ラブひな終焉際パート8(エイケンだ)

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「…先輩、質問してもいいですか?」
「ん…なんだよ?」
「…………」
俺の腕をさすりながら、ゆかりは照れ臭そうに言葉を続ける。
「その……一馬先輩って、童貞?」
「ぶっ!?」
と、予想外の質問にテンプルを打ち抜かれ、俺は一気にマットへ沈む直前まで追いつめられた。
そんなダウン直前の俺に、ゆかりはさらなる追い打ちをかけてくる。
「わたし、まだこの歳でバージンなんです…」
「そ…そうなのか。はは…」
「笑わないでくださいよ。わたし、実は結構気にしてるんです…」
「はは…」
乾いた唇を何度も湿らせ、俺はひたすらクリンチでこの場をしのぎ続けた。
先ほどのテンプルへの一撃が効いているのか、未だに思考能力の方は回復してこない。
「…学校に通ってた時も、友達の間ではわたしと茜だ けだったんですよね。バージンだったのって…」
「へ、へえ…」
「茜はああいう性格だから、バージンでもおかしくなかったですけど、わたしの場合は…」
「…………」
熱く潤んだゆかりの瞳が、次第に俺をコーナーへと追いつめていった。
同時に豊かな胸の房がより一層、強く圧しつけられる。
桜の花びらのような唇が上向きに俺を見つめてくる。
「わたし……ずっと、バージンを捨てられなかったことがコンプレックスだったんです」
「うっ…」
「先輩…」
「ま、待て。落ち着けって……どうせまた、俺のことをからかってんだろ?」
「そんな…からかってなんていません。わたし、先輩にだったら…」
そしてゆかりは、ガードが下がった俺の顔面を捉えるべく、強烈なフィニッシュブローを放った。
「先輩にだったら……わたしのバージンあげます」
「――――!?」
頭の中で繰り返される、ボクシングアナウンサーの悲痛な叫び。
『挑戦者の強烈なパンチ、チャンピオン危うし!チャンピオン危うし!』