>>358 あれから、どれくらいの時間が経ったのだろうか。数時間か、それとも数日か。
マリネラ宮殿内の病棟。その一室のベッドで、D=アーネは目を開いた。
体が重くて痛い、動かない。そういえばこの国に来てから二度目の目覚めだが、
二度とも手ひどくやられてぼろぼろになって、死んだような眠りからの目覚めだった。
いつも宇宙レベルの強敵とハデにやり合ってるから、負傷することには慣れている。が、
これほどの立て続け重傷はさすがに珍しい。
身に染みて解った。この地球という星には、日本以外にもとんでもないのがゴロゴロして
いるらしい。この星の制圧は、やはり並大抵のことではないようだ。これでは陛下が……
「! へ、陛下……痛っ!」
D=アーネは勢いよく身を起こし、その痛みで顔をしかめ体を縮めた。
自分で自分の体を、そっとさすってみる。いつの間にか病衣に着替えさせ
られており、丁寧に手当てがされ、幾重にも包帯が巻かれていた。そういえばここ、
随分豪華な病室のようだが一体どこだ?
「あ……そうか。あの時、この国の王様が。えと、確かパタリロ=ド=マリネールって」
「そう、ぼくだ」
D=アーネの声が聞こえたのか、ノックもせずにパタリロが入ってきた。
「気がついたようだね。医師たちが言うには体組織の基本構造が地球人に非常に近い
から、おそらく地球人と同じ処置で大丈夫だろうということだったが」
「……大丈夫みたい」
「それは良かった」
パタリロはベッドの脇の椅子に腰掛ける。
「さてと。実は、各国には秘密だが、我がマリネラには多数の異星人が住んでいる」
「え?」
「一般の地球人に紛れているわけではなく、居住区を区切ってのことではあるがね。
気候も治安も良く、国王もこの通り人格者なものだから、出稼ぎとかがよく来るんだ。
たまに来る遭難者も保護してるから、今はもう何百人もそこで暮らしてる」
当たり前のようにパタリロは語る。実際、ここマリネラにおいては当たり前なのだ。