まだ内容は書いていません。
<イントロダクション>
以下は、樹村みのりさんのマンガ「ふたりが出会えば」を文章で
できるだけ詳しく紹介しようとした試みです。
マンガのセリフやモノローグを全て採録しています。
「この括弧」の中は通常のセリフ、〔この括弧〕の中はモノローグです。
空白の行は、そこでマンガのコマが次へ進んでいることを表しています。
「その1」から「その20」まであります。
30代以上板で「その19」までを発表したのですが、ここで
結末を発表するにあたり、改めて「その1」から再録します。
<「ふたりが出会えば」のストーリー紹介>その1
正面を向き、読者に語りかけるヒロイン(顔にそばかす、髪はパーマ)
(モノローグ)〔だいたい この本を読む人たちの中には
男性もスゴク多いと思うので〕
〔のっけからこんな話で申しわけないけれど〕
〔よーするに わたし 中川智子(ともこ)は美人ではない〕
「あ そこのあなた 本を閉じないで!」(手書きの文字)
〔20数年も自分とつきあっていれば この事実にも自然と
慣れるというもの〕
〔ただオソロシイのは 慣れ終えた頃が結婚適齢期の終わり頃と
一致するということ〕
電話に出ている友人A
「ごめんねー 智子 今日 行けないの
うちの二人 かぜ ひいちゃって
ん? 何?
もちろん 彼の方が坊やのをうつったのよ〜」
同じく電話に出る友人B
(後方に子供をおぶってはたきがけをするダンナ)
「そーなのー ダンナのさー オカー様が
急に来られるっつーわけなのよ
掃除? 二週間ぶりよ〜
悪い 悪い 次回の集まりには参加するわ めげずに声かけてよね」
<「ふたりが出会えば」のストーリー紹介>その2
〔―――さてさて、自由・団結・平等を誓いあってきた女友達が
ポツリポツリと結婚しはじめると〕
居酒屋のテーブルに向かい合う智子と友人C
C「結局 またこの二人なの?
だったら おととい買い物で会ったばかりじゃない?」
〔あせるというわけでなくとも なーんとなく取り残されたような
気分になってくるものデス〕
〔―――とはいえエスカレーター式の女子校で〕
初々しい中学生の制服の智子(周りに同年代の女の子たち)
〔女の子ばかりか・・・〕
口をやや「へ」の字にした高校生の智子
(同じく周りに同年代の女の子たち)
〔女の子ばかりね〕
首を傾げ頬杖をつく大学生(?)の智子(同じく・・・)
〔女の子ばっかりだナ―――〕
<「ふたりが出会えば」のストーリー紹介>その3
〔選んだ職業が 自分たちを“タコ部屋の織姫”と称する
これまた女の子ばかりの共同出資の織物工房で〕
職場の同僚たちに颯爽とあいさつする智子
「おはよう」
「おはよー 智子」
〔男性と知り合うなんて程遠い職場〕
仕事着に着替える智子に話しかける同僚A
「この間の六本木のブティックの仕事ね
結局 材料費で足出ちゃったみたいよ」
智子「ああ あれ
でもあれ かなり実験になったじゃない? 草木染めの」
同僚B「博覧会の壁かけなんて大きい仕事が
またドカって入ればいいわねー」
仕事着で仕事場にいる智子と同僚たち(雑然としているが和やかな雰囲気)
A「聞いて みなさん どうやら来年分の糸を買うお金くらいは
今年も残せそうよ」
C「そうだったわね 去年はススキ染めで失敗しちゃったわよねー」
B「日本がソ連領になったら もしかすると モスクワ五輪
パスポートなしで見に行けるかもね」
D(雑誌を見ながら)「江川クン タイジャンツだって」
その雑誌を覗き込む智子
〔イザとなれば 一生独身(ひとり)もしかたない と
一応覚悟した矢先だったわね〕
智子のおば「どう? 智ちゃん この際 お見合いでもしてみない?」
<「ふたりが出会えば」のストーリー紹介>その4
リビングのソファに智子の母とおば
そこにやってきた智子
「え? 何? おばさん」
母「お見合いよ 智子
あんたったら 毎日毎日忙しがっているものだから
ついつい おかあさんも忘れちゃってたけど
考えてみたらあんた 20ン歳だったわよね もう」
智子「だって わたし 今 仕事やめられないわよ」
おば「世のため人のためになくてはならない仕事してるって
わけじゃないじゃないの
それに 続けたけりゃ続けられないってわけじゃなし」
母「一人はさみしいわよ
今はいいけど年とった時のこと考えてごらんなさい
ものは試しよ 一度してみたら?」
頭をかく智子
「でも、相手の人に悪いんじゃない? わたしみたいな売れ残り」
あっけらかんとしたおば
「心配ないって 智ちゃん
あんたに合うくらいの人って 向こうも売れ残りよ〜〜」
ずっこける智子
<「ふたりが出会えば」のストーリー紹介>その5
8階建てくらいのホテルの遠景、周りに樹木
〔―――とまァ そんなわけで その売れ残り氏と会うことになったわけ〕
〔某ホテルの某喫茶室 彼は三時間も遅れて来たのです〕
広々とした喫茶室の4人掛けのテーブルに智子と仲介者(男女2人)
他ふたつのテーブルは空席
3人に平身低頭の男「すみません すみません すみません」
喫茶室の壁面は総ガラス張りで外の庭園が見える
二人をテーブルに残し帰ろうとする仲介者二人(ひとりは智子のおば)
男の仲介者「じゃ わたしたち これで帰ります よろしく」
おば「智ちゃん しっかりネ!」
テーブルで向かい合ううつむきかげんの男と
“まいったナー”という表情の智子
恐縮した様子の男(細かいチェックのスーツにネクタイ)
男の顔だちは決して不細工ではないけれど、どこか自信なさげ
ひげあり、↓この人のひげをきれいに整えた感じ
http://www.ide.co.jp/robatakaigi/images/05AraiAraki.jpg
<「ふたりが出会えば」のストーリー紹介>その6
思案する様子の智子
〔こまったナ 何話せばいいのかしら・・・〕
〔考えてみたら その時まで わたしって男の人と
こんな風に向きあったことなかったのよね〕
男(緊張した表情で頭をかきながら)
「い・・・・・・
いやあ ど どうも こういう所はひどくニガ手でしてね
もう少し ざっくばらんな所へ行きませんか?」
やや明るい表情になった智子
さっきより大衆的だが趣味のよさそうな喫茶店
後方の席にはもっと若い男女
カップを手に頭をかきつつ男
「いやあ 今まで 仕事 仕事できましてね
ついつい この年まで一人できてしまいました」
明るい表情の智子
「そうですか? うらやましい」
平然とカップを口にしながら智子
「わたしなんか ただ単に
男性にモテなくて売れ残っただけなんですよ」
“ズリッ”と前倒しにずっこける男
<「ふたりが出会えば」のストーリー紹介>その7
やはり平然としている智子「あら
どーしたんですか?」
目を回しながら立ち直りかけの男
真剣な表情の男
「い・・・いいんですか? そんな風に言ってしまって」
あっけらかんと微笑む智子
「だって ほんとのことなんですもの」
穏やかな表情の男
「そうだ! あなたとならできるかもしれない」
ポンと打つ男の手
〔だけど突然 こんなこと言い出すなんて〕
カップを手にした智子「え?」
片手を自分の頭にやり肩をすくめ伏目がちで顔を赤らめた男
「いやあ 実はぼく 女の人と二人きりになったら
してみたいと思っていたことがあるんです」
「え? え?」
カップを持つ智子の手、“ドキッ”の文字
〔―――と 思ってしまうじゃない?〕
<「ふたりが出会えば」のストーリー紹介>その8
さきほどとは打って変わって自信ありげな様子の男
「それには 場所を変えなければなりません
来てください」
目を見開き黒目が点になっている智子
店先のショーケースの前に立つ二人
看板に“フルーツパーラー”の文字
たくさんの華やかなデザート類が並ぶショーケースをのぞき込む二人
わくわくした表情で指さしながら男
「い・・・・・・いいですか?
あなたは あのスペシャル・デラックス・バナナ・サンデーを
ウエイトレスさんに注文してください・・・ネ
ぼくは コーヒーを頼みますから」
テーブルの上にコーヒーとスペシャル・デラックス・バナナ・サンデー
生クリームで飾られた4本のバナナがガラスの器からはみ出し、
パイン、オレンジ、アップル、メロン、ピーチ、プリン、
アイスなどが盛りつけられている
注文の品を置いて席に背を向け去ろうとするウエイトレス
まじめな顔で軽く咳払いする男「こほ」
きょとんとした顔でテーブルの上を見る智子
<「ふたりが出会えば」のストーリー紹介>その9
「さあ 替えっこしましょう」
コーヒーとスペシャル・デラックス・バナナ・サンデーを置き換える男の手
心の底から嬉しそうな顔で両手を挙げながら男
「いやあ 実は ぼく こういうものを 一度
おもいっきり食べてみたかったんですよォ」
〔なんてまァ―――よね〕
やや感激した表情でしみじみと男を見る智子
男は顔をたらんとさせてスペシャルDBサンデーを食べている
(手書き文字で)「あ〜〜 りんごって こう切ってあるの!
感激! アイスクリームに顔がある〜〜」
男の周りにはじけ出る♪マークが6つ
(ここで改ページです)
片手を挙げた目の大きな宇宙人の(ような)顔
ハンカチで涙を拭きながら号泣する男
「あ・・・あなた なぜ 泣くんですか?」
同じく握りしめた両手で涙をぬぐいながら号泣する智子
「あら あなたこそ なぜ?」
<「ふたりが出会えば」のストーリー紹介>その10
映画館の中、帰ろうとする人たちの中に二人だけが席に座ったまま
“わあっ!!”と泣き続けている
不思議そうに二人を見る男が手に持ったパンフレットに
“みちとのそーぐー”の文字
〔とにかく その日 つきあっていて〕
〔なンか 不思議と気が合う人だったのです〕
楽しげに並んで歩く二人
男はまだ涙ぐんだまま手に持ったハンカチの端を口にくわえている
腕時計をした男の腕
「あ もう 開いてる時間だな」
智子の方を振り返って男
「どうです? 近くに行きつけの酒場があるんですけど 行きませんか?」
“ごくん”(手書きの太文字)と息を飲む智子
汗が一筋たれているが右目はハートマークになっている
「あれ? はじめて会った日にお酒に誘うなんて
息を飲むほどびっくりさせたかな?
でも 少しくらいは飲まれるんでしょ」
平然を装いながらも口許が少し緩んでいる智子のそばに“少し?”の文字
〔違うのよね−−−〕
「ええ まあ」
<「ふたりが出会えば」のストーリー紹介>その11
のれんのある店(広くはなさそう)の中に入ってくる二人
男「おじゃま」
振り返る店主(板前のような服装)
「お 来たね 大将 このオロチめ!」
(小さいコマで)
智子「オロチ?」(手書きの文字)
少し冷や汗をかく男「気にしない 気にしない」(手書きの文字)
カウンター席に着こうとする二人に声をかける店の女将(和服)
「あら おめずらしい 女の人なんか 連れちゃってェ」
にこやかに智子「こんばんわ」
女将「いらっしゃい」
男に向かい笑いながら女将
「よかった 心配してたのよ わたし
この人ったら いっつも 男の人しか連れて来ないもんだから
ナニかと思って・・・」
“かんべんしてくれよ”という顔で男「おかみさん!」
智子は頭をかきつつ冷や汗が一筋
〔ようするに〕
カウンター席の男とカウンター内の店主が楽しげに言葉を交わし
そばで女将は微笑んでいる
その様子を見ている智子
(化粧直しか何かから席に戻るところと思われる)
〔人に好まれる人だったのですよね〕
<「ふたりが出会えば」のストーリー紹介>その12
落ちついたまじめな表情で前を見ている男の横顔
頬杖をつきリラックスした表情で男を見る智子
〔それに よく見ると イイ顔してるのよね この人〕
〔イイ顔した男の人のとなりで飲むお酒っておいしいわね〕
おちょこを持つ智子の手
置かれた小鉢ともう一品(筑前煮とアサリに見える)
あきれた顔の女将
「ちょっとォ すごくイケる口じゃない? こちら」
おちょこを手にニコニコしている智子(その前にお銚子5本)
そのとなりで指をくわえ点になった目で智子を見る男
「こわい〜」(手書きの小さい文字)
女将の後ろで包丁を手にした店主(顔は笑いながらも冷や汗が一筋)
「オロチがウワバミをつれてきた!」(手書きの文字)
〔でもまァ その日は ほどほどにして
足取りも確かに帰宅しようとしたわけ〕
夜の繁華街を並んで歩く和気あいあいとした二人
(男は智子と比べてわずかに背が高い程度だということがここでわかる)
(あ、でも、智子さんは、かかとの高い靴でした)
<「ふたりが出会えば」のストーリー紹介>その13
〔問題は その時なのです〕
ヨロヨロと智子に近づく男の後ろ姿(縞のスーツ)
“あら どうしたのかしら?”という表情の智子
智子のとなりで男(縞)に目をやる見合いの相手の彼
智子の顔の前まできて言い放つ縞の男(酔っぱらって赤い顔)
「なーんだ ブッスだなァ」
驚きを顔に出さないようにしているらしい表情の智子
表情を変えないようにしているらしい智子
〔さてさて〕
〔一番最初に言ったように わたしは こう言われることには慣れていたの〕
彼の方を振り返る智子
“聞こえていません”とでも言いたげな表情で首を振る彼
(手書きの文字で“聞こえなかったふり”と書いてある)
〔ところが 彼の方が気にしてくれて〕
<「ふたりが出会えば」のストーリー紹介>その14
〔それがあんまりぎこちなさそうだったので〕
明るく振る舞おうとしているらしい表情の智子
「ね 行きましょ」
縞の男から離れようと彼に促す智子
〔何はともあれ 早くその場を去ろうとしたの〕
縞の男を気にする様子の彼(軽く唇をかんでいる)
彼の様子を見て口を開きかける智子
「誰にだって 誰かに八つ当たりしたい気持ちってあると思わない?」
顔は笑っているが目に涙をためている智子
〔だけど なさけないことに〕
「わたしね わりあい寛大な人みたいなの」
智子の頬を伝わる一筋の涙
〔眼を見開いていても 涙がポロンと落ちてきちゃったのよね〕
「自分より弱い者でウサを晴らすなんて卑怯だとも思うけれど」
明るく話そうとするが智子の目からは涙がこぼれ落ちている
〔イヤ イヤ こんなこと 今まで決してなかったことなのよ〕
「だから 原則として 一度は許すことにしているのよ」
泣きながら話す智子を見る彼
その後方を去っていこうとする縞の男
<「ふたりが出会えば」のストーリー紹介>その15
「そうか」
真剣な顔の彼
「わかりました」
涙をぬぐいながらきょとんとした顔の智子
(顔の横に小さな?マーク)
背中を向けて歩き去ろうとする縞の男を後ろから
“つか つか つか”と追いかける彼
(コマいっぱいの大きな吹き出しに大きな活字で)
「きみ 女性を侮辱するのは失礼だぞ あやまりたまえ!!」
感激した表情で真っ直ぐに目を見開く智子
「なんだとォ?」
握った手を振り回しながら振り返る縞の男
(手書きの文字で)「部長のバカァ!!」
軽くよけた彼の頭の上を“ぶるん!”と空振りする男の拳
次の瞬間、彼のパンチが男の顔面を“ゴキン!”と見事に直撃
智子は見ていられなくて手で顔を覆っている
〔ばかみたいだけど その時 はじめてわかったの〕
彼の方を向いたまま右手を口にあて遠くを見ている顔の智子
〔どんな女の子だって(たとえ自分から口に出して言ってたとしても)
誰かに面と向かってブスだなんて言われたくないのよね〕
<「ふたりが出会えば」のストーリー紹介>その16
「智ちゃん 智ちゃん おいでよ
一緒に遊ぼうよ」
うわっぱりを着て泣いている幼い頃の智子(むこう向き)
〔あんなにイヤなことだったはずなのに〕
「イヤー だって みんな 智ちゃんのこと ブスって言うんだもん」
激しく泣きながら振り返る幼い智子
〔なぜ 黙ってしまうようになったのかしらね〕
智子の周りではやす笑い顔の子供たち
「言わないよ 言わないよ」
泣きながら大きく口を開け両手の拳を突き上げる智子
「智ちゃん 聞いたもん たけおちゃん 言った
よしおちゃん 言った まりちゃん 言った
智ちゃん みんな 大っきらいー!!」
〔だって 誰か 味方してくれる人がいるなんて〕
“あたっちゃった・・・・・・”とびっくりして自分の拳を見る彼
縞の男は目を回してのびている
目に涙をため手を口にあてて彼を見ながら回想している智子
〔思いもよらなかった〕
「え〜〜ん」(手書きの太い文字)と下を向いて泣きだす智子
ハッと気がついて振り返る彼
夜の公園の木立、ブランコ、遊具
空にきらめく星
<「ふたりが出会えば」のストーリー紹介>その17
公園のブランコに腰掛けている智子
「ごめんなさい もう 落ち着いたわ」
そばのごく低い鉄棒に腰掛けている彼
すぐ近くに外灯、他にベンチ、ジャングルジムその他の遊具、木立が見える
「今さら 信じられないでしょうけど 一応 言っておきますネ」
“キイ・・キイ・・キイ”と音を立てるブランコ
「わたし いつも 今日みたいにたくさん泣くわけじゃないのよ」
「いや 信じます」穏やかな表情で話す彼
「それに ぼくも あなたに言うことがあります」
「ぼくは ハンサムじゃない」立ち上がった彼の足元
「背だって高くないし お見合いも それで3回パーになりました」
「だから 今日だって」天を仰いで話す彼
「知り合いの人の強引なススメでなかったら 逃げ出したくって
ウロウロしてて遅れたくらい臆病なんです」
「でも あなた さっき 強かったわ」
明るい表情で右腕を“しゅっ”と突き出す智子
「一発だったじゃない?」
うつむきかげんで言いにくそうに話す彼
「言いたくはないが ほんとうのことを言いますと あれは まぐれです」
落ち着いた顔で彼を見る智子
<「ふたりが出会えば」のストーリー紹介>その18
「あたり所がよかった」挙げた右の拳を見つめる彼
「自分でも信じられない」
明るく微笑む智子「では まぐれに感謝!」
「向かっていってくれただけでも あなた 男らしい人だわ」
脇を向いて穏やかな表情の智子(瞳に光が増している)
「わたし うれしかった どうもありがとう」
口を閉じ感慨深げに智子を見る彼(同じく瞳に光)
「わおん」(手書きの太い文字)
突如、両手を顔の前で握り肘を上げて智子に背を向けはしゃぐ彼
後ろに目を見開ている智子
「おおーい 宇宙人のみなさんー 円盤で地球に来てますかー」
星の光る夜空に突き出された彼の両手
「来てたら あなたたちだけでも聞いてくださーい」
「どーしよーー」
後ろで見守る智子に背を向け両手を挙げて夜空に叫ぶ彼
「ぼく 女の子が好きになっちゃったんですよーー!」
〔それで わたしも〕
〔自分の本当の気持ちを言うことにしたのです〕
文字だけのコマ
「ね」
「わたし ずーっと前から 好きな男の人と真夜中に二人きりになったら
してみたいと思っていたことがあるの」
<「ふたりが出会えば」のストーリー紹介>その19
「え?」
振り返る彼
(手書きで)「好きな?」
左胸から“ドキッ”の文字
「むずむずしてきちゃう」
右手を自分の左胸にあて訴える表情の智子
「ね お願いしていいかしら?
汗を一筋流し瞳に光を増す彼
「え ええ」
(手書きで)「むずむず?」
胸からは“ドキ ドキ”の文字
「でも ここではだめなの ある場所へ行かないと・・・」
てのひらを上にして差し出された智子の右手
「い・・・いいですよ お供します」
顔を赤らめ片目を渦巻きにして右手でネクタイをつかむ彼
(手書きで)「ある場所?」
胸から“ワク ワク”
「し・・・したいことを押さえるのは スゴク良くないことだと
ぼくも思います」
両手を口許にあて顔をほころばす智子(ハートマークが4つ)
「うれしい! じゃ つきあって」
<「ふたりが出会えば」のストーリー紹介>その20(ラストです)
“朝日第5小学校”と書かれたプレート
「あなたのしてみたいこと・・って・・・・・・・・・・・・・・・」
「真夜中の小学校の校庭を 裸足でかけることだったんですか」
「残念!!」(手書きの文字)
“なーんだ そうだったのかー”という顔で苦笑いの彼
校門を覗き込む智子(背景に校舎)「そーなのー
だって 一人ではこわくて なかなか実行できなかったんですもの
あら イヤ 今は門に鍵なんてかかってるんだわ ニクラシイ」
「いいわ 柵を乗り越えましょう」
有刺鉄線に引っ掛かり“ビリ ビリ”と破れるスカートの裾
「きゃっ!」(手書きの文字)
「競争しない?」
オーバーを脱ぎながらハイヒールを投げ捨てる智子
後から従う彼、背景は星のきらめく夜空
「わたし 速いのよ」
ページの半分近くを使ったコマにマンガチックにデフォルメされた校庭の風景
向こう側に校舎と木立、空には三日月と星
校庭は白く丸く浮かび上がり人物は描かれていない
〔−−−結婚式は その夜から一か月後のことだったのです〕
〔ね 速いでしょ?〕
(「ふたりが出会えば」/完)
∧ ∧ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
(,,´ー`)< 上手いです。読みやすいし、感謝でし。
〜(___ノ \_________