「ニュートン」落とす意外な引力とは…
「病院紹介新事業はいかがわしい」の怪文書
ZAKZAK 2002/08/05
http://www.zakzak.co.jp/top/t-2002_08/3t2002080504.html 科学雑誌の老舗「ニュートン」=写真=が揺れている。同誌を発行する「ニュートンプレス」が
先月初め、全国の病院をインターネット上で紹介する事業に乗り出すと大々的に発表したところ、
「いかがわしい商法」といった怪文書が出回る騒動が発生。これに、同社関係者は「そういうことを
しそうな人はたくさんいますから…」と語るなど、ニュートンの足を引っ張る意外な内部の“引力”
が浮かび上がってきた。
「今年になって毎月の給料が3割から5割減で支給される状態。分割払いとなっていた退職金も
昨年12月から支払われていません。だから、そんな投書があっても仕方ないという感じ」
ニュートンプレスの同族会社「キョーイクソフト」(旧教育社)幹部は意外にもこう話す。
なぜ、「仕方ない」のかは、同社グループの複雑な内情を知ることが必要だろう。
「ニュートン」は昭和56年、創刊。一時は約40万部を発行し、科学誌が相次いで創刊される
ブームを作った。その後、同誌だけが生き残り、「15、6万部で安定」(出版関係者)。
ニュートンは当初、教育教材などを製作・販売する「教育社」が発行元だった。だが、同社の
経営が悪化したことなどで、平成8年、ニュートンプレスと、宅建資格などの取得教材を製作・
販売する「ニュートン」、教育教材の「キョーイクソフト」の3社に分割。
「この際、ニュートンプレスは黒字の企業として『上場を目指す』と打ち出し、キョーイク
ソフトに、それまでの債務が残された」(関係者)
教育社は昭和40年代から労働組合とのバトルを展開。51年、会社側が組合員を別の職場に
“隔離”して以来、「意味のない仕事をさせられている」(組合員)。
こうした事情もあって、労組ではニュートンプレスが行った理工系図書のネット販売といった
新規事業を「詐欺的な事業」と批判するビラを撒くなどしてきた。
一方、キョーイクソフトは銀行などへの債務返済を継続するため、給与や退職金の支給まで
支障が生じる状態に追いつめられているという。仮に、キョーイクソフトが危うくなれば、
残る2社にも「影響が出る」(キョーイクソフト社員)。
昨今の出版不況もあり、ニュートンプレスの経営も伸びておらず、そこで「ドクターサイト」
という今回の新規事業が登場するわけだ。患者が自分にあった病院を探しやすいよう、全国の
病院を共通のフォーマットでデータベース化し、ネットで簡単に検索できるようにするというもの。
この新事業に「私は元関係者」と名乗り、「派手な新聞広告を使ったニュートンのいかがわしい
商法」といった内容の怪文書が出回ったのだ。
だが、ニュートンプレスは新事業に「ニュートンで最先端医療を紹介してきたなかで、医者
とも付き合いがあり、そうした中から出てきた話。今は参加してもらう病院を増やすという
段階ですが、参加を決めている病院もあります」(役員)と自信を見せ、怪文書にも「よく
分からない」。
また、労組は新規事業に「事情が分からない」としている。
冒頭にある幹部のコメントは、この文書の発信者を内部関係者として認めているようで、
新事業の今後が注目される。