26 :
あ:
…辛い思い出しかない。
何の罪悪感もない無邪気な表情で、毎日遊び感覚で殴られていた。“醜い”“ブサイク”“キモい”と言われ、嗤われ続けた。
不良グループの男子はみな背が高く、バランスの取れたパーツたちが顔を彩り、手足もすらっと長い。眼前に立ちはだかるだけで萎縮した。彼らの言う通り自分は醜くかった。
彼等に金銭を要求されると、恐怖心から従い上納した。時にはクラスメイトの女子、下級生達の“パシリ”にされ命じられるがまま駆けずり回った。
下校途中、洋服店やコンビニで万引きを強要されたり、女子更衣室、職員用トイレの盗撮までさせられた。休み時間には教室で屈辱的な芸をさせられた。
浣腸液を注入したまま授業を受けさせられ、教室内で粗相したこともあった。排泄音を洩らした瞬間、席を囲む女子がふざけ半分の悲鳴を上げ一斉に逃げ離れる。遠巻きに刺さる侮蔑の視線を忘れない。
その日を境にし、クラス全員の女子に嫌悪される存在となった。胎内から生を受けた男にとって、女性に全否定される悲しみは死ぬほど辛い現実だった…
嘲笑され、蔑まれ…男子、女子、教師、生徒を問わず軽蔑の対象にされた生き地獄