレドラータイプ!その行為の旨を説明して下さい!答えない場合は拘束、最悪撃墜します!」突然レーダーに影が映ったかと思うとイクスレイの横に速度を合せて飛行するロードゲイルタイプの機体が居た。
「此方共和国空軍所属バローウィン=クレイス少尉であります!同乗するマリア=ソルハート少尉と共にこの機体の試験飛行を行っている最中です!」それにロードゲイルタイプに乗って居る者が答える。
「此方帝国空軍防空隊所属カイエン=ミシマ大佐です。確認しました。でも気を付けてください。ここは限定戦場に近いので迂回を推奨します。」どうやら高度計ばかりに気を取られて風で今回の限定戦場近くにルートが流れてしまったらしい。
「了解しました!これよりルート補正迂回飛行に入ります!」バローウィンの復唱に「了解!警戒ライン離脱まで護衛します。色々問題を起こされても私達にとっても得ではありませんしね。」
>>314さんお疲れさまです。
…と言う事で?続き。
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並んで飛行する2機。本来ならイクスレイの方が小さい筈だが有る事件を境に野生体等に奇形種や異常大型種が稀に発生する様に成ったらしい。
イクスレイはその種類の一応の総称”ヘテロアストレイヤー”略称”HA”のレドラーを使用されているそうだ。異常なまでの翼の大型化とそれに追い付こうとしたかの様に両翼の半分程の体。
その姿はガイロス帝国のギルベイダーを思わせる堂々とした巨体である。
その体には翼の付け根から少し後ろの場所にソーラーセールと言う太陽光発電用の帆が2枚有る事でその事からイクスレイのコードネームはソーラーウィンドと開発陣に呼ばれていたらしい。
「帆が風を切る音を出しているわね…。」バローウィンは呟く。「ならソーラーセール付け根や本体に異状が無いか調べてみるわ。」マリアは機体状況をチェックする。問題は無しどうやら亜音速飛行に充分適応できている様だ。
やがて警戒ラインを離れる。「それでは失礼します。お世話になりました。」挨拶をするとイクスレイは現地戦場を離脱する。「お気をつけて!最近は実験機狙いの空賊も現れるそうですから。」カイエンも挨拶を交わし限定戦場に引き返して行った。
「ルートの再確保終了しました。少尉このまま試験飛行を続行しますか?」バローウィンの問いに「当然でしょ?今日は試験飛行史上初の無着陸惑星一周が目標なんだから。」エネルギー残量は全く減っておらずソーラーセールは正常に稼働している。
「それでは少尉!高度5000に上昇します!」「了解よ!伍長?少し雑にやってみてね。」これもソーラーセールの耐久試験の一環だった。
「高度5000到達しました!」バローウィンの報告にマリアは答える。「ソーラーセールに異常なしっと…音速飛行試験までいけそうな勢いよ?ぶっ飛ばしてみる?」あまりの順調さにマリアは上機嫌でそんな事を言う。
しかし快適な空の旅は簡単には手に入らないらしい…レーダーに未確認機体を示す光点とそこからまた新しい光点が多数発生したのだ。それが指す者はミサイルか小型機である事は間違いなかった。
「カイエン大佐の言った通りに成ってしまったわね…伍長!火器管制を回して!責任は私が取ります!」そこに「ちょっと待ったぁ〜!!!今回の狙いはあんた等じゃない!上の彼奴だ!」と通信が入った。
「?あれっ…その声は…お母さんっ!?」バローウィンの表情は赤くなる。「伍長?どう言う事?お母さんって!?」更に上空から来るザバットを無視して会話している。
「そこっ!邪魔だから早く行きなさいっ!彼奴等は私達の荷物を毎回奪おうとしている空賊だ!もう我慢なら無いって軍から許可を貰ってこれから成敗するところさ!」
そう言うと通信を切ってスプリッターカモフラージュを施したレイノス達は上空のザバットに攻撃を仕掛けていく。
「早く行きましょう!少尉!邪魔するなって言ってますし…?」しかしマリアは反応しない。「少尉?」もう一度マリアに声を掛けると「格好良いじゃない?どうせだから参加よ!今許可を貰ったから!」
「ええ〜〜〜っ!?」バローウィンは固まる。「固まって居る暇は無いわよ!さっさと上昇上昇!」勝手に話は進んでいるようである。
「あん?子童共を援護に付けるって?しょうがないねぇ。バローウィン!それと少尉さん!やりすぎるんじゃないよ!不時着させて奴等の身ぐるみを剥いで軍に突き出すんだからね!」
「あ〜…私は置き去りで勝手に話が進んでる…。」そう言いながらも素早くイクスレイを回頭させると急上昇させる。「わたた…伍長!?貴方の方が気合い入りまくっているじゃない!?」慌てて対Gホースと酸素マスクを装備するマリア。
「準備はOKよ伍長!でも音速は無しよ?音速での旋回は出来るか判らないから!」「了解!」音速ぎりぎりの速度でザバットの群れを擦り抜ける。
「頭を取ったわね…ってホエールキング!?やっぱり居たわね!」旋回砲塔式レーザー機銃でザバットを牽制しながらホエールキングに向かうイクスレイ。
「ありゃ!?あの娘等何時の間にあんな所に?良くお聞き!そいつが親玉だ。無人操縦デバイスが剥き出しに成っているからそいつを潰してくれ!こっちは有人機に手間取ってそこまで行くのに時間が掛る!そこまで行ったなら決めちまいな!」
彼女のレイノスはザバット10機を1人で翻弄している。「了解!伍長!行くわよ!」「は〜い。」「了解でしょ!?そう言うときは!」そう言いながらホエールキングに接近するイクスレイ。
「ふふふ…やっと来たか。わざと奴の周りのザバットを少なくして置いたのも知らずに獲物が来るぞ!野郎共!今度のお宝は奴だ!多少傷つけても構わん。確実に捕獲しろ!」頭目の男の号令で空賊は行動を開始する。
ホエールキングから第2陣あ発艦するのが確認される。「本気ね…でも落とされる訳には行かないのよ!」
イクスレイからレーザー機銃が放たれる。それはザバット達の翼を貫きザバットは地表に落下していく。「嘘っ!?何?この威力は!?」
明らかに牽制用の小口径で有るのにも関わらず翼に大穴を開けて居るザバット達。
「なんだい!?その威力は?その上まだ彼奴等ザバットを隠し持っていたのかい?こっちにも増援が来たから上は全部任すよ!もう良いから近寄る奴はぶっ潰しちまいな!」
バローウィンの母親のレミリア=クレイスは空賊の機体保有数に呆れ返ってしまった様だった。
「お達しが出たわよ!伍長!格闘戦の許可を出します!開発陣も望んでいるみたいだから派手に決めても良いわよ!」「了解〜頑張ってみます!」「そうそう!頑張れ!伍長!」
こう言う事態に陥った時には上のお題目や指示等聞いている暇は無い。そう言う事で予めマリアには緊急時に戦闘する許可を既に軍から認められていたのだ。しかしこれはあくまで秘密事項である。
イクスレイのソーラーセールが輝き出しその帆に光が宿る。「緊急だけどやるわよ!音速飛行実験を!最悪の場合でももう一度飛べば良いのよ。翼を失って飛べなくなった飛行ゾイド程悲しい者は無いわっ!」
「了解!これより高機動飛行実験及び戦闘試験を開始します!」操縦桿を一度離し素早くもう一度握り込む。
「さっさと落とせ!全く奴等は何をやっている?」予想以上にてこずる部下を見て男は見切りを付ける事にした様だ。「俺が出る!あれを使うぞ!ハリアーゲイルだ。」
「無茶を言わないでくださいよ親分!あんな化け物誰も使えないですって!」「馬鹿野郎!お前達は気合い負けをしているから言うことをきかないんだよ!」そう言ってかつて奪った改造機ハリアーゲイルに乗り込む。
起動すると暴れる事も無く発艦するハリアーゲイル。「どうだ見ろ!言った通りだろうが!退け野郎共!そいつは俺が捕まえる!」
「何!?また1機?今度は大型?」機銃で粗方近くに居たザバットを落とし終えたマリアは空を見上げる。「彼奴!ハリアーゲイルよ!ちょっと前に競合機が強奪されたって言うけどこいつ等だったのね!」機銃でハリアーゲイルを攻撃するマリア。
それを軽く避けて反撃の2連エクスシザースを振るうハリアーゲイル。しかしそれも空を切った…。
「避けやがったか!おもしれえ!そいつももうすぐ頂きだぁ!」ハリアーゲイルは急静動を繰り返しながらイクスレイに迫る。
「能ある何とかは爪を隠すって言うわよ?」マリアは別のスイッチを入れる。するとハリアーゲイルは突然爆風に吹き飛ばされて後退する。
何とか体制を立て直したハリアーゲイルだが頭目はイクスレイを完全に見失っていた。「野郎!何処に消えやがった!」
そう言って辺りを見回すが機影は無く彼のホエールキングが空中で停止しているだけだった。
「奴は逃げやがった…っか!?」突然レーダーに機影が現れたかと思うとすぐ反応がレーダー範囲を横切って消える。それとおなじくしてホエールキングの後部が爆発炎上を始めた。
その位置からホエールキングを串刺しにする様な2本の光の線が消える最中でもあった…「実験機だと思って手を抜いていれば付け上がりやがって!」
ハリアーゲイルも消え行く光の筋を追い音速機動を取る。
「ソーラーセールに異常なし。後は音速以上での旋回飛行ね。」マリアはそう言ってレーダーを見る。「行けそう?伍長?」「大丈夫です!今ので慣れました!やってみせます!」バローウィンは頷く。
「目標は接近中のハリアーゲイル!実戦で競合機とやり合うとは思わなかったけどチャンスよ!さっさと終わらせて即実験初回未着陸惑星一週やって見せるわよ!準備は良い?」「勿論です!少尉!」
既に彼女たちの目にはハリアーゲイルは映って居なかった。それ程如何でも良い相手なのである。全く問題も無く音速での旋回にソーラーセールは耐え抜く。
調整の際にそれ自体が多少揺れたり旋回する様にした結果の賜物だった。同じく音速で迫るハリアーゲイルに突撃するイクスレイ。その翼は速度上昇の為に翼を体の後ろに伸ばした。
ハリアーゲイルとイクスレイが交錯する。その速度の差によりハリアーゲイルは空中分解を起こしてしまった。そのパーツの一部はソーラーセールにに切断されている。「馬鹿な!瞬間速度マッハ3,78だと!?」
空賊の頭目は離れ行き消えて行く2筋の光を呆然と見詰めていた…。
「おやっ?終わったみたいだね。そのまま実験続行とは恐れ入るじゃないか!頑張りなよ!小娘達!」レミリアは既に姿を消していたイクスレイの進行方向を見ながら言った。
昼下がりの太陽は今日もデルポイを優しく照らしていた…。
太陽の光を受け風を切る翼…しかしその後同型機が製作されたと言う話は無いが開発者の執念と夢見がちな2人の女性士官が成し遂げた偉業は今も記録として残っている。
同年以降は通称”演習戦争”は費用の問題と兵員のZiファイターへの転職が増えた為自然に消滅しこれ以降国家や軍需産業はゾイドバトルの影のオーナーとなり新型機開発に邁進する様になる。
それを後目にイクスレイの実験飛行は後に3回系4回行われた。
2回目の飛行実験は単機でマグネッサーのみでの大気圏離脱実験。実験は一応成功したが帰還に4日も掛かった為その後の同実験は中止。
3回目の飛行実験は一定高度からのマグネッサーを切り滑空実験。結果は良好だったがこれも着地時に滑走路を全壊さてしまいこれ以降の同実験は中止。
最後の飛行実験は何時間飛行出来るかという実験。しかしイクスレイが拒否反応を起こし勝手に着陸した為結果は183時間21分で終了。その後イクスレイが3ヶ月以上飛行する事を嫌がった為それ以降の同実験を中止。
ゾイドが生き物である事実を充分噛み締める結果ともなった。
イクスレイはこの後同機パイロット達に退職金替わりに押しつけられる。しかしプロジェクトソーラーセール自体は成功を収め次のプロジェクトへ技術は引き継がれた。
しかしその後イクスレイが再び空を舞うのには1年以上も掛かったのである。
「マリア!バローウィン!仕事だよ!さっさと降りてきな!」「は〜い!」レミリアの声に2人同時に答える。
「今日はガイガロスにこの荷物を届けてくれ!その後にガイガロスからの荷物を持って戻ってきな。開いた時間は土産物を買うなり観光するなり自由にしていいからね!」「了解!」
2人は敬礼をして滑走路のイクスレイに駆けて行く。「全く大した娘だよ…。飛行ゾイドの免許がただで欲しいってだけで軍に入ったと思ったら仕事の相棒を1人と1体持って帰って来るなんてね。」
そう言って滑走路の機体を見詰めるレミリア。
「行こう!イクス…じゃ無かったソーラーウィンド!」今はそう呼ぶと喜ぶコードネームだった名前で呼ばれるソーラーウィンド。「バロー?良い?今日は風が強いからルートの修正を間違えないでね?」マリアは言う。
「先輩!その言い方は止めてくださいよ〜。」「嫌〜よ。その内広めてあげるんだから〜。」太陽の翼は今日も飛ぶ。空と仕事がある限り…。
これで終わりです。結構色々な者からネタを貰って居ます。スレを立てれた勢いで書いてしまいました_| ̄|○
【人名】
バローウィン=クレイス:共和国空軍所属の伍長、飛行ゾイドの免許がただで欲しいと言う不純な動機で入隊した
マリア=ソルハート:共和国空軍所属の少尉でバローウィンの先輩、実際飛行ゾイドの扱いは彼女の方が上だが面倒臭がりで操縦をバローウィンに任せっきりにしている
レミリア=クレイス:バローウィンの母親で空輸会社を経営している、血の気が多く空賊に喧嘩をふっかける事もしばしば有る
【技術】
ソーラーセール:ブラキオスのソーラージェネレーターの技術を飛行ゾイドに搭載する為の計画プロジェクトソーラーセールで開発された物でセールの名の通り船等の帆型の固定翼、イメージは斜め50度の傾き
エッジマストに設置されセール自体は自由に動く他エッジマストにエネルギーを収束させて太陽光?とそれで発生した熱で相手を切り裂くサンブレードと言う攻撃が出来る
ヘテロアストレイヤー:野生ゾイドのタイプの一種で”以前の事件”以降野生体に突然現れる様になった変異種で従来の野生体に無かった器官が有ったりサイズが異常だったりする
【ネタ】
演習戦争:元ネタは〇−チャ〇ンシリーズで戦争終了後も続いたいざこざの捌口として無作為に人の生活圏を離れた場所で行われる戦闘
任意参加制でこれがゾイドバトルの元になったと妄想した物
帰還に4日も掛った:ロケット推進機関をソーラーウィンドは待たなかった為衛生軌道上から4日間外付けのロケット推進器を受け取るまで戻れなかったと言う話です
ご都合主義は平にご容赦を_| ̄|○
駄目じゃん_| ̄|●
固定されている方はマスト…帆は動かないと意味無いぽ…。
>>恐怖の亀裂作者氏
乙です!自分もネタが温まってきたので新スレにて投下開始したいと思います。
>>恐怖の亀裂作者さん。
スレ立てお疲れさまです。その上さらにストーリーまで書いて・・・。
スレ違いになりますが、自分は「鉄獣28号」というハンドルで
Ziちゃんねるの改造コンテストに応募したりしました。
ただ、出来た物を圧縮した時に自分のパソコンで開けない物になってしまい、
さらにはどうにも出来ない様な事になってしまったので、あちらのパソコンで
開くことが出来るのか?という心配がありますが・・・。
この流れ・・・
このスレもうすぐ倉庫行きになるけど、
保管庫の管理人氏ってなんとなくログ取ってないような希ガス
保管庫管理人さんへ
保管庫にアクセスすると、
index.htmlが存在しないため、ページが表示できませんでした。index.htmlを設置してください。
と表示されます。
_| ̄|●
まだ間違い有った…一箇所階級間違えています…。伍長だってば!!!1回目の通信の時!!!
>>前3作の作者さんへ
次のお話楽しみです。
>>悪魔の遺伝子の作者さんへ
圧縮したら開けない…_| ̄|○
有りますよねハードディスクの容量を開けようとして圧縮したは良いけど開くのに知らないパスワードが勝手に掛かっていたり。
何時の間にか何かの拍子に圧縮か解凍のバージョンが変わってしまって開けなかったり…。バージョン違いは此方で一回有りました_| ̄|●
見れると良いな〜…。
>329
なんか下の方でも無理でした。
>328ならOK。
>>327さんへ
なんてこったい_| ̄|○前から国語脳に難有とは思っていたがそんなレベルだったなんて…_| ̄|●
そう言えば作文の点数は毎回低かった気が…。
そろそろ次のスレに書き込みを始めてもいいのでは?と思っているのですが書き込みが無い。
もしかしてまたアクキン!?
>>332 これから気をつければいいのですよ!
次スレでの活躍も期待ますよ
あと、倉庫に格納する依頼が出てるそうなので
書き込みは控えた方が良さそうです。
あまり続けてると依頼がスルーされる事もある・・・とか。