寝屁マン

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318 忍法帖【Lv=6,xxxP】(4+0:8) よしりん ◆fHXyBNYTls
「落書き少女」
ある街にボロアパートに住んでる40代の男がいた。
もちろん壁も薄くて隣の部屋の音も丸聞こえ。
ある日の深夜0時、隣の部屋から「コンコン」とノックするような音がした。
男は、もう床についてたのでシカトした。
でもその音はいつまでたっても鳴り止まない。
仕方がないから隣に文句を言いに行った。
隣の住人はキャバ嬢みたいな派手な女だった。
男は「ノックを辞めてくれ」と言った。
だが女は「ノックなんかしていない」と言う。
女の肩ごしに部屋の中が見えた。
見ると、男の部屋と面している部分は押し入れだった。
わざわざ押し入れに入ってノックなどするわけがない。
男はネズミだったのだろうと思い、女に謝り自分の部屋に戻り寝た。
翌日の深夜、また音がする。
しかしそれは隣からのノックのような音ではなく、外からの「ゴリッゴリッ」という何かを削るような音だった。
今にも崩れそうなベランダに出て、外の様子を見てみた。
見ると、外灯に照らされた少女が道路でうずくまって何かをしている。
こんな夜中に何をしているのだろう。
男は疑問に思い少女を見ていた。
だんだん目が闇に慣れてきた。
そして少女が何をしているのかが見え驚愕した。
319 忍法帖【Lv=6,xxxP】(5+0:8) よしりん ◆fHXyBNYTls :2013/02/11(月) 22:13:12.66 0
なんと少女は、道路に白いチョークで絵を描いていたのだ。
しかし、その絵はただの子供が描くような絵ではなかった。
その絵はまるで地獄絵図だったのだ。
鬼が人を煮たり、焼いたり、食ったりしていて、餓鬼もいれば、針の山で串刺しにされている人もいる。
少女は地獄絵図を描いていたのだ。
しかも子供が描いたものとは思えない程、上手い。
あまりの上手さに男は感動して見入ってしまった。
次の日、道路を見てみると地獄絵図は消えていた。
不気味なので誰かが消したのだろう。男はそう思った。
その晩、また外から音がした。
外を見てみると少女が地獄絵図を描いていた。
男はまた地獄絵図に見入ってしまった。
そんなことが数日続いたある日、男はいつものように少女の地獄絵図を見ようと夜中まで起きていた。
今まで男は少女の描いた地獄絵図を見ていたが、どれも素晴らしい出来だった。
内容は違っていたがやはり地獄の様子を描いていた。
しかし、その日の少女の描く絵はいつもの地獄絵図では無かった。
その日の絵は、子供が大人に暴力を受けている絵だった。
子供は女の子で、大人も女性のようだ。
まるで虐待のような絵だった。
大人の女の顔は鬼のようで、今まで見た鬼の絵よりずっと恐ろしく描かれていた。
320 忍法帖【Lv=6,xxxP】(5+0:8) よしりん ◆fHXyBNYTls :2013/02/11(月) 22:13:58.60 0
男は絵のあまりの恐ろしさに固まってしまった。
見入ったのではなく、固まったのだった。
すると少女がこちらを向いた。
今まで少女はただひたすら絵を描いていて、振り向くことなど一度も無かった。
なので男はこの時初めて少女の顔を見たのだ。
少女の顔は半分白骨だった。
まだあどけなさの残る半分の顔とは真逆の、骸骨だった。
そして少女は消えてしまった。
男は驚愕と恐ろしさでただただ呆然としていた。
次の日、男は昼過ぎに目が覚めた。
昨晩恐怖で眠れなかったが、知らないうちに寝ていた。
起きてみるとどうして自分が目が覚めたか分かった。
何やら外が騒がしい。
部屋を出ると、隣の女の部屋に刑事ドラマで見るような「立ち入り禁止」の黄色いテープが貼られていた。
外に出ると人だかりができていた。
何か事件があったのだろうか?
男は人だかりの中で、近くにいる人に何かあったのか聞いてみた。
聞いてみると、どうやらキャバ嬢女の部屋から子供の白骨死体が見つかったと言うのだ。
キャバ嬢女は子供がいたらしく虐待をしていて、挙げ句の果てに殺したのだそうだ。
それは男がアパートに越してくる前の話だ。
キャバ嬢女は殺した子供を押し入れに隠していたらしい。
子供は女の子で、生前道路にチョークで落書きをして遊んでいたと言う。

おしまい(笑)