One more time, One more chance
1 :
夢見る名無しさん:
2 :
夢見る名無しさん:2008/02/17(日) 13:22:20 0
俺の名前は・・・
趣味・特技、特になし。
まあギターの弾き語りは好きだけど、特技と言える程の上手さではない。
何処にでもいる平凡な高校生だ・・・。
人からはお節介焼き≠ニ言われている。
まあそんな事は良いとして・・・今年も嫌な行事がやって来た…
『バレンタイン』だ・・・。
3 :
夢見る名無しさん:2008/02/17(日) 13:23:29 0
「ねぇねぇ!!ちょっと!!」
「な・・・何よ、舞子・・・」
「あんた田中くんに渡すの・・・?チョコ」
「・・・う・・・ん」
「あんたも田中くん好きなんだ〜。ふ〜ん。
まぁ、田中くんカッコイイからねぇ・・・」
「・・・」
「あたしも一緒に行ってあげようか?
あんた一人じゃ怖じ気づいて渡せないかもしれないし・・・」
「いい・・・大丈夫よ私は。だだって、た・・・田中くんなんて、
いいっぱい女の子かからチョコ貰うだろうし、
別にわたし変な期待とかそういうのはないし・・・」
そそくさとその場から逃げ出す彼女
4 :
夢見る名無しさん:2008/02/17(日) 13:24:01 0
「・・・はぁ・・・
(この屋上から見える景色は、いつだって変わらない。
私もそう。いつだって臆病で、何にも出来なくて・・・)」
「よ・・・よう」
「あ・・・」
僕とこいつは幼馴染だ。
「・・・お・・・お前何してんだ?こんなところで・・・
・・・お!おい・・・?泣いてる・・・のか?」
「何でも・・・ない」
「おい・・・一体どうしたん・・・」
僕はついつい生活信条からか、お節介を焼いてしまう。
「何でもないったら!!」
罵声と共に、一人取り残される僕・・・
「・・・・・・・・・はぁ・・・また余計なお節介焼いちゃったよ・・・」
5 :
夢見る名無しさん:2008/02/17(日) 13:29:02 0
帰り際、校門で偶然親友の亮太とその彼女の舞子に出会う
「よう・・・」。
「おいーす。お前ら相変わらず仲いいよな。」
「ねえねえ!!聞いた?」
「ん・・・何を?」
「あの子が田中君にチョコ渡すんだって・・・」
「え・・・(あいつが・・・)
僕は内心動揺していたが、気にしてないかのように振舞う。
「ふーん。ま、俺には関係ないよ。」
「本当か・・・?」
「ああ。関係ない・・関係ないよ。」
6 :
夢見る名無しさん:2008/02/17(日) 13:31:07 0
「ただいま〜」
「遅かったわね。おかえり。・・・(ニヤニヤ)・・・はいっ!!これ」
母が笑いながら渡してくる
「・・・」
「バレンタインよ!」
「ああ・・・・・」
「あら何よその顔は?母さんじゃいけないかしら?」
「いや・・・別に。・・・ありがと」
「・・・?あの子ったら・・・どーしたのかしら」
静かに二階へ上がる僕
7 :
夢見る名無しさん:2008/02/17(日) 13:32:23 0
「何がバレンタインだよ。ふざけやがって・・・」
「このまま布団の中で、今日一日過ごすのが俺の役割だ・・・
俺には関係ない・・・俺には・・・」
「・・・・・・・・・・・・」
僕は、自分が泣いている事に気づいた…。
「・・・俺・・・寂しいよ・・・俺・・・
何で俺じゃないんだよ・・・・・・・・・グスッ」
こうして、夜は更けていった・・・
8 :
夢見る名無しさん:2008/02/17(日) 13:34:19 0
・・・そして翌日
「ようっ!おはよう!」
僕はあえて何事も無かったかの用に振舞う。
「・・・あ・・・おはよう」
「昨日はすごい元気なかったよな。お前!
どうせ好きな奴にフラれたか何かだろ?くく」
「・・・何よあんた・・・どういうつもり?」
「お前みたいにさぁ、普段勉強ばっかでさぁ、
ガリでメガネの女なんて相手にしないよなぁ!
まっ、しょうがねーよ。」
「・・・最低。何よ・・・あんたに何が分かるのよ・・・
あんたなんか・・・あんたなんか!!」
「お・・・おい」
「あんたなんか大っ嫌い!!」
かばんを投げつける彼女
9 :
夢見る名無しさん:2008/02/17(日) 13:37:23 0
「痛っ!」
「うっ・・・うっ・・・ばかー!!」
かばんを持って走り去る彼女
「・・・ふん。何がバレンタインだ・・・!」
その時、何かが落ちている事に気づく僕。
「・・・ん?・・・これは・・・なんだ?
・・・!チョコだ!・・・
(そうかあいつ渡せないでいたから
メソメソ泣いてたんだな・・・ん?)」
−−いつも心配してくれてありがとう−−
そこには、僕の名前が書かれていた・・・
「・・・こ・・・これ・・・おい・・・まさか。あいつ・・・」
10 :
夢見る名無しさん:2008/02/17(日) 13:39:37 0
その夜・・・
ピンポーン
「はい?どちら様ですか?」
「あ・・・あのう・・・お久しぶりです…。
あの・・・いますか?」
僕は自分の名前を名乗り、彼女が在宅中かどうかたずねた。
「あぁ〜・・・ごめんなさいね〜今ちょうど塾に出かけたところなのよ〜。
・・・何か御用事?」
「い・・・いえっ!・・・何でもないです。あのぅ・・・何でも」
「(何でも無いわけねぇだろうバカが!!)
「・・・何か伝えておきましょうか?」
「・・・・・・。いえ・・・結構です。夜分すいませんでした・・・」
僕は慌ててこの場を立ち去る。
11 :
夢見る名無しさん:2008/02/17(日) 13:41:35 0
そういえば今は高2の春だ・・・
彼女は東大を受験するから、もうのんびりもしてられないんだった。
対照的に僕はと言えば、毎日の辛い学校生活をただ乗り切るだけで精一杯だった。
つまらない授業に、嫌味な3年生、帰宅部という現実・・・
僕はギターを弾くことしか取り柄が無い奴だったから、
運動部には入らなかった。美術部に入ったものの、長続きしなかった…。
1ヶ月で辞めた。勉強だって出来ない・・・。
そんな自分に、僕はいつだって自信が持てなかった。
周りの人間は僕を嘲笑し始めた…。
12 :
夢見る名無しさん:2008/02/17(日) 13:42:48 0
でも
でもあいつだけは違ったんだ…
あいつだけは俺に言ってくれた
〔すごいよ!!弾き語りが上手なんだね!!
将来ミュージシャンになれるよ!!」
13 :
夢見る名無しさん:2008/02/17(日) 13:43:53 0
あいつだけは、何にもない僕に対して純粋に向き合ってくれたんだ…。
いつからか俺は、そんなあいつが好きになっていた。
だからいつも側にいたかった。何気ない事でも
心配した。少しでもあいつとの距離を縮めようと思って焦っていたんだ。
恋人が欲しいだとかいうくだらない感情に、僕は振り回されていたんだ。
あいつは俺を救ってくれていた。
なのに俺は、そんなあいつをくだらない嫉妬心から、
突き放してしまった・・・
14 :
夢見る名無しさん:2008/02/17(日) 13:44:30 0
待とう
あいつが帰ってくるまで、近くで待っていよう
謝らなきゃ
でも、あいつはその日、帰ってくることはなかった・・・
死んだんだ・・・。
15 :
夢見る名無しさん:2008/02/17(日) 13:45:58 0
2月15日午後10時39分のことだった。
あいつの乗った通塾バスは、大型トラックと正面衝突して大破した。
享年17歳だった。
知らせを受けたのは翌日の事だった。
待っていてもあいつは帰ってこなかったので、僕は渋々家に帰ったんだ…。
16 :
夢見る名無しさん:2008/02/17(日) 13:47:14 0
「あいつが死んだ」とあいつの家から電話が来た。
最初はあいつの嫌がらせかと思った。
悪口言った俺に対して怒っていると思っていた。
でもその後、あいつの親御さんが家に来たんだ・・・。
そして僕に言った。
「病院まで、来てくれないか・・・?」
涙目だった。というより、それは、
その表情は決して冗談な物なんかではないということが良く分かった…。
17 :
夢見る名無しさん:2008/02/17(日) 13:47:59 0
あいつは綺麗な顔をしていた。メガネ越しでは分からなかったが、
美人だった・・・。肌はもう白かった・・・。
何もかも遅かった・・・。
「謝れなかった・・・!!」
18 :
夢見る名無しさん:2008/02/17(日) 13:49:15 0
通夜、葬儀には出席しなかった。
というより、あいつが死んで僕は廃人になった。
何もする気が起きなかった。もう何も・・・。
部屋に引き篭る日々が続いた・・・。
「ぅぅ・・・・・ごめんね・・・ごめんね・・・。」
ある日、部屋の隅になにか在るのに気づいた。
チョコだった。
あの日、あいつが落として行ったチョコだった。
僕は持ち帰っていた。
赤い包装紙は、日光を避けていた目には刺激が強かった。
手に取って見る。
19 :
夢見る名無しさん:2008/02/17(日) 13:50:37 0
涙が出た。これは何の涙なのだろう。
自分には何も出来なかった。謝ることすら出来なかった。
「僕に・・・出来る事は・・・。」
僕は、一つの決心を固めた。
20 :
夢見る名無しさん:2008/02/17(日) 13:52:59 0
あれから10年の月日が流れた…
僕は、ミュージシャンになっていた。
一人でも多くの人に、僕の歌で元気になってもらいたいからだ。
かつて僕があいつにお節介焼いたように・・・。
あいつのこと、知れなかった分、他人の悩みを救ってあげようと思ったんだ。
21 :
夢見る名無しさん:2008/02/17(日) 13:53:48 0
毎年バレンタインになると、あいつの墓に行く。
そしてホワイトデーには、欠かさずあいつにマシュマロを送る。
あの日から、僕はちっとも変わっていない。
お節介焼きのままだ・・・。
あいつのチョコはあの日のまま、まだ懐に持っている。
22 :
夢見る名無しさん:2008/02/17(日) 13:54:44 0
「アナター。ご飯出来たわよー。」
「ああ、今行く。」
「ねえねえパパ!今度の日曜日は遊園地だからね!?」
「ああ。分かってるよ。」
僕は結婚した。子供は二人で、どちらも元気な男だ。
ふと、あいつの事を思った・・・、
23 :
夢見る名無しさん:2008/02/17(日) 13:56:11 0
僕はあいつを忘れようとしていた。
だが、相変わらずあのチョコだけは、家の金庫の中に大切にしまってある。
あいつが俺に残してくれた、あいつとの唯一とも言える接点だから。
いつかは、忘れてしまわないと行けない事は分かっている・・・。
今年、僕はこのチョコを、あいつの墓の前で燃やそうと思う・・・。
勿論、あいつへの供養は怠らないが、
このチョコだけは、今後の僕自身にとって弱みになるかもしれないから・・・。
そして、今年のバレンタイン・・・。
僕はあいつの墓の前でチョコを燃やしながら言った・・・。
24 :
夢見る名無しさん:2008/02/17(日) 13:59:01 0
「ごめんね・・・」
そして、
「ありがとう・・・」
僕は彼女の墓の前で歌を歌った・・・
この歌を、『僕』が『君』の為に作ったこの歌が、
今、多くの人に感動を与えて勇気を与えているよ・・・
この歌が、君の元へと、届きますように…。
ーーー One more time,One more chance −−−
25 :
夢見る名無しさん:2008/02/19(火) 19:25:49 0
ho-
28 :
イテ ◆vN.GA73K1g :2008/03/11(火) 22:05:27 0
∋(。・"・)-†.:*・゚☆祝☆゚・*:.†-(・"・。)∈
29 :
夢見る名無しさん:
>24
頭…熱に犯されたか?