中学2年の頃から付き合い始めた女の子がいました。
出会ったのは市民病院で。
僕が部活中ふざけて怪我をしたとき、そのまま荷物としてラケットを持っていったときでした。
「これはなに?」
とロビーで待つ俺に問いかけてきて
「ラケット」
とそっけない返事をするとすごいめずらしそうにラケットを見つめてました。
その日はそれで僕は、親と顧問と共に家路につきました。
1ヶ月後、僕は怪我の最後の検診に市民病院に行きました。
予約した時間から遅れていて、ずいぶんと待たされました。
するとまた前の女の子がきて
「今日はラケットもってないの?」
パジャマ姿の彼女に、
「持ってない」
とだけいいました。
親がいたのでなにか変に冷たくしたのだと思います。
それからまた2ヶ月が立つと、兄が右手の甲を複雑骨折し、入院しました。
そのお見舞いにと、母と市民病院にいきました。
入院してる兄と話すのはなにか恥ずかしくなり、
「売店いってくる」
といって病棟から出て行きました。
マンガを立ち読みしてるとまたあの子がやってきて
「こんにちわ」
と一言いいました。
僕は「こんにちわ」というのが恥ずかしく思えて
「おまえ入院長いね」
といいました。
女の子は
「うん。もう1年かな。でも家に帰ったりしてるよ」
『1年』ときいたときこいつはガンなのか?と思った僕は
黙ってマンガに意識を向けました。
「怪我でもしたの?」
と聞かれた僕は素直に
「兄のお見舞いにきた」
というと女の子は
「お見舞いしないの?」
といわれむかついた僕は
「うるせえな。どっかいけ」
といってしまい。その場を立ち去りました。
その日はもうその子にあいませんでした。
そして大晦日がすぎたころ、僕は深夜に熱を出し緊急で市民病院にいくと。
応急処置だけされ、薬をもらい、明日またきてください。
といわれ、ふと
(またあいつがいるのかな)
と思いました。
次の日僕はなぜか病院内をきょろきょろ見回していました。
(いない・・・)
そう思いながら診察を終えると、母がトイレに行くといい。
僕は売店にいってるといいました。
ふと売店の前で足を止めると、売店横のベンチにあの子がいました。
シタを向いて口をつむっていて、妙にきになったので。
30秒くらい売店の中から様子をうかがってから話しかけました。
「よう」
というとその子は
「あ・・」
といい立ち上がりました
「なにしてるのおまえ」と僕が問いかけると
「今日おかあさんがこれないんだ」と小さい声でいってました
「お見舞い?」そうきくとうなずくその子。
「私さ。入院長いから友達もいないしさ。お父さんとお母さん離婚しておねえちゃんお父さんといっちゃったからさ」
それをきくと僕はこの間の兄のお見舞いのことを思い出しました。
なんて無責任なこといったんだろう。
そうおもうだけであやまりませんでした。
謝る言葉のかわりに
「何歳?」
という言葉が出ました。
「12だよ」
「中1?」
「中学いってないけどね」
僕のこの少女に対する印象は『かわいそう』『同情』
のようになっていきました。
女の子は折りかえすように
「え、何歳?名前なんていうの?」
「なんで名前おしえなくちゃいけないんだよ」
と恥ずかしさなのかわからないけどいってしまった。
「だめなの?」
そういわれるとだめな理由がないため
「14。〇〇〇〇。とフルネームをおしえました」
すると女の子は僕を名前で呼び始め僕はなぜか
「名前なんだよ」
と精一杯恥ずかしくない強気な台詞で問いました
「そらだよ」
「そら?うそつけてめー」
「ほんとだよ!」
「変な名前だな」
「変じゃないよ!」
なんだかんだいって僕らはここで打ちとけた