415 :
名無し獣@リアルに歩行:
「よし、だいたい手綱加減はわかったぜ…………」
ホバーカーゴのドックにて、バンは蟷螂の背に跨がり言う。
「大したものだ……」
目付き鋭い女性が、傍らで告げた。
「そうか? まあ相性がいいんだろうよ」
「確かに…… ドントレスの手綱は操縦技術よりも、ゾイドそのもののあやしかたで
決まって来る。まあ、この子に限った事ではなく、我らが扱うゾイドは大抵そういう
ものだが…………」
一呼吸置き、彼女は冗談めかし続けた。
「貴殿、忍になれるぞ」
「遠慮しとかぁ。ゾイドに関しちゃお誉めに与り光栄の至り、ってとこだが
あんたらみたいな地道な仕事は俺向きじゃぁないんでね、っと」
バンはドントレスから飛び下り、正面に回ると彼の頭を撫でる。
グルル、と喉を鳴らすような音を出し、機械虫は心地良さそうに頭と両の鎌を
動かした。
「調子はどうかな」
そこへ、老科学者がおもむろに話し掛ける。
「じいさん、どこ行ってたんだ?」
「わしのラボから、今回の任務に役立つソフトを取り寄せてたのじゃよ」
彼は歩み寄りつつ言う。
「容量的に時間がかかると思ったが、流石は軍隊。良い回線を使っておるわい」
ディは、ポケットから小さなケースを取り出した。
「で、これがそのソフトじゃ」
バンがそれを見ると、何やら字が書いてある。
「……チロル?」
「ある村の洞窟にあった、一機のヘルキャットから採取した情報じゃ。コアは
死滅しておったが、機械の方にかなりの情報が移されておった」
続ける。
「そして、このチップの中にはそのゾイド一機分+αの情報が入っておると
いうわけじゃ。バンよ、これをKGのコクピットまで持っていってくれ」
バンはそれを受け取ると、見つめた。ディは続けた。
「否、こう言うべきかな。リーゼ穣ちゃんに『彼』を届けてやってくれ、と」
「じいさん………………」
バンは訪ねる。
「『こいつ』は一体何なんだ……??」
「残留思念………………いや、『魂』じゃよ。かつてゾイドを駆った者のな」
彼は怪訝そうにそれを見つめる。
「まあそう訝しがるのも無理なかろうて。無論それだけでそういったものが
成り立つわけではない。だが、KGとリーゼ嬢ちゃんの助けがあれば、それは
事態を好転させるに充分な役割を果たす事だろうよ」
「難しい事はわかんねえが…………」
バンはケースを目の前に持ってきつつ言う。
「これをKGのコクピットにセットすりゃいいんだよな?」
「そういうことじゃ。どら、わしは他の機体もちょいと観て来るで、あとは
よろしくな」
「ああ」
と、気軽に返答した物の、彼の脳裏には複雑な感情が渦巻いていた。
「おまえもそれが何なのか気付いてるんだろう?」
「聞いてたのか…………なあレイヴン」
バンは告げた。
「じいさんが言うんだから、効果そのものはあるんだろうけどよ…………」
「俺も幾度かリーゼから聞いた事がある……」
バンの言葉を遮り、レイヴンは語った。
「俺達に決められないのなら、そいつ自身に決めさせてみちゃどうだ?」
続ける。
「リーゼがいて、KGのCPUを使って、それでもなおそいつが嫌だという
のなら、最早無理強いはしまい。だが、それは事前に俺達が決めていい事
でもないだろう」
「レイヴン……」
「要は駄目元だ。行ってみない事には何が出来るのかすらわからんからな」
「そうだな……」
バンは、手許のメモリーチップの収まったケースを見、言った。
「とりあえず、答えを聞かせてもらうぜ。ニコル……」
「大佐、博物館から連絡が入りました。スリープ状態にある全ゾイドを
取急ぎチェックした所、特に変わった所は見受けられなかったそうです」
「そうか…………わかった」
ハーマンは、つい今し方ヘリック国立博物館に連絡を入れた所だった。ここには
かなりの数のゾイドが、スリープ状態で保管されており、それがKGの電子兵器で
暴走する危険性が危惧されていたのだ。
だがハーマンは、しばしの沈黙の後、
「いや、待て。念の為、もう一度チェックしろと伝えろ。それと今後それらを
出来うる限り監視し続けろともな」
「ですが大佐、あそこにあるのはスリープ状態とはいえ、大部分が時代遅れの
代物です。メンテナンスすらろくに受けてない機体ばかりですよ」
「コアが生きている以上、動きさえしなければパーツに一切の損耗はおこらん。
極論だが、メンテナンスが必要なのは常時可動しているゾイドに限った事とも
言える。なによりあそこには武装無しでも危険なゾイドが多数保管されて
いるんだ」
現在でこそ第一線を退いているゾイドでも、無防備な街中に現れれば
それは充分すぎる脅威である。現にハーマンがかつて博物館で観たゾイドの
中には、カノンフォートやベアファイターもあった。いずれの突進力や腕力も
現役のゾイドに勝るとも劣らぬ一級品だ。
「……諒解しました」
「それと、クルーガー大佐とは連絡が取れたか」
「いえ、それが未だ電波の状態が思わしく無く、依然として不通のままです」
ハーマンは思った。頭痛の種は今後も増えるだろう。なにしろ相手はKGと
ゴジラなのだ。片や気紛れな怪獣、片や実戦データも失われた古代のゾイド。
不測の事態が多すぎる、というよりは一挙手一投足そのものが、これ不測の事態
といった趣きか。
「わかった…………。 博物館の方には治安局に御足労願おう。ブルーシティーから
凄腕が1人応援に駆け付けている筈だ」
「治安局ですか。軍の要請だと彼等もいい顔はしないでしょうね……」
「仕方ないさ、非常時の法的特権だ。それにこちらは向うを買っての発言だからな。
よし、では直接ヘリックシティ治安局に要請だ。ブルーシティ治安局の隊長が
出向している筈だから、そいつに指揮を取らせ、博物館の警護に当たれ、とな」
GJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJゴジュラスであるURYYYYYYEEEEEE―――ッ!!!
チロル&ニコルキターン!!
ブルーシティ治安局………???
ついにフュザも参戦ですかっ!
G J ! !
流石にゴジュラスだろ?
スーパーサウンドブラスター装備だぜ!
ゴジラの楽器声なんか目じゃねーよ!
毎度、GJです。外と懐は、寒いが魂が熱いぜ!!
この板で、今も尚神の領域にいるのは340氏
貴方だけです!。
最後にもう一度。 G J !!
FINALWARSのゴジラならKGにも勝っちゃいそう。
放射能火炎が大気圏突き抜けて宇宙空間まで逝ってるし。
340氏のゴジラ強度がどのへんの水準にあるかが焦点ですな。
340氏
グッジョブ!どんどん要素が増えていく。
ソバカス婦警と射撃プロの黒人刑事希望
>>426 神とは言わないが、この板の頂点にいる事は多分間違いない。
やたら長い坂を登って340氏を追い越したい。いつかは。
年末なのに暖かいスレだな
('A`)キモ・・・
ニコルキタ――――――――――ッ!
最近ニコルと聞くと…光学迷彩装備ガンダムのパイロットしか浮かばない_| ̄|○
現在、KGはその活動を停止している。中で何があったのか、外部からは
全く伺う事が出来ない。そう遠く無い距離で、二体の機械獣が戦闘を繰り広げ
てはいるが、今の所それにKGが反応する様子も見られない。
だが、KGは首都ヘリックシティを挟み、ゴジラと一直線に対峙する形にある。
今の所、ゴジラの方はシュバルツ率いる義勇軍がこの誘導を行っているが、
万全を期す為にはKGの誘導もまた急務だった。
それが、表向きの事情だった。
中央大陸某所…………ゴジラより、そう遠くは無い、さる上空。
一隻の超大形ゾイドが3隻のホエールキングに吊られ、その地点をゆっくりと
旋回してた。ときおり、大人の胴ほどの太さもある牽引ワイヤーがきしみを
上げ、その巨体に振動を与える。と、云っても全体から見れば、それは幼児が
座った椅子のきしみ程も無いのだが。
「それにしても、もう少し出力の上昇を早められんものかね……」
クルーガーがぼやく。だが彼はこう続けた。
「ま、このコンディションでは無理なからぬ事だがな……」
正に彼の言う通りだった。ウルトラザウルスは現在、前脚を一本欠いた
状態で高度数千mに釣り下げられている。無論、破損箇所には手は加えられて
いるものの、前脚破損の際、コアそのものが神経パルスのオーバーロードに
よってダメージを負っている状態に、現在ウルトラはある。
人に言い換えれば、心理的苦痛を受けていると言えるこの状態下にあっては
気力を昂らせるのは難しい。
それに加え、先刻のKGによる電磁パルスがウルトラのコアに更なるダメージを
与えたと見え、かつてはゴジラにとって御馳走だった筈のコアの活性も、今や
見る影も無い。
「彼等は判っているのですか……?」
傍らの将校が問う。
「彼等の活躍が、このウルトラのコアがゴジラを誘導できる様になるまでの
場繋ぎでしか無い事を……」
「いや、それは敢えて告げてはいない」
クルーガーは続ける。
「時間制限付きの情熱など、今の彼等から比べればまるで安物だ。それに
もし、ウルトラが彼等の期待していた時間に遅れでもしてみろ。彼等は焦り
失望し、たちまち気力を失うだろう。そのタイミングを恐らくゴジラは
逃すまいよ」
続ける。
「一応、我々の作戦も多少は彼等に伝わってはいる。だが、あくまで主役は
君等だと言っている。その実、烏合の衆とまるで当てにされてないにも
関わらず、だ。だが現状はこの有り様だ」
更に続ける。
「いくらシュバルツが指揮を取っているとはいえ、民兵の軍団がどれだけ
持ちこたえてくれるか…………」
続ける。
「せめて、ここにもう一つ二つの要素があれば、な」
「フライハイト大尉ですか」
「うむ……」
初老の指揮官は、将校の言葉に一言頷いた。
荒野のただ中にそびえ立つ、一頭の機械獣があった。巨躯に紅の角を
頂いたそれは、両の腕を力無く下げ、光を失った視線も大地に向けられていた。
それを、注意深く監視する機械の眼があった。
太い合金のバンパーに覆われたターレットレンズが、望遠用に切り替わり、
更に段階的にズームされる。コクピットのモニターには、その映像に加え
動態反応の文字が映されるものの、直ぐさま後に、無し、と加えられる。
「本当だろうな?」
通信が入った。
「紛れも無い。少なくとも、外部の駆動系は完全に静止している」
眉の薄い大柄な隊員、イガは声に答えた。
ターレットレンズを備えたゴーレムが、のそりと岩影から姿を現す。
視覚系だけではない。前脚の先端も、五指のマニュピレーターを備えた
完全な『手』としてナックルウォークを行っている。
「卵だって摘めるんだってな、その手」
「いかにも。だが今回ばかりは披露の機会は無さそうだがな」
彼は続けた。
「光学迷彩の必要無し。その方があちらがわからも確認しやすかろう」
別な声が告げる。
「こちらからも確認した。背部動態反応無し」
同じく」
同じ声が続ける。
「温度分布、安定。動き無し」
「こちらも確認した。背部温度分布安定」
イガが、先刻の声に告げる。
「お二方、用意は如何か?」
「いつでも行けるぜ!!」
「こっちもだ」
「よし! では武運を祈る!!!」
随所にカスタマイズを施されたゴーレムの頭上を、二頭のドントレスが
飛翔する。
「もっとも、貴殿らはかかる報告が無くとも、あすこへと赴くのだろうがな……」
イガは続けた。
「ドントレスは、ドントレス(恐れ知らず)を好む、と云った所か……」
遅れ馳せながら、皆様明けましておめでとうございます……
マニュピレーターの精度の基準はやっぱり卵なんですね
あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いしますw
二頭のドントレスは、KGに程近い岩影に降り立った。
「どうだ、様子は?」
レイヴンがヘルメットにてパンツァーティーアに尋ねる。
「いぜん動き無し」
「そうか、わかった」
彼は通信を切り、言う。
「最初は窮屈だったが、慣れてみれば中々悪く無いな。まったく贅沢な
装備だ……」
「そうか? どうもおれには合わないみたいだ……」
レイヴンとは好対照に、肩と首周りを気にしながらバンが言う。
「スーツが合って無いんだろう。とりあえず今は我慢しろ。行くぞ」
「ああ………… ん?」
「どうした」
バンは、足元に転がる、あるものに気をとめた。彼は窮屈な身を屈めると、
それを摘まみ上げる。そしてパートナーの名を呼んだ。
「おい、これ…………」
なんだ、とレイヴンが『それ』に顔を近付ける。直後、彼は慌てたように
バンの手首を掴んだ。
「おい、何を……!?」
「貸せ!!」
バンはすぐにも『それ』を指から離し、レイヴンの掌に落とした。レイヴンは
それを受け取ると、右手の手袋を外し素手でそれを握った。
「……………………………………!!!!!」
「おい、どうしたんだ?」
レイヴンが、その問いかけに反応するのに十数秒の時間を要した。
「持ってみれば解る…………手を貸せ……!!」
バンは、彼からその小さな『虫』を受け取った。
更新嬉しage
その『虫』は、リーゼが買っていた古代昆虫だった。つい数時間前まで
通信機代わりに使っていたので、機能については良く知っている。
だが、『この虫』が持つ情報の事については、その限りではない。
「これは……リーゼが?」
「間違い無い…………そいつが持っている情報をお前も確かめてみれば…………」
額に汗し、レイヴンは続けた。
「嫌でもわかる」
バンは、怪訝に思いながらも『虫』を手で包んだ。
直後、イメージが、目の当たりにしているかのように鮮明にバンの脳裏に映る。
「…………おい、いったいこれはどういうこった………………!!」
それは、KGのゾイドコアの風景だった。体育館ほどもあろうかという
広大なスペースに収まる巨大なゾイドコア。それに連なる無数の配線。
そのコアの中央に、菱形に並べられた四体の小型ゾイド。
否、四体のオーガノイド。
事は、一月ほど前に遡る。その頃、バンはオーガノイドの研究と云う名目で、
共和国軍にジークを預けていた。聞く所に寄ると、リーゼとレイヴンの
スペキュラーとシャドー、そして戦場にて捕獲されたアンビエントも、その
研究機関にいるという。彼は、とりあえずは人助けの役にも立つだろうと
友としばしの別れを遂げた。
ゴジラ復活の騒動が巻き起こったのは、折しもその直後の事だった。
忙しさの中で、いつしかバンはジークがいない生活にも慣れ、やがては
オーガノイド無しで、かつてジークの力を借りていた程の力を出せる程にも
ごく自然になっていた。
無論、そうなってからも片時たりともジークの事は忘れなかった。
そう、彼が忘れていたのは、『軍が何故ジークを必要としていたか』だったのだ。
時を同じくして、異なる場所で今一つの騒動が幕をあけようとしていた。
現在、二大巨獣が両端にてにらみ合うエウロペ大陸南部は、前大戦直後より
主としてヘリック共和国が統治しているが、ガイガロス周辺は未だ帝国の統治下に
ある。中には、かつての戦線レッドリバーに程近いドラゴンヘッド要塞のように
戦後もなお帝国軍の居留地となっている場所も少なく無い。
ここは、そんな国際的に有耶無耶となっている地点の一つである。
「こんな所へ連れて来て……どうするおつもりかしら……?」
ナオミは、異様なまでに高く、それでいて薄暗い天井を見上げ、言った。
「なにしろ、この緊急時だ。正式な手続きを幾つか省略した結果、淑女に対し
非礼な行いとなってしまった事は私から丁重にお詫びする……」
目付きの鋭いその男は、うやうやしく頭を下げた。
「なにやら貴方にも事情があるようね。まあ、今は聞かないでおいてあげる
けど………… で、私に出来る事って何なの? それだけは早く教えてもらわないと
仕事の準備も出来やしないわ」
若干のいら立ちを交え、彼女はそう言った。
一方、傍らの男は返す。
「それは言うまでも無い事。君の腕を…… そう、その射撃の腕前を我々に
提供して頂きたい。いや、我々に、ではなくこの世界の為に、と言った方が
現在の場合正しいかな」
不思議な男だった。射抜くような鋭い眼差しをしながら言動には高圧さが無く
それでいて凪いだ水面の様に落ち着き払っている。だが、その口調には確固たる
強さを持った意志が容易に見て取れた。
しかし、それが逆に胡散臭くもある。少なくとも、ナオミ自身、自らをほとんど
説明も無くこんな『秘密基地』へ連れて来た人間は信用できなかった。
いくら人当たりが良くても、だ。
「私が戦争の片棒を担ぐような女じゃないって事は御存じでしょうね」
男はしばしの沈黙の後、告げた。
「やはり黙って仕事をして頂くのは虫が良すぎたか…… 」
彼は溜息をつきつつ、自嘲気味に言う。そして続けた。
「こうなったら説明しよう。君がこれから乗るゾイドは、帝国製のゾイドでは
あるが軍上層部には全く未承認の、まさにここに似つかわしい秘密兵器だ。
故にこの作戦自体、ルドルフ陛下の承認すら得ていない」
彼は続けた。
「陛下は、今回の作戦には過剰な戦力は投入したくない御考えのようだが、
私の考えは違う。共和国はKGとゴジラの共倒れを狙っているらしいが
そう上手く事が運ばなかった場合、例えば片一方が圧勝した場合それを
駆逐する手段が無くなるのだ」
彼は、歩きながら続けた。
「そこで、勝ち残った方をこれで仕留めるという寸法だ」
「それって、無断の軍事介入じゃないの?」
「そうだ。だが、事を速やかに終わらすには、節介ではあるがこれしかない。
我々には、今の時点でいずれにも生き残ってもらわれては困るのだ」
男は、彼女に背を向け、言った。
「それにな、KGがZiの大地を蹂躙するのは見るに耐えんのだ。デスザウラーの
コアは、いかなる形であれこの世に留めるべきではない」
デスザウラー。そこでナオミは、あの男の事を思い出した。
男は、ナオミの表情を察し、名乗った。
「そう、ギュンター・プロイツェン…………」
続ける。
「ギュンター・プロイツェン・ムーロア」
続けた。
「私の父、そして、本来なら『ゼネバス』にとって英雄となった男だ」
「あなたは…………」
彼は、ナオミの言葉を遮る様に語った。
「それじゃあ、君の乗るゾイド、セイスモサウルスルをお目にかけよう。
それから、私の事は気軽にヴォルフと呼んでくれ」
セイスモキターーーーーーーー!!
340さん、おつかり
第三勢力、ネオゼネバス勢が参戦だね。
>>447 鉄竜騎兵団登場ですね!
というかヴォルフお前って奴は…良い所で出てくるな
オルディオスと、翼を有するライガーは砂煙りの中、しばし見つめあった。
その中で、ゼロフェニックスの翼とオルディオスの翼が次第に輝を増す。
ゾイドコアの活性化が、マグネッサーを空吹かしさせているのだ。
互いのゾイドが低く唸る。唸りに連動し、マグネッサーは明滅する。
同時にそれは、互いのマグネッサーが即時全開出力で使用可能である事も
意味していた。その気にさえなれば、次の瞬間にでも正面衝突が可能である。
「いくぜ!! ライガー!!!」
ビットのかけ声とともに、ライガーは大地を蹴り翼を奮わす。
オルディオスも、全く同時に動きを同じくする。
二体の機械獣は数歩で宙に舞い上がった。
互いが互いを避け、その軌道は歪んだ螺旋を大空に描く。そしてそれは
高出力のマグネッサーが作るプラズマ雲により、ままに形となって宙に
刻まれた。遠目に見れば、二色の火の玉が大空でチェイスをしている様にも
見える。
まさに、そこに繰り広げられているのは文字どおりの格闘戦だった。
「飛行ゾイドの戦闘とはまるで違う…………」
ハーマンがこぼす。だが、ディはその光景に眉をしかめた。
「ふむ…………」
細い顎に手を添え、彼は言った。
「のうトロスよ、ラオンはこう言っておったのじゃったな? あのオルディオス
はマグネッサーの出力が上がらない、と」
モニター向こうのトロス博士は答える。
「そうなんですよ。せいぜい可能なのは長距離ジャンプ程度だと。奴が送って
きたデータもそれを実正してますし、第一ラオンは発言を水増しする事はあっても
決して謙遜だけはせん男です」
「そうか、わかった…………」
ディは、ハーマンに歩み寄る。
「ロブよ、ちとビットと話がしたい」
彼はハーマンに代わり、モニター前に立つ。
「ビットよ、なるだけ早めに決着をつけるのだ。長引けばオルディオスとレオンが
危ない。それこそおぬしが手を下すよりもな」
二頭のドントレスが冷たい風を切り裂き、KGへと迫る。
未だ物言わぬKGは、それでもなお高い緊張感を周囲へと振りまいていた。
二人のヘルメットのディスプレイに、降着ポイントが示される。
リーゼが入って行った、首筋の非常用ハッチだ。
ここへ取り付きさえすれば、あとは己の身体だけが頼りとなる。そう考えると
若干の恐怖すら感じるが、今となっては行く他は無い。
先刻、二人は信じ難いものを目の当たりにした。しかし、それが逆に
二人を冷静にしていた。事が重大なだけに、慎重な対応が求められたのだ。
まずはコクピットに赴き、ハインツを拘束すると共にリーゼに接触するのが
先決である。
次第にKGが近付く。二人は、任務に心を集中させた。
だが、その時である。
「KGに活動反応! 動くぞ!!」
二人に、パンツァーティーアより通信が入る。
同時に、まるで巨大な絵画が動きだしたかのように、KGは巨体をゆさぶった。
動かぬ風景が不意に動き出すという違和感が驚きとなって二人を襲う。
「かまわん、行くぞ!!」
レイヴンが言う。ならば、より事態は急を要するのだ。
「攻撃をしてくる気配はあるか」
「……いや、無い。だが奴が移動するのは確実だ」
パンツァーティーアから応答が返る。その言葉通り、KGは巨大な一歩を
踏み出した。
「なら問題はない、中に入るまではな。バン、準備はいいな?」
「ああ、バッチリだぜ」
二人は、ドントレスの行く先をKGの首筋へと定めた。
そして数十秒後、ふわりと減速した二頭のドントレスは、四本の脚で
KGの装甲へ降り立った。足先のマグネットが機体をがっちりと固定する。
バンは、サドル脇の金具を引き出し、腰へと装着した。金具はワイヤーで
ドントレス本体と繋がっている。
キタ━━━━━(゚∀゚)━━━━━!!!!
いかな巨大ゾイドでも、普通に歩行する分にはコクピットを有する首から上は
さほど揺れない構造となっている。だが、このまま彼が静かに散歩を続けて
くれる保証はどこにもない。
事態は依然、緊張の継続を強いていた。
きりりと音を立てワイヤーが伸び、バンはハッチの淵へ手をかけた。
「ロックはされて無い。まあ、この有り様じゃ鍵なんてかけようが無いけどな」
バンはレイヴンに指し示す。本来ならシリンダー錠のある場所には風穴が
周囲を焼き焦がしながら空いていた。
「ここを狙撃したのか。まったく、対した度胸と腕前だ」
「確かにな。だが感心してる暇は無いぞ」
「ああ」
バンは把手に手をかける。ロックとハッチ自体の留め金は別になっているらしく
若干の手応えを感じさせつつもハッチはごく自然に開く事ができた。
しかし、それすら今となっては罠へのいざないにすら思える。
まずは、バンが身を潜らせる。と同時に腰のワイヤーを外す。ワイヤーが
ドントレスへと引き戻されるのを横目に、レイヴンもハッチを潜る。
中は思った以上に狭かった。二人ともさほど大柄な方ではないのだが、
それでも這い進むのがやっとだ。KGもいつ姿勢を変えるかわからない。前へ
転がり落ちれば、その先には脊髄シャフトのメンテ用通路が縦に伸びている。
そうなれば数十mの高さをまっ逆さまである。
「よっ……と、」
幸いにして、二人はそうなる事も無くハッチから脊髄通路へと通じる
短い距離を這い抜けた。バンは、脊髄通路へ顔を出す。
「リーゼがいるのは、この真上か…………」
手探りで足場を探し、手をかける。そして90度体の向きを変え、脊髄通路を
彼はレイヴンと共に登りだした。
キタ*・゜゚・*:.。..。.:*・゜(゚∀゚)゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*!!!!!
456 :
名無し獣@リアルに歩行:2005/03/28(月) 00:48:39 ID:vEjXOprf
保守age
このところ仕事疲れでバテてました……
今週中には再開できるかと……
>>457 無理せず、確り休んでくらはい。
皆で、気長に貴方様の良作を待って
いますから。
ご自愛下さいませませ。
340氏お疲れさま。
タモリ
>>457 お疲れさまです。
ゆっくり休んでつかあさい
二人は、取り敢えず上を目指す事だけを考えた。そうしなければ、あらぬ
雑念が沸き上がり下へと足を引くからだ。只でさえ気が重い進行を、着慣れぬ
服がさらに滅入らせる。しかし、今はこの狭い通路を上へと登るより他は無い。
通路が、緩やかに時間をかけ上下する。こういった決戦兵器サイズのゾイドは
それゆえに歩幅も足を上げる高さも大きく、従って縦揺れも大きいのだが、それも
腰から下までの事だバンは伝え聞く。一見すると無骨なブロックを大雑把に積み
上げただけとも思える構造のKGだが、その実内部には脊椎動物を模した骨格を
有し、既に足首から衝撃と縦揺れの吸収、分散が始まっている。それが股関節、
腰部、頚部と段階的に進み、コクピットに至っては全力疾走(!)したとしても
中形のゾイドの様に激しく揺さぶられる事は無いという。そういった構造で
なくば、その巨躯に満載された電子機器や重火器が、一歩歩く毎に損傷して
しまう。しかし、現在はゆるやかにではあるが、明らかに、そして不規則に
彼等のいる高度は変化してる。
「本調子じゃないって事か…………」
「どうした?」
下に続き梯子を登るレイヴンが尋ねる。バンは、巨大ゾイドの衝撃吸収の
メカニズムを簡単に説明し、
「で、だ。その連係が完全なら、こんな揺れは起こらない筈なんだよ」
「すると何だ、こいつは足腰もおぼつかないって訳か?」
「……うーん、そういう事になるのかな。とりあえず登りきってみれば解る
事さ。……ほら、もうすぐだぜ……!!」
その一方で、天駆ける二頭の機械獣の決戦も終盤に近付いていた。
ライガーゼロフェニックスの翼が大気をかき分け、そのたびに磁力を帯びた
Ziの大気が反応し軌跡を鈍く輝かす。その反応が残像となって翼にまとわり
つく。
片やオルディオスの翼は、違った現象を見せていた。翼の一振り毎に
青い炎が翼全体ににまとわりつく。オルディオスやフェニックスのマグネッサー
は、板状のマグネッサーを並べ、その電磁干渉によって推力を増幅さす、
いわゆる「フェザーマグネッサー」というタイプだが、その電磁干渉が
今のオルディオスは過剰に起こっているのだ。
マグネッサーの原理上、翼が帯びる電磁力が強ければ強い程飛翔力は上がる。
だがその反面、マグネッサーの出力がある一定を超えると翼の複数箇所から
放出される電磁波が互いに干渉し、プラズマを生じさせてしまう事がある。
マグネッサーの形状が、旧来のトラス型からフェザー型に時代と供に移行
してきたのは、トラスではマグネッサー効果が形状的に出易く、また強度も
取れる反面、高出力、大型化すると電磁波の干渉が起こり易くなるからである。
だが、現在起こっている現実は、そのような理論ですら小賢しいとばかりに
一蹴するかのようだった。
「最早一刻の有余もならん…………! 既にオルディオスの出力は構造の理を
超えておる。これでは200Vのコンセントに豆電球を繋いでおるような
ものだぞ!!」
ビットは、ディからの通信に答える。
「なあ博士、中のレオンは大丈夫なのか?」
「飛行ゾイドのコクピットは、とりわけあのサイズともなると神経質なまでに
あの手に対する対策がとられておる筈じゃ。だが時間がたてばその保証も無い」
「よし、じゃあ一か八か、やってみるか…………!!」
キタ━━━━━(゚∀゚)━━━━━ !!!!!
ムーンプリズム乙カレイヤー!
もうね、ありがとありがと!
正直悪いとは思いつつも、速く続き読みたい症を押さえるのにタイヘンタイヘン
斬新な新解釈【フェザーマグネッサー】(・∀・)イイ!!
340氏のSSは毎度、読んでるだけで画が見える!
ホント凄いな!
大変でしょうけどガンガッテ!
キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
一体どうする気だ、ビット!?
漏れも340氏には悪いと思いながら、
このストーリーの続きを早く見たくてしょうがないよ!
キター*・゜゚・*:.。..。.:*・゜(゚∀゚)゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*!!!!!
いやもう前同なんですが…見たい読みたいと思いつつ、340氏には申し訳なく…
「なあフィーネ、こいつはゼロとフェニックス単体よりもパワーは上がって
るんだよな」
「ええ……そうだけど……」
「それはつまり、マグネッサーの出力も上がってるんだよな」
「ええ、でもリミッターがあるから、オルディオスみたいにはならない
筈よ。それでも他のゾイドを運べるくらいのパワーはあるわ」
「話が早いな!」
「ビット、なにを……!?」
「何って、決着さ。ちょっと俺に任せてくれ!」
ビットは、ゼロフェニックスを急旋回させた。後部のフィーネが軽く
悲鳴を上げる。だが直後、彼女は上体を起こしビットに笑顔で告げた。
「それならそうと言ってくれなきゃ」
「何だって?」
「ほら、そこのボタン」
ビットが見れば、なるほど何やらカバーがかけられた、いわく在り気なボタンが
コンソールの片隅にある。
「ビット君!! そのボタンにどうやら気付いてしまったようだね!!」
それは、紛れも無く自らが一番世話になっている博士の声である。
「いまさらあんたが何を言ってこようが驚かねえつもりだが…………」
おおかたずっとコクピットの中を監視してたんだろ……、ビットは小声で
呟くと、
「おっと、こっちの話ですよ? で、博士。こいつは何なんだ? まさか
自爆ボタンじゃないだろうな!?」
「はっはっは、何を言うのかね!」
トロス博士は笑いながら言う。
「その出番はまだまだ先に決まってるじゃないか!!」
「あるのかよ!!」
「それはともかく、そのボタンはだね……」
「人の話聞けよおっさん…………」
「いいかねビット君、それは『オーバーブースト』の起動スイッチだ」
モニターに移った科学者は言った。
「オーバーブーストね…………一応聞いとこうか?」
博士は語った。何でもフェニックスの装甲は特殊な素材で出来ており、
ある種のパルスによって装甲の分子間にEシールドに似た電磁防護構造が
展開される仕組みなのだという。これによって短時間ではあるが装甲の
防御力が格段に上がるばかりでなく、コアも共鳴反応によって一時的に
強化されるらしい。
「随分と都合の良い話だな……」
博士は、流石はビット君、とつなぐ。
「実を言うとその機能はな、起動させてから二分くらいしか持たんのだ。
だから使うとなると、そのリミットまでに相手を倒さねばならん」
「二分か…… そいつを超えると、どうなるんだ?」
「コアと装甲、その双方に過負荷がかかり、君達はゼロフェニックス諸共
蒸し焼きになりかねん。例によって実用するのは今回が始めてでね……」
ビットは、モニターの向うを見据え、言う。
「博士、いいのか? そんな物騒な代物を自分の息子相手に使わせて」
トロス博士は、穏やかな表情で答える。
「君なら…… 大丈夫だと思うんだがね。 やってくれるかね」
ビットは、にやりと笑みを浮かべた。
「絶大なる信頼、ってわけか」
「考えがあるそうじゃないか。そいつを信じよう」
フィーネが言う。
「オルディオスが追い付いてきたわ!!」
「その信頼に答えるしか無いわけか。いいだろう…………」
ビットは拳を大きく振り上げた。
「やってやるぜ!!!」
次の瞬間には、ボタンを被うカバーは木っ端微塵に粉砕されていた。
「おお、あれは…………!!」
ディがホバーカーゴより感嘆する。空を舞うゼロフェニックスの素体が装甲の
隙間から光を放ったと思うや、続いて装甲の色が変化し始めたのだ。
それまで青と白を基調としていた装甲が、次第に赤みを帯びはじめる。
やがてライガーゼロフェニックスは、深紅と透き通る黄色の色彩に
その身を染めた。
それはまるで、灰から炎とともに蘇る不死鳥の姿にも似ていた。
オッシャ!!キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
仕事速いぞ!うれしいぞ!うれしいけど
あんま無理して身体壊さんでね。
自爆ボタン ワロスwハゲワロスwwゲキワロスwww
もう続きが!
やっぱあるのかよ自爆ボタンw
赤ガッチャがこんな風に登場するとは思わなかった
やっぱ赤い方がフェニックスって感じがするよなぁ
この文章力……キャラクターの活かし方……。
G O D
自爆ボタン爆ワラタ
340氏最高!
ビットかっこいいよビット
自爆ボタ笑ったよ自爆ボタ
赤フェニ キタ━━━━━(゚∀゚)━━━━━ !!!!!
ビットやっぱかっこええ!
340氏お疲れ様です
tu-kaネ申です
お身体大切に
476 :
名無し獣@リアルに歩行:2005/05/23(月) 18:35:50 ID:HezBa/S6
保守age
新作キターのかと思ったよ…
途中で打ち切りになったらやだなぁ
>>477マターリ待とうぜ。
変なプレッシャー掛けちゃ悪いよ。其のときまで、他の遊びしよこうぜ!
>>478 藻前、良いこと言うな!
(・∀・)つ目 オチャノメ!そして、マッタリしようぞ
またーりなぁ
「なに、二分たって結構あるもんだ!!」
「それでビット、どうするつもりなの?」
「あたって砕けろだぜ!!」
「ええーッ!!」
フィーネが、がらにもなく声を上げる。
「おいおい脅かすなよ、吃驚するだろう!?」
「あ、御免なさい……でも……」
「そうだビット君!! 無茶な行動は何も産まんぞ!!」
トロス博士が通信にて割り込む。
「博士!! 今度は何だよ!?」
「何だよは無いだろう? それよりラオンから通信が入っている。
そちらに回すぞ」
モニターが、トロス博士に代わって厳めしい風体の科学者を
映し出す。
「久しぶりだな……とりあえず今はわしの話を聞くだ」
ラオンは言う。
「格闘能力という一点においては、オルディオスに弱点らしい弱点は
何も無い。射撃に関しても照準が奴自身の自由になる以上、かなりの
精度になろう。現在ヤツは野生化している故、射撃などという不粋な
手段は飽きているようだが、その気になればいつでも撃ってくる」
ビットは、操縦桿を握りながら返す。
「……で? そんな奴を相手にどうしろと?」
「では話そう。奴にとって最強の武器が最大の弱点でもあるのだ」
「どういうこった?」
「奴の額の角……サンダーブレードは強力な武器であると同時に
微妙な力加減が可能な繊細な器官でもあるのだ」
大戦当時、共和国、帝国両陣営はゾイドに完璧を追求し続けた。
すなわち万能兵器の追求である。そんな中開発されたオルディオスは
地上ゾイドとしては邪魔な翼、飛行ゾイドとしては邪魔な四肢を
有しながらも、そのいずれのデメリットを補って余り在る性能を
誇っている。そしてそれは、オルディオス最大の武器であるサンダー
ブレードにもいえる事だった。サンダーブレードは本来剣に相当する
格闘兵器ではあるが、完璧を目指す軍上層部はそれを単なる無骨な
剣に終わらす事を許さなかった。結果、サンダーブレードには自身の
力加減から、敵に与えた手応えまで読み取る、格闘家の拳にも似た
鋭敏なセンサーがコアに直結する形で付随する事となったのである。
ビットは言う。
「つまり、それをへし折れば奴を悶絶なり気絶なりさせられる、と
まあこういう訳か……」
「へし折るのは駄目だ。あの付根にはコクピットがある」
「何で武器の付根にコクピットがあるんだよ!?」
「わしが知るか!! 自分で作ったわけじゃない!!!
……ともかく、マテルZiを鍛えたサンダーブレードは
極めて強靱だ。折ろうとすれば、コクピットごともげて
しまう。おまえにやって欲しいのは、へし折る寸前までの
衝撃を与え、奴を気絶に追いやる事なのだ」
マテルZiキタ━━━━━(゚∀゚)━━━━━ !!!!!
相変わらずGJです。
また新しい要素が。
いつムラサメが乱入するかドキドキです。
舞台は、ニューヘリックシティへと移る。
「チーフ、やはり保管してあるゾイドに不振な点は見受けられないとの
事です」
ゴジュラスギガのコクピットに、女性の声が告げる。
「そうか判った。…………しかしなあ……」
答えるのは、テンガロンハットを被った体格の良い男性だった。
「どうかしたんですか?」
「いや、どうも嫌な予感がするんだ。長年の勘で言わせてもらえば、
こいつぁ正に嵐の前の静けさってやつだ」
男は、ブルーシティより召還された当治安局機動隊チーフ、名を
ガミーと言った。今回の出動に当り、これまで生死を共にしてきた
ゴジュラスのボディーを試作型の最新鋭機、ゴジュラスギガに代えて
きたのだが、軍から警報が発令されてから早一時間、未だこれといった
異変は感知されていなかった。
「俺のゴジュラスギガがそっちまで入れればいいんだが、これじゃあ
宝の持ち腐れだな……」
ガミーは、シートのひじ掛けに腕を預け、へりを指でとんとんと
叩く。予めこれだけのブランクを過ごす事が判っていれば、こいつから
降りて一服くらい出来たものを…… 彼は思う。彼は、普段から
任務の最中は常に気を引き締める様、部下に言い聞かせている。ゾイドに
乗りながらの喫煙などはもっての他であり、発覚すればその時の部下の
対応如何では彼の岩のような拳骨がうなりを上げる事すらあった。
そもそも、一服している時に賊が現れたらどうするのか。
彼は、そんな事を思い返しながらも、一件落着したあとの葉巻きを
恋しく感じてもいた。
「やれやれ……だ。……あー、こちらガミー。ディド、応答せよ」
彼は、博物館の敷地内で警護をしている今一人の部下に無線を向けた。
……………… 応答が無い。
「……こちらガミー、ディド、応答せよ」
ガミーは、即座に先刻の女性……チャオに連絡を入れる。
「チャオ、こちらガミー」
「こちらチャオ。どうしたんですか?」
「ディドと連絡が取れない。ゴルヘックスのアンテナが全部お釈迦にでもなった
かな………………?」
ガミーはしかし、険しい表情で言った。チャオは応答する。
「了解! 直ちにディドの元へ向います!!」
「気をつけろ。そっちに増援を向わせる。いざとなったら俺も中へ突入
するぞ!」
無線のチャンネルを切り替える。
「おい、出番だ!! 宜しく頼むぜ!!!」
しかし、ガミーの耳が直後に聞こえた筈の応答を捕らえる余裕は無かった。
ゴジュラスギガの右方にとてつもない衝撃が加わる。
「ぐわぁッ!!」
だがギガは、即座に体勢を立て直し、攻撃の方向を観た。
「………………ええい畜生……!! ええとこいつは見た事があるぞ、何て
いったか…………!!」
だが、博物館より現れた敵ゾイドは、構う事なく砲撃を行う。
ギガの巨体がよろめくも、頑丈な装甲のお陰で未だダメージらしきものは
負っていない。
「思い出したぜ、この青ベコ野郎!!」
それは背に二門の方を背負った猛牛姿のゾイド、カノンフォートだった。
時を同じくし、ニューヘリックに向う二体のブレードライガーがあった。
「まったく、あっちへ行けだこっちへ行けだ、手際の悪いこったぜ、なあ?」
熟練のレオマスターの問いかけに、男は答えた。
「ええ……」
彼は、先刻合流したばかりの合方に、思っていた事を率直に尋ねた。
「少佐……確か戦死したと伺ったんですが……」
抑揚のはっきりとした、意志の強そうな口調だった。
「ほう、じゃあお前さんの隣にいるこの俺は何だ? 幽霊か何かか?」
彼は続けた。
「脚だってついてるぜ。それに逝く時ゃお前に挨拶くらいしてくさ。それよりも、だ。
ゴジラの誘導を離れてまでして、大のレオマスターが二人も必要ってのは
どういうわけだ。博物館とやらには、一体何があるんだ?」
「太古の遺物ですよ。現代のゾイドには手に余るようなね。何でも研究用に
保管していたのだとか」
「取っておかれたゾイドの方もいい迷惑だな。で? 何かあるってんだ?
ガンギャラドか? デッドボーダーか?」
「その両方です」
彼は一瞬言葉を失った。
「……そうか、そりゃぁなあ」
「そこで話が終われば、まだいいんですが……」
「おいおい、まだいるってのか!?」
「それらはまだ大人しい方なんだそうです。むしろメインは新開発の
方だそうで、我々の役目はこれらを還付無きまでに殲滅する事です」
彼は続けた。本来ならスリープ状態に在るゾイドが勝手に起動する
事は無い。だが、先だってKGが発動させた電磁兵器は、対EMP装備が
成されていない一世代以上前のゾイドを覚醒させ、あるいは暴走させる
作用があるのだという。
「言ってみれば、オーガノイドシステムを対策のなされていない
全ゾイドに叩き込んだようなものです」
「オーガノイドか……」
バン達がパートナーとしていたオーガノイド。だがそれとは別に、
コアに直接内蔵する形の内蔵系オーガノイドシステムがある。これら
内蔵系は、コアの限界を察知し分離可能な独立系に対し、コアのコンディションや
限界とは関係無しにゾイドに作用する。この為、多くの場合オーガノイドはコアに
対し多大なストレスを与え寿命を極端に縮める働きをする。
「俺の知る限りじゃ、オーガノイドを使って上手くいったのはGTO(ゴジュラス・
ジ・オーガ)だけだが、そいつもゴジラにやられちまった……」
「いえ、彼は生きてます」
「何?」
「GTOのコアは致命傷を負いながらも、完全には死滅していないのだとか。
しかも、そのコアから得られたデータが現在KG攻略に応用されてるとも……」
「そりゃあ、おったまげだ。だが全部が全部、GTOみてえなゾイドじゃねえ」
「そう、ですから大事になる前に、我々が駆出されたんですよ」
二人のレオマスター、アーサー・ボーグマンとレイ・グレッグ。
二人は一路ニューヘリックシティを目指した。
340氏 オツです。
ガミーに、レオマスも登場!!
夜中の更新、乙であります340氏!
クレイジー・アーサー、イキテタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
正直鳥肌立ったぜ!
オルディ以外も暴走を始めた様だし、
ギャラド達まで出てきたらどうなってしまうんだ・・・
デッドボーダーってまさか初号機か!?(゚Д゚)ドゥイーン
すげー、新旧オンパレードだ…これでギルまで出てきたら阿鼻叫喚だな…
にしてもまさか治安局メンバーに加えアーサーとレイとは……!
ヴォルフはもう出てきたしアンナとKFDもそのうち来そうな予感。
>490
槍もちデッド…ガクガクブルブル
レオマスターが二人も…
そして
ガミーとっつあんキター!
チャオとディドもキター!
治安局大好きです。
340氏グッジョブ
キタ━(゚∀゚)━(∀゚ )━(゚ )━( )━( )━( ゚)━( ゚∀)━(゚∀゚)━ !!
相変わらず楽しませて頂いておりますよー!
もう各キャラがそのまま、違和感なく各声優さんの声でしゃべっているようにしか聞こえない・・・
御好評頂いたようで何よりです。バトストのキャラというのは
本文中の描写が少ない場合もあって、キャラとしてこれでいいのか
どうか正直迷ったんですが……
取り敢えずは、これからの方針としてバトストのキャラもバンバン
出そうかと思ってます、はい。そうすれば、将校だの兵士だのという
まだるっこしい描写もせずに住みますので。
公式ファンブックの名鑑には載ってるけど本編で活躍しないキャラ、
といった皆様にもこの際、御足労願いまして。
そうした場合、見た目のイメージでキャラ作ってしまうので、もしかしたら
一般に思われてるのとは違くなる場合もあるんですが、そうなったら
御容赦を (;´Д`)
出すとなれば、491さんも御指摘のアンナとか、あとリッツとか。
それらのキャラが互いの利害を超えて、あるいは意識しつつも
当面は色々考えながらも手を結ぶ、といった塩梅でしょうか。
無論、ジェネシスのキャラもフュ−ザ−ズのキャラも
メインの人は一通り出す予定です。
一応、共和国、帝国人手を総動員している上に近隣諸国からも
応援が多数駆け付けている、といった展開ですので。
そういった人々が手を結んでいる中、状況を利用して私利私欲に
走るキャラも何人か出したいものですね。
それと、キャラだけでなくゾイドの方も新発売のものから昔の
ものまで幅広く、というか無差別に出て来ます。
そういったわけで、今後ともおつき合い頂ければ、と。
あと、ゲームキューブ持ってないのでゾイドVSのキャラは
わからんです……orz
>>494 壮大な構想 キタ━━━━━(゚∀゚)━━━━━ !!!!!
ってマジですか、340氏。
でっけぇなあ。
キャラのイメージ付けについては、
どうしても面しか割れていない人はしょうがないですよ。
どうか無理せず頑張って下さい。
あーあとですね、
リッツ!リッツ!リッツ!リッツ!リッツ!
果たしてこの先、収拾がつくのかどうかが不安。
一応、遅筆ながらも最期までの流れは途中のイベントを含め、
一通り考えてありますので御安心を。今回のゾイド暴走を含め、
ヴォルフ、バックドラフト、レオマスター、治安部隊、GF、義勇軍、
総てがゴジラとKGの戦いに少なからず関わってくるシナリオなので。
少々予告をしますと、ゴジラ対セイスモ、KG対今度発売になるアレ
といった戦いを経て、やっとこさタイトル戦に入る運びです。
で、追加キャラはその中のドタバタに参加して頂く形になるかと。
未だにゾイド暴走で、ズルズルやっているのを考えると
道程は、遥かに長いな…。
…まあ、ガンガレ。
ガンガレ。・゚・(ノ∀`)・゚・。マジガンガレ
いまさらだけど偉大なネ申っぷりだな…340氏ガンガレ!
ヘリック歴史博物館、地下倉庫…………
否、そこは既に、倉庫として機能していなかった。要塞ばりの分厚い装甲も、内
側からの攻撃には存外と脆いものなのか…… 車が立て続けに衝突事故を起こしで
もしているかのような断続的な衝撃音をやや遠くに聞き、異国の士官は廊下を走っ
た。
確か、データ収集用の新型ライガーがあった筈。突入が出来ない以上、出て来た
所を叩く他はないが、手足の二、三本は頂かないと大人しくはならんだろうな……
まあ荒削りの試作品だが、並みのライガーよりパワーとスピードだけはある……
男は、逃げまどう学芸員をかき分け、倉庫へと向った。
歴史博物館とは、名ばかりの施設だった。終戦と平和の象徴として、かつての
『秘密基地』の真上に、その設備は設けられている。そして真下は半ばそのままの
運用である。大戦と昨年の第一次ゴジラ襲撃を終えた共和国は、手にした平和とは
裏腹に強大な武力に渇望した。何がこようが撃破出来得る武力を! それが軍上層
部が唱えた方針だ。結果、帝国との国交が結ばれたのを良い事に、国力弱体化を理
由に数多くの兵器技術者や技術将校が召還され、遠回しに新型武装ゾイドの研究が
行われる事となる。実の所、彼もその一人なのだ。その遠回しな研究開発を一同に
集め、形とするのが博物館地下研究所、通称、イミール研究所だった。もっとも、
その名で呼ぶのは限られた一部だけである。
分厚い防護壁を打撃する衝撃音は、次第に高くなってきている。この現在でさえ
何頭かの攻撃力を有したゾイドが地上で暴れているのだ。『こいつら』が今表に出
たら、治安局など歯が立つものか…… 髪を後ろに撫で付けた、目付きの鋭い若き
帝国士官は足を急がせた。歳の頃20代半ば程か、額から右目を縦に貫き走る、雷
型の金属紋が目を引く男だった。
やがて、彼は格納庫を見下ろす渡り廊下に差し掛かった。ゼロはここから二つば
かり隣の格納庫に収納されている筈だ。自分の記憶が正しければ、最新式の武装が
取り付けられたまま放置してある筈だ。
だが、その時だった。突如爆発音が響き、廊下がぐらりと揺れる。だがこれは経
験からして、砲撃の類ではない。しかも近い。
「これは…… ここまで手がまわったか!?」
見れば、渡り廊下の階下倉庫に火災が発生している。既に倉庫内は白い煙りが立
ち篭め、下の方まで伺い知る事はできない。
ほどなくすると、煙、いや火薬の匂いが鼻をついた。廊下の前方奥から、何人か
の技術者が走って来る。彼等は、一見して階下から逃れて来た者と知れた。
士官は彼等に告げた。
「おい! 方向が逆だぞ!! 出口は向うだ!!」
「中尉……すみません、おい、あっちだそうだ!!」
「それより何があった? 何か爆発したようだが」
士官は走りながら技術者に尋ねた。彼は答える。
「REXの電源を爆破したんです。あれまで暴走されたらこの国は破滅ですから」「REX!? いつここに運び込まれた!!?」
「つい先日ですが…… 御存じなかったので?」
知るものか。知っていたら俺はここへの移送を断固反対している。
技術者が言った。
「それより先生はどこに……」
彼等は、自分達が来た方角を見た。
「一緒じゃなかったのか? まさか煙りにまかれて……」
「おーい、ここだよ……」
そう言って、煙りにむせながら現れたのは、カバンを携えた、眼鏡をかけた若い
男だった。
「非道いなあ君たちゃ。僕だけおいて君等だけで逃げるんだもの」
都会では風変わりな出で立ちをしたその男は、きょとんとした表情で言った。
「あれ? 何だアイスマンじゃないの。悪いけどREXならたった今壊したよ」
「誰があんなもの。それより合方はどうしたんだ? いつも一緒だろう」
「戦力の期待には答えられないねェ。あいつなら今頃ゴジラと戦ってるよ。ちなみ
に僕は書類整理。紙に書いてあるデータも結構あってねェ」
彼はカバンを見せる。留め金の横から、幾枚もの書類の端が顔を覗かせたカバン
は膨らみ切って今にもはち切れんばかりだった。
なるほどな…… アイスマンと呼ばれた彼は、眼鏡の男に告げた。
「ロン、新型で奴等を掃討する。あれは直ぐにでも動かせるな?」
「あれ……って、ムラサメかい? そりゃ動かせない事はないけど…… 本気で言
ってるのか?」
「それじゃ何か? あんたはあの防護壁をガンガンやってるのをそのまま首都に野
放しにしろと? 今が仮に戦時中だったとしても、俺は御免だ!!」
「じゃあどうぞ御自由に。何にせよ僕は御免だよ」
「そうかい。……だが行き先は同じだ」
アイスマンは、煙に包まれた通路の先を指差した。
ガゴン。先刻から鳴り響いていた激しい金属音は、それを境にやんだ。
「どうやら出て来たようだ。とにかく急がないとな」
「お、おい!! リッツ!!」
ロンは、アイスマンを思わず本来の名で呼ぶ。
「…………こりゃ賛成だ!」
一同は、煙る廊下を走った。
同じ頃。
周囲は、妙に薄暗かった。ひび割れた大地以外には、枯れ木が点在するだけだ。
夕暮れ? いや、違う。それが証拠に、空に星も二つの月も無い。ただ、地平
だけが真っ赤に染まっている。遠くに何人か人がいるが、遠すぎるし、この明かり
じゃ顔も見えない。音は、無かった。風の音も、耳鳴りすらも聞こえない。ただ、
声だけは聞こえる。人は遠くにまばらに見えるだけなのに、声だけは耳もとで囁く
ようにはっきりと聞こえた。しかし、吐息の中で出鱈目に舌を動かしているようで
何を言っているのかは皆目検討がつかない。時折、その中にリーゼの耳は不吉な語
句を耳聡く拾う。
曰く要らない子、曰く厄介物、曰く気味が悪い、曰く怖い、
曰く、悪魔。
リーゼは、その直中を歩いていた。
曰くお前のせいで、曰く追い出せ、曰くやっつけろ、曰く殺せ。
何をされるか判らない。何を知るのか判らない。何を見てるか判らない。
お前は一体何なんだ。妖精さんか小悪魔か。否否違う大悪魔。
力を合わせてやっつけよう。松明持って鎌持って。
目指す悪魔はあの家だ。人間様の町中に。不埒に巣食うあの悪魔。
ヨイサヘイホーもうすぐだ。
神は心に中のみに。外にいるのは悪魔だけ。
もっと力をつけぬ内。わしらの心が病まぬ内。
ヨイサヘイホーすぐそこだ。青い頭の大悪魔。
赤い印の大悪魔。
ヨイサヘイホー目の前だ。悪魔が逃げたぞおっかけろ。
岩屋の奥までおっかけろ。
ヨイサヘイホー
ぶち殺せ。
そうか、そうやって楽しく歌いたいならいつまでも唄ってるがいいさ。
もうお前達の相手をしてるのも疲れたよ。どうせお前達はそうやって
遠巻きに唄ってるだけで、ボクには近寄れないんだ。
あれ? なんだろう、あれは。
リーゼは、気が付くとその男にすがっていた。その赤髪の男の胸元で
リーゼは幼い姿に戻っていた。
「そうか……可哀想にな……」
赤髪の男は、眉をひそめリーゼの青い髪を白い指でそっとすいた。
「お前は悪くなんかないんだよ。お前と、そして私以外の総てが悪いん
だ。だが、やっつけるだけじゃつまらない」
男は続けた。
「ほら、ご覧」
指差す。
「人間はね、なにか怖いものを見つけたら、それをやっつけないと気が
済まないんだ。何をされるか判らないからね。そして……」
指差す。
「何かされると、仕返しをしたいという気持ちが生まれるんだ。ほら」
いつしか二人は戦場にいた。
「みんなでゾイドに大砲を積んで仕返しをしてるだろう?」
報復は愛と友情の為に。
「これはいけない事かな?」
男は、リーゼの大きな目を見つめる。
「ぜんぜんいけない事じゃあ無いんだ。いけない事だったら、みんなで
そうするわけがないだろう?」
続ける。
「怖いものを滅ぼす事、仕返しをする事。うまくいったら気持ちがいい
よね。だったらほら、みんなの周りを怖いものでいっぱいにして、存分に
仕返しをさせてあげようじゃないか」
彼は、手で幼いリーゼの頭を包み込んだ。
本当に頭が下がります。
340さん乙ids
キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
連投お疲れ様です・・・
GJ!!
マッドサンダーは、出て無いんだな・・・。
>>508 まぁ待て、マターリ待とうじゃないか?先は長いぞ。
>507
・・・そうだね。
できればメガデスザウラーと、タッグ組んで出てきて欲しい・・・。
511 :
510:2005/06/14(火) 23:46:59 ID:???
>507×>509○
間違えt
アニメ準拠の世界観だからデス様は難しいのでは?
ムラサメやバイオT-REX(?)まで出てる以上あり得ない話じゃないけど。
とそれはともかくアイスマンまでキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
アンナはもう内定してるみたいだしこれでトミーまで来たら公式ファンブック主要人物ほぼ総登場?
むしろロイヤル仮面…
未登場キャラやら、ゾイドに対する、登場予想はやめようよ。
準備してるカモ知れない、隠し玉が登場すると仮定して、登場時の
おもしろさが半減しちゃうからさ。
リッツが煙る廊下を走りながら、隣を行くロンに言う。
「それにしても何よりだ。こういったタイミングで新型のテストをやってくれる
とはな」
彼は思う。このスケジュールを組んだ奴は、有事も想定済みだったに違い無い
と。それならば、尚の事有意義に使ってやらねばなるまい……
「ゼロを操縦するのは久々だが、問題は新装備の方だな……」
だがロンは言った。
「へ? ゼロ? ムラサメの事かい?」
「他に何があるっていうんだ?」
ちょうどそこで、一同は件のゾイドが格納されてる倉庫、そこへ繋がる階段の
ドアの前に来た。
「何を言ってるんだい。ムラサメライガーはゼロのアーマー換えなんかじゃない
よ。コアは同じ種類のライガーだけど、機体も装備も全くの新調さ」
ロンは続ける。
「まぁ君ほどの経験があるんだったら、応用次第で何とでもなるだろうけど……
結構癖のある機体だから、その点は意識しといた方がいいだろうね」
「癖ね。そういうゾイドは今までもあったが、どれほどのものかな」
リッツは、意図せず口許を笑わす。同時に彼は、廊下の突き当たりにあるドア
のテンキーにロックNoを慣れた手付きで入力する。
ロンが数名の技術者に言う。
「じゃあ僕はバンブリアンで行くから、君達も適当なゾイドなり車なりで各自
避難してくれ。今暴れてるのはどれも癖もの揃いだから、反撃なんて考えない
方がいいよ」
「よし、開いたぞ」
一同は、扉の奥にある階段を駈け降りた。
「ふうむ、装備をつけると一段とゴージャスになるな」
人気の無い広大な格納庫に声を響かせながら、リッツは言った。高い天井は
ゴジュラスのそれにも対応出来る様、設えられており、寝そべってなお二階建て
の建物ほどの頭頂高を有するムラサメライガーですら小屋の中の小動物に見える。
「ようし、じゃあ君らはとっとと逃げろ。あとは俺とこのセンセイが何とか
する」
「僕も早いとこオサラバしたいんだがねえ。まあそういう事で」
ムラサメライガーを見上げるリッツを横目に、ロンは苦笑しつつ技術者らに
告げた。彼等は二人に会釈すると、おい、あれだ! と格納庫の片隅のトラック
へ一目散に向った。
リッツは、ムラサメを見上げたまま、なあロン、と訪ねる。何だい? と返す
ロンに彼は言う。
「装備を着けると、また違って見えるな……」
「まあね。一番の特徴はその背中の刀、ムラサメブレードなんだけど、今の所
世界で一番ライガーに適した武装がこれだね」
なるほどな、とリッツは思う。ライガーは四つ足で大地を蹴り走るゾイドだ。
然るにその四つ足のエネルギーをそのまま転用出来る武器が一番相応しい。相手
に飛びかかり牙で相手を食いちぎる戦法は転倒の危険が伴うし、ましてや一旦停
止して砲撃をするなど何の為の四足高速走行型なのか。その点、ブレードを用い
た戦法は大地をつかむ四つ足の運動エネルギーはままにブレードの運動エネルギー
となり、最終的には停止も跳躍もすることなくシンプルな直線運動にて攻撃を
極める事ができる。しかも見た所、ムラサメブレードとやらはブレードライガー
等に観られるレーザーブレードのような高周波振動刃ではなく、ごく単純な一本
の剣になっているようだ。
「素材はMetal−Zi。第一次大戦時に開発された特殊金属で、金属細胞を
応用した構造は優れた形状記憶特性と再生力を持ち、条件次第じゃ物質を分子
結合単位で切断可能な代物だ。本体よりもコストがかかってるって話だよ」
「リーオとか、その類か?」
「類、ってよりは、まあリーオそのものだね」
ロンの解説は、そのまま古代金属リーオの説明にあてはまる。帝国を離れる
直前に乗った試作機も同コンセプトの武装を持っていたが、その機体はリーオ
の武装よりも機構的な斬新さを売り物にしていた。確か今、ゴジラの誘導に
あたり陣頭指揮をとっている筈だが、その役割では宝の持ち腐れというもの
だろう。
いずれにせよ、これはこれ以上望むべくもない程に心強い。
「ただ問題は、金属細胞を応用してるだけあって、コアのコンディションや搭乗者
の相性によって切れ味が違ってくるって事なんだけど……」
相性か……リッツはつぶやく。ゾイドのテストパイロットをやるにあたり様々な
面……実際の操縦から量産兵器としてのマスプロに至るまで……常についてまわる
難題だが、ゾイドの手懐けかたには一応の自信はある。
「なるほどな。じゃあ早速だが、こいつの使い方を教えてもらおうか?」
「君だったら僕が教えるほどじゃないよ。機体の構造はともかく、操縦系統だけな
らブレードライガーやイクスと似たようなものさ」
「なるほどな……それだけ解れば充分だ」
「そりゃぁ何よりだ。じゃあ僕はもう行っていいかい?」
「ああ、とりあえず礼を言っておこう。ついでに護衛が必要なら、安全圏まで送っ
ていくが?」
「いや、そこまでしてもらう必要も………………」
直後の事である。外へと通じる格納庫の巨大な扉を突き破り、二体のゾイドが
砂埃と火花を上げながら転げ込んで来た。
それは正に、一瞬の事だった。
何事だ? とロンは口をついて出そうになったのを堪えた。敵と味方が組み合っ
て乱入してきたのだ。自明の事である。
「…………治安局のゴルヘックスじゃないか……! 相手は!?」
無骨なゴルヘックスを見下ろしつつゆっくりと立ち上がったのは、変わってスリ
ムな出で立ちの黒と深紅の四つ足のゾイドだった。グルル……と低い唸りを上げ
そいつは目を赤く光らせた。
「ジーク・ドーベル…………」
サイズはゴルヘックスより一回り大きい、というよりは背が高い。武装は一通り
外されているものの、大戦中は俊敏さで知られたゾイドだ。ゴルヘックスとは特に
相性が悪い。否、武装が外されているという事は、それだけ身軽になったという
事でもある。格闘戦では治安局が擁する小型ゾイドに勝ち目は無い。
「ロン!! 走れ!!」
言われるがままに、ロンは少し離れた所に鎮座する愛機へと駆け出した。
一方のリッツは、ムラサメライガーの則頭部をよじ登りコクピットに達する。
そしてムラサメのキャノピーを開けたその時、彼は予想だにしなかったものを
目の当たりにした。
「……リッツさん…………!?」
「君は…… 何をやってんだこんな所で!!」
先客である。
「ええい、仕方がない…… 後部座席に移れ!!」
彼は、その小柄な少年を無理矢理後ろに映すと、自らが操縦席に収まった。
「リッツさん、聞いて下さい! ムラサメはオレじゃないと今はダメなんです!」
彼はルージ。ロンと共にここへやってきて、彼の手伝いをする傍らゾイドの簡単
な整備などをやっていた少年である。純朴な性格ではあるが、学術に対する情熱
だけはロンの折り紙付きだ。
だがその彼が何故?
「…………そうか、そういえば新型のライガーが妙になついている少年がいると
聞いたが、それがまさか君だったとはな……」
彼は続けた。
「だが今は戦闘時だ。ちょっとプロに任せてもらうぞ!」
「リッツさん……」
あどけない少年の悲し気な顔は心が痛むが、だからといって心変わり出来る様な
状況ではない。
そして、そうこうしている内に、事態はいま一歩深刻なものとなった。
破壊された格納庫の扉。そこからもう一頭のジーク・ドーベルが顔を覗かせた
のだ。
ロンが危ない。
「やつらを引き付ける…… ルージ、捕まってろ!!」
おっ!
>>514が、イイ事言った!
そうだゾ皆、要らぬ予想や、過度の期待は先生wの負担に成りかねません。
各々自粛する様に。ねっ!☆
熱き想いは胸に秘めて、気高き志を魂に刻め!
前からオモトったんだが、廃棄スレを拝借させてもらって、そこで340先生wへの
ファンの集い。としないか?今のこのスレでは、レスが流れるのを懸念して結構
皆、書き込み自粛してると思うんだが・・・。どーですか?お客さーん!
其処でファンレターのような、熱き想いをレスるのも良し、文章の落ちや、間違い
を指摘(煽りではなく)するのも良し、資料提供するも良し、340氏が御知らせ等
をするのにも使えると思うだけど、如何かいな?(希望要望チラシの裏ネタバラシ等は無しで)
長々とスマンかった、漏れだけの妄想かも試練ので、イラネっだったら華麗にスルーしてくれ。
って、アフォな事書いてたら・・・キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
ルージ君キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!! リッツさんは、良い匂いかい?ルージ君!!
ごちそうさまでした。大変美味しゅう御座いました。
>>519 んーむ、それはワタシとしては有り難い限りです……
スレも折り返しを過ぎた事ですし、ワタシもよく寝不足の中で
書いてますんで、こちらから文章のミスをお詫びする機会も
欲しいなあ、とか思ってた所なので。
あと、資料提供に関しましては、ゾイドそのものでしたら
ネットを漁ればなんとかなるんですが、キャラに関しては
ネットにも限界があるようでして。
実をいいますと、ルージがロンに対して敬語だったかタメ口だったか
ど忘れしてしまったのも展開に無関係ではなかったりorz
まあ、予想に関しましては、こちらも励みになったりバネになったりで
実のところ以前あったバン&レイヴンvsBLOXのくだりは、そういった
書き込みがなかったら、あれだけの工夫を入れられたかどうか。
そういった訳でして、可能ならこの案をワタシも推したいです、はい。
「駄目だ、起きない……」
バンは、コクピットの片隅で惚けているハインツを尻目に、リーゼを
揺さぶり続けた。
「落ち着け…… 無理に叩き起こさない方がいいかも知れん。それより
博士にもらったあれを試してみよう」
「そうだな……」
バンは、防護服のポケットからメモリーチップの入ったケースを取り
出した。
「スロットはどこかな……と、ああここか……」
バンは小さなチップをケースから取り出す。
「…………ここでいいんだよな?」
「共和国のゾイドはおまえの方が詳しいんじゃないのか? おれはその
手のゾイドはゴジラと初手合わせした時のやつしか乗った事が無いんだ
がな……」
彼は、つい先日ゴジュラスギガにてリーゼとともにゴジラに挑んだ時
の事を思い出した。このあいだの事ながら、あまりに目まぐるしく移る
事態の所為で、もはや年単位の昔にも思えた。
「やはり心当たりはない。すまんな」
「なんだよ、そりゃ。もういい、入れるぞ!」
バンは、言いながらチップをスロットに挿入した。
「…………!!」
しばらくすると、KGのモニターに何やらチェック項目が入りそれが
次々とクリアーされていく。
「よし! やったぞ!!」
しかし。
「な…………!?」
それは、二人をあざ笑うかの様だった。何通り目かの項目がOKに
なったと思いきや、直後エラーの表示と供に画面が止まってしまった
のである。
「おい、なんだよこりゃ!!」
バンは、反射的にコンソールを叩きそうになったが、以前フィーネに
たしなめられたのを思い出しこれを堪えた。彼は何か出来る事はないかと
考え、イジェクトボタンを目にした。
「…………おい、出てこないぞ!?」
その言葉通りだった。バンは何度もそれを押したが、チップは一向に
出て来る気配を見せない。
「畜生…… 進退極まったぜ…………!!」
「バン、」
レイヴンが言う。
「ここは俺にまかせろ。お前はコアに移動して、シャドーやジークが
本当にいるのかどうか、確認してきてくれないか……」
「そうか、それがあったんだった……!」
バンは、モニターとリーゼを交互に見、言う。
「まあ……こういった事は俺の方が得意ってわけか。よし、リーゼは
任せたぜ!」
「ああ、頼んだぞ」
だが、バンが彼に背を向けた直後、
「いや、待て…………」
「ん? 何だよ」
見れば、レイヴンは床に屈み、何やら小さなものを摘まみ上げている。
「リーゼの『虫』だ。上手い具合に二匹いたぞ」
彼は立ち上がると、内一匹をバンに差し出した。
「使えれば、それに越した事は無いが…… 試してみるか」
レイヴンはバンが受け取ったのを確認すると、自らも『虫』を軽く握った。
…………バン、俺の考えが伝わるか?…………
……ああ、バッチリだぜ!……
直後、バンは口で言う。
「リーゼが気絶してるから駄目なんじゃないかと思ったが、何とか行ける
もんだな」
「ああ、わからんが彼女が生きているのなら、それを介して念話も可能
なんだろう。リーゼには悪い気もするが、ここは一つ使わせてもらおう」
レイヴンがリーゼをみつつ言う。そしてバンは、
「じゃあ行ってくるぜ! 何かあったら連絡してくれ」
「わかった。だが何があるかわからん。お前も用心しろ」
バンは、ああ!と力強くうなずくと、彼に再度背を向けた。しかし
「おい……」
バンが、何だ? と振り向く。だが、レイヴンは言った。
「…………いや、いい。こっちの事だ…………」
「おいおい、大丈夫か!?」
「すまんな。じゃあ頼んだぞ」
やや怪訝を含めた表情で三たび背を向けるバンから目をそらし、彼は心の
中でつぶやく。
……………………シャドー……………………
誰に向うでもないその念は、『虫』を手にしてさえバンにも届く事はなかった。
彼は軽く頭を振ると、口を半開きにしてコクピットに身を預けるリーゼを見た。
「待ってろよ…… !!」
バンキタ━━━(゚∀゚≡(゚∀゚≡゚∀゚)≡゚∀゚)レイブンキタ━━━!!
340氏、GJ!!
先生お疲れ様です。今回も良い仕事してますねぇ☆
ハインツはほったらかし可yo!w
>バンは、反射的にコンソールを叩きそうになったが
バンからは、古き良き時代のニッポンジンの臭いがします。w
>>526氏ナイス!サポセンスレの力を借りようかと思ってた処でした。
さてさて、テンプレは如何致しましょう?
【ゴジラVSキングゴジュラスFC】著者 34 0
340先生当てのファンレターのあて先はこちらまで
先生はご多忙の中頑張ってます。
ファンの皆で、先生を助けてあげましょう!
資料提供や文章のチェック等など、貴方の出来る事、気付いた事を
お便り下さい。
因みにチョット(スパイス程度?)したアイデアも募集中。
もしかしたら、貴方のアイデアが劇中で登場するかも?!
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・だめぽorz
何方か、GJ!なテンプレを・・・。
とりあえず、登場人物をまとめてみないか?
特に無印以外からのキャラの設定とか。
>>527氏
直接は関係ないことなんだけど…
個人的には、340氏を先生と呼ぶのは反対かな、
当人に変なプレッシャーとファンの過度の馴れ合いを呼ぶ恐れがあるので。
実際は違うとしてもパッと見ね。
変にやっかまれて荒らされても詰まらんでしょう。
俺は適度な距離感を持って末永く340氏を応援したい。
>>529 いいこといった。
変に気構えずに今のままがいいよ。
>>529>>530 悪乗りしすぎました。正直反省してます。
340氏共々皆様、本当にごめんなさい。
>>531 ドンマイ
ところで雑談場所は526でOK?
いいんじゃネーノ。
|
(,,゚Д゚)[]o<ディガ!
リッツは言うなりムラサメを駆け出させた。その進路上にはジークドーベルが
格納庫の出入口で立ち塞がっている。凡そ五秒後、コクピットに衝撃が走った。
同時に格納庫から2体のジーク・ドーベルが弾き出される。ムラサメが側面から
2体にタックルを見舞ったのだ。ムラサメは着地すると同時に駆け出し、距離を
取る。数瞬後、ムラサメは自らをドリフトさせ、右前脚のパイルをアスファルトに
打ち込みターンすると倒れるジーク・ドーベルと相対する形で停止した。
砂煙りを一陣の風が吹き払う。そこは、広大な広場だった。元々他目的に
作られたこの空間は、研究所でレストアされた、或いは開発されたゾイドの駆動
テストや、催し物、臨時の駐車場に使われている。そして現在の使用目的は、
戦闘である。
「さて……お前等の相手をしてる暇は無いんでね、手短に方をつけさせて
もらうよ」
言うなりリッツは、立ち上がったばかりのジーク・ドーベル2体に向って
再度ムラサメをダッシュさせた。ジーク・ドーベルも瞬時に身構え、こちらへと
駆け出す。直後、ムラサメライガーの背にした『刀』が本体の左側面へと
展開した。しかし。
「!!」
狙いを定められたジーク・ドーベルの一体は、素早くライガーを飛び越えた。
かに、見えた。
ムラサメライガーの『刀』が、その背に納められる。と、同時に放物線を描いて
落下したジーク・ドーベルの頭部がズンとアスファルトにくぼみを作り転がる。
そして、頭を失った胴体は2歩、3歩と進むと、そのまま大地に倒れた。ジーク・
ドーベルの首の切り口は、竹を鉈で切り落とした様に斜になっている。
「……コアごと真っ二つにしてしまったかと思ったが…… なんとか上手くいった
ようだな」
いかに狂暴化しているとはいえ、博物館所蔵の貴重なゾイドを死なせるほど
アイスマンは頭に血が登る男ではなかった。野生のゾイドならともかく、
制御信号の発信源であるコクピット、すなわちこの場合で言う所の頭部を寸断して
しまえば大抵のゾイドは動きを止める。もっとも、歴戦のゾイドともなると、
この回路を自分で勝手に作り替え、コクピットを破壊された程度では停止しない
ものもあるというが、幸い今回はそのケースではなかったようだ。
「流石に首を切断ってのはあまり気分のいいもんじゃないが、こうでもしないと
軍用のゾイドは黙っちゃくれないからな」
「え…… リッツさん軍人じゃなかったんですか?」
後部座席のルージが問う。
「俺は試運転専門でね。ゾイドの殺生は主義じゃないんだ」
だが、直後の事である。
「ッ!!」
青い閃光が閃いたと思うや、目の前の今一機のジーク・ドーベルが突如大爆発を
起こし、四散したのだ。
「……何事だッッ!」
リッツは周囲を見回す。すると、遠く広場の片隅に見慣れぬ一機の黒いゾイドが
佇んでいた。
「もうこんな所まで来たか……」
「あいつは何なんですか?」
「さっきまでガンガン音がしてただろう…… それがあいつさ。しかも、どうやら
敵味方の区別も付かない程に凶暴になってるようだ……」
彼は続けた。
「ガン・ギャラドだ。名前くらいは知ってるだろう」
キタ*・゜゚・*:.。..。.:*・゜(゚∀゚)゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*!!!!!
そう言われたルージは、持ち前の視力でそのゾイドを凝視した。
以前に本で見た事があるが、目前の原物はまるでイメージが違う。
黒い体躯の至る所に観られる赤黒い汚れはオイルや錆汁の流れた後か。
かつて白銀に輝いていたであろう四肢の装甲は黒くまだらに錆び、紅玉の如く
透けていたであろう両翼は病巣の様に赤く濁る。胴や脚に引き摺る鎖とも
相俟って、それは正に地獄の底から這い出してきたとしかルージには
思えなかった。
リッツは言う。
「何十年も手入れどころか近付く者すらいなかった、って風情か。
だがコアの方は寝覚めが随分とよさそうだ」
「たしかこいつ、前大戦で拿捕されてからずっと封印されてたとかいう
奴ですよね」
「ああ、無人のまま暴れ続けて結構な被害を出したらしい」
直後、
「!」
ガン・ギャラドは突如濁った翼をはためかせ、ムラサメへ向い飛び立った。
と、見えたが、その実狙いはムラサメ本体では無い。ムラサメが先刻
沈黙させたジークドーベルが彼が目を付けた獲物だった。
首の無いジークドーベルにガン・ギャラドは襲い掛かる。着地と同時に
前脚でドーベルを押さえ付け、躊躇なく錆びてはいるが尚鋭い牙で
そのボディーを引き裂く。次の瞬間には、ドーベルのコアは本体から
引きずり出され、赤いレッゲルをまき散らしながらガン・ギャラドに
噛み砕かれた。
そこで、二人は我に帰った。
「化け物か……」
リッツが、自分達など眼中に無いとでもいうかのようにコアをむさぼる
ギャラドを前に呟く。
「どうやらお前には、お手柔らかな方法は通用しそうに無いようだな」
少々錆び付かせながらもなお鋭い牙で獲物を噛み砕く黒い竜に
ムラサメは刃を下ろす。だが、
「お、おい! 何だ!!」
それは突如の事だった。
「どうしたんですか!?」
「ムラサメの調子がおかしい…… こんな時に機嫌でも損なったてのか!?」
不自然に制動をかけたムラサメに、眼前の敵が気付く。ギャラドは、グルル、と
喉を鳴らし眼を赤く光らせた。そして、一歩、また一歩と様子を伺うように
ゆっくりと歩を進める。
咄嗟にルージが言った。
「リッツさん! おれに代わってください!!」
「何!?」
「いいから早く!!」
当然の権利の様に言うルージに戸惑いながらも、アイスマンはそれを
わかった……と許諾した。彼は後部座席のルージの手を持ち、前へと
引きずり出した。一方で自らはキャノピーとコンソールの狭い隙間を後部へと
くぐり抜ける。よっこらせ、と彼は体を器用に反転させ、後部座席につくと、
すでに座席に収まり計器の確認をしているルージを見た。
……そういえば、こいつはムラサメの整備をやってたな…… つまりは
世話係ってとこか……
「ルージ、」
「はい?」
「そいつに言っておいてくれ。俺の事もあまり嫌わないでくて、ってな」
キタァァァ(゚∀゚)ァ( ゚∀)ァ( ゚)ァ( )ァ(` )ハァ(Д`)ハァ(;´Д`)ハァハァ
でもドーベル犬カワイソス(´・ω・`)
542 :
名無し獣@リアルに歩行:2005/08/19(金) 21:00:22 ID:r5KPEFIu
はたしてバイオメガラプトルの登場はあるのか
340氏は神です!凄すぎます!!これからも期待してます!!!
「あと五、六分ってとこか…… 間に合ってくれよ……!」
老練のレオマスターが独りごちた。荒野の道無き道をひた走り、先刻に
ようやく平らな場所に彼等は辿り着いていた。次第に左右に建物がその
数を増し、高さを増し、密度を増す。だが避難勧告が出されている所為で、
今や人影も滅多に無い。
たまに見かけるのは家の主か泥棒か。
道が目的地まで一直線ならば、ブースターでも何でも使って無理にでも
間に合わせるのだが、目抜き通りに至までには先にレオマスターが呟いた
だけの時間がかかる。逆に言ってしまえば、そこにさえ入れば後は物の数では
無いだけに、今の道のりが何とも恨めしい。
「なあレイよ、非常時って事で他所のお宅を素通りさせて貰うってのは駄目か?」
呼ばれた若きレオマスターは、半ば呆れつつも苦笑して返す。
「我々が建物を蹂躙するためにここへ呼ばれたとでも?」
「そりゃあ奴さんらの仕事ってか。まったく、正義の味方ってのは何かと七面倒
だねえ」
「少佐!」
たしなめるようにレイが言う。彼は続けた。
「まったく、クレージーの名に恥じないお方だ。戦闘に入っても被害は最小限に
留めて下さいよ」
「判ってるって。冗談だよ、冗談」
アーサーは笑う。
2機のブレードライガーは減速とカーブを繰り返し、幾つもの交差点を器用に
クリアーしていく。雑居ビルの屋上と競う背丈を持つライガーなだけに、減速
されたその動きは実に緩慢に見えるが、それでも乗用車で走れば片輪が浮いて
しまう程の速度でコーナーを制しているのだ。
「これがゼロだったら、もうすこし違ってたかな……」
レイが呟く。途端にコクピットが揺れる。
「おっと、悪かった…… お前もいい機体だよ」
彼が優しく語りかけると、揺れも収まる。
ブレードも悪く無い機体なのだが、ゼロと比べるとどうしても荒削りな
面が目立つ。東の大陸で言う所の「弘法、筆を選ばず」という諺を引き合いに
出せば、無論レイの腕で扱えない機体ではない。だがどちらが余裕をもって
手綱を握れるかと問われればゼロと言う他は無かった。
しかし、ゼロもブレードも戦で数が減れば扱いの容易いオートマチックな
機体は格下へ、扱いに熟練を要する機体は熟練を身に付けた者へと流れるのは
相応であるし組織としても仕方の無い事だった。
ゼロの扱い易さは実感できていても、体がそれに頼り切ったものになる前に
ブレードに乗換える事ができた…… そう考えれば納得はいくのだが。
ライガーゼロは、我が国のライガー乗りを骨抜きにする事を目的に作られた
戦略兵器だ………… 一部のライガー乗りの間で囁かれたジョークをレイは
思い出していた。
その時である。
「ゼロ……?」
目前の交差点から、一機のライガーゼロが彼等に合流した。
「前方のライガーゼロ、聞こえるか。こちらは閃光師団のレイ・グレッグだ」
彼は告げた。件のゼロは恐らくレプリカ……戦後製造された廉価製品だろう。
とはいえ、省略されたパーツを手間暇をかけ後付けさえしてやればオリジナル
と比べ何ら遜色無い性能を引き出す事も可能と聞く。いずれにせよ、閃光師団
の者が来るという情報は無い。
ゼロのパイロットが答える。
「こちらマッハストームのRD。あんたらと目的地は一緒みたいだな」
モニターに顔が映し出される。レイが問う。
「随分と若い様だが…… キャリアはあるのか?」
「ああ、もう2年になるかな。運び屋がメインだけど、バトルもやるぜ」
「見かけにはよらないようだな。だがこれは軍事行動だ。競技とは違う」
「ナオミやジャックは? あいつらもウォリアーだぜ」
「彼等の経歴は俺も知ってるが、君は名前すら初めて聞く。ゾイドは結構な
ものに乗ってるようだが、それだけで作戦に参加させるわけにはいかないな」
「じゃあ試してみるか?」
RDのライガーゼロは、横跳びに身をひるがえし、ドリフトしてブレーキをかける。
だが、
「断る!!」
レイのブレードライガーは、それとは逆に加速し背のブースターを吹かして
ライガーゼロを飛び越えた。アーサーのブレードもそれに続く。
頭上を次々と飛び越えるブレードライガーを、RDは呆然と見上げる。
「一刻を荒そうものでね。君と遊んでる時間は無いんだ」
2頭のライガーは、RDのゼロを残し走り去って行った。
キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
お疲れ様です!!
キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
やっぱり340氏は
神━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
へっ、弾切れかい、大将」
ガミーは言い、にやりと笑む。だが濠濠たる煙りの中から姿を表したゴジュラス
ギガはしかし、満身創痍だった。全身至る所に砲弾の命中した痕が白く焦げている。
その赤く光る眼は、眼前のカノンフォートを睨む。だがカノンフォートも口から
鼻から白い上記を吹き出し、前脚でアスファルトをえぐる。
「どうしたィ、鉄砲がなきゃ俺と喧嘩はできねえか」
次の瞬間、まるでその声が聞こえたかのようにカノンフォートはギガに突進する。
ギガの巨体がそれを受ける。同時に全ゾイド中屈指の接地性を誇るギガの足元が
衝撃でアスファルトを粉砕し、噴水の如く周囲に散らす。
「かかりやがったな」
直後、ギガはカノンフォートの背をその巨大な口で挟み、宙高くへと持ち上げた。
そのまま右へ振り、左へ振り、そして博物館の外壁へと叩き付ける。
「いけねぇ、やっちまった! ええい、しかたねえ、非常時だ!!」
ガミーは言い捨てるとギガに地響きを立たせカノンフォートに歩み寄った。
「ちょっと痛ェぞ!」
そして、ギガの巨大な足でカノンフォートを一踏みに沈める。フォートの
全身に電撃が走り、コアは機能を麻痺させた。
この勝負は、手数の差から言えばギガの圧勝だった。十数発の砲弾をギガに
浴びせたカノンフォート、ひるがえってギガの直接攻撃は、噛み付きを別と
すればただの一踏みである。だが、これこそはガミーその人の信念による
ものだった。治安局チーフと云う立場から、彼は鎮圧にあたり2次災害を起こす
わけにはいかない。ゆえに鉄壁の防御力を持ち、流れ弾の生ずる恐れのある
重火器の一切を所持しないギガを選んだのだ。格闘専用というギガの設計思想は
まさに彼の求める物だったのだ。
「さて、と。こいつは自分じゃ起きれんだろうが…… おい、誰かいないのか!?」
彼は部下に通信を入れる。直後、博物館の外壁を今度は内側から破り、一体の
ゾイドが飛び出た。
否、飛び出たのではない。弾き出されたのだ。
「チャオか!?」
「……チーフ……!!」
「どうしたんだ!?」
「話は後です!! それよりこいつを何とかしないと……!!」
建物の配線が散らす火花に照らされ、漆黒の館内から姿を表したのは、それでも
なお黒い体色の、背に砲を負ったゾイドだった。両目と腹部、そして全身の
マーキングが無気味な燐光を放っている。
「何だ、こいつは…………!?」
彼は、ここに収納されていそうなゾイドを片端から思い出す。
「まさか……」
「デッド・ボーダーですよ、チーフ……」
チャオはアロザウラーを起き上がらせる。
デッド・ボーダー。共和国に代々身を置く物にとって、それは半ばオカルトの
粋に入った名だった。現在、何体かのレプリカが現存しているが、目前のそれが
放つ燐光こそ、それらにはないオリジナルとしての証しだ。
「こいつがここに納められてるとは聞いてたが、まさか本当だったとは……」
ガミーがにわかに信じられないもの無理はなかった。前大戦にてこの機体が
最初に記された記録は、それほどまでにおよそ軍の公式記録とも思えぬ荒唐無稽な
聞こえよく云えば超常現象じみたものだったのである。
キタ─wwヘ√レvv〜☆゚+。:.゚ヽ(*´∀`)ノ゚.:。+゚ ─wwヘ√レvv〜─ !!
デッドボーダーキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
ガミーテラカコヨス!!!
554 :
名無し獣@リアルに歩行:2005/09/18(日) 14:19:55 ID:UpQSeJxu
バンかこよす
555 :
名無し獣@リアルに歩行:2005/09/18(日) 17:46:54 ID:yb306uf0
まちがいない
あ
557 :
名無し獣@リアルに歩行:2005/10/06(木) 19:07:18 ID:eDxO/n+/
保守
558 :
名無し獣@リアルに歩行:2005/10/09(日) 17:12:01 ID:a2LitkoH
保守
559 :
340:2005/10/11(火) 23:15:02 ID:???
340です。現在、プロキシ規制の為書き込む事ができないので
レス代行屋さんにお願いしてこの文を書き込みしてもらってます。
とりあえず、近い内に友人に頼んで本文を掲載してもらう予定ですが
ここのスレに「俺が代理をしてやるぜー!」というかたがいましたら
これまた近い内に捨てメアドを取得する予定ですので、そちらを
通じてお願いしようかと。
規制解除がいつになるかわかりませんが、善処はしますので
一つ宜しくお願いします……
早く続きをおねg…
かゆ…
うま...
テスト……
モデムかルーターの再起動で規制解除されるケースがあると聞いて
試してみたら、一発で解除されやがりましたよ……orz
お騒がせしましたです。
話は、十数分前に遡る。
ビットの駆るライガーゼロと、フィーネの乗るフェニックスがユニゾンした
ゼロフェニックス。それは、機体を一時的に活性化させる「オーバーブースト」
により約120秒間のパワーアップを果たした。狙いは対するオルディオスの
角ただ一点のみ。そこを強打すればオルディオスは核震盪を起こし気絶するの
だという。ビットは汗ばんだ手で操縦桿を握った!!
「ビット!!」
「わかってるって……! ちきしょう、中々思い通りにゃいかねえもんだな」
フィーネの呼び掛けに、彼は答える。
「こっちにゃ、1から10まで完璧な作戦があるってのに!!」
「本当!?」
「ウソなんて言ってる余裕はねえよ! とにかく、オルディオスの角を
ぶったたいて気絶さえさせちまえばいいんだ。それにはまず、あいつに
近付いてォワッッッ!!」
ゼロフェニックスと、オルディオスがニアミスした。二機がすれ違うその
瞬間、ビットはオルディオスの視線無き眼に視線を感じた。
「あの野郎…… 余裕かましてやがんな……!!」
「何一人でブツブツ言ってるの!?」
「こっちの事!! よーし、それじゃあフィーネ、いつでも分離できる様に
準備しといてくれ。時間もねえし、とりあえず作戦開始だ!」
|`´\
|Vw /
|゚∀゚ル <続きが始まったのかい?ルージキュン
|⊂
|
>122
ほしゅ
567 :
名無し獣@リアルに歩行:2005/11/02(水) 15:23:41 ID:HK48aXFs
前から気になってたんですが、このゴジラってどの映画のゴジラですか?
あとこのストーリーに出てくるゴジラとキングゴジュラスのそれぞれのサイズを教えて下さい。
初代とかだったら放射能火炎がショボイよな。
せめてVSシリーズ以降だろう?
週末には何とかまた書き始められそうな感じですので
もう少々お待ち下さい……
>>567 基本的には、どのゴジラを想定しても問題ないような描写には
してるつもりではあるのですが、個人的にはGMKゴジラを
思い描きながら書いてます。ゴジラの目に瞳が無いという描写で
進めてはいますが、他のゴジラに脳内変換しても全く問題は
ありませんので、どうぞお好みのゴジラを当てはめてくださいまし。
キングゴジュラス(本編ではKGと表記)のサイズは、アニメ無印での
デスザウラー程のサイズで、だいたい身長60m〜70mくらい。
これは、実際の商品(デスザウラー)の三倍強のスケールに
相当するのでお手元のゾイドでイメージする時の参考にどうぞ。
具体的には、KGを成人男性の身長とすると、ライガーシリーズは
ちょい小さめの猫くらいのサイズになります。
GMKゴジラの身長は60mですが、本編でのゴジラはKGと同スケールか
姿勢によっては一回り大きいという想定です。
とりあえず、ゴジラとゾイドがからむシーンでは、サイズに関して
細かく描写しますので御安心を。
まあ、そんなところです。
キンゴジュはこの話ではアニデスサイズに設定してあったのか
571 :
567:2005/11/04(金) 10:47:36 ID:58kJPK07
>340さん
お答え下すって感謝っす。これからも頑張って下さい。
保守
ゼロフェニックスは、太陽目指し上昇した。オルディオスの光学センサーが
一瞬目を眩ます。だが、彼は即座にレーダーを始めとする幾つかのセンサーを
同時に働かせ、数秒を待たずして光の中の敵を捉えた。だが、そこから幾つかの
熱源がオルディオスに迫る。この反応はミサイルか。
小賢しい。
鋼の天馬は、両翼の電磁砲、グレートバスターにてそれを瞬時に迎撃する。
だが、直後に敵の熱源。すれ違い様に徒手にて攻撃をするつもりか。
串刺しにしてくれる
オルディオスは思い、角を振り立てた。しかし。
「!?」
突如、敵が二つに別れた。否、今この瞬間に二つに別れたのではない。
太陽に向った時点で、既に分離していたのだ。
その一方が、降下速度を倍加させた。何をする気だ!? 己の半身を
犠牲に刺し違えるつもりか!?
この迫り来る敵をグレートバスターで粉砕しても、破片で自らもダメージを
受ける可能性が高い。ならば。
オルディオスは、その黄金の一角にエネルギーを込めた。たてがみから、
燃えるプラズマとなって余剰エネルギーが放出される。
だが。
「!!」
その一撃は、何の手応えも無く空を切った。
しまった…… !! そうオルディオスが思ったのは、遥か眼下にて
「フェニックス」が分離した片翼と本体をつなぎ合わせたその時だった。
そう、頭上から前脚を振りかざして落下してくる、ライガーゼロの素体に
気付いた時には、既に何もかもが手後れだったのだ。
オルディオスの意識は、そこで一旦途切れた。
ライガーゼロの素体が、右前脚を落下の速度と共に振り下ろす。
「グラビディー・ストライク・レーザー・クロー!!!!」
ビットは、そう叫びながら無心にてゼロの爪を振り下ろさせた。
後の事は全く考えていなかった。衝撃、反動、カウンターダメージ、
そして着地の方法。
オルディオスの角に強烈な一撃を喰らわしたゼロは、その反動で
風車の様に自らを弾きとばし、回転を維持しつつ数千mの上空から落下した。
「いかん!! あれでは再度ユニゾンしたところで間に合わん……!!」
ホバーカーゴにて、ディが叫ぶ。
「やるだけはやってみます!!」
フィーネが操縦桿を引く。フェニックスは、冷めかけた身体をひるがえし
上空へと向った。
「ビット、聞こえる? ユニゾンと同時にオーバーブーストをすれば、
もしかしたらオルディオスも助けられるかも知れないわ!!」
「……なるほどな………… よし…… やってみるか!!」
フェニックスが、落下するゼロを追いこし上昇した。そして、急降下。
「相対速度ゼロ! Zi・ユニゾンッッッ!!」
一瞬にしてパーツ展開したフェニックスが、ゼロと一体化する。と、
同時にビットは体勢を立てなおす。
「よしッ!!」
だが、見れば目前を同じ速度でオルディオスが落下していた。
「ゼロフェニックス、もう一度頑張ってくれよ……!!」
ゼロフェニックスが、オルディオスを抱きかかえる。そしてオーバー
ブースト。活性化したマグネッサーが、大気を下僕とし揚力をつかむ。
「落下速度が弱まっておる!! だが、あれでは……!!」
「彼等だけではな」
唐突に、何者かが通信に割り込む。
「御主らは……!」
「失敬、ステルスモードを解除し忘れていた。ともあれ、これより彼を
救援する!!」
「ゼロフェニックス!! もうちょっとだ! もうちょっと力を出して
くれッッ!!」
ビットは、オルディオスとともに落下しつつゼロフェニックスのスロットルを
限界まで絞る。
「少年、手助けは必要か?」
「……だれだ? ええい誰でもいい! とにかく頼む!!」
「心得た!!」
その瞬間、ゼロフェニックスとオルディオスをワイヤーが絡めとる。
「天定まって亦能く人に勝つ…………」
ストームソーダのブースターが唸りを上げる。
「我ら災厄の行手を阻む翼の男爵、アーラ・バローネ!!」
翼の男爵キタコレ
キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
ここで翼の男爵キタ━━━━(゚∀゚)━━━━ !!!!!
今一機のストームソーダも同様に唸りを上げる。
「君も随分と無茶をするな……」
女性の声……ヴィオーラがビットに告げた。
ゼロフェニックス、そして二機のストームソーダのマグネッサーが
電磁の輝きを放つ。だが、その輝きをもってしても、オルディオス140t、
ゼロフェニックス140t、その合計実に280tからなる運動エネルギーを
完全に相殺するには、いささか力が及ばなかった。
これが、単にオルディオスを持ち上げるだけならばゼロフェニックスだけ
でも可能だろう。だが、落下による加速がつけば話は全く違ってくる。
地面が、時速にして100数十キロの速度でビット達にせまる。
「……衝撃に備えた方がいいな……!!」
だが。
「!」
ワイヤーに絡め取られた胴から伸びる、オルディオスの双翼が眩く輝いた。
「……まったく、お前も無茶をするな」
ヴィオーラと似たような言葉をモニター越しにビットにかけたのは、
「レオン!」
「さっきの一撃で、こいつもやっと落ち着いたらしい。ようやく俺に手綱を
握らせてくれたよ。ビット、マグネッサーを同調させるぞ!」
「よし!!」
マグネッサーの電磁効果は、2セット以上のマグネッサーを用いる事により
同調し共鳴、増幅される。これを応用したのがトラス構造を持たないフェニックス
などのマグネッサー、いわゆるフェザーマグネッサーであるが、理論上二体の
飛行ゾイド間でも同様の現象を引き起こす事は可能とされる。だが、これは
パイロット自身によるゾイドとの同調や、マグネッサーの発光の目視による出力
調整など条件があまりにシビアな為、決して実戦向きな技術としては扱われて
いない。ましてやそれをぶつけ本番で行うとなると、いかなる技量が必要な事か。
しかし、二人はそれを解っていた。いかなる技量を要するか。すなわち自分位
の技量である。
二対の翼が眩しく輝き、ソリトンと化した電磁エネルギーがプラズマを造る!
それは、まるで四枚の翼を持つ天使が、大地に降り立つかのような光景だった。
プラズマによって焼き切られたワイヤーがするりとほどけ、二頭の輝く翼を
持つ獣は、その四肢にて大地を踏んだ。その上空には、祝福するかのように、
二機のストームソーダが旋回していた。
ストームソーダのパイロット、アーラバローネがホバーカーゴの船内にて
告げたのは、吉報ではなかった。だが、ハーマンの反応は
「またか……」
といった慣れたものだった。
「……いや、無論重大な事態である事は充分に把握している。まったく、首都に
猛者を二人も派遣した事もこれで無駄にならなかったというわけだ」
そこへ入室する者があった。アーバインだ。
「……今度は何の騒ぎだ?」
呑気に見回す彼を、ハーマンが不機嫌そうな表情で睨む。何らかの不測の事態が
起こるであろう事が容易に予測できる現状においては、むしろこの軍の規律に
無神経な男の態度の方が悩ましい事態である。
「第三国の軍事介入だ」
「おいおい…… そりゃ大事じゃねえのか? いいのか? そんな呑気にかまえて
いて!?」
呑気なのはお前だろうが…… 頭でそう思いつつ、ハーマンは告げる。
「場慣れた冷静さと言って欲しいものだな。……そうだ、お前も退屈だろうから、
少し手伝ってもらうぞ」
「そりゃいいが、いったいどこのどいつが何をやらかしたんだ?」
「ディガルド公国だ。今は軍国主義を掲げて武国とか名乗っているがな」
「ディガルド? 聞かねえ国だな……」
「先代ツェッペリン一世の裁可を受け旧大戦直後に公国として建国された小国だ。
史跡をささやかな観光名所にしていたのどかな国だったが、このあいだの大戦
直後に旧時代のテクノロジーを発掘してな、例によって軍の上層がそれで裏取引
をしてたんだそうだ」
「またか……」
先程のハーマンと同じ反応を、便利なスコープを付けた若き戦士はした。
「まただ。またなんだよ。ええと何だ、KGに海兵隊に…… あとリーゼの
身柄を作戦が終わったらよこせとか何とかほざいてたな…………」
「ゴジラも怒って出て来る訳だ、ってか」
「ああ、まったくだ……」
「で? そのディガ何とかが混乱に乗じて攻めてくると?」
「いや…… ディガルドの遺跡で発掘されたテクノロジーは自国で解析できな
かった為、我が国のゾイテック社に解析とそれを応用した製品の開発を依頼
してきたんだ。それならウチの施設を使うといい、と軍がそれに協力を申し出て
来た。それも、ゾイテックと軍の間だけでだ。もちろん戦後の疲弊した経済の中、
そんな事は公にはできないから極秘にな」
ロッソが続ける。
「だが、ディガルドは共和国軍がそれに飛びつく事もどうやら計算済みだった
らしい。ゾイテックの社員の中に間諜が紛れていたと見え、ほとんどの情報が
筒抜けだったようだ」
アーバインは、幾度かうなずくとおもむろに尋ねた。
「それで、その新兵器とやらはどんな代物なんだ?」
「これがまた厄介な代物でな…………」
バイオくる!?
585 :
名無し獣@リアルに歩行:2005/12/07(水) 20:06:47 ID:E9lF/otV
バイオ来るなら四天王揃い踏みで
このスレと来たら、しばらく見逃していたら………
キタ━━━ヽ(∀゜ )人(゜∀゜)人( ゜∀)人(∀゜ )人(゜∀゜)人( ゜∀)ノ━━━ !!!
まだかなまだかな?
588 :
名無し獣@リアルに歩行:2006/01/03(火) 08:47:21 ID:b7rDF0B5
あげ
なんだあげか ´・ω・`
俺も期待しちゃった ´・ω・`
早く続き読みたい。´・ω・`
もう一度あげ
こんなスレがあったとは……。途中から読んで、ビット+フィーネに軽くびびったけど…
あしたゆっくり読み直そう
上げすぎだ。
もう少しお待ちください……
次の話はガミー&ゴジュラスギガvs発売記念デッドボーダー(初号機?)
ですので……
あとバイオゾイド四天王vsレオマスター二人とか……
明日中には何とかお目にかけられるかと。
とりあえずsageでやっときますね……
>ギガvs発売記念デッドボーダー
超期待
間違えて上げちまって超ごめんなさい吊ってきます
マイバトスレでもデッドボーダー出てたがゾイドらしからぬ戦闘描写が超絶カッコヨスだった。
現人神たる340先生がいったいどんなデッドボーダーを見せてくれるのか期待大。
同時刻、共和国首都歴史博物館外周…………
ガミーとチャオの目前に現れたのは、闇の様な漆黒のボディーを持ったゾイド
だった。
デッドボーダー。共和国に身を置く者にとって、それは一種オカルティックな
機体だった。曰く、空間に穴をあけワープする。曰く、ウルトラザウルスを背負
い投げる。曰く、怪光線を放ちゾイドを朽ちさせる。
その後幾度となく共和国軍とデッドボーダーは交戦の機会を得た物の、何故か
こういった報告が成されたのは初戦をおいて他にはなかった。
この報告は、戦時中より伝わる怪事件の中でもとりわけ共和国において知名度
が高く、戦記ライターとして著名なロイ・ジー・トーマス他何人かの著者により
詳細な研究書が著わされている。そして、かくいうガミー当人もそれらの書籍に
目を通した事があり、チャオも彼からその話を以前に聞いている。それだけに、
現在目の当たりにしている漆黒のゾイドに対して二人がいだいた会場は、明らか
に他のゾイドと接するものとは違っていた。
「なあ、お前さんがやらかしたっていう怪現象は、ありゃあ本当なのかい……」
博物館の外壁を崩し仁王立ちするデッドボーダーに、ガミーが問う。
「俺はヨタ話を信じるクチじゃねえが、お前さんの事ぁ色々本で読ませてもらっ
たぜ。何でも秘密はその背中に背負った獲物らしいじゃねえか」
直後、一気にギガは加速した。アスファルトがその巨足に蹴散らされる。
一瞬、デッドボーダーの背にある砲の砲口が空間を歪ませる。
だが
「遅いぜッ!!」
ギガは巨体をもってデッドボーダーにタックルを喰らわせた。
……筈であった。
「何!?」
ガミーが周囲を見回そうと横に視線をずらしたその瞬間だった。
「!!!」
コクピットを凄まじい衝撃が襲い、その主たるギガはうつ伏せの状態で大地に
叩き付けられた。
チャオに、その短時間で起こったやり取りに介入する術は全く無かった。
「あの機動力……」
彼女は研修で見た、似た様な軍用ゾイドの映像を思い出した。ジェノザウラー
ジェノブレイカー、バーサークフューラー…… だがその何れとも動きが違う。
少なくとも推進機関無しのジャンプで、あれだけの跳躍を見せるゾイドは今まで
見た事が無い。そこで彼女は我に帰った。
「……チーフ!!」
ゴジュラスギガの上半身に覆い被りアスファルトに押さえ付ける漆黒のゾイド
にチャオのアロザウラーが突進する。
「この!!」
アロザウラーの背にした砲が、黒いゾイドの横面を捕らえる。ギガに跨がった
黒いゾイドは頭を仰け反らせ、奇声を発した。
直後、アロザウラーは両脚を前に揃え、カンガルーキックをデッドボーダーに
見舞った。
「ええい…… 何が起こりやがった!?」
ガミーは周囲を見回す。彼にしてみれば、ギガを舞台に大乱闘が行われた様な
物である。だが、冷静な判断力と図太い神経を合わせ持つ我らがチーフが周囲の
状況を理解するには、僅かに数秒あれば充分だった。
アロザウラーに蹴られ横転しつつ吹き飛んだデッドボーダーだが、こちらも又
瞬時に体制を立て直した。頭を腰より更に下げ、すくい上げるような視線にて、
着地したアロザウラーを睨む。
チャオは再度引き金を引いた。だが、彼女の判断は一瞬遅かった。横跳びに弾
をかわしたデッドボーダーは着地と同時にアロザウラーに襲い掛かる。チャオに
可能な事といえば、反射で衝撃に備える事くらいだだった。
デッドボーダーはアロザウラーの首筋に噛み付くと同時に、敵もろとも転がり
幾度かの回転の後アロザウラーよりマウントポジションを奪う事に成功した。
黒い機械獣は、大口を明けアロザウラーのコクピットに狙いを定める。
だが、次の瞬間デッドボーダーの横面に、またしても何かが命中した。
「おい黒助!! お前さんの相手はこっちだぜ!!」
ゴジュラスギガは、手にした瓦礫を黒助に投げ付けた。二投目も、デッドボー
ダーの顔面を正確に捕らえる。
「仕切り直しといこうか、黒助……」
ギガは一歩を踏み出した。
さすが初号機デッドだ!燃えるぜ!
キタキタキタヨー
皇帝専用デスザウラーを吹き飛ばしたあのパワーが来る…のかっ!?
低く構えたデッドかっけええええ
デッド前傾姿勢は夢だよな
槍も期待していいんですか?
「チャオ、損害報告できるか……?」
ガミーの呼び掛けの直後、チャオは黒いゾイドがアロザウラーから離れるのを
確認した。
「はい…… 今の転倒で背中のビーム砲をやられましたが、格闘戦なら何とか……」
「そうか…… 奴の背中にあるあの砲……あれが多分奴の動きの秘密なんだが、
飛び道具が使えねぇとなるとな……」
「すみません……」
「いや、謝るこたぁねえ。俺が野郎を押さえ付けてる間に、お前に野郎の背後から
あそこを射撃すれば……まあ他の手よりは幾分すんなり行くと思ったんだが……」
「………………」
チャオは、アロザウラーを起き上がらせた。と、その時彼女の視界に、一機の
ゾイドが入った。
「あれは……」
先刻ガミーが懲らしたカノンフォートである。彼女は思った。殲滅ではなく、
飽くまで検挙を身上とするガミーが倒した機体なら、息の根までは止められていな
い筈……
「チーフ、あの青いゾイド、まだ生きてますよね?」
「ああ、くたばらせちゃ悪いからな。手心は加えたつもりだが…… おい待て!」
ガミーは続けた。
「多少の無茶は大目に見てやるが、そいつは二人乗りだ! 自律操縦ならともかく
一人じゃ背中のカノンは撃てねえぞ!!」
「そうなんですか!?」
チャオは、思わず素頓狂な声を上げた。直後、気まずそうに口に手を添える。
「…………」
彼女は今一度カノンフォートを見る。胸元と頭部の砲はひしゃげており、とても
使えるようには見えない。しかし、背中の砲は砲身、砲塔ともにほぼ無傷である。
と、なれば造りからして内部機能にも問題は無い筈……
ただ問題は、一人では撃てないとの事。砲塔に乗り込んだとしても、そこから
コアを起こす事は無理だろうし、操縦席に乗り込むと今度は砲が使えない。たとえ
操縦席にてコアを起こし、それから砲に移ったとしても、移動の際のリスクが大き
過ぎるし何より回避行動が一切取れない。
つまりは、カノンフォートの構造上、このアイデアは全くの企画倒れという事だ。
やがて、デッドボーダーはギガに狙いを定め、一歩を勢い良く踏み出した。
G−カノン砲口周囲の空間が、陽炎となって尾を引いた。
「上か!!」
ギガが頭を降ろす。それとは逆に長大な尾が跳ね上がる。その一撃は、見事頭上
からの敵をバッティングした。
跳ね跳ぶデッドボーダー。だが、彼は直後信じ難い運動性能を見せた。
『く』の字になって飛んだかと思いきや、黒い機械獣はとんぼを切って背後に
宙返りし、まるで自らの跳躍であったかの様に着地したのである。
カエルの様に屈みデッドボーダーは着地を和らげる。そして、そのままの低い姿勢
でまたもや無気味な金属質のうなり声を上げた。そして待ちわびる様に鉄色をした
前脚の爪をゆっくりと動かす。
その表情は、まるで笑みを浮かべ舌舐めずりすらしているかの様にガミーには
思えた。
「こいつ……楽しんでやがるな………… だが、こちとら仕事中だ。残念だが、
お遊技に付き合う訳にゃぁ行かねえなぁ……」
>こいつ……楽しんでやがるな…………
愉しませて頂いておりますよ〜m9(゚∀゚)
GJ!!
609 :
名無し獣@リアルに歩行:2006/01/13(金) 17:45:11 ID:sQXAc7fE
これ見て元々買う気無かったゾイドを買う気になった人挙手 (・ω・)ノ
新参者ながら現在進行形で楽しませてもらってます。
私のようなMyバトスト書いてる者にとっては勉強にもなり一石二鳥なのです。
勝手ながら期待させてもらいますー
自分も妄想SS書いてる者の一人。
ここの作品にめっちゃインスパイアされてますw
デッドボーダーの背中の砲…… 人呼んでG−カノンというそれは、所謂ロスト
テクノロジーの一つとされている。天変地異による製造設備の全壊、それに伴う
設計図を含めた詳細なデータの消失…… 現在の技術で似た様なものを造るとなる
と、それは最早建造物サイズとなり、ウルトラザウルスクラスのゾイドでなければ
とても扱えた代物ではなくなってしまう。
だが、このデッドボーダーが備えたそれは、ビルディングの大きさに造ったと
しても現在の技術ではなお再現困難な特性を持っていた。ボディーの随所にある
発光部位、ディオハリコンをエネルギー源とするそれは、本来射撃に使われる
重力子……すなわち重力エネルギーが擬似的に物質状になった状態……を応用し
驚異的な運動能力を装備したゾイドに与える。先に挙げた書籍の解説によると、
共和国軍が体験した怪奇現象は出力未調整で暴走気味だったこのG−カノンが引き
起こしたものである可能性が高いという。空間そのものの歪みか、そこまででない
としたら大気の歪みとそれに伴う光の屈折、さらにはその異様な光景が引き起こし
た戦場パニックがその真相である、というのだ。
だが、ガミーはパニックに陥っているわけでもなければ、蜃気楼を見ている
わけでもない。目の前で起きている紛れも無い事実を、やや焦りはあるものの
至って冷静に彼は見ていた。
それにしても…… と、ガミーは思う。デッドボーダーがこの戦いを楽しんで
いるのはむしろ幸いだ。もし一気にかたを着けるつもりなら、情け容赦なく重力子
の実弾射撃を見舞われてる事だろう。暴走ゾイドの鎮圧も腕に覚えが無いわけでは
ないが、これは最早暴走ではなく立派な自立だ。人間でいうなら、心神喪失では
なく列記とした計画的犯行である。それだけに、動きは決して読めないものでは
無い。しかし。
「手荒な真似はしたくねえんだが……」
デッドボーダーの背中の砲…… 人呼んでG−カノンというそれは、所謂ロスト
テクノロジーの一つとされている。天変地異による製造設備の全壊、それに伴う
設計図を含めた詳細なデータの消失…… 現在の技術で似た様なものを造るとなる
と、それは最早建造物サイズとなり、ウルトラザウルスクラスのゾイドでなければ
とても扱えた代物ではなくなってしまう。
だが、このデッドボーダーが備えたそれは、ビルディングの大きさに造ったと
しても現在の技術ではなお再現困難な特性を持っていた。ボディーの随所にある
発光部位、ディオハリコンをエネルギー源とするそれは、本来射撃に使われる
重力子……すなわち重力エネルギーが擬似的に物質状になった状態……を応用し
驚異的な運動能力を装備したゾイドに与える。先に挙げた書籍の解説によると、
共和国軍が体験した怪奇現象は出力未調整で暴走気味だったこのG−カノンが引き
起こしたものである可能性が高いという。空間そのものの歪みか、そこまででない
としたら大気の歪みとそれに伴う光の屈折、さらにはその異様な光景が引き起こし
た戦場パニックがその真相である、というのだ。
だが、ガミーはパニックに陥っているわけでもなければ、蜃気楼を見ている
わけでもない。目の前で起きている紛れも無い事実を、やや焦りはあるものの
至って冷静に彼は見ていた。
それにしても…… と、ガミーは思う。デッドボーダーがこの戦いを楽しんで
いるのはむしろ幸いだ。もし一気にかたを着けるつもりなら、情け容赦なく重力子
の実弾射撃を見舞われてる事だろう。暴走ゾイドの鎮圧も腕に覚えが無いわけでは
ないが、これは最早暴走ではなく立派な自立だ。人間でいうなら、心神喪失では
なく列記とした計画的犯行である。それだけに、動きは決して読めないものでは
無い。しかし。
「手荒な真似はしたくねえんだが……」
手段を選ばねば、戦法は無いでもない。次に奴が突進してきたら、おさえつけて
首筋にでも噛み付いてやればいいのだ。奴の首筋に剥き出している幾本かのパイプ、
あれも飾りというわけではあるまい。ただ、背中のG−カノンだけはギガのリーチ
では如何ともしがたい。発射されるのが先か。食いちぎるのが先か。手荒な真似
とは、そういった意味合いだった。
同じくして、一方のチャオはそれを見守るより他に手は無かった。勇み足にて
チーフの足を引くわけにもいかず、かといってただ見ているだけというわけにも
いかない。指示を仰ぎたい所だが、見た所ギガとボーダーは一触即発、一寸たり
ともチーフの気を乱す真似は出来れば避けたい。胃が軋むほどの気まずさが彼女を
支配する。
と、その時だった。
「チャオ、取れるか? こちらディド」
「ディド!! 無事だったの?」
「無事ってわけでも無いが…… まあ俺だけなら何とかな」
彼の声は続ける。
「話は聞かせてもらったぜ。今からそっちへ行く。なに、チーフには聞かれちゃ
いない」
「待って! ゴルヘックスの状態はどうなの?」
「ああ、こいつか………… それがな……」
ミュージアムの一角にある、とある広場に大の字に横たわるゾイドがあった。
本来、その背中を飾っていたオレンジ色のアンテナはことごとくへし折れ、
脇腹は砲撃によって無惨にひしゃげている。幸いにして、軍用から転用した頑丈な
ボディーに守られたコアだけは致命傷を免れたが、それとて応急修理した無線に
電源を供給する位にしか現時点では用をなさない。
ひび割れたキャノピーの奥で、マイクを片手にディドは言った。
「無理すりゃ歩く事くらいは出来そうなんだが、あんまり無理はさせたくない。
それに、今そんな状態でこいつを行かせたら、それこそいい的だ。武勇伝にゃなる
かも知れないがな…… あと期待を殺ぐようですまないんだが、飛び道具は軒並み
弾切れだ」
彼は続ける。
「と、なれば俺ができる事はただ一つ、ってわけだ」
「何をする気?」
「場所は大体わかるから、今からそっちへ行く。それにしても皮肉なもんだ。
自分の愛機をのしたゾイドに乗るハメになるなんてな」
直後、こう付け足す。
「おっと、無茶はしないで! なんて言うなよ。誰かさんも似たようなもんだろ」
スピーカーから、合方の苦笑する小声が聞こえる。ディドは、可愛いねえ、と
独りごちると続けた。
「そういうわけだ。とにかく、カノンフォート……でいいんだよな、そいつには
まず俺が乗り込む。俺が見えたら乗るまでの間、なんとか援護してくれ」
「…………了解!」
チャオは、少々の間の後、笑顔で短く答えた。
そこでそう来ますか……そういやディドどうしたんだろと思ってたら。
それにしてもこれでもう足掛け3年、非常に乙であります!
あと一応、カノンフォートの角(ビームホーン)は見た目と違い砲塔ではなく
格闘用武器(おそらく先端からビーム刃を発生させ突撃する類の)なので
折れてるとかでなく多少ひしゃげてるくらいなら使えるかも、と。
ご、ゴルヘ……。・゚・(ノД`)・゚・。
今更ですが凄い文章力ですね。読んでいるだけで情景が浮かんできます。
デッドボーダー戦がどうなるか楽しみです。そして勿論ゴジラもw
……でもカノンフォートが1体来たところで大して戦況変わらn(ry
今読み返して二度書きしている事実に初めて気付いたり。
すまんです (;´Д`)
>>615 情報感謝します。なるほど、面白そうな使い道が色々浮かんできます……
>>616 ゴジラの方の描写もそろそろ書かないと皆忘れそうなので
そろそろ出そうかと。
618 :
名無し獣@リアルに歩行:2006/01/26(木) 17:45:52 ID:WN4UHmFe
あげ
新作かと期待しちゃった…(´・ω・`)ショボーン
久しぶりにこのスレに来たけど相変わらず340氏はマジで神だな。
書き始めたときにいたキャラや設定だけでなく
新しいキャラや設定をうまく取り入れて話を作ってるんだからな。
伊福部昭先生追悼
age
保守
「ところで、そいつは本当に背中のカノンしか使えないのか?」
ディドが無線にて尋ねる。
「ええ、頭と胸の砲は破損してるみたいで……」
「頭……? チャオ、そいつは飛び道具じゃないぞ。頭のツノは格闘兵器だ」
「……そうなの?」
チャオは、今一度カノンフォートの頭部を見る。先刻は気付かなかったが、
よくよく見てみれば、確かに先端に砲口は開いていない。
「でも、少なくとも片方は少し折れ曲がってるわよ」
「少しくらいなら大丈夫だって話だ。もしそっちがダメも、もう片方が無事な
可能性は高いぞ。そいつは構造上、いっぺんに両方のツノが同時にダメージを
うける事は無い筈だ」
「……詳しいのね」
チャオは、感心半分、あきれ半分で返す。
「ゾイド乗りなら自然な趣味だと思うがね」
冗談めかして言うディドは、こう締めた。
「さて、と…… じゃあそろそろ向うんでよろしくな。たぶん5、6分もあれば
行けると思う」
「場所はどこなの?」
「そこは正面口のあたりか? だとしたら、ちょうど真裏だ」
このミュージアムはとにかく広い。全展示物を事細かに鑑賞するとなると
開場している全時間を費やしてもまず無理である。歴史博物館と兵器博物館が
合わさり、そこに只でさえ巨大なゾイドという存在を扱う研究所やら実験場やら
が更に加わったのだから、その敷地面積は推して知るべしだ。しかも、ディドの
記憶によれば自分のいる位置から正面口まで行くのに一本道は存在しない。その
上、この施設自体がゆるやかな傾斜を跨いで存在している為、正面口と裏手では
地上に面した階数が2階も違う。
どうするか…… 彼は少し考えた末、実験施設を横切るルートを選んだ。距離
としては回り道になるが、広大なかつ平らに整地された実験場があるため入り組
んだ廊下を駆けずりまわるよりは遥かに近道だ。
彼は、善は急げと駆け出した。
今度は何だ、ageか?保守か?(´・ω・`)ショボーン
と思ったらキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
ついに新作キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
けど短い(´・ω・`)
二頭のブレードライガーと、それを追う一頭のライガーゼロの視界に、地球に
あるという円形闘技場を模した巨大な建造物が、ビルの合間からおもむろに姿を
現した。惑星Ziの歴史がここに集結していると云われる巨大博物館である。
「大事になってなければいいが……」
若きレオマスターの言葉に、老練なる戦士が返す。
「そりゃ俺達の活躍次第、ってとこだな。大事の心配がなけりゃ誰がレオマスター
を二人もよこすもんか」
「確かに…………」
レイ・グレッグは言葉を詰まらせた。延々と続く外壁の果てに、明らかなる何か
の爆発を彼は確認したのだ。
「私が見て来ます。少佐は中を!」
ああ、とアーサーは返事をし、走りゆくライガーを見送りつつ思う。
……てことは、あのアンちゃんのお守は俺ってことか……?
彼は、自らのライガーを振り向かせる。目に飛び込んで来たのは白いライガー
だった。
「……野郎、押し付けやがった…………」
彼は少々考えた。こういう状況下では、開き直りも一つの手だ。若いもんは
ダメだダメだの一辺倒じゃ全くの逆効果というのは身につまされている。
なんとかとハサミは使いようだ。
アーサーは、先手に撃って出た。
「なあアンちゃん、名前はなんつったけか?」
「RD! マッハストームのRDさ! 手伝わせてくれるのかい?」
アーサーは短く溜息をついた。声を聴くからに若い。子供といってもいいだろう。
声質のみならず、抑揚、口調、総てが戦闘に赴くそれではない。わざと調子に
乗らせて痛い目を見せるのも手だが、この状況での痛い目というのは命にかかわる。
しかし…… と彼は思い返す。全速力で疾走するレオマスターと互角にチェイス
をし、転倒も建造物の破損も見た所起こしていないのは考えたら凄い事なんじゃあ
ないか? と。そういえば、ライガーゼロも誰彼となく乗りこなせる機体では無い
筈……
待てよ、マッハストーム?
「マッハストーム……マスクマンのマッハストームか?」
「ああ。おっちゃんもマスクマンの知り合いかい?」
「まあな。すると何だ、お前さん仕事で動いてるのか」
「そんなには出ないって話だけど、まあー街の危機ってやつだからな」
ふむ…… 壮年の戦士は手短に考える。マッハストームといえばバトルでも少しは
知れた名だ。若手のルーキーが活躍しているとも聞き及ぶが、この小僧がそうか……
「判った…… いいだろう、俺についてこい」
「さすが! 話がわかるぜ!!」
「何だ、俺を知ってたのか?」
「ああ! レオマスターの『クレイジー』アーサーだろ? マスクマンからあんた
が来るって聞いてたんだ」
クレイジーか。この『称号』は嫌いではないが、部外者から呼ばれるのも妙な
感じだ…… 彼は思った。
「つまり、お前さんは俺を『クレイジー』だと知った上でついてくるって訳だな。
だが、ここはデリケートな場所な上に、俺に従うってことは軍に入ったも同然だ。
軍の作戦には従ってもらうぜ」
「わかってるって!」
おいおい、本当かよ…… アーサー『クレイジー』ボーグマンは操縦桿を握り
つつも苦笑した。
「元帥…… ですか?」
分厚い防護壁で覆われた、当施設において最も厳重なセキュリティーを持つ
この格納庫のチェックゲート、そこのカメラとモニターを挟んで軍属にある研究
員と、将官を名乗る来訪客のやり取りは行われていた。
「左様……我はディガルド武国軍総司令、ジーン元帥である。貴国に開発を以来
した新型ゾイドを受領しに本日赴いた。知らせは行っている筈だが?」
厳めしい面持ちの偉丈夫は、尊大ともとれる口調にて告げた。
ジーンktkr
630 :
名無し獣@リアルに歩行:2006/03/24(金) 18:52:48 ID:dt8j7eln
ジーン……(*´∀`*)
>>626 短いとかって言うのはあまりよくないと思う。
駄作小説ばっか書いてる俺が言うのもなんだが、小説書くのって大変だから。
それに340氏もいろいろと用事とか有るだろうし。
うわぁ、上げてしまった……orz
申し訳ない;
新作!(・∀・)
じゃないのか(´・ω・`)
紛らわしいのでサゲ
>>633 うん、そりゃあね・・・
でもなんでわざわざこのスレまで来て言うんだよ
マギラワシス
でもこんな事言ってる俺も(´・ω・`)
635 :
名無し獣@リアルに歩行:2006/04/09(日) 01:50:24 ID:NiVOD9Y4
636 :
名無し獣@リアルに歩行:2006/04/09(日) 10:13:46 ID:hF0jo3KN
>>636 ガンダムに興味ないから
この板来てるからってガンダムにまで興味あるとは限らんのだよ
ロボ好きっつっても一枚板じゃない
お待たせしてしまってスマンです……
ともあれ、今週中には再開できる目処なので今暫しお待ちを……
>>638 上に同じ。
御身体もご自愛くださいね。
>>638 340氏がんばってください。セイスモとかバイオとかゴジラとかキンゴジュとか
もう全てがワクワクてかてかです。
) ) ,'
( ( ( )
r;:'ニ:ヽ、
|` ー 彡|
| . .:;彡|
!、....,,;彡!:::::::::::..
゙ー‐''’::::::::::::
お疲れでしたらお茶ドゾー
プリンがいっぱいです〜
一緒に食べましょう♪
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
_
'´ `´ ヽ
_ i 〈ノノハ)))〉. _ _
. /〜ヽ ノ (リ*^ヮノリ ./〜ヽ /〜ヽ
_ (。・-・) ( (⊂)穴iつ (。・-・)(。・-・) _
/〜ヽ .゚/〜ヽ /〜ヽく//〜ヽ /〜ヽ /〜ヽ /〜ヽ
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/〜ヽ /〜ヽ゚.゚/〜ヽ゚ .゚/〜ヽ゚.゚/〜ヽ゚ .゚/〜ヽ゚ ゚/〜ヽ ゚/〜ヽ゚. /〜ヽ
(。・-・)(。・-・)(。・-・) (。・-・)(。・-・) (。・-・)(。・-・)(。・-・)(。・-・)
゚し-J゚ ゚し-J゚ ゚し-J゚ .゚し-J゚ ゚し-J゚ .゚し-J゚ ゚し-J゚ .゚し-J゚ ゚し-J゚
受け付けた研究員は、小さな喫茶店程の広さに仕切られたセキュリティールー
ムにてモニタを見つめた。セキュリティールームとはいっても、モニタールームの
一角がつい立てで仕切られた簡素なもので、いわゆる警備室とは異なる。何故、
そうした作りになっているのかといえば、ここが外部からの脅威よりも、むしろ
エリアの性質上それは内部からの脅威に比重がおかれている事に由来する。そう
した事から、外からのセキュリティーはここに組み込まれ研究員が交替で番を
する事になっていた。
現在、別なブロックでは休眠状態だった旧式のゾイドが覚醒し、
大事になっている。何でもKGの電子兵器によるものだと聞くが細かい事は
彼も知らされていない。ここがいかに厳重な守りを得ているとはいえ、見た事も
無いゾイドの電子兵器までも防げるという保証はどこにもないのだ。結果、彼等は
現在様々なシステムのチェックに追われる結果となった。
確かに、ディガルド武国の元帥が近日中に来るとはその場に居合わせた職員も
聞いている。だが、本日この時間に訪れるとまでは聞いていない。第一、この
非常時に一国の元帥が何の了解も得ずこの使節をに訪れるなどという事があるの
だろうか……
「……現在、非常時の為こちらの責任者が不在でして…… 引き渡しに関する書類
等はお持ちで?」
研究員は、何かの事情もあるのだろうと察し、取り敢えずは平静を保ったやり取り
を決めた。彼等とて幾つかのチェックをクリアして、この最終関門に到達したわけ
だし、下手な動きをしようにも、ここはそう易々と外からこじ開けられるものでは
無い。
スピーカーを通じ、声が元帥を名乗る男に告げた後、彼は傍らの厳めしい風貌の
将校に目配せする。彼は手にしたアタッシュケースを窓口のカメラに近付けた。
「ここに揃っている」
不機嫌そうな目付きのその男は、不意にアタッシュケースの後ろに左手を
添える。
「元帥、お下がりください」
ジーンに続き、髪の長い女性将校と銀髪の少年が駆け足でモニターから
離れる。
それが、カメラが捉えた最後の光景だった。
「煙いな……」
ジーンは、風化した段ボールの様に張り裂けた、元、扉があった箇所を
くぐり抜けた。彼の云う通り、周囲には硝煙と外壁が燃えた煙りが漂い、焦げた
異臭を放っている。
ふむ、と壊れた外壁を見つめ、彼は満足げに云う。
「火力の調整は確かなようだな」
彼は、室内を見回す。
「破壊は見事に壁周辺に限定されている………… さて、」
周囲は天井でも落ちたかのように壁や扉、そして配線の残骸がまき散らさて
いるが、機器類には確かに目立った損傷はない。ジーンは、傍らに倒れる研究員を
見下し、告げた。
「扉を開けて貰ったという事は、こちらの要求を了承したと取らせてもらう」
研究員を助けるでもなく、言うとジーンは器機が集中する窓際に歩を進めた。
「既に叩き起こされているようだな」
窓の外には、広大なドックがあった。そしてそこには、三体の異形のゾイドが
横たわっていた。
646 :
名無し獣@リアルに歩行:2006/04/18(火) 19:35:09 ID:9MoS21cc
バイオキタ━━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━━!!!
キタ━━━━(゜∀゜)━━━━!!
ここで武国が出てくると、リッツと相乗りしてるムラサメライガーinルージキュンが気になる…!!
アームガンで扉だけでなく外壁まで破壊って・・・
最初からメカゲオルグ?
ケースに火薬でも入ってたんでは
そうなるとなんでゲオルグが無事なのか・・・
やはりメカか
・・・いや、火力を調整って書いてあるっしょ
イヤ、ゲオルグは、メカになる前から、アームガン装備してたって。
いや、メカになる前のアームガンは普通の機関銃だったし。
「ちょっとやり過ぎなんじゃないの?」
長髪の女性将校……フェルミが周囲を見渡し、言う。それに答えたのは、
扉を外壁ごと吹き飛ばしたあの将校……ゲオルグだった。
「扉の構造上、砕けた外壁が散らかったに過ぎん。別段目的のゾイドが
損傷したわけでもなし、何がやり過ぎなものか」
彼は険しい表情を変えるでもなく、しかし淡々と告げた。そんな彼の左手
からは、未だ煙が細く昇っていた。
彼の左腕は、肘より少し先から機械仕掛けのものになっている。普段は
物をつかめる義手も付けているが、軍務に励んでいる際には義手の代わりに
機銃がついている事の方が多く、これは本人が特注で作らせたものだった。
根元から交換可能なこのアームガンは、この二種以外にも幾つかアタッチ
メントが作られたものの、いざ日常の軍務をこなしてみると技手と機銃以外の
ものはまるで使い道が無い。
本人が司令官で、しかもゾイド乗りなのだからこれは当然である。
だが、そんな持ち腐れた宝の一つが今回初めて薬にたった。機銃に増設
するような形で据え付けた、対ゾイド用のグレネードランチャーだ。
隠し武器を意図して、あえてアームガンに内蔵する形で設計されている為
一発しか砲弾は込められないものの、その炸薬は極めて優れた指向性を持ち、
前方に爆破エネルギーを集中させる特性を持っていた。
先刻彼が用いたのは、その炸薬量をほんの少し押さえたものだった。
「……むしろやり過ぎでも良かったものを……!」
ゲオルグは苛立ちを込め言い捨てると、倒れている研究員につま先を向けた。
「やめておけ。大帝の慈悲だ」
ドックを望む窓際にたたずむジーンが、背を向けたまま言う。
「何故こやつらを死なせぬ様、計らったと思う」
死んでも全然不思議じゃなかったじゃない…… フェルミは思うが、あえて
そしらぬ顔で過ごす。ジーンは続けた。
「それは他でも無い……そやつらに、こやつらの真価を存分に堪能してもらう
ためよ。小汚い実験施設で得られるデータなぞ高が知れる…… どうせ、最高
出力なんぞは出したこともないのだろう?」
研究員の一人が、顔をゆっくりと上げる。
「……バカな真似はよせ…… 今そんな事をしたら……」
ジーンは、尊大な笑みを浮かべ振り返る。そして、くく、と笑いを漏らした。
「滑稽な…… まさに漫画の台詞だな! 耳にしてみるとこれほど笑えるとは!!」
そして、高らかに笑った後、言う。
「相手になるのはKGか、はたまたゴジラか………… いずれにせよ、我が
ディガルド出陣の露払いには申し分ない!!」
654 :
名無し獣@リアルに歩行:2006/04/20(木) 22:14:06 ID:0yw2M/GU
またまたキタ━━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━━!!!
でも、バイオとはいえキンゴジュやゴジラと戦ったら秒殺されそうな予感。
キタ━―━―━―(゜∀゜)━―━―━―!!
ハーマンが頭悩ます事態がまた一つ増えた(w
アニメ補正+ストーリー補正付なら勝負にはなるかもしれんぞ。
何だかんだでジーンは歴代のラスボスじゃ一番頭いいしな(戦闘に関して)
保守しときますね
同時刻、共和国内ガイロス帝国軍暫定基地……
広大な地下空間に横たわる、長大な体躯を持つ一頭のゾイドがあった。細長い
ドック目一杯に体を伸ばした首と尾の異様に長いゾイドは、その名をセイスモ
サウルスと云う。
「……これ、本当に正確なんでしょうね?」
ナオミは、短い階段を降りながら下で待つ若い男に告げた。彼女が出て来た
のは、機械の上に据え付けられたゾイドの頭部だった。形から元はジェノ
ザウラーのものと思われるが、上顎から上だけしか残されておらず、装甲も
ついてないので一目では判別が難しい。ゾイド乗りならばそういった点が
気になるのも常だが、シミュレーターに頑丈な装甲はいずれにせよ必要無い。
が、それでも見入ってしまうのもゾイド乗りの性か。
「予想し得る挙動は一通り再現してある筈なんだが…… まあ何ぶん実際に
現物を動かした事が無いものでね。そもそも君を召還したのも、そういった
点に対応してもらいたいからなのだが」
ヴォルフは微塵も悪びれた様子もなく総ての事はさも当然、と云わん
ばかりに告げる。それでようやくナオミは視線をヴォルフに移した。
本来ならば、かなり不遜な物言いなのだろうが、もとが優男の所為なのか
不思議と高圧的には感じない。
「ともあれ、ゴジラとKGが相まみえるのも時間の問題だ。しかし、君の
腕前ならぶつけ本番でも問題ないと私は考えている」
ここまで堂々と言われてしまうと、不遜を通り越してもはや天然なもの
すら彼女は感じた。
「私はシートに座って、ただ撃つだけだものね」
「そうだ。物わかりがいい」
しかし、言った本人はどうだろう……? ナオミは思う。
その時、部屋の扉が開き一人の少女が入室した。
「そっちの様子はどう?」
「やあ、彼女のおかげで上手く行きそうだよ」
不思議な雰囲気の少女だった。それほど幼くは無いのだろうが、透き通る
様な白い肌と紫色の大きな瞳が恐らくは年齢以上に若く見せているのだろうか。
その肌にまさに「浮かんだ」顔の金属紋は、瞳と同じくつややかな紫色だが、
入り組んだ図形が占める面積が大きく、伝統芸能の化粧の様にも見える。と、
言うよりは過去にいたシャーマンがこういった紋の持ち主で…………
「なかなか魅力的な子だろう? 紹介するよ」
ナオミの馳せる思いは、その言葉で遮断された。
「アンナ・ターレス。セイスモサウルスのメインオペレーターを勤める。少々
愛想に欠ける所もあるが、仲良く頼むよ。アンナ、こちらは……確か聞いてるよね」
よろしく、とアンナは本当に愛想無くナオミに告げた。
「え……ええ、こちらこそ……」
「彼女はセイスモがコアしか出来て無い頃から付きっきりで世話をしててね、
ともかく彼女が乗り込まない事には動きもしないんだ」
ナオミは、またしてもヴォルフにタイミングを崩されつつ、何とか告げる。
「……大丈夫なの? そんなゾイドに私なんかが乗り込んで」
「心配しないで。私が言ってきかせるから」
アンナが微妙に笑みを浮かべて言う。表情に乏しいわりには、声の抑揚は
意外としっかりしている。これも意志の強さの現れか…… 全体的な主張に欠ける
少女ではあるが、受ける印象は極めて強い。
「それじゃあお二方、少し早いがセイスモを起こしに行こうか」
ヴォルフは言って、二人の肩をぽんと叩いた。
ついにセイスモキタ━━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━━!!!
キタ━━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━━!!!
アンナスレ、これに気づいたら騒ぐだろうなぁ。
それにしても…… ナオミは思う。髪型といい、顔の紋といい、瞳の色といい
それと同じスーツの色といい、外観は明らかに派手な部類に入る。それでいて、
この存在感……否、存在の希薄さは何なのだろう。肌の色と目付きの所為?
……そうでもない。
直後、ヴォルフは部屋に一ケ所しかない扉へと向う。ナオミはそれとなくアンナ
に目をやりながらも、彼女の後について行こうとした。しかし。
「どうかしたかね?」
見た目に少々そぐわぬ台詞でヴォルフが訪ねる。
「いえ、何でもないわ」
ナオミは務めて自然に振るまいつつ、彼の後を追う。そして、ナオミが動きだし
た直後に、ようやくアンナは足を進めた。そこでようやくヴォルフは気付く。
「ああ、彼女なら気にしないでくれ。客人の前では先方を優先する様言い付けて
ある」
やがて三人が廊下に出ると、ヴォルフは歩きながら語った。
「彼女は言う時にははっきり言うんだが…… 妙な所で従順でね」
アンナは何も言わない。ナオミは、出来れば顔色を伺いたくはあったが、一々顔を
覗き込むわけにも行かず仕方なく宙を仰いだ。
あの…… と、彼女は意を決し訪ねる。
「お二人はどういう関係なの? ……その、変な意味じゃなくて」
「司令官と部下さ。……ま、幼馴染みの間柄ではあるが、親しき仲にも軍規あり、だ」
そうだろ? とヴォルフが言うと、アンナは返す。
「確かにそうね」
どんな顔で喋っているのかはわからないが、眠たそうな顔をしているわりには、
やはり主張の強そうな口調だ。
「男女の関係は…… まあ今の所は無いと言っておこうか。詳細は軍事機密だ」
赤毛の女狙撃手の背後で、くすりと笑い声がこぼれた。
「とりあえず、彼女は意外と積極性があるんだ。下手をすると私があぶないかもな」
「ヴォルフ」
「おっと、これは失礼……」
アンナの声に怒った様子は無く、ヴォルフの方にも小馬鹿にした様子もない。
二人の仲は至って良好なようだ。そして、ここへ来て、ようやくナオミは察しが
ついた。 アンナは、部下と言う立場故に積極的に消極なのだ。優れた出力を持ち
ながら、その出力を制動にも使っている為、あたかも緩慢な様に見える……そんな
所なのだろう。
そこで、ヴォルフは立ち止まった。
「そうだ、君達食事はまだかね?」
言われてみれば、朝から何も口にして無い。せいぜいここへ連れてこられる
中で飲み物を貰ったくらいだ。
「折角だから、先に食事にしようと思うのだが…… 今時分は君に会わせたい男も
食堂に来ているだろうからね」
「貴方がそう言うんだったら。ちょうどお腹もすいてきた事だしね」
三人は、再び歩き出した。
更に同時刻。
ディドは、広大な広場を臨む見晴しの良い連絡通路を駈けていた。ここさえ抜け
れば、正面口はすぐの筈だ。
「……何だ……!?」
だが、思わぬ光景が彼の足を引き止めた。窓の外の広場では、見慣れぬライガー
タイプのゾイドと、いま一頭極めて見覚えのある黒いゾイドが相対していたのだ。
黒いゾイドの足元には、やはり黒いゾイドが横たわる。スタイルからして、覚醒
した古い奴…… たぶんジークドーベルであると彼は即座に認識する。それを片足
で踏み付ける赤い翼のあるのは……
「ガン・ギャラドか!?」
ディドは思わず声に出す。そして思わず完全に足を止め、見入った。
ギャラドは、Sの字に胸を張った姿勢からゆるやかに身を屈める。次の瞬間、
四肢の爪でアスファルトの大地を掴み、猛然とムラサメに突進した。ムラサメは、
為す術なくギャラドの体当たりを喰らう。
しかしギャラドは、勢い余り通過したと思いきや身をひるがえし、また肩から
ムラサメにぶつかる。それが幾度となく繰り返された。
だが、それは長くは続かなかった。ある瞬間、ギャラドの右肩が火花を上げる。
ギャラドは身をひるがえして着地するが、それが再度突進に繋がる事は無かった
のだ。ギャラドは、低くうなり声を上げ、身構える。
「何て素早いやつなんだ……」
言ったのは、リッツではなくルージの方だった。ムラサメは、その名の由来でも
ある背の刀身を真横に向けていた。交通事故にも等しい衝撃を幾度も受けつつ、
その所作一つ取っても決して単純ではない刀身の操作をマニュアルで彼はやって
のけたのだ。それも完全なる実戦のさなかで。
だが、こちらには奴の様な翼も無いし、刀がデッドウェイトにすらなってる。普通
に戦っていては明らかに不利だ。リッツは短く考える。
「…………………………」
手は無いわけではないが、果たして成功するかどうか。
彼は、意を決しルージの名を呼んだ。
「分かってます。エヴォルトですね!!」
意外にも、ルージはすんなりと正解を言い当てた。だが本当に分かってるのか? リッツは思う。野性を多分に残したムラサメライガーの扱い難さは、自分は勿論の
事、馴らしを請け負ったルージも理解している筈。ましてやエヴォルトなど、シス
テムには組み込まれているものの、実験でも一度たりとも成功した事は無い。思え
ば、今し方も随分無責任な提案をしたものだと彼は考えた。とにかく……と、リッ
ツは前方のギャラドを見た。奴も反撃は想定外の事らしく、かなり面喰らっている
ようだ。
と、ムラサメが突如走り出した。
「分かってますよ! その機が来るまで、こいつで何とかやってみます!!」
今度はギャラド目掛けてムラサメが突進する。ギャラドも同じく突進する。
「今!!」
次の瞬間、ムラサメの刀身が垂直に立てられた。そしてギャラドはムラサメに
覆い被さる様にジャンプしていた。リッツの熟練の動態視力がその軌道に好機を
見い出す。だが。
「!?」
ギャラドがその刃に触れる事は無かった。否、感覚からすると、微妙な手応え
はあったかも知れないが、ダメージと呼べる物は一切与えられなかった。
黒い竜は、刃に触れる寸前にて身を横転させ、咄嗟にそれを交わしていたのだ。
「チィッ!!」
ルージが外見に似合わぬ舌打ちをする。直後、ムラサメは前脚のパイルを地面に
突き刺し素早くターン。ギャラドも横滑りにブレーキをかけ翼の推進力も併用し
同じくターン。両者は再び睨み合う形となった。
リッツは思う。ギャラドはかなりの学習能力がある様だ。このまま行けば
刀身のウエイト故に直線的な動きを強いられるこちらが不利になるのは目に見えて
いる。ルージは確かに天才肌ではあるのだろうが、熟練の経験がある訳でもなく
だとすれば不利なのは輪をかけて尚更だ。
……幸いなのは、奴が完全武装で保存されてなかった事か。本来なら、背に
巨大な砲を背負っている筈だが、奴にはそれが無い。しかし、裏を返せば
それだけ身軽になっているという事だ。ゾイドの体力が無制限ではない以上、
いずれはムラサメの方が疲労をより多く受けるだろう。
やはり、そうなる前に決着をつけざるを得ない状況だった。
キタキタキタ━━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━━!!!
あいかわらずGJです!!
668 :
名無し獣@リアルに歩行:2006/05/13(土) 22:07:38 ID:FqJAbEjn
ギルベイダーもといギルドラゴンは出てくるのかなー
設定はガイロス皇帝がルドルフ用に遺した遺産とかで。
キテルヨ━━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━━!!!
何時のまにやら続きがキテル?!
旧ゾイドやらが大量に出てきてなんとも豪華な勢いですよっ
保守しときます
いや、sageで言われても…
VIPPERが板の危機になる位沢山来ない限りそのままで大丈夫だろうけどナー
ギャラドが一瞬横を見る。
「!?」
と、ルージが思うや、ギャラドは横跳びに大地を蹴った。と、ほぼ同時に無数の
何かがギャラドの居た位置に着弾する。
「うわっ!」
ムラサメにそれが被弾する事は無かったが、ルージとリッツが事態を把握するのに
およそ10秒ほどを要した。
「あれか!!」
ムラサメのモニタに、巨大なシャッターを擁する倉庫前に佇む一体のゾイドが
捉えられた。左右に何やらミサイルポッドのようなものをはべらせているが、何か
は詳しく解らない。その白黒に彩られたゾイドは、そのまま背から次弾を発射する。
危ない! とルージは誰に言うでもなく叫び、同乗者を考慮せぬ動きでギャラド
から離れる。放射状に広がった銀色の弾の何割かはギャラドに命中し、火花を上げた。
「おうい、無事かい?」
ムラサメに通信が入る。
「……ロン! 何をするんですか!?」
「悪い悪い、そっちのチャンネルを探す暇がなくって。とりあえず自分と君の腕前
を信用して先手を取らせてもらったんだよ」
「無茶する人だなあ……」
リッツは、この時のロンの言葉を聞き逃さなかった。ルージの腕前を信用?
単なる整備のバイトだとばかり思っていたが、どうやら知らなかったのは自分だけ
だったようだ。とりあえず、リッツはロンに言う。
「それにしても、加勢するなら最初から参加して欲しいもんだな」
「それに関してもお詫びしとくよ。こいつを探すのに思った以上に手間取っちゃって……」
なるほど、バンブリアンのまわりに置かれたミサイルポッドバンブーミサイル
だったか…… リッツは思う。バンブーミサイルは、ミサイルとはいうものの、
目標上空で炸裂するため追尾機能はついておらず、精々機能は射程を調節する
くらいしか出来ない。しかし、そこから放たれる無数の特殊徹甲弾は極めて強力
で、小型のゾイドであれば一発で十数体を一網打尽にできるという。
「……こりゃ近くにいちゃ危ないな…… ここはロンの邪魔をしちゃ悪い」
「でも、見たでしょう!? 奴はあの無数の弾を一度は全弾避けたし、いずれは
見切られて弾切れになる可能性もあります。ロンの攻撃に対して、奴を盾にする
みたいにして固定できれば……」
「そりゃ危険すぎる! そうすると同時に奴の牙や爪の餌食だ! だいたいそんな
簡単に行ったら、とうにムラサメが勝ってるだろうぜ」
「…………!!」
ロンが言う。
「別に無理する事はないよ。それにダメージは与えられないわけじゃない」
続ける。
「最悪、ギャラドを少々の間ひるませておけるだけでも上等な位だ」
「どういう事ですか?」
「味方が来るまでの時間稼ぎ…… ってとこかな」
ロンは余裕の伺える口調で言った。
乙!!
はげキス
乙です。
そうなんだよね、追尾機能を有し、自前で目標に向かって飛んでくのが、ミサイル。
噴射推進で弾頭を打ち出すだけのモノは、ロケット砲って分類になるんだよな。
340氏ガン(・∀・)バ!
遡る事、凡そ十数分前。
一方、増援の片割れ……レイ・グレッグは博物館の正面口方面より上がった
火の手を確認すべくライガーを駆った。そういえば、治安局の連中もここで
交戦状態にあると聞く。恐らくは彼等の戦闘によるものか。だとすれば相手は
暴走した旧式のゾイドか、それとも…… 博物館を回る大通りをライガーは
駈ける。巨大なる機械獣の健脚俊足にかかれば、いかに広大な敷地の外周とは
いえ高が知れている。だが、それだけに彼は唐突に衝撃に辿り着いた。
レイは、大きな交差点に面したその地点に到着するや否や、ライガーに
大地を掻かせ急停止した。
「……………………ここまで来ていたのか!!」
それは、華奢な体躯を持つ異様なゾイドだった。印象だけを観ればラプトル
系のゾイドに見えなくも無いのだが、装甲の形状があまりに奇怪である。まるで
獣の内骨格のような外観、それでいてその表面は金属の光沢を放っている。
その異様なラプトルが踏み締めていたのは、キングライガーと呼ばれる旧大戦
で使用されたゾイドだった。無惨にも脇腹は引き裂かれ、そこからコアへと通じる
様々な太さの、あるいは細さの配線が引きずり出されている。キングライガーは
名前こそ勇ましいものの、実際は廉価版のライガーにしか過ぎない。大戦が進んだ
当時は、軍備の拡大と予算の節約という相反する命題を軍部は突き付けられた。
そこで幾つかの運動機能を単純化かつオートマチック化し、Eシールドやブレード
等の装備を簡略化したインスタント高性能機が開発されるに至った。
観た所、異様なラプトルには損傷は全く見受けられない。足元に輝く、あの
鋭利な爪にて一撃で仕留めたのか……!? レイの洞察力が、一瞬にして分析を
行う。そして、自分が元来この機体を破壊する任を帯びていた事を直後に思い出す。
「……ディガルドめ!」
そこまでの所要時間、実に近接遭遇その時点より僅かに三秒。
レイは、一度は停めたブレードライガーの爪で再びアスファルトを蹴った。
自らのターゲットの一つ、バイオゾイド目掛けて。
ブレードライガーの爪が、水銀の様な肌のバイオゾイドに迫る。だが、バイオ
ゾイドは咄嗟に大地を蹴ってそれを交わした。レイは思う。確かバイオゾイドの
流体装甲は様々な衝撃から極めて効果的に機体を守るが、それでも乗っているのは
所詮ただの人間だ。
「これならどうだ!!」
瞬時に方向転換し、組み付いてくるブレードライガーを、さしものバイオゾイド
も交わす事は出来なかった。ライガーは組むと同時に、敵の長い尾に噛み付き、上
半身を思いきり振った。華奢な、しかし名も知らぬバイオゾイドは勢い良く道路
一杯に叩き付けられた。大通りの分厚いアスファルトに敵はめり込んだ。
「まだまだ!」
レイは、今一度敵を投げ飛ばす。だが、敵は同時に自ら跳ね上がり、ライガーの
上半身に覆い被さる。手足の鋭い爪が、ライガーの冷却板やシールドジェネレーター
に食い込んだ。そして敵は、ライガーのキャノピーにその鋭い牙を突き立てた。
「ええい!」
レイは、咄嗟にEシールドを展開した。反発でラプトルは短い放物線を描き
弾き飛ばされる。そして、レイが追撃をかけようとしたその時。
「待て! 私は敵ではない! 聞こえるか!? 私は敵じゃあない!!」
良く通る男性の通信が、ライガーのコクピットに届く。続いて、ディスプレイに
パイロットと思しき青年の顔が映った。
「敵じゃないだと? それは投降するという事か!」
「違う、元より私と貴官は敵対関係には無いのだ! 私はディガルドのザイリン
特務中尉だ…… そちらに情報が行っているとばかり思っていたが、まさか
我が国のならずものを追撃すべく、私の隊が送られた事実を知らないのか!?」
「本当なのか?」
「ああ本当だとも。このゾイドにせよ、あちらから仕掛けて来たのを撃退した
までだ。……とにかく、私に害意は無い。ララダ3世陛下及びガイロス帝国の
承認を受け、ジーンを討伐すべく派遣されたのだ」
「証拠はあるのか? 全て初耳だぞ」
「だったら少し待っていろ。君のその目で指令書に目を通すがいい!」
ラプトルは身を屈め、四つ足をついて胸部を地面に近付ける。やがてハッチが
開き、そこから風変わりな戦闘服に身を包んだ青年が降り立った。
「ライガーのパイロット! 聞こえるか!」
その数秒後、ブレードライガーも同様に身を屈める。
レイはライガーのキャノピーを上げ、自らも下へと降りた。そこで二人は
初めて顔をあわせた。
「ディガルド武国最高指令部直轄、ジーン討伐隊々長、ザイリン・ド・ザルツ
特務中佐だ。これがララダ陛下及びガイロス帝国皇帝ルドルフ陛下の承認を
得た証だ。よく見たまえ」
ザイリンは、小わきに抱えた小さな書類をレイに差し出した。確かに
ガイロス及びその属国で公式に使用されているものだ。両陛下の署名も
見た所偽造ではなさそうである。ザイリンは、憮然とした面持ちで言う。
「もし私に害意があるのなら、このような面倒臭い事はせずに直接ゾイドで
君に戦いを挑んだ事だろう。それは君の立場でも同じじゃあないのかね?」
ウヒャ!リヤルでキタキタキタ━━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━━!!!
この乙め!
喜多喜多出てきちゃったよ!ザイリンさん!
不謹慎ながらも、ついうっかりを期待しちゃうぅ漏れマヂ虜
すまんです、ザイリンの階級は特務中尉ではなく特務中佐が
この話では正しいので、一つよろしく……
682 :
名無し獣@リアルに歩行:2006/07/14(金) 18:52:49 ID:2KPLqwpT
保守
683 :
名無し獣@リアルに歩行:2006/07/22(土) 10:11:53 ID:j0q7zUjg
保守ついでに書き込み。
久々にきたけど、相変わらず340氏の神っぷりは凄いな。
ギルベイダー&ドラゴンVSキンゴジュ楽しみにしてます。
ただ、個人的にZiナイトは少し微妙。
でもどういう風に登場させるのかは楽しみ。頑張ってくださなノシ
ZiナイトじゃなくてZナイトだよ
流星人間ゾーンの登場はいつかな〜マチクタビレタマチクタビレタ
カンケーねぇだろ!! と言おうと思ったが、ゴジラ繋がりか。
最近ゴジラがご無沙汰だから、忘れとったわ。
共和国領、某所の荒野………………
二隻のホバーカーゴは、共和国首都を目指し走っていた。しかし、それは
取り敢えずの事だった。実際には彼等の進路は明確に決まっているわけでは
無く、ゴジラとKGの動向により随時変化する事となっている。その情報源の
一つが、帝国が所有するシュトルヒ「カンタベリ」だ。シュバルツ大佐の擁する
部隊に配備されたこの機体は、旧機の様に野性体をベースとする、いわゆる
『血統種』ではなく、コアが生物学的に復元されたレプリカである。
だが、それだけに旧機には無い近代的な電子機器も装備され、今ではゴジラに
対する貴重な眼の一つとなっていた。
「ゴジラの進路、首都への直撃コースを徐々に外れている模様です」
「シュバルツと義勇軍のお陰だ。しかし……彼等もさぞ歯痒かろう。なにしろ
あれだけの頭数を揃えておきながら、その任務は単なる誘導なのだからな」
ブリッジにて、オペレーターにハーマンは返す。
「そういえば、そのハーマンはどうした」
「さきほど大佐が外されている時に情報が入りました。エナジーライガーの
レッゲルフィルターが不調をきたし、現在バックドラフトの艦にて整備を
受けている、との事です」
「やれる事は高が知れているというのに…… 後で俺の名で打電しておくと
するか。無茶はするな、とな」
ハーマンは、やや冗談めかして言う。
「ともあれ、ゴジラが人口密集地の直撃を避けてくれそうなのは有り難い
事だ…… これで少し休めるか」
ハーマンは、シートに身を沈め、大きく息を吐いた。
同時刻、キングゴジュラス内部 コア付近
「確かに、これはKGが止まってくれてないと通れんな……」
レイヴンは、細い通路を中腰になりつつ進んでいた。KGのコアへと
続く、メンテナンス用の通路である。凡そ2mほどの間隔で小さな明かりが
灯っているに過ぎないが、視界はそれほど暗いというわけでもない。
ただ、先へ進むにつれ徐々に温度が上がって行くのは疎ましくはあった。
なまじ湿度が低い分、温度はダイレクトに肌に伝わりチリチリと不快な
熱さをレイヴンに押し付ける。
そんな事を思っている内、彼はようやくコアと通路を一枚にて仕切る
小さな扉へと辿りついた。
…………確かに俺は見た…… この向こうのコアにシャドー、いや、
ジークやスペキュラー、アンビエントまでが捕われている…………
レイヴンは、扉を見つめつつも冷静に思う。
…………だが、ハインツがシャドーやジーク……オーガノイドを
単にKGのパワーアップだけに使おうとしたなら………… ここまで
簡単に俺が辿り着けるものなのか…………?
レイヴンは、扉の把手に手をかけた。鍵の類は一切無い。
……ヤツがそこまで考えて無いだけなのか…… あるいは……
彼は、少し、ほんの少し迷いながらも、その小さな扉を一思いに開けた。
一気に、熱気が通路へとなだれ込む。
「…………これは…………!!!」
狭い通路を抜けた先、そこは間に合わせの手すりがついた小さな足場だった。
そしてその更に先には、広大なスペースを占拠し黄金色に鈍く輝く、キング
ゴジュラスの巨大なコアが君臨していた。
「ここまで活性していながら、なぜ動こうとしないんだ!?」
彼は、身を乗り出しコアを見上げた。
「!!!!」
そして、彼はついに確認した。
その思念は、リーゼから借り受けた思念を伝える小さな『虫』を通じ、コクピット
のバンにも届いた。
「………………………… 畜生、ホントにいやがったか……!!!!」
それは、中形のゾイドほどもある巨大なコアの中心に磔の様に配置された、
スペキュラー、アンビエント、シャドー、そしてジークの姿だった。
690 :
名無し獣@リアルに歩行:2006/07/31(月) 20:39:36 ID:1FTWPUlr
にゅにゅーん
キタ━━━━━━(≧∀≦)ノ━━━━━━ !!!!!
692 :
名無し獣@リアルに歩行:2006/08/14(月) 22:44:48 ID:s9SGi3Eg
保守
その一方。
レイ・グレッグは、今さらの様にキャノピーの向こうの異様なゾイドを凝視した。
「私のバイオ・メガラプトルもお気に召して頂けたようだな」
「ん…… ああ…………」
若きレオマスターは、半ば上の空の答える。一体この謎めいた機体にはいかなる
機能が詰まっているのか……
「実に好奇をそそられるだろう。敵に手応えが在れば、君にもその真価を見せて
あげられるのだがな」
既にメガラプトルのコクピットに収まっていたザイリンは、通信にて告げた。
レイは答える。
「それは目出度くも有り、目出度くも無し……だ。ところでザイリン、あんたは
謀叛者を討伐しに来たと言ってたな」
「ああ、それだけだ。それ以外に出しゃばる気は毛頭無い」
「そうか…… ならいい。こっちも別のミッションをこなしている仲間がいてね、
彼等にあんたのややこしい待遇をどう報告したもんかと悩んでたとこだ」
レイは付け加える。
「俺の上司は時々頭がどうにかなるからな」
「それは御勘弁願いたいものだ」
ザイリンは言って笑う。そして、
「……さて、時間があまりない。ならば脇目も振らず一直線に赴くとしよう!!」
同時刻。
ムラサメライガーのコクピットにて、ルージが言う。
「リッツさん、こいつのブレードでヤツを串刺しにするにはどうすれば?」
冷静沈着なる男は、やはりそう来たか…… と思う。
「……そりゃ難しいな。見て来た通り、人が乗って無いぶん、奴の反射神経は
並じゃない。ムラサメのブレードはそれに対して取り回しが悪すぎる」
「駄目か……!!」
奥歯を噛み締める少年に、アイスマンは言う。
「あきらめるな……手順の問題だ」
そして、告げた。
「俺にいい考えがある。まあ、こっちも負けず劣らず難しいけどな」
その時である。飛行場にも似た広大な試験場と外界とを遮断する高いフェンスを
飛び越え、一体のゾイドがアスファルトの上へとその巨体を着地させた。
一瞬、逆光にて目がくらみ、その姿を把握出来なかったリッツとルージだが、
ゾイドのボディーを彩る蒼いカラーは見間違え様もない。本能か操縦か、ブレード
ライガーは身を低め遠く眼前の黒いゾイドに唸りを投げる。
「出ました!! 真打ち登場!!」
ロンがはしゃぐように言う。
「よう、お待ちかねか?」
ブレードからの通信に、ルージは思わずその姿をディスプレイに大写しにする。
ブレードライガーの名を呟き、彼はライガーの額にあるパーソナルマークに
注目した。
「赤のレオマスター…… クレイジー・アーサー……?」
「ルージ、奴を知ってるのか?」
「はい…… 共和国レオマスターの一人で、青のレオマスター、レイ・グレッグ
と並び称される凄腕ですよ…… 本にけっこう大きく載ってました」
共和国が誇る7人のレオマスター。ヴァイオレットののセレス、レッドのアーサー、
ブルーのレイとグリーンのシシリーは思い出せるのだが、オレンジ、イエロー、
インディゴが誰だったか…………
ルージの独り言を他所にリッツがマイクに向って言う。
「おい、俺だ! あの時大サソリと戦った赤いゾイドの!!」
「あ…………? あーあーあー!! あの時の!!」
「そうだよ、俺だよ!! なんだあんた、若いかと思ったら案外とっつぁんだな!」
「とっつぁんで悪かったな! しかしこりゃ、ホントにオールスターだな!!」
「そっちにしてみりゃ、お国の一大事って奴だからな。そいつはそうと、話は後だ。
そこの黒いのを倒すのを手伝ってもらうぜ」
幸いにも、ギャラドは新たに現れたにも関わらず、一向に飛びかかって来ない
新手に戸惑っている真っ最中のようだった。
「お前とだったら楽勝だろう」
「いや、それがな……」
ちょっとモニターを開かせてもらうぜ、とリッツは告げ、アーサーにルージの
映像を送った。
「…………はは…… どうも…………」
アンちゃんの次は小僧か…………!? ……俺ぁ学校の引率か…………!!?
愛想笑いする他無いルージに、アーサーは軽い目眩を覚えた。
340氏乙!!
それと、このお話ではシシリーはグリーンでしたっけ?
もともとはオレンジだったような・・・うろ覚えですいませんorz
ん〜アクティブ、アクティブ。
340氏 乙です。
どうも。気分がのってくると結構書けるんですが、ここ最近
夏バテ気味で書けませんでした……
>>696 セレスとシシリーは、ぱっと見のイメージで書いてしまったんで
実は資料を調べたわけじゃないんですよ。髪の毛の色とかの印象です。
ですから、まあこの話ではそういう事にしといてくださいまし……
キタ━(゚∀゚)━(∀゚ )━(゚ )━( )━( )━( ゚)━( ゚∀)━(゚∀゚)━ !!
いやもう、アーサー&リッツの話が好きな自分には、まさに願ったりかなったりの展開ですよっ
hoshu
何が保守されてるのか疑問だ
無駄にスレを消費しているだけじゃないのか?
かく言う俺もだがナー
hoshu
703 :
名無し獣@リアルに歩行:2006/10/02(月) 10:46:47 ID:uft1aVAq
age
sage
ホシュ
保守
異形のゾイド、バイオメガラプトルがブレードライガーと共に博物館外周を
駆ける。
「この先にゾイド搬入用のゲートがある筈だ。そこから中に入ろう」
レイの言葉に、ライガーに続くザイリンが答えた。
「中は大層な広さだと聞くが、迷子にはなるまいね?」
「なに、ゾイドで建物の中に入るわけじゃない。少々雑木林を抜ければ、すぐに
だだっ広い広場に出る。運動実験をするためのグランドだが、そこの片隅に
お目当ての場所がある筈だ」
「筈だ筈だで大丈夫かね?」
「ゾイドに乗って直に入るのは初めてなんでな…… それにしても、走り難い!」
レイが愚痴るのも無理は無い。博物館周辺には、緊急避難の為に乗り捨てられた
車両が場所を選ばず置かれているのだ。レイはザイリンの名を呼ぶと、言った。
「言っておくが、ここから外壁を飛び越えようなんて思ってくれるなよ。向こう
にはまだ建物が続いてるんだからな。とにかく、ここが博物館だという事を頭に
入れておいてくれ」
「……なるほど、実は、かくいう私も博物学というものを愛する立場にある。
細心の注意を約束しよう」
レイは、よろしく頼む………………と言いかけ、言葉を失った。その代わりに
発した言葉が、これだ。
「……今度は何だ!?」
先刻と同じ状況だった。博物館は、ゾイドを館内に展示するため外壁が極めて
高い。その外壁の、十字路に面した角から唐突に砂煙が吹き出す。一瞬遅れて、
大地を響かせ一体の巨大なゾイドが転がり出た。
「ゴジュラスギガ!! 治安局のゾイドか!?」
ブレードライガーとメガラプトルは、横滑りに急停止した。
……治安局の無線周波数は…… レイは、コンソールの数字を幾度か変えた。
「聞こえるか! こちらは特務隊のレイ・グレッグだ。パイロットは無事か!」
それどころではない、という可能性も大いに考慮しつつ、彼は駄目元で通信を
送った。だが、返事を待つ間も無く次なる衝撃が彼等を出迎えた。
「!!」
転がり出たギガの巨体に追い討ちをかけたのは、ギガにくらべると幾分小柄な
漆黒のゾイドだった。
「ほう、随分なヴィンテージものじゃないか」
ザイリンの、呑気ともとれる落ち着き払った発言に一瞬調子を狂わせながらも
レイは通信を続ける。
「一応確認する!! ゴジュラスギガ! その黒いのは敵か!!」
治安局を襲っている以上どう見ても敵なのだが、先刻のザイリンの件もある。
情報が錯綜している現在、レオマスターとして早まった行動は取れない。
「……キダ……テキダヨ…………敵! 敵! 敵だ!!」
「了解した! これより加勢に入る!!」
「レイ、任務はどうするんだ」
「これも任務の内だ。君が手伝ってくれれば、それだけ早く済むんだが?」
「君さえよければ言うまでもない」
二体の新たなるゾイドは、漆黒のゾイドに身構えた。
待ってましたー(゚∀゚)!!
感動は世代を超えて・・・・キタキタキタ━━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━━!!!
1ヶ月ぶり♪
「ゴジュラスギガ、こちらは陸軍特務隊のレイ・グレッグだ。こう言っては
失礼かも知れないが気を悪くせずに聞いてくれ」
「俺は治安局のガミーだ。伺おうか」
「デッドボーダー相手にそちらのゾイドでは分が悪い。我々が奴をそちらに
追い込むから、ひとまず我々に任せてはくれないか」
おいでなすった…… ガミーは思った。認めたくはないが、最新式のゴジュラス
ギガといえども、その巨体の取り回しには物理的な限界がある。確かに脚力は
ノーマルのゴジュラスと比べ格段に上回るスペックを持ってはいるが、それとて
充分な助走を付けた上での最高速度に過ぎず、タップダンスを踊れるような機敏な
動きにはお答え出来ないのが現実だ。出来れば自分でこいつを始末したかったが、
誇りを優先して被害を広げたのでは元も子も無い。こうした捕り物を現実的に
考えれば、プライドが一番大きな敵になる……
「ああ…… こうなったらそっちのガイコツみたいのも敢えて突っ込ま
ねえ……よろしく頼むぜ。ただし!」
「周囲に被害を与えない事…… 心得ている」
答えたのはザイリンだった。彼は、そう告げた後、名乗る。
「それじゃあレイにザイリン、最後にゃ上手い事俺の所へ追い込んでくれよ。
飛び道具での決着を狙うのは、こいつにゃ危険だ」
「了解した」
二人は答える。だがザイリンは思っていた。こいつは一筋縄ではいかない。
いざとなったら奥の手を披露するのも、やむを得ないな…… と。
その一方、ムラサメライガーを始めとする三体のライガーと、ガンギャラドの
戦いも、その幕を切って落とされていた。
アーサーのブレードライガーが、ギャラド目掛けて突進する。それを受け止めん
と上体を素早く起こすギャラド。だが、ブレードライガーの動きはギャラドの予想
とは違っていた。爪を立て、格闘戦に持ち込むと見せ掛けアーサーが取った手段は
勢いに任せたショルダータックルだった。相手に接触する刹那、ライガーはEシー
ルドを展開させ、身を横にして体当たりを喰らわせたのだ。
弾け飛ぶギャラドを見据えつつも猫の様に身をひるがえし、アーサーのライガー
はブースターを吹かせ一瞬にしてギャラドに追い付く。そして、タックルの衝撃で
ギャラドが忘れていた、予期していた攻撃が思い出したかのように漆黒のボディー
を襲った。
「おい坊主! 何をしてる!」
ギャラドはライガーと組み合った形となりながらも、前脚でライガーの顎を
持ち上げ辛うじて噛み付きだけは防いでいる。だが、ライガーが馬乗りになった
この体制は決して有利なものではない。ギャラドは巨大な爪で、ライガーの
下顎を思いきり掴んだ。
「いかん!」
ライガーは咄嗟にシールドを展開、ギャラドを弾き飛ばした。
「おい! お前がぐずぐずしてるから相棒の顎をもがれちまう所だったじゃねえか」
その言葉はルージに向けられたものだった。
「それとも何だ? その背中に背負った御大層なものは只の飾りか!?」
「……!!」
クレイジー・アーサーの戦いにただ見惚れていた歳若いゾイド乗りは、その言葉で
我に帰った。
きたああああああああああああああああああああああああああああああ
>プライドが一番大きな敵になる
ktkr!!!!!1
・アーサーカッコヨス
・プライドが一番大きな敵になる吹いた
保守
718 :
名無し獣@リアルに歩行:2006/12/10(日) 13:44:17 ID:JYcGlC9D
オワタ
キングゴジュラス、出てくれぇー^^ 親子2代で作ってるのだぁー!
もし色違いでいつか出る予定ならリアルカラーでお願イ^^
日付けをみたら、もう一月以上書いてない……orz
年内には、バイオゾイド&暴走ゾイドのくだりだけでも完結近くまで
行かせますので、もう少々お待ち戴きたく……
>>340氏
ガン(・∀・)バ!
でも無理はしないで〜
プライドが大きな敵になりませんよう。
「……代わろうか?」
副座の背後から身を乗り出し、リッツが言う。え、あ、と何度か口籠った後、
ルージは一呼吸置き、返した。
「…………いえ、すいません。もう大丈夫です!」
信頼に足りる口調だった。だが、こうも思う。現実的に考えて、いくらムラサメと
相性がいいからとはいえ初の実戦で本当に『大丈夫』なのか、と。しかし、ゾイドと
人との相性による人機一体の性能は、時として、単なる搭乗者の経験値やゾイドの
性能をも凌駕する事もまた事実だ。ここ数年で著名となったゾイド乗りの過半数が
そういった素質の持ち主である事を、リッツは思い出していた。
「ルージ、とりあえず今は自分を信じろ。お前はムラサメに信頼されて、そこに
収まってるんだろ? 今はそれに答えろ。いいな!」
状況が状況なだけに、多少早口になってしまった事をやや格好の悪い事だと
リッツは思いながらも、気の利いた言葉を取急いで選びながら彼はルージを
激励する。アーサーからの声も告げる。
「そういうこった! わかったか? 少年!」
少年ときたか。上手いね、とっつぁんも…… 思いながら、リッツは言う。
「ところで、だ。俺にいい考えがある。ロン先生、バンブーミサイルは、あと
何発……いや、何回発射できる?」
「えーと…… あと三回だね。バンブリアンの背中のも含めてだ」
「わかった。そっちの兄ちゃん、名前聞いてなかったな。俺はリッツだ」
アイスマンは、再度冷静さを保ちつつ遅れて登場したライガーゼロに問う。
「RD。何すりゃいいんだ?」
まだ幼いものを感じさす、しかし力強さだけはある声が答えた。
「話が早い。RD、お前はとっつぁんの補佐だ。二人で協力して、あそこの
壁際に奴を追い詰めるんだ。おっと、あとは戦いながら話す!!」
一方、そこに程近い地下格納庫にて……
「なかなか悪く無い…… 相性と言う奴かな……?」
ジーンは、満足げに笑みを浮かべ言う。そこは、通常のゾイドのコクピット
とは明らかに異なる異様な空間だった。
「フェルミ、ソウタの具合はどうだ」
「あまり長くは持たないかも…… 乗る前に薬を飲ませるべきだったかしら」
「まったく子供の遠足だな…… まあいい、折角馴染んで来たというのに、
今から降ろさせる事も無い。私とゲオルグだけでも有り余る戦力だ。で、
そのゲオルグだが……?」
「こちらも良好。いまこの瞬間にでも戦えますな」
「勇ましいな。大いに結構! さて、それではここから出してもらうとする
か。出陣の花火を……」
「お待ち下さい。何も出だしからREX……いや、ティラノを消耗させる事も
ありますまい」
「そうか。では初陣は貴殿に任そう」
「御意!!」
四体のバイオゾイドの鎮座する場所は、斜め上方に向って昇降するエレベータ
の上だった。だが、エレベータのレールは格納庫の天井にて見るからに頑丈そうな
防壁に阻まれている。そしてゾイドの出入りする場所はそのそれぞれ四ケ所以外に
存在しない。
「閣下、失礼しますぞ」
三本角の異形のゾイドは、バイオティラノが座する一際大きいエレベータに
寄り添った。そして、同じく斜頭上を阻む一際大きな防壁に狙いを見据えた。
「食らえィ!!」
トリケラの頭部にある二本の長角が、幾つもの節に別れて射出された。太い
ワイヤーにて繋がれたその先端部が、火花を派手に散らして防壁に突き刺さる。
「ぬん!!」
トリケラは、全身を横に曲げワイヤーを引いた。ギィ、と一瞬の軋みを見せた
後、防壁は更に派手な火花と共に一気に外れた。
次の瞬間、外れた左右二枚の防壁は何故か真横に飛び、トラス構造の起重機を
まっ二つに切断、崩壊させた。
「おっと、これは失礼……」
ゲオルグの言葉に、ジーンはティラノの背から生えた二本の長大な「腕」を
収納しつつ答えた。
「信頼の証と取っておこう。さて、起きるぞ、ティラノよ!」
ティラノは、黒光りする装甲に包まれた長く太い尾をゆっくりと持ち上げる。
そして、その尾でバランスをとりつつ巨体を同じくゆっくと持ち上げた。
次の瞬間、赤い両目が眩く光り、ティラノは周囲の壁を震わせ絶叫した。
リッツ、あんたはコンボイ指令かーー?GJ!!
いきなりバイオ四天王揃い踏みか…どういう対戦カードになるだろか?
727 :
名無し獣@リアルに歩行:2007/01/12(金) 21:00:25 ID:coikZvmt
閉鎖されても続けてくれますか?
流星人間ゾーンが流星ミサイルマイトでバイオ倒す展開キボン
>>727 パ ク リ 対 決 も う や め よ う ぜ
泉ピン子
「俺達の戦いはこれからだ!」
732 :
名無し獣@リアルに歩行:2007/02/08(木) 02:14:27 ID:JXCfcBfg
保守
733 :
名無し獣@リアルに歩行:2007/02/17(土) 18:53:52 ID:/Dl7k0ft
そして二匹の怪獣は伝説の中に消えていった…
>>733 伝説化するのは早ぇよ。
少なくとも俺はまだ続き待ってるよ・・・
735 :
名無し獣@リアルに歩行:2007/02/22(木) 16:24:20 ID:thlKKPGQ
保守っとく
埋め
「もう、ゴールしてもいいよね?」
これが最後のキンゴジュスレとは思えない。
第二、第三のキンゴジュス…ザ・ザザー!
もうみたくない…
めをとじさせてほしい…
もうみたくない…
めをとじさせてほしい…
もうみたくない…
めをとじさせてほしい…
もうみたくない…
めをとじさせてほしい…
もうみたくない…
めをとじさせてほしい…
作者カムバーック!
740 :
名無し獣@リアルに歩行:2007/03/03(土) 19:33:32 ID:mXFHcQqU
モスラVSギルベイダー
とかやってみませんか?
ギルベイダーの相手はキングギドラだろ
ギルベイダーのプラズマ粒子砲が一万度
ゴジラの熱線は十万度
すまんです、そろそろ書きますんで。
ここのところ色々ありまして……
期待あげ
あげ
保守
748 :
名無し獣@リアルに歩行:2007/03/27(火) 14:17:10 ID:G2kdLPOc
この作品ではバイオラプターのパイロット、機械兵なのか?
ほ
とり急ぎ、出だしを載せておきます……
一本道になってりゃ世話無いんだがな…… ディドは若干息切れしつつ思う。
そもそも、この歴史博物館は東側の大通りにある正門に面した入場口から入り、
その『真となり』にある出口から出る順路になっている。彼が行おうとしている
東西の縦断という道筋は、施設の運用から見ると全く想定されてない物なのだ。
大筋では一本道と言えなくも無いが、初めてここを訪れる物が同じ道を辿ろうと
すれば迷う事は必至だ。
その時、聴いた事も無いような絶叫が周囲の壁を震わせた。
…………また何か出やがったのか…………?
立場上、そして冷静さが売りという自負から、ディドは何が出ても驚かない
腹積もりでいたが、それでもその絶叫の異様さは彼が足を止めるに充分たる
動機となった。
「……っと、こうしちゃいられねえ!」
絶叫が何によるものなのかは明らかではないが、少なくとも『何かのゾイド』
のものだろう。聞こえ方からして、KGではない。
「なら何とかなるッ」
ディドは短く呟くと、ほど近い目的地に足を急がせた。
一方、その目的地では。
「!?」
ザイリンは、突如起こった愛機の異様な振る舞いに面喰らっていた。突如として
コクピット内の発光表示が一斉に色を変えたのだ。
「ええい、鎮まれ!!」
その大声が通じたのか、表示はすぐさま元通りになった。
バイオゾイドに限らず、ゾイドが強敵の存在を予感し変調を来たすというのは
良く知られた反応ではあるが、それにも程度の上下がある。
この反応は、決して下に位置するものではない。
…………まずい事になった様だ…………向こうの立場もあろうが……
ギガを、ちらと見やる。
…………どうやら個人のプライドや管轄を超越した事態が懸念されるのでな……
「ガミー! あの中で深刻な事態が起こったとのアラートが在った! 私本来の
任務に基づき秘匿兵器の使用を許可願いたい!」
「秘匿兵器? 辺りの建物ごと野郎を吹き飛ばそうってなら許可できねえぜ!?」
「飛び道具ではない! 少々本機の形態を変えて戦闘力を増大させるだけだ!」
「レイ、そちらも許諾を願いたい!」
「非常事態だ。やむを得まい!」
ガミーも言う。
「確実にあいつを倒せるんだな!? だったら許可する! ただし!! そこいらを
極力ぶっ壊さねえでくれよ!!」
「感謝する!!」
ザイリンは、手許にあるレバーの安全装置を外し、思いきり前方へスライドさせた。
次の瞬間、メガラプトルの装甲が一瞬輝いたと思うや、そこから猛烈な熱気が
陽炎となって立ち上る。
「何が起こる……!?」
ガミーがごくりと喉を鳴らす。デッドボーダーも、この異様な振る舞いに警戒を
見せ、立ち止まった。身を低め、爪を動かすも、それ以上の行動は取れないでいる
らしい。
それから一瞬後に、それは唐突に起こった。メガラプトルの装甲が黒く変色したと
思うや、鼻先からは長大な一本角が、背と尾からはやはり長大な何本もの刺が一瞬に
して生じたのだ。それぞれが、別のバイオゾイド……バイオトリケラ、バイケント
ロ、そして装甲の色はバイオティラノの物に酷似してはいるが、それを知るのは
当のザイリンのみである。
「ゾイドの形が……変わった?」
「バイオゾイド特有の流体金属装甲の応用だ。我々はレボリューションと呼んでいる。
このバイオメガラプトルには他のバイオゾイドの形態情報も入っていてな、それを
発動させたんだ」
レイの疑問に、敵が怯んでいるのをいいことにザイリンは続ける。
「ただし、半ば強引に情報を積み込んだ為、システム的に不安定になるかも
知れないが、そこは御容赦願いたい」
それにガミーが答えた。
「そういう事ぁ先に言うか、ずっと黙ってて欲しかったぜ……」
「使うからには情報開示と秘匿解除の義務があるからな」
言いながらザイリンは変貌したメガラプトルを前進さす。
その一歩に、デッドボーダーは身構えた。
ヴォケではないのか
いずれ進化しそうだが…。
ともあれGJ
他の特徴を持ったオリジナルのバイオなのね。
確かにヴォルケーノへの布石っぽい形してるな・・・
ところで、あまりに久し振りにディドが出てきたもんだから
何するつもりだったんだかすっかり忘れてた俺。すまんディド。
756 :
名無し獣@リアルに歩行:2007/04/13(金) 15:17:07 ID:1udXqOYn
この作品じゃソウタは薬物で適合率強化されてるの?
なんか台詞で薬がどうとかいってたから。
ほ
もアッー!
る
ひ
ぬ
age
764 :
名無し獣@リアルに歩行:2007/05/26(土) 02:58:24 ID:HtN9xyBr
は
る
最近なかなかモチベーションがあがりませんで……
今週中には再開できれば、と……
「エボリューション……?」
「エヴォルト、と言った方が通りがいいかな。とりあえずこの状態はエヴォ
ラプトルとでも呼んでくれればいい」
ザイリンによれば、それはゾイドの発揮する戦闘力に合わせゾイド本体そのものを
変型さす事により、負担や出力を最適化させる技術らしい。
「ガミー、悪いが少し離れてて貰おうか」
まだ慣れてないものでね…… ザイリンの言葉に、ガミーはギガを退かせた。
だが、それにボーダーが素早く反応する。ギガが後退を終えるや否や、黒い巨体
は猛然と更なる巨体へとダッシュした。
「君の相手は私だ!!」
全身から鋭い刺を生やしたような、鉄色の異様なゾイドはそれにむかって真横
から体当たりを喰らわす。細みに似合わぬ強烈な一撃を受けたボーダーは、幾度も
横転を繰り返し、ビルの側面に激突した。
「まだまだ!」
ザイリンは制動を終える間も惜しんで追撃をかける。
エヴォラプトルの背に生えた、剣の如き刺が根元から火を吹き、ミサイルと化し
山なりにボーダーへと打ち込まれた。ビルの脇に横たわるボーダーの周囲に、濠濠と
砂煙が舞う。
「確実なのは、ここで砲か炎で焼き尽してしまう事だが…… 」
ここが廃虚か敵陣か、さもなくば急迫不正の侵略を受けた緊急時か……ともかく
そういった状態にあるならまだしも、この状態で建物ごと敵を吹き飛ばしていいとは
ザイリンには思えなかった。なにしろここは外国であるし自分は外交官特権も治外
法権も無いのだ。
…………格闘戦で追撃するにせよ、まだ危ないな……
「おい! 何やってやがる!! 追い討ちはどうした!!」
「砂煙で状態がよくわからん! 手荒な真似を許可してくれるというなら手段は
選ばんのだがな! いずれにせよ手応えはあった!」
それは確かだ。先刻射出した「バックランス」は火薬を抜いてあるため、命中
しても爆発はしない。その為、命中すれば鋭い金属音がする。それが彼の耳には
確かに聞こえていた。
最近、大規模な進行系の媒体が無いから、ZOIDS熱を維持するのも厳しいのね。
模型誌も今一つだし。
ゾイドサーガ・シリーズやると、ちょっとだけモジベーション上がるよ。
おっしゃる通りの有り様でして……
そろそろコトブキヤのコマンドウルフも出る事だし、
なんとか温度を上げてみますわ……
ほしゅ
結局ランスで仕留められ・・・ないよなぁ流石に
ほ
も?
さ
ぴ
777(σ・∀・)σゲッツ!!!
一方、その頃ゴジラはキングゴジュラスを倒していた。
劇終
779 :
名無し獣@リアルに歩行:2007/08/12(日) 21:21:19 ID:KJZZQmP4
キャスト
780 :
名無し獣@リアルに歩行:2007/08/12(日) 21:27:25 ID:2c+XYukJ
地球防衛軍vsキングゴジュラス
ジェノサイドキャノンと荷電粒子砲ってどっちが強いんだろう…
一方、その頃キングゴジュラスはゴジラを倒していた。
劇終
今、この星にいる人類は、ゾイドと共通の先祖を持つという。歴史の中で
ゾイドとは無縁の地球人の血が入ったとはいえ、それしきで人とゾイドの絆は
断てないものらしい。
ラプトルが捉えた着弾音は、ラプトルが感じた感覚そのままにザイリンに
伝わっていた。機械だけのマイクロフォンでも工夫を懲らせば同じ事は可能
なのだろうが、ゾイド乗りにとってはそれも下手な小細工にしか過ぎない。
「レイ!!」
若きレオマスターは、にわかに結成されたパートナーの声色を聞いて
とった。それは、明らかなる危険信号だった。奇しくも、ライガーもまた
同時に危険を伝える「波動」を発していた。
半ば無意識に、レイはイヤホンの音にライガーの聴力を割り込ます操作を
する。
獣形ゾイドの耳は伊達についているわけではない。主として獣形は音を、
恐竜を含む爬虫類形は光を捕らえる能力が高いという。ゴジュラスやデス
ザウラーのバリエーションに両目に相当するセンサーがついているのは
その為だ。そして、ライガーやウルフの両耳もまた然り。
ライガーが、そしてエヴォラプトルが横跳びに飛ぶ。砂煙の尾を引き、
黒光りする何かが両者の間を貫いた。
何か、が何なのかは言う間でも無い。
着地と同時に、ザイリンが吠えた。
「落ち着け! あの音からして、必ず何処かにダメージをうけている筈!!」
「落ち着いているさ! 危機感は痛い程持ってるがな!!」
だが、砂煙の中から悠々と現れたそれは、レイの言葉が皮肉にしかならない
程に落ち着き払っていた。
全身の装甲に傷を負いながらも、黒いゾイドは苦痛の素振りも見せず
先刻と何ら変わる事無い足取りで歩を進めた。
そしてその片手には、エヴォラプトルが放ったランスが、悪魔の槍の様に
握られていた。
伝統の厨設定初号機、槍持ちデッドに期待
「おい、兄さんがたよ……」
「やぶ蛇というのならお詫びする。だがこれは正直不測の事態だ!」
ガミーの言葉に、ザイリンが反論する。
「わぁったよ…… で、どうする?」
「とりあえず、あなたは下がっていてくれ。こう言っては何だが、一番マトに
なりやすい!」
ザイリンは、言うが早いかラプトルをボーダー目掛けて突進させた。
直後、ラプトル体が火花を上げる。そして次の瞬間には。
「!!」
ザイリンは言う。
「時には力技も有効だな」
発言が終わると同時に、先程までボーダーが握っていたランスが上空より
石畳を貫いた。
ラプトルは、突進しつつも再び生やした背のランスで、ボーダーのランスを
弾いたのだ。
「お遊びは終りだ!!」
ラプトルの口腔に、光が集まる。だが、
「!!!!」
見えないバネにでも弾かれたかのように、ラプトルは上空へと勢い良く
放られた。同時に、身を翻して起き上がったボーダーは、その短く強い尾で
落下してきたラプトルをバッティングした。
低出力のG−カノンによるものだ。
しかし!
更に次の瞬間、機械獣の絶叫がミュージアム前にこだました。
一条の閃光。白熱化し、弾け飛ぶ金属片。閃光は勢い余りミュージアムの
屋根付近を粉砕した。
「……狙いが逸れたか!!!」
ボーダーは、背から白煙を上げ転げる。だが、それは彼の敵にとって
充分なダメージではなかった。
G−カノンは、まだ一基残っているのだ。
ほ
し
い
か
マダー?
だいぶ息が長いよな
焦らず待とう
保守
すいません、スレが落ちたものと勘違いしてたみたいで……
明日(11/24)にでも再開します……
保守
保守ったらぁ〜!
もう4ヶ月も投下無しか……
気長に
保守
799 :
名無し獣@リアルに歩行:2008/01/05(土) 18:16:45 ID:xXvmEuxy
一応ageておくか
800 :
名無し獣@リアルに歩行:2008/01/05(土) 18:47:50 ID:6Cctnp+P
カ
長らくお待たせしました……
「この機を逃すかッ!」
ザイリンは転がす様にラプトルを起き上がらせ、再度敵に突進を試みた。
「なに!?」
突如、ラプトルの膝が崩れる。落下のダメージは、致命傷とはいかないまでも
彼にとって機を失うには充分すぎるものだった。
デッドボーダーの暗黒の大口が、一瞬にしてラプトルの首を捕らえる。
一度、二度、三度と、悪童に振り回される玩具のように舗装道路へとラプトルは
叩きつけられる。
……………………やるしか……ないのか………………!?
ザイリンは、思考だけは冷静にそう思った。
……次のエヴォルトを………………!!!
しかし、ボーダーの動きが突如止まった。
通信に、男の声が聞こえる。
ああ、間違ってバラしちゃった……
名残惜しいけど、名前変えますね
「よう、助太刀に来たぜ!」
顔を上げれば、逆さになったラプトルの視界に見なれぬ青いゾイドが立っている。
否、見慣れぬ、というのはこの場限りにおいての話であり、決して知らないゾイ
ドでは無かった。…………カノンフォート?
「待たせちまったかな?」
「その声はディドか!?」
上官の大きなだみ声に、声の主は肯定の返事をする。
「……って、おめえ、そりゃ俺がさっき始末した青ベコ野郎じゃねえか!」
つい十数分ほど前の事である。忘れもしない。この青牛は、ギガが砲撃に耐え、
力任せに捩じ伏せ屈服させたのだ。
「いや、確かにカノンフォートの攻撃は有効だ……」
レイ・グレッグが呟く。
ライガーやラプトルだと、敵を組み伏せた後に砲撃するか噛み付くかの2アク
ションが要求される。ストライク・レーザー・クローなどの高等技術を用るか、
直に噛み付くかすれば手間は省けるのだが、タイミングを失すれば直後のリスクは
絶大だ。しかし、翻ってカノンフォートの角ならば文字どおり一突きの1アクショ
ンで済む。しかも、ブレードライガーの刃だと一歩横に出られれば正面衝突だが、
これは正に正面衝突こそが最大の攻撃となるのだ。
「チーフ、手っ取り早く済ませたいなら、ちょっと俺にやらせてくれないか……」
ディドは、言いながらも額に一筋の汗が伝うのを感じていた。
803 :
340 ◆Zxr4mL4/iU :2008/01/07(月) 01:56:58 ID:qD0Hh1/S
実を言うと、本来なら5年くらい前に完結する予定だったんですが……
最近はゴジラもゾイドのアニメもやってないけど、まだコトブキヤの
プラモとかもあるんで(あとゾイドグラフィックとか)今年中には
完結させる方向で何とかしてみますわ。
>>803 ゾイドに対する熱意を維持する、バトストも書く、
販促の乏しい中で両方やらなくちゃいけないのが辛いところだな
単なる一名無しだが陰ながら応援してます。
やっぱ良い作品はちゃんと最後まで見たい!
しかしもう5年間も続いてるのか……
まさかゴジラもZOIDSもここまで落ちぶれるとは予想もできなかった
806 :
名無し獣@リアルに歩行:2008/01/30(水) 01:58:20 ID:m5/uESEJ
一応保守
807 :
名無し獣@リアルに歩行:2008/02/15(金) 10:19:59 ID:cnwkQtOH
またまた、保守。
なんという良スレ
保守
保守しなくても問題ないぞ
なぜなら、この俺が保守するからだッ!!!
オイお前ら、いきなり新着レスが3もあるとドキドキしちゃうんだぜ?
ゴジラはメカに弱い!!
いつになったら戦うのだろうか……
こうなったらHAKAISYA参戦も希望だ
このスレ何人くらいROMてんだろ
>>817 少なくとも3人はいるな
職人とお前と俺
@w@
いつキンゴジュでるの?
ほ
>>817 少なくとも4人はいるな
職人とお前と俺とエヘヘ
不覚にもワロタw エヘヘwww
じゃあ俺も加えて五人な
6
ここで7人目登場
8人目。
(゚Д゚≡゚Д゚)<9人目の俺もいるわけだが
てことは自分が10人目か
案外いるな
11人いる
サッカーチーム作れるな。
12人目。
13人目。
833 :
名無し獣@リアルに歩行:2008/04/29(火) 18:14:25 ID:1kA+g7ZR
どんな流れだw 14
こんな流れで15人目だ。
16
17人目。
18人目。
ある意味キングゴジュラスとメカゴジラの戦いも見てみたい。
サイズ合わせが急務
19人目。
20人目!
21人目。
22番
23
24人
俺3人目のやつなのだがなんだこの流れはwwww
みんなのエネルギーが作者に注がれる流れです
見てるだけが多いんじゃないか?
ジロジロ
25人目?
じゃぁ26人目。
27人目
>>851 ここは強さを検証するスレじゃないから。
ストーリー投下スレだから。
28人目。
職人マダー?
29
30人目。
31
32
33
職人まだ?
1週間ぶり
だいぶ過疎ってるな
キングゴジュラス発売までには続きを見たいです
職人まだ?
34人目登場
俺35人目
36人目
37
38人目か
39人目
40人目
職人まだ?
>>872 2〜3ヶ月経ってるならともかくたかが一週間と少し程度で催促するのやめないか?
一週間と少し……?
半年くらい投下されてないんだが
↑41人目
今更だがこれ昔はリレーSSだったよな
もしもこのまま作者が消えてしまったら他の誰かが……
いや、他人がこの世界観を引き継ぐのは無理か
マゴマゴしてるとマイバトストスレの方でキンゴジュ出ちまうぞ
うん?
随分前に二作ぐらい出してたし、別に出てもこっちに問題はなくね?
期待してるぞ。
一週間ぶり
42人目
8日ぶり
43人目
8日ぶり
44人目
このスレたってからもう5年になるのか、
前スレから数えると7年くらい経つのかな?
そろそろ誰か投下して欲しいな。
>>888 このスレに投下していいのは340 ◆2V5TMXGvAs ただお一人のみ!
>>889 340 ◆ARwUPMzhD2じゃないのか?
途中でトリップ変えた模様
ややこしや〜
803 :340 ◆Zxr4mL4/iU :2008/01/07(月)
再びトリップが変わったし
もう半年投下されてないのか・・・
待ち遠しい
ミニラの登場キボン(リトルゴジラでも可)
340さ〜ん!
そういやゴジラ以外の怪獣出てないな
出るとしてもギドラとか宇宙から来るやつしか無理だろうけど
340様に期待
もう誰か勝手に続き書いてしまえよ
止まってる期間がH&H並みに長すぎるぞ
340さ〜ん!
誰か続き書いて
903 :
名無し獣@リアルに歩行:2008/08/24(日) 20:14:33 ID:jgwF+n0E
340さんが、引退宣言しない限り、別人が続きを綴るのはスマートじゃないな。
340さ〜ん!かもーん!
キングゴジュラスって何であんなに無駄にゴテゴテしててダサいの?
>>903 てか、前任者のレベルがあそこまで高いと
殆ど誰がやっても見劣りしちゃうんじゃ……?
間違えた340 ◆Zxr4mL4/iU 様でした
続きが気になる
>>905 何でもかんでもゴテゴテさを排除していったら宇宙人のグレイみたいなノッペリになっちゃうよ
そうだね、
どう見てもメカゴジラです本当にry
ゴジラ対メカゴジラか?
キングゴジュラス対メカゴジラならどうでしょう?
メカゴジュラス
最強だな、キング
バイオゴジュラス
もしこのまま340氏が失踪したまま1000超えたらどうするんだろ
一応次スレ立てるのか?
最後の書き込みから約7ヵ月か・・・
340様どうしたんだろうな?
マカゴジュラス。
メカキングゴジュラス
923 :
名無し獣@リアルに歩行:2008/09/03(水) 19:25:40 ID:KMpxxrUA
メガキングゴジュラス
ギルキングゴジュラス
ギガキングゴジュラスギガ
際限がつかなくなるww
ドスキングゴジュラスギガmk−2限定型
無限キングゴジュラス
ここ何のスレだっけ?
ゴジラほど愛くるしく魅力的なキャラクターはいない。
>>930 340様によるストーリー投下スレじゃなかった?
933 :
名無し獣@リアルに歩行:2008/09/08(月) 21:39:29 ID:LJsCA6bt
2週間で落ちそうな予感
935 :
名無し獣@リアルに歩行:2008/09/10(水) 16:50:24 ID:aYmTqHI5
残りレス数少ないんだから無駄に埋めるなよ。
どうせ逃走したんだからさっさと埋めたほうがいいのでは?
340様まだー?
ゴジラの赤色の熱線って三種類あったよな。
何が違うのかよく分からんが、一番強力なやつの直撃を受ければキンゴジュもやばいんじゃないか?
そりゃやっぱゴジラの方が・・・
ゾイドの武装でゴジラにダメージを与えることが可能なのってスーパーサウンドブラスター以外あるのか?
荷電粒子砲
致命的なダメージじゃないだけであって、74式戦車の105o砲レベルもダメージを与えているよ。
もう340様の続きはないのかな・・・
>>942 ギルカノンのプラズマ粒子砲でさえ三万度だから辛いと思う
ちなみにゴジラの熱線は十万度と言う設定
ゴジラつえー
真剣に考えると
ゴジラの熱線が10万度ならキノコ雲が上がるし、周囲の被害もあの程度じゃすまないし
荷電粒子砲が光速なら、発生するエネルギーは計算上∞ということになってしまう
いつの間にかゴジラスレ
実際どうなんだろう。
百万度の炎を吐けるジャミラに初代マンは大して苦戦せずに勝ってるし
一億度の炎を吐ける設定のベロクロンがエースをそこまで苦しめたというワケでも無いらしいし、
そのくせ一万度しか無い炎を吐くバードンが兄弟最強のはずのゾフィーの頭燃やしたりと
今でも最強怪獣の一角と言われる程だし
次スレどうする?
>>947 つゴジラ・モスラ・キングギドラ大怪獣総攻撃
キノコ雲上がってるぞ
955 :
名無し獣@リアルに歩行:2008/09/19(金) 20:32:27 ID:lm9fPjFb
とうとう埋める奴が出てきたか・・・
957 :
名無し獣@リアルに歩行:2008/09/20(土) 06:28:48 ID:piojK3ed
340様はどこへ・・・
みんなの心の中にいるさ
この続きは?
961 :
名無し獣@リアルに歩行:2008/09/21(日) 08:44:54 ID:fS5vpUxv
340さ〜ん!
963 :
名無し獣@リアルに歩行:2008/09/22(月) 07:16:06 ID:nn6fczAF
何で埋めてるんだよ?
キングゴジュラス再販までに何か動きがあればいいのだが……
340様復活まだー?
で、次スレはどこだ?
やっとキングゴジュラス完成した
しかし何度見ても角のはえたゴジラにしか見えない
そろそろ340様戻ってこないかな〜
もう「ゴジラとキングゴジュラス」ってお題で
色んな人が各自それぞれ色んな話を書くってスレに
しても良いんじゃないかな?
そのスレタイでいいんじゃない?