アンナ=ターレスについて語り合おう

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>>247>>248
おまたせ、ようやく書き上がった(実質4日かかった)。
まぁ文章書きは不慣れなため、萎えたらスマソ。謝罪はするが賠償はできない(w
気にいらんかったら脳内あぼーんしてください。

全て投下し終えるまで、書き込みはできたら控えて欲しいです<住人各位
そんなに時間はかけないつもりなので。


 CAUTION
 以下に掲載されるSSには、18歳未満の方には相応しくない表現が多数含まれております。
 18歳未満の方、及び性的描写に不快感を持たれる方はお読みにならない方が懸命です。

 と、一応注意書きをしておく(藁
277「戴冠式」(1):02/02/14 19:40
 ヴォルフ・ムーロアは質素な部屋で、ひとり思案にふけっていた。場所はネオゼネバス帝国の
首都にある宮殿の、彼の自室である。
 明日は彼の戴冠式が挙行される。ヴォルフはネオゼネバス帝国の第2代皇帝になるのだ。
その重要な儀式を目前に控え、彼の頭には様々な思いが浮かんでいた。自分の今後、帝国の
今後、そしてある女性の今後……考えることはいくらでもあった。
 彼は今日1日のほとんどをこの部屋で過ごした。時計の針は既に午後9時を指そうとしている。
(父上が亡くなられて、共和国と講和して、中央大陸への帰還こそならなかったが、とにかく帝国
の再興は叶った……)
 ヘリック共和国とガイロス帝国、そしてネオゼネバス帝国との三つ巴の戦いは、ギュンター・
プロイツェンが戦死し、クーデター部隊が鎮圧されて急展開を向かえた。
 ガイロス帝国軍はすぐに態勢を立て直し暗黒大陸に攻め込んだ共和国軍に反撃、戦線は硬直
して長期戦の様相を見せた。一方、中央大陸にたった1個師団程度の部隊で侵入したヴォルフの
鉄竜騎兵団は共和国の本土防衛部隊に大損害を与えたが、補給が続かずジリ貧となった。
 共和国の世論は動揺し、今回の戦争の元凶となったプロイツェンが死んだこともあって非戦を
求める声が高まった。ヴォルフはそこを突いて共和国政府に和解を申し入れたのだ。
 かくして今次大戦は終結し、講和交渉の結果、ネオゼネバス帝国は西エウロペ大陸の南部に
建国が認められ、ゼネバス人はようやく自分たちの国家を持つことができたのだが……。
 そこには何もなかった。元々西エウロペは砂漠の多い過疎地帯であり、風土も厳しい(それでも
暗黒大陸よりはましだが)。その中でも環境が比較的温和な南部を新たな帝国の領土としたの
だが、人が少ないため国家の発展に必要不可欠なインフラが圧倒的に不足していた。ゆえに、
国家建設は文字通り一から始めなくてはならなかった。現に帝国の首都も、今は建築ラッシュの
真っ只中にある。
 それでも今は亡きプロイツェンの思惑のように、中央大陸からヘリック共和国を追い出すなど、
それこそ不可能。仮に中央大陸の一部を掠め取り、そこに帝国を建てたとしても、共和国は
帝国の存在を認めないだろう。国の寿命は短くなるに違いない。かと言って北エウロペは共和国の
勢力圏、南エウロペはヘリック派とガイロス派の対立する火薬庫のような場所。人口の希薄な
西エウロペあたりが最も現実的であるし、長期的な展望では国の発展が一番見こめるとヴォルフは
考えていた。
 まぁそれも今後、共和国との関係改善と国の建設が上手く進めばの話なのだが……。いや、
それは私の政治手腕にかかっているのか……。
 果たして、自分は皇帝として責務を果たすことができるのだろうか? 自分を信じて、わざわざ
何もない新帝国に不便を承知で移住してきてくれた人々の期待に応えることができるので
あろうか? 不安は募るばかりだった。
 その時、ドアがノックされ、彼の思考は中断させられた。こんな時間に誰だろうと思いながら
自らドアを開ける。
 ドアの外にはひとりの美しい女性が立っていた。彼の幼なじみ、アンナ・ターレスだった。
「アンナ、どうしたのだ?」
「ね、ヴォルフ。お話に来たの。ちょっと時間いいかしら?」
278「戴冠式」(2):02/02/14 19:41
「皇帝か……ここに来るまでの道のり、早かった気もするし遅かった気もするな……」
「ふふっ、わたしもそう思うわ」
 ふたりは特に意味のない話題――雑談に花を咲かせていた。
 明日の戴冠式に、一般招待客として招かれるアンナは宮殿に泊まっていた。何ということはない。
宮殿付き武官のズィグナー・フォイヤー中佐――ヴォルフの幼い頃よりの御目付け役である
人物――が、ヴォルフとは幼少期からの付き合いがある彼女にちょっと融通を利かせただけ
である。
「でも、とうとう明日なのね」
「ああ……だが、私にできるだろうか?」
「あら、ヴォルフらしくもないわね。貴方なら大丈夫よ。少なくともわたしはそう信じてる」
「……ありがとう。おかげで気が楽になった」
 そう礼を言ったヴォルフにアンナは微笑む。一瞬、ヴォルフはその笑顔に見とれた。だが
アンナはすっと立ち上がる。
「もう戻るのか?」
 ヴォルフも立ち上がり、少しだけ名残惜しそうに言う。
「ううん……」
 アンナは否定し、しばし口をつぐんだ。じっと下を向いて何も言わない。しかし、やがて頭一つ分
背の高いヴォルフを見上げると、真剣な表情で言った。
「ヴォルフ、わたしを抱いて」
「……は?」
「わたし、ずっと前から貴方のことが好きだったのよ」
「……」
「でも、貴方は皇位継承者でわたしは……ただ貴方と仲が良いだけの女だから……」
 そう言ったきり、アンナは口を閉ざす。ヴォルフも無言のままだった。壁にかけられた古い作りの
時計がカチコチと振り子を揺らす音が微かに響き、部屋の中を満たした。
 長いかもしれないし、短いかもしれない静寂を破ったのはアンナの方だった。
「でも、今日でその関係も最後だね。だから……わたしの初めてを、貴方にあげるわ。ヴォルフ、
好き! 愛してる!」
 叫ぶような、心からのアンナの告白。それと同時にヴォルフの胸に飛び込んだ。ヴォルフは
アンナの肩に手を回し、優しく包み込む。僅かに震える彼女の肩は、ヴォルフが想像していた
よりも華奢だった。
「アンナ、私もお前を……」
「待って、その先は言わないで」
 ヴォルフの口元に指をあてて、その後に続く言葉を遮る。
 そう、彼女はそれ以上を望めなかった。明日からはヴォルフは皇帝になる。しかし、ヴォルフと
「旧知の間柄」にある民間人というアンナの立場は変わりない。いや、ヴォルフの皇帝就任に伴い、
立場はますます低くなるだろう。もはやヴォルフを名前で呼べるのは明日までなのだ。
 アンナはヴォルフから離れると、自分で服を脱ぎ始める。薄いグリーンのブラジャーとショーツ
だけになると、ヴォルフに向かって少し恥ずかしそうに言った。
「ね、貴方も脱いでよ」
 ヴォルフは明らかに緊張した面持ちで頷いた。
279「戴冠式」(3):02/02/14 19:42
 アンナは自分と同じように、何も身につけていないヴォルフを見た。鍛え上げられ均整の取れた
男の裸体をまじまじと眺めるが、相手の視線に気がつくと顔を赤らめて恥ずかしげに俯いた。
「は、恥ずかしい……」
「私も恥ずかしいぞ。お互い様ではないか」
 胸と股間を手で隠すアンナに、ヴォルフはできる限り優しく言った。ただし、ヴォルフの方も緊張
しきっているので、どれだけ優しく言えたかは本人にも自信がなかったが。
(もしかしたら、戴冠式より緊張する場面かもしれないな)
 彼はふとそう思った。自分は目の前で生まれたままの美しい姿を晒す幼なじみの想いに応え
なければならない。そして何よりも自分自身がそれを望んでいる。確かに重要な局面だった。
 ヴォルフは恥ずかしがるアンナに近づく。胸元を隠すアンナの手を引き剥がすようにどけると、
半球形のバストがぷるん、と揺れて姿を現した。胸の先端にはピンク色の乳首がやや上向きに
ついている。
「やっ! もっと優しくして……」
「あ、ああ。済まない」
 やはり緊張は大きかったようだ。アンナに優しくしようと思っても、精神が高ぶり行動が無意識の
うちに乱暴になっている。これではいけないと考え、ヴォルフは一旦アンナを抱きしめた。
「あっ……」
 小さい声を上げて、アンナがヴォルフの逞しい胸元におさまる。ヴォルフがさらさらと流れる
ようなアンナの長い髪を指で梳くと、シャンプーの香りがほのかに漂う。アンナの温もりと匂いが、
ヴォルフの心に落ちつきを取り戻させた。
「どうやら緊張していたようだ……私もこういうことは、その、初めてだからな」
「えっ!? 嘘でしょ? わたしはてっきり……」
「これまでは帝王学、ゾイドの操縦訓練に軍事学、戦争、それに国の再建と、とにかく余裕が
なかったからな。それに、物心ついた頃には私の周りに女の子はお前しか居なかった」
「じゃあ、わたしもヴォルフの初めてを貰えるんだね。ふふっ……なんだか嬉しいな」
 ヴォルフはアンナを抱きしめていた腕を解くと、改めてアンナの胸に手を伸ばした。大き過ぎず
小さ過ぎない彼女の乳房はヴォルフの手にすっぽりおさまる。手のひらの乳首の感触が心地良い。
 そのままゆっくりと揉みしだく。手の動きに合わせて形を変える胸。力を入れると押し返し、逆に
緩めると吸いつくように離れない。そんな感じの触り心地がした。
280「戴冠式」(4):02/02/14 19:44
「……んっ、はぁ……」
 アンナの頬が赤みを増し、小さく開いた口から溜息が漏れる。ヴォルフの手の下にある胸も
うっすらと羞恥の桃色に染まり、熱を帯びた。やがてヴォルフは胸の先端にある突起のみに愛撫を
集中した。
「んんっ! やっ、ああっ……」
 そこは既に硬く隆起していた。指で摘んでいじくると、アンナは小鳥のさえずりのような、
ヴォルフの耳にとっては悩ましい声を上げる。
 だが彼はそれだけではあき足らず、そこに口をつけた。勃起した乳首を舐め、口に含みちゅう
ちゅうと音を立てて吸い、歯で軽く噛む。そのたびにアンナの口からは色っぽい声が次々に
発せられる。
「ふぅっ、ん……はうんっ! は、歯を立てないで……!」
 その間にも、ヴォルフの手は胸とは別の場所――細くくびれた腰部と白く滑らかな腹部を経て、
アンナの股へと移動していた。恥丘をうっすらと覆う飾り毛をかき分けて到達した先は、既に
濡れていた。
「あっ……んん……! そっ、そこダメっ……!」
 軽い抗議の声を無視するヴォルフ。指先がアンナの秘所をまさぐると、とろっとした液体が
まとわりつく。濡れ具合を確認すると割れ目の奥を探り、数本の指でかき回す。
「濡れてるな」
「い、言わないでっ」
 アンナは羞恥心をあからさまにして答えたが、ヴォルフは成人向けの本で知っただけの
テクニックでアンナを感じさせていることに密かな安堵を覚えた。
 そう思いながら手を動かし、膣口の場所を確認すると、その中に人差し指を進ませる。
指が温もりに包まれ、同時にきゅうっ、と締められる。
「やっ! はいっ、て……っ」
 すぐに引き抜くと、今度は割れ目の先端にある小さな球体を探る。それはすぐに探り当てられた。
アンナがひときわ高い声を上げてそれを証明する。
「はうっ! あぁああっ!」
 女性の最も敏感な感覚器――クリトリスは、普段よりも体積を増してヴォルフの愛撫を待ち
受けていた。包皮を剥き上げ直接触れると、アンナはぶるぶると身体を震わせて、うわ言のように
叫ぶ。
「ダメっ、イっ……ちゃ……っ! はあああっ! はっ、はぁ……」
 絶頂を迎え、力が抜けてヴォルフにもたれかかるアンナの身体を、ヴォルフは優しく抱き上げて
ベッドへと横たえた……。
281「戴冠式」(5):02/02/14 19:45
(……ん? あ、そうか。わたし、イっちゃって……えっ!?)
 アンナの意識が覚醒した時、ヴォルフはアンナの脚をM字状に広げさせ、その間に顔を埋めて
いた。
「きゃあっ! な、何して――ひゃはあうんっ!」
 抗議で叫んだはずが、嬌声になってしまう。ヴォルフがアンナのそこにキスをして、先ほどまでの
手による愛撫ですっかり膨張したクリトリスを唇で挟んだからである。
「い、いや……そこ、きたないよおっ……」
「そんなことはない。アンナのここ、とても綺麗だよ」
 一度口を離して、アンナを誉めるヴォルフ。けしてお世辞ではない。ヴォルフが視線を注ぐ彼女の
秘部は、彼にとってあまりにも魅惑的で神秘的だった。綺麗に生えそろった陰毛。少しだけ開いた
割れ目は花弁のようで、その奥に見えるピンク色の膣口からは液体が流れ出してお尻の穴や
ベッドシーツにまで達していた。
真珠とルビーを足して2で割ったようなクリトリスは充血し、ひくひくと痙攣する。それらを愛液が
濡らし、キラキラと光っている。
 ヴォルフは脳が麻痺するような感覚を味わっていた。彼を誘うように、目の前に晒されたアンナの
大切な場所。そこからは彼女の女の香りが漂ってくる気がした。今度は深く口づけ、舌を内部に
滑り込ませる。
「ううっ……あああ……!」
 先ほど絶頂に達したばかりのアンナには、それだけでも大きな刺激になった。膣の奥から新たな
愛液が噴出し、ヴォルフの口元にかかる。彼はそれを舐め取った。甘いそれは、どんな酒よりも
彼の精神を酔わせる。
 膣内を舌で蹂躙し、愛液をすすってアンナの味を存分に堪能すると、ヴォルフはようやく彼女の
秘部から離れた。身体を脚の間に割り込ませ、正面からアンナと向き合う。彼の分身は大きく
いきり立ち、アンナの中に入りたいと主張していた。
「もういいか?」
 その言葉の意味を理解したアンナは一瞬身を強張らせるが、すぐに頷いて自らの決意を伝えた。
「ええ。わたし、ヴォルフと結ばれたい……」
282「戴冠式」(6):02/02/14 19:46
 とろとろになったアンナの膣口に、ヴォルフの熱く硬いものが押し当てられる。
「あっ……」
 くちゅり、と音を立てて先端が埋没し、さらに侵入しようとすると強い抵抗にあう。それでも
ヴォルフはゆっくりとペニスを進める。
「うっ……い、痛い……っ」
 アンナの口から思わず苦痛のうめきが漏れる。
「大丈夫か?」
「ええ……そのまま、きて……」
 気づかうヴォルフに対し、破瓜の痛みを我慢しながらも健気に微笑んで答える。ヴォルフも
彼女の決意を無駄にしまいと思った。
 プチプチという感触がして処女膜が破られるが、それでもさらに奥へと進む。アンナの瞳は涙を
湛え、痛みを必死にこらえている。
「んんっ! ああ……あっ!」
 アンナが叫んだ瞬間、ヴォルフはついに抵抗を突破した。愛液がペニスを滑らせ、一気に
突入すると先端に何かが当たる感触。アンナの子宮だった。これでヴォルフの生殖器は完全に
アンナの膣に包まれた。膣内のひだがヴォルフを絶えず刺激する。あまりにも気持ちが良かった。
「わたし、今ヴォルフと繋がってるのね……」
「ああ、そうだ。触ってみろ」
 ヴォルフはアンナの手を取り、ふたりの結合部へと導く。
「きゃふっ!」
 アンナの指先が偶然に、勃起しきった自身のクリトリスに接触する。その刺激に思わず悲鳴を
上げるが、結合部をまさぐって性器同士がしっかりと合体しているのを実感すると、恍惚とした
笑みを浮かべて言った。瞳からは、痛みが原因ではない涙が溢れ、頬を伝った。
「わたしとヴォルフがひとつになってるよ……。わたし、ヴォルフとこうなれるのが夢だった。
ずっと前から、わたしがセックスというのを知った頃から。だからすごく嬉しいよ……」
「アンナ……」
 ヴォルフの胸の内に、目の前の女性への――たった今、純潔を奪った女性への愛しさがどう
しようもないほどに込み上げる。しかし、まだ「愛している」とは言えない。だから彼はその想いを
行動に代えて、アンナの唇を奪った。
「!!」 
 突然のファーストキスに、驚いた様に目を見開くアンナ。だが、すぐにとろんと閉じてヴォルフの
なすがままにされる。
283「戴冠式」(7):02/02/14 19:47
「んっ……んん……ふぁ……」
 唇を重ね合わせながら、口を開き、舌を伸ばしたのは同時だった。相手を求めて舌が絡み合い、
唾液が自然と交換される。唇の隙間からアンナの甘い吐息が漏れ、ヴォルフの精神はより高ぶる。
またこのディープキスはアンナの破瓜の痛みを麻痺させる効果を発揮した。
 しばらく経って唇が離れると、ヴォルフはいたわるように言った。
「まだ痛いか?」
「ううん、もうあまり痛くないよ。ね、動いて」
「しかし……」
「お願い、最後までして……」
「……わかった。だが無理はするな。痛かったら言うんだ」
「ええ」
 ヴォルフはゆっくりと、愛しい女性になるべく苦しませないようにペニスをアンナの膣から引き抜く。
愛液と混じって色が薄まった処女血が付着していた。それを見たヴォルフはある種の感慨に
とらわれる。
(あのアンナを、こうして抱いている。幼き時より常に共に居たアンナを……)
 ある意味、夢のようでもあった。物心つく前から一緒に居てくれた幼なじみ。ゼネバス皇帝の
血を継ぐ自分と物怖じせずに付き合ってくれた女性。そして、戦争で失って初めて、その存在が
極めて大きかったことに気がついた愛しい女性……。
 だが戦死したはずのアンナは共和国の捕虜になっていて、講和が成立するとすぐに生還して
くれた。それ以来、アンナと結ばれることは彼にとってゼネバスの再興に勝るとも劣らない
悲願となったのだ。
 その悲願の達成を実感ながら行為を続けていると、アンナが苦しげに叫んだ。
「くぅっ……ああっ!」
「大丈夫か?」
「だ、大丈夫……もっと強くして。もっと、貴方を感じたい……」
 その声と表情を受けて、ヴォルフの理性は半分ほど崩壊する。ぐっと力を込めて、抜けかかった
分身をアンナの膣に突き入れる。粘膜の擦れる音が響き、異物の侵入に伴い行き場を失った
潤滑油が結合部の隙間から溢れる。
「はあっ、くぅんっ、あっ、あっ、あっ、あんっ!」
 アンナはすぐに恥ずかしい声を出し始める。嬌声から苦痛が抜け、純粋な快感のみになって
いった。ずっと前から淡い想いを抱いていた男に抱かれているという現実が、初めて性交する
彼女を快感に導いていた。
284「戴冠式」(8):02/02/14 19:48
(ああ、ヴォルフがわたしを愛してくれている……)
 そう感じると痛みなどどこかへ消え去り、快楽だけが湧き上がり、自分を制御しきれなくなる。
彼女は気づかぬうちに腰を揺すり、ヴォルフを激しく求めていた。
「んっ、ふああっ! はうんっ! ヴォルフ……ヴォルフっ……!」 
 そんなアンナの想いに応えるべくヴォルフも腰の動きを加速させる。分身が狭いアンナの膣を
往復するたびに、じゅぷじゅぷという水っぽい音と、肌と肌がぶつかり乾いた音が生まれる。
合体個所から溢れるアンナの愛液は、ふたりの陰毛をべとべとにしたばかりか、ベットの上に
派手に撒き散らされてシーツに大きな染みを形成した。
「ふぁ……あっ、はっ、はぅんっ! んっ! ああーっ!」
 アンナの喘ぎ声がソプラノに近くなり、ヴォルフの息が苦しくなる。愛し合うふたりの感度は
最高点に到達しつつあった。
「んんっ、はああっ! わ、わたし……っ、もうっダメえっ!」
「あ、アンナ……もう出そうだ……」
「な、中で出してっ! 今日は安全な日だからっ! 中にちょうだいっ!」
 その「安全な日」とは、彼女自身が避妊薬を使って作り出したものだ。愛する男性の子供を
孕みたい、という想いはあった。だがそれは立場を考えれば叶わぬ想いである。そして当然
ヴォルフはそれを知る由もない。アンナの望みと自分の欲望を同時に満たすべく、ヴォルフは
ラストスパートをかける。
「わかった! 中に出すぞっ……くっ!」
「ひゃああんっ! ふあああああああっっ!」
 きつく締めつけてくる膣に最後の突き上げを与えると、ヴォルフはついに果てた。アンナが
果てるのと同時だった。子宮の入り口に押しつけられたペニスの先端から大量の白濁液が放たれ、
子宮の中へどくどくと流れ込む。
 絶頂に身を震わせ、胎内深くにヴォルフの愛を感じながら、アンナは満足感のあまり恍惚とした
表情で呟いた。
「はあっ……ヴォルフのが、私の中に出てるよ……」
「アンナ……」
 長い時間をかけて、全てをアンナの中に注ぎ込んだヴォルフも、満足感からアンナの上に
のしかかる。そして彼女をぎゅっと抱きしめ、大切なことを成し遂げた余韻に浸った……。
285「戴冠式」(9):02/02/14 19:52
 初めての情事を終えたふたりは、元のように服装を整えた。誰にも気づかれないように、服の
乱れは極力排除して。
「ありがとう、ヴォルフ。素敵な思い出になったわ」
「そうか。だが、これだけは覚えておいて欲しい。私は……」
「ダメっ、それはダメよっ!」
「アンナ……?」
 アンナが急に叫ぶ。だがすぐにはっとなり、ばつが悪そうに呟いた。
「あっ……ごめんなさい……。……わたし、もう行くね……」
 ヴォルフに背を向けて部屋のドアを開け、一度だけ振り返る。
「さよならっ!」
「あっ、おい!」
 ヴォルフの部屋を飛び出すアンナ。ヴォルフはそれを追いかけることができなかった。彼女の
去り際に、涙の飛沫が部屋の照明を反射し、ダイヤのように輝いた。
 アンナが姿を消した後、少しの間立ち尽くすヴォルフ。しかし、すぐに立ち直り表情を引き
締めると、部屋に備えつけてある電話機に向かった。直通のボタンを一つ押して受話器を取る。
受話器からは聞き慣れた声が届いた。
「ズィグナーか? 私だ、ヴォルフだ。……いや、明日の式典については何の心配もない。
……ははは、ズィグナーにかかっては私もまだまだ子供扱いだな。……いや、別に皮肉ではない。
私の本心だよ。……本題に入ろう。少し頼みがあるのだが。……ああ、例の件だ。予定を早める
ことにしたよ……」
286「戴冠式」(10):02/02/14 19:53
 皇帝宮殿(にしては極めて質素な建物だ。国家建設を最優先として、余計なものには金を使うな
というヴォルフの指示でこうなった)に隣接するゼネバス大聖堂は、新皇帝の戴冠式に合わせて
一週間前に完成した。
 その新しい聖堂内を独特の空気が支配していた。ひとりの男が大司教から月桂樹の冠を
授けられると、大きな歓声が場を包む。
 ネオゼネバス帝国第2代皇帝、ヴォルフ・ムーロワ誕生の瞬間だった。
 既に軍を辞めているため、軍服ではなく清楚なドレスを身にまとったアンナ・ターレスは、
大聖堂の最下層――一般招待者の列席場所――でその光景を見守っていた。皇帝になった
ヴォルフを、こうして幾多の観衆に混じって見つめていると複雑な気分にとらわれる。
 彼女は確かにこの日を待ち望んでいた。そのいち早い実現のためにアンナはガイロス軍(当時)
に身を投じ、北エウロペのニクシーで危うく死にかけたりもしたのだ。物心ついた後の彼女の
人生は、今のこの時のためにあったと言っても過言ではない。
 だが、心の中ではもうひとりの自分が別の感情を抱き、長年の恋の終焉を悲しんでいた。
彼女は昨日の一件で――ヴォルフに処女を捧げてこの恋を終わらせるつもりだった。しかし、
どうしてもヴォルフへの想いは消えない。今この時も、アンナの心の中はヴォルフへの恋心で
埋め尽くされていた。
 彼女が目を向けるその先では、正式に皇帝へ就任したヴォルフが帝国の今後の道について
熱く語っていた。いわゆる所信表明演説である。
『……皆の念願、中央大陸へ還るという目的こそ達成できなかったが、我々はここ西エウロペの
一角に安住の地を得た。何者の支配も受けない、我々の自由の土地である。だが、今はまだ
何もない。したがって、我々はこの土地を豊かにすべく最大限の努力を払わねばならない……』
 壇上で帝国の現状を素直に認め、より良い未来への道を示すヴォルフの姿は雄々しかった。
アンナはしばしその姿に見とれるが、頭を軽く横に振って淡い感情を追い出そうとする。
(昨日、ヴォルフに抱いてもらって、完全に吹っ切ろうと思ったのにね)
 ヴォルフが皇帝に即位した今、わたしはどうすればいいんだろう? 諦めなければならない。
しかし諦めきれない。それでもわたしはヴォルフが好き……。いくら考えても結論は出そうにない。
堂々巡りになる思考を中断して無表情になると、突然声をかけられた。
「ターレス中尉、いや、今は元中尉か。浮かない顔をしているな」
「中佐殿? ヴォルフ――いえ、陛下の御傍に居たのではないのですか?」
 ズィグナー・フォイヤー中佐だった。ヴォルフの幼い頃の守り役で、今は宮廷付き武官を務める
副官の男だ。アンナとも何かと関係が深い。ヴォルフとは物心つく前からの付き合いがある
アンナは子供の頃、彼を「ズィグナーおじさん」と呼んでいたほどだ。さすがに今はそんな呼び方は
できないが。
「ちょっと用事があってな。それよりも、せっかく殿下がこうして皇帝に即位されたのに、あまり
嬉しそうではないようだが?」
「い、いえ。そんなことはありません」
 アンナはかぶりを振り、平静を装った。
「そうか、それならいいんだが」
 ズィグナーはこの話を打ちきり、話題を変えた。まるで独り言のように話し始める。
287「戴冠式」(11):02/02/14 19:53
「私は、殿下が皇帝に即位なさることが殿下――ああ、陛下のためだと信じてきた。戦陣に散った
ゼネバスの兵士たちも皆そう思っていただろう。しかし、我々は一つ大事なことを見逃していた
のかもしれない」
 その視線はアンナを向かずに、壇上で力強く所信表明をする新皇帝に向けられていた。
『……先の戦争において多くの血が流された。その大半は余の責任である。祖国に殉じた英霊と
その遺族にはいくら感謝と謝罪の言葉を述べても足りないであろう。さらに、あの戦いで多くの民が
困窮した。帝国の再建に報いてくれた者たちの救済は、余の最も懸念するところである……』
 ズィグナーはどこか遠い目をして、ゆっくりと語り出す。
「陛下はあのような高貴な身分にありながら、とても心優しいお方だ。まぁそれの半分は貴君の
おかげかもしれないな」
「中佐殿、わたしはそんな……」
 慌てるアンナ。彼女は自分がヴォルフの今の性格を形成した一因だとは全く思っていない。
彼は優しかった、昔から。平民出の自分に一切の差別をせず、好意を持って接してくれた。だから
アンナはヴォルフに惹かれた。
 だが、そんなアンナの内心を知ってか知らずか、ズィグナーは話を続けた。
「陛下は我々を導いてくださる。しかし、我々が幸せになったとしても、陛下にも同じくらい幸せに
なっていただかなくては意味がない。そう思わないかね?」
 そう言って、壇上のヴォルフを見つめるズィグナー。その目は息子の成長ぶりを喜ぶ父親の
ものに近かった。
『……帝国が豊かになれば、その先にあるのは自由と栄光であろう。そして諸君がそれを手にした
暁には、余の役割も終わる。後は諸君たち民がさらなる発展に向けてこの国を動かすべきであると
余は確信している……。静聴に感謝する。帝国に神の御加護あらんことを』
 大聖堂は万雷の拍手に包まれた。ヴォルフが演説を終えたのだ。演説の内容は要約すると、
社会資本整備と福祉政策を重視し、そして将来的には国の民主化を目指す、というものだった。
新しい君主のこれまでにはなかった所信表明演説は、確実に聴衆の心を掴んでいた。拍手は
しばらく鳴り止まなかった。
 やがて、会場は再び静寂に包まれる。皆が皇帝の一挙手一投足に注目している。だが、
彼は突然、こう言った。
『ズィグナー、頼む』
 名指しされた男は頷くと、傍らのアンナに向かって深く一礼して、うやうやしく言った。
「さて、ターレス中尉。いや、アンナ様。ご同行願います」
288「戴冠式」(12):02/02/14 19:54
 ズィグナーに導かれるままに、アンナは壇上に――新皇帝の居るのと同じ場所に立っていた。
 アンナには、何が何だか理解できない。ただ戸惑うだけの彼女。皇帝に即位したばかりの
ヴォルフはそんな彼女の手を取ると、眼下の聴衆に向かって、一切の躊躇なしに言い放った。
「紹介しよう。彼女はアンナ・ターレス。余が幼い頃よりの友であり、余の最も大切な女性だ」
 会場が一気にざわめく。
「そして余は、この女性を生涯唯一の妃とすることを、ここに宣言する!」
 ざわめきが頂点に達した。しかし、その喧騒を無視して、ヴォルフはアンナの方に向き直った。
彼女は呆然としている。目の前で展開される出来事に、精神がついていかないのだ。
「昨日言いそびれたからな。改めて聞いて欲しい、アンナ」
 アンナの肩を掴み、ヴォルフは言う。奥に堅い意志と優しい光を宿した彼の瞳は、一身にアンナ
へと注がれている。
「私はお前を愛している。心より愛している。私の妻になる女はお前しか居ない」
「あ、あ……ヴォルフ……っ」
 アンナの両瞳から、大粒の涙がこぼれ落ちる。
「でも、わたしは……」
「平民だの何だのと、そんなことは気にするな。実は、この件は皇室府と執政院からほぼ了承を
得ているのだ。本当はもう少し具体的になれば話すつもりだったのだが、隠していて済まないな」
 ヴォルフの口元に一瞬だけ、はにかんだような笑みが浮かぶ。子供の頃にはよく見ていた、
照れ屋でやんちゃな少年時代の笑顔だった。しかしすぐに真顔に戻って、アンナにとって決定的な
一言を紡ぎ出した。
「アンナ、私と結婚して欲しい」
 しばしの躊躇の後、アンナは頷いた。涙が止まらない。しかし、彼女は精一杯の笑顔をヴォルフに
――愛する男に向けて、はっきりと言った。
「……はい! う、嬉し……っ……」
 後は言葉にならなかった。ただぽろぽろと雫をこぼすアンナの顔に、ヴォルフは優しく手を添えて、
涙を拭ってやった。そして顎に手をやり、顔を軽く上向きにすると、アンナは目を瞑る。
 ふたりの顔が接近し、距離が零になる。観衆を前にしての誓いのキス。その瞬間、会場の
ざわめきは大歓声に変わった。「皇帝陛下万歳!」だけでなく「皇妃陛下万歳!」の声も合わせて
沸き起こる。
 聴衆だけではなかった。テレビやラジオを通じて国民が素朴な感動を覚え、壇上のすぐ下に
控える帝国の高官たちが拍手し、かつて鉄竜騎兵団で共に戦ったヴォルフの「戦友」たちが
勝ち鬨を上げる。そしてズィグナーが腕を組んで、満足げ何度もに頷く。皆がそれぞれのやり方で
ふたりの恋の成就を祝っていた。
 ネオゼネバス帝国とそこに住む人々、そしてヴォルフとアンナの、愛し合うふたりの新たな時代は
こうして幕を開けたのだった。

 ――Fin――
289246:02/02/14 19:57
>>277-288「戴冠式」
以上で終了です。ご協力に深謝m(__)m

 以下蛇足

 とにかく脳内設定が多くなり過ぎた。「こんなのゾイドじゃない!」とか、「アンナたんはこんなんじゃ
ねーYO!」とか思われた方には真に申し訳ない。
 でも、とりあえず補足しておく。

 ヴォルフとアンナの人物像:ファンブック3巻を読んで、その文章からかろうじて得られたイメージを
拡大してみたけど……特にアンナたんは参考になるのが例の「遺言状」しかないからなぁ(泣藁
 基本的に、ヴォルフは真面目でお堅く、そして優しい。アンナたんはひたすら健気。としてみた。
 ヴォルフの一人称がわからなかったので、とりあえず「私」にしてみた(育ちの良さから「俺」とは
言わないと思った)。アンナたんの一人称は「私」みたいだけど、ヴォルフとの差別化を計るために
こっちはあえて「わたし」に。

 戦争の終結:バトルストーリーではヘリックとガイロスが手を組んでプロイツェンと戦う、みたいな
ことが書かれていたらしいけど(今月のバトルストーリー(コロコロ)スレより)、こっちは適当な所で
手打ちにして、戦争を早期終結させてしまいました。
 あまり戦争が長引くと、ヴォルフもアンナも若いうちに結婚できないし、ふたりには可及的速やかに
幸せを与えたかったんで(藁

 ネオゼネバス帝国:西方大陸、西エウロペ南部に存在する立憲君主国。国家建設の真っ最中で、
その主な資金はヘリック共和国で大きな財力を持つゼネバスロビーから提供されている。
 ゼネバス人の立場としては史実のユダヤ人に近いと思う。で、ゼネバス=イスラエル、
ヘリック=アメリカ、ガイロス=欧州、といった感じかな?
 ただし、周りにまとまった国があまりない上、ほぼ無人の土地に建国したので、中東戦争とか
パレスチナ問題のような民族対立は基本的にないと思う。

 ズィグナー・フォイヤー中佐:出世したと言うことで(藁

 アンナの出身:彼女は平民出と言うことにしました。そのぐらいヴォルフとの身分格差がなければ、
彼女もヴォルフとの関係であれほど悩まないと思うし、何より自分がそういう設定に萌える、という点
が大きい(藁

 皇室府と執政院:前者は日本で言う宮内庁、後者は内閣。ちなみに議会も存在するが、ここは
皇帝の結婚相手について口を出す組織ではない。

 
 では最後に、アンナたんマンセー!