プロと違いやはり院生としての限界、ここまで、という読みからの余裕の表情が
村上に出た。ただ格下相手に露骨に感情を見せる事に抵抗があるのだろう。
もちろん、進藤のその一手が悪手であるかどうかはその後の展開で変化するから
即時に判断は出来ない。
一つの局面を迎えた。
次からの進藤の数手を、非常に興味深い流れをオレは目にする事が出来た。
ふいに大きな音と怒声が会場内に響いた。
何やらギャラリーと打ち手でのちょっとしたトラブルだったらしく、
場内は騒然とし全ての注目がそちらに移った。
その騒ぎから切り取られた空間に居る者らがいた。
進藤と、進藤の相手の村上、それを見守るオレと、そしてもう1人。
対局を終えたアキラが立ち上がり、一歩一歩こちらへ近付いて来る。
興味がないと言っていたはずの、進藤の盤面に引き寄せられてやって来る。
若獅子戦の翌日、行き付けの店までオレを探しに来たアキラはその後オレの部屋で、
健気な程に口には出さず進藤の碁の内容を得ようと努力していた。
あまりにもアキラの行動が明確であからさまで、それをいい事にオレは弄びたいだけ
アキラを弄んだ。本心を話さぬその口を別の事に使う方法を教えこんでやった。
ホテルの最上階の窓から見える夜景は、どこも似たようなものである。
目にする者の心境でそれは違ったものに見える。
手に入れたい物が多すぎたその時のオレにとって、その夜景はひどく薄っぺらい
壁紙のようにしか思えなかった。
夜景を眺めながら、アキラには語らなかった進藤の一局を思い返す余裕もあった。
面白い手合いだった。
勝敗を決定付けるような悪手にしか見えない手を打ちながら、それをもって
相手を誘いこみ、好手に変化させるという流れはプロを相手にそう易々と
出来るものではない。
結果的に進藤は負けたが、その原因は終盤の経験量の違いから来るヨセの技工の差だ。
用意された演出のように、その場に居合わせてそれを見届ける事が出来た。
「―アキラや先生と同じように、オレも進藤を気にかける資格を得られたという
わけだろうかな…」
「やア、緒方くん」
せっかくいい気分に浸っていたところを聞きたくはない声で名を呼ばれ、仕方なく振り返る。
「…今お着きですか、桑原先生」
本因坊タイトル戦の相手がひょうひょうと笑顔で近付いて来る。
「北海道など近いものじゃな、どうだ、前夜祭など抜け出して夜の街に繰り出さんかい?」
今まで何度となくタイトル戦で桑原とはぶつかってきた。
だが今までオレはこの老棋士からは最終的な勝利を奪えないでいた。
相性以前に、世程前世でこの人物から恨みをかうような事でもやらかしたらしい。
「お元気ですね。明日から二日に渡って一局打とうというのに」
「キミはちょっと肩に力が入り過ぎじゃの」
そう言いながら頭のてっぺんから足先まで舐めるようにオレを眺めるクセも相変わらずだ。
何よりそれをオレが嫌っている事を知っていて、あえてそれをする。
それでもまだ、会話する気になれたのは先の一戦で勝利を奪えていたからだ。
向こうは向こうで脇を通りがかった「一般人」にサインを求められてえらく御機嫌である。
「ワシのようなジジイに人気が集まるようじゃ囲碁界も先が思いやられるわい、のオ、緒方クン」
慣れた手付きで一筆認めて色紙を相手に渡す。
そうして再びこちらに向き直った時はその表情は一変していた。
「一局目はやられたが今度は負けんよ。このジジイから本因坊のタイトル、取れるものなら
取ってみな」
桑原お得意の緩急を加えた脅し方だ。好々爺の表情の後で妖怪のような目で睨む。
「…桑原先生、囲碁界に新しい波が来ます。これは予感です。」
そう伝えながら、オレの脳裏に走ったのはアキラだけでなく進藤の姿だった。
アキラの足音だけは、いくら情勢に疎い老いた連中もそろそろ聞き分ける頃合だ。
その足音の影で、アキラを追うもう一つの足音がある。まだその名を、進藤という存在を
この男に伝える事はしなかった。
だがあの若獅子戦の時からオレの耳もはっきりその足音を捉え始めたのだ。
アキラが二段に昇格したという知らせを本因坊戦さなかの出先のホテルで聞いた。
若獅子戦優勝に続き、大手合いでも連勝を続けるアキラを誰もが驚きの目で見つめていた。
進藤の一戦の内容をアキラに説明してやらなかったことが
目に見えない魔物から必死に逃れようとするかのようにアキラを奔らせていた。
そしてオレもまた、歩を速める必要が来るだろうということを漠然と感じた。
>283
実は自分も落ちたと思っておりますた。助かりました。ありがとうございます。
続きキタ━━━ヽ(∀゚ )人(゚∀゚)人( ゚∀)人(∀゚ )人(゚∀゚)人( ゚∀)ノ━━!!!
裏階段さん、早起きだな。朝から楽しませて貰ったよ。
ヒカルたんをエサにアキラたんを弄ぶ兄貴の手管はさすがだな。
変わり始める碁会の雰囲気がすごく出てて(・∀・)イイ!!
(^^)
>あまりにもアキラの行動が明確であからさまで、それをいい事にオレは弄びたいだけ
>アキラを弄んだ。本心を話さぬその口を別の事に使う方法を教えこんでやった。
この2行で珍子勃起しますた
キタ━━━(゜∀゜)━━━━━━!!!!
>291に同じく。たった二行なのになんて鮮烈にエロいんだ!ハアハアハアハアハアハア(;´Д`)
本編でも、ギョピちゃん屋までアキラが聞きに来るシーンは何気にエロかったが
あの時俺が漠然と頭に浮かべたその後の二人のイメージだ。
兄貴が妙に加虐的に見えたんだ。そしてアキラは加虐心をそそった。
アキラを罰したのか?
/⌒ ̄ \
 ̄ ̄ ● \
__ _) / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
く||*゚-゚)||~~ < ホシュ
―――ヽ二二二/ \_____________
>293
このヘビ?に食われてるアキラたんが大好きだ!
またキモイAA張りやがって。糞。死ねよ
一部プチ住人の本音だな。
「兄弟スレは魔境ではなく、ここだ」と。
>293
このAA見て、プチの強制フェラ、思い出したよ。
しかし、ここも春だねぇ・・・
アキラが歩みを速めれば自然オレとの距離が縮まる。
既にオレが感じている程の距離感は彼は持っていないのかもしれない。
実際オレを射程内に捉えているかのようなアキラの言動が鼻につき始めていた。
その焦りが悪い方に出た。
桑原を破る事は出来なかった。
封じ手をあえてとらされ精神的に揺さぶられるという小細工にまんまと引っ掛かってしまった。
終局が見えた盤面をこちらが歯噛みをして見つめる様を桑原は最上の娯楽でも眺めるように、
生きた鼠を檻のまま水に沈めてもがき溺れ死ぬのを楽しむかのようにしていた。
「…ありません…」
冷えた指先で眼鏡を押さえて表情を見られるのを防ぎ、答えるのが精一杯だった。
「ふむ。」
腹の中で高笑いをしているだろうに、表向きは神妙な面持ちで桑原は頷く。
その脳裏でさぞかしオレを嬲り者にして味わっている事だろう。
防衛を果たした老齢のベテラン棋士をたたえるカメラのフラッシュが瞬く中で
その部屋を出て扉を閉めるまでは自分を押さえる事が出来た。
「緒方クンはよくやったよ。新しい波を受けて立つに役目というものは何度やっても
骨が折れるわい。ヒッヒッ」
意気揚々と声高にインタビューに答える桑原の声に捕まらぬうちにそこを離れた。
他のどの対局を落とすよりもその桑原との一戦は痛かった。
何かが軋み、骨と肉が分離するような違和感を感じていた。
「塔矢門下生での若手ナンバー1」「若手の旗手」などと長く呼ばれていたが、
それらの声がいつしか皮肉混じりになりつつあるのも感じていた。
このままでは先生を追う資格すら失うような喪失感を感じた。
東京に向かう飛行機の中で、ホテルから見た同じ街の夜景を眼下に眺めながら
突然、実は自分はまだ何もてにしていないのではないかという不安にかられた。
手に入れたようなつもりになっていてその実何も手の中に残っていないような、
アキラとの事さえも淡い夢だったような、そんな虚無感に襲われた。
心身共に疲れ果ててマンションの自室に戻り、シャワーを浴びて強めの酒を呷りすぐさま
ベッドに潜り込んで眠ろうと努力した。
ふと、若獅子杯の次の日にここに来ていたアキラの姿が浮かんだ。
非道とも言えるオレの行為を黙って受け入れていた痛々しい彼の姿だ。
「…もう二度と来ないかもしれないな…」
商売女にさせるような行為をアキラにさせたのだ。
オレの名を呼び、オレを慕い、寝ているオレの唇に重ねてくれたアキラの柔らかい
美しいその箇所をオレは汚した。
その奥の凛とした涼やかな声を出す場所に自分の分身を押し込み灼いた。
その箇所が他の者の名を呼び親愛の言葉を唱えるのを封じたのだ。
その味を味わったアキラはすぐさま洗面台に駆け込み胃液と共に戻した。
青白い顔でベッドルームに来たアキラに再度同じ行為を与えて二度目は洗面台に立つ事を禁じた。
泣きもせず、ただ空ろな表情でアキラは従った。
考えてみれば、碁の神様に最も愛されているであろう少年にそんな事をやらかした者に御褒美が
与えられるはずがない。このままもう一度最下層に堕ちていくかもしれない。
それもいいかもしれない。今のオレに相応しい場所へ戻るのだ。
その夜は当然のように悪夢を見た。
誰とも分からぬ闇の向こうの相手と碁盤を挟み、次の手を打とうとする。
だが指に触れたものは碁石ではなかった。ぬるりとした感触を持ったそれは眼球だった。
碁盤の上に落ちたそれはぎょろりとオレを見つめる。盤上の石全てが同様に一斉にオレを見つめた。
碁盤の向こうに桑原の高笑いが響く。他の棋士らの笑い声も同時に聞こえた。
『出て行け!お前にはその座は相応しくない。碁盤を汚すものは去れ!』
叫び声を上げて飛び起きた。
汗で湿った夜着を脱ぎ捨て、のろのろとベッドから下りて台所に向かった。
アルコールの類を探そうと思ったのだ。
その時玄関のドアホンが鳴った。
小さな紙包みを持ったアキラが立っていた。
「…プロのお仕事で地方のイベントに行ったんです。お土産…なんてほどの
ものではないのですが…」
バスローブを羽織ってミネラルウォーターを喉に流し込むオレの背中にアキラは話し掛けて来る。
桑原との結果はもう伝わっているはずだ。
地方の碁のイベントに参加し、講習会を受けに来た者のなかに陶芸家がいて、返りに他の棋士らと
その人の個展に立ち寄ったという話をアキラは続ける。
「お父さんと色違いで選んでみたんですが…」
包みをアキラはテーブルの上に出した。
開けてみると深いチャコルグレーのシンプルなデザインの筆置きだった。
「緒方さん、雑誌に碁の解説の文章を載せる事があるじゃないですか。それで…あ、でも今は
全部パソコンで書いてしまっているんでしたっけ…」
そう言いかけてパソコンの机を覗き込もうとしたアキラの手を握って引き寄せる。
一瞬アキラは表情を強張らせるが、いつものように黙って従う。
抱き締めた瞬間に彼の全身から力が抜け落ちる。何故彼がここまでオレに対して
無抵抗なのかわからない。
限り無く優しい悪魔と限り無く残酷な天使――手の中の存在は果たしてどちらなのか。
どちらにしてもオレはその時はただ夢中で彼を抱いた。力が入り過ぎないよう注意を払い
優しく髪を撫で続けた。
オレの腕の中でアキラはただ静かに目を閉じている。
「…もう一度チャンスをくれないか…」
「…何の…ですか?」
アキラは小さな声で問い直し、首を傾げる。
その透明度の高い瞳を見て、オレはいかに自分が思い上がっていたかを知った。
アキラを汚すほどの力など、最初からオレにはなかったのだ。そしてこれからも。
>293
保守ありがとうございます。AAはスレの宝です!!!
どこかで見た緒方のジジイ発言AAには驚きました。あれをAAにしようという発想がすごいというか。
わふっ一番乗りだ!キタ━━━(゜∀゜)━━━━━━!!!!
すげー切なくなった。今回の兄貴にやられた〜!ハァハァ(;´Д`)
そして最後の方のアキラとの関係も。兄貴によって汚されることのないアキラ。
兄貴がアキラではなくヒカルを求めたとすればこれなのかな?
いや、逃げた結果ヒカルに行ったのではなく惚れてしまったんだろうけど。
ヘタレ兄貴イイ!すげ〜イイよ〜!
ゲーム今日発売・・・どうすっかな〜。ハードねえし。
鉄拳の本買ったよ(w
>303
別に鉄拳のファンというわけでは(w
でもぜひ鉄拳には「こんな神の一手はイヤだ」ネタやって欲しいものです。
続きキタ━━━ヽ(∀゚ )人(゚∀゚)人( ゚∀)人(∀゚ )人(゚∀゚)人( ゚∀)ノ━━!!!
ジジィと兄貴の因縁を感じます。
碁の世界の厳しさも兄貴の様子を見てると伝わってきて胸を突かれました。
306 :
夢見る名無しさん:03/03/23 23:47
出過ぎた事してすみません
保守らせてください
え?!なんであがってるの?!
さっきまではメル欄にsageと入れてたのに...
ごめんなさい逝きます
保守だ(;´Д`)ハァハァ
アキラを壊す事が出来る者などいない。
例えいたとしてもその相手も無事では済むまい。
おそらく己の中の一部を、あるいは全てを壊してしまうに違いない。
進藤とオレに対するものは全然別のものだとアキラは何度も口にした。
それに縋る事にした。
アキラだけを責める事は出来ない。
オレの中にもいまだ先生を求める思いは強い。
それは精神的や肉体的な繋がりに対する要求ではなく棋士として先生を
追い詰めたいというものだった。
それは伯父の家で初めて先生の打つ碁を見た時から抱いていた願望だ。
ようやくそこに還っただけだった。
桑原すら打ち落とせない者には無謀な願いだという自覚はあった。
願いをシンプルに持つ事にした。欲が張った自分の姿にようやく気付いた。
ホテルの窓から見た夜景が安っぽかったのではなくそこに映った自分の姿が
存在感のない薄っぺらな存在だったのだ。
碁会所で久々に芦原と打った。
アキラはプロとしての仕事が増え、アキラ自身も意欲的にそれらに取り組んでいたので
碁会所にやって来る回数はかなり減ったようだった。
芦原は性格そのものの大らかでおっとりした碁を打つ。
状況判断や分析力に優れながら彼には野心がなく、リーグ入りには縁がない。
学者的な打ち手なのだ。その代わり根気良く丁寧な解説が出来るので彼の参加するイベントは
棋院にわざわざ問い合わせがあるほど人気がある。
それでも何かきっかけがあったら彼のようなタイプは一足飛びに化ける。
ある意味塔矢門下の中ではアキラ以上に警戒しなければならない相手とも言える。
「…ボクがこんな事を言うのも変ですが、緒方さん、アキラくんに優しくしてやって
ください。」
いつになく神妙な面持ちで打っているな、と思った矢先芦原がそう切り出してきた。
思わず手にしていた煙草を落としそうになった。
アキラとある議員らとの4面持碁の話をその時芦原から聞かされた。
「ボクみたいにマイペースになれとは言いませんけど、碁って一生掛けて向き合うものじゃ
ないですか。アキラくんはなぜあそこまで全力で駆け抜けようとするのか、見ていると
恐くて…やっぱりジジムサいですかね、こういう言い方は…」
芦原はアキラが碁石を持ち始めた頃に塔矢門下にやって来た。
地方の子供囲碁対局で、先生がたまたま芦原を見かけ、年令に似合わず丁寧で無理のない
打ち方が出来る事に感心し、声をかけたのがきっかけだったようだが詳しくは知らない。
よく研究会の時や庭先で煙草を吸っていた時のオレを遠巻きに興味深そうに眺めていた。
芦原に言わせると、最初オレが幼いアキラを疎ましく思っているように見えたらしい。
「すぐそれは誤解だってわかりましたけどね。いつだったか、大きな碁のイベントで先生が不在の
間、緒方さんが控え室でずっとアキラくんと碁を打ってあげていたじゃないですか」
と言っても芦原は当時はごくたまに研究会に顔を出す程度だった。
「それでもわかりますよ。アキラくんを見ている時の緒方さんの目ってとても穏やかですから」
「そんなに普段目を血走らせて打っていた覚えはないんだがな」
「恐かったですよ。何て言うか…言葉は悪いですが、何かに復讐するかのような凄みで打って
いましたよ。で、オレがアキラくんに聞いたんです。緒方さんが恐くないのかって」
「おいおい」
「アキラくん、即答でしたよ。『緒方さん大好きだよ』って。その頃はオレもちょくちょく
アキラくんと打ってやっていましたから、ちょっと妬けましたね。いつでもアキラくんにとって
緒方さんは特別な存在のようでしたから」
いつの話かは知らないが、どうでもいい事をアキラに言わせたものだと思った。
「とにかく、あんなやり方していたらアキラくん、一気に燃え尽きてしまいますよ。」
見当はついた。確か進藤がプロ試験の予選を通過していたはずだ。
「それもいいじゃないか。…芦原、お前はライバルはいるか?」
「えっ?」
いきなり聞かれて芦原は戸惑うように自分の手の平を見つめて指を折る。
「ええっと…倉田くんにはここんとこ全然歯が立たないし…戦績でいえば森下門下の白川さんとか
冴木くんとかが五分五分かな…あまりそういうの意識した事ないけど」
「…お前、ライバルの意味をわかっているのか?」
「ひどいなあ、じゃあ緒方さんのライバルって誰なんですか?まさか桑原先生なんてのはなしですよ」
おっとりしていながら時々芦原は強烈な一言も吐く。
思わず苦々しい顔で煙草を灰皿に押し付ける。それに構わず芦原は反撃できたと言わんばかりに
鼻歌を歌いながら上機嫌で碁を打ち続ける。
新しい煙草に火を点け、一息つく。
「…ライバル…か」
アキラがすぐ背後まで駆け上がってくるのは間違いない。
ただその時オレの頭の中に形にならない、まだイメージになり切らないものが浮かんだ気がした。
青白いモニターの向こうに存在した、アキラを手玉に取りより高みへと誘うような打ち手。
時や世俗の呪縛から解き放たれた、年令や性差の区別も掴みかねる優しく、それでいて力のある
不思議な石の流れ。
その名が浮かぶ前に頭を振ってそれを打ち消した。アキラと同じ霧の中に迷うつもりはなかった。
保守ありがとうございます。
307さんもどうもです。この板は落ちるのが早いので大丈夫です。
ふいな圧縮の方がこわいということがわかりました。
アニメ終わってしまいましたね。新章のダイジェストならば本来
「首を洗って待っていろジジイ」と仁王立ち緒方であるはずがなぜああなったのか…
キタ━(^▽^)━( ^▽)━( ^)━( )━(^ )━(▽^ )━(^▽^)━ !!!!!
裏階段さんの兄貴、カッコイイ!
ライバル・・・兄貴のライバルが桑原・・・何か笑えるな
>314
確かに(w 「首を洗って待ってろ」見たかったかも。
裏階段さん、キタ━━━ヽ(∀゚ )人(゚∀゚)人( ゚∀)人(∀゚ )人(゚∀゚)人( ゚∀)ノ━━!!!
兄貴、アニメ最終回出演おめ!
i i / , ‐ 、 、、 \ ヽ、
. ! .i / / / / , ヽ,r‐、 ヽ、 ヽ、 '、
l ! i ! / / / /! ,.、 ヽ '、 ヾ'、',
| | ! l! .i l i /lルヘ小 l. i l !|
| l! i l i l| ! / l .! l l l |. | l l!
| ,' ヽl、! l | l | l l | l ノ | ./! l! ,! !
jl.!ト`'! ,ト、l、| ヽハ |- 、ヽト、! _,,、‐'jノ_」. ,'} ,/
_/:l! ','、_レ' \r t‐tテ‐、 `Y==f-ァテフ | /ノ'′
:;:;:;:;ll ト、_ ヽ. ! `''"´′ ノー‐!、  ̄ ,/'゙:;:ヽ、
;:;:;:;:;゙l、| i `'ー─‐‐'′ i `'''''''''"!:;:ll;:;:;:;:;'、
:;:;:;:;:;:;:;l ヽ ! .ノ:;:;:l!;:;:;:;:;:;l
;:;:;:;:;:;:;:;i, `、 ´ ‐′ ,.':;:;:;:;:!:;:;:;:;:;:;!
:;:;:;:;:;:;:;:;:;i, ヽ ー、----‐ァ' /;:;:;:;:;:;:;:;:;:i;:;:j
;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:'、 \ ` ニ ´ /:;:;:;:;:;:;:;:;:;:i!;:/
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;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:,:ヘ\_;;;〉,r‐'_/l;|;:;:;:;:;:;:;/;:;:;:;/:;/:;:;!;/
あぼーん
あぼーん
ヘタレ兄貴ハァハァ(;´Д`)
俺もアキラと供に壊れてみたいハァハァ(;´Д`)
それに縋る事にした。っていう兄貴にハァハァ(;´Д`)
裏階段兄貴の人間臭いとこが好きだ。
アニメ最後の最後までジジィとカプールだったな(w
新章で早く登場して欲しい!
321 :
夢見る名無しさん:03/03/30 13:14
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マチガエタ。
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おお、懐かしいな。
エイプリルフール保守!
午前中の宿のロビーで煙草を吸っているとそこに進藤も休憩にやって来た。
小さな温泉街を見下ろすかたちになる山の中腹にある会場のホテルで、
ほぼ壁の全面が窓になっている外は初夏の若緑色の光で溢れていた。
その光に包まれている向い側のソファーに進藤は腰掛け、大きな欠伸をひとつつく。
頬と前髪を柔らかく光が照らす。進藤にはやはり陽の光がよく似合う。
「すげー、良い眺め。いい旅館だよね、ここ。へえ、遠くに海も見える…」
深く背もたれに体を預けて伸びをする。
夕べの記憶は彼の中に残っていない。酷使された肉体の痛みも若い回復力でどうとでも
なるらしい。彼にとってそれは大した事ではないのだろう。
朝、目を覚ました時進藤の姿はなかった。自分の部屋に戻り、着替えて
他の棋士らと宿の大広間で朝食を平らげたらしい。
「アキラくんは碁に関する仕事ではスーツを着用するのを心掛けているんだがな。」
進藤はいつまでたってもGパンにシャツやパーカーといったラフな格好のままだ。
もちろん棋士全員がいつも堅苦しい服装の訳ではないが、低段位者が囲碁以外で
自分を主張しようとしていると受け取られかねない。
ただひと頃のような派手なデザインや彩色のものはさすがに控えるようになったようだ。
大人しい子供が多い中で場所をわきまえず大声を出したり動き回っていた姿を思うと
今時の若者にしては十分落ち着いている方なのだろう。だがどうしてもアキラを基準にして
見てしまう。
「格好じゃないやい、中身だ。」
と進藤は豪語する。
そんな進藤に眉を潜める古参の棋士らもいるが、今や進藤が塔矢アキラと並ぶ
若手の最注目株である事は誰もが認めつつあった。
あるいはそれ以上の、という声を漏す者もいる。
それはアキラが幾分完成された独自の打ち筋を持つのに対し進藤はまだまだ
対局によって大きく変化し、時としてとんでもない大敗を食らう事があったが
それだけまだ伸びる余地と可能性を持っていると想起させた。
進藤にもその自覚があるのだろう。
自分にはまだ足りないものがあると。
その何かに辿り着く間では、格好とかその他の雑事に気を向ける余裕がないという感じだった。
仕事自体は夕方には終わる。進藤らはバスで最寄りの駅まで移動し、それぞれの帰路につく。
「…進藤、」
温かい日差しに短い休憩時間でもうとうとし始めた彼に呼び掛けた。
進藤が眠たそうに半分閉じた目蓋で顔を上げた。
「ん…?なに?」
「この仕事の後、…時間あるか。」
しばらく進藤はぼんやりとオレを見つめ、こくりと頷いた。
進藤はまだオレが進藤とsaiを同一人物だと確信している事を知らない。
アキラがそう感じている事は気付いているようだったが、彼等の間でその話はもう
交わされていないらしい。
正確にはアキラは進藤とsaiの識別を放棄した。そうすれば楽になると信じたのだ。
それは先生にも言えた。
進藤の中にsaiと共通する印象を持ちながらあえてそれに目を閉じ、
ただひたすら先生はsaiとの再会を静かに待ち、saiのために以前にも増して日々碁に対する
精進を重ねている。
日増しに追い上げて来る進藤の棋士としての実力がsaiの面影と完全に重なる日を待ちながら。
先生が帰国した僅かの合間を縫って、時おり進藤と会い、碁を打っているという話を
何かの拍子にアキラから聞かされた事があった。
「…それは本当なのか」
その時アキラはこちらの微妙な声色の変化を感じ取って一瞬怯えた。
「別に…隠していた訳では…。父も進藤も、特にその話をボクにしなかったので…」
その時感じたものは言葉ではうまく説明できない。
オレとアキラと同様に、先生もまた進藤を意識の中に捉えているとはっきりわかったのは
プロ合格を決めた進藤との対局を条件に新初段シリーズに出る事を決めた事からだった。
当時先生のスケジュールは多忙を極めていた。
僅かでも時間が空けば休養をとることを誰もが勧めていた。それをあえて進藤のために
自らが腰を上げて出向いたのだ。
先生がそこまで進藤に興味を持ったのもやはりアキラの挙動があったからだろう。
プロ試験の終盤、アキラが熱心にとあるプロ試験を受ける越智と言う院生のトップの少年の
家に指導碁のために通っているらしいと聞いたが、それが進藤を意識しての行動である事は
すぐにわかった。
だがアキラにとっての最大の関心事は進藤が合格するかというより進藤の本当の実力だった。
少なくとも進藤が対戦する相手の中で最も最強と思える者の戦力を更に増強させる事で
アキラなりの関門を設置したわけだ。
それを進藤が超えられなければアキラにとって再び心静かな安堵の日々が、そしてとてつもなく
退屈な日々が戻って来る事が約束されることを意味していた。
その日、進藤がその関門を抜けた日はアキラがいつになく激しかったのでよく覚えている。
「…来る…」
ぽつりとアキラが呟いた。
「…何か言ったか…?」
当然のようにアキラは答えず黙って首を横に振る。
何度目かの熱を代りにアキラに与える。それがアキラの期待するものの足下くらいには
及ぶものかどうかはわからなかったが。
設定した関門が突破されたのなら更なる難関を設置したくなるなるものである。
逆コミというハンデを背負っての進藤との戦いに名乗りをあげたのは、先生が自らその関門を
かって出てたようにも思えた。
「アキラくんのためですか?」
棋院のエレベーターで先生と2人で乗り合わせた時に何気なく尋ねてみた。すると先生は
静かに笑い、答えた。
「…いや、もしかしたら…あの子には恨まれるかもしれん。」
オレとしてはようやく桑原との一戦から精神的な落ち着きを取り戻し、流れ的に誰もが予想した
結果を覆して若手の覇者倉田を叩き潰してやった直後だっただけに、気持ち的に余裕があった。
アキラが進藤のプロ試験の件でピリピリしているのを面白く見させてもらった部分がある。
人が気負ったり焦ったりするのを目の当たりにすると反作用として周囲は冷めてしまうものだ。
ただ先生のその言葉が気になって、その日、新初段シリーズが行われる日本棋院会館に
自然足が向いた。
冷えた張り詰めた外気の中に空のどこか遠くで降る雪の細やかな欠片が混じる日だった。
裏階段さん、キタ━━━━(Д゚(○=(゚∀゚)=○)Д゚)━━━━━ !!!!!
今週はジャンピの休載のせいか、小説が心に染みます。
過去と現在に交差する兄貴の心情に(;´Д`)ハァハァ
エイプリールUP(w 保守してくださる方、いつもありがとうございます。
>316
サンクスです!カッコ良いですねこのAA緒方!
あと何やら来ていたようですが削除以来をして下さった方、削除人さんありがとうございます。
この板は本当に対処が素早いようですね。
>320
スレタイトルの由来は別のことろにあったのですが確かに今の緒方に似合う曲かもしれません。
翼の折れたエンジェルとか。
以来ではなく依頼でした…
>331
どうもです。休載、本当に多いですね。単行本のためでしょうか。
オリジナルポスターとかつけて欲しいです。隅っこでいいので緒方入りのやつ。
>>333 来月発売の赤マルジャンプのヒカルの碁ポスターに
兄貴も大きく写っていて欲しいもんです(ノ´∀`*)