結局ヤンキーが迷惑な理由は彼らが他人を恐怖で
屈服させようとすることと、他人に恐怖心を与えてい
ないと「なめられた」と感じて安心できない精神構造
の持ち主であるからではないだろうか?
彼らが他人を恐怖で屈服させようとするのは、もち
ろんそれにより彼らは自分達の思い通りに事を運ぶ
ことが出来ることを知っているからである。そして彼ら
がそれを学ぶのは皮肉にも学校なのである。彼らは
暴力によって学校のルールに従って生活するおとな
しい生徒達を掌握することで学校のヒエラルキーの
頂点に君臨する。その中で他人に恐怖心を与える
技術や敵対するグループとのやりとりの中で政治的
なかけひき等を学ぶのである。まじめな生徒にとっては
迷惑な話であるが彼らが社会に出てから大人のルール
の中をうまく立ち回ることができるのは学校では教えて
くれないそういった事柄にいち早く取り組んでいるからで
あろう。
他人に恐怖心を与えていないと安心できないというのは
彼ら自身が恐怖心を感じることを強く恐れていることに
他ならない。それは男らしさにこだわる多くの男性にも
あてはまることであるが、特にヤンキーの多くは他人が
恐怖心を感じていることで自分達の恐怖心を誤魔化そうと
する傾向がある。それは専門的な言葉を使うと「投影」という
心の働きにあたる。もちろんそれは彼らの劣悪な成育環境で
育まれたものであるが、彼らは身内や周囲の人間の暴力を
強く嫌悪しながらも、暴力がいかに有効な手段であるかと
いうことも同時に学んでいく為、暴力を否定するよりも、むしろ
暴力を人間にとっての絶対的なルールととらえるようになる。
それは「他人に恐怖心を与えたものが勝ちで、恐怖心を感じたら
負け」というルールである。そしてその脅迫的な考え方に基づく
いわゆる「根性試し」が、喧嘩や暴走行為といった反社会的行動に
つながっていくのである。