自分でバトルストーリーを書いてみようVol.3

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91名無し獣
「ねえ、クラーク、あれシールドライガーじゃない?」と隣の座席に座っている
ローレンが唐突に言った。ローレンが指を指す方向をみてみると、確かにシールドライガー
が一機鎮座している。最近は滅多に見かけない代物だ。ちょっとしたゾイド
マニアを自称するクラークが車体を方向転換するまでに時間はかからなかった。
「遅れるとまた隊長にどやされよ?いいの?」と心配性のローレンが問い掛けた
がもう既に彼の耳には届いていない。やれやれ、と言ったようにローレンは
首を振ると、隊長にする言い訳を考え始めた。

シールドライガーの元に辿り着くとクラークは嬉しそうに甘美の声を上げた。
「おい、ローレン、見てみろよ!こいつぁ前大戦以前の物だぜ!しかも初期ロットだ!
機体色は通常より薄いし、腹部の形状も違うぞ。おお、たまんねぇ〜!」ローレン
は何時もの事だと思いながら、彼をちょっと離れた距離で見守っていた。もう既に、
彼のこういった一種の興奮状態には慣れている。クラークがはしゃいでいると、
「お前さん達、俺の相棒を気に入ってくれたかな?」と物陰から一人の人物が
声をかけてきた。二人が同時に振り向くとそこには濡れたタオルで顔を拭きながら
のそのそ歩いてくる人物がいた。ローレンが事情を説明すると彼、フリッツ・ジンクストン、
は色々と語ってくれた。フリッツと彼の相棒、フックの戦功や、大統領から頂いた
勲章の事。まだ新米だった頃バン・フライハイトやアーサー・ボーグマンなどの
伝説的英雄と一緒に戦った時の事。そして、使用済みだと解体処理される時、
ゾイド達が上げる泣き声にも似た声の事...クラークは基地に帰艦する間、ずっと
彼の話、そして既に亡き父の話を思い巡らせていた。

ゾイドBloxシステムが市場に登場してから数十年。戦場から整備、換装、配備
などに時間とお金がかかる旧式ゾイド達が消えていくのはそう時間がかからなかった。
すべては軍の合理化の為に。クラークは幼少のころから共和国のゾイド乗りだった親父
の愚痴を聞いて育った。昔は良かった、あの頃は愛があったなどと嘆く父親
の事を疎ましく思った時期があったが、今はなんとなくその気持ちが分かる
気がしている。肢体を取り替えられ、経験の一切を消されるブロックス達の
換装作業を見ているとクラークはやるせない気持ちになった。愛着を持たれる
事も無く、自意識の一切を省かれた道具。工場で生産され、壊れるまで酷使
され、壊れたらただ取り替えるだけのモノ。

しかし、ゾイドの個体数は確実に増えているし新種の野生種も確認されている。
生殖機能を取り除かれ、戦場で死んでいく事も無い。だがしかし、昔の英雄達が
持った絆、そして愛すべき相棒と一緒に荒野を駆け巡る一体感はもう持たれる事
は無い。どっちが正しいかは彼はまだ分からない。ただ単に、クラークは嬉しそ
うに昔話を語るフリッツが羨ましかった...
92名無し獣:02/06/06 20:37
>>91
(・∀・)イイ!! けど・゚・(ノД`)・゚・。