また,非行を犯した少年に対し,成人と同様に公開の法廷で訴訟の手続によって刑罰を科すことは,少年にとって必ずしも好ましい結果をもたらすとは
限りません。人格が未熟であり,教育によって改善される可能性の高い少年に対しては,それにふさわしい非公開の手続で,保護処分や適切な
教育的措置を行うことが大切であると考えられます。
このように,家庭裁判所は,法律的に白黒をつけるというのではなく,紛争や非行の背後にある原因を探り,どのようにすれば,家庭や親族の
間で起きたいろいろな問題が円満に解決され,非行を犯した少年が健全に更生していくことができるのかということを第一に考えて,それぞれの
事案に応じた適切妥当な措置を講じ,将来を展望した解決を図るという理念に基づいた裁判所です。そのために家庭裁判所調査官という職種が
置かれ,心理学,社会学,社会福祉学,教育学などの人間関係諸科学の知識や技法を活用した事実の調査や人間関係の調整を行うことになっています。