盤古幡の重力が重く圧し掛かる。体力が自慢の両津もさすがに何倍もの重力には耐えられない。
かつて竜騎将バランに仕掛けたポップの重圧呪文ベタンを足止めにもならなかったように、
ダイならある程度は耐えられるだろうが……それでは仲間を見殺しにしてしまう。
かといって藍染の言いなりになる訳にはいかない! 断じて!
「そうだな、まず、大魔王バーンとは何者なのかね?」
「……地上を消滅させ、魔界に太陽をもたらそうとしている大魔王だ」
「ほう、地上を消滅……興味深い。そういえば君はあの大広間で不思議な力を使っていたね。
あれはいったいどんな力なのかな? ぜひ拝見してみたいところだが……」
「…………」
「ペガサスの少年が戻ってくるまでに手早くすませたい。
黙る事は許さない、……盤古旛、重力2倍!」
ズシンッ。自重に押し倒される麗子こまもり、両津はぎりぎり踏ん張っているが時間の問題だ。
どうする? どう打開する? 答えは出ない。
「仕方ない、君が答えないのであれば、人質を一人殺そう」
「そんなっ……!」
人質とは生きていてこそ価値を発揮する。
だが人質が複数いる場合、人質を殺すリスクは軽減されるのだ。
「ゆ……許さない……そんな、事……」
搾り出すような声で麗子が言った、それは己への死刑宣告であった。
「では、君から殺させてもらおう。『彼』が戻ってくる前にすませたいし、君には特別な力を感じない。
――殺す事にためらいはないよ」
藍染の手が麗子に伸びる。
「れ、麗子……!」
両津も声を絞り出し、一歩、歩み出し……。
「重力3倍」
押し潰された。
「さあ、大魔王バーンの情報でも、君自身の情報でも、君の世界の情報でもいい。教えてもらおうか」
藍染の圧倒的優位の前にダイは己の無力さを噛み締めていた。
3倍の重圧はダイの動きをも鈍らせ、反撃の隙を無慈悲にも潰す。
(ちくしょう……竜の紋章よ、おれには、おれにはこの程度の力しかないのかっ!
竜の騎士は、竜の騎士は……本当にそんなに弱いのか!?
仲間一人守るぐらいの力さえも出せないのかぁっ!!)
藍染の麗子の首を掴もうと手を伸ばす。
刹那――ダイの時間が凍る。
そこはアルキード王国。父バランをかばい、母ソアラが身をていして守った姿。
『……竜の騎士の人生は戦いの連続』
それな亡き父の声。
『その血塗られた歩みに囚われ悲劇にみまわれた女性は確かに少なくないかもしれない。
お前の母も……残念ながらその一人だった。だが! 過去の歴史がどうあれお前はお前だ!
お前の手で過去の竜の騎士の悲しき宿命をも断ち切ってみせろ、ダイ!
初めてレオナを助けた時を思い出せ。お前はただの竜の騎士ではない、
私の魂をも受け継いだ全く新しい超騎士なのだ! 起て! 起ちあがれっダイよっ!!』
「――父さんっ」
凍った時間が氷解する。そうだ、初めて紋章の力に目覚めたのもレオナを助けた時だった。
ふりしぼるんだ、自分の中の未知の力を……あの時のように!
「おれと父さんの力はっ……まだこんなもんじゃなあぁいっ!!」
盤古旛の重力を一瞬にして吹き飛ばし、竜の騎士ダイ、起つ!
その構えた両の拳には竜の紋章!!
――そうか、そういう事か。
水晶球に映されたダイの姿を見て大魔王バーンは確信する。
竜の騎士が生涯を終える時、使命を果たした紋章は聖母竜の宿す新たな生命へと受け継がれる。
だがダイは竜の騎士と人間の混血であり、生来竜の紋章を持っていた、
その上に死を迎えたバランの紋章か継承された。神々すら予想だにしんかったろう超戦闘能力が誕生したのだ。
「……言わば……双竜紋!!!」
「その紋章が……君の力か」
「うおおおおおおーっ!!」
ダイは両の拳を交差させ、物を投げるようにして振り下ろす!
「紋章閃!!」
避けられるはずの攻撃だった。
だがライデインを受け、ペガサスから逃れ、スーパー宝貝盤古旛を使用した疲労がそれを許さない!
藍染の胸元に二つの竜の紋章が刻まれる!
「ぐはっ!」
重力から解放された両津達は反撃のチャンスだと悟る、だが、仲間の協力を必要とせぬほど今のダイは強い!
ダイはクライストを両手で握り締め、竜闘気をめぐらせる。
通常の武器なら竜闘気に耐え切れず燃え尽きるが、オリハルコン製のクライストはそれに耐えて見せた!
今こそ竜の騎士の真価が発揮される!
「アバンストラッシュ!」
竜闘気の塊が藍染の全身を焼き払い、身体の表面を黒焦げにする。
「あ、ああ……この、私が……」
よろめきながらも藍染は呪文を詠唱していた。これほど自分と相性のいい呪文に出会えた事を藍染は幸福に思う。
「マヌーサ」
霧が現れ、藍染の姿が無数に現れる。
だが闘気を察知するダイは幻覚に惑わされない。
「ルーラ!」
ダイは瞬間移動呪文で即座に藍染と麗子の間に割ってはいる。
それを見て藍染は致命的な隙を作った。追い求めていたルーラの使い手が今! 自分の前で牙を剥いている!
「大地斬!」
横薙ぎに放たれた竜闘気の斬撃を避けられたのは僥倖だった。
もはや立つ力さえ失った藍染が、偶然にも腰を落とした。それだけの出来事だった。
そして藍染が尻餅をつくよりも早く、彼を背後から誰かが支える。
「聖闘士に二度も同じ技は通用しないってのに、これじゃ一輝やサガに笑われちまうな」
「お前は――!」
ペガサス星矢。
「ダイ、お前の小宇宙、しっかり感じたぜ! そして藍染!
これが、今度こそ! 石崎さんの仇討ちだぜー! ペガサスローリングクラッシュ!」
星矢が藍染と共に天高く飛翔する!
星矢は空中で何回転もして遠心力を存分につけ、地面に叩きつける!!
「馬鹿な……この私が、こんな所で……」
頭から地面に突き刺さった藍染の頭蓋は砕け、首の骨もへし折れた。
今度こそ幻でも何でもない、ペガサス星矢は、石崎の仇討ちを成し遂げたのだった。
そしてダイは双竜紋に目覚めた。脱出派は大きな前進をしたのだった。
「――浮かない顔ですね、バーンさん。あのダイとかいう坊やがそれほど気にかかりますか?」
「…………あやつは地上で唯一余に逆らいうる力を持つ者の力を『継承』したのだ」
そう、それは『闘いの遺伝子』と呼ばれるもの。
歴代竜の騎士が数百年の激闘を繰り広げた戦闘経験値全てをダイは引き継いだのだ。
参加者の中には数多の激戦を潜り抜けた猛者がいた。
しかしそれらの経験を圧倒的に凌駕する経験値をダイは一気に引き継いだのだ。
「竜の覚醒……これもまた一興かもしれん」
バーンは感じていた。ダイはついに、自分と同等の領域に駆け上ったのだ。
【四国調査隊】
共通思考1:四国に向かう(数十分後、到着予定)
2:仲間が死んでも泣かない
3:出来る限り別行動はとらない (星矢は別)
4:ハーデスに死者全員を生き返らせさせる
【両津勘吉@こち亀】
[状態]睡眠不足による若干の疲労、額に軽い傷、藍染の霊圧によるプレッシャー
[装備]マグナムリボルバー(残弾50)
[道具]支給品一式×2(二食分の食料、水を消費)両さんの自転車@こち亀(チェーンが外れている)
爆砕符×2@NARUTO、中期型ベンズナイフ@ハンター×ハンター、焦げた首輪
[思考]1:藍染を倒し安堵
2:姉崎まもりを警戒
3:仲間を増やす
4:三日目の朝には全員で兵庫に。だめなら琵琶湖に集合する
5:沖縄へと向かう
6:主催者を倒す
【秋元・カトリーヌ・麗子@こち亀】
[状態]中度の疲労、藍染の霊圧によるプレッシャー
[装備]サブマシンガン
[道具]食料、水を8分の1消費した支給品一式
[思考]1:藍染を倒し安堵
2:まもりに僅かな不信感を抱いている
3:四国へと向かう
4:藍染の計画を阻止
5:沖縄へと向かう
6:主催者を倒す
【ダイ@ダイの大冒険】
[状態]健康・双竜紋覚醒
[装備]クライスト@ブラックキャット
[道具]荷物一式(2食分消費)、トランシーバー、出刃包丁
[思考]1:双竜紋に感慨深いものを感じている
2:姉崎まもりの監視
3:四国へと向かう
4:ポップを探す
5:沖縄へと向かう
6:主催者を倒す
【姉崎まもり@アイシールド21】
[状態]:中度の疲労。殴打による頭痛、腹痛。右腕関節に痛み。(痛みは大分引いてきている)
:右肩の軽い脱臼。不退転の決意。藍染の霊圧によるプレッシャーを感じているが、割と冷静?
[装備]:魔弾銃@ダイの大冒険・魔弾銃専用の弾丸(空の魔弾×7、ヒャダルコ×2、ベホイミ×1)@ダイの大冒険
[道具]:高性能時限爆弾、アノアロの杖@キン肉マン、ベアークロー(片方)@キン肉マン、装飾銃ハーディス@BLACK CAT、荷物一式×4
、食料五人分(食料、水は三日分消費)
[思考]1:不明
2:両津達3人に着いていく。大量殺戮のチャンスを狙う
3:殺戮を続行。自分自身は脱出する気はない
4:セナを守るために強くなる(新たな武器を手に入れる)
5:セナ以外の全員を殺害し、最後に自害
6:セナを優勝させ、ヒル魔を蘇生して貰う
【星矢@聖闘士星矢】
[状態]極度の興奮状態、中程度の疲労、全身に無数の裂傷
[装備]ペガサスの聖衣@聖闘士星矢
[道具]食料を8分の1消費した支給品一式
[思考]1:今度こそ藍染を葬った事による安堵
2:四国へと向かう
3:弱者を助ける
4:沖縄へと向かう
5:主催者を倒す
【藍染惣右介@BLEACH 死亡確認】
【残り39人】