「あたし・・・higherに抱っこしてもらわなきゃ眠れないクセがついちゃったのかしら?」
切なっちは胸に回されたhigherの毛深い腕をはずしながら身を起こした・・
「こんなことじゃダメッ!どうしても保険金がいるのよ!!」
切なっちは、名無しに渡されたオキシドールを握りしめた。
「愛しのアナタ・・・あなたのために、あたしは名無しに・・そして今、higherまでも・・・」
higherの寝息だけが響く暗闇の中で、
切なっちは窓ガラスのむこうの星空を見上げた・・・
「あなただけ! あなただけが、あたしの北極星なの! そうよ! ね?」
切なっちの手が、
higherが毎日「雪うさぎみたいだze^^」
と口づけをする切なっちの真っ白な手が、
オキシドールの蓋に伸ばされる・・
そのときだ 。。。
やめろ
「ひとおもいに殺ってくれ^^ 長く苦しむのはゴメンだzeと^^;」
いつの間に寝返りをうったのか、背を向けたまま、
つぶやくような低いhigherの声が流れてきたのだ!
「は、ハイヤーっ?!あんた知ってたのっ!」
切なっちは思わずhigherの背中にしがみついた。
「ああ。・・でも、お前が正式に籍を入れてほしいって言ってくれた時は、
俺はほんとうに嬉しかったzeと・・・^^」
切なっちがhigherの家に居候するようになってから、
higherが『お前・・・』と呼んだことなど一度もなかった。
いつも、『切なっち・・・』だった。
[いいか。思い切って雰囲気を変えて結婚をせがむんだよ。
結婚入籍が一番怪しまれずに高額の保険金をかけられるw]
名無しの妙に爽やかな声が、切なっちの頭の中にリプレイされた・・・
あの日、あたしは朝からわざとため息ばかりついてた。
higherがお昼に作ってくれた、大好きなクロワッサンのオープンサンドも手をつけなかった・・・
そして、夜になって言ったのよ。
泣きながら・・・いつものように、higherに、なでなでされながら・・・
あたしは言った・・・
「higher・・・いままで、ごめんなさい。ほんとうにごめんなさい。
あたし、わかってたわ。あなたが優秀なエンジニアだって!それだけじゃないわ!
不二子姉さんは、あなたのことをルパンの足元にも及ばない、のび太以下だって。
でも違う、そんなことない。あなたほんとうは、
麦わらのルフィーより、一期より、空条承太郎よりイケてる!」
・・・と。
あの日から、あたしhigherのこと、『あなた』って呼ぶようにしてた。
でも、higherがあたしを『お前』って呼ぶのは今が初めてだわ。
なにもかも知っていたのね?! いつからわかっていたの?!
あたし、どうすればいぃの??!!
「あぁ、でもっ・・・!」
[金が入らなきゃお前の愛しのこの人は黒こげトーストじゃあ済まされないぜ。]
名無しの妙にハイテンションな声、
ニンニク臭い息が切なっちの脳裏を横切った・・・
「わからない!どぉしたらいぃの? あたし?!」
切なっちは、higherにしがみついたまま泣きながらガタガタと震えるしかなかった。
・・・終わり・・・。