純情パイン

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489じんじょうぱいん
俺はごく普通の会社員だ。
真面目な性格で仕事もきちんとこなしている。
友人も多くはないが、それなりにはいる。
大学時代から付き合っている彼女もいて、
そろそろ結婚を考えている。
そう、俺はありふれたどこにでもいるタイプの男だ。

しかし一体何なんだ、この気持ちは。
純情パインを読む度に覚える胸の高鳴りは。
一体全体どうして、みつお君がこんなにいとおしく感じるんだ。

みつお君の大きな瞳、吸い込まれそうだ。
だらしない口元もたまらなく可愛い。
みつお君が口にするセリフも愛らしくてたまらない。
みつお君をずっと見ていたい。

彼女は俺が25にもなって少年ジャンプを読んでいるのを嫌う。
部屋にあるジャンプを見るたびに、
「もういい年なんだから、マンガは卒業しなよ」と言う。
俺は「通勤時間、暇だからついつい買っちゃうんだよ」と
さもマンガなんて本当はどうでもいいんだぜという態度で答える。

しかし彼女は知らない。
俺が毎週純情パインのページだけ切り取ってファイルしている事を。
みつお君の絵を切り取って定期入れに忍ばせている事を。
彼女を抱いている時、頭の中で本当に抱いているのはみつお君だという事を。

今日は金曜日か。
月曜日まであと3日。
あと3日の辛抱だ。3日すればみつお君に逢えるんだ。