仄かな薄気味悪い独り言

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202仄暗いはらわた
他板に書いたものの流用だが、具合の悪い話。
実話です。

鎌倉付近に、江ノ電という小さな電車が走っている。
電車は小さく大した速度も出さないが、それでも轢かれてしまえば人は死ぬ。

ある日、沿線に住む友達が「昨日、湘南海岸公園と江ノ島の間のあたりで
女の飛び込み自殺があってさ」というんだ。
まあ、これは単線なのであっけなく電車が止まってしまい、
歩いて帰ったなどという愚痴であった。

しかし、次の日、そいつは「なんでも死体が飛び散って、
首だけどこを探しても見つからないんだってさ」などという。
他愛のない都市伝説のようなもので、おそらく近所の子供が騒いだんだと思った。
大抵、この手のものは、実際には何事も起こっていなかったりするもんだ。

事件のことはよくある自殺として忘れられ、一月ほどたったある日、
ある若い夫婦が付近に不動産会社が開いた分譲住宅地の建売を買うことになり、
物件を下見に来た。景勝地に近く、チンチン電車が軒先を掠めるというので
不動産会社が線路沿いの宅地でもショールームにしてしまったらしい、
その頃、その付近には、のぼりやステ看が立っていた。

その夫婦は部屋を見に行き、これは素敵な家だということになったらしい、
洋風の外観も悪くない、キッチンは大きいし、日当たりもいいですよ、
ということで2階の寝室を見に行ったところで絶叫した。
そこには割れて散乱したガラスと、グッチャグチャになった
一ヶ月前の女の首が転がっていたそうな。

時速40kmの電車に引かれて、どうやって100mも飛んでいったのか、しばらく語り草になった。