風が吹いてゐる

水けぶりのやうな雲を
風が流してゐる

また桶屋がもうかるスレか

夜の海を見てゐた
岩場にすわつてひとり
静かな海を見てゐた

哀しくはなかつた
仕事や恋やさういふものはみな眠つてしまつて
其処には夜のほかには何もなゐのであつた

綱渡りのやうな日々を過ごしてゐる
うつかり足を踏み外すといふことはないのだけれども

心が漣のやうにざわめいてゐる
かういふ夜が僕は好きです

もやしのやうな肌の女がこちらを見てゐる
見返しても目が合うといふことはないやうだ

過去の戀を思ひ出してしまふのは男ばかりではない
そんなことを考へながら獨り茶をすゝる

徹

雨上がりの灣岸道路は夏のやうに涼しい。

彼がいつも苛々してゐるのは私のせゐでせうか
それとも彼が太つてゐるからでせうか

保守ね

何もかもがうまくいかないといふときは
蛇口の水で口をすゝぐと良いやうである

ここのところまったく外に出ていないのだが
梅雨は明けたのだろうか

明日は信州。
晴れるといひのだが、どうか。
上田城下にて蕎麥など食ひたい。

だからこそ私は　かうして酒を飮んでゐるのである
酒を飮み　女を抱いてゐるのである

薄荷の味のする煙草を喫んでゐる
喉の淺いところが冷たくなつて
ずいぶんと遠くまできた氣がしてしまふ
きつと私には向いてゐないんだらうと思つてゐる

保守

男が金木犀の香水をつけてゐたら可笑しいでせうか

不意に眠つてしまひさふな夜である

壯行會をやるのだが、面倒な役囘りを引き受けてしまつた。
役不足ならぬ役超過である。

根性だ根性でなんとかなる

峰岸は？