1日目
(夜)
バス到着・ゲーム開始
アトモ〜もるが下っ端部隊死亡
2日目
(朝) 人工知能改・メイド2号合流
農協跡大作戦開始
人工知能改・メイド2号診療所へ→酔狂先生合流
(昼) 高津VS弐式
(夜) 酔狂先生の告白
ケンプファー零式カスタムVSちんかす
診療所、ちんかすの襲撃
ちんかすVS人工知能改
ファイズ、人工知能改救出
3日目
(昼) 灯台、人工知能改目覚める
灯台の惨劇
神社、メイド2号夢を見る
灯台、ファイズVSちんかす
人工知能改、回想シーン
ファイズVSネネネ
雨中、メイド2号ネネネと遭遇
ネネネ、旦那様登場で逃亡
人工知能改合流
廃工場、マッコイVSファイズ
廃工場、マッコイVSネネネ
廃工場、ネネネVSちんかす
乙乙乙!
久しぶりに話が進んでいてびっくりした!
職人様乙!
農協跡地周辺は静まり返っていた。
その古びた建物の中で4人のコテが作業を続けている。
建物2階では立岡ゆうてんがパソコンを使って何かをしている。
1階のフロアではパトライジャーとAZ対空ミサイルが商店街のおもちゃ屋から拝借してきたゾイドと材料を使い、改造ゾイドを作っている。
同じ1階。二人から少し離れたところで7uLI/zoidsが時折「ヒヒヒヒヒ…」と奇声をあげながら何か作業をしている。
「商店街の人たちはこの島がゲームの舞台になっちゃったんで、追い出されてしまったんですかね」
パトライジャーがつぶやく。
「たぶん。でもこんな小さな島なのに。おもちゃ屋があってラッキーだったよね。」
AZ対空ミサイルが答える。
「でも、良かったんですかね?勝手に持ってきちゃって。ついでに随分荒らしてきちゃったし。」
彼らの傍らには、東京都内では珍しくなった希少なゾイドが積まれている。
「やっぱり、田舎のおもちゃ屋は狙い目って本当なんですね。まだゴルドスやウルトラザウルスが置いてあるなんて驚きましたよ。」
「もう少し時間があれば棚の上とか倉庫とか探せたんだけど。もしかしたらギルとかキンゴジュとかもあったかもね。」
二人は何気ない会話を交わしつつ作業を続けている。
彼らが立岡ゆうてんに頼まれた材料を調達するために商店街へ向かったのは、ゲーム初日のことだった。
商店街に小さなおもちゃ屋を見つけ、そこで必要な材料と目に留まった希少ゾイドを確保。
ふと、棚の奥にゴルドスを見つけ、まだ珍しいものがあるかもしれないと期待に胸躍らせたが、
残念なことに商店街禁止エリアになってしまった。
そして、止む無く農協へ戻ってきたのだった。
「それにしても、俺ら何してるんですかね?」
パトライジャーが問う。無理もない。ゲーム初日から聞こえる銃声と、旦那様の定時放送により伝えられる氏亡したコテ。
そんな中、自分たちはいったい何をしているのだろう。疑問に思わないはずもない。
それでも彼らが作業を続けるのは、立岡ゆうてんの自信に満ちた表情故だろうか。
信じてみよう。信じていれば、生きてこの島から出ることができるかもしれない。
「完成!」
AZ対空ミサイルが叫んだ。
ふうっと息をつくパトライジャー。持ち寄ったゾイドとジャンクパーツ、そしておもちゃ屋から持ってきたゾイドを使い完成させた改造ゾイド。
それはケンタウロスだった。
「7uLI/zoids氏の持ってた写真と『ゾイド改造マニュアル』の写真かを参考にってのはかなり難しかったけど、完成できて良かったです。」
「あとは塗装だけですね。何色がいいか考えないとなぁ。」
「じゃあ、俺が立岡さんに報告してきます。」
パトライジャーが足早に階段を駆け上がって行った。
「乙なわけだが。」
報告を聞いた立岡ゆうてんが二人をねぎらう。
「1階の軽トラに積んでください。7uLI/zoids氏の方ももうすぐ終わると思いますから。」
農協に放置されていた軽トラックはなんとか動かせるように修理されていた。
そこにケンタウロスを積み込む。
塗装まで終えることが出来なかったのがやや不満だが、時間がないようなので諦めることにした。
「おーい。こっちのも積みこむんで手伝ってください。」
7uLI/zoidsが言った。AZ対空ミサイルとパトライジャーが彼のもとへと向かう。
「うわっ。何すかこの臭い?」
顔をしかめるAZ対空ミサイル。
「奥の倉庫に転がってた農薬とか色々を配合してもらったんです。」
立岡ゆうてんが2階から降りてきた。
「これをこうして…ここに繋いで…よし!」
立岡ゆうてんが満足げな笑みを浮かべ言った。
「ねえ。いい加減どういうことか教えてくれませんか?」
パトライジャーが不機嫌そうな顔をし聞いてきた。
立岡ゆうてんのパソコンを起動しメモ帳を開き、カタカタ…とキーを弾く。
『何が?』
パトライジャーがキーを叩く。
『本当の目的は何?』
そして、立岡ゆうてんは再びキーを叩き始めた。
その内容は、何も知らされていなかったAZ対空ミサイルとパトライジャーにとって驚くべき内容だった。
農薬や化学薬品を調合し容器に移す。それに立岡の用意したもの…通電装置や雷管などを接続し、簡易爆弾を作る。
その簡易爆弾を軽トラックに積み込む。
本部のコンピューターを制御不能にする。そして旦那様たちのいる本部に軽トラックを突撃させる。
本部があぼーんしたところで島から脱出する、という壮大な計画だった。
「何で俺らには話してくれなかったんだ?」
AZ対空ミサイルがやや語気を荒げて聞いてきた。
立岡ゆうてんはしばらく考えた後キーを叩きだした。
『二人を除け者にしようとか、そういうんじゃないわけだが。ただ、常に盗聴されてたりするし、気が抜けなかったわけだが。』
モニターを見つめるAZ対空ミサイルとパトライジャー。
沈黙をやぶるように、7uLI/zoidsがポツリとつぶやく。
「二人ならきっと信じてくれると思ったからですよ。生き残れるという言葉を。」
その言葉を聞くと二人はなんとも気まずいような、そして気恥ずかしいような笑顔を浮かべていた。
「さあ、仕上げです!あと少しで全部お終いなわけだが!」
立岡ゆうてんが大きな声で叫んだ。
「ハハハ、コヤツめ。」
パトライジャーが言う。
「ハハハ。」
AZ対空ミサイルが笑う。
「帰ったら何しよう。」
「本部の機能が麻痺したら、おもちゃ屋寄って倉庫漁りませんか?」
一同の結束力を再確認し、島から脱出することを想像して立岡ゆうてんは嬉しさで満ち溢れていた。
その時、ふとAZ対空ミサイルが言った。
「先生!質問です!俺らの作った改造ゾイドは何か意味あるんですか?」
その疑問に立岡ゆうてんは7uLI/zoidsと見つめあい、
「うーん。あれはほら、旦那様って改造大嫌いじゃないですか。だから、その…嫌がらせ?みたいな…」
と、バツの悪そうな表情で答えた。
AZ対空ミサイルは憮然としている。
「先生!質問です!何で人工知能改に用事があったんですか?」
今度はパトライジャーが問いかける。
「あれは…ほら、旦那様が激しく嫌がるような改造の案を聞きたいなぁ…と。オメガマンティスを越えるような…」
立岡ゆうてんが答えた。
「結局、俺ら意味ないことしてたってことですか?」
AZ対空ミサイルが突っかかる。
「意味はありますよ。」
と7uLI/zoids。
「物理的攻撃と精神的攻撃。そんな感じです。」
AZ対空ミサイルとパトライジャーの釈然としない気持ちは解消されなかった。
「さ、さて。気を取り直して作戦決行です。」
立岡ゆうてんがフロッピーディスクを挿入する。
『このjpegファイルは実は偽装したタチの悪いウイルスです。これを旦那様に送信します。』
「今時、不用意に添付ファイル開く馬鹿っていないでしょ?」
AZ対空ミサイルが言う。機嫌はまだなおっていないようだ。
『大丈夫。香具師はああ見えて本物の馬鹿ですから。』
そういうと立岡ゆうてんはメールを打ち始めた。
廃校舎。本部として使われているこの建物では慌しく迷彩服を着た連中が作業をしている。
モニターで生き残っているコテたちの現在地を確認する者、通信をする者。
そんな中、旦那様はソファーに腰を下ろし、パソコンのモニターに向かっている。
「こんな時でも自分のスレをおろそかにしてはいけません。私はプロレス板でも有名なコテなのですからね?(苦笑)」
その時、メール着信を知らせるアラームが鳴る。
「おや?誰でしょう。こんなときにメールですか?(苦笑)」
メーラーを起動させると、新着メールが1通届いていた。
「送信者…メイド1号?なんと、1号さんからメールではありませんか!」
件名『ご無沙汰いたしております、旦那様』。
喜ぶ旦那様。ゾイド板住人たちの陰謀で自分の元を去っていったメイド1号。彼女が再びメールをしてきたのだ。
メールを開くとそこには、
ゾイド板の程度の低い名無しのせいで、心ならずも旦那様の元を離れなければいけなかったことが今でも心苦しい。
もし、お許しいただけるのならまた再び旦那様の元で働かせていただきたい。
私の夢は、120氏を筆頭とする無知蒙昧なゾイド板住人が旦那様の理念に賛同し、真の楽しみ方を学び、未来永劫旦那様に従うこと。
と書かれていた。涙し喜ぶ旦那様。
「よいでしょう…私は貴女を忘れたことなどありません。よいでしょう…再び共に歩みましょう!(苦笑)」
メールには、「真実の、生まれたままの私」というファイル名のついた画像ファイルが添付されている。
旦那様は、ためらい無くそのファイルを開いてしまった。
続きが来ないので保守しないわけにはいかない
「おや?変ですね?何も表示されませんよ?(苦笑)」
メイド1号の画像はどうなってしまったのだろう。旦那様はモニターの前で呆然としている。
しばらくすると、突然画面が真っ暗になりマウスやキーを一切受け付けなくなってしまった。
「また壊れたのですか?折角バン・フライハイト博士に修理していただいたというのに…クッ。」
やれやれ、と頭を振る旦那様。周囲では慌しく軍服姿の名無し獣が働いている。
その時だった。
モニターに一行、文章が表示された。
(゚Д゚≡゚Д゚) < 俺 し か い な い わ け だ が
ピーという甲高い警告音が響き渡る。
それを合図にしたかのように、本部のコンピューターが一斉に操作不能になる。
そして、画面いっぱいに表示される「(゚Д゚≡゚Д゚)<俺しかいないわけだが」。
うろたえる名無し獣たち。
「何をしているのですか!いったい、どうしたというのです、ムッシュ!(苦笑)」
旦那様も狼狽している。
「私はなにもしてはいませんよ?(苦笑)」
そう、ポツリと言うと旦那様は気づかれないようにそっと、慌ててパソコンの電源を落とした。
「よし!行くぞ!!」
立岡ゆうてんが言う。
「本部が復旧するまでおよそ10分くらいです。急ごう!」
と、7uLI/zoidsが皆を急がせる。AZ対空ミサイルとパトライジャーは真っ先に農協の外に飛び出していた。
運転席に立岡ゆうてんが、荷台にAZ対空ミサイルとパトライジャーが飛び乗る。
しかし、7uLI/zoidsは軽トラックの脇で立ち止まっていた。
「どうしたんですか!急いで!」
AZ対空ミサイルが急き立てるように叫んだ。
荷台から飛び降りるとパトライジャーは7uLI/zoidsの元へ駆け寄る。
7uLI/zoidsが立ちつくし呆然と見つめるその先には、一人のコテが佇んでいた。
「みんな…こんな所にいたんだね…」
暗闇からぼんやりと姿を現しながら、そのコテは言った。
ふと、パトライジャーが7uLI/zoidsへ視線を移すと、7uLI/zoidsはその人物へ向けロングレンジキャノンを構えていた。
「何してるんですか!」
パトライジャーが問う。しかし7uLI/zoidsは闇の向こうから視線をはずさない。
ゆっくりと、そのコテが歩みを進める。月明かりに照らされ、ようやくそのコテの姿が見えてきた。
「…ルだ……。」
ぽつり、と7uLI/zoidsが言った。表情が強張っている。
「ボクだよ…ヒドイやみんな…ボクをひとりにしてさ…」
コテが言った。ふらふらと、頼りなさげな歩みで近寄ってくる。
「アイツは…キルだよ!」
7uLI/zoidsがロングレンジキャノンの照準を合わせた
「キル?…なんで今更…?」
二人の会話を聞いていたAZ対空ミサイルが疑問に思う。
「そんなのどうでもいいから早く!急げって!!」
運転席から立岡ゆうてんが語気を荒げて言う。
「撃たないでよ!ボクは何もしないよ!」
キル(出席番号7番)が言う。
キル。かつて、ゾイド氷河期にゾイド板に現れた厨房。
ゲーム系スレを手始めに、最終的にはほぼすべてのジャンルのスレッドを絶望へと追いやった、悪名高きコテ。
彼の登場により多くの住人がゾイド板を去ってしまった。
そして話題の乏しい氷河期と極度の過疎化によりゾイド板は衰退の一途を辿ることになってしまったのだった。
「お前だけは…許さない!」
7uLI/zoidsは照準を合わせたまま一歩、また一歩とキルへと近づいていく。
「やめてくださいよ!今、アイツを撃ったって仕方ないでしょ?俺らにはやるべきことがあるでしょう?」
パトライジャーは7uLI/zoidsの前へと進むと掴みかかり、彼を制止しようとした。時間が無いのだ。
そのパトライジャーの掴んだ手をを振りほどくと、
「香具師にどれだけスレが荒らされたと思ってんですか!香具師のせいで…どれだけの名無しが去ったと思ってるんですか…」
7uLI/zoidsが悲痛な叫びをあげる。
「アンタらにはわからないだろうけど、あの頃のゾイド板はアイツのせいで悲惨だったんだよ!」
7uLI/zoidsに臆したキルが、その場から逃げようと後退り始める。
「お前さえ!お前さえいなければ!!」
逃げ出すキルに再び照準を合わせると7uLI/zoidsは引き鉄に指をかけた。
「止めろー!!」
という、パトライジャーの静止は届かなかった。
ズドンッ!という音が二回響き渡るとキルの額と胸が爆ぜた。
キルはよろよろと二歩三歩と歩き、ガクリと膝をつきうつ伏せに倒れた。
「ボクは…ボクは…」
最期の力を振り絞り、うわごとのようにつぶやくキル。
そんなキルを一瞥すると、7uLI/zoidsはもう一度引き鉄を引いた。
□氏亡確認□
・出席番号7番 キル
【残り 8人】
「7uLI/zoidsさん!何するんだ!」
パトライジャーがキルに駆け寄る。動かなくなったキルに手を掛けゆする。
みるみるうちにパトライジャーの顔が青ざめていく。
「氏んでる…」
7uLI/zoidsはロングレンジキャノンを構えたまましばらく動かなかった。
ざまあみろ。そんな言葉が頭の中に響いていた。
自業自得。今まで生きていられただけでもありがたく思え。
これは奴が撒いた種だ。なんの問題も無い。
そんな思いが頭の中を駆け巡っていた。
ゆっくりとキルに歩み寄る7uLI/zoids。その7uLI/zoidsをパトライジャーが睨んだ。
「何でだよ!何でキルを頃した!」
7uLI/zoidsはキルとキルを抱きかかえるパトライジャーを見下ろしたまま、その問いに答えた。
「アイツが何を考えているかわからなかった。アイツのしてきたことを思うと…俺たちの計画を邪魔する気じゃないかと思って」
その言葉を受け、パトライジャーが言う。
「アンタは私怨晴らしただけじゃないのかよ!」
7uLI/zoidsも語気を荒げて応える。
「アンタにはわからないだろ!アイツのせいでどんだけ板が荒れたのか!」
キルにより蹂躙されるスレ。住人たちの嘆きと悲しみ。去っていく住人。閑散とする板。
悪夢のような日々。思い出すだけでも腹が立ってくる。
「今、やるべきことはキルを頃すことじゃないだろ!俺たちにはやらなきゃいけないことがあるはずだろ!」
7uLI/zoidsの肩を掴み、パトライジャーが怒鳴った。
ここで今、言い争ってても意味ないだろう…
AZ対空ミサイルが埒があかないと判断し、二人の元へ走り出す。
その時、ぱららららら…というタイプライターのような音が聞こえた。
一瞬遅れてAZ対空ミサイルの身体が弾け飛んだ。
7uLI/zoidsは身体に受けた無数の痛みでようやく覚醒した。
眼前には、動かなくなったAZ対空ミサイルと倒れもがくパトライジャーがいる。
おそらく、パトライジャーへ放たれた銃弾、その流れ弾をもらってしまったのだろう。
致命傷だ。しかし、おかげで意識がはっきりしてきた。
「立岡さん!やばい!逃げろ!」
事態をいち早く察した立岡ゆうてんはパトライジャーが撃たれたその時、素早く軽トラから降り、物陰に身を潜めていた。
計画は完璧だったはず。しかしなぜ、こんなことになってしまったのか。
パトライジャーのうめき声と、7uLI/zoidsの叫び声が聞こえる。しかし、襲撃者の気配は消えている。
「(゚Д゚;≡;゚Д゚)<お、俺しかいないわけだが?」
背後でカチャリと金属音がして、立岡ゆうてんが振り返る。
「(^Д^≡^Д^)<俺もいるわけだが。ギャハッ!」
パンッという音が響き、立岡ゆうてんの眉間を鉛の塊が貫通。
立岡ゆうてんはゆらりと前のめりに倒れた。
(^Д^)ギャハッ!
楽しそうに笑いながら、立岡ゆうてんに鉛の弾を喰らわす襲撃者。
ギャハッと笑うたびに弾丸が放たれ、立岡ゆうてんの身体が弾ける。
「なんて奴…止め刺してんのか…」
パトライジャーは襲撃者の姿を確認しようと身体に力を込める。
腹に開いた穴から血が吹き出てくる。
「あれは…ちんかすか?」
もう痛みすら感じなくなっていた。ただ身体中が熱いだけ。
しかし、不思議なことに意識はますます冴えてくる。
AZ対空ミサイルと立岡ゆうてんは横たわったまま動かない。
ちんかすに気づかれぬよう、そっと首を動かしあたりを見回す。
そして、7uLI/zoidsがかすかに動いていることに気がついた。
7uLI/zoidsは中空を見つめていた。
今までの出来事が頭の中をぼんやりと駆け回る。
後悔、懺悔。みんなあいつにやられてしまった。AZ対空ミサイルは確実に。
目の前で弾け飛んだAZ対空ミサイルの姿が脳裏に浮かぶ。
立岡ゆうてんは?パトライジャーは?
全身が熱く、思うように動いてくれない。まるで頭以外は誰か別の身体にでもなってしまったかのようだ。
その時、かすかに彼を呼ぶ声が聞こえた。声のするほうへと首を返すと、そこにはパトライジャーがいた。
彼は生きていた。が、自分と同じように身体の自由がほとんど利かない様子だった。
パトライジャーが何かを訴えていることに7uLI/zoidsは気がついた。自分のポケットを指差している。
(ポケット・・・?)
7uLI/zoidsは即座に理解した。恐ろしいくらい頭が冴えている。
(これもこの痛みのせいか?なら奴に感謝しなきゃな。)
ポケットには、立岡ゆうてんから預かった起爆スイッチがある。今なら・・・奴が軽トラックのケンタウロスで遊んでいる今なら・・・
パトライジャーは再度全身に力を込めた。自分の支配から離れてしまったような重い身体。もう一度動け、と。
よろよろと立ち上がるとちんかすに向かい走り出した。
ケンタウロスに夢中になりすぎていたちんかすの反応が遅れた。銃弾を放つがパトライジャーの急所を捉えることができない。
雄叫びをあげるパトライジャーが突進してくる。
がしっと、覆いかぶさるようにちんかすの四肢を押さえ込むパトライジャー。もがくちんかす。
「今だっ!」
とパトライジャーが叫ぶ。7uLI/zoidsは手にした起爆スイッチに指をかける。
パンッ!と、大きな炸裂音がした。ちんかすの放った銃弾が7uLI/zoidsの額を捕らえたのだ。
破裂音にかき消され、パトライジャーとちんかすには届かなかったが、7uLI/zoidsには確かに聞こえていた。
カチッと、スイッチが押された音が。
ニヤリと笑うと7uLI/zoidsは崩れ落ちた。7uLI/zoidsが崩れるのと同時に、辺り一面は閃光と轟音に包まれた・・・
ここまでのあらすじ
2003年、暮れも押し迫った12月─
ゾイド板住人による大規模なオフ会が開かれた。集合場所は池袋。
貸し切りバスに乗り込み、会場へと移動する住人たち。
その時、バスの中に催眠ガスが噴射され・・・
気がつくと、そこは使われなくなった古い学校の教室だった。
教壇に立つのはあの旦那様。
そして旦那様は言う。
「そこで、今日はみんなにちょっと殺しあいをしてもらいまーす。(苦笑)」
ルールは簡単。
3日間お互いに頃しあい、最後に生き残った者が勝ち。
そして長い長い、3日に渡るゲームが開始される。
ただ生き残りたいと願う者。
このゲームをやめる方法を模索する者。
協力し合い生き残ろうとする者。
そして、ゲームに乗った者。
2ちゃんねるBR法のもと、彼らは凄惨な殺戮を繰り広げることになった・・・
人工知能改。彼は親友を失い、目の前で次々と氏んでいくコテたちの姿を目の当たりにしていくことになる。
その中で生まれた友情。守りたいもの。
彼は、前回大会の優勝者である酔狂先生と、親友から託されたメイド2号と協力しながらゲームを戦い抜いていく。
ゲーム終盤。
改造コンテストスレ、辞書スレ住人による脱出大作戦は成功したかに見えた。
しかし、彼らの作戦は予想外の出来事により失敗に終わってしまう。
その時、人工知能改と酔狂先生、メイド2号は?
主な登場人物
彡 ⌒ ミ
( ・Ω・) 旦那様
2chが派遣した「担任」。今回のゲームを統括している。苦笑ばかりしていて偉そうなコテ。
統括している割には、脱出大作戦時にウイルスメールを開いてしまったりと間抜けっぷりを晒している。
息子にさえ嫌われている。メイド2号には特別な感情を抱いているらしい。
((( )))
( ´Д`) 人工知能改
なんとなく主人公になってしまったコテ。ヘタレ。
ヘタレ故に相手にされず生き延びてしまったり、なぜかみんなに人気でみんな彼を心配したり頼りにしてたりするため生き延びている。
,ィ^i^iヽ,
《y'´ `ヾ
ルノノノ))))
ハwト ゚ー゚) メイド2号
旦那様すら悪ではないと、みんなを心配する心優しきヒロイン。人工知能改の親友(だと彼が勝手に思ってる)の想い人。
氏んだ友人のためにも守ってみせる!と息巻く人工知能改のお陰でなんとか生き残っているラッキーな人。
旦那様も特別な存在だと思っている。
____
iii iii iii ∬
ミ,,゚Д゚ノ 酔狂先生
前回大会の優勝者。前回大会で共に生きようと誓い合った恋人をはからずも頃してしまい、生き残ってしまった。
人工知能改とメイド2号の姿に、勝手に自分と恋人の姿を重ね、守ってやってる奇特な人。いろいろな板の住人でもあるため、様々な技能に精通している。
( ^Д^) ちんかす
悪逆非道のコテ。投げたコインが裏だったから、という理由でゲームに乗ってしまった。
以降、数多くのコテたちを葬り去ってきた。改造・辞書スレ住人による脱出大作戦を妨害したが、爆発に巻き込まれてしまった。
その生死やいかに?
人工知能改もそろそろ成人かな?
乙乙乙
気づけば続きがきてるじゃないか、乙
「何じゃ?いったい何が起こったというんじゃ?!」
峠の坂道を駆け下りた酔狂先生が、目の前の光景に絶叫している。
怪我をしている人工知能改とメイド2号がようやく追いついた。
「農協が燃えてんのかよ!どうなってんだよ!」
数分前。
農協跡を目指ていた人工知能改と酔狂先生とメイド2号は移動中の小高い山の上で閃光と爆発音に遭遇していた。
あれは、残りのコテが潜伏している農協跡の方向だ。彼らとの合流を目指していた人工知能改たち。
「急ごう!」
傷ついた身体をメイド2号に支えられながら、人工知能改は言った。
「これは酷い…」
燃え盛る農協跡を見、酔狂先生が言った。
「香具師らは、香具師らはどこだ!!」
這いずり回るように、瓦礫が散乱する農協跡を探す人工知能改。
その時、瓦礫の山が崩れ誰かが姿を現した。
…
……
………
「システム、復旧しました。」
名無し獣が言う。
「ふぅ。まったく…」
ドカッとソファーに身体を沈め、旦那様は溜息をついた。
俺しかいないわけだがウイルスの混乱から回復した廃校舎。
「いったい、どうなっているというのですか、ムッシュ?(苦笑)」
旦那様がシステム担当の名無し獣を叱責する。
(私は悪くないですよ?このようなウイルスにやられてしまうような情けないシステムを用いるのが悪いのです。(苦笑))
「氏亡確認、出ます!」
別の名無し獣が言う。モニター上に氏亡したコテの名前が表示された。
□氏亡確認□
・出席番号 4番 AZ対空ミサイル
・出席番号15番 立岡ゆうてん@なめたけ
・出席番号19番 7uLI/zoids
・出席番号25番 パトライジャー
【残り 4人】
ギャハッ…ギャハッ!
笑い声と共に、鳴り響く銃声。
「・・・ちんかすじゃの。」
酔狂先生がつぶやく。
三人は瓦礫の後ろに隠れている。が、おかしい。
ちんかすなら、確実に三人を仕留めに来るだろう。たとえ瓦礫に身を潜めたとしても、あのちんかすから逃れられるはずがない。
今まで多くのコテを確実に仕留めて来たちんかす。ギャハッ!という笑い声を思い浮かべるだけで人工知能改は失禁するほどだ。
そのちんかすが、辺り構わず乱射している。
「香具師め・・・どうしたってんだ?」
人工知能改はそう言うと瓦礫からそっと身を乗り出し様子を伺う。
(^Д^)ギャハッ!
乗り出した人工知能改の耳元を銃弾が掠めた。人工知能改の失禁は既に隠しようもなくなっている。
「馬鹿なことをするんでない!この粗忽者が!」
酔狂先生が叱責する。
もはや完全にちんかすに発見されたと見て間違いないだろう。
(まったく、このクソコテは相変わらず手を煩わせよるわい・・・)
瓦礫から飛び出した酔狂先生が放った銃弾がちんかすを襲う。
ギリギリの反応でかわすちんかす。
そこで、酔狂先生は確信した。奴は眼が見えていない。おそらく、先程の爆発で負傷したのだろう。
眼が見えなくてもちんかすが恐ろしい存在であることには違いない。
しかし、それでもこれはまたとない好機だ。
「ふむ・・・やはりワシが相手をするしかないのぅ。ふたりは下がっておれ。」
そういうと、酔狂先生はキャノリーユニットを構え、ちんかすに対峙する。
炎を背に立つちんかす。その眼からは血が流れている。やはり、ちんかすの眼は見えていない
(^Д^)ギャハッ!
まるで血の涙をながしているようなちんかすは、高らかに笑うとデュアルスナイパーライフルを構え間合いを詰めて来る。
眼は見えなくても気配でわかる。
手ごたえのありそうな「獲物」の気配に狂喜する狩人の如く、ちんかすが襲いかかってきた。
それは一瞬の出来事だったのかもしれない。
瓦礫の陰から飛び出した酔狂先生がちんかすの元へと一直線に駆けている。
放たれる銃弾の雨の中、酔狂先生は怯まない。あっという間にちんかすとの距離が縮まる。
(どうしてアンタはそんなに強いんだ?)
人工知能改は、呆然と見守ることしか出来ない自分が情けなくなってくる。
「ぐはっ!…なんのっ!!」
酔狂先生が再び走り出す。そして。
ちんかすの動きが止まった。確かめるようにガチ、ガチッと何度も引鉄を引く。しかし。
「弾切れじゃの。お終いじゃ。」
「ギャ、ギャハッ?」
酔狂先生のキャノリーユニットが火を噴いた。
射出された弾丸はちんかすの咽喉元、首輪へ。
誘爆する首輪。半ば以上ちぎれた首、血飛の中で笑うちんかす。
「ギャ…ギャハッ…ギャハッ!」
「…やれやれ。ようやく終わったわい。」
酔狂先生ががくりと膝をついた。
□氏亡確認□
・出席番号16番 ちんかす
【残り 3人】
東の空が明るくなり始めている。
夜明けとともに、この「ゲーム」が終了する。
しかし、生き残れるのは一人。島の東端の砂浜には、酔狂先生と人工知能改、メイド2号の3人がいた。
「大丈夫ですか?酔狂先生。」
「なあに、たいしたことはないぞ。」
ちんかすとの激闘で、無傷でいられるはずもなかった。致命傷に至らなかったのが幸いだ。
悪夢のような3日間だった。3日前、俺達は池袋の駅前で出会った。
そんな俺達がお互い殺しあった3日間。
何でこんなことになったんだろう。何でこんなことをしなければならなかったのだろう。
穏やかな砂浜と、白み始めた空を見ていると涙が込み上げてくる。
だが。酔狂先生は言った。生きて帰る方法がある、と。
俺達は悪夢の3日間を生き抜いた。そして、ようやく元の世界へ戻れるんだ。
帰ったら何をしよう。積んであるゾイドを作るか?メイド2号さんと秋葉原へ行くのもいいな…。
「…で、酔狂先生。これから俺らはどうしたらいいんだ?」
タバコを吸い、ふぅーっと吐き出すと、酔狂先生が人工知能化改とメイド2号に向き直る。
「そうじゃの。もう時間もあまりない。」
と言ってタバコの火をもみ消す酔狂先生。
「生き残る方法…じゃがの。そうじゃな…ふむ…。」
スッ…と酔狂先生の手が上がる。丁度、人工知能改の目線のあたりまで。
その手には黒い物体が握られている。
「…え?」
人工知能改は事態が把握できないでいた。何故、酔狂先生が自分達に銃を向けているのか。
「せ、先生?」
メイド2号も不思議そうに、酔狂先生を見つめている。
「どういうことだよ!なにしてんだよ!」
ようやく事態を飲み込めた人工知能改が叫ぶ。
「言ったではないか…生きて帰る方法がある、と。」
銃を構え、酔狂先生がジリジリと間合いを詰めてくる。
「生きて帰るためには、生き残れば良いのじゃよ。最後の1人に、の。…そして今、生きているのはワシと、お主ら2人じゃ。」
「だ、騙したのかよゴルァ!」
後ずさる人工知能改。
「騙したわけではないぞい。ワシは脱出する方法がある、生きて帰る方法があると言っただけじゃぞ。3人生きて帰れるとは言っておらぬわ…。お主らと出会えてよかったぞ。」
「く、くっそー!あの、恋人の話も嘘か!ふざけんなこの糞コテ!」
何か武器はないか…と探すが、武器の入ったデイパックは酔狂先生の後ろに置いてある。
「若者よ、ワシからの手向けだ。あの世でお嬢さんと仲良く暮らすがいい…。」
「…さらばじゃ。」
朝靄の立ち込める穏やかな砂浜に、轟音が2回鳴り響いた。
□氏亡確認□
・出席番号11番 人工知能改
・出席番号29番 メイド2号
【残り 1人】
□勝者□
・出席番号14番 酔狂先生
【 ゲ ー ム 終 了 】
乙乙乙乙乙
この終わり方は冗談だって前スレで言ってたよな!?
まだ続くんだよな!?
誰か続き頼むぞ
誰かって
リレーじゃねえから
続いてほしいぞ
続くから安心してちょうだい
みんなみんなありがとう
6年分の感謝を込めて
安心したのもつかの間、今度は続きが気になって眠れない。
続き待ち保守
一週間ぶり
続き待ち保守
続きが気になるぞ
続き待ち保守
486 :
名無し獣@リアルに歩行:2009/09/09(水) 22:51:59 ID:DdOyXEwp
ほしゅ
続き待ち保守
ほしゅ
保守
ほしゅ
保守
492 :
名無し獣@リアルに歩行:2012/07/03(火) 02:27:56.49 ID:lmfpV9Eb
は?
ほ