1 :
分析!!(どこでも雑談。。。) :
うひゃひゃ。。。オレも。。。
確信犯がここに・・(笑
ハァハァ
4 :
莉子 ★:2001/07/16(月) 00:30
こっちに移動。。。
5 :
はいきょ:2001/07/16(月) 00:36
さて。作業中ですが。
6 :
名無しさん:2001/07/16(月) 00:36
7 :
莉子 ★:2001/07/16(月) 00:38
おっと、どうする?雑スレ重複。
とりあえず避難所は避難所でいっかな?
8 :
莉子 ★:2001/07/16(月) 00:41
眠いな・・・(´□`)
永久に寝るがよい。
10 :
はいきょ:2001/07/16(月) 00:44
俺も眠いのでとりあえずだらだらと。
11 :
莉子 ★:2001/07/16(月) 00:45
それは無理な相談だ
12 :
莉子 ★:2001/07/16(月) 00:45
13 :
はいきょ:2001/07/16(月) 00:47
>>12 とりあえずモニターは直ってネットに支障がないので
作業はもう止めた。
できれば音を鳴らしたいけどめんどくさい
14 :
莉子 ★:2001/07/16(月) 00:48
15 :
はいきょ:2001/07/16(月) 00:48
莉子、今日の恋がしたい×3見たか?
16 :
はいきょ:2001/07/16(月) 00:50
>>14 やめる。
明日また再SETUPしてしまうから
作業が無駄になるし。
17 :
莉子 ★:2001/07/16(月) 00:50
>>15 うわああ!!!見逃した!!!!!
どうなった?
18 :
はいきょ:2001/07/16(月) 00:52
>>17 2,3分遅れたけど、録画したんで。
今は詳細は言わないでおく。
進展なし、とだけ言っておこう。
19 :
莉子 ★:2001/07/16(月) 00:52
とゆうほど面白いドラマでもないんだが(ワラ
20 :
莉子 ★:2001/07/16(月) 00:52
>>18 やっぱり(w
あの主婦と高校生どうなったかだけおせーて
21 :
莉子 ★:2001/07/16(月) 00:55
俺たち〜スレの
>>93 サンライズはパソコン壊れたんで来てないよ
22 :
はいきょ:2001/07/16(月) 00:55
>>19 そういうなよ、毎週見てんだから、
ここまでくると最後まで見る。
>>20 今度会いませんかとかあのガキが言い出して、おしまい
23 :
莉子 ★:2001/07/16(月) 00:57
今度会いませんかああああ・・・・!!!
会えないでしょ(w
なんか、あの二人のやりとり萌えるんだよなあ(w
24 :
名無しさん:2001/07/16(月) 00:58
>>18 はいきょ、って平仮名なのがいいね。
いかにもPCが壊れている感じがして (藁
25 :
莉子 ★:2001/07/16(月) 01:01
>はいきょ
前に帝國でやった幼児プレイみたいで嫌だ(w
26 :
はいきょ:2001/07/16(月) 01:01
>>23 あと、あいつとあいつがセクースした・・・
>>24 ひらがなはいいね。
日本語の美しさだ。
27 :
莉子 ★:2001/07/16(月) 01:02
>>26 誰?
教師とミッチーの元カノ?
役名わかんねーし(w
28 :
はいきょ:2001/07/16(月) 01:04
>>27 まぁそうなんだけどね。
そのまんまだね。
ひねりもなにもあったものじゃないね。
でも次回予告では、なんだかそんな雰囲気じゃないんだよね。
一晩だけかよ!!!とか思った。
結局ネタバレ
29 :
莉子 ★:2001/07/16(月) 01:04
スキヤのオヤジと菅野美穂じゃないだろうな・・・(w
30 :
莉子 ★:2001/07/16(月) 01:05
>>28 ひねりがないね・・・・(w
見逃しても平気なドラマで良かった。
次回予告はどんなんでした?
31 :
はいきょ:2001/07/16(月) 01:05
結構二人ともやるきまんまんのセクースデシタ
とは言っても、お互い服を脱ごうとしてるシーンでおしまいだけどな
32 :
莉子 ★:2001/07/16(月) 01:06
>>31 そんなとこきいてないよ・・・
どこまで・・・
33 :
はいきょ:2001/07/16(月) 01:07
>>30 あのバラけてたスキヤ面子が集合して
ついにこれから本格的に絡んでいくのか?どうなのよ?
てな感じ。
34 :
莉子 ★:2001/07/16(月) 01:12
あれ頂戴。
エムフロのリサとトライスラトップスの
35 :
莉子 ★:2001/07/16(月) 01:12
>>33 伝言ダイアルの高校生とスキヤのオヤジが親子じゃないの?
36 :
はいきょ:2001/07/16(月) 01:14
>>34 すまん・・・
一度HDDフォーマットしたんだけど
その前に保存するの忘れてた>エムフロのリサとトライスラトップスの
37 :
はいきょ:2001/07/16(月) 01:15
>>35 今回の話ではその点についての進展というか。
絡みは一切なかった。
38 :
莉子 ★:2001/07/16(月) 01:16
>>35 わかった。
じゃ自分で落とす。
タイトルなんでしたっけ
39 :
はいきょ:2001/07/16(月) 01:18
TRICERATOPS with LISA
の
Believe The Light
40 :
はいきょ:2001/07/16(月) 01:19
アーティスト名で検索したほうがかかりやすかったような気がする
41 :
莉子 ★:2001/07/16(月) 01:19
42 :
莉子 ★:2001/07/16(月) 01:22
重い、反応しない
43 :
はいきょ:2001/07/16(月) 01:23
WINMXって
そのPCのHDDにインストールしなくても
使えてしまう事がわかった。
CD_Rにインストール後のフォルダ焼いてしまえばOK
いちいちやる必要もないが。
44 :
莉子 ★:2001/07/16(月) 01:24
は、初めて一撃で落ちてきた・・・感動
45 :
はいきょ:2001/07/16(月) 01:25
>>42 俺は見つかったよ。
上の俺の書き込みをこぴぺしなかった?
一度半角で自分で打ち直すと、出てくるよ
46 :
莉子 ★:2001/07/16(月) 01:26
47 :
はいきょ:2001/07/16(月) 01:26
できたか
48 :
莉子 ★:2001/07/16(月) 01:27
TRICERATOPS何気にいい歌他にもあったよな
49 :
はいきょ:2001/07/16(月) 01:27
実は俺は知らない>TRICERATOPS
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
|ナップスターはもう使えなくなりましたね
\
∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\ |
/ ∠∬≡ ) ∠∬= ) □ \ |
/ 凵@ (゚Д゚ ∪Π凵@ (゚Д゚ ∪Π □ \†
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄∧ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
AIR FORCE ▽ /  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
☆☆☆ |チップスターならあるぞ。ナビスコ製だけど
\_____________
51 :
鏡:2001/07/16(月) 01:28
冤罪スレ、500超えたよ。
よく続くもんだ(w
52 :
莉子 ★:2001/07/16(月) 01:28
53 :
はいきょ:2001/07/16(月) 01:29
54 :
鏡:2001/07/16(月) 01:30
でも、part2は勘弁して欲しいなー
それまでになんとか終わらせよう・・・
55 :
莉子 ★:2001/07/16(月) 01:31
ケミストリーの今の歌、タイトルなんだっけ
56 :
はいきょ:2001/07/16(月) 01:32
57 :
莉子 ★:2001/07/16(月) 01:32
ちょうだい♪
58 :
はいきょ:2001/07/16(月) 01:33
Point of No Return
>>53 もう利用してないからわからんが、前のバージョンだと接続できなくなった。
新しいバージョンは、落としたくない。どうせ使えないから。
ギコペの調子・・・・・いや、マシンの調子が悪いので、AAなし。
60 :
ミスター:2001/07/16(月) 01:34
しかし少年犯罪板で酒鬼薔薇事件に詳しい奴が、
鏡氏しかいないとは、ある意味スゴイ状態やね。
鏡氏ごくろうさま〜
61 :
莉子 ★:2001/07/16(月) 01:34
炎エンジン停止。
受け入れ体勢万全です>廃墟さん
62 :
鏡:2001/07/16(月) 01:35
>>60 ここだけの話しだけど(w
俺、ぜんぜん詳しくないんだよ(wwwwwww
63 :
莉子 ★:2001/07/16(月) 01:35
ソリッドスネークのAAなし稀だな・・ちょっと得した気分
64 :
鏡:2001/07/16(月) 01:36
冤罪の話しとかも、
須磨氏とからむようになってから調べたんだよ。
65 :
はいきょ:2001/07/16(月) 01:39
66 :
はいきょ:2001/07/16(月) 01:42
須磨さんは久しぶりに昨日はすごい書き込みだった。
読んで理解するのも大変。
>>63 あなた、今日はラッキーデーです!
>>65 そうか。俺はMP3上げてるサイトから貰ってるから。
ケーブルにしたら、いろいろ考えるか・・・・・。
「波乗りジョニー」と矢井瞳の「Lock Rock Again」
落とすのに、30分位かかった。遅すぎ・・・・・。
じゃ、おやすみ。(AAないと、なんだかこっ恥ずかしいぞ)
68 :
はいきょ:2001/07/16(月) 01:45
>>67 そういえば見たことないな〜、AAなし・・
>>67 しかも、間違えてるし・・・・・矢井田瞳。
逝ってきます!
70 :
横やりする人:2001/07/16(月) 01:47
>>54 新たな参戦者も出てきてますし、別な論争も始まっています。
これは終わる気配がありませんよ。 ワラ
71 :
鏡:2001/07/16(月) 01:47
>>66 もちっと、完結にまとめてくれると
俺も嬉しいんだけどね。
72 :
横やりする人:2001/07/16(月) 01:48
>>71 そうですね・・・ちょっと長いと言うか何と言うか
73 :
鏡:2001/07/16(月) 01:51
74 :
莉子 ★:2001/07/16(月) 01:55
75 :
☆あたしのジョー☆:2001/07/16(月) 01:58
鏡さんだ!
76 :
鏡:2001/07/16(月) 02:00
77 :
ドキュン:2001/07/16(月) 02:00
>>74 それ、感じの悪いブラクラでもあるな(藁
78 :
莉子 ★:2001/07/16(月) 02:02
ブラクラじゃないわあ!!
79 :
むさし:2001/07/16(月) 02:09
俺も莉子板いきたい けどIPとってるんだろ・・・?
80 :
☆☆☆:2001/07/16(月) 02:12
にしてはそれしかみつけてねえのね。。たまたま発見しただけか(ワラ
嬉しそうに馬鹿みてえ。。ワラワラ
83 :
莉子 ★:2001/07/16(月) 02:17
(w
サンPC治ったの?
とりあえずはな。
わりー。話がある>莉子
MMSかメール。わりーけど。。
87 :
莉子 ★:2001/07/16(月) 02:24
88 :
莉子 ★:2001/07/16(月) 02:27
89 :
nanashe:2001/07/16(月) 02:32
>>81 1分後にすかさず煽り入れるサンの粘着ぶりマンセー(w
90 :
莉子 ★:2001/07/16(月) 02:35
一分後のレスが粘着なら
あたししょっちゅう粘着(w
91 :
:2001/07/16(月) 02:37
莉子、昨日廃墟と何回ヤッた?
92 :
nanashe:2001/07/16(月) 02:39
お!久しぶりになんだか香ばしくなってきた(w
93 :
勃起時15センチ:2001/07/16(月) 02:44
94 :
はいきょ:2001/07/16(月) 02:46
それなりにがんばってます。いろいろと、
95 :
莉子 ★:2001/07/16(月) 02:49
なんで変換しないの?
96 :
う〜ん:2001/07/16(月) 02:50
莉子ネタもう飽きてきたなあ。他にネタないかな。
>95
なんで答えないの?(藁
98 :
はいきょ:2001/07/16(月) 02:53
99 :
:2001/07/16(月) 02:54
廃墟、昨日莉子と何回ヤッた?
100 :
はいきょ:2001/07/16(月) 02:55
そりゃぁもう3回といわず・・・・
でもそんな事聞く目的はなんですか?
101 :
莉子 ★:2001/07/16(月) 02:55
102 :
:2001/07/16(月) 02:57
>>100 莉子たんとセク〜スした時の感想プリ〜ズ
103 :
勃起時15センチ:2001/07/16(月) 02:58
莉子、はいきょのちんちんでかい?
>100
やりすぎ
105 :
莉子 ★:2001/07/16(月) 02:59
レスに困るんですけど・・・(w
106 :
:2001/07/16(月) 03:01
107 :
:2001/07/16(月) 03:02
カマトトぶらないで答えなさい 103にも答えなさい
108 :
はいきょ:2001/07/16(月) 03:03
俺のちんちんの大きさを想像して楽しいのかおまえら(w
こんな時間に・・・
109 :
莉子 ★:2001/07/16(月) 03:03
あのぉ、カマトトぶるぶらないじゃなくて・・・(w
あたしもいちお女なんですよねえ・・
110 :
:2001/07/16(月) 03:04
111 :
:2001/07/16(月) 03:05
サンライズとどっちがデカかった?>莉
112 :
:2001/07/16(月) 03:07
廃墟、莉子の肉体はウマー?
113 :
莉子 ★:2001/07/16(月) 03:09
>>111 サンのは見たこともない。
眠いなあ・・三時半までには寝よう・・
114 :
はいきょ:2001/07/16(月) 03:09
正直、レスするのが面倒になってきた。ちんちんネタ。
115 :
莉子 ★:2001/07/16(月) 03:10
なんでハンドル変換しないの
116 :
名無しさん:2001/07/16(月) 03:11
アホ委員長、ここに居たか
117 :
莉子 ★:2001/07/16(月) 03:11
>>116 ワラタ
委員長だったのか。最初からそういってよ・・・
118 :
名無しさん:2001/07/16(月) 03:11
119 :
廃墟:2001/07/16(月) 03:12
はいきょ、の方がなんとなくいいような気がして
理由なんてないさ。
漢字だと硬いようなきがしてごつい。
120 :
莉子 ★:2001/07/16(月) 03:12
そういえば荒らしがない・・・
121 :
莉子 ★:2001/07/16(月) 03:12
>>119 以前の幼稚園スレを思い出して気持ち悪いわ、、
122 :
名無しさん:2001/07/16(月) 03:12
>>117 童貞だから女性に興味があるのです。 ワラ
123 :
莉子 ★:2001/07/16(月) 03:13
アホ委員長、、、寝不足だからかな、、ツボにキた・・(wwww
124 :
名無しさん:2001/07/16(月) 03:13
>>120 荒らしが発生するタイミングを注意して見ていると面白いよ。 ワラ
125 :
廃墟:2001/07/16(月) 03:14
>>118 一時の暇つぶしであればお互いに意味はあるのかもしれないが
俺にとっては長続きしないネタだった。
>>120 そういえばいないな。
休みか。
126 :
:2001/07/16(月) 03:14
三回以上もヤラれてオマンコ広がってないか 莉子
127 :
莉子 ★:2001/07/16(月) 03:15
(´□`)
128 :
名無し:2001/07/16(月) 03:15
サンライズパソコン逝ってたのか
だせー(w
129 :
勃起時15センチ:2001/07/16(月) 03:16
130 :
莉子 ★:2001/07/16(月) 03:16
随分と遅レスだな・・(w
131 :
名無しさん:2001/07/16(月) 03:16
132 :
廃墟:2001/07/16(月) 03:17
眠いか莉子
133 :
名無しさん:2001/07/16(月) 03:17
134 :
名無し:2001/07/16(月) 03:18
パソコン逝かしちゃう奴って厨房だよね(w
莉子はパソコン逝かしたことある?
135 :
莉子 ★:2001/07/16(月) 03:18
今一番注目されてるコテハン=委員長(ワラ
136 :
廃墟:2001/07/16(月) 03:18
夏場のPCの熱には気をつけたほうがイイ
俺の場合は室温が異常に高かったのがその原因だが。
137 :
莉子 ★:2001/07/16(月) 03:19
138 :
廃墟:2001/07/16(月) 03:20
莉子たんのPCイッタノカ・・・・ハァハァ・・
139 :
:2001/07/16(月) 03:20
廃墟にズボズボヤラれて快感か?>莉
140 :
勃起時15センチ:2001/07/16(月) 03:20
週に何回自慰するの?>莉子
141 :
莉子 ★:2001/07/16(月) 03:20
アホがいるな。
142 :
廃墟:2001/07/16(月) 03:21
なんか俺までアホと言われたようだ・・・
143 :
名無し:2001/07/16(月) 03:21
>>136 それを見計らって自分の愛機には
稼動30分を目処に10分前後の休憩をとらせます(w
144 :
莉子 ★:2001/07/16(月) 03:21
145 :
鏡:2001/07/16(月) 03:22
>>135 結果的に「馴れ合い&雑談推進委員会」になっていないか?
146 :
勃起時15センチ:2001/07/16(月) 03:22
147 :
莉子 ★:2001/07/16(月) 03:22
148 :
名無しさん:2001/07/16(月) 03:23
149 :
莉子 ★:2001/07/16(月) 03:23
150 :
:2001/07/16(月) 03:25
答えるまでカキコ 莉子、廃墟にズボズボヤラれて快感か?
151 :
名無しさん:2001/07/16(月) 03:25
152 :
勃起時15センチ:2001/07/16(月) 03:26
莉子はクリ派?膣派?
これだけは教えてくれ!頼む!!
153 :
鏡:2001/07/16(月) 03:26
>>150 委員長の新手の戦略?
(人違いだったらゴメンね)
154 :
廃墟:2001/07/16(月) 03:26
155 :
莉子 ★:2001/07/16(月) 03:26
156 :
廃墟:2001/07/16(月) 03:27
>>155 俺が代わりに答えようとしてたレスとかぶった。
157 :
鏡:2001/07/16(月) 03:27
158 :
名無しさん:2001/07/16(月) 03:27
159 :
:2001/07/16(月) 03:27
マジで答えやがった この淫乱 犯してやる
160 :
勃起時15センチ:2001/07/16(月) 03:28
161 :
名無しさん:2001/07/16(月) 03:28
162 :
名無しさん:2001/07/16(月) 03:29
>>160 聞いてどうするつもりだ?
まさか本当に犯すつもりじゃあるまいな。
163 :
廃墟:2001/07/16(月) 03:29
>>159 品の無い言い方だな。
昔の俺の場合は
「莉子たんとセクースしたいよ!!ハァハァ・・・・」
だったよ。
164 :
名無しさん:2001/07/16(月) 03:30
どうやら上げ荒らしを始めたみたいだ。
165 :
鏡:2001/07/16(月) 03:31
166 :
莉子 ★:2001/07/16(月) 03:31
どこに品があるんだ(w
167 :
勃起時15センチ :2001/07/16(月) 03:31
168 :
名無しさん:2001/07/16(月) 03:32
169 :
:2001/07/16(月) 03:32
廃墟たん 君の女は俺の下で泣く事になるからヨロシク^^
170 :
鏡:2001/07/16(月) 03:34
(T_T)
171 :
莉子 ★:2001/07/16(月) 03:34
鏡が泣いてる(w
172 :
鏡:2001/07/16(月) 03:34
>>169 莉子さんの代わりに俺が泣いてやったぞ(w
173 :
鏡:2001/07/16(月) 03:35
>>172 うーん、癖ってなかなか抜けないな・・・
174 :
莉子 ★:2001/07/16(月) 03:35
よかったね(・∀・)>169
あれ、鏡さん・・「さん付け」はやめたんじゃ・・(w
175 :
莉子 ★:2001/07/16(月) 03:36
>>173 抜けない(w
あたしも今「さん」だけデリートしたもの
176 :
廃墟:2001/07/16(月) 03:36
>>169 少しでも盛り上げて面白いレスを返そうと考えてたんだけど
俺にはもうこれ以上このネタでひっぱる力は無いようです。
お引取りを・・
177 :
:2001/07/16(月) 03:37
クリいじりながら膣にぶちこんでやるよ 犯されながらイケ>莉
178 :
莉子 ★:2001/07/16(月) 03:38
179 :
名無しさん:2001/07/16(月) 03:39
>>177 しつこいね そんなんだと女は出来ないよ。 ワラ
180 :
鏡:2001/07/16(月) 03:39
>>177 この意味不明で、粘着な感じは、やっぱり委員長?
181 :
廃墟:2001/07/16(月) 03:39
>>177 僕がかわりにしておきます。
君は安心して寝てください。
182 :
:2001/07/16(月) 03:39
莉子さん、天井裏に住んでるのは誰ですか、、?
183 :
名無しさん:2001/07/16(月) 03:40
>>180 そう思っても不思議はありませんね ワラ
184 :
莉子 ★:2001/07/16(月) 03:40
四つもレスついて本望でしょう。安心してお逝き・・・(w
185 :
勃起時15センチ :2001/07/16(月) 03:40
186 :
莉子 ★:2001/07/16(月) 03:40
いやあああーあーー!!!!!!半スペが来た!!!!!
187 :
名無しさん:2001/07/16(月) 03:41
188 :
:2001/07/16(月) 03:41
壁の中に人がいます、、
189 :
莉子 ★:2001/07/16(月) 03:41
190 :
memento-mori:2001/07/16(月) 03:41
こんな時間にアホがいるな。
夏休みの足音が聞こえてくるわけだ。
191 :
廃墟:2001/07/16(月) 03:41
人気者になるのが目的だったのか・・・
192 :
莉子 ★:2001/07/16(月) 03:42
コワバナ半角スペースたん、、、怖いよ、、
怖いけど信じてるよ(w
193 :
memento-mori:2001/07/16(月) 03:43
てすと
194 :
莉子 ★:2001/07/16(月) 03:43
気がつかなかった・・メメモリだったのか(w
>>190
195 :
memento-mori:2001/07/16(月) 03:44
ほっとぞぬーり中々いいかも。
196 :
:2001/07/16(月) 03:44
天井裏に黒い人がいるよ>莉子
197 :
:2001/07/16(月) 03:44
犯した後殺す
198 :
鏡:2001/07/16(月) 03:45
199 :
memento-mori:2001/07/16(月) 03:46
昨日さぁ、友人と飲んでて帰る途中に
道路で女性が倒れてたんだよね。
200 :
高祖:2001/07/16(月) 03:46
200
201 :
:2001/07/16(月) 03:46
202 :
莉子 ★:2001/07/16(月) 03:46
>>195 カチューシャとどちらがいいかな。
あたしも使ってみよっと。
>>196 なんでそういう事いうのさ・・(w
>>197 てめーつまんねーよさっきから。
とっとと抜いて寝ろ。
203 :
:2001/07/16(月) 03:47
>>189 ちがい、ます、、
177さんには一年以内に癌を発病させ、半年かけてじわりじわりと
苦しめてころすと霊がいっております、、
204 :
memento-mori:2001/07/16(月) 03:47
年のころは10代後半から20代前半くらい。
服装は普通のジーンズにTシャツなんだけど裸足なんだよね。
205 :
廃墟:2001/07/16(月) 03:47
ヌキヌキ
206 :
莉子 ★:2001/07/16(月) 03:48
207 :
鏡:2001/07/16(月) 03:48
>>203 あんたが言うと、シャレに聞こえんよ(w
208 :
莉子 ★:2001/07/16(月) 03:48
209 :
:2001/07/16(月) 03:49
たまにとは、、な、、んですか??
私はいつも莉子さんんの為に警告してあげてるのに、、・・・
210 :
memento-mori:2001/07/16(月) 03:49
繁華街とかならさ、ただの酔いつぶれた人だけどさ、
その倒れてた場所ってのが自宅側の裏道。
民家も人通りも全くないところ。
211 :
廃墟:2001/07/16(月) 03:49
さいきん莉子たんには冗談が通じません
どうしたらよいでしょうか。
212 :
莉子 ★:2001/07/16(月) 03:51
>>209 とゆうか本当にお風呂入る時とか怖いんだけど(w
想像させないでくれませんか?(w
>>210 ふむふむ
>>211 だって冗談に聞こえないんだもん(w
213 :
memento-mori:2001/07/16(月) 03:51
一応、車止めてさ、「大丈夫?」って聞いたら
「冷たくて気持ちいいから・・・」とか言ってんの。
薄笑いで。半眼で。
214 :
莉子 ★:2001/07/16(月) 03:51
クスリ?
215 :
:2001/07/16(月) 03:52
寝てるとき天井から見られるから気を付けてね。黒い人にはくれぐれもご注意を、莉子。
216 :
名無しさん:2001/07/16(月) 03:52
クリから割れ目にかけてやり過ぎで真っ黒らしいな莉子のマンコ(ゲラ
217 :
memento-mori:2001/07/16(月) 03:52
友人は「構うな」っつったんだけどそんなワケにゃいかんでしょ。
だから警察呼んだんだよね。携帯で。
218 :
廃墟:2001/07/16(月) 03:53
まっくろくろすけ?
219 :
:2001/07/16(月) 03:53
どうやら仲間がいるみたい、、ですね、、
やはり分かる人には分かるんだ・・・
220 :
memento-mori:2001/07/16(月) 03:53
その辺はわからない。
薬で逝ってるのかどうか判断尽きかねるからね。
221 :
莉子 ★:2001/07/16(月) 03:53
222 :
廃墟:2001/07/16(月) 03:54
223 :
莉子 ★:2001/07/16(月) 03:54
224 :
鏡:2001/07/16(月) 03:54
225 :
莉子 ★:2001/07/16(月) 03:55
ふむ、警察。
226 :
memento-mori:2001/07/16(月) 03:55
そんで警察がさぁ、
「我々がそちらへ向かうまで彼女を見ててくれないか?」
とか抜かすんですよ。
深夜にですよ。見るからに危ない女性をですよ。
227 :
鏡:2001/07/16(月) 03:56
228 :
:2001/07/16(月) 03:56
>>222 ワラタ。無意識の思いとか?>まっくろくろすけ(w
229 :
名無しさん:2001/07/16(月) 03:56
>>221 じゃあ確かめて見ろよ今、まっっっくろに染まってるぜきっと(w
230 :
memento-mori:2001/07/16(月) 03:58
ちょいごめん、離席。
231 :
莉子 ★:2001/07/16(月) 03:58
あたしの性器の色なんてどうでもいいじゃん(w
232 :
莉子 ★:2001/07/16(月) 03:58
233 :
鏡:2001/07/16(月) 03:58
>>229 どうでもいいけど、さっきから何必死になって煽ってるんだ?(w
234 :
廃墟:2001/07/16(月) 03:59
>>228 いやというほど日テレ金曜ロードショーで見せられた
となりのトトロであった。人気のない屋根裏かどっかにいるやつ。
235 :
:2001/07/16(月) 03:59
236 :
高祖:2001/07/16(月) 03:59
くそ、、
237 :
莉子 ★:2001/07/16(月) 03:59
>>234 わかるよ。
メイがつつくといきなり出てくるやつでしょ。
あのシーンはわかっててもいつもビクッとしてしまう。
238 :
:2001/07/16(月) 04:00
廃墟が否定しないのは黒いんだろな〜莉子
239 :
廃墟:2001/07/16(月) 04:01
240 :
:2001/07/16(月) 04:01
241 :
高祖:2001/07/16(月) 04:01
何が連続投稿だ、、、生ごみめ。。
242 :
名無しさん:2001/07/16(月) 04:01
結論:莉子のマムコは真っ黒くろすけでした(ワラ
243 :
廃墟:2001/07/16(月) 04:02
否定も何も、もうすでにそのネタがつまらないので放置していたんですけど・・・
気が付かないのかな・・・
244 :
高祖:2001/07/16(月) 04:02
ちっ、、、ナゼ貴様らは書き込める!?>殷墟
245 :
:2001/07/16(月) 04:03
恥ずかしいんだろ?莉子(ワラ
246 :
廃墟:2001/07/16(月) 04:03
>>244 一度でもひっかかると、その後もかかるような気がする
そういう時は再接続か串を使ってIP変えましょう。
247 :
:2001/07/16(月) 04:03
黒くなくてもソンナコトいえね〜よな〜板でな〜(ゲラ
248 :
鏡:2001/07/16(月) 04:04
>>243 肯定すれば、万事丸く収まる・・・
廃墟が後でどうなるかは知ったこっちゃない(w
249 :
莉子 ★:2001/07/16(月) 04:05
屈辱を受けてます。
こういうプレイですか(*´Д`)ハァハァ
250 :
:2001/07/16(月) 04:05
僕が高校の頃100年カレンダーと言うものがありました。
新聞の見開き一枚ほどの大きさで、自分の生まれた年別の 1
00年分の日付が正確に記載されてあって、一枚千円ぐらい だったと
記憶しています。 僕も買おうと思って書店にいくと、
店員がこういったのです。 申し訳ありません。100年カレンダーは
発売禁止になりましたと。 僕が訳を聞くとこういうことでした。
眺めているうちに、自分はこのページの中のどれかの日にちに死ぬ!と
思ったひとが自殺してしまったそうなのです
251 :
高祖:2001/07/16(月) 04:05
>>246 CATVだから、IP変えられねえ。。。分析!!に串もらうか。。。
252 :
名無しさん:2001/07/16(月) 04:05
莉子お前黒過ぎ(w
↑
なんて事既に廃墟に言われてたりして(ゲラ
253 :
藤野:2001/07/16(月) 04:06
煽りはどいつもこいつもオレっちに、かかってこいっ!!
254 :
:2001/07/16(月) 04:06
どうなんだ?(藁
何色だよ、莉子のマンコ
255 :
莉子 ★:2001/07/16(月) 04:07
エロネタ煽りって久々な気がするな。
夏休みだから??
256 :
廃墟:2001/07/16(月) 04:07
>>247 そんなに俺がうらやましいのか。
いいだろ。
やたらと性器の色にこだわってる御馬鹿ちゃんはひょっとして
ネットでしか女性器を見た事がないのかな?
258 :
鏡:2001/07/16(月) 04:08
259 :
廃墟:2001/07/16(月) 04:08
>>251 CATVの場合は少しやっかいだろうな。
260 :
:2001/07/16(月) 04:09
莉子オパーイもあって可愛くて色っぽくて黒いんだってな(ゲラ
ケーブル用の串リストどこかで見た覚えがあるが忘れた
262 :
廃墟:2001/07/16(月) 04:10
面倒がらずにゲラぐらい変えればいいのに
263 :
莉子 ★:2001/07/16(月) 04:10
それしかネタないの?もうやめてよ、しつこいなあ(´д`) レスニコマルノ
264 :
高祖:2001/07/16(月) 04:10
>>259 うむ、、、霧版ゲッターには非常に厄介爲り。
265 :
名無しさん:2001/07/16(月) 04:10
>>260 黒い黒い(w
いつもより黒めに染まってま〜っす(^д^)ギャハーハ!!
266 :
:2001/07/16(月) 04:11
リコ、俺にもモチロン セク〜スさしてくれんだろ?
267 :
廃墟:2001/07/16(月) 04:11
現実でもネットでも浮いてる人っているものさ。
268 :
名無しましげお:2001/07/16(月) 04:11
眠い、眠いのよー!!
エロ坊や、私も煽って〜〜!!
269 :
高祖:2001/07/16(月) 04:11
>>261 ああ、欲しいなぁ、、、WinMXで須磨あげるからー☆
270 :
:2001/07/16(月) 04:12
今日はにぎわってるなあ。
271 :
莉子 ★:2001/07/16(月) 04:12
>>265 あたし、あなたとセックスした事ないんだけど(w
この荒らしてる阿呆の大体の見当はついてるんだろう?
いつもより黒めに染まってま〜っす(^д^)ギャハーハ!!
274 :
莉子 ★:2001/07/16(月) 04:13
275 :
鏡:2001/07/16(月) 04:13
自作自演も始めたか。
つーか、もうバレてるんだが・・・
276 :
:2001/07/16(月) 04:14
277 :
高祖:2001/07/16(月) 04:14
性的な弱者っているんだな。
278 :
廃墟:2001/07/16(月) 04:14
今日も今日とて2ちゃんで4時。
279 :
リッキー☆チャーシュー:2001/07/16(月) 04:15
報告します!
星の数ほどつく2ちゃんねるのレスの中で最も「痛いレス」を発見
しました!
265 名前:名無しさん 本日の投稿:2001/07/16(月) 04:10
>>260 黒い黒い(w
いつもより黒めに染まってま〜っす(^д^)ギャハーハ!!
280 :
:2001/07/16(月) 04:15
莉子俺のチンコ咥えろ のどの奥まで入れるんだぞ(ワラ
281 :
廃墟:2001/07/16(月) 04:15
282 :
莉子 ★:2001/07/16(月) 04:15
283 :
藤野:2001/07/16(月) 04:16
だからオレにかかってこいっちゃねえええ!煽りボケ!
284 :
名無し:2001/07/16(月) 04:17
童貞ってさ必要以上にセクースに対して夢見がちなんだよ
【恋に恋焦がれ恋になく】
まさにこの通りなんだよ
285 :
:2001/07/16(月) 04:17
286 :
まー:2001/07/16(月) 04:17
>282
愛してるから挿入する、おまえも股開け
287 :
高祖:2001/07/16(月) 04:17
288 :
蛙:2001/07/16(月) 04:18
BRAHMANの新しいアルバムについて語ってくれ。
289 :
莉子 ★:2001/07/16(月) 04:18
>>285 わからない、、
なんなの?今日。明日学校逝きたくないの?(w>エロネタ君
290 :
廃墟:2001/07/16(月) 04:19
>>280 君のチンチンにのどの奥に届くほどの長さはないだろ。
なんてちょっぴり和やかなムードに持っていこうかとも
思ったけど、
もういいや。
君はそうやって、そんな性格だから現実でも上手くいかないんだよ。
291 :
名無しさん@1周年 :2001/07/16(月) 04:19
292 :
高祖:2001/07/16(月) 04:20
293 :
莉子 ★:2001/07/16(月) 04:20
294 :
蛙:2001/07/16(月) 04:21
>>291 なっちは、あれだ。かわいいよ、うん。
最近、やせた?
295 :
廃墟:2001/07/16(月) 04:21
>>293 俺たちも暇なんだね。
だからレスしてしまう。
296 :
藤野:2001/07/16(月) 04:22
ちぇー放置、寝るっちゃね。
297 :
:2001/07/16(月) 04:22
廃墟はクンニしてくれてるか?(ワラ>莉
298 :
:2001/07/16(月) 04:22
っていうかこのスレ読んで、
想像しておかずにしてるコテハンもいると思われ。
こんなこと言うと叩かれるかな?(w
299 :
:2001/07/16(月) 04:23
特にオフ固定な(w
300 :
名無し:2001/07/16(月) 04:24
>298
叩く価値のあるレスをつけてくれたらね
301 :
鏡:2001/07/16(月) 04:24
エロネタ煽りがいると、
雰囲気的にエロネタを振れないということがわかった・・・
本日は不完全燃焼(w
bye>all
302 :
:2001/07/16(月) 04:25
廃墟、嫉妬しても莉子イジメチャダメだぞ(ワラ
303 :
高祖:2001/07/16(月) 04:25
あ、、、300!?(T_T
304 :
:2001/07/16(月) 04:25
305 :
蛙:2001/07/16(月) 04:26
…それともあれか、ゴーイングステディのアルバムについて
ネタ振りしたほうがよかったのか。←どっちもダメっぽい
306 :
名無しさん:2001/07/16(月) 04:26
>>298 コテハンに限らず名無しもな(w
つか、名無しじゃん殆ど、それとサンライズ
廃墟は生でクンニしまくりだから必要無し(w
307 :
名無し:2001/07/16(月) 04:26
自分たちが思ってる程面白いわけではない上に、茄子へのダメージも無い
以上
308 :
廃墟:2001/07/16(月) 04:26
どこに嫉妬すればいいのかわからないのだが。。。。
309 :
廃墟:2001/07/16(月) 04:27
310 :
蛙:2001/07/16(月) 04:27
>>303 惜しかったっすね(w
元祖ゲッターが…
自演してまで莉子エロネタ煽りの目的がワカランのだが
312 :
高祖:2001/07/16(月) 04:28
313 :
本日のドキュソ王:2001/07/16(月) 04:28
302 名前: 投稿日:2001/07/16(月) 04:25
廃墟、嫉妬しても莉子イジメチャダメだぞ(ワラ
自分が嫉妬の対象になっていると思い込んでいる。
寒い・・・・・
314 :
蛙:2001/07/16(月) 04:28
…映画バトロワってどうだったの?それで。
315 :
莉子 ★:2001/07/16(月) 04:29
>>314 小説とまったく切り離して見れれば
そこそこ楽しいと思うよ。
切り離してみれれば、の話ね(w
316 :
名無し:2001/07/16(月) 04:30
いい子にしてたら他の女固定のブラチラ画像をくれてやるから今夜はそれで
寝ろよ
317 :
莉子 ★:2001/07/16(月) 04:30
>>313 あ、そういうことだったのか。
意味がわからなかった。ありがと(w
318 :
廃墟:2001/07/16(月) 04:31
BR.
それなりには楽しめたんでないかな。
名作というほどのものではないだろうな。
319 :
:2001/07/16(月) 04:31
>315
君とバトルロワイアルしたい
俺が真っ先に見つけて君を殺す
320 :
廃墟:2001/07/16(月) 04:32
なんか更に厨房化してきました(w
321 :
:2001/07/16(月) 04:33
322 :
蛙:2001/07/16(月) 04:33
>>315 北野武が出て来た時点で、何と言うか、原作とは別のものに
なってしまっているんじゃないかなあと思った。
いい意味でも悪い意味でも、画面にいるだけで独特の空気作る人だから。
ちゃんと見てないから偉そうに出来ないけど(w
323 :
高祖:2001/07/16(月) 04:33
324 :
名無し:2001/07/16(月) 04:33
じゃあ別板だけど女固定の生乳画像やろう すぐデリするからそのつもりで
325 :
名無し:2001/07/16(月) 04:35
326 :
名無し:2001/07/16(月) 04:35
じゃあ消しまーす
327 :
蛙:2001/07/16(月) 04:35
小説はオチ以外は面白かった。
というより、ああいうネタを最初に思い付くって実はけっこう
すごいことなんじゃないかなあと思った。
328 :
名無しさん@1周年:2001/07/16(月) 04:36
329 :
名無しさん:2001/07/16(月) 04:36
>>325 URL踏ませてIP抜こうったってそうはいかねーんだよ厨房(w
寝る。
330 :
莉子 ★:2001/07/16(月) 04:36
>>322 うん、同意。
キタノタケシの役については
自分はああいうバトロワ教師はアリだと思った。
原作とはまた違った雰囲気で自分的にはあの教師は(・∀・)イイ!
暇があったらいずれ・・って蛙さんビデオなかったんだっけ・・
331 :
高祖:2001/07/16(月) 04:37
早いな(笑
332 :
名無し:2001/07/16(月) 04:37
このURLを見てIP抜きだと思うきみはある意味天才だ
333 :
高祖:2001/07/16(月) 04:37
33
334 :
蛙:2001/07/16(月) 04:38
アクションシーンはどんな?
ずいぶんあっさりめに人が氏んでくらしいって聞いたけど…
…まあ、2時間程度で40人氏なせなきゃないから無理もないか。
335 :
名無しさん@1周年:2001/07/16(月) 04:38
336 :
高祖:2001/07/16(月) 04:38
よし。
337 :
名無し:2001/07/16(月) 04:38
次の画像いってみよーか?
338 :
名無しさん@1周年:2001/07/16(月) 04:39
339 :
高祖:2001/07/16(月) 04:39
逝っけーマグナム!!
340 :
莉子 ★:2001/07/16(月) 04:39
>>334 アクションはほとんどなかった印象。
あったんだろうけど原作に比べたらソフトだったし・・
あ!!また比べちゃった(w
341 :
名無し:2001/07/16(月) 04:39
生乳じゃないけどパンチィいきます(同じく2ちゃん女)
342 :
:2001/07/16(月) 04:40
莉子もアプしろよ、エロイの頼む
343 :
蛙:2001/07/16(月) 04:40
>>330 原作の通りに役持ってくるんだったら、あの、誰でしたっけ。
武田鉄矢のモノマネの人がいいんじゃないかなあって思ってみたり(w
344 :
名無し:2001/07/16(月) 04:40
345 :
高祖:2001/07/16(月) 04:41
346 :
莉子 ★:2001/07/16(月) 04:41
>>343 自分もそう思った(w
もしくは武田鉄也本人、ムリカ・・・
347 :
莉子 ★:2001/07/16(月) 04:42
348 :
高祖:2001/07/16(月) 04:42
金髪?
349 :
名無しさん@1周年:2001/07/16(月) 04:42
>>344様
生きる勇気が沸いてきました・・・
これからもよろしくどーぞ
350 :
廃墟:2001/07/16(月) 04:42
腹減った
351 :
高祖:2001/07/16(月) 04:43
352 :
名無し:2001/07/16(月) 04:43
353 :
蛙:2001/07/16(月) 04:43
>>340 まあ、あすこまで原作どおりに再現しようとすれば、R-15どころじゃ
なくて場末のスプラッタ映画館でしか上映できなくなりますからね(w
カントクが、ヤクザ映画出身の人でしょう?
ひょっとしたらそんなテイストになってるんじゃねえかな、って思った(w
354 :
高祖:2001/07/16(月) 04:43
355 :
名無し:2001/07/16(月) 04:43
消して寝まーす
356 :
名無しさん@1周年:2001/07/16(月) 04:43
>>347 ごらああああああ!
萎えたじゃないかああああ!
寝る!!もう!!!!
357 :
名無しさん@1周年:2001/07/16(月) 04:44
358 :
高祖:2001/07/16(月) 04:44
359 :
名無しさん@1周年:2001/07/16(月) 04:46
347を見てる間に352をデリられた・・・
莉子たん許すまじ・・
360 :
莉子 ★:2001/07/16(月) 04:46
>>353 そうなんだ。それは知らなかった>ャクザ映画
さすがにクラス全員のシーン撮るのは大変だと思うけど
心理描写がイマイチ・・それが残念だったな。
全員わりとアッサリと逝ってしまわれたから(w
361 :
高祖:2001/07/16(月) 04:47
天下遍く、此れ従り369は霧番とする。如律令
362 :
莉子 ★:2001/07/16(月) 04:47
363 :
蛙:2001/07/16(月) 04:49
364 :
莉子 ★:2001/07/16(月) 04:49
さて、また朝がきた・・・
そろそろ逝くかなあ・・
バイオール
365 :
蛙:2001/07/16(月) 04:51
369ゲットのチャンスは今!
366 :
名無しさん@1周年:2001/07/16(月) 04:51
>>362 憎い・・・この女が憎い・・・
むかつんスレといい、もう許しませんよ!!
367 :
廃墟:2001/07/16(月) 04:51
>>369 (チョッピリキモチハワカルヨウナキモスル)
368 :
廃墟:2001/07/16(月) 04:52
レス間違えた・・・
369 :
廃墟:2001/07/16(月) 04:52
くそ
370 :
名無しさん@1周年:2001/07/16(月) 04:52
369
371 :
名無しさん@1周年:2001/07/16(月) 04:53
寝よう・・・それしかない・・
372 :
蛙:2001/07/16(月) 04:54
369キリ番宣言本人不参加のままプログラム終了。
【優勝者:廃墟】
373 :
廃墟:2001/07/16(月) 04:54
何をやってもうまくいかないと(ワラ
374 :
:2001/07/16(月) 04:58
>373
莉子クレ
飴2某板から転載
104投稿者:FOCUS 投稿日:2001年07月16日(月) 02時00分55秒
サカキバラが極秘裏に出所したという情報は
本当か?
105投稿者:> 投稿日:2001年07月16日(月) 02時43分27秒
本当らしい。でもまだ病院かな?
106投稿者:酒鬼薔薇は 投稿日:2001年07月16日(月) 03時11分34秒
今も悪夢にうなされているのかな
107投稿者:FOCUS 投稿日:2001年07月16日(月) 03時41分58秒
ここに実名載せたらどうなる?
まあどうせ偽名で社会生活送る事になるんだろうけど
376 :
↑:2001/07/16(月) 06:38
ガセネタですぜ旦那ヽ(´Д`; )
小説は假作物語の一種にして、所謂異譚の變體なり。竒異譚とは何ぞや。英國にてローマンスと名づくるものなり。
ローマンスは趣向を荒唐無稽の事物に取りて、竒恠百出もて篇をなし、尋常世界に見はれたる事物の道理に矛楯する
を敢て顧みざるものにぞある。小説即ちノベルに至りては之れと異なり、世の人情と風俗をば冩すを以て主腦となし、
平常世間にあるべきやうなる事柄をもて材料として而して趣向を設くるものなり。こは只概略の辯なるから、尚ほ解し
がたき由もあらめど、其詳細なる本義の如きは、暫く之を下囘に讓りて、まづ變遷の次第を説くべし。其倩々惟みるに、
小説、野乘の行はるゝは其源遠く?焉たる上古の時代にありといふべし。其然る所以を知らまくせば、試みに社會の淵源
に溯りて其状態を察せざる可らず。上古の社會の状態はいかにといふに、東西人おなじからず南北地異なるにも係らず、
一個の家長を尊崇して之れを酋族の長となすこと人間社會の通則なり。かゝれば戰鬪いと烈しく優勝劣敗急激なる未開野
蠻の上世にありては、猛然荒蕪の間に起りて俄かに一家の主長となり忽ち一族の首となるもの、或ひは少なしとなさゞる
なり。かゝる性質の家長にして已に酋族の首となりなば、其子孫らにものがたるに何等の事柄を以てする歟。想ふに己が
經驗なしたる艱難辛苦の事情はさらなり、其武功などを語りつべし。而して是等の物語は其人親しく經驗なし若しくは親
しく見聞せる眞實の事蹟に相違なけれど、子孫が之れを傳聞してまた其子孫に語るに及びて、或ひは記憶の誤謬より或ひ
は附會に原因して、竟には眞實の髓を亡ひ、咄々竒恠の物語を長く口碑に傳へ存じて、鬼神史、神代記の基を拓く、是れ
世上の通則にしてまた恠むに足らずと雖も、事のこゝに到れるには別に原因のなきを得むや。今こゝろみに之れを思ふに、
其原因となりたるもの凡そ三條ありきと思はる。譬へば酋族次第に榮えて勢ひ強大になるに至れば、人の心のおのづから
傲りて、些々たる事をも巨大にいひなし、他の酋族に誇るものなり。かゝれば祖先の履歴の如きは、故意に附會の談を加
へていと大業にいひなすべし。是れ第一の原因なり。又人間はうまれながらに竒異を好むに切なるものなり。斯かれば別
に其要なくとも、假作の談話をつくりまうけて、史傳を誤ることあるべし。是れ第二の原因なり。而して國歩やうやく進
みて稍々文明の世界となりなば、其國君といはるゝやからは下賤の疋夫の成りあがりが我が大祖なりといはるゝをば快か
らぬことに思ひて、附會の説をつくりまうけて太祖の事蹟を粧はむとす。況んや是等の時代に於ては敬信の念深かるから
、故意に物語を假作せずとも自然に祖先を神といひなし、天孫なりきと思ふべきをや。是れなむ諸國に信じがたき神代史
などいふものある第三條の原因なりかし。斯かれば上古のミソロヂイ即ち鬼神誌といへるものは所謂竒異譚の濫觴にて、
其傳おほくは假作にいで若しくは訛傳になりたること元より疑ひなきに似たり。さはあれ所謂神代史(鬼神誌)はもとこ
れ眞實の物語にして決して遊戯の作にあらねば、後の所謂苛異譚とは其質ほとほと同じうして其用はまたいたく異なり。
蓋し謬信傳訛の久しき、後世の人其傳記の妄誕なるをば恠まざるなり。こゝをもて後の世の人此種の書を尊み信じて、曾
て小説視するものなきまゝ、恬然正史の巻はじめにいとうやうやしく之れをかゝげて、國家の権輿を穿鑿する好材料とな
すことゝなりけり。或ひは神代史を解釋して太古の竒異譚といふものあれども、こはまた甚だし
小説は假作物語の一種にして、所謂異譚の變體なり。竒異譚とは何ぞや。英國にてローマンスと名づくるものなり。
ローマンスは趣向を荒唐無稽の事物に取りて、竒恠百出もて篇をなし、尋常世界に見はれたる事物の道理に矛楯する
を敢て顧みざるものにぞある。小説即ちノベルに至りては之れと異なり、世の人情と風俗をば冩すを以て主腦となし、
平常世間にあるべきやうなる事柄をもて材料として而して趣向を設くるものなり。こは只概略の辯なるから、尚ほ解し
がたき由もあらめど、其詳細なる本義の如きは、暫く之を下囘に讓りて、まづ變遷の次第を説くべし。其倩々惟みるに、
小説、野乘の行はるゝは其源遠く?焉たる上古の時代にありといふべし。其然る所以を知らまくせば、試みに社會の淵源
に溯りて其状態を察せざる可らず。上古の社會の状態はいかにといふに、東西人おなじからず南北地異なるにも係らず、
一個の家長を尊崇して之れを酋族の長となすこと人間社會の通則なり。かゝれば戰鬪いと烈しく優勝劣敗急激なる未開野
蠻の上世にありては、猛然荒蕪の間に起りて俄かに一家の主長となり忽ち一族の首となるもの、或ひは少なしとなさゞる
なり。かゝる性質の家長にして已に酋族の首となりなば、其子孫らにものがたるに何等の事柄を以てする歟。想ふに己が
經驗なしたる艱難辛苦の事情はさらなり、其武功などを語りつべし。而して是等の物語は其人親しく經驗なし若しくは親
しく見聞せる眞實の事蹟に相違なけれど、子孫が之れを傳聞してまた其子孫に語るに及びて、或ひは記憶の誤謬より或ひ
は附會に原因して、竟には眞實の髓を亡ひ、咄々竒恠の物語を長く口碑に傳へ存じて、鬼神史、神代記の基を拓く、是れ
世上の通則にしてまた恠むに足らずと雖も、事のこゝに到れるには別に原因のなきを得むや。今こゝろみに之れを思ふに、
其原因となりたるもの凡そ三條ありきと思はる。譬へば酋族次第に榮えて勢ひ強大になるに至れば、人の心のおのづから
傲りて、些々たる事をも巨大にいひなし、他の酋族に誇るものなり。かゝれば祖先の履歴の如きは、故意に附會の談を加
へていと大業にいひなすべし。是れ第一の原因なり。又人間はうまれながらに竒異を好むに切なるものなり。斯かれば別
に其要なくとも、假作の談話をつくりまうけて、史傳を誤ることあるべし。是れ第二の原因なり。而して國歩やうやく進
みて稍々文明の世界となりなば、其國君といはるゝやからは下賤の疋夫の成りあがりが我が大祖なりといはるゝをば快か
らぬことに思ひて、附會の説をつくりまうけて太祖の事蹟を粧はむとす。況んや是等の時代に於ては敬信の念深かるから
、故意に物語を假作せずとも自然に祖先を神といひなし、天孫なりきと思ふべきをや。是れなむ諸國に信じがたき神代史
などいふものある第三條の原因なりかし。斯かれば上古のミソロヂイ即ち鬼神誌といへるものは所謂竒異譚の濫觴にて、
其傳おほくは假作にいで若しくは訛傳になりたること元より疑ひなきに似たり。さはあれ所謂神代史(鬼神誌)はもとこ
れ眞實の物語にして決して遊戯の作にあらねば、後の所謂苛異譚とは其質ほとほと同じうして其用はまたいたく異なり。
蓋し謬信傳訛の久しき、後世の人其傳記の妄誕なるをば恠まざるなり。こゝをもて後の世の人此種の書を尊み信じて、曾
て小説視するものなきまゝ、恬然正史の巻はじめにいとうやうやしく之れをかゝげて、國家の権輿を穿鑿する好材料とな
すことゝなりけり。或ひは神代史を解釋して太古の竒異譚といふものあれども、こはまた甚だし
小説は假作物語の一種にして、所謂異譚の變體なり。竒異譚とは何ぞや。英國にてローマンスと名づくるものなり。
ローマンスは趣向を荒唐無稽の事物に取りて、竒恠百出もて篇をなし、尋常世界に見はれたる事物の道理に矛楯する
を敢て顧みざるものにぞある。小説即ちノベルに至りては之れと異なり、世の人情と風俗をば冩すを以て主腦となし、
平常世間にあるべきやうなる事柄をもて材料として而して趣向を設くるものなり。こは只概略の辯なるから、尚ほ解し
がたき由もあらめど、其詳細なる本義の如きは、暫く之を下囘に讓りて、まづ變遷の次第を説くべし。其倩々惟みるに、
小説、野乘の行はるゝは其源遠く?焉たる上古の時代にありといふべし。其然る所以を知らまくせば、試みに社會の淵源
に溯りて其状態を察せざる可らず。上古の社會の状態はいかにといふに、東西人おなじからず南北地異なるにも係らず、
一個の家長を尊崇して之れを酋族の長となすこと人間社會の通則なり。かゝれば戰鬪いと烈しく優勝劣敗急激なる未開野
蠻の上世にありては、猛然荒蕪の間に起りて俄かに一家の主長となり忽ち一族の首となるもの、或ひは少なしとなさゞる
なり。かゝる性質の家長にして已に酋族の首となりなば、其子孫らにものがたるに何等の事柄を以てする歟。想ふに己が
經驗なしたる艱難辛苦の事情はさらなり、其武功などを語りつべし。而して是等の物語は其人親しく經驗なし若しくは親
しく見聞せる眞實の事蹟に相違なけれど、子孫が之れを傳聞してまた其子孫に語るに及びて、或ひは記憶の誤謬より或ひ
は附會に原因して、竟には眞實の髓を亡ひ、咄々竒恠の物語を長く口碑に傳へ存じて、鬼神史、神代記の基を拓く、是れ
世上の通則にしてまた恠むに足らずと雖も、事のこゝに到れるには別に原因のなきを得むや。今こゝろみに之れを思ふに、
其原因となりたるもの凡そ三條ありきと思はる。譬へば酋族次第に榮えて勢ひ強大になるに至れば、人の心のおのづから
傲りて、些々たる事をも巨大にいひなし、他の酋族に誇るものなり。かゝれば祖先の履歴の如きは、故意に附會の談を加
へていと大業にいひなすべし。是れ第一の原因なり。又人間はうまれながらに竒異を好むに切なるものなり。斯かれば別
に其要なくとも、假作の談話をつくりまうけて、史傳を誤ることあるべし。是れ第二の原因なり。而して國歩やうやく進
みて稍々文明の世界となりなば、其國君といはるゝやからは下賤の疋夫の成りあがりが我が大祖なりといはるゝをば快か
らぬことに思ひて、附會の説をつくりまうけて太祖の事蹟を粧はむとす。況んや是等の時代に於ては敬信の念深かるから
、故意に物語を假作せずとも自然に祖先を神といひなし、天孫なりきと思ふべきをや。是れなむ諸國に信じがたき神代史
などいふものある第三條の原因なりかし。斯かれば上古のミソロヂイ即ち鬼神誌といへるものは所謂竒異譚の濫觴にて、
其傳おほくは假作にいで若しくは訛傳になりたること元より疑ひなきに似たり。さはあれ所謂神代史(鬼神誌)はもとこ
れ眞實の物語にして決して遊戯の作にあらねば、後の所謂苛異譚とは其質ほとほと同じうして其用はまたいたく異なり。
蓋し謬信傳訛の久しき、後世の人其傳記の妄誕なるをば恠まざるなり。こゝをもて後の世の人此種の書を尊み信じて、曾
て小説視するものなきまゝ、恬然正史の巻はじめにいとうやうやしく之れをかゝげて、國家の権輿を穿鑿する好材料とな
すことゝなりけり。或ひは神代史を解釋して太古の竒異譚といふものあれども、こはまた甚だし
小説は假作物語の一種にして、所謂異譚の變體なり。竒異譚とは何ぞや。英國にてローマンスと名づくるものなり。
ローマンスは趣向を荒唐無稽の事物に取りて、竒恠百出もて篇をなし、尋常世界に見はれたる事物の道理に矛楯する
を敢て顧みざるものにぞある。小説即ちノベルに至りては之れと異なり、世の人情と風俗をば冩すを以て主腦となし、
平常世間にあるべきやうなる事柄をもて材料として而して趣向を設くるものなり。こは只概略の辯なるから、尚ほ解し
がたき由もあらめど、其詳細なる本義の如きは、暫く之を下囘に讓りて、まづ變遷の次第を説くべし。其倩々惟みるに、
小説、野乘の行はるゝは其源遠く?焉たる上古の時代にありといふべし。其然る所以を知らまくせば、試みに社會の淵源
に溯りて其状態を察せざる可らず。上古の社會の状態はいかにといふに、東西人おなじからず南北地異なるにも係らず、
一個の家長を尊崇して之れを酋族の長となすこと人間社會の通則なり。かゝれば戰鬪いと烈しく優勝劣敗急激なる未開野
蠻の上世にありては、猛然荒蕪の間に起りて俄かに一家の主長となり忽ち一族の首となるもの、或ひは少なしとなさゞる
なり。かゝる性質の家長にして已に酋族の首となりなば、其子孫らにものがたるに何等の事柄を以てする歟。想ふに己が
經驗なしたる艱難辛苦の事情はさらなり、其武功などを語りつべし。而して是等の物語は其人親しく經驗なし若しくは親
しく見聞せる眞實の事蹟に相違なけれど、子孫が之れを傳聞してまた其子孫に語るに及びて、或ひは記憶の誤謬より或ひ
は附會に原因して、竟には眞實の髓を亡ひ、咄々竒恠の物語を長く口碑に傳へ存じて、鬼神史、神代記の基を拓く、是れ
世上の通則にしてまた恠むに足らずと雖も、事のこゝに到れるには別に原因のなきを得むや。今こゝろみに之れを思ふに、
其原因となりたるもの凡そ三條ありきと思はる。譬へば酋族次第に榮えて勢ひ強大になるに至れば、人の心のおのづから
傲りて、些々たる事をも巨大にいひなし、他の酋族に誇るものなり。かゝれば祖先の履歴の如きは、故意に附會の談を加
へていと大業にいひなすべし。是れ第一の原因なり。又人間はうまれながらに竒異を好むに切なるものなり。斯かれば別
に其要なくとも、假作の談話をつくりまうけて、史傳を誤ることあるべし。是れ第二の原因なり。而して國歩やうやく進
みて稍々文明の世界となりなば、其國君といはるゝやからは下賤の疋夫の成りあがりが我が大祖なりといはるゝをば快か
らぬことに思ひて、附會の説をつくりまうけて太祖の事蹟を粧はむとす。況んや是等の時代に於ては敬信の念深かるから
、故意に物語を假作せずとも自然に祖先を神といひなし、天孫なりきと思ふべきをや。是れなむ諸國に信じがたき神代史
などいふものある第三條の原因なりかし。斯かれば上古のミソロヂイ即ち鬼神誌といへるものは所謂竒異譚の濫觴にて、
其傳おほくは假作にいで若しくは訛傳になりたること元より疑ひなきに似たり。さはあれ所謂神代史(鬼神誌)はもとこ
れ眞實の物語にして決して遊戯の作にあらねば、後の所謂苛異譚とは其質ほとほと同じうして其用はまたいたく異なり。
蓋し謬信傳訛の久しき、後世の人其傳記の妄誕なるをば恠まざるなり。こゝをもて後の世の人此種の書を尊み信じて、曾
て小説視するものなきまゝ、恬然正史の巻はじめにいとうやうやしく之れをかゝげて、國家の権輿を穿鑿する好材料とな
すことゝなりけり。或ひは神代史を解釋して太古の竒異譚といふものあれども、こはまた甚だし
小説は假作物語の一種にして、所謂異譚の變體なり。竒異譚とは何ぞや。英國にてローマンスと名づくるものなり。
ローマンスは趣向を荒唐無稽の事物に取りて、竒恠百出もて篇をなし、尋常世界に見はれたる事物の道理に矛楯する
を敢て顧みざるものにぞある。小説即ちノベルに至りては之れと異なり、世の人情と風俗をば冩すを以て主腦となし、
平常世間にあるべきやうなる事柄をもて材料として而して趣向を設くるものなり。こは只概略の辯なるから、尚ほ解し
がたき由もあらめど、其詳細なる本義の如きは、暫く之を下囘に讓りて、まづ變遷の次第を説くべし。其倩々惟みるに、
小説、野乘の行はるゝは其源遠く?焉たる上古の時代にありといふべし。其然る所以を知らまくせば、試みに社會の淵源
に溯りて其状態を察せざる可らず。上古の社會の状態はいかにといふに、東西人おなじからず南北地異なるにも係らず、
一個の家長を尊崇して之れを酋族の長となすこと人間社會の通則なり。かゝれば戰鬪いと烈しく優勝劣敗急激なる未開野
蠻の上世にありては、猛然荒蕪の間に起りて俄かに一家の主長となり忽ち一族の首となるもの、或ひは少なしとなさゞる
なり。かゝる性質の家長にして已に酋族の首となりなば、其子孫らにものがたるに何等の事柄を以てする歟。想ふに己が
經驗なしたる艱難辛苦の事情はさらなり、其武功などを語りつべし。而して是等の物語は其人親しく經驗なし若しくは親
しく見聞せる眞實の事蹟に相違なけれど、子孫が之れを傳聞してまた其子孫に語るに及びて、或ひは記憶の誤謬より或ひ
は附會に原因して、竟には眞實の髓を亡ひ、咄々竒恠の物語を長く口碑に傳へ存じて、鬼神史、神代記の基を拓く、是れ
世上の通則にしてまた恠むに足らずと雖も、事のこゝに到れるには別に原因のなきを得むや。今こゝろみに之れを思ふに、
其原因となりたるもの凡そ三條ありきと思はる。譬へば酋族次第に榮えて勢ひ強大になるに至れば、人の心のおのづから
傲りて、些々たる事をも巨大にいひなし、他の酋族に誇るものなり。かゝれば祖先の履歴の如きは、故意に附會の談を加
へていと大業にいひなすべし。是れ第一の原因なり。又人間はうまれながらに竒異を好むに切なるものなり。斯かれば別
に其要なくとも、假作の談話をつくりまうけて、史傳を誤ることあるべし。是れ第二の原因なり。而して國歩やうやく進
みて稍々文明の世界となりなば、其國君といはるゝやからは下賤の疋夫の成りあがりが我が大祖なりといはるゝをば快か
らぬことに思ひて、附會の説をつくりまうけて太祖の事蹟を粧はむとす。況んや是等の時代に於ては敬信の念深かるから
、故意に物語を假作せずとも自然に祖先を神といひなし、天孫なりきと思ふべきをや。是れなむ諸國に信じがたき神代史
などいふものある第三條の原因なりかし。斯かれば上古のミソロヂイ即ち鬼神誌といへるものは所謂竒異譚の濫觴にて、
其傳おほくは假作にいで若しくは訛傳になりたること元より疑ひなきに似たり。さはあれ所謂神代史(鬼神誌)はもとこ
れ眞實の物語にして決して遊戯の作にあらねば、後の所謂苛異譚とは其質ほとほと同じうして其用はまたいたく異なり。
蓋し謬信傳訛の久しき、後世の人其傳記の妄誕なるをば恠まざるなり。こゝをもて後の世の人此種の書を尊み信じて、曾
て小説視するものなきまゝ、恬然正史の巻はじめにいとうやうやしく之れをかゝげて、國家の権輿を穿鑿する好材料とな
すことゝなりけり。或ひは神代史を解釋して太古の竒異譚といふものあれども、こはまた甚だし
まだ性懲りもなく荒してんのね。(藁
しかも朝早くからごくろうさん。
さ、仕事だ。
384 :
七誌:2001/07/16(月) 09:45
朝だよ。起きてる人はみんなで
雑談しようやー。
385 :
七誌:2001/07/16(月) 10:06
雑談しようよ!
386 :
七誌:2001/07/16(月) 10:11
鬱だ。誰か語ろーやー!
388 :
七誌:2001/07/16(月) 10:35
やったー。語ろうぜ。
389 :
七誌:2001/07/16(月) 10:48
鬱だ。だまされた。
391 :
七誌:2001/07/16(月) 10:53
居たよー!さあ語りまちょ!
エロネタしか振れなくて構われなったアホ委員長は、今日も早よから荒らしましたとさ。
393 :
七誌:2001/07/16(月) 10:59
委員長って謎の人物よな。
荒らしか莉子にエロネタ振るか。
しかも33さいで童貞だって。
かっこいー。
悪い、連続投稿で書けなかった。
>>393 かなりヤバイ所に居る人だよね。固定ハンドルが不愉快だから荒らすって神経が。
イヤだねー 妄想の中に入り込んじゃって現実との境が分からなくなってるんだから。
ゴメソ ちょっと用事が入っちゃった。ちょっと堕ちます。
397 :
七誌:2001/07/16(月) 11:05
おれ初心者でよくわかんないんだけど
委員長ってあだ名なの?自分で名前なのって
ないよねあの人?
398 :
七誌:2001/07/16(月) 11:09
えっ?またおれ1人かい?
雑談できるヒマ人きぼーん!
>>397 最初は「馴れ合い&雑談撲滅委員会」ってHNだったのさ、
それから「馴れ合い云々撲滅委員会委員」ってHN使う奴が出てきてさ、
それで委員会を最初に立ち上げた人って事で「委員長」って呼ばれるようになったの (藁
じゃまた堕ち
401 :
七誌:2001/07/16(月) 11:17
>>399 ご丁寧にありがとう。ってやっぱおちるんかい!
名無しさんはここの常連さんですか?
402 :
七誌:2001/07/16(月) 11:26
鬱だ。相手がいない。
固定じゃないから委員長、
語ろうよ!
403 :
七誌:2001/07/16(月) 11:39
雑談。雑談。
>>403 と言うより、何で暇なの?社会人?学生?引き籠もり?
委員長は女の相手しかしません。 (藁
406 :
七誌:2001/07/16(月) 11:49
やたー。帰ってきた。
固定なんですか?
>>406 うーん・・・固定と言え固定だし、固定じゃ無いと言えば固定じゃないし。どっちかな? (藁
408 :
七誌:2001/07/16(月) 12:04
>>405 今日は暑いので自主休講にしました。
引きこもりじゃないです。
名無しさんは社会人ですか?
409 :
柿田:2001/07/16(月) 12:04
>>406 おう!おりゃ固定よ・・・ 何か質問あっか?
ってこれも使ってるし。 (藁
>>408 社会人籠もり (藁
自主休講って事は、大学かな?
411 :
七誌:2001/07/16(月) 12:06
俺も一応は固定だったな
これもね
413 :
七誌:2001/07/16(月) 12:08
>>410 はい、大学です。仕事してないんですか?
414 :
七誌:2001/07/16(月) 12:10
なんか活気づいてきたな。
みんな昼休みなんかな。
415 :
七誌:2001/07/16(月) 12:13
スマソ。みんな同じ人なんだね。
416 :
柿田:2001/07/16(月) 12:13
委員長についてか?・・・ま、俺が分かってるのは委員長って奴は、
33歳で、童貞で、引き籠もりで、アニメヲタクで、わがままで、
会話が出来なくて、友達もいなくて、ネットで荒らしばかりやって、
自分が偉いと思っていて、都合が悪い質問になると論点すりかえて逃げて、
イタイ所突かれるとHN変えてレスして煽って、雑談スレを常に監視していて、
エロネタしか振れなくて、会話出来ないからって固定ハンドルを廃止しろって言って、
受け入れられ無いと荒らす。
こう言う人よ へへ
そうだよ、みんな俺だよ (藁
仕事は不定期なのさ、定職を見付けないとね。
418 :
七誌:2001/07/16(月) 12:21
すごい!柿田さんだったんだ!メジャー
じゃないですか。
いわゆるフリーターってやつですよね。
しかし委員長はすごい人ですね。
なんか想像したら気持ち悪くなってきた。
>>418 柿田って、一番ネタを振りやすいキャラだったんだよね (藁
やっててやり易かったし
そだね、フリーターってヤツだね。
確かに委員長はすごい・・・・ヤバイ意味で (藁
活気付ける為に、ハンドル変えておくか・・・
でもやっぱり堕ち
422 :
七誌:2001/07/16(月) 12:33
ひょっとしてこれも委員長に盗み見
されてるのかな。あーキモい。
話ぶっ飛んじゃうんですけど名無しさん
は彼女とかいらっしゃるのですか?
423 :
七誌:2001/07/16(月) 12:38
えっ、もうおちっすか?
しゅたっ!
ご帰還なり♪
調子ブッこいて温泉へいった♪美人の湯はもちろん入ったなりが、
子宝の湯は遠慮ちまちた(w
427 :
七誌:2001/07/16(月) 13:11
おっ!新しい人だ。
雑談。雑談。
428 :
七誌:2001/07/16(月) 13:19
鬱だ。また逃げられた。
人がいたなりか(w すまぬ、七誌どの♪
さて、まじ、帰る♪
431 :
七誌:2001/07/16(月) 13:27
おーい!帰ってこーい!
語ろうぜ。
432 :
莉子 ★:2001/07/16(月) 13:54
お仕事前の独り言。
433 :
莉子 ★:2001/07/16(月) 13:55
434 :
莉子 ★:2001/07/16(月) 13:56
FF]自腹切らないといけないしな・・どうしようかな・・
435 :
莉子 ★:2001/07/16(月) 13:59
買っちゃおうかな・・迷うなあ!もう!
436 :
嶌田:2001/07/16(月) 13:59
まだ居るかい??
437 :
莉子 ★:2001/07/16(月) 14:00
FF]の予約って今からでも間に合うのかね・・
438 :
莉子 ★:2001/07/16(月) 14:00
439 :
嶌田:2001/07/16(月) 14:00
ファンデですか。こりゃ分からん。
440 :
莉子 ★:2001/07/16(月) 14:01
>>439 ぽえちんのオススメの品なのだ。一人だったし迷ってたとこ(w
メール届きました??
ごめんなさい
441 :
嶌田:2001/07/16(月) 14:01
>>438 あぁ、いたいた。
メル、わざわざ有り難う。
『彼の胸元に、心おきなく頬をうずめたい』いいねっこれ。
リップの方は不評みたいだけど、これは良さそうだね。
443 :
嶌田:2001/07/16(月) 14:03
>>440 なるほど〜。お化粧品は高いからねぇ。
その殆どが広告代らしいけどさ。。。
444 :
莉子 ★:2001/07/16(月) 14:04
>>442 メーク崩れしにくいのが(・∀・)イイ!
メーク直しする時間ない時も安心だよね
服につかないのが最高、ほちい、、
445 :
嶌田:2001/07/16(月) 14:05
初めてリキッドファンデ見たときは衝撃的だったなぁ。
446 :
莉子 ★:2001/07/16(月) 14:06
>>443 本当はすごく安値らしいね。化粧品。
確か、ぽえーんから嶌田さんに送ってあげてって
言われる二日前くらいに削除。最近まであったから
悔しかったあ・・ごめんね・・
こんにちは
>>444 普段はあんまり完全メークはしないんだけど
する時はこういうのが良い。値段もバカ高い方でもないし
結構よさそう!
448 :
嶌田:2001/07/16(月) 14:07
>>446 いやぁ、謝るところじゃないよ(笑
だってフツーはソッコーで消すよ?あんな気分悪いもんは。
後生大事に持ってる俺の方が特殊。
449 :
莉子 ★:2001/07/16(月) 14:08
>>447 マックスファクターの落ちないリップだったかな・・
忘れたけど、ぽえーんがオフの時つけてきたのは
次の日も落ちてなかった(w
起きたらまだ唇赤いし、ビックリした(w
450 :
莉子 ★:2001/07/16(月) 14:09
>>448 メアドが気になったもので保存しといたんだ。
あと内容も気になったから。
451 :
嶌田:2001/07/16(月) 14:09
デヴィ・スカルノじゃん(笑
>>449 へえ、落ちない口紅って輪郭までしっかり残ってるのかね。
そうだったら欲しいなあ。服装によってもつける色が
変わるから、複数色欲しいところだよね。
引き出しの中に、落ちない口紅があったので(もらい物)
オレはこれからそれをヌリヌリして、顔を洗ってみたいと思う。
454 :
莉子 ★:2001/07/16(月) 14:17
やってみて!!(w
455 :
莉子 ★:2001/07/16(月) 14:18
唇舐めるくせがあるから口紅長持ちしないんだよな。
456 :
分析!!(38.5度。。。):2001/07/16(月) 15:05
し・・・しね。。。
頭いてぇ。。。
457 :
分析!!(38.5度。。。):2001/07/16(月) 15:06
つーわけで体調不良落ち。。。
ゲヘグホ。。。
458 :
名無しさん:2001/07/16(月) 15:10
>>457 オヤオヤ・・・私の所は18度さ。快適快適 (怒
ちょっと一服。
460 :
莉子 ★:2001/07/16(月) 15:39
461 :
嶌田:2001/07/16(月) 15:47
ログ見てきたさ。
462 :
嶌田:2001/07/16(月) 15:47
委員長って、誰も居ない早朝からナニやってんの?(笑
463 :
莉子 ★:2001/07/16(月) 15:48
わからん・・・(w
あたしも少し笑った(w
落ちない口紅、普通の洗顔だと輪郭とかはボヤけるけど
やっぱりカナリ残ってた。もういないかも知れないけど報告までに。
専用クレンジングは必須だねー。
465 :
莉子 ★:2001/07/16(月) 16:00
スレッドを大きくして
見られなくする目的なのかな(w>委員長
467 :
莉子 ★:2001/07/16(月) 16:07
それなら、わざわざ人がいる時に
荒らす訳も無いか。わかんないなあ
469 :
莉子 ★:2001/07/16(月) 16:10
元気君もおいでよ・・といっておく(w
>>467 まずは流し読みだったんですけど、やだ…これ勉強になりますね(w
スゴイ!ニャ〜♪さんって専門家みたい!
いや、勇ちゃんも呼んでおくよ。(w
472 :
莉子 ★:2001/07/16(月) 16:15
ニャ〜君、いいよねえ!詳しい!!
ああ、王子様†
あたし今からグリセリン買いに逝く予定。
尿素はあるから、、うへへ
473 :
莉子 ★:2001/07/16(月) 16:16
474 :
莉子 ★:2001/07/16(月) 16:16
元気君、マジでうぐいすの糞し効いたよ!
475 :
莉子 ★:2001/07/16(月) 16:17
糞は
さっそくお気に入り♪
グリセリンって、ローションでも作るすかっ?
478 :
莉子 ★:2001/07/16(月) 16:19
うん、作る。ここ数日、彼に影響されっぱなし。
ウグイスもそうだし。
479 :
キャッ朋ちゃん2世:2001/07/16(月) 16:20
おは、今日は学校早かったから帰って寝てた・・。
グリセリンって潤滑油だよ
480 :
莉子 ★:2001/07/16(月) 16:20
どうしてもグリコーゲンとカブるんだよな。
昨日薬局いったのに名前忘れて買えなかった(´ー`)
グリセリンね、、グリセリン、、、
481 :
莉子 ★:2001/07/16(月) 16:20
>>478 手作り化粧品も流行ってるよね。石鹸とかも。
うぐいすはピーリング効果かなんかだっけね?
483 :
莉子 ★:2001/07/16(月) 16:23
ピーリングとは?
化粧板も恐い人多いし、教えてもらって良かったよ。
これから勉強もしなきゃいけないね。
485 :
グリセリンって:2001/07/16(月) 16:26
浣腸プレイでもすんのか?
>>483 ピーリングって、確か角質除去じゃなかったかなあ。
それじゃ、うぐいす何に使うの?
487 :
莉子 ★:2001/07/16(月) 16:26
やべえ、今からFFトランスがあああーー!!
三日も我慢できないわ!!!
今夜からff板に逝こうかしら・・・!!
mmsで話してたら興奮してきた!!
>>485 そのローションじゃねぃよ、この変態めっ
489 :
莉子 ★:2001/07/16(月) 16:27
490 :
鶯の糞って:2001/07/16(月) 16:27
スカトロジィ@少年犯罪板
FFまで、後2日・・・ウケケヽ( ´ー`)ノ
492 :
莉子 ★:2001/07/16(月) 16:28
494 :
FFって:2001/07/16(月) 16:29
フィストファック板いけゴルァ
495 :
莉子 ★:2001/07/16(月) 16:29
>>494 ふぁいなるふぁんたじーーーーじゃあああ!!!
496 :
莉子 ★:2001/07/16(月) 16:30
今から予約できんのかなあ・・・
497 :
キャッ朋ちゃん2世:2001/07/16(月) 16:30
>>487 FF9はデスク1でやめた。。。あんまりロールプレイングは好きじゃないなぁー。
やっぱり、俺は数少ない任天堂派です、、、、
498 :
莉子 ★:2001/07/16(月) 16:31
任天堂・・・可愛い・・・
キャットはピカチューが好きなんか・・?(ww
499 :
キャッ朋ちゃん2世:2001/07/16(月) 16:31
>>496 今日セブンに行ったらまだ、予約してたよ。
買わないけど、、
500 :
莉子 ★:2001/07/16(月) 16:32
と、いうわけでおちおち。
グリセリンとマクースフアクター逝てきまーーす!ドンッ
501 :
キャッ朋ちゃん2世:2001/07/16(月) 16:32
>>498 ポケモンはあんまり好きじゃないよー、
でも、任天堂が出すゲームは大体好き!
502 :
莉子 ★:2001/07/16(月) 16:32
503 :
キャッ朋ちゃん2世:2001/07/16(月) 16:32
バイ
じゃあ俺も`うと
莉子板に、FFのネタバレ書いてやる・・・ウケケヽ( ´ー`)ノ
タイミング悪。皆落ちたあとかい(汗
FFは予約済みなりよ♪しかし、できるかどーかわからん状態ではあるが(w
基礎化粧にゃ金はかけるが、上に塗るものは何でも良いや♪見た目がよければ
全てよーし! 昔、ちらっとマリークゥアントにゃ凝ってたが(w
507 :
鏡:2001/07/16(月) 17:49
グリセリン?
・・・ヘンな趣味でもあるのかな?
よぅ♪鏡♪
グリセリンってぇなんだっけかな?
莉子もそこまで目覚めていたとは・・・・。(藁
あなル 恐ろしや 恐ろしや
>>508 1、2、3―プロパントリオールですよ。
さて、巡回。(藁
おや、eliseさん、こんにちは(w
>>515 どうも(w
すいませんね、うっかり上げてしまいましたよ(w
では、私も巡回に・・・
だめだ、ビールが俺を呼んでいる・・・。
落ちます。でわ。(藁
519 :
莉子 ★:2001/07/16(月) 19:00
ああ!!二人ともいたの?!!
個人板荒らしてた!!!!
520 :
莉子 ★:2001/07/16(月) 19:02
誰かワッショイのAA持ってない・・・・?
521 :
莉子 ★:2001/07/16(月) 19:06
ぽえーん、いたらmms!!
522 :
莉子 ★:2001/07/16(月) 19:18
のど乾いたなあ¥!!
523 :
莉子 ★:2001/07/16(月) 19:25
書き込めないのか!!!大丈夫か?>サン
524 :
莉子 ★:2001/07/16(月) 19:28
だめか・・連続投稿ね・・・
525 :
莉子 ★:2001/07/16(月) 19:32
廃墟 の発言 :
それは俺が奴を規制しているからですククク
サンへ・・・・(w
526 :
鏡:2001/07/16(月) 19:36
莉子さん、浣腸プレイに目覚めたってホントですか?
527 :
莉子 ★:2001/07/16(月) 19:36
え、なんで???
528 :
鏡:2001/07/16(月) 19:37
うーん、また「さん」をつけてしまった・・・
暑い。クーラーのあるすべての人間が憎い。
530 :
鏡:2001/07/16(月) 19:37
531 :
莉子 ★:2001/07/16(月) 19:37
グリセリンか(w
あれは化粧水作る為に必要なんだよ(w
>>529 快適(´ー`)y-~~
532 :
鏡:2001/07/16(月) 19:38
つーか、俺のやっていることは
昨日のエロネタ煽りと同じなのでは?・・・(アセ
533 :
鏡:2001/07/16(月) 19:38
534 :
莉子 ★:2001/07/16(月) 19:39
昨日のよりは全然マシ(w
535 :
莉子 ★:2001/07/16(月) 19:40
536 :
鏡:2001/07/16(月) 19:42
>>534 マシって・・・
結局、カテゴリは同じってことじゃない・・・(-_-;
537 :
莉子 ★:2001/07/16(月) 19:42
とゆうか、FFの予約終了してた・・・
当日在庫あるかなあ・・
538 :
莉子 ★:2001/07/16(月) 19:43
>>536 エロネタカテゴリ(w
ま、個人板では自分もやってるけど エヘエヘ
539 :
鏡:2001/07/16(月) 19:43
毎度でっす♪
つ〜か下のスレなに?(w
541 :
莉子 ★:2001/07/16(月) 19:45
>廃墟
時間置いてあげカキコだろうな。(ワラ
542 :
莉子 ★:2001/07/16(月) 19:45
>>540 粘着自演バカ(w
誰かさんに似てるんで放置中
>>541 もういいよ。
クレーマーですらない。あんなのは。
544 :
莉子 ★:2001/07/16(月) 19:45
>>539 それまで待てない(w
みつけたら即買う(w
546 :
鏡:2001/07/16(月) 19:46
547 :
莉子 ★:2001/07/16(月) 19:46
>莉子
んだよFF予約しなかったの?
買えなかったら面白い話たくさんしてあげるね(はぁと
549 :
鏡:2001/07/16(月) 19:47
FFは当日コンビニ行けば余裕で買えるはずよ
午前中に売り切れなんてよほど悪いとこじゃない限りはない。
551 :
莉子 ★:2001/07/16(月) 19:48
>>548 今朝の10時で終了だってよ、ヤレヤレ
ネタバレしたら本気で怒る!!!
>>546 お久しぶりです♪
覚えていて下さって嬉しいですわん(w
>>547 黒真珠=オペロリーナ=透明です♪
>午前中に売り切れなんてよほど悪いとこじゃない限りはない。
これは普通のゲームショップの話です。
554 :
莉子 ★:2001/07/16(月) 19:48
ちゅったんじゃなくてー(w
もう、いいや、、(w
555 :
莉子 ★:2001/07/16(月) 19:49
>>553 ドラクエも買えたし、平気か、朝イチで行こう
>>550 いやぁ売り切れですよそうに決まってます(ワラ
>>551 あんたもつくづく不運だねぇ、、ネタバレ?
するわきゃないじゃないですか?ケケケケケ♪♪
558 :
鏡:2001/07/16(月) 19:50
>>552 今度、複数の人を同時に愛することについて
じっくり語り合いましょ(w
オチます bye>all
>>555 徹夜明けで逝くのも朝イチって言うんだろうか?ハテ??(w
>>558 あたしにゃ出来ます♪
あら残念まったね〜♪♪バイバイ♪
561 :
莉子 ★:2001/07/16(月) 19:52
>>561 んじゃ18日は早寝ってことね。。覚えておこう。。φ(.. )メモメモ
563 :
莉子 ★:2001/07/16(月) 19:54
今日、ぽえーん飲み逝かないの?
毎晩飲んでるような言い方だな。
そうなん?
連続投稿エラーが出た、、、なにこれ??
>>563 週の頭からは飲まないちゅうの!!(爆
>>564 違います!!たま〜に週末飲むくらいですよ、、(汗
567 :
莉子 ★:2001/07/16(月) 19:57
サンライズなんか一回も書き込めないってよ??
初めてエラーくらった、、なんで出たんだ???
569 :
莉子 ★:2001/07/16(月) 19:57
>>566 週末か、元気だねえ・・
よく体もつね?
あたしはもう駄目、全然お酒は・・
>>567 マジ?荒らし対策にはならんが締め出しだきゃ出きるってか?
役立たずなシステムだな(ワラ
>>569 なんかやったんだろ?
お姐さんに話してみな♪(w
572 :
莉子 ★:2001/07/16(月) 20:00
>>571 なんもしてない(w
お酒自体全然飲んでないマジ。
最近はとても健全・・・(w
姐さんとはちゃいます、ウヘ
573 :
莉子 ★:2001/07/16(月) 20:03
なんまたエラー?
串使えばかけるはずだがな。
>>572-573
信じられない、、それじゃ毎日なにやってんの?
つ〜か4〜5回連続エラー出るんでムカツクから落ちる、、
今度はレスできるかなぁ??
576 :
莉子 ★:2001/07/16(月) 20:07
串なんて面倒でしょ。
あたしはエラーかかったことないからいいけど♪
ってか廃墟っちありがとおおお!!!!!
さがしてたの!!ああああ・・・!!!1
お〜!!書き込めたぜ!!!
>>574 めんどい、、、
578 :
莉子 ★:2001/07/16(月) 20:08
>>575 毎日ネット(爆
週末は遊んでるけど酒のまん。
MMSも不調だしエラーは出るし莉子の呪いか?(w
>>578 盆頃そっち帰るかも知れんから肝臓鍛えて待ってろ(w
風呂入るんでマジ落ちるはわ。。そんじゃまったね〜>莉子&廃虚
581 :
莉子 ★:2001/07/16(月) 20:10
582 :
莉子 ★:2001/07/16(月) 20:10
あ、くそ、逃げられた!!
583 :
莉子 ★:2001/07/16(月) 20:10
いつでもOKだよー、遊ぼう!ではでは
莉子うるさい
585 :
莉子@莉子 ★:2001/07/16(月) 20:17
レスの返しようがないんで。ごめんなさいねー
どっこらしょっと・・・
やれやれ、生きるってのは疲れる事ばかりだ。
小説は假作物語の一種にして、所謂異譚の變體なり。竒異譚とは何ぞや。英國にてローマンスと名づくるものなり。
ローマンスは趣向を荒唐無稽の事物に取りて、竒恠百出もて篇をなし、尋常世界に見はれたる事物の道理に矛楯する
を敢て顧みざるものにぞある。小説即ちノベルに至りては之れと異なり、世の人情と風俗をば冩すを以て主腦となし、
平常世間にあるべきやうなる事柄をもて材料として而して趣向を設くるものなり。こは只概略の辯なるから、尚ほ解し
がたき由もあらめど、其詳細なる本義の如きは、暫く之を下囘に讓りて、まづ變遷の次第を説くべし。其倩々惟みるに、
小説、野乘の行はるゝは其源遠く?焉たる上古の時代にありといふべし。其然る所以を知らまくせば、試みに社會の淵源
に溯りて其状態を察せざる可らず。上古の社會の状態はいかにといふに、東西人おなじからず南北地異なるにも係らず、
一個の家長を尊崇して之れを酋族の長となすこと人間社會の通則なり。かゝれば戰鬪いと烈しく優勝劣敗急激なる未開野
蠻の上世にありては、猛然荒蕪の間に起りて俄かに一家の主長となり忽ち一族の首となるもの、或ひは少なしとなさゞる
なり。かゝる性質の家長にして已に酋族の首となりなば、其子孫らにものがたるに何等の事柄を以てする歟。想ふに己が
經驗なしたる艱難辛苦の事情はさらなり、其武功などを語りつべし。而して是等の物語は其人親しく經驗なし若しくは親
しく見聞せる眞實の事蹟に相違なけれど、子孫が之れを傳聞してまた其子孫に語るに及びて、或ひは記憶の誤謬より或ひ
は附會に原因して、竟には眞實の髓を亡ひ、咄々竒恠の物語を長く口碑に傳へ存じて、鬼神史、神代記の基を拓く、是れ
世上の通則にしてまた恠むに足らずと雖も、事のこゝに到れるには別に原因のなきを得むや。今こゝろみに之れを思ふに、
其原因となりたるもの凡そ三條ありきと思はる。譬へば酋族次第に榮えて勢ひ強大になるに至れば、人の心のおのづから
傲りて、些々たる事をも巨大にいひなし、他の酋族に誇るものなり。かゝれば祖先の履歴の如きは、故意に附會の談を加
へていと大業にいひなすべし。是れ第一の原因なり。又人間はうまれながらに竒異を好むに切なるものなり。斯かれば別
に其要なくとも、假作の談話をつくりまうけて、史傳を誤ることあるべし。是れ第二の原因なり。而して國歩やうやく進
みて稍々文明の世界となりなば、其國君といはるゝやからは下賤の疋夫の成りあがりが我が大祖なりといはるゝをば快か
らぬことに思ひて、附會の説をつくりまうけて太祖の事蹟を粧はむとす。況んや是等の時代に於ては敬信の念深かるから
、故意に物語を假作せずとも自然に祖先を神といひなし、天孫なりきと思ふべきをや。是れなむ諸國に信じがたき神代史
などいふものある第三條の原因なりかし。斯かれば上古のミソロヂイ即ち鬼神誌といへるものは所謂竒異譚の濫觴にて、
其傳おほくは假作にいで若しくは訛傳になりたること元より疑ひなきに似たり。さはあれ所謂神代史(鬼神誌)はもとこ
れ眞實の物語にして決して遊戯の作にあらねば、後の所謂苛異譚とは其質ほとほと同じうして其用はまたいたく異なり。
蓋し謬信傳訛の久しき、後世の人其傳記の妄誕なるをば恠まざるなり。こゝをもて後の世の人此種の書を尊み信じて、曾
て小説視するものなきまゝ、恬然正史の巻はじめにいとうやうやしく之れをかゝげて、國家の権輿を穿鑿する好材料とな
すことゝなりけり。或ひは神代史を解釋して太古の竒異譚といふものあれども、こはまた甚だしき
小説は假作物語の一種にして、所謂異譚の變體なり。竒異譚とは何ぞや。英國にてローマンスと名づくるものなり。
ローマンスは趣向を荒唐無稽の事物に取りて、竒恠百出もて篇をなし、尋常世界に見はれたる事物の道理に矛楯する
を敢て顧みざるものにぞある。小説即ちノベルに至りては之れと異なり、世の人情と風俗をば冩すを以て主腦となし、
平常世間にあるべきやうなる事柄をもて材料として而して趣向を設くるものなり。こは只概略の辯なるから、尚ほ解し
がたき由もあらめど、其詳細なる本義の如きは、暫く之を下囘に讓りて、まづ變遷の次第を説くべし。其倩々惟みるに、
小説、野乘の行はるゝは其源遠く?焉たる上古の時代にありといふべし。其然る所以を知らまくせば、試みに社會の淵源
に溯りて其状態を察せざる可らず。上古の社會の状態はいかにといふに、東西人おなじからず南北地異なるにも係らず、
一個の家長を尊崇して之れを酋族の長となすこと人間社會の通則なり。かゝれば戰鬪いと烈しく優勝劣敗急激なる未開野
蠻の上世にありては、猛然荒蕪の間に起りて俄かに一家の主長となり忽ち一族の首となるもの、或ひは少なしとなさゞる
なり。かゝる性質の家長にして已に酋族の首となりなば、其子孫らにものがたるに何等の事柄を以てする歟。想ふに己が
經驗なしたる艱難辛苦の事情はさらなり、其武功などを語りつべし。而して是等の物語は其人親しく經驗なし若しくは親
しく見聞せる眞實の事蹟に相違なけれど、子孫が之れを傳聞してまた其子孫に語るに及びて、或ひは記憶の誤謬より或ひ
は附會に原因して、竟には眞實の髓を亡ひ、咄々竒恠の物語を長く口碑に傳へ存じて、鬼神史、神代記の基を拓く、是れ
世上の通則にしてまた恠むに足らずと雖も、事のこゝに到れるには別に原因のなきを得むや。今こゝろみに之れを思ふに、
其原因となりたるもの凡そ三條ありきと思はる。譬へば酋族次第に榮えて勢ひ強大になるに至れば、人の心のおのづから
傲りて、些々たる事をも巨大にいひなし、他の酋族に誇るものなり。かゝれば祖先の履歴の如きは、故意に附會の談を加
へていと大業にいひなすべし。是れ第一の原因なり。又人間はうまれながらに竒異を好むに切なるものなり。斯かれば別
に其要なくとも、假作の談話をつくりまうけて、史傳を誤ることあるべし。是れ第二の原因なり。而して國歩やうやく進
みて稍々文明の世界となりなば、其國君といはるゝやからは下賤の疋夫の成りあがりが我が大祖なりといはるゝをば快か
らぬことに思ひて、附會の説をつくりまうけて太祖の事蹟を粧はむとす。況んや是等の時代に於ては敬信の念深かるから
、故意に物語を假作せずとも自然に祖先を神といひなし、天孫なりきと思ふべきをや。是れなむ諸國に信じがたき神代史
などいふものある第三條の原因なりかし。斯かれば上古のミソロヂイ即ち鬼神誌といへるものは所謂竒異譚の濫觴にて、
其傳おほくは假作にいで若しくは訛傳になりたること元より疑ひなきに似たり。さはあれ所謂神代史(鬼神誌)はもとこ
れ眞實の物語にして決して遊戯の作にあらねば、後の所謂苛異譚とは其質ほとほと同じうして其用はまたいたく異なり。
蓋し謬信傳訛の久しき、後世の人其傳記の妄誕なるをば恠まざるなり。こゝをもて後の世の人此種の書を尊み信じて、曾
て小説視するものなきまゝ、恬然正史の巻はじめにいとうやうやしく之れをかゝげて、國家の権輿を穿鑿する好材料とな
すことゝなりけり。或ひは神代史を解釋して太古の竒異譚といふものあれども、こはまた甚だしき
小説は假作物語の一種にして、所謂異譚の變體なり。竒異譚とは何ぞや。英國にてローマンスと名づくるものなり。
ローマンスは趣向を荒唐無稽の事物に取りて、竒恠百出もて篇をなし、尋常世界に見はれたる事物の道理に矛楯する
を敢て顧みざるものにぞある。小説即ちノベルに至りては之れと異なり、世の人情と風俗をば冩すを以て主腦となし、
平常世間にあるべきやうなる事柄をもて材料として而して趣向を設くるものなり。こは只概略の辯なるから、尚ほ解し
がたき由もあらめど、其詳細なる本義の如きは、暫く之を下囘に讓りて、まづ變遷の次第を説くべし。其倩々惟みるに、
小説、野乘の行はるゝは其源遠く?焉たる上古の時代にありといふべし。其然る所以を知らまくせば、試みに社會の淵源
に溯りて其状態を察せざる可らず。上古の社會の状態はいかにといふに、東西人おなじからず南北地異なるにも係らず、
一個の家長を尊崇して之れを酋族の長となすこと人間社會の通則なり。かゝれば戰鬪いと烈しく優勝劣敗急激なる未開野
蠻の上世にありては、猛然荒蕪の間に起りて俄かに一家の主長となり忽ち一族の首となるもの、或ひは少なしとなさゞる
なり。かゝる性質の家長にして已に酋族の首となりなば、其子孫らにものがたるに何等の事柄を以てする歟。想ふに己が
經驗なしたる艱難辛苦の事情はさらなり、其武功などを語りつべし。而して是等の物語は其人親しく經驗なし若しくは親
しく見聞せる眞實の事蹟に相違なけれど、子孫が之れを傳聞してまた其子孫に語るに及びて、或ひは記憶の誤謬より或ひ
は附會に原因して、竟には眞實の髓を亡ひ、咄々竒恠の物語を長く口碑に傳へ存じて、鬼神史、神代記の基を拓く、是れ
世上の通則にしてまた恠むに足らずと雖も、事のこゝに到れるには別に原因のなきを得むや。今こゝろみに之れを思ふに、
其原因となりたるもの凡そ三條ありきと思はる。譬へば酋族次第に榮えて勢ひ強大になるに至れば、人の心のおのづから
傲りて、些々たる事をも巨大にいひなし、他の酋族に誇るものなり。かゝれば祖先の履歴の如きは、故意に附會の談を加
へていと大業にいひなすべし。是れ第一の原因なり。又人間はうまれながらに竒異を好むに切なるものなり。斯かれば別
に其要なくとも、假作の談話をつくりまうけて、史傳を誤ることあるべし。是れ第二の原因なり。而して國歩やうやく進
みて稍々文明の世界となりなば、其國君といはるゝやからは下賤の疋夫の成りあがりが我が大祖なりといはるゝをば快か
らぬことに思ひて、附會の説をつくりまうけて太祖の事蹟を粧はむとす。況んや是等の時代に於ては敬信の念深かるから
、故意に物語を假作せずとも自然に祖先を神といひなし、天孫なりきと思ふべきをや。是れなむ諸國に信じがたき神代史
などいふものある第三條の原因なりかし。斯かれば上古のミソロヂイ即ち鬼神誌といへるものは所謂竒異譚の濫觴にて、
其傳おほくは假作にいで若しくは訛傳になりたること元より疑ひなきに似たり。さはあれ所謂神代史(鬼神誌)はもとこ
れ眞實の物語にして決して遊戯の作にあらねば、後の所謂苛異譚とは其質ほとほと同じうして其用はまたいたく異なり。
蓋し謬信傳訛の久しき、後世の人其傳記の妄誕なるをば恠まざるなり。こゝをもて後の世の人此種の書を尊み信じて、曾
て小説視するものなきまゝ、恬然正史の巻はじめにいとうやうやしく之れをかゝげて、國家の権輿を穿鑿する好材料とな
すことゝなりけり。或ひは神代史を解釋して太古の竒異譚といふものあれども、こはまた甚だしき
小説は假作物語の一種にして、所謂異譚の變體なり。竒異譚とは何ぞや。英國にてローマンスと名づくるものなり。
ローマンスは趣向を荒唐無稽の事物に取りて、竒恠百出もて篇をなし、尋常世界に見はれたる事物の道理に矛楯する
を敢て顧みざるものにぞある。小説即ちノベルに至りては之れと異なり、世の人情と風俗をば冩すを以て主腦となし、
平常世間にあるべきやうなる事柄をもて材料として而して趣向を設くるものなり。こは只概略の辯なるから、尚ほ解し
がたき由もあらめど、其詳細なる本義の如きは、暫く之を下囘に讓りて、まづ變遷の次第を説くべし。其倩々惟みるに、
小説、野乘の行はるゝは其源遠く?焉たる上古の時代にありといふべし。其然る所以を知らまくせば、試みに社會の淵源
に溯りて其状態を察せざる可らず。上古の社會の状態はいかにといふに、東西人おなじからず南北地異なるにも係らず、
一個の家長を尊崇して之れを酋族の長となすこと人間社會の通則なり。かゝれば戰鬪いと烈しく優勝劣敗急激なる未開野
蠻の上世にありては、猛然荒蕪の間に起りて俄かに一家の主長となり忽ち一族の首となるもの、或ひは少なしとなさゞる
なり。かゝる性質の家長にして已に酋族の首となりなば、其子孫らにものがたるに何等の事柄を以てする歟。想ふに己が
經驗なしたる艱難辛苦の事情はさらなり、其武功などを語りつべし。而して是等の物語は其人親しく經驗なし若しくは親
しく見聞せる眞實の事蹟に相違なけれど、子孫が之れを傳聞してまた其子孫に語るに及びて、或ひは記憶の誤謬より或ひ
は附會に原因して、竟には眞實の髓を亡ひ、咄々竒恠の物語を長く口碑に傳へ存じて、鬼神史、神代記の基を拓く、是れ
世上の通則にしてまた恠むに足らずと雖も、事のこゝに到れるには別に原因のなきを得むや。今こゝろみに之れを思ふに、
其原因となりたるもの凡そ三條ありきと思はる。譬へば酋族次第に榮えて勢ひ強大になるに至れば、人の心のおのづから
傲りて、些々たる事をも巨大にいひなし、他の酋族に誇るものなり。かゝれば祖先の履歴の如きは、故意に附會の談を加
へていと大業にいひなすべし。是れ第一の原因なり。又人間はうまれながらに竒異を好むに切なるものなり。斯かれば別
に其要なくとも、假作の談話をつくりまうけて、史傳を誤ることあるべし。是れ第二の原因なり。而して國歩やうやく進
みて稍々文明の世界となりなば、其國君といはるゝやからは下賤の疋夫の成りあがりが我が大祖なりといはるゝをば快か
らぬことに思ひて、附會の説をつくりまうけて太祖の事蹟を粧はむとす。況んや是等の時代に於ては敬信の念深かるから
、故意に物語を假作せずとも自然に祖先を神といひなし、天孫なりきと思ふべきをや。是れなむ諸國に信じがたき神代史
などいふものある第三條の原因なりかし。斯かれば上古のミソロヂイ即ち鬼神誌といへるものは所謂竒異譚の濫觴にて、
其傳おほくは假作にいで若しくは訛傳になりたること元より疑ひなきに似たり。さはあれ所謂神代史(鬼神誌)はもとこ
れ眞實の物語にして決して遊戯の作にあらねば、後の所謂苛異譚とは其質ほとほと同じうして其用はまたいたく異なり。
蓋し謬信傳訛の久しき、後世の人其傳記の妄誕なるをば恠まざるなり。こゝをもて後の世の人此種の書を尊み信じて、曾
て小説視するものなきまゝ、恬然正史の巻はじめにいとうやうやしく之れをかゝげて、國家の権輿を穿鑿する好材料とな
すことゝなりけり。或ひは神代史を解釋して太古の竒異譚といふものあれども、こはまた甚だしき
小説は假作物語の一種にして、所謂異譚の變體なり。竒異譚とは何ぞや。英國にてローマンスと名づくるものなり。
ローマンスは趣向を荒唐無稽の事物に取りて、竒恠百出もて篇をなし、尋常世界に見はれたる事物の道理に矛楯する
を敢て顧みざるものにぞある。小説即ちノベルに至りては之れと異なり、世の人情と風俗をば冩すを以て主腦となし、
平常世間にあるべきやうなる事柄をもて材料として而して趣向を設くるものなり。こは只概略の辯なるから、尚ほ解し
がたき由もあらめど、其詳細なる本義の如きは、暫く之を下囘に讓りて、まづ變遷の次第を説くべし。其倩々惟みるに、
小説、野乘の行はるゝは其源遠く?焉たる上古の時代にありといふべし。其然る所以を知らまくせば、試みに社會の淵源
に溯りて其状態を察せざる可らず。上古の社會の状態はいかにといふに、東西人おなじからず南北地異なるにも係らず、
一個の家長を尊崇して之れを酋族の長となすこと人間社會の通則なり。かゝれば戰鬪いと烈しく優勝劣敗急激なる未開野
蠻の上世にありては、猛然荒蕪の間に起りて俄かに一家の主長となり忽ち一族の首となるもの、或ひは少なしとなさゞる
なり。かゝる性質の家長にして已に酋族の首となりなば、其子孫らにものがたるに何等の事柄を以てする歟。想ふに己が
經驗なしたる艱難辛苦の事情はさらなり、其武功などを語りつべし。而して是等の物語は其人親しく經驗なし若しくは親
しく見聞せる眞實の事蹟に相違なけれど、子孫が之れを傳聞してまた其子孫に語るに及びて、或ひは記憶の誤謬より或ひ
は附會に原因して、竟には眞實の髓を亡ひ、咄々竒恠の物語を長く口碑に傳へ存じて、鬼神史、神代記の基を拓く、是れ
世上の通則にしてまた恠むに足らずと雖も、事のこゝに到れるには別に原因のなきを得むや。今こゝろみに之れを思ふに、
其原因となりたるもの凡そ三條ありきと思はる。譬へば酋族次第に榮えて勢ひ強大になるに至れば、人の心のおのづから
傲りて、些々たる事をも巨大にいひなし、他の酋族に誇るものなり。かゝれば祖先の履歴の如きは、故意に附會の談を加
へていと大業にいひなすべし。是れ第一の原因なり。又人間はうまれながらに竒異を好むに切なるものなり。斯かれば別
に其要なくとも、假作の談話をつくりまうけて、史傳を誤ることあるべし。是れ第二の原因なり。而して國歩やうやく進
みて稍々文明の世界となりなば、其國君といはるゝやからは下賤の疋夫の成りあがりが我が大祖なりといはるゝをば快か
らぬことに思ひて、附會の説をつくりまうけて太祖の事蹟を粧はむとす。況んや是等の時代に於ては敬信の念深かるから
、故意に物語を假作せずとも自然に祖先を神といひなし、天孫なりきと思ふべきをや。是れなむ諸國に信じがたき神代史
などいふものある第三條の原因なりかし。斯かれば上古のミソロヂイ即ち鬼神誌といへるものは所謂竒異譚の濫觴にて、
其傳おほくは假作にいで若しくは訛傳になりたること元より疑ひなきに似たり。さはあれ所謂神代史(鬼神誌)はもとこ
れ眞實の物語にして決して遊戯の作にあらねば、後の所謂苛異譚とは其質ほとほと同じうして其用はまたいたく異なり。
蓋し謬信傳訛の久しき、後世の人其傳記の妄誕なるをば恠まざるなり。こゝをもて後の世の人此種の書を尊み信じて、曾
て小説視するものなきまゝ、恬然正史の巻はじめにいとうやうやしく之れをかゝげて、國家の権輿を穿鑿する好材料とな
すことゝなりけり。或ひは神代史を解釋して太古の竒異譚といふものあれども、こはまた甚だしき
最近の、荒らしは雑談をしてなくても荒らすのか。
1人言してる時は、荒らさないって話じゃなかったっけ?
お、止まったな。
それにしても、21にもなって友人関係に悩まされるとは・・・
そんな事は夢にも思わなかったな。
嵐は練無が嫌いなんだろう(ワラ
>>596 グハァ、痛いところを(w
いや、実は俺をストーキングしてるとか?
小説は假作物語の一種にして、所謂異譚の變體なり。竒異譚とは何ぞや。英國にてローマンスと名づくるものなり。
ローマンスは趣向を荒唐無稽の事物に取りて、竒恠百出もて篇をなし、尋常世界に見はれたる事物の道理に矛楯する
を敢て顧みざるものにぞある。小説即ちノベルに至りては之れと異なり、世の人情と風俗をば冩すを以て主腦となし、
平常世間にあるべきやうなる事柄をもて材料として而して趣向を設くるものなり。こは只概略の辯なるから、尚ほ解し
がたき由もあらめど、其詳細なる本義の如きは、暫く之を下囘に讓りて、まづ變遷の次第を説くべし。其倩々惟みるに、
小説、野乘の行はるゝは其源遠く?焉たる上古の時代にありといふべし。其然る所以を知らまくせば、試みに社會の淵源
に溯りて其状態を察せざる可らず。上古の社會の状態はいかにといふに、東西人おなじからず南北地異なるにも係らず、
一個の家長を尊崇して之れを酋族の長となすこと人間社會の通則なり。かゝれば戰鬪いと烈しく優勝劣敗急激なる未開野
蠻の上世にありては、猛然荒蕪の間に起りて俄かに一家の主長となり忽ち一族の首となるもの、或ひは少なしとなさゞる
なり。かゝる性質の家長にして已に酋族の首となりなば、其子孫らにものがたるに何等の事柄を以てする歟。想ふに己が
經驗なしたる艱難辛苦の事情はさらなり、其武功などを語りつべし。而して是等の物語は其人親しく經驗なし若しくは親
しく見聞せる眞實の事蹟に相違なけれど、子孫が之れを傳聞してまた其子孫に語るに及びて、或ひは記憶の誤謬より或ひ
は附會に原因して、竟には眞實の髓を亡ひ、咄々竒恠の物語を長く口碑に傳へ存じて、鬼神史、神代記の基を拓く、是れ
世上の通則にしてまた恠むに足らずと雖も、事のこゝに到れるには別に原因のなきを得むや。今こゝろみに之れを思ふに、
其原因となりたるもの凡そ三條ありきと思はる。譬へば酋族次第に榮えて勢ひ強大になるに至れば、人の心のおのづから
傲りて、些々たる事をも巨大にいひなし、他の酋族に誇るものなり。かゝれば祖先の履歴の如きは、故意に附會の談を加
へていと大業にいひなすべし。是れ第一の原因なり。又人間はうまれながらに竒異を好むに切なるものなり。斯かれば別
に其要なくとも、假作の談話をつくりまうけて、史傳を誤ることあるべし。是れ第二の原因なり。而して國歩やうやく進
みて稍々文明の世界となりなば、其國君といはるゝやからは下賤の疋夫の成りあがりが我が大祖なりといはるゝをば快か
らぬことに思ひて、附會の説をつくりまうけて太祖の事蹟を粧はむとす。況んや是等の時代に於ては敬信の念深かるから
、故意に物語を假作せずとも自然に祖先を神といひなし、天孫なりきと思ふべきをや。是れなむ諸國に信じがたき神代史
などいふものある第三條の原因なりかし。斯かれば上古のミソロヂイ即ち鬼神誌といへるものは所謂竒異譚の濫觴にて、
其傳おほくは假作にいで若しくは訛傳になりたること元より疑ひなきに似たり。さはあれ所謂神代史(鬼神誌)はもとこ
れ眞實の物語にして決して遊戯の作にあらねば、後の所謂苛異譚とは其質ほとほと同じうして其用はまたいたく異なり。
蓋し謬信傳訛の久しき、後世の人其傳記の妄誕なるをば恠まざるなり。こゝをもて後の世の人此種の書を尊み信じて、曾
て小説視するものなきまゝ、恬然正史の巻はじめにいとうやうやしく之れをかゝげて、國家の権輿を穿鑿する好材料とな
すことゝなりけり。或ひは神代史を解釋して太古の竒異譚といふものあれども、こはまた甚だしき
小説は假作物語の一種にして、所謂異譚の變體なり。竒異譚とは何ぞや。英國にてローマンスと名づくるものなり。
ローマンスは趣向を荒唐無稽の事物に取りて、竒恠百出もて篇をなし、尋常世界に見はれたる事物の道理に矛楯する
を敢て顧みざるものにぞある。小説即ちノベルに至りては之れと異なり、世の人情と風俗をば冩すを以て主腦となし、
平常世間にあるべきやうなる事柄をもて材料として而して趣向を設くるものなり。こは只概略の辯なるから、尚ほ解し
がたき由もあらめど、其詳細なる本義の如きは、暫く之を下囘に讓りて、まづ變遷の次第を説くべし。其倩々惟みるに、
小説、野乘の行はるゝは其源遠く?焉たる上古の時代にありといふべし。其然る所以を知らまくせば、試みに社會の淵源
に溯りて其状態を察せざる可らず。上古の社會の状態はいかにといふに、東西人おなじからず南北地異なるにも係らず、
一個の家長を尊崇して之れを酋族の長となすこと人間社會の通則なり。かゝれば戰鬪いと烈しく優勝劣敗急激なる未開野
蠻の上世にありては、猛然荒蕪の間に起りて俄かに一家の主長となり忽ち一族の首となるもの、或ひは少なしとなさゞる
なり。かゝる性質の家長にして已に酋族の首となりなば、其子孫らにものがたるに何等の事柄を以てする歟。想ふに己が
經驗なしたる艱難辛苦の事情はさらなり、其武功などを語りつべし。而して是等の物語は其人親しく經驗なし若しくは親
しく見聞せる眞實の事蹟に相違なけれど、子孫が之れを傳聞してまた其子孫に語るに及びて、或ひは記憶の誤謬より或ひ
は附會に原因して、竟には眞實の髓を亡ひ、咄々竒恠の物語を長く口碑に傳へ存じて、鬼神史、神代記の基を拓く、是れ
世上の通則にしてまた恠むに足らずと雖も、事のこゝに到れるには別に原因のなきを得むや。今こゝろみに之れを思ふに、
其原因となりたるもの凡そ三條ありきと思はる。譬へば酋族次第に榮えて勢ひ強大になるに至れば、人の心のおのづから
傲りて、些々たる事をも巨大にいひなし、他の酋族に誇るものなり。かゝれば祖先の履歴の如きは、故意に附會の談を加
へていと大業にいひなすべし。是れ第一の原因なり。又人間はうまれながらに竒異を好むに切なるものなり。斯かれば別
に其要なくとも、假作の談話をつくりまうけて、史傳を誤ることあるべし。是れ第二の原因なり。而して國歩やうやく進
みて稍々文明の世界となりなば、其國君といはるゝやからは下賤の疋夫の成りあがりが我が大祖なりといはるゝをば快か
らぬことに思ひて、附會の説をつくりまうけて太祖の事蹟を粧はむとす。況んや是等の時代に於ては敬信の念深かるから
、故意に物語を假作せずとも自然に祖先を神といひなし、天孫なりきと思ふべきをや。是れなむ諸國に信じがたき神代史
などいふものある第三條の原因なりかし。斯かれば上古のミソロヂイ即ち鬼神誌といへるものは所謂竒異譚の濫觴にて、
其傳おほくは假作にいで若しくは訛傳になりたること元より疑ひなきに似たり。さはあれ所謂神代史(鬼神誌)はもとこ
れ眞實の物語にして決して遊戯の作にあらねば、後の所謂苛異譚とは其質ほとほと同じうして其用はまたいたく異なり。
蓋し謬信傳訛の久しき、後世の人其傳記の妄誕なるをば恠まざるなり。こゝをもて後の世の人此種の書を尊み信じて、曾
て小説視するものなきまゝ、恬然正史の巻はじめにいとうやうやしく之れをかゝげて、國家の権輿を穿鑿する好材料とな
すことゝなりけり。或ひは神代史を解釋して太古の竒異譚といふものあれども、こはまた甚だしき
すっかり、荒らしも固定に成り下がっちまったな。
小説は假作物語の一種にして、所謂異譚の變體なり。竒異譚とは何ぞや。英國にてローマンスと名づくるものなり。
ローマンスは趣向を荒唐無稽の事物に取りて、竒恠百出もて篇をなし、尋常世界に見はれたる事物の道理に矛楯する
を敢て顧みざるものにぞある。小説即ちノベルに至りては之れと異なり、世の人情と風俗をば冩すを以て主腦となし、
平常世間にあるべきやうなる事柄をもて材料として而して趣向を設くるものなり。こは只概略の辯なるから、尚ほ解し
がたき由もあらめど、其詳細なる本義の如きは、暫く之を下囘に讓りて、まづ變遷の次第を説くべし。其倩々惟みるに、
小説、野乘の行はるゝは其源遠く?焉たる上古の時代にありといふべし。其然る所以を知らまくせば、試みに社會の淵源
に溯りて其状態を察せざる可らず。上古の社會の状態はいかにといふに、東西人おなじからず南北地異なるにも係らず、
一個の家長を尊崇して之れを酋族の長となすこと人間社會の通則なり。かゝれば戰鬪いと烈しく優勝劣敗急激なる未開野
蠻の上世にありては、猛然荒蕪の間に起りて俄かに一家の主長となり忽ち一族の首となるもの、或ひは少なしとなさゞる
なり。かゝる性質の家長にして已に酋族の首となりなば、其子孫らにものがたるに何等の事柄を以てする歟。想ふに己が
經驗なしたる艱難辛苦の事情はさらなり、其武功などを語りつべし。而して是等の物語は其人親しく經驗なし若しくは親
しく見聞せる眞實の事蹟に相違なけれど、子孫が之れを傳聞してまた其子孫に語るに及びて、或ひは記憶の誤謬より或ひ
は附會に原因して、竟には眞實の髓を亡ひ、咄々竒恠の物語を長く口碑に傳へ存じて、鬼神史、神代記の基を拓く、是れ
世上の通則にしてまた恠むに足らずと雖も、事のこゝに到れるには別に原因のなきを得むや。今こゝろみに之れを思ふに、
其原因となりたるもの凡そ三條ありきと思はる。譬へば酋族次第に榮えて勢ひ強大になるに至れば、人の心のおのづから
傲りて、些々たる事をも巨大にいひなし、他の酋族に誇るものなり。かゝれば祖先の履歴の如きは、故意に附會の談を加
へていと大業にいひなすべし。是れ第一の原因なり。又人間はうまれながらに竒異を好むに切なるものなり。斯かれば別
に其要なくとも、假作の談話をつくりまうけて、史傳を誤ることあるべし。是れ第二の原因なり。而して國歩やうやく進
みて稍々文明の世界となりなば、其國君といはるゝやからは下賤の疋夫の成りあがりが我が大祖なりといはるゝをば快か
らぬことに思ひて、附會の説をつくりまうけて太祖の事蹟を粧はむとす。況んや是等の時代に於ては敬信の念深かるから
、故意に物語を假作せずとも自然に祖先を神といひなし、天孫なりきと思ふべきをや。是れなむ諸國に信じがたき神代史
などいふものある第三條の原因なりかし。斯かれば上古のミソロヂイ即ち鬼神誌といへるものは所謂竒異譚の濫觴にて、
其傳おほくは假作にいで若しくは訛傳になりたること元より疑ひなきに似たり。さはあれ所謂神代史(鬼神誌)はもとこ
れ眞實の物語にして決して遊戯の作にあらねば、後の所謂苛異譚とは其質ほとほと同じうして其用はまたいたく異なり。
蓋し謬信傳訛の久しき、後世の人其傳記の妄誕なるをば恠まざるなり。こゝをもて後の世の人此種の書を尊み信じて、曾
て小説視するものなきまゝ、恬然正史の巻はじめにいとうやうやしく之れをかゝげて、國家の権輿を穿鑿する好材料とな
すことゝなりけり。或ひは神代史を解釋して太古の竒異譚といふものあれども、こはまた甚だしき
小説は假作物語の一種にして、所謂異譚の變體なり。竒異譚とは何ぞや。英國にてローマンスと名づくるものなり。
ローマンスは趣向を荒唐無稽の事物に取りて、竒恠百出もて篇をなし、尋常世界に見はれたる事物の道理に矛楯する
を敢て顧みざるものにぞある。小説即ちノベルに至りては之れと異なり、世の人情と風俗をば冩すを以て主腦となし、
平常世間にあるべきやうなる事柄をもて材料として而して趣向を設くるものなり。こは只概略の辯なるから、尚ほ解し
がたき由もあらめど、其詳細なる本義の如きは、暫く之を下囘に讓りて、まづ變遷の次第を説くべし。其倩々惟みるに、
小説、野乘の行はるゝは其源遠く?焉たる上古の時代にありといふべし。其然る所以を知らまくせば、試みに社會の淵源
に溯りて其状態を察せざる可らず。上古の社會の状態はいかにといふに、東西人おなじからず南北地異なるにも係らず、
一個の家長を尊崇して之れを酋族の長となすこと人間社會の通則なり。かゝれば戰鬪いと烈しく優勝劣敗急激なる未開野
蠻の上世にありては、猛然荒蕪の間に起りて俄かに一家の主長となり忽ち一族の首となるもの、或ひは少なしとなさゞる
なり。かゝる性質の家長にして已に酋族の首となりなば、其子孫らにものがたるに何等の事柄を以てする歟。想ふに己が
經驗なしたる艱難辛苦の事情はさらなり、其武功などを語りつべし。而して是等の物語は其人親しく經驗なし若しくは親
しく見聞せる眞實の事蹟に相違なけれど、子孫が之れを傳聞してまた其子孫に語るに及びて、或ひは記憶の誤謬より或ひ
は附會に原因して、竟には眞實の髓を亡ひ、咄々竒恠の物語を長く口碑に傳へ存じて、鬼神史、神代記の基を拓く、是れ
世上の通則にしてまた恠むに足らずと雖も、事のこゝに到れるには別に原因のなきを得むや。今こゝろみに之れを思ふに、
其原因となりたるもの凡そ三條ありきと思はる。譬へば酋族次第に榮えて勢ひ強大になるに至れば、人の心のおのづから
傲りて、些々たる事をも巨大にいひなし、他の酋族に誇るものなり。かゝれば祖先の履歴の如きは、故意に附會の談を加
へていと大業にいひなすべし。是れ第一の原因なり。又人間はうまれながらに竒異を好むに切なるものなり。斯かれば別
に其要なくとも、假作の談話をつくりまうけて、史傳を誤ることあるべし。是れ第二の原因なり。而して國歩やうやく進
みて稍々文明の世界となりなば、其國君といはるゝやからは下賤の疋夫の成りあがりが我が大祖なりといはるゝをば快か
らぬことに思ひて、附會の説をつくりまうけて太祖の事蹟を粧はむとす。況んや是等の時代に於ては敬信の念深かるから
、故意に物語を假作せずとも自然に祖先を神といひなし、天孫なりきと思ふべきをや。是れなむ諸國に信じがたき神代史
などいふものある第三條の原因なりかし。斯かれば上古のミソロヂイ即ち鬼神誌といへるものは所謂竒異譚の濫觴にて、
其傳おほくは假作にいで若しくは訛傳になりたること元より疑ひなきに似たり。さはあれ所謂神代史(鬼神誌)はもとこ
れ眞實の物語にして決して遊戯の作にあらねば、後の所謂苛異譚とは其質ほとほと同じうして其用はまたいたく異なり。
蓋し謬信傳訛の久しき、後世の人其傳記の妄誕なるをば恠まざるなり。こゝをもて後の世の人此種の書を尊み信じて、曾
て小説視するものなきまゝ、恬然正史の巻はじめにいとうやうやしく之れをかゝげて、國家の権輿を穿鑿する好材料とな
すことゝなりけり。或ひは神代史を解釋して太古の竒異譚といふものあれども、こはまた甚だしき
小説は假作物語の一種にして、所謂異譚の變體なり。竒異譚とは何ぞや。英國にてローマンスと名づくるものなり。
ローマンスは趣向を荒唐無稽の事物に取りて、竒恠百出もて篇をなし、尋常世界に見はれたる事物の道理に矛楯する
を敢て顧みざるものにぞある。小説即ちノベルに至りては之れと異なり、世の人情と風俗をば冩すを以て主腦となし、
平常世間にあるべきやうなる事柄をもて材料として而して趣向を設くるものなり。こは只概略の辯なるから、尚ほ解し
がたき由もあらめど、其詳細なる本義の如きは、暫く之を下囘に讓りて、まづ變遷の次第を説くべし。其倩々惟みるに、
小説、野乘の行はるゝは其源遠く?焉たる上古の時代にありといふべし。其然る所以を知らまくせば、試みに社會の淵源
に溯りて其状態を察せざる可らず。上古の社會の状態はいかにといふに、東西人おなじからず南北地異なるにも係らず、
一個の家長を尊崇して之れを酋族の長となすこと人間社會の通則なり。かゝれば戰鬪いと烈しく優勝劣敗急激なる未開野
蠻の上世にありては、猛然荒蕪の間に起りて俄かに一家の主長となり忽ち一族の首となるもの、或ひは少なしとなさゞる
なり。かゝる性質の家長にして已に酋族の首となりなば、其子孫らにものがたるに何等の事柄を以てする歟。想ふに己が
經驗なしたる艱難辛苦の事情はさらなり、其武功などを語りつべし。而して是等の物語は其人親しく經驗なし若しくは親
しく見聞せる眞實の事蹟に相違なけれど、子孫が之れを傳聞してまた其子孫に語るに及びて、或ひは記憶の誤謬より或ひ
は附會に原因して、竟には眞實の髓を亡ひ、咄々竒恠の物語を長く口碑に傳へ存じて、鬼神史、神代記の基を拓く、是れ
世上の通則にしてまた恠むに足らずと雖も、事のこゝに到れるには別に原因のなきを得むや。今こゝろみに之れを思ふに、
其原因となりたるもの凡そ三條ありきと思はる。譬へば酋族次第に榮えて勢ひ強大になるに至れば、人の心のおのづから
傲りて、些々たる事をも巨大にいひなし、他の酋族に誇るものなり。かゝれば祖先の履歴の如きは、故意に附會の談を加
へていと大業にいひなすべし。是れ第一の原因なり。又人間はうまれながらに竒異を好むに切なるものなり。斯かれば別
に其要なくとも、假作の談話をつくりまうけて、史傳を誤ることあるべし。是れ第二の原因なり。而して國歩やうやく進
みて稍々文明の世界となりなば、其國君といはるゝやからは下賤の疋夫の成りあがりが我が大祖なりといはるゝをば快か
らぬことに思ひて、附會の説をつくりまうけて太祖の事蹟を粧はむとす。況んや是等の時代に於ては敬信の念深かるから
、故意に物語を假作せずとも自然に祖先を神といひなし、天孫なりきと思ふべきをや。是れなむ諸國に信じがたき神代史
などいふものある第三條の原因なりかし。斯かれば上古のミソロヂイ即ち鬼神誌といへるものは所謂竒異譚の濫觴にて、
其傳おほくは假作にいで若しくは訛傳になりたること元より疑ひなきに似たり。さはあれ所謂神代史(鬼神誌)はもとこ
れ眞實の物語にして決して遊戯の作にあらねば、後の所謂苛異譚とは其質ほとほと同じうして其用はまたいたく異なり。
蓋し謬信傳訛の久しき、後世の人其傳記の妄誕なるをば恠まざるなり。こゝをもて後の世の人此種の書を尊み信じて、曾
て小説視するものなきまゝ、恬然正史の巻はじめにいとうやうやしく之れをかゝげて、國家の権輿を穿鑿する好材料とな
すことゝなりけり。或ひは神代史を解釋して太古の竒異譚といふものあれども、こはまた甚だしき
小説は假作物語の一種にして、所謂異譚の變體なり。竒異譚とは何ぞや。英國にてローマンスと名づくるものなり。
ローマンスは趣向を荒唐無稽の事物に取りて、竒恠百出もて篇をなし、尋常世界に見はれたる事物の道理に矛楯する
を敢て顧みざるものにぞある。小説即ちノベルに至りては之れと異なり、世の人情と風俗をば冩すを以て主腦となし、
平常世間にあるべきやうなる事柄をもて材料として而して趣向を設くるものなり。こは只概略の辯なるから、尚ほ解し
がたき由もあらめど、其詳細なる本義の如きは、暫く之を下囘に讓りて、まづ變遷の次第を説くべし。其倩々惟みるに、
小説、野乘の行はるゝは其源遠く?焉たる上古の時代にありといふべし。其然る所以を知らまくせば、試みに社會の淵源
に溯りて其状態を察せざる可らず。上古の社會の状態はいかにといふに、東西人おなじからず南北地異なるにも係らず、
一個の家長を尊崇して之れを酋族の長となすこと人間社會の通則なり。かゝれば戰鬪いと烈しく優勝劣敗急激なる未開野
蠻の上世にありては、猛然荒蕪の間に起りて俄かに一家の主長となり忽ち一族の首となるもの、或ひは少なしとなさゞる
なり。かゝる性質の家長にして已に酋族の首となりなば、其子孫らにものがたるに何等の事柄を以てする歟。想ふに己が
經驗なしたる艱難辛苦の事情はさらなり、其武功などを語りつべし。而して是等の物語は其人親しく經驗なし若しくは親
しく見聞せる眞實の事蹟に相違なけれど、子孫が之れを傳聞してまた其子孫に語るに及びて、或ひは記憶の誤謬より或ひ
は附會に原因して、竟には眞實の髓を亡ひ、咄々竒恠の物語を長く口碑に傳へ存じて、鬼神史、神代記の基を拓く、是れ
世上の通則にしてまた恠むに足らずと雖も、事のこゝに到れるには別に原因のなきを得むや。今こゝろみに之れを思ふに、
其原因となりたるもの凡そ三條ありきと思はる。譬へば酋族次第に榮えて勢ひ強大になるに至れば、人の心のおのづから
傲りて、些々たる事をも巨大にいひなし、他の酋族に誇るものなり。かゝれば祖先の履歴の如きは、故意に附會の談を加
へていと大業にいひなすべし。是れ第一の原因なり。又人間はうまれながらに竒異を好むに切なるものなり。斯かれば別
に其要なくとも、假作の談話をつくりまうけて、史傳を誤ることあるべし。是れ第二の原因なり。而して國歩やうやく進
みて稍々文明の世界となりなば、其國君といはるゝやからは下賤の疋夫の成りあがりが我が大祖なりといはるゝをば快か
らぬことに思ひて、附會の説をつくりまうけて太祖の事蹟を粧はむとす。況んや是等の時代に於ては敬信の念深かるから
、故意に物語を假作せずとも自然に祖先を神といひなし、天孫なりきと思ふべきをや。是れなむ諸國に信じがたき神代史
などいふものある第三條の原因なりかし。斯かれば上古のミソロヂイ即ち鬼神誌といへるものは所謂竒異譚の濫觴にて、
其傳おほくは假作にいで若しくは訛傳になりたること元より疑ひなきに似たり。さはあれ所謂神代史(鬼神誌)はもとこ
れ眞實の物語にして決して遊戯の作にあらねば、後の所謂苛異譚とは其質ほとほと同じうして其用はまたいたく異なり。
蓋し謬信傳訛の久しき、後世の人其傳記の妄誕なるをば恠まざるなり。こゝをもて後の世の人此種の書を尊み信じて、曾
て小説視するものなきまゝ、恬然正史の巻はじめにいとうやうやしく之れをかゝげて、國家の権輿を穿鑿する好材料とな
すことゝなりけり。或ひは神代史を解釋して太古の竒異譚といふものあれども、こはまた甚だしき
小説は假作物語の一種にして、所謂異譚の變體なり。竒異譚とは何ぞや。英國にてローマンスと名づくるものなり。
ローマンスは趣向を荒唐無稽の事物に取りて、竒恠百出もて篇をなし、尋常世界に見はれたる事物の道理に矛楯する
を敢て顧みざるものにぞある。小説即ちノベルに至りては之れと異なり、世の人情と風俗をば冩すを以て主腦となし、
平常世間にあるべきやうなる事柄をもて材料として而して趣向を設くるものなり。こは只概略の辯なるから、尚ほ解し
がたき由もあらめど、其詳細なる本義の如きは、暫く之を下囘に讓りて、まづ變遷の次第を説くべし。其倩々惟みるに、
小説、野乘の行はるゝは其源遠く?焉たる上古の時代にありといふべし。其然る所以を知らまくせば、試みに社會の淵源
に溯りて其状態を察せざる可らず。上古の社會の状態はいかにといふに、東西人おなじからず南北地異なるにも係らず、
一個の家長を尊崇して之れを酋族の長となすこと人間社會の通則なり。かゝれば戰鬪いと烈しく優勝劣敗急激なる未開野
蠻の上世にありては、猛然荒蕪の間に起りて俄かに一家の主長となり忽ち一族の首となるもの、或ひは少なしとなさゞる
なり。かゝる性質の家長にして已に酋族の首となりなば、其子孫らにものがたるに何等の事柄を以てする歟。想ふに己が
經驗なしたる艱難辛苦の事情はさらなり、其武功などを語りつべし。而して是等の物語は其人親しく經驗なし若しくは親
しく見聞せる眞實の事蹟に相違なけれど、子孫が之れを傳聞してまた其子孫に語るに及びて、或ひは記憶の誤謬より或ひ
は附會に原因して、竟には眞實の髓を亡ひ、咄々竒恠の物語を長く口碑に傳へ存じて、鬼神史、神代記の基を拓く、是れ
世上の通則にしてまた恠むに足らずと雖も、事のこゝに到れるには別に原因のなきを得むや。今こゝろみに之れを思ふに、
其原因となりたるもの凡そ三條ありきと思はる。譬へば酋族次第に榮えて勢ひ強大になるに至れば、人の心のおのづから
傲りて、些々たる事をも巨大にいひなし、他の酋族に誇るものなり。かゝれば祖先の履歴の如きは、故意に附會の談を加
へていと大業にいひなすべし。是れ第一の原因なり。又人間はうまれながらに竒異を好むに切なるものなり。斯かれば別
に其要なくとも、假作の談話をつくりまうけて、史傳を誤ることあるべし。是れ第二の原因なり。而して國歩やうやく進
みて稍々文明の世界となりなば、其國君といはるゝやからは下賤の疋夫の成りあがりが我が大祖なりといはるゝをば快か
らぬことに思ひて、附會の説をつくりまうけて太祖の事蹟を粧はむとす。況んや是等の時代に於ては敬信の念深かるから
、故意に物語を假作せずとも自然に祖先を神といひなし、天孫なりきと思ふべきをや。是れなむ諸國に信じがたき神代史
などいふものある第三條の原因なりかし。斯かれば上古のミソロヂイ即ち鬼神誌といへるものは所謂竒異譚の濫觴にて、
其傳おほくは假作にいで若しくは訛傳になりたること元より疑ひなきに似たり。さはあれ所謂神代史(鬼神誌)はもとこ
れ眞實の物語にして決して遊戯の作にあらねば、後の所謂苛異譚とは其質ほとほと同じうして其用はまたいたく異なり。
蓋し謬信傳訛の久しき、後世の人其傳記の妄誕なるをば恠まざるなり。こゝをもて後の世の人此種の書を尊み信じて、曾
て小説視するものなきまゝ、恬然正史の巻はじめにいとうやうやしく之れをかゝげて、國家の権輿を穿鑿する好材料とな
すことゝなりけり。或ひは神代史を解釋して太古の竒異譚といふものあれども、こはまた甚だしき
さて、飯食ってこよう。
それにしても、俺の脳の容量だと議論スレ1個が限界だ。
あのスレに書き込んでいるのを、皆気づいているかな・・・フフフ。
小説は假作物語の一種にして、所謂異譚の變體なり。竒異譚とは何ぞや。英國にてローマンスと名づくるものなり。
ローマンスは趣向を荒唐無稽の事物に取りて、竒恠百出もて篇をなし、尋常世界に見はれたる事物の道理に矛楯する
を敢て顧みざるものにぞある。小説即ちノベルに至りては之れと異なり、世の人情と風俗をば冩すを以て主腦となし、
平常世間にあるべきやうなる事柄をもて材料として而して趣向を設くるものなり。こは只概略の辯なるから、尚ほ解し
がたき由もあらめど、其詳細なる本義の如きは、暫く之を下囘に讓りて、まづ變遷の次第を説くべし。其倩々惟みるに、
小説、野乘の行はるゝは其源遠く?焉たる上古の時代にありといふべし。其然る所以を知らまくせば、試みに社會の淵源
に溯りて其状態を察せざる可らず。上古の社會の状態はいかにといふに、東西人おなじからず南北地異なるにも係らず、
一個の家長を尊崇して之れを酋族の長となすこと人間社會の通則なり。かゝれば戰鬪いと烈しく優勝劣敗急激なる未開野
蠻の上世にありては、猛然荒蕪の間に起りて俄かに一家の主長となり忽ち一族の首となるもの、或ひは少なしとなさゞる
なり。かゝる性質の家長にして已に酋族の首となりなば、其子孫らにものがたるに何等の事柄を以てする歟。想ふに己が
經驗なしたる艱難辛苦の事情はさらなり、其武功などを語りつべし。而して是等の物語は其人親しく經驗なし若しくは親
しく見聞せる眞實の事蹟に相違なけれど、子孫が之れを傳聞してまた其子孫に語るに及びて、或ひは記憶の誤謬より或ひ
は附會に原因して、竟には眞實の髓を亡ひ、咄々竒恠の物語を長く口碑に傳へ存じて、鬼神史、神代記の基を拓く、是れ
世上の通則にしてまた恠むに足らずと雖も、事のこゝに到れるには別に原因のなきを得むや。今こゝろみに之れを思ふに、
其原因となりたるもの凡そ三條ありきと思はる。譬へば酋族次第に榮えて勢ひ強大になるに至れば、人の心のおのづから
傲りて、些々たる事をも巨大にいひなし、他の酋族に誇るものなり。かゝれば祖先の履歴の如きは、故意に附會の談を加
へていと大業にいひなすべし。是れ第一の原因なり。又人間はうまれながらに竒異を好むに切なるものなり。斯かれば別
に其要なくとも、假作の談話をつくりまうけて、史傳を誤ることあるべし。是れ第二の原因なり。而して國歩やうやく進
みて稍々文明の世界となりなば、其國君といはるゝやからは下賤の疋夫の成りあがりが我が大祖なりといはるゝをば快か
らぬことに思ひて、附會の説をつくりまうけて太祖の事蹟を粧はむとす。況んや是等の時代に於ては敬信の念深かるから
、故意に物語を假作せずとも自然に祖先を神といひなし、天孫なりきと思ふべきをや。是れなむ諸國に信じがたき神代史
などいふものある第三條の原因なりかし。斯かれば上古のミソロヂイ即ち鬼神誌といへるものは所謂竒異譚の濫觴にて、
其傳おほくは假作にいで若しくは訛傳になりたること元より疑ひなきに似たり。さはあれ所謂神代史(鬼神誌)はもとこ
れ眞實の物語にして決して遊戯の作にあらねば、後の所謂苛異譚とは其質ほとほと同じうして其用はまたいたく異なり。
蓋し謬信傳訛の久しき、後世の人其傳記の妄誕なるをば恠まざるなり。こゝをもて後の世の人此種の書を尊み信じて、曾
て小説視するものなきまゝ、恬然正史の巻はじめにいとうやうやしく之れをかゝげて、國家の権輿を穿鑿する好材料とな
すことゝなりけり。或ひは神代史を解釋して太古の竒異譚といふものあれども、こはまた甚だしき
小説は假作物語の一種にして、所謂異譚の變體なり。竒異譚とは何ぞや。英國にてローマンスと名づくるものなり。
ローマンスは趣向を荒唐無稽の事物に取りて、竒恠百出もて篇をなし、尋常世界に見はれたる事物の道理に矛楯する
を敢て顧みざるものにぞある。小説即ちノベルに至りては之れと異なり、世の人情と風俗をば冩すを以て主腦となし、
平常世間にあるべきやうなる事柄をもて材料として而して趣向を設くるものなり。こは只概略の辯なるから、尚ほ解し
がたき由もあらめど、其詳細なる本義の如きは、暫く之を下囘に讓りて、まづ變遷の次第を説くべし。其倩々惟みるに、
小説、野乘の行はるゝは其源遠く?焉たる上古の時代にありといふべし。其然る所以を知らまくせば、試みに社會の淵源
に溯りて其状態を察せざる可らず。上古の社會の状態はいかにといふに、東西人おなじからず南北地異なるにも係らず、
一個の家長を尊崇して之れを酋族の長となすこと人間社會の通則なり。かゝれば戰鬪いと烈しく優勝劣敗急激なる未開野
蠻の上世にありては、猛然荒蕪の間に起りて俄かに一家の主長となり忽ち一族の首となるもの、或ひは少なしとなさゞる
なり。かゝる性質の家長にして已に酋族の首となりなば、其子孫らにものがたるに何等の事柄を以てする歟。想ふに己が
經驗なしたる艱難辛苦の事情はさらなり、其武功などを語りつべし。而して是等の物語は其人親しく經驗なし若しくは親
しく見聞せる眞實の事蹟に相違なけれど、子孫が之れを傳聞してまた其子孫に語るに及びて、或ひは記憶の誤謬より或ひ
は附會に原因して、竟には眞實の髓を亡ひ、咄々竒恠の物語を長く口碑に傳へ存じて、鬼神史、神代記の基を拓く、是れ
世上の通則にしてまた恠むに足らずと雖も、事のこゝに到れるには別に原因のなきを得むや。今こゝろみに之れを思ふに、
其原因となりたるもの凡そ三條ありきと思はる。譬へば酋族次第に榮えて勢ひ強大になるに至れば、人の心のおのづから
傲りて、些々たる事をも巨大にいひなし、他の酋族に誇るものなり。かゝれば祖先の履歴の如きは、故意に附會の談を加
へていと大業にいひなすべし。是れ第一の原因なり。又人間はうまれながらに竒異を好むに切なるものなり。斯かれば別
に其要なくとも、假作の談話をつくりまうけて、史傳を誤ることあるべし。是れ第二の原因なり。而して國歩やうやく進
みて稍々文明の世界となりなば、其國君といはるゝやからは下賤の疋夫の成りあがりが我が大祖なりといはるゝをば快か
らぬことに思ひて、附會の説をつくりまうけて太祖の事蹟を粧はむとす。況んや是等の時代に於ては敬信の念深かるから
、故意に物語を假作せずとも自然に祖先を神といひなし、天孫なりきと思ふべきをや。是れなむ諸國に信じがたき神代史
などいふものある第三條の原因なりかし。斯かれば上古のミソロヂイ即ち鬼神誌といへるものは所謂竒異譚の濫觴にて、
其傳おほくは假作にいで若しくは訛傳になりたること元より疑ひなきに似たり。さはあれ所謂神代史(鬼神誌)はもとこ
れ眞實の物語にして決して遊戯の作にあらねば、後の所謂苛異譚とは其質ほとほと同じうして其用はまたいたく異なり。
蓋し謬信傳訛の久しき、後世の人其傳記の妄誕なるをば恠まざるなり。こゝをもて後の世の人此種の書を尊み信じて、曾
て小説視するものなきまゝ、恬然正史の巻はじめにいとうやうやしく之れをかゝげて、國家の権輿を穿鑿する好材料とな
すことゝなりけり。或ひは神代史を解釋して太古の竒異譚といふものあれども、こはまた甚だしき
小説は假作物語の一種にして、所謂異譚の變體なり。竒異譚とは何ぞや。英國にてローマンスと名づくるものなり。
ローマンスは趣向を荒唐無稽の事物に取りて、竒恠百出もて篇をなし、尋常世界に見はれたる事物の道理に矛楯する
を敢て顧みざるものにぞある。小説即ちノベルに至りては之れと異なり、世の人情と風俗をば冩すを以て主腦となし、
平常世間にあるべきやうなる事柄をもて材料として而して趣向を設くるものなり。こは只概略の辯なるから、尚ほ解し
がたき由もあらめど、其詳細なる本義の如きは、暫く之を下囘に讓りて、まづ變遷の次第を説くべし。其倩々惟みるに、
小説、野乘の行はるゝは其源遠く?焉たる上古の時代にありといふべし。其然る所以を知らまくせば、試みに社會の淵源
に溯りて其状態を察せざる可らず。上古の社會の状態はいかにといふに、東西人おなじからず南北地異なるにも係らず、
一個の家長を尊崇して之れを酋族の長となすこと人間社會の通則なり。かゝれば戰鬪いと烈しく優勝劣敗急激なる未開野
蠻の上世にありては、猛然荒蕪の間に起りて俄かに一家の主長となり忽ち一族の首となるもの、或ひは少なしとなさゞる
なり。かゝる性質の家長にして已に酋族の首となりなば、其子孫らにものがたるに何等の事柄を以てする歟。想ふに己が
經驗なしたる艱難辛苦の事情はさらなり、其武功などを語りつべし。而して是等の物語は其人親しく經驗なし若しくは親
しく見聞せる眞實の事蹟に相違なけれど、子孫が之れを傳聞してまた其子孫に語るに及びて、或ひは記憶の誤謬より或ひ
は附會に原因して、竟には眞實の髓を亡ひ、咄々竒恠の物語を長く口碑に傳へ存じて、鬼神史、神代記の基を拓く、是れ
世上の通則にしてまた恠むに足らずと雖も、事のこゝに到れるには別に原因のなきを得むや。今こゝろみに之れを思ふに、
其原因となりたるもの凡そ三條ありきと思はる。譬へば酋族次第に榮えて勢ひ強大になるに至れば、人の心のおのづから
傲りて、些々たる事をも巨大にいひなし、他の酋族に誇るものなり。かゝれば祖先の履歴の如きは、故意に附會の談を加
へていと大業にいひなすべし。是れ第一の原因なり。又人間はうまれながらに竒異を好むに切なるものなり。斯かれば別
に其要なくとも、假作の談話をつくりまうけて、史傳を誤ることあるべし。是れ第二の原因なり。而して國歩やうやく進
みて稍々文明の世界となりなば、其國君といはるゝやからは下賤の疋夫の成りあがりが我が大祖なりといはるゝをば快か
らぬことに思ひて、附會の説をつくりまうけて太祖の事蹟を粧はむとす。況んや是等の時代に於ては敬信の念深かるから
、故意に物語を假作せずとも自然に祖先を神といひなし、天孫なりきと思ふべきをや。是れなむ諸國に信じがたき神代史
などいふものある第三條の原因なりかし。斯かれば上古のミソロヂイ即ち鬼神誌といへるものは所謂竒異譚の濫觴にて、
其傳おほくは假作にいで若しくは訛傳になりたること元より疑ひなきに似たり。さはあれ所謂神代史(鬼神誌)はもとこ
れ眞實の物語にして決して遊戯の作にあらねば、後の所謂苛異譚とは其質ほとほと同じうして其用はまたいたく異なり。
蓋し謬信傳訛の久しき、後世の人其傳記の妄誕なるをば恠まざるなり。こゝをもて後の世の人此種の書を尊み信じて、曾
て小説視するものなきまゝ、恬然正史の巻はじめにいとうやうやしく之れをかゝげて、國家の権輿を穿鑿する好材料とな
すことゝなりけり。或ひは神代史を解釋して太古の竒異譚といふものあれども、こはまた甚だしき
小説は假作物語の一種にして、所謂異譚の變體なり。竒異譚とは何ぞや。英國にてローマンスと名づくるものなり。
ローマンスは趣向を荒唐無稽の事物に取りて、竒恠百出もて篇をなし、尋常世界に見はれたる事物の道理に矛楯する
を敢て顧みざるものにぞある。小説即ちノベルに至りては之れと異なり、世の人情と風俗をば冩すを以て主腦となし、
平常世間にあるべきやうなる事柄をもて材料として而して趣向を設くるものなり。こは只概略の辯なるから、尚ほ解し
がたき由もあらめど、其詳細なる本義の如きは、暫く之を下囘に讓りて、まづ變遷の次第を説くべし。其倩々惟みるに、
小説、野乘の行はるゝは其源遠く?焉たる上古の時代にありといふべし。其然る所以を知らまくせば、試みに社會の淵源
に溯りて其状態を察せざる可らず。上古の社會の状態はいかにといふに、東西人おなじからず南北地異なるにも係らず、
一個の家長を尊崇して之れを酋族の長となすこと人間社會の通則なり。かゝれば戰鬪いと烈しく優勝劣敗急激なる未開野
蠻の上世にありては、猛然荒蕪の間に起りて俄かに一家の主長となり忽ち一族の首となるもの、或ひは少なしとなさゞる
なり。かゝる性質の家長にして已に酋族の首となりなば、其子孫らにものがたるに何等の事柄を以てする歟。想ふに己が
經驗なしたる艱難辛苦の事情はさらなり、其武功などを語りつべし。而して是等の物語は其人親しく經驗なし若しくは親
しく見聞せる眞實の事蹟に相違なけれど、子孫が之れを傳聞してまた其子孫に語るに及びて、或ひは記憶の誤謬より或ひ
は附會に原因して、竟には眞實の髓を亡ひ、咄々竒恠の物語を長く口碑に傳へ存じて、鬼神史、神代記の基を拓く、是れ
世上の通則にしてまた恠むに足らずと雖も、事のこゝに到れるには別に原因のなきを得むや。今こゝろみに之れを思ふに、
其原因となりたるもの凡そ三條ありきと思はる。譬へば酋族次第に榮えて勢ひ強大になるに至れば、人の心のおのづから
傲りて、些々たる事をも巨大にいひなし、他の酋族に誇るものなり。かゝれば祖先の履歴の如きは、故意に附會の談を加
へていと大業にいひなすべし。是れ第一の原因なり。又人間はうまれながらに竒異を好むに切なるものなり。斯かれば別
に其要なくとも、假作の談話をつくりまうけて、史傳を誤ることあるべし。是れ第二の原因なり。而して國歩やうやく進
みて稍々文明の世界となりなば、其國君といはるゝやからは下賤の疋夫の成りあがりが我が大祖なりといはるゝをば快か
らぬことに思ひて、附會の説をつくりまうけて太祖の事蹟を粧はむとす。況んや是等の時代に於ては敬信の念深かるから
、故意に物語を假作せずとも自然に祖先を神といひなし、天孫なりきと思ふべきをや。是れなむ諸國に信じがたき神代史
などいふものある第三條の原因なりかし。斯かれば上古のミソロヂイ即ち鬼神誌といへるものは所謂竒異譚の濫觴にて、
其傳おほくは假作にいで若しくは訛傳になりたること元より疑ひなきに似たり。さはあれ所謂神代史(鬼神誌)はもとこ
れ眞實の物語にして決して遊戯の作にあらねば、後の所謂苛異譚とは其質ほとほと同じうして其用はまたいたく異なり。
蓋し謬信傳訛の久しき、後世の人其傳記の妄誕なるをば恠まざるなり。こゝをもて後の世の人此種の書を尊み信じて、曾
て小説視するものなきまゝ、恬然正史の巻はじめにいとうやうやしく之れをかゝげて、國家の権輿を穿鑿する好材料とな
すことゝなりけり。或ひは神代史を解釋して太古の竒異譚といふものあれども、こはまた甚だしき
小説は假作物語の一種にして、所謂異譚の變體なり。竒異譚とは何ぞや。英國にてローマンスと名づくるものなり。
ローマンスは趣向を荒唐無稽の事物に取りて、竒恠百出もて篇をなし、尋常世界に見はれたる事物の道理に矛楯する
を敢て顧みざるものにぞある。小説即ちノベルに至りては之れと異なり、世の人情と風俗をば冩すを以て主腦となし、
平常世間にあるべきやうなる事柄をもて材料として而して趣向を設くるものなり。こは只概略の辯なるから、尚ほ解し
がたき由もあらめど、其詳細なる本義の如きは、暫く之を下囘に讓りて、まづ變遷の次第を説くべし。其倩々惟みるに、
小説、野乘の行はるゝは其源遠く?焉たる上古の時代にありといふべし。其然る所以を知らまくせば、試みに社會の淵源
に溯りて其状態を察せざる可らず。上古の社會の状態はいかにといふに、東西人おなじからず南北地異なるにも係らず、
一個の家長を尊崇して之れを酋族の長となすこと人間社會の通則なり。かゝれば戰鬪いと烈しく優勝劣敗急激なる未開野
蠻の上世にありては、猛然荒蕪の間に起りて俄かに一家の主長となり忽ち一族の首となるもの、或ひは少なしとなさゞる
なり。かゝる性質の家長にして已に酋族の首となりなば、其子孫らにものがたるに何等の事柄を以てする歟。想ふに己が
經驗なしたる艱難辛苦の事情はさらなり、其武功などを語りつべし。而して是等の物語は其人親しく經驗なし若しくは親
しく見聞せる眞實の事蹟に相違なけれど、子孫が之れを傳聞してまた其子孫に語るに及びて、或ひは記憶の誤謬より或ひ
は附會に原因して、竟には眞實の髓を亡ひ、咄々竒恠の物語を長く口碑に傳へ存じて、鬼神史、神代記の基を拓く、是れ
世上の通則にしてまた恠むに足らずと雖も、事のこゝに到れるには別に原因のなきを得むや。今こゝろみに之れを思ふに、
其原因となりたるもの凡そ三條ありきと思はる。譬へば酋族次第に榮えて勢ひ強大になるに至れば、人の心のおのづから
傲りて、些々たる事をも巨大にいひなし、他の酋族に誇るものなり。かゝれば祖先の履歴の如きは、故意に附會の談を加
へていと大業にいひなすべし。是れ第一の原因なり。又人間はうまれながらに竒異を好むに切なるものなり。斯かれば別
に其要なくとも、假作の談話をつくりまうけて、史傳を誤ることあるべし。是れ第二の原因なり。而して國歩やうやく進
みて稍々文明の世界となりなば、其國君といはるゝやからは下賤の疋夫の成りあがりが我が大祖なりといはるゝをば快か
らぬことに思ひて、附會の説をつくりまうけて太祖の事蹟を粧はむとす。況んや是等の時代に於ては敬信の念深かるから
、故意に物語を假作せずとも自然に祖先を神といひなし、天孫なりきと思ふべきをや。是れなむ諸國に信じがたき神代史
などいふものある第三條の原因なりかし。斯かれば上古のミソロヂイ即ち鬼神誌といへるものは所謂竒異譚の濫觴にて、
其傳おほくは假作にいで若しくは訛傳になりたること元より疑ひなきに似たり。さはあれ所謂神代史(鬼神誌)はもとこ
れ眞實の物語にして決して遊戯の作にあらねば、後の所謂苛異譚とは其質ほとほと同じうして其用はまたいたく異なり。
蓋し謬信傳訛の久しき、後世の人其傳記の妄誕なるをば恠まざるなり。こゝをもて後の世の人此種の書を尊み信じて、曾
て小説視するものなきまゝ、恬然正史の巻はじめにいとうやうやしく之れをかゝげて、國家の権輿を穿鑿する好材料とな
すことゝなりけり。或ひは神代史を解釋して太古の竒異譚といふものあれども、こはまた甚だしき
小説は假作物語の一種にして、所謂異譚の變體なり。竒異譚とは何ぞや。英國にてローマンスと名づくるものなり。
ローマンスは趣向を荒唐無稽の事物に取りて、竒恠百出もて篇をなし、尋常世界に見はれたる事物の道理に矛楯する
を敢て顧みざるものにぞある。小説即ちノベルに至りては之れと異なり、世の人情と風俗をば冩すを以て主腦となし、
平常世間にあるべきやうなる事柄をもて材料として而して趣向を設くるものなり。こは只概略の辯なるから、尚ほ解し
がたき由もあらめど、其詳細なる本義の如きは、暫く之を下囘に讓りて、まづ變遷の次第を説くべし。其倩々惟みるに、
小説、野乘の行はるゝは其源遠く?焉たる上古の時代にありといふべし。其然る所以を知らまくせば、試みに社會の淵源
に溯りて其状態を察せざる可らず。上古の社會の状態はいかにといふに、東西人おなじからず南北地異なるにも係らず、
一個の家長を尊崇して之れを酋族の長となすこと人間社會の通則なり。かゝれば戰鬪いと烈しく優勝劣敗急激なる未開野
蠻の上世にありては、猛然荒蕪の間に起りて俄かに一家の主長となり忽ち一族の首となるもの、或ひは少なしとなさゞる
なり。かゝる性質の家長にして已に酋族の首となりなば、其子孫らにものがたるに何等の事柄を以てする歟。想ふに己が
經驗なしたる艱難辛苦の事情はさらなり、其武功などを語りつべし。而して是等の物語は其人親しく經驗なし若しくは親
しく見聞せる眞實の事蹟に相違なけれど、子孫が之れを傳聞してまた其子孫に語るに及びて、或ひは記憶の誤謬より或ひ
は附會に原因して、竟には眞實の髓を亡ひ、咄々竒恠の物語を長く口碑に傳へ存じて、鬼神史、神代記の基を拓く、是れ
世上の通則にしてまた恠むに足らずと雖も、事のこゝに到れるには別に原因のなきを得むや。今こゝろみに之れを思ふに、
其原因となりたるもの凡そ三條ありきと思はる。譬へば酋族次第に榮えて勢ひ強大になるに至れば、人の心のおのづから
傲りて、些々たる事をも巨大にいひなし、他の酋族に誇るものなり。かゝれば祖先の履歴の如きは、故意に附會の談を加
へていと大業にいひなすべし。是れ第一の原因なり。又人間はうまれながらに竒異を好むに切なるものなり。斯かれば別
に其要なくとも、假作の談話をつくりまうけて、史傳を誤ることあるべし。是れ第二の原因なり。而して國歩やうやく進
みて稍々文明の世界となりなば、其國君といはるゝやからは下賤の疋夫の成りあがりが我が大祖なりといはるゝをば快か
らぬことに思ひて、附會の説をつくりまうけて太祖の事蹟を粧はむとす。況んや是等の時代に於ては敬信の念深かるから
、故意に物語を假作せずとも自然に祖先を神といひなし、天孫なりきと思ふべきをや。是れなむ諸國に信じがたき神代史
などいふものある第三條の原因なりかし。斯かれば上古のミソロヂイ即ち鬼神誌といへるものは所謂竒異譚の濫觴にて、
其傳おほくは假作にいで若しくは訛傳になりたること元より疑ひなきに似たり。さはあれ所謂神代史(鬼神誌)はもとこ
れ眞實の物語にして決して遊戯の作にあらねば、後の所謂苛異譚とは其質ほとほと同じうして其用はまたいたく異なり。
蓋し謬信傳訛の久しき、後世の人其傳記の妄誕なるをば恠まざるなり。こゝをもて後の世の人此種の書を尊み信じて、曾
て小説視するものなきまゝ、恬然正史の巻はじめにいとうやうやしく之れをかゝげて、國家の権輿を穿鑿する好材料とな
すことゝなりけり。或ひは神代史を解釋して太古の竒異譚といふものあれども、こはまた甚だしき
小説は假作物語の一種にして、所謂異譚の變體なり。竒異譚とは何ぞや。英國にてローマンスと名づくるものなり。
ローマンスは趣向を荒唐無稽の事物に取りて、竒恠百出もて篇をなし、尋常世界に見はれたる事物の道理に矛楯する
を敢て顧みざるものにぞある。小説即ちノベルに至りては之れと異なり、世の人情と風俗をば冩すを以て主腦となし、
平常世間にあるべきやうなる事柄をもて材料として而して趣向を設くるものなり。こは只概略の辯なるから、尚ほ解し
がたき由もあらめど、其詳細なる本義の如きは、暫く之を下囘に讓りて、まづ變遷の次第を説くべし。其倩々惟みるに、
小説、野乘の行はるゝは其源遠く?焉たる上古の時代にありといふべし。其然る所以を知らまくせば、試みに社會の淵源
に溯りて其状態を察せざる可らず。上古の社會の状態はいかにといふに、東西人おなじからず南北地異なるにも係らず、
一個の家長を尊崇して之れを酋族の長となすこと人間社會の通則なり。かゝれば戰鬪いと烈しく優勝劣敗急激なる未開野
蠻の上世にありては、猛然荒蕪の間に起りて俄かに一家の主長となり忽ち一族の首となるもの、或ひは少なしとなさゞる
なり。かゝる性質の家長にして已に酋族の首となりなば、其子孫らにものがたるに何等の事柄を以てする歟。想ふに己が
經驗なしたる艱難辛苦の事情はさらなり、其武功などを語りつべし。而して是等の物語は其人親しく經驗なし若しくは親
しく見聞せる眞實の事蹟に相違なけれど、子孫が之れを傳聞してまた其子孫に語るに及びて、或ひは記憶の誤謬より或ひ
は附會に原因して、竟には眞實の髓を亡ひ、咄々竒恠の物語を長く口碑に傳へ存じて、鬼神史、神代記の基を拓く、是れ
世上の通則にしてまた恠むに足らずと雖も、事のこゝに到れるには別に原因のなきを得むや。今こゝろみに之れを思ふに、
其原因となりたるもの凡そ三條ありきと思はる。譬へば酋族次第に榮えて勢ひ強大になるに至れば、人の心のおのづから
傲りて、些々たる事をも巨大にいひなし、他の酋族に誇るものなり。かゝれば祖先の履歴の如きは、故意に附會の談を加
へていと大業にいひなすべし。是れ第一の原因なり。又人間はうまれながらに竒異を好むに切なるものなり。斯かれば別
に其要なくとも、假作の談話をつくりまうけて、史傳を誤ることあるべし。是れ第二の原因なり。而して國歩やうやく進
みて稍々文明の世界となりなば、其國君といはるゝやからは下賤の疋夫の成りあがりが我が大祖なりといはるゝをば快か
らぬことに思ひて、附會の説をつくりまうけて太祖の事蹟を粧はむとす。況んや是等の時代に於ては敬信の念深かるから
、故意に物語を假作せずとも自然に祖先を神といひなし、天孫なりきと思ふべきをや。是れなむ諸國に信じがたき神代史
などいふものある第三條の原因なりかし。斯かれば上古のミソロヂイ即ち鬼神誌といへるものは所謂竒異譚の濫觴にて、
其傳おほくは假作にいで若しくは訛傳になりたること元より疑ひなきに似たり。さはあれ所謂神代史(鬼神誌)はもとこ
れ眞實の物語にして決して遊戯の作にあらねば、後の所謂苛異譚とは其質ほとほと同じうして其用はまたいたく異なり。
蓋し謬信傳訛の久しき、後世の人其傳記の妄誕なるをば恠まざるなり。こゝをもて後の世の人此種の書を尊み信じて、曾
て小説視するものなきまゝ、恬然正史の巻はじめにいとうやうやしく之れをかゝげて、國家の権輿を穿鑿する好材料とな
すことゝなりけり。或ひは神代史を解釋して太古の竒異譚といふものあれども、こはまた甚だしき
小説は假作物語の一種にして、所謂異譚の變體なり。竒異譚とは何ぞや。英國にてローマンスと名づくるものなり。
ローマンスは趣向を荒唐無稽の事物に取りて、竒恠百出もて篇をなし、尋常世界に見はれたる事物の道理に矛楯する
を敢て顧みざるものにぞある。小説即ちノベルに至りては之れと異なり、世の人情と風俗をば冩すを以て主腦となし、
平常世間にあるべきやうなる事柄をもて材料として而して趣向を設くるものなり。こは只概略の辯なるから、尚ほ解し
がたき由もあらめど、其詳細なる本義の如きは、暫く之を下囘に讓りて、まづ變遷の次第を説くべし。其倩々惟みるに、
小説、野乘の行はるゝは其源遠く?焉たる上古の時代にありといふべし。其然る所以を知らまくせば、試みに社會の淵源
に溯りて其状態を察せざる可らず。上古の社會の状態はいかにといふに、東西人おなじからず南北地異なるにも係らず、
一個の家長を尊崇して之れを酋族の長となすこと人間社會の通則なり。かゝれば戰鬪いと烈しく優勝劣敗急激なる未開野
蠻の上世にありては、猛然荒蕪の間に起りて俄かに一家の主長となり忽ち一族の首となるもの、或ひは少なしとなさゞる
なり。かゝる性質の家長にして已に酋族の首となりなば、其子孫らにものがたるに何等の事柄を以てする歟。想ふに己が
經驗なしたる艱難辛苦の事情はさらなり、其武功などを語りつべし。而して是等の物語は其人親しく經驗なし若しくは親
しく見聞せる眞實の事蹟に相違なけれど、子孫が之れを傳聞してまた其子孫に語るに及びて、或ひは記憶の誤謬より或ひ
は附會に原因して、竟には眞實の髓を亡ひ、咄々竒恠の物語を長く口碑に傳へ存じて、鬼神史、神代記の基を拓く、是れ
世上の通則にしてまた恠むに足らずと雖も、事のこゝに到れるには別に原因のなきを得むや。今こゝろみに之れを思ふに、
其原因となりたるもの凡そ三條ありきと思はる。譬へば酋族次第に榮えて勢ひ強大になるに至れば、人の心のおのづから
傲りて、些々たる事をも巨大にいひなし、他の酋族に誇るものなり。かゝれば祖先の履歴の如きは、故意に附會の談を加
へていと大業にいひなすべし。是れ第一の原因なり。又人間はうまれながらに竒異を好むに切なるものなり。斯かれば別
に其要なくとも、假作の談話をつくりまうけて、史傳を誤ることあるべし。是れ第二の原因なり。而して國歩やうやく進
みて稍々文明の世界となりなば、其國君といはるゝやからは下賤の疋夫の成りあがりが我が大祖なりといはるゝをば快か
らぬことに思ひて、附會の説をつくりまうけて太祖の事蹟を粧はむとす。況んや是等の時代に於ては敬信の念深かるから
、故意に物語を假作せずとも自然に祖先を神といひなし、天孫なりきと思ふべきをや。是れなむ諸國に信じがたき神代史
などいふものある第三條の原因なりかし。斯かれば上古のミソロヂイ即ち鬼神誌といへるものは所謂竒異譚の濫觴にて、
其傳おほくは假作にいで若しくは訛傳になりたること元より疑ひなきに似たり。さはあれ所謂神代史(鬼神誌)はもとこ
れ眞實の物語にして決して遊戯の作にあらねば、後の所謂苛異譚とは其質ほとほと同じうして其用はまたいたく異なり。
蓋し謬信傳訛の久しき、後世の人其傳記の妄誕なるをば恠まざるなり。こゝをもて後の世の人此種の書を尊み信じて、曾
て小説視するものなきまゝ、恬然正史の巻はじめにいとうやうやしく之れをかゝげて、國家の権輿を穿鑿する好材料とな
すことゝなりけり。或ひは神代史を解釋して太古の竒異譚といふものあれども、こはまた甚だしき
小説は假作物語の一種にして、所謂異譚の變體なり。竒異譚とは何ぞや。英國にてローマンスと名づくるものなり。
ローマンスは趣向を荒唐無稽の事物に取りて、竒恠百出もて篇をなし、尋常世界に見はれたる事物の道理に矛楯する
を敢て顧みざるものにぞある。小説即ちノベルに至りては之れと異なり、世の人情と風俗をば冩すを以て主腦となし、
平常世間にあるべきやうなる事柄をもて材料として而して趣向を設くるものなり。こは只概略の辯なるから、尚ほ解し
がたき由もあらめど、其詳細なる本義の如きは、暫く之を下囘に讓りて、まづ變遷の次第を説くべし。其倩々惟みるに、
小説、野乘の行はるゝは其源遠く?焉たる上古の時代にありといふべし。其然る所以を知らまくせば、試みに社會の淵源
に溯りて其状態を察せざる可らず。上古の社會の状態はいかにといふに、東西人おなじからず南北地異なるにも係らず、
一個の家長を尊崇して之れを酋族の長となすこと人間社會の通則なり。かゝれば戰鬪いと烈しく優勝劣敗急激なる未開野
蠻の上世にありては、猛然荒蕪の間に起りて俄かに一家の主長となり忽ち一族の首となるもの、或ひは少なしとなさゞる
なり。かゝる性質の家長にして已に酋族の首となりなば、其子孫らにものがたるに何等の事柄を以てする歟。想ふに己が
經驗なしたる艱難辛苦の事情はさらなり、其武功などを語りつべし。而して是等の物語は其人親しく經驗なし若しくは親
しく見聞せる眞實の事蹟に相違なけれど、子孫が之れを傳聞してまた其子孫に語るに及びて、或ひは記憶の誤謬より或ひ
は附會に原因して、竟には眞實の髓を亡ひ、咄々竒恠の物語を長く口碑に傳へ存じて、鬼神史、神代記の基を拓く、是れ
世上の通則にしてまた恠むに足らずと雖も、事のこゝに到れるには別に原因のなきを得むや。今こゝろみに之れを思ふに、
其原因となりたるもの凡そ三條ありきと思はる。譬へば酋族次第に榮えて勢ひ強大になるに至れば、人の心のおのづから
傲りて、些々たる事をも巨大にいひなし、他の酋族に誇るものなり。かゝれば祖先の履歴の如きは、故意に附會の談を加
へていと大業にいひなすべし。是れ第一の原因なり。又人間はうまれながらに竒異を好むに切なるものなり。斯かれば別
に其要なくとも、假作の談話をつくりまうけて、史傳を誤ることあるべし。是れ第二の原因なり。而して國歩やうやく進
みて稍々文明の世界となりなば、其國君といはるゝやからは下賤の疋夫の成りあがりが我が大祖なりといはるゝをば快か
らぬことに思ひて、附會の説をつくりまうけて太祖の事蹟を粧はむとす。況んや是等の時代に於ては敬信の念深かるから
、故意に物語を假作せずとも自然に祖先を神といひなし、天孫なりきと思ふべきをや。是れなむ諸國に信じがたき神代史
などいふものある第三條の原因なりかし。斯かれば上古のミソロヂイ即ち鬼神誌といへるものは所謂竒異譚の濫觴にて、
其傳おほくは假作にいで若しくは訛傳になりたること元より疑ひなきに似たり。さはあれ所謂神代史(鬼神誌)はもとこ
れ眞實の物語にして決して遊戯の作にあらねば、後の所謂苛異譚とは其質ほとほと同じうして其用はまたいたく異なり。
蓋し謬信傳訛の久しき、後世の人其傳記の妄誕なるをば恠まざるなり。こゝをもて後の世の人此種の書を尊み信じて、曾
て小説視するものなきまゝ、恬然正史の巻はじめにいとうやうやしく之れをかゝげて、國家の権輿を穿鑿する好材料とな
すことゝなりけり。或ひは神代史を解釋して太古の竒異譚といふものあれども、こはまた甚だしき
小説は假作物語の一種にして、所謂異譚の變體なり。竒異譚とは何ぞや。英國にてローマンスと名づくるものなり。
ローマンスは趣向を荒唐無稽の事物に取りて、竒恠百出もて篇をなし、尋常世界に見はれたる事物の道理に矛楯する
を敢て顧みざるものにぞある。小説即ちノベルに至りては之れと異なり、世の人情と風俗をば冩すを以て主腦となし、
平常世間にあるべきやうなる事柄をもて材料として而して趣向を設くるものなり。こは只概略の辯なるから、尚ほ解し
がたき由もあらめど、其詳細なる本義の如きは、暫く之を下囘に讓りて、まづ變遷の次第を説くべし。其倩々惟みるに、
小説、野乘の行はるゝは其源遠く?焉たる上古の時代にありといふべし。其然る所以を知らまくせば、試みに社會の淵源
に溯りて其状態を察せざる可らず。上古の社會の状態はいかにといふに、東西人おなじからず南北地異なるにも係らず、
一個の家長を尊崇して之れを酋族の長となすこと人間社會の通則なり。かゝれば戰鬪いと烈しく優勝劣敗急激なる未開野
蠻の上世にありては、猛然荒蕪の間に起りて俄かに一家の主長となり忽ち一族の首となるもの、或ひは少なしとなさゞる
なり。かゝる性質の家長にして已に酋族の首となりなば、其子孫らにものがたるに何等の事柄を以てする歟。想ふに己が
經驗なしたる艱難辛苦の事情はさらなり、其武功などを語りつべし。而して是等の物語は其人親しく經驗なし若しくは親
しく見聞せる眞實の事蹟に相違なけれど、子孫が之れを傳聞してまた其子孫に語るに及びて、或ひは記憶の誤謬より或ひ
は附會に原因して、竟には眞實の髓を亡ひ、咄々竒恠の物語を長く口碑に傳へ存じて、鬼神史、神代記の基を拓く、是れ
世上の通則にしてまた恠むに足らずと雖も、事のこゝに到れるには別に原因のなきを得むや。今こゝろみに之れを思ふに、
其原因となりたるもの凡そ三條ありきと思はる。譬へば酋族次第に榮えて勢ひ強大になるに至れば、人の心のおのづから
傲りて、些々たる事をも巨大にいひなし、他の酋族に誇るものなり。かゝれば祖先の履歴の如きは、故意に附會の談を加
へていと大業にいひなすべし。是れ第一の原因なり。又人間はうまれながらに竒異を好むに切なるものなり。斯かれば別
に其要なくとも、假作の談話をつくりまうけて、史傳を誤ることあるべし。是れ第二の原因なり。而して國歩やうやく進
みて稍々文明の世界となりなば、其國君といはるゝやからは下賤の疋夫の成りあがりが我が大祖なりといはるゝをば快か
らぬことに思ひて、附會の説をつくりまうけて太祖の事蹟を粧はむとす。況んや是等の時代に於ては敬信の念深かるから
、故意に物語を假作せずとも自然に祖先を神といひなし、天孫なりきと思ふべきをや。是れなむ諸國に信じがたき神代史
などいふものある第三條の原因なりかし。斯かれば上古のミソロヂイ即ち鬼神誌といへるものは所謂竒異譚の濫觴にて、
其傳おほくは假作にいで若しくは訛傳になりたること元より疑ひなきに似たり。さはあれ所謂神代史(鬼神誌)はもとこ
れ眞實の物語にして決して遊戯の作にあらねば、後の所謂苛異譚とは其質ほとほと同じうして其用はまたいたく異なり。
蓋し謬信傳訛の久しき、後世の人其傳記の妄誕なるをば恠まざるなり。こゝをもて後の世の人此種の書を尊み信じて、曾
て小説視するものなきまゝ、恬然正史の巻はじめにいとうやうやしく之れをかゝげて、國家の権輿を穿鑿する好材料とな
すことゝなりけり。或ひは神代史を解釋して太古の竒異譚といふものあれども、こはまた甚だしき
小説は假作物語の一種にして、所謂異譚の變體なり。竒異譚とは何ぞや。英國にてローマンスと名づくるものなり。
ローマンスは趣向を荒唐無稽の事物に取りて、竒恠百出もて篇をなし、尋常世界に見はれたる事物の道理に矛楯する
を敢て顧みざるものにぞある。小説即ちノベルに至りては之れと異なり、世の人情と風俗をば冩すを以て主腦となし、
平常世間にあるべきやうなる事柄をもて材料として而して趣向を設くるものなり。こは只概略の辯なるから、尚ほ解し
がたき由もあらめど、其詳細なる本義の如きは、暫く之を下囘に讓りて、まづ變遷の次第を説くべし。其倩々惟みるに、
小説、野乘の行はるゝは其源遠く?焉たる上古の時代にありといふべし。其然る所以を知らまくせば、試みに社會の淵源
に溯りて其状態を察せざる可らず。上古の社會の状態はいかにといふに、東西人おなじからず南北地異なるにも係らず、
一個の家長を尊崇して之れを酋族の長となすこと人間社會の通則なり。かゝれば戰鬪いと烈しく優勝劣敗急激なる未開野
蠻の上世にありては、猛然荒蕪の間に起りて俄かに一家の主長となり忽ち一族の首となるもの、或ひは少なしとなさゞる
なり。かゝる性質の家長にして已に酋族の首となりなば、其子孫らにものがたるに何等の事柄を以てする歟。想ふに己が
經驗なしたる艱難辛苦の事情はさらなり、其武功などを語りつべし。而して是等の物語は其人親しく經驗なし若しくは親
しく見聞せる眞實の事蹟に相違なけれど、子孫が之れを傳聞してまた其子孫に語るに及びて、或ひは記憶の誤謬より或ひ
は附會に原因して、竟には眞實の髓を亡ひ、咄々竒恠の物語を長く口碑に傳へ存じて、鬼神史、神代記の基を拓く、是れ
世上の通則にしてまた恠むに足らずと雖も、事のこゝに到れるには別に原因のなきを得むや。今こゝろみに之れを思ふに、
其原因となりたるもの凡そ三條ありきと思はる。譬へば酋族次第に榮えて勢ひ強大になるに至れば、人の心のおのづから
傲りて、些々たる事をも巨大にいひなし、他の酋族に誇るものなり。かゝれば祖先の履歴の如きは、故意に附會の談を加
へていと大業にいひなすべし。是れ第一の原因なり。又人間はうまれながらに竒異を好むに切なるものなり。斯かれば別
に其要なくとも、假作の談話をつくりまうけて、史傳を誤ることあるべし。是れ第二の原因なり。而して國歩やうやく進
みて稍々文明の世界となりなば、其國君といはるゝやからは下賤の疋夫の成りあがりが我が大祖なりといはるゝをば快か
らぬことに思ひて、附會の説をつくりまうけて太祖の事蹟を粧はむとす。況んや是等の時代に於ては敬信の念深かるから
、故意に物語を假作せずとも自然に祖先を神といひなし、天孫なりきと思ふべきをや。是れなむ諸國に信じがたき神代史
などいふものある第三條の原因なりかし。斯かれば上古のミソロヂイ即ち鬼神誌といへるものは所謂竒異譚の濫觴にて、
其傳おほくは假作にいで若しくは訛傳になりたること元より疑ひなきに似たり。さはあれ所謂神代史(鬼神誌)はもとこ
れ眞實の物語にして決して遊戯の作にあらねば、後の所謂苛異譚とは其質ほとほと同じうして其用はまたいたく異なり。
蓋し謬信傳訛の久しき、後世の人其傳記の妄誕なるをば恠まざるなり。こゝをもて後の世の人此種の書を尊み信じて、曾
て小説視するものなきまゝ、恬然正史の巻はじめにいとうやうやしく之れをかゝげて、國家の権輿を穿鑿する好材料とな
すことゝなりけり。或ひは神代史を解釋して太古の竒異譚といふものあれども、こはまた甚だしき
小説は假作物語の一種にして、所謂異譚の變體なり。竒異譚とは何ぞや。英國にてローマンスと名づくるものなり。
ローマンスは趣向を荒唐無稽の事物に取りて、竒恠百出もて篇をなし、尋常世界に見はれたる事物の道理に矛楯する
を敢て顧みざるものにぞある。小説即ちノベルに至りては之れと異なり、世の人情と風俗をば冩すを以て主腦となし、
平常世間にあるべきやうなる事柄をもて材料として而して趣向を設くるものなり。こは只概略の辯なるから、尚ほ解し
がたき由もあらめど、其詳細なる本義の如きは、暫く之を下囘に讓りて、まづ變遷の次第を説くべし。其倩々惟みるに、
小説、野乘の行はるゝは其源遠く?焉たる上古の時代にありといふべし。其然る所以を知らまくせば、試みに社會の淵源
に溯りて其状態を察せざる可らず。上古の社會の状態はいかにといふに、東西人おなじからず南北地異なるにも係らず、
一個の家長を尊崇して之れを酋族の長となすこと人間社會の通則なり。かゝれば戰鬪いと烈しく優勝劣敗急激なる未開野
蠻の上世にありては、猛然荒蕪の間に起りて俄かに一家の主長となり忽ち一族の首となるもの、或ひは少なしとなさゞる
なり。かゝる性質の家長にして已に酋族の首となりなば、其子孫らにものがたるに何等の事柄を以てする歟。想ふに己が
經驗なしたる艱難辛苦の事情はさらなり、其武功などを語りつべし。而して是等の物語は其人親しく經驗なし若しくは親
しく見聞せる眞實の事蹟に相違なけれど、子孫が之れを傳聞してまた其子孫に語るに及びて、或ひは記憶の誤謬より或ひ
は附會に原因して、竟には眞實の髓を亡ひ、咄々竒恠の物語を長く口碑に傳へ存じて、鬼神史、神代記の基を拓く、是れ
世上の通則にしてまた恠むに足らずと雖も、事のこゝに到れるには別に原因のなきを得むや。今こゝろみに之れを思ふに、
其原因となりたるもの凡そ三條ありきと思はる。譬へば酋族次第に榮えて勢ひ強大になるに至れば、人の心のおのづから
傲りて、些々たる事をも巨大にいひなし、他の酋族に誇るものなり。かゝれば祖先の履歴の如きは、故意に附會の談を加
へていと大業にいひなすべし。是れ第一の原因なり。又人間はうまれながらに竒異を好むに切なるものなり。斯かれば別
に其要なくとも、假作の談話をつくりまうけて、史傳を誤ることあるべし。是れ第二の原因なり。而して國歩やうやく進
みて稍々文明の世界となりなば、其國君といはるゝやからは下賤の疋夫の成りあがりが我が大祖なりといはるゝをば快か
らぬことに思ひて、附會の説をつくりまうけて太祖の事蹟を粧はむとす。況んや是等の時代に於ては敬信の念深かるから
、故意に物語を假作せずとも自然に祖先を神といひなし、天孫なりきと思ふべきをや。是れなむ諸國に信じがたき神代史
などいふものある第三條の原因なりかし。斯かれば上古のミソロヂイ即ち鬼神誌といへるものは所謂竒異譚の濫觴にて、
其傳おほくは假作にいで若しくは訛傳になりたること元より疑ひなきに似たり。さはあれ所謂神代史(鬼神誌)はもとこ
れ眞實の物語にして決して遊戯の作にあらねば、後の所謂苛異譚とは其質ほとほと同じうして其用はまたいたく異なり。
蓋し謬信傳訛の久しき、後世の人其傳記の妄誕なるをば恠まざるなり。こゝをもて後の世の人此種の書を尊み信じて、曾
て小説視するものなきまゝ、恬然正史の巻はじめにいとうやうやしく之れをかゝげて、國家の権輿を穿鑿する好材料とな
すことゝなりけり。或ひは神代史を解釋して太古の竒異譚といふものあれども、こはまた甚だしき
小説は假作物語の一種にして、所謂異譚の變體なり。竒異譚とは何ぞや。英國にてローマンスと名づくるものなり。
ローマンスは趣向を荒唐無稽の事物に取りて、竒恠百出もて篇をなし、尋常世界に見はれたる事物の道理に矛楯する
を敢て顧みざるものにぞある。小説即ちノベルに至りては之れと異なり、世の人情と風俗をば冩すを以て主腦となし、
平常世間にあるべきやうなる事柄をもて材料として而して趣向を設くるものなり。こは只概略の辯なるから、尚ほ解し
がたき由もあらめど、其詳細なる本義の如きは、暫く之を下囘に讓りて、まづ變遷の次第を説くべし。其倩々惟みるに、
小説、野乘の行はるゝは其源遠く?焉たる上古の時代にありといふべし。其然る所以を知らまくせば、試みに社會の淵源
に溯りて其状態を察せざる可らず。上古の社會の状態はいかにといふに、東西人おなじからず南北地異なるにも係らず、
一個の家長を尊崇して之れを酋族の長となすこと人間社會の通則なり。かゝれば戰鬪いと烈しく優勝劣敗急激なる未開野
蠻の上世にありては、猛然荒蕪の間に起りて俄かに一家の主長となり忽ち一族の首となるもの、或ひは少なしとなさゞる
なり。かゝる性質の家長にして已に酋族の首となりなば、其子孫らにものがたるに何等の事柄を以てする歟。想ふに己が
經驗なしたる艱難辛苦の事情はさらなり、其武功などを語りつべし。而して是等の物語は其人親しく經驗なし若しくは親
しく見聞せる眞實の事蹟に相違なけれど、子孫が之れを傳聞してまた其子孫に語るに及びて、或ひは記憶の誤謬より或ひ
は附會に原因して、竟には眞實の髓を亡ひ、咄々竒恠の物語を長く口碑に傳へ存じて、鬼神史、神代記の基を拓く、是れ
世上の通則にしてまた恠むに足らずと雖も、事のこゝに到れるには別に原因のなきを得むや。今こゝろみに之れを思ふに、
其原因となりたるもの凡そ三條ありきと思はる。譬へば酋族次第に榮えて勢ひ強大になるに至れば、人の心のおのづから
傲りて、些々たる事をも巨大にいひなし、他の酋族に誇るものなり。かゝれば祖先の履歴の如きは、故意に附會の談を加
へていと大業にいひなすべし。是れ第一の原因なり。又人間はうまれながらに竒異を好むに切なるものなり。斯かれば別
に其要なくとも、假作の談話をつくりまうけて、史傳を誤ることあるべし。是れ第二の原因なり。而して國歩やうやく進
みて稍々文明の世界となりなば、其國君といはるゝやからは下賤の疋夫の成りあがりが我が大祖なりといはるゝをば快か
らぬことに思ひて、附會の説をつくりまうけて太祖の事蹟を粧はむとす。況んや是等の時代に於ては敬信の念深かるから
、故意に物語を假作せずとも自然に祖先を神といひなし、天孫なりきと思ふべきをや。是れなむ諸國に信じがたき神代史
などいふものある第三條の原因なりかし。斯かれば上古のミソロヂイ即ち鬼神誌といへるものは所謂竒異譚の濫觴にて、
其傳おほくは假作にいで若しくは訛傳になりたること元より疑ひなきに似たり。さはあれ所謂神代史(鬼神誌)はもとこ
れ眞實の物語にして決して遊戯の作にあらねば、後の所謂苛異譚とは其質ほとほと同じうして其用はまたいたく異なり。
蓋し謬信傳訛の久しき、後世の人其傳記の妄誕なるをば恠まざるなり。こゝをもて後の世の人此種の書を尊み信じて、曾
て小説視するものなきまゝ、恬然正史の巻はじめにいとうやうやしく之れをかゝげて、國家の権輿を穿鑿する好材料とな
すことゝなりけり。或ひは神代史を解釋して太古の竒異譚といふものあれども、こはまた甚だしき
小説は假作物語の一種にして、所謂異譚の變體なり。竒異譚とは何ぞや。英國にてローマンスと名づくるものなり。
ローマンスは趣向を荒唐無稽の事物に取りて、竒恠百出もて篇をなし、尋常世界に見はれたる事物の道理に矛楯する
を敢て顧みざるものにぞある。小説即ちノベルに至りては之れと異なり、世の人情と風俗をば冩すを以て主腦となし、
平常世間にあるべきやうなる事柄をもて材料として而して趣向を設くるものなり。こは只概略の辯なるから、尚ほ解し
がたき由もあらめど、其詳細なる本義の如きは、暫く之を下囘に讓りて、まづ變遷の次第を説くべし。其倩々惟みるに、
小説、野乘の行はるゝは其源遠く?焉たる上古の時代にありといふべし。其然る所以を知らまくせば、試みに社會の淵源
に溯りて其状態を察せざる可らず。上古の社會の状態はいかにといふに、東西人おなじからず南北地異なるにも係らず、
一個の家長を尊崇して之れを酋族の長となすこと人間社會の通則なり。かゝれば戰鬪いと烈しく優勝劣敗急激なる未開野
蠻の上世にありては、猛然荒蕪の間に起りて俄かに一家の主長となり忽ち一族の首となるもの、或ひは少なしとなさゞる
なり。かゝる性質の家長にして已に酋族の首となりなば、其子孫らにものがたるに何等の事柄を以てする歟。想ふに己が
經驗なしたる艱難辛苦の事情はさらなり、其武功などを語りつべし。而して是等の物語は其人親しく經驗なし若しくは親
しく見聞せる眞實の事蹟に相違なけれど、子孫が之れを傳聞してまた其子孫に語るに及びて、或ひは記憶の誤謬より或ひ
は附會に原因して、竟には眞實の髓を亡ひ、咄々竒恠の物語を長く口碑に傳へ存じて、鬼神史、神代記の基を拓く、是れ
世上の通則にしてまた恠むに足らずと雖も、事のこゝに到れるには別に原因のなきを得むや。今こゝろみに之れを思ふに、
其原因となりたるもの凡そ三條ありきと思はる。譬へば酋族次第に榮えて勢ひ強大になるに至れば、人の心のおのづから
傲りて、些々たる事をも巨大にいひなし、他の酋族に誇るものなり。かゝれば祖先の履歴の如きは、故意に附會の談を加
へていと大業にいひなすべし。是れ第一の原因なり。又人間はうまれながらに竒異を好むに切なるものなり。斯かれば別
に其要なくとも、假作の談話をつくりまうけて、史傳を誤ることあるべし。是れ第二の原因なり。而して國歩やうやく進
みて稍々文明の世界となりなば、其國君といはるゝやからは下賤の疋夫の成りあがりが我が大祖なりといはるゝをば快か
らぬことに思ひて、附會の説をつくりまうけて太祖の事蹟を粧はむとす。況んや是等の時代に於ては敬信の念深かるから
、故意に物語を假作せずとも自然に祖先を神といひなし、天孫なりきと思ふべきをや。是れなむ諸國に信じがたき神代史
などいふものある第三條の原因なりかし。斯かれば上古のミソロヂイ即ち鬼神誌といへるものは所謂竒異譚の濫觴にて、
其傳おほくは假作にいで若しくは訛傳になりたること元より疑ひなきに似たり。さはあれ所謂神代史(鬼神誌)はもとこ
れ眞實の物語にして決して遊戯の作にあらねば、後の所謂苛異譚とは其質ほとほと同じうして其用はまたいたく異なり。
蓋し謬信傳訛の久しき、後世の人其傳記の妄誕なるをば恠まざるなり。こゝをもて後の世の人此種の書を尊み信じて、曾
て小説視するものなきまゝ、恬然正史の巻はじめにいとうやうやしく之れをかゝげて、國家の権輿を穿鑿する好材料とな
すことゝなりけり。或ひは神代史を解釋して太古の竒異譚といふものあれども、こはまた甚だしき
小説は假作物語の一種にして、所謂異譚の變體なり。竒異譚とは何ぞや。英國にてローマンスと名づくるものなり。
ローマンスは趣向を荒唐無稽の事物に取りて、竒恠百出もて篇をなし、尋常世界に見はれたる事物の道理に矛楯する
を敢て顧みざるものにぞある。小説即ちノベルに至りては之れと異なり、世の人情と風俗をば冩すを以て主腦となし、
平常世間にあるべきやうなる事柄をもて材料として而して趣向を設くるものなり。こは只概略の辯なるから、尚ほ解し
がたき由もあらめど、其詳細なる本義の如きは、暫く之を下囘に讓りて、まづ變遷の次第を説くべし。其倩々惟みるに、
小説、野乘の行はるゝは其源遠く?焉たる上古の時代にありといふべし。其然る所以を知らまくせば、試みに社會の淵源
に溯りて其状態を察せざる可らず。上古の社會の状態はいかにといふに、東西人おなじからず南北地異なるにも係らず、
一個の家長を尊崇して之れを酋族の長となすこと人間社會の通則なり。かゝれば戰鬪いと烈しく優勝劣敗急激なる未開野
蠻の上世にありては、猛然荒蕪の間に起りて俄かに一家の主長となり忽ち一族の首となるもの、或ひは少なしとなさゞる
なり。かゝる性質の家長にして已に酋族の首となりなば、其子孫らにものがたるに何等の事柄を以てする歟。想ふに己が
經驗なしたる艱難辛苦の事情はさらなり、其武功などを語りつべし。而して是等の物語は其人親しく經驗なし若しくは親
しく見聞せる眞實の事蹟に相違なけれど、子孫が之れを傳聞してまた其子孫に語るに及びて、或ひは記憶の誤謬より或ひ
は附會に原因して、竟には眞實の髓を亡ひ、咄々竒恠の物語を長く口碑に傳へ存じて、鬼神史、神代記の基を拓く、是れ
世上の通則にしてまた恠むに足らずと雖も、事のこゝに到れるには別に原因のなきを得むや。今こゝろみに之れを思ふに、
其原因となりたるもの凡そ三條ありきと思はる。譬へば酋族次第に榮えて勢ひ強大になるに至れば、人の心のおのづから
傲りて、些々たる事をも巨大にいひなし、他の酋族に誇るものなり。かゝれば祖先の履歴の如きは、故意に附會の談を加
へていと大業にいひなすべし。是れ第一の原因なり。又人間はうまれながらに竒異を好むに切なるものなり。斯かれば別
に其要なくとも、假作の談話をつくりまうけて、史傳を誤ることあるべし。是れ第二の原因なり。而して國歩やうやく進
みて稍々文明の世界となりなば、其國君といはるゝやからは下賤の疋夫の成りあがりが我が大祖なりといはるゝをば快か
らぬことに思ひて、附會の説をつくりまうけて太祖の事蹟を粧はむとす。況んや是等の時代に於ては敬信の念深かるから
、故意に物語を假作せずとも自然に祖先を神といひなし、天孫なりきと思ふべきをや。是れなむ諸國に信じがたき神代史
などいふものある第三條の原因なりかし。斯かれば上古のミソロヂイ即ち鬼神誌といへるものは所謂竒異譚の濫觴にて、
其傳おほくは假作にいで若しくは訛傳になりたること元より疑ひなきに似たり。さはあれ所謂神代史(鬼神誌)はもとこ
れ眞實の物語にして決して遊戯の作にあらねば、後の所謂苛異譚とは其質ほとほと同じうして其用はまたいたく異なり。
蓋し謬信傳訛の久しき、後世の人其傳記の妄誕なるをば恠まざるなり。こゝをもて後の世の人此種の書を尊み信じて、曾
て小説視するものなきまゝ、恬然正史の巻はじめにいとうやうやしく之れをかゝげて、國家の権輿を穿鑿する好材料とな
すことゝなりけり。或ひは神代史を解釋して太古の竒異譚といふものあれども、こはまた甚だしき
小説は假作物語の一種にして、所謂異譚の變體なり。竒異譚とは何ぞや。英國にてローマンスと名づくるものなり。
ローマンスは趣向を荒唐無稽の事物に取りて、竒恠百出もて篇をなし、尋常世界に見はれたる事物の道理に矛楯する
を敢て顧みざるものにぞある。小説即ちノベルに至りては之れと異なり、世の人情と風俗をば冩すを以て主腦となし、
平常世間にあるべきやうなる事柄をもて材料として而して趣向を設くるものなり。こは只概略の辯なるから、尚ほ解し
がたき由もあらめど、其詳細なる本義の如きは、暫く之を下囘に讓りて、まづ變遷の次第を説くべし。其倩々惟みるに、
小説、野乘の行はるゝは其源遠く?焉たる上古の時代にありといふべし。其然る所以を知らまくせば、試みに社會の淵源
に溯りて其状態を察せざる可らず。上古の社會の状態はいかにといふに、東西人おなじからず南北地異なるにも係らず、
一個の家長を尊崇して之れを酋族の長となすこと人間社會の通則なり。かゝれば戰鬪いと烈しく優勝劣敗急激なる未開野
蠻の上世にありては、猛然荒蕪の間に起りて俄かに一家の主長となり忽ち一族の首となるもの、或ひは少なしとなさゞる
なり。かゝる性質の家長にして已に酋族の首となりなば、其子孫らにものがたるに何等の事柄を以てする歟。想ふに己が
經驗なしたる艱難辛苦の事情はさらなり、其武功などを語りつべし。而して是等の物語は其人親しく經驗なし若しくは親
しく見聞せる眞實の事蹟に相違なけれど、子孫が之れを傳聞してまた其子孫に語るに及びて、或ひは記憶の誤謬より或ひ
は附會に原因して、竟には眞實の髓を亡ひ、咄々竒恠の物語を長く口碑に傳へ存じて、鬼神史、神代記の基を拓く、是れ
世上の通則にしてまた恠むに足らずと雖も、事のこゝに到れるには別に原因のなきを得むや。今こゝろみに之れを思ふに、
其原因となりたるもの凡そ三條ありきと思はる。譬へば酋族次第に榮えて勢ひ強大になるに至れば、人の心のおのづから
傲りて、些々たる事をも巨大にいひなし、他の酋族に誇るものなり。かゝれば祖先の履歴の如きは、故意に附會の談を加
へていと大業にいひなすべし。是れ第一の原因なり。又人間はうまれながらに竒異を好むに切なるものなり。斯かれば別
に其要なくとも、假作の談話をつくりまうけて、史傳を誤ることあるべし。是れ第二の原因なり。而して國歩やうやく進
みて稍々文明の世界となりなば、其國君といはるゝやからは下賤の疋夫の成りあがりが我が大祖なりといはるゝをば快か
らぬことに思ひて、附會の説をつくりまうけて太祖の事蹟を粧はむとす。況んや是等の時代に於ては敬信の念深かるから
、故意に物語を假作せずとも自然に祖先を神といひなし、天孫なりきと思ふべきをや。是れなむ諸國に信じがたき神代史
などいふものある第三條の原因なりかし。斯かれば上古のミソロヂイ即ち鬼神誌といへるものは所謂竒異譚の濫觴にて、
其傳おほくは假作にいで若しくは訛傳になりたること元より疑ひなきに似たり。さはあれ所謂神代史(鬼神誌)はもとこ
れ眞實の物語にして決して遊戯の作にあらねば、後の所謂苛異譚とは其質ほとほと同じうして其用はまたいたく異なり。
蓋し謬信傳訛の久しき、後世の人其傳記の妄誕なるをば恠まざるなり。こゝをもて後の世の人此種の書を尊み信じて、曾
て小説視するものなきまゝ、恬然正史の巻はじめにいとうやうやしく之れをかゝげて、國家の権輿を穿鑿する好材料とな
すことゝなりけり。或ひは神代史を解釋して太古の竒異譚といふものあれども、こはまた甚だしき
小説は假作物語の一種にして、所謂異譚の變體なり。竒異譚とは何ぞや。英國にてローマンスと名づくるものなり。
ローマンスは趣向を荒唐無稽の事物に取りて、竒恠百出もて篇をなし、尋常世界に見はれたる事物の道理に矛楯する
を敢て顧みざるものにぞある。小説即ちノベルに至りては之れと異なり、世の人情と風俗をば冩すを以て主腦となし、
平常世間にあるべきやうなる事柄をもて材料として而して趣向を設くるものなり。こは只概略の辯なるから、尚ほ解し
がたき由もあらめど、其詳細なる本義の如きは、暫く之を下囘に讓りて、まづ變遷の次第を説くべし。其倩々惟みるに、
小説、野乘の行はるゝは其源遠く?焉たる上古の時代にありといふべし。其然る所以を知らまくせば、試みに社會の淵源
に溯りて其状態を察せざる可らず。上古の社會の状態はいかにといふに、東西人おなじからず南北地異なるにも係らず、
一個の家長を尊崇して之れを酋族の長となすこと人間社會の通則なり。かゝれば戰鬪いと烈しく優勝劣敗急激なる未開野
蠻の上世にありては、猛然荒蕪の間に起りて俄かに一家の主長となり忽ち一族の首となるもの、或ひは少なしとなさゞる
なり。かゝる性質の家長にして已に酋族の首となりなば、其子孫らにものがたるに何等の事柄を以てする歟。想ふに己が
經驗なしたる艱難辛苦の事情はさらなり、其武功などを語りつべし。而して是等の物語は其人親しく經驗なし若しくは親
しく見聞せる眞實の事蹟に相違なけれど、子孫が之れを傳聞してまた其子孫に語るに及びて、或ひは記憶の誤謬より或ひ
は附會に原因して、竟には眞實の髓を亡ひ、咄々竒恠の物語を長く口碑に傳へ存じて、鬼神史、神代記の基を拓く、是れ
世上の通則にしてまた恠むに足らずと雖も、事のこゝに到れるには別に原因のなきを得むや。今こゝろみに之れを思ふに、
其原因となりたるもの凡そ三條ありきと思はる。譬へば酋族次第に榮えて勢ひ強大になるに至れば、人の心のおのづから
傲りて、些々たる事をも巨大にいひなし、他の酋族に誇るものなり。かゝれば祖先の履歴の如きは、故意に附會の談を加
へていと大業にいひなすべし。是れ第一の原因なり。又人間はうまれながらに竒異を好むに切なるものなり。斯かれば別
に其要なくとも、假作の談話をつくりまうけて、史傳を誤ることあるべし。是れ第二の原因なり。而して國歩やうやく進
みて稍々文明の世界となりなば、其國君といはるゝやからは下賤の疋夫の成りあがりが我が大祖なりといはるゝをば快か
らぬことに思ひて、附會の説をつくりまうけて太祖の事蹟を粧はむとす。況んや是等の時代に於ては敬信の念深かるから
、故意に物語を假作せずとも自然に祖先を神といひなし、天孫なりきと思ふべきをや。是れなむ諸國に信じがたき神代史
などいふものある第三條の原因なりかし。斯かれば上古のミソロヂイ即ち鬼神誌といへるものは所謂竒異譚の濫觴にて、
其傳おほくは假作にいで若しくは訛傳になりたること元より疑ひなきに似たり。さはあれ所謂神代史(鬼神誌)はもとこ
れ眞實の物語にして決して遊戯の作にあらねば、後の所謂苛異譚とは其質ほとほと同じうして其用はまたいたく異なり。
蓋し謬信傳訛の久しき、後世の人其傳記の妄誕なるをば恠まざるなり。こゝをもて後の世の人此種の書を尊み信じて、曾
て小説視するものなきまゝ、恬然正史の巻はじめにいとうやうやしく之れをかゝげて、國家の権輿を穿鑿する好材料とな
すことゝなりけり。或ひは神代史を解釋して太古の竒異譚といふものあれども、こはまた甚だしき
小説は假作物語の一種にして、所謂異譚の變體なり。竒異譚とは何ぞや。英國にてローマンスと名づくるものなり。
ローマンスは趣向を荒唐無稽の事物に取りて、竒恠百出もて篇をなし、尋常世界に見はれたる事物の道理に矛楯する
を敢て顧みざるものにぞある。小説即ちノベルに至りては之れと異なり、世の人情と風俗をば冩すを以て主腦となし、
平常世間にあるべきやうなる事柄をもて材料として而して趣向を設くるものなり。こは只概略の辯なるから、尚ほ解し
がたき由もあらめど、其詳細なる本義の如きは、暫く之を下囘に讓りて、まづ變遷の次第を説くべし。其倩々惟みるに、
小説、野乘の行はるゝは其源遠く?焉たる上古の時代にありといふべし。其然る所以を知らまくせば、試みに社會の淵源
に溯りて其状態を察せざる可らず。上古の社會の状態はいかにといふに、東西人おなじからず南北地異なるにも係らず、
一個の家長を尊崇して之れを酋族の長となすこと人間社會の通則なり。かゝれば戰鬪いと烈しく優勝劣敗急激なる未開野
蠻の上世にありては、猛然荒蕪の間に起りて俄かに一家の主長となり忽ち一族の首となるもの、或ひは少なしとなさゞる
なり。かゝる性質の家長にして已に酋族の首となりなば、其子孫らにものがたるに何等の事柄を以てする歟。想ふに己が
經驗なしたる艱難辛苦の事情はさらなり、其武功などを語りつべし。而して是等の物語は其人親しく經驗なし若しくは親
しく見聞せる眞實の事蹟に相違なけれど、子孫が之れを傳聞してまた其子孫に語るに及びて、或ひは記憶の誤謬より或ひ
は附會に原因して、竟には眞實の髓を亡ひ、咄々竒恠の物語を長く口碑に傳へ存じて、鬼神史、神代記の基を拓く、是れ
世上の通則にしてまた恠むに足らずと雖も、事のこゝに到れるには別に原因のなきを得むや。今こゝろみに之れを思ふに、
其原因となりたるもの凡そ三條ありきと思はる。譬へば酋族次第に榮えて勢ひ強大になるに至れば、人の心のおのづから
傲りて、些々たる事をも巨大にいひなし、他の酋族に誇るものなり。かゝれば祖先の履歴の如きは、故意に附會の談を加
へていと大業にいひなすべし。是れ第一の原因なり。又人間はうまれながらに竒異を好むに切なるものなり。斯かれば別
に其要なくとも、假作の談話をつくりまうけて、史傳を誤ることあるべし。是れ第二の原因なり。而して國歩やうやく進
みて稍々文明の世界となりなば、其國君といはるゝやからは下賤の疋夫の成りあがりが我が大祖なりといはるゝをば快か
らぬことに思ひて、附會の説をつくりまうけて太祖の事蹟を粧はむとす。況んや是等の時代に於ては敬信の念深かるから
、故意に物語を假作せずとも自然に祖先を神といひなし、天孫なりきと思ふべきをや。是れなむ諸國に信じがたき神代史
などいふものある第三條の原因なりかし。斯かれば上古のミソロヂイ即ち鬼神誌といへるものは所謂竒異譚の濫觴にて、
其傳おほくは假作にいで若しくは訛傳になりたること元より疑ひなきに似たり。さはあれ所謂神代史(鬼神誌)はもとこ
れ眞實の物語にして決して遊戯の作にあらねば、後の所謂苛異譚とは其質ほとほと同じうして其用はまたいたく異なり。
蓋し謬信傳訛の久しき、後世の人其傳記の妄誕なるをば恠まざるなり。こゝをもて後の世の人此種の書を尊み信じて、曾
て小説視するものなきまゝ、恬然正史の巻はじめにいとうやうやしく之れをかゝげて、國家の権輿を穿鑿する好材料とな
すことゝなりけり。或ひは神代史を解釋して太古の竒異譚といふものあれども、こはまた甚だしき
小説は假作物語の一種にして、所謂異譚の變體なり。竒異譚とは何ぞや。英國にてローマンスと名づくるものなり。
ローマンスは趣向を荒唐無稽の事物に取りて、竒恠百出もて篇をなし、尋常世界に見はれたる事物の道理に矛楯する
を敢て顧みざるものにぞある。小説即ちノベルに至りては之れと異なり、世の人情と風俗をば冩すを以て主腦となし、
平常世間にあるべきやうなる事柄をもて材料として而して趣向を設くるものなり。こは只概略の辯なるから、尚ほ解し
がたき由もあらめど、其詳細なる本義の如きは、暫く之を下囘に讓りて、まづ變遷の次第を説くべし。其倩々惟みるに、
小説、野乘の行はるゝは其源遠く?焉たる上古の時代にありといふべし。其然る所以を知らまくせば、試みに社會の淵源
に溯りて其状態を察せざる可らず。上古の社會の状態はいかにといふに、東西人おなじからず南北地異なるにも係らず、
一個の家長を尊崇して之れを酋族の長となすこと人間社會の通則なり。かゝれば戰鬪いと烈しく優勝劣敗急激なる未開野
蠻の上世にありては、猛然荒蕪の間に起りて俄かに一家の主長となり忽ち一族の首となるもの、或ひは少なしとなさゞる
なり。かゝる性質の家長にして已に酋族の首となりなば、其子孫らにものがたるに何等の事柄を以てする歟。想ふに己が
經驗なしたる艱難辛苦の事情はさらなり、其武功などを語りつべし。而して是等の物語は其人親しく經驗なし若しくは親
しく見聞せる眞實の事蹟に相違なけれど、子孫が之れを傳聞してまた其子孫に語るに及びて、或ひは記憶の誤謬より或ひ
は附會に原因して、竟には眞實の髓を亡ひ、咄々竒恠の物語を長く口碑に傳へ存じて、鬼神史、神代記の基を拓く、是れ
世上の通則にしてまた恠むに足らずと雖も、事のこゝに到れるには別に原因のなきを得むや。今こゝろみに之れを思ふに、
其原因となりたるもの凡そ三條ありきと思はる。譬へば酋族次第に榮えて勢ひ強大になるに至れば、人の心のおのづから
傲りて、些々たる事をも巨大にいひなし、他の酋族に誇るものなり。かゝれば祖先の履歴の如きは、故意に附會の談を加
へていと大業にいひなすべし。是れ第一の原因なり。又人間はうまれながらに竒異を好むに切なるものなり。斯かれば別
に其要なくとも、假作の談話をつくりまうけて、史傳を誤ることあるべし。是れ第二の原因なり。而して國歩やうやく進
みて稍々文明の世界となりなば、其國君といはるゝやからは下賤の疋夫の成りあがりが我が大祖なりといはるゝをば快か
らぬことに思ひて、附會の説をつくりまうけて太祖の事蹟を粧はむとす。況んや是等の時代に於ては敬信の念深かるから
、故意に物語を假作せずとも自然に祖先を神といひなし、天孫なりきと思ふべきをや。是れなむ諸國に信じがたき神代史
などいふものある第三條の原因なりかし。斯かれば上古のミソロヂイ即ち鬼神誌といへるものは所謂竒異譚の濫觴にて、
其傳おほくは假作にいで若しくは訛傳になりたること元より疑ひなきに似たり。さはあれ所謂神代史(鬼神誌)はもとこ
れ眞實の物語にして決して遊戯の作にあらねば、後の所謂苛異譚とは其質ほとほと同じうして其用はまたいたく異なり。
蓋し謬信傳訛の久しき、後世の人其傳記の妄誕なるをば恠まざるなり。こゝをもて後の世の人此種の書を尊み信じて、曾
て小説視するものなきまゝ、恬然正史の巻はじめにいとうやうやしく之れをかゝげて、國家の権輿を穿鑿する好材料とな
すことゝなりけり。或ひは神代史を解釋して太古の竒異譚といふものあれども、こはまた甚だしき
小説は假作物語の一種にして、所謂異譚の變體なり。竒異譚とは何ぞや。英國にてローマンスと名づくるものなり。
ローマンスは趣向を荒唐無稽の事物に取りて、竒恠百出もて篇をなし、尋常世界に見はれたる事物の道理に矛楯する
を敢て顧みざるものにぞある。小説即ちノベルに至りては之れと異なり、世の人情と風俗をば冩すを以て主腦となし、
平常世間にあるべきやうなる事柄をもて材料として而して趣向を設くるものなり。こは只概略の辯なるから、尚ほ解し
がたき由もあらめど、其詳細なる本義の如きは、暫く之を下囘に讓りて、まづ變遷の次第を説くべし。其倩々惟みるに、
小説、野乘の行はるゝは其源遠く?焉たる上古の時代にありといふべし。其然る所以を知らまくせば、試みに社會の淵源
に溯りて其状態を察せざる可らず。上古の社會の状態はいかにといふに、東西人おなじからず南北地異なるにも係らず、
一個の家長を尊崇して之れを酋族の長となすこと人間社會の通則なり。かゝれば戰鬪いと烈しく優勝劣敗急激なる未開野
蠻の上世にありては、猛然荒蕪の間に起りて俄かに一家の主長となり忽ち一族の首となるもの、或ひは少なしとなさゞる
なり。かゝる性質の家長にして已に酋族の首となりなば、其子孫らにものがたるに何等の事柄を以てする歟。想ふに己が
經驗なしたる艱難辛苦の事情はさらなり、其武功などを語りつべし。而して是等の物語は其人親しく經驗なし若しくは親
しく見聞せる眞實の事蹟に相違なけれど、子孫が之れを傳聞してまた其子孫に語るに及びて、或ひは記憶の誤謬より或ひ
は附會に原因して、竟には眞實の髓を亡ひ、咄々竒恠の物語を長く口碑に傳へ存じて、鬼神史、神代記の基を拓く、是れ
世上の通則にしてまた恠むに足らずと雖も、事のこゝに到れるには別に原因のなきを得むや。今こゝろみに之れを思ふに、
其原因となりたるもの凡そ三條ありきと思はる。譬へば酋族次第に榮えて勢ひ強大になるに至れば、人の心のおのづから
傲りて、些々たる事をも巨大にいひなし、他の酋族に誇るものなり。かゝれば祖先の履歴の如きは、故意に附會の談を加
へていと大業にいひなすべし。是れ第一の原因なり。又人間はうまれながらに竒異を好むに切なるものなり。斯かれば別
に其要なくとも、假作の談話をつくりまうけて、史傳を誤ることあるべし。是れ第二の原因なり。而して國歩やうやく進
みて稍々文明の世界となりなば、其國君といはるゝやからは下賤の疋夫の成りあがりが我が大祖なりといはるゝをば快か
らぬことに思ひて、附會の説をつくりまうけて太祖の事蹟を粧はむとす。況んや是等の時代に於ては敬信の念深かるから
、故意に物語を假作せずとも自然に祖先を神といひなし、天孫なりきと思ふべきをや。是れなむ諸國に信じがたき神代史
などいふものある第三條の原因なりかし。斯かれば上古のミソロヂイ即ち鬼神誌といへるものは所謂竒異譚の濫觴にて、
其傳おほくは假作にいで若しくは訛傳になりたること元より疑ひなきに似たり。さはあれ所謂神代史(鬼神誌)はもとこ
れ眞實の物語にして決して遊戯の作にあらねば、後の所謂苛異譚とは其質ほとほと同じうして其用はまたいたく異なり。
蓋し謬信傳訛の久しき、後世の人其傳記の妄誕なるをば恠まざるなり。こゝをもて後の世の人此種の書を尊み信じて、曾
て小説視するものなきまゝ、恬然正史の巻はじめにいとうやうやしく之れをかゝげて、國家の権輿を穿鑿する好材料とな
すことゝなりけり。或ひは神代史を解釋して太古の竒異譚といふものあれども、こはまた甚だしき
小説は假作物語の一種にして、所謂異譚の變體なり。竒異譚とは何ぞや。英國にてローマンスと名づくるものなり。
ローマンスは趣向を荒唐無稽の事物に取りて、竒恠百出もて篇をなし、尋常世界に見はれたる事物の道理に矛楯する
を敢て顧みざるものにぞある。小説即ちノベルに至りては之れと異なり、世の人情と風俗をば冩すを以て主腦となし、
平常世間にあるべきやうなる事柄をもて材料として而して趣向を設くるものなり。こは只概略の辯なるから、尚ほ解し
がたき由もあらめど、其詳細なる本義の如きは、暫く之を下囘に讓りて、まづ變遷の次第を説くべし。其倩々惟みるに、
小説、野乘の行はるゝは其源遠く?焉たる上古の時代にありといふべし。其然る所以を知らまくせば、試みに社會の淵源
に溯りて其状態を察せざる可らず。上古の社會の状態はいかにといふに、東西人おなじからず南北地異なるにも係らず、
一個の家長を尊崇して之れを酋族の長となすこと人間社會の通則なり。かゝれば戰鬪いと烈しく優勝劣敗急激なる未開野
蠻の上世にありては、猛然荒蕪の間に起りて俄かに一家の主長となり忽ち一族の首となるもの、或ひは少なしとなさゞる
なり。かゝる性質の家長にして已に酋族の首となりなば、其子孫らにものがたるに何等の事柄を以てする歟。想ふに己が
經驗なしたる艱難辛苦の事情はさらなり、其武功などを語りつべし。而して是等の物語は其人親しく經驗なし若しくは親
しく見聞せる眞實の事蹟に相違なけれど、子孫が之れを傳聞してまた其子孫に語るに及びて、或ひは記憶の誤謬より或ひ
は附會に原因して、竟には眞實の髓を亡ひ、咄々竒恠の物語を長く口碑に傳へ存じて、鬼神史、神代記の基を拓く、是れ
世上の通則にしてまた恠むに足らずと雖も、事のこゝに到れるには別に原因のなきを得むや。今こゝろみに之れを思ふに、
其原因となりたるもの凡そ三條ありきと思はる。譬へば酋族次第に榮えて勢ひ強大になるに至れば、人の心のおのづから
傲りて、些々たる事をも巨大にいひなし、他の酋族に誇るものなり。かゝれば祖先の履歴の如きは、故意に附會の談を加
へていと大業にいひなすべし。是れ第一の原因なり。又人間はうまれながらに竒異を好むに切なるものなり。斯かれば別
に其要なくとも、假作の談話をつくりまうけて、史傳を誤ることあるべし。是れ第二の原因なり。而して國歩やうやく進
みて稍々文明の世界となりなば、其國君といはるゝやからは下賤の疋夫の成りあがりが我が大祖なりといはるゝをば快か
らぬことに思ひて、附會の説をつくりまうけて太祖の事蹟を粧はむとす。況んや是等の時代に於ては敬信の念深かるから
、故意に物語を假作せずとも自然に祖先を神といひなし、天孫なりきと思ふべきをや。是れなむ諸國に信じがたき神代史
などいふものある第三條の原因なりかし。斯かれば上古のミソロヂイ即ち鬼神誌といへるものは所謂竒異譚の濫觴にて、
其傳おほくは假作にいで若しくは訛傳になりたること元より疑ひなきに似たり。さはあれ所謂神代史(鬼神誌)はもとこ
れ眞實の物語にして決して遊戯の作にあらねば、後の所謂苛異譚とは其質ほとほと同じうして其用はまたいたく異なり。
蓋し謬信傳訛の久しき、後世の人其傳記の妄誕なるをば恠まざるなり。こゝをもて後の世の人此種の書を尊み信じて、曾
て小説視するものなきまゝ、恬然正史の巻はじめにいとうやうやしく之れをかゝげて、國家の権輿を穿鑿する好材料とな
すことゝなりけり。或ひは神代史を解釋して太古の竒異譚といふものあれども、こはまた甚だしき
小説は假作物語の一種にして、所謂異譚の變體なり。竒異譚とは何ぞや。英國にてローマンスと名づくるものなり。
ローマンスは趣向を荒唐無稽の事物に取りて、竒恠百出もて篇をなし、尋常世界に見はれたる事物の道理に矛楯する
を敢て顧みざるものにぞある。小説即ちノベルに至りては之れと異なり、世の人情と風俗をば冩すを以て主腦となし、
平常世間にあるべきやうなる事柄をもて材料として而して趣向を設くるものなり。こは只概略の辯なるから、尚ほ解し
がたき由もあらめど、其詳細なる本義の如きは、暫く之を下囘に讓りて、まづ變遷の次第を説くべし。其倩々惟みるに、
小説、野乘の行はるゝは其源遠く?焉たる上古の時代にありといふべし。其然る所以を知らまくせば、試みに社會の淵源
に溯りて其状態を察せざる可らず。上古の社會の状態はいかにといふに、東西人おなじからず南北地異なるにも係らず、
一個の家長を尊崇して之れを酋族の長となすこと人間社會の通則なり。かゝれば戰鬪いと烈しく優勝劣敗急激なる未開野
蠻の上世にありては、猛然荒蕪の間に起りて俄かに一家の主長となり忽ち一族の首となるもの、或ひは少なしとなさゞる
なり。かゝる性質の家長にして已に酋族の首となりなば、其子孫らにものがたるに何等の事柄を以てする歟。想ふに己が
經驗なしたる艱難辛苦の事情はさらなり、其武功などを語りつべし。而して是等の物語は其人親しく經驗なし若しくは親
しく見聞せる眞實の事蹟に相違なけれど、子孫が之れを傳聞してまた其子孫に語るに及びて、或ひは記憶の誤謬より或ひ
は附會に原因して、竟には眞實の髓を亡ひ、咄々竒恠の物語を長く口碑に傳へ存じて、鬼神史、神代記の基を拓く、是れ
世上の通則にしてまた恠むに足らずと雖も、事のこゝに到れるには別に原因のなきを得むや。今こゝろみに之れを思ふに、
其原因となりたるもの凡そ三條ありきと思はる。譬へば酋族次第に榮えて勢ひ強大になるに至れば、人の心のおのづから
傲りて、些々たる事をも巨大にいひなし、他の酋族に誇るものなり。かゝれば祖先の履歴の如きは、故意に附會の談を加
へていと大業にいひなすべし。是れ第一の原因なり。又人間はうまれながらに竒異を好むに切なるものなり。斯かれば別
に其要なくとも、假作の談話をつくりまうけて、史傳を誤ることあるべし。是れ第二の原因なり。而して國歩やうやく進
みて稍々文明の世界となりなば、其國君といはるゝやからは下賤の疋夫の成りあがりが我が大祖なりといはるゝをば快か
らぬことに思ひて、附會の説をつくりまうけて太祖の事蹟を粧はむとす。況んや是等の時代に於ては敬信の念深かるから
、故意に物語を假作せずとも自然に祖先を神といひなし、天孫なりきと思ふべきをや。是れなむ諸國に信じがたき神代史
などいふものある第三條の原因なりかし。斯かれば上古のミソロヂイ即ち鬼神誌といへるものは所謂竒異譚の濫觴にて、
其傳おほくは假作にいで若しくは訛傳になりたること元より疑ひなきに似たり。さはあれ所謂神代史(鬼神誌)はもとこ
れ眞實の物語にして決して遊戯の作にあらねば、後の所謂苛異譚とは其質ほとほと同じうして其用はまたいたく異なり。
蓋し謬信傳訛の久しき、後世の人其傳記の妄誕なるをば恠まざるなり。こゝをもて後の世の人此種の書を尊み信じて、曾
て小説視するものなきまゝ、恬然正史の巻はじめにいとうやうやしく之れをかゝげて、國家の権輿を穿鑿する好材料とな
すことゝなりけり。或ひは神代史を解釋して太古の竒異譚といふものあれども、こはまた甚だしき
小説は假作物語の一種にして、所謂異譚の變體なり。竒異譚とは何ぞや。英國にてローマンスと名づくるものなり。
ローマンスは趣向を荒唐無稽の事物に取りて、竒恠百出もて篇をなし、尋常世界に見はれたる事物の道理に矛楯する
を敢て顧みざるものにぞある。小説即ちノベルに至りては之れと異なり、世の人情と風俗をば冩すを以て主腦となし、
平常世間にあるべきやうなる事柄をもて材料として而して趣向を設くるものなり。こは只概略の辯なるから、尚ほ解し
がたき由もあらめど、其詳細なる本義の如きは、暫く之を下囘に讓りて、まづ變遷の次第を説くべし。其倩々惟みるに、
小説、野乘の行はるゝは其源遠く?焉たる上古の時代にありといふべし。其然る所以を知らまくせば、試みに社會の淵源
に溯りて其状態を察せざる可らず。上古の社會の状態はいかにといふに、東西人おなじからず南北地異なるにも係らず、
一個の家長を尊崇して之れを酋族の長となすこと人間社會の通則なり。かゝれば戰鬪いと烈しく優勝劣敗急激なる未開野
蠻の上世にありては、猛然荒蕪の間に起りて俄かに一家の主長となり忽ち一族の首となるもの、或ひは少なしとなさゞる
なり。かゝる性質の家長にして已に酋族の首となりなば、其子孫らにものがたるに何等の事柄を以てする歟。想ふに己が
經驗なしたる艱難辛苦の事情はさらなり、其武功などを語りつべし。而して是等の物語は其人親しく經驗なし若しくは親
しく見聞せる眞實の事蹟に相違なけれど、子孫が之れを傳聞してまた其子孫に語るに及びて、或ひは記憶の誤謬より或ひ
は附會に原因して、竟には眞實の髓を亡ひ、咄々竒恠の物語を長く口碑に傳へ存じて、鬼神史、神代記の基を拓く、是れ
世上の通則にしてまた恠むに足らずと雖も、事のこゝに到れるには別に原因のなきを得むや。今こゝろみに之れを思ふに、
其原因となりたるもの凡そ三條ありきと思はる。譬へば酋族次第に榮えて勢ひ強大になるに至れば、人の心のおのづから
傲りて、些々たる事をも巨大にいひなし、他の酋族に誇るものなり。かゝれば祖先の履歴の如きは、故意に附會の談を加
へていと大業にいひなすべし。是れ第一の原因なり。又人間はうまれながらに竒異を好むに切なるものなり。斯かれば別
に其要なくとも、假作の談話をつくりまうけて、史傳を誤ることあるべし。是れ第二の原因なり。而して國歩やうやく進
みて稍々文明の世界となりなば、其國君といはるゝやからは下賤の疋夫の成りあがりが我が大祖なりといはるゝをば快か
らぬことに思ひて、附會の説をつくりまうけて太祖の事蹟を粧はむとす。況んや是等の時代に於ては敬信の念深かるから
、故意に物語を假作せずとも自然に祖先を神といひなし、天孫なりきと思ふべきをや。是れなむ諸國に信じがたき神代史
などいふものある第三條の原因なりかし。斯かれば上古のミソロヂイ即ち鬼神誌といへるものは所謂竒異譚の濫觴にて、
其傳おほくは假作にいで若しくは訛傳になりたること元より疑ひなきに似たり。さはあれ所謂神代史(鬼神誌)はもとこ
れ眞實の物語にして決して遊戯の作にあらねば、後の所謂苛異譚とは其質ほとほと同じうして其用はまたいたく異なり。
蓋し謬信傳訛の久しき、後世の人其傳記の妄誕なるをば恠まざるなり。こゝをもて後の世の人此種の書を尊み信じて、曾
て小説視するものなきまゝ、恬然正史の巻はじめにいとうやうやしく之れをかゝげて、國家の権輿を穿鑿する好材料とな
すことゝなりけり。或ひは神代史を解釋して太古の竒異譚といふものあれども、こはまた甚だしき
小説は假作物語の一種にして、所謂異譚の變體なり。竒異譚とは何ぞや。英國にてローマンスと名づくるものなり。
ローマンスは趣向を荒唐無稽の事物に取りて、竒恠百出もて篇をなし、尋常世界に見はれたる事物の道理に矛楯する
を敢て顧みざるものにぞある。小説即ちノベルに至りては之れと異なり、世の人情と風俗をば冩すを以て主腦となし、
平常世間にあるべきやうなる事柄をもて材料として而して趣向を設くるものなり。こは只概略の辯なるから、尚ほ解し
がたき由もあらめど、其詳細なる本義の如きは、暫く之を下囘に讓りて、まづ變遷の次第を説くべし。其倩々惟みるに、
小説、野乘の行はるゝは其源遠く?焉たる上古の時代にありといふべし。其然る所以を知らまくせば、試みに社會の淵源
に溯りて其状態を察せざる可らず。上古の社會の状態はいかにといふに、東西人おなじからず南北地異なるにも係らず、
一個の家長を尊崇して之れを酋族の長となすこと人間社會の通則なり。かゝれば戰鬪いと烈しく優勝劣敗急激なる未開野
蠻の上世にありては、猛然荒蕪の間に起りて俄かに一家の主長となり忽ち一族の首となるもの、或ひは少なしとなさゞる
なり。かゝる性質の家長にして已に酋族の首となりなば、其子孫らにものがたるに何等の事柄を以てする歟。想ふに己が
經驗なしたる艱難辛苦の事情はさらなり、其武功などを語りつべし。而して是等の物語は其人親しく經驗なし若しくは親
しく見聞せる眞實の事蹟に相違なけれど、子孫が之れを傳聞してまた其子孫に語るに及びて、或ひは記憶の誤謬より或ひ
は附會に原因して、竟には眞實の髓を亡ひ、咄々竒恠の物語を長く口碑に傳へ存じて、鬼神史、神代記の基を拓く、是れ
世上の通則にしてまた恠むに足らずと雖も、事のこゝに到れるには別に原因のなきを得むや。今こゝろみに之れを思ふに、
其原因となりたるもの凡そ三條ありきと思はる。譬へば酋族次第に榮えて勢ひ強大になるに至れば、人の心のおのづから
傲りて、些々たる事をも巨大にいひなし、他の酋族に誇るものなり。かゝれば祖先の履歴の如きは、故意に附會の談を加
へていと大業にいひなすべし。是れ第一の原因なり。又人間はうまれながらに竒異を好むに切なるものなり。斯かれば別
に其要なくとも、假作の談話をつくりまうけて、史傳を誤ることあるべし。是れ第二の原因なり。而して國歩やうやく進
みて稍々文明の世界となりなば、其國君といはるゝやからは下賤の疋夫の成りあがりが我が大祖なりといはるゝをば快か
らぬことに思ひて、附會の説をつくりまうけて太祖の事蹟を粧はむとす。況んや是等の時代に於ては敬信の念深かるから
、故意に物語を假作せずとも自然に祖先を神といひなし、天孫なりきと思ふべきをや。是れなむ諸國に信じがたき神代史
などいふものある第三條の原因なりかし。斯かれば上古のミソロヂイ即ち鬼神誌といへるものは所謂竒異譚の濫觴にて、
其傳おほくは假作にいで若しくは訛傳になりたること元より疑ひなきに似たり。さはあれ所謂神代史(鬼神誌)はもとこ
れ眞實の物語にして決して遊戯の作にあらねば、後の所謂苛異譚とは其質ほとほと同じうして其用はまたいたく異なり。
蓋し謬信傳訛の久しき、後世の人其傳記の妄誕なるをば恠まざるなり。こゝをもて後の世の人此種の書を尊み信じて、曾
て小説視するものなきまゝ、恬然正史の巻はじめにいとうやうやしく之れをかゝげて、國家の権輿を穿鑿する好材料とな
すことゝなりけり。或ひは神代史を解釋して太古の竒異譚といふものあれども、こはまた甚だしき
小説は假作物語の一種にして、所謂異譚の變體なり。竒異譚とは何ぞや。英國にてローマンスと名づくるものなり。
ローマンスは趣向を荒唐無稽の事物に取りて、竒恠百出もて篇をなし、尋常世界に見はれたる事物の道理に矛楯する
を敢て顧みざるものにぞある。小説即ちノベルに至りては之れと異なり、世の人情と風俗をば冩すを以て主腦となし、
平常世間にあるべきやうなる事柄をもて材料として而して趣向を設くるものなり。こは只概略の辯なるから、尚ほ解し
がたき由もあらめど、其詳細なる本義の如きは、暫く之を下囘に讓りて、まづ變遷の次第を説くべし。其倩々惟みるに、
小説、野乘の行はるゝは其源遠く?焉たる上古の時代にありといふべし。其然る所以を知らまくせば、試みに社會の淵源
に溯りて其状態を察せざる可らず。上古の社會の状態はいかにといふに、東西人おなじからず南北地異なるにも係らず、
一個の家長を尊崇して之れを酋族の長となすこと人間社會の通則なり。かゝれば戰鬪いと烈しく優勝劣敗急激なる未開野
蠻の上世にありては、猛然荒蕪の間に起りて俄かに一家の主長となり忽ち一族の首となるもの、或ひは少なしとなさゞる
なり。かゝる性質の家長にして已に酋族の首となりなば、其子孫らにものがたるに何等の事柄を以てする歟。想ふに己が
經驗なしたる艱難辛苦の事情はさらなり、其武功などを語りつべし。而して是等の物語は其人親しく經驗なし若しくは親
しく見聞せる眞實の事蹟に相違なけれど、子孫が之れを傳聞してまた其子孫に語るに及びて、或ひは記憶の誤謬より或ひ
は附會に原因して、竟には眞實の髓を亡ひ、咄々竒恠の物語を長く口碑に傳へ存じて、鬼神史、神代記の基を拓く、是れ
世上の通則にしてまた恠むに足らずと雖も、事のこゝに到れるには別に原因のなきを得むや。今こゝろみに之れを思ふに、
其原因となりたるもの凡そ三條ありきと思はる。譬へば酋族次第に榮えて勢ひ強大になるに至れば、人の心のおのづから
傲りて、些々たる事をも巨大にいひなし、他の酋族に誇るものなり。かゝれば祖先の履歴の如きは、故意に附會の談を加
へていと大業にいひなすべし。是れ第一の原因なり。又人間はうまれながらに竒異を好むに切なるものなり。斯かれば別
に其要なくとも、假作の談話をつくりまうけて、史傳を誤ることあるべし。是れ第二の原因なり。而して國歩やうやく進
みて稍々文明の世界となりなば、其國君といはるゝやからは下賤の疋夫の成りあがりが我が大祖なりといはるゝをば快か
らぬことに思ひて、附會の説をつくりまうけて太祖の事蹟を粧はむとす。況んや是等の時代に於ては敬信の念深かるから
、故意に物語を假作せずとも自然に祖先を神といひなし、天孫なりきと思ふべきをや。是れなむ諸國に信じがたき神代史
などいふものある第三條の原因なりかし。斯かれば上古のミソロヂイ即ち鬼神誌といへるものは所謂竒異譚の濫觴にて、
其傳おほくは假作にいで若しくは訛傳になりたること元より疑ひなきに似たり。さはあれ所謂神代史(鬼神誌)はもとこ
れ眞實の物語にして決して遊戯の作にあらねば、後の所謂苛異譚とは其質ほとほと同じうして其用はまたいたく異なり。
蓋し謬信傳訛の久しき、後世の人其傳記の妄誕なるをば恠まざるなり。こゝをもて後の世の人此種の書を尊み信じて、曾
て小説視するものなきまゝ、恬然正史の巻はじめにいとうやうやしく之れをかゝげて、國家の権輿を穿鑿する好材料とな
すことゝなりけり。或ひは神代史を解釋して太古の竒異譚といふものあれども、こはまた甚だしき
小説は假作物語の一種にして、所謂異譚の變體なり。竒異譚とは何ぞや。英國にてローマンスと名づくるものなり。
ローマンスは趣向を荒唐無稽の事物に取りて、竒恠百出もて篇をなし、尋常世界に見はれたる事物の道理に矛楯する
を敢て顧みざるものにぞある。小説即ちノベルに至りては之れと異なり、世の人情と風俗をば冩すを以て主腦となし、
平常世間にあるべきやうなる事柄をもて材料として而して趣向を設くるものなり。こは只概略の辯なるから、尚ほ解し
がたき由もあらめど、其詳細なる本義の如きは、暫く之を下囘に讓りて、まづ變遷の次第を説くべし。其倩々惟みるに、
小説、野乘の行はるゝは其源遠く?焉たる上古の時代にありといふべし。其然る所以を知らまくせば、試みに社會の淵源
に溯りて其状態を察せざる可らず。上古の社會の状態はいかにといふに、東西人おなじからず南北地異なるにも係らず、
一個の家長を尊崇して之れを酋族の長となすこと人間社會の通則なり。かゝれば戰鬪いと烈しく優勝劣敗急激なる未開野
蠻の上世にありては、猛然荒蕪の間に起りて俄かに一家の主長となり忽ち一族の首となるもの、或ひは少なしとなさゞる
なり。かゝる性質の家長にして已に酋族の首となりなば、其子孫らにものがたるに何等の事柄を以てする歟。想ふに己が
經驗なしたる艱難辛苦の事情はさらなり、其武功などを語りつべし。而して是等の物語は其人親しく經驗なし若しくは親
しく見聞せる眞實の事蹟に相違なけれど、子孫が之れを傳聞してまた其子孫に語るに及びて、或ひは記憶の誤謬より或ひ
は附會に原因して、竟には眞實の髓を亡ひ、咄々竒恠の物語を長く口碑に傳へ存じて、鬼神史、神代記の基を拓く、是れ
世上の通則にしてまた恠むに足らずと雖も、事のこゝに到れるには別に原因のなきを得むや。今こゝろみに之れを思ふに、
其原因となりたるもの凡そ三條ありきと思はる。譬へば酋族次第に榮えて勢ひ強大になるに至れば、人の心のおのづから
傲りて、些々たる事をも巨大にいひなし、他の酋族に誇るものなり。かゝれば祖先の履歴の如きは、故意に附會の談を加
へていと大業にいひなすべし。是れ第一の原因なり。又人間はうまれながらに竒異を好むに切なるものなり。斯かれば別
に其要なくとも、假作の談話をつくりまうけて、史傳を誤ることあるべし。是れ第二の原因なり。而して國歩やうやく進
みて稍々文明の世界となりなば、其國君といはるゝやからは下賤の疋夫の成りあがりが我が大祖なりといはるゝをば快か
らぬことに思ひて、附會の説をつくりまうけて太祖の事蹟を粧はむとす。況んや是等の時代に於ては敬信の念深かるから
、故意に物語を假作せずとも自然に祖先を神といひなし、天孫なりきと思ふべきをや。是れなむ諸國に信じがたき神代史
などいふものある第三條の原因なりかし。斯かれば上古のミソロヂイ即ち鬼神誌といへるものは所謂竒異譚の濫觴にて、
其傳おほくは假作にいで若しくは訛傳になりたること元より疑ひなきに似たり。さはあれ所謂神代史(鬼神誌)はもとこ
れ眞實の物語にして決して遊戯の作にあらねば、後の所謂苛異譚とは其質ほとほと同じうして其用はまたいたく異なり。
蓋し謬信傳訛の久しき、後世の人其傳記の妄誕なるをば恠まざるなり。こゝをもて後の世の人此種の書を尊み信じて、曾
て小説視するものなきまゝ、恬然正史の巻はじめにいとうやうやしく之れをかゝげて、國家の権輿を穿鑿する好材料とな
すことゝなりけり。或ひは神代史を解釋して太古の竒異譚といふものあれども、こはまた甚だしき
小説は假作物語の一種にして、所謂異譚の變體なり。竒異譚とは何ぞや。英國にてローマンスと名づくるものなり。
ローマンスは趣向を荒唐無稽の事物に取りて、竒恠百出もて篇をなし、尋常世界に見はれたる事物の道理に矛楯する
を敢て顧みざるものにぞある。小説即ちノベルに至りては之れと異なり、世の人情と風俗をば冩すを以て主腦となし、
平常世間にあるべきやうなる事柄をもて材料として而して趣向を設くるものなり。こは只概略の辯なるから、尚ほ解し
がたき由もあらめど、其詳細なる本義の如きは、暫く之を下囘に讓りて、まづ變遷の次第を説くべし。其倩々惟みるに、
小説、野乘の行はるゝは其源遠く?焉たる上古の時代にありといふべし。其然る所以を知らまくせば、試みに社會の淵源
に溯りて其状態を察せざる可らず。上古の社會の状態はいかにといふに、東西人おなじからず南北地異なるにも係らず、
一個の家長を尊崇して之れを酋族の長となすこと人間社會の通則なり。かゝれば戰鬪いと烈しく優勝劣敗急激なる未開野
蠻の上世にありては、猛然荒蕪の間に起りて俄かに一家の主長となり忽ち一族の首となるもの、或ひは少なしとなさゞる
なり。かゝる性質の家長にして已に酋族の首となりなば、其子孫らにものがたるに何等の事柄を以てする歟。想ふに己が
經驗なしたる艱難辛苦の事情はさらなり、其武功などを語りつべし。而して是等の物語は其人親しく經驗なし若しくは親
しく見聞せる眞實の事蹟に相違なけれど、子孫が之れを傳聞してまた其子孫に語るに及びて、或ひは記憶の誤謬より或ひ
は附會に原因して、竟には眞實の髓を亡ひ、咄々竒恠の物語を長く口碑に傳へ存じて、鬼神史、神代記の基を拓く、是れ
世上の通則にしてまた恠むに足らずと雖も、事のこゝに到れるには別に原因のなきを得むや。今こゝろみに之れを思ふに、
其原因となりたるもの凡そ三條ありきと思はる。譬へば酋族次第に榮えて勢ひ強大になるに至れば、人の心のおのづから
傲りて、些々たる事をも巨大にいひなし、他の酋族に誇るものなり。かゝれば祖先の履歴の如きは、故意に附會の談を加
へていと大業にいひなすべし。是れ第一の原因なり。又人間はうまれながらに竒異を好むに切なるものなり。斯かれば別
に其要なくとも、假作の談話をつくりまうけて、史傳を誤ることあるべし。是れ第二の原因なり。而して國歩やうやく進
みて稍々文明の世界となりなば、其國君といはるゝやからは下賤の疋夫の成りあがりが我が大祖なりといはるゝをば快か
らぬことに思ひて、附會の説をつくりまうけて太祖の事蹟を粧はむとす。況んや是等の時代に於ては敬信の念深かるから
、故意に物語を假作せずとも自然に祖先を神といひなし、天孫なりきと思ふべきをや。是れなむ諸國に信じがたき神代史
などいふものある第三條の原因なりかし。斯かれば上古のミソロヂイ即ち鬼神誌といへるものは所謂竒異譚の濫觴にて、
其傳おほくは假作にいで若しくは訛傳になりたること元より疑ひなきに似たり。さはあれ所謂神代史(鬼神誌)はもとこ
れ眞實の物語にして決して遊戯の作にあらねば、後の所謂苛異譚とは其質ほとほと同じうして其用はまたいたく異なり。
蓋し謬信傳訛の久しき、後世の人其傳記の妄誕なるをば恠まざるなり。こゝをもて後の世の人此種の書を尊み信じて、曾
て小説視するものなきまゝ、恬然正史の巻はじめにいとうやうやしく之れをかゝげて、國家の権輿を穿鑿する好材料とな
すことゝなりけり。或ひは神代史を解釋して太古の竒異譚といふものあれども、こはまた甚だしき
小説は假作物語の一種にして、所謂異譚の變體なり。竒異譚とは何ぞや。英國にてローマンスと名づくるものなり。
ローマンスは趣向を荒唐無稽の事物に取りて、竒恠百出もて篇をなし、尋常世界に見はれたる事物の道理に矛楯する
を敢て顧みざるものにぞある。小説即ちノベルに至りては之れと異なり、世の人情と風俗をば冩すを以て主腦となし、
平常世間にあるべきやうなる事柄をもて材料として而して趣向を設くるものなり。こは只概略の辯なるから、尚ほ解し
がたき由もあらめど、其詳細なる本義の如きは、暫く之を下囘に讓りて、まづ變遷の次第を説くべし。其倩々惟みるに、
小説、野乘の行はるゝは其源遠く?焉たる上古の時代にありといふべし。其然る所以を知らまくせば、試みに社會の淵源
に溯りて其状態を察せざる可らず。上古の社會の状態はいかにといふに、東西人おなじからず南北地異なるにも係らず、
一個の家長を尊崇して之れを酋族の長となすこと人間社會の通則なり。かゝれば戰鬪いと烈しく優勝劣敗急激なる未開野
蠻の上世にありては、猛然荒蕪の間に起りて俄かに一家の主長となり忽ち一族の首となるもの、或ひは少なしとなさゞる
なり。かゝる性質の家長にして已に酋族の首となりなば、其子孫らにものがたるに何等の事柄を以てする歟。想ふに己が
經驗なしたる艱難辛苦の事情はさらなり、其武功などを語りつべし。而して是等の物語は其人親しく經驗なし若しくは親
しく見聞せる眞實の事蹟に相違なけれど、子孫が之れを傳聞してまた其子孫に語るに及びて、或ひは記憶の誤謬より或ひ
は附會に原因して、竟には眞實の髓を亡ひ、咄々竒恠の物語を長く口碑に傳へ存じて、鬼神史、神代記の基を拓く、是れ
世上の通則にしてまた恠むに足らずと雖も、事のこゝに到れるには別に原因のなきを得むや。今こゝろみに之れを思ふに、
其原因となりたるもの凡そ三條ありきと思はる。譬へば酋族次第に榮えて勢ひ強大になるに至れば、人の心のおのづから
傲りて、些々たる事をも巨大にいひなし、他の酋族に誇るものなり。かゝれば祖先の履歴の如きは、故意に附會の談を加
へていと大業にいひなすべし。是れ第一の原因なり。又人間はうまれながらに竒異を好むに切なるものなり。斯かれば別
に其要なくとも、假作の談話をつくりまうけて、史傳を誤ることあるべし。是れ第二の原因なり。而して國歩やうやく進
みて稍々文明の世界となりなば、其國君といはるゝやからは下賤の疋夫の成りあがりが我が大祖なりといはるゝをば快か
らぬことに思ひて、附會の説をつくりまうけて太祖の事蹟を粧はむとす。況んや是等の時代に於ては敬信の念深かるから
、故意に物語を假作せずとも自然に祖先を神といひなし、天孫なりきと思ふべきをや。是れなむ諸國に信じがたき神代史
などいふものある第三條の原因なりかし。斯かれば上古のミソロヂイ即ち鬼神誌といへるものは所謂竒異譚の濫觴にて、
其傳おほくは假作にいで若しくは訛傳になりたること元より疑ひなきに似たり。さはあれ所謂神代史(鬼神誌)はもとこ
れ眞實の物語にして決して遊戯の作にあらねば、後の所謂苛異譚とは其質ほとほと同じうして其用はまたいたく異なり。
蓋し謬信傳訛の久しき、後世の人其傳記の妄誕なるをば恠まざるなり。こゝをもて後の世の人此種の書を尊み信じて、曾
て小説視するものなきまゝ、恬然正史の巻はじめにいとうやうやしく之れをかゝげて、國家の権輿を穿鑿する好材料とな
すことゝなりけり。或ひは神代史を解釋して太古の竒異譚といふものあれども、こはまた甚だしき
小説は假作物語の一種にして、所謂異譚の變體なり。竒異譚とは何ぞや。英國にてローマンスと名づくるものなり。
ローマンスは趣向を荒唐無稽の事物に取りて、竒恠百出もて篇をなし、尋常世界に見はれたる事物の道理に矛楯する
を敢て顧みざるものにぞある。小説即ちノベルに至りては之れと異なり、世の人情と風俗をば冩すを以て主腦となし、
平常世間にあるべきやうなる事柄をもて材料として而して趣向を設くるものなり。こは只概略の辯なるから、尚ほ解し
がたき由もあらめど、其詳細なる本義の如きは、暫く之を下囘に讓りて、まづ變遷の次第を説くべし。其倩々惟みるに、
小説、野乘の行はるゝは其源遠く?焉たる上古の時代にありといふべし。其然る所以を知らまくせば、試みに社會の淵源
に溯りて其状態を察せざる可らず。上古の社會の状態はいかにといふに、東西人おなじからず南北地異なるにも係らず、
一個の家長を尊崇して之れを酋族の長となすこと人間社會の通則なり。かゝれば戰鬪いと烈しく優勝劣敗急激なる未開野
蠻の上世にありては、猛然荒蕪の間に起りて俄かに一家の主長となり忽ち一族の首となるもの、或ひは少なしとなさゞる
なり。かゝる性質の家長にして已に酋族の首となりなば、其子孫らにものがたるに何等の事柄を以てする歟。想ふに己が
經驗なしたる艱難辛苦の事情はさらなり、其武功などを語りつべし。而して是等の物語は其人親しく經驗なし若しくは親
しく見聞せる眞實の事蹟に相違なけれど、子孫が之れを傳聞してまた其子孫に語るに及びて、或ひは記憶の誤謬より或ひ
は附會に原因して、竟には眞實の髓を亡ひ、咄々竒恠の物語を長く口碑に傳へ存じて、鬼神史、神代記の基を拓く、是れ
世上の通則にしてまた恠むに足らずと雖も、事のこゝに到れるには別に原因のなきを得むや。今こゝろみに之れを思ふに、
其原因となりたるもの凡そ三條ありきと思はる。譬へば酋族次第に榮えて勢ひ強大になるに至れば、人の心のおのづから
傲りて、些々たる事をも巨大にいひなし、他の酋族に誇るものなり。かゝれば祖先の履歴の如きは、故意に附會の談を加
へていと大業にいひなすべし。是れ第一の原因なり。又人間はうまれながらに竒異を好むに切なるものなり。斯かれば別
に其要なくとも、假作の談話をつくりまうけて、史傳を誤ることあるべし。是れ第二の原因なり。而して國歩やうやく進
みて稍々文明の世界となりなば、其國君といはるゝやからは下賤の疋夫の成りあがりが我が大祖なりといはるゝをば快か
らぬことに思ひて、附會の説をつくりまうけて太祖の事蹟を粧はむとす。況んや是等の時代に於ては敬信の念深かるから
、故意に物語を假作せずとも自然に祖先を神といひなし、天孫なりきと思ふべきをや。是れなむ諸國に信じがたき神代史
などいふものある第三條の原因なりかし。斯かれば上古のミソロヂイ即ち鬼神誌といへるものは所謂竒異譚の濫觴にて、
其傳おほくは假作にいで若しくは訛傳になりたること元より疑ひなきに似たり。さはあれ所謂神代史(鬼神誌)はもとこ
れ眞實の物語にして決して遊戯の作にあらねば、後の所謂苛異譚とは其質ほとほと同じうして其用はまたいたく異なり。
蓋し謬信傳訛の久しき、後世の人其傳記の妄誕なるをば恠まざるなり。こゝをもて後の世の人此種の書を尊み信じて、曾
て小説視するものなきまゝ、恬然正史の巻はじめにいとうやうやしく之れをかゝげて、國家の権輿を穿鑿する好材料とな
すことゝなりけり。或ひは神代史を解釋して太古の竒異譚といふものあれども、こはまた甚だしき
小説は假作物語の一種にして、所謂異譚の變體なり。竒異譚とは何ぞや。英國にてローマンスと名づくるものなり。
ローマンスは趣向を荒唐無稽の事物に取りて、竒恠百出もて篇をなし、尋常世界に見はれたる事物の道理に矛楯する
を敢て顧みざるものにぞある。小説即ちノベルに至りては之れと異なり、世の人情と風俗をば冩すを以て主腦となし、
平常世間にあるべきやうなる事柄をもて材料として而して趣向を設くるものなり。こは只概略の辯なるから、尚ほ解し
がたき由もあらめど、其詳細なる本義の如きは、暫く之を下囘に讓りて、まづ變遷の次第を説くべし。其倩々惟みるに、
小説、野乘の行はるゝは其源遠く?焉たる上古の時代にありといふべし。其然る所以を知らまくせば、試みに社會の淵源
に溯りて其状態を察せざる可らず。上古の社會の状態はいかにといふに、東西人おなじからず南北地異なるにも係らず、
一個の家長を尊崇して之れを酋族の長となすこと人間社會の通則なり。かゝれば戰鬪いと烈しく優勝劣敗急激なる未開野
蠻の上世にありては、猛然荒蕪の間に起りて俄かに一家の主長となり忽ち一族の首となるもの、或ひは少なしとなさゞる
なり。かゝる性質の家長にして已に酋族の首となりなば、其子孫らにものがたるに何等の事柄を以てする歟。想ふに己が
經驗なしたる艱難辛苦の事情はさらなり、其武功などを語りつべし。而して是等の物語は其人親しく經驗なし若しくは親
しく見聞せる眞實の事蹟に相違なけれど、子孫が之れを傳聞してまた其子孫に語るに及びて、或ひは記憶の誤謬より或ひ
は附會に原因して、竟には眞實の髓を亡ひ、咄々竒恠の物語を長く口碑に傳へ存じて、鬼神史、神代記の基を拓く、是れ
世上の通則にしてまた恠むに足らずと雖も、事のこゝに到れるには別に原因のなきを得むや。今こゝろみに之れを思ふに、
其原因となりたるもの凡そ三條ありきと思はる。譬へば酋族次第に榮えて勢ひ強大になるに至れば、人の心のおのづから
傲りて、些々たる事をも巨大にいひなし、他の酋族に誇るものなり。かゝれば祖先の履歴の如きは、故意に附會の談を加
へていと大業にいひなすべし。是れ第一の原因なり。又人間はうまれながらに竒異を好むに切なるものなり。斯かれば別
に其要なくとも、假作の談話をつくりまうけて、史傳を誤ることあるべし。是れ第二の原因なり。而して國歩やうやく進
みて稍々文明の世界となりなば、其國君といはるゝやからは下賤の疋夫の成りあがりが我が大祖なりといはるゝをば快か
らぬことに思ひて、附會の説をつくりまうけて太祖の事蹟を粧はむとす。況んや是等の時代に於ては敬信の念深かるから
、故意に物語を假作せずとも自然に祖先を神といひなし、天孫なりきと思ふべきをや。是れなむ諸國に信じがたき神代史
などいふものある第三條の原因なりかし。斯かれば上古のミソロヂイ即ち鬼神誌といへるものは所謂竒異譚の濫觴にて、
其傳おほくは假作にいで若しくは訛傳になりたること元より疑ひなきに似たり。さはあれ所謂神代史(鬼神誌)はもとこ
れ眞實の物語にして決して遊戯の作にあらねば、後の所謂苛異譚とは其質ほとほと同じうして其用はまたいたく異なり。
蓋し謬信傳訛の久しき、後世の人其傳記の妄誕なるをば恠まざるなり。こゝをもて後の世の人此種の書を尊み信じて、曾
て小説視するものなきまゝ、恬然正史の巻はじめにいとうやうやしく之れをかゝげて、國家の権輿を穿鑿する好材料とな
すことゝなりけり。或ひは神代史を解釋して太古の竒異譚といふものあれども、こはまた甚だしき
小説は假作物語の一種にして、所謂異譚の變體なり。竒異譚とは何ぞや。英國にてローマンスと名づくるものなり。
ローマンスは趣向を荒唐無稽の事物に取りて、竒恠百出もて篇をなし、尋常世界に見はれたる事物の道理に矛楯する
を敢て顧みざるものにぞある。小説即ちノベルに至りては之れと異なり、世の人情と風俗をば冩すを以て主腦となし、
平常世間にあるべきやうなる事柄をもて材料として而して趣向を設くるものなり。こは只概略の辯なるから、尚ほ解し
がたき由もあらめど、其詳細なる本義の如きは、暫く之を下囘に讓りて、まづ變遷の次第を説くべし。其倩々惟みるに、
小説、野乘の行はるゝは其源遠く?焉たる上古の時代にありといふべし。其然る所以を知らまくせば、試みに社會の淵源
に溯りて其状態を察せざる可らず。上古の社會の状態はいかにといふに、東西人おなじからず南北地異なるにも係らず、
一個の家長を尊崇して之れを酋族の長となすこと人間社會の通則なり。かゝれば戰鬪いと烈しく優勝劣敗急激なる未開野
蠻の上世にありては、猛然荒蕪の間に起りて俄かに一家の主長となり忽ち一族の首となるもの、或ひは少なしとなさゞる
なり。かゝる性質の家長にして已に酋族の首となりなば、其子孫らにものがたるに何等の事柄を以てする歟。想ふに己が
經驗なしたる艱難辛苦の事情はさらなり、其武功などを語りつべし。而して是等の物語は其人親しく經驗なし若しくは親
しく見聞せる眞實の事蹟に相違なけれど、子孫が之れを傳聞してまた其子孫に語るに及びて、或ひは記憶の誤謬より或ひ
は附會に原因して、竟には眞實の髓を亡ひ、咄々竒恠の物語を長く口碑に傳へ存じて、鬼神史、神代記の基を拓く、是れ
世上の通則にしてまた恠むに足らずと雖も、事のこゝに到れるには別に原因のなきを得むや。今こゝろみに之れを思ふに、
其原因となりたるもの凡そ三條ありきと思はる。譬へば酋族次第に榮えて勢ひ強大になるに至れば、人の心のおのづから
傲りて、些々たる事をも巨大にいひなし、他の酋族に誇るものなり。かゝれば祖先の履歴の如きは、故意に附會の談を加
へていと大業にいひなすべし。是れ第一の原因なり。又人間はうまれながらに竒異を好むに切なるものなり。斯かれば別
に其要なくとも、假作の談話をつくりまうけて、史傳を誤ることあるべし。是れ第二の原因なり。而して國歩やうやく進
みて稍々文明の世界となりなば、其國君といはるゝやからは下賤の疋夫の成りあがりが我が大祖なりといはるゝをば快か
らぬことに思ひて、附會の説をつくりまうけて太祖の事蹟を粧はむとす。況んや是等の時代に於ては敬信の念深かるから
、故意に物語を假作せずとも自然に祖先を神といひなし、天孫なりきと思ふべきをや。是れなむ諸國に信じがたき神代史
などいふものある第三條の原因なりかし。斯かれば上古のミソロヂイ即ち鬼神誌といへるものは所謂竒異譚の濫觴にて、
其傳おほくは假作にいで若しくは訛傳になりたること元より疑ひなきに似たり。さはあれ所謂神代史(鬼神誌)はもとこ
れ眞實の物語にして決して遊戯の作にあらねば、後の所謂苛異譚とは其質ほとほと同じうして其用はまたいたく異なり。
蓋し謬信傳訛の久しき、後世の人其傳記の妄誕なるをば恠まざるなり。こゝをもて後の世の人此種の書を尊み信じて、曾
て小説視するものなきまゝ、恬然正史の巻はじめにいとうやうやしく之れをかゝげて、國家の権輿を穿鑿する好材料とな
すことゝなりけり。或ひは神代史を解釋して太古の竒異譚といふものあれども、こはまた甚だしき
小説は假作物語の一種にして、所謂異譚の變體なり。竒異譚とは何ぞや。英國にてローマンスと名づくるものなり。
ローマンスは趣向を荒唐無稽の事物に取りて、竒恠百出もて篇をなし、尋常世界に見はれたる事物の道理に矛楯する
を敢て顧みざるものにぞある。小説即ちノベルに至りては之れと異なり、世の人情と風俗をば冩すを以て主腦となし、
平常世間にあるべきやうなる事柄をもて材料として而して趣向を設くるものなり。こは只概略の辯なるから、尚ほ解し
がたき由もあらめど、其詳細なる本義の如きは、暫く之を下囘に讓りて、まづ變遷の次第を説くべし。其倩々惟みるに、
小説、野乘の行はるゝは其源遠く?焉たる上古の時代にありといふべし。其然る所以を知らまくせば、試みに社會の淵源
に溯りて其状態を察せざる可らず。上古の社會の状態はいかにといふに、東西人おなじからず南北地異なるにも係らず、
一個の家長を尊崇して之れを酋族の長となすこと人間社會の通則なり。かゝれば戰鬪いと烈しく優勝劣敗急激なる未開野
蠻の上世にありては、猛然荒蕪の間に起りて俄かに一家の主長となり忽ち一族の首となるもの、或ひは少なしとなさゞる
なり。かゝる性質の家長にして已に酋族の首となりなば、其子孫らにものがたるに何等の事柄を以てする歟。想ふに己が
經驗なしたる艱難辛苦の事情はさらなり、其武功などを語りつべし。而して是等の物語は其人親しく經驗なし若しくは親
しく見聞せる眞實の事蹟に相違なけれど、子孫が之れを傳聞してまた其子孫に語るに及びて、或ひは記憶の誤謬より或ひ
は附會に原因して、竟には眞實の髓を亡ひ、咄々竒恠の物語を長く口碑に傳へ存じて、鬼神史、神代記の基を拓く、是れ
世上の通則にしてまた恠むに足らずと雖も、事のこゝに到れるには別に原因のなきを得むや。今こゝろみに之れを思ふに、
其原因となりたるもの凡そ三條ありきと思はる。譬へば酋族次第に榮えて勢ひ強大になるに至れば、人の心のおのづから
傲りて、些々たる事をも巨大にいひなし、他の酋族に誇るものなり。かゝれば祖先の履歴の如きは、故意に附會の談を加
へていと大業にいひなすべし。是れ第一の原因なり。又人間はうまれながらに竒異を好むに切なるものなり。斯かれば別
に其要なくとも、假作の談話をつくりまうけて、史傳を誤ることあるべし。是れ第二の原因なり。而して國歩やうやく進
みて稍々文明の世界となりなば、其國君といはるゝやからは下賤の疋夫の成りあがりが我が大祖なりといはるゝをば快か
らぬことに思ひて、附會の説をつくりまうけて太祖の事蹟を粧はむとす。況んや是等の時代に於ては敬信の念深かるから
、故意に物語を假作せずとも自然に祖先を神といひなし、天孫なりきと思ふべきをや。是れなむ諸國に信じがたき神代史
などいふものある第三條の原因なりかし。斯かれば上古のミソロヂイ即ち鬼神誌といへるものは所謂竒異譚の濫觴にて、
其傳おほくは假作にいで若しくは訛傳になりたること元より疑ひなきに似たり。さはあれ所謂神代史(鬼神誌)はもとこ
れ眞實の物語にして決して遊戯の作にあらねば、後の所謂苛異譚とは其質ほとほと同じうして其用はまたいたく異なり。
蓋し謬信傳訛の久しき、後世の人其傳記の妄誕なるをば恠まざるなり。こゝをもて後の世の人此種の書を尊み信じて、曾
て小説視するものなきまゝ、恬然正史の巻はじめにいとうやうやしく之れをかゝげて、國家の権輿を穿鑿する好材料とな
すことゝなりけり。或ひは神代史を解釋して太古の竒異譚といふものあれども、こはまた甚だしき
小説は假作物語の一種にして、所謂異譚の變體なり。竒異譚とは何ぞや。英國にてローマンスと名づくるものなり。
ローマンスは趣向を荒唐無稽の事物に取りて、竒恠百出もて篇をなし、尋常世界に見はれたる事物の道理に矛楯する
を敢て顧みざるものにぞある。小説即ちノベルに至りては之れと異なり、世の人情と風俗をば冩すを以て主腦となし、
平常世間にあるべきやうなる事柄をもて材料として而して趣向を設くるものなり。こは只概略の辯なるから、尚ほ解し
がたき由もあらめど、其詳細なる本義の如きは、暫く之を下囘に讓りて、まづ變遷の次第を説くべし。其倩々惟みるに、
小説、野乘の行はるゝは其源遠く?焉たる上古の時代にありといふべし。其然る所以を知らまくせば、試みに社會の淵源
に溯りて其状態を察せざる可らず。上古の社會の状態はいかにといふに、東西人おなじからず南北地異なるにも係らず、
一個の家長を尊崇して之れを酋族の長となすこと人間社會の通則なり。かゝれば戰鬪いと烈しく優勝劣敗急激なる未開野
蠻の上世にありては、猛然荒蕪の間に起りて俄かに一家の主長となり忽ち一族の首となるもの、或ひは少なしとなさゞる
なり。かゝる性質の家長にして已に酋族の首となりなば、其子孫らにものがたるに何等の事柄を以てする歟。想ふに己が
經驗なしたる艱難辛苦の事情はさらなり、其武功などを語りつべし。而して是等の物語は其人親しく經驗なし若しくは親
しく見聞せる眞實の事蹟に相違なけれど、子孫が之れを傳聞してまた其子孫に語るに及びて、或ひは記憶の誤謬より或ひ
は附會に原因して、竟には眞實の髓を亡ひ、咄々竒恠の物語を長く口碑に傳へ存じて、鬼神史、神代記の基を拓く、是れ
世上の通則にしてまた恠むに足らずと雖も、事のこゝに到れるには別に原因のなきを得むや。今こゝろみに之れを思ふに、
其原因となりたるもの凡そ三條ありきと思はる。譬へば酋族次第に榮えて勢ひ強大になるに至れば、人の心のおのづから
傲りて、些々たる事をも巨大にいひなし、他の酋族に誇るものなり。かゝれば祖先の履歴の如きは、故意に附會の談を加
へていと大業にいひなすべし。是れ第一の原因なり。又人間はうまれながらに竒異を好むに切なるものなり。斯かれば別
に其要なくとも、假作の談話をつくりまうけて、史傳を誤ることあるべし。是れ第二の原因なり。而して國歩やうやく進
みて稍々文明の世界となりなば、其國君といはるゝやからは下賤の疋夫の成りあがりが我が大祖なりといはるゝをば快か
らぬことに思ひて、附會の説をつくりまうけて太祖の事蹟を粧はむとす。況んや是等の時代に於ては敬信の念深かるから
、故意に物語を假作せずとも自然に祖先を神といひなし、天孫なりきと思ふべきをや。是れなむ諸國に信じがたき神代史
などいふものある第三條の原因なりかし。斯かれば上古のミソロヂイ即ち鬼神誌といへるものは所謂竒異譚の濫觴にて、
其傳おほくは假作にいで若しくは訛傳になりたること元より疑ひなきに似たり。さはあれ所謂神代史(鬼神誌)はもとこ
れ眞實の物語にして決して遊戯の作にあらねば、後の所謂苛異譚とは其質ほとほと同じうして其用はまたいたく異なり。
蓋し謬信傳訛の久しき、後世の人其傳記の妄誕なるをば恠まざるなり。こゝをもて後の世の人此種の書を尊み信じて、曾
て小説視するものなきまゝ、恬然正史の巻はじめにいとうやうやしく之れをかゝげて、國家の権輿を穿鑿する好材料とな
すことゝなりけり。或ひは神代史を解釋して太古の竒異譚といふものあれども、こはまた甚だしき
小説は假作物語の一種にして、所謂異譚の變體なり。竒異譚とは何ぞや。英國にてローマンスと名づくるものなり。
ローマンスは趣向を荒唐無稽の事物に取りて、竒恠百出もて篇をなし、尋常世界に見はれたる事物の道理に矛楯する
を敢て顧みざるものにぞある。小説即ちノベルに至りては之れと異なり、世の人情と風俗をば冩すを以て主腦となし、
平常世間にあるべきやうなる事柄をもて材料として而して趣向を設くるものなり。こは只概略の辯なるから、尚ほ解し
がたき由もあらめど、其詳細なる本義の如きは、暫く之を下囘に讓りて、まづ變遷の次第を説くべし。其倩々惟みるに、
小説、野乘の行はるゝは其源遠く?焉たる上古の時代にありといふべし。其然る所以を知らまくせば、試みに社會の淵源
に溯りて其状態を察せざる可らず。上古の社會の状態はいかにといふに、東西人おなじからず南北地異なるにも係らず、
一個の家長を尊崇して之れを酋族の長となすこと人間社會の通則なり。かゝれば戰鬪いと烈しく優勝劣敗急激なる未開野
蠻の上世にありては、猛然荒蕪の間に起りて俄かに一家の主長となり忽ち一族の首となるもの、或ひは少なしとなさゞる
なり。かゝる性質の家長にして已に酋族の首となりなば、其子孫らにものがたるに何等の事柄を以てする歟。想ふに己が
經驗なしたる艱難辛苦の事情はさらなり、其武功などを語りつべし。而して是等の物語は其人親しく經驗なし若しくは親
しく見聞せる眞實の事蹟に相違なけれど、子孫が之れを傳聞してまた其子孫に語るに及びて、或ひは記憶の誤謬より或ひ
は附會に原因して、竟には眞實の髓を亡ひ、咄々竒恠の物語を長く口碑に傳へ存じて、鬼神史、神代記の基を拓く、是れ
世上の通則にしてまた恠むに足らずと雖も、事のこゝに到れるには別に原因のなきを得むや。今こゝろみに之れを思ふに、
其原因となりたるもの凡そ三條ありきと思はる。譬へば酋族次第に榮えて勢ひ強大になるに至れば、人の心のおのづから
傲りて、些々たる事をも巨大にいひなし、他の酋族に誇るものなり。かゝれば祖先の履歴の如きは、故意に附會の談を加
へていと大業にいひなすべし。是れ第一の原因なり。又人間はうまれながらに竒異を好むに切なるものなり。斯かれば別
に其要なくとも、假作の談話をつくりまうけて、史傳を誤ることあるべし。是れ第二の原因なり。而して國歩やうやく進
みて稍々文明の世界となりなば、其國君といはるゝやからは下賤の疋夫の成りあがりが我が大祖なりといはるゝをば快か
らぬことに思ひて、附會の説をつくりまうけて太祖の事蹟を粧はむとす。況んや是等の時代に於ては敬信の念深かるから
、故意に物語を假作せずとも自然に祖先を神といひなし、天孫なりきと思ふべきをや。是れなむ諸國に信じがたき神代史
などいふものある第三條の原因なりかし。斯かれば上古のミソロヂイ即ち鬼神誌といへるものは所謂竒異譚の濫觴にて、
其傳おほくは假作にいで若しくは訛傳になりたること元より疑ひなきに似たり。さはあれ所謂神代史(鬼神誌)はもとこ
れ眞實の物語にして決して遊戯の作にあらねば、後の所謂苛異譚とは其質ほとほと同じうして其用はまたいたく異なり。
蓋し謬信傳訛の久しき、後世の人其傳記の妄誕なるをば恠まざるなり。こゝをもて後の世の人此種の書を尊み信じて、曾
て小説視するものなきまゝ、恬然正史の巻はじめにいとうやうやしく之れをかゝげて、國家の権輿を穿鑿する好材料とな
すことゝなりけり。或ひは神代史を解釋して太古の竒異譚といふものあれども、こはまた甚だしき
小説は假作物語の一種にして、所謂異譚の變體なり。竒異譚とは何ぞや。英國にてローマンスと名づくるものなり。
ローマンスは趣向を荒唐無稽の事物に取りて、竒恠百出もて篇をなし、尋常世界に見はれたる事物の道理に矛楯する
を敢て顧みざるものにぞある。小説即ちノベルに至りては之れと異なり、世の人情と風俗をば冩すを以て主腦となし、
平常世間にあるべきやうなる事柄をもて材料として而して趣向を設くるものなり。こは只概略の辯なるから、尚ほ解し
がたき由もあらめど、其詳細なる本義の如きは、暫く之を下囘に讓りて、まづ變遷の次第を説くべし。其倩々惟みるに、
小説、野乘の行はるゝは其源遠く?焉たる上古の時代にありといふべし。其然る所以を知らまくせば、試みに社會の淵源
に溯りて其状態を察せざる可らず。上古の社會の状態はいかにといふに、東西人おなじからず南北地異なるにも係らず、
一個の家長を尊崇して之れを酋族の長となすこと人間社會の通則なり。かゝれば戰鬪いと烈しく優勝劣敗急激なる未開野
蠻の上世にありては、猛然荒蕪の間に起りて俄かに一家の主長となり忽ち一族の首となるもの、或ひは少なしとなさゞる
なり。かゝる性質の家長にして已に酋族の首となりなば、其子孫らにものがたるに何等の事柄を以てする歟。想ふに己が
經驗なしたる艱難辛苦の事情はさらなり、其武功などを語りつべし。而して是等の物語は其人親しく經驗なし若しくは親
しく見聞せる眞實の事蹟に相違なけれど、子孫が之れを傳聞してまた其子孫に語るに及びて、或ひは記憶の誤謬より或ひ
は附會に原因して、竟には眞實の髓を亡ひ、咄々竒恠の物語を長く口碑に傳へ存じて、鬼神史、神代記の基を拓く、是れ
世上の通則にしてまた恠むに足らずと雖も、事のこゝに到れるには別に原因のなきを得むや。今こゝろみに之れを思ふに、
其原因となりたるもの凡そ三條ありきと思はる。譬へば酋族次第に榮えて勢ひ強大になるに至れば、人の心のおのづから
傲りて、些々たる事をも巨大にいひなし、他の酋族に誇るものなり。かゝれば祖先の履歴の如きは、故意に附會の談を加
へていと大業にいひなすべし。是れ第一の原因なり。又人間はうまれながらに竒異を好むに切なるものなり。斯かれば別
に其要なくとも、假作の談話をつくりまうけて、史傳を誤ることあるべし。是れ第二の原因なり。而して國歩やうやく進
みて稍々文明の世界となりなば、其國君といはるゝやからは下賤の疋夫の成りあがりが我が大祖なりといはるゝをば快か
らぬことに思ひて、附會の説をつくりまうけて太祖の事蹟を粧はむとす。況んや是等の時代に於ては敬信の念深かるから
、故意に物語を假作せずとも自然に祖先を神といひなし、天孫なりきと思ふべきをや。是れなむ諸國に信じがたき神代史
などいふものある第三條の原因なりかし。斯かれば上古のミソロヂイ即ち鬼神誌といへるものは所謂竒異譚の濫觴にて、
其傳おほくは假作にいで若しくは訛傳になりたること元より疑ひなきに似たり。さはあれ所謂神代史(鬼神誌)はもとこ
れ眞實の物語にして決して遊戯の作にあらねば、後の所謂苛異譚とは其質ほとほと同じうして其用はまたいたく異なり。
蓋し謬信傳訛の久しき、後世の人其傳記の妄誕なるをば恠まざるなり。こゝをもて後の世の人此種の書を尊み信じて、曾
て小説視するものなきまゝ、恬然正史の巻はじめにいとうやうやしく之れをかゝげて、國家の権輿を穿鑿する好材料とな
すことゝなりけり。或ひは神代史を解釋して太古の竒異譚といふものあれども、こはまた甚だしき
小説は假作物語の一種にして、所謂異譚の變體なり。竒異譚とは何ぞや。英國にてローマンスと名づくるものなり。
ローマンスは趣向を荒唐無稽の事物に取りて、竒恠百出もて篇をなし、尋常世界に見はれたる事物の道理に矛楯する
を敢て顧みざるものにぞある。小説即ちノベルに至りては之れと異なり、世の人情と風俗をば冩すを以て主腦となし、
平常世間にあるべきやうなる事柄をもて材料として而して趣向を設くるものなり。こは只概略の辯なるから、尚ほ解し
がたき由もあらめど、其詳細なる本義の如きは、暫く之を下囘に讓りて、まづ變遷の次第を説くべし。其倩々惟みるに、
小説、野乘の行はるゝは其源遠く?焉たる上古の時代にありといふべし。其然る所以を知らまくせば、試みに社會の淵源
に溯りて其状態を察せざる可らず。上古の社會の状態はいかにといふに、東西人おなじからず南北地異なるにも係らず、
一個の家長を尊崇して之れを酋族の長となすこと人間社會の通則なり。かゝれば戰鬪いと烈しく優勝劣敗急激なる未開野
蠻の上世にありては、猛然荒蕪の間に起りて俄かに一家の主長となり忽ち一族の首となるもの、或ひは少なしとなさゞる
なり。かゝる性質の家長にして已に酋族の首となりなば、其子孫らにものがたるに何等の事柄を以てする歟。想ふに己が
經驗なしたる艱難辛苦の事情はさらなり、其武功などを語りつべし。而して是等の物語は其人親しく經驗なし若しくは親
しく見聞せる眞實の事蹟に相違なけれど、子孫が之れを傳聞してまた其子孫に語るに及びて、或ひは記憶の誤謬より或ひ
は附會に原因して、竟には眞實の髓を亡ひ、咄々竒恠の物語を長く口碑に傳へ存じて、鬼神史、神代記の基を拓く、是れ
世上の通則にしてまた恠むに足らずと雖も、事のこゝに到れるには別に原因のなきを得むや。今こゝろみに之れを思ふに、
其原因となりたるもの凡そ三條ありきと思はる。譬へば酋族次第に榮えて勢ひ強大になるに至れば、人の心のおのづから
傲りて、些々たる事をも巨大にいひなし、他の酋族に誇るものなり。かゝれば祖先の履歴の如きは、故意に附會の談を加
へていと大業にいひなすべし。是れ第一の原因なり。又人間はうまれながらに竒異を好むに切なるものなり。斯かれば別
に其要なくとも、假作の談話をつくりまうけて、史傳を誤ることあるべし。是れ第二の原因なり。而して國歩やうやく進
みて稍々文明の世界となりなば、其國君といはるゝやからは下賤の疋夫の成りあがりが我が大祖なりといはるゝをば快か
らぬことに思ひて、附會の説をつくりまうけて太祖の事蹟を粧はむとす。況んや是等の時代に於ては敬信の念深かるから
、故意に物語を假作せずとも自然に祖先を神といひなし、天孫なりきと思ふべきをや。是れなむ諸國に信じがたき神代史
などいふものある第三條の原因なりかし。斯かれば上古のミソロヂイ即ち鬼神誌といへるものは所謂竒異譚の濫觴にて、
其傳おほくは假作にいで若しくは訛傳になりたること元より疑ひなきに似たり。さはあれ所謂神代史(鬼神誌)はもとこ
れ眞實の物語にして決して遊戯の作にあらねば、後の所謂苛異譚とは其質ほとほと同じうして其用はまたいたく異なり。
蓋し謬信傳訛の久しき、後世の人其傳記の妄誕なるをば恠まざるなり。こゝをもて後の世の人此種の書を尊み信じて、曾
て小説視するものなきまゝ、恬然正史の巻はじめにいとうやうやしく之れをかゝげて、國家の権輿を穿鑿する好材料とな
すことゝなりけり。或ひは神代史を解釋して太古の竒異譚といふものあれども、こはまた甚だしき
小説は假作物語の一種にして、所謂異譚の變體なり。竒異譚とは何ぞや。英國にてローマンスと名づくるものなり。
ローマンスは趣向を荒唐無稽の事物に取りて、竒恠百出もて篇をなし、尋常世界に見はれたる事物の道理に矛楯する
を敢て顧みざるものにぞある。小説即ちノベルに至りては之れと異なり、世の人情と風俗をば冩すを以て主腦となし、
平常世間にあるべきやうなる事柄をもて材料として而して趣向を設くるものなり。こは只概略の辯なるから、尚ほ解し
がたき由もあらめど、其詳細なる本義の如きは、暫く之を下囘に讓りて、まづ變遷の次第を説くべし。其倩々惟みるに、
小説、野乘の行はるゝは其源遠く?焉たる上古の時代にありといふべし。其然る所以を知らまくせば、試みに社會の淵源
に溯りて其状態を察せざる可らず。上古の社會の状態はいかにといふに、東西人おなじからず南北地異なるにも係らず、
一個の家長を尊崇して之れを酋族の長となすこと人間社會の通則なり。かゝれば戰鬪いと烈しく優勝劣敗急激なる未開野
蠻の上世にありては、猛然荒蕪の間に起りて俄かに一家の主長となり忽ち一族の首となるもの、或ひは少なしとなさゞる
なり。かゝる性質の家長にして已に酋族の首となりなば、其子孫らにものがたるに何等の事柄を以てする歟。想ふに己が
經驗なしたる艱難辛苦の事情はさらなり、其武功などを語りつべし。而して是等の物語は其人親しく經驗なし若しくは親
しく見聞せる眞實の事蹟に相違なけれど、子孫が之れを傳聞してまた其子孫に語るに及びて、或ひは記憶の誤謬より或ひ
は附會に原因して、竟には眞實の髓を亡ひ、咄々竒恠の物語を長く口碑に傳へ存じて、鬼神史、神代記の基を拓く、是れ
世上の通則にしてまた恠むに足らずと雖も、事のこゝに到れるには別に原因のなきを得むや。今こゝろみに之れを思ふに、
其原因となりたるもの凡そ三條ありきと思はる。譬へば酋族次第に榮えて勢ひ強大になるに至れば、人の心のおのづから
傲りて、些々たる事をも巨大にいひなし、他の酋族に誇るものなり。かゝれば祖先の履歴の如きは、故意に附會の談を加
へていと大業にいひなすべし。是れ第一の原因なり。又人間はうまれながらに竒異を好むに切なるものなり。斯かれば別
に其要なくとも、假作の談話をつくりまうけて、史傳を誤ることあるべし。是れ第二の原因なり。而して國歩やうやく進
みて稍々文明の世界となりなば、其國君といはるゝやからは下賤の疋夫の成りあがりが我が大祖なりといはるゝをば快か
らぬことに思ひて、附會の説をつくりまうけて太祖の事蹟を粧はむとす。況んや是等の時代に於ては敬信の念深かるから
、故意に物語を假作せずとも自然に祖先を神といひなし、天孫なりきと思ふべきをや。是れなむ諸國に信じがたき神代史
などいふものある第三條の原因なりかし。斯かれば上古のミソロヂイ即ち鬼神誌といへるものは所謂竒異譚の濫觴にて、
其傳おほくは假作にいで若しくは訛傳になりたること元より疑ひなきに似たり。さはあれ所謂神代史(鬼神誌)はもとこ
れ眞實の物語にして決して遊戯の作にあらねば、後の所謂苛異譚とは其質ほとほと同じうして其用はまたいたく異なり。
蓋し謬信傳訛の久しき、後世の人其傳記の妄誕なるをば恠まざるなり。こゝをもて後の世の人此種の書を尊み信じて、曾
て小説視するものなきまゝ、恬然正史の巻はじめにいとうやうやしく之れをかゝげて、國家の権輿を穿鑿する好材料とな
すことゝなりけり。或ひは神代史を解釋して太古の竒異譚といふものあれども、こはまた甚だしき
小説は假作物語の一種にして、所謂異譚の變體なり。竒異譚とは何ぞや。英國にてローマンスと名づくるものなり。
ローマンスは趣向を荒唐無稽の事物に取りて、竒恠百出もて篇をなし、尋常世界に見はれたる事物の道理に矛楯する
を敢て顧みざるものにぞある。小説即ちノベルに至りては之れと異なり、世の人情と風俗をば冩すを以て主腦となし、
平常世間にあるべきやうなる事柄をもて材料として而して趣向を設くるものなり。こは只概略の辯なるから、尚ほ解し
がたき由もあらめど、其詳細なる本義の如きは、暫く之を下囘に讓りて、まづ變遷の次第を説くべし。其倩々惟みるに、
小説、野乘の行はるゝは其源遠く?焉たる上古の時代にありといふべし。其然る所以を知らまくせば、試みに社會の淵源
に溯りて其状態を察せざる可らず。上古の社會の状態はいかにといふに、東西人おなじからず南北地異なるにも係らず、
一個の家長を尊崇して之れを酋族の長となすこと人間社會の通則なり。かゝれば戰鬪いと烈しく優勝劣敗急激なる未開野
蠻の上世にありては、猛然荒蕪の間に起りて俄かに一家の主長となり忽ち一族の首となるもの、或ひは少なしとなさゞる
なり。かゝる性質の家長にして已に酋族の首となりなば、其子孫らにものがたるに何等の事柄を以てする歟。想ふに己が
經驗なしたる艱難辛苦の事情はさらなり、其武功などを語りつべし。而して是等の物語は其人親しく經驗なし若しくは親
しく見聞せる眞實の事蹟に相違なけれど、子孫が之れを傳聞してまた其子孫に語るに及びて、或ひは記憶の誤謬より或ひ
は附會に原因して、竟には眞實の髓を亡ひ、咄々竒恠の物語を長く口碑に傳へ存じて、鬼神史、神代記の基を拓く、是れ
世上の通則にしてまた恠むに足らずと雖も、事のこゝに到れるには別に原因のなきを得むや。今こゝろみに之れを思ふに、
其原因となりたるもの凡そ三條ありきと思はる。譬へば酋族次第に榮えて勢ひ強大になるに至れば、人の心のおのづから
傲りて、些々たる事をも巨大にいひなし、他の酋族に誇るものなり。かゝれば祖先の履歴の如きは、故意に附會の談を加
へていと大業にいひなすべし。是れ第一の原因なり。又人間はうまれながらに竒異を好むに切なるものなり。斯かれば別
に其要なくとも、假作の談話をつくりまうけて、史傳を誤ることあるべし。是れ第二の原因なり。而して國歩やうやく進
みて稍々文明の世界となりなば、其國君といはるゝやからは下賤の疋夫の成りあがりが我が大祖なりといはるゝをば快か
らぬことに思ひて、附會の説をつくりまうけて太祖の事蹟を粧はむとす。況んや是等の時代に於ては敬信の念深かるから
、故意に物語を假作せずとも自然に祖先を神といひなし、天孫なりきと思ふべきをや。是れなむ諸國に信じがたき神代史
などいふものある第三條の原因なりかし。斯かれば上古のミソロヂイ即ち鬼神誌といへるものは所謂竒異譚の濫觴にて、
其傳おほくは假作にいで若しくは訛傳になりたること元より疑ひなきに似たり。さはあれ所謂神代史(鬼神誌)はもとこ
れ眞實の物語にして決して遊戯の作にあらねば、後の所謂苛異譚とは其質ほとほと同じうして其用はまたいたく異なり。
蓋し謬信傳訛の久しき、後世の人其傳記の妄誕なるをば恠まざるなり。こゝをもて後の世の人此種の書を尊み信じて、曾
て小説視するものなきまゝ、恬然正史の巻はじめにいとうやうやしく之れをかゝげて、國家の権輿を穿鑿する好材料とな
すことゝなりけり。或ひは神代史を解釋して太古の竒異譚といふものあれども、こはまた甚だしき
小説は假作物語の一種にして、所謂異譚の變體なり。竒異譚とは何ぞや。英國にてローマンスと名づくるものなり。
ローマンスは趣向を荒唐無稽の事物に取りて、竒恠百出もて篇をなし、尋常世界に見はれたる事物の道理に矛楯する
を敢て顧みざるものにぞある。小説即ちノベルに至りては之れと異なり、世の人情と風俗をば冩すを以て主腦となし、
平常世間にあるべきやうなる事柄をもて材料として而して趣向を設くるものなり。こは只概略の辯なるから、尚ほ解し
がたき由もあらめど、其詳細なる本義の如きは、暫く之を下囘に讓りて、まづ變遷の次第を説くべし。其倩々惟みるに、
小説、野乘の行はるゝは其源遠く?焉たる上古の時代にありといふべし。其然る所以を知らまくせば、試みに社會の淵源
に溯りて其状態を察せざる可らず。上古の社會の状態はいかにといふに、東西人おなじからず南北地異なるにも係らず、
一個の家長を尊崇して之れを酋族の長となすこと人間社會の通則なり。かゝれば戰鬪いと烈しく優勝劣敗急激なる未開野
蠻の上世にありては、猛然荒蕪の間に起りて俄かに一家の主長となり忽ち一族の首となるもの、或ひは少なしとなさゞる
なり。かゝる性質の家長にして已に酋族の首となりなば、其子孫らにものがたるに何等の事柄を以てする歟。想ふに己が
經驗なしたる艱難辛苦の事情はさらなり、其武功などを語りつべし。而して是等の物語は其人親しく經驗なし若しくは親
しく見聞せる眞實の事蹟に相違なけれど、子孫が之れを傳聞してまた其子孫に語るに及びて、或ひは記憶の誤謬より或ひ
は附會に原因して、竟には眞實の髓を亡ひ、咄々竒恠の物語を長く口碑に傳へ存じて、鬼神史、神代記の基を拓く、是れ
世上の通則にしてまた恠むに足らずと雖も、事のこゝに到れるには別に原因のなきを得むや。今こゝろみに之れを思ふに、
其原因となりたるもの凡そ三條ありきと思はる。譬へば酋族次第に榮えて勢ひ強大になるに至れば、人の心のおのづから
傲りて、些々たる事をも巨大にいひなし、他の酋族に誇るものなり。かゝれば祖先の履歴の如きは、故意に附會の談を加
へていと大業にいひなすべし。是れ第一の原因なり。又人間はうまれながらに竒異を好むに切なるものなり。斯かれば別
に其要なくとも、假作の談話をつくりまうけて、史傳を誤ることあるべし。是れ第二の原因なり。而して國歩やうやく進
みて稍々文明の世界となりなば、其國君といはるゝやからは下賤の疋夫の成りあがりが我が大祖なりといはるゝをば快か
らぬことに思ひて、附會の説をつくりまうけて太祖の事蹟を粧はむとす。況んや是等の時代に於ては敬信の念深かるから
、故意に物語を假作せずとも自然に祖先を神といひなし、天孫なりきと思ふべきをや。是れなむ諸國に信じがたき神代史
などいふものある第三條の原因なりかし。斯かれば上古のミソロヂイ即ち鬼神誌といへるものは所謂竒異譚の濫觴にて、
其傳おほくは假作にいで若しくは訛傳になりたること元より疑ひなきに似たり。さはあれ所謂神代史(鬼神誌)はもとこ
れ眞實の物語にして決して遊戯の作にあらねば、後の所謂苛異譚とは其質ほとほと同じうして其用はまたいたく異なり。
蓋し謬信傳訛の久しき、後世の人其傳記の妄誕なるをば恠まざるなり。こゝをもて後の世の人此種の書を尊み信じて、曾
て小説視するものなきまゝ、恬然正史の巻はじめにいとうやうやしく之れをかゝげて、國家の権輿を穿鑿する好材料とな
すことゝなりけり。或ひは神代史を解釋して太古の竒異譚といふものあれども、こはまた甚だしき
小説は假作物語の一種にして、所謂異譚の變體なり。竒異譚とは何ぞや。英國にてローマンスと名づくるものなり。
ローマンスは趣向を荒唐無稽の事物に取りて、竒恠百出もて篇をなし、尋常世界に見はれたる事物の道理に矛楯する
を敢て顧みざるものにぞある。小説即ちノベルに至りては之れと異なり、世の人情と風俗をば冩すを以て主腦となし、
平常世間にあるべきやうなる事柄をもて材料として而して趣向を設くるものなり。こは只概略の辯なるから、尚ほ解し
がたき由もあらめど、其詳細なる本義の如きは、暫く之を下囘に讓りて、まづ變遷の次第を説くべし。其倩々惟みるに、
小説、野乘の行はるゝは其源遠く?焉たる上古の時代にありといふべし。其然る所以を知らまくせば、試みに社會の淵源
に溯りて其状態を察せざる可らず。上古の社會の状態はいかにといふに、東西人おなじからず南北地異なるにも係らず、
一個の家長を尊崇して之れを酋族の長となすこと人間社會の通則なり。かゝれば戰鬪いと烈しく優勝劣敗急激なる未開野
蠻の上世にありては、猛然荒蕪の間に起りて俄かに一家の主長となり忽ち一族の首となるもの、或ひは少なしとなさゞる
なり。かゝる性質の家長にして已に酋族の首となりなば、其子孫らにものがたるに何等の事柄を以てする歟。想ふに己が
經驗なしたる艱難辛苦の事情はさらなり、其武功などを語りつべし。而して是等の物語は其人親しく經驗なし若しくは親
しく見聞せる眞實の事蹟に相違なけれど、子孫が之れを傳聞してまた其子孫に語るに及びて、或ひは記憶の誤謬より或ひ
は附會に原因して、竟には眞實の髓を亡ひ、咄々竒恠の物語を長く口碑に傳へ存じて、鬼神史、神代記の基を拓く、是れ
世上の通則にしてまた恠むに足らずと雖も、事のこゝに到れるには別に原因のなきを得むや。今こゝろみに之れを思ふに、
其原因となりたるもの凡そ三條ありきと思はる。譬へば酋族次第に榮えて勢ひ強大になるに至れば、人の心のおのづから
傲りて、些々たる事をも巨大にいひなし、他の酋族に誇るものなり。かゝれば祖先の履歴の如きは、故意に附會の談を加
へていと大業にいひなすべし。是れ第一の原因なり。又人間はうまれながらに竒異を好むに切なるものなり。斯かれば別
に其要なくとも、假作の談話をつくりまうけて、史傳を誤ることあるべし。是れ第二の原因なり。而して國歩やうやく進
みて稍々文明の世界となりなば、其國君といはるゝやからは下賤の疋夫の成りあがりが我が大祖なりといはるゝをば快か
らぬことに思ひて、附會の説をつくりまうけて太祖の事蹟を粧はむとす。況んや是等の時代に於ては敬信の念深かるから
、故意に物語を假作せずとも自然に祖先を神といひなし、天孫なりきと思ふべきをや。是れなむ諸國に信じがたき神代史
などいふものある第三條の原因なりかし。斯かれば上古のミソロヂイ即ち鬼神誌といへるものは所謂竒異譚の濫觴にて、
其傳おほくは假作にいで若しくは訛傳になりたること元より疑ひなきに似たり。さはあれ所謂神代史(鬼神誌)はもとこ
れ眞實の物語にして決して遊戯の作にあらねば、後の所謂苛異譚とは其質ほとほと同じうして其用はまたいたく異なり。
蓋し謬信傳訛の久しき、後世の人其傳記の妄誕なるをば恠まざるなり。こゝをもて後の世の人此種の書を尊み信じて、曾
て小説視するものなきまゝ、恬然正史の巻はじめにいとうやうやしく之れをかゝげて、國家の権輿を穿鑿する好材料とな
すことゝなりけり。或ひは神代史を解釋して太古の竒異譚といふものあれども、こはまた甚だしき
小説は假作物語の一種にして、所謂異譚の變體なり。竒異譚とは何ぞや。英國にてローマンスと名づくるものなり。
ローマンスは趣向を荒唐無稽の事物に取りて、竒恠百出もて篇をなし、尋常世界に見はれたる事物の道理に矛楯する
を敢て顧みざるものにぞある。小説即ちノベルに至りては之れと異なり、世の人情と風俗をば冩すを以て主腦となし、
平常世間にあるべきやうなる事柄をもて材料として而して趣向を設くるものなり。こは只概略の辯なるから、尚ほ解し
がたき由もあらめど、其詳細なる本義の如きは、暫く之を下囘に讓りて、まづ變遷の次第を説くべし。其倩々惟みるに、
小説、野乘の行はるゝは其源遠く?焉たる上古の時代にありといふべし。其然る所以を知らまくせば、試みに社會の淵源
に溯りて其状態を察せざる可らず。上古の社會の状態はいかにといふに、東西人おなじからず南北地異なるにも係らず、
一個の家長を尊崇して之れを酋族の長となすこと人間社會の通則なり。かゝれば戰鬪いと烈しく優勝劣敗急激なる未開野
蠻の上世にありては、猛然荒蕪の間に起りて俄かに一家の主長となり忽ち一族の首となるもの、或ひは少なしとなさゞる
なり。かゝる性質の家長にして已に酋族の首となりなば、其子孫らにものがたるに何等の事柄を以てする歟。想ふに己が
經驗なしたる艱難辛苦の事情はさらなり、其武功などを語りつべし。而して是等の物語は其人親しく經驗なし若しくは親
しく見聞せる眞實の事蹟に相違なけれど、子孫が之れを傳聞してまた其子孫に語るに及びて、或ひは記憶の誤謬より或ひ
は附會に原因して、竟には眞實の髓を亡ひ、咄々竒恠の物語を長く口碑に傳へ存じて、鬼神史、神代記の基を拓く、是れ
世上の通則にしてまた恠むに足らずと雖も、事のこゝに到れるには別に原因のなきを得むや。今こゝろみに之れを思ふに、
其原因となりたるもの凡そ三條ありきと思はる。譬へば酋族次第に榮えて勢ひ強大になるに至れば、人の心のおのづから
傲りて、些々たる事をも巨大にいひなし、他の酋族に誇るものなり。かゝれば祖先の履歴の如きは、故意に附會の談を加
へていと大業にいひなすべし。是れ第一の原因なり。又人間はうまれながらに竒異を好むに切なるものなり。斯かれば別
に其要なくとも、假作の談話をつくりまうけて、史傳を誤ることあるべし。是れ第二の原因なり。而して國歩やうやく進
みて稍々文明の世界となりなば、其國君といはるゝやからは下賤の疋夫の成りあがりが我が大祖なりといはるゝをば快か
らぬことに思ひて、附會の説をつくりまうけて太祖の事蹟を粧はむとす。況んや是等の時代に於ては敬信の念深かるから
、故意に物語を假作せずとも自然に祖先を神といひなし、天孫なりきと思ふべきをや。是れなむ諸國に信じがたき神代史
などいふものある第三條の原因なりかし。斯かれば上古のミソロヂイ即ち鬼神誌といへるものは所謂竒異譚の濫觴にて、
其傳おほくは假作にいで若しくは訛傳になりたること元より疑ひなきに似たり。さはあれ所謂神代史(鬼神誌)はもとこ
れ眞實の物語にして決して遊戯の作にあらねば、後の所謂苛異譚とは其質ほとほと同じうして其用はまたいたく異なり。
蓋し謬信傳訛の久しき、後世の人其傳記の妄誕なるをば恠まざるなり。こゝをもて後の世の人此種の書を尊み信じて、曾
て小説視するものなきまゝ、恬然正史の巻はじめにいとうやうやしく之れをかゝげて、國家の権輿を穿鑿する好材料とな
すことゝなりけり。或ひは神代史を解釋して太古の竒異譚といふものあれども、こはまた甚だしき
小説は假作物語の一種にして、所謂異譚の變體なり。竒異譚とは何ぞや。英國にてローマンスと名づくるものなり。
ローマンスは趣向を荒唐無稽の事物に取りて、竒恠百出もて篇をなし、尋常世界に見はれたる事物の道理に矛楯する
を敢て顧みざるものにぞある。小説即ちノベルに至りては之れと異なり、世の人情と風俗をば冩すを以て主腦となし、
平常世間にあるべきやうなる事柄をもて材料として而して趣向を設くるものなり。こは只概略の辯なるから、尚ほ解し
がたき由もあらめど、其詳細なる本義の如きは、暫く之を下囘に讓りて、まづ變遷の次第を説くべし。其倩々惟みるに、
小説、野乘の行はるゝは其源遠く?焉たる上古の時代にありといふべし。其然る所以を知らまくせば、試みに社會の淵源
に溯りて其状態を察せざる可らず。上古の社會の状態はいかにといふに、東西人おなじからず南北地異なるにも係らず、
一個の家長を尊崇して之れを酋族の長となすこと人間社會の通則なり。かゝれば戰鬪いと烈しく優勝劣敗急激なる未開野
蠻の上世にありては、猛然荒蕪の間に起りて俄かに一家の主長となり忽ち一族の首となるもの、或ひは少なしとなさゞる
なり。かゝる性質の家長にして已に酋族の首となりなば、其子孫らにものがたるに何等の事柄を以てする歟。想ふに己が
經驗なしたる艱難辛苦の事情はさらなり、其武功などを語りつべし。而して是等の物語は其人親しく經驗なし若しくは親
しく見聞せる眞實の事蹟に相違なけれど、子孫が之れを傳聞してまた其子孫に語るに及びて、或ひは記憶の誤謬より或ひ
は附會に原因して、竟には眞實の髓を亡ひ、咄々竒恠の物語を長く口碑に傳へ存じて、鬼神史、神代記の基を拓く、是れ
世上の通則にしてまた恠むに足らずと雖も、事のこゝに到れるには別に原因のなきを得むや。今こゝろみに之れを思ふに、
其原因となりたるもの凡そ三條ありきと思はる。譬へば酋族次第に榮えて勢ひ強大になるに至れば、人の心のおのづから
傲りて、些々たる事をも巨大にいひなし、他の酋族に誇るものなり。かゝれば祖先の履歴の如きは、故意に附會の談を加
へていと大業にいひなすべし。是れ第一の原因なり。又人間はうまれながらに竒異を好むに切なるものなり。斯かれば別
に其要なくとも、假作の談話をつくりまうけて、史傳を誤ることあるべし。是れ第二の原因なり。而して國歩やうやく進
みて稍々文明の世界となりなば、其國君といはるゝやからは下賤の疋夫の成りあがりが我が大祖なりといはるゝをば快か
らぬことに思ひて、附會の説をつくりまうけて太祖の事蹟を粧はむとす。況んや是等の時代に於ては敬信の念深かるから
、故意に物語を假作せずとも自然に祖先を神といひなし、天孫なりきと思ふべきをや。是れなむ諸國に信じがたき神代史
などいふものある第三條の原因なりかし。斯かれば上古のミソロヂイ即ち鬼神誌といへるものは所謂竒異譚の濫觴にて、
其傳おほくは假作にいで若しくは訛傳になりたること元より疑ひなきに似たり。さはあれ所謂神代史(鬼神誌)はもとこ
れ眞實の物語にして決して遊戯の作にあらねば、後の所謂苛異譚とは其質ほとほと同じうして其用はまたいたく異なり。
蓋し謬信傳訛の久しき、後世の人其傳記の妄誕なるをば恠まざるなり。こゝをもて後の世の人此種の書を尊み信じて、曾
て小説視するものなきまゝ、恬然正史の巻はじめにいとうやうやしく之れをかゝげて、國家の権輿を穿鑿する好材料とな
すことゝなりけり。或ひは神代史を解釋して太古の竒異譚といふものあれども、こはまた甚だしき
>>小説くん
板違いです(ワラ
小説は假作物語の一種にして、所謂異譚の變體なり。竒異譚とは何ぞや。英國にてローマンスと名づくるものなり。
ローマンスは趣向を荒唐無稽の事物に取りて、竒恠百出もて篇をなし、尋常世界に見はれたる事物の道理に矛楯する
を敢て顧みざるものにぞある。小説即ちノベルに至りては之れと異なり、世の人情と風俗をば冩すを以て主腦となし、
平常世間にあるべきやうなる事柄をもて材料として而して趣向を設くるものなり。こは只概略の辯なるから、尚ほ解し
がたき由もあらめど、其詳細なる本義の如きは、暫く之を下囘に讓りて、まづ變遷の次第を説くべし。其倩々惟みるに、
小説、野乘の行はるゝは其源遠く?焉たる上古の時代にありといふべし。其然る所以を知らまくせば、試みに社會の淵源
に溯りて其状態を察せざる可らず。上古の社會の状態はいかにといふに、東西人おなじからず南北地異なるにも係らず、
一個の家長を尊崇して之れを酋族の長となすこと人間社會の通則なり。かゝれば戰鬪いと烈しく優勝劣敗急激なる未開野
蠻の上世にありては、猛然荒蕪の間に起りて俄かに一家の主長となり忽ち一族の首となるもの、或ひは少なしとなさゞる
なり。かゝる性質の家長にして已に酋族の首となりなば、其子孫らにものがたるに何等の事柄を以てする歟。想ふに己が
經驗なしたる艱難辛苦の事情はさらなり、其武功などを語りつべし。而して是等の物語は其人親しく經驗なし若しくは親
しく見聞せる眞實の事蹟に相違なけれど、子孫が之れを傳聞してまた其子孫に語るに及びて、或ひは記憶の誤謬より或ひ
は附會に原因して、竟には眞實の髓を亡ひ、咄々竒恠の物語を長く口碑に傳へ存じて、鬼神史、神代記の基を拓く、是れ
世上の通則にしてまた恠むに足らずと雖も、事のこゝに到れるには別に原因のなきを得むや。今こゝろみに之れを思ふに、
其原因となりたるもの凡そ三條ありきと思はる。譬へば酋族次第に榮えて勢ひ強大になるに至れば、人の心のおのづから
傲りて、些々たる事をも巨大にいひなし、他の酋族に誇るものなり。かゝれば祖先の履歴の如きは、故意に附會の談を加
へていと大業にいひなすべし。是れ第一の原因なり。又人間はうまれながらに竒異を好むに切なるものなり。斯かれば別
に其要なくとも、假作の談話をつくりまうけて、史傳を誤ることあるべし。是れ第二の原因なり。而して國歩やうやく進
みて稍々文明の世界となりなば、其國君といはるゝやからは下賤の疋夫の成りあがりが我が大祖なりといはるゝをば快か
らぬことに思ひて、附會の説をつくりまうけて太祖の事蹟を粧はむとす。況んや是等の時代に於ては敬信の念深かるから
、故意に物語を假作せずとも自然に祖先を神といひなし、天孫なりきと思ふべきをや。是れなむ諸國に信じがたき神代史
などいふものある第三條の原因なりかし。斯かれば上古のミソロヂイ即ち鬼神誌といへるものは所謂竒異譚の濫觴にて、
其傳おほくは假作にいで若しくは訛傳になりたること元より疑ひなきに似たり。さはあれ所謂神代史(鬼神誌)はもとこ
れ眞實の物語にして決して遊戯の作にあらねば、後の所謂苛異譚とは其質ほとほと同じうして其用はまたいたく異なり。
蓋し謬信傳訛の久しき、後世の人其傳記の妄誕なるをば恠まざるなり。こゝをもて後の世の人此種の書を尊み信じて、曾
て小説視するものなきまゝ、恬然正史の巻はじめにいとうやうやしく之れをかゝげて、國家の権輿を穿鑿する好材料とな
すことゝなりけり。或ひは神代史を解釋して太古の竒異譚といふものあれども、こはまた甚だしき
小説は假作物語の一種にして、所謂異譚の變體なり。竒異譚とは何ぞや。英國にてローマンスと名づくるものなり。
ローマンスは趣向を荒唐無稽の事物に取りて、竒恠百出もて篇をなし、尋常世界に見はれたる事物の道理に矛楯する
を敢て顧みざるものにぞある。小説即ちノベルに至りては之れと異なり、世の人情と風俗をば冩すを以て主腦となし、
平常世間にあるべきやうなる事柄をもて材料として而して趣向を設くるものなり。こは只概略の辯なるから、尚ほ解し
がたき由もあらめど、其詳細なる本義の如きは、暫く之を下囘に讓りて、まづ變遷の次第を説くべし。其倩々惟みるに、
小説、野乘の行はるゝは其源遠く?焉たる上古の時代にありといふべし。其然る所以を知らまくせば、試みに社會の淵源
に溯りて其状態を察せざる可らず。上古の社會の状態はいかにといふに、東西人おなじからず南北地異なるにも係らず、
一個の家長を尊崇して之れを酋族の長となすこと人間社會の通則なり。かゝれば戰鬪いと烈しく優勝劣敗急激なる未開野
蠻の上世にありては、猛然荒蕪の間に起りて俄かに一家の主長となり忽ち一族の首となるもの、或ひは少なしとなさゞる
なり。かゝる性質の家長にして已に酋族の首となりなば、其子孫らにものがたるに何等の事柄を以てする歟。想ふに己が
經驗なしたる艱難辛苦の事情はさらなり、其武功などを語りつべし。而して是等の物語は其人親しく經驗なし若しくは親
しく見聞せる眞實の事蹟に相違なけれど、子孫が之れを傳聞してまた其子孫に語るに及びて、或ひは記憶の誤謬より或ひ
は附會に原因して、竟には眞實の髓を亡ひ、咄々竒恠の物語を長く口碑に傳へ存じて、鬼神史、神代記の基を拓く、是れ
世上の通則にしてまた恠むに足らずと雖も、事のこゝに到れるには別に原因のなきを得むや。今こゝろみに之れを思ふに、
其原因となりたるもの凡そ三條ありきと思はる。譬へば酋族次第に榮えて勢ひ強大になるに至れば、人の心のおのづから
傲りて、些々たる事をも巨大にいひなし、他の酋族に誇るものなり。かゝれば祖先の履歴の如きは、故意に附會の談を加
へていと大業にいひなすべし。是れ第一の原因なり。又人間はうまれながらに竒異を好むに切なるものなり。斯かれば別
に其要なくとも、假作の談話をつくりまうけて、史傳を誤ることあるべし。是れ第二の原因なり。而して國歩やうやく進
みて稍々文明の世界となりなば、其國君といはるゝやからは下賤の疋夫の成りあがりが我が大祖なりといはるゝをば快か
らぬことに思ひて、附會の説をつくりまうけて太祖の事蹟を粧はむとす。況んや是等の時代に於ては敬信の念深かるから
、故意に物語を假作せずとも自然に祖先を神といひなし、天孫なりきと思ふべきをや。是れなむ諸國に信じがたき神代史
などいふものある第三條の原因なりかし。斯かれば上古のミソロヂイ即ち鬼神誌といへるものは所謂竒異譚の濫觴にて、
其傳おほくは假作にいで若しくは訛傳になりたること元より疑ひなきに似たり。さはあれ所謂神代史(鬼神誌)はもとこ
れ眞實の物語にして決して遊戯の作にあらねば、後の所謂苛異譚とは其質ほとほと同じうして其用はまたいたく異なり。
蓋し謬信傳訛の久しき、後世の人其傳記の妄誕なるをば恠まざるなり。こゝをもて後の世の人此種の書を尊み信じて、曾
て小説視するものなきまゝ、恬然正史の巻はじめにいとうやうやしく之れをかゝげて、國家の権輿を穿鑿する好材料とな
すことゝなりけり。或ひは神代史を解釋して太古の竒異譚といふものあれども、こはまた甚だしき
小説は假作物語の一種にして、所謂異譚の變體なり。竒異譚とは何ぞや。英國にてローマンスと名づくるものなり。
ローマンスは趣向を荒唐無稽の事物に取りて、竒恠百出もて篇をなし、尋常世界に見はれたる事物の道理に矛楯する
を敢て顧みざるものにぞある。小説即ちノベルに至りては之れと異なり、世の人情と風俗をば冩すを以て主腦となし、
平常世間にあるべきやうなる事柄をもて材料として而して趣向を設くるものなり。こは只概略の辯なるから、尚ほ解し
がたき由もあらめど、其詳細なる本義の如きは、暫く之を下囘に讓りて、まづ變遷の次第を説くべし。其倩々惟みるに、
小説、野乘の行はるゝは其源遠く?焉たる上古の時代にありといふべし。其然る所以を知らまくせば、試みに社會の淵源
に溯りて其状態を察せざる可らず。上古の社會の状態はいかにといふに、東西人おなじからず南北地異なるにも係らず、
一個の家長を尊崇して之れを酋族の長となすこと人間社會の通則なり。かゝれば戰鬪いと烈しく優勝劣敗急激なる未開野
蠻の上世にありては、猛然荒蕪の間に起りて俄かに一家の主長となり忽ち一族の首となるもの、或ひは少なしとなさゞる
なり。かゝる性質の家長にして已に酋族の首となりなば、其子孫らにものがたるに何等の事柄を以てする歟。想ふに己が
經驗なしたる艱難辛苦の事情はさらなり、其武功などを語りつべし。而して是等の物語は其人親しく經驗なし若しくは親
しく見聞せる眞實の事蹟に相違なけれど、子孫が之れを傳聞してまた其子孫に語るに及びて、或ひは記憶の誤謬より或ひ
は附會に原因して、竟には眞實の髓を亡ひ、咄々竒恠の物語を長く口碑に傳へ存じて、鬼神史、神代記の基を拓く、是れ
世上の通則にしてまた恠むに足らずと雖も、事のこゝに到れるには別に原因のなきを得むや。今こゝろみに之れを思ふに、
其原因となりたるもの凡そ三條ありきと思はる。譬へば酋族次第に榮えて勢ひ強大になるに至れば、人の心のおのづから
傲りて、些々たる事をも巨大にいひなし、他の酋族に誇るものなり。かゝれば祖先の履歴の如きは、故意に附會の談を加
へていと大業にいひなすべし。是れ第一の原因なり。又人間はうまれながらに竒異を好むに切なるものなり。斯かれば別
に其要なくとも、假作の談話をつくりまうけて、史傳を誤ることあるべし。是れ第二の原因なり。而して國歩やうやく進
みて稍々文明の世界となりなば、其國君といはるゝやからは下賤の疋夫の成りあがりが我が大祖なりといはるゝをば快か
らぬことに思ひて、附會の説をつくりまうけて太祖の事蹟を粧はむとす。況んや是等の時代に於ては敬信の念深かるから
、故意に物語を假作せずとも自然に祖先を神といひなし、天孫なりきと思ふべきをや。是れなむ諸國に信じがたき神代史
などいふものある第三條の原因なりかし。斯かれば上古のミソロヂイ即ち鬼神誌といへるものは所謂竒異譚の濫觴にて、
其傳おほくは假作にいで若しくは訛傳になりたること元より疑ひなきに似たり。さはあれ所謂神代史(鬼神誌)はもとこ
れ眞實の物語にして決して遊戯の作にあらねば、後の所謂苛異譚とは其質ほとほと同じうして其用はまたいたく異なり。
蓋し謬信傳訛の久しき、後世の人其傳記の妄誕なるをば恠まざるなり。こゝをもて後の世の人此種の書を尊み信じて、曾
て小説視するものなきまゝ、恬然正史の巻はじめにいとうやうやしく之れをかゝげて、國家の権輿を穿鑿する好材料とな
すことゝなりけり。或ひは神代史を解釋して太古の竒異譚といふものあれども、こはまた甚だしき
小説は假作物語の一種にして、所謂異譚の變體なり。竒異譚とは何ぞや。英國にてローマンスと名づくるものなり。
ローマンスは趣向を荒唐無稽の事物に取りて、竒恠百出もて篇をなし、尋常世界に見はれたる事物の道理に矛楯する
を敢て顧みざるものにぞある。小説即ちノベルに至りては之れと異なり、世の人情と風俗をば冩すを以て主腦となし、
平常世間にあるべきやうなる事柄をもて材料として而して趣向を設くるものなり。こは只概略の辯なるから、尚ほ解し
がたき由もあらめど、其詳細なる本義の如きは、暫く之を下囘に讓りて、まづ變遷の次第を説くべし。其倩々惟みるに、
小説、野乘の行はるゝは其源遠く?焉たる上古の時代にありといふべし。其然る所以を知らまくせば、試みに社會の淵源
に溯りて其状態を察せざる可らず。上古の社會の状態はいかにといふに、東西人おなじからず南北地異なるにも係らず、
一個の家長を尊崇して之れを酋族の長となすこと人間社會の通則なり。かゝれば戰鬪いと烈しく優勝劣敗急激なる未開野
蠻の上世にありては、猛然荒蕪の間に起りて俄かに一家の主長となり忽ち一族の首となるもの、或ひは少なしとなさゞる
なり。かゝる性質の家長にして已に酋族の首となりなば、其子孫らにものがたるに何等の事柄を以てする歟。想ふに己が
經驗なしたる艱難辛苦の事情はさらなり、其武功などを語りつべし。而して是等の物語は其人親しく經驗なし若しくは親
しく見聞せる眞實の事蹟に相違なけれど、子孫が之れを傳聞してまた其子孫に語るに及びて、或ひは記憶の誤謬より或ひ
は附會に原因して、竟には眞實の髓を亡ひ、咄々竒恠の物語を長く口碑に傳へ存じて、鬼神史、神代記の基を拓く、是れ
世上の通則にしてまた恠むに足らずと雖も、事のこゝに到れるには別に原因のなきを得むや。今こゝろみに之れを思ふに、
其原因となりたるもの凡そ三條ありきと思はる。譬へば酋族次第に榮えて勢ひ強大になるに至れば、人の心のおのづから
傲りて、些々たる事をも巨大にいひなし、他の酋族に誇るものなり。かゝれば祖先の履歴の如きは、故意に附會の談を加
へていと大業にいひなすべし。是れ第一の原因なり。又人間はうまれながらに竒異を好むに切なるものなり。斯かれば別
に其要なくとも、假作の談話をつくりまうけて、史傳を誤ることあるべし。是れ第二の原因なり。而して國歩やうやく進
みて稍々文明の世界となりなば、其國君といはるゝやからは下賤の疋夫の成りあがりが我が大祖なりといはるゝをば快か
らぬことに思ひて、附會の説をつくりまうけて太祖の事蹟を粧はむとす。況んや是等の時代に於ては敬信の念深かるから
、故意に物語を假作せずとも自然に祖先を神といひなし、天孫なりきと思ふべきをや。是れなむ諸國に信じがたき神代史
などいふものある第三條の原因なりかし。斯かれば上古のミソロヂイ即ち鬼神誌といへるものは所謂竒異譚の濫觴にて、
其傳おほくは假作にいで若しくは訛傳になりたること元より疑ひなきに似たり。さはあれ所謂神代史(鬼神誌)はもとこ
れ眞實の物語にして決して遊戯の作にあらねば、後の所謂苛異譚とは其質ほとほと同じうして其用はまたいたく異なり。
蓋し謬信傳訛の久しき、後世の人其傳記の妄誕なるをば恠まざるなり。こゝをもて後の世の人此種の書を尊み信じて、曾
て小説視するものなきまゝ、恬然正史の巻はじめにいとうやうやしく之れをかゝげて、國家の権輿を穿鑿する好材料とな
すことゝなりけり。或ひは神代史を解釋して太古の竒異譚といふものあれども、こはまた甚だしき
小説は假作物語の一種にして、所謂異譚の變體なり。竒異譚とは何ぞや。英國にてローマンスと名づくるものなり。
ローマンスは趣向を荒唐無稽の事物に取りて、竒恠百出もて篇をなし、尋常世界に見はれたる事物の道理に矛楯する
を敢て顧みざるものにぞある。小説即ちノベルに至りては之れと異なり、世の人情と風俗をば冩すを以て主腦となし、
平常世間にあるべきやうなる事柄をもて材料として而して趣向を設くるものなり。こは只概略の辯なるから、尚ほ解し
がたき由もあらめど、其詳細なる本義の如きは、暫く之を下囘に讓りて、まづ變遷の次第を説くべし。其倩々惟みるに、
小説、野乘の行はるゝは其源遠く?焉たる上古の時代にありといふべし。其然る所以を知らまくせば、試みに社會の淵源
に溯りて其状態を察せざる可らず。上古の社會の状態はいかにといふに、東西人おなじからず南北地異なるにも係らず、
一個の家長を尊崇して之れを酋族の長となすこと人間社會の通則なり。かゝれば戰鬪いと烈しく優勝劣敗急激なる未開野
蠻の上世にありては、猛然荒蕪の間に起りて俄かに一家の主長となり忽ち一族の首となるもの、或ひは少なしとなさゞる
なり。かゝる性質の家長にして已に酋族の首となりなば、其子孫らにものがたるに何等の事柄を以てする歟。想ふに己が
經驗なしたる艱難辛苦の事情はさらなり、其武功などを語りつべし。而して是等の物語は其人親しく經驗なし若しくは親
しく見聞せる眞實の事蹟に相違なけれど、子孫が之れを傳聞してまた其子孫に語るに及びて、或ひは記憶の誤謬より或ひ
は附會に原因して、竟には眞實の髓を亡ひ、咄々竒恠の物語を長く口碑に傳へ存じて、鬼神史、神代記の基を拓く、是れ
世上の通則にしてまた恠むに足らずと雖も、事のこゝに到れるには別に原因のなきを得むや。今こゝろみに之れを思ふに、
其原因となりたるもの凡そ三條ありきと思はる。譬へば酋族次第に榮えて勢ひ強大になるに至れば、人の心のおのづから
傲りて、些々たる事をも巨大にいひなし、他の酋族に誇るものなり。かゝれば祖先の履歴の如きは、故意に附會の談を加
へていと大業にいひなすべし。是れ第一の原因なり。又人間はうまれながらに竒異を好むに切なるものなり。斯かれば別
に其要なくとも、假作の談話をつくりまうけて、史傳を誤ることあるべし。是れ第二の原因なり。而して國歩やうやく進
みて稍々文明の世界となりなば、其國君といはるゝやからは下賤の疋夫の成りあがりが我が大祖なりといはるゝをば快か
らぬことに思ひて、附會の説をつくりまうけて太祖の事蹟を粧はむとす。況んや是等の時代に於ては敬信の念深かるから
、故意に物語を假作せずとも自然に祖先を神といひなし、天孫なりきと思ふべきをや。是れなむ諸國に信じがたき神代史
などいふものある第三條の原因なりかし。斯かれば上古のミソロヂイ即ち鬼神誌といへるものは所謂竒異譚の濫觴にて、
其傳おほくは假作にいで若しくは訛傳になりたること元より疑ひなきに似たり。さはあれ所謂神代史(鬼神誌)はもとこ
れ眞實の物語にして決して遊戯の作にあらねば、後の所謂苛異譚とは其質ほとほと同じうして其用はまたいたく異なり。
蓋し謬信傳訛の久しき、後世の人其傳記の妄誕なるをば恠まざるなり。こゝをもて後の世の人此種の書を尊み信じて、曾
て小説視するものなきまゝ、恬然正史の巻はじめにいとうやうやしく之れをかゝげて、國家の権輿を穿鑿する好材料とな
すことゝなりけり。或ひは神代史を解釋して太古の竒異譚といふものあれども、こはまた甚だしき
小説は假作物語の一種にして、所謂異譚の變體なり。竒異譚とは何ぞや。英國にてローマンスと名づくるものなり。
ローマンスは趣向を荒唐無稽の事物に取りて、竒恠百出もて篇をなし、尋常世界に見はれたる事物の道理に矛楯する
を敢て顧みざるものにぞある。小説即ちノベルに至りては之れと異なり、世の人情と風俗をば冩すを以て主腦となし、
平常世間にあるべきやうなる事柄をもて材料として而して趣向を設くるものなり。こは只概略の辯なるから、尚ほ解し
がたき由もあらめど、其詳細なる本義の如きは、暫く之を下囘に讓りて、まづ變遷の次第を説くべし。其倩々惟みるに、
小説、野乘の行はるゝは其源遠く?焉たる上古の時代にありといふべし。其然る所以を知らまくせば、試みに社會の淵源
に溯りて其状態を察せざる可らず。上古の社會の状態はいかにといふに、東西人おなじからず南北地異なるにも係らず、
一個の家長を尊崇して之れを酋族の長となすこと人間社會の通則なり。かゝれば戰鬪いと烈しく優勝劣敗急激なる未開野
蠻の上世にありては、猛然荒蕪の間に起りて俄かに一家の主長となり忽ち一族の首となるもの、或ひは少なしとなさゞる
なり。かゝる性質の家長にして已に酋族の首となりなば、其子孫らにものがたるに何等の事柄を以てする歟。想ふに己が
經驗なしたる艱難辛苦の事情はさらなり、其武功などを語りつべし。而して是等の物語は其人親しく經驗なし若しくは親
しく見聞せる眞實の事蹟に相違なけれど、子孫が之れを傳聞してまた其子孫に語るに及びて、或ひは記憶の誤謬より或ひ
は附會に原因して、竟には眞實の髓を亡ひ、咄々竒恠の物語を長く口碑に傳へ存じて、鬼神史、神代記の基を拓く、是れ
世上の通則にしてまた恠むに足らずと雖も、事のこゝに到れるには別に原因のなきを得むや。今こゝろみに之れを思ふに、
其原因となりたるもの凡そ三條ありきと思はる。譬へば酋族次第に榮えて勢ひ強大になるに至れば、人の心のおのづから
傲りて、些々たる事をも巨大にいひなし、他の酋族に誇るものなり。かゝれば祖先の履歴の如きは、故意に附會の談を加
へていと大業にいひなすべし。是れ第一の原因なり。又人間はうまれながらに竒異を好むに切なるものなり。斯かれば別
に其要なくとも、假作の談話をつくりまうけて、史傳を誤ることあるべし。是れ第二の原因なり。而して國歩やうやく進
みて稍々文明の世界となりなば、其國君といはるゝやからは下賤の疋夫の成りあがりが我が大祖なりといはるゝをば快か
らぬことに思ひて、附會の説をつくりまうけて太祖の事蹟を粧はむとす。況んや是等の時代に於ては敬信の念深かるから
、故意に物語を假作せずとも自然に祖先を神といひなし、天孫なりきと思ふべきをや。是れなむ諸國に信じがたき神代史
などいふものある第三條の原因なりかし。斯かれば上古のミソロヂイ即ち鬼神誌といへるものは所謂竒異譚の濫觴にて、
其傳おほくは假作にいで若しくは訛傳になりたること元より疑ひなきに似たり。さはあれ所謂神代史(鬼神誌)はもとこ
れ眞實の物語にして決して遊戯の作にあらねば、後の所謂苛異譚とは其質ほとほと同じうして其用はまたいたく異なり。
蓋し謬信傳訛の久しき、後世の人其傳記の妄誕なるをば恠まざるなり。こゝをもて後の世の人此種の書を尊み信じて、曾
て小説視するものなきまゝ、恬然正史の巻はじめにいとうやうやしく之れをかゝげて、國家の権輿を穿鑿する好材料とな
すことゝなりけり。或ひは神代史を解釋して太古の竒異譚といふものあれども、こはまた甚だしき
小説は假作物語の一種にして、所謂異譚の變體なり。竒異譚とは何ぞや。英國にてローマンスと名づくるものなり。
ローマンスは趣向を荒唐無稽の事物に取りて、竒恠百出もて篇をなし、尋常世界に見はれたる事物の道理に矛楯する
を敢て顧みざるものにぞある。小説即ちノベルに至りては之れと異なり、世の人情と風俗をば冩すを以て主腦となし、
平常世間にあるべきやうなる事柄をもて材料として而して趣向を設くるものなり。こは只概略の辯なるから、尚ほ解し
がたき由もあらめど、其詳細なる本義の如きは、暫く之を下囘に讓りて、まづ變遷の次第を説くべし。其倩々惟みるに、
小説、野乘の行はるゝは其源遠く?焉たる上古の時代にありといふべし。其然る所以を知らまくせば、試みに社會の淵源
に溯りて其状態を察せざる可らず。上古の社會の状態はいかにといふに、東西人おなじからず南北地異なるにも係らず、
一個の家長を尊崇して之れを酋族の長となすこと人間社會の通則なり。かゝれば戰鬪いと烈しく優勝劣敗急激なる未開野
蠻の上世にありては、猛然荒蕪の間に起りて俄かに一家の主長となり忽ち一族の首となるもの、或ひは少なしとなさゞる
なり。かゝる性質の家長にして已に酋族の首となりなば、其子孫らにものがたるに何等の事柄を以てする歟。想ふに己が
經驗なしたる艱難辛苦の事情はさらなり、其武功などを語りつべし。而して是等の物語は其人親しく經驗なし若しくは親
しく見聞せる眞實の事蹟に相違なけれど、子孫が之れを傳聞してまた其子孫に語るに及びて、或ひは記憶の誤謬より或ひ
は附會に原因して、竟には眞實の髓を亡ひ、咄々竒恠の物語を長く口碑に傳へ存じて、鬼神史、神代記の基を拓く、是れ
世上の通則にしてまた恠むに足らずと雖も、事のこゝに到れるには別に原因のなきを得むや。今こゝろみに之れを思ふに、
其原因となりたるもの凡そ三條ありきと思はる。譬へば酋族次第に榮えて勢ひ強大になるに至れば、人の心のおのづから
傲りて、些々たる事をも巨大にいひなし、他の酋族に誇るものなり。かゝれば祖先の履歴の如きは、故意に附會の談を加
へていと大業にいひなすべし。是れ第一の原因なり。又人間はうまれながらに竒異を好むに切なるものなり。斯かれば別
に其要なくとも、假作の談話をつくりまうけて、史傳を誤ることあるべし。是れ第二の原因なり。而して國歩やうやく進
みて稍々文明の世界となりなば、其國君といはるゝやからは下賤の疋夫の成りあがりが我が大祖なりといはるゝをば快か
らぬことに思ひて、附會の説をつくりまうけて太祖の事蹟を粧はむとす。況んや是等の時代に於ては敬信の念深かるから
、故意に物語を假作せずとも自然に祖先を神といひなし、天孫なりきと思ふべきをや。是れなむ諸國に信じがたき神代史
などいふものある第三條の原因なりかし。斯かれば上古のミソロヂイ即ち鬼神誌といへるものは所謂竒異譚の濫觴にて、
其傳おほくは假作にいで若しくは訛傳になりたること元より疑ひなきに似たり。さはあれ所謂神代史(鬼神誌)はもとこ
れ眞實の物語にして決して遊戯の作にあらねば、後の所謂苛異譚とは其質ほとほと同じうして其用はまたいたく異なり。
蓋し謬信傳訛の久しき、後世の人其傳記の妄誕なるをば恠まざるなり。こゝをもて後の世の人此種の書を尊み信じて、曾
て小説視するものなきまゝ、恬然正史の巻はじめにいとうやうやしく之れをかゝげて、國家の権輿を穿鑿する好材料とな
すことゝなりけり。或ひは神代史を解釋して太古の竒異譚といふものあれども、こはまた甚だしき
小説は假作物語の一種にして、所謂異譚の變體なり。竒異譚とは何ぞや。英國にてローマンスと名づくるものなり。
ローマンスは趣向を荒唐無稽の事物に取りて、竒恠百出もて篇をなし、尋常世界に見はれたる事物の道理に矛楯する
を敢て顧みざるものにぞある。小説即ちノベルに至りては之れと異なり、世の人情と風俗をば冩すを以て主腦となし、
平常世間にあるべきやうなる事柄をもて材料として而して趣向を設くるものなり。こは只概略の辯なるから、尚ほ解し
がたき由もあらめど、其詳細なる本義の如きは、暫く之を下囘に讓りて、まづ變遷の次第を説くべし。其倩々惟みるに、
小説、野乘の行はるゝは其源遠く?焉たる上古の時代にありといふべし。其然る所以を知らまくせば、試みに社會の淵源
に溯りて其状態を察せざる可らず。上古の社會の状態はいかにといふに、東西人おなじからず南北地異なるにも係らず、
一個の家長を尊崇して之れを酋族の長となすこと人間社會の通則なり。かゝれば戰鬪いと烈しく優勝劣敗急激なる未開野
蠻の上世にありては、猛然荒蕪の間に起りて俄かに一家の主長となり忽ち一族の首となるもの、或ひは少なしとなさゞる
なり。かゝる性質の家長にして已に酋族の首となりなば、其子孫らにものがたるに何等の事柄を以てする歟。想ふに己が
經驗なしたる艱難辛苦の事情はさらなり、其武功などを語りつべし。而して是等の物語は其人親しく經驗なし若しくは親
しく見聞せる眞實の事蹟に相違なけれど、子孫が之れを傳聞してまた其子孫に語るに及びて、或ひは記憶の誤謬より或ひ
は附會に原因して、竟には眞實の髓を亡ひ、咄々竒恠の物語を長く口碑に傳へ存じて、鬼神史、神代記の基を拓く、是れ
世上の通則にしてまた恠むに足らずと雖も、事のこゝに到れるには別に原因のなきを得むや。今こゝろみに之れを思ふに、
其原因となりたるもの凡そ三條ありきと思はる。譬へば酋族次第に榮えて勢ひ強大になるに至れば、人の心のおのづから
傲りて、些々たる事をも巨大にいひなし、他の酋族に誇るものなり。かゝれば祖先の履歴の如きは、故意に附會の談を加
へていと大業にいひなすべし。是れ第一の原因なり。又人間はうまれながらに竒異を好むに切なるものなり。斯かれば別
に其要なくとも、假作の談話をつくりまうけて、史傳を誤ることあるべし。是れ第二の原因なり。而して國歩やうやく進
みて稍々文明の世界となりなば、其國君といはるゝやからは下賤の疋夫の成りあがりが我が大祖なりといはるゝをば快か
らぬことに思ひて、附會の説をつくりまうけて太祖の事蹟を粧はむとす。況んや是等の時代に於ては敬信の念深かるから
、故意に物語を假作せずとも自然に祖先を神といひなし、天孫なりきと思ふべきをや。是れなむ諸國に信じがたき神代史
などいふものある第三條の原因なりかし。斯かれば上古のミソロヂイ即ち鬼神誌といへるものは所謂竒異譚の濫觴にて、
其傳おほくは假作にいで若しくは訛傳になりたること元より疑ひなきに似たり。さはあれ所謂神代史(鬼神誌)はもとこ
れ眞實の物語にして決して遊戯の作にあらねば、後の所謂苛異譚とは其質ほとほと同じうして其用はまたいたく異なり。
蓋し謬信傳訛の久しき、後世の人其傳記の妄誕なるをば恠まざるなり。こゝをもて後の世の人此種の書を尊み信じて、曾
て小説視するものなきまゝ、恬然正史の巻はじめにいとうやうやしく之れをかゝげて、國家の権輿を穿鑿する好材料とな
すことゝなりけり。或ひは神代史を解釋して太古の竒異譚といふものあれども、こはまた甚だしき
小説は假作物語の一種にして、所謂異譚の變體なり。竒異譚とは何ぞや。英國にてローマンスと名づくるものなり。
ローマンスは趣向を荒唐無稽の事物に取りて、竒恠百出もて篇をなし、尋常世界に見はれたる事物の道理に矛楯する
を敢て顧みざるものにぞある。小説即ちノベルに至りては之れと異なり、世の人情と風俗をば冩すを以て主腦となし、
平常世間にあるべきやうなる事柄をもて材料として而して趣向を設くるものなり。こは只概略の辯なるから、尚ほ解し
がたき由もあらめど、其詳細なる本義の如きは、暫く之を下囘に讓りて、まづ變遷の次第を説くべし。其倩々惟みるに、
小説、野乘の行はるゝは其源遠く?焉たる上古の時代にありといふべし。其然る所以を知らまくせば、試みに社會の淵源
に溯りて其状態を察せざる可らず。上古の社會の状態はいかにといふに、東西人おなじからず南北地異なるにも係らず、
一個の家長を尊崇して之れを酋族の長となすこと人間社會の通則なり。かゝれば戰鬪いと烈しく優勝劣敗急激なる未開野
蠻の上世にありては、猛然荒蕪の間に起りて俄かに一家の主長となり忽ち一族の首となるもの、或ひは少なしとなさゞる
なり。かゝる性質の家長にして已に酋族の首となりなば、其子孫らにものがたるに何等の事柄を以てする歟。想ふに己が
經驗なしたる艱難辛苦の事情はさらなり、其武功などを語りつべし。而して是等の物語は其人親しく經驗なし若しくは親
しく見聞せる眞實の事蹟に相違なけれど、子孫が之れを傳聞してまた其子孫に語るに及びて、或ひは記憶の誤謬より或ひ
は附會に原因して、竟には眞實の髓を亡ひ、咄々竒恠の物語を長く口碑に傳へ存じて、鬼神史、神代記の基を拓く、是れ
世上の通則にしてまた恠むに足らずと雖も、事のこゝに到れるには別に原因のなきを得むや。今こゝろみに之れを思ふに、
其原因となりたるもの凡そ三條ありきと思はる。譬へば酋族次第に榮えて勢ひ強大になるに至れば、人の心のおのづから
傲りて、些々たる事をも巨大にいひなし、他の酋族に誇るものなり。かゝれば祖先の履歴の如きは、故意に附會の談を加
へていと大業にいひなすべし。是れ第一の原因なり。又人間はうまれながらに竒異を好むに切なるものなり。斯かれば別
に其要なくとも、假作の談話をつくりまうけて、史傳を誤ることあるべし。是れ第二の原因なり。而して國歩やうやく進
みて稍々文明の世界となりなば、其國君といはるゝやからは下賤の疋夫の成りあがりが我が大祖なりといはるゝをば快か
らぬことに思ひて、附會の説をつくりまうけて太祖の事蹟を粧はむとす。況んや是等の時代に於ては敬信の念深かるから
、故意に物語を假作せずとも自然に祖先を神といひなし、天孫なりきと思ふべきをや。是れなむ諸國に信じがたき神代史
などいふものある第三條の原因なりかし。斯かれば上古のミソロヂイ即ち鬼神誌といへるものは所謂竒異譚の濫觴にて、
其傳おほくは假作にいで若しくは訛傳になりたること元より疑ひなきに似たり。さはあれ所謂神代史(鬼神誌)はもとこ
れ眞實の物語にして決して遊戯の作にあらねば、後の所謂苛異譚とは其質ほとほと同じうして其用はまたいたく異なり。
蓋し謬信傳訛の久しき、後世の人其傳記の妄誕なるをば恠まざるなり。こゝをもて後の世の人此種の書を尊み信じて、曾
て小説視するものなきまゝ、恬然正史の巻はじめにいとうやうやしく之れをかゝげて、國家の権輿を穿鑿する好材料とな
すことゝなりけり。或ひは神代史を解釋して太古の竒異譚といふものあれども、こはまた甚だしき
小説は假作物語の一種にして、所謂異譚の變體なり。竒異譚とは何ぞや。英國にてローマンスと名づくるものなり。
ローマンスは趣向を荒唐無稽の事物に取りて、竒恠百出もて篇をなし、尋常世界に見はれたる事物の道理に矛楯する
を敢て顧みざるものにぞある。小説即ちノベルに至りては之れと異なり、世の人情と風俗をば冩すを以て主腦となし、
平常世間にあるべきやうなる事柄をもて材料として而して趣向を設くるものなり。こは只概略の辯なるから、尚ほ解し
がたき由もあらめど、其詳細なる本義の如きは、暫く之を下囘に讓りて、まづ變遷の次第を説くべし。其倩々惟みるに、
小説、野乘の行はるゝは其源遠く?焉たる上古の時代にありといふべし。其然る所以を知らまくせば、試みに社會の淵源
に溯りて其状態を察せざる可らず。上古の社會の状態はいかにといふに、東西人おなじからず南北地異なるにも係らず、
一個の家長を尊崇して之れを酋族の長となすこと人間社會の通則なり。かゝれば戰鬪いと烈しく優勝劣敗急激なる未開野
蠻の上世にありては、猛然荒蕪の間に起りて俄かに一家の主長となり忽ち一族の首となるもの、或ひは少なしとなさゞる
なり。かゝる性質の家長にして已に酋族の首となりなば、其子孫らにものがたるに何等の事柄を以てする歟。想ふに己が
經驗なしたる艱難辛苦の事情はさらなり、其武功などを語りつべし。而して是等の物語は其人親しく經驗なし若しくは親
しく見聞せる眞實の事蹟に相違なけれど、子孫が之れを傳聞してまた其子孫に語るに及びて、或ひは記憶の誤謬より或ひ
は附會に原因して、竟には眞實の髓を亡ひ、咄々竒恠の物語を長く口碑に傳へ存じて、鬼神史、神代記の基を拓く、是れ
世上の通則にしてまた恠むに足らずと雖も、事のこゝに到れるには別に原因のなきを得むや。今こゝろみに之れを思ふに、
其原因となりたるもの凡そ三條ありきと思はる。譬へば酋族次第に榮えて勢ひ強大になるに至れば、人の心のおのづから
傲りて、些々たる事をも巨大にいひなし、他の酋族に誇るものなり。かゝれば祖先の履歴の如きは、故意に附會の談を加
へていと大業にいひなすべし。是れ第一の原因なり。又人間はうまれながらに竒異を好むに切なるものなり。斯かれば別
に其要なくとも、假作の談話をつくりまうけて、史傳を誤ることあるべし。是れ第二の原因なり。而して國歩やうやく進
みて稍々文明の世界となりなば、其國君といはるゝやからは下賤の疋夫の成りあがりが我が大祖なりといはるゝをば快か
らぬことに思ひて、附會の説をつくりまうけて太祖の事蹟を粧はむとす。況んや是等の時代に於ては敬信の念深かるから
、故意に物語を假作せずとも自然に祖先を神といひなし、天孫なりきと思ふべきをや。是れなむ諸國に信じがたき神代史
などいふものある第三條の原因なりかし。斯かれば上古のミソロヂイ即ち鬼神誌といへるものは所謂竒異譚の濫觴にて、
其傳おほくは假作にいで若しくは訛傳になりたること元より疑ひなきに似たり。さはあれ所謂神代史(鬼神誌)はもとこ
れ眞實の物語にして決して遊戯の作にあらねば、後の所謂苛異譚とは其質ほとほと同じうして其用はまたいたく異なり。
蓋し謬信傳訛の久しき、後世の人其傳記の妄誕なるをば恠まざるなり。こゝをもて後の世の人此種の書を尊み信じて、曾
て小説視するものなきまゝ、恬然正史の巻はじめにいとうやうやしく之れをかゝげて、國家の権輿を穿鑿する好材料とな
すことゝなりけり。或ひは神代史を解釋して太古の竒異譚といふものあれども、こはまた甚だしき
小説は假作物語の一種にして、所謂異譚の變體なり。竒異譚とは何ぞや。英國にてローマンスと名づくるものなり。
ローマンスは趣向を荒唐無稽の事物に取りて、竒恠百出もて篇をなし、尋常世界に見はれたる事物の道理に矛楯する
を敢て顧みざるものにぞある。小説即ちノベルに至りては之れと異なり、世の人情と風俗をば冩すを以て主腦となし、
平常世間にあるべきやうなる事柄をもて材料として而して趣向を設くるものなり。こは只概略の辯なるから、尚ほ解し
がたき由もあらめど、其詳細なる本義の如きは、暫く之を下囘に讓りて、まづ變遷の次第を説くべし。其倩々惟みるに、
小説、野乘の行はるゝは其源遠く?焉たる上古の時代にありといふべし。其然る所以を知らまくせば、試みに社會の淵源
に溯りて其状態を察せざる可らず。上古の社會の状態はいかにといふに、東西人おなじからず南北地異なるにも係らず、
一個の家長を尊崇して之れを酋族の長となすこと人間社會の通則なり。かゝれば戰鬪いと烈しく優勝劣敗急激なる未開野
蠻の上世にありては、猛然荒蕪の間に起りて俄かに一家の主長となり忽ち一族の首となるもの、或ひは少なしとなさゞる
なり。かゝる性質の家長にして已に酋族の首となりなば、其子孫らにものがたるに何等の事柄を以てする歟。想ふに己が
經驗なしたる艱難辛苦の事情はさらなり、其武功などを語りつべし。而して是等の物語は其人親しく經驗なし若しくは親
しく見聞せる眞實の事蹟に相違なけれど、子孫が之れを傳聞してまた其子孫に語るに及びて、或ひは記憶の誤謬より或ひ
は附會に原因して、竟には眞實の髓を亡ひ、咄々竒恠の物語を長く口碑に傳へ存じて、鬼神史、神代記の基を拓く、是れ
世上の通則にしてまた恠むに足らずと雖も、事のこゝに到れるには別に原因のなきを得むや。今こゝろみに之れを思ふに、
其原因となりたるもの凡そ三條ありきと思はる。譬へば酋族次第に榮えて勢ひ強大になるに至れば、人の心のおのづから
傲りて、些々たる事をも巨大にいひなし、他の酋族に誇るものなり。かゝれば祖先の履歴の如きは、故意に附會の談を加
へていと大業にいひなすべし。是れ第一の原因なり。又人間はうまれながらに竒異を好むに切なるものなり。斯かれば別
に其要なくとも、假作の談話をつくりまうけて、史傳を誤ることあるべし。是れ第二の原因なり。而して國歩やうやく進
みて稍々文明の世界となりなば、其國君といはるゝやからは下賤の疋夫の成りあがりが我が大祖なりといはるゝをば快か
らぬことに思ひて、附會の説をつくりまうけて太祖の事蹟を粧はむとす。況んや是等の時代に於ては敬信の念深かるから
、故意に物語を假作せずとも自然に祖先を神といひなし、天孫なりきと思ふべきをや。是れなむ諸國に信じがたき神代史
などいふものある第三條の原因なりかし。斯かれば上古のミソロヂイ即ち鬼神誌といへるものは所謂竒異譚の濫觴にて、
其傳おほくは假作にいで若しくは訛傳になりたること元より疑ひなきに似たり。さはあれ所謂神代史(鬼神誌)はもとこ
れ眞實の物語にして決して遊戯の作にあらねば、後の所謂苛異譚とは其質ほとほと同じうして其用はまたいたく異なり。
蓋し謬信傳訛の久しき、後世の人其傳記の妄誕なるをば恠まざるなり。こゝをもて後の世の人此種の書を尊み信じて、曾
て小説視するものなきまゝ、恬然正史の巻はじめにいとうやうやしく之れをかゝげて、國家の権輿を穿鑿する好材料とな
すことゝなりけり。或ひは神代史を解釋して太古の竒異譚といふものあれども、こはまた甚だしき
小説は假作物語の一種にして、所謂異譚の變體なり。竒異譚とは何ぞや。英國にてローマンスと名づくるものなり。
ローマンスは趣向を荒唐無稽の事物に取りて、竒恠百出もて篇をなし、尋常世界に見はれたる事物の道理に矛楯する
を敢て顧みざるものにぞある。小説即ちノベルに至りては之れと異なり、世の人情と風俗をば冩すを以て主腦となし、
平常世間にあるべきやうなる事柄をもて材料として而して趣向を設くるものなり。こは只概略の辯なるから、尚ほ解し
がたき由もあらめど、其詳細なる本義の如きは、暫く之を下囘に讓りて、まづ變遷の次第を説くべし。其倩々惟みるに、
小説、野乘の行はるゝは其源遠く?焉たる上古の時代にありといふべし。其然る所以を知らまくせば、試みに社會の淵源
に溯りて其状態を察せざる可らず。上古の社會の状態はいかにといふに、東西人おなじからず南北地異なるにも係らず、
一個の家長を尊崇して之れを酋族の長となすこと人間社會の通則なり。かゝれば戰鬪いと烈しく優勝劣敗急激なる未開野
蠻の上世にありては、猛然荒蕪の間に起りて俄かに一家の主長となり忽ち一族の首となるもの、或ひは少なしとなさゞる
なり。かゝる性質の家長にして已に酋族の首となりなば、其子孫らにものがたるに何等の事柄を以てする歟。想ふに己が
經驗なしたる艱難辛苦の事情はさらなり、其武功などを語りつべし。而して是等の物語は其人親しく經驗なし若しくは親
しく見聞せる眞實の事蹟に相違なけれど、子孫が之れを傳聞してまた其子孫に語るに及びて、或ひは記憶の誤謬より或ひ
は附會に原因して、竟には眞實の髓を亡ひ、咄々竒恠の物語を長く口碑に傳へ存じて、鬼神史、神代記の基を拓く、是れ
世上の通則にしてまた恠むに足らずと雖も、事のこゝに到れるには別に原因のなきを得むや。今こゝろみに之れを思ふに、
其原因となりたるもの凡そ三條ありきと思はる。譬へば酋族次第に榮えて勢ひ強大になるに至れば、人の心のおのづから
傲りて、些々たる事をも巨大にいひなし、他の酋族に誇るものなり。かゝれば祖先の履歴の如きは、故意に附會の談を加
へていと大業にいひなすべし。是れ第一の原因なり。又人間はうまれながらに竒異を好むに切なるものなり。斯かれば別
に其要なくとも、假作の談話をつくりまうけて、史傳を誤ることあるべし。是れ第二の原因なり。而して國歩やうやく進
みて稍々文明の世界となりなば、其國君といはるゝやからは下賤の疋夫の成りあがりが我が大祖なりといはるゝをば快か
らぬことに思ひて、附會の説をつくりまうけて太祖の事蹟を粧はむとす。況んや是等の時代に於ては敬信の念深かるから
、故意に物語を假作せずとも自然に祖先を神といひなし、天孫なりきと思ふべきをや。是れなむ諸國に信じがたき神代史
などいふものある第三條の原因なりかし。斯かれば上古のミソロヂイ即ち鬼神誌といへるものは所謂竒異譚の濫觴にて、
其傳おほくは假作にいで若しくは訛傳になりたること元より疑ひなきに似たり。さはあれ所謂神代史(鬼神誌)はもとこ
れ眞實の物語にして決して遊戯の作にあらねば、後の所謂苛異譚とは其質ほとほと同じうして其用はまたいたく異なり。
蓋し謬信傳訛の久しき、後世の人其傳記の妄誕なるをば恠まざるなり。こゝをもて後の世の人此種の書を尊み信じて、曾
て小説視するものなきまゝ、恬然正史の巻はじめにいとうやうやしく之れをかゝげて、國家の権輿を穿鑿する好材料とな
すことゝなりけり。或ひは神代史を解釋して太古の竒異譚といふものあれども、こはまた甚だしき
板違い云々以前に、人間として間違ってるな>荒らし
小説は假作物語の一種にして、所謂異譚の變體なり。竒異譚とは何ぞや。英國にてローマンスと名づくるものなり。
ローマンスは趣向を荒唐無稽の事物に取りて、竒恠百出もて篇をなし、尋常世界に見はれたる事物の道理に矛楯する
を敢て顧みざるものにぞある。小説即ちノベルに至りては之れと異なり、世の人情と風俗をば冩すを以て主腦となし、
平常世間にあるべきやうなる事柄をもて材料として而して趣向を設くるものなり。こは只概略の辯なるから、尚ほ解し
がたき由もあらめど、其詳細なる本義の如きは、暫く之を下囘に讓りて、まづ變遷の次第を説くべし。其倩々惟みるに、
小説、野乘の行はるゝは其源遠く?焉たる上古の時代にありといふべし。其然る所以を知らまくせば、試みに社會の淵源
に溯りて其状態を察せざる可らず。上古の社會の状態はいかにといふに、東西人おなじからず南北地異なるにも係らず、
一個の家長を尊崇して之れを酋族の長となすこと人間社會の通則なり。かゝれば戰鬪いと烈しく優勝劣敗急激なる未開野
蠻の上世にありては、猛然荒蕪の間に起りて俄かに一家の主長となり忽ち一族の首となるもの、或ひは少なしとなさゞる
なり。かゝる性質の家長にして已に酋族の首となりなば、其子孫らにものがたるに何等の事柄を以てする歟。想ふに己が
經驗なしたる艱難辛苦の事情はさらなり、其武功などを語りつべし。而して是等の物語は其人親しく經驗なし若しくは親
しく見聞せる眞實の事蹟に相違なけれど、子孫が之れを傳聞してまた其子孫に語るに及びて、或ひは記憶の誤謬より或ひ
は附會に原因して、竟には眞實の髓を亡ひ、咄々竒恠の物語を長く口碑に傳へ存じて、鬼神史、神代記の基を拓く、是れ
世上の通則にしてまた恠むに足らずと雖も、事のこゝに到れるには別に原因のなきを得むや。今こゝろみに之れを思ふに、
其原因となりたるもの凡そ三條ありきと思はる。譬へば酋族次第に榮えて勢ひ強大になるに至れば、人の心のおのづから
傲りて、些々たる事をも巨大にいひなし、他の酋族に誇るものなり。かゝれば祖先の履歴の如きは、故意に附會の談を加
へていと大業にいひなすべし。是れ第一の原因なり。又人間はうまれながらに竒異を好むに切なるものなり。斯かれば別
に其要なくとも、假作の談話をつくりまうけて、史傳を誤ることあるべし。是れ第二の原因なり。而して國歩やうやく進
みて稍々文明の世界となりなば、其國君といはるゝやからは下賤の疋夫の成りあがりが我が大祖なりといはるゝをば快か
らぬことに思ひて、附會の説をつくりまうけて太祖の事蹟を粧はむとす。況んや是等の時代に於ては敬信の念深かるから
、故意に物語を假作せずとも自然に祖先を神といひなし、天孫なりきと思ふべきをや。是れなむ諸國に信じがたき神代史
などいふものある第三條の原因なりかし。斯かれば上古のミソロヂイ即ち鬼神誌といへるものは所謂竒異譚の濫觴にて、
其傳おほくは假作にいで若しくは訛傳になりたること元より疑ひなきに似たり。さはあれ所謂神代史(鬼神誌)はもとこ
れ眞實の物語にして決して遊戯の作にあらねば、後の所謂苛異譚とは其質ほとほと同じうして其用はまたいたく異なり。
蓋し謬信傳訛の久しき、後世の人其傳記の妄誕なるをば恠まざるなり。こゝをもて後の世の人此種の書を尊み信じて、曾
て小説視するものなきまゝ、恬然正史の巻はじめにいとうやうやしく之れをかゝげて、國家の権輿を穿鑿する好材料とな
すことゝなりけり。或ひは神代史を解釋して太古の竒異譚といふものあれども、こはまた甚だしき
小説は假作物語の一種にして、所謂異譚の變體なり。竒異譚とは何ぞや。英國にてローマンスと名づくるものなり。
ローマンスは趣向を荒唐無稽の事物に取りて、竒恠百出もて篇をなし、尋常世界に見はれたる事物の道理に矛楯する
を敢て顧みざるものにぞある。小説即ちノベルに至りては之れと異なり、世の人情と風俗をば冩すを以て主腦となし、
平常世間にあるべきやうなる事柄をもて材料として而して趣向を設くるものなり。こは只概略の辯なるから、尚ほ解し
がたき由もあらめど、其詳細なる本義の如きは、暫く之を下囘に讓りて、まづ變遷の次第を説くべし。其倩々惟みるに、
小説、野乘の行はるゝは其源遠く?焉たる上古の時代にありといふべし。其然る所以を知らまくせば、試みに社會の淵源
に溯りて其状態を察せざる可らず。上古の社會の状態はいかにといふに、東西人おなじからず南北地異なるにも係らず、
一個の家長を尊崇して之れを酋族の長となすこと人間社會の通則なり。かゝれば戰鬪いと烈しく優勝劣敗急激なる未開野
蠻の上世にありては、猛然荒蕪の間に起りて俄かに一家の主長となり忽ち一族の首となるもの、或ひは少なしとなさゞる
なり。かゝる性質の家長にして已に酋族の首となりなば、其子孫らにものがたるに何等の事柄を以てする歟。想ふに己が
經驗なしたる艱難辛苦の事情はさらなり、其武功などを語りつべし。而して是等の物語は其人親しく經驗なし若しくは親
しく見聞せる眞實の事蹟に相違なけれど、子孫が之れを傳聞してまた其子孫に語るに及びて、或ひは記憶の誤謬より或ひ
は附會に原因して、竟には眞實の髓を亡ひ、咄々竒恠の物語を長く口碑に傳へ存じて、鬼神史、神代記の基を拓く、是れ
世上の通則にしてまた恠むに足らずと雖も、事のこゝに到れるには別に原因のなきを得むや。今こゝろみに之れを思ふに、
其原因となりたるもの凡そ三條ありきと思はる。譬へば酋族次第に榮えて勢ひ強大になるに至れば、人の心のおのづから
傲りて、些々たる事をも巨大にいひなし、他の酋族に誇るものなり。かゝれば祖先の履歴の如きは、故意に附會の談を加
へていと大業にいひなすべし。是れ第一の原因なり。又人間はうまれながらに竒異を好むに切なるものなり。斯かれば別
に其要なくとも、假作の談話をつくりまうけて、史傳を誤ることあるべし。是れ第二の原因なり。而して國歩やうやく進
みて稍々文明の世界となりなば、其國君といはるゝやからは下賤の疋夫の成りあがりが我が大祖なりといはるゝをば快か
らぬことに思ひて、附會の説をつくりまうけて太祖の事蹟を粧はむとす。況んや是等の時代に於ては敬信の念深かるから
、故意に物語を假作せずとも自然に祖先を神といひなし、天孫なりきと思ふべきをや。是れなむ諸國に信じがたき神代史
などいふものある第三條の原因なりかし。斯かれば上古のミソロヂイ即ち鬼神誌といへるものは所謂竒異譚の濫觴にて、
其傳おほくは假作にいで若しくは訛傳になりたること元より疑ひなきに似たり。さはあれ所謂神代史(鬼神誌)はもとこ
れ眞實の物語にして決して遊戯の作にあらねば、後の所謂苛異譚とは其質ほとほと同じうして其用はまたいたく異なり。
蓋し謬信傳訛の久しき、後世の人其傳記の妄誕なるをば恠まざるなり。こゝをもて後の世の人此種の書を尊み信じて、曾
て小説視するものなきまゝ、恬然正史の巻はじめにいとうやうやしく之れをかゝげて、國家の権輿を穿鑿する好材料とな
すことゝなりけり。或ひは神代史を解釋して太古の竒異譚といふものあれども、こはまた甚だしき
小説は假作物語の一種にして、所謂異譚の變體なり。竒異譚とは何ぞや。英國にてローマンスと名づくるものなり。
ローマンスは趣向を荒唐無稽の事物に取りて、竒恠百出もて篇をなし、尋常世界に見はれたる事物の道理に矛楯する
を敢て顧みざるものにぞある。小説即ちノベルに至りては之れと異なり、世の人情と風俗をば冩すを以て主腦となし、
平常世間にあるべきやうなる事柄をもて材料として而して趣向を設くるものなり。こは只概略の辯なるから、尚ほ解し
がたき由もあらめど、其詳細なる本義の如きは、暫く之を下囘に讓りて、まづ變遷の次第を説くべし。其倩々惟みるに、
小説、野乘の行はるゝは其源遠く?焉たる上古の時代にありといふべし。其然る所以を知らまくせば、試みに社會の淵源
に溯りて其状態を察せざる可らず。上古の社會の状態はいかにといふに、東西人おなじからず南北地異なるにも係らず、
一個の家長を尊崇して之れを酋族の長となすこと人間社會の通則なり。かゝれば戰鬪いと烈しく優勝劣敗急激なる未開野
蠻の上世にありては、猛然荒蕪の間に起りて俄かに一家の主長となり忽ち一族の首となるもの、或ひは少なしとなさゞる
なり。かゝる性質の家長にして已に酋族の首となりなば、其子孫らにものがたるに何等の事柄を以てする歟。想ふに己が
經驗なしたる艱難辛苦の事情はさらなり、其武功などを語りつべし。而して是等の物語は其人親しく經驗なし若しくは親
しく見聞せる眞實の事蹟に相違なけれど、子孫が之れを傳聞してまた其子孫に語るに及びて、或ひは記憶の誤謬より或ひ
は附會に原因して、竟には眞實の髓を亡ひ、咄々竒恠の物語を長く口碑に傳へ存じて、鬼神史、神代記の基を拓く、是れ
世上の通則にしてまた恠むに足らずと雖も、事のこゝに到れるには別に原因のなきを得むや。今こゝろみに之れを思ふに、
其原因となりたるもの凡そ三條ありきと思はる。譬へば酋族次第に榮えて勢ひ強大になるに至れば、人の心のおのづから
傲りて、些々たる事をも巨大にいひなし、他の酋族に誇るものなり。かゝれば祖先の履歴の如きは、故意に附會の談を加
へていと大業にいひなすべし。是れ第一の原因なり。又人間はうまれながらに竒異を好むに切なるものなり。斯かれば別
に其要なくとも、假作の談話をつくりまうけて、史傳を誤ることあるべし。是れ第二の原因なり。而して國歩やうやく進
みて稍々文明の世界となりなば、其國君といはるゝやからは下賤の疋夫の成りあがりが我が大祖なりといはるゝをば快か
らぬことに思ひて、附會の説をつくりまうけて太祖の事蹟を粧はむとす。況んや是等の時代に於ては敬信の念深かるから
、故意に物語を假作せずとも自然に祖先を神といひなし、天孫なりきと思ふべきをや。是れなむ諸國に信じがたき神代史
などいふものある第三條の原因なりかし。斯かれば上古のミソロヂイ即ち鬼神誌といへるものは所謂竒異譚の濫觴にて、
其傳おほくは假作にいで若しくは訛傳になりたること元より疑ひなきに似たり。さはあれ所謂神代史(鬼神誌)はもとこ
れ眞實の物語にして決して遊戯の作にあらねば、後の所謂苛異譚とは其質ほとほと同じうして其用はまたいたく異なり。
蓋し謬信傳訛の久しき、後世の人其傳記の妄誕なるをば恠まざるなり。こゝをもて後の世の人此種の書を尊み信じて、曾
て小説視するものなきまゝ、恬然正史の巻はじめにいとうやうやしく之れをかゝげて、國家の権輿を穿鑿する好材料とな
すことゝなりけり。或ひは神代史を解釋して太古の竒異譚といふものあれども、こはまた甚だしき
小説は假作物語の一種にして、所謂異譚の變體なり。竒異譚とは何ぞや。英國にてローマンスと名づくるものなり。
ローマンスは趣向を荒唐無稽の事物に取りて、竒恠百出もて篇をなし、尋常世界に見はれたる事物の道理に矛楯する
を敢て顧みざるものにぞある。小説即ちノベルに至りては之れと異なり、世の人情と風俗をば冩すを以て主腦となし、
平常世間にあるべきやうなる事柄をもて材料として而して趣向を設くるものなり。こは只概略の辯なるから、尚ほ解し
がたき由もあらめど、其詳細なる本義の如きは、暫く之を下囘に讓りて、まづ變遷の次第を説くべし。其倩々惟みるに、
小説、野乘の行はるゝは其源遠く?焉たる上古の時代にありといふべし。其然る所以を知らまくせば、試みに社會の淵源
に溯りて其状態を察せざる可らず。上古の社會の状態はいかにといふに、東西人おなじからず南北地異なるにも係らず、
一個の家長を尊崇して之れを酋族の長となすこと人間社會の通則なり。かゝれば戰鬪いと烈しく優勝劣敗急激なる未開野
蠻の上世にありては、猛然荒蕪の間に起りて俄かに一家の主長となり忽ち一族の首となるもの、或ひは少なしとなさゞる
なり。かゝる性質の家長にして已に酋族の首となりなば、其子孫らにものがたるに何等の事柄を以てする歟。想ふに己が
經驗なしたる艱難辛苦の事情はさらなり、其武功などを語りつべし。而して是等の物語は其人親しく經驗なし若しくは親
しく見聞せる眞實の事蹟に相違なけれど、子孫が之れを傳聞してまた其子孫に語るに及びて、或ひは記憶の誤謬より或ひ
は附會に原因して、竟には眞實の髓を亡ひ、咄々竒恠の物語を長く口碑に傳へ存じて、鬼神史、神代記の基を拓く、是れ
世上の通則にしてまた恠むに足らずと雖も、事のこゝに到れるには別に原因のなきを得むや。今こゝろみに之れを思ふに、
其原因となりたるもの凡そ三條ありきと思はる。譬へば酋族次第に榮えて勢ひ強大になるに至れば、人の心のおのづから
傲りて、些々たる事をも巨大にいひなし、他の酋族に誇るものなり。かゝれば祖先の履歴の如きは、故意に附會の談を加
へていと大業にいひなすべし。是れ第一の原因なり。又人間はうまれながらに竒異を好むに切なるものなり。斯かれば別
に其要なくとも、假作の談話をつくりまうけて、史傳を誤ることあるべし。是れ第二の原因なり。而して國歩やうやく進
みて稍々文明の世界となりなば、其國君といはるゝやからは下賤の疋夫の成りあがりが我が大祖なりといはるゝをば快か
らぬことに思ひて、附會の説をつくりまうけて太祖の事蹟を粧はむとす。況んや是等の時代に於ては敬信の念深かるから
、故意に物語を假作せずとも自然に祖先を神といひなし、天孫なりきと思ふべきをや。是れなむ諸國に信じがたき神代史
などいふものある第三條の原因なりかし。斯かれば上古のミソロヂイ即ち鬼神誌といへるものは所謂竒異譚の濫觴にて、
其傳おほくは假作にいで若しくは訛傳になりたること元より疑ひなきに似たり。さはあれ所謂神代史(鬼神誌)はもとこ
れ眞實の物語にして決して遊戯の作にあらねば、後の所謂苛異譚とは其質ほとほと同じうして其用はまたいたく異なり。
蓋し謬信傳訛の久しき、後世の人其傳記の妄誕なるをば恠まざるなり。こゝをもて後の世の人此種の書を尊み信じて、曾
て小説視するものなきまゝ、恬然正史の巻はじめにいとうやうやしく之れをかゝげて、國家の権輿を穿鑿する好材料とな
すことゝなりけり。或ひは神代史を解釋して太古の竒異譚といふものあれども、こはまた甚だしき
小説は假作物語の一種にして、所謂異譚の變體なり。竒異譚とは何ぞや。英國にてローマンスと名づくるものなり。
ローマンスは趣向を荒唐無稽の事物に取りて、竒恠百出もて篇をなし、尋常世界に見はれたる事物の道理に矛楯する
を敢て顧みざるものにぞある。小説即ちノベルに至りては之れと異なり、世の人情と風俗をば冩すを以て主腦となし、
平常世間にあるべきやうなる事柄をもて材料として而して趣向を設くるものなり。こは只概略の辯なるから、尚ほ解し
がたき由もあらめど、其詳細なる本義の如きは、暫く之を下囘に讓りて、まづ變遷の次第を説くべし。其倩々惟みるに、
小説、野乘の行はるゝは其源遠く?焉たる上古の時代にありといふべし。其然る所以を知らまくせば、試みに社會の淵源
に溯りて其状態を察せざる可らず。上古の社會の状態はいかにといふに、東西人おなじからず南北地異なるにも係らず、
一個の家長を尊崇して之れを酋族の長となすこと人間社會の通則なり。かゝれば戰鬪いと烈しく優勝劣敗急激なる未開野
蠻の上世にありては、猛然荒蕪の間に起りて俄かに一家の主長となり忽ち一族の首となるもの、或ひは少なしとなさゞる
なり。かゝる性質の家長にして已に酋族の首となりなば、其子孫らにものがたるに何等の事柄を以てする歟。想ふに己が
經驗なしたる艱難辛苦の事情はさらなり、其武功などを語りつべし。而して是等の物語は其人親しく經驗なし若しくは親
しく見聞せる眞實の事蹟に相違なけれど、子孫が之れを傳聞してまた其子孫に語るに及びて、或ひは記憶の誤謬より或ひ
は附會に原因して、竟には眞實の髓を亡ひ、咄々竒恠の物語を長く口碑に傳へ存じて、鬼神史、神代記の基を拓く、是れ
世上の通則にしてまた恠むに足らずと雖も、事のこゝに到れるには別に原因のなきを得むや。今こゝろみに之れを思ふに、
其原因となりたるもの凡そ三條ありきと思はる。譬へば酋族次第に榮えて勢ひ強大になるに至れば、人の心のおのづから
傲りて、些々たる事をも巨大にいひなし、他の酋族に誇るものなり。かゝれば祖先の履歴の如きは、故意に附會の談を加
へていと大業にいひなすべし。是れ第一の原因なり。又人間はうまれながらに竒異を好むに切なるものなり。斯かれば別
に其要なくとも、假作の談話をつくりまうけて、史傳を誤ることあるべし。是れ第二の原因なり。而して國歩やうやく進
みて稍々文明の世界となりなば、其國君といはるゝやからは下賤の疋夫の成りあがりが我が大祖なりといはるゝをば快か
らぬことに思ひて、附會の説をつくりまうけて太祖の事蹟を粧はむとす。況んや是等の時代に於ては敬信の念深かるから
、故意に物語を假作せずとも自然に祖先を神といひなし、天孫なりきと思ふべきをや。是れなむ諸國に信じがたき神代史
などいふものある第三條の原因なりかし。斯かれば上古のミソロヂイ即ち鬼神誌といへるものは所謂竒異譚の濫觴にて、
其傳おほくは假作にいで若しくは訛傳になりたること元より疑ひなきに似たり。さはあれ所謂神代史(鬼神誌)はもとこ
れ眞實の物語にして決して遊戯の作にあらねば、後の所謂苛異譚とは其質ほとほと同じうして其用はまたいたく異なり。
蓋し謬信傳訛の久しき、後世の人其傳記の妄誕なるをば恠まざるなり。こゝをもて後の世の人此種の書を尊み信じて、曾
て小説視するものなきまゝ、恬然正史の巻はじめにいとうやうやしく之れをかゝげて、國家の権輿を穿鑿する好材料とな
すことゝなりけり。或ひは神代史を解釋して太古の竒異譚といふものあれども、こはまた甚だしき
小説は假作物語の一種にして、所謂異譚の變體なり。竒異譚とは何ぞや。英國にてローマンスと名づくるものなり。
ローマンスは趣向を荒唐無稽の事物に取りて、竒恠百出もて篇をなし、尋常世界に見はれたる事物の道理に矛楯する
を敢て顧みざるものにぞある。小説即ちノベルに至りては之れと異なり、世の人情と風俗をば冩すを以て主腦となし、
平常世間にあるべきやうなる事柄をもて材料として而して趣向を設くるものなり。こは只概略の辯なるから、尚ほ解し
がたき由もあらめど、其詳細なる本義の如きは、暫く之を下囘に讓りて、まづ變遷の次第を説くべし。其倩々惟みるに、
小説、野乘の行はるゝは其源遠く?焉たる上古の時代にありといふべし。其然る所以を知らまくせば、試みに社會の淵源
に溯りて其状態を察せざる可らず。上古の社會の状態はいかにといふに、東西人おなじからず南北地異なるにも係らず、
一個の家長を尊崇して之れを酋族の長となすこと人間社會の通則なり。かゝれば戰鬪いと烈しく優勝劣敗急激なる未開野
蠻の上世にありては、猛然荒蕪の間に起りて俄かに一家の主長となり忽ち一族の首となるもの、或ひは少なしとなさゞる
なり。かゝる性質の家長にして已に酋族の首となりなば、其子孫らにものがたるに何等の事柄を以てする歟。想ふに己が
經驗なしたる艱難辛苦の事情はさらなり、其武功などを語りつべし。而して是等の物語は其人親しく經驗なし若しくは親
しく見聞せる眞實の事蹟に相違なけれど、子孫が之れを傳聞してまた其子孫に語るに及びて、或ひは記憶の誤謬より或ひ
は附會に原因して、竟には眞實の髓を亡ひ、咄々竒恠の物語を長く口碑に傳へ存じて、鬼神史、神代記の基を拓く、是れ
世上の通則にしてまた恠むに足らずと雖も、事のこゝに到れるには別に原因のなきを得むや。今こゝろみに之れを思ふに、
其原因となりたるもの凡そ三條ありきと思はる。譬へば酋族次第に榮えて勢ひ強大になるに至れば、人の心のおのづから
傲りて、些々たる事をも巨大にいひなし、他の酋族に誇るものなり。かゝれば祖先の履歴の如きは、故意に附會の談を加
へていと大業にいひなすべし。是れ第一の原因なり。又人間はうまれながらに竒異を好むに切なるものなり。斯かれば別
に其要なくとも、假作の談話をつくりまうけて、史傳を誤ることあるべし。是れ第二の原因なり。而して國歩やうやく進
みて稍々文明の世界となりなば、其國君といはるゝやからは下賤の疋夫の成りあがりが我が大祖なりといはるゝをば快か
らぬことに思ひて、附會の説をつくりまうけて太祖の事蹟を粧はむとす。況んや是等の時代に於ては敬信の念深かるから
、故意に物語を假作せずとも自然に祖先を神といひなし、天孫なりきと思ふべきをや。是れなむ諸國に信じがたき神代史
などいふものある第三條の原因なりかし。斯かれば上古のミソロヂイ即ち鬼神誌といへるものは所謂竒異譚の濫觴にて、
其傳おほくは假作にいで若しくは訛傳になりたること元より疑ひなきに似たり。さはあれ所謂神代史(鬼神誌)はもとこ
れ眞實の物語にして決して遊戯の作にあらねば、後の所謂苛異譚とは其質ほとほと同じうして其用はまたいたく異なり。
蓋し謬信傳訛の久しき、後世の人其傳記の妄誕なるをば恠まざるなり。こゝをもて後の世の人此種の書を尊み信じて、曾
て小説視するものなきまゝ、恬然正史の巻はじめにいとうやうやしく之れをかゝげて、國家の権輿を穿鑿する好材料とな
すことゝなりけり。或ひは神代史を解釋して太古の竒異譚といふものあれども、こはまた甚だしき
小説は假作物語の一種にして、所謂異譚の變體なり。竒異譚とは何ぞや。英國にてローマンスと名づくるものなり。
ローマンスは趣向を荒唐無稽の事物に取りて、竒恠百出もて篇をなし、尋常世界に見はれたる事物の道理に矛楯する
を敢て顧みざるものにぞある。小説即ちノベルに至りては之れと異なり、世の人情と風俗をば冩すを以て主腦となし、
平常世間にあるべきやうなる事柄をもて材料として而して趣向を設くるものなり。こは只概略の辯なるから、尚ほ解し
がたき由もあらめど、其詳細なる本義の如きは、暫く之を下囘に讓りて、まづ變遷の次第を説くべし。其倩々惟みるに、
小説、野乘の行はるゝは其源遠く?焉たる上古の時代にありといふべし。其然る所以を知らまくせば、試みに社會の淵源
に溯りて其状態を察せざる可らず。上古の社會の状態はいかにといふに、東西人おなじからず南北地異なるにも係らず、
一個の家長を尊崇して之れを酋族の長となすこと人間社會の通則なり。かゝれば戰鬪いと烈しく優勝劣敗急激なる未開野
蠻の上世にありては、猛然荒蕪の間に起りて俄かに一家の主長となり忽ち一族の首となるもの、或ひは少なしとなさゞる
なり。かゝる性質の家長にして已に酋族の首となりなば、其子孫らにものがたるに何等の事柄を以てする歟。想ふに己が
經驗なしたる艱難辛苦の事情はさらなり、其武功などを語りつべし。而して是等の物語は其人親しく經驗なし若しくは親
しく見聞せる眞實の事蹟に相違なけれど、子孫が之れを傳聞してまた其子孫に語るに及びて、或ひは記憶の誤謬より或ひ
は附會に原因して、竟には眞實の髓を亡ひ、咄々竒恠の物語を長く口碑に傳へ存じて、鬼神史、神代記の基を拓く、是れ
世上の通則にしてまた恠むに足らずと雖も、事のこゝに到れるには別に原因のなきを得むや。今こゝろみに之れを思ふに、
其原因となりたるもの凡そ三條ありきと思はる。譬へば酋族次第に榮えて勢ひ強大になるに至れば、人の心のおのづから
傲りて、些々たる事をも巨大にいひなし、他の酋族に誇るものなり。かゝれば祖先の履歴の如きは、故意に附會の談を加
へていと大業にいひなすべし。是れ第一の原因なり。又人間はうまれながらに竒異を好むに切なるものなり。斯かれば別
に其要なくとも、假作の談話をつくりまうけて、史傳を誤ることあるべし。是れ第二の原因なり。而して國歩やうやく進
みて稍々文明の世界となりなば、其國君といはるゝやからは下賤の疋夫の成りあがりが我が大祖なりといはるゝをば快か
らぬことに思ひて、附會の説をつくりまうけて太祖の事蹟を粧はむとす。況んや是等の時代に於ては敬信の念深かるから
、故意に物語を假作せずとも自然に祖先を神といひなし、天孫なりきと思ふべきをや。是れなむ諸國に信じがたき神代史
などいふものある第三條の原因なりかし。斯かれば上古のミソロヂイ即ち鬼神誌といへるものは所謂竒異譚の濫觴にて、
其傳おほくは假作にいで若しくは訛傳になりたること元より疑ひなきに似たり。さはあれ所謂神代史(鬼神誌)はもとこ
れ眞實の物語にして決して遊戯の作にあらねば、後の所謂苛異譚とは其質ほとほと同じうして其用はまたいたく異なり。
蓋し謬信傳訛の久しき、後世の人其傳記の妄誕なるをば恠まざるなり。こゝをもて後の世の人此種の書を尊み信じて、曾
て小説視するものなきまゝ、恬然正史の巻はじめにいとうやうやしく之れをかゝげて、國家の権輿を穿鑿する好材料とな
すことゝなりけり。或ひは神代史を解釋して太古の竒異譚といふものあれども、こはまた甚だしき
小説は假作物語の一種にして、所謂異譚の變體なり。竒異譚とは何ぞや。英國にてローマンスと名づくるものなり。
ローマンスは趣向を荒唐無稽の事物に取りて、竒恠百出もて篇をなし、尋常世界に見はれたる事物の道理に矛楯する
を敢て顧みざるものにぞある。小説即ちノベルに至りては之れと異なり、世の人情と風俗をば冩すを以て主腦となし、
平常世間にあるべきやうなる事柄をもて材料として而して趣向を設くるものなり。こは只概略の辯なるから、尚ほ解し
がたき由もあらめど、其詳細なる本義の如きは、暫く之を下囘に讓りて、まづ變遷の次第を説くべし。其倩々惟みるに、
小説、野乘の行はるゝは其源遠く?焉たる上古の時代にありといふべし。其然る所以を知らまくせば、試みに社會の淵源
に溯りて其状態を察せざる可らず。上古の社會の状態はいかにといふに、東西人おなじからず南北地異なるにも係らず、
一個の家長を尊崇して之れを酋族の長となすこと人間社會の通則なり。かゝれば戰鬪いと烈しく優勝劣敗急激なる未開野
蠻の上世にありては、猛然荒蕪の間に起りて俄かに一家の主長となり忽ち一族の首となるもの、或ひは少なしとなさゞる
なり。かゝる性質の家長にして已に酋族の首となりなば、其子孫らにものがたるに何等の事柄を以てする歟。想ふに己が
經驗なしたる艱難辛苦の事情はさらなり、其武功などを語りつべし。而して是等の物語は其人親しく經驗なし若しくは親
しく見聞せる眞實の事蹟に相違なけれど、子孫が之れを傳聞してまた其子孫に語るに及びて、或ひは記憶の誤謬より或ひ
は附會に原因して、竟には眞實の髓を亡ひ、咄々竒恠の物語を長く口碑に傳へ存じて、鬼神史、神代記の基を拓く、是れ
世上の通則にしてまた恠むに足らずと雖も、事のこゝに到れるには別に原因のなきを得むや。今こゝろみに之れを思ふに、
其原因となりたるもの凡そ三條ありきと思はる。譬へば酋族次第に榮えて勢ひ強大になるに至れば、人の心のおのづから
傲りて、些々たる事をも巨大にいひなし、他の酋族に誇るものなり。かゝれば祖先の履歴の如きは、故意に附會の談を加
へていと大業にいひなすべし。是れ第一の原因なり。又人間はうまれながらに竒異を好むに切なるものなり。斯かれば別
に其要なくとも、假作の談話をつくりまうけて、史傳を誤ることあるべし。是れ第二の原因なり。而して國歩やうやく進
みて稍々文明の世界となりなば、其國君といはるゝやからは下賤の疋夫の成りあがりが我が大祖なりといはるゝをば快か
らぬことに思ひて、附會の説をつくりまうけて太祖の事蹟を粧はむとす。況んや是等の時代に於ては敬信の念深かるから
、故意に物語を假作せずとも自然に祖先を神といひなし、天孫なりきと思ふべきをや。是れなむ諸國に信じがたき神代史
などいふものある第三條の原因なりかし。斯かれば上古のミソロヂイ即ち鬼神誌といへるものは所謂竒異譚の濫觴にて、
其傳おほくは假作にいで若しくは訛傳になりたること元より疑ひなきに似たり。さはあれ所謂神代史(鬼神誌)はもとこ
れ眞實の物語にして決して遊戯の作にあらねば、後の所謂苛異譚とは其質ほとほと同じうして其用はまたいたく異なり。
蓋し謬信傳訛の久しき、後世の人其傳記の妄誕なるをば恠まざるなり。こゝをもて後の世の人此種の書を尊み信じて、曾
て小説視するものなきまゝ、恬然正史の巻はじめにいとうやうやしく之れをかゝげて、國家の権輿を穿鑿する好材料とな
すことゝなりけり。或ひは神代史を解釋して太古の竒異譚といふものあれども、こはまた甚だしき
小説は假作物語の一種にして、所謂異譚の變體なり。竒異譚とは何ぞや。英國にてローマンスと名づくるものなり。
ローマンスは趣向を荒唐無稽の事物に取りて、竒恠百出もて篇をなし、尋常世界に見はれたる事物の道理に矛楯する
を敢て顧みざるものにぞある。小説即ちノベルに至りては之れと異なり、世の人情と風俗をば冩すを以て主腦となし、
平常世間にあるべきやうなる事柄をもて材料として而して趣向を設くるものなり。こは只概略の辯なるから、尚ほ解し
がたき由もあらめど、其詳細なる本義の如きは、暫く之を下囘に讓りて、まづ變遷の次第を説くべし。其倩々惟みるに、
小説、野乘の行はるゝは其源遠く?焉たる上古の時代にありといふべし。其然る所以を知らまくせば、試みに社會の淵源
に溯りて其状態を察せざる可らず。上古の社會の状態はいかにといふに、東西人おなじからず南北地異なるにも係らず、
一個の家長を尊崇して之れを酋族の長となすこと人間社會の通則なり。かゝれば戰鬪いと烈しく優勝劣敗急激なる未開野
蠻の上世にありては、猛然荒蕪の間に起りて俄かに一家の主長となり忽ち一族の首となるもの、或ひは少なしとなさゞる
なり。かゝる性質の家長にして已に酋族の首となりなば、其子孫らにものがたるに何等の事柄を以てする歟。想ふに己が
經驗なしたる艱難辛苦の事情はさらなり、其武功などを語りつべし。而して是等の物語は其人親しく經驗なし若しくは親
しく見聞せる眞實の事蹟に相違なけれど、子孫が之れを傳聞してまた其子孫に語るに及びて、或ひは記憶の誤謬より或ひ
は附會に原因して、竟には眞實の髓を亡ひ、咄々竒恠の物語を長く口碑に傳へ存じて、鬼神史、神代記の基を拓く、是れ
世上の通則にしてまた恠むに足らずと雖も、事のこゝに到れるには別に原因のなきを得むや。今こゝろみに之れを思ふに、
其原因となりたるもの凡そ三條ありきと思はる。譬へば酋族次第に榮えて勢ひ強大になるに至れば、人の心のおのづから
傲りて、些々たる事をも巨大にいひなし、他の酋族に誇るものなり。かゝれば祖先の履歴の如きは、故意に附會の談を加
へていと大業にいひなすべし。是れ第一の原因なり。又人間はうまれながらに竒異を好むに切なるものなり。斯かれば別
に其要なくとも、假作の談話をつくりまうけて、史傳を誤ることあるべし。是れ第二の原因なり。而して國歩やうやく進
みて稍々文明の世界となりなば、其國君といはるゝやからは下賤の疋夫の成りあがりが我が大祖なりといはるゝをば快か
らぬことに思ひて、附會の説をつくりまうけて太祖の事蹟を粧はむとす。況んや是等の時代に於ては敬信の念深かるから
、故意に物語を假作せずとも自然に祖先を神といひなし、天孫なりきと思ふべきをや。是れなむ諸國に信じがたき神代史
などいふものある第三條の原因なりかし。斯かれば上古のミソロヂイ即ち鬼神誌といへるものは所謂竒異譚の濫觴にて、
其傳おほくは假作にいで若しくは訛傳になりたること元より疑ひなきに似たり。さはあれ所謂神代史(鬼神誌)はもとこ
れ眞實の物語にして決して遊戯の作にあらねば、後の所謂苛異譚とは其質ほとほと同じうして其用はまたいたく異なり。
蓋し謬信傳訛の久しき、後世の人其傳記の妄誕なるをば恠まざるなり。こゝをもて後の世の人此種の書を尊み信じて、曾
て小説視するものなきまゝ、恬然正史の巻はじめにいとうやうやしく之れをかゝげて、國家の権輿を穿鑿する好材料とな
すことゝなりけり。或ひは神代史を解釋して太古の竒異譚といふものあれども、こはまた甚だしき
小説は假作物語の一種にして、所謂異譚の變體なり。竒異譚とは何ぞや。英國にてローマンスと名づくるものなり。
ローマンスは趣向を荒唐無稽の事物に取りて、竒恠百出もて篇をなし、尋常世界に見はれたる事物の道理に矛楯する
を敢て顧みざるものにぞある。小説即ちノベルに至りては之れと異なり、世の人情と風俗をば冩すを以て主腦となし、
平常世間にあるべきやうなる事柄をもて材料として而して趣向を設くるものなり。こは只概略の辯なるから、尚ほ解し
がたき由もあらめど、其詳細なる本義の如きは、暫く之を下囘に讓りて、まづ變遷の次第を説くべし。其倩々惟みるに、
小説、野乘の行はるゝは其源遠く?焉たる上古の時代にありといふべし。其然る所以を知らまくせば、試みに社會の淵源
に溯りて其状態を察せざる可らず。上古の社會の状態はいかにといふに、東西人おなじからず南北地異なるにも係らず、
一個の家長を尊崇して之れを酋族の長となすこと人間社會の通則なり。かゝれば戰鬪いと烈しく優勝劣敗急激なる未開野
蠻の上世にありては、猛然荒蕪の間に起りて俄かに一家の主長となり忽ち一族の首となるもの、或ひは少なしとなさゞる
なり。かゝる性質の家長にして已に酋族の首となりなば、其子孫らにものがたるに何等の事柄を以てする歟。想ふに己が
經驗なしたる艱難辛苦の事情はさらなり、其武功などを語りつべし。而して是等の物語は其人親しく經驗なし若しくは親
しく見聞せる眞實の事蹟に相違なけれど、子孫が之れを傳聞してまた其子孫に語るに及びて、或ひは記憶の誤謬より或ひ
は附會に原因して、竟には眞實の髓を亡ひ、咄々竒恠の物語を長く口碑に傳へ存じて、鬼神史、神代記の基を拓く、是れ
世上の通則にしてまた恠むに足らずと雖も、事のこゝに到れるには別に原因のなきを得むや。今こゝろみに之れを思ふに、
其原因となりたるもの凡そ三條ありきと思はる。譬へば酋族次第に榮えて勢ひ強大になるに至れば、人の心のおのづから
傲りて、些々たる事をも巨大にいひなし、他の酋族に誇るものなり。かゝれば祖先の履歴の如きは、故意に附會の談を加
へていと大業にいひなすべし。是れ第一の原因なり。又人間はうまれながらに竒異を好むに切なるものなり。斯かれば別
に其要なくとも、假作の談話をつくりまうけて、史傳を誤ることあるべし。是れ第二の原因なり。而して國歩やうやく進
みて稍々文明の世界となりなば、其國君といはるゝやからは下賤の疋夫の成りあがりが我が大祖なりといはるゝをば快か
らぬことに思ひて、附會の説をつくりまうけて太祖の事蹟を粧はむとす。況んや是等の時代に於ては敬信の念深かるから
、故意に物語を假作せずとも自然に祖先を神といひなし、天孫なりきと思ふべきをや。是れなむ諸國に信じがたき神代史
などいふものある第三條の原因なりかし。斯かれば上古のミソロヂイ即ち鬼神誌といへるものは所謂竒異譚の濫觴にて、
其傳おほくは假作にいで若しくは訛傳になりたること元より疑ひなきに似たり。さはあれ所謂神代史(鬼神誌)はもとこ
れ眞實の物語にして決して遊戯の作にあらねば、後の所謂苛異譚とは其質ほとほと同じうして其用はまたいたく異なり。
蓋し謬信傳訛の久しき、後世の人其傳記の妄誕なるをば恠まざるなり。こゝをもて後の世の人此種の書を尊み信じて、曾
て小説視するものなきまゝ、恬然正史の巻はじめにいとうやうやしく之れをかゝげて、國家の権輿を穿鑿する好材料とな
すことゝなりけり。或ひは神代史を解釋して太古の竒異譚といふものあれども、こはまた甚だしき
小説は假作物語の一種にして、所謂異譚の變體なり。竒異譚とは何ぞや。英國にてローマンスと名づくるものなり。
ローマンスは趣向を荒唐無稽の事物に取りて、竒恠百出もて篇をなし、尋常世界に見はれたる事物の道理に矛楯する
を敢て顧みざるものにぞある。小説即ちノベルに至りては之れと異なり、世の人情と風俗をば冩すを以て主腦となし、
平常世間にあるべきやうなる事柄をもて材料として而して趣向を設くるものなり。こは只概略の辯なるから、尚ほ解し
がたき由もあらめど、其詳細なる本義の如きは、暫く之を下囘に讓りて、まづ變遷の次第を説くべし。其倩々惟みるに、
小説、野乘の行はるゝは其源遠く?焉たる上古の時代にありといふべし。其然る所以を知らまくせば、試みに社會の淵源
に溯りて其状態を察せざる可らず。上古の社會の状態はいかにといふに、東西人おなじからず南北地異なるにも係らず、
一個の家長を尊崇して之れを酋族の長となすこと人間社會の通則なり。かゝれば戰鬪いと烈しく優勝劣敗急激なる未開野
蠻の上世にありては、猛然荒蕪の間に起りて俄かに一家の主長となり忽ち一族の首となるもの、或ひは少なしとなさゞる
なり。かゝる性質の家長にして已に酋族の首となりなば、其子孫らにものがたるに何等の事柄を以てする歟。想ふに己が
經驗なしたる艱難辛苦の事情はさらなり、其武功などを語りつべし。而して是等の物語は其人親しく經驗なし若しくは親
しく見聞せる眞實の事蹟に相違なけれど、子孫が之れを傳聞してまた其子孫に語るに及びて、或ひは記憶の誤謬より或ひ
は附會に原因して、竟には眞實の髓を亡ひ、咄々竒恠の物語を長く口碑に傳へ存じて、鬼神史、神代記の基を拓く、是れ
世上の通則にしてまた恠むに足らずと雖も、事のこゝに到れるには別に原因のなきを得むや。今こゝろみに之れを思ふに、
其原因となりたるもの凡そ三條ありきと思はる。譬へば酋族次第に榮えて勢ひ強大になるに至れば、人の心のおのづから
傲りて、些々たる事をも巨大にいひなし、他の酋族に誇るものなり。かゝれば祖先の履歴の如きは、故意に附會の談を加
へていと大業にいひなすべし。是れ第一の原因なり。又人間はうまれながらに竒異を好むに切なるものなり。斯かれば別
に其要なくとも、假作の談話をつくりまうけて、史傳を誤ることあるべし。是れ第二の原因なり。而して國歩やうやく進
みて稍々文明の世界となりなば、其國君といはるゝやからは下賤の疋夫の成りあがりが我が大祖なりといはるゝをば快か
らぬことに思ひて、附會の説をつくりまうけて太祖の事蹟を粧はむとす。況んや是等の時代に於ては敬信の念深かるから
、故意に物語を假作せずとも自然に祖先を神といひなし、天孫なりきと思ふべきをや。是れなむ諸國に信じがたき神代史
などいふものある第三條の原因なりかし。斯かれば上古のミソロヂイ即ち鬼神誌といへるものは所謂竒異譚の濫觴にて、
其傳おほくは假作にいで若しくは訛傳になりたること元より疑ひなきに似たり。さはあれ所謂神代史(鬼神誌)はもとこ
れ眞實の物語にして決して遊戯の作にあらねば、後の所謂苛異譚とは其質ほとほと同じうして其用はまたいたく異なり。
蓋し謬信傳訛の久しき、後世の人其傳記の妄誕なるをば恠まざるなり。こゝをもて後の世の人此種の書を尊み信じて、曾
て小説視するものなきまゝ、恬然正史の巻はじめにいとうやうやしく之れをかゝげて、國家の権輿を穿鑿する好材料とな
すことゝなりけり。或ひは神代史を解釋して太古の竒異譚といふものあれども、こはまた甚だしき
小説は假作物語の一種にして、所謂異譚の變體なり。竒異譚とは何ぞや。英國にてローマンスと名づくるものなり。
ローマンスは趣向を荒唐無稽の事物に取りて、竒恠百出もて篇をなし、尋常世界に見はれたる事物の道理に矛楯する
を敢て顧みざるものにぞある。小説即ちノベルに至りては之れと異なり、世の人情と風俗をば冩すを以て主腦となし、
平常世間にあるべきやうなる事柄をもて材料として而して趣向を設くるものなり。こは只概略の辯なるから、尚ほ解し
がたき由もあらめど、其詳細なる本義の如きは、暫く之を下囘に讓りて、まづ變遷の次第を説くべし。其倩々惟みるに、
小説、野乘の行はるゝは其源遠く?焉たる上古の時代にありといふべし。其然る所以を知らまくせば、試みに社會の淵源
に溯りて其状態を察せざる可らず。上古の社會の状態はいかにといふに、東西人おなじからず南北地異なるにも係らず、
一個の家長を尊崇して之れを酋族の長となすこと人間社會の通則なり。かゝれば戰鬪いと烈しく優勝劣敗急激なる未開野
蠻の上世にありては、猛然荒蕪の間に起りて俄かに一家の主長となり忽ち一族の首となるもの、或ひは少なしとなさゞる
なり。かゝる性質の家長にして已に酋族の首となりなば、其子孫らにものがたるに何等の事柄を以てする歟。想ふに己が
經驗なしたる艱難辛苦の事情はさらなり、其武功などを語りつべし。而して是等の物語は其人親しく經驗なし若しくは親
しく見聞せる眞實の事蹟に相違なけれど、子孫が之れを傳聞してまた其子孫に語るに及びて、或ひは記憶の誤謬より或ひ
は附會に原因して、竟には眞實の髓を亡ひ、咄々竒恠の物語を長く口碑に傳へ存じて、鬼神史、神代記の基を拓く、是れ
世上の通則にしてまた恠むに足らずと雖も、事のこゝに到れるには別に原因のなきを得むや。今こゝろみに之れを思ふに、
其原因となりたるもの凡そ三條ありきと思はる。譬へば酋族次第に榮えて勢ひ強大になるに至れば、人の心のおのづから
傲りて、些々たる事をも巨大にいひなし、他の酋族に誇るものなり。かゝれば祖先の履歴の如きは、故意に附會の談を加
へていと大業にいひなすべし。是れ第一の原因なり。又人間はうまれながらに竒異を好むに切なるものなり。斯かれば別
に其要なくとも、假作の談話をつくりまうけて、史傳を誤ることあるべし。是れ第二の原因なり。而して國歩やうやく進
みて稍々文明の世界となりなば、其國君といはるゝやからは下賤の疋夫の成りあがりが我が大祖なりといはるゝをば快か
らぬことに思ひて、附會の説をつくりまうけて太祖の事蹟を粧はむとす。況んや是等の時代に於ては敬信の念深かるから
、故意に物語を假作せずとも自然に祖先を神といひなし、天孫なりきと思ふべきをや。是れなむ諸國に信じがたき神代史
などいふものある第三條の原因なりかし。斯かれば上古のミソロヂイ即ち鬼神誌といへるものは所謂竒異譚の濫觴にて、
其傳おほくは假作にいで若しくは訛傳になりたること元より疑ひなきに似たり。さはあれ所謂神代史(鬼神誌)はもとこ
れ眞實の物語にして決して遊戯の作にあらねば、後の所謂苛異譚とは其質ほとほと同じうして其用はまたいたく異なり。
蓋し謬信傳訛の久しき、後世の人其傳記の妄誕なるをば恠まざるなり。こゝをもて後の世の人此種の書を尊み信じて、曾
て小説視するものなきまゝ、恬然正史の巻はじめにいとうやうやしく之れをかゝげて、國家の権輿を穿鑿する好材料とな
すことゝなりけり。或ひは神代史を解釋して太古の竒異譚といふものあれども、こはまた甚だしき
小説は假作物語の一種にして、所謂異譚の變體なり。竒異譚とは何ぞや。英國にてローマンスと名づくるものなり。
ローマンスは趣向を荒唐無稽の事物に取りて、竒恠百出もて篇をなし、尋常世界に見はれたる事物の道理に矛楯する
を敢て顧みざるものにぞある。小説即ちノベルに至りては之れと異なり、世の人情と風俗をば冩すを以て主腦となし、
平常世間にあるべきやうなる事柄をもて材料として而して趣向を設くるものなり。こは只概略の辯なるから、尚ほ解し
がたき由もあらめど、其詳細なる本義の如きは、暫く之を下囘に讓りて、まづ變遷の次第を説くべし。其倩々惟みるに、
小説、野乘の行はるゝは其源遠く?焉たる上古の時代にありといふべし。其然る所以を知らまくせば、試みに社會の淵源
に溯りて其状態を察せざる可らず。上古の社會の状態はいかにといふに、東西人おなじからず南北地異なるにも係らず、
一個の家長を尊崇して之れを酋族の長となすこと人間社會の通則なり。かゝれば戰鬪いと烈しく優勝劣敗急激なる未開野
蠻の上世にありては、猛然荒蕪の間に起りて俄かに一家の主長となり忽ち一族の首となるもの、或ひは少なしとなさゞる
なり。かゝる性質の家長にして已に酋族の首となりなば、其子孫らにものがたるに何等の事柄を以てする歟。想ふに己が
經驗なしたる艱難辛苦の事情はさらなり、其武功などを語りつべし。而して是等の物語は其人親しく經驗なし若しくは親
しく見聞せる眞實の事蹟に相違なけれど、子孫が之れを傳聞してまた其子孫に語るに及びて、或ひは記憶の誤謬より或ひ
は附會に原因して、竟には眞實の髓を亡ひ、咄々竒恠の物語を長く口碑に傳へ存じて、鬼神史、神代記の基を拓く、是れ
世上の通則にしてまた恠むに足らずと雖も、事のこゝに到れるには別に原因のなきを得むや。今こゝろみに之れを思ふに、
其原因となりたるもの凡そ三條ありきと思はる。譬へば酋族次第に榮えて勢ひ強大になるに至れば、人の心のおのづから
傲りて、些々たる事をも巨大にいひなし、他の酋族に誇るものなり。かゝれば祖先の履歴の如きは、故意に附會の談を加
へていと大業にいひなすべし。是れ第一の原因なり。又人間はうまれながらに竒異を好むに切なるものなり。斯かれば別
に其要なくとも、假作の談話をつくりまうけて、史傳を誤ることあるべし。是れ第二の原因なり。而して國歩やうやく進
みて稍々文明の世界となりなば、其國君といはるゝやからは下賤の疋夫の成りあがりが我が大祖なりといはるゝをば快か
らぬことに思ひて、附會の説をつくりまうけて太祖の事蹟を粧はむとす。況んや是等の時代に於ては敬信の念深かるから
、故意に物語を假作せずとも自然に祖先を神といひなし、天孫なりきと思ふべきをや。是れなむ諸國に信じがたき神代史
などいふものある第三條の原因なりかし。斯かれば上古のミソロヂイ即ち鬼神誌といへるものは所謂竒異譚の濫觴にて、
其傳おほくは假作にいで若しくは訛傳になりたること元より疑ひなきに似たり。さはあれ所謂神代史(鬼神誌)はもとこ
れ眞實の物語にして決して遊戯の作にあらねば、後の所謂苛異譚とは其質ほとほと同じうして其用はまたいたく異なり。
蓋し謬信傳訛の久しき、後世の人其傳記の妄誕なるをば恠まざるなり。こゝをもて後の世の人此種の書を尊み信じて、曾
て小説視するものなきまゝ、恬然正史の巻はじめにいとうやうやしく之れをかゝげて、國家の権輿を穿鑿する好材料とな
すことゝなりけり。或ひは神代史を解釋して太古の竒異譚といふものあれども、こはまた甚だしき
小説は假作物語の一種にして、所謂異譚の變體なり。竒異譚とは何ぞや。英國にてローマンスと名づくるものなり。
ローマンスは趣向を荒唐無稽の事物に取りて、竒恠百出もて篇をなし、尋常世界に見はれたる事物の道理に矛楯する
を敢て顧みざるものにぞある。小説即ちノベルに至りては之れと異なり、世の人情と風俗をば冩すを以て主腦となし、
平常世間にあるべきやうなる事柄をもて材料として而して趣向を設くるものなり。こは只概略の辯なるから、尚ほ解し
がたき由もあらめど、其詳細なる本義の如きは、暫く之を下囘に讓りて、まづ變遷の次第を説くべし。其倩々惟みるに、
小説、野乘の行はるゝは其源遠く?焉たる上古の時代にありといふべし。其然る所以を知らまくせば、試みに社會の淵源
に溯りて其状態を察せざる可らず。上古の社會の状態はいかにといふに、東西人おなじからず南北地異なるにも係らず、
一個の家長を尊崇して之れを酋族の長となすこと人間社會の通則なり。かゝれば戰鬪いと烈しく優勝劣敗急激なる未開野
蠻の上世にありては、猛然荒蕪の間に起りて俄かに一家の主長となり忽ち一族の首となるもの、或ひは少なしとなさゞる
なり。かゝる性質の家長にして已に酋族の首となりなば、其子孫らにものがたるに何等の事柄を以てする歟。想ふに己が
經驗なしたる艱難辛苦の事情はさらなり、其武功などを語りつべし。而して是等の物語は其人親しく經驗なし若しくは親
しく見聞せる眞實の事蹟に相違なけれど、子孫が之れを傳聞してまた其子孫に語るに及びて、或ひは記憶の誤謬より或ひ
は附會に原因して、竟には眞實の髓を亡ひ、咄々竒恠の物語を長く口碑に傳へ存じて、鬼神史、神代記の基を拓く、是れ
世上の通則にしてまた恠むに足らずと雖も、事のこゝに到れるには別に原因のなきを得むや。今こゝろみに之れを思ふに、
其原因となりたるもの凡そ三條ありきと思はる。譬へば酋族次第に榮えて勢ひ強大になるに至れば、人の心のおのづから
傲りて、些々たる事をも巨大にいひなし、他の酋族に誇るものなり。かゝれば祖先の履歴の如きは、故意に附會の談を加
へていと大業にいひなすべし。是れ第一の原因なり。又人間はうまれながらに竒異を好むに切なるものなり。斯かれば別
に其要なくとも、假作の談話をつくりまうけて、史傳を誤ることあるべし。是れ第二の原因なり。而して國歩やうやく進
みて稍々文明の世界となりなば、其國君といはるゝやからは下賤の疋夫の成りあがりが我が大祖なりといはるゝをば快か
らぬことに思ひて、附會の説をつくりまうけて太祖の事蹟を粧はむとす。況んや是等の時代に於ては敬信の念深かるから
、故意に物語を假作せずとも自然に祖先を神といひなし、天孫なりきと思ふべきをや。是れなむ諸國に信じがたき神代史
などいふものある第三條の原因なりかし。斯かれば上古のミソロヂイ即ち鬼神誌といへるものは所謂竒異譚の濫觴にて、
其傳おほくは假作にいで若しくは訛傳になりたること元より疑ひなきに似たり。さはあれ所謂神代史(鬼神誌)はもとこ
れ眞實の物語にして決して遊戯の作にあらねば、後の所謂苛異譚とは其質ほとほと同じうして其用はまたいたく異なり。
蓋し謬信傳訛の久しき、後世の人其傳記の妄誕なるをば恠まざるなり。こゝをもて後の世の人此種の書を尊み信じて、曾
て小説視するものなきまゝ、恬然正史の巻はじめにいとうやうやしく之れをかゝげて、國家の権輿を穿鑿する好材料とな
すことゝなりけり。或ひは神代史を解釋して太古の竒異譚といふものあれども、こはまた甚だしき
小説は假作物語の一種にして、所謂異譚の變體なり。竒異譚とは何ぞや。英國にてローマンスと名づくるものなり。
ローマンスは趣向を荒唐無稽の事物に取りて、竒恠百出もて篇をなし、尋常世界に見はれたる事物の道理に矛楯する
を敢て顧みざるものにぞある。小説即ちノベルに至りては之れと異なり、世の人情と風俗をば冩すを以て主腦となし、
平常世間にあるべきやうなる事柄をもて材料として而して趣向を設くるものなり。こは只概略の辯なるから、尚ほ解し
がたき由もあらめど、其詳細なる本義の如きは、暫く之を下囘に讓りて、まづ變遷の次第を説くべし。其倩々惟みるに、
小説、野乘の行はるゝは其源遠く?焉たる上古の時代にありといふべし。其然る所以を知らまくせば、試みに社會の淵源
に溯りて其状態を察せざる可らず。上古の社會の状態はいかにといふに、東西人おなじからず南北地異なるにも係らず、
一個の家長を尊崇して之れを酋族の長となすこと人間社會の通則なり。かゝれば戰鬪いと烈しく優勝劣敗急激なる未開野
蠻の上世にありては、猛然荒蕪の間に起りて俄かに一家の主長となり忽ち一族の首となるもの、或ひは少なしとなさゞる
なり。かゝる性質の家長にして已に酋族の首となりなば、其子孫らにものがたるに何等の事柄を以てする歟。想ふに己が
經驗なしたる艱難辛苦の事情はさらなり、其武功などを語りつべし。而して是等の物語は其人親しく經驗なし若しくは親
しく見聞せる眞實の事蹟に相違なけれど、子孫が之れを傳聞してまた其子孫に語るに及びて、或ひは記憶の誤謬より或ひ
は附會に原因して、竟には眞實の髓を亡ひ、咄々竒恠の物語を長く口碑に傳へ存じて、鬼神史、神代記の基を拓く、是れ
世上の通則にしてまた恠むに足らずと雖も、事のこゝに到れるには別に原因のなきを得むや。今こゝろみに之れを思ふに、
其原因となりたるもの凡そ三條ありきと思はる。譬へば酋族次第に榮えて勢ひ強大になるに至れば、人の心のおのづから
傲りて、些々たる事をも巨大にいひなし、他の酋族に誇るものなり。かゝれば祖先の履歴の如きは、故意に附會の談を加
へていと大業にいひなすべし。是れ第一の原因なり。又人間はうまれながらに竒異を好むに切なるものなり。斯かれば別
に其要なくとも、假作の談話をつくりまうけて、史傳を誤ることあるべし。是れ第二の原因なり。而して國歩やうやく進
みて稍々文明の世界となりなば、其國君といはるゝやからは下賤の疋夫の成りあがりが我が大祖なりといはるゝをば快か
らぬことに思ひて、附會の説をつくりまうけて太祖の事蹟を粧はむとす。況んや是等の時代に於ては敬信の念深かるから
、故意に物語を假作せずとも自然に祖先を神といひなし、天孫なりきと思ふべきをや。是れなむ諸國に信じがたき神代史
などいふものある第三條の原因なりかし。斯かれば上古のミソロヂイ即ち鬼神誌といへるものは所謂竒異譚の濫觴にて、
其傳おほくは假作にいで若しくは訛傳になりたること元より疑ひなきに似たり。さはあれ所謂神代史(鬼神誌)はもとこ
れ眞實の物語にして決して遊戯の作にあらねば、後の所謂苛異譚とは其質ほとほと同じうして其用はまたいたく異なり。
蓋し謬信傳訛の久しき、後世の人其傳記の妄誕なるをば恠まざるなり。こゝをもて後の世の人此種の書を尊み信じて、曾
て小説視するものなきまゝ、恬然正史の巻はじめにいとうやうやしく之れをかゝげて、國家の権輿を穿鑿する好材料とな
すことゝなりけり。或ひは神代史を解釋して太古の竒異譚といふものあれども、こはまた甚だしき
小説は假作物語の一種にして、所謂異譚の變體なり。竒異譚とは何ぞや。英國にてローマンスと名づくるものなり。
ローマンスは趣向を荒唐無稽の事物に取りて、竒恠百出もて篇をなし、尋常世界に見はれたる事物の道理に矛楯する
を敢て顧みざるものにぞある。小説即ちノベルに至りては之れと異なり、世の人情と風俗をば冩すを以て主腦となし、
平常世間にあるべきやうなる事柄をもて材料として而して趣向を設くるものなり。こは只概略の辯なるから、尚ほ解し
がたき由もあらめど、其詳細なる本義の如きは、暫く之を下囘に讓りて、まづ變遷の次第を説くべし。其倩々惟みるに、
小説、野乘の行はるゝは其源遠く?焉たる上古の時代にありといふべし。其然る所以を知らまくせば、試みに社會の淵源
に溯りて其状態を察せざる可らず。上古の社會の状態はいかにといふに、東西人おなじからず南北地異なるにも係らず、
一個の家長を尊崇して之れを酋族の長となすこと人間社會の通則なり。かゝれば戰鬪いと烈しく優勝劣敗急激なる未開野
蠻の上世にありては、猛然荒蕪の間に起りて俄かに一家の主長となり忽ち一族の首となるもの、或ひは少なしとなさゞる
なり。かゝる性質の家長にして已に酋族の首となりなば、其子孫らにものがたるに何等の事柄を以てする歟。想ふに己が
經驗なしたる艱難辛苦の事情はさらなり、其武功などを語りつべし。而して是等の物語は其人親しく經驗なし若しくは親
しく見聞せる眞實の事蹟に相違なけれど、子孫が之れを傳聞してまた其子孫に語るに及びて、或ひは記憶の誤謬より或ひ
は附會に原因して、竟には眞實の髓を亡ひ、咄々竒恠の物語を長く口碑に傳へ存じて、鬼神史、神代記の基を拓く、是れ
世上の通則にしてまた恠むに足らずと雖も、事のこゝに到れるには別に原因のなきを得むや。今こゝろみに之れを思ふに、
其原因となりたるもの凡そ三條ありきと思はる。譬へば酋族次第に榮えて勢ひ強大になるに至れば、人の心のおのづから
傲りて、些々たる事をも巨大にいひなし、他の酋族に誇るものなり。かゝれば祖先の履歴の如きは、故意に附會の談を加
へていと大業にいひなすべし。是れ第一の原因なり。又人間はうまれながらに竒異を好むに切なるものなり。斯かれば別
に其要なくとも、假作の談話をつくりまうけて、史傳を誤ることあるべし。是れ第二の原因なり。而して國歩やうやく進
みて稍々文明の世界となりなば、其國君といはるゝやからは下賤の疋夫の成りあがりが我が大祖なりといはるゝをば快か
らぬことに思ひて、附會の説をつくりまうけて太祖の事蹟を粧はむとす。況んや是等の時代に於ては敬信の念深かるから
、故意に物語を假作せずとも自然に祖先を神といひなし、天孫なりきと思ふべきをや。是れなむ諸國に信じがたき神代史
などいふものある第三條の原因なりかし。斯かれば上古のミソロヂイ即ち鬼神誌といへるものは所謂竒異譚の濫觴にて、
其傳おほくは假作にいで若しくは訛傳になりたること元より疑ひなきに似たり。さはあれ所謂神代史(鬼神誌)はもとこ
れ眞實の物語にして決して遊戯の作にあらねば、後の所謂苛異譚とは其質ほとほと同じうして其用はまたいたく異なり。
蓋し謬信傳訛の久しき、後世の人其傳記の妄誕なるをば恠まざるなり。こゝをもて後の世の人此種の書を尊み信じて、曾
て小説視するものなきまゝ、恬然正史の巻はじめにいとうやうやしく之れをかゝげて、國家の権輿を穿鑿する好材料とな
すことゝなりけり。或ひは神代史を解釋して太古の竒異譚といふものあれども、こはまた甚だしき
人が食事をしている間も延々とこれを貼り付けていたかと思うと・・・
恐ろしいような悲しいような・・・
小説は假作物語の一種にして、所謂異譚の變體なり。竒異譚とは何ぞや。英國にてローマンスと名づくるものなり。
ローマンスは趣向を荒唐無稽の事物に取りて、竒恠百出もて篇をなし、尋常世界に見はれたる事物の道理に矛楯する
を敢て顧みざるものにぞある。小説即ちノベルに至りては之れと異なり、世の人情と風俗をば冩すを以て主腦となし、
平常世間にあるべきやうなる事柄をもて材料として而して趣向を設くるものなり。こは只概略の辯なるから、尚ほ解し
がたき由もあらめど、其詳細なる本義の如きは、暫く之を下囘に讓りて、まづ變遷の次第を説くべし。其倩々惟みるに、
小説、野乘の行はるゝは其源遠く?焉たる上古の時代にありといふべし。其然る所以を知らまくせば、試みに社會の淵源
に溯りて其状態を察せざる可らず。上古の社會の状態はいかにといふに、東西人おなじからず南北地異なるにも係らず、
一個の家長を尊崇して之れを酋族の長となすこと人間社會の通則なり。かゝれば戰鬪いと烈しく優勝劣敗急激なる未開野
蠻の上世にありては、猛然荒蕪の間に起りて俄かに一家の主長となり忽ち一族の首となるもの、或ひは少なしとなさゞる
なり。かゝる性質の家長にして已に酋族の首となりなば、其子孫らにものがたるに何等の事柄を以てする歟。想ふに己が
經驗なしたる艱難辛苦の事情はさらなり、其武功などを語りつべし。而して是等の物語は其人親しく經驗なし若しくは親
しく見聞せる眞實の事蹟に相違なけれど、子孫が之れを傳聞してまた其子孫に語るに及びて、或ひは記憶の誤謬より或ひ
は附會に原因して、竟には眞實の髓を亡ひ、咄々竒恠の物語を長く口碑に傳へ存じて、鬼神史、神代記の基を拓く、是れ
世上の通則にしてまた恠むに足らずと雖も、事のこゝに到れるには別に原因のなきを得むや。今こゝろみに之れを思ふに、
其原因となりたるもの凡そ三條ありきと思はる。譬へば酋族次第に榮えて勢ひ強大になるに至れば、人の心のおのづから
傲りて、些々たる事をも巨大にいひなし、他の酋族に誇るものなり。かゝれば祖先の履歴の如きは、故意に附會の談を加
へていと大業にいひなすべし。是れ第一の原因なり。又人間はうまれながらに竒異を好むに切なるものなり。斯かれば別
に其要なくとも、假作の談話をつくりまうけて、史傳を誤ることあるべし。是れ第二の原因なり。而して國歩やうやく進
みて稍々文明の世界となりなば、其國君といはるゝやからは下賤の疋夫の成りあがりが我が大祖なりといはるゝをば快か
らぬことに思ひて、附會の説をつくりまうけて太祖の事蹟を粧はむとす。況んや是等の時代に於ては敬信の念深かるから
、故意に物語を假作せずとも自然に祖先を神といひなし、天孫なりきと思ふべきをや。是れなむ諸國に信じがたき神代史
などいふものある第三條の原因なりかし。斯かれば上古のミソロヂイ即ち鬼神誌といへるものは所謂竒異譚の濫觴にて、
其傳おほくは假作にいで若しくは訛傳になりたること元より疑ひなきに似たり。さはあれ所謂神代史(鬼神誌)はもとこ
れ眞實の物語にして決して遊戯の作にあらねば、後の所謂苛異譚とは其質ほとほと同じうして其用はまたいたく異なり。
蓋し謬信傳訛の久しき、後世の人其傳記の妄誕なるをば恠まざるなり。こゝをもて後の世の人此種の書を尊み信じて、曾
て小説視するものなきまゝ、恬然正史の巻はじめにいとうやうやしく之れをかゝげて、國家の権輿を穿鑿する好材料とな
すことゝなりけり。或ひは神代史を解釋して太古の竒異譚といふものあれども、こはまた甚だしき
小説は假作物語の一種にして、所謂異譚の變體なり。竒異譚とは何ぞや。英國にてローマンスと名づくるものなり。
ローマンスは趣向を荒唐無稽の事物に取りて、竒恠百出もて篇をなし、尋常世界に見はれたる事物の道理に矛楯する
を敢て顧みざるものにぞある。小説即ちノベルに至りては之れと異なり、世の人情と風俗をば冩すを以て主腦となし、
平常世間にあるべきやうなる事柄をもて材料として而して趣向を設くるものなり。こは只概略の辯なるから、尚ほ解し
がたき由もあらめど、其詳細なる本義の如きは、暫く之を下囘に讓りて、まづ變遷の次第を説くべし。其倩々惟みるに、
小説、野乘の行はるゝは其源遠く?焉たる上古の時代にありといふべし。其然る所以を知らまくせば、試みに社會の淵源
に溯りて其状態を察せざる可らず。上古の社會の状態はいかにといふに、東西人おなじからず南北地異なるにも係らず、
一個の家長を尊崇して之れを酋族の長となすこと人間社會の通則なり。かゝれば戰鬪いと烈しく優勝劣敗急激なる未開野
蠻の上世にありては、猛然荒蕪の間に起りて俄かに一家の主長となり忽ち一族の首となるもの、或ひは少なしとなさゞる
なり。かゝる性質の家長にして已に酋族の首となりなば、其子孫らにものがたるに何等の事柄を以てする歟。想ふに己が
經驗なしたる艱難辛苦の事情はさらなり、其武功などを語りつべし。而して是等の物語は其人親しく經驗なし若しくは親
しく見聞せる眞實の事蹟に相違なけれど、子孫が之れを傳聞してまた其子孫に語るに及びて、或ひは記憶の誤謬より或ひ
は附會に原因して、竟には眞實の髓を亡ひ、咄々竒恠の物語を長く口碑に傳へ存じて、鬼神史、神代記の基を拓く、是れ
世上の通則にしてまた恠むに足らずと雖も、事のこゝに到れるには別に原因のなきを得むや。今こゝろみに之れを思ふに、
其原因となりたるもの凡そ三條ありきと思はる。譬へば酋族次第に榮えて勢ひ強大になるに至れば、人の心のおのづから
傲りて、些々たる事をも巨大にいひなし、他の酋族に誇るものなり。かゝれば祖先の履歴の如きは、故意に附會の談を加
へていと大業にいひなすべし。是れ第一の原因なり。又人間はうまれながらに竒異を好むに切なるものなり。斯かれば別
に其要なくとも、假作の談話をつくりまうけて、史傳を誤ることあるべし。是れ第二の原因なり。而して國歩やうやく進
みて稍々文明の世界となりなば、其國君といはるゝやからは下賤の疋夫の成りあがりが我が大祖なりといはるゝをば快か
らぬことに思ひて、附會の説をつくりまうけて太祖の事蹟を粧はむとす。況んや是等の時代に於ては敬信の念深かるから
、故意に物語を假作せずとも自然に祖先を神といひなし、天孫なりきと思ふべきをや。是れなむ諸國に信じがたき神代史
などいふものある第三條の原因なりかし。斯かれば上古のミソロヂイ即ち鬼神誌といへるものは所謂竒異譚の濫觴にて、
其傳おほくは假作にいで若しくは訛傳になりたること元より疑ひなきに似たり。さはあれ所謂神代史(鬼神誌)はもとこ
れ眞實の物語にして決して遊戯の作にあらねば、後の所謂苛異譚とは其質ほとほと同じうして其用はまたいたく異なり。
蓋し謬信傳訛の久しき、後世の人其傳記の妄誕なるをば恠まざるなり。こゝをもて後の世の人此種の書を尊み信じて、曾
て小説視するものなきまゝ、恬然正史の巻はじめにいとうやうやしく之れをかゝげて、國家の権輿を穿鑿する好材料とな
すことゝなりけり。或ひは神代史を解釋して太古の竒異譚といふものあれども、こはまた甚だしき
小説は假作物語の一種にして、所謂異譚の變體なり。竒異譚とは何ぞや。英國にてローマンスと名づくるものなり。
ローマンスは趣向を荒唐無稽の事物に取りて、竒恠百出もて篇をなし、尋常世界に見はれたる事物の道理に矛楯する
を敢て顧みざるものにぞある。小説即ちノベルに至りては之れと異なり、世の人情と風俗をば冩すを以て主腦となし、
平常世間にあるべきやうなる事柄をもて材料として而して趣向を設くるものなり。こは只概略の辯なるから、尚ほ解し
がたき由もあらめど、其詳細なる本義の如きは、暫く之を下囘に讓りて、まづ變遷の次第を説くべし。其倩々惟みるに、
小説、野乘の行はるゝは其源遠く?焉たる上古の時代にありといふべし。其然る所以を知らまくせば、試みに社會の淵源
に溯りて其状態を察せざる可らず。上古の社會の状態はいかにといふに、東西人おなじからず南北地異なるにも係らず、
一個の家長を尊崇して之れを酋族の長となすこと人間社會の通則なり。かゝれば戰鬪いと烈しく優勝劣敗急激なる未開野
蠻の上世にありては、猛然荒蕪の間に起りて俄かに一家の主長となり忽ち一族の首となるもの、或ひは少なしとなさゞる
なり。かゝる性質の家長にして已に酋族の首となりなば、其子孫らにものがたるに何等の事柄を以てする歟。想ふに己が
經驗なしたる艱難辛苦の事情はさらなり、其武功などを語りつべし。而して是等の物語は其人親しく經驗なし若しくは親
しく見聞せる眞實の事蹟に相違なけれど、子孫が之れを傳聞してまた其子孫に語るに及びて、或ひは記憶の誤謬より或ひ
は附會に原因して、竟には眞實の髓を亡ひ、咄々竒恠の物語を長く口碑に傳へ存じて、鬼神史、神代記の基を拓く、是れ
世上の通則にしてまた恠むに足らずと雖も、事のこゝに到れるには別に原因のなきを得むや。今こゝろみに之れを思ふに、
其原因となりたるもの凡そ三條ありきと思はる。譬へば酋族次第に榮えて勢ひ強大になるに至れば、人の心のおのづから
傲りて、些々たる事をも巨大にいひなし、他の酋族に誇るものなり。かゝれば祖先の履歴の如きは、故意に附會の談を加
へていと大業にいひなすべし。是れ第一の原因なり。又人間はうまれながらに竒異を好むに切なるものなり。斯かれば別
に其要なくとも、假作の談話をつくりまうけて、史傳を誤ることあるべし。是れ第二の原因なり。而して國歩やうやく進
みて稍々文明の世界となりなば、其國君といはるゝやからは下賤の疋夫の成りあがりが我が大祖なりといはるゝをば快か
らぬことに思ひて、附會の説をつくりまうけて太祖の事蹟を粧はむとす。況んや是等の時代に於ては敬信の念深かるから
、故意に物語を假作せずとも自然に祖先を神といひなし、天孫なりきと思ふべきをや。是れなむ諸國に信じがたき神代史
などいふものある第三條の原因なりかし。斯かれば上古のミソロヂイ即ち鬼神誌といへるものは所謂竒異譚の濫觴にて、
其傳おほくは假作にいで若しくは訛傳になりたること元より疑ひなきに似たり。さはあれ所謂神代史(鬼神誌)はもとこ
れ眞實の物語にして決して遊戯の作にあらねば、後の所謂苛異譚とは其質ほとほと同じうして其用はまたいたく異なり。
蓋し謬信傳訛の久しき、後世の人其傳記の妄誕なるをば恠まざるなり。こゝをもて後の世の人此種の書を尊み信じて、曾
て小説視するものなきまゝ、恬然正史の巻はじめにいとうやうやしく之れをかゝげて、國家の権輿を穿鑿する好材料とな
すことゝなりけり。或ひは神代史を解釋して太古の竒異譚といふものあれども、こはまた甚だしき
小説は假作物語の一種にして、所謂異譚の變體なり。竒異譚とは何ぞや。英國にてローマンスと名づくるものなり。
ローマンスは趣向を荒唐無稽の事物に取りて、竒恠百出もて篇をなし、尋常世界に見はれたる事物の道理に矛楯する
を敢て顧みざるものにぞある。小説即ちノベルに至りては之れと異なり、世の人情と風俗をば冩すを以て主腦となし、
平常世間にあるべきやうなる事柄をもて材料として而して趣向を設くるものなり。こは只概略の辯なるから、尚ほ解し
がたき由もあらめど、其詳細なる本義の如きは、暫く之を下囘に讓りて、まづ變遷の次第を説くべし。其倩々惟みるに、
小説、野乘の行はるゝは其源遠く?焉たる上古の時代にありといふべし。其然る所以を知らまくせば、試みに社會の淵源
に溯りて其状態を察せざる可らず。上古の社會の状態はいかにといふに、東西人おなじからず南北地異なるにも係らず、
一個の家長を尊崇して之れを酋族の長となすこと人間社會の通則なり。かゝれば戰鬪いと烈しく優勝劣敗急激なる未開野
蠻の上世にありては、猛然荒蕪の間に起りて俄かに一家の主長となり忽ち一族の首となるもの、或ひは少なしとなさゞる
なり。かゝる性質の家長にして已に酋族の首となりなば、其子孫らにものがたるに何等の事柄を以てする歟。想ふに己が
經驗なしたる艱難辛苦の事情はさらなり、其武功などを語りつべし。而して是等の物語は其人親しく經驗なし若しくは親
しく見聞せる眞實の事蹟に相違なけれど、子孫が之れを傳聞してまた其子孫に語るに及びて、或ひは記憶の誤謬より或ひ
は附會に原因して、竟には眞實の髓を亡ひ、咄々竒恠の物語を長く口碑に傳へ存じて、鬼神史、神代記の基を拓く、是れ
世上の通則にしてまた恠むに足らずと雖も、事のこゝに到れるには別に原因のなきを得むや。今こゝろみに之れを思ふに、
其原因となりたるもの凡そ三條ありきと思はる。譬へば酋族次第に榮えて勢ひ強大になるに至れば、人の心のおのづから
傲りて、些々たる事をも巨大にいひなし、他の酋族に誇るものなり。かゝれば祖先の履歴の如きは、故意に附會の談を加
へていと大業にいひなすべし。是れ第一の原因なり。又人間はうまれながらに竒異を好むに切なるものなり。斯かれば別
に其要なくとも、假作の談話をつくりまうけて、史傳を誤ることあるべし。是れ第二の原因なり。而して國歩やうやく進
みて稍々文明の世界となりなば、其國君といはるゝやからは下賤の疋夫の成りあがりが我が大祖なりといはるゝをば快か
らぬことに思ひて、附會の説をつくりまうけて太祖の事蹟を粧はむとす。況んや是等の時代に於ては敬信の念深かるから
、故意に物語を假作せずとも自然に祖先を神といひなし、天孫なりきと思ふべきをや。是れなむ諸國に信じがたき神代史
などいふものある第三條の原因なりかし。斯かれば上古のミソロヂイ即ち鬼神誌といへるものは所謂竒異譚の濫觴にて、
其傳おほくは假作にいで若しくは訛傳になりたること元より疑ひなきに似たり。さはあれ所謂神代史(鬼神誌)はもとこ
れ眞實の物語にして決して遊戯の作にあらねば、後の所謂苛異譚とは其質ほとほと同じうして其用はまたいたく異なり。
蓋し謬信傳訛の久しき、後世の人其傳記の妄誕なるをば恠まざるなり。こゝをもて後の世の人此種の書を尊み信じて、曾
て小説視するものなきまゝ、恬然正史の巻はじめにいとうやうやしく之れをかゝげて、國家の権輿を穿鑿する好材料とな
すことゝなりけり。或ひは神代史を解釋して太古の竒異譚といふものあれども、こはまた甚だしき
小説は假作物語の一種にして、所謂異譚の變體なり。竒異譚とは何ぞや。英國にてローマンスと名づくるものなり。
ローマンスは趣向を荒唐無稽の事物に取りて、竒恠百出もて篇をなし、尋常世界に見はれたる事物の道理に矛楯する
を敢て顧みざるものにぞある。小説即ちノベルに至りては之れと異なり、世の人情と風俗をば冩すを以て主腦となし、
平常世間にあるべきやうなる事柄をもて材料として而して趣向を設くるものなり。こは只概略の辯なるから、尚ほ解し
がたき由もあらめど、其詳細なる本義の如きは、暫く之を下囘に讓りて、まづ變遷の次第を説くべし。其倩々惟みるに、
小説、野乘の行はるゝは其源遠く?焉たる上古の時代にありといふべし。其然る所以を知らまくせば、試みに社會の淵源
に溯りて其状態を察せざる可らず。上古の社會の状態はいかにといふに、東西人おなじからず南北地異なるにも係らず、
一個の家長を尊崇して之れを酋族の長となすこと人間社會の通則なり。かゝれば戰鬪いと烈しく優勝劣敗急激なる未開野
蠻の上世にありては、猛然荒蕪の間に起りて俄かに一家の主長となり忽ち一族の首となるもの、或ひは少なしとなさゞる
なり。かゝる性質の家長にして已に酋族の首となりなば、其子孫らにものがたるに何等の事柄を以てする歟。想ふに己が
經驗なしたる艱難辛苦の事情はさらなり、其武功などを語りつべし。而して是等の物語は其人親しく經驗なし若しくは親
しく見聞せる眞實の事蹟に相違なけれど、子孫が之れを傳聞してまた其子孫に語るに及びて、或ひは記憶の誤謬より或ひ
は附會に原因して、竟には眞實の髓を亡ひ、咄々竒恠の物語を長く口碑に傳へ存じて、鬼神史、神代記の基を拓く、是れ
世上の通則にしてまた恠むに足らずと雖も、事のこゝに到れるには別に原因のなきを得むや。今こゝろみに之れを思ふに、
其原因となりたるもの凡そ三條ありきと思はる。譬へば酋族次第に榮えて勢ひ強大になるに至れば、人の心のおのづから
傲りて、些々たる事をも巨大にいひなし、他の酋族に誇るものなり。かゝれば祖先の履歴の如きは、故意に附會の談を加
へていと大業にいひなすべし。是れ第一の原因なり。又人間はうまれながらに竒異を好むに切なるものなり。斯かれば別
に其要なくとも、假作の談話をつくりまうけて、史傳を誤ることあるべし。是れ第二の原因なり。而して國歩やうやく進
みて稍々文明の世界となりなば、其國君といはるゝやからは下賤の疋夫の成りあがりが我が大祖なりといはるゝをば快か
らぬことに思ひて、附會の説をつくりまうけて太祖の事蹟を粧はむとす。況んや是等の時代に於ては敬信の念深かるから
、故意に物語を假作せずとも自然に祖先を神といひなし、天孫なりきと思ふべきをや。是れなむ諸國に信じがたき神代史
などいふものある第三條の原因なりかし。斯かれば上古のミソロヂイ即ち鬼神誌といへるものは所謂竒異譚の濫觴にて、
其傳おほくは假作にいで若しくは訛傳になりたること元より疑ひなきに似たり。さはあれ所謂神代史(鬼神誌)はもとこ
れ眞實の物語にして決して遊戯の作にあらねば、後の所謂苛異譚とは其質ほとほと同じうして其用はまたいたく異なり。
蓋し謬信傳訛の久しき、後世の人其傳記の妄誕なるをば恠まざるなり。こゝをもて後の世の人此種の書を尊み信じて、曾
て小説視するものなきまゝ、恬然正史の巻はじめにいとうやうやしく之れをかゝげて、國家の権輿を穿鑿する好材料とな
すことゝなりけり。或ひは神代史を解釋して太古の竒異譚といふものあれども、こはまた甚だしき
小説は假作物語の一種にして、所謂異譚の變體なり。竒異譚とは何ぞや。英國にてローマンスと名づくるものなり。
ローマンスは趣向を荒唐無稽の事物に取りて、竒恠百出もて篇をなし、尋常世界に見はれたる事物の道理に矛楯する
を敢て顧みざるものにぞある。小説即ちノベルに至りては之れと異なり、世の人情と風俗をば冩すを以て主腦となし、
平常世間にあるべきやうなる事柄をもて材料として而して趣向を設くるものなり。こは只概略の辯なるから、尚ほ解し
がたき由もあらめど、其詳細なる本義の如きは、暫く之を下囘に讓りて、まづ變遷の次第を説くべし。其倩々惟みるに、
小説、野乘の行はるゝは其源遠く?焉たる上古の時代にありといふべし。其然る所以を知らまくせば、試みに社會の淵源
に溯りて其状態を察せざる可らず。上古の社會の状態はいかにといふに、東西人おなじからず南北地異なるにも係らず、
一個の家長を尊崇して之れを酋族の長となすこと人間社會の通則なり。かゝれば戰鬪いと烈しく優勝劣敗急激なる未開野
蠻の上世にありては、猛然荒蕪の間に起りて俄かに一家の主長となり忽ち一族の首となるもの、或ひは少なしとなさゞる
なり。かゝる性質の家長にして已に酋族の首となりなば、其子孫らにものがたるに何等の事柄を以てする歟。想ふに己が
經驗なしたる艱難辛苦の事情はさらなり、其武功などを語りつべし。而して是等の物語は其人親しく經驗なし若しくは親
しく見聞せる眞實の事蹟に相違なけれど、子孫が之れを傳聞してまた其子孫に語るに及びて、或ひは記憶の誤謬より或ひ
は附會に原因して、竟には眞實の髓を亡ひ、咄々竒恠の物語を長く口碑に傳へ存じて、鬼神史、神代記の基を拓く、是れ
世上の通則にしてまた恠むに足らずと雖も、事のこゝに到れるには別に原因のなきを得むや。今こゝろみに之れを思ふに、
其原因となりたるもの凡そ三條ありきと思はる。譬へば酋族次第に榮えて勢ひ強大になるに至れば、人の心のおのづから
傲りて、些々たる事をも巨大にいひなし、他の酋族に誇るものなり。かゝれば祖先の履歴の如きは、故意に附會の談を加
へていと大業にいひなすべし。是れ第一の原因なり。又人間はうまれながらに竒異を好むに切なるものなり。斯かれば別
に其要なくとも、假作の談話をつくりまうけて、史傳を誤ることあるべし。是れ第二の原因なり。而して國歩やうやく進
みて稍々文明の世界となりなば、其國君といはるゝやからは下賤の疋夫の成りあがりが我が大祖なりといはるゝをば快か
らぬことに思ひて、附會の説をつくりまうけて太祖の事蹟を粧はむとす。況んや是等の時代に於ては敬信の念深かるから
、故意に物語を假作せずとも自然に祖先を神といひなし、天孫なりきと思ふべきをや。是れなむ諸國に信じがたき神代史
などいふものある第三條の原因なりかし。斯かれば上古のミソロヂイ即ち鬼神誌といへるものは所謂竒異譚の濫觴にて、
其傳おほくは假作にいで若しくは訛傳になりたること元より疑ひなきに似たり。さはあれ所謂神代史(鬼神誌)はもとこ
れ眞實の物語にして決して遊戯の作にあらねば、後の所謂苛異譚とは其質ほとほと同じうして其用はまたいたく異なり。
蓋し謬信傳訛の久しき、後世の人其傳記の妄誕なるをば恠まざるなり。こゝをもて後の世の人此種の書を尊み信じて、曾
て小説視するものなきまゝ、恬然正史の巻はじめにいとうやうやしく之れをかゝげて、國家の権輿を穿鑿する好材料とな
すことゝなりけり。或ひは神代史を解釋して太古の竒異譚といふものあれども、こはまた甚だしき
小説は假作物語の一種にして、所謂異譚の變體なり。竒異譚とは何ぞや。英國にてローマンスと名づくるものなり。
ローマンスは趣向を荒唐無稽の事物に取りて、竒恠百出もて篇をなし、尋常世界に見はれたる事物の道理に矛楯する
を敢て顧みざるものにぞある。小説即ちノベルに至りては之れと異なり、世の人情と風俗をば冩すを以て主腦となし、
平常世間にあるべきやうなる事柄をもて材料として而して趣向を設くるものなり。こは只概略の辯なるから、尚ほ解し
がたき由もあらめど、其詳細なる本義の如きは、暫く之を下囘に讓りて、まづ變遷の次第を説くべし。其倩々惟みるに、
小説、野乘の行はるゝは其源遠く?焉たる上古の時代にありといふべし。其然る所以を知らまくせば、試みに社會の淵源
に溯りて其状態を察せざる可らず。上古の社會の状態はいかにといふに、東西人おなじからず南北地異なるにも係らず、
一個の家長を尊崇して之れを酋族の長となすこと人間社會の通則なり。かゝれば戰鬪いと烈しく優勝劣敗急激なる未開野
蠻の上世にありては、猛然荒蕪の間に起りて俄かに一家の主長となり忽ち一族の首となるもの、或ひは少なしとなさゞる
なり。かゝる性質の家長にして已に酋族の首となりなば、其子孫らにものがたるに何等の事柄を以てする歟。想ふに己が
經驗なしたる艱難辛苦の事情はさらなり、其武功などを語りつべし。而して是等の物語は其人親しく經驗なし若しくは親
しく見聞せる眞實の事蹟に相違なけれど、子孫が之れを傳聞してまた其子孫に語るに及びて、或ひは記憶の誤謬より或ひ
は附會に原因して、竟には眞實の髓を亡ひ、咄々竒恠の物語を長く口碑に傳へ存じて、鬼神史、神代記の基を拓く、是れ
世上の通則にしてまた恠むに足らずと雖も、事のこゝに到れるには別に原因のなきを得むや。今こゝろみに之れを思ふに、
其原因となりたるもの凡そ三條ありきと思はる。譬へば酋族次第に榮えて勢ひ強大になるに至れば、人の心のおのづから
傲りて、些々たる事をも巨大にいひなし、他の酋族に誇るものなり。かゝれば祖先の履歴の如きは、故意に附會の談を加
へていと大業にいひなすべし。是れ第一の原因なり。又人間はうまれながらに竒異を好むに切なるものなり。斯かれば別
に其要なくとも、假作の談話をつくりまうけて、史傳を誤ることあるべし。是れ第二の原因なり。而して國歩やうやく進
みて稍々文明の世界となりなば、其國君といはるゝやからは下賤の疋夫の成りあがりが我が大祖なりといはるゝをば快か
らぬことに思ひて、附會の説をつくりまうけて太祖の事蹟を粧はむとす。況んや是等の時代に於ては敬信の念深かるから
、故意に物語を假作せずとも自然に祖先を神といひなし、天孫なりきと思ふべきをや。是れなむ諸國に信じがたき神代史
などいふものある第三條の原因なりかし。斯かれば上古のミソロヂイ即ち鬼神誌といへるものは所謂竒異譚の濫觴にて、
其傳おほくは假作にいで若しくは訛傳になりたること元より疑ひなきに似たり。さはあれ所謂神代史(鬼神誌)はもとこ
れ眞實の物語にして決して遊戯の作にあらねば、後の所謂苛異譚とは其質ほとほと同じうして其用はまたいたく異なり。
蓋し謬信傳訛の久しき、後世の人其傳記の妄誕なるをば恠まざるなり。こゝをもて後の世の人此種の書を尊み信じて、曾
て小説視するものなきまゝ、恬然正史の巻はじめにいとうやうやしく之れをかゝげて、國家の権輿を穿鑿する好材料とな
すことゝなりけり。或ひは神代史を解釋して太古の竒異譚といふものあれども、こはまた甚だしき
小説は假作物語の一種にして、所謂異譚の變體なり。竒異譚とは何ぞや。英國にてローマンスと名づくるものなり。
ローマンスは趣向を荒唐無稽の事物に取りて、竒恠百出もて篇をなし、尋常世界に見はれたる事物の道理に矛楯する
を敢て顧みざるものにぞある。小説即ちノベルに至りては之れと異なり、世の人情と風俗をば冩すを以て主腦となし、
平常世間にあるべきやうなる事柄をもて材料として而して趣向を設くるものなり。こは只概略の辯なるから、尚ほ解し
がたき由もあらめど、其詳細なる本義の如きは、暫く之を下囘に讓りて、まづ變遷の次第を説くべし。其倩々惟みるに、
小説、野乘の行はるゝは其源遠く?焉たる上古の時代にありといふべし。其然る所以を知らまくせば、試みに社會の淵源
に溯りて其状態を察せざる可らず。上古の社會の状態はいかにといふに、東西人おなじからず南北地異なるにも係らず、
一個の家長を尊崇して之れを酋族の長となすこと人間社會の通則なり。かゝれば戰鬪いと烈しく優勝劣敗急激なる未開野
蠻の上世にありては、猛然荒蕪の間に起りて俄かに一家の主長となり忽ち一族の首となるもの、或ひは少なしとなさゞる
なり。かゝる性質の家長にして已に酋族の首となりなば、其子孫らにものがたるに何等の事柄を以てする歟。想ふに己が
經驗なしたる艱難辛苦の事情はさらなり、其武功などを語りつべし。而して是等の物語は其人親しく經驗なし若しくは親
しく見聞せる眞實の事蹟に相違なけれど、子孫が之れを傳聞してまた其子孫に語るに及びて、或ひは記憶の誤謬より或ひ
は附會に原因して、竟には眞實の髓を亡ひ、咄々竒恠の物語を長く口碑に傳へ存じて、鬼神史、神代記の基を拓く、是れ
世上の通則にしてまた恠むに足らずと雖も、事のこゝに到れるには別に原因のなきを得むや。今こゝろみに之れを思ふに、
其原因となりたるもの凡そ三條ありきと思はる。譬へば酋族次第に榮えて勢ひ強大になるに至れば、人の心のおのづから
傲りて、些々たる事をも巨大にいひなし、他の酋族に誇るものなり。かゝれば祖先の履歴の如きは、故意に附會の談を加
へていと大業にいひなすべし。是れ第一の原因なり。又人間はうまれながらに竒異を好むに切なるものなり。斯かれば別
に其要なくとも、假作の談話をつくりまうけて、史傳を誤ることあるべし。是れ第二の原因なり。而して國歩やうやく進
みて稍々文明の世界となりなば、其國君といはるゝやからは下賤の疋夫の成りあがりが我が大祖なりといはるゝをば快か
らぬことに思ひて、附會の説をつくりまうけて太祖の事蹟を粧はむとす。況んや是等の時代に於ては敬信の念深かるから
、故意に物語を假作せずとも自然に祖先を神といひなし、天孫なりきと思ふべきをや。是れなむ諸國に信じがたき神代史
などいふものある第三條の原因なりかし。斯かれば上古のミソロヂイ即ち鬼神誌といへるものは所謂竒異譚の濫觴にて、
其傳おほくは假作にいで若しくは訛傳になりたること元より疑ひなきに似たり。さはあれ所謂神代史(鬼神誌)はもとこ
れ眞實の物語にして決して遊戯の作にあらねば、後の所謂苛異譚とは其質ほとほと同じうして其用はまたいたく異なり。
蓋し謬信傳訛の久しき、後世の人其傳記の妄誕なるをば恠まざるなり。こゝをもて後の世の人此種の書を尊み信じて、曾
て小説視するものなきまゝ、恬然正史の巻はじめにいとうやうやしく之れをかゝげて、國家の権輿を穿鑿する好材料とな
すことゝなりけり。或ひは神代史を解釋して太古の竒異譚といふものあれども、こはまた甚だしき
小説は假作物語の一種にして、所謂異譚の變體なり。竒異譚とは何ぞや。英國にてローマンスと名づくるものなり。
ローマンスは趣向を荒唐無稽の事物に取りて、竒恠百出もて篇をなし、尋常世界に見はれたる事物の道理に矛楯する
を敢て顧みざるものにぞある。小説即ちノベルに至りては之れと異なり、世の人情と風俗をば冩すを以て主腦となし、
平常世間にあるべきやうなる事柄をもて材料として而して趣向を設くるものなり。こは只概略の辯なるから、尚ほ解し
がたき由もあらめど、其詳細なる本義の如きは、暫く之を下囘に讓りて、まづ變遷の次第を説くべし。其倩々惟みるに、
小説、野乘の行はるゝは其源遠く?焉たる上古の時代にありといふべし。其然る所以を知らまくせば、試みに社會の淵源
に溯りて其状態を察せざる可らず。上古の社會の状態はいかにといふに、東西人おなじからず南北地異なるにも係らず、
一個の家長を尊崇して之れを酋族の長となすこと人間社會の通則なり。かゝれば戰鬪いと烈しく優勝劣敗急激なる未開野
蠻の上世にありては、猛然荒蕪の間に起りて俄かに一家の主長となり忽ち一族の首となるもの、或ひは少なしとなさゞる
なり。かゝる性質の家長にして已に酋族の首となりなば、其子孫らにものがたるに何等の事柄を以てする歟。想ふに己が
經驗なしたる艱難辛苦の事情はさらなり、其武功などを語りつべし。而して是等の物語は其人親しく經驗なし若しくは親
しく見聞せる眞實の事蹟に相違なけれど、子孫が之れを傳聞してまた其子孫に語るに及びて、或ひは記憶の誤謬より或ひ
は附會に原因して、竟には眞實の髓を亡ひ、咄々竒恠の物語を長く口碑に傳へ存じて、鬼神史、神代記の基を拓く、是れ
世上の通則にしてまた恠むに足らずと雖も、事のこゝに到れるには別に原因のなきを得むや。今こゝろみに之れを思ふに、
其原因となりたるもの凡そ三條ありきと思はる。譬へば酋族次第に榮えて勢ひ強大になるに至れば、人の心のおのづから
傲りて、些々たる事をも巨大にいひなし、他の酋族に誇るものなり。かゝれば祖先の履歴の如きは、故意に附會の談を加
へていと大業にいひなすべし。是れ第一の原因なり。又人間はうまれながらに竒異を好むに切なるものなり。斯かれば別
に其要なくとも、假作の談話をつくりまうけて、史傳を誤ることあるべし。是れ第二の原因なり。而して國歩やうやく進
みて稍々文明の世界となりなば、其國君といはるゝやからは下賤の疋夫の成りあがりが我が大祖なりといはるゝをば快か
らぬことに思ひて、附會の説をつくりまうけて太祖の事蹟を粧はむとす。況んや是等の時代に於ては敬信の念深かるから
、故意に物語を假作せずとも自然に祖先を神といひなし、天孫なりきと思ふべきをや。是れなむ諸國に信じがたき神代史
などいふものある第三條の原因なりかし。斯かれば上古のミソロヂイ即ち鬼神誌といへるものは所謂竒異譚の濫觴にて、
其傳おほくは假作にいで若しくは訛傳になりたること元より疑ひなきに似たり。さはあれ所謂神代史(鬼神誌)はもとこ
れ眞實の物語にして決して遊戯の作にあらねば、後の所謂苛異譚とは其質ほとほと同じうして其用はまたいたく異なり。
蓋し謬信傳訛の久しき、後世の人其傳記の妄誕なるをば恠まざるなり。こゝをもて後の世の人此種の書を尊み信じて、曾
て小説視するものなきまゝ、恬然正史の巻はじめにいとうやうやしく之れをかゝげて、國家の権輿を穿鑿する好材料とな
すことゝなりけり。或ひは神代史を解釋して太古の竒異譚といふものあれども、こはまた甚だしき
小説は假作物語の一種にして、所謂異譚の變體なり。竒異譚とは何ぞや。英國にてローマンスと名づくるものなり。
ローマンスは趣向を荒唐無稽の事物に取りて、竒恠百出もて篇をなし、尋常世界に見はれたる事物の道理に矛楯する
を敢て顧みざるものにぞある。小説即ちノベルに至りては之れと異なり、世の人情と風俗をば冩すを以て主腦となし、
平常世間にあるべきやうなる事柄をもて材料として而して趣向を設くるものなり。こは只概略の辯なるから、尚ほ解し
がたき由もあらめど、其詳細なる本義の如きは、暫く之を下囘に讓りて、まづ變遷の次第を説くべし。其倩々惟みるに、
小説、野乘の行はるゝは其源遠く?焉たる上古の時代にありといふべし。其然る所以を知らまくせば、試みに社會の淵源
に溯りて其状態を察せざる可らず。上古の社會の状態はいかにといふに、東西人おなじからず南北地異なるにも係らず、
一個の家長を尊崇して之れを酋族の長となすこと人間社會の通則なり。かゝれば戰鬪いと烈しく優勝劣敗急激なる未開野
蠻の上世にありては、猛然荒蕪の間に起りて俄かに一家の主長となり忽ち一族の首となるもの、或ひは少なしとなさゞる
なり。かゝる性質の家長にして已に酋族の首となりなば、其子孫らにものがたるに何等の事柄を以てする歟。想ふに己が
經驗なしたる艱難辛苦の事情はさらなり、其武功などを語りつべし。而して是等の物語は其人親しく經驗なし若しくは親
しく見聞せる眞實の事蹟に相違なけれど、子孫が之れを傳聞してまた其子孫に語るに及びて、或ひは記憶の誤謬より或ひ
は附會に原因して、竟には眞實の髓を亡ひ、咄々竒恠の物語を長く口碑に傳へ存じて、鬼神史、神代記の基を拓く、是れ
世上の通則にしてまた恠むに足らずと雖も、事のこゝに到れるには別に原因のなきを得むや。今こゝろみに之れを思ふに、
其原因となりたるもの凡そ三條ありきと思はる。譬へば酋族次第に榮えて勢ひ強大になるに至れば、人の心のおのづから
傲りて、些々たる事をも巨大にいひなし、他の酋族に誇るものなり。かゝれば祖先の履歴の如きは、故意に附會の談を加
へていと大業にいひなすべし。是れ第一の原因なり。又人間はうまれながらに竒異を好むに切なるものなり。斯かれば別
に其要なくとも、假作の談話をつくりまうけて、史傳を誤ることあるべし。是れ第二の原因なり。而して國歩やうやく進
みて稍々文明の世界となりなば、其國君といはるゝやからは下賤の疋夫の成りあがりが我が大祖なりといはるゝをば快か
らぬことに思ひて、附會の説をつくりまうけて太祖の事蹟を粧はむとす。況んや是等の時代に於ては敬信の念深かるから
、故意に物語を假作せずとも自然に祖先を神といひなし、天孫なりきと思ふべきをや。是れなむ諸國に信じがたき神代史
などいふものある第三條の原因なりかし。斯かれば上古のミソロヂイ即ち鬼神誌といへるものは所謂竒異譚の濫觴にて、
其傳おほくは假作にいで若しくは訛傳になりたること元より疑ひなきに似たり。さはあれ所謂神代史(鬼神誌)はもとこ
れ眞實の物語にして決して遊戯の作にあらねば、後の所謂苛異譚とは其質ほとほと同じうして其用はまたいたく異なり。
蓋し謬信傳訛の久しき、後世の人其傳記の妄誕なるをば恠まざるなり。こゝをもて後の世の人此種の書を尊み信じて、曾
て小説視するものなきまゝ、恬然正史の巻はじめにいとうやうやしく之れをかゝげて、國家の権輿を穿鑿する好材料とな
すことゝなりけり。或ひは神代史を解釋して太古の竒異譚といふものあれども、こはまた甚だしき
小説は假作物語の一種にして、所謂異譚の變體なり。竒異譚とは何ぞや。英國にてローマンスと名づくるものなり。
ローマンスは趣向を荒唐無稽の事物に取りて、竒恠百出もて篇をなし、尋常世界に見はれたる事物の道理に矛楯する
を敢て顧みざるものにぞある。小説即ちノベルに至りては之れと異なり、世の人情と風俗をば冩すを以て主腦となし、
平常世間にあるべきやうなる事柄をもて材料として而して趣向を設くるものなり。こは只概略の辯なるから、尚ほ解し
がたき由もあらめど、其詳細なる本義の如きは、暫く之を下囘に讓りて、まづ變遷の次第を説くべし。其倩々惟みるに、
小説、野乘の行はるゝは其源遠く?焉たる上古の時代にありといふべし。其然る所以を知らまくせば、試みに社會の淵源
に溯りて其状態を察せざる可らず。上古の社會の状態はいかにといふに、東西人おなじからず南北地異なるにも係らず、
一個の家長を尊崇して之れを酋族の長となすこと人間社會の通則なり。かゝれば戰鬪いと烈しく優勝劣敗急激なる未開野
蠻の上世にありては、猛然荒蕪の間に起りて俄かに一家の主長となり忽ち一族の首となるもの、或ひは少なしとなさゞる
なり。かゝる性質の家長にして已に酋族の首となりなば、其子孫らにものがたるに何等の事柄を以てする歟。想ふに己が
經驗なしたる艱難辛苦の事情はさらなり、其武功などを語りつべし。而して是等の物語は其人親しく經驗なし若しくは親
しく見聞せる眞實の事蹟に相違なけれど、子孫が之れを傳聞してまた其子孫に語るに及びて、或ひは記憶の誤謬より或ひ
は附會に原因して、竟には眞實の髓を亡ひ、咄々竒恠の物語を長く口碑に傳へ存じて、鬼神史、神代記の基を拓く、是れ
世上の通則にしてまた恠むに足らずと雖も、事のこゝに到れるには別に原因のなきを得むや。今こゝろみに之れを思ふに、
其原因となりたるもの凡そ三條ありきと思はる。譬へば酋族次第に榮えて勢ひ強大になるに至れば、人の心のおのづから
傲りて、些々たる事をも巨大にいひなし、他の酋族に誇るものなり。かゝれば祖先の履歴の如きは、故意に附會の談を加
へていと大業にいひなすべし。是れ第一の原因なり。又人間はうまれながらに竒異を好むに切なるものなり。斯かれば別
に其要なくとも、假作の談話をつくりまうけて、史傳を誤ることあるべし。是れ第二の原因なり。而して國歩やうやく進
みて稍々文明の世界となりなば、其國君といはるゝやからは下賤の疋夫の成りあがりが我が大祖なりといはるゝをば快か
らぬことに思ひて、附會の説をつくりまうけて太祖の事蹟を粧はむとす。況んや是等の時代に於ては敬信の念深かるから
、故意に物語を假作せずとも自然に祖先を神といひなし、天孫なりきと思ふべきをや。是れなむ諸國に信じがたき神代史
などいふものある第三條の原因なりかし。斯かれば上古のミソロヂイ即ち鬼神誌といへるものは所謂竒異譚の濫觴にて、
其傳おほくは假作にいで若しくは訛傳になりたること元より疑ひなきに似たり。さはあれ所謂神代史(鬼神誌)はもとこ
れ眞實の物語にして決して遊戯の作にあらねば、後の所謂苛異譚とは其質ほとほと同じうして其用はまたいたく異なり。
蓋し謬信傳訛の久しき、後世の人其傳記の妄誕なるをば恠まざるなり。こゝをもて後の世の人此種の書を尊み信じて、曾
て小説視するものなきまゝ、恬然正史の巻はじめにいとうやうやしく之れをかゝげて、國家の権輿を穿鑿する好材料とな
すことゝなりけり。或ひは神代史を解釋して太古の竒異譚といふものあれども、こはまた甚だしき
小説は假作物語の一種にして、所謂異譚の變體なり。竒異譚とは何ぞや。英國にてローマンスと名づくるものなり。
ローマンスは趣向を荒唐無稽の事物に取りて、竒恠百出もて篇をなし、尋常世界に見はれたる事物の道理に矛楯する
を敢て顧みざるものにぞある。小説即ちノベルに至りては之れと異なり、世の人情と風俗をば冩すを以て主腦となし、
平常世間にあるべきやうなる事柄をもて材料として而して趣向を設くるものなり。こは只概略の辯なるから、尚ほ解し
がたき由もあらめど、其詳細なる本義の如きは、暫く之を下囘に讓りて、まづ變遷の次第を説くべし。其倩々惟みるに、
小説、野乘の行はるゝは其源遠く?焉たる上古の時代にありといふべし。其然る所以を知らまくせば、試みに社會の淵源
に溯りて其状態を察せざる可らず。上古の社會の状態はいかにといふに、東西人おなじからず南北地異なるにも係らず、
一個の家長を尊崇して之れを酋族の長となすこと人間社會の通則なり。かゝれば戰鬪いと烈しく優勝劣敗急激なる未開野
蠻の上世にありては、猛然荒蕪の間に起りて俄かに一家の主長となり忽ち一族の首となるもの、或ひは少なしとなさゞる
なり。かゝる性質の家長にして已に酋族の首となりなば、其子孫らにものがたるに何等の事柄を以てする歟。想ふに己が
經驗なしたる艱難辛苦の事情はさらなり、其武功などを語りつべし。而して是等の物語は其人親しく經驗なし若しくは親
しく見聞せる眞實の事蹟に相違なけれど、子孫が之れを傳聞してまた其子孫に語るに及びて、或ひは記憶の誤謬より或ひ
は附會に原因して、竟には眞實の髓を亡ひ、咄々竒恠の物語を長く口碑に傳へ存じて、鬼神史、神代記の基を拓く、是れ
世上の通則にしてまた恠むに足らずと雖も、事のこゝに到れるには別に原因のなきを得むや。今こゝろみに之れを思ふに、
其原因となりたるもの凡そ三條ありきと思はる。譬へば酋族次第に榮えて勢ひ強大になるに至れば、人の心のおのづから
傲りて、些々たる事をも巨大にいひなし、他の酋族に誇るものなり。かゝれば祖先の履歴の如きは、故意に附會の談を加
へていと大業にいひなすべし。是れ第一の原因なり。又人間はうまれながらに竒異を好むに切なるものなり。斯かれば別
に其要なくとも、假作の談話をつくりまうけて、史傳を誤ることあるべし。是れ第二の原因なり。而して國歩やうやく進
みて稍々文明の世界となりなば、其國君といはるゝやからは下賤の疋夫の成りあがりが我が大祖なりといはるゝをば快か
らぬことに思ひて、附會の説をつくりまうけて太祖の事蹟を粧はむとす。況んや是等の時代に於ては敬信の念深かるから
、故意に物語を假作せずとも自然に祖先を神といひなし、天孫なりきと思ふべきをや。是れなむ諸國に信じがたき神代史
などいふものある第三條の原因なりかし。斯かれば上古のミソロヂイ即ち鬼神誌といへるものは所謂竒異譚の濫觴にて、
其傳おほくは假作にいで若しくは訛傳になりたること元より疑ひなきに似たり。さはあれ所謂神代史(鬼神誌)はもとこ
れ眞實の物語にして決して遊戯の作にあらねば、後の所謂苛異譚とは其質ほとほと同じうして其用はまたいたく異なり。
蓋し謬信傳訛の久しき、後世の人其傳記の妄誕なるをば恠まざるなり。こゝをもて後の世の人此種の書を尊み信じて、曾
て小説視するものなきまゝ、恬然正史の巻はじめにいとうやうやしく之れをかゝげて、國家の権輿を穿鑿する好材料とな
すことゝなりけり。或ひは神代史を解釋して太古の竒異譚といふものあれども、こはまた甚だしき
小説は假作物語の一種にして、所謂異譚の變體なり。竒異譚とは何ぞや。英國にてローマンスと名づくるものなり。
ローマンスは趣向を荒唐無稽の事物に取りて、竒恠百出もて篇をなし、尋常世界に見はれたる事物の道理に矛楯する
を敢て顧みざるものにぞある。小説即ちノベルに至りては之れと異なり、世の人情と風俗をば冩すを以て主腦となし、
平常世間にあるべきやうなる事柄をもて材料として而して趣向を設くるものなり。こは只概略の辯なるから、尚ほ解し
がたき由もあらめど、其詳細なる本義の如きは、暫く之を下囘に讓りて、まづ變遷の次第を説くべし。其倩々惟みるに、
小説、野乘の行はるゝは其源遠く?焉たる上古の時代にありといふべし。其然る所以を知らまくせば、試みに社會の淵源
に溯りて其状態を察せざる可らず。上古の社會の状態はいかにといふに、東西人おなじからず南北地異なるにも係らず、
一個の家長を尊崇して之れを酋族の長となすこと人間社會の通則なり。かゝれば戰鬪いと烈しく優勝劣敗急激なる未開野
蠻の上世にありては、猛然荒蕪の間に起りて俄かに一家の主長となり忽ち一族の首となるもの、或ひは少なしとなさゞる
なり。かゝる性質の家長にして已に酋族の首となりなば、其子孫らにものがたるに何等の事柄を以てする歟。想ふに己が
經驗なしたる艱難辛苦の事情はさらなり、其武功などを語りつべし。而して是等の物語は其人親しく經驗なし若しくは親
しく見聞せる眞實の事蹟に相違なけれど、子孫が之れを傳聞してまた其子孫に語るに及びて、或ひは記憶の誤謬より或ひ
は附會に原因して、竟には眞實の髓を亡ひ、咄々竒恠の物語を長く口碑に傳へ存じて、鬼神史、神代記の基を拓く、是れ
世上の通則にしてまた恠むに足らずと雖も、事のこゝに到れるには別に原因のなきを得むや。今こゝろみに之れを思ふに、
其原因となりたるもの凡そ三條ありきと思はる。譬へば酋族次第に榮えて勢ひ強大になるに至れば、人の心のおのづから
傲りて、些々たる事をも巨大にいひなし、他の酋族に誇るものなり。かゝれば祖先の履歴の如きは、故意に附會の談を加
へていと大業にいひなすべし。是れ第一の原因なり。又人間はうまれながらに竒異を好むに切なるものなり。斯かれば別
に其要なくとも、假作の談話をつくりまうけて、史傳を誤ることあるべし。是れ第二の原因なり。而して國歩やうやく進
みて稍々文明の世界となりなば、其國君といはるゝやからは下賤の疋夫の成りあがりが我が大祖なりといはるゝをば快か
らぬことに思ひて、附會の説をつくりまうけて太祖の事蹟を粧はむとす。況んや是等の時代に於ては敬信の念深かるから
、故意に物語を假作せずとも自然に祖先を神といひなし、天孫なりきと思ふべきをや。是れなむ諸國に信じがたき神代史
などいふものある第三條の原因なりかし。斯かれば上古のミソロヂイ即ち鬼神誌といへるものは所謂竒異譚の濫觴にて、
其傳おほくは假作にいで若しくは訛傳になりたること元より疑ひなきに似たり。さはあれ所謂神代史(鬼神誌)はもとこ
れ眞實の物語にして決して遊戯の作にあらねば、後の所謂苛異譚とは其質ほとほと同じうして其用はまたいたく異なり。
蓋し謬信傳訛の久しき、後世の人其傳記の妄誕なるをば恠まざるなり。こゝをもて後の世の人此種の書を尊み信じて、曾
て小説視するものなきまゝ、恬然正史の巻はじめにいとうやうやしく之れをかゝげて、國家の権輿を穿鑿する好材料とな
すことゝなりけり。或ひは神代史を解釋して太古の竒異譚といふものあれども、こはまた甚だしき
小説は假作物語の一種にして、所謂異譚の變體なり。竒異譚とは何ぞや。英國にてローマンスと名づくるものなり。
ローマンスは趣向を荒唐無稽の事物に取りて、竒恠百出もて篇をなし、尋常世界に見はれたる事物の道理に矛楯する
を敢て顧みざるものにぞある。小説即ちノベルに至りては之れと異なり、世の人情と風俗をば冩すを以て主腦となし、
平常世間にあるべきやうなる事柄をもて材料として而して趣向を設くるものなり。こは只概略の辯なるから、尚ほ解し
がたき由もあらめど、其詳細なる本義の如きは、暫く之を下囘に讓りて、まづ變遷の次第を説くべし。其倩々惟みるに、
小説、野乘の行はるゝは其源遠く?焉たる上古の時代にありといふべし。其然る所以を知らまくせば、試みに社會の淵源
に溯りて其状態を察せざる可らず。上古の社會の状態はいかにといふに、東西人おなじからず南北地異なるにも係らず、
一個の家長を尊崇して之れを酋族の長となすこと人間社會の通則なり。かゝれば戰鬪いと烈しく優勝劣敗急激なる未開野
蠻の上世にありては、猛然荒蕪の間に起りて俄かに一家の主長となり忽ち一族の首となるもの、或ひは少なしとなさゞる
なり。かゝる性質の家長にして已に酋族の首となりなば、其子孫らにものがたるに何等の事柄を以てする歟。想ふに己が
經驗なしたる艱難辛苦の事情はさらなり、其武功などを語りつべし。而して是等の物語は其人親しく經驗なし若しくは親
しく見聞せる眞實の事蹟に相違なけれど、子孫が之れを傳聞してまた其子孫に語るに及びて、或ひは記憶の誤謬より或ひ
は附會に原因して、竟には眞實の髓を亡ひ、咄々竒恠の物語を長く口碑に傳へ存じて、鬼神史、神代記の基を拓く、是れ
世上の通則にしてまた恠むに足らずと雖も、事のこゝに到れるには別に原因のなきを得むや。今こゝろみに之れを思ふに、
其原因となりたるもの凡そ三條ありきと思はる。譬へば酋族次第に榮えて勢ひ強大になるに至れば、人の心のおのづから
傲りて、些々たる事をも巨大にいひなし、他の酋族に誇るものなり。かゝれば祖先の履歴の如きは、故意に附會の談を加
へていと大業にいひなすべし。是れ第一の原因なり。又人間はうまれながらに竒異を好むに切なるものなり。斯かれば別
に其要なくとも、假作の談話をつくりまうけて、史傳を誤ることあるべし。是れ第二の原因なり。而して國歩やうやく進
みて稍々文明の世界となりなば、其國君といはるゝやからは下賤の疋夫の成りあがりが我が大祖なりといはるゝをば快か
らぬことに思ひて、附會の説をつくりまうけて太祖の事蹟を粧はむとす。況んや是等の時代に於ては敬信の念深かるから
、故意に物語を假作せずとも自然に祖先を神といひなし、天孫なりきと思ふべきをや。是れなむ諸國に信じがたき神代史
などいふものある第三條の原因なりかし。斯かれば上古のミソロヂイ即ち鬼神誌といへるものは所謂竒異譚の濫觴にて、
其傳おほくは假作にいで若しくは訛傳になりたること元より疑ひなきに似たり。さはあれ所謂神代史(鬼神誌)はもとこ
れ眞實の物語にして決して遊戯の作にあらねば、後の所謂苛異譚とは其質ほとほと同じうして其用はまたいたく異なり。
蓋し謬信傳訛の久しき、後世の人其傳記の妄誕なるをば恠まざるなり。こゝをもて後の世の人此種の書を尊み信じて、曾
て小説視するものなきまゝ、恬然正史の巻はじめにいとうやうやしく之れをかゝげて、國家の権輿を穿鑿する好材料とな
すことゝなりけり。或ひは神代史を解釋して太古の竒異譚といふものあれども、こはまた甚だしき
小説は假作物語の一種にして、所謂異譚の變體なり。竒異譚とは何ぞや。英國にてローマンスと名づくるものなり。
ローマンスは趣向を荒唐無稽の事物に取りて、竒恠百出もて篇をなし、尋常世界に見はれたる事物の道理に矛楯する
を敢て顧みざるものにぞある。小説即ちノベルに至りては之れと異なり、世の人情と風俗をば冩すを以て主腦となし、
平常世間にあるべきやうなる事柄をもて材料として而して趣向を設くるものなり。こは只概略の辯なるから、尚ほ解し
がたき由もあらめど、其詳細なる本義の如きは、暫く之を下囘に讓りて、まづ變遷の次第を説くべし。其倩々惟みるに、
小説、野乘の行はるゝは其源遠く?焉たる上古の時代にありといふべし。其然る所以を知らまくせば、試みに社會の淵源
に溯りて其状態を察せざる可らず。上古の社會の状態はいかにといふに、東西人おなじからず南北地異なるにも係らず、
一個の家長を尊崇して之れを酋族の長となすこと人間社會の通則なり。かゝれば戰鬪いと烈しく優勝劣敗急激なる未開野
蠻の上世にありては、猛然荒蕪の間に起りて俄かに一家の主長となり忽ち一族の首となるもの、或ひは少なしとなさゞる
なり。かゝる性質の家長にして已に酋族の首となりなば、其子孫らにものがたるに何等の事柄を以てする歟。想ふに己が
經驗なしたる艱難辛苦の事情はさらなり、其武功などを語りつべし。而して是等の物語は其人親しく經驗なし若しくは親
しく見聞せる眞實の事蹟に相違なけれど、子孫が之れを傳聞してまた其子孫に語るに及びて、或ひは記憶の誤謬より或ひ
は附會に原因して、竟には眞實の髓を亡ひ、咄々竒恠の物語を長く口碑に傳へ存じて、鬼神史、神代記の基を拓く、是れ
世上の通則にしてまた恠むに足らずと雖も、事のこゝに到れるには別に原因のなきを得むや。今こゝろみに之れを思ふに、
其原因となりたるもの凡そ三條ありきと思はる。譬へば酋族次第に榮えて勢ひ強大になるに至れば、人の心のおのづから
傲りて、些々たる事をも巨大にいひなし、他の酋族に誇るものなり。かゝれば祖先の履歴の如きは、故意に附會の談を加
へていと大業にいひなすべし。是れ第一の原因なり。又人間はうまれながらに竒異を好むに切なるものなり。斯かれば別
に其要なくとも、假作の談話をつくりまうけて、史傳を誤ることあるべし。是れ第二の原因なり。而して國歩やうやく進
みて稍々文明の世界となりなば、其國君といはるゝやからは下賤の疋夫の成りあがりが我が大祖なりといはるゝをば快か
らぬことに思ひて、附會の説をつくりまうけて太祖の事蹟を粧はむとす。況んや是等の時代に於ては敬信の念深かるから
、故意に物語を假作せずとも自然に祖先を神といひなし、天孫なりきと思ふべきをや。是れなむ諸國に信じがたき神代史
などいふものある第三條の原因なりかし。斯かれば上古のミソロヂイ即ち鬼神誌といへるものは所謂竒異譚の濫觴にて、
其傳おほくは假作にいで若しくは訛傳になりたること元より疑ひなきに似たり。さはあれ所謂神代史(鬼神誌)はもとこ
れ眞實の物語にして決して遊戯の作にあらねば、後の所謂苛異譚とは其質ほとほと同じうして其用はまたいたく異なり。
蓋し謬信傳訛の久しき、後世の人其傳記の妄誕なるをば恠まざるなり。こゝをもて後の世の人此種の書を尊み信じて、曾
て小説視するものなきまゝ、恬然正史の巻はじめにいとうやうやしく之れをかゝげて、國家の権輿を穿鑿する好材料とな
すことゝなりけり。或ひは神代史を解釋して太古の竒異譚といふものあれども、こはまた甚だしき
小説は假作物語の一種にして、所謂異譚の變體なり。竒異譚とは何ぞや。英國にてローマンスと名づくるものなり。
ローマンスは趣向を荒唐無稽の事物に取りて、竒恠百出もて篇をなし、尋常世界に見はれたる事物の道理に矛楯する
を敢て顧みざるものにぞある。小説即ちノベルに至りては之れと異なり、世の人情と風俗をば冩すを以て主腦となし、
平常世間にあるべきやうなる事柄をもて材料として而して趣向を設くるものなり。こは只概略の辯なるから、尚ほ解し
がたき由もあらめど、其詳細なる本義の如きは、暫く之を下囘に讓りて、まづ變遷の次第を説くべし。其倩々惟みるに、
小説、野乘の行はるゝは其源遠く?焉たる上古の時代にありといふべし。其然る所以を知らまくせば、試みに社會の淵源
に溯りて其状態を察せざる可らず。上古の社會の状態はいかにといふに、東西人おなじからず南北地異なるにも係らず、
一個の家長を尊崇して之れを酋族の長となすこと人間社會の通則なり。かゝれば戰鬪いと烈しく優勝劣敗急激なる未開野
蠻の上世にありては、猛然荒蕪の間に起りて俄かに一家の主長となり忽ち一族の首となるもの、或ひは少なしとなさゞる
なり。かゝる性質の家長にして已に酋族の首となりなば、其子孫らにものがたるに何等の事柄を以てする歟。想ふに己が
經驗なしたる艱難辛苦の事情はさらなり、其武功などを語りつべし。而して是等の物語は其人親しく經驗なし若しくは親
しく見聞せる眞實の事蹟に相違なけれど、子孫が之れを傳聞してまた其子孫に語るに及びて、或ひは記憶の誤謬より或ひ
は附會に原因して、竟には眞實の髓を亡ひ、咄々竒恠の物語を長く口碑に傳へ存じて、鬼神史、神代記の基を拓く、是れ
世上の通則にしてまた恠むに足らずと雖も、事のこゝに到れるには別に原因のなきを得むや。今こゝろみに之れを思ふに、
其原因となりたるもの凡そ三條ありきと思はる。譬へば酋族次第に榮えて勢ひ強大になるに至れば、人の心のおのづから
傲りて、些々たる事をも巨大にいひなし、他の酋族に誇るものなり。かゝれば祖先の履歴の如きは、故意に附會の談を加
へていと大業にいひなすべし。是れ第一の原因なり。又人間はうまれながらに竒異を好むに切なるものなり。斯かれば別
に其要なくとも、假作の談話をつくりまうけて、史傳を誤ることあるべし。是れ第二の原因なり。而して國歩やうやく進
みて稍々文明の世界となりなば、其國君といはるゝやからは下賤の疋夫の成りあがりが我が大祖なりといはるゝをば快か
らぬことに思ひて、附會の説をつくりまうけて太祖の事蹟を粧はむとす。況んや是等の時代に於ては敬信の念深かるから
、故意に物語を假作せずとも自然に祖先を神といひなし、天孫なりきと思ふべきをや。是れなむ諸國に信じがたき神代史
などいふものある第三條の原因なりかし。斯かれば上古のミソロヂイ即ち鬼神誌といへるものは所謂竒異譚の濫觴にて、
其傳おほくは假作にいで若しくは訛傳になりたること元より疑ひなきに似たり。さはあれ所謂神代史(鬼神誌)はもとこ
れ眞實の物語にして決して遊戯の作にあらねば、後の所謂苛異譚とは其質ほとほと同じうして其用はまたいたく異なり。
蓋し謬信傳訛の久しき、後世の人其傳記の妄誕なるをば恠まざるなり。こゝをもて後の世の人此種の書を尊み信じて、曾
て小説視するものなきまゝ、恬然正史の巻はじめにいとうやうやしく之れをかゝげて、國家の権輿を穿鑿する好材料とな
すことゝなりけり。或ひは神代史を解釋して太古の竒異譚といふものあれども、こはまた甚だしき
小説は假作物語の一種にして、所謂異譚の變體なり。竒異譚とは何ぞや。英國にてローマンスと名づくるものなり。
ローマンスは趣向を荒唐無稽の事物に取りて、竒恠百出もて篇をなし、尋常世界に見はれたる事物の道理に矛楯する
を敢て顧みざるものにぞある。小説即ちノベルに至りては之れと異なり、世の人情と風俗をば冩すを以て主腦となし、
平常世間にあるべきやうなる事柄をもて材料として而して趣向を設くるものなり。こは只概略の辯なるから、尚ほ解し
がたき由もあらめど、其詳細なる本義の如きは、暫く之を下囘に讓りて、まづ變遷の次第を説くべし。其倩々惟みるに、
小説、野乘の行はるゝは其源遠く?焉たる上古の時代にありといふべし。其然る所以を知らまくせば、試みに社會の淵源
に溯りて其状態を察せざる可らず。上古の社會の状態はいかにといふに、東西人おなじからず南北地異なるにも係らず、
一個の家長を尊崇して之れを酋族の長となすこと人間社會の通則なり。かゝれば戰鬪いと烈しく優勝劣敗急激なる未開野
蠻の上世にありては、猛然荒蕪の間に起りて俄かに一家の主長となり忽ち一族の首となるもの、或ひは少なしとなさゞる
なり。かゝる性質の家長にして已に酋族の首となりなば、其子孫らにものがたるに何等の事柄を以てする歟。想ふに己が
經驗なしたる艱難辛苦の事情はさらなり、其武功などを語りつべし。而して是等の物語は其人親しく經驗なし若しくは親
しく見聞せる眞實の事蹟に相違なけれど、子孫が之れを傳聞してまた其子孫に語るに及びて、或ひは記憶の誤謬より或ひ
は附會に原因して、竟には眞實の髓を亡ひ、咄々竒恠の物語を長く口碑に傳へ存じて、鬼神史、神代記の基を拓く、是れ
世上の通則にしてまた恠むに足らずと雖も、事のこゝに到れるには別に原因のなきを得むや。今こゝろみに之れを思ふに、
其原因となりたるもの凡そ三條ありきと思はる。譬へば酋族次第に榮えて勢ひ強大になるに至れば、人の心のおのづから
傲りて、些々たる事をも巨大にいひなし、他の酋族に誇るものなり。かゝれば祖先の履歴の如きは、故意に附會の談を加
へていと大業にいひなすべし。是れ第一の原因なり。又人間はうまれながらに竒異を好むに切なるものなり。斯かれば別
に其要なくとも、假作の談話をつくりまうけて、史傳を誤ることあるべし。是れ第二の原因なり。而して國歩やうやく進
みて稍々文明の世界となりなば、其國君といはるゝやからは下賤の疋夫の成りあがりが我が大祖なりといはるゝをば快か
らぬことに思ひて、附會の説をつくりまうけて太祖の事蹟を粧はむとす。況んや是等の時代に於ては敬信の念深かるから
、故意に物語を假作せずとも自然に祖先を神といひなし、天孫なりきと思ふべきをや。是れなむ諸國に信じがたき神代史
などいふものある第三條の原因なりかし。斯かれば上古のミソロヂイ即ち鬼神誌といへるものは所謂竒異譚の濫觴にて、
其傳おほくは假作にいで若しくは訛傳になりたること元より疑ひなきに似たり。さはあれ所謂神代史(鬼神誌)はもとこ
れ眞實の物語にして決して遊戯の作にあらねば、後の所謂苛異譚とは其質ほとほと同じうして其用はまたいたく異なり。
蓋し謬信傳訛の久しき、後世の人其傳記の妄誕なるをば恠まざるなり。こゝをもて後の世の人此種の書を尊み信じて、曾
て小説視するものなきまゝ、恬然正史の巻はじめにいとうやうやしく之れをかゝげて、國家の権輿を穿鑿する好材料とな
すことゝなりけり。或ひは神代史を解釋して太古の竒異譚といふものあれども、こはまた甚だしき
小説は假作物語の一種にして、所謂異譚の變體なり。竒異譚とは何ぞや。英國にてローマンスと名づくるものなり。
ローマンスは趣向を荒唐無稽の事物に取りて、竒恠百出もて篇をなし、尋常世界に見はれたる事物の道理に矛楯する
を敢て顧みざるものにぞある。小説即ちノベルに至りては之れと異なり、世の人情と風俗をば冩すを以て主腦となし、
平常世間にあるべきやうなる事柄をもて材料として而して趣向を設くるものなり。こは只概略の辯なるから、尚ほ解し
がたき由もあらめど、其詳細なる本義の如きは、暫く之を下囘に讓りて、まづ變遷の次第を説くべし。其倩々惟みるに、
小説、野乘の行はるゝは其源遠く?焉たる上古の時代にありといふべし。其然る所以を知らまくせば、試みに社會の淵源
に溯りて其状態を察せざる可らず。上古の社會の状態はいかにといふに、東西人おなじからず南北地異なるにも係らず、
一個の家長を尊崇して之れを酋族の長となすこと人間社會の通則なり。かゝれば戰鬪いと烈しく優勝劣敗急激なる未開野
蠻の上世にありては、猛然荒蕪の間に起りて俄かに一家の主長となり忽ち一族の首となるもの、或ひは少なしとなさゞる
なり。かゝる性質の家長にして已に酋族の首となりなば、其子孫らにものがたるに何等の事柄を以てする歟。想ふに己が
經驗なしたる艱難辛苦の事情はさらなり、其武功などを語りつべし。而して是等の物語は其人親しく經驗なし若しくは親
しく見聞せる眞實の事蹟に相違なけれど、子孫が之れを傳聞してまた其子孫に語るに及びて、或ひは記憶の誤謬より或ひ
は附會に原因して、竟には眞實の髓を亡ひ、咄々竒恠の物語を長く口碑に傳へ存じて、鬼神史、神代記の基を拓く、是れ
世上の通則にしてまた恠むに足らずと雖も、事のこゝに到れるには別に原因のなきを得むや。今こゝろみに之れを思ふに、
其原因となりたるもの凡そ三條ありきと思はる。譬へば酋族次第に榮えて勢ひ強大になるに至れば、人の心のおのづから
傲りて、些々たる事をも巨大にいひなし、他の酋族に誇るものなり。かゝれば祖先の履歴の如きは、故意に附會の談を加
へていと大業にいひなすべし。是れ第一の原因なり。又人間はうまれながらに竒異を好むに切なるものなり。斯かれば別
に其要なくとも、假作の談話をつくりまうけて、史傳を誤ることあるべし。是れ第二の原因なり。而して國歩やうやく進
みて稍々文明の世界となりなば、其國君といはるゝやからは下賤の疋夫の成りあがりが我が大祖なりといはるゝをば快か
らぬことに思ひて、附會の説をつくりまうけて太祖の事蹟を粧はむとす。況んや是等の時代に於ては敬信の念深かるから
、故意に物語を假作せずとも自然に祖先を神といひなし、天孫なりきと思ふべきをや。是れなむ諸國に信じがたき神代史
などいふものある第三條の原因なりかし。斯かれば上古のミソロヂイ即ち鬼神誌といへるものは所謂竒異譚の濫觴にて、
其傳おほくは假作にいで若しくは訛傳になりたること元より疑ひなきに似たり。さはあれ所謂神代史(鬼神誌)はもとこ
れ眞實の物語にして決して遊戯の作にあらねば、後の所謂苛異譚とは其質ほとほと同じうして其用はまたいたく異なり。
蓋し謬信傳訛の久しき、後世の人其傳記の妄誕なるをば恠まざるなり。こゝをもて後の世の人此種の書を尊み信じて、曾
て小説視するものなきまゝ、恬然正史の巻はじめにいとうやうやしく之れをかゝげて、國家の権輿を穿鑿する好材料とな
すことゝなりけり。或ひは神代史を解釋して太古の竒異譚といふものあれども、こはまた甚だしき
小説は假作物語の一種にして、所謂異譚の變體なり。竒異譚とは何ぞや。英國にてローマンスと名づくるものなり。
ローマンスは趣向を荒唐無稽の事物に取りて、竒恠百出もて篇をなし、尋常世界に見はれたる事物の道理に矛楯する
を敢て顧みざるものにぞある。小説即ちノベルに至りては之れと異なり、世の人情と風俗をば冩すを以て主腦となし、
平常世間にあるべきやうなる事柄をもて材料として而して趣向を設くるものなり。こは只概略の辯なるから、尚ほ解し
がたき由もあらめど、其詳細なる本義の如きは、暫く之を下囘に讓りて、まづ變遷の次第を説くべし。其倩々惟みるに、
小説、野乘の行はるゝは其源遠く?焉たる上古の時代にありといふべし。其然る所以を知らまくせば、試みに社會の淵源
に溯りて其状態を察せざる可らず。上古の社會の状態はいかにといふに、東西人おなじからず南北地異なるにも係らず、
一個の家長を尊崇して之れを酋族の長となすこと人間社會の通則なり。かゝれば戰鬪いと烈しく優勝劣敗急激なる未開野
蠻の上世にありては、猛然荒蕪の間に起りて俄かに一家の主長となり忽ち一族の首となるもの、或ひは少なしとなさゞる
なり。かゝる性質の家長にして已に酋族の首となりなば、其子孫らにものがたるに何等の事柄を以てする歟。想ふに己が
經驗なしたる艱難辛苦の事情はさらなり、其武功などを語りつべし。而して是等の物語は其人親しく經驗なし若しくは親
しく見聞せる眞實の事蹟に相違なけれど、子孫が之れを傳聞してまた其子孫に語るに及びて、或ひは記憶の誤謬より或ひ
は附會に原因して、竟には眞實の髓を亡ひ、咄々竒恠の物語を長く口碑に傳へ存じて、鬼神史、神代記の基を拓く、是れ
世上の通則にしてまた恠むに足らずと雖も、事のこゝに到れるには別に原因のなきを得むや。今こゝろみに之れを思ふに、
其原因となりたるもの凡そ三條ありきと思はる。譬へば酋族次第に榮えて勢ひ強大になるに至れば、人の心のおのづから
傲りて、些々たる事をも巨大にいひなし、他の酋族に誇るものなり。かゝれば祖先の履歴の如きは、故意に附會の談を加
へていと大業にいひなすべし。是れ第一の原因なり。又人間はうまれながらに竒異を好むに切なるものなり。斯かれば別
に其要なくとも、假作の談話をつくりまうけて、史傳を誤ることあるべし。是れ第二の原因なり。而して國歩やうやく進
みて稍々文明の世界となりなば、其國君といはるゝやからは下賤の疋夫の成りあがりが我が大祖なりといはるゝをば快か
らぬことに思ひて、附會の説をつくりまうけて太祖の事蹟を粧はむとす。況んや是等の時代に於ては敬信の念深かるから
、故意に物語を假作せずとも自然に祖先を神といひなし、天孫なりきと思ふべきをや。是れなむ諸國に信じがたき神代史
などいふものある第三條の原因なりかし。斯かれば上古のミソロヂイ即ち鬼神誌といへるものは所謂竒異譚の濫觴にて、
其傳おほくは假作にいで若しくは訛傳になりたること元より疑ひなきに似たり。さはあれ所謂神代史(鬼神誌)はもとこ
れ眞實の物語にして決して遊戯の作にあらねば、後の所謂苛異譚とは其質ほとほと同じうして其用はまたいたく異なり。
蓋し謬信傳訛の久しき、後世の人其傳記の妄誕なるをば恠まざるなり。こゝをもて後の世の人此種の書を尊み信じて、曾
て小説視するものなきまゝ、恬然正史の巻はじめにいとうやうやしく之れをかゝげて、國家の権輿を穿鑿する好材料とな
すことゝなりけり。或ひは神代史を解釋して太古の竒異譚といふものあれども、こはまた甚だしき
小説は假作物語の一種にして、所謂異譚の變體なり。竒異譚とは何ぞや。英國にてローマンスと名づくるものなり。
ローマンスは趣向を荒唐無稽の事物に取りて、竒恠百出もて篇をなし、尋常世界に見はれたる事物の道理に矛楯する
を敢て顧みざるものにぞある。小説即ちノベルに至りては之れと異なり、世の人情と風俗をば冩すを以て主腦となし、
平常世間にあるべきやうなる事柄をもて材料として而して趣向を設くるものなり。こは只概略の辯なるから、尚ほ解し
がたき由もあらめど、其詳細なる本義の如きは、暫く之を下囘に讓りて、まづ變遷の次第を説くべし。其倩々惟みるに、
小説、野乘の行はるゝは其源遠く?焉たる上古の時代にありといふべし。其然る所以を知らまくせば、試みに社會の淵源
に溯りて其状態を察せざる可らず。上古の社會の状態はいかにといふに、東西人おなじからず南北地異なるにも係らず、
一個の家長を尊崇して之れを酋族の長となすこと人間社會の通則なり。かゝれば戰鬪いと烈しく優勝劣敗急激なる未開野
蠻の上世にありては、猛然荒蕪の間に起りて俄かに一家の主長となり忽ち一族の首となるもの、或ひは少なしとなさゞる
なり。かゝる性質の家長にして已に酋族の首となりなば、其子孫らにものがたるに何等の事柄を以てする歟。想ふに己が
經驗なしたる艱難辛苦の事情はさらなり、其武功などを語りつべし。而して是等の物語は其人親しく經驗なし若しくは親
しく見聞せる眞實の事蹟に相違なけれど、子孫が之れを傳聞してまた其子孫に語るに及びて、或ひは記憶の誤謬より或ひ
は附會に原因して、竟には眞實の髓を亡ひ、咄々竒恠の物語を長く口碑に傳へ存じて、鬼神史、神代記の基を拓く、是れ
世上の通則にしてまた恠むに足らずと雖も、事のこゝに到れるには別に原因のなきを得むや。今こゝろみに之れを思ふに、
其原因となりたるもの凡そ三條ありきと思はる。譬へば酋族次第に榮えて勢ひ強大になるに至れば、人の心のおのづから
傲りて、些々たる事をも巨大にいひなし、他の酋族に誇るものなり。かゝれば祖先の履歴の如きは、故意に附會の談を加
へていと大業にいひなすべし。是れ第一の原因なり。又人間はうまれながらに竒異を好むに切なるものなり。斯かれば別
に其要なくとも、假作の談話をつくりまうけて、史傳を誤ることあるべし。是れ第二の原因なり。而して國歩やうやく進
みて稍々文明の世界となりなば、其國君といはるゝやからは下賤の疋夫の成りあがりが我が大祖なりといはるゝをば快か
らぬことに思ひて、附會の説をつくりまうけて太祖の事蹟を粧はむとす。況んや是等の時代に於ては敬信の念深かるから
、故意に物語を假作せずとも自然に祖先を神といひなし、天孫なりきと思ふべきをや。是れなむ諸國に信じがたき神代史
などいふものある第三條の原因なりかし。斯かれば上古のミソロヂイ即ち鬼神誌といへるものは所謂竒異譚の濫觴にて、
其傳おほくは假作にいで若しくは訛傳になりたること元より疑ひなきに似たり。さはあれ所謂神代史(鬼神誌)はもとこ
れ眞實の物語にして決して遊戯の作にあらねば、後の所謂苛異譚とは其質ほとほと同じうして其用はまたいたく異なり。
蓋し謬信傳訛の久しき、後世の人其傳記の妄誕なるをば恠まざるなり。こゝをもて後の世の人此種の書を尊み信じて、曾
て小説視するものなきまゝ、恬然正史の巻はじめにいとうやうやしく之れをかゝげて、國家の権輿を穿鑿する好材料とな
すことゝなりけり。或ひは神代史を解釋して太古の竒異譚といふものあれども、こはまた甚だしき
小説は假作物語の一種にして、所謂異譚の變體なり。竒異譚とは何ぞや。英國にてローマンスと名づくるものなり。
ローマンスは趣向を荒唐無稽の事物に取りて、竒恠百出もて篇をなし、尋常世界に見はれたる事物の道理に矛楯する
を敢て顧みざるものにぞある。小説即ちノベルに至りては之れと異なり、世の人情と風俗をば冩すを以て主腦となし、
平常世間にあるべきやうなる事柄をもて材料として而して趣向を設くるものなり。こは只概略の辯なるから、尚ほ解し
がたき由もあらめど、其詳細なる本義の如きは、暫く之を下囘に讓りて、まづ變遷の次第を説くべし。其倩々惟みるに、
小説、野乘の行はるゝは其源遠く?焉たる上古の時代にありといふべし。其然る所以を知らまくせば、試みに社會の淵源
に溯りて其状態を察せざる可らず。上古の社會の状態はいかにといふに、東西人おなじからず南北地異なるにも係らず、
一個の家長を尊崇して之れを酋族の長となすこと人間社會の通則なり。かゝれば戰鬪いと烈しく優勝劣敗急激なる未開野
蠻の上世にありては、猛然荒蕪の間に起りて俄かに一家の主長となり忽ち一族の首となるもの、或ひは少なしとなさゞる
なり。かゝる性質の家長にして已に酋族の首となりなば、其子孫らにものがたるに何等の事柄を以てする歟。想ふに己が
經驗なしたる艱難辛苦の事情はさらなり、其武功などを語りつべし。而して是等の物語は其人親しく經驗なし若しくは親
しく見聞せる眞實の事蹟に相違なけれど、子孫が之れを傳聞してまた其子孫に語るに及びて、或ひは記憶の誤謬より或ひ
は附會に原因して、竟には眞實の髓を亡ひ、咄々竒恠の物語を長く口碑に傳へ存じて、鬼神史、神代記の基を拓く、是れ
世上の通則にしてまた恠むに足らずと雖も、事のこゝに到れるには別に原因のなきを得むや。今こゝろみに之れを思ふに、
其原因となりたるもの凡そ三條ありきと思はる。譬へば酋族次第に榮えて勢ひ強大になるに至れば、人の心のおのづから
傲りて、些々たる事をも巨大にいひなし、他の酋族に誇るものなり。かゝれば祖先の履歴の如きは、故意に附會の談を加
へていと大業にいひなすべし。是れ第一の原因なり。又人間はうまれながらに竒異を好むに切なるものなり。斯かれば別
に其要なくとも、假作の談話をつくりまうけて、史傳を誤ることあるべし。是れ第二の原因なり。而して國歩やうやく進
みて稍々文明の世界となりなば、其國君といはるゝやからは下賤の疋夫の成りあがりが我が大祖なりといはるゝをば快か
らぬことに思ひて、附會の説をつくりまうけて太祖の事蹟を粧はむとす。況んや是等の時代に於ては敬信の念深かるから
、故意に物語を假作せずとも自然に祖先を神といひなし、天孫なりきと思ふべきをや。是れなむ諸國に信じがたき神代史
などいふものある第三條の原因なりかし。斯かれば上古のミソロヂイ即ち鬼神誌といへるものは所謂竒異譚の濫觴にて、
其傳おほくは假作にいで若しくは訛傳になりたること元より疑ひなきに似たり。さはあれ所謂神代史(鬼神誌)はもとこ
れ眞實の物語にして決して遊戯の作にあらねば、後の所謂苛異譚とは其質ほとほと同じうして其用はまたいたく異なり。
蓋し謬信傳訛の久しき、後世の人其傳記の妄誕なるをば恠まざるなり。こゝをもて後の世の人此種の書を尊み信じて、曾
て小説視するものなきまゝ、恬然正史の巻はじめにいとうやうやしく之れをかゝげて、國家の権輿を穿鑿する好材料とな
すことゝなりけり。或ひは神代史を解釋して太古の竒異譚といふものあれども、こはまた甚だしき
小説は假作物語の一種にして、所謂異譚の變體なり。竒異譚とは何ぞや。英國にてローマンスと名づくるものなり。
ローマンスは趣向を荒唐無稽の事物に取りて、竒恠百出もて篇をなし、尋常世界に見はれたる事物の道理に矛楯する
を敢て顧みざるものにぞある。小説即ちノベルに至りては之れと異なり、世の人情と風俗をば冩すを以て主腦となし、
平常世間にあるべきやうなる事柄をもて材料として而して趣向を設くるものなり。こは只概略の辯なるから、尚ほ解し
がたき由もあらめど、其詳細なる本義の如きは、暫く之を下囘に讓りて、まづ變遷の次第を説くべし。其倩々惟みるに、
小説、野乘の行はるゝは其源遠く?焉たる上古の時代にありといふべし。其然る所以を知らまくせば、試みに社會の淵源
に溯りて其状態を察せざる可らず。上古の社會の状態はいかにといふに、東西人おなじからず南北地異なるにも係らず、
一個の家長を尊崇して之れを酋族の長となすこと人間社會の通則なり。かゝれば戰鬪いと烈しく優勝劣敗急激なる未開野
蠻の上世にありては、猛然荒蕪の間に起りて俄かに一家の主長となり忽ち一族の首となるもの、或ひは少なしとなさゞる
なり。かゝる性質の家長にして已に酋族の首となりなば、其子孫らにものがたるに何等の事柄を以てする歟。想ふに己が
經驗なしたる艱難辛苦の事情はさらなり、其武功などを語りつべし。而して是等の物語は其人親しく經驗なし若しくは親
しく見聞せる眞實の事蹟に相違なけれど、子孫が之れを傳聞してまた其子孫に語るに及びて、或ひは記憶の誤謬より或ひ
は附會に原因して、竟には眞實の髓を亡ひ、咄々竒恠の物語を長く口碑に傳へ存じて、鬼神史、神代記の基を拓く、是れ
世上の通則にしてまた恠むに足らずと雖も、事のこゝに到れるには別に原因のなきを得むや。今こゝろみに之れを思ふに、
其原因となりたるもの凡そ三條ありきと思はる。譬へば酋族次第に榮えて勢ひ強大になるに至れば、人の心のおのづから
傲りて、些々たる事をも巨大にいひなし、他の酋族に誇るものなり。かゝれば祖先の履歴の如きは、故意に附會の談を加
へていと大業にいひなすべし。是れ第一の原因なり。又人間はうまれながらに竒異を好むに切なるものなり。斯かれば別
に其要なくとも、假作の談話をつくりまうけて、史傳を誤ることあるべし。是れ第二の原因なり。而して國歩やうやく進
みて稍々文明の世界となりなば、其國君といはるゝやからは下賤の疋夫の成りあがりが我が大祖なりといはるゝをば快か
らぬことに思ひて、附會の説をつくりまうけて太祖の事蹟を粧はむとす。況んや是等の時代に於ては敬信の念深かるから
、故意に物語を假作せずとも自然に祖先を神といひなし、天孫なりきと思ふべきをや。是れなむ諸國に信じがたき神代史
などいふものある第三條の原因なりかし。斯かれば上古のミソロヂイ即ち鬼神誌といへるものは所謂竒異譚の濫觴にて、
其傳おほくは假作にいで若しくは訛傳になりたること元より疑ひなきに似たり。さはあれ所謂神代史(鬼神誌)はもとこ
れ眞實の物語にして決して遊戯の作にあらねば、後の所謂苛異譚とは其質ほとほと同じうして其用はまたいたく異なり。
蓋し謬信傳訛の久しき、後世の人其傳記の妄誕なるをば恠まざるなり。こゝをもて後の世の人此種の書を尊み信じて、曾
て小説視するものなきまゝ、恬然正史の巻はじめにいとうやうやしく之れをかゝげて、國家の権輿を穿鑿する好材料とな
すことゝなりけり。或ひは神代史を解釋して太古の竒異譚といふものあれども、こはまた甚だしき
小説は假作物語の一種にして、所謂異譚の變體なり。竒異譚とは何ぞや。英國にてローマンスと名づくるものなり。
ローマンスは趣向を荒唐無稽の事物に取りて、竒恠百出もて篇をなし、尋常世界に見はれたる事物の道理に矛楯する
を敢て顧みざるものにぞある。小説即ちノベルに至りては之れと異なり、世の人情と風俗をば冩すを以て主腦となし、
平常世間にあるべきやうなる事柄をもて材料として而して趣向を設くるものなり。こは只概略の辯なるから、尚ほ解し
がたき由もあらめど、其詳細なる本義の如きは、暫く之を下囘に讓りて、まづ變遷の次第を説くべし。其倩々惟みるに、
小説、野乘の行はるゝは其源遠く?焉たる上古の時代にありといふべし。其然る所以を知らまくせば、試みに社會の淵源
に溯りて其状態を察せざる可らず。上古の社會の状態はいかにといふに、東西人おなじからず南北地異なるにも係らず、
一個の家長を尊崇して之れを酋族の長となすこと人間社會の通則なり。かゝれば戰鬪いと烈しく優勝劣敗急激なる未開野
蠻の上世にありては、猛然荒蕪の間に起りて俄かに一家の主長となり忽ち一族の首となるもの、或ひは少なしとなさゞる
なり。かゝる性質の家長にして已に酋族の首となりなば、其子孫らにものがたるに何等の事柄を以てする歟。想ふに己が
經驗なしたる艱難辛苦の事情はさらなり、其武功などを語りつべし。而して是等の物語は其人親しく經驗なし若しくは親
しく見聞せる眞實の事蹟に相違なけれど、子孫が之れを傳聞してまた其子孫に語るに及びて、或ひは記憶の誤謬より或ひ
は附會に原因して、竟には眞實の髓を亡ひ、咄々竒恠の物語を長く口碑に傳へ存じて、鬼神史、神代記の基を拓く、是れ
世上の通則にしてまた恠むに足らずと雖も、事のこゝに到れるには別に原因のなきを得むや。今こゝろみに之れを思ふに、
其原因となりたるもの凡そ三條ありきと思はる。譬へば酋族次第に榮えて勢ひ強大になるに至れば、人の心のおのづから
傲りて、些々たる事をも巨大にいひなし、他の酋族に誇るものなり。かゝれば祖先の履歴の如きは、故意に附會の談を加
へていと大業にいひなすべし。是れ第一の原因なり。又人間はうまれながらに竒異を好むに切なるものなり。斯かれば別
に其要なくとも、假作の談話をつくりまうけて、史傳を誤ることあるべし。是れ第二の原因なり。而して國歩やうやく進
みて稍々文明の世界となりなば、其國君といはるゝやからは下賤の疋夫の成りあがりが我が大祖なりといはるゝをば快か
らぬことに思ひて、附會の説をつくりまうけて太祖の事蹟を粧はむとす。況んや是等の時代に於ては敬信の念深かるから
、故意に物語を假作せずとも自然に祖先を神といひなし、天孫なりきと思ふべきをや。是れなむ諸國に信じがたき神代史
などいふものある第三條の原因なりかし。斯かれば上古のミソロヂイ即ち鬼神誌といへるものは所謂竒異譚の濫觴にて、
其傳おほくは假作にいで若しくは訛傳になりたること元より疑ひなきに似たり。さはあれ所謂神代史(鬼神誌)はもとこ
れ眞實の物語にして決して遊戯の作にあらねば、後の所謂苛異譚とは其質ほとほと同じうして其用はまたいたく異なり。
蓋し謬信傳訛の久しき、後世の人其傳記の妄誕なるをば恠まざるなり。こゝをもて後の世の人此種の書を尊み信じて、曾
て小説視するものなきまゝ、恬然正史の巻はじめにいとうやうやしく之れをかゝげて、國家の権輿を穿鑿する好材料とな
すことゝなりけり。或ひは神代史を解釋して太古の竒異譚といふものあれども、こはまた甚だしき
小説は假作物語の一種にして、所謂異譚の變體なり。竒異譚とは何ぞや。英國にてローマンスと名づくるものなり。
ローマンスは趣向を荒唐無稽の事物に取りて、竒恠百出もて篇をなし、尋常世界に見はれたる事物の道理に矛楯する
を敢て顧みざるものにぞある。小説即ちノベルに至りては之れと異なり、世の人情と風俗をば冩すを以て主腦となし、
平常世間にあるべきやうなる事柄をもて材料として而して趣向を設くるものなり。こは只概略の辯なるから、尚ほ解し
がたき由もあらめど、其詳細なる本義の如きは、暫く之を下囘に讓りて、まづ變遷の次第を説くべし。其倩々惟みるに、
小説、野乘の行はるゝは其源遠く?焉たる上古の時代にありといふべし。其然る所以を知らまくせば、試みに社會の淵源
に溯りて其状態を察せざる可らず。上古の社會の状態はいかにといふに、東西人おなじからず南北地異なるにも係らず、
一個の家長を尊崇して之れを酋族の長となすこと人間社會の通則なり。かゝれば戰鬪いと烈しく優勝劣敗急激なる未開野
蠻の上世にありては、猛然荒蕪の間に起りて俄かに一家の主長となり忽ち一族の首となるもの、或ひは少なしとなさゞる
なり。かゝる性質の家長にして已に酋族の首となりなば、其子孫らにものがたるに何等の事柄を以てする歟。想ふに己が
經驗なしたる艱難辛苦の事情はさらなり、其武功などを語りつべし。而して是等の物語は其人親しく經驗なし若しくは親
しく見聞せる眞實の事蹟に相違なけれど、子孫が之れを傳聞してまた其子孫に語るに及びて、或ひは記憶の誤謬より或ひ
は附會に原因して、竟には眞實の髓を亡ひ、咄々竒恠の物語を長く口碑に傳へ存じて、鬼神史、神代記の基を拓く、是れ
世上の通則にしてまた恠むに足らずと雖も、事のこゝに到れるには別に原因のなきを得むや。今こゝろみに之れを思ふに、
其原因となりたるもの凡そ三條ありきと思はる。譬へば酋族次第に榮えて勢ひ強大になるに至れば、人の心のおのづから
傲りて、些々たる事をも巨大にいひなし、他の酋族に誇るものなり。かゝれば祖先の履歴の如きは、故意に附會の談を加
へていと大業にいひなすべし。是れ第一の原因なり。又人間はうまれながらに竒異を好むに切なるものなり。斯かれば別
に其要なくとも、假作の談話をつくりまうけて、史傳を誤ることあるべし。是れ第二の原因なり。而して國歩やうやく進
みて稍々文明の世界となりなば、其國君といはるゝやからは下賤の疋夫の成りあがりが我が大祖なりといはるゝをば快か
らぬことに思ひて、附會の説をつくりまうけて太祖の事蹟を粧はむとす。況んや是等の時代に於ては敬信の念深かるから
、故意に物語を假作せずとも自然に祖先を神といひなし、天孫なりきと思ふべきをや。是れなむ諸國に信じがたき神代史
などいふものある第三條の原因なりかし。斯かれば上古のミソロヂイ即ち鬼神誌といへるものは所謂竒異譚の濫觴にて、
其傳おほくは假作にいで若しくは訛傳になりたること元より疑ひなきに似たり。さはあれ所謂神代史(鬼神誌)はもとこ
れ眞實の物語にして決して遊戯の作にあらねば、後の所謂苛異譚とは其質ほとほと同じうして其用はまたいたく異なり。
蓋し謬信傳訛の久しき、後世の人其傳記の妄誕なるをば恠まざるなり。こゝをもて後の世の人此種の書を尊み信じて、曾
て小説視するものなきまゝ、恬然正史の巻はじめにいとうやうやしく之れをかゝげて、國家の権輿を穿鑿する好材料とな
すことゝなりけり。或ひは神代史を解釋して太古の竒異譚といふものあれども、こはまた甚だしき
小説は假作物語の一種にして、所謂異譚の變體なり。竒異譚とは何ぞや。英國にてローマンスと名づくるものなり。
ローマンスは趣向を荒唐無稽の事物に取りて、竒恠百出もて篇をなし、尋常世界に見はれたる事物の道理に矛楯する
を敢て顧みざるものにぞある。小説即ちノベルに至りては之れと異なり、世の人情と風俗をば冩すを以て主腦となし、
平常世間にあるべきやうなる事柄をもて材料として而して趣向を設くるものなり。こは只概略の辯なるから、尚ほ解し
がたき由もあらめど、其詳細なる本義の如きは、暫く之を下囘に讓りて、まづ變遷の次第を説くべし。其倩々惟みるに、
小説、野乘の行はるゝは其源遠く?焉たる上古の時代にありといふべし。其然る所以を知らまくせば、試みに社會の淵源
に溯りて其状態を察せざる可らず。上古の社會の状態はいかにといふに、東西人おなじからず南北地異なるにも係らず、
一個の家長を尊崇して之れを酋族の長となすこと人間社會の通則なり。かゝれば戰鬪いと烈しく優勝劣敗急激なる未開野
蠻の上世にありては、猛然荒蕪の間に起りて俄かに一家の主長となり忽ち一族の首となるもの、或ひは少なしとなさゞる
なり。かゝる性質の家長にして已に酋族の首となりなば、其子孫らにものがたるに何等の事柄を以てする歟。想ふに己が
經驗なしたる艱難辛苦の事情はさらなり、其武功などを語りつべし。而して是等の物語は其人親しく經驗なし若しくは親
しく見聞せる眞實の事蹟に相違なけれど、子孫が之れを傳聞してまた其子孫に語るに及びて、或ひは記憶の誤謬より或ひ
は附會に原因して、竟には眞實の髓を亡ひ、咄々竒恠の物語を長く口碑に傳へ存じて、鬼神史、神代記の基を拓く、是れ
世上の通則にしてまた恠むに足らずと雖も、事のこゝに到れるには別に原因のなきを得むや。今こゝろみに之れを思ふに、
其原因となりたるもの凡そ三條ありきと思はる。譬へば酋族次第に榮えて勢ひ強大になるに至れば、人の心のおのづから
傲りて、些々たる事をも巨大にいひなし、他の酋族に誇るものなり。かゝれば祖先の履歴の如きは、故意に附會の談を加
へていと大業にいひなすべし。是れ第一の原因なり。又人間はうまれながらに竒異を好むに切なるものなり。斯かれば別
に其要なくとも、假作の談話をつくりまうけて、史傳を誤ることあるべし。是れ第二の原因なり。而して國歩やうやく進
みて稍々文明の世界となりなば、其國君といはるゝやからは下賤の疋夫の成りあがりが我が大祖なりといはるゝをば快か
らぬことに思ひて、附會の説をつくりまうけて太祖の事蹟を粧はむとす。況んや是等の時代に於ては敬信の念深かるから
、故意に物語を假作せずとも自然に祖先を神といひなし、天孫なりきと思ふべきをや。是れなむ諸國に信じがたき神代史
などいふものある第三條の原因なりかし。斯かれば上古のミソロヂイ即ち鬼神誌といへるものは所謂竒異譚の濫觴にて、
其傳おほくは假作にいで若しくは訛傳になりたること元より疑ひなきに似たり。さはあれ所謂神代史(鬼神誌)はもとこ
れ眞實の物語にして決して遊戯の作にあらねば、後の所謂苛異譚とは其質ほとほと同じうして其用はまたいたく異なり。
蓋し謬信傳訛の久しき、後世の人其傳記の妄誕なるをば恠まざるなり。こゝをもて後の世の人此種の書を尊み信じて、曾
て小説視するものなきまゝ、恬然正史の巻はじめにいとうやうやしく之れをかゝげて、國家の権輿を穿鑿する好材料とな
すことゝなりけり。或ひは神代史を解釋して太古の竒異譚といふものあれども、こはまた甚だしき
小説は假作物語の一種にして、所謂異譚の變體なり。竒異譚とは何ぞや。英國にてローマンスと名づくるものなり。
ローマンスは趣向を荒唐無稽の事物に取りて、竒恠百出もて篇をなし、尋常世界に見はれたる事物の道理に矛楯する
を敢て顧みざるものにぞある。小説即ちノベルに至りては之れと異なり、世の人情と風俗をば冩すを以て主腦となし、
平常世間にあるべきやうなる事柄をもて材料として而して趣向を設くるものなり。こは只概略の辯なるから、尚ほ解し
がたき由もあらめど、其詳細なる本義の如きは、暫く之を下囘に讓りて、まづ變遷の次第を説くべし。其倩々惟みるに、
小説、野乘の行はるゝは其源遠く?焉たる上古の時代にありといふべし。其然る所以を知らまくせば、試みに社會の淵源
に溯りて其状態を察せざる可らず。上古の社會の状態はいかにといふに、東西人おなじからず南北地異なるにも係らず、
一個の家長を尊崇して之れを酋族の長となすこと人間社會の通則なり。かゝれば戰鬪いと烈しく優勝劣敗急激なる未開野
蠻の上世にありては、猛然荒蕪の間に起りて俄かに一家の主長となり忽ち一族の首となるもの、或ひは少なしとなさゞる
なり。かゝる性質の家長にして已に酋族の首となりなば、其子孫らにものがたるに何等の事柄を以てする歟。想ふに己が
經驗なしたる艱難辛苦の事情はさらなり、其武功などを語りつべし。而して是等の物語は其人親しく經驗なし若しくは親
しく見聞せる眞實の事蹟に相違なけれど、子孫が之れを傳聞してまた其子孫に語るに及びて、或ひは記憶の誤謬より或ひ
は附會に原因して、竟には眞實の髓を亡ひ、咄々竒恠の物語を長く口碑に傳へ存じて、鬼神史、神代記の基を拓く、是れ
世上の通則にしてまた恠むに足らずと雖も、事のこゝに到れるには別に原因のなきを得むや。今こゝろみに之れを思ふに、
其原因となりたるもの凡そ三條ありきと思はる。譬へば酋族次第に榮えて勢ひ強大になるに至れば、人の心のおのづから
傲りて、些々たる事をも巨大にいひなし、他の酋族に誇るものなり。かゝれば祖先の履歴の如きは、故意に附會の談を加
へていと大業にいひなすべし。是れ第一の原因なり。又人間はうまれながらに竒異を好むに切なるものなり。斯かれば別
に其要なくとも、假作の談話をつくりまうけて、史傳を誤ることあるべし。是れ第二の原因なり。而して國歩やうやく進
みて稍々文明の世界となりなば、其國君といはるゝやからは下賤の疋夫の成りあがりが我が大祖なりといはるゝをば快か
らぬことに思ひて、附會の説をつくりまうけて太祖の事蹟を粧はむとす。況んや是等の時代に於ては敬信の念深かるから
、故意に物語を假作せずとも自然に祖先を神といひなし、天孫なりきと思ふべきをや。是れなむ諸國に信じがたき神代史
などいふものある第三條の原因なりかし。斯かれば上古のミソロヂイ即ち鬼神誌といへるものは所謂竒異譚の濫觴にて、
其傳おほくは假作にいで若しくは訛傳になりたること元より疑ひなきに似たり。さはあれ所謂神代史(鬼神誌)はもとこ
れ眞實の物語にして決して遊戯の作にあらねば、後の所謂苛異譚とは其質ほとほと同じうして其用はまたいたく異なり。
蓋し謬信傳訛の久しき、後世の人其傳記の妄誕なるをば恠まざるなり。こゝをもて後の世の人此種の書を尊み信じて、曾
て小説視するものなきまゝ、恬然正史の巻はじめにいとうやうやしく之れをかゝげて、國家の権輿を穿鑿する好材料とな
すことゝなりけり。或ひは神代史を解釋して太古の竒異譚といふものあれども、こはまた甚だしき
小説は假作物語の一種にして、所謂異譚の變體なり。竒異譚とは何ぞや。英國にてローマンスと名づくるものなり。
ローマンスは趣向を荒唐無稽の事物に取りて、竒恠百出もて篇をなし、尋常世界に見はれたる事物の道理に矛楯する
を敢て顧みざるものにぞある。小説即ちノベルに至りては之れと異なり、世の人情と風俗をば冩すを以て主腦となし、
平常世間にあるべきやうなる事柄をもて材料として而して趣向を設くるものなり。こは只概略の辯なるから、尚ほ解し
がたき由もあらめど、其詳細なる本義の如きは、暫く之を下囘に讓りて、まづ變遷の次第を説くべし。其倩々惟みるに、
小説、野乘の行はるゝは其源遠く?焉たる上古の時代にありといふべし。其然る所以を知らまくせば、試みに社會の淵源
に溯りて其状態を察せざる可らず。上古の社會の状態はいかにといふに、東西人おなじからず南北地異なるにも係らず、
一個の家長を尊崇して之れを酋族の長となすこと人間社會の通則なり。かゝれば戰鬪いと烈しく優勝劣敗急激なる未開野
蠻の上世にありては、猛然荒蕪の間に起りて俄かに一家の主長となり忽ち一族の首となるもの、或ひは少なしとなさゞる
なり。かゝる性質の家長にして已に酋族の首となりなば、其子孫らにものがたるに何等の事柄を以てする歟。想ふに己が
經驗なしたる艱難辛苦の事情はさらなり、其武功などを語りつべし。而して是等の物語は其人親しく經驗なし若しくは親
しく見聞せる眞實の事蹟に相違なけれど、子孫が之れを傳聞してまた其子孫に語るに及びて、或ひは記憶の誤謬より或ひ
は附會に原因して、竟には眞實の髓を亡ひ、咄々竒恠の物語を長く口碑に傳へ存じて、鬼神史、神代記の基を拓く、是れ
世上の通則にしてまた恠むに足らずと雖も、事のこゝに到れるには別に原因のなきを得むや。今こゝろみに之れを思ふに、
其原因となりたるもの凡そ三條ありきと思はる。譬へば酋族次第に榮えて勢ひ強大になるに至れば、人の心のおのづから
傲りて、些々たる事をも巨大にいひなし、他の酋族に誇るものなり。かゝれば祖先の履歴の如きは、故意に附會の談を加
へていと大業にいひなすべし。是れ第一の原因なり。又人間はうまれながらに竒異を好むに切なるものなり。斯かれば別
に其要なくとも、假作の談話をつくりまうけて、史傳を誤ることあるべし。是れ第二の原因なり。而して國歩やうやく進
みて稍々文明の世界となりなば、其國君といはるゝやからは下賤の疋夫の成りあがりが我が大祖なりといはるゝをば快か
らぬことに思ひて、附會の説をつくりまうけて太祖の事蹟を粧はむとす。況んや是等の時代に於ては敬信の念深かるから
、故意に物語を假作せずとも自然に祖先を神といひなし、天孫なりきと思ふべきをや。是れなむ諸國に信じがたき神代史
などいふものある第三條の原因なりかし。斯かれば上古のミソロヂイ即ち鬼神誌といへるものは所謂竒異譚の濫觴にて、
其傳おほくは假作にいで若しくは訛傳になりたること元より疑ひなきに似たり。さはあれ所謂神代史(鬼神誌)はもとこ
れ眞實の物語にして決して遊戯の作にあらねば、後の所謂苛異譚とは其質ほとほと同じうして其用はまたいたく異なり。
蓋し謬信傳訛の久しき、後世の人其傳記の妄誕なるをば恠まざるなり。こゝをもて後の世の人此種の書を尊み信じて、曾
て小説視するものなきまゝ、恬然正史の巻はじめにいとうやうやしく之れをかゝげて、國家の権輿を穿鑿する好材料とな
すことゝなりけり。或ひは神代史を解釋して太古の竒異譚といふものあれども、こはまた甚だしき
小説は假作物語の一種にして、所謂異譚の變體なり。竒異譚とは何ぞや。英國にてローマンスと名づくるものなり。
ローマンスは趣向を荒唐無稽の事物に取りて、竒恠百出もて篇をなし、尋常世界に見はれたる事物の道理に矛楯する
を敢て顧みざるものにぞある。小説即ちノベルに至りては之れと異なり、世の人情と風俗をば冩すを以て主腦となし、
平常世間にあるべきやうなる事柄をもて材料として而して趣向を設くるものなり。こは只概略の辯なるから、尚ほ解し
がたき由もあらめど、其詳細なる本義の如きは、暫く之を下囘に讓りて、まづ變遷の次第を説くべし。其倩々惟みるに、
小説、野乘の行はるゝは其源遠く?焉たる上古の時代にありといふべし。其然る所以を知らまくせば、試みに社會の淵源
に溯りて其状態を察せざる可らず。上古の社會の状態はいかにといふに、東西人おなじからず南北地異なるにも係らず、
一個の家長を尊崇して之れを酋族の長となすこと人間社會の通則なり。かゝれば戰鬪いと烈しく優勝劣敗急激なる未開野
蠻の上世にありては、猛然荒蕪の間に起りて俄かに一家の主長となり忽ち一族の首となるもの、或ひは少なしとなさゞる
なり。かゝる性質の家長にして已に酋族の首となりなば、其子孫らにものがたるに何等の事柄を以てする歟。想ふに己が
經驗なしたる艱難辛苦の事情はさらなり、其武功などを語りつべし。而して是等の物語は其人親しく經驗なし若しくは親
しく見聞せる眞實の事蹟に相違なけれど、子孫が之れを傳聞してまた其子孫に語るに及びて、或ひは記憶の誤謬より或ひ
は附會に原因して、竟には眞實の髓を亡ひ、咄々竒恠の物語を長く口碑に傳へ存じて、鬼神史、神代記の基を拓く、是れ
世上の通則にしてまた恠むに足らずと雖も、事のこゝに到れるには別に原因のなきを得むや。今こゝろみに之れを思ふに、
其原因となりたるもの凡そ三條ありきと思はる。譬へば酋族次第に榮えて勢ひ強大になるに至れば、人の心のおのづから
傲りて、些々たる事をも巨大にいひなし、他の酋族に誇るものなり。かゝれば祖先の履歴の如きは、故意に附會の談を加
へていと大業にいひなすべし。是れ第一の原因なり。又人間はうまれながらに竒異を好むに切なるものなり。斯かれば別
に其要なくとも、假作の談話をつくりまうけて、史傳を誤ることあるべし。是れ第二の原因なり。而して國歩やうやく進
みて稍々文明の世界となりなば、其國君といはるゝやからは下賤の疋夫の成りあがりが我が大祖なりといはるゝをば快か
らぬことに思ひて、附會の説をつくりまうけて太祖の事蹟を粧はむとす。況んや是等の時代に於ては敬信の念深かるから
、故意に物語を假作せずとも自然に祖先を神といひなし、天孫なりきと思ふべきをや。是れなむ諸國に信じがたき神代史
などいふものある第三條の原因なりかし。斯かれば上古のミソロヂイ即ち鬼神誌といへるものは所謂竒異譚の濫觴にて、
其傳おほくは假作にいで若しくは訛傳になりたること元より疑ひなきに似たり。さはあれ所謂神代史(鬼神誌)はもとこ
れ眞實の物語にして決して遊戯の作にあらねば、後の所謂苛異譚とは其質ほとほと同じうして其用はまたいたく異なり。
蓋し謬信傳訛の久しき、後世の人其傳記の妄誕なるをば恠まざるなり。こゝをもて後の世の人此種の書を尊み信じて、曾
て小説視するものなきまゝ、恬然正史の巻はじめにいとうやうやしく之れをかゝげて、國家の権輿を穿鑿する好材料とな
すことゝなりけり。或ひは神代史を解釋して太古の竒異譚といふものあれども、こはまた甚だしき
小説は假作物語の一種にして、所謂異譚の變體なり。竒異譚とは何ぞや。英國にてローマンスと名づくるものなり。
ローマンスは趣向を荒唐無稽の事物に取りて、竒恠百出もて篇をなし、尋常世界に見はれたる事物の道理に矛楯する
を敢て顧みざるものにぞある。小説即ちノベルに至りては之れと異なり、世の人情と風俗をば冩すを以て主腦となし、
平常世間にあるべきやうなる事柄をもて材料として而して趣向を設くるものなり。こは只概略の辯なるから、尚ほ解し
がたき由もあらめど、其詳細なる本義の如きは、暫く之を下囘に讓りて、まづ變遷の次第を説くべし。其倩々惟みるに、
小説、野乘の行はるゝは其源遠く?焉たる上古の時代にありといふべし。其然る所以を知らまくせば、試みに社會の淵源
に溯りて其状態を察せざる可らず。上古の社會の状態はいかにといふに、東西人おなじからず南北地異なるにも係らず、
一個の家長を尊崇して之れを酋族の長となすこと人間社會の通則なり。かゝれば戰鬪いと烈しく優勝劣敗急激なる未開野
蠻の上世にありては、猛然荒蕪の間に起りて俄かに一家の主長となり忽ち一族の首となるもの、或ひは少なしとなさゞる
なり。かゝる性質の家長にして已に酋族の首となりなば、其子孫らにものがたるに何等の事柄を以てする歟。想ふに己が
經驗なしたる艱難辛苦の事情はさらなり、其武功などを語りつべし。而して是等の物語は其人親しく經驗なし若しくは親
しく見聞せる眞實の事蹟に相違なけれど、子孫が之れを傳聞してまた其子孫に語るに及びて、或ひは記憶の誤謬より或ひ
は附會に原因して、竟には眞實の髓を亡ひ、咄々竒恠の物語を長く口碑に傳へ存じて、鬼神史、神代記の基を拓く、是れ
世上の通則にしてまた恠むに足らずと雖も、事のこゝに到れるには別に原因のなきを得むや。今こゝろみに之れを思ふに、
其原因となりたるもの凡そ三條ありきと思はる。譬へば酋族次第に榮えて勢ひ強大になるに至れば、人の心のおのづから
傲りて、些々たる事をも巨大にいひなし、他の酋族に誇るものなり。かゝれば祖先の履歴の如きは、故意に附會の談を加
へていと大業にいひなすべし。是れ第一の原因なり。又人間はうまれながらに竒異を好むに切なるものなり。斯かれば別
に其要なくとも、假作の談話をつくりまうけて、史傳を誤ることあるべし。是れ第二の原因なり。而して國歩やうやく進
みて稍々文明の世界となりなば、其國君といはるゝやからは下賤の疋夫の成りあがりが我が大祖なりといはるゝをば快か
らぬことに思ひて、附會の説をつくりまうけて太祖の事蹟を粧はむとす。況んや是等の時代に於ては敬信の念深かるから
、故意に物語を假作せずとも自然に祖先を神といひなし、天孫なりきと思ふべきをや。是れなむ諸國に信じがたき神代史
などいふものある第三條の原因なりかし。斯かれば上古のミソロヂイ即ち鬼神誌といへるものは所謂竒異譚の濫觴にて、
其傳おほくは假作にいで若しくは訛傳になりたること元より疑ひなきに似たり。さはあれ所謂神代史(鬼神誌)はもとこ
れ眞實の物語にして決して遊戯の作にあらねば、後の所謂苛異譚とは其質ほとほと同じうして其用はまたいたく異なり。
蓋し謬信傳訛の久しき、後世の人其傳記の妄誕なるをば恠まざるなり。こゝをもて後の世の人此種の書を尊み信じて、曾
て小説視するものなきまゝ、恬然正史の巻はじめにいとうやうやしく之れをかゝげて、國家の権輿を穿鑿する好材料とな
すことゝなりけり。或ひは神代史を解釋して太古の竒異譚といふものあれども、こはまた甚だしき
小説は假作物語の一種にして、所謂異譚の變體なり。竒異譚とは何ぞや。英國にてローマンスと名づくるものなり。
ローマンスは趣向を荒唐無稽の事物に取りて、竒恠百出もて篇をなし、尋常世界に見はれたる事物の道理に矛楯する
を敢て顧みざるものにぞある。小説即ちノベルに至りては之れと異なり、世の人情と風俗をば冩すを以て主腦となし、
平常世間にあるべきやうなる事柄をもて材料として而して趣向を設くるものなり。こは只概略の辯なるから、尚ほ解し
がたき由もあらめど、其詳細なる本義の如きは、暫く之を下囘に讓りて、まづ變遷の次第を説くべし。其倩々惟みるに、
小説、野乘の行はるゝは其源遠く?焉たる上古の時代にありといふべし。其然る所以を知らまくせば、試みに社會の淵源
に溯りて其状態を察せざる可らず。上古の社會の状態はいかにといふに、東西人おなじからず南北地異なるにも係らず、
一個の家長を尊崇して之れを酋族の長となすこと人間社會の通則なり。かゝれば戰鬪いと烈しく優勝劣敗急激なる未開野
蠻の上世にありては、猛然荒蕪の間に起りて俄かに一家の主長となり忽ち一族の首となるもの、或ひは少なしとなさゞる
なり。かゝる性質の家長にして已に酋族の首となりなば、其子孫らにものがたるに何等の事柄を以てする歟。想ふに己が
經驗なしたる艱難辛苦の事情はさらなり、其武功などを語りつべし。而して是等の物語は其人親しく經驗なし若しくは親
しく見聞せる眞實の事蹟に相違なけれど、子孫が之れを傳聞してまた其子孫に語るに及びて、或ひは記憶の誤謬より或ひ
は附會に原因して、竟には眞實の髓を亡ひ、咄々竒恠の物語を長く口碑に傳へ存じて、鬼神史、神代記の基を拓く、是れ
世上の通則にしてまた恠むに足らずと雖も、事のこゝに到れるには別に原因のなきを得むや。今こゝろみに之れを思ふに、
其原因となりたるもの凡そ三條ありきと思はる。譬へば酋族次第に榮えて勢ひ強大になるに至れば、人の心のおのづから
傲りて、些々たる事をも巨大にいひなし、他の酋族に誇るものなり。かゝれば祖先の履歴の如きは、故意に附會の談を加
へていと大業にいひなすべし。是れ第一の原因なり。又人間はうまれながらに竒異を好むに切なるものなり。斯かれば別
に其要なくとも、假作の談話をつくりまうけて、史傳を誤ることあるべし。是れ第二の原因なり。而して國歩やうやく進
みて稍々文明の世界となりなば、其國君といはるゝやからは下賤の疋夫の成りあがりが我が大祖なりといはるゝをば快か
らぬことに思ひて、附會の説をつくりまうけて太祖の事蹟を粧はむとす。況んや是等の時代に於ては敬信の念深かるから
、故意に物語を假作せずとも自然に祖先を神といひなし、天孫なりきと思ふべきをや。是れなむ諸國に信じがたき神代史
などいふものある第三條の原因なりかし。斯かれば上古のミソロヂイ即ち鬼神誌といへるものは所謂竒異譚の濫觴にて、
其傳おほくは假作にいで若しくは訛傳になりたること元より疑ひなきに似たり。さはあれ所謂神代史(鬼神誌)はもとこ
れ眞實の物語にして決して遊戯の作にあらねば、後の所謂苛異譚とは其質ほとほと同じうして其用はまたいたく異なり。
蓋し謬信傳訛の久しき、後世の人其傳記の妄誕なるをば恠まざるなり。こゝをもて後の世の人此種の書を尊み信じて、曾
て小説視するものなきまゝ、恬然正史の巻はじめにいとうやうやしく之れをかゝげて、國家の権輿を穿鑿する好材料とな
すことゝなりけり。或ひは神代史を解釋して太古の竒異譚といふものあれども、こはまた甚だしき
小説は假作物語の一種にして、所謂異譚の變體なり。竒異譚とは何ぞや。英國にてローマンスと名づくるものなり。
ローマンスは趣向を荒唐無稽の事物に取りて、竒恠百出もて篇をなし、尋常世界に見はれたる事物の道理に矛楯する
を敢て顧みざるものにぞある。小説即ちノベルに至りては之れと異なり、世の人情と風俗をば冩すを以て主腦となし、
平常世間にあるべきやうなる事柄をもて材料として而して趣向を設くるものなり。こは只概略の辯なるから、尚ほ解し
がたき由もあらめど、其詳細なる本義の如きは、暫く之を下囘に讓りて、まづ變遷の次第を説くべし。其倩々惟みるに、
小説、野乘の行はるゝは其源遠く?焉たる上古の時代にありといふべし。其然る所以を知らまくせば、試みに社會の淵源
に溯りて其状態を察せざる可らず。上古の社會の状態はいかにといふに、東西人おなじからず南北地異なるにも係らず、
一個の家長を尊崇して之れを酋族の長となすこと人間社會の通則なり。かゝれば戰鬪いと烈しく優勝劣敗急激なる未開野
蠻の上世にありては、猛然荒蕪の間に起りて俄かに一家の主長となり忽ち一族の首となるもの、或ひは少なしとなさゞる
なり。かゝる性質の家長にして已に酋族の首となりなば、其子孫らにものがたるに何等の事柄を以てする歟。想ふに己が
經驗なしたる艱難辛苦の事情はさらなり、其武功などを語りつべし。而して是等の物語は其人親しく經驗なし若しくは親
しく見聞せる眞實の事蹟に相違なけれど、子孫が之れを傳聞してまた其子孫に語るに及びて、或ひは記憶の誤謬より或ひ
は附會に原因して、竟には眞實の髓を亡ひ、咄々竒恠の物語を長く口碑に傳へ存じて、鬼神史、神代記の基を拓く、是れ
世上の通則にしてまた恠むに足らずと雖も、事のこゝに到れるには別に原因のなきを得むや。今こゝろみに之れを思ふに、
其原因となりたるもの凡そ三條ありきと思はる。譬へば酋族次第に榮えて勢ひ強大になるに至れば、人の心のおのづから
傲りて、些々たる事をも巨大にいひなし、他の酋族に誇るものなり。かゝれば祖先の履歴の如きは、故意に附會の談を加
へていと大業にいひなすべし。是れ第一の原因なり。又人間はうまれながらに竒異を好むに切なるものなり。斯かれば別
に其要なくとも、假作の談話をつくりまうけて、史傳を誤ることあるべし。是れ第二の原因なり。而して國歩やうやく進
みて稍々文明の世界となりなば、其國君といはるゝやからは下賤の疋夫の成りあがりが我が大祖なりといはるゝをば快か
らぬことに思ひて、附會の説をつくりまうけて太祖の事蹟を粧はむとす。況んや是等の時代に於ては敬信の念深かるから
、故意に物語を假作せずとも自然に祖先を神といひなし、天孫なりきと思ふべきをや。是れなむ諸國に信じがたき神代史
などいふものある第三條の原因なりかし。斯かれば上古のミソロヂイ即ち鬼神誌といへるものは所謂竒異譚の濫觴にて、
其傳おほくは假作にいで若しくは訛傳になりたること元より疑ひなきに似たり。さはあれ所謂神代史(鬼神誌)はもとこ
れ眞實の物語にして決して遊戯の作にあらねば、後の所謂苛異譚とは其質ほとほと同じうして其用はまたいたく異なり。
蓋し謬信傳訛の久しき、後世の人其傳記の妄誕なるをば恠まざるなり。こゝをもて後の世の人此種の書を尊み信じて、曾
て小説視するものなきまゝ、恬然正史の巻はじめにいとうやうやしく之れをかゝげて、國家の権輿を穿鑿する好材料とな
すことゝなりけり。或ひは神代史を解釋して太古の竒異譚といふものあれども、こはまた甚だしき
小説は假作物語の一種にして、所謂異譚の變體なり。竒異譚とは何ぞや。英國にてローマンスと名づくるものなり。
ローマンスは趣向を荒唐無稽の事物に取りて、竒恠百出もて篇をなし、尋常世界に見はれたる事物の道理に矛楯する
を敢て顧みざるものにぞある。小説即ちノベルに至りては之れと異なり、世の人情と風俗をば冩すを以て主腦となし、
平常世間にあるべきやうなる事柄をもて材料として而して趣向を設くるものなり。こは只概略の辯なるから、尚ほ解し
がたき由もあらめど、其詳細なる本義の如きは、暫く之を下囘に讓りて、まづ變遷の次第を説くべし。其倩々惟みるに、
小説、野乘の行はるゝは其源遠く?焉たる上古の時代にありといふべし。其然る所以を知らまくせば、試みに社會の淵源
に溯りて其状態を察せざる可らず。上古の社會の状態はいかにといふに、東西人おなじからず南北地異なるにも係らず、
一個の家長を尊崇して之れを酋族の長となすこと人間社會の通則なり。かゝれば戰鬪いと烈しく優勝劣敗急激なる未開野
蠻の上世にありては、猛然荒蕪の間に起りて俄かに一家の主長となり忽ち一族の首となるもの、或ひは少なしとなさゞる
なり。かゝる性質の家長にして已に酋族の首となりなば、其子孫らにものがたるに何等の事柄を以てする歟。想ふに己が
經驗なしたる艱難辛苦の事情はさらなり、其武功などを語りつべし。而して是等の物語は其人親しく經驗なし若しくは親
しく見聞せる眞實の事蹟に相違なけれど、子孫が之れを傳聞してまた其子孫に語るに及びて、或ひは記憶の誤謬より或ひ
は附會に原因して、竟には眞實の髓を亡ひ、咄々竒恠の物語を長く口碑に傳へ存じて、鬼神史、神代記の基を拓く、是れ
世上の通則にしてまた恠むに足らずと雖も、事のこゝに到れるには別に原因のなきを得むや。今こゝろみに之れを思ふに、
其原因となりたるもの凡そ三條ありきと思はる。譬へば酋族次第に榮えて勢ひ強大になるに至れば、人の心のおのづから
傲りて、些々たる事をも巨大にいひなし、他の酋族に誇るものなり。かゝれば祖先の履歴の如きは、故意に附會の談を加
へていと大業にいひなすべし。是れ第一の原因なり。又人間はうまれながらに竒異を好むに切なるものなり。斯かれば別
に其要なくとも、假作の談話をつくりまうけて、史傳を誤ることあるべし。是れ第二の原因なり。而して國歩やうやく進
みて稍々文明の世界となりなば、其國君といはるゝやからは下賤の疋夫の成りあがりが我が大祖なりといはるゝをば快か
らぬことに思ひて、附會の説をつくりまうけて太祖の事蹟を粧はむとす。況んや是等の時代に於ては敬信の念深かるから
、故意に物語を假作せずとも自然に祖先を神といひなし、天孫なりきと思ふべきをや。是れなむ諸國に信じがたき神代史
などいふものある第三條の原因なりかし。斯かれば上古のミソロヂイ即ち鬼神誌といへるものは所謂竒異譚の濫觴にて、
其傳おほくは假作にいで若しくは訛傳になりたること元より疑ひなきに似たり。さはあれ所謂神代史(鬼神誌)はもとこ
れ眞實の物語にして決して遊戯の作にあらねば、後の所謂苛異譚とは其質ほとほと同じうして其用はまたいたく異なり。
蓋し謬信傳訛の久しき、後世の人其傳記の妄誕なるをば恠まざるなり。こゝをもて後の世の人此種の書を尊み信じて、曾
て小説視するものなきまゝ、恬然正史の巻はじめにいとうやうやしく之れをかゝげて、國家の権輿を穿鑿する好材料とな
すことゝなりけり。或ひは神代史を解釋して太古の竒異譚といふものあれども、こはまた甚だしき
小説は假作物語の一種にして、所謂異譚の變體なり。竒異譚とは何ぞや。英國にてローマンスと名づくるものなり。
ローマンスは趣向を荒唐無稽の事物に取りて、竒恠百出もて篇をなし、尋常世界に見はれたる事物の道理に矛楯する
を敢て顧みざるものにぞある。小説即ちノベルに至りては之れと異なり、世の人情と風俗をば冩すを以て主腦となし、
平常世間にあるべきやうなる事柄をもて材料として而して趣向を設くるものなり。こは只概略の辯なるから、尚ほ解し
がたき由もあらめど、其詳細なる本義の如きは、暫く之を下囘に讓りて、まづ變遷の次第を説くべし。其倩々惟みるに、
小説、野乘の行はるゝは其源遠く?焉たる上古の時代にありといふべし。其然る所以を知らまくせば、試みに社會の淵源
に溯りて其状態を察せざる可らず。上古の社會の状態はいかにといふに、東西人おなじからず南北地異なるにも係らず、
一個の家長を尊崇して之れを酋族の長となすこと人間社會の通則なり。かゝれば戰鬪いと烈しく優勝劣敗急激なる未開野
蠻の上世にありては、猛然荒蕪の間に起りて俄かに一家の主長となり忽ち一族の首となるもの、或ひは少なしとなさゞる
なり。かゝる性質の家長にして已に酋族の首となりなば、其子孫らにものがたるに何等の事柄を以てする歟。想ふに己が
經驗なしたる艱難辛苦の事情はさらなり、其武功などを語りつべし。而して是等の物語は其人親しく經驗なし若しくは親
しく見聞せる眞實の事蹟に相違なけれど、子孫が之れを傳聞してまた其子孫に語るに及びて、或ひは記憶の誤謬より或ひ
は附會に原因して、竟には眞實の髓を亡ひ、咄々竒恠の物語を長く口碑に傳へ存じて、鬼神史、神代記の基を拓く、是れ
世上の通則にしてまた恠むに足らずと雖も、事のこゝに到れるには別に原因のなきを得むや。今こゝろみに之れを思ふに、
其原因となりたるもの凡そ三條ありきと思はる。譬へば酋族次第に榮えて勢ひ強大になるに至れば、人の心のおのづから
傲りて、些々たる事をも巨大にいひなし、他の酋族に誇るものなり。かゝれば祖先の履歴の如きは、故意に附會の談を加
へていと大業にいひなすべし。是れ第一の原因なり。又人間はうまれながらに竒異を好むに切なるものなり。斯かれば別
に其要なくとも、假作の談話をつくりまうけて、史傳を誤ることあるべし。是れ第二の原因なり。而して國歩やうやく進
みて稍々文明の世界となりなば、其國君といはるゝやからは下賤の疋夫の成りあがりが我が大祖なりといはるゝをば快か
らぬことに思ひて、附會の説をつくりまうけて太祖の事蹟を粧はむとす。況んや是等の時代に於ては敬信の念深かるから
、故意に物語を假作せずとも自然に祖先を神といひなし、天孫なりきと思ふべきをや。是れなむ諸國に信じがたき神代史
などいふものある第三條の原因なりかし。斯かれば上古のミソロヂイ即ち鬼神誌といへるものは所謂竒異譚の濫觴にて、
其傳おほくは假作にいで若しくは訛傳になりたること元より疑ひなきに似たり。さはあれ所謂神代史(鬼神誌)はもとこ
れ眞實の物語にして決して遊戯の作にあらねば、後の所謂苛異譚とは其質ほとほと同じうして其用はまたいたく異なり。
蓋し謬信傳訛の久しき、後世の人其傳記の妄誕なるをば恠まざるなり。こゝをもて後の世の人此種の書を尊み信じて、曾
て小説視するものなきまゝ、恬然正史の巻はじめにいとうやうやしく之れをかゝげて、國家の権輿を穿鑿する好材料とな
すことゝなりけり。或ひは神代史を解釋して太古の竒異譚といふものあれども、こはまた甚だしき
小説は假作物語の一種にして、所謂異譚の變體なり。竒異譚とは何ぞや。英國にてローマンスと名づくるものなり。
ローマンスは趣向を荒唐無稽の事物に取りて、竒恠百出もて篇をなし、尋常世界に見はれたる事物の道理に矛楯する
を敢て顧みざるものにぞある。小説即ちノベルに至りては之れと異なり、世の人情と風俗をば冩すを以て主腦となし、
平常世間にあるべきやうなる事柄をもて材料として而して趣向を設くるものなり。こは只概略の辯なるから、尚ほ解し
がたき由もあらめど、其詳細なる本義の如きは、暫く之を下囘に讓りて、まづ變遷の次第を説くべし。其倩々惟みるに、
小説、野乘の行はるゝは其源遠く?焉たる上古の時代にありといふべし。其然る所以を知らまくせば、試みに社會の淵源
に溯りて其状態を察せざる可らず。上古の社會の状態はいかにといふに、東西人おなじからず南北地異なるにも係らず、
一個の家長を尊崇して之れを酋族の長となすこと人間社會の通則なり。かゝれば戰鬪いと烈しく優勝劣敗急激なる未開野
蠻の上世にありては、猛然荒蕪の間に起りて俄かに一家の主長となり忽ち一族の首となるもの、或ひは少なしとなさゞる
なり。かゝる性質の家長にして已に酋族の首となりなば、其子孫らにものがたるに何等の事柄を以てする歟。想ふに己が
經驗なしたる艱難辛苦の事情はさらなり、其武功などを語りつべし。而して是等の物語は其人親しく經驗なし若しくは親
しく見聞せる眞實の事蹟に相違なけれど、子孫が之れを傳聞してまた其子孫に語るに及びて、或ひは記憶の誤謬より或ひ
は附會に原因して、竟には眞實の髓を亡ひ、咄々竒恠の物語を長く口碑に傳へ存じて、鬼神史、神代記の基を拓く、是れ
世上の通則にしてまた恠むに足らずと雖も、事のこゝに到れるには別に原因のなきを得むや。今こゝろみに之れを思ふに、
其原因となりたるもの凡そ三條ありきと思はる。譬へば酋族次第に榮えて勢ひ強大になるに至れば、人の心のおのづから
傲りて、些々たる事をも巨大にいひなし、他の酋族に誇るものなり。かゝれば祖先の履歴の如きは、故意に附會の談を加
へていと大業にいひなすべし。是れ第一の原因なり。又人間はうまれながらに竒異を好むに切なるものなり。斯かれば別
に其要なくとも、假作の談話をつくりまうけて、史傳を誤ることあるべし。是れ第二の原因なり。而して國歩やうやく進
みて稍々文明の世界となりなば、其國君といはるゝやからは下賤の疋夫の成りあがりが我が大祖なりといはるゝをば快か
らぬことに思ひて、附會の説をつくりまうけて太祖の事蹟を粧はむとす。況んや是等の時代に於ては敬信の念深かるから
、故意に物語を假作せずとも自然に祖先を神といひなし、天孫なりきと思ふべきをや。是れなむ諸國に信じがたき神代史
などいふものある第三條の原因なりかし。斯かれば上古のミソロヂイ即ち鬼神誌といへるものは所謂竒異譚の濫觴にて、
其傳おほくは假作にいで若しくは訛傳になりたること元より疑ひなきに似たり。さはあれ所謂神代史(鬼神誌)はもとこ
れ眞實の物語にして決して遊戯の作にあらねば、後の所謂苛異譚とは其質ほとほと同じうして其用はまたいたく異なり。
蓋し謬信傳訛の久しき、後世の人其傳記の妄誕なるをば恠まざるなり。こゝをもて後の世の人此種の書を尊み信じて、曾
て小説視するものなきまゝ、恬然正史の巻はじめにいとうやうやしく之れをかゝげて、國家の権輿を穿鑿する好材料とな
すことゝなりけり。或ひは神代史を解釋して太古の竒異譚といふものあれども、こはまた甚だしき
小説は假作物語の一種にして、所謂異譚の變體なり。竒異譚とは何ぞや。英國にてローマンスと名づくるものなり。
ローマンスは趣向を荒唐無稽の事物に取りて、竒恠百出もて篇をなし、尋常世界に見はれたる事物の道理に矛楯する
を敢て顧みざるものにぞある。小説即ちノベルに至りては之れと異なり、世の人情と風俗をば冩すを以て主腦となし、
平常世間にあるべきやうなる事柄をもて材料として而して趣向を設くるものなり。こは只概略の辯なるから、尚ほ解し
がたき由もあらめど、其詳細なる本義の如きは、暫く之を下囘に讓りて、まづ變遷の次第を説くべし。其倩々惟みるに、
小説、野乘の行はるゝは其源遠く?焉たる上古の時代にありといふべし。其然る所以を知らまくせば、試みに社會の淵源
に溯りて其状態を察せざる可らず。上古の社會の状態はいかにといふに、東西人おなじからず南北地異なるにも係らず、
一個の家長を尊崇して之れを酋族の長となすこと人間社會の通則なり。かゝれば戰鬪いと烈しく優勝劣敗急激なる未開野
蠻の上世にありては、猛然荒蕪の間に起りて俄かに一家の主長となり忽ち一族の首となるもの、或ひは少なしとなさゞる
なり。かゝる性質の家長にして已に酋族の首となりなば、其子孫らにものがたるに何等の事柄を以てする歟。想ふに己が
經驗なしたる艱難辛苦の事情はさらなり、其武功などを語りつべし。而して是等の物語は其人親しく經驗なし若しくは親
しく見聞せる眞實の事蹟に相違なけれど、子孫が之れを傳聞してまた其子孫に語るに及びて、或ひは記憶の誤謬より或ひ
は附會に原因して、竟には眞實の髓を亡ひ、咄々竒恠の物語を長く口碑に傳へ存じて、鬼神史、神代記の基を拓く、是れ
世上の通則にしてまた恠むに足らずと雖も、事のこゝに到れるには別に原因のなきを得むや。今こゝろみに之れを思ふに、
其原因となりたるもの凡そ三條ありきと思はる。譬へば酋族次第に榮えて勢ひ強大になるに至れば、人の心のおのづから
傲りて、些々たる事をも巨大にいひなし、他の酋族に誇るものなり。かゝれば祖先の履歴の如きは、故意に附會の談を加
へていと大業にいひなすべし。是れ第一の原因なり。又人間はうまれながらに竒異を好むに切なるものなり。斯かれば別
に其要なくとも、假作の談話をつくりまうけて、史傳を誤ることあるべし。是れ第二の原因なり。而して國歩やうやく進
みて稍々文明の世界となりなば、其國君といはるゝやからは下賤の疋夫の成りあがりが我が大祖なりといはるゝをば快か
らぬことに思ひて、附會の説をつくりまうけて太祖の事蹟を粧はむとす。況んや是等の時代に於ては敬信の念深かるから
、故意に物語を假作せずとも自然に祖先を神といひなし、天孫なりきと思ふべきをや。是れなむ諸國に信じがたき神代史
などいふものある第三條の原因なりかし。斯かれば上古のミソロヂイ即ち鬼神誌といへるものは所謂竒異譚の濫觴にて、
其傳おほくは假作にいで若しくは訛傳になりたること元より疑ひなきに似たり。さはあれ所謂神代史(鬼神誌)はもとこ
れ眞實の物語にして決して遊戯の作にあらねば、後の所謂苛異譚とは其質ほとほと同じうして其用はまたいたく異なり。
蓋し謬信傳訛の久しき、後世の人其傳記の妄誕なるをば恠まざるなり。こゝをもて後の世の人此種の書を尊み信じて、曾
て小説視するものなきまゝ、恬然正史の巻はじめにいとうやうやしく之れをかゝげて、國家の権輿を穿鑿する好材料とな
すことゝなりけり。或ひは神代史を解釋して太古の竒異譚といふものあれども、こはまた甚だしき
小説は假作物語の一種にして、所謂異譚の變體なり。竒異譚とは何ぞや。英國にてローマンスと名づくるものなり。
ローマンスは趣向を荒唐無稽の事物に取りて、竒恠百出もて篇をなし、尋常世界に見はれたる事物の道理に矛楯する
を敢て顧みざるものにぞある。小説即ちノベルに至りては之れと異なり、世の人情と風俗をば冩すを以て主腦となし、
平常世間にあるべきやうなる事柄をもて材料として而して趣向を設くるものなり。こは只概略の辯なるから、尚ほ解し
がたき由もあらめど、其詳細なる本義の如きは、暫く之を下囘に讓りて、まづ變遷の次第を説くべし。其倩々惟みるに、
小説、野乘の行はるゝは其源遠く?焉たる上古の時代にありといふべし。其然る所以を知らまくせば、試みに社會の淵源
に溯りて其状態を察せざる可らず。上古の社會の状態はいかにといふに、東西人おなじからず南北地異なるにも係らず、
一個の家長を尊崇して之れを酋族の長となすこと人間社會の通則なり。かゝれば戰鬪いと烈しく優勝劣敗急激なる未開野
蠻の上世にありては、猛然荒蕪の間に起りて俄かに一家の主長となり忽ち一族の首となるもの、或ひは少なしとなさゞる
なり。かゝる性質の家長にして已に酋族の首となりなば、其子孫らにものがたるに何等の事柄を以てする歟。想ふに己が
經驗なしたる艱難辛苦の事情はさらなり、其武功などを語りつべし。而して是等の物語は其人親しく經驗なし若しくは親
しく見聞せる眞實の事蹟に相違なけれど、子孫が之れを傳聞してまた其子孫に語るに及びて、或ひは記憶の誤謬より或ひ
は附會に原因して、竟には眞實の髓を亡ひ、咄々竒恠の物語を長く口碑に傳へ存じて、鬼神史、神代記の基を拓く、是れ
世上の通則にしてまた恠むに足らずと雖も、事のこゝに到れるには別に原因のなきを得むや。今こゝろみに之れを思ふに、
其原因となりたるもの凡そ三條ありきと思はる。譬へば酋族次第に榮えて勢ひ強大になるに至れば、人の心のおのづから
傲りて、些々たる事をも巨大にいひなし、他の酋族に誇るものなり。かゝれば祖先の履歴の如きは、故意に附會の談を加
へていと大業にいひなすべし。是れ第一の原因なり。又人間はうまれながらに竒異を好むに切なるものなり。斯かれば別
に其要なくとも、假作の談話をつくりまうけて、史傳を誤ることあるべし。是れ第二の原因なり。而して國歩やうやく進
みて稍々文明の世界となりなば、其國君といはるゝやからは下賤の疋夫の成りあがりが我が大祖なりといはるゝをば快か
らぬことに思ひて、附會の説をつくりまうけて太祖の事蹟を粧はむとす。況んや是等の時代に於ては敬信の念深かるから
、故意に物語を假作せずとも自然に祖先を神といひなし、天孫なりきと思ふべきをや。是れなむ諸國に信じがたき神代史
などいふものある第三條の原因なりかし。斯かれば上古のミソロヂイ即ち鬼神誌といへるものは所謂竒異譚の濫觴にて、
其傳おほくは假作にいで若しくは訛傳になりたること元より疑ひなきに似たり。さはあれ所謂神代史(鬼神誌)はもとこ
れ眞實の物語にして決して遊戯の作にあらねば、後の所謂苛異譚とは其質ほとほと同じうして其用はまたいたく異なり。
蓋し謬信傳訛の久しき、後世の人其傳記の妄誕なるをば恠まざるなり。こゝをもて後の世の人此種の書を尊み信じて、曾
て小説視するものなきまゝ、恬然正史の巻はじめにいとうやうやしく之れをかゝげて、國家の権輿を穿鑿する好材料とな
すことゝなりけり。或ひは神代史を解釋して太古の竒異譚といふものあれども、こはまた甚だしき
小説は假作物語の一種にして、所謂異譚の變體なり。竒異譚とは何ぞや。英國にてローマンスと名づくるものなり。
ローマンスは趣向を荒唐無稽の事物に取りて、竒恠百出もて篇をなし、尋常世界に見はれたる事物の道理に矛楯する
を敢て顧みざるものにぞある。小説即ちノベルに至りては之れと異なり、世の人情と風俗をば冩すを以て主腦となし、
平常世間にあるべきやうなる事柄をもて材料として而して趣向を設くるものなり。こは只概略の辯なるから、尚ほ解し
がたき由もあらめど、其詳細なる本義の如きは、暫く之を下囘に讓りて、まづ變遷の次第を説くべし。其倩々惟みるに、
小説、野乘の行はるゝは其源遠く?焉たる上古の時代にありといふべし。其然る所以を知らまくせば、試みに社會の淵源
に溯りて其状態を察せざる可らず。上古の社會の状態はいかにといふに、東西人おなじからず南北地異なるにも係らず、
一個の家長を尊崇して之れを酋族の長となすこと人間社會の通則なり。かゝれば戰鬪いと烈しく優勝劣敗急激なる未開野
蠻の上世にありては、猛然荒蕪の間に起りて俄かに一家の主長となり忽ち一族の首となるもの、或ひは少なしとなさゞる
なり。かゝる性質の家長にして已に酋族の首となりなば、其子孫らにものがたるに何等の事柄を以てする歟。想ふに己が
經驗なしたる艱難辛苦の事情はさらなり、其武功などを語りつべし。而して是等の物語は其人親しく經驗なし若しくは親
しく見聞せる眞實の事蹟に相違なけれど、子孫が之れを傳聞してまた其子孫に語るに及びて、或ひは記憶の誤謬より或ひ
は附會に原因して、竟には眞實の髓を亡ひ、咄々竒恠の物語を長く口碑に傳へ存じて、鬼神史、神代記の基を拓く、是れ
世上の通則にしてまた恠むに足らずと雖も、事のこゝに到れるには別に原因のなきを得むや。今こゝろみに之れを思ふに、
其原因となりたるもの凡そ三條ありきと思はる。譬へば酋族次第に榮えて勢ひ強大になるに至れば、人の心のおのづから
傲りて、些々たる事をも巨大にいひなし、他の酋族に誇るものなり。かゝれば祖先の履歴の如きは、故意に附會の談を加
へていと大業にいひなすべし。是れ第一の原因なり。又人間はうまれながらに竒異を好むに切なるものなり。斯かれば別
に其要なくとも、假作の談話をつくりまうけて、史傳を誤ることあるべし。是れ第二の原因なり。而して國歩やうやく進
みて稍々文明の世界となりなば、其國君といはるゝやからは下賤の疋夫の成りあがりが我が大祖なりといはるゝをば快か
らぬことに思ひて、附會の説をつくりまうけて太祖の事蹟を粧はむとす。況んや是等の時代に於ては敬信の念深かるから
、故意に物語を假作せずとも自然に祖先を神といひなし、天孫なりきと思ふべきをや。是れなむ諸國に信じがたき神代史
などいふものある第三條の原因なりかし。斯かれば上古のミソロヂイ即ち鬼神誌といへるものは所謂竒異譚の濫觴にて、
其傳おほくは假作にいで若しくは訛傳になりたること元より疑ひなきに似たり。さはあれ所謂神代史(鬼神誌)はもとこ
れ眞實の物語にして決して遊戯の作にあらねば、後の所謂苛異譚とは其質ほとほと同じうして其用はまたいたく異なり。
蓋し謬信傳訛の久しき、後世の人其傳記の妄誕なるをば恠まざるなり。こゝをもて後の世の人此種の書を尊み信じて、曾
て小説視するものなきまゝ、恬然正史の巻はじめにいとうやうやしく之れをかゝげて、國家の権輿を穿鑿する好材料とな
すことゝなりけり。或ひは神代史を解釋して太古の竒異譚といふものあれども、こはまた甚だしき
小説は假作物語の一種にして、所謂異譚の變體なり。竒異譚とは何ぞや。英國にてローマンスと名づくるものなり。
ローマンスは趣向を荒唐無稽の事物に取りて、竒恠百出もて篇をなし、尋常世界に見はれたる事物の道理に矛楯する
を敢て顧みざるものにぞある。小説即ちノベルに至りては之れと異なり、世の人情と風俗をば冩すを以て主腦となし、
平常世間にあるべきやうなる事柄をもて材料として而して趣向を設くるものなり。こは只概略の辯なるから、尚ほ解し
がたき由もあらめど、其詳細なる本義の如きは、暫く之を下囘に讓りて、まづ變遷の次第を説くべし。其倩々惟みるに、
小説、野乘の行はるゝは其源遠く?焉たる上古の時代にありといふべし。其然る所以を知らまくせば、試みに社會の淵源
に溯りて其状態を察せざる可らず。上古の社會の状態はいかにといふに、東西人おなじからず南北地異なるにも係らず、
一個の家長を尊崇して之れを酋族の長となすこと人間社會の通則なり。かゝれば戰鬪いと烈しく優勝劣敗急激なる未開野
蠻の上世にありては、猛然荒蕪の間に起りて俄かに一家の主長となり忽ち一族の首となるもの、或ひは少なしとなさゞる
なり。かゝる性質の家長にして已に酋族の首となりなば、其子孫らにものがたるに何等の事柄を以てする歟。想ふに己が
經驗なしたる艱難辛苦の事情はさらなり、其武功などを語りつべし。而して是等の物語は其人親しく經驗なし若しくは親
しく見聞せる眞實の事蹟に相違なけれど、子孫が之れを傳聞してまた其子孫に語るに及びて、或ひは記憶の誤謬より或ひ
は附會に原因して、竟には眞實の髓を亡ひ、咄々竒恠の物語を長く口碑に傳へ存じて、鬼神史、神代記の基を拓く、是れ
世上の通則にしてまた恠むに足らずと雖も、事のこゝに到れるには別に原因のなきを得むや。今こゝろみに之れを思ふに、
其原因となりたるもの凡そ三條ありきと思はる。譬へば酋族次第に榮えて勢ひ強大になるに至れば、人の心のおのづから
傲りて、些々たる事をも巨大にいひなし、他の酋族に誇るものなり。かゝれば祖先の履歴の如きは、故意に附會の談を加
へていと大業にいひなすべし。是れ第一の原因なり。又人間はうまれながらに竒異を好むに切なるものなり。斯かれば別
に其要なくとも、假作の談話をつくりまうけて、史傳を誤ることあるべし。是れ第二の原因なり。而して國歩やうやく進
みて稍々文明の世界となりなば、其國君といはるゝやからは下賤の疋夫の成りあがりが我が大祖なりといはるゝをば快か
らぬことに思ひて、附會の説をつくりまうけて太祖の事蹟を粧はむとす。況んや是等の時代に於ては敬信の念深かるから
、故意に物語を假作せずとも自然に祖先を神といひなし、天孫なりきと思ふべきをや。是れなむ諸國に信じがたき神代史
などいふものある第三條の原因なりかし。斯かれば上古のミソロヂイ即ち鬼神誌といへるものは所謂竒異譚の濫觴にて、
其傳おほくは假作にいで若しくは訛傳になりたること元より疑ひなきに似たり。さはあれ所謂神代史(鬼神誌)はもとこ
れ眞實の物語にして決して遊戯の作にあらねば、後の所謂苛異譚とは其質ほとほと同じうして其用はまたいたく異なり。
蓋し謬信傳訛の久しき、後世の人其傳記の妄誕なるをば恠まざるなり。こゝをもて後の世の人此種の書を尊み信じて、曾
て小説視するものなきまゝ、恬然正史の巻はじめにいとうやうやしく之れをかゝげて、國家の権輿を穿鑿する好材料とな
すことゝなりけり。或ひは神代史を解釋して太古の竒異譚といふものあれども、こはまた甚だしき
小説は假作物語の一種にして、所謂異譚の變體なり。竒異譚とは何ぞや。英國にてローマンスと名づくるものなり。
ローマンスは趣向を荒唐無稽の事物に取りて、竒恠百出もて篇をなし、尋常世界に見はれたる事物の道理に矛楯する
を敢て顧みざるものにぞある。小説即ちノベルに至りては之れと異なり、世の人情と風俗をば冩すを以て主腦となし、
平常世間にあるべきやうなる事柄をもて材料として而して趣向を設くるものなり。こは只概略の辯なるから、尚ほ解し
がたき由もあらめど、其詳細なる本義の如きは、暫く之を下囘に讓りて、まづ變遷の次第を説くべし。其倩々惟みるに、
小説、野乘の行はるゝは其源遠く?焉たる上古の時代にありといふべし。其然る所以を知らまくせば、試みに社會の淵源
に溯りて其状態を察せざる可らず。上古の社會の状態はいかにといふに、東西人おなじからず南北地異なるにも係らず、
一個の家長を尊崇して之れを酋族の長となすこと人間社會の通則なり。かゝれば戰鬪いと烈しく優勝劣敗急激なる未開野
蠻の上世にありては、猛然荒蕪の間に起りて俄かに一家の主長となり忽ち一族の首となるもの、或ひは少なしとなさゞる
なり。かゝる性質の家長にして已に酋族の首となりなば、其子孫らにものがたるに何等の事柄を以てする歟。想ふに己が
經驗なしたる艱難辛苦の事情はさらなり、其武功などを語りつべし。而して是等の物語は其人親しく經驗なし若しくは親
しく見聞せる眞實の事蹟に相違なけれど、子孫が之れを傳聞してまた其子孫に語るに及びて、或ひは記憶の誤謬より或ひ
は附會に原因して、竟には眞實の髓を亡ひ、咄々竒恠の物語を長く口碑に傳へ存じて、鬼神史、神代記の基を拓く、是れ
世上の通則にしてまた恠むに足らずと雖も、事のこゝに到れるには別に原因のなきを得むや。今こゝろみに之れを思ふに、
其原因となりたるもの凡そ三條ありきと思はる。譬へば酋族次第に榮えて勢ひ強大になるに至れば、人の心のおのづから
傲りて、些々たる事をも巨大にいひなし、他の酋族に誇るものなり。かゝれば祖先の履歴の如きは、故意に附會の談を加
へていと大業にいひなすべし。是れ第一の原因なり。又人間はうまれながらに竒異を好むに切なるものなり。斯かれば別
に其要なくとも、假作の談話をつくりまうけて、史傳を誤ることあるべし。是れ第二の原因なり。而して國歩やうやく進
みて稍々文明の世界となりなば、其國君といはるゝやからは下賤の疋夫の成りあがりが我が大祖なりといはるゝをば快か
らぬことに思ひて、附會の説をつくりまうけて太祖の事蹟を粧はむとす。況んや是等の時代に於ては敬信の念深かるから
、故意に物語を假作せずとも自然に祖先を神といひなし、天孫なりきと思ふべきをや。是れなむ諸國に信じがたき神代史
などいふものある第三條の原因なりかし。斯かれば上古のミソロヂイ即ち鬼神誌といへるものは所謂竒異譚の濫觴にて、
其傳おほくは假作にいで若しくは訛傳になりたること元より疑ひなきに似たり。さはあれ所謂神代史(鬼神誌)はもとこ
れ眞實の物語にして決して遊戯の作にあらねば、後の所謂苛異譚とは其質ほとほと同じうして其用はまたいたく異なり。
蓋し謬信傳訛の久しき、後世の人其傳記の妄誕なるをば恠まざるなり。こゝをもて後の世の人此種の書を尊み信じて、曾
て小説視するものなきまゝ、恬然正史の巻はじめにいとうやうやしく之れをかゝげて、國家の権輿を穿鑿する好材料とな
すことゝなりけり。或ひは神代史を解釋して太古の竒異譚といふものあれども、こはまた甚だしき
小説は假作物語の一種にして、所謂異譚の變體なり。竒異譚とは何ぞや。英國にてローマンスと名づくるものなり。
ローマンスは趣向を荒唐無稽の事物に取りて、竒恠百出もて篇をなし、尋常世界に見はれたる事物の道理に矛楯する
を敢て顧みざるものにぞある。小説即ちノベルに至りては之れと異なり、世の人情と風俗をば冩すを以て主腦となし、
平常世間にあるべきやうなる事柄をもて材料として而して趣向を設くるものなり。こは只概略の辯なるから、尚ほ解し
がたき由もあらめど、其詳細なる本義の如きは、暫く之を下囘に讓りて、まづ變遷の次第を説くべし。其倩々惟みるに、
小説、野乘の行はるゝは其源遠く?焉たる上古の時代にありといふべし。其然る所以を知らまくせば、試みに社會の淵源
に溯りて其状態を察せざる可らず。上古の社會の状態はいかにといふに、東西人おなじからず南北地異なるにも係らず、
一個の家長を尊崇して之れを酋族の長となすこと人間社會の通則なり。かゝれば戰鬪いと烈しく優勝劣敗急激なる未開野
蠻の上世にありては、猛然荒蕪の間に起りて俄かに一家の主長となり忽ち一族の首となるもの、或ひは少なしとなさゞる
なり。かゝる性質の家長にして已に酋族の首となりなば、其子孫らにものがたるに何等の事柄を以てする歟。想ふに己が
經驗なしたる艱難辛苦の事情はさらなり、其武功などを語りつべし。而して是等の物語は其人親しく經驗なし若しくは親
しく見聞せる眞實の事蹟に相違なけれど、子孫が之れを傳聞してまた其子孫に語るに及びて、或ひは記憶の誤謬より或ひ
は附會に原因して、竟には眞實の髓を亡ひ、咄々竒恠の物語を長く口碑に傳へ存じて、鬼神史、神代記の基を拓く、是れ
世上の通則にしてまた恠むに足らずと雖も、事のこゝに到れるには別に原因のなきを得むや。今こゝろみに之れを思ふに、
其原因となりたるもの凡そ三條ありきと思はる。譬へば酋族次第に榮えて勢ひ強大になるに至れば、人の心のおのづから
傲りて、些々たる事をも巨大にいひなし、他の酋族に誇るものなり。かゝれば祖先の履歴の如きは、故意に附會の談を加
へていと大業にいひなすべし。是れ第一の原因なり。又人間はうまれながらに竒異を好むに切なるものなり。斯かれば別
に其要なくとも、假作の談話をつくりまうけて、史傳を誤ることあるべし。是れ第二の原因なり。而して國歩やうやく進
みて稍々文明の世界となりなば、其國君といはるゝやからは下賤の疋夫の成りあがりが我が大祖なりといはるゝをば快か
らぬことに思ひて、附會の説をつくりまうけて太祖の事蹟を粧はむとす。況んや是等の時代に於ては敬信の念深かるから
、故意に物語を假作せずとも自然に祖先を神といひなし、天孫なりきと思ふべきをや。是れなむ諸國に信じがたき神代史
などいふものある第三條の原因なりかし。斯かれば上古のミソロヂイ即ち鬼神誌といへるものは所謂竒異譚の濫觴にて、
其傳おほくは假作にいで若しくは訛傳になりたること元より疑ひなきに似たり。さはあれ所謂神代史(鬼神誌)はもとこ
れ眞實の物語にして決して遊戯の作にあらねば、後の所謂苛異譚とは其質ほとほと同じうして其用はまたいたく異なり。
蓋し謬信傳訛の久しき、後世の人其傳記の妄誕なるをば恠まざるなり。こゝをもて後の世の人此種の書を尊み信じて、曾
て小説視するものなきまゝ、恬然正史の巻はじめにいとうやうやしく之れをかゝげて、國家の権輿を穿鑿する好材料とな
すことゝなりけり。或ひは神代史を解釋して太古の竒異譚といふものあれども、こはまた甚だしき
小説は假作物語の一種にして、所謂異譚の變體なり。竒異譚とは何ぞや。英國にてローマンスと名づくるものなり。
ローマンスは趣向を荒唐無稽の事物に取りて、竒恠百出もて篇をなし、尋常世界に見はれたる事物の道理に矛楯する
を敢て顧みざるものにぞある。小説即ちノベルに至りては之れと異なり、世の人情と風俗をば冩すを以て主腦となし、
平常世間にあるべきやうなる事柄をもて材料として而して趣向を設くるものなり。こは只概略の辯なるから、尚ほ解し
がたき由もあらめど、其詳細なる本義の如きは、暫く之を下囘に讓りて、まづ變遷の次第を説くべし。其倩々惟みるに、
小説、野乘の行はるゝは其源遠く?焉たる上古の時代にありといふべし。其然る所以を知らまくせば、試みに社會の淵源
に溯りて其状態を察せざる可らず。上古の社會の状態はいかにといふに、東西人おなじからず南北地異なるにも係らず、
一個の家長を尊崇して之れを酋族の長となすこと人間社會の通則なり。かゝれば戰鬪いと烈しく優勝劣敗急激なる未開野
蠻の上世にありては、猛然荒蕪の間に起りて俄かに一家の主長となり忽ち一族の首となるもの、或ひは少なしとなさゞる
なり。かゝる性質の家長にして已に酋族の首となりなば、其子孫らにものがたるに何等の事柄を以てする歟。想ふに己が
經驗なしたる艱難辛苦の事情はさらなり、其武功などを語りつべし。而して是等の物語は其人親しく經驗なし若しくは親
しく見聞せる眞實の事蹟に相違なけれど、子孫が之れを傳聞してまた其子孫に語るに及びて、或ひは記憶の誤謬より或ひ
は附會に原因して、竟には眞實の髓を亡ひ、咄々竒恠の物語を長く口碑に傳へ存じて、鬼神史、神代記の基を拓く、是れ
世上の通則にしてまた恠むに足らずと雖も、事のこゝに到れるには別に原因のなきを得むや。今こゝろみに之れを思ふに、
其原因となりたるもの凡そ三條ありきと思はる。譬へば酋族次第に榮えて勢ひ強大になるに至れば、人の心のおのづから
傲りて、些々たる事をも巨大にいひなし、他の酋族に誇るものなり。かゝれば祖先の履歴の如きは、故意に附會の談を加
へていと大業にいひなすべし。是れ第一の原因なり。又人間はうまれながらに竒異を好むに切なるものなり。斯かれば別
に其要なくとも、假作の談話をつくりまうけて、史傳を誤ることあるべし。是れ第二の原因なり。而して國歩やうやく進
みて稍々文明の世界となりなば、其國君といはるゝやからは下賤の疋夫の成りあがりが我が大祖なりといはるゝをば快か
らぬことに思ひて、附會の説をつくりまうけて太祖の事蹟を粧はむとす。況んや是等の時代に於ては敬信の念深かるから
、故意に物語を假作せずとも自然に祖先を神といひなし、天孫なりきと思ふべきをや。是れなむ諸國に信じがたき神代史
などいふものある第三條の原因なりかし。斯かれば上古のミソロヂイ即ち鬼神誌といへるものは所謂竒異譚の濫觴にて、
其傳おほくは假作にいで若しくは訛傳になりたること元より疑ひなきに似たり。さはあれ所謂神代史(鬼神誌)はもとこ
れ眞實の物語にして決して遊戯の作にあらねば、後の所謂苛異譚とは其質ほとほと同じうして其用はまたいたく異なり。
蓋し謬信傳訛の久しき、後世の人其傳記の妄誕なるをば恠まざるなり。こゝをもて後の世の人此種の書を尊み信じて、曾
て小説視するものなきまゝ、恬然正史の巻はじめにいとうやうやしく之れをかゝげて、國家の権輿を穿鑿する好材料とな
すことゝなりけり。或ひは神代史を解釋して太古の竒異譚といふものあれども、こはまた甚だしき
小説は假作物語の一種にして、所謂異譚の變體なり。竒異譚とは何ぞや。英國にてローマンスと名づくるものなり。
ローマンスは趣向を荒唐無稽の事物に取りて、竒恠百出もて篇をなし、尋常世界に見はれたる事物の道理に矛楯する
を敢て顧みざるものにぞある。小説即ちノベルに至りては之れと異なり、世の人情と風俗をば冩すを以て主腦となし、
平常世間にあるべきやうなる事柄をもて材料として而して趣向を設くるものなり。こは只概略の辯なるから、尚ほ解し
がたき由もあらめど、其詳細なる本義の如きは、暫く之を下囘に讓りて、まづ變遷の次第を説くべし。其倩々惟みるに、
小説、野乘の行はるゝは其源遠く?焉たる上古の時代にありといふべし。其然る所以を知らまくせば、試みに社會の淵源
に溯りて其状態を察せざる可らず。上古の社會の状態はいかにといふに、東西人おなじからず南北地異なるにも係らず、
一個の家長を尊崇して之れを酋族の長となすこと人間社會の通則なり。かゝれば戰鬪いと烈しく優勝劣敗急激なる未開野
蠻の上世にありては、猛然荒蕪の間に起りて俄かに一家の主長となり忽ち一族の首となるもの、或ひは少なしとなさゞる
なり。かゝる性質の家長にして已に酋族の首となりなば、其子孫らにものがたるに何等の事柄を以てする歟。想ふに己が
經驗なしたる艱難辛苦の事情はさらなり、其武功などを語りつべし。而して是等の物語は其人親しく經驗なし若しくは親
しく見聞せる眞實の事蹟に相違なけれど、子孫が之れを傳聞してまた其子孫に語るに及びて、或ひは記憶の誤謬より或ひ
は附會に原因して、竟には眞實の髓を亡ひ、咄々竒恠の物語を長く口碑に傳へ存じて、鬼神史、神代記の基を拓く、是れ
世上の通則にしてまた恠むに足らずと雖も、事のこゝに到れるには別に原因のなきを得むや。今こゝろみに之れを思ふに、
其原因となりたるもの凡そ三條ありきと思はる。譬へば酋族次第に榮えて勢ひ強大になるに至れば、人の心のおのづから
傲りて、些々たる事をも巨大にいひなし、他の酋族に誇るものなり。かゝれば祖先の履歴の如きは、故意に附會の談を加
へていと大業にいひなすべし。是れ第一の原因なり。又人間はうまれながらに竒異を好むに切なるものなり。斯かれば別
に其要なくとも、假作の談話をつくりまうけて、史傳を誤ることあるべし。是れ第二の原因なり。而して國歩やうやく進
みて稍々文明の世界となりなば、其國君といはるゝやからは下賤の疋夫の成りあがりが我が大祖なりといはるゝをば快か
らぬことに思ひて、附會の説をつくりまうけて太祖の事蹟を粧はむとす。況んや是等の時代に於ては敬信の念深かるから
、故意に物語を假作せずとも自然に祖先を神といひなし、天孫なりきと思ふべきをや。是れなむ諸國に信じがたき神代史
などいふものある第三條の原因なりかし。斯かれば上古のミソロヂイ即ち鬼神誌といへるものは所謂竒異譚の濫觴にて、
其傳おほくは假作にいで若しくは訛傳になりたること元より疑ひなきに似たり。さはあれ所謂神代史(鬼神誌)はもとこ
れ眞實の物語にして決して遊戯の作にあらねば、後の所謂苛異譚とは其質ほとほと同じうして其用はまたいたく異なり。
蓋し謬信傳訛の久しき、後世の人其傳記の妄誕なるをば恠まざるなり。こゝをもて後の世の人此種の書を尊み信じて、曾
て小説視するものなきまゝ、恬然正史の巻はじめにいとうやうやしく之れをかゝげて、國家の権輿を穿鑿する好材料とな
すことゝなりけり。或ひは神代史を解釋して太古の竒異譚といふものあれども、こはまた甚だしき
小説は假作物語の一種にして、所謂異譚の變體なり。竒異譚とは何ぞや。英國にてローマンスと名づくるものなり。
ローマンスは趣向を荒唐無稽の事物に取りて、竒恠百出もて篇をなし、尋常世界に見はれたる事物の道理に矛楯する
を敢て顧みざるものにぞある。小説即ちノベルに至りては之れと異なり、世の人情と風俗をば冩すを以て主腦となし、
平常世間にあるべきやうなる事柄をもて材料として而して趣向を設くるものなり。こは只概略の辯なるから、尚ほ解し
がたき由もあらめど、其詳細なる本義の如きは、暫く之を下囘に讓りて、まづ變遷の次第を説くべし。其倩々惟みるに、
小説、野乘の行はるゝは其源遠く?焉たる上古の時代にありといふべし。其然る所以を知らまくせば、試みに社會の淵源
に溯りて其状態を察せざる可らず。上古の社會の状態はいかにといふに、東西人おなじからず南北地異なるにも係らず、
一個の家長を尊崇して之れを酋族の長となすこと人間社會の通則なり。かゝれば戰鬪いと烈しく優勝劣敗急激なる未開野
蠻の上世にありては、猛然荒蕪の間に起りて俄かに一家の主長となり忽ち一族の首となるもの、或ひは少なしとなさゞる
なり。かゝる性質の家長にして已に酋族の首となりなば、其子孫らにものがたるに何等の事柄を以てする歟。想ふに己が
經驗なしたる艱難辛苦の事情はさらなり、其武功などを語りつべし。而して是等の物語は其人親しく經驗なし若しくは親
しく見聞せる眞實の事蹟に相違なけれど、子孫が之れを傳聞してまた其子孫に語るに及びて、或ひは記憶の誤謬より或ひ
は附會に原因して、竟には眞實の髓を亡ひ、咄々竒恠の物語を長く口碑に傳へ存じて、鬼神史、神代記の基を拓く、是れ
世上の通則にしてまた恠むに足らずと雖も、事のこゝに到れるには別に原因のなきを得むや。今こゝろみに之れを思ふに、
其原因となりたるもの凡そ三條ありきと思はる。譬へば酋族次第に榮えて勢ひ強大になるに至れば、人の心のおのづから
傲りて、些々たる事をも巨大にいひなし、他の酋族に誇るものなり。かゝれば祖先の履歴の如きは、故意に附會の談を加
へていと大業にいひなすべし。是れ第一の原因なり。又人間はうまれながらに竒異を好むに切なるものなり。斯かれば別
に其要なくとも、假作の談話をつくりまうけて、史傳を誤ることあるべし。是れ第二の原因なり。而して國歩やうやく進
みて稍々文明の世界となりなば、其國君といはるゝやからは下賤の疋夫の成りあがりが我が大祖なりといはるゝをば快か
らぬことに思ひて、附會の説をつくりまうけて太祖の事蹟を粧はむとす。況んや是等の時代に於ては敬信の念深かるから
、故意に物語を假作せずとも自然に祖先を神といひなし、天孫なりきと思ふべきをや。是れなむ諸國に信じがたき神代史
などいふものある第三條の原因なりかし。斯かれば上古のミソロヂイ即ち鬼神誌といへるものは所謂竒異譚の濫觴にて、
其傳おほくは假作にいで若しくは訛傳になりたること元より疑ひなきに似たり。さはあれ所謂神代史(鬼神誌)はもとこ
れ眞實の物語にして決して遊戯の作にあらねば、後の所謂苛異譚とは其質ほとほと同じうして其用はまたいたく異なり。
蓋し謬信傳訛の久しき、後世の人其傳記の妄誕なるをば恠まざるなり。こゝをもて後の世の人此種の書を尊み信じて、曾
て小説視するものなきまゝ、恬然正史の巻はじめにいとうやうやしく之れをかゝげて、國家の権輿を穿鑿する好材料とな
すことゝなりけり。或ひは神代史を解釋して太古の竒異譚といふものあれども、こはまた甚だしき
小説は假作物語の一種にして、所謂異譚の變體なり。竒異譚とは何ぞや。英國にてローマンスと名づくるものなり。
ローマンスは趣向を荒唐無稽の事物に取りて、竒恠百出もて篇をなし、尋常世界に見はれたる事物の道理に矛楯する
を敢て顧みざるものにぞある。小説即ちノベルに至りては之れと異なり、世の人情と風俗をば冩すを以て主腦となし、
平常世間にあるべきやうなる事柄をもて材料として而して趣向を設くるものなり。こは只概略の辯なるから、尚ほ解し
がたき由もあらめど、其詳細なる本義の如きは、暫く之を下囘に讓りて、まづ變遷の次第を説くべし。其倩々惟みるに、
小説、野乘の行はるゝは其源遠く?焉たる上古の時代にありといふべし。其然る所以を知らまくせば、試みに社會の淵源
に溯りて其状態を察せざる可らず。上古の社會の状態はいかにといふに、東西人おなじからず南北地異なるにも係らず、
一個の家長を尊崇して之れを酋族の長となすこと人間社會の通則なり。かゝれば戰鬪いと烈しく優勝劣敗急激なる未開野
蠻の上世にありては、猛然荒蕪の間に起りて俄かに一家の主長となり忽ち一族の首となるもの、或ひは少なしとなさゞる
なり。かゝる性質の家長にして已に酋族の首となりなば、其子孫らにものがたるに何等の事柄を以てする歟。想ふに己が
經驗なしたる艱難辛苦の事情はさらなり、其武功などを語りつべし。而して是等の物語は其人親しく經驗なし若しくは親
しく見聞せる眞實の事蹟に相違なけれど、子孫が之れを傳聞してまた其子孫に語るに及びて、或ひは記憶の誤謬より或ひ
は附會に原因して、竟には眞實の髓を亡ひ、咄々竒恠の物語を長く口碑に傳へ存じて、鬼神史、神代記の基を拓く、是れ
世上の通則にしてまた恠むに足らずと雖も、事のこゝに到れるには別に原因のなきを得むや。今こゝろみに之れを思ふに、
其原因となりたるもの凡そ三條ありきと思はる。譬へば酋族次第に榮えて勢ひ強大になるに至れば、人の心のおのづから
傲りて、些々たる事をも巨大にいひなし、他の酋族に誇るものなり。かゝれば祖先の履歴の如きは、故意に附會の談を加
へていと大業にいひなすべし。是れ第一の原因なり。又人間はうまれながらに竒異を好むに切なるものなり。斯かれば別
に其要なくとも、假作の談話をつくりまうけて、史傳を誤ることあるべし。是れ第二の原因なり。而して國歩やうやく進
みて稍々文明の世界となりなば、其國君といはるゝやからは下賤の疋夫の成りあがりが我が大祖なりといはるゝをば快か
らぬことに思ひて、附會の説をつくりまうけて太祖の事蹟を粧はむとす。況んや是等の時代に於ては敬信の念深かるから
、故意に物語を假作せずとも自然に祖先を神といひなし、天孫なりきと思ふべきをや。是れなむ諸國に信じがたき神代史
などいふものある第三條の原因なりかし。斯かれば上古のミソロヂイ即ち鬼神誌といへるものは所謂竒異譚の濫觴にて、
其傳おほくは假作にいで若しくは訛傳になりたること元より疑ひなきに似たり。さはあれ所謂神代史(鬼神誌)はもとこ
れ眞實の物語にして決して遊戯の作にあらねば、後の所謂苛異譚とは其質ほとほと同じうして其用はまたいたく異なり。
蓋し謬信傳訛の久しき、後世の人其傳記の妄誕なるをば恠まざるなり。こゝをもて後の世の人此種の書を尊み信じて、曾
て小説視するものなきまゝ、恬然正史の巻はじめにいとうやうやしく之れをかゝげて、國家の権輿を穿鑿する好材料とな
すことゝなりけり。或ひは神代史を解釋して太古の竒異譚といふものあれども、こはまた甚だしき
小説は假作物語の一種にして、所謂異譚の變體なり。竒異譚とは何ぞや。英國にてローマンスと名づくるものなり。
ローマンスは趣向を荒唐無稽の事物に取りて、竒恠百出もて篇をなし、尋常世界に見はれたる事物の道理に矛楯する
を敢て顧みざるものにぞある。小説即ちノベルに至りては之れと異なり、世の人情と風俗をば冩すを以て主腦となし、
平常世間にあるべきやうなる事柄をもて材料として而して趣向を設くるものなり。こは只概略の辯なるから、尚ほ解し
がたき由もあらめど、其詳細なる本義の如きは、暫く之を下囘に讓りて、まづ變遷の次第を説くべし。其倩々惟みるに、
小説、野乘の行はるゝは其源遠く?焉たる上古の時代にありといふべし。其然る所以を知らまくせば、試みに社會の淵源
に溯りて其状態を察せざる可らず。上古の社會の状態はいかにといふに、東西人おなじからず南北地異なるにも係らず、
一個の家長を尊崇して之れを酋族の長となすこと人間社會の通則なり。かゝれば戰鬪いと烈しく優勝劣敗急激なる未開野
蠻の上世にありては、猛然荒蕪の間に起りて俄かに一家の主長となり忽ち一族の首となるもの、或ひは少なしとなさゞる
なり。かゝる性質の家長にして已に酋族の首となりなば、其子孫らにものがたるに何等の事柄を以てする歟。想ふに己が
經驗なしたる艱難辛苦の事情はさらなり、其武功などを語りつべし。而して是等の物語は其人親しく經驗なし若しくは親
しく見聞せる眞實の事蹟に相違なけれど、子孫が之れを傳聞してまた其子孫に語るに及びて、或ひは記憶の誤謬より或ひ
は附會に原因して、竟には眞實の髓を亡ひ、咄々竒恠の物語を長く口碑に傳へ存じて、鬼神史、神代記の基を拓く、是れ
世上の通則にしてまた恠むに足らずと雖も、事のこゝに到れるには別に原因のなきを得むや。今こゝろみに之れを思ふに、
其原因となりたるもの凡そ三條ありきと思はる。譬へば酋族次第に榮えて勢ひ強大になるに至れば、人の心のおのづから
傲りて、些々たる事をも巨大にいひなし、他の酋族に誇るものなり。かゝれば祖先の履歴の如きは、故意に附會の談を加
へていと大業にいひなすべし。是れ第一の原因なり。又人間はうまれながらに竒異を好むに切なるものなり。斯かれば別
に其要なくとも、假作の談話をつくりまうけて、史傳を誤ることあるべし。是れ第二の原因なり。而して國歩やうやく進
みて稍々文明の世界となりなば、其國君といはるゝやからは下賤の疋夫の成りあがりが我が大祖なりといはるゝをば快か
らぬことに思ひて、附會の説をつくりまうけて太祖の事蹟を粧はむとす。況んや是等の時代に於ては敬信の念深かるから
、故意に物語を假作せずとも自然に祖先を神といひなし、天孫なりきと思ふべきをや。是れなむ諸國に信じがたき神代史
などいふものある第三條の原因なりかし。斯かれば上古のミソロヂイ即ち鬼神誌といへるものは所謂竒異譚の濫觴にて、
其傳おほくは假作にいで若しくは訛傳になりたること元より疑ひなきに似たり。さはあれ所謂神代史(鬼神誌)はもとこ
れ眞實の物語にして決して遊戯の作にあらねば、後の所謂苛異譚とは其質ほとほと同じうして其用はまたいたく異なり。
蓋し謬信傳訛の久しき、後世の人其傳記の妄誕なるをば恠まざるなり。こゝをもて後の世の人此種の書を尊み信じて、曾
て小説視するものなきまゝ、恬然正史の巻はじめにいとうやうやしく之れをかゝげて、國家の権輿を穿鑿する好材料とな
すことゝなりけり。或ひは神代史を解釋して太古の竒異譚といふものあれども、こはまた甚だしき
小説は假作物語の一種にして、所謂異譚の變體なり。竒異譚とは何ぞや。英國にてローマンスと名づくるものなり。
ローマンスは趣向を荒唐無稽の事物に取りて、竒恠百出もて篇をなし、尋常世界に見はれたる事物の道理に矛楯する
を敢て顧みざるものにぞある。小説即ちノベルに至りては之れと異なり、世の人情と風俗をば冩すを以て主腦となし、
平常世間にあるべきやうなる事柄をもて材料として而して趣向を設くるものなり。こは只概略の辯なるから、尚ほ解し
がたき由もあらめど、其詳細なる本義の如きは、暫く之を下囘に讓りて、まづ變遷の次第を説くべし。其倩々惟みるに、
小説、野乘の行はるゝは其源遠く?焉たる上古の時代にありといふべし。其然る所以を知らまくせば、試みに社會の淵源
に溯りて其状態を察せざる可らず。上古の社會の状態はいかにといふに、東西人おなじからず南北地異なるにも係らず、
一個の家長を尊崇して之れを酋族の長となすこと人間社會の通則なり。かゝれば戰鬪いと烈しく優勝劣敗急激なる未開野
蠻の上世にありては、猛然荒蕪の間に起りて俄かに一家の主長となり忽ち一族の首となるもの、或ひは少なしとなさゞる
なり。かゝる性質の家長にして已に酋族の首となりなば、其子孫らにものがたるに何等の事柄を以てする歟。想ふに己が
經驗なしたる艱難辛苦の事情はさらなり、其武功などを語りつべし。而して是等の物語は其人親しく經驗なし若しくは親
しく見聞せる眞實の事蹟に相違なけれど、子孫が之れを傳聞してまた其子孫に語るに及びて、或ひは記憶の誤謬より或ひ
は附會に原因して、竟には眞實の髓を亡ひ、咄々竒恠の物語を長く口碑に傳へ存じて、鬼神史、神代記の基を拓く、是れ
世上の通則にしてまた恠むに足らずと雖も、事のこゝに到れるには別に原因のなきを得むや。今こゝろみに之れを思ふに、
其原因となりたるもの凡そ三條ありきと思はる。譬へば酋族次第に榮えて勢ひ強大になるに至れば、人の心のおのづから
傲りて、些々たる事をも巨大にいひなし、他の酋族に誇るものなり。かゝれば祖先の履歴の如きは、故意に附會の談を加
へていと大業にいひなすべし。是れ第一の原因なり。又人間はうまれながらに竒異を好むに切なるものなり。斯かれば別
に其要なくとも、假作の談話をつくりまうけて、史傳を誤ることあるべし。是れ第二の原因なり。而して國歩やうやく進
みて稍々文明の世界となりなば、其國君といはるゝやからは下賤の疋夫の成りあがりが我が大祖なりといはるゝをば快か
らぬことに思ひて、附會の説をつくりまうけて太祖の事蹟を粧はむとす。況んや是等の時代に於ては敬信の念深かるから
、故意に物語を假作せずとも自然に祖先を神といひなし、天孫なりきと思ふべきをや。是れなむ諸國に信じがたき神代史
などいふものある第三條の原因なりかし。斯かれば上古のミソロヂイ即ち鬼神誌といへるものは所謂竒異譚の濫觴にて、
其傳おほくは假作にいで若しくは訛傳になりたること元より疑ひなきに似たり。さはあれ所謂神代史(鬼神誌)はもとこ
れ眞實の物語にして決して遊戯の作にあらねば、後の所謂苛異譚とは其質ほとほと同じうして其用はまたいたく異なり。
蓋し謬信傳訛の久しき、後世の人其傳記の妄誕なるをば恠まざるなり。こゝをもて後の世の人此種の書を尊み信じて、曾
て小説視するものなきまゝ、恬然正史の巻はじめにいとうやうやしく之れをかゝげて、國家の権輿を穿鑿する好材料とな
すことゝなりけり。或ひは神代史を解釋して太古の竒異譚といふものあれども、こはまた甚だしき
小説は假作物語の一種にして、所謂異譚の變體なり。竒異譚とは何ぞや。英國にてローマンスと名づくるものなり。
ローマンスは趣向を荒唐無稽の事物に取りて、竒恠百出もて篇をなし、尋常世界に見はれたる事物の道理に矛楯する
を敢て顧みざるものにぞある。小説即ちノベルに至りては之れと異なり、世の人情と風俗をば冩すを以て主腦となし、
平常世間にあるべきやうなる事柄をもて材料として而して趣向を設くるものなり。こは只概略の辯なるから、尚ほ解し
がたき由もあらめど、其詳細なる本義の如きは、暫く之を下囘に讓りて、まづ變遷の次第を説くべし。其倩々惟みるに、
小説、野乘の行はるゝは其源遠く?焉たる上古の時代にありといふべし。其然る所以を知らまくせば、試みに社會の淵源
に溯りて其状態を察せざる可らず。上古の社會の状態はいかにといふに、東西人おなじからず南北地異なるにも係らず、
一個の家長を尊崇して之れを酋族の長となすこと人間社會の通則なり。かゝれば戰鬪いと烈しく優勝劣敗急激なる未開野
蠻の上世にありては、猛然荒蕪の間に起りて俄かに一家の主長となり忽ち一族の首となるもの、或ひは少なしとなさゞる
なり。かゝる性質の家長にして已に酋族の首となりなば、其子孫らにものがたるに何等の事柄を以てする歟。想ふに己が
經驗なしたる艱難辛苦の事情はさらなり、其武功などを語りつべし。而して是等の物語は其人親しく經驗なし若しくは親
しく見聞せる眞實の事蹟に相違なけれど、子孫が之れを傳聞してまた其子孫に語るに及びて、或ひは記憶の誤謬より或ひ
は附會に原因して、竟には眞實の髓を亡ひ、咄々竒恠の物語を長く口碑に傳へ存じて、鬼神史、神代記の基を拓く、是れ
世上の通則にしてまた恠むに足らずと雖も、事のこゝに到れるには別に原因のなきを得むや。今こゝろみに之れを思ふに、
其原因となりたるもの凡そ三條ありきと思はる。譬へば酋族次第に榮えて勢ひ強大になるに至れば、人の心のおのづから
傲りて、些々たる事をも巨大にいひなし、他の酋族に誇るものなり。かゝれば祖先の履歴の如きは、故意に附會の談を加
へていと大業にいひなすべし。是れ第一の原因なり。又人間はうまれながらに竒異を好むに切なるものなり。斯かれば別
に其要なくとも、假作の談話をつくりまうけて、史傳を誤ることあるべし。是れ第二の原因なり。而して國歩やうやく進
みて稍々文明の世界となりなば、其國君といはるゝやからは下賤の疋夫の成りあがりが我が大祖なりといはるゝをば快か
らぬことに思ひて、附會の説をつくりまうけて太祖の事蹟を粧はむとす。況んや是等の時代に於ては敬信の念深かるから
、故意に物語を假作せずとも自然に祖先を神といひなし、天孫なりきと思ふべきをや。是れなむ諸國に信じがたき神代史
などいふものある第三條の原因なりかし。斯かれば上古のミソロヂイ即ち鬼神誌といへるものは所謂竒異譚の濫觴にて、
其傳おほくは假作にいで若しくは訛傳になりたること元より疑ひなきに似たり。さはあれ所謂神代史(鬼神誌)はもとこ
れ眞實の物語にして決して遊戯の作にあらねば、後の所謂苛異譚とは其質ほとほと同じうして其用はまたいたく異なり。
蓋し謬信傳訛の久しき、後世の人其傳記の妄誕なるをば恠まざるなり。こゝをもて後の世の人此種の書を尊み信じて、曾
て小説視するものなきまゝ、恬然正史の巻はじめにいとうやうやしく之れをかゝげて、國家の権輿を穿鑿する好材料とな
すことゝなりけり。或ひは神代史を解釋して太古の竒異譚といふものあれども、こはまた甚だしき
小説は假作物語の一種にして、所謂異譚の變體なり。竒異譚とは何ぞや。英國にてローマンスと名づくるものなり。
ローマンスは趣向を荒唐無稽の事物に取りて、竒恠百出もて篇をなし、尋常世界に見はれたる事物の道理に矛楯する
を敢て顧みざるものにぞある。小説即ちノベルに至りては之れと異なり、世の人情と風俗をば冩すを以て主腦となし、
平常世間にあるべきやうなる事柄をもて材料として而して趣向を設くるものなり。こは只概略の辯なるから、尚ほ解し
がたき由もあらめど、其詳細なる本義の如きは、暫く之を下囘に讓りて、まづ變遷の次第を説くべし。其倩々惟みるに、
小説、野乘の行はるゝは其源遠く?焉たる上古の時代にありといふべし。其然る所以を知らまくせば、試みに社會の淵源
に溯りて其状態を察せざる可らず。上古の社會の状態はいかにといふに、東西人おなじからず南北地異なるにも係らず、
一個の家長を尊崇して之れを酋族の長となすこと人間社會の通則なり。かゝれば戰鬪いと烈しく優勝劣敗急激なる未開野
蠻の上世にありては、猛然荒蕪の間に起りて俄かに一家の主長となり忽ち一族の首となるもの、或ひは少なしとなさゞる
なり。かゝる性質の家長にして已に酋族の首となりなば、其子孫らにものがたるに何等の事柄を以てする歟。想ふに己が
經驗なしたる艱難辛苦の事情はさらなり、其武功などを語りつべし。而して是等の物語は其人親しく經驗なし若しくは親
しく見聞せる眞實の事蹟に相違なけれど、子孫が之れを傳聞してまた其子孫に語るに及びて、或ひは記憶の誤謬より或ひ
は附會に原因して、竟には眞實の髓を亡ひ、咄々竒恠の物語を長く口碑に傳へ存じて、鬼神史、神代記の基を拓く、是れ
世上の通則にしてまた恠むに足らずと雖も、事のこゝに到れるには別に原因のなきを得むや。今こゝろみに之れを思ふに、
其原因となりたるもの凡そ三條ありきと思はる。譬へば酋族次第に榮えて勢ひ強大になるに至れば、人の心のおのづから
傲りて、些々たる事をも巨大にいひなし、他の酋族に誇るものなり。かゝれば祖先の履歴の如きは、故意に附會の談を加
へていと大業にいひなすべし。是れ第一の原因なり。又人間はうまれながらに竒異を好むに切なるものなり。斯かれば別
に其要なくとも、假作の談話をつくりまうけて、史傳を誤ることあるべし。是れ第二の原因なり。而して國歩やうやく進
みて稍々文明の世界となりなば、其國君といはるゝやからは下賤の疋夫の成りあがりが我が大祖なりといはるゝをば快か
らぬことに思ひて、附會の説をつくりまうけて太祖の事蹟を粧はむとす。況んや是等の時代に於ては敬信の念深かるから
、故意に物語を假作せずとも自然に祖先を神といひなし、天孫なりきと思ふべきをや。是れなむ諸國に信じがたき神代史
などいふものある第三條の原因なりかし。斯かれば上古のミソロヂイ即ち鬼神誌といへるものは所謂竒異譚の濫觴にて、
其傳おほくは假作にいで若しくは訛傳になりたること元より疑ひなきに似たり。さはあれ所謂神代史(鬼神誌)はもとこ
れ眞實の物語にして決して遊戯の作にあらねば、後の所謂苛異譚とは其質ほとほと同じうして其用はまたいたく異なり。
蓋し謬信傳訛の久しき、後世の人其傳記の妄誕なるをば恠まざるなり。こゝをもて後の世の人此種の書を尊み信じて、曾
て小説視するものなきまゝ、恬然正史の巻はじめにいとうやうやしく之れをかゝげて、國家の権輿を穿鑿する好材料とな
すことゝなりけり。或ひは神代史を解釋して太古の竒異譚といふものあれども、こはまた甚だしき
小説は假作物語の一種にして、所謂異譚の變體なり。竒異譚とは何ぞや。英國にてローマンスと名づくるものなり。
ローマンスは趣向を荒唐無稽の事物に取りて、竒恠百出もて篇をなし、尋常世界に見はれたる事物の道理に矛楯する
を敢て顧みざるものにぞある。小説即ちノベルに至りては之れと異なり、世の人情と風俗をば冩すを以て主腦となし、
平常世間にあるべきやうなる事柄をもて材料として而して趣向を設くるものなり。こは只概略の辯なるから、尚ほ解し
がたき由もあらめど、其詳細なる本義の如きは、暫く之を下囘に讓りて、まづ變遷の次第を説くべし。其倩々惟みるに、
小説、野乘の行はるゝは其源遠く?焉たる上古の時代にありといふべし。其然る所以を知らまくせば、試みに社會の淵源
に溯りて其状態を察せざる可らず。上古の社會の状態はいかにといふに、東西人おなじからず南北地異なるにも係らず、
一個の家長を尊崇して之れを酋族の長となすこと人間社會の通則なり。かゝれば戰鬪いと烈しく優勝劣敗急激なる未開野
蠻の上世にありては、猛然荒蕪の間に起りて俄かに一家の主長となり忽ち一族の首となるもの、或ひは少なしとなさゞる
なり。かゝる性質の家長にして已に酋族の首となりなば、其子孫らにものがたるに何等の事柄を以てする歟。想ふに己が
經驗なしたる艱難辛苦の事情はさらなり、其武功などを語りつべし。而して是等の物語は其人親しく經驗なし若しくは親
しく見聞せる眞實の事蹟に相違なけれど、子孫が之れを傳聞してまた其子孫に語るに及びて、或ひは記憶の誤謬より或ひ
は附會に原因して、竟には眞實の髓を亡ひ、咄々竒恠の物語を長く口碑に傳へ存じて、鬼神史、神代記の基を拓く、是れ
世上の通則にしてまた恠むに足らずと雖も、事のこゝに到れるには別に原因のなきを得むや。今こゝろみに之れを思ふに、
其原因となりたるもの凡そ三條ありきと思はる。譬へば酋族次第に榮えて勢ひ強大になるに至れば、人の心のおのづから
傲りて、些々たる事をも巨大にいひなし、他の酋族に誇るものなり。かゝれば祖先の履歴の如きは、故意に附會の談を加
へていと大業にいひなすべし。是れ第一の原因なり。又人間はうまれながらに竒異を好むに切なるものなり。斯かれば別
に其要なくとも、假作の談話をつくりまうけて、史傳を誤ることあるべし。是れ第二の原因なり。而して國歩やうやく進
みて稍々文明の世界となりなば、其國君といはるゝやからは下賤の疋夫の成りあがりが我が大祖なりといはるゝをば快か
らぬことに思ひて、附會の説をつくりまうけて太祖の事蹟を粧はむとす。況んや是等の時代に於ては敬信の念深かるから
、故意に物語を假作せずとも自然に祖先を神といひなし、天孫なりきと思ふべきをや。是れなむ諸國に信じがたき神代史
などいふものある第三條の原因なりかし。斯かれば上古のミソロヂイ即ち鬼神誌といへるものは所謂竒異譚の濫觴にて、
其傳おほくは假作にいで若しくは訛傳になりたること元より疑ひなきに似たり。さはあれ所謂神代史(鬼神誌)はもとこ
れ眞實の物語にして決して遊戯の作にあらねば、後の所謂苛異譚とは其質ほとほと同じうして其用はまたいたく異なり。
蓋し謬信傳訛の久しき、後世の人其傳記の妄誕なるをば恠まざるなり。こゝをもて後の世の人此種の書を尊み信じて、曾
て小説視するものなきまゝ、恬然正史の巻はじめにいとうやうやしく之れをかゝげて、國家の権輿を穿鑿する好材料とな
すことゝなりけり。或ひは神代史を解釋して太古の竒異譚といふものあれども、こはまた甚だしき
小説は假作物語の一種にして、所謂異譚の變體なり。竒異譚とは何ぞや。英國にてローマンスと名づくるものなり。
ローマンスは趣向を荒唐無稽の事物に取りて、竒恠百出もて篇をなし、尋常世界に見はれたる事物の道理に矛楯する
を敢て顧みざるものにぞある。小説即ちノベルに至りては之れと異なり、世の人情と風俗をば冩すを以て主腦となし、
平常世間にあるべきやうなる事柄をもて材料として而して趣向を設くるものなり。こは只概略の辯なるから、尚ほ解し
がたき由もあらめど、其詳細なる本義の如きは、暫く之を下囘に讓りて、まづ變遷の次第を説くべし。其倩々惟みるに、
小説、野乘の行はるゝは其源遠く?焉たる上古の時代にありといふべし。其然る所以を知らまくせば、試みに社會の淵源
に溯りて其状態を察せざる可らず。上古の社會の状態はいかにといふに、東西人おなじからず南北地異なるにも係らず、
一個の家長を尊崇して之れを酋族の長となすこと人間社會の通則なり。かゝれば戰鬪いと烈しく優勝劣敗急激なる未開野
蠻の上世にありては、猛然荒蕪の間に起りて俄かに一家の主長となり忽ち一族の首となるもの、或ひは少なしとなさゞる
なり。かゝる性質の家長にして已に酋族の首となりなば、其子孫らにものがたるに何等の事柄を以てする歟。想ふに己が
經驗なしたる艱難辛苦の事情はさらなり、其武功などを語りつべし。而して是等の物語は其人親しく經驗なし若しくは親
しく見聞せる眞實の事蹟に相違なけれど、子孫が之れを傳聞してまた其子孫に語るに及びて、或ひは記憶の誤謬より或ひ
は附會に原因して、竟には眞實の髓を亡ひ、咄々竒恠の物語を長く口碑に傳へ存じて、鬼神史、神代記の基を拓く、是れ
世上の通則にしてまた恠むに足らずと雖も、事のこゝに到れるには別に原因のなきを得むや。今こゝろみに之れを思ふに、
其原因となりたるもの凡そ三條ありきと思はる。譬へば酋族次第に榮えて勢ひ強大になるに至れば、人の心のおのづから
傲りて、些々たる事をも巨大にいひなし、他の酋族に誇るものなり。かゝれば祖先の履歴の如きは、故意に附會の談を加
へていと大業にいひなすべし。是れ第一の原因なり。又人間はうまれながらに竒異を好むに切なるものなり。斯かれば別
に其要なくとも、假作の談話をつくりまうけて、史傳を誤ることあるべし。是れ第二の原因なり。而して國歩やうやく進
みて稍々文明の世界となりなば、其國君といはるゝやからは下賤の疋夫の成りあがりが我が大祖なりといはるゝをば快か
らぬことに思ひて、附會の説をつくりまうけて太祖の事蹟を粧はむとす。況んや是等の時代に於ては敬信の念深かるから
、故意に物語を假作せずとも自然に祖先を神といひなし、天孫なりきと思ふべきをや。是れなむ諸國に信じがたき神代史
などいふものある第三條の原因なりかし。斯かれば上古のミソロヂイ即ち鬼神誌といへるものは所謂竒異譚の濫觴にて、
其傳おほくは假作にいで若しくは訛傳になりたること元より疑ひなきに似たり。さはあれ所謂神代史(鬼神誌)はもとこ
れ眞實の物語にして決して遊戯の作にあらねば、後の所謂苛異譚とは其質ほとほと同じうして其用はまたいたく異なり。
蓋し謬信傳訛の久しき、後世の人其傳記の妄誕なるをば恠まざるなり。こゝをもて後の世の人此種の書を尊み信じて、曾
て小説視するものなきまゝ、恬然正史の巻はじめにいとうやうやしく之れをかゝげて、國家の権輿を穿鑿する好材料とな
すことゝなりけり。或ひは神代史を解釋して太古の竒異譚といふものあれども、こはまた甚だしき
小説は假作物語の一種にして、所謂異譚の變體なり。竒異譚とは何ぞや。英國にてローマンスと名づくるものなり。
ローマンスは趣向を荒唐無稽の事物に取りて、竒恠百出もて篇をなし、尋常世界に見はれたる事物の道理に矛楯する
を敢て顧みざるものにぞある。小説即ちノベルに至りては之れと異なり、世の人情と風俗をば冩すを以て主腦となし、
平常世間にあるべきやうなる事柄をもて材料として而して趣向を設くるものなり。こは只概略の辯なるから、尚ほ解し
がたき由もあらめど、其詳細なる本義の如きは、暫く之を下囘に讓りて、まづ變遷の次第を説くべし。其倩々惟みるに、
小説、野乘の行はるゝは其源遠く?焉たる上古の時代にありといふべし。其然る所以を知らまくせば、試みに社會の淵源
に溯りて其状態を察せざる可らず。上古の社會の状態はいかにといふに、東西人おなじからず南北地異なるにも係らず、
一個の家長を尊崇して之れを酋族の長となすこと人間社會の通則なり。かゝれば戰鬪いと烈しく優勝劣敗急激なる未開野
蠻の上世にありては、猛然荒蕪の間に起りて俄かに一家の主長となり忽ち一族の首となるもの、或ひは少なしとなさゞる
なり。かゝる性質の家長にして已に酋族の首となりなば、其子孫らにものがたるに何等の事柄を以てする歟。想ふに己が
經驗なしたる艱難辛苦の事情はさらなり、其武功などを語りつべし。而して是等の物語は其人親しく經驗なし若しくは親
しく見聞せる眞實の事蹟に相違なけれど、子孫が之れを傳聞してまた其子孫に語るに及びて、或ひは記憶の誤謬より或ひ
は附會に原因して、竟には眞實の髓を亡ひ、咄々竒恠の物語を長く口碑に傳へ存じて、鬼神史、神代記の基を拓く、是れ
世上の通則にしてまた恠むに足らずと雖も、事のこゝに到れるには別に原因のなきを得むや。今こゝろみに之れを思ふに、
其原因となりたるもの凡そ三條ありきと思はる。譬へば酋族次第に榮えて勢ひ強大になるに至れば、人の心のおのづから
傲りて、些々たる事をも巨大にいひなし、他の酋族に誇るものなり。かゝれば祖先の履歴の如きは、故意に附會の談を加
へていと大業にいひなすべし。是れ第一の原因なり。又人間はうまれながらに竒異を好むに切なるものなり。斯かれば別
に其要なくとも、假作の談話をつくりまうけて、史傳を誤ることあるべし。是れ第二の原因なり。而して國歩やうやく進
みて稍々文明の世界となりなば、其國君といはるゝやからは下賤の疋夫の成りあがりが我が大祖なりといはるゝをば快か
らぬことに思ひて、附會の説をつくりまうけて太祖の事蹟を粧はむとす。況んや是等の時代に於ては敬信の念深かるから
、故意に物語を假作せずとも自然に祖先を神といひなし、天孫なりきと思ふべきをや。是れなむ諸國に信じがたき神代史
などいふものある第三條の原因なりかし。斯かれば上古のミソロヂイ即ち鬼神誌といへるものは所謂竒異譚の濫觴にて、
其傳おほくは假作にいで若しくは訛傳になりたること元より疑ひなきに似たり。さはあれ所謂神代史(鬼神誌)はもとこ
れ眞實の物語にして決して遊戯の作にあらねば、後の所謂苛異譚とは其質ほとほと同じうして其用はまたいたく異なり。
蓋し謬信傳訛の久しき、後世の人其傳記の妄誕なるをば恠まざるなり。こゝをもて後の世の人此種の書を尊み信じて、曾
て小説視するものなきまゝ、恬然正史の巻はじめにいとうやうやしく之れをかゝげて、國家の権輿を穿鑿する好材料とな
すことゝなりけり。或ひは神代史を解釋して太古の竒異譚といふものあれども、こはまた甚だしき
小説は假作物語の一種にして、所謂異譚の變體なり。竒異譚とは何ぞや。英國にてローマンスと名づくるものなり。
ローマンスは趣向を荒唐無稽の事物に取りて、竒恠百出もて篇をなし、尋常世界に見はれたる事物の道理に矛楯する
を敢て顧みざるものにぞある。小説即ちノベルに至りては之れと異なり、世の人情と風俗をば冩すを以て主腦となし、
平常世間にあるべきやうなる事柄をもて材料として而して趣向を設くるものなり。こは只概略の辯なるから、尚ほ解し
がたき由もあらめど、其詳細なる本義の如きは、暫く之を下囘に讓りて、まづ變遷の次第を説くべし。其倩々惟みるに、
小説、野乘の行はるゝは其源遠く?焉たる上古の時代にありといふべし。其然る所以を知らまくせば、試みに社會の淵源
に溯りて其状態を察せざる可らず。上古の社會の状態はいかにといふに、東西人おなじからず南北地異なるにも係らず、
一個の家長を尊崇して之れを酋族の長となすこと人間社會の通則なり。かゝれば戰鬪いと烈しく優勝劣敗急激なる未開野
蠻の上世にありては、猛然荒蕪の間に起りて俄かに一家の主長となり忽ち一族の首となるもの、或ひは少なしとなさゞる
なり。かゝる性質の家長にして已に酋族の首となりなば、其子孫らにものがたるに何等の事柄を以てする歟。想ふに己が
經驗なしたる艱難辛苦の事情はさらなり、其武功などを語りつべし。而して是等の物語は其人親しく經驗なし若しくは親
しく見聞せる眞實の事蹟に相違なけれど、子孫が之れを傳聞してまた其子孫に語るに及びて、或ひは記憶の誤謬より或ひ
は附會に原因して、竟には眞實の髓を亡ひ、咄々竒恠の物語を長く口碑に傳へ存じて、鬼神史、神代記の基を拓く、是れ
世上の通則にしてまた恠むに足らずと雖も、事のこゝに到れるには別に原因のなきを得むや。今こゝろみに之れを思ふに、
其原因となりたるもの凡そ三條ありきと思はる。譬へば酋族次第に榮えて勢ひ強大になるに至れば、人の心のおのづから
傲りて、些々たる事をも巨大にいひなし、他の酋族に誇るものなり。かゝれば祖先の履歴の如きは、故意に附會の談を加
へていと大業にいひなすべし。是れ第一の原因なり。又人間はうまれながらに竒異を好むに切なるものなり。斯かれば別
に其要なくとも、假作の談話をつくりまうけて、史傳を誤ることあるべし。是れ第二の原因なり。而して國歩やうやく進
みて稍々文明の世界となりなば、其國君といはるゝやからは下賤の疋夫の成りあがりが我が大祖なりといはるゝをば快か
らぬことに思ひて、附會の説をつくりまうけて太祖の事蹟を粧はむとす。況んや是等の時代に於ては敬信の念深かるから
、故意に物語を假作せずとも自然に祖先を神といひなし、天孫なりきと思ふべきをや。是れなむ諸國に信じがたき神代史
などいふものある第三條の原因なりかし。斯かれば上古のミソロヂイ即ち鬼神誌といへるものは所謂竒異譚の濫觴にて、
其傳おほくは假作にいで若しくは訛傳になりたること元より疑ひなきに似たり。さはあれ所謂神代史(鬼神誌)はもとこ
れ眞實の物語にして決して遊戯の作にあらねば、後の所謂苛異譚とは其質ほとほと同じうして其用はまたいたく異なり。
蓋し謬信傳訛の久しき、後世の人其傳記の妄誕なるをば恠まざるなり。こゝをもて後の世の人此種の書を尊み信じて、曾
て小説視するものなきまゝ、恬然正史の巻はじめにいとうやうやしく之れをかゝげて、國家の権輿を穿鑿する好材料とな
すことゝなりけり。或ひは神代史を解釋して太古の竒異譚といふものあれども、こはまた甚だしき
小説は假作物語の一種にして、所謂異譚の變體なり。竒異譚とは何ぞや。英國にてローマンスと名づくるものなり。
ローマンスは趣向を荒唐無稽の事物に取りて、竒恠百出もて篇をなし、尋常世界に見はれたる事物の道理に矛楯する
を敢て顧みざるものにぞある。小説即ちノベルに至りては之れと異なり、世の人情と風俗をば冩すを以て主腦となし、
平常世間にあるべきやうなる事柄をもて材料として而して趣向を設くるものなり。こは只概略の辯なるから、尚ほ解し
がたき由もあらめど、其詳細なる本義の如きは、暫く之を下囘に讓りて、まづ變遷の次第を説くべし。其倩々惟みるに、
小説、野乘の行はるゝは其源遠く?焉たる上古の時代にありといふべし。其然る所以を知らまくせば、試みに社會の淵源
に溯りて其状態を察せざる可らず。上古の社會の状態はいかにといふに、東西人おなじからず南北地異なるにも係らず、
一個の家長を尊崇して之れを酋族の長となすこと人間社會の通則なり。かゝれば戰鬪いと烈しく優勝劣敗急激なる未開野
蠻の上世にありては、猛然荒蕪の間に起りて俄かに一家の主長となり忽ち一族の首となるもの、或ひは少なしとなさゞる
なり。かゝる性質の家長にして已に酋族の首となりなば、其子孫らにものがたるに何等の事柄を以てする歟。想ふに己が
經驗なしたる艱難辛苦の事情はさらなり、其武功などを語りつべし。而して是等の物語は其人親しく經驗なし若しくは親
しく見聞せる眞實の事蹟に相違なけれど、子孫が之れを傳聞してまた其子孫に語るに及びて、或ひは記憶の誤謬より或ひ
は附會に原因して、竟には眞實の髓を亡ひ、咄々竒恠の物語を長く口碑に傳へ存じて、鬼神史、神代記の基を拓く、是れ
世上の通則にしてまた恠むに足らずと雖も、事のこゝに到れるには別に原因のなきを得むや。今こゝろみに之れを思ふに、
其原因となりたるもの凡そ三條ありきと思はる。譬へば酋族次第に榮えて勢ひ強大になるに至れば、人の心のおのづから
傲りて、些々たる事をも巨大にいひなし、他の酋族に誇るものなり。かゝれば祖先の履歴の如きは、故意に附會の談を加
へていと大業にいひなすべし。是れ第一の原因なり。又人間はうまれながらに竒異を好むに切なるものなり。斯かれば別
に其要なくとも、假作の談話をつくりまうけて、史傳を誤ることあるべし。是れ第二の原因なり。而して國歩やうやく進
みて稍々文明の世界となりなば、其國君といはるゝやからは下賤の疋夫の成りあがりが我が大祖なりといはるゝをば快か
らぬことに思ひて、附會の説をつくりまうけて太祖の事蹟を粧はむとす。況んや是等の時代に於ては敬信の念深かるから
、故意に物語を假作せずとも自然に祖先を神といひなし、天孫なりきと思ふべきをや。是れなむ諸國に信じがたき神代史
などいふものある第三條の原因なりかし。斯かれば上古のミソロヂイ即ち鬼神誌といへるものは所謂竒異譚の濫觴にて、
其傳おほくは假作にいで若しくは訛傳になりたること元より疑ひなきに似たり。さはあれ所謂神代史(鬼神誌)はもとこ
れ眞實の物語にして決して遊戯の作にあらねば、後の所謂苛異譚とは其質ほとほと同じうして其用はまたいたく異なり。
蓋し謬信傳訛の久しき、後世の人其傳記の妄誕なるをば恠まざるなり。こゝをもて後の世の人此種の書を尊み信じて、曾
て小説視するものなきまゝ、恬然正史の巻はじめにいとうやうやしく之れをかゝげて、國家の権輿を穿鑿する好材料とな
すことゝなりけり。或ひは神代史を解釋して太古の竒異譚といふものあれども、こはまた甚だしき
小説は假作物語の一種にして、所謂異譚の變體なり。竒異譚とは何ぞや。英國にてローマンスと名づくるものなり。
ローマンスは趣向を荒唐無稽の事物に取りて、竒恠百出もて篇をなし、尋常世界に見はれたる事物の道理に矛楯する
を敢て顧みざるものにぞある。小説即ちノベルに至りては之れと異なり、世の人情と風俗をば冩すを以て主腦となし、
平常世間にあるべきやうなる事柄をもて材料として而して趣向を設くるものなり。こは只概略の辯なるから、尚ほ解し
がたき由もあらめど、其詳細なる本義の如きは、暫く之を下囘に讓りて、まづ變遷の次第を説くべし。其倩々惟みるに、
小説、野乘の行はるゝは其源遠く?焉たる上古の時代にありといふべし。其然る所以を知らまくせば、試みに社會の淵源
に溯りて其状態を察せざる可らず。上古の社會の状態はいかにといふに、東西人おなじからず南北地異なるにも係らず、
一個の家長を尊崇して之れを酋族の長となすこと人間社會の通則なり。かゝれば戰鬪いと烈しく優勝劣敗急激なる未開野
蠻の上世にありては、猛然荒蕪の間に起りて俄かに一家の主長となり忽ち一族の首となるもの、或ひは少なしとなさゞる
なり。かゝる性質の家長にして已に酋族の首となりなば、其子孫らにものがたるに何等の事柄を以てする歟。想ふに己が
經驗なしたる艱難辛苦の事情はさらなり、其武功などを語りつべし。而して是等の物語は其人親しく經驗なし若しくは親
しく見聞せる眞實の事蹟に相違なけれど、子孫が之れを傳聞してまた其子孫に語るに及びて、或ひは記憶の誤謬より或ひ
は附會に原因して、竟には眞實の髓を亡ひ、咄々竒恠の物語を長く口碑に傳へ存じて、鬼神史、神代記の基を拓く、是れ
世上の通則にしてまた恠むに足らずと雖も、事のこゝに到れるには別に原因のなきを得むや。今こゝろみに之れを思ふに、
其原因となりたるもの凡そ三條ありきと思はる。譬へば酋族次第に榮えて勢ひ強大になるに至れば、人の心のおのづから
傲りて、些々たる事をも巨大にいひなし、他の酋族に誇るものなり。かゝれば祖先の履歴の如きは、故意に附會の談を加
へていと大業にいひなすべし。是れ第一の原因なり。又人間はうまれながらに竒異を好むに切なるものなり。斯かれば別
に其要なくとも、假作の談話をつくりまうけて、史傳を誤ることあるべし。是れ第二の原因なり。而して國歩やうやく進
みて稍々文明の世界となりなば、其國君といはるゝやからは下賤の疋夫の成りあがりが我が大祖なりといはるゝをば快か
らぬことに思ひて、附會の説をつくりまうけて太祖の事蹟を粧はむとす。況んや是等の時代に於ては敬信の念深かるから
、故意に物語を假作せずとも自然に祖先を神といひなし、天孫なりきと思ふべきをや。是れなむ諸國に信じがたき神代史
などいふものある第三條の原因なりかし。斯かれば上古のミソロヂイ即ち鬼神誌といへるものは所謂竒異譚の濫觴にて、
其傳おほくは假作にいで若しくは訛傳になりたること元より疑ひなきに似たり。さはあれ所謂神代史(鬼神誌)はもとこ
れ眞實の物語にして決して遊戯の作にあらねば、後の所謂苛異譚とは其質ほとほと同じうして其用はまたいたく異なり。
蓋し謬信傳訛の久しき、後世の人其傳記の妄誕なるをば恠まざるなり。こゝをもて後の世の人此種の書を尊み信じて、曾
て小説視するものなきまゝ、恬然正史の巻はじめにいとうやうやしく之れをかゝげて、國家の権輿を穿鑿する好材料とな
すことゝなりけり。或ひは神代史を解釋して太古の竒異譚といふものあれども、こはまた甚だしき
734 :
:2001/07/16(月) 22:07
暗殺完了・・・
(´□`)
736 :
名無しさん:2001/07/16(月) 22:17
アホ委員長も無駄な努力をするねぇ・・・・・
こんな事やってる暇があるなら、働いたら? (ワラワラワラ
びっくりしたーーー!!!!
sage失敗したのかと思ったよ!!
委員長がレスをつけまくり。
雑スレ繁栄・・・(´ー`)
GOGO
もうすぐ逝く
まわせまわせ
眠いですが
744 :
名無しさん:2001/07/16(月) 22:22
33歳で、童貞で、引き籠もりで、アニメヲタクで、わがままで、
会話が出来なくて、友達もいなくて、ネットで荒らしばかりやって、
自分が偉いと思っていて、都合が悪い質問になると論点すりかえて逃げて、
イタイ所突かれるとHN変えてレスして煽って、雑談スレを常に監視していて、
エロネタしか振れなくて、会話出来ないからって固定ハンドルを廃止しろって言って、
受け入れられ無いと荒らして・・・・。
これがアホ委員長です。 (ワラワラワラ
それからさ・・・半角スペースでsageて昨日、莉子にしつこくエロネタ振ってたのややっぱりおまえかぁ。
悪い、上げてたよ 委員長の努力も灰燼に帰したね。 (ワラワラワラ
むぅ、
委員長だったのかー?
747 :
(‘▽‘):2001/07/16(月) 22:26
先生!ドキュソってなんですか???
委員長のことです。
749 :
(‘▽‘):2001/07/16(月) 22:30
分かりました先生!
ありゃ・・・(w
>>744 じゃなきゃ、昨日あの時荒らされなかった理由は他には無いよな。 (ワラ
>>752 おれは委員長だと思うよ。前もさ、マ*コ真っ黒だとか言ってコピペしてたしょ?
あの粘着さは委員長そのものだとおもうよ。
それで俺はここに提案する。
粘着な荒らしやエロネタを振る奴を、「委員長」と呼ぶ事を。
委員長とは役職ではなく、そう言う人間を指す言葉に。
755 :
分析!!(38度。。。):2001/07/16(月) 22:48
うーん。。。頭痛い。。。
あげちょろ落ち。。。
ぷち。。。
莉子マンコ黒いの?
761 :
莉子 ★:2001/07/16(月) 23:09
下品なやつめ・・・
762 :
キャッ朋ちゃん2世:2001/07/16(月) 23:10
またー莉子がいる。
下品はいやね。
764 :
莉子 ★:2001/07/16(月) 23:10
またーキャットがいる。
765 :
デイビット:2001/07/16(月) 23:36
ハッキリいってパッとしない・・
僕イライラしてるよ、実はね・・
そうなのか。
767 :
デイビット:2001/07/16(月) 23:37
いいか・・・
もうすぐFF10集中生活になるし・・
いや、なんとなくわかったけど
769 :
デイビット:2001/07/16(月) 23:38
>>766 最近鈍いよ・・
ひとつのことに気をとられてるでしょ・・
俺の話ならここ以外でしましょう・・・
鈍かったか・・・
771 :
デイビット:2001/07/16(月) 23:39
昔はこんなじゃなかったな・・・
って僕ニセナドとカブってる・・
772 :
デイビット:2001/07/16(月) 23:41
板ではあまりこういう話はしたくないので。
できれば、他の場所でお願いします。
774 :
デイビット:2001/07/16(月) 23:42
ハァ・・・?
>>772 そんなこともないと思うが。
ただ、最近は書き込むことが思いうかばなかったりはしてる
776 :
デイビット:2001/07/16(月) 23:42
マジレスか・・・
だめだね・・・
何か言えば、そういうレスですか・・・・
778 :
デイビット:2001/07/16(月) 23:44
イライラするな・・・
僕はキャラなんだよ・・
画面の向こうを考えないでくれない・・?
MMSは無視ですか。
そういう態度が余計にマジレスになることがわかりませんかね・。
何かあるのかと心配するでしょ。
こっちが3分MMSでレスが遅れても怒るくせによ(ワラ
mms僕、好きじゃないんだよねあまり・・
オフラインで二人きりなのに
何でオンラインまで二人じゃないと駄目なんだよ・・
だんだん最初の話と違ってきてるし・・・
>>780 だからそういう時は一言言えば済むことだよ。
君だって自分が使いたいときはMMS使うでしょ。
誰もそんなことは今言ってないんだよ>何でオンラインまで二人じゃないと駄目なんだよ・・
僕は最初から板が好きだといってたはずだけど・・・
784 :
↑:2001/07/16(月) 23:51
まさにDQNバカップルだな。
莉子だと思ってるわけか、やっぱり・・・
それならそれでいいっすよ。
でも無反応だと、あれ?と思いますよ、そりゃ。
そして板みるとイライラしてると言ってるし。
何かあったのかと必然的に思いますわ、そりゃね。
で、心配すれば、マジレスするなというし、
んなの、そこまで分別して認識できませんわ。
完全に莉子だと思わない。
あくまでもネタだというならそれでもいいよ。
じゃ、君もいらついてるだの、鈍いだの、個人的な事を言うなよ。
混ざってるから俺だってそんなに器用じゃないんだよ。
俺からは以上です。
俺DQNだな、ほんと。
僕が莉子だという根拠は・・・?
気をつけたほうがいいよ、廃墟さん・・・
788 :
あげ:2001/07/17(火) 00:01
あげ
789 :
横やりする人 :2001/07/17(火) 00:03
790 :
デイビット@莉子 ★:2001/07/17(火) 00:04
よっこらしょっと。
マジで気をつけたほうがいいよ、廃墟っち。
791 :
莉子 ★:2001/07/17(火) 00:04
あー、暇だなあ・・・・
そうですね。
ごめんなさいね。
793 :
横やりする人:2001/07/17(火) 00:05
>>786 まだまだDQNと言うには早いよ (ワラ
794 :
莉子 ★:2001/07/17(火) 00:06
795 :
横やりする人:2001/07/17(火) 00:07
仕方がない 委員長に立候補するかな? ワラ
莉子 黒いの? ワラ
796 :
横やりする人:2001/07/17(火) 00:07
失礼しました ワラ
797 :
莉子 ★:2001/07/17(火) 00:09
委員長・・
莉子こんばんわ。
いいんちょーって何したら良いの?
800 :
莉子 ★:2001/07/17(火) 00:14
無知こんばんは。
話を上手く纏めるの?
802 :
莉子 ★:2001/07/17(火) 00:15
>>799 人と会話しないでワガママいって
それが通らなかったらコピペ荒らしすればいいの。
そっかー。我侭かー。
レスポールカスタム欲しー!!!ってところかな。
そういや、大学の授業で、
少年法について(英語で)発表することになったんだよね。
それで覗いてみたわけだ。
805 :
莉子 ★:2001/07/17(火) 00:19
英語でかいー
sageてみよう。
英語大きい?(笑)
一日違いで旧少年法が適用された判例とか
情報を集めようと思って。
コピペ探してこなきゃ…
いいんちょーの仕事だもん。
809 :
:2001/07/17(火) 00:23
無知発表がんばって!
無知発表がんばって!
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| うざいよね〜
\ _______
V
∧_∧∧_∧ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
( ・∀・)´∀` )< だよね〜、誰か頃してくれないかな?
( ) ) \_______________ ∧ ,∧
| | || | | (・д・,,)ペッ!!
(__)_)__(_) ∧ ∧? 、'(_@
(´⊇`)
()
|| |
∧ ∧ムカムカ (((_)_)
(#゚Д゚) ̄ ̄ `〜 ∧ ∧
U U ̄ ̄UU ( ) イッテヨシ!!
へ | ヽ
/  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| ったく、サルみてーにコピペ乱立させてんじゃねーよゴルァ!!
\________________________
頑張るよ!
情報はここで集めて翻訳だ!
コピペの仕事も終わったし、そろそろ寝ようかな。
>>811 只でさえスレが大きくなってるんだ。止めとけ・・・。
つまらん・・・。
>>814 あ、スマソ。
もう寝ます。
御休み。
みんな元気で。
体に気をつけて。
じゃ。
817 :
名無し:2001/07/17(火) 00:40
あげとこ。
というか全然内容見れないね。
出かけるつもりが、ちょっと引っかかり。
まだまだ、引っかかり。
まぁ、良いか。奴には待っていてもらおう。
さて、着替えもしたし出かけよう。
こんな時間に出かける俺はドキュソかな・・(汗
822 :
莉子 ★:2001/07/17(火) 01:33
(´□`)モチベーションヒクー
エステ逝きたい
癒されたいなあ
つーかヲイヲイ!!!
825 :
名無し:2001/07/17(火) 01:37
はいはい?
あ・・・(w
ありがと、ノッてくれて・・・(w
なんでもないの
827 :
名無し:2001/07/17(火) 01:38
頭の悪い委員長はついに体も悪くしたか。
だから早く入院しろって忠告してやったのに。
そういえば、委員長いないね。
今日はどうしたんでしょうか。
829 :
名無し:2001/07/17(火) 01:39
莉子が下げてるのって珍しくないか?
そういえば何で下げてんだろ(w
あんまメアド欄いじりたくないからそのまんまにしてた
831 :
名無し:2001/07/17(火) 01:40
連日の雑スレ常駐で体調不良じゃねーか?
虚弱児と見た。
ママに怒られたとか。
833 :
名無し:2001/07/17(火) 01:42
検尿で必ずタンパク出すやつと見た。
廃墟っちは少年犯罪興味ないのかなあ・・もう・・
835 :
名無し:2001/07/17(火) 01:42
たまには、潜血とかもあったりしたと見た。
>>835 色白のび太君系?
それとも宮崎ツトム君系?
837 :
名無し:2001/07/17(火) 01:43
少年犯罪に興味って?例えばなんだ?
いや、俺廃墟じゃねぇけど。
>>837 いや、議論とかそんな参加しなくなったから
犯罪の話とかもしないし・・・
いや、いいんだけどね。ふと思っただけですー
840 :
七誌:2001/07/17(火) 01:46
乱入!雑談。雑談。
841 :
名無し:2001/07/17(火) 01:46
議論っつってもなー。最近はタイムリーな話題もないしよー。
興味が薄れて当然だとおもわねー?
843 :
名無し:2001/07/17(火) 01:47
リコは意外と寂しがりやだな。
844 :
名無し:2001/07/17(火) 01:47
リコ!
845 :
七誌:2001/07/17(火) 01:48
はなしにいれてくれ。
んなこないよ。犯罪話が好きなだけ。いや、好きというか
興味あるというか。うむ。
847 :
名無し:2001/07/17(火) 01:49
たいした話しはしてねーけどさ。
つうか、俺寝るわ。
あとは頼んだ!
850 :
:2001/07/17(火) 01:50
廃墟に限らずここの固定はみんなそうじゃないの。
だから雑談もこれだけ多いんだしよ。
莉子だって今日はたまたま参加したようなもんだろ。
852 :
:2001/07/17(火) 01:51
知ってるけど。
雑談メインなのは認めるだろ(ワラ
853 :
七誌:2001/07/17(火) 01:51
はなしについていけん。
でも一年以上いると確かにもういつか見たようなネタ多いしな・・
855 :
名無し:2001/07/17(火) 01:52
リコはよく分からん女だなー。
悪い意味にとらんでくれよ。
言い方悪いけどなー。
857 :
七誌:2001/07/17(火) 01:52
850は固定か?おい。
858 :
:2001/07/17(火) 01:53
廃止廃止。
860 :
850だが:2001/07/17(火) 01:53
なんでよ?
>857
861 :
名無し:2001/07/17(火) 01:54
衝撃的な事件が少ないからいいことじゃねぇか?
この板が事件の話題で賑わうのは、ちょっと悲しいことだとおもわんか?
863 :
七誌:2001/07/17(火) 01:54
名前がないからだよ。おい。
>>861 そですね。。
何もネタがないほうが平和でいいんだね。
ネタナシ=雑スレ人増える=委員長キレる
荒れるのは雑スレだけでいいのね(w
865 :
名無し:2001/07/17(火) 01:55
なんでだと言われてモナー。
つき合いないからとしか答えようがないな(w
>リコへ
866 :
:2001/07/17(火) 01:56
>>863 どっちでもいいことかもしれんが、違うので。
>>865 そんならあたしだって
あなたの事、よくわからんわ(w
868 :
名無し:2001/07/17(火) 01:57
リコも一年になるのかよ。なげぇな。
飽きっぽそうに見えて、実は根気あんじゃん(w
869 :
:2001/07/17(火) 01:58
つまりはオフのための板ってことでしょ。
出会いのための少年犯罪板。
870 :
七誌:2001/07/17(火) 01:58
今日、柿田って人から聞いたけど
委員長はキモいらしいぞ。
>>868 雑談がメインだから・・・・(爆
東スレが終わって(自分の中では)気が抜けてたけど
最近ちょっと福田スレが気になるから良かった(?)
872 :
鏡:2001/07/17(火) 02:00
>>864 つーことは、雑スレはネタが無いときに
人を引きとめておく役目を果たしているワケだ。
雑スレにも立派な意味があるね。
873 :
七誌:2001/07/17(火) 02:00
ここは出会いの場なのか?
委員長とは出会いたくないな。
875 :
名無し:2001/07/17(火) 02:00
ありゃキモイぜ。雑スレをずっと監視してんだろ?
人がいるの見つけると、すかさず荒らしだもんな。
なにやってんだか。
877 :
鏡:2001/07/17(火) 02:02
明日早いのでオチ、bye>all
878 :
七誌:2001/07/17(火) 02:02
委員長の写真あぷしてくれよ。
880 :
名無し:2001/07/17(火) 02:03
今、ここでオフの予定なんか立てようもんなら、
ぜってー委員長来るな。
陰でずっと監視してるんだ。
そして、雑談が始まると、荒らす。
やりそうじゃねぇ?
881 :
名無し:2001/07/17(火) 02:04
委員長が来るオフ。
行きたくねーーーーー!
どんな荒らしするのかな?
882 :
七誌:2001/07/17(火) 02:04
でもなんで今日はいないの?
委員長参加オフ(w
いきたいーーー!!!!!
みたい(w
884 :
名無し:2001/07/17(火) 02:05
疲れたんじゃねぇ?
885 :
名無し:2001/07/17(火) 02:05
行きたいのかよ!!
さすがリコ(w
>>882 最近パワー減ってたよね・・・(w
疲労で倒れたんじゃないの・・・・
887 :
七誌:2001/07/17(火) 02:06
委員長はまだ未確認生物なのか。
>>885 どんな人が見たくない?
影からコッソリでいいから(w
889 :
名無し:2001/07/17(火) 02:06
リコが居ると寝れやしねぇ。
891 :
名無しさん@一周年:2001/07/17(火) 02:07
電話代使いすぎて親にしごられてるんじゃないのか?
892 :
名無し:2001/07/17(火) 02:08
見たくねーなぁ。
確実にキモイもん。
なんかさー、「ILOVE ハワイ」とかプリントされたTシャツとか着てそう。
893 :
七誌:2001/07/17(火) 02:08
実は美形だったに20ウォン。
委員長、いいネタ提供となって雑スレ盛り上げただけだったか・・
哀れ。。。
895 :
名無し:2001/07/17(火) 02:08
リコが居ると話しが弾むからだよ!!
>リコへ
名無しプレイって言ってMMSで笑われてるよ。
アイラブハワイて!!!(w
委員長がもし美形でもきっとモテないだろうな・・・
898 :
名無し:2001/07/17(火) 02:10
オフメンツで男前な奴っていねーの?
廃墟以外で。
899 :
七誌:2001/07/17(火) 02:10
委員長=女の可能性もあるな。
名無しプレイって何???
>>895 なんだ、そんな名無しは滅多にいないんで(・∀・)イイ!
901 :
名無し:2001/07/17(火) 02:10
いるわきゃねーか。
だから廃墟とつきあってんだもんな(w
902 :
:2001/07/17(火) 02:11
僕の友人の友人(俺も知っている)が 今はもう、火事で無くなって
しまった千葉では 有名だった病院で体験した話です。
他の友人等とその病院に行った友人はそこで メス(入ったらすぐ
手術室になっていて、当時のまま残されている) を拾って家に持って
帰ったらしいんです。 (よくそんな事できるよな〜?)
そしたら夜電話が掛かってきて 「メス、返せ!」って言ったらしいんで
す。 その友人は一緒に行った友人等が脅かしてると 思ったらしく、
「やだよ〜!誰だよ!脅かすなよ!」 と言ってもずっと「メス、返せ」
の 一点張りだそうです。 それから結局メスを返さずに1週間位
何も起こらなかったのですが、 なんとその友人は 痔になってしまった
そうです。 それでも毎晩の様に「メス、返せ!」 の電話が掛かって
きていい加減怖くなり メスを返したそうです。
そしたら痔も治ったそうです。
903 :
七誌:2001/07/17(火) 02:12
廃墟は男前なのか?莉子は美人だと
みんなが言ってるが。
>>898 正直なとこそんな変な人はいなかったよ。
今までオフした中で。
島田さんとかメメントモリも男前
>>903 それはガセ。あたしは美人じゃないマジ
906 :
名無し:2001/07/17(火) 02:13
リコかわいい説はもう定着してるからな。
ところで島田って誰よ??(w
907 :
七誌:2001/07/17(火) 02:13
902はひょっとして彼の登場か?
嶌田さんだ、変換ミス
委員長か?!>902
長文コピペで期待するようになったか・・・
910 :
名無し:2001/07/17(火) 02:14
どっちにしてもしらねー(w
島田ってなんか紳助とか想像しちまう。
911 :
名無し:2001/07/17(火) 02:15
莉子のおもりもたいへんなので寝よう。
>>910 某・観者さんって知らない?昔いた。
その人だよ。
913 :
名無し:2001/07/17(火) 02:15
病み上がりっぽい中途半端な荒らしがイケてねーな。
おもりってなんだよ!!!おやすみ
915 :
名無し:2001/07/17(火) 02:16
どっちにしてもしらねー。
俺結構最近だし。
916 :
名無し:2001/07/17(火) 02:17
メメモリは男前だったのか。
917 :
七誌:2001/07/17(火) 02:17
ということは委員長じゃないのか。
委員長じゃなかったみたいだな。
920 :
名無し:2001/07/17(火) 02:19
リコかー。
リコだよなー。
921 :
七誌:2001/07/17(火) 02:19
廃墟は男前なの?
922 :
名無し:2001/07/17(火) 02:19
なんでリコなんだ??
なに?
924 :
名無し:2001/07/17(火) 02:20
そりゃ男前じゃねーの?
リコだってブサイクより男前の方がいいだろうし。
925 :
:2001/07/17(火) 02:20
僕の昔付き合ってた人から聞いた話です。
彼女は京都精華大学に通っていて、市内でも更に田舎の岩倉に下宿して
いました。
その辺りは古い建物が多かったのだそうですが、あるアパートには
不思議なことに鏡と言う鏡がなかったそうです。 なんでも鏡を
おいとくと自分の後ろに人影が見えるとかで。 そのアパートでは天井を
なにやら黒い影が通 り過ぎていくそうです。
なんで女なのかは詳しく思い出せないのですが・
926 :
名無し:2001/07/17(火) 02:21
リコは自分の彼だから、男前とは言いづらいだろうしなー。
927 :
七誌:2001/07/17(火) 02:21
廃墟たん、ハァハァ。
やめろおおおおお!!!!!半角スペーーース!!!!!!
929 :
:2001/07/17(火) 02:22
すいません、、さっきのも私です、、
油断したでしょ?
930 :
名無し:2001/07/17(火) 02:22
俺考えたんだよね。なんでリコか?って。
931 :
七誌:2001/07/17(火) 02:22
925は荒らしっていわないのか?
932 :
名無し:2001/07/17(火) 02:22
作戦かよ!!
コワイ話しはコワイぞ!
>>929 薄々気がついてたから文読まなかったんだ(w
925は読んじゃった・・・・
>>931 怖いんでしょ・・・(www
935 :
名無し:2001/07/17(火) 02:24
固定の名無し潜伏うぜえ(ワラ
936 :
はいきょ:2001/07/17(火) 02:24
可能な限り自分を客観的に見て、判断するが。
俺は平均以下だと思う。
・・すみません。
937 :
七誌:2001/07/17(火) 02:24
ジョーレンさんの会話はよくわからん。
938 :
名無し:2001/07/17(火) 02:24
女ってーのは、だいたいが身の程しらずのハンドルつかう傾向にあんだよな。
よく芸能人の名前とか使ったりする。
>>930 ハンドルの由来なら、なんの意味もないぞ。
捨てハンもつもりだったから。
940 :
七誌:2001/07/17(火) 02:25
936は本物か?
>>937 聞いてくれれば答えるよ
>>938 近いな
ハンドルつけなよ、と固定に言われた時に
テレビからきこえた名前です
942 :
名無し:2001/07/17(火) 02:26
リコなんて芸人いたか?
943 :
はいきょ:2001/07/17(火) 02:27
>>940 本物だよ。
ルックスの件については俺なりのマジレス。
ドラマだと思う。漢字は適当。
今から察するにラブジェネの再放送ではないかと・・・
見てなかったけどそのドラマ
945 :
七誌:2001/07/17(火) 02:28
ドラマのぱくりっぽいな。
芸人ってな・・・(w
947 :
名無しさん@一周年:2001/07/17(火) 02:28
>>942 つっこむなよ。そういうことにしとこうぜ。
どうせ一晩かかって考えたにちがいない。
948 :
名無し:2001/07/17(火) 02:29
結局ルックスは好みだしな。
自分で自分のこと男前と言う方が信用ならん。
949 :
七誌:2001/07/17(火) 02:29
なんでひらがななの?
950 :
名無し:2001/07/17(火) 02:30
947の意見は面白かったが、
そう言えば、ラブジェネで理子っていたな。
今考えるとギコレオン8世でキャップとりたかった。カコイイ!だろ
952 :
はいきょ:2001/07/17(火) 02:31
なんの意味もありません>949
953 :
名無し:2001/07/17(火) 02:31
昔の彼女が理子だったなー。
読み方はリコじゃねーけど。
954 :
名無し:2001/07/17(火) 02:31
カコワリーイ!!
え、カッコワルイ???ギコレオン。強そうじゃん
勇者っぽい。
958 :
名無し:2001/07/17(火) 02:32
俺もキャップ欲しいなー。名無しで。
960 :
名無し:2001/07/17(火) 02:33
なんかカメレオンっぽくねぇ??>ギコレオン
>>958 デフォがない今なら逝けそうな・・無理かな(w
名無しさん@1周年でとったら?
962 :
はいきょ:2001/07/17(火) 02:33
>>955 そんなことはない。
こっちのほうが今は少しいいだけ。
理由はなんとなくでしかない。
963 :
七誌:2001/07/17(火) 02:33
じゃあ変換してよ。偽者かと思った。
>>960 萎え〜、やめてくれよ!!!
イメージは勇者。
965 :
名無し:2001/07/17(火) 02:34
>>959 それは言えねーー!!!!!!
変わった読み方だから、万一本人関係者が見てるとバレる!!
968 :
名無し:2001/07/17(火) 02:36
お前ら仲いいの?(w
はいきょリコ
969 :
名無し:2001/07/17(火) 02:36
全然変わってねーじゃん。つうか、まんま。
>リコへ
970 :
蛇:2001/07/17(火) 02:37
>>968 喧嘩ばっか(w
>>969 くそお・・・!!!
知り合いで「理」って書いて違う読み方する人いたんだけどな!!
思い出せない・・・・!!!
972 :
名無し:2001/07/17(火) 02:38
973 :
蛇:2001/07/17(火) 02:38
974 :
名無し:2001/07/17(火) 02:39
>>971 なんだ・・・仲良しじゃんよ。
暑い暑い。
なんかコレ懐かしくねーーー?????
>>970 何故かリンクがクリック済みな色になってたが・・
見たことあんかなあたし。覚えてないので読んでないんだろう。
976 :
はいきょ:2001/07/17(火) 02:39
>963
まぁいいだろ。
977 :
名無し:2001/07/17(火) 02:40
カーン・・・
さとこじゃありまっせーん!
979 :
はいきょ:2001/07/17(火) 02:41
たぬきこ。と莉子なら言うと思ったのだが。
980 :
名無し:2001/07/17(火) 02:41
んっま、素人さんには読めねーだろうなー。
981 :
名無し:2001/07/17(火) 02:42
俺のスィートな想い出を汚すんじゃねーーーーー!!!!!
おさむって時点で男じゃねーか!!
たぬきなんて役所レベルで却下だろう!!!
面白い・・・(w
ヒントくれよ!!!!!名無しさんよ!!
983 :
蛇:2001/07/17(火) 02:43
たぬきなんて読むわけないでしょ(w
ことわりこ。
985 :
名無し:2001/07/17(火) 02:43
いつの間にか、俺対バカップルって構図になってないか??
ともこ?あ、がいしゅつだっけ?
988 :
名無し:2001/07/17(火) 02:44
もう一人敵ハケーン!!
もうヒントなんかださねーよ!!フ
990 :
はいきょ:2001/07/17(火) 02:45
蛇かよ(w
991 :
名無し:2001/07/17(火) 02:45
あやこだよ!!あ・や・こ!!
忘れんなよ!!藤あやこのあやこだよ!!
あやこおおおお?!!!!!
993 :
名無し:2001/07/17(火) 02:46
藤 あやこってかわいくねー?
994 :
高祖:2001/07/17(火) 02:46
1000
999
996 :
名無し:2001/07/17(火) 02:47
シーーーー!!何度も言うんじゃねーよ!
バレたらどうすんだよ!!
>リコへ
997 :
蛇:2001/07/17(火) 02:47
998 :
はいきょ:2001/07/17(火) 02:47
あやこか
>>993 可愛い。
それよりあやこって読むんだあ・・・ほあー・・・
1000 :
はいきょ:2001/07/17(火) 02:47
あやこ
1001 :
1001:
このスレッドは1000を超えました。
もう書けないので、新しいスレッドを立ててくださいです。。。