【リレー小説】えなりの奇妙な冒険〜冨樫の遺産編第27部
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マル
えなり「僕が○をつけたいのはAだが、正直期待はできない!
この絶体絶命の状況に会った事もない漫画家が少年漫画の二枚目ライバルみたいに
待ってましたとばかり登場ってわけには行かないだろう!
やはり答えは…@しか無いようだな…!」
珍しくカッコいい事…と言っても所詮他人の漫画のパロディーに過ぎないが…を言いながら、
えなりはこの状況を打開する策を一応真剣に考えていた。
ジャンプ・マガジン・サンデー・チャンピオン・その他少年誌・青年誌…彼はそのすさまじい読書経験(漫画限定)から
この状況を打破するためのヒントを探し出そうとしていたのだ。
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以下、ハムが信じられない事態に彼自身の思考を凍結させ、また眼前の事態に対応すべく思考を再開させるまでの
一瞬の間隙におけるえなりの思考及び、自分又は周囲との対話である…!
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えなり「……!!これだ…!」
えなりが自らの経験と直感で導き出した答え、それは…
『DRAGON QUEST−ダイの大冒険−』『DRAGON BALL』『GS美神 極楽大作戦!!』…その他、ありとあらゆる漫画に於ける最終手段――
自らの命と引き換えに相手を倒す、所謂『自爆』或いは『自己犠牲』。
えなりは、これこそが答え@(i)を満たすものであるとの結論に達した。
ではなぜ、最もリスクが高い技であると思われる自爆系の技をえなりが選択したのか?
その根拠はこうだ。
えなり「確かに自爆系の技は「味方の死」というドラマを作り出すために悲劇性が強調され、
そしてほとんどの場合それは成功している!
しかし!しかしだ!この系統の技の使い手としてはもっとも有名なアバン・デ・ジニュアール三世の例を
引き合いに出すまでもなく!特に少年誌で自爆技が使われる場合、『仲間の死に激昂』、『理不尽とも思えるパワーアップ』、そして…
…『後の復活』まで一つとなっていると見るべきだ!
味方の死という最大級の悲劇!そして絶体絶命のピンチでの、まさかの復活というカタルシス!
これだ!これこそ、僕が主人公であることを読者諸君にアピールする最高の方法にして、この状況に
一気に決着をつける最高の一手!ああ…今僕は、神の一手にたどり着いたのでは…?」
えなりがハムと同レベルに見られかねない発言というか、すでに本音と建前、手段と目的が逆になっている上に電波な理論を構築し、
力をオーバーロードさせての体当たり(GS美神のおキヌを思い出してもらえれば幸いである)を決行しようとした瞬間…!
???「やめとけよ…自己犠牲なんて、本当はぜーんぜん格好良いもんじゃあねぇぜ……。」
えなり 「誰だ?僕の邪魔をするのは?
……!!?」
あたかも陽炎のように、或いはそれまで空気と同化していたかのように、ふっとえなりの傍に現れるもの一人。
その者の名は…。
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(お詫び)本来この直後に前回登場したキャラの自己紹介が入る予定でしたが、
名乗りをもう少し後に持ってきたほうが物語が盛り上がると判断したので、名乗りは先送りさせていただきます。
それに伴い、読者の皆様には大変申し訳ございませんが、前回の最後の一行を皆様の脳内で削除していただく事になりました。
ご迷惑をお掛けして、まことに申し訳ございません。この件につきましては、今後作者のレベルアップおよび
このスレの活性化を以って謝罪とさせていただこうと思います。
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声の方を見たえなりは、一瞬自分の目がおかしくなったかと思った。なぜなら…
???「それにな…あいつは俺の獲物だ。俺がやらなくっちゃあならないんだ。」
その男…男だとわかったのは、声が明らかに男性的なものだったからだ…のいるはずの場所には…
???「それが俺の使命なんだ…みんなと、みんなと約束したんだ…。」
何も、いなかった。何も、無かった。 ・ ・
いや正確には、そこには確かに何か…人の形をして、人のように立ち、人の言葉を話すモノがいた。
しかし、その姿はまるで透明な霧に包まれたように、そうでなければそちらを向いたときだけ見た者が盲目に為るかのように、
どうしてもはっきりとは見えない。ハムではなくこの男のほうが幽霊だと言われても、疑うものはいないだろう。
幽霊の様と言えば、声もそうだ。まるで遠いところから、或いは水底から話しかけられているように、ぶれて、不安定で、ぼんやりした声だ。
しかし、その男から視線を離すと、視界の隅にぼんやりとその男が映る。まるで陰のように、ホログラムのように、空気のように。
とらえどころが無く、不確かなものが、確かに、いた。
えなり「お前…いや、あなたは…?何者d…ですか…?」
???「しがないボロアパートの管理人だ。少し用があって西公平を追っている。」
えなり(アパートの管理人って……イヤだーー!激しくイヤだーーーッッ!!(ガビーン)
こんな得体の知れないのが管理人??イヤだー!例え正体が若く美しい未亡人でもごめんだー!
いや待てよ、それなら別にいいかも…彼女の不気味な姿を恐れない僕にいつしか彼女は心を開き…これだ!黄金パターンだ!)
(ここまで)
えなりの妄想はRomanticよりも止めるのが困難そうだったが、400字詰め原稿用紙6枚分ほど妄想を進めた時点で
今彼と一緒にいる者がどうやら男らしいことを思い出し…泣いた。
この過程を描写したいのは山々であるが、何しろ異常に長い上に興味の無い者にとっては
鬱陶しい長文以外の何者でも無いであろうから割愛することにする。
???「いきなり黙り込んで…大丈夫か?」
えなり「(そうだった!こいつは男だったんだー!)い、いえ…なんでも…無い……です………。」
???「そうか…それならいいんだがな…ところでボウズ!」
えなり「はい…なんでしょうか……?」
???「お前…ジャンプは知ってるか?」
えなり「ジャンプ…漫画雑誌のことですよね?週刊ですか?月刊ですか?赤マルですか?それとも…ヤング?スーパー?ウルトラ?」
???「週刊少年ジャンプのことだ。」
えなり「ええ…大好きですよ。毎週買ってます。」
???「そうか…お前、今のジャンプをどう思う?」
えなり「『今の』ということは、『昔の』と比べるんですよね?…そうですね…友人宅で見た昔のジャンプと比べると、
なんというか…漫画の力が落ちているような気がしますね…。覇気が無いというか…悪い意味で同人的というか…。」
???「そうか…やはりな…読者の目から見てもそうなのだな…。」
そう言った時の男は、何処と無く悲しそうに、また申し訳なさそうに見えた。いや、『感じられた』。
???「そういえば…なぜ漫画家でも編集者でもないお前のような者がこんな所にいるんだ?」
えなり「少し事情がありまして…鳥山明さんや荒木飛呂彦さんと一緒にいたんですが、なんか変だけどものすごく強いおじさんに襲われて、
荒木さんの能力で三人とも写真の中に入り込んでしまって、一人で鳥山さんの身体――もちろん本人から貰ったものですよ。
ちょっとしたことがあって鳥山さんの身体が二つになってしまいまして。――に入ろうとしているところにあいつが来まして…。
ああ、あそこに荒木さんたちが見えますけど、あれでもう写真の中の世界にいるそうです。…一応言っておきますね。
…って言うか、僕が幽霊なのは別にいいんですか?」
???「ああ、お前は別に害になる者ではないだろう。職業柄霊には慣れているんでな。
で、脱線してしまったがさっきの話の続きだ。お前も今のジャンプは昔に比べて駄目になったと思うか…。」
えなり「はい…。」
???「そうか…すまない…俺にもっと力があれば……!!」
えなり「あの…あなたも漫画家なんですか?さっき、アパートの管理人だって…。」
???「兼業だよ。アパートの人たちはマナーがいいので漫画に集中できる。
一応ジャンプで連載中さ。単行本ももう4巻まで出てるんだぜ。」※2006年7月17日現在
嬉しそうに男は話すが、えなりは男の言う漫画が判らなかった。
えなり(4巻…?今現在単行本の巻数が4巻の漫画家はジャンプにはいないはず…!近いのは大亜門先生『太臓もて王サーガ』の3巻だが…
こいつはいったい…!?)
???「で、ジャンプの話だ。10年ぐらい前から、ジャンプはおかしくなり始めた。同人的な漫画や、見るに耐えない低レベルな漫画が
蔓延するようになったんだ。」
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※この物語はフィクションです。実在の人物、地名などとは一切関係ありません。 特に漫画家とか。
特に漫画家とか。
特に漫画家とか。
特に漫画家とか。
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???「そして、その最右翼にいるのが西公平の『ツギハギ漂流作家』だ。他の漫画からのあからさまな盗用、オリジナル部分の
レベルの低さ、 同人層からの異様な…はっきり言って不自然な人気…。」
※この物語はフィクションです。実在の人物、地名などとは一切関係ありません。 特に漫画家とか、そのファンとか。
???「そんなものを成長期の多感な時期に読まされる子供たちの身にもなってみろ…可哀想じゃねえか……!!!」
えなり「……」
男の無言の、そして深い怒りが、目には見えずとも…或いは見えぬだけより一層か…えなりに伝わってきた。
えなりにも今ははっきりとわかった。この男、いでたちこそ異常だが、その心は不器用なまでに、少し古臭いほどに真っ直ぐだと。
それにしても奇妙なのが、漫画に関してはひとかどの自信があるえなりにさえ、この男の描いている漫画がわからなかったこと。
これは何を意味するのだろうか…。それとも意味など無いのか…。
???「だから…西公平は俺が倒す。」
男の声がだんだんと熱を、魂を帯びはじめる。
「俺が裁く…俺が引導を渡す!」
それに伴い、今まで儚く頼り無げだった声も、はっきりと力強く響き始めた。
「俺が…」
霧がかかったようであったその姿も、霧が晴れるように、目に光が戻るように、確かなものになり始めた。
「俺が奴を、西公平を…」
徐々に、徐々に、男の存在は確かなものになり始める。
「その魂の最後のひとかけらまでバラバラに………分解してやるんだッ!!!!」
そしてえなりにも、今ははっきりと『みえた』。
「知れ、」
黒いサングラス、黒いコート、腕に黒い刺青のような大きな梵字、そして…白い、その魂を写す様に真っ白な髪。
「案内屋は、」
その瞳に正義と意志を、その腕に怒りと力を宿した、まさに古き良き時代のヒーローというべき姿をした男。
「陰魄を大気に還元する…!」
その名は…その者の名は…“案内屋”岩 代 俊 明 !!
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……さて、西公平、いやハムは、えなりの反撃とそれを止めた謎の男の登場にしばらく固まっていたが、
ここに至ってようやく正気を取り戻した。
ハム「ピ〜ヒョロ!ピ〜〜〜ヒョロ!ピーブー
貴様ら〜〜〜!この超エリィィィィトのオレ様を差し置いて話し込むとはいい度胸だ〜! ピーブー
とにかくオレ様の言うことが聞けない(自主規制)と存在価値も無い空気漫画家はさっさと消えろ〜〜!」
えなり(思い出したー!この人、『みえるひと』の岩代先生だ!言っちゃあなんだけど、確かに空気だから忘れてたーー!
そしてこいつ…ハムのことはできるなら永遠に忘れていたかった…。チクショウ…
まあ岩代さんが戦ってくれるみたいだからいいか。僕はこの隙に今度こそ鳥山さんの身体に…。)
岩代「ボウズ、お前はさっさと鳥山さんの身体を取りにいけ。俺はこのウスラバカを殺る。」
えなり「(よかった……計画通り!……なんてね…一回言ってみたかったんだ。)はっはいっ!」
ハム「まずは空気のほうから殺してほしいのか〜?鳥山明の身体がある状況でお前みたいな奴の身体に様は無えんだよ!ピ〜〜〜ヒョロ!」
ハムは傘を自分の身体の前に構える。まるで傘を砲身に見立てて、何かを打ち出すかのようだ。
岩代もまた、自らの飛び道具の構えを取る。左手を右手に添え、こちらは右手を砲身にする構えだ。
無限とも思える一瞬の後…二人は同時に動いた。
ハム「ア〜ン〜ブレラァ!」
岩代「けい らん
剄 蘭 」
二つの力はぶつかり合い…そして弾けて消えた。それはあたかも、戦争の始まりを告げる烽火の様であった。
To Be Continued...
まことに勝手ながら、ネタバレ防止のためにタイトルを隠していました。
うたかた
タイトルは「めぞん 泡 沫」です。