【2次】漫画SS総合スレへようこそpart43【創作】

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418『絶対、大丈夫』
「大丈夫、小狼くん!?」
「ああ、なんとか……な……」
辺りがもうすでに暗闇に包まれている、夜。
そこに、茶色い髪を短く切った、緑色の瞳の、少女。茶色い髪に、同じく茶色
い瞳の、少年がいた。
木にもたれかかって苦しそうに顔をゆがめる少年を、少女が心配そうな顔で
見つめる。
少年の服、特に腹のあたりが赤く染まっている……血だ。
少年が、痛みをなんとかこらえながら、立ち上がった。
「さくら……はやく、この場から……逃げ……ろ……」
「ダメだよ、小狼くんを置いて、逃げるなんて……」
「いいから、早く!」
言い争う、二人。
その二人に、声をかける者が、いた。
「おや、こんなところにいたのかい?」
「!?」
声がした方を振り向くと、そこにいたのは黒装束を着た、黒い髪に、黒い目の
少年が、いた。少女たちと年齢はさほど変わらないだろう……しかし、その目に
はその歳特有の明るさなどが微塵も感じられない……それどころか、いかなる
感情も感じる事が、できない。
そして、その口から、口調だけは軽く、しかしやはり感情を感じる事のできない、
声が紡がれる。
「さて、もうそろそろ殺しちゃおうかな……」
「だめですよ、フォルテ。」
突然聞こえる、平坦な、少女の声。
今度の声の主は、2人よりも3,4歳くらい歳は下くらいの少女であった。全身
を緑色の装束で包み、さらに髪の毛と目の色も、緑色である。
「私たちの目的は、この二人を<組織>に取り込むこと。殺すことではありませ
ん。」
しかし、先程の黒装束の少年と同様、その顔や声から、感情を感じ取ること
ができない。
419『絶対、大丈夫』:2006/10/29(日) 11:12:06 ID:HUHfj9W60
「別に、殺してから力だけをもらえばいいだろ。昨日の二人だってそうしたんだ
からな。」
「だめです。昨日の二人とは違い、この二人はかなりの力を有しているらしいで
すから、もし殺せば、その力が暴走する恐れも……」
と、平坦な声で続ける二人の会話に少女……木之本桜は、恐怖していた。
こんなにあっさりと、『殺す』などという人間…今までに見たことなどなかった。
本当に殺されるかもしれない……そのことへの、恐怖。
そんな彼女に、黒装束の少年の視線が向けられた。
「………まあ、そういうことだ。殺しはしないよ。……まあ、抵抗するようだった

らそれなりに痛い目にはあってもらうけどね……」
と言いながら、どこからともなく現れた日本刀を握る。そして、それを構えて、さく
らのもとにじりじりと歩み寄る。
さくらは、恐怖のために、動けなかった。
「ふふふ……その脅えた顔が、またいいよな……」
「貴様……」
じりじりと歩いてくる黒装束の少年とさくらの間に、少年……李小狼(りしゃおら
ん)が割って入った。
「へえ、その怪我でまだ戦おうっていうのかい?」
黒装束の少年は、小狼の負っている傷を、じっくりと観察する。無論、戦える
ような状態では、決してない。
「まあ、いいや。軽く片付けて……」
と、少年が言い終わると同時に、
ズガアアァァン!!
という爆発音と共に、
「!?誰だ!」
光の柱が、彼の足元に、着弾し、あたりに爆風と、砂煙を撒き散らした。
420『絶対、大丈夫』:2006/10/29(日) 11:14:58 ID:HUHfj9W60
緑色の髪の少女が、その光の柱が発射された方を向いた。
「どうやら、私たちがここにいることが、知られたみたいですね。」
「ちっ、時間切れってことか!」
舌打ちしながら、少年はさくら達のほうを再び向く。
「ふん、その力、いつか俺たちのものだからな!」
と言い残して、少年と少女は、ここから消え去った。まるで、空気に溶け込む
ように。緑と、黒の光を残して。
ようやく危機が去ったのに気がゆるんだのか、小狼は崩れるように、その場に
倒れこんだ。
「小狼くん!?」
さくらは急いで彼の元へすぐ駆け寄った。
「大丈夫?」
「あ、ああ……」
とりあえず小狼はそう答えるが、息は荒く、表情も苦痛に歪んでいる。
────ザッ
という、砂がこすれる音が、突然あたりに響き渡った。
「!?」
それを聞きつけたさくらは、脅えたようにびくっ、と体を跳ね上げて、恐る恐るそ
の音源の方を向く。
そこには、白い服を着た、茶髪の、手にはまるで魔法使いの杖のようなものを
持った、少女がいた。歳は、自分たちとそうは変わらないだろう。その茶色い
髪の毛を、サイドポニーにしている。
その少女は、さくらと小狼に向けて、こう言った。
「私は、時空管理局に所属している、高町なのはです。貴方たちを保護しに
来ました。」
421『絶対、大丈夫』:2006/10/29(日) 11:17:04 ID:HUHfj9W60
「時空……管理局?」
さくらが、聞き覚えのない言葉を、そのまま返した。
それに対して、どうやら小狼はその単語について少なからず知っている様子
である。
「時空管理局か……わかった。」
小狼は、そういい終わるとゆっくりと立ち上がる。そして、さくらの方を向いて、
言った。
「あいつについて行こう……少なくとも、俺たちの敵ではない。」



それが、『この世界』で起きた事。
そして─────

422『絶対、大丈夫』:2006/10/29(日) 11:18:32 ID:HUHfj9W60
「どうやら、侵入者のようだな。」
金髪の少女が、高級そうなソファから飛び降りた。
夜は暗闇に包まれて、唯一の明かりは月の光のみである。もうそろそろ寝よう
かと思ったときに、気配を感じ取った。
さまざまな因果により、吸血鬼の真祖でありながらも、ごく普通の女子中学生
として、500年以上も生きているのにも関わらず13、14くらいの生徒に囲ま
れ、んでもってこの学園の警備員までさせられてしまっている。最初はよくサボ
っても居たが、いまでは学園に侵入者が出るたびに、習慣のようにこうして、一
応は見に行くようになっていた。
どこからか現れた黒いマントを纏い、そして傍らに立つ、ロボットっぽい……と
いうよりロボットにしか見えない少女に声をかける。
「いくぞ、茶々丸。」
「了解しました、マスター。」
ロボット少女の返事を聞いて、上機嫌そうにその金髪の少女……エヴァンジ
ェリンは笑みを浮かべる。
どうやら、今回の侵入者は大物だ。




それが、『この世界』で起きた事。
そして────


423『絶対、大丈夫』:2006/10/29(日) 11:24:35 ID:HUHfj9W60
「あ、はい。解りました。気をつけます。はい、ごくろうさまです。」
とある家の寝室───勉強机や、漫画の収まった棚があることから、おそらく
子供部屋だろう───で、通信機のようなものを耳(があるようにはとても見え
ないが)に当て、青いだるまか、はたして狸か、奇妙な物体が話をしていた。
彼(と言い表すのは適切だろうか)の名はドラえもん。この部屋の持ち主である
野比のび太をなんとかして優等生に仕立て上げ、未来を変えようとしている、
22世紀のネコ型(には見えないが)ロボットである。
彼は、通信機の電源を切ると、ため息をついた。
と同時に、ドタバタと足音が聞こえる。これはいつもどおりのことなので、特にドラ
えもんは気にしない。
「ドラえもん!」
と、自分の名前を呼びながら、一人の少年が部屋に入ってきた。これもいつも
のことなので、特に驚きはしない。
ドラえもんは、「やれやれ」と、いつもと同じ口調で、少年に聞く。
「どうしたんだい、のび太くん?」
どうせいじめられたんだろうとあたりをつける。案の定、当たっていた。
「聞いてよ、またジャイアンが〜!」
のび太は、美少年……というよりも美少女に近い整った顔の少年である。い
まだに変声期も迎えておらず、声も女っぽい。それに性格も優しいが、反面
臆病であり、運動も勉強もいまいち冴えないので、いじめの対象によくなってい

る。(あくまで俺の偏見です。今度、俺バージョンののび太をお絵かき掲示板
で描いてみようかな)
424『絶対、大丈夫』:2006/10/29(日) 11:30:34 ID:HUHfj9W60
ドラえもんは、のび太の愚痴を、半ばどうでもいいように聞いていた。
問題は、さきほど通信機で話していた、内容である。
それをいつのび太に話すか、それが目下の悩みであった。


それが、『この世界』で起きた事。
そして────


さまざまな『世界』は、交わり……
会うはずのない人物が、出会って……
それでも、世界は変わらず動く。未来へと。


『絶対、大丈夫』────開幕。