■■■栃木リンチ殺人事件■■■

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◎非道『日産自動車』の裁かれぬ罪 1◎

日産は企業イメージの為に真面目に働いていた一人の社員を見殺しにした。
しかし、このことで日産が法的にはもちろん、社会的にも裁かれることはないだろう
これでは亡くなった須藤君も うかばれない
せめて、この『2ちゃんねる』でさらしあげておきたい
尚、これ以下の文は、黒木昭雄氏著書の『栃木リンチ殺人事件』を参考にしていますが
犯人の仮名は実名に変えてあります

萩原=主犯 梅沢=共犯で須藤君の同僚 村上=共犯
342:01/10/05 18:52
◎非道『日産自動車』の裁かれぬ罪 2◎

・・・・・なぜ警察は動かなかったのか
栃木県警の広畑史朗本部長は、事件後の県議会で
「捜索願を受理した段階で、誤った先入観をもってしまった」と答弁している
なぜ石橋署は「先入観」をもったのか

正和の母親が日産の上司に付き添われて石橋署に捜索願を出したとき
上司に、何かの参考になるかもしれないと言われ、四通の報告書を提出している
そこには犯人の一人で同僚の梅沢は正直で、正和は「嘘つき」というようなことが書いてあったことが後に判明する
父親は「これでは、正和が悪いから捜さなくてもいいとも受け取られかねない内容でしょ
まるで正和をはじめから悪者に仕立てあげたいかのようにも感じる」と語っている
さらに母親が会社に呼ばれたときに、直属の上司の藤井係長からも
「いやあウチの息子も悪いほうだけど、須藤君ほど悪くなくてよかった」などと暴言を浴びせられている
これらのことから、日産から警察にどんな情報が伝わっているかは想像がつく

つまり、県警本部長が答弁した「捜索願を受理した段階で、誤った先入観をもってしまった」の正体は
日産が警察に向けて発した情報が元だったのだ
ではなぜ、日産はこんなデタラメな報告書を母親に持たせ、正和をワルにしたかったのか
事件の詳しいことがわからず、判断を誤ったのか・・・・・むしろ逆であった
343:01/10/05 18:53
◎非道『日産自動車』の裁かれぬ罪 3◎

日産の総務部は会社の対面にもかかわる不祥事情報を、かなり早い段階で入手し
実に素早い対応を見せている
まず10月13日、正和の先輩・木崎に藤井係長が事情を聞いている

木崎は正和に呼び出され、頼まれて2万円を貸していた
さらにその場にいた萩原や村上に脅されて、サラ金に連れて行かれそうにもなっている
村上は木崎の高校の後輩で素性は知っていた
正和の身を案じた木崎は、帰り際に正和と梅沢の二人だけを呼び、「主犯は村上か」と聞いている
正和は否定したが、木崎にはそれが嘘だと感じられた
しかし、同じ会社の梅沢までが「犯人側」の人間だとは、木崎も気づかなかった
344:01/10/05 18:53
◎非道『日産自動車』の裁かれぬ罪 4◎

藤井係長に呼び出された木崎は、すべてを正直に話すことにした。藤井係長の質問がはじまった
「梅沢のことは知ってるよな。で、村上っていうのも知ってるのか」
この藤井係長の言葉に、木崎は正直驚いたという・・・・・なんでそこまで知っているのか
「もう一人、萩原ってのもいただろう?」・・・・・知らない名前だ
「萩原っていうんですか。なにやら後ろから にらみをきかせていましたね」
このやりとりを木崎から聞いて驚くのは、藤井係長の口から「萩原」の名前がでたことだ
正和の父が「萩原」の名前を知ったのは、11月30日のときだった。二ヶ月近くかけてようやく割りだした名前である
それを日産総務部は10月13日の時点ですでにつかんでいた
梅沢、村上、萩原と、犯人のすべての素性が日産にはわかっていたのだ
345:01/10/05 18:54
◎非道『日産自動車』の裁かれぬ罪 5◎

木崎はそこまで知っているなら、必ず力になってくれるものと確信し、メモしておいた車のナンバーを教えようとした
ところが、藤井係長は
「いや、そこまではいいんだ。このことは警察に連絡したから。おまえはもうかかわるな」と言ったという
もし本気で正和を助けるつもりなら、ナンバーを知って喜ぶはずだ。「もうかかわるな」は口止めのようにも聞こえる
さらに「警察に連絡したから」ということは、日産は、事態をある程度把握していて
正和の両親が捜索願をだすよりも前に、すでに警察に通報していたことになる

このとき木崎は「梅沢から事情を聞いた」という書類を藤井係長から見せられた
これが正和の母親から石橋署に提出させた問題の「報告書」の一通だと推察される
そこに描かれた正和像は、木崎が知る正和とは似ても似つかないものだったし、明らかな嘘も書かれていた
木崎は思わずまくしたてた。「梅沢の話は全部嘘ですよ!」
この木崎の事情聴取の翌日に書かれたのが、「(正和は)嘘をついていると思われる」という
もう一通の問題の「報告書」だった
木崎の貴重な証言はまったく顧みられることもなく、日産の上司は正和を「嘘つき」とする報告書を
母親の手から石橋署へ提出させていた。ここには日産サイドの明らかな「意思」があったと考えるのが妥当だろう
県警本部長が認めているように、この報告書が県警の先入観となり、捜査着手が阻害され
結果として正和が殺されているのだから、「意思」の解明がきわめて重要になってくる
346:01/10/05 18:54
◎非道『日産自動車』の裁かれぬ罪 6◎

結論から言うと、すでに日産は警察のいう事件性をじゅうぶん認識していたのだ
そのことをさらに決定づける事実もある
実は、木崎から話を聞いた二日後の10月15日の夜、藤井係長のもとへ社員の加藤から電話があった
加藤が100万円という大金を巻きあげられたときの状況を詳しく話しているのだ
もちろん、正和がいかにひどい状態で囚われていたかも、克明に話している
その三日後、加藤は日産の上司に連れられ、石橋署を訪れた。正和の母親が、石橋署に捜査願をだしたのと同じ日だ
藤井係長に事情を話したのと同じように、金をとられたときの状況を説明した後
携帯電話の着信履歴から犯人グループの番号を取り出し、石橋署の刑事に伝えた
警察は、番号照会で萩原の母親名義の携帯電話であることを割りだした
さらに、加藤は十数枚の写真の中から「恐喝現場」にいた、萩原と村上の写真を選びだしていた
10月19日の段階で内々の捜査はここまで進んでいたのだ
日産も警察も、とっくに萩原を含む犯人グループの全貌をつかんでいたし
これは単なる「金銭貸借」でなく、「恐喝」(刑事事件)であることもわかっていたわけだ
こうした情報は、日産からも警察からも、正和の両親にはいっさい伝えられていない
そして石橋警察署は、日産と共同歩調をとるかのように、事態に対してまったく反応しなかったのだ
347:01/10/05 18:55
◎非道『日産自動車』の裁かれぬ罪 7◎

この不可解な状況がさらにはっきりするのが、11月に入ってすぐのことだ
正和と同期入社の小林と中井が総務部人事課に呼ばれ、正和に現金を貸したときの状況を詳しく聞かれた

すでに20万円づつ脅し取られていた小林と中井は、再度呼び出され、梅沢からの要求に今度はきっぱりと断った
すると、正和が同期の二人に土下座するのだ
「おカネを貸してください」 すがりつくようにして、泣きながら頼むのだ
梅沢が、いきなり土下座している正和の顔面をこぶしで強く殴りつけた
「おまえの頼み方が悪いからだろ」と何度も顔や頭を殴りつけた
その光景にいたたまれなくなった小林が車から降りて正和のもとに近づいた
そのときを待っていたかのように、萩原と村上が取り囲む
「おまえ、友だちなんだから、須藤に貸してやっていいんじゃねえのか」
結局、さらに10万円渡すことになる

小林と中井の話を聞いた上司の判断で、二人は寮の部屋を引っ越すことになった
日産の総務部は、小林と中井に部屋替えを命じなければならないほど、切羽詰った事態だと認識したわけだ
さらに小林と中井は、日産のある人物に連れられて石橋署へ行く
二人はこれでやっと警察が動いてくれるだろうと信じたという
348:01/10/05 18:55
◎非道『日産自動車』の裁かれぬ罪 8◎

二人は警察で、萩原や梅沢、村上にサラ金に連れて行かれて無理やり借金をさせられ、金を脅し取られたこと
目の前で正和が殴られ土下座させられたこと、顔や手におびただしいケガをしていたことなどを詳しく説明した
ところがである。刑事は調書をとるでもなく、最後は説教までされて終わったという
この日のことを中井は「ほんとうに信じられなかった」と語っている
こうなるともう、「絶対に捜査はしない」という強い意志が感じられる
そして「事件にならないよう、うまく処理してほしい」という意向の発信元は日産以外にあり得ないということだ
これが刑事事件になれば、容疑者として日産社員が逮捕されることになる
しかも被害者の多くが日産社員で、栃木工場を舞台にした大がかりな「恐喝」が発生していたのだから
マスコミの好餌にもなりやすいということだ
349:01/10/05 18:56
◎非道『日産自動車』の裁かれぬ罪 9◎

この事件で重要な役割を果たしている人物がいる。母親が捜査願をだしたときも
小林と中井が石橋署に行ったときも、日産側の人間として立ち会っていた「S」だ
彼こそが、日産自動車の不祥事処理人として雇い入れられた栃木県警OBである
「S」の退職時の階級は「警視」だという。警視なら石橋署程度の所轄の署長と同じ階級だ
さらにタテの関係を重んじる警察では「先輩」であるSのほうが「上」になる
署長クラスが関与していれば、さまざまな「意向」を周辺各署にまで伝達することが可能になる
正和の両親は、石橋署だけでなく、宇都宮東署、宇都宮中央署、黒羽署管轄の駐在所、県警本部の相談窓口
など記録に残っているだけでも、16回も足を運んでいる
にもかかわらず、どこの警察も動かなかったのはこのためだと思われる
350:01/10/05 18:56
◎非道『日産自動車』の裁かれぬ罪 10◎

日産は、この県警天下り「S」をパイプ役に警察と、「事件にならない」方法での事態の収拾を模索していたのだろう
地元有力企業としてのメンツから、「縄付き」を出すわけにはいかなかった
そこで、正和の母親に捜索願をださせることにしたわけだ
母親が警察に行ったことが社内の風評として広まれば、やがて梅沢の耳にも届く
それで犯人グループの行為が収まれば、会社としては御の字だ
正和の債務は最終的に両親が返済しているのだから、問題はなにも残らない
そのためには、正和が一方的な被害者であっては困るわけである
これが、正和が「嘘つき」であるとされた問題の報告書が、石橋署に提出された事情だ
351:01/10/05 18:57
◎非道『日産自動車』の裁かれぬ罪 11◎

ところが、期待どおりの成果はあがらなかった。犯人グループの悪事は収まるどころか、エスカレートしている
そこで今度は小林と中井を石橋署に連れていく。刑事は調書も取らずに・・・・・というシーンにつながるわけである
このときも最初から、小林と中井が「警察に行った」という事実を作りたかっただけなので
警察が小林の話にとりあわず、捜査に着手しないのも当然というわけだ
しかし、それでも事態はいっこうに収束に向かわない
そこで日産側が考えたのが、梅沢と正和に「退職願」を書かせることだった
正和の父親は言う
「会社に連絡するたびに言われました『退職願を早くなんとかしてくださいね』って。はじめは、いろいろと
心配して相談にのってくれていると思っていたのに、とにかく『退職願をだせ』しか言わなくなったからね
それはもう毎日でしたよ。けど、あの頃は会社に迷惑かけちゃいけないって思ってたからね。正和から電話が
あったときも、『会社に退職願をだしなさい』ってね。私ら親子はほんとにお人好しのバカだったんだね」

結局、正和は『諭旨退職処分』になっている。これは犯人側の梅沢と同じ処分だ
監禁されリンチされていた正和は、自分の意思で怠業していたわけではない
事件の発覚後、処分のまちがいに日産も気がついたはずだ
しかし、日産側は企業イメージを守ることにのみ終始し、遺族に処分の撤回と謝罪の言葉をだそうとはしなかった
352:01/10/05 18:57
◎非道『日産自動車』の裁かれぬ罪 12◎

事件から1年以上過ぎた2001年1月23日、正和の両親は、弁護士とともに日産自動車栃木工場を訪れた
日産側は、正和の上司で問題の報告書を書いた藤井係長、県警天下りの「S」などが対応した
両親の問いつめに、実はかなり早い段階から事件を把握していたことを認めるのだが
ウソの報告書については、「私らもすっかり梅沢にだまされて」と反省の色は微塵もない
この間、県警天下りのSは意味ありげな笑みを浮かべるだけだったという
日産側の不誠実な説明にも両親は自制し、がまんを重ねた
ほんとうならば、「おまえらがもっと真剣に行動してくれていれば、正和は救われたんだ」とぶちまけても
おかしくない状況だった。一つだけ、父親は言葉にした
「去年の新盆には、会社から誰一人として焼香に来てくれなかった。それがほんとうに残念だった・・・・・」
このやるせない言葉を取って返したのが藤井係長だった
「私は行きたい気持ちはありましたよ。でもお宅さんらのほうが、まだ訴訟をやっている最中だったので
行っても失礼かなと思って遠慮したんだ。いま、そういうことを言われると、私は憤慨する」
と声を荒らげたというのである
353:01/10/05 19:01
◎非道『日産自動車』の裁かれぬ罪 13◎

藤井係長も、きっとこの一年間、心の中に苦しい葛藤が生まれ
良心の呵責にさいなまれつづけていただろうと、信じて疑わなかった
だが、藤井の口からでたのは「私は憤慨する」という言葉だった

父親は言う
「正和は犯人に殺されてしまったけれど、実際は企業イメージを守ることを優先した日産と
それに荷担した警察に殺されてしまったようですね
もちろん、犯人は憎いけど、いまは日産自動車と警察が憎い」
と、感情をむきだしにして、こぶしを強く握り締めた