神戸事件の謎に迫る(2)

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9須磨厚久
 このところ、またまた「前提議論」に逆戻りしてしまった感があるので、強引に話しを戻したい。すなわち「我々の知る限りの情報から事件を検証すれば、真相はどうであったか?」の推理論争である。間違ってもらっては困るのだが「犯人が誰であったか?」ではない。「事件の経緯は分からないが犯人はA少年」という超能力みたいな推理だけは勘弁して欲しいのだ。それは推理ではなく、思い込みだ。だが、思い込みを持つなと言う方が無理であろうから、この際、その「思い込み」からスタートした推理でも受け入れよう。「辻褄合わせは無意味」だと言ったが撤回する。撤回しなければ話しが前に進まないからだ。
 この事件の謎は、まことにもって広範囲に及ぶ。動機、誘い出し経緯、殺害経緯、遺体切断の意図と経緯と凶器、遺体遺棄の意図と経緯、犯行声明の意図と経緯…どれひとつをとってみても、解明されたとはとても言いがたい。このスレで、現在までに言及できたのは、誘い出し経緯についてと殺害経緯についてだけだ。この調子では数千のレスが必要になるだろう。以前コナン氏が言っていたように、事態は緊迫してきている。のんびりしてはいられないのだ。

 では、続いて「遺体切断」の謎を追っていきたい。皆さんの中のほとんどの方は、遺体切断現場が「アンテナ基地後方(斜面との間)スペース」であると考えられているだろう。調書のストーリーを信用するなら、25日の白昼に、そこで遺体が切断されたことになる。だが、血液反応が検出されたのは、アンテナ基地床下であり、切断現場周辺からは検出されていない。
 さて、ここで現場の写真を見て欲しいのだが、このスペースで、しかも白昼、遺体切断などという作業が可能なのかどうか、皆さんに判断してもらいたいのだ。足場は段差があり不安定だし、遺体は地面の高さにある。「どうしても、ここで切れ」と言われたら私の場合、前屈みになり、右足を地面に踏ん張って、遺体の額部に左足を乗せ、鋸は垂直近くまで立てた状態で、頚部左側から右側に向けて斜めに切り進むという方法を採るだろう。そうでなければ、首のように切断が難しいものを「鋭利な刃物で切った」ようにスパッと切ることなど出来ない。しゃがんだり、寝転んだりして喉の部分から切り進もうなどとは絶対に思わないのだ。第一その姿勢では柔らかい材木すら切れないだろう。調書のA少年は「中腰になったか、膝をついたか覚えていませんが…」と言っているが、地面に置いたものを鋸で切断する困難さはまるで伝わってこないのだ。
 要するに、アンテナ基地後方スペースの地面で首を切ったという話し自体が常識はずれなのである。たとえ無理な体勢で切断を強行したとしても、切断面は決して、伝えられているようにきれいな断面にならない。また、立って前屈みで力を入れて切ったとしたら切り口は左右で高さが変わり、地面に立てた時、横向きに倒れてしまう。「あの場所で」「のこぎりで」「伝えられる断面」を作るのは、ほぼ不可能だと私は思うのだが、皆さんはどうであろうか?